JP2015004417A - 駒式ボールねじ - Google Patents

駒式ボールねじ Download PDF

Info

Publication number
JP2015004417A
JP2015004417A JP2013130911A JP2013130911A JP2015004417A JP 2015004417 A JP2015004417 A JP 2015004417A JP 2013130911 A JP2013130911 A JP 2013130911A JP 2013130911 A JP2013130911 A JP 2013130911A JP 2015004417 A JP2015004417 A JP 2015004417A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piece
piece member
nut
ball screw
type ball
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013130911A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6259210B2 (ja
Inventor
辰徳 清水
Tatsunori Shimizu
辰徳 清水
数野 恵介
Keisuke Kazuno
恵介 数野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2013130911A priority Critical patent/JP6259210B2/ja
Publication of JP2015004417A publication Critical patent/JP2015004417A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6259210B2 publication Critical patent/JP6259210B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

【課題】駒部材の断面高さを低くしてコンパクト化を図ると共に、駒部材の高強度な固定力と高精度な位置決めができる信頼性の高い駒式ボールねじを提供する。
【解決手段】ナット3の胴部に穿設された断面略円形の駒窓6に嵌合され、転動路を周回経路とする連結溝5aが形成されると共に、ナット3のねじ溝3aに係合される一対のアーム9が突設されて位置決めされる駒部材5を備えた駒式ボールねじにおいて、ナット3の駒窓6の外径側の開口部に、この駒窓6よりも大径の係合部11が形成されると共に、駒部材5が焼結合金からMIMによって成形され、この駒部材5の外径側の外周部5bの複数箇所を一部潰して係合部11に密着する状態まで塑性変形させ、連結溝5aを避けて肉厚の部分に形成された加締部10によって当該駒部材5がナット3に固定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、放電加工機やタッピングセンター等の各種工作機械、あるいは自動車の電動パワーステアリングやアクチュエータ等に使用されるボールねじに関し、特に、ボール循環部品である駒部材を使用した駒式ボールねじに関する。
ボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する両ねじ溝により形成された転動路に収容された多数のボールと、転動路を周回経路とする循環機構とを備え、例えば、ナットを回転運動させることでねじ軸を直線運動させる運動変換機構として使用されている。
一般的にボールねじにはボールの循環機構が異なる種々の形式のものがあり、その一つに駒式と呼ばれるものがある。この駒式ボールねじは、ねじ溝の連結路を有し、転動路を周回経路とする循環用の駒部材がナットに装着されているもので、構成が比較的簡素で、かつコンパクトに構成できる利点がある。
このような駒式ボールねじの代表的な一例を図6(a)、(b)に示す。この駒式ボールねじ51は、外周面に螺旋状のねじ溝52aが形成されたねじ軸52と、このねじ軸52に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝53aが形成されたナット53と、対向する両ねじ溝52a、53aにより形成された転動路に収容された多数のボール54と、これらボール54の循環用部材となる駒部材55とを備えている。
円筒状のナット53の胴部には、内外の周面に貫通してねじ溝53aの一部を切欠く断面略円形の駒窓56が穿設されている。この駒窓56には、ボール54の循環用部材となる駒部材55が嵌合されている。駒部材55の内方には、ねじ溝53aの隣合う1周分同士を連結する連結溝55aが形成されている。
駒部材55の軸方向の両端には、図7(a)、(b)に示すように、互いに円周方向逆向きに一対のアーム55b、55bが突設されている。これらアーム55b、55bは断面が略円形に形成され、ナット53のねじ溝53aに所定の径方向すきまを介して係合され、駒部材55の位置決めと、駒部材55が駒窓56から径方向外方に抜け出すのを防止するために設けられている。ここで、ねじ溝53aにおけるアーム55b、55bが係合した部分は非ボール循環部となる。
