以下、本発明の一実施形態である車両用灯具ユニット20について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態の車両用灯具ユニット20に用いられる発光装置10について説明する。
図1は本実施形態の車両用灯具ユニット20をその光軸AXを含む鉛直面で切断した断面図、図2(a)は発光装置10の波長変換部材13周辺を拡大した拡大図である。
[発光装置10]
図1、図2(a)に示すように、発光装置10は、フェルール11、ライトガイド12、波長変換部材13、励起光源14等を備えている。
フェルール11は、ライトガイド12を保持するための部材であり、上面11a中心と下面11b中心とを連通するライトガイド用貫通穴11cが形成されている。ライトガイド12は、その出射端側がライトガイド用貫通穴11cに挿入されてフェルール11に保持されている。ライトガイド12の出光面12bとフェルール11の上面11aとは、フェルール11の上面11aを研磨することで、同一平面とされている。
フェルール11は、ライトガイド12を保持することができるものであればよく、その材質は特に問わない。例えば、フェルール11は、ステンレス製、ニッケル製、ジルコニア製であってもよいし、その他の金属製、樹脂製、ガラス製であってもよい。
フェルール11の上面11aは、例えば、円形で、図2(a)、図4に示すように、反射手段16で覆われている。反射手段16は、波長変換部材13が発する光を波長変換部材13側に反射するものであればよく、例えば、フェルール11の上面11aに対してアルミや銀等の金属蒸着を施すことで形成された反射層(又は反射面)であってもよいし、又は、フェルール11が導電性を有する場合には、フェルール11の上面11aに対してメッキを施すことで形成された反射層(誘電体膜)であってもよい。このようにフェルール11の上面11aに対して反射層(又は反射面)を形成する方法については、例えば、特開2007−121502号公報に記載されている方法を用いることが可能である。あるいは、反射手段16は、フェルール11の上面11a(上面11aのうちライトガイド12の出光面12b以外の領域)に接着された薄い板状の反射部材であってもよいし、フェルール11が金属製の場合には、フェルール11の上面11aに対して鏡面研磨を施すことで形成された反射面であってもよい。
ライトガイド12は、励起光源14からの励起光を導光(又は伝搬)して波長変換部材13を照射する導光部材である(本発明の第1光学系に相当)。ライトガイド12は、例えば、中心部のコア(例えば、コア径:0.2mm)とその周囲を覆うクラッド(いずれも図示せず)とを含む光ファイバである。コアは、クラッドと比較して屈折率が高い。従って、ライトガイド12の一端面(以下入光面12aと称す)からライトガイド12内に導入された励起光は、コアとクラッドとの境界の全反射を利用してコア内部に閉じこめられた状態で他端面(以下出光面12bと称す)まで導光されて、出光面12bから出射する。
ライトガイド12は、励起光源14からの励起光を導光することができるものであればよく、単線ファイバであってもよいし、多線ファイバであってもよい。また、ライトガイド12は、単一モードファイバであってもよいし、多モードファイバであってもよい。また、ライトガイド12の材質は特に問わない。例えば、ライトガイド12は、石英ガラス製であってもよいし、プラスチック製であってもよい。なお、ライトガイド12は、単線ファイバ、多モードファイバが好ましい。
ライトガイド12の入光面12aは、例えば、励起光源14の前方近傍に配置されている。励起光源14からの励起光が効率よく入光するように、ライトガイド12の入光面12aと励起光源14との間に集光レンズ(図示せず)を配置してもよい。
図3は、波長変換部材13の斜視図である。
図3に示すように、波長変換部材13は、励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材で、例えば、円形をフェルール11の上面11aに対して面直方向に引き延ばした円盤型のYAG等の蛍光体(Ce:YAG等の蛍光物質が望ましい)である。波長変換部材13は、円形の上面13a(本発明の第二面に相当)、円形の下面13b(本発明の第一面に相当)及びリング状の周端面13c(側面)を含んでいる(例えば、厚み:0.2mm、直径:1.0mm)。
波長変換部材13として、円形をフェルール11の上面11aに対して面直方向に引き延ばした円盤型のYAG等の蛍光体を用いれば、ライトガイド12の出光面12bから波長変換部材13の周端面13cまでの光路長がその全周に渡り均一となるため、波長変換部材13の周端面13cの色ムラ、輝度ムラを抑えることが可能となる。
なお、波長変換部材13は、多角形又はその他の形状を、フェルール11の上面11aに対して面直方向に引き延ばした円盤型のYAG等の蛍光体であってもよい。波長変換部材13は、黄色蛍光体の濃度(例えば、Ceの添加量等)を調整することで、発光色が法規で規定されたCIE色度図上の白色範囲を満たすように調整されている。
波長変換部材13の上面13aは、遮光手段15(本発明の第1遮光手段に相当)で覆われている。遮光手段15は、波長変換部材13が発する光のうちその上面13aから出射しようとする光を遮光するものであればよく、例えば、波長変換部材13の上面13aに対して施された黒色塗装であってもよいし、波長変換部材13の上面13aに対してアルミや銀等の金属蒸着を施すことで形成された反射層(又は反射面)であってもよいし、波長変換部材13の上面13aに接着された薄い板状の反射部材又は白樹脂等の拡散反射部材であってもよい。また、遮光手段15は、励起光源14の波長で最適設計された誘電体多層膜であってもよい。
遮光手段15として反射層や反射板等の反射面を用いれば、波長変換部材13が発する光のうち波長変換部材13の上面13aから出射しようとする光は、遮光手段15で反射されて波長変換部材13側に戻されるため(図2(a)参照)、波長変換部材13の周端面13cから放出される光の取り出し効率を高めることが可能となる。
図2(a)に示すように、波長変換部材13の下面13bは、フェルール11の上面11a(反射手段16)のうちライトガイド用貫通穴11c周囲の領域に接着されて、ライトガイド用貫通穴11c(ライトガイド12の出光面12b)を覆っている。
図4は、フェルール11の上面図である。図4に示すように、波長変換部材13は、フェルール11の上面11aの中心に配置されている。また、図2(a)に示すように、波長変換部材13の下面13b中心とライトガイド用貫通穴11cの中心(ライトガイド12の出光面12bの中心)とは一致している。従って、波長変換部材13の下面13bは、ライトガイド用貫通穴11c(ライトガイド12の出光面12b)が対向する領域以外、反射手段16(本発明の第2反射手段、第5反射手段に相当)で覆われている(図2(a)参照)。従って、波長変換部材13が発する光のうち波長変換部材13の下面13bから出射しようとする光は、反射手段16で反射されて波長変換部材13側に戻される。これにより、光の取り出し効率が向上する。
ライトガイド12の出光面12bは、フェルール11の上面11aと同一平面である。従って、波長変換部材13の下面13bとライトガイド12の出光面12bとは密着している。なお、波長変換部材13の下面13bとライトガイド12の出光面12bとの間には若干の隙間が存在していてもよい。
反射手段16(フェルール11の上面11a)は、波長変換部材13より大径で、波長変換部材13の下面13bの外径より外側に延伸している(図2(a)、図4参照)。すなわち、反射手段16は、波長変換部材13の下面13bの周囲にも配置されている(本発明の第3反射手段、第6反射手段に相当)。従って、波長変換部材13の周端面13c全周から下方に放出される光は、反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう(図2(a)参照)。これにより、双指向性を半分にした半双指向性の分布(図2(b)参照)を持つ光を放出する発光装置10が構成される。
励起光源14は、励起光を発生する励起光源で、LEDやLD等の半導体発光素子が望ましく、特に、光利用効率の観点から、LD(レーザーダイオード)が望ましい。本実施形態では、励起光源14として、発光波長が400〜450nm程度のLDを用いている。なお、励起光源14は、車両用灯具ユニット20以外の適宜の箇所(例えば車体フレームや車体フレームに固定されたハウジング)にネジ等の公知の手段で固定されている。
上記構成の発光装置10によれば、図1、図2(a)に示すように、励起光源14からの励起光Ray1は、ライトガイド12の入光面12aからライトガイド12内に導入され出光面12bまで導光されて、出光面12bから出射し、波長変換部材13を照射する。
励起光源14からの励起光が入射した波長変換部材13は、励起光源14からの励起光により励起される光と波長変換部材13を透過する励起光源14からの励起光との混色による白色光Ray2を発する。
波長変換部材13が発する白色光Ray2は、遮光手段15及び/又は反射手段16で反射されて(又は遮光手段15又は反射手段16で反射されることなく直接)、波長変換部材13の周端面13c全周から放出される。
図5は、波長変換部材13の指向特性を説明するための図である。図5中、実線は波長変換部材13の、光軸AX10(ライトガイド用貫通穴11cの中心軸)を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13の周端面13cの断面)における指向特性(双指向性)を表し、二点鎖線は波長変換部材13の上面13aから見た指向特性を表している。
波長変換部材13の上面13aが遮光手段15で覆われているため、波長変換部材13の、光軸AX10(ライトガイド用貫通穴11cの中心軸)を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13の周端面13cの断面)における指向特性は、図5に実線で示すように、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13の周端面13cがリング状の面であるため、波長変換部材13の上面13aから見た指向特性は、図5に二点鎖線で示すように、波長変換部材13を中心に放射状に広がる分布となる。
波長変換部材13の周端面13c全周から下方に放出される白色光Ray2は、波長変換部材13の下面13bの周囲に配置された反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう(図2(a)参照)。
その結果、発光装置10の、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図2(b)に実線で示すように、双指向性を上半分にした半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13の周端面13cはリング状の面であるため、発光装置10の上面から見た指向特性は、図2(b)に二点鎖線で示すように、波長変換部材13を中心に放射状に広がる分布となる。
図2(b)は、発光装置10の指向特性を説明するための図である。図2(b)中、実線は発光装置10の、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性(半双指向性)を表し、二点鎖線は発光装置10の上面から見た指向特性を表している。
以上のように、発光装置10の指向特性は、図2(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に360°回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上説明したように、本実施形態の発光装置10によれば、遮光手段15及び波長変換部材13の下面13bの周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13の周端面13cから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10を構成することが可能となる。
[発光装置10A]
次に、発光装置10の変形例として、双指向性の分布を持つ光を放出する発光装置10Aについて説明する。
図6は、発光装置10Aの波長変換部材13周辺を拡大した拡大図である。
