以下に添付図面を参照して、この発明に係る検査装置および画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る検査装置を備えた印刷システムの概要を示す模式図である。印刷システムは、印刷物を生成する印刷装置100と、印刷装置100が生成した印刷物の画像を検査する検査装置200と、検査装置200により欠陥なしと判定された印刷物に対して後処理を行う後処理装置300とを備える。
印刷装置100は、元画像に基づいて、給紙ホッパ110から供給される印刷媒体に画像を印刷して、印刷物を生成する。印刷プロセスの方式は、例えば、電子写真方式やインクジェット記録方式などである。電子写真方式の場合は、元画像に応じた書き込み光を感光体に照射して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を生成する。このトナー像を直接、あるいは中間転写体を介して給紙ホッパ110から供給された印刷媒体に転写し、定着装置によりトナー像を印刷媒体に定着させて印刷物を生成する。インクジェット方式の場合は、元画像に基づいて印字ヘッドを駆動してインク滴を吐出し、給紙ホッパ110から供給された記録媒体に印字ヘッドから吐出したインク滴を付着させて印刷物を生成する。印刷装置100により生成された印刷物は、検査装置200へと搬送される。
検査装置200は、印刷装置100から受け取った印刷物を下流側に搬送しながら印刷物の画像を読み取り、印刷装置100が印刷物を生成する際に用いた元画像と、印刷物から読み取った読取画像とを比較することで、印刷物に欠陥があるかどうかを検査する。検査装置200は、印刷物に対する検査結果に応じて当該印刷物の搬送先を切り替える。欠陥ありと判定された印刷物は、欠陥排紙トレイ210に排出される。一方、欠陥なしと判定された印刷物は、後段の後処理装置300へと搬送される。
後処理装置300は、検査装置200により欠陥なしと判定された印刷物に対して、例えば、折り曲げ処理、ステープル処理、穴あけ処理など、指定された後処理を施す。後処理が施された印刷物は、印刷物排紙トレイ310に排出される。
以上のような印刷システムでは、印刷装置100により生成された印刷物のうち、検査装置200によって欠陥なしと判定された印刷物のみが、後処理装置300に搬送される。検査装置200によって欠陥ありと判定された印刷物は、印刷装置100により再印刷され、再印刷された印刷物が検査装置200によって欠陥なしと判定されると、後処理装置300に搬送される。そして、欠陥のない印刷物を対象として、後処理装置300による後処理が施されて印刷物排紙トレイ310に排出される。したがって、この印刷システムによれば、最終的に得られる印刷物の品質を維持することができる。
図2は、印刷装置100の機械的な構成の一例を示す構成図である。図2に示す印刷装置100は、電子写真方式により印刷媒体に4色フルカラーの画像を印刷する構成の印刷装置であり、特に多数枚の印刷媒体を連続的に搬送して高速で印刷を行うプロダクション用途に適した印刷装置である。この印刷装置100は、図2に示すように、装置本体101に対して増設給紙装置102が接続された構成である。
装置本体101は、印刷媒体に画像を印刷して印刷物を生成する印刷部と、第1給紙ホッパ110aおよび第2給紙ホッパ110bと、操作パネル103とを備える。増設給紙装置102は、第3給紙ホッパ110cおよび第4給紙ホッパ110dを備える。第1乃至第4給紙ホッパ110a〜110dは、それぞれ印刷媒体を格納している。図1に示した給紙ホッパ110は、これら第1乃至第4給紙ホッパ110a〜110dの総称である。操作パネル103は、ユーザが印刷装置100に対する各種の入力操作を行うとともに、印刷装置100の設定などを確認するためのユーザインターフェースである。
操作パネル103あるいは印刷装置100に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部端末からのユーザの入力に従い、第1乃至第4給紙ホッパ110a〜110dのうち、使用する給紙ホッパが選択される。選択された給紙ホッパは、印刷部が後述の印刷プロセスにより画像の印刷を行う際に、印刷部に印刷媒体を供給する。
印刷部は、4つの画像形成ユニット120a,120b,120c,120dと、中間転写体としての中間転写ベルト130と、二次転写ローラ140と、定着装置150とを備える。画像形成ユニット120a〜120dは、中間転写ベルト130の走行方向(図中矢印B方向)に沿って配置されている。画像形成ユニット120a〜120dは、例えば、画像形成ユニット120aがイエロー、画像形成ユニット120bがマゼンダ、画像形成ユニット120cがシアン、画像形成ユニット120dがブラックにそれぞれ対応している。
画像形成ユニット120aは、感光体としての感光ドラム121aと、ドラム帯電器122aと、露光装置123aと、現像器124aと、一次転写ローラ125aとを備えて構成されている。画像形成ユニット120b〜120dも同様に、感光ドラム121b〜121d、ドラム帯電器122b〜122d、露光装置123b〜123d、現像器124b〜124d、一次転写ローラ125b〜125dを備えて構成されている。
感光ドラム121aは、例えば図示しない上位装置からの指令などに応じて印刷部での印刷プロセスが開始されると、図中矢印A方向に回転を始め、印刷プロセスが終了するまで回転を続ける。感光ドラム121aが回転を開始すると、ドラム帯電器122aに高電圧が印加され、感光ドラム121aの表面に負の電荷が均一に帯電される。その後、帯電された感光ドラム121aの表面に、露光装置123aから元画像に応じて変調されたレーザ光が照射され、感光ドラム121aに元画像に応じた静電潜像が形成される。そして、感光ドラム121aの回転により静電潜像が形成された部分が現像器124aと対向する位置に到達すると、現像器124aから負電荷に帯電したトナーが静電潜像へと引き付けられ、静電潜像がトナーにより現像されて感光ドラム121a上にトナー像が形成される。
