JP2015004514A - 基板内欠陥に対する解析方法 - Google Patents

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日出和 金谷
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嗣記 稲員
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Abstract

【課題】微小且つ少量の基板内欠陥の位置を正確に特定し、当該欠陥に対して迅速に解析を行うことを可能にする解析方法を提供する。
【解決手段】レーザー顕微鏡を用いて外観検査を行い、区分けされた複数の領域の中から欠陥33が存在する欠陥存在領域31を特定し、且つ、加工痕からの欠陥33の位置および基板1の主表面からの欠陥33の深さを特定する欠陥位置特定工程と、特定された欠陥存在領域31を形作る加工痕を目印にして、FIBにより、欠陥含有部分を試料片として摘出する試料片摘出工程と、FIBにより薄片化された試料片に含まれる欠陥33を、STEMを用いて二次電子像、ならびに、Zコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれか、により観察する欠陥観察工程と、欠陥観察工程後の試料片に対してEDXを用い欠陥の種類を解析する欠陥解析工程とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、基板内欠陥に対する解析方法に属し、特に、サファイア基板の内部に極少数存在する微小な欠陥の特徴を解析する方法に属する。
一般的に単結晶基板は、基板表面のラフネスや不純物が、基板上に堆積させる結晶の結晶性、デバイス特性に大きな影響を与え、歩留まり低下の原因となる。単結晶表面の微小な欠陥に対する分析方法として、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)、反射高速電子線回折(RHEED)等によるラフネス評価や、オージェ電子分光法(AES)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、エネルギー分散型X線分光(EDS)等を用いた元素分析が挙げられる(例えば特許文献1および2参照)。
いずれの方法も、欠陥が最表面にある場合に有効な解析方法である。その一方、いずれの方法を用いても、基板の内部に介在する微小な欠陥を解析することは非常に困難である。そのため、基板の内部について解析を行う場合には、以下の方法が考えられる。
第一に、基板の断面に対してクロスセクションポリッシャーを用いて加工して電子顕微鏡観察に供する方法が考えられる。
第二に、収束イオンビーム装置(FIB)と走査型電子顕微鏡(SEM)が同装置に装備されている装置を用いて、FIBによる断面加工を行いながらSEM観察を進める方法も考えられる。
FIBによる薄片化試料作製に関して言うと、観察対象試料の最適な位置から薄片試料を摘出することが、例えば特許文献3に記載の技術により可能となっている。そのため、近年、FIBを用いた透過電子顕微鏡(TEM)観察用試料の作製が主流となっている。
特開2007−192717号公報 特開2012−17527号公報 特開2000−214056号公報
一般に、従来における、基板の内部に存在する欠陥の解析方法は、欠陥が大きい場合には非常に有効な手段である。また、仮に、欠陥のサイズが微小であったとしても、欠陥の数が多い(以降、基板の内部における欠陥の数のことを「欠陥濃度」とも言う。)場合には非常に有効な手段である。
その一方、欠陥のサイズが微小且つ欠陥濃度が低い場合、すなわち観察対象となる欠陥を捉える確率が低い場合には、微小な欠陥の存在箇所を特定することが非常に困難となる。しかも、微小な欠陥の存在箇所を特定できたとしても、存在箇所を解析に適した形状に加工することは非常に困難であるため、その欠陥がどのような欠陥か解析するには、かなりの時間を必要とする。
確かに、特許文献3に記載の技術においては、基板の内部に観察すべき対象が例えば1個しかないような貴重な試料であっても的確な観察結果をもたらすことを課題としている(例えば特許文献3の[0008])。この課題を解決すべく、特許文献3においては、目標位置の位置出しを行うべく、外観検査を行って欠陥の座標情報を記憶した後、この座標情報に従って欠陥位置を示す凹状マークを設置することが記載されている(例えば特許文献3の[0057]−[0059])。
ところで、特許文献3に記載の技術だと、レーザー顕微鏡とは異なり、光や電子ビームを用いて、比較的大きなサイズの欠陥を、基板の主表面に対する外観検査により観察するところからスタートしている。この場合、凹状マークを形成するにせよ、FIBにより試料を薄片化するにせよ、例えば光や電子ビームで欠陥を確認し続けることが可能であり、特許文献3に記載の技術が想定する範囲においては、欠陥を見失うおそれは少ない。
確かに、特許文献3に記載の内容のように、基板の内部に存在する欠陥の代表格であるボイドや不純物のサイズがマイクロメートルオーダーであった場合には、基板の主表面に対して光や電子線による外観検査を実施すると、欠陥を発見できる。
ボイドや不純物のサイズがナノメートルオーダーの場合でも、基板の主表面に対して光や電子線による外観検査を実施すれば欠陥を発見できると考えられるが、その欠陥の形状や元素情報を得るためには、試料を観察可能な形状にしなければならない。
つまり、基板の主表面に対して外観検査を行う際に光や電子線を用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の欠陥が基板の内部に存在し、且つ、レーザー顕微鏡を使用する場合、凹状マークを形成する際またはFIBにより試料を薄片化する際には、欠陥を確認しながら凹状マークを形成することが不可能な状況となっている。