また、駒部材55は、アーム55b、55bが突設された胴部55cと、この胴部55cから外径側(ナット53の径方向外方側)に延びる頭部55dからなる。胴部55cは、ナット53の駒窓56の形状(円孔)に対応するように断面が略円形に形成されて駒窓56に嵌合される。
頭部55dは、両側(ナット53の周方向両側)に他の部分よりも外径面が凹む凹み部55eが形成され、これら凹み部55eから外径側へ立ち上がり、円弧状周面を有する一対のガイド壁55f、55fが対向して配置されている。ガイド壁55f、55fの外側面は、駒窓56の形状(円孔)に対応するようにR形状となっている。また、ガイド壁55f、55fの内側面は、前記駒部材の軸周りにR状に広がるようなR形状をしている。そして、その内側面のR形状部は、その外側面よりも小さなR形状をしており、ガイド壁55f、55fの肉厚が略同一となっている。
駒部材55を固定する際には、まず、ナット53の駒窓56に駒部材55をナット53の内径面側から嵌め込む。次に、ナット53のねじ溝53aにアーム55b、55bを係合する。この状態で、ナット53内にコア(図示せず)を入れ、外径側からかしめポンチ57を押し込む。かしめポンチ57は、その先端にテーパ状の加圧面57aを有しており、駒部材55の一対のガイド壁55f、55fは、その先端が外側へ斜めに折れ曲がるように加締られ、ナット53に係合状態になる。
ここで、かしめポンチ57の加圧面57aは、最初、図8に示すように、ガイド壁55f、55fの内側面の端部55g、55gに点接触する。この状態で、かしめポンチ57を下方に押し込むと、ガイド壁55f、55fは、端部55g、55gを基点として、図7(b)の矢印で示したように、四方に向かって塑性変形をする。このように、ガイド壁55f、55fの内側面をR形状としたので、かしめ加工するガイド壁55f、55fの断面積が減少し、より小さい部分を塑性変形させるだけでかしめ固定することができる。その結果、かしめによる塑性変形後のスプリングバック量が小さくなり、駒部材55のかしめ後のガタツキは小さくなる。
なお、この例のかしめポンチの加圧面57aは、テーパ状をしているが、その加圧面をガイド壁55f、55fに対向するようにフラット形状にすることもできる。また、かしめポンチの加圧面57aをガイド壁55f、55fの内側面のR寸法より大きいR寸法とすることもできる。いずれにせよ、かしめポンチの加圧面57aが、最初、ガイド壁55f、55fの内側面の端部55g、55gに点接触するようになっていれば、かしめポンチ57を下方に押し込んだ際に、ガイド壁55f、55fは、端部55g、55gを基点として、図7(b)の矢印で示したように、四方に向かって塑性変形をする。そうすることで、駒部材55は安定してナット53に固定されることとなる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2008−057597号公報
こうした従来の駒式ボールねじ51では、ガイド壁55f、55fの内側面をR形状としたので、かしめ加工するガイド壁55f、55fの断面積が減少し、より小さい部分を塑性変形させるだけでかしめ固定することができる。その結果、かしめによる塑性変形後のスプリングバック量が小さくなり、駒部材55のかしめ後のガタツキは小さくなるという特徴を備えている。
通常、この種の駒式ボールねじにおいて、駒部材55のコンパクト化を図るためには断面高さ(径方向の肉厚)を低くする必要があるが、断面高さはガイド壁55f、55fの高さ、あるいは連結溝55a部の肉厚(連結溝55aの最も深い部分から駒部材55の外径までの高さ)によって決定されるため、この従来の駒部材55のように、内側面がR形状に形成されたガイド壁55f、55fを備え、このガイド壁55f、55fの先端を外側へ斜めに折れ曲がるように加締めてナット53に係合する構造では、後述するように、駒部材55の断面高さを低くするには限界があり、駒部材55およびナット53のコンパクト化が難しい。
ここで、駒部材55のガイド壁55fを小さくして断面高さを低くすることも考えられるが、これでは駒部材55の固定力が低下して所望の信頼性を提供することができない。また、この従来の駒部材55では、ガイド壁55fを略直角に塑性変形させて加締めるため、ガイド壁55fの根本部に亀裂が生じて駒部材55の固定強度が低下し、運転中の振動や衝撃等によって駒部材55の抜け止めと位置決め機能が損なわれる恐れがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、駒部材の加締形状と加締位置に着目し、駒部材の断面高さを低くしてコンパクト化を図ると共に、駒部材の高強度な固定力と高精度な位置決めができる信頼性の高い駒式ボールねじを提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する前記ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットの胴部に穿設された駒窓に嵌合され、前記転動路を周回経路とする連結溝が形成されると共に、前記ナットのねじ溝に係合される一対のアームが突設されて位置決めされる駒部材と、を備えた駒式ボールねじにおいて、前記ナットの駒窓の外径側の開口部に、この駒窓よりも大径の係合部が形成されると共に、前記駒部材の外径側の外周部の複数箇所を一部潰して前記係合部に密着する状態まで塑性変形させて形成した加締部によって当該駒部材が前記ナットに固定されている。