感光ドラム121a上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト130を挟んで一次転写ローラ125aと対向する位置に到達すると、一次転写ローラ125aに印加された高電圧の作用によって中間転写ベルト130側に引きつけられ、図中矢印B方向に移動している中間転写ベルト130上に転写(一次転写)される。
画像形成ユニット120aに続いて画像形成ユニット120bでも同様に画像形成動作が行われ、感光ドラム121b上に形成されたトナー像が、一次転写ローラ125bに印加された高電圧の作用により中間転写ベルト130上に転写(一次転写)される。このとき、感光ドラム121b上に形成されたトナー像が一次転写ローラ125bと対向する位置に到達するタイミングが、感光ドラム121aから中間転写ベルト130上に転写されたトナー像が中間転写ベルト130の移動により一次転写ローラ125bの位置に到達するタイミングに合うように制御されることで、感光ドラム121aから転写されたトナー像と感光ドラム121bから転写されたトナー像とが中間転写ベルト130上で重ね合わされる。
同様に、画像形成ユニット120cの感光ドラム121c上に形成されたトナー像と、画像形成ユニット120dの感光ドラム121d上に形成されたトナー像が順次、中間転写ベルト130上に転写されることにより、中間転写ベルト130上にはフルカラーのトナー像が形成されることになる。
一方、第1乃至第4給紙ホッパ110a〜110dのうち、上記のように選択された給紙ホッパからは、印刷媒体が供給される。給紙ホッパから供給された印刷媒体は、図中矢印H方向に搬送され、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像と同期して二次転写ローラ140と対向する位置に到達する。そして、二次転写ローラ140に印加された高電圧の作用によって、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像が印刷媒体上に転写(二次転写)される。
フルカラーのトナー像が転写された印刷媒体は、定着装置150へと搬送される。そして、定着装置150によって熱および圧力が与えられることにより、印刷媒体上に転写されたフルカラーのトナー像が印刷媒体に定着する。トナー像が定着された印刷媒体は、印刷物として検査装置200へと搬送される。
上記の印刷部による一連の印刷プロセスは、給紙ホッパからの印刷媒体の供給も含めて、後述する印刷制御部(図4参照)によって統括的に制御される。
図3は、本実施形態に係る検査装置200の機械的な構成を示す構成図である。検査装置200は、印刷装置100から受け取った印刷物を搬送路に沿って搬送しながら印刷物の画像を読み取り、読み取った画像に欠陥があるかどうかを検査して、画像の検査結果に応じて印刷物の搬送先を切り替える。
検査装置200の搬送路は、図3に示すように、第1搬送区間201と、第1搬送区間201の搬送方向下流部に接続される複数(図3に示す例では7つ)の第2搬送区間202a,202b,202c,202d,202e,202f,202gと、複数の第2搬送区間202a〜202gの搬送方向下流部がそれぞれ接続される第3搬送区間203と、第3搬送区間203から分岐する第4搬送区間204と、を有する。第1搬送区間201の搬送方向上流部は、検査装置200の印刷物入口部205において、印刷装置100の搬送路に接続されている。また、第3搬送区間203の搬送方向下流部は、検査装置200の印刷物出口部206において、後処理装置300の搬送路に接続されている。また、第4搬送区間204の搬送方向下流部は、欠陥排紙トレイ210に接続されている。
第1搬送区間201には、当該第1搬送区間201を通過する印刷物の画像を読み取る画像読取部220が設けられている。画像読取部220としては、例えば、密着イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を用いた読取装置を利用することができる。画像読取部220が印刷物から読み取った読取画像のデータ(読取画像データ)は、後述の検査装置制御部(図4参照)に送られる。
第3搬送区間203と第4搬送区間204との分岐位置には、第3搬送区間203を通過する印刷物の搬送先を、当該印刷物に対する検査の結果に応じて、第3搬送区間203の搬送方向下流部と第4搬送区間204とで選択的に切り替える排紙分岐爪(切替部)230が設けられている。排紙分岐爪230は、後述の検査装置制御部による制御のもとで、図示しないモータなどの駆動力を受けた駆動軸を中心に回転して、第3搬送区間203を通過する印刷物を、第3搬送区間203の搬送方向下流部と第4搬送区間204とのいずれか一方に誘導する。具体的には、排紙分岐爪230は、第3搬送区間203を通過する印刷物の検査結果が欠陥なしであれば、当該印刷物を第3搬送区間203の搬送方向下流部へと誘導する。一方、排紙分岐爪230は、第3搬送区間203を通過する印刷物の検査結果が欠陥ありであれば、当該印刷物を第4搬送区間204へと誘導する。
また、検査装置200の搬送路には、搬送ローラが適宜設けられている。具体的には、第1搬送区間201には、画像読取部220の前後に搬送ローラ241,242が設けられ、複数の第2搬送区間202a〜202gが分岐する搬送方向下流部に、搬送ローラ243,244,245,246,247,248がそれぞれ設けられている。また、複数の第2搬送区間202a〜202gには、搬送ローラ249a〜249gと、搬送ローラ250a〜250gとがそれぞれ設けられている。また、第3搬送区間203には、複数の第2搬送区間202a〜202gが合流する搬送方向上流部に、搬送ローラ251,252,253,254,255,256がそれぞれ設けられ、搬送方向下流部に搬送ローラ257,258が設けられている。また、第4搬送区間204には、搬送ローラ259が設けられている。これらの搬送ローラは、後述の検査装置制御部による制御のもとで、図示しないモータより駆動力を受けて回転し、印刷物を搬送する。