もちろん、凹状マークを形成する装置やFIBにレーザー顕微鏡が備わっている装置が存在するのならばよいが、現状、そのような装置が存在しない。
それに加え、特許文献3に記載の技術だと、仮に、外観検査装置において欠陥の座標を記憶していたとしても、当該欠陥の座標はあくまで基板の主表面全体から見たときの座標である。具体例を挙げると、円盤状の基板の径が10cm(=10nm)であって欠陥の全長が10nmである場合、欠陥の座標は極めてシビアな値とならざるを得ず、精度という点で問題が残る。
通常の欠陥に対してならば特許文献3の技術は極めて優れたものであり且つ有用なものであるが、基板の主表面に対して外観検査を行う際にレーザー顕微鏡を用いなければ発見することができない程度に微小な欠陥の場合、欠陥の位置精度に疑問が残る。
仮に、欠陥を見失ってしまうと、欠陥があったと思しき箇所を試料として闇雲に摘出しなければならない。そうすると、FIBによる加工やクロスセクションポリッシャーによる断面加工中に、観察すべき欠陥が存在する個所を破壊ないし切り落としてしまう可能性がある。また、欠陥をSEMもしくはSTEMで観察しようと試料を薄片化する最中に、観察すべき欠陥が存在する個所をFIBにより破壊ないし切り落としてしまう可能性もある。
また、再びレーザー顕微鏡を用いて欠陥の位置を再び特定したとしても二度手間になることには変わらず、欠陥の分析効率が著しく低下する。しかも、再度、上記のことが起こる可能性もあり、そうなると三度手間、四度手間となってしまい、欠陥の分析効率が著しく低下する。
以上のことから、本発明は、基板の内部に存在する欠陥であってレーザー光以下の波長を有するプローブを用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の基板内欠陥の位置を正確に特定し、当該欠陥に対して迅速に解析を行うことが可能な手法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決すべく、本発明者は検討を重ねた。まず、特許文献3に記載の技術をベースとした解決手段について模索した。
上記の課題は、基板の主表面に対して外観検査を行う際にレーザー光以下の波長を有するプローブを用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の欠陥を解析対象としているために生じている。そして、微小且つ少量の欠陥だからこそ、試料の摘出の際や試料の薄片化の際に、欠陥の正確な位置を確認することができず、欠陥を見失う可能性が生じている。
そこで本発明者は、欠陥の分析前の基板の主表面に対し、予め格子状の傷を付けておくという、当業者では思いもつかなかった手法を想到した。具体的に言うと、基板の主表面に対して、格子状の加工痕を形成し、基板の主表面を複数の領域に区分けしておくという手法を想到した。そして、レーザー光以下の波長を有するプローブ(一例を挙げるとレーザー顕微鏡)を用いて発見した微小な欠陥が、どの領域に存在するのかをまずは特定しておき、その後、領域を縁取る加工痕からの距離を基にして欠陥の位置を特定するという手法を想到した。
こうすることにより、レーザー顕微鏡による観察の後であっても、基板には加工痕が物理的に形成されており、外観検査により加工痕を観察して加工痕の位置を特定することが容易となる。つまり、区分けされたどの領域に欠陥があるのかを大まかに把握することがレーザー顕微鏡による観察の後であっても可能となる。さらには、区分けした領域内において領域の端(加工痕)からの距離を特定しておくことにより、基板の主表面全体から欠陥の位置を特定するよりもはるかに高い精度で、基板表面からの深さを含む欠陥の位置を特定することがレーザー顕微鏡による観察の後であっても可能となる。
以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
基板の内部に存在する欠陥であって、基板の主表面に対して外観検査を行う際にレーザー顕微鏡を用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の基板内欠陥に対する解析方法であって、
基板の主表面に対して格子状の加工痕を形成することにより、基板の主表面を当該加工痕で囲まれた複数の互いに同形状の領域へと区分けした加工痕入り基板に対してレーザー顕微鏡を用いて外観検査を行い、区分けされた複数の領域の中から欠陥が存在する欠陥存在領域を特定し、且つ、欠陥存在領域を形成する加工痕からの欠陥の位置および基板の主表面からの欠陥の深さを特定する欠陥位置特定工程と、
欠陥位置特定工程後、特定された欠陥存在領域を形作る加工痕を目印にして、収束イオンビーム装置(FIB)により、特定された欠陥存在領域において欠陥を含有する欠陥含有部分を、基板の主表面の一部を含む形で試料片として摘出する試料片摘出工程と、
摘出された試料片を、収束イオンビーム装置(FIB)により、当該試料片に含まれる基板の主表面に平行な方向へと削っていくことによって薄片化していき、薄片化された試料片に含まれる欠陥を、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて二次電子像、ならびに、Zコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれか、により、基板の主表面に平行な方向から観察する欠陥観察工程と、
欠陥観察工程後の試料片に対してエネルギー分散型X線装置(EDX)を用い、欠陥に対する元素分析を行い、欠陥の種類を解析する欠陥解析工程と、