このように、ナットの胴部に穿設された駒窓に嵌合され、転動路を周回経路とする連結溝が形成されると共に、ナットのねじ溝に係合される一対のアームが突設されて位置決めされる駒部材と、を備えた駒式ボールねじにおいて、ナットの駒窓の外径側の開口部に、この駒窓よりも大径の係合部が形成されると共に、駒部材の外径側の外周部の複数箇所を一部潰して係合部に密着する状態まで塑性変形させて形成した加締部によって当該駒部材がナットに固定されているので、従来の駒部材のように、突起状のガイド壁を略直角に折り曲げて塑性変形させていないため、ガイド壁の根本部に亀裂が生じる恐れがなく、駒部材の高強度な固定力と高精度な位置決めができ、信頼性を向上させると共に、駒部材の外周部に凹み部や突出したガイド壁を形成する必要がないので、駒部材の断面高さを低く抑えることができ、シンプルな形状で駒部材およびナットのコンパクト化を図ることができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記駒部材がMIMによって成形された焼結金属であれば、加工度が高く複雑な形状であっても容易に、かつ精度良く所望の形状・寸法に成形することができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記駒部材の加締部が前記連結溝を避けて肉厚の部分に形成されていれば、駒部材の断面高さを低くすることができ、一層コンパクト化を図ることができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記駒部材の複数の加締部のうち少なくとも2箇所が前記ナットのねじ溝に略直交するように配置されていれば、ボール通過時に加締部に負荷され、駒部材を傾斜させる応力の発生を軽減することができ、加締部の摩耗を防止して駒部材のガタツキの発生を抑制し、円滑なボールの循環が得られる信頼性の高い駒式ボールねじを提供することができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記駒部材の外周側面に平坦部が形成されていれば、駒部材の軽量化を図ることができる。
また、請求項6に記載の発明のように、前記平坦部が対向して形成され、これら平坦部と離反した外径側の外周部に前記加締部が形成されていれば、駒部材を装着した後、加締部の形成位置を容易に識別することができ、駒部材の高強度な固定力と高精度な位置決めが安定してできる。
本発明に係る駒式ボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する前記ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットの胴部に穿設された駒窓に嵌合され、前記転動路を周回経路とする連結溝が形成されると共に、前記ナットのねじ溝に係合される一対のアームが突設されて位置決めされる駒部材と、を備えた駒式ボールねじにおいて、前記ナットの駒窓の外径側の開口部に、この駒窓よりも大径の係合部が形成されると共に、前記駒部材の外径側の外周部の複数箇所を一部潰して前記係合部に密着する状態まで塑性変形させて形成した加締部によって当該駒部材が前記ナットに固定されているので、従来の駒部材のように、突起状のガイド壁を略直角に折り曲げて塑性変形させていないため、ガイド壁の根本部に亀裂が生じる恐れがなく、駒部材の高強度な固定力と高精度な位置決めができ、信頼性を向上させると共に、駒部材の外周部に凹み部や突出したガイド壁を形成する必要がないので、駒部材の断面高さを低く抑えることができ、シンプルな形状で駒部材およびナットのコンパクト化を図ることができる。
(a)は、本発明に係る駒式ボールねじの一実施形態を示す平面図、(b)は、同上縦断面図である。 (a)は、本発明に係るナットを示す断面斜視図、(b)は、同上、横断面図である。 本発明に係る駒式ボールねじの駒部材を示し、(a)は、加締め前の駒部材を示す要部拡大図、(b)は、加締め後の駒部材を示す要部拡大図である。 本発明に係る駒部材の加締治具を示す斜視図である。 (a)は、本発明に係る駒部材の変形例を示す要部拡大図、(b)は、他の変形例を示す要部拡大図である。 従来の駒式ボールねじを示し、(a)は平面図、(b)は、縦断面図である。 従来の駒部材の固定方法を示す図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。 従来の駒部材の固定時の詳細を示す部分拡大図である。