発光装置10Aは、発光装置10と比べ、反射手段16(フェルール11の上面11a)が、波長変換部材13と同径(又は略同径)で、波長変換部材13の下面13bにのみ配置されている点(すなわち、反射手段16が波長変換部材13の下面13bの外径より外側に延伸していない点)が相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
波長変換部材13の上面13aが遮光手段15で覆われているため、波長変換部材13の、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13の周端面13cの断面)における指向特性は、図5に実線で示すように、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13の周端面13cがリング状の面であるため、波長変換部材13の上面13aから見た指向特性は、図5に二点鎖線で示すように、波長変換部材13を中心に放射状に広がる分布となる。
以上のように、発光装置10Aの指向特性は、図5に実線で示す円を、光軸AX10を中心に360°回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AX10を含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
本変形例の発光装置10Aによれば、遮光手段15(本発明の第1遮光手段に相当)の作用により、双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Aを構成することが可能となる。
[発光装置10B]
従来、励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材を用いた発光装置が提案されている(例えば、特許第4379531号公報参照)。
図37は、従来の波長変換部材を用いた内視鏡用の発光装置300の例である。
図37に示すように、発光装置300は、励起光源から放出された励起光を伝送するための光ファイバ等のライトガイド310、ライトガイド310の端面に配置された反射膜321、322付き波長変換部材320等を備えている。
上記構成の発光装置300においては、波長変換部材320は、ライトガイド310の端面から出射される励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する。
しかしながら、上記構成の発光装置300においては、ライトガイド310の端面と波長変換部材320とが密着しているため、励起光の出力が上がるにつれ波長変換部材320を照射する励起光の光密度が高くなって波長変換部材320が高温となり、波長変換部材320が劣化、変色し、効率が低下するという問題がある。特に、励起光源がLD(レーザーダイオード)である場合、この問題は顕著となる。
以下、発光装置10の変形例として、波長変換部材が高温となるのを抑えることが可能な(従って、励起光源を高出力化しても波長変換部材が劣化し、効率が低下するのを抑えることが可能な)発光装置10Bについて説明する。
図7は、発光装置10Bをその光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面斜視図である。図8は、発光装置10Bをその光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面図である。
発光装置10Bは、発光装置10と比べ、円盤型の波長変換部材13に代えてリング型の波長変換部材13Bを用いている点が相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、波長変換部材13Bは、リング型のYAG等の蛍光体(Ce:YAG等の蛍光物質が望ましい)であり(例えば、軸方向厚み:0.2mm、径方向厚み:0.05〜0.2mm、直径:1.0mm)、そのリング内側に配置された光偏向手段17a等を備えている。
波長変換部材13Bは、光偏向手段17aが形成された透明体17との接着性を高めるために、蛍光物質に樹脂などを混合した複合材料を用いてもよいし、熱伝導性を向上するために、アルミナなどを複合したものを用いてもよい。また、特許第4730227号公報に開示されているように、異種の蛍光物質を複数の領域/層で構成してもよい。波長変換部材13Bは、黄色蛍光体の濃度(例えば、Ceの添加量等)を調整することで、発光色が法規で規定されたCIE色度図上の白色範囲を満たすように調整されている。
光偏向手段17aは、ライトガイド12の出光面12bから出射される励起光源14からの励起光の進行方向を変化させて波長変換部材13Bを照射するためのものである。
光偏向手段17aは、ライトガイド12の出光面12bから出射される励起光源14からの励起光の進行方向を変化させて波長変換部材13Bを照射することができるものであればよく、例えば、図7、図8に示すように、波長変換部材13Bのリング内側に配置されたガラス製又は透明樹脂製の透明体17の上面中央(光軸AX10上)に、円錐型の凹部を形成し、この円錐型の凹部を遮光手段15で覆った円錐型反射面であってもよい。
遮光手段15として反射層や反射板等の反射面を用いれば、発光部(透明体17)の上面から出射しようとする光は、遮光手段15で反射されて透明体17側に戻されるため、波長変換部材13Bの周端面13cから放出される光の取り出し効率を高めることが可能となる。
透明体17は、例えば、円形をフェルール11の上面11aに対して面直方向に引き延ばした透明円盤である。透明体17は、円形の上面、円形の下面を含んでいる。透明体17の上面中央(光軸AX10上)に形成された円錐型の凹部は、光軸AX10上に頂部を持ち、透明体17の上面に底面を持っており、ライトガイド12の出光面12bから出射される励起光の光路上(励起光の光軸と同軸上)に配置されている(図8参照)。光偏向手段17a付きの波長変換部材13Bは、透明体17の下面に設けられた位置決め用の凸部17bをフェルール11の上面11aに形成された凹部に挿入することで、フェルール11の上面11a上に位置決めされて接着されている。
透明体17は、励起光源14の波長に対して透過性の高いものであればその材質は特に限定されない。例えば、透明体17は、石英、透明樹脂、単結晶サファイア、ノンドープのYAG等の透明セラミックスであってもよい。透明体17は、励起光の不要な散乱を避けるため、気孔や不純物などの散乱源を含まないほうがより望ましい。
光偏向手段17a付きの波長変換部材13Bは、例えば、次のようにして製造される。
まず、YAG等の蛍光体粉末を金型に入れこれをプレスして焼き固めることで、リング型の波長変換部材13Bを製造する。
次に、ディスペンサ等を用い、透明樹脂(例えばシリコン樹脂)をリング型の波長変換部材13Bのリング内側に八分目程度まで充填する。その後、円錐状のプリズムをその充填された透明樹脂の中央に上方から挿入する。これにより、透明樹脂(例えばシリコン樹脂)がリング型の波長変換部材13Bのリング内側上端縁付近まで充填される。そして、透明樹脂が硬化した後、円錐状のプリズムを取り除く。これにより、硬化した透明樹脂(透明体17)の上面中央に、円錐状のプリズムの跡からなる光偏向手段17aが形成される。そして、発光部(波長変換部材13B及び透明体17)の上面を遮光部材15で覆う。
以上のようにして、リング内側に光偏向手段17aが配置された波長変換部材13Bが製造される。
なお、光偏向手段17a付きの波長変換部材13Bの製造方法は上記に限定されない。例えば、上面中央(光軸AX10上)に円錐型の凹部を形成した円盤型の透明体17を先に製造し、これの周端面に対して波長変換部材を薄く塗布することで、光偏向手段17a付きの波長変換部材13Bを製造してもよい。
本変形例の発光装置10Bによれば、図9に示すように、励起光源14からの励起光Ray1は、ライトガイド12の入光面12aからライトガイド12内に導入され出光面12bまで導光されて、出光面12bから出射し、透明体17内に導入されて、光偏向手段17aを照射する。
光偏向手段17aは、これに入射する励起光Ray1の進行方向を光軸AX10に対して略垂直な方向に変化させてリング型の波長変換部材13B(リング型の波長変換部材13Bの内側リング面)を照射する。光偏向手段17aは円錐状のプリズムの跡であるため、光偏向手段17aにより進行方向が変化させられた励起光Ray1は、光軸AX10を中心に放射状に進行する。従って、光偏向手段17aにより進行方向が変化させられた励起光Ray1は、進行方向が変化させられる前と比べ、光密度が小さくなる。
光偏向手段17aにより光密度が小さくなりかつ進行方向が変化させられた励起光源14からの励起光Ray1が入射したリング型の波長変換部材13Bは、励起光源14からの励起光により励起される光と波長変換部材13Bを透過する励起光源14からの励起光との混色による白色光Ray2を発する。
波長変換部材13Bが発する白色光Ray2は、遮光手段15及び/又は反射手段16で反射されて(又は遮光手段15又は反射手段16で反射されることなく直接)、波長変換部材13Bの周端面13c全周から放出される。
すなわち、光偏向手段17aによって偏向された励起光が、波長変換部材13Bに入射し、一部の光は蛍光物質に吸収され波長変換光が外部に射出し、一部の光は波長変換されず、散乱されて外部に射出される。結果として、これらの光が混色された白色光が照明光として外部に射出される。
発光部(波長変換部材13B及び透明体17)の上面が遮光手段15で覆われているため、発光部(波長変換部材13B及び透明体17)の、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13Bの周端面13cの断面)における指向特性は、図5に実線で示すように、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13Bの周端面13cがリング状の面であるため、発光部(波長変換部材13B及び透明体17)の上面から見た指向特性は、図5に二点鎖線で示すように、波長変換部材13Bを中心に放射状に広がる分布となる。
波長変換部材13Bの周端面13c全周から下方に放出される白色光Ray2は、波長変換部材13Bの下面13bの周囲に配置された反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう(図9参照)。
その結果、発光装置10Bの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図9に示すように、双指向性を上半分にした半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13Bの周端面13cはリング状の面であるため、発光装置10Bの上面から見た指向特性は、図2(b)に二点鎖線で示すように、波長変換部材13Bを中心に放射状に広がる分布となる。
以上のように、発光装置10Bの指向特性は、図9に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に360°回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上説明したように、本変形例の発光装置10Bによれば、遮光手段15及び発光部(波長変換部材13B及び透明体17)の下面の周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13Bの周端面13cから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Bを構成することが可能となる。
本変形例の発光装置10Bによれば、さらに次の効果を奏する。
第1に、波長変換部材13Bの温度が上昇することに起因する効率低下を抑えることが可能となる。
すなわち、発光装置10(図2(a)参照)や従来の発光装置300(図37参照)においては、ライトガイドの端面と波長変換部材とが密着しているため、励起光の出力が上がるにつれ波長変換部材を照射する励起光の光密度が高くなって波長変換部材が高温となり、波長変換部材が劣化、変色し、効率が低下するという問題がある。特に、励起光源がLD(レーザーダイオード)である場合、この問題は顕著となる。