を有することを特徴とする、基板内欠陥に対する解析方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、
基板はサファイア単結晶基板であることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、
基板の主表面と平行な平面をXY平面とすると、格子状の加工痕は、X軸に平行な複数の本数の加工痕とY軸に平行な複数の本数の加工痕により構成されており、
欠陥存在領域における欠陥の位置は、欠陥存在領域を形成する加工痕によってXY座標化されている。
本発明の第4の態様は、第1ないし第3のいずれかの態様に記載の発明において、
基板の主表面に対して、収束イオンビーム装置(FIB)を用いて格子状の溝を加工痕として形成する溝形成工程を更に有することを特徴とする。
本発明の第5の態様は、第1ないし第4のいずれかの態様に記載の発明において、
欠陥は、主表面から深さ20μmまでの間に存在し、全長10nm以上100nm以下のサイズであることを特徴とする。
本発明の第6の態様は、第1ないし第5のいずれかの態様に記載の発明において、
レーザー顕微鏡におけるレーザーの波長は410nmであることを特徴とする。
本発明の第7の態様は、第1ないし第6のいずれかの態様に記載の発明において、
欠陥位置特定工程は、暗視野観察法により行うことを特徴とする。
本発明の第8の態様は、第1ないし第7のいずれかの態様に記載の発明において、
欠陥観察工程において、試料片に含まれる主表面に平行な方向を試料片の厚さ方向とすると、厚さ方向に薄片化された試料片の厚さが1μm以上のときには二次電子像により観察を行い、厚さ方向に薄片化された試料片の厚さが1μm以下となったときにZコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれかにより観察を行うことを特徴とする。
本発明によれば、基板の内部に存在する欠陥であってレーザー光以下の波長を有するプローブを用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の基板内欠陥の位置を正確に特定し、当該欠陥に対して迅速に解析を行うことが可能となる。
本実施形態の基板内欠陥に対する解析方法を示すフローチャートである。 本実施形態の試料片摘出工程の概要を示す概略斜視図である。(a)は、欠陥存在領域内における欠陥含有部分の周囲を削った様子を示す図であり、(b)は、欠陥含有部分を試料片として基板から切り離す様子を示す図であり、(c)は、欠陥含有部分を試料片として基板から摘出する様子を示す図である。 本実施形態の欠陥観察工程における試料片を示す概略図である。(a)は、試料片の平面図であり、(b)は、試料片の側面図であり、(c)は、STEMを用いた二次電子像による観察を行うために試料片を薄片化する様子を示す側面図であり、(d)は、STEMを用いたZコントラスト像による観察を行うために試料片を薄片化する様子を示す側面図である。 本実施例の欠陥位置特定工程において、格子溝入り基板1に対してレーザー顕微鏡を用いて観察を行った結果を示す図である。 本実施例の欠陥位置特定工程において、格子溝入り基板1に対してレーザー顕微鏡を用いて観察を行った結果(右上写真)、および、格子状の溝により欠陥の位置を特定し且つ基板の主表面からの欠陥の深さを特定した結果を示す概略平面図である。 本実施例の欠陥観察工程において、STEMを用いて二次電子像により試料片を観察した結果を示す写真である。 本実施例の欠陥観察工程において、STEMを用いてZコントラスト像により試料片を観察した結果を示す写真である。 本実施例の欠陥解析工程において、EDXを用い、欠陥に対する元素分析を行った結果を示すスペクトルである。 比較例1において、基板に対して、光学顕微鏡を用いた透過光による観察を行った結果を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本実施形態の基板内欠陥に対する解析方法を示すフローチャートである。
本実施形態においては、次の順序で説明を行う。
1.基板内欠陥に対する解析方法
1−A)基板準備工程
1−B)溝形成工程
1−C)欠陥位置特定工程
1−D)試料片摘出工程
1−E)欠陥観察工程
1−E−a)薄片化工程
1−E−b)観察工程
1−F)欠陥解析工程
2.実施の形態による効果
3.その他
なお、以下に記載が無い構成については、関連する公知の技術を用いても構わない。例えば、特許文献3(特開2000−214056号公報)等に記載された構成を適宜採用しても構わない。
<1.基板内欠陥に対する解析方法>
1−A)基板準備工程
本実施形態においては、基板として、サファイア単結晶基板を用いる場合について述べる。サファイア単結晶基板としては形状は問わず、公知のもの(例えば特開2012−17527に記載されているもの)を用いても構わない。
1−B)溝形成工程
準備しておいた基板1の主表面に対して、収束イオンビーム装置(FIB)を用いて格子状の加工痕を形成する(後述の図5)。ここで言う「格子状」とは、「基板1を平面視した際に、基板1の主表面を当該加工痕で囲まれた複数の領域であって互いに均等な領域へと区分けするような格子を形作る形状」のことを指す。本実施形態においては加工痕が溝2である場合について述べる。そして、格子状の溝2が主表面に形成された基板1のことを「格子溝入り基板1」とも言う。