外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する前記ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットの胴部に穿設された断面略円形の駒窓に嵌合され、前記転動路を周回経路とする連結溝が形成されると共に、前記ナットのねじ溝に係合される一対のアームが突設されて位置決めされる駒部材と、を備えた駒式ボールねじにおいて、前記ナットの駒窓の外径側の開口部に、この駒窓よりも大径の係合部が形成されると共に、前記駒部材が焼結合金からMIMによって成形され、この駒部材の外径側の外周部の複数箇所を一部潰して前記係合部に密着する状態まで塑性変形させ、前記連結溝を避けて肉厚の部分に形成された加締部によって当該駒部材が前記ナットに固定されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る駒式ボールねじの一実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図、図2(a)はナットの断面斜視図、(b)は横断面図、図3は、本発明に係る駒式ボールねじの駒部材を示し、(a)は、加締め前の駒部材を示す要部拡大図、(b)は、加締め後の駒部材を示す要部拡大図、図4は、本発明に係る駒部材の加締治具を示す斜視図、図5(a)は、本発明に係る駒部材の変形例を示す要部拡大図、(b)は、他の変形例を示す要部拡大図である。
図1に示す駒式ボールねじ1は、外周面に螺旋状のねじ溝2aが形成されたねじ軸2と、このねじ軸2に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝3aが形成されたナット3と、対向する両ねじ溝2a、3aにより形成された転動路に収容された多数のボール4と、これらボール4の循環用部材となる駒部材5とを備えている。
各ねじ溝2a、3aの断面形状は、サーキュラアーク形状であってもゴシックアーク形状であっても良いが、ここではボール4との接触角が大きくとれ、アキシアルすきまが小さく設定できるゴシックアーク形状に形成されている。これにより、軸方向荷重に対する剛性が高くなり、かつ振動の発生を抑制することができる。
円筒状のナット3の胴部には、内外の周面に貫通してねじ溝3aの一部を切欠く断面略円形の駒窓6が穿設され、この駒窓6に対応して断面略円形の駒部材5が嵌合されている。駒部材5の内方には、ねじ溝3aの隣り合う1周分同士を連結する連結溝5aが形成され、この連結溝5aとねじ溝3aの略1周の部分とでボール4の転動路を構成している。転動路内の内外のねじ溝2a、3a間に介在された多数のボール4は、ねじ溝2a、3aに沿って転動し、駒部材5の連結溝5aに案内されると共に、ねじ軸2のねじ山を乗り越えて隣り合うねじ溝3aに戻り、再びねじ溝2a、3aに沿って転動する。なお、ここでは、駒窓6および駒部材5が断面略円形に形成されたものを例示したが、円形に限らず、例えば、小判形形状であっても良い。
図2(a)に示すように、駒部材5の連結溝5aは、ナット3の隣り合うねじ溝3a、3a間を滑らかに接続するようにS字状に湾曲して形成されている。したがって、図2(b)に示すように、その両駒窓縁7、7は、ナット3の隣り合うねじ溝3aの溝縁部8に合致するように連結溝5aがねじ溝3aに接続されている。また、連結溝5aの深さは、ボール4が連結溝5a内でねじ軸2におけるねじ溝2aのねじ山を越えることができる深さとされている。さらに、駒部材5の両側には断面が略円形の丸棒状に形成されたアーム9が突設され、ナット3のねじ溝3aに僅かな径方向すきまを介して係合されている。このアーム9によって、駒部材5がナット3に対して軸方向に位置決めされると共に、駒部材5が駒窓6から径方向外方に抜け出すのを防止している。
本実施形態では、駒部材5は、金属粉末を可塑状に調整し、射出成形機で成形される焼結合金からなる。この射出成形に際しては、まず、金属粉と、プラスチックおよびワックスからなるバインダとを混練機で混練し、その混練物をペレット状に造粒する。造粒したペレットは、射出成形機のホッパに供給し、金型内に加熱溶融状態で押し込む、所謂MIM(Metal Injection Molding)により成形されている。こうしたMIMによって成形される焼結合金であれば、加工度が高く複雑な形状であっても容易に、かつ精度良く所望の形状・寸法に成形することができる。
前記金属粉として、後に浸炭焼入が可能な材質、例えば、C(炭素)が0.13wt%、Ni(ニッケル)が0.21wt%、Cr(クロム)が1.1wt%、Cu(銅)が0.04wt%、Mn(マンガン)が0.76wt%、Mo(モリブデン)が0.19wt%、Si(シリコン)が0.20wt%、残りがFe(鉄)等からなるSCM415を例示することができる。駒部材5は、浸炭焼入れおよび焼戻し温度を調整して行われる。また、駒部材5の材料としてこれ以外にも、Niが3.0〜10.0wt%含有し、加工性、耐食性に優れた材料(日本粉末冶金工業規格のFEN8)、あるいは、Cが0.07wt%、Crが17wt%、Niが4wt%、Cuが4wt%、残りがFe等からなる析出硬化系ステンレスSUS630であっても良い。このSUS630は、固溶化熱処理で20〜33HRCの範囲に表面硬さを適切に上げることができ、強靭性と高硬度を確保することができる。
駒部材5をSCM415等の浸炭材で形成する場合は、駒部材5は浸炭焼入れおよび、焼戻し温度調整によるか、もしくは浸炭焼入れによって表面硬さが30〜40HRCの範囲になるように硬化処理されると共に、高周波テンパー装置を用いて、図2(b)に示す加締部10、すなわち、図3に示す外径側の外周部5bが焼戻しされ、硬さが15〜30HRCの範囲になるように設定されている。これにより、加締部10となる外周部5bの靭性が高くなると共に、駒部材5をナット3に加締固定する際に割れ等が発生するのを防止することができる。