また、第1搬送区間201の搬送方向下流部と複数の第2搬送区間202a〜202gとの分岐位置には、分岐爪261,262,263,264,265,266がそれぞれ設けられている。これら分岐爪261〜266は、後述の検査装置制御部による制御のもとで、図示しないモータなどの駆動力を受けた駆動軸を中心に回転して、第1搬送区間201を通過した印刷物を、複数の第2搬送区間202a〜202gのうちのいずれかに誘導する。
また、複数の第2搬送区間202a〜202gには、各第2搬送区間内における印刷物の有無を検知する印刷物検知センサ268a〜268gがそれぞれ設けられている。印刷物検知センサ268a〜268gとしては、例えば、光学的に物体を検知する光センサなどを利用することができる。印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号は、後述の検査装置制御部に送られる。
印刷装置100からの印刷物は、検査装置200の印刷物入口部205から第1搬送区間201に到達し、搬送ローラ241,242により図中の矢印で示す方向に搬送される。第1搬送区間201を通過する印刷物は、画像読取部220が設けられた位置を通過する際に、この画像読取部220により画像の読み取りが行われる。画像読取部220により印刷物から読み取られた読取画像は後述の検査装置制御部に送られ、検査装置制御部内の検査部(図4参照)により、この読取画像に基づいて印刷物の欠陥有無が検査される。
画像読取部220により画像が読み取られた印刷物は、搬送ローラ243〜248および分岐爪261〜266により、複数の第2搬送区間202a〜202gのいずれかに誘導される。複数の第2搬送区間202a〜202gのうち、印刷物が誘導される第2搬送区間は、先行する印刷物が待機していない第2搬送区間である。つまり、後述の検査装置制御部内の搬送制御部(図4参照)が、印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号に基づいて、印刷物が待機している第2搬送区間と待機していない第2搬送区間とを識別し、印刷物が待機していない第2搬送区間に後続の印刷物が誘導されるように、搬送ローラ243〜248および分岐爪261〜266の動作を制御する。
ここで、印刷物が待機していない第2搬送区間が複数ある場合は、予め定めた規則に従って、印刷物を誘導する第2搬送区間が選択される。例えば、複数の第2搬送区間202a〜202gのいずれにも印刷物が待機していない場合は、振分けの基準位置となる第2搬送区間202aに印刷物が誘導される。そして、複数の印刷物が連続して搬送される場合、後続の印刷物が、第2搬送区間202b、第2搬送区間202c、第2搬送区間202d、第2搬送区間202e、第2搬送区間202f、第2搬送区間202gの順に、順次誘導される。その後、さらに後続の印刷物が搬送される場合は、印刷物の搬送先が第2搬送区間202aに戻り、後続の印刷物の搬送が継続されている間、上記の誘導が繰り返される。
第2搬送区間202a〜202gに誘導された印刷物は、搬送ローラ249a〜249gにより搬送されて、第2搬送区間202a〜202g内の規定位置に到達する。このとき、当該印刷物に対する検査が終了していなければ、印刷物はこの規定位置にて待機する。また、当該印刷物がページ順を維持する必要がある印刷物である場合は、検査が終了していても、当該印刷物に先行するページの印刷物が欠陥なしと判定されて第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されるまでは、当該印刷物はこの規定位置にて待機する。そして、当該印刷物に対する検査が終了し、かつ、当該印刷物に先行するページの印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導された後に、搬送ローラ250a〜250gにより第3搬送区間203に搬出される。なお、第2搬送区間202a〜202gから第3搬送区間203に印刷物を搬出するタイミングは、複数の印刷物が第3搬送区間203の搬送方向上流部にて重ならないように調整される。
第3搬送区間203に搬出された印刷物は、搬送ローラ251〜256により図中の矢印で示す方向に搬送され、第4搬送区間204との分岐位置に到達する。ここで、検査によって欠陥ありと判定された印刷物は、排紙分岐爪230により第4搬送区間204へと誘導される。第4搬送区間204に誘導された印刷物は、搬送ローラ259により搬送されて、欠陥排紙トレイ210に排出される。この場合、検査装置200から印刷装置100に対して、欠陥ありと判定された印刷物の再印刷が指示される。一方、検査によって欠陥なしと判定された印刷物は、排紙分岐爪230により第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導される。第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導された印刷物は、搬送ローラ257,258により搬送されて、検査装置200の印刷物出口部206から後処理装置300へと送られる。
なお、図3では、4つの印刷物が連続して搬送されている様子を示している。図中の太線の部分が、印刷物の位置を表している。先頭の印刷物は、検査が終了し、かつ、先行ページの印刷物がすでに第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されたため、第2搬送区間202aから第3搬送区間203に搬出されている。2番目の印刷物は、検査が終了していない、あるいは検査が終了していても1番目の印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されていないため、第2搬送区間202bの規定位置で待機している。3番目の印刷物は、第2搬送区間202cに誘導されている。4番目の印刷物は、画像読取部220による画像の読み取りが終了し、第2搬送区間202dに向かって搬送されている。
図4は、印刷装置100および検査装置200の制御系の構成を示すブロック図である。検査装置200は、検査装置200の動作を制御する検査装置制御部270を備える。検査装置制御部270は、検査装置I/F(インターフェース)部271、記憶装置272、読取制御部273、検査部274、搬送制御部275および再印刷指示部276を備える。また、印刷装置100は、印刷装置I/F部161、印刷制御部162および印刷部163を備える。なお、図中の矢印線は、信号またはデータの流れを表している。
検査装置I/F部271は、印刷装置100との間でのデータ通信や各種信号の送受信を行う。検査装置I/F部271は、印刷装置100が備える印刷装置I/F部161と接続されている。また、検査装置I/F部271は、検査装置制御部270内の検査部274、搬送制御部275および再印刷指示部276にも接続されている。
記憶装置272は、検査部274が画像の検査を行うために必要な画像データを記憶する。記憶装置272は、例えばハードディスクドライブなどで構成され、検査部274に接続されている。
読取制御部273は、画像読取部220を制御して、画像読取部220が印刷物から読み取った画像を取得し、読取画像データとして検査部274に送る。
検査部274は、印刷装置100が印刷物を生成する際に用いた元画像を、印刷装置I/F部161および検査装置I/F部271を介して印刷装置100から取得し、元画像データとして記憶装置272に保存する。また、検査部274は、読取制御部273から読取画像データが送られると、当該読取画像データに対応する元画像データを記憶装置272から読み出す。そして、検査部274は、これら読取画像データと元画像データとを比較することによって、印刷物の画像に欠陥があるかどうかを検査する。検査部274による画像の検査結果は、再印刷指示部276に送られる。また、検査部274による画像の検査結果は、搬送制御部275にも送られる。
なお、印刷装置100により生成される印刷物は、例えば、印刷装置100によって付与された印刷物IDによって管理される。ページ順で印刷を行う印刷ジョブでは、この印刷物IDにより各印刷物のページの前後関係が管理される。印刷装置100は、元画像を送信するときと印刷物を排出するときに、それぞれ該当する印刷物IDを検査装置200に送る。読取画像データと元画像データは、それぞれ対応する印刷物の印刷物IDに関連付けられる。検査部274は、この印刷物IDをキーとして、読取制御部273から送られた読取画像データに対応する元画像データを記憶装置272から読み出して、上記の検査を行う。
複数の印刷物が連続して搬送される場合、先行する印刷物の画像に対する検査が終了する前に、後続の印刷物の読取画像データが、読取制御部273から検査部274に送られる場合がある。この場合、検査部274は、後続の印刷物の読取画像データを記憶装置272に保存しておき、先行する印刷物の画像に対する検査が終了した後、後続の印刷物の読取画像データと元画像データとを記憶装置272から読み出して、上記の検査を行うようにすればよい。
再印刷指示部276は、検査部274により欠陥ありと判定された印刷物の印刷物IDを検査装置I/F部271および印刷装置I/F部161を介して印刷装置100に送り、印刷装置100に対して欠陥ありの印刷物の再印刷を指示する。
搬送制御部275は、駆動デバイス280を制御して検査装置200における印刷物の搬送を制御する。なお、駆動デバイス280とは、検査装置200の搬送路に設けられた搬送ローラや分岐爪の駆動源となるモータなどの総称である。搬送制御部275は、駆動デバイス280を制御することによって、画像読取部220により画像が読み取られた複数の印刷物を、第1搬送区間201から複数の第2搬送区間202a〜202gに振り分けて、第2搬送区間202a〜202gに待機させる。そして、搬送制御部275は、第2搬送区間202a〜202gに待機している印刷物を、当該印刷物に対する検査が終了し、かつ、当該印刷物に先行するページの印刷物が欠陥なしと判定されて第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導された後に、第2搬送区間202a〜202gから第3搬送区間203に搬出する。つまり、第2搬送区間202a〜202gで待機する印刷物は、先行するページの印刷物が欠陥ありと判定されて第4搬送区間204に誘導された場合、当該印刷物の検査が終了しても第2搬送区間202a〜202gで待機したままとなる。そして、先行するページの印刷物が印刷装置100により再印刷され、再印刷された印刷物に対する検査結果が欠陥なしとなって第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導された後に、第3搬送区間203に搬出される。
この搬送制御部275による制御を具体的な例を挙げて説明する。ここでは、ページ順を維持する必要がある3枚の印刷物が第2搬送区間202a〜202gに待機している場合を考える。これら3枚の印刷物をページ順に従って1ページ目の印刷物、2ページ目の印刷物、3ページ目の印刷物と呼ぶ。1ページ目の印刷物に先行するページの印刷物は、検査部274により欠陥なしと判定されて、第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されているものとする。
第2搬送区間202a〜202gに待機している3枚の印刷物のうち、1ページ目の印刷物に対する検査が終了すると、搬送制御部275は、1ページ目の印刷物に先行するページの印刷物がすでに第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されているため、この1ページ目の印刷物を第3搬送区間203に搬出する。そして、この1ページ目の印刷物に対する検査結果が欠陥なしであれば、搬送制御部275は、この1ページ目の印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されるように、排紙分岐爪230を駆動する駆動デバイス280を制御する。
次に、2ページ目の印刷物に対する検査が終了すると、搬送制御部275は、2ページ目の印刷物に先行する1ページ目の印刷物がすでに第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されているため、この2ページ目の印刷物を第3搬送区間203に搬出する。ここで、この2ページ目の印刷物に対する検査結果が欠陥ありであったものとする。この場合、搬送制御部275は、2ページ目の印刷物が第4搬送区間204に誘導されるように、排紙分岐爪230を駆動する駆動デバイス280を制御する。なお、2ページ目の印刷物の検査結果が欠陥ありであるため、検査装置200の再印刷指示部276が印刷装置100に対して、2ページ目の印刷物の再印刷を指示する。
その後、3ページ目の印刷物に対する検査が終了しても、3ページ目の印刷物に先行する2ページ目の印刷物は第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されていないため、3ページ目の印刷物は第2搬送区間202a〜202gで待機する。そして、3ページ目の印刷物が第2搬送区間202a〜202gで待機している間に、印刷装置100によって再印刷された2ページ目の印刷物が第2搬送区間202a〜202gに搬入される。
その後、再印刷された2ページ目の印刷物に対する検査が終了すると、搬送制御部275は、2ページ目の印刷物に先行する1ページ目の印刷物がすでに第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されているため、この再印刷された2ページ目の印刷物を第3搬送区間203に搬出する。そして、再印刷された2ページ目の印刷物に対する検査結果が欠陥なしであれば、搬送制御部275は、この再印刷された2ページ目の印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されるように、排紙分岐爪230を駆動する駆動デバイス280を制御する。
再印刷された2ページ目の印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されると、搬送制御部275は、第2搬送区間202a〜202gで待機していた3ページ目の印刷物に対する検査は終了しているため、この3ページ目の印刷物を第3搬送区間203に搬出する。
また、搬送制御部275は、以上のような搬送制御とは別の処理として、印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号に基づいて、印刷物が待機している第2搬送区間と待機していない第2搬送区間とを識別する。そして、搬送制御部275は、印刷物が待機している第2搬送区間の数が予め定めた閾値以上になった場合に、印刷物を生成する速度(印刷部による印刷速度)を低下させるための制御信号、または、印刷物の生成(印刷部による印刷プロセス)を停止させる制御信号を、検査装置I/F部271を介して印刷装置100に送出する。例えば、搬送制御部275は、印刷物が待機している第2搬送区間の数が第1閾値以上になった場合に、印刷装置100に対して、印刷物を生成する速度を低下させるための第1制御信号(後述のpre−BUSY信号)を送出し、印刷物が待機している第2搬送区間の数が第1閾値よりも大きい第2閾値以上になった場合に、印刷装置100に対して、印刷物の生成を停止させるための第2制御信号(後述のBUSY信号)を送出する。
検査部274で印刷物の画像を検査するために要する時間は、画像のデータ量や欠陥と疑われる箇所の数に依存し、印刷物ごとに異なる。そのため、搬送路の第2搬送区間での待機時間も印刷物ごとに異なり、画像の検査に時間がかかる印刷物は、第2搬送区間での待機時間が長引くことになる。ここで、画像の検査に時間がかかる印刷物が連続して搬送される場合は、印刷物が第1搬送区間201から第2搬送区間202a〜202gのいずれかに搬入される間隔(時間)に対して、印刷物が第2搬送区間202a〜202gのいずれかから第3搬送区間203に搬出される間隔(時間)が長くなり、印刷物が待機する第2搬送区間の数が増えていくことになる。
また、ページ順で印刷を行う印刷ジョブの実行中に、あるページの印刷物が欠陥ありと判定されると、後続するページの印刷物は第2搬送区間に待機したままとなる。一方で、印刷装置100は、欠陥ありと判定された印刷物の再印刷が指示されると、ページ順の印刷を中断して欠陥ありと判定された印刷物の再印刷を行うが、すでに印刷されたページの印刷物は検査装置200へと搬送され、第2搬送区間に導かれる。このため、印刷物に欠陥が生じた場合にも、印刷物が待機する第2搬送区間の数が増えることになる。
したがって、検査装置200の搬送路に設ける第2搬送区間の数は、例えば、シミュレーションや実験などにより予想される画像の平均的な検査時間と、検査時間が平均値を超える印刷物が出現する頻度、欠陥のある印刷物が生じる頻度、欠陥が生じた印刷物の再印刷を行うまでの間に印刷される印刷物の枚数などから、平均的な数の連続印刷が行われた場合に印刷物が待機していない第2搬送区間が存在し得る数に決定することが望ましい。
ただし、上記のように第2搬送区間の数を決定した場合でも、検査時間が平均値を超える印刷物が頻繁に発生したり、欠陥のある印刷物が頻繁に発生したりすると、すべての第2搬送区間に印刷物が待機した状態となり、後続の印刷物を第2搬送区間に搬送できない状況が生じ得る。これを防止するために、搬送制御部275は、印刷物が待機している第2搬送区間の数が予め定めた閾値以上になると、印刷装置100に対して制御信号を送出する。印刷装置100では、検査装置200の搬送制御部275から検査装置I/F部271を介して送出された制御信号を、印刷装置I/F部161を介して印刷制御部162が取得する。印刷制御部162は、搬送制御部275から送出された制御信号を受け取ると、印刷部163による印刷速度を低下させる、または、印刷部163による印刷プロセスを一時的に停止させて、印刷物が待機していない第2搬送区間の数が増えるのを待つ。
図5は、画像の読み取りが終了した印刷物を複数の第2搬送区間202a〜202gに振り分ける処理を説明するフローチャートである。検査装置200の搬送制御部275は、例えば印刷装置100との通信により、印刷装置100から印刷物が排出されると判断した場合に、図5のフローチャートで示す一連の処理を実行する。
ステップS101:搬送制御部275は、振分け対象の印刷物に対して、画像読取部220による画像の読み取りが終了したか否かを判定する。この判定は、例えば、画像読取部220による画像の読み取りが終了したときに、搬送制御部275が、読取制御部273から直接あるいは検査部274を介して、画像の読み取りが終了した旨の通知を受けることで実施することができる。また、例えば、第1搬送区間201の画像読取部220よりも下流側に印刷物の通過を検知するセンサを設けておき、このセンサが印刷物の通過を検知したときに画像の読み取りが終了したと判定することによっても実施することができる。搬送制御部275は、ステップS101の判定がNoの場合はステップS101の判定を繰り返し、ステップS101の判定がYesの場合はステップS102に進む。
ステップS102:搬送制御部275は、複数の第2搬送区間202a〜202gのうち、印刷物が待機している第2搬送区間があるかどうかを判定する。この判定は、例えば、搬送制御部275が印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号を確認することで実施することができる。また、振分け対象の印刷物が、複数の印刷物を生成するジョブの先頭の印刷物であるか否かを搬送制御部275が確認することによっても実施することができる。この場合、搬送制御部275は、振分け対象の印刷物がジョブの先頭の印刷物である場合に、印刷物が待機している第2搬送区間はないと判定し、振分け対象の印刷物がジョブの先頭の印刷物ではない場合に、印刷物が待機している第2搬送区間があると判定する。搬送制御部275は、ステップS102の判定がNoの場合はステップS103に進み、ステップS102の判定がYesの場合はステップS104に進む。
ステップS103:搬送制御部275は、振分け対象の印刷物の振分け位置を、複数の第2搬送区間202a〜202gのうち、振分けの基準位置である第2搬送区間202aに決定して、ステップS106に進む。
ステップS104:搬送制御部275は、先行する印刷物(振分け対象の印刷物よりも1つ前に搬送されている印刷物)の振分け位置を、搬送制御部275内に設けられた図示しないSRAMなどのメモリから読み出して、ステップS105に進む。
ステップS105:搬送制御部275は、ステップS104で読み出した先行する印刷物の振分け位置に基づいて、振分け対象の印刷物の振分け位置を決定し、ステップS106に進む。なお、印刷物の振分け位置は、第2搬送区間202a、第2搬送区間202b、第2搬送区間202c・・・の順番で移行させ、第2搬送区間202gまで移行した場合に第2搬送区間202aに戻ることとし、振分け対象の印刷物の振分け位置は、先行する印刷物の振分け位置の次の位置とする。例えば、先行する印刷物の振分け位置が第2搬送区間202aであれば、搬送制御部275は、振分け対象の印刷物の振分け位置を搬送区間202bに決定する。また、先行する印刷物の振分け位置が第2搬送区間202bであれば、搬送制御部275は、振分け対象の印刷物の振分け位置を第2搬送区間202cに決定する。また、先行する印刷物の振分け位置が第2搬送区間202gであれば、搬送制御部275は、振分け対象の印刷物の振分け位置を第2搬送区間202aに決定する。
ステップS106:搬送制御部275は、振分け対象の印刷物がステップS103またはステップS105で決定した振分け位置に誘導されるように、駆動デバイス280を制御して分岐爪261〜266の位置を適正化し、ステップS107に進む。
ステップS107:搬送制御部275は、ステップS103またはステップS105で決定した振分け位置を、印刷物IDと関連付けて、搬送制御部275内に設けられた図示しないSRAMなどのメモリに保存して、ステップS108に進む。
ステップS108:搬送制御部275は、ステップS106で第2搬送区間202a〜202gのうちのいずれかの第2搬送区間に振分けた印刷物に後続する印刷物があるかどうかを判定する。この判定は、例えば、搬送制御部275が画像読取部220による画像の読み取りが終了した新たな印刷物があるかどうかを確認することで実施することができる。また、印刷装置100が印刷物を排出するたびに検査装置200に対して印刷物排出信号を送出する場合、搬送制御部275がこの印刷物排出信号を受け取ることによっても実施することができる。搬送制御部275は、ステップS108の判定がYesの場合はステップS104に戻って以降の処理を繰り返し、ステップS108の判定がNoの場合は図5のフローチャートで示す一連の処理を終了する。
なお、上記の説明では、搬送制御部275が、先行する印刷物の振分け位置をメモリに保存しておき、このメモリに保存した振分け位置に基づいて、振分け対象の印刷物の振分け位置を決定するようにしているが、これに代えて、印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号を随時確認することで、振分け対象の印刷物の振分け位置を決定するようにしてもよい。
図6は、第2搬送区間202a〜202gに待機している印刷物を欠陥排紙トレイ210または後処理装置300に搬送する処理を説明するフローチャートである。検査装置200の搬送制御部275は、図5のフローチャートで示す処理と並行して、図6のフローチャートで示す一連の処理を実行する。
ステップS201:搬送制御部275は、第2搬送区間202a〜202gのいずれかで待機しているいずれかの印刷物に対して、検査部274による検査が終了したか否かを判定する。この判定は、例えば、検査部274による検査が終了した印刷物について、搬送制御部275が、検査部274から検査結果を印刷物IDとともに受け取ることで実施することができる。搬送制御部275は、ステップS201の判定がNoの場合はステップS201の判定を繰り返し、ステップS201の判定がYesの場合はステップS202に進む。
ステップS202:搬送制御部275は、ステップS201で検査が終了したと判定した印刷物について、その印刷物に先行するページの印刷物が欠陥なしと判定されて、すでに第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されているか否かを判定する。この判定は、例えば、搬送制御部275が、検査部274から受け取った印刷物IDをもとにページの前後関係を把握し、先行するページの印刷物に対する検査結果を確認することで実施することができる。搬送制御部275は、ステップS202の判定がNoの場合はステップS202の判定を繰り返し、ステップS202の判定がYesの場合はステップS203に進む。
ステップS203:搬送制御部275は、ステップS201で検査が終了したと判定した印刷物の振分け位置を、搬送制御部275内に設けられた図示しないSRAMなどのメモリから読み出して、ステップS204に進む。
ステップS204:搬送制御部275は、ステップS201で検査が終了したと判定した印刷物が第3搬送区間203に搬出されるように、駆動デバイス280を制御して、搬送ローラ250a〜250gのうち、ステップS203で読み出した振分け位置に対応する搬送ローラを回転駆動し、ステップS205に進む。このとき、先に第3搬送区間203に搬出した印刷物がある場合は、搬送制御部275は、先に搬出した印刷物と次に搬出する印刷物とが第3搬送区間203で重ならないように、印刷物を第3搬送区間203に搬出するタイミングを調整することが望ましい。
ステップS205:搬送制御部275は、ステップS204で第3搬送区間203に搬出した印刷物について、検査部274による画像の検査結果が画像に欠陥があることを示すものであるかどうかを判定する。搬送制御部275は、ステップS205の判定がYesの場合はステップS206に進み、ステップS205の判定がNoの場合はステップS207に進む。
ステップS206:搬送制御部275は、ステップS204で第3搬送区間203に搬出した印刷物が第4搬送区間204に誘導されて欠陥排紙トレイ210に排出されるように、駆動デバイス280を制御して排紙分岐爪230の位置を適正化し、ステップS208に進む。
ステップS207:搬送制御部275は、ステップS204で第3搬送区間203に搬出した印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導されて後処理装置300に搬送されるように、駆動デバイス280を制御して排紙分岐爪230の位置を適正化し、ステップS208に進む。
ステップS208:搬送制御部275は、第2搬送区間202a〜202gのいずれかで待機している印刷物があるかどうかを判定する。この判定は、例えば、搬送制御部275が印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号を確認することで実施することができる。搬送制御部275は、ステップS208の判定がYesの場合はステップS201に戻って以降の処理を繰り返し、ステップS208の判定がNoの場合は図6のフローチャートで示す一連の処理を終了する。
図7は、印刷物が待機している第2搬送区間の数に応じて印刷装置100に制御信号を送出する処理を説明するフローチャートである。検査装置200の搬送制御部275は、図5のフローチャートで示す処理や図6のフローチャートで示す処理と並行して、図7のフローチャートで示す一連の処理を予め定めた所定の周期で繰り返し実行する。
ステップS301:搬送制御部275は、複数の第2搬送区間202a〜202gのうち、印刷物が待機している第2搬送区間の数Aを算出して、ステップS302に進む。この処理は、例えば、搬送制御部275が印刷物検知センサ268a〜268gの検知信号を確認することで実施することができる。
ステップS302:搬送制御部275は、ステップS301で算出した印刷物が待機している第2搬送区間の数Aが、予め定めた閾値N(第2閾値)以上かどうかを判定する。搬送制御部275は、ステップS302の判定がYesの場合はステップS303に進み、ステップS302の判定がNoの場合はステップS304に進む。
ステップS303:搬送制御部275は、BUSY信号(第2制御信号)をアサートして処理を終了する。BUSY信号をアサートすることは、印刷装置100に対してBUSY信号を送出することに相当する。BUSY信号がアサート状態である場合、印刷装置100の印刷制御部162が、BUSY信号がネゲートされるまでの間、印刷部163による印刷プロセスを一時的に停止させる。
ステップS304:搬送制御部275は、BUSY信号がアサート状態であれば、BUSY信号をネゲートして、ステップS305に進む。
ステップS305:搬送制御部275は、ステップS301で算出した印刷物が待機している第2搬送区間の数Aが、予め定めた閾値M(第1閾値)以上かどうかを判定する。なお、閾値Mは閾値Nに対してM<Nの関係にある。搬送制御部275は、ステップS305の判定がYesの場合はステップS306に進み、ステップS305の判定がNoの場合はステップS307に進む。
ステップS306:搬送制御部275は、Pre−BUSY(第2制御信号)をアサートして処理を終了する。Pre−BUSY信号をアサートすることは、印刷装置100に対してPre−BUSY信号を送出することに相当する。Pre−BUSY信号がアサート状態である場合、印刷装置100の印刷制御部162が、Pre−BUSY信号がネゲートされるまでの間、印刷部163による印刷速度を低下させる。
ステップS307:搬送制御部275は、Pre−BUSY信号がアサート状態であれば、Pre−BUSY信号をネゲートして処理を終了する。
なお、上記の説明では、BUSY信号またはPre−BUSY信号をアサートすることで、検査装置200から印刷装置100に対する制御信号の送出を実現するようにしているが、これに代えて、例えば、第2搬送区間の混雑状態を表すステータス信号を、シリアル通信などにより検査装置200から印刷装置100に伝達するようにしてもよい。また、上記の説明では、Pre−BUSY信号とBUSY信号の2つの制御信号により、第2搬送区間が混雑状態になったときの印刷装置100の動作を2段階で制御するようにしているが、これに限らず、例えば1つの制御信号により印刷装置100の動作を制御する、あるいは、3つ以上の制御信号により印刷装置100の動作を3段階以上で制御する(例えば、印刷速度の低下率を複数の段階で切り替える)ようにしてもよい。
印刷装置100の印刷制御部162は、ユーザの指示に応じて設定された印刷ジョブに従って、印刷部163による一連の印刷プロセスを制御する。また、印刷制御部162は、欠陥ありと判定された印刷物の再印刷が検査装置200から指示されると、欠陥ありと判定された印刷物の再印刷を印刷部163に実行させる。このとき、欠陥ありと判定された印刷物がページ順を維持する必要がある印刷物であり、印刷部163がページ順で印刷を行うジョブを実行中であれば、ページ順の印刷を中断させて欠陥ありと判定された印刷物の再印刷を実行させ、再印刷が終了した後にページ順の印刷を再開させる。
図8は、欠陥ありと判定された印刷物の再印刷を行う際の印刷制御部162の処理を説明するフローチャートである。印刷装置100の印刷制御部162は、検査装置200が印刷物の検査を行っている間、図8のフローチャートで示す一連の処理を繰り返し実行する。
ステップS401:印刷制御部162は、検査装置200により欠陥ありと判定された印刷物の再印刷の指示が、印刷物IDとともに検査装置200から送られたか否かを判定する。印刷制御部162は、ステップS401の判定がNoの場合はステップS401の判定を繰り返し、ステップS401の判定がYesの場合はステップS402に進む。
ステップS402:印刷制御部162は、印刷部163がジョブを実行中か否かを判定する。印刷制御部162は、ステップS402の判定がYesの場合はステップS403に進み、ステップS402の判定がNoの場合はステップS407に進む。
ステップS403:印刷制御部162は、印刷部163が実行しているジョブがページ順で印刷を行うジョブか否かを判定する。印刷制御部162は、ステップS403の判定がYesの場合はステップS404に進み、ステップS403の判定がNoの場合はステップS402に戻って実行中のジョブが終了するのを待機する。
ステップS404:印刷制御部162は、印刷部163が実行しているページ順の印刷を中断させて、ステップS405に進む。
ステップS405:印刷制御部162は、検査装置200により欠陥ありと判定されて再印刷が指示された印刷物の印刷物IDをもとに、当該印刷物の元画像を取得して印刷部163に渡し、印刷部163に当該印刷物の再印刷を実行させて、ステップS406に進む。
ステップS406:印刷制御部162は、ステップS404で中断したページ順の印刷を印刷部163に再開させる。
ステップS407:印刷制御部162は、印刷部163が実行していたジョブが終了した後に、ステップS405と同様に、検査装置200により欠陥ありと判定されて再印刷が指示された印刷物の再印刷を印刷部163に実行させる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る検査装置200は、印刷物が搬送される搬送路に、複数の第2搬送区間202a〜202gが設けられている。そして、搬送制御部275が、画像読取部220により画像が読み取られた印刷物を複数の第2搬送区間202a〜202gに振分けて待機させ、待機している印刷物を、検査部274による検査が終了し、かつ、先行するページの印刷物が第3搬送区間203の搬送方向下流部に誘導された後に、第3搬送区間203に搬出するようにしている。したがって、印刷物が排紙分岐爪230の位置に到達するまでの間に、当該印刷物の画像に対する検査を確実に終了させて、印刷物の排出先を適切に切り替えることができる。また、ページ順を維持する必要がある印刷物に欠陥があった場合に、欠陥のある印刷物を再印刷して正しいページ順となる位置に挿入するリカバリ印刷を効率よく行うことができる。さらに、従来技術のように印刷物を1箇所に積み重ねることがないので、従来技術で懸念される重送やブロッキングの発生を有効に回避することができ、生産性を保つことができる。
また、本実施形態に係る検査装置200によれば、複数の第2搬送区間202a〜202gのうち、印刷物が待機している第2搬送区間の数が閾値以上になった場合に、印刷装置100の印刷部による印刷速度を低下させる、または、印刷部による印刷プロセスを一時的に停止させるようにしているので、画像の検査に時間がかかる印刷物が多数連続して搬送される場合であっても、生産性の低下を最小限にとどめながら、第2搬送区間への印刷物の振分けを適切に行うことができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を加えながら具体化することができる。例えば、上述した実施形態では、印刷装置100と検査装置200とがそれぞれ個別の装置として構成された例を説明したが、印刷装置100の機能と検査装置200の機能とを併せ持つ画像形成装置として実施することもできる。
この場合、画像形成装置は、図2に示した印刷部の定着装置150の下流側に、図3に示した構成の搬送路を備える。また、画像形成装置は、図9に示すように、上述した検査装置200の記憶装置272、読取制御部273、検査部274および搬送制御部275(図4参照)と、上述した印刷装置100の印刷制御部162(図4参照)とを含む制御部400を備える。印刷制御部162は、上述した再印刷指示部276の機能を内部に持つ。
印刷制御部162は、検査部274と接続されており、欠陥ありと判定された印刷物の再印刷を印刷部に指示する。また、印刷制御部162は、搬送制御部275と接続されており、印刷物が待機している第2搬送区間の数が予め定めた閾値以上になった場合に、印刷部による印刷速度を低下させる、または、印刷部による印刷プロセスを一時的に停止させる。例えば、制御部400の印刷制御部162は、印刷物が待機している第2搬送区間の数が第1閾値以上になった場合に印刷部による印刷速度を低下させ、印刷物が待機している第2搬送区間の数が第1閾値よりも大きい第2閾値以上になった場合に、印刷部による印刷プロセスを一時的に停止させる。