基板1の主表面に予め格子状の溝2を形成しておくことにより、レーザー顕微鏡による観察の後であっても、基板1には溝2が物理的に形成されており、外観検査により溝2を観察して溝2の位置を特定することができる。そのため、区分けされたどの領域に欠陥33があるのかを大まかに把握することがレーザー顕微鏡による観察の後であっても可能となる。さらには、区分けした領域内において領域の端(溝2)からの距離を特定しておくことにより、基板1の主表面全体から欠陥33の位置を特定するよりもはるかに精度高く欠陥33の位置を特定することがレーザー顕微鏡による観察の後であっても可能となる。
上記の領域は、細かく区分けすればするほど、欠陥33の位置の精度が向上する。例えば、円盤状の基板1の径が10cm(=10nm)であって欠陥33の全長が10nmである場合、欠陥33の座標は極めてシビアな値となる。その一方、例えば上記の1つの領域が、1辺を100μmとする正方形領域である場合、100μm(=10nm)の中から10nmの欠陥33の位置を特定すればよいことになる。そうなると、円盤状の基板1を用いた場合よりも単純に計算すると10(=1000)倍も精度が向上することになる。その結果、上記の区分けされた領域の1辺は例えば100μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのが更に好ましい。こうすることにより、欠陥33の位置の座標および深さをμm単位で特定することができる。
また、上記の溝2の幅は、後述する欠陥位置特定工程以降において外観検査が可能な程度の幅であればよい。例えば数μm程度であればよい。
本実施形態においては、基板1の主表面と平行な平面をXY平面としたとき、格子状の溝2は、X軸に平行な複数の溝2とY軸に平行な複数の溝2により構成されている。なお、ここでいうX軸は任意の方向に延びる直線状の軸のことであり、Y軸はX軸に対して垂直方向に延びる直線状の軸のことである。このように、互いに直交する溝2を基板1の主表面に対して物理的に形成することにより、詳しくは後述するが、レーザー顕微鏡を用いた外観検査の際に、欠陥33の位置を溝2を利用して把握することが可能となる。つまり、欠陥33の位置が溝2によってXY座標化することが可能となる。しかもその座標化は、基板1の主表面を細かく区分けされた欠陥存在領域31の枠内で行うことが可能となり、欠陥33の位置を容易かつ精度高く特定することが可能となる。
1−C)欠陥位置特定工程
本工程においては、格子溝入り基板1に対してレーザー顕微鏡を用いて観察を行い、区分けされた複数の領域の中から欠陥33が存在する欠陥存在領域31を特定する。それと共に、本工程においては、欠陥存在領域31を形成する溝2からの欠陥33の位置および基板1の主表面からの欠陥33の深さを特定する。なお、欠陥33の位置の特定においては、欠陥存在領域31を形成する溝2を基準とした座標として特定しても構わないし、当該溝2からの距離として特定しても構わない。本実施形態においては、欠陥33の位置を、欠陥存在領域31を形成する溝2を基準とした場合の座標として特定する場合について述べる。
なお、本実施形態の技術的思想は、基板1の内部に存在する欠陥33であって、基板1の主表面に対して外観検査を行う際にレーザー光以下の波長を有するプローブを用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の基板1内の欠陥33を解析すべく想到されたものである。そのため、本実施形態において解析対象となる欠陥33は、微小且つ少量であればあるほど、その効果を発揮する。
なお、「レーザー光以下の波長を有するプローブ」の例を挙げると、レーザー顕微鏡、紫外線顕微鏡、X線顕微鏡などが挙げられる。本実施形態においては、「レーザー光以下の波長を有するプローブ」としてレーザー顕微鏡を用いる場合について述べる。
解析対象となる欠陥33の好適例を挙げるとすると、本実施形態において解析対象となる欠陥33は、主表面から深さ20μmまでの間に存在し、全長10nm以上100nm以下のサイズであるのが好ましい。それに伴い、そのような欠陥33を発見しやすくする関係上、上記のレーザー顕微鏡におけるレーザーの波長は410nmであるのが好ましい。また、欠陥33を発見しやすくするために、暗視野観察法により本工程を行うのが好ましい。レーザー光源のように波長が短い光は当該基板1に存在する微小ボイドにおける光散乱性が高い。その結果、微小ボイドはレーザー顕微鏡での暗視野像において明るいコントラストで視認され、欠陥33を容易に発見可能となる。
ただ、もちろん、解析対象となる欠陥33、レーザーの波長および観察法のいずれも上記の内容に限定されるものではない。例えば、暗視野観察法ではなく明視野観察法で観察を行っても構わないが、欠陥33を容易に発見するためには暗視野観察法が好ましい。
1−D)試料片摘出工程
本工程においては、特定された欠陥存在領域31を形作る溝2を目印として、FIBにより、欠陥存在領域31における、欠陥を含有する欠陥含有部分を、基板1の主表面の一部を含む形で試料片として摘出する。本工程は、基本的には特許文献3に記載の手法を踏襲するものであるが、本工程の概要について図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態の試料片摘出工程の概要を示す概略斜視図である。(a)は、欠陥存在領域31内における欠陥含有部分32の周囲を削った様子を示す図であり、(b)は、欠陥含有部分32を試料片として基板1から切り離す様子を示す図であり、(c)は、欠陥含有部分32を試料片として基板1から摘出する様子を示す図である。
なお、「欠陥存在領域31」「欠陥含有部分32」および「欠陥33」の配置関係について以下にまとめて記載する。本明細書においては、基板1の主表面1aが溝2により区分けされた領域の中で欠陥33を含む領域を「欠陥存在領域31」と定義し、その欠陥存在領域31から欠陥33を含有する試料片として摘出される部分を「欠陥含有部分32」と定義している。そして、欠陥含有部分32にはその名の通り「欠陥33」が含まれている。