ボール4の組み込みは、ナット3の駒窓6に駒部材5をナット3の内径側から装着した後、ねじ軸2の軸端からナット3を当てがい、ボール4を両ねじ溝2a、3a間に順次挿入しながらナット3を回転させ、ナット3をねじ軸2に移動させることによって行う。なお、これ以外にも、ナット3の駒窓6に駒部材5を装着した後、仮軸を用いてボール4を同様に挿入するようにしても良い。
ここで、図3(a)に示すように、駒部材5のアーム9、9をナット3のねじ溝3aに係合させた状態で駒部材5が駒窓6に嵌挿される。一方、ナット3の駒窓6の外径側の開口部には、この駒窓6よりも大径の係合部11が形成されている。そして、図3(b)に示すように、駒部材5の外径側の外周部5bの複数箇所(ここでは、4箇所)を一部潰して係合部11に密着する状態まで塑性変形させて形成した加締部10によって駒部材5がナット3に固定される。なお、ここでは、係合部11として、穴の周辺の上面を平らな座ぐり形状に形成したものを例示したが、これに限らず、例えば、穴の周辺の上面をテーパ形状に形成したものであっても良い。
本実施形態では、加締部10を、従来の駒部材のように、突起状のガイド壁を略直角に折り曲げて塑性変形させず、駒部材5の外径側の外周部5bを一部潰して係合部11に密着する状態まで塑性変形させて形成しているので、当該加締部10が、駒部材5の外周部5bの他の部分より低くなって段差を有した構造となる。このため、余肉(突起状のガイド壁)を発生させずに加締部10として利用できる。また、ガイド壁の根本部に亀裂が生じる恐れがなく、駒部材5の高強度な固定力と高精度な位置決めができ、信頼性を向上させると共に、駒部材5の外周部5bに凹み部や突出したガイド壁を形成する必要がないので、駒部材5の断面高さを低く抑えることができ、シンプルな形状で駒部材5およびナット3のコンパクト化を図ることができる。
なお、駒部材5の加締め加工は、図4に示す加締治具12を使用して行われる。この加締治具12は円柱状をなし、一端部に複数(ここでは、4箇所)の押付部12aが周方向等配に突出して形成されている。これらの押付部12を駒部材5の外径側の外周部5bに押圧することにより、外周部5bの一部潰して塑性変形させ、加締部10を容易に、かつ精度良く形成することができる。
また、本実施形態では、図3(b)に示すように、複数の加締部10が連結溝5aを避けて肉厚の部分に形成されると共に、複数の加締部10のうち少なくとも2箇所がナット3におけるねじ溝3aに略直交するように配置されているので、駒部材5の断面高さを低くすることができると共に、ボール通過時に加締部10に負荷され、駒部材5を傾斜させる応力の発生を軽減することができ、加締部10の摩耗を防止して駒部材5のガタツキの発生を抑制し、円滑なボールの循環が得られる信頼性の高い駒式ボールねじ1を提供することができる。ここでは、加締部10の数を4個としたが、これに限らず、駒部材5の安定した固定が得られるように3個以上が好ましい。
図5(a)に示す駒部材13は、前述した駒部材5の変形例である。この駒部材13は、前述した駒部材5と同様、焼結合金からMIMにより成形されている。駒部材13は円柱状に形成され、その外周側面に平坦部(肉抜き部)13aが対向して形成されている。そして、平坦部13aと離反した外径側の外周部5bの複数箇所(ここでは、4箇所)を一部潰して加締部10が形成されている。このように、駒部材13に平坦部13aを設けることにより、駒部材13を装着した後、加締部10の形成位置を容易に識別することができ、駒部材13の高強度な固定力と高精度な位置決めが安定してできると共に、駒部材13の軽量化を図ることができる。
図5(b)示す駒部材14は、前述した駒部材5の他の変形例である。この駒部材14は、前述した駒部材5と同様、焼結合金からMIMにより成形され、その外周側面に平坦部(肉抜き部)14aが対向して形成されている。そして、平坦部14aと離反した外径側の外周部5bの複数箇所(ここでは、2箇所)を一部潰して加締部15が形成されている。このように、駒部材14に平坦部14aを設けることにより、駒部材14を装着した後に加締部15の形成位置を容易に識別することができ、駒部材14の高強度な固定力と高精度な位置決めが安定してできると共に、加工工数を削減でき、駒部材14の軽量化と低コスト化を図ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る駒式ボールねじは、自動車の電動アクチュエータ等に使用される駒式ボールねじに適用することができる。
1 駒式ボールねじ
2 ねじ軸
2a、3a ねじ溝
3 ナット
4 ボール
5、13、14 駒部材
5a 連結溝
5b 駒部材の外周部
6 駒窓
7 駒窓縁
8 溝縁部
9 アーム
10、15 加締部
11 係合部
12 加締治具
12a 押付部
13a、14a 平坦部
51 駒式ボールねじ
52 ねじ軸
52a、53a ねじ溝
53 ナット
54 ボール
55 駒部材
55a 連結溝
55b アーム
55c 胴部
55f ガイド壁
55g 端部
56 駒窓
57 かしめポンチ
57a 加圧面