これに対して、本変形例の本変形例の発光装置10Bによれば、光偏向手段17aの作用により、励起光源14からの励起光の光密度を小さくしかつ進行方向を変化させた上で波長変換部材13Bを照射する構成であり、波長変換部材13Bが励起光源14による熱、高強度の光等に直接さらされることがないため、波長変換部材13Bが高温となるのを抑えることが可能となる。
例えば、本変形例の発光装置10Bでは、ライトガイド12の出光面12bの面積=π×0.12=π×10-2、波長変換部材13Bの周端面13cの面積=2×π×0.5×0.2=20π×10-2とすると、発光装置10と比べ、波長変換部材13Bに照射される光密度を1/20に抑えることが可能となる。
従って、本変形例の発光装置10Bによれば、励起光源14を高出力化しても波長変換部材13Bが劣化、変色し、効率が低下するのを抑えることが可能となる。また、色むらや輝度むらを生じない発光特性の良好な発光を実現することが可能となる。
第2に、波長変換部材13内部で散乱を繰り返すことに起因する効率低下を抑えることが可能となる。
すなわち、発光装置10(図2(a)参照)においては、中心から周端面まで密な円盤型の波長変換部材を用いているため、波長変換部材の中心から周端面までの間、波長変換部材内部で散乱を繰り返すこととなり(光が内部で閉じこめられることとなり)、光取り出し効率が低下するという問題がある。
これに対して、本変形例の発光装置10Bによれば、中心から周端面13cまで密な円盤型の波長変換部材13ではなく、中空のリング型の波長変換部材13Bを用いているため、波長変換部材13内部で散乱を繰り返す距離が、リング型の波長変換部材13Bの径方向厚み(例えば0.05〜0.2mm)となり、円盤型の波長変換部材13と比べ、散乱を繰り返す距離が短くなる。
従って、本変形例の発光装置10Bによれば、波長変換部材13内部で散乱を繰り返すことに起因する効率低下を抑えることが可能となる。
第3に、ライトガイド12内を導光される励起光がライトガイド12と波長変換部材13との界面で反射されることに起因する効率低下を抑えることが可能となる。
すなわち、発光装置10(図2(a)参照)や従来の発光装置300(図37参照)においては、屈折率が異なるライトガイドの端面と波長変換部材とが密着しているため、ライトガイド内を導光される励起光が、ライトガイドの端面から出射することなくライトガイドと波長変換部材との界面で反射し、ライトガイドを逆に通って励起光源まで導光されて、励起光源に対して悪影響を及ぼし、効率が低下するという問題がある。
これに対して、本変形例の発光装置10Bによれば、ライトガイド12の端面(出光面12b)と波長変換部材13Bとが密着しておらず、光偏向手段17aの作用により、励起光源14からの励起光の進行方向を光軸AX10に対して略垂直な方向に変化させた上で波長変換部材13Bを照射する構成であるため、ライトガイド12内を導光される励起光がライトガイド12と波長変換部材13との界面で反射されることに起因する効率低下を抑えることが可能となる。
次に、光偏向手段17aの変形例について説明する。
図10、図11は、光偏向手段17aの変形例を説明するための図である。
光偏向手段17aは、図10に示すように、透明体17の上面中央(光軸AX10上)に形成された円錐型の凹部を遮光手段15で覆わない円錐型反射面であってもよい。この例では、ライトガイド12の出光面12bから出射される励起光が円錐型反射面で全反射されるように、透明体17の材質として屈折率が高いもの(例えばサファイア)を用いるのが望ましい。なお、透明体17の上面中央(光軸AX10上)のうち円錐型の凹部以外の領域及び波長変換部材13Bの上面を遮光手段15で覆うのが望ましい。
あるいは、光偏向手段17aは、図11に示すように、透明体17の上面中央(光軸AX10上)に円錐型の凹部を形成することなく、透明体17の上面に散乱面(複数の微小な凹凸等)を形成し、透明体17の上面及び波長変換部材13Bの上面を遮光手段15で覆ったものであってもよい。
あるいは、光偏向手段17aは、透明体17の上面中央(光軸AX10上)に円錐型の凹部を形成することなく、透明体17の上面に複数のV溝状や円錐状のプリズムカットを形成したものであってもよいし、透明体17の上面に白樹脂等の拡散反射部材を別途接着したものであってもよい。
上記各変形例によっても、発光装置10Bと同様の効果を奏することが可能となる。
[発光装置10C]
次に、発光装置10の変形例として、周端面13cの一部を遮光手段で覆った波長変換部材13Cを用いた発光装置10Cについて説明する。
図12(a)は、発光装置10Cの波長変換部材13C周辺を拡大した拡大図である。
図13は、波長変換部材13Cの斜視図である。
発光装置10Cは、発光装置10と比べ、波長変換部材13に代えて周端面13cのうち一部範囲が遮光手段15で覆われた波長変換部材13Cを用いている点が相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図12(a)、図13に示すように、波長変換部材13Cは、その周端面13cのうち一部範囲、例えば、後述のメイン反射面22に入射する光を放出する範囲(例えば、光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲)以外の範囲を遮光手段15(本発明の第2遮光手段に相当)で覆った例である。この周端面13cのうち一部範囲を覆う遮光手段15として反射層や反射板等の反射面を用いれば、波長変換部材13Cが発する光のうち波長変換部材13Cの周端面13cから出射しようとする光は、遮光手段15で反射されて波長変換部材13C側に戻されるため、波長変換部材13Cの周端面13cから放出される光の取り出し効率を高めることが可能となる。
波長変換部材13Cの上面13a及び周端面13cの一部範囲が遮光手段15で覆われているため、発光装置10Cの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図12(b)に実線で示すように、双指向性を上半分にした片半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13Cの周端面13cはリング状の面であるため、発光装置10Cの上面から見た指向特性は、図12(b)に二点鎖線で示すように、波長変換部材13Cを中心に放射状に広がる分布となる。
以上のように、発光装置10Cの指向特性は、図12(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に、車両後方側に延びる光軸AXに対して左右120°(合計240°)回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
図12(b)は、発光装置10Cの指向特性を説明するための図である。図12(b)中、実線は発光装置10Cの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性(半双指向性)を表し、二点鎖線は発光装置10Cの上面から見た指向特性を表している。
以上説明したように、本変形例の発光装置10Cによれば、遮光手段15及び波長変換部材13Cの下面13bの周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13Cの周端面13cから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした片半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Cを構成することが可能となる。
また、本変形例の発光装置10Cによれば、波長変換部材13Cの周端面13cのうち一部範囲を覆う遮光手段15(本発明の第2遮光手段に相当)の作用により、波長変換部材13Cの周端面13cからグレア等の原因となる光が放出されるのを防止することが可能となる。
以上、発光装置10を構成する波長変換部材13に代えて周端面13cのうち一部範囲が遮光手段15で覆われた波長変換部材13Cを用いて発光装置10Cを構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、発光装置10Aを構成する波長変換部材13に代えて周端面13cのうち一部範囲が遮光手段15で覆われた波長変換部材13を用いても、発光装置10Cと同様の発光装置を構成することが可能である。
また、発光装置10Bを構成する波長変換部材13Bに代えて周端面13cのうち一部範囲が遮光手段15で覆われた波長変換部材13Bを用いても、発光装置10Cと同様の発光装置を構成することが可能である。
[発光装置10D]
次に、発光装置10の変形例として、周端面13cのうち一部をカットし、その断面を遮光手段で覆った波長変換部材13Dを用いた発光装置10Dについて説明する。
図14は、波長変換部材13Dの斜視図である。
発光装置10Dは、発光装置10と比べ、波長変換部材13に代えて周端面13cの一部がカットされ、その断面が遮光手段15で覆われた波長変換部材13Dを用いている点が相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図14に示すように、波長変換部材13Dは、その周端面13cのうち一部範囲、例えば、後述のメイン反射面22に入射する光を放出する範囲(例えば、光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲)以外の範囲をカットし、その断面を遮光手段15(本発明の第3遮光手段に相当)で覆った例である。この周端面13cのうち一部範囲を覆う遮光手段15として反射層や反射板等の反射面を用いれば、波長変換部材13Dが発する光のうち波長変換部材13Dの周端面13cから出射しようとする光は、遮光手段15で反射されて波長変換部材13D側に戻されるため、波長変換部材13Dの周端面13cから放出される光の取り出し効率を高めることが可能となる。
波長変換部材13Dの上面13a及びカットされた断面が遮光手段15で覆われているため、発光装置10Dの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図12(b)に実線で示すように、双指向性を上半分にした片半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13Dの周端面13cはリング状の面であるため、発光装置10Dの上面から見た指向特性は、図12(b)に二点鎖線で示すように、波長変換部材13Dを中心に放射状に広がる分布となる。
以上のように、発光装置10Dの指向特性は、図12(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に、車両後方側に延びる光軸AXに対して左右120°(合計240°)回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上説明したように、本変形例の発光装置10Dによれば、遮光手段15及び波長変換部材13Dの下面13bの周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13Dの周端面13cから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした片半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Dを構成することが可能となる。
また、本変形例の発光装置10Dによれば、波長変換部材13Dの周端面13cのうち一部範囲を覆う遮光手段15(本発明の第3遮光手段に相当)の作用により、波長変換部材13Dの周端面13cからグレア等の原因となる光が放出されるのを防止することが可能となる。
また、本変形例の発光装置10Dによれば、カットの箇所に基づき、波長変換部材13Dの周端面13cに対する遮光手段15の設定範囲を容易に把握することが可能となる。
また、本変形例の発光装置10Dによれば、カットの箇所に基づき、波長変換部材13Dの取付相手(本変形例では、フェルール11の上面11a)に対する取付方向等を容易に把握することが可能となる。
以上、発光装置10を構成する波長変換部材13に代えて周端面13cのうち一部をカットし、その断面を遮光手段15で覆った波長変換部材13Dを用いて発光装置10Dを構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、発光装置10Aを構成する波長変換部材13に代えて周端面13cのうち一部をカットし、その断面を遮光手段15で覆った波長変換部材13を用いても、発光装置10Dと同様の発光装置を構成することが可能である。
また、発光装置10Bを構成する波長変換部材13Bに代えて周端面13cのうち一部をカットし、その断面を遮光手段15で覆った波長変換部材13Bを用いても、発光装置10Dと同様の発光装置を構成することが可能である。
[発光装置10E]
次に、発光装置10の変形例として、三角柱型の波長変換部材13Eを用いた発光装置10Eについて説明する。
図15(a)は、波長変換部材13Eの斜視図である。
発光装置10Eは、発光装置10と比べ、円盤型の波長変換部材13に代えて三角柱型の波長変換部材13Eを用いている点が相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図15(a)に示すように、波長変換部材13Eは、三角形(光軸AX上の一辺と光軸AX10上の一辺を持つ三角形)を光軸AXと光軸AX10を含む鉛直面に対して面直方向にかつ対称に引き延ばした三角柱型のYAG等の蛍光体であり、矩形の底面13d、前端側が後端側の下方に位置するように、水平面に対して傾斜して配置された傾斜面13e、車両後方側の鉛直面13fを含んでいる。
波長変換部材13Eの傾斜面13eは、遮光手段15で覆われている。遮光手段15として反射層や反射板等の反射面を用いれば、波長変換部材13Eが発する光のうち波長変換部材13Eの傾斜面13eから出射しようとする光は、遮光手段15で反射されて波長変換部材13E側に戻されるため、波長変換部材13Eの傾斜面13eから放出される光の取り出し効率を高めることが可能となる。
波長変換部材13Eの底面13dは、フェルール11の上面11a(反射手段16)のうちライトガイド用貫通穴11c周囲の領域に接着されて、ライトガイド用貫通穴11c(ライトガイド12の出光面12b)を覆っている。
本変形例の発光装置10Eによれば、励起光源14からの励起光は、ライトガイド12の入光面12aからライトガイド12内に導入され出光面12bまで導光されて、出光面12bから出射し、波長変換部材13Eを照射する。
励起光源14からの励起光が入射した波長変換部材13Eは、励起光源14からの励起光により励起される光と波長変換部材13Eを透過する励起光源14からの励起光との混色による白色光を発する。
波長変換部材13Eが発する白色光は、遮光手段15及び/又は反射手段16で反射されて(又は遮光手段15又は反射手段16で反射されることなく直接)、波長変換部材13Eの鉛直面13fから放出される。
波長変換部材13Eの傾斜面13eが遮光手段15で覆われているため、波長変換部材13Eの、光軸AX及び光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13Eの鉛直面13eの断面)における指向特性は、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
波長変換部材13Eの傾斜面13eから下方に放出される白色光は、波長変換部材13Eの底面13dの周囲に配置された反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう。
その結果、発光装置10Eの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図15(b)に円弧で示すように、双指向性を上半分にした片半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
図15(b)は、発光装置10Eの指向特性を説明するための図である。図15(b)中の円弧は発光装置10Eの、光軸AX及び光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性を表している。
以上のように、発光装置10Eの指向特性は、図15(b)に実線で示す円弧を、光軸AXと光軸AX10を含む鉛直面に対して面直方向にかつ対称に引き延ばした立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上説明したように、本変形例の発光装置10Eによれば、遮光手段15及び波長変換部材13Eの底面13dの周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13Eの鉛直面13fから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした片半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Eを構成することが可能となる。
以上、発光装置10を構成する波長変換部材13に代えて三角柱型の波長変換部材13Eを用いて発光装置10Eを構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、発光装置10Aを構成する波長変換部材13に代えて三角柱型の波長変換部材13Eを用いても、発光装置10Eと同様の発光装置を構成することが可能である。
また、発光装置10Bを構成する波長変換部材13Bに代えて三角柱型の波長変換部材13Eを用いても、発光装置10Eと同様の発光装置を構成することが可能である。
[車両用灯具ユニットの構成例1]
次に、上記構成の発光装置10を用いた車両用灯具ユニット20の構成例について説明する。
本実施形態の車両用灯具ユニット20は、自動車等の車両の前面の左右両側に配置されて車両用前照灯を構成している。図16は発光装置10を用いた車両用灯具ユニット20の構成例、図17は車両用灯具ユニット20の斜視図、図18(a)は上面図、図18(b)は正面図、図18(c)は側面図である。
図16に示すように、車両用灯具ユニット20は、前面レンズ91とハウジング92とで区画された灯室93内に配置されている。車両用灯具ユニット20には、その光軸調整が可能なように公知のエイミング機構(図示せず)が連結されている。
図1、図16〜図18に示すように、車両用灯具ユニット20は、ロービーム用配光パターンを形成するように構成されたプロジェクタ型の灯具ユニットであり、投影レンズ21、発光装置10、メイン反射面22、シェード23、第1サブ反射面24、第2サブ反射面25、ミラーシェード兼保持部材26等を備えている。なお、発光装置10に代えて、発光装置10A〜10E又は後述の発光装置10F〜10Hを用いてもよい。
図1に示すように、発光装置10を構成するフェルール11は、コネクタ96をミラーシェード兼保持部材26にネジ止め固定することにより(又はコネクタ96をミラーシェード兼保持部材26に係合させることにより)着脱自在に固定されている。コネクタ96としては、例えば、JIS規格のFCコネクタやSCコネクタ等の公知のものを用いることが可能である。
図1に示すように、投影レンズ21は、アルミ等の金属製ミラーシェード兼保持部材26に保持されて、車両前後方向に延びる光軸AX上に配置されている。
投影レンズ21は、例えば、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面の平凸非球面の投影レンズである。図16に示すように、投影レンズ21は、エクステンション94に形成された開口94aから露出するとともに、その外周縁がエクステンション94で覆われている。
図1に示すように、発光装置10は、その反射手段16を、光軸AXを含む上向きの水平面とした状態で、ミラーシェード兼保持部材26に固定されている。光軸AXは、波長変換部材13の中心を通っている(図3、図4参照)。従って、発光装置10の指向特性は、図2(b)に示すように、光軸AXを含む水平面内の強度が最大の半双指向性の分布となる。
図1に示すように、メイン反射面22は、第1焦点F122が波長変換部材13近傍に設定され、第2焦点F222が投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に設定された回転楕円系の反射面(回転楕円面又はこれに類する自由曲面等)である。
図19は車両用灯具ユニット20をその光軸AXを含む水平面で切断した断面図(光路含む)、図20は車両用灯具ユニット20をその光軸AXを含む鉛直面で切断した断面図(光路含む)である。
メイン反射面22は、発光装置10からの光、例えば、図2(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に、車両後方側に延びる光軸AXに対して左右120°(合計240°)回転させた立体形状の分布の光が入射するように、波長変換部材13(周端面13c)を覆っている。具体的には、メイン反射面22は、波長変換部材13の周囲、例えば、車両後方側に延びる光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲(図19参照)から上方に延びて、波長変換部材13(周端面13c)を覆っている(図1、図18(a)、図18(c)、図19参照)。メイン反射面22の下端縁22aは、光軸AXを含む水平面上に位置している(図1参照)。
従って、波長変換部材13の周端面13c(光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲)から放出される相対的に高い光度の光Ray2(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))は、メイン反射面22のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域22bに入射する(図19、図20参照)。
メイン反射面22(領域22b)は鉛直方向では楕円であるため、鉛直方向に関しては、メイン反射面22(領域22b)からの相対的に高い光度の反射光Ray2は、第2焦点F222に集光し投影レンズ21でほぼ平行光線となる(図20参照)。一方、メイン反射面22(領域22b)は水平方向では楕円ではないため、水平方向に関しては、投影レンズ21を透過したメイン反射面22(領域22b)からの相対的に高い光度の反射光Ray2は、いったん交差した後、水平方向に拡散される(図19参照)。これにより、図21に示すように、鉛直方向に薄く水平方向(左右方向)に広がりのある高い照度の部分配光パターンP1(高照度帯)が形成される。図21は、車両用灯具ユニット20により形成される部分配光パターンP1の例である。
なお、メイン反射面22は、波長変換部材13の周囲に配置されていればよく、光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲に限定されず、適宜の範囲に配置することが可能である。
図1に示すように、シェード23は、投影レンズ21の車両後方側焦点F21から発光装置10(波長変換部材13)側に延びるミラー面23aを含んでいる。シェード23の前端縁は、投影レンズ21の車両後方側の焦点面に沿って凹に湾曲している。ミラー面23aに入射し上向きに反射される光は投影レンズ21で屈折して路面方向に向かう。すなわち、ミラー面23aに入射した光がカットオフラインを境に折り返されてカットオフライン以下の配光パターンに重畳される形となる。これにより、図21に示すように、ロービーム用配光パターンP1の上端縁にカットオフラインCLが形成される。
第1サブ反射面24は、第1焦点F124が波長変換部材13近傍に設定され、第2焦点F224が第2サブ反射面25の下方の所定位置に設定された回転楕円系の反射面(回転楕円面又はこれに類する自由曲面等)である。
第1サブ反射面24は、発光装置10から前方上向きに放出される光(半双指向性)が入射するように、メイン反射面22の先端付近から投影レンズ21に向かって延びて、投影レンズ21とメイン反射面22との間に配置されている。なお、第1サブ反射面24は、その先端が投影レンズ21に入射するメイン反射面22からの反射光を遮らない長さとされている。
メイン反射面22と第1サブ反射面24とは、金型を用いて一体成形されたリフレクタ基材に対してアルミ蒸着等の鏡面処理を施すことで、一つの部品として構成されている。これにより、各反射面22、24を個々の部品として構成する場合と比べ、部品点数の削減、各反射面22、24の組み付け工程の簡略化、さらには、各反射面22、24の組み付け誤差の低減等が可能となる。なお、メイン反射面22と第1サブ反射面24とは、一体成形することなく個々の部品として構成してもよい。
第2サブ反射面25は、第1サブ反射面24で反射されて第2焦点F224で集光する光が入射するように、投影レンズ21とその車両後方側焦点F21との間に配置されている。
第2サブ反射面25は、例えば、平面鏡であり、車両前端側25aが車両後端側25bの下方に位置するように、水平面に対して傾斜して配置されている。
上記構成の車両用灯具ユニット20によれば、発光装置10から放出される光のうち相対的に高い光度の光Ray2(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))は、メイン反射面22のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域22bに入射する(図19、図20参照)。メイン反射面22(領域22b)は鉛直方向では楕円であるため、鉛直方向に関しては、メイン反射面22(領域22b)からの相対的に高い光度の反射光Ray2は、第2焦点F222に集光し投影レンズ21でほぼ平行光線となる(図20参照)。一方、メイン反射面22(領域22b)は水平方向では楕円ではないため、水平方向に関しては、投影レンズ21を透過したメイン反射面22(領域22b)からの相対的に高い光度の反射光Ray2は、いったん交差した後、水平方向に拡散される(図19参照)。これにより、図21に示すように、鉛直方向に薄く水平方向(左右方向)に広がりのある高い照度の部分配光パターンP1(高照度帯)が形成される。
一方、発光装置10から放出される光のうち領域22b以外のメイン反射面22に入射した光(相対的に低い光度の光。例えば、光度の割合が50%となる半値角から外の光)は、上記と同様、領域22b以外のメイン反射面22で反射されて、仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、鉛直方向及び左右方向に広がりのある部分配光パターンP2を形成する。
以上のようにして、部分配光パターンP1(高照度帯)と部分配光パターンP2とを含む遠方視認性に優れた合成配光パターン(ロービーム用配光パターン)が形成される。
また、発光装置10から放出されて第1サブ反射面24に入射する光は、当該第1サブ反射面24及び第2サブ反射面25で反射されて投影レンズ21を透過して、水平面に対して上向きの角度の方向(例えば、2〜4度の範囲)へ照射される。これにより、図21に示すように、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前面から約25m前方に配置されている)上のオーバーヘッドサイン領域Aに、オーバーヘッドサイン配光パターンP2が形成される。
なお、車両用灯具ユニット20は、各配光パターンP1〜P3が仮想鉛直スクリーン上の適正範囲を照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
本実施形態の車両用灯具ユニット20によれば、発光装置10から放出される相対的に高い光度の光(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))が光軸AX10上の領域ではなくメイン反射面22のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域22bに入射する構成であるため、鉛直方向寸法が薄型の車両用灯具ユニット20を構成することが可能となる。
次に、発光装置10が、車両用灯具(本実施形態の車両用灯具ユニット20等)の鉛直方向の薄型化に適した発光装置である理由について、車両用灯具ユニット20´と対比して説明する。
図22は、車両用灯具ユニット20´をその光軸AXを含む水平面で切断した断面図(光路含む)である。図23は、車両用灯具ユニット20´の発光装置10´の指向特性(単一指向性)の例である。図24は、車両用灯具ユニット20´により形成される配光パターンP1´の例である。
車両用灯具ユニット20´は、車両用灯具ユニット20と比べ、発光装置10に代えて、波長変換部材13の上面13aが遮光手段15で覆われていない発光装置10´を用いている点が相違する。それ以外、車両用灯具ユニット20と同様の構成である。以下、車両用灯具ユニット20との相違点を中心に説明し、車両用灯具ユニット20と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
波長変換部材13の上面13aが遮光手段15で覆われていないため、発光装置10´の指向特性は、図23に示すように、一般的なLED、LDと同様、光軸AX10上の強度が最大で、光軸AXを含む水平面内の光が少なくなる(単一指向性)。
図22に示すように、発光装置10´から放出される相対的に高い光度の光(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光)は、メイン反射面22のうち光軸AX10上の領域Rfに入射する。
光軸AX10上の領域Rfで反射される相対的に高い光度の光Ray3の、投影レンズ21の車両後方側焦点F21に対する入射角は比較的きつくなるため、メイン反射面22からの相対的に高い光度の反射光を水平線付近に充分に集光させることができず、鉛直方向に厚く左右に広がりのない低い照度の配光パターンP1´となる(図24参照)。
上記構成の車両用灯具ユニット20´においては、メイン反射面22からの相対的に高い光度の反射光を投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に集光させることで、高い照度の配光パターンを形成することが可能となるものの、このようにすると、メイン反射面22からの反射光の、投影レンズ21の車両後方側焦点F21に対する入射角がきつくなるため、投影レンズ21の鉛直方向寸法が大きくなる(結果として、車両用灯具ユニット20´の鉛直方向寸法が大型化する)という問題がある。
これに対して、発光装置10の指向特性は、波長変換部材13の上面13aを覆う遮光手段15及び波長変換部材13の下面13bの周囲に配置された反射手段16の作用により、図2(b)に示すように、光軸AXを含む水平面内の強度が最大の半双指向性の分布となる。従って、発光装置10から放出される相対的に高い光度の光Ray2(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))は光軸AX10上の領域Rfではなくメイン反射面22のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域22bに入射する(図19、図20参照)。
メイン反射面22(領域22b)で反射される相対的に高い光度の光Ray2の、投影レンズ21の車両後方側焦点F21に対する入射角は比較的浅くなるため(図20参照)、車両用灯具ユニット20では、投影レンズ21の鉛直方向寸法を小さくしても(結果として、車両用灯具ユニット20の鉛直方向寸法を薄型化しても)、メイン反射面22(領域22b)からの相対的に高い光度の反射光を水平線付近に充分に集光させることが可能となり、鉛直方向に薄く水平方向(左右方向)に広がりのある高い照度の部分配光パターンP1(高照度帯)を形成することが可能となる(図21参照)。
図20では、投影レンズ21のうちメイン反射面22(領域22b)からの相対的に高い光度の反射光が透過しない上下端部をカットすることで、投影レンズ21の鉛直方向寸法を小さくしている(結果として、車両用灯具ユニット20の鉛直方向寸法を薄型化している)。このように、投影レンズ21の上下端部を使用していない(カットしている)ため、車両用灯具ユニット20´と比べ、車両用灯具ユニット20の鉛直方向寸法の小型化が可能となるだけでなく、投影レンズ21の焦点F21付近に配置されたシェード23端部で発生する投影レンズ21の色収差を低減することが可能となる。
本実施形態の車両用灯具ユニット20によれば、さらに次の効果を奏する。
第1に、車両用灯具ユニット20と励起光源14とを分離したため(図16参照)、励起光源14を車両内又は車室内の雰囲気温度が安定した場所に設置することが可能となる。すなわち、励起光源14の設置場所の自由度が増す。
第2に、車両用灯具ユニット20と励起光源14(さらにはヒートシンク等の冷却装置97やECU等の駆動装置98)とを分離したため(図16参照)、励起光源14等を車両用灯具ユニット20内部に配置した場合と比べ、車両用灯具ユニット20の軽量化、エイミング機構等の簡素化が可能となる。
第3に、上記のように車両用灯具ユニット20の軽量化が可能となるため、車両用灯具ユニット20に公知のエイミング機構を連結した場合に、当該エイミング機構に加わる重量負荷を低減することが可能となる。これにより、エイミング機構に加わる重量負荷に起因する各種不具合を低減することが可能となる。また、エイミング機構を構成するアクチュエータの小型化・省電力化も期待できる。なお、すれ違いビーム全体を構成するために、車両用灯具ユニット20は、単一でもよいし、複数でもよい。
以上、発光装置10を用いて車両用灯具ユニット20を構成する例について説明したが、発光装置10に代えて、発光装置10A〜10E又は後述の発光装置10F〜10Hを用いても、車両用灯具ユニット20と同様、鉛直方向寸法が薄型で、なおかつ、鉛直方向に薄く水平方向に広がりのある高い照度の部分配光パターン(高照度帯)を形成することが可能な車両用灯具ユニットを構成することが可能である。
[発光装置10F]
従来、光ファイバ等のライトガイドにより伝送される励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材を用いた発光装置が提案されている(例えば、特許第4379531号公報参照)。
図37は、従来の光ファイバ等のライトガイドにより伝送される励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材を用いた発光装置300の例である。
図37に示すように、発光装置300は、励起光源から放出された励起光を伝送するための光ファイバ等のライトガイド310、ライトガイド310の端面に配置された反射膜321、322付き波長変換部材320等を備えている。
上記構成の発光装置300においては、波長変換部材320は、ライトガイド310の端面から出射される励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する。
しかしながら、上記構成の発光装置300は、内視鏡用の発光装置であり、これを車両用灯具に適用すること及び車両用灯具に対してライトガイドを着脱自在に固定する構造を備えた発光装置については一切提案されていない。
以下、発光装置10の変形例として、車両用灯具に対してライトガイドを着脱自在に固定する構造を備えた発光装置10Fについて説明する。
図25は発光装置10Fを用いた車両用灯具ユニット20の側面図、図26は発光装置10Fを用いた車両用灯具ユニット20を、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面図である。
発光装置10Fは、発光装置10と比べ、フェルール11に代えてフランジ付きスタブ11A及びフェルール11Bを用いている点、ライトガイド12に代えて第1ライトガイド12A及び第2ライトガイド12Bを備えている点が相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図25、図26に示すように、発光装置10Fは、フランジ付きスタブ11A、フェルール11B、第1ライトガイド12A、第2ライトガイド12B等を備えている。
フランジ付きスタブ11Aは、第1ライトガイド12Aと波長変換部材13とを保持するための部材であり、上面11Aa中心と下面11Ab中心とを連通するライトガイド用貫通穴11Acが形成されている。第1ライトガイド12Aは、ライトガイド用貫通穴11Acに挿入されてスタブ11Aに保持されている。
フランジ付きスタブ11Aは、上側スタブ11Adと下側スタブ11Afと両者の中間のフランジ11Aeとを含んでいる。
上側スタブ11Adは、フランジ11Aeがミラーシェード兼保持部材26に接触するまでミラーシェード兼保持部材26のうち光軸AX10上に形成された開口26aに挿入されてこれに嵌合している。下側スタブ11Afは、フランジ11Aeがアダプタ95に接触するまでアダプタ95のスリーブ95aの一端側に挿入されてこれに嵌合している。
フランジ付きスタブ11Aは、上記のように嵌合した状態で、アダプタ95をミラーシェード兼保持部材26にネジ止め固定することにより、車両用灯具ユニット20側に固定されている。これにより、発光装置10と車両用灯具ユニット20とを精度よく組み立てることが可能となる。
第1ライトガイド12Aの第1出光面12Abとフランジ付きスタブ11Aの上面11Aaとは、フランジ付きスタブ11Aの上面11Aaを研磨することで、同一平面とされている。同様に、第1ライトガイド12Aの第1入光面12Aaとフランジ付きスタブ11Aの下面11Abとは、フランジ付きスタブ11Aの下面11Abを研磨することで、同一平面とされている。
フランジ付きスタブ11Aは、第1ライトガイド12Aを保持することができるものであればよく、その材質は特に問わない。例えば、フランジ付きスタブ11Aは、ステンレス製、ニッケル製、ジルコニア製であってもよいし、その他の金属製、樹脂製、ガラス製であってもよい。
フランジ付きスタブ11Aの上面11Aaは、例えば、円形で、図27、図28に示すように、反射手段16で覆われている。反射手段16は、波長変換部材13が発する光を波長変換部材13側に反射するものであればよく、例えば、スタブ11Aの上面11Aaに対してアルミや銀等の金属蒸着を施すことで形成された反射層(又は反射面)であってもよいし、又は、スタブ11Aが導電性を有する場合には、スタブ11Aの上面11Aaに対してメッキを施すことで形成された反射層(誘電体膜)であってもよい。このようにスタブ11Aの上面11Aaに対して反射層(又は反射面)を形成する方法については、例えば、特開2007−121502号公報に記載されている方法を用いることが可能である。あるいは、反射手段16は、スタブ11Aの上面11Aa(上面11Aaのうち第1ライトガイド12Aの第1出光面12Ab以外の領域)に接着された薄い板状の反射部材であってもよいし、スタブ11Aが金属製の場合には、スタブ11Aの上面11Aaに対して鏡面研磨を施すことで形成された反射面であってもよい。
スタブ11Aの径は、フェルール11Bの径より大きい方が望ましい。このようにすれば、フェルール11Bの端面より径の大きいスタブ11Aの端面(上面11Aa)に、波長変換部材13の周端面13cから放出される光を反射する反射手段16を配置することが可能となる。すなわち、フェルール11Bの端面に反射手段16を配置する場合と比べ、反射手段16の領域を広くすることが可能となるため、反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう光が増加する。従って、発光装置10Fの効率をより高めることが可能となる。
フェルール11Bは、第2ライトガイド12Bを保持するための部材であり、上面11Ba中心と下面11Bb中心とを連通するライトガイド用貫通穴11Bcが形成されている。第2ライトガイド12Bは、ライトガイド用貫通穴11Bcに挿入されてフェルール11Bに保持されている。
フェルール11Bの先端部は、その上面11Ba(第2ライトガイド12Bの第2出光面12Bb)がフランジ付きスタブ11Aの下面11Ab(第1ライトガイド12Aの第1入光面12Aa)に突き当たるまでアダプタ95のスリーブ95aの他端側に挿入されてこれに嵌合している。これにより、第1ライトガイド12Aの第1入光面12Aaと第2ライトガイド12Bの第2出光面12Bbとが対向し、面接触した状態でかつ同軸に配置されている。なお、アダプタ95は、スリーブ構造によってスタブ11Aとフェルール11Bとを精度よく接続でき、接続損失が少なく、挿抜再現性に優れたものが望ましい。
スタブ11Aとフェルール11Bとは、上記のように第1ライトガイド12Aの第1入光面12Aaと第2ライトガイド12Bの第2出光面12Bbとを対向させた状態で、コネクタ96をアダプタ95にネジ止め固定することにより(又はコネクタ96をアダプタ95に係合させることにより)着脱自在に固定されている。コネクタ96としては、例えば、JIS規格のFCコネクタやSCコネクタ等の公知のものを用いることが可能である。
第2ライトガイド12Bの第2出光面12Bbとフェルール11Bの上面11Baとは、フェルール11Bの上面11Baを研磨することで、同一平面とされている。
フェルール11Bは、第2ライトガイド12Bを保持することができるものであればよく、その材質は特に問わない。例えば、フェルール11Bは、ステンレス製、ニッケル製、ジルコニア製であってもよいし、その他の金属製、樹脂製であってもよい。
第1ライトガイド12Aは、第1入光面12Aaと第1出光面12Abとを含み、第1入光面12Aaから内部に導入された励起光を第1出光面12Abまで導光(又は伝搬)し、第1出光面12Abから出射させる導光部材であり、例えば、中心部のコア(例えば、コア径:0.25mm)とその周囲を覆うクラッド(いずれも図示せず)とを含む光ファイバである。
第2ライトガイド12Bは、第2入光面12Baと第2出光面12Bbとを含み、第2入光面12Baから内部に導入された励起光を第2出光面12Bbまで導光(又は伝搬)し、第2出光面12Bbから出射させる導光部材であり、例えば、中心部のコア(例えば、コア径:0.2mm)とその周囲を覆うクラッド(いずれも図示せず)とを含む光ファイバである。
第1ライトガイド12A、12Bは、励起光源14からの励起光を導光することができるものであればよく、単線ファイバであってもよいし、多線ファイバであってもよい。また、第1ライトガイド12A、12Bは、単一モードファイバであってもよいし、多モードファイバであってもよい。また、第1ライトガイド12A、12Bの材質は特に問わない。例えば、第1ライトガイド12A、12Bは、石英ガラス製であってもよいし、プラスチック製であってもよい。なお、単線ファイバ、多モードファイバが好ましい。
第1ライトガイド12Aの径(コア径)と第2ライトガイド12Bの径(コア径)とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第1ライトガイド12Aの径(コア径)は、第2ライトガイド12Bの径(コア径)より大きくするのが望ましい。このように、第1ライトガイド12Aの第1入光面12Aaの面積を、第2ライトガイド12Bの第2出光面12Bbの面積より大きくすれば、例えば、製造上の理由(例えば、第1ライトガイド12A、12Bやアダプタ95のスリーブ95a等の寸法誤差)で、第1ライトガイド12Aと第2ライトガイド12Bとが同軸から若干ずれたとしても、第2ライトガイド12Bからの励起光を損失無く第2ライトガイド12Aへ導光(伝搬)することが可能となる。すなわち、製造時のWiggle誤差を吸収することが可能となる。
図27に示すように、波長変換部材13の下面13bは、フランジ付きスタブ11Aの上面11Aa(反射手段16)のうちライトガイド用貫通穴11Ac周囲の領域に接着されて、ライトガイド用貫通穴11Ac(第1ライトガイド12Aの第1出光面12Ab)を覆っている。
図28は、フランジ付きスタブ11Aの上面図である。図28に示すように、波長変換部材13は、フランジ付きスタブ11Aの上面11Aaの中心に配置されている。また、図27に示すように、波長変換部材13の下面13b中心とライトガイド用貫通穴11Acの中心(第1ライトガイド12Aの第1出光面12Abの中心)とは一致している。従って、波長変換部材13の下面13bは、ライトガイド用貫通穴11Ac(第1ライトガイド12Aの第1出光面12Ab)が対向する領域以外、反射手段16で覆われている(図27参照)。従って、波長変換部材13が発する光のうち波長変換部材13の下面13bから出射しようとする光は、反射手段16で反射されて波長変換部材13側に戻される。これにより、光の取り出し効率が向上する。
第1ライトガイド12Aの第1出光面12Abは、フランジ付きスタブ11Aの上面11Aaと同一平面である。従って、波長変換部材13の下面13bと第1ライトガイド12Aの第1出光面12Abとは密着している。なお、波長変換部材13の下面13bと第1ライトガイド12Aの第1出光面12Abとの間には若干の隙間が存在していてもよい。なお、波長変換部材13に代えて、波長変換部材13B〜13Eを用いてもよい。
上記構成の発光装置10Fによれば、励起光源14からの励起光は、第2ライトガイド12Bの第2入光面12Baから第2ライトガイド12B内に導入され第2出光面12Bbまで導光されて、第2出光面12Bbから出射し、さらに、第1ライトガイド12Aの第1入光面12Aaから第1ライトガイド12A内に導入され第1出光面12Abまで導光されて、第1出光面12Abから出射し、波長変換部材13を照射する。
励起光源14からの励起光が入射した波長変換部材13は、励起光源14からの励起光により励起される光と波長変換部材13を透過する励起光源14からの励起光との混色による白色光Ray2を発する。
波長変換部材13が発する白色光Ray2は、遮光手段15及び/又は反射手段16で反射されて(又は遮光手段15又は反射手段16で反射されることなく直接)、波長変換部材13の周端面13c全周から放出される。
波長変換部材13の上面13aが遮光手段15で覆われているため、波長変換部材13の、光軸AX10(ライトガイド用貫通穴11cの中心軸)を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図5に実線で示すように、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13の周端面13cがリング状の面であるため、波長変換部材13の上面13aから見た指向特性は、図5に二点鎖線で示すように、波長変換部材13を中心に放射状に広がる分布となる。
波長変換部材13の周端面13c全周から下方に放出される白色光Ray2は、波長変換部材13の下面13bの周囲に配置された反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう(図27参照)。
その結果、発光装置10Fの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図2(b)に実線で示すように、双指向性を上半分にした半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13の周端面13cはリング状の面であるため、発光装置10Fの上面から見た指向特性は、図2(b)に二点鎖線で示すように、波長変換部材13を中心に放射状に広がる分布となる。
以上のように、発光装置10Fの指向特性は、図2(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に360°回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上説明したように、本変形例の発光装置10Fによれば、第1ライトガイド12Aと波長変換部材13とを保持したスタブ11A、第2ライトガイド12Bを保持したフェルール12B及びコネクタ96の作用により、車両用灯具ユニット20等の取付相手に対して第2ライトガイド12B(を保持したフェルール12B)を着脱自在に固定することが可能な発光装置10Fを構成することが可能となる。
また、本変形例の発光装置10Fによれば、遮光手段15及び波長変換部材13の下面13bの周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13の周端面13cから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした半双指向性(片半双指向性)の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Fを構成することが可能となる。
以上、波長変換部材13を用いて発光装置10Fを構成する例について説明したが、波長変換部材13に代えて、波長変換部材13B〜13Eを用いても、発光装置10Fと同様のライトガイドを着脱自在に装着するライトガイド装着構造を備えた発光装置を構成することが可能である。
上記構成の発光装置10Fによれば、さらに次の効果を奏する。
第1に、スタブ11A側とフェルール11B側とを分離し別々の部品として構成したため、スタブ11A側とフェルール11B側を別々の工程で製造することが可能となる。従って、波長変換部材13を取り付ける工程においてライトガイド12が邪魔にならず、組立が容易となる。
第2に、スタブ11A側とフェルール11B側とを分離し別々の部品として構成したため、スタブ11A側又はフェルール11Bの一方のみを交換することが可能となる。
第3に、スタブ11A側とフェルール11B側とを、アダプタ95のスリーブ構造で組み合わせる構成としたため、発光装置10Fと車両用灯具ユニット20とを精度よく組み合わせることが可能となる。
第4に、フェルール11Bの端面より径の大きいスタブ11Aの端面(上面11Aa)に、波長変換部材13から放出される光を反射する反射手段16を配置することが可能となる。すなわち、フェルール11Bの端面に反射手段16を配置する場合と比べ、反射手段16の領域を広くすることが可能となるため、反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう光が増加する。従って、発光装置10Fの効率をより高めることが可能となる。
第5に、波長変換部材13の発熱による劣化を抑制することが可能となる。すなわち、スタブ11Aを金属等で形成することで、波長変換部材13の発熱を効率よく放熱することが可能となるため、波長変換部材13の熱劣化を抑えることが可能となる。
[車両用灯具ユニットの構成例2]
次に、上記構成の発光装置10を用いた車両用灯具ユニット30の構成例について説明する。
本実施形態の車両用灯具ユニット30は、自動車等の車両の前面の左右両側に配置されて車両用前照灯を構成している。図29は車両用灯具ユニット30の斜視図、図30(a)は上面図、図30(b)は正面図、図30(c)は側面図、図31は車両用灯具ユニット30をその光軸AXを含む鉛直面で切断した断面図、図32は車両用灯具ユニット30により形成される配光パターンP4の例である。
車両用灯具ユニット30には、その光軸調整が可能なように公知のエイミング機構(図示せず)が連結されている。
図29〜図31に示すように、車両用灯具ユニット30は、ハイビーム用配光パターンを形成するように構成されたリフレクタ型の灯具ユニットであり、反射面31、発光装置10、保持部材32等を備えている。なお、発光装置10に代えて、発光装置10A〜10F又は後述の発光装置10G〜10Hを用いてもよい。
図31に示すように、発光装置10は、その反射手段16を、光軸AXを含む上向きの水平面とした状態で、保持部材32に固定されている。光軸AXは、波長変換部材13の中心を通っている。従って、発光装置10の指向特性は、図2(b)に示すように、光軸AXを含む水平面内の強度が最大の半双指向性の分布となる。
図31に示すように、反射面31は、焦点F31が発光装置10の波長変換部材13近傍に設定され、車両前後方向に延びる光軸AX(回転軸)を持つ放物面系の反射面(回転放物面又はこれに類する自由曲面等)である。図29、図30(b)に示すように、反射面31は、複数の小区画反射面31bを含んでいる。反射面31(各小区画反射面31b)は、発光装置10から入射する光を予め定められた方向へ反射(配分)して、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前方約25mに配置されている)上に、図32に示すハイビーム用配光パターンP4を形成するように設計されている。
反射面31は、発光装置10からの光、例えば、図2(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に、車両後方側に延びる光軸AXに対して左右120°(合計240°)回転させた立体形状の分布の光が入射するように、波長変換部材13(周端面13c)の周囲を覆っている。具体的には、反射面31は、波長変換部材13の周囲、例えば、車両後方側に延びる光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲(図19参照)から上方に延びて、波長変換部材13(周端面13c)を覆っている(図29〜図31参照)。反射面31の下端縁31aは、光軸AXを含む水平面上に位置している(図31参照)。
従って、波長変換部材13の周端面13c(光軸AXに対して左右120°(合計240°)の範囲)から放出される相対的に高い光度の光(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))は、反射面31のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域31bに入射する。
なお、反射面31は、波長変換部材13の周囲に配置されていればよく、光軸AXに対
して左右120°(合計240°)の範囲に限定されず、適宜の範囲に配置することが可能である。
上記構成の車両用灯具ユニット30によれば、発光装置10から放出される光のうち相対的に高い光度の光(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))は、反射面31のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域31bに入射し、当該領域31bで反射されて前方に照射される。これにより、図32に示すように、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(車両前面から約25m前方に配置されている)上に、ハイビーム用配光パターンP4が形成される。
なお、車両用灯具ユニット30は、ハイビーム用配光パターンP4が仮想鉛直スクリーン上の適正範囲を照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
本実施形態の車両用灯具ユニット30によれば、車両用灯具ユニット20と同様、発光装置10から放出される相対的に高い光度の光(例えば、光度の割合が50%となる半値角から内の光(半双指向性))が光軸AX10上の領域ではなく反射面31のうち光軸AXを含む水平面近傍の領域31bに入射する構成であるため、鉛直方向寸法が薄型の車両用灯具ユニット30を構成することが可能となる。
以上、発光装置10を用いて車両用灯具ユニット30を構成する例について説明したが、発光装置10に代えて、発光装置10A〜10F又は後述の発光装置10G〜10Hを用いても、車両用灯具ユニット30と同様の車両用灯具ユニットを構成することが可能である。
[発光装置10G]
次に、発光装置10の変形例として、複数のライトガイド及び複数の励起光源を用いた発光装置10Gについて説明する。
図33は、複数のライトガイド及び複数の励起光源を用いた発光装置10Gの斜視図である。
発光装置10Gは、発光装置10Eと比べ、複数のライトガイド12及び複数の励起光源14を用いている点が相違する。それ以外、発光装置10Eと同様の構成である。以下、発光装置10Eとの相違点を中心に説明し、発光装置10Eと同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図33に示すように、波長変換部材13Eの底面13dは、フェルール11の上面11a(反射手段16)のうち複数のライトガイド用貫通穴11c周囲の領域に接着されて、複数のライトガイド用貫通穴11c(複数のライトガイド12の出光面12b)を覆っている。複数のライトガイド用貫通穴11c(複数のライトガイド12の出光面12b)は、車幅方向に一列に配置されている。なお、ライトガイド12及び励起光源14は複数であればよく、3つに限定されない。
本変形例の発光装置10Gによれば、複数の励起光源14からの励起光は、複数のライトガイド12の入光面12aからライトガイド12内に導入され出光面12bまで導光されて、出光面12bから出射し、波長変換部材13Eを照射する。
励起光源14からの励起光が入射した波長変換部材13Eは、励起光源14からの励起光により励起される光と波長変換部材13Eを透過する励起光源14からの励起光との混色による白色光を発する。
波長変換部材13Eが発する白色光は、遮光手段15及び/又は反射手段16で反射されて(又は遮光手段15又は反射手段16で反射されることなく直接)、波長変換部材13Eの鉛直面13fから放出される。
波長変換部材13Eの傾斜面13eが遮光手段15で覆われているため、波長変換部材13Eの、光軸AX及び光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13Eの鉛直面13eの断面)における指向特性は、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
波長変換部材13Eの傾斜面13eから下方に放出される白色光は、波長変換部材13Eの底面13dの周囲に配置された反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう。
その結果、発光装置10Gの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図15(b)に円弧で示すように、双指向性を上半分にした片半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
以上のように、発光装置10Gの指向特性は、図15(b)に実線で示す円弧を、光軸AXと光軸AX10を含む鉛直面に対して面直方向にかつ対称に引き延ばした立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上説明したように、本変形例の発光装置10Gによれば、遮光手段15及び波長変換部材13Eの底面13dの周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13Eの鉛直面13fから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした片半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Gを構成することが可能となる。
[発光装置10H]
次に、発光装置10の変形例として、ライトガイドを用いない発光装置10Hについて説明する。
図34は、ライトガイドを用いない発光装置10Hをその光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面図である。
発光装置10Hは、発光装置10と比べ、ライトガイド12を用いていない点で相違する。それ以外、発光装置10と同様の構成である。以下、発光装置10との相違点を中心に説明し、発光装置10と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図34に示すように、発光装置10Hは、レーザーホルダー18、波長変換部材13H、集光レンズ19、励起光源14等を備えている。
レーザーホルダー18は、波長変換部材13H、集光レンズ19及び励起光源14を保持するための部材であり、例えば、アルミ等の金属製円筒型筒部である。レーザーホルダー18は、その上部開口端を閉塞するプレート部18aを含んでいる。波長変換部材13H、集光レンズ19及び励起光源14は、レーザーホルダー18に保持されて、光軸AX10(レーザーホルダー18の中心軸)上に配置されている。プレート部18aのうち光軸AX10上には、テーパ型の貫通穴18bが形成されている。
プレート部18aの上面は、例えば、円形で、図34に示すように、反射手段16で覆われている。反射手段16は、波長変換部材13Hが発する光を波長変換部材13H側に反射するものであればよく、例えば、プレート部18aの上面に対してアルミや銀等の金属蒸着を施すことで形成された反射層(又は反射面)であってもよいし、又は、プレート部18aが導電性を有する場合には、プレート部18aの上面に対してメッキを施すことで形成された反射層(誘電体膜)であってもよい。このようにプレート部18aの上面に対して反射層(又は反射面)を形成する方法については、例えば、特開2007−121502号公報に記載されている方法を用いることが可能である。あるいは、反射手段16は、プレート部18aの上面(上面のうち波長変換部材13以外の領域)に接着された薄い板状の反射部材であってもよいし、プレート部18aが金属製の場合には、プレート部18aの上面に対して鏡面研磨を施すことで形成された反射面であってもよい。
波長変換部材13Hは、円形をプレート部18aの上面に対して面直方向に引き延ばした円盤型部分13Haとその下部のテーパ部分13Hbとを含むYAG等の蛍光体(Ce:YAG等の蛍光物質が望ましい)である。円盤型部分13Haは、円形の上面13a及びリング状の周端面13cを含んでいる(例えば、厚み:0.2mm、直径:1.0mm)。
なお、円盤型部分13Haは、多角形又はその他の形状を、プレート部18aの上面に対して面直方向に引き延ばした円盤型のYAG等の蛍光体であってもよい。波長変換部材13Hは、黄色蛍光体の濃度(例えば、Ceの添加量等)を調整することで、発光色が法規で規定されたCIE色度図上の白色範囲を満たすように調整されている。
テーパ部分13Hbは、プレート部18aに形成された貫通穴18bに挿入されこれに接着されて、貫通穴18bを覆っている。波長変換部材13Hは、プレート部18aの上面の中心に配置されている。また、波長変換部材13Hの下面中心と貫通穴18bの中心とは一致している。
波長変換部材13Hの上面13aは、遮光手段15で覆われている。
反射手段16(プレート部18aの上面)は、波長変換部材13Hの周囲に配置されている。従って、波長変換部材13Hの周端面13c全周から下方に放出される光は、反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう。これにより、双指向性を半分にした半双指向性の分布(図2(b)参照)を持つ光を放出する発光装置10Hが構成される。
励起光源14は、その光軸を光軸AX10に一致させるとともに、その発光面14aをプレート部18aに向けた状態でレーザーホルダー18の下端側に固定されている。
励起光源14からの光Ray1が波長変換部材13Hへ効率よく入射するように、励起光源14と波長変換部材13Hとの間には、集光レンズ19が配置されている。
本変形例の発光装置10Hによれば、励起光源14からの光Ray1は、集光レンズ19で集光されて、波長変換部材13Hを照射する。
励起光源14からの励起光が入射した波長変換部材13Hは、励起光源14からの励起光により励起される光と波長変換部材13Hを透過する励起光源14からの励起光との混色による白色光を発する。
波長変換部材13Hが発する白色光は、遮光手段15及び/又は反射手段16で反射されて(又は遮光手段15又は反射手段16で反射されることなく直接)、波長変換部材13Hの周端面13c全周から放出される。
波長変換部材13Hの上面13aが遮光手段15で覆われているため、波長変換部材13Hの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面(波長変換部材13の周端面13cの断面)における指向特性は、図5に実線で示すように、上下対象の双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13Hの周端面13cがリング状の面であるため、波長変換部材13Hの上面13aから見た指向特性は、図5に二点鎖線で示すように、波長変換部材13を中心に放射状に広がる分布となる。
波長変換部材13Hの周端面13c全周から下方に放出される白色光は、波長変換部材13Hの周囲に配置された反射手段16で反射されて折り返されて上方に向かう。
その結果、発光装置10Hの、光軸AX10を含む鉛直面で切断した断面における指向特性は、図2(b)に実線で示すように、双指向性を上半分にした半双指向性の分布となる(光軸AXを含む水平面内の強度が最大となる)。
一方、波長変換部材13Hの周端面13cはリング状の面であるため、発光装置10Hの上面から見た指向特性は、図2(b)に二点鎖線で示すように、波長変換部材13Hを中心に放射状に広がる分布となる。
以上のように、発光装置10Hの指向特性は、図2(b)に実線で示す円弧を、光軸AX10を中心に360°回転させた立体形状の分布、すなわち、光軸AXを含む水平面内の強度が最大で水平面から離れるに従って強度が低下する、配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)の分布に略一致した立体形状の分布となる。
以上、円盤型部分13Haとその下部のテーパ部分13Hbとを含む波長変換部材13Hを用いて発光装置10Hを構成する例について説明したが、波長変換部材13Hに代えて、波長変換部材13、13B〜13Eを用いても、発光装置10Hと同様の発光装置を構成することが可能である。
本変形例の発光装置10Hによれば、遮光手段15及び波長変換部材13の周囲に配置された反射手段16の作用により、波長変換部材13の周端面13cから放出される双指向性の分布を持つ光が反射されるため、双指向性を半分にした半双指向性の分布を持つ光を放出する、車両用灯具の鉛直方向の薄型化に適した発光装置10Hを構成することが可能となる。
[車両用灯具ユニットの構成例3]
次に、車両用灯具ユニット20の変形例として、波長変換部材13が所定箇所から脱落した場合(又は波長変換部材13の一部が欠ける等波長変換部材13が破損した場合)の対策を施した車両用灯具ユニット40について説明する。
図36は、車両用灯具ユニット40の構成例である。
図36に示した車両用灯具ユニット40は、図16に示した車両用灯具ユニット20と比べ、励起光源14として波長が近紫外域のレーザー光源を用いている点、波長変換部材13として励起光源14からの励起光(波長が近紫外域のレーザー光)を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材を用いている点、及び、励起光源14からの励起光を遮断し(又は反射し)、波長変換部材13からの光を通過させる光学フィルター27を備えている点が相違する。それ以外、車両用灯具ユニット20と同様の構成である。以下、車両用灯具ユニット20との相違点を中心に説明し、車両用灯具20と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本変形例の車両用灯具ユニット40では、励起光源14として、例えば、波長が近紫外域(例えば、200〜420nm)のレーザーダイオード等のレーザー光源を用いている。
また、本変形例の車両用灯具ユニット40では、波長変換部材13として、例えば、近紫外域(例えば、200〜420nm)の光で励起発光する蛍光体(発光波長が青色、緑色、赤色の混合蛍光体)、又は近紫外域(例えば、200〜420nm)の光で励起発光する蛍光体(発光波長が青色、黄色の混合蛍光体)を用いている。波長変換部材13は、励起光源14からの励起光が照射される所定箇所に固定されている(図2(a)等参照)。なお、励起光源14からの励起光の照射方向と波長変換部材13から放出される光の照射方向とは略一致している。
波長変換部材13は、蛍光体の体積、厚み、蛍光体を構成する粉末粒子の濃度等を調整することで、励起光源14から照射される励起光のほぼ全てを波長変換するように調整されている。
励起光源14からの励起光が照射された波長変換部材13は、励起光源14から照射される励起光のほぼ全てを波長変換し、励起光源14からの励起光により励起される光の混色による白色光(例えば、青色、緑色、赤色の混色による白色光、又は、青色、黄色の混色による白色光)を発する。
光学フィルター27は、励起光源14からの励起光を遮断し(又は反射し)、波長変換部材13からの光(例えば、青色、緑色、赤色の混色による白色光、又は、青色、黄色の混色による白色光)を通過させる光学フィルターであり、例えば、誘電体多層膜、バンドパスフィルターである。光学フィルター27は、励起光源14からの光(発光波長)近辺の波長を効率よく遮蔽し、白色光(例えば、青色、緑色、赤色の混色による白色光、又は、青色、黄色の混色による白色光)をよく透過するものが望ましい。
光学フィルター27は、光学系(図36では投影レンズ21、メイン反射面22等)を介して外部へ照射される波長変換部材13からの光の光路上、例えば、図36に示すように、ミラーシェード兼保持部材26に保持されて投影レンズ21と光源装置10との間に配置されている。
なお、光学フィルター27は、波長変換部材13からの光の光路上に配置されていればよく、例えば、図37に示すように投影レンズ21の裏面(又は表面)に設けられていてもよいし、図38に示すように前面レンズ91(アウターレンズ)の裏面(又は表面)に設けられていてもよい。あるいは、メイン反射面22に設けられていてもよい。光学フィルター27としての誘電体多層膜を、投影レンズ21の裏面(又は表面)、前面レンズ91(アウターレンズ)の裏面(又は表面)、又は、メイン反射面22等に形成することで、光学フィルター27を別部品として配置する場合に比べ、部品点数の削減が可能となる。
上記構成の車両用灯具ユニット40においては、波長変換部材13が所定箇所に固定されている場合、励起光源14からの励起光は、ライトガイド12の入光面12aからライトガイド12内に導入され出光面12bまで導光されて、出光面12bから出射し、波長変換部材13を照射する。
励起光源14からの励起光が照射された波長変換部材13は、励起光源14から照射される励起光のほぼ全てを波長変換し、励起光源14からの励起光により励起される光の混色による白色光(例えば、青色、緑色、赤色の混色による白色光、又は、青色、黄色の混色による白色光)を発する。
励起光源14からの白色光は、メイン反射面22で反射されて、投影レンズ21の後側焦点F21近傍で集光した後、光学フィルター27で遮断(又は反射)されることなく当該光学フィルター27を通過し、さらに投影レンズ21を透過して前方に照射され、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前方約25mに配置されている)上に、所定配光パターン(例えば、ミラーシェード兼保持部材26により規定されるカットオフラインを上端縁に含むロービーム用配光パターン)を形成する。
一方、何らかの理由で(例えば、車両用灯具ユニット40が搭載された車両の振動・衝撃等の影響で)、波長変換部材13が所定箇所から脱落した場合(又は波長変換部材13の一部が欠ける等波長変換部材13が破損した場合)、ライトガイド12の入光面12aからライトガイド12内に導入され出光面12bまで導光されて、出光面12bから出射し、メイン反射面22で反射された励起光源14からの励起光は、光学フィルター27で遮断(又は反射)されることとなる。
従って、図36に示した車両用灯具ユニット40においては、万が一、波長変換部材13が所定箇所から脱落した場合(又は波長変換部材13の一部が欠ける等波長変換部材13が破損した場合)であっても、励起光源14からの励起光が、外部(車両前方)へ照射されるのを防止することが可能となる。
以上説明したように、本変形例の車両用灯具ユニット40によれば、万が一、波長変換部材13が所定箇所から脱落した場合(又は波長変換部材13の一部が欠ける等波長変換部材13が破損した場合)であっても、波長変換部材13からの光の光路上に配置された光学フィルター27(図36〜図38参照)の作用により、励起光源14からの励起光が遮断(又は反射)されることとなるため、励起光源14からの励起光が、外部(車両前方)へ照射されるのを防止することが可能となる。
上記変形例においては、車両用灯具がプロジェクタ型の車両用灯具ユニット40である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両用灯具が回転放物面系の反射面を含むリフレクタ型(反射型)の車両用灯具ユニット(例えば、図29等参照)又は投影レンズを含むダイレクトプロジェクション型(直射型)の車両用灯具ユニットであっても、上記プロジェクタ型の車両用灯具ユニット40と同様の効果を奏することが可能である。
また、上記変形例においては、車両用灯具が車両用前照灯を構成する車両用灯具ユニット40である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両用灯具が、テールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ等であっても、上記プロジェクタ型の車両用灯具ユニット40と同様の効果を奏することが可能である。
なお、車両用灯具がテールランプ、ストップランプである場合、波長変換部材13として、励起光源14からの光を受けて発光波長が赤系の光を励起発光する蛍光体が用いられる。また、車両用灯具がターンシグナルランプである場合、波長変換部材13として、励起光源14からの光で発光波長がアンバーシアン(橙)系の光を励起発光する蛍光体が用いられる。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。