前の欠陥位置特定工程において、区分けされた領域のうち欠陥存在領域31を特定しており、さらには、欠陥存在領域31を形作る溝2からの欠陥33の位置(座標)を精度高く特定している。そこで、まず、特定された欠陥33の位置に関する情報を基に、欠陥含有部分32の近傍にFIBのイオンビームの加工領域を設定する。その設定の際には、溝2を認識可能な装置を用いて、装置の測長機能を利用し溝2を確認しつつ加工領域設定を行う。別の言い方をすると、欠陥33が認識できなくとも、溝2さえ認識できるような状態であれば、上記の加工領域設定を確実に行うことができる。
こうすることにより、区分けされた領域の中から特定された欠陥存在領域31を形作っている溝2を認識することができる。溝2からの欠陥33の位置は精度高く特定できている。そのため、溝2を目印にすることにより、最終的に、欠陥33を含有する欠陥含有部分32を、区分けされた欠陥存在領域31から試料片として精度高く摘出することが可能となる。
その後、設定した加工領域に対してイオンビームによるダメージが入らないように、設定した加工領域の上に、CもしくはWによる保護膜4を形成する。図2(a)に示すように、欠陥33を含有する欠陥含有部分32の更に周囲をFIBで削っていく。つまり、平面視したときに、欠陥含有部分32を、基板1の主表面1aを含む形で、基板1の他の部分から孤立させる。
次に、図2(b)に示すように、基板1の主表面1aの上の保護膜4をプローブ5で押さえながら、直立した欠陥含有部分32を傾けて、矢印が示すように、FIBによるイオンビームを欠陥含有部分32の付け根に照射する。こうして、欠陥存在領域31において、基板1から欠陥含有部分32を切り離し、欠陥含有部分32を試料片とする。
最後に、図2(c)に示すように、切り離された試料片(欠陥含有部分32)をプローブ5で持ち上げ、走査透過型電子顕微鏡(STEM)の試料台へと載置する。
1−E)欠陥観察工程
本工程においては、前工程でSTEM用試料台に載置された試料片に含有される欠陥33をSTEMにより観察する。ただ、上記の手法を用いて摘出された試料片をそのままSTEMにより観察しようとしても、試料片が厚すぎて適切に観察を行えない場合がある。そのため、本工程は、更に、薄片化工程および観察工程という2つの工程を有する。
1−E−a)薄片化工程
観察工程が行えるような状態へと試料片を変形すべく、本工程においては、摘出された試料片を、FIBにより、当該試料片に含まれる基板1の主表面1aに平行な方向へと削っていくことにより薄片化していく。その様子を概略的に示したのが図3である。
図3は、本実施形態の欠陥観察工程における試料片を示す概略図である。(a)は、試料片の平面図であり、(b)は、試料片の側面図であり、(c)は、STEMを用いた二次電子像による観察を行うために試料片を薄片化する様子を示す側面図であり、(d)は、STEMを用いたZコントラスト像による観察を行うために試料片を薄片化する様子を示す側面図である。なお、欠陥33は黒丸で表す。
図3(a)に示すように、前の欠陥位置特定工程において、欠陥33の深さ(すなわち基板1の主表面1aからの距離α)は既に特定されている。しかしながら、図3(b)に示すように、欠陥33が、試料片に含まれる主表面1aに平行な方向(以降、「厚さ方向」と言う。)において、相当内部に存在する場合、STEMを用いたとしても欠陥33を観察することは困難である。そこで、図3(c)に示すように、白抜き矢印の方向(厚さ方向)へと試料片を薄片化していく。
1−E−b)観察工程
薄片化された試料片に含まれる欠陥33を、STEMを用いて、まずは二次電子像により、厚さ方向(図3(c)の白抜き矢印の方向)から観察する。なお、薄片化工程を行った後に観察工程を行っても、未だ試料片が厚すぎる場合、欠陥33を観察できない。そのため、本実施形態においては、欠陥33が観察されるまで、上記の薄片化工程と二次電子像による観察工程を交互に繰り返す。
STEMを用いて二次電子像により欠陥33を観察した後、今度は、Zコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれかによる観察を行う。ただ、Zコントラスト像にしても透過像にしても、二次電子像により観察する場合よりも、試料片を薄片化する必要がある。そのため、再び、試料片に対して薄片化工程を行う。その際、図3(d)に示すように、今度は逆に黒矢印の方向へと試料片を薄片化していく。そして、二次電子像の場合と同様に、欠陥33が観察されるまで、上記の薄片化工程とZコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれかによる観察工程を交互に繰り返す。
なお、二次電子像による観察と、Zコントラスト像または透過像による観察とでは、試料片の試料の厚さに必要な条件が異なる場合がある。そのため、欠陥観察工程において、試料片に含まれる主表面1aに平行な方向を試料片の厚さ方向とすると、厚さ方向に薄片化された試料片の厚さが1μm以上のときには二次電子像により観察を行い、厚さ方向に薄片化された試料片の厚さが1μm以下(さらに好適なのは1μm未満)となったときにZコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれかにより観察を行うのが好ましい。
また、本実施形態においては、STEMを用いて欠陥33を観察することにも特徴がある。仮に、STEMを用いずSEMを用いる場合、SEMは表面凹凸情報を得ることが得意である一方で空間分解能が低いため、FIBで試料片を薄片化する際、内部の欠陥33を認識しづらい。そうなると、欠陥33を探している途中に、欠陥33自体をFIBで破壊しかねない。そこで、空間分解能が高く、且つ高加速電圧のため試料内部の情報の得やすいSTEMを用いることにより、比較的欠陥33を認識しやすくなり、試料片の薄片化をある程度に留めることができる。そうなると、欠陥33自体をFIBで破壊する確率を格段に減らすことができる。
1−F)欠陥解析工程
本工程においては、欠陥観察工程後の試料片に対してエネルギー分散型X線装置(EDX)を用い、欠陥33に対する元素分析を行い、欠陥33の種類を解析する。
例えば、元素分析を行った結果、サファイア単結晶基板とは無関係な元素が検出された場合、欠陥33は異物により生じたものである。その場合、異物の元素が判明することから、異物の原因となったもの(例えば装置内のある部材)を特定することが可能となり、部材からパーティクルが発生するのを抑制する処置なり部材そのものを除去または交換するという処置なり、異物に対して有効な対処を行うことが可能となる。
一方、元素分析を行った結果、サファイア単結晶基板に関係ある元素のみが検出された場合、欠陥33はボイドにより生じたものである。その場合、基板1の製造条件を、ボイドが発生しないように変更する(例えば結晶育成温度条件を変更する)などの有効な対処を行うことが可能となる。
結果、本実施形態の一連の工程により、欠陥33の分析結果を、基板1の製造に対して有効にフィードバックすることが可能となる。しかもその欠陥33が微細であり且つ少数であっても、その欠陥33が無くなるような有効なフィードバックを基板1の製造に対して行うことが可能となる。
<2.実施の形態による効果>
本実施形態により、以下の効果を奏する。
まず、基板1の主表面1aに対して外観検査を行う際にレーザー顕微鏡を用いるため、実体顕微鏡を用いる場合に比べて、より微小且つより少量の基板1内の欠陥33を発見することができる。
また、空間分解能が高く、且つ高加速電圧のため試料内部の情報の得やすいSTEMを用いて欠陥33を観察することにより、比較的欠陥33を認識しやすくなり、試料片の薄片化をある程度に留めることができる。そうなると、欠陥33自体をFIBで破壊する確率を格段に減らすことができる。
また、基板1の主表面1aに対して予め格子状の溝2を形成しておくことにより、レーザー顕微鏡による観察の後であっても、基板1には溝2が物理的に形成されており、外観検査により溝2を観察して溝2の位置を特定することができる。そのため、区分けされたどの領域に欠陥33があるのかを大まかに把握することがレーザー顕微鏡による観察の後であっても可能となる。さらには、区分けした領域内において領域の端(溝2)からの距離を特定しておくことにより、基板1の主表面1a全体から欠陥33の位置を特定するよりもはるかに精度高く欠陥33の位置を特定することがレーザー顕微鏡による観察の後であっても可能となる。
こうすることにより、区分けされた領域の中から特定された欠陥存在領域31を形作っている溝2を認識することができる。溝2からの欠陥33の位置は精度高く特定できている。そのため、溝2を目印にすることにより、最終的に、欠陥33を含有する欠陥含有部分32を、区分けされた欠陥存在領域31から試料片として精度高く摘出することが可能となる。
以上の結果をまとめると、本実施形態によれば、基板1の内部に存在する欠陥33であってレーザー顕微鏡を用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の基板1内の欠陥33の位置を正確に特定し、当該欠陥33に対して迅速に解析を行うことが可能となる。
また、本実施形態の一連の工程により、欠陥33の解析結果を、基板1の製造に対して有効にフィードバックすることが可能となる。しかもその欠陥33が微細であり且つ少数であっても、その欠陥33が無くなるような有効なフィードバックを基板1の製造に対して行うことが可能となる。
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
(基板1)
上記の実施形態では、基板1としてサファイア単結晶基板の場合について述べた。その一方、サファイア単結晶基板以外であっても、本発明の技術的思想を適用し得る可能性がある。例えば、他の種類の単結晶基板であっても適用し得る可能性があるし、単結晶でない基板1に対しても適用し得る可能性がある。例えば、SrTiOやSrRuO,YSZ,ZnOなどのレーザー光を透過するような透明単結晶基板であれば、十分に適用可能である。
(加工痕)
上記の実施形態では、加工痕が溝2の場合について述べた。その一方、溝2以外の加工痕を基板1の主表面1aに形成しても構わない。例えば、溝2の代わりに、1本の直線上に孔が複数存在するような加工痕を形成しても構わない。いわゆる、平面視した際に破線状であったり鎖線状であったりするように適宜孔を加工痕として形成しても構わない。ただ、一方向に連続して溝2が形成されている方が、欠陥33の位置を精度高く把握しやすい。そのため、加工痕は溝2である方が好ましい。
(加工痕の形成方向)
上記の実施形態では、互いに直交するようにX軸に平行な複数の加工痕およびY軸に平行な複数の加工痕を基板1の主表面1aに対して形成する場合について述べた。その一方、互いに直交するようにではなく、X軸に対して斜め方向の軸に平行な複数の加工痕を形成しても構わない。この場合、区分けされる領域の形状は菱形状になる。ただ、座標化のしやすさを考えると、上記のX軸に平行な複数の加工痕およびY軸に平行な複数の加工痕を形成するのが非常に好ましい。
以下、本実施例について説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。以下に記載の無い構成や手法については、上記の実施形態または公知の文献に記載の技術を適宜使用しても構わない。
(実施例1)
1−A)基板準備工程
まず、直径が数百nm程度の微小且つ少量のボイドが存在するサファイア単結晶基板を用意した。
1−B)溝形成工程
収束イオンビーム装置(FIB)を用いて加速したGaイオンを基板1の主表面1aに照射し、格子状の加工痕を形成した。加工痕としては、互いに直交する溝2を複数設けた。溝2により区分けされる領域は、平面視で正方形形状とした。溝2自体の幅は数μm程度、格子状の溝2により区分けされた領域の1辺の長さは、おおよそ数百μm四方とした。また、区分けされた領域は、基板1の中央部分に形成した。領域の数は、縦横ともに5程度とした。
1−C)欠陥位置特定工程
格子状の溝2を形成した当該基板1について、光散乱性の高い、波長410nmのレーザー光源を有するレーザー顕微鏡(レーザーテック社製、VL2000D)を用いて、当該加工領域に対し暗視野法による観察を行った。その結果を示したのが図4である。図4は、本実施例の欠陥位置特定工程において、格子溝入り基板1に対してレーザー顕微鏡を用いて観察を行った結果を示す図である。
レーザー顕微鏡を用いた暗視野法による観察によって、格子状の溝2からの欠陥33の位置及び深さ情報を特定し、複数ある区分けされた領域の内、一つの欠陥存在領域31を決定した。その結果を示したのが図5である。図5は、本実施例の欠陥位置特定工程において、格子溝入り基板1に対してレーザー顕微鏡を用いて観察を行った結果(右上写真)、および、格子状の溝2により欠陥33の位置を特定し且つ基板1の主表面1aからの欠陥33の深さを特定した結果を示す概略平面図である。なお、右上写真は、図4のコントラストを変更した写真である。
図5に示すように、欠陥存在領域31を形成する溝2において、水平方向に延びる溝2であって下側の溝2をX軸、それに垂直方向に延びる溝2であって左側の溝2をY軸とすると、本実施例においては、欠陥33の位置は、X軸から3.9μm離れ、且つ、Y軸から8.0μm離れ、且つ、深さ1.5μm(つまり図3(a)および(b)でいうとα=1.5μm)の箇所に存在していた。
1−D)試料片摘出工程
その後、特定された欠陥33の位置の座標に対して、FIB(FEI社製、QUANTA 3D)を用いて試料片摘出工程を行った。なお、本実施例における試料片は絶縁体のため試料ドリフトが少なからず発生する。そのため、欠陥存在領域31から、欠陥を含有する欠陥含有部分32の摘出を行った。欠陥含有部分32の具体的なサイズとしては、欠陥存在領域31を平面視した際に、欠陥33が存在する位置を中心としてX軸方向で2−3μm、Y軸方向で10−15μmの大きさで、欠陥存在領域31の切り出しを行った。なお、切り出しの深さは10−15μmとした。
1−E)欠陥観察工程
欠陥観察工程においては、試料片を銅製グリッドに貼り付け、導通を確保してから、STEM(日立ハイテクフィールディング社製、HD−2300A)による二次電子像観察を実施した。なお、欠陥33が観察されるまで、試料片の厚さ方向を天地方向としたとき(すなわち基板1の主表面1aが天地方向に存在するように試料片を配置したとき)、天地方向の天の面を0.1−0.2μmずつFIB(日立ハイテクフィールディング社製、FB−2100)によって薄片化していった。その後、STEM観察を行った。つまり、薄片化工程と観察工程を1セットにして、欠陥33と思われる部分が、コントラストが異なる様相で観察されるまで、このセットを繰り返し行った。こうして、試料片が1.8μmの厚さとなるまで薄片化された際に観察された欠陥33を示すのが図6である。
図6は、本実施例の欠陥観察工程において、STEMを用いて二次電子像により試料片を観察した結果を示す写真である。図6を見ると、基板1の主表面1aから1.5μmの深さの地点に欠陥33が存在することがわかる。
図6のように、欠陥33と思われる部分が、コントラストが異なる様相で観察された場合には、今度は地の面から同様に0.1−0.2μmずつFIBによって薄片化していった。そして、試料片の厚さが1μm以下となるまで、観察試料を薄片化した。薄片化後、HAADF−STEM法によるZコントラスト像観察を実施した。つまり、Zコントラスト像観察においても、薄片化工程と観察工程を1セットにして、欠陥33と思われる部分が、コントラストが異なる様相で観察されるまで、このセットを繰り返し行った。こうして、試料片が0.5μmの厚さとなるまで薄片化された際に観察された欠陥33を示すのが図7である。
図7は、本実施例の欠陥観察工程において、STEMを用いてZコントラスト像により試料片を観察した結果を示す写真である。図7を見ると、図6と同様に、基板1の主表面1aから1.5μmの深さの地点に欠陥33が存在することがわかる。
1−F)欠陥解析工程
Zコントラスト像観察後、STEM付属のEDX(エネルギー分散型X線分析)装置(EDAX社製)を用いて、コントラストが異なる部分の点分析による元素分析を実施した。その結果を図8に示す。
図8は、本実施例の欠陥解析工程において、EDXを用い、欠陥33に対する元素分析を行った結果を示すスペクトルである。
図8に示すように、STEMによる観察から確認された欠陥33の位置に対してEDX点分析を実施したところ、EDXスペクトルから異種重元素は観察されなかった。その結果、欠陥33は球状のボイドであることが迅速に解析された。なお、銅が検出されているが、この銅は、欠陥観察工程において用いた銅製グリッドに起因するものである。
(比較例1)
以下、比較例について説明する。以下に特記のない事項は、実施例1と同様である。
比較例1においては、実施例1で言うところの欠陥位置特定工程までを行った。そして、欠陥位置特定工程において、レーザー顕微鏡の代わりに、白色光源を有する光学顕微鏡(ニコン社製、エクリプスME600)を用い、基板1の主表面1aに対して透過光による外観検査を行った。その結果を図9に示す。
図9は、比較例1において、基板1に対して、光学顕微鏡を用いた透過光による観察を行った結果を示す写真である。図9に示すように、実施例1のレーザー顕微鏡で視認できたはずのボイドを、比較例1の光学顕微鏡によっては全く視認できなかった。また、透過光のほか、反射光による明視野像および暗視野像、微分干渉像などでも同様に外観検査を行ったが、ボイドを全く視認できなかった。
(比較例2)
比較例2においては、実施例1で言うところの欠陥観察工程までを行った。そして、欠陥観察工程において、実施例1のようなFIBの機能を有するSTEMを用いる代わりに、FIBおよびSEMの機能を同一チャンバー内に有する装置(FEI社製、QUANTA 3D)による薄片化および観察を実施した。その結果、欠陥33と思われるコントラストは観察されず、微小な欠陥33そのものを破壊してしまった。
(比較例3)
比較例3においては、実施例1で言うところの欠陥観察工程までを行った。そして、欠陥観察工程において、実施例1でのSTEMを用いた二次電子像による観察を行わず、透過像による観察のみを行った。なお、その際の試料片の厚さは2.5μmであった。その結果、電子線はほとんど透過せず、コントラストを調整してもコントラスト差が確認できなかった。
(比較例4)
比較例4においては、実施例1で言うところの格子状の溝2を設けなかった。その結果、欠陥33の場所を精度高く特定することができず、結局のところFIBのせいで欠陥33そのものを破壊してしまった。
1………基板
1a……主表面
2………溝
31……欠陥存在領域
32……欠陥含有部分
33……欠陥
4………保護膜
5………プローブ

Claims (8)

  1. 基板の内部に存在する欠陥であって、基板の主表面に対して外観検査を行う際にレーザー顕微鏡を用いなければ発見することができない程度に微小且つ少量の基板内欠陥に対する解析方法であって、
    基板の主表面に対して格子状の加工痕を形成することにより、基板の主表面を当該加工痕で囲まれた複数の互いに同形状の領域へと区分けした加工痕入り基板に対してレーザー顕微鏡を用いて外観検査を行い、区分けされた複数の領域の中から欠陥が存在する欠陥存在領域を特定し、且つ、欠陥存在領域を形成する加工痕からの欠陥の位置および基板の主表面からの欠陥の深さを特定する欠陥位置特定工程と、
    欠陥位置特定工程後、特定された欠陥存在領域を形作る加工痕を目印にして、収束イオンビーム装置(FIB)により、特定された欠陥存在領域において欠陥を含有する欠陥含有部分を、基板の主表面の一部を含む形で試料片として摘出する試料片摘出工程と、
    摘出された試料片を、収束イオンビーム装置(FIB)により、当該試料片に含まれる基板の主表面に平行な方向へと削っていくことによって薄片化していき、薄片化された試料片に含まれる欠陥を、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて二次電子像、ならびに、Zコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれか、により、基板の主表面に平行な方向から観察する欠陥観察工程と、
    欠陥観察工程後の試料片に対してエネルギー分散型X線装置(EDX)を用い、欠陥に対する元素分析を行い、欠陥の種類を解析する欠陥解析工程と、
    を有することを特徴とする、基板内欠陥に対する解析方法。
  2. 基板はサファイア単結晶基板であることを特徴とする、請求項1に記載の基板内欠陥に対する解析方法。
  3. 基板の主表面と平行な平面をXY平面とすると、格子状の加工痕は、X軸に平行な複数の本数の加工痕とY軸に平行な複数の本数の加工痕により構成されており、
    欠陥存在領域における欠陥の位置は、欠陥存在領域を形成する加工痕によってXY座標化されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の基板内欠陥に対する解析方法。
  4. 基板の主表面に対して、収束イオンビーム装置(FIB)を用いて格子状の溝を加工痕として形成する溝形成工程を更に有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板内欠陥に対する解析方法。
  5. 欠陥は、主表面から深さ20μmまでの間に存在し、全長10nm以上100nm以下のサイズであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板内欠陥に対する解析方法。
  6. レーザー顕微鏡におけるレーザーの波長は410nmであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板内欠陥に対する解析方法。
  7. 欠陥位置特定工程は、暗視野観察法により行うことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の基板内欠陥に対する解析方法。
  8. 欠陥観察工程において、試料片に含まれる主表面に平行な方向を試料片の厚さ方向とすると、厚さ方向に薄片化された試料片の厚さが1μm以上のときには二次電子像により観察を行い、厚さ方向に薄片化された試料片の厚さが1μm以下となったときにZコントラスト像および透過像のうちの少なくともいずれかにより観察を行うことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の基板内欠陥に対する解析方法。
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