Claims (6)

  1. 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
    このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
    対向する前記ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、
    前記ナットの胴部に穿設された駒窓に嵌合され、前記転動路を周回経路とする連結溝が形成されると共に、
    前記ナットのねじ溝に係合される一対のアームが突設されて位置決めされる駒部材と、を備えた駒式ボールねじにおいて、
    前記ナットの駒窓の外径側の開口部に、この駒窓よりも大径の係合部が形成されると共に、
    前記駒部材の外径側の外周部の複数箇所を一部潰して前記係合部に密着する状態まで塑性変形させて形成した加締部によって当該駒部材が前記ナットに固定されていることを特徴とする駒式ボールねじ。
  2. 前記駒部材がMIMによって成形された焼結金属である請求項1に記載の駒式ボールねじ。
  3. 前記駒部材の加締部が前記連結溝を避けて肉厚の部分に形成されている請求項1または2に記載の駒式ボールねじ。
  4. 前記駒部材の複数の加締部のうち少なくとも2箇所が前記ナットのねじ溝に略直交するように配置されている請求項1乃至3いずれかに記載の駒式ボールねじ。
  5. 前記駒部材の外周側面に平坦部が形成されている請求項1乃至4いずれかに記載の駒式ボールねじ。
  6. 前記平坦部が対向して形成され、これら平坦部と離反した外径側の外周部に前記加締部が形成されている請求項5に記載の駒式ボールねじ。
JP2013130911A 2013-06-21 2013-06-21 駒式ボールねじ Expired - Fee Related JP6259210B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013130911A JP6259210B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 駒式ボールねじ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013130911A JP6259210B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 駒式ボールねじ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015004417A true JP2015004417A (ja) 2015-01-08
JP6259210B2 JP6259210B2 (ja) 2018-01-10

Family

ID=52300482

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013130911A Expired - Fee Related JP6259210B2 (ja) 2013-06-21 2013-06-21 駒式ボールねじ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6259210B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016151294A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 Ntn株式会社 駒式ボールねじ
CN112513501A (zh) * 2018-03-08 2021-03-16 日本精工株式会社 挡块式滚珠丝杠

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0687762U (ja) * 1993-05-31 1994-12-22 日本精工株式会社 内部循環式ボールねじ
JP2008309331A (ja) * 2007-05-11 2008-12-25 Nsk Ltd ボールねじ機構
JP2010001970A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Ntn Corp 駒式ボールねじ

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0687762U (ja) * 1993-05-31 1994-12-22 日本精工株式会社 内部循環式ボールねじ
JP2008309331A (ja) * 2007-05-11 2008-12-25 Nsk Ltd ボールねじ機構
JP2010001970A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Ntn Corp 駒式ボールねじ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016151294A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 Ntn株式会社 駒式ボールねじ
CN112513501A (zh) * 2018-03-08 2021-03-16 日本精工株式会社 挡块式滚珠丝杠
CN112513501B (zh) * 2018-03-08 2024-04-19 日本精工株式会社 挡块式滚珠丝杠

Also Published As

Publication number Publication date
JP6259210B2 (ja) 2018-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3315225B1 (en) Rack shaft and method for producing same
JP4730940B2 (ja) ボールねじ
JP5112954B2 (ja) 駒式ボールねじ
JP6259210B2 (ja) 駒式ボールねじ
WO2015137494A1 (ja) ボールねじおよびその製造方法
JP4619277B2 (ja) 駒式ボールねじ
JP2010001970A (ja) 駒式ボールねじ
JP2016142378A (ja) 駒式ボールねじ
CN105083369B (zh) 球窝接头、以及具有该接头的转向装置
JP2017032064A (ja) ボールねじおよびその製造方法
JP6577195B2 (ja) 駒式ボールねじの製造方法
JP2005308141A (ja) ボールねじ
JP4822514B2 (ja) 駒式ボールねじ
JP2010078060A (ja) 駒式ボールねじ
JP2007205475A (ja) 駒式ボールねじ
JP6444760B2 (ja) 駒式ボールねじ
JP2016098905A (ja) 駒式ボールねじ
JP2007154932A (ja) 駒式ボールねじ
JP2007232085A (ja) 駒式ボールねじ
JP2010112430A (ja) 駒式ボールねじ及び駒式ボールねじナットの製造方法
JP2007239844A (ja) 駒式ボールねじ
JP2016180469A (ja) 駒式ボールねじおよびその製造方法
JP5170796B2 (ja) 自動車用駒式ボールねじ
JP2007239845A (ja) 駒式ボールねじ
JP2011179674A (ja) 駒式ボールねじ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170310

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170912

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6259210

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees