JP2015004206A - 屋根構造およびジョイント - Google Patents

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鈴木 敏夫
Toshio Suzuki
敏夫 鈴木
正之 鶴田
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正之 鶴田
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Abstract

【課題】長手状の屋根材同士を幅方向にジョイントを用いて連結する屋根構造において、コストを低減でき、かつ施工を容易にできる技術を提供すること。
【解決手段】屋根構造100は、長手状で可撓性を有する屋根材2、ジョイント3、ジョイントの幅方向両側にある各屋根材の幅方向端部をジョイントの両側壁部300に固定するビス4を備え、両側壁部は下地材に支持される立ち上がり部31、立ち上がり部からジョイントの幅方向中央側、かつ下地材から離れる側へ折曲する傾斜部32、傾斜部における立ち上がり部との折曲点近傍にあり、下地材側に撓む屋根材の幅方向端部を支持する突起部33、傾斜部より下地材から離れた位置にあり、下地材側に開いて屋根材の幅方向先端部が差し込まれる溝部34を備え、ビスは、傾斜部上の屋根材における突起部との接触点より屋根材の幅方向先端側を貫通してジョイントにねじ込まれる。
【選択図】図4

Description

この明細書は、長手状の屋根材同士を幅方向にジョイントを用いて連結する屋根構造およびジョイントに関する。
従来、屋根材が幅方向に互いに隙間を介して敷設され、該隙間にレール状の吊子が設けられるとともに、太陽電池モジュールが吊子間に架設される屋根構造が知られる(例えば、特許文献1)。
図17は、特許文献1の屋根構造を示す断面図である。
特許文献1では、吊子10は、幅方向(図17中左右方向)に隣接する塗覆装鋼板20間の隙間に配置され、塗覆装鋼板20の幅方向端部同士の連結に用いられるとともに、太陽電池モジュール90の架台としても用いられる。吊子10は角筒状であり、天面部101には一対の張り出し部13により、図17の紙面垂直方向に延びる開口部14が形成される。
吊子10には長手状のインナーキャップ30が嵌められる。インナーキャップ30は、張り出し部13上に配置される押さえ部32と、押さえ部32から開口部14を介して吊子10内に配置されて張り出し部13の裏面に圧接する角筒状の突起部31とを備える。太陽電池モジュール90の固定金具50の一端側は、開口部14を介して吊子10内に延び、張り出し部13(突起部31)の裏面に係止される。
特許文献1では、塗覆装鋼板20の幅方向両端部はクランク状に形成され、吊子10の側壁102に沿うとともに、先端は吊子10の張り出し部13上に配置される。特許文献1では、塗覆装鋼板20の幅方向先端部が吊子10の張り出し部13およびインナーキャップ30の押さえ部32に狭持されることで、塗覆装鋼板20と吊子10との間への水の侵入が防止される。
特開2010−138634号公報
特許文献1の屋根構造では、塗覆装鋼板20の吊子10への固定および塗覆装鋼板20と吊子10との間への水の侵入防止にインナーキャップ30が用いられるため、その分、コストがかかるとともにインナーキャップ30の設置に手間がかかるという問題がある。
この明細書は、長手状の屋根材同士を幅方向にジョイントを用いて連結する屋根構造において、コストを低減でき、かつ施工を容易にできる技術を提供することを目的とする。
本発明の屋根構造は、長手状で可撓性を有し、下地材上にて幅方向に互いに隙間を介して敷設される屋根材と、長手状に形成されて前記下地材上における前記隙間に配置されるジョイントと、前記ジョイントの幅方向両側にある前記各屋根材の幅方向端部を、前記ジョイントの幅方向の両側壁部に固定するビスと、を備え、前記両側壁部は、前記下地材に支持される立ち上がり部と、前記立ち上がり部から前記ジョイントの幅方向中央側、かつ前記下地材から離れる側へ折曲する傾斜部と、前記傾斜部における前記立ち上がり部との折曲点近傍にあり、前記下地材側に撓む前記屋根材の幅方向端部を支持する突起部と、前記傾斜部より前記下地材から離れた位置にあり、前記下地材側に開いて前記屋根材の幅方向先端部が差し込まれる溝部と、を備え、前記ビスは、前記傾斜部上の前記屋根材における前記突起部との接触点より前記屋根材の幅方向先端側を貫通して前記ジョイントにねじ込まれることを特徴とする。
本発明のジョイントは、長手状に形成され、幅方向両側にある各屋根材の幅方向端部が両側壁部にビスにより固定されるためのジョイントであって、前記両側壁部は、長手方向および幅方向に直交する立ち上がり方向に延び、基端部が屋根材に支持されるための立ち上がり部と、前記立ち上がり部から幅方向中央側、かつ前記基端部から離れる側へ折曲する傾斜部と、前記傾斜部における前記立ち上がり部との折曲点近傍にあり、前記基端部側に撓む前記屋根材の幅方向端部を支持するための突起部と、前記立ち上がり方向において前記立ち上がり部と前記傾斜部を挟んで反対側にあり、前記立ち上がり部側に開いて前記屋根材の幅方向先端部が差し込まれるための溝部と、を備え、前記傾斜部は、前記屋根材において前記突起部との接触点より前記屋根材の幅方向先端側を貫通するビスが当該傾斜部を介して前記ジョイントにねじ込まれるためのものであることを特徴とする。
本発明によれば、先端が溝部に差し込まれた状態の屋根材の幅方向端部がビスによりジョイントに固定されるので、屋根材を固定するためのキャップを用いることなく簡素な構成で屋根材同士を幅方向に連結できるとともに、屋根材とジョイントとの間への水の侵入防止を図ることができる。ジョイントの傾斜部に突起部があるので、傾斜部と屋根材との間に十分な大きさの隙間を設けることができ、屋根材と傾斜部との間で毛細管現象が生じることを抑制できる。そのため雨仕舞いを良好にできる。
本発明によれば、屋根材のジョイントへの固定を、幅方向端部を溝部に差し込んでビス止めすることにより行うので、屋根材の幅方向端部にキャップへ差し込むための折り目やハゼ組みのための折り目を付けることを不要にできる。そのため、本発明によれば、現場で容易に屋根材を作成できるようになり、低コスト化を図ることができる。また、本発明によれば、屋根材のジョイントへの固定が容易で、従来のように屋根材の固定のためのインナーキャップを設置することを不要にできるので、従来に比べ施工が容易になる。
本発明では、前記屋根材および前記ジョイントは、屋根の流れ方向に設けられ、前記立ち上がり部の側方には、前記立ち上がり部、前記屋根材の幅方向端部、および前記下地材により囲まれて前記流れ方向に延び前記流れ方向下方側で外部と連通する空間があり、前記空間内において、前記流れ方向に延び前記立ち上がり部との間にある水を前記流れ方向下方に流して前記外部に排水するための排水用側壁部があることが好ましい。
本発明では、前記ジョイントは、底部がビスによって前記下地材に対して固定される筒状部を備え、前記筒状部の幅方向の両側壁部には前記溝部が設けられるとともに前記傾斜部が接続し、前記筒状部は、前記傾斜部および前記立ち上がり部によって前記下地材から浮いた状態で支持されることが好ましい。
本発明では、前記筒状部は、略角筒状に形成され、天面部には長手方向に延びる開口部が形成され、前記ジョイント間には、太陽電池モジュールが架設されるとともに、前記太陽電池モジュールを前記ジョイントに対して固定するための固定部材の一端側が前記開口部を挿通して前記天面部の裏面に係止されることが好ましい。
本発明では、前記下地材上において、前記ジョイント間における屋根の棟から軒先まで至る領域は、1枚の前記屋根材によって覆われ、前記屋根材および前記ジョイントは、既存の屋根材上に防水シート材および断熱材を介して設置され、前記下地材は、前記既存の屋根材、前記防水シート材、および前記断熱材を備えることが好ましい。
第1実施形態の屋根構造を示す斜視図である。 鋼板コイルに形成された柄用の溝および折り目用の溝を示す図である。 柄用の溝および折り目用の溝の変形例を示す図である。 下地材の構成および縦ジョイントの横断面を示す図である。 屋根材と傾斜部の間の隙間を示す図である。 突起部が無い場合に屋根材と傾斜部の間に形成される隙間を示す図である。 屋根材および縦ジョイントの第1段階の施工内容を示す拡大斜視図である。 第2段階の施工内容を示す拡大斜視図である。 第3段階の施工内容を示す拡大斜視図である。 第4段階の施工内容を示す拡大斜視図である。 第2実施形態の縦ジョイントにかぶせるキャップを示す断面図である。 変形例のキャップを示す断面図である。 キャップ形状の変形例を示すキャップの断面図である。 固定方法の変形例を示すキャップの断面図である。 変形例の縦ジョイントの横断面を示す図である。 突出部および捨板の変形例を示す断面図である。 特許文献1の屋根構造を示す断面図である。
以下、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、屋根構造100を示す斜視図である。
本実施形態の屋根構造100は、心木なし瓦棒葺きの屋根構造であるが、従来は屋根材の吊子への固定をキャップを用いて行うところ、本実施形態ではビス4を用いて行う点が特徴の1つとなっている。以下、吊子に対応する部材を縦ジョイントと呼ぶ。図1の縦ジョイント3および屋根材2の軒先側は、左側から2つ目までは該軒先側の施工の第1段階を示しており、左側から3つ目、4つ目は第2段階を示しており、左側から5つ目、6つ目は第3段階を示しており、左側から7つ目〜9つ目は第4段階を示している。図1にて丸で囲む部分は施工の各段階を示す部分であり、後に図7〜10にて拡大して示すとともに、該図7〜10を用いて各段階の施工内容について説明する。
屋根構造100は、既存の屋根上に施工され、下地材1(図4)、屋根材2、縦ジョイント3、キャップ30、ビス4、棟板5、および太陽電池モジュール6(図4)を備える。下地材1およびキャップ30については後述する。
縦ジョイント3は、アルミ製であり長手状に形成される。縦ジョイント3は、屋根の流れ方向に沿って下地材1上における屋根材2間の隙間に配置される。縦ジョイント3の幅方向の両側壁部300には、屋根材2の幅方向端部がビス4により固定される。なお、縦ジョイント3は例えば樹脂製であってもよく、適宜の材料により形成されていてよい。
棟板5は、長手状、かつ断面視V字状の部材であり、縦ジョイント3の上端部間に亘って桁方向(図1中左右方向)に取り付けられる。
屋根材2は、金属製であり、長手状で可撓性を有する。屋根材2は、屋根の流れ方向に沿って、かつ下地材1上にて幅方向に互いに隙間を介して敷設される。屋根材2は、施工対象の屋根の棟から軒先までを葺くことが可能な所定の長さに鋼板コイルを施工現場で切断したものである。屋根材2は、縦ジョイント3より長い。下地材1上において、縦ジョイント3間における屋根の棟から軒先まで至る領域は、1枚の屋根材2によって覆われる。
図2は、鋼板コイルに形成された柄用の溝21および折り目用の溝22を示す図である。
鋼板コイルには、屋根材2の柄を形成する浅い溝21が形成されている。柄用の溝21は、本実施形態では幅方向に延びる直線状であり、鋼板コイルの長手方向に所定間隔で形成されている。この溝21が形成する柄により、屋根材2に傷や汚れがついても目立たなくできる。
鋼板コイルの幅方向両側には、長手方向に延びる直線状の溝22がそれぞれ2本ずつ形成されている。これらの溝22は屋根材2の折り目となる。屋根材2は、これらの溝22に沿って予め両端部が内側に折り曲げられる。そして、屋根材2は、両端部が、縦ジョイント3の側壁部300にある後述する溝部34(図4)に差し込まれ、凹状に撓んだ状態で設置される。この際、本実施形態では、予め屋根材2の両端部を内側に折り曲げた状態にしておくので、屋根材2の両端部を撓ませやすく、屋根材2の設置の作業性を良好にできる。なお、本実施形態は、鋼板コイルの幅方向端側に溝22を2本形成した例で説明するが、溝22は、屋根材2の幅方向端部をどれほど湾曲させたいかや溝22の形成の手間等を勘案して適宜の本数を形成してよい。
図3の(A)〜(L)は、柄用の溝21および折り目用の溝22の変形例を示す図である。
屋根材2の柄は、適宜のものを採用できる。屋根材2の柄は、例えば、図3の(A)、(I)、(J)に示すように、屋根材2の幅方向に延びる波状の溝21からなるものであってもよいし、図3の(B)、(E)に示すように、屋根材2の幅方向に複数列ある平面視V字の溝21からなるものであってもよい。また、屋根材2の柄は、図3の(C)、(H)、(K)、(L)に示すように、屋根材2の幅一杯にまでは至らない長さの直線状の溝21が様々なパターンで配列されて形成されるものであってもよい。さらに、屋根材2の柄は、図3の(D)、(F)に示すように、屋根材2の幅方向に対して斜めに配置された直線状の溝21から形成されるものであってもよいし、図3の(G)に示すように、屋根材2の幅方向に延びて両端が長手方向一方側に曲がった直線状の溝21からなるものであってもよい。
図4は、下地材1の構成および縦ジョイント3の横断面を示す図である。
下地材1は、外観を構成する仕上げ材としての屋根材2を取り付けるための部材である。屋根材2は、既存の屋根構造11上に防水シート材であるアスファルトルーフィング12(以下、ルーフィングと記載)および断熱材13を介して設けられる。本実施形態では、下地材1は、この既存の屋根構造11、ルーフィング12、および断熱材13を含んで構成される。既存の屋根構造11は、不図示の垂木上に設けられる野地板111、野地板111上に設けられる既存のルーフィング112、および既存の屋根材113を備える。
縦ジョイント3は、後述する捨板7を介して下地材1上に設けられ、ビス91により固定される。縦ジョイント3は、屋根材2の幅方向の端部同士の連結に用いられる他、太陽電池モジュール6の架台としても用いられる。縦ジョイント3は、立ち上がり部31、傾斜部32、突起部33、溝部34、および筒状部35を備える。縦ジョイント3は左右対称であり、各要素31〜34はそれぞれ一対ある。
立ち上がり部31は、縦壁部311と、縦壁部311の下端部(基端部)からジョイント3の内方側に曲がる曲部312とを備え、下地材1に支持される。また、立ち上がり部31は、別の表現を用いると、縦ジョイント3の長手方向および幅方向に直交する立ち上がり方向(図4中上下方向)に延び、基端部が下地材1に支持される。
傾斜部32は、立ち上がり部31の上端から縦ジョイント3の幅方向中央側、かつ下地材1から離れる側へ折曲して延び、筒状部35の下側に接続する。
突起部33は、傾斜部32における立ち上がり部31との折曲点近傍にあり、下地材1側に撓む屋根材2の幅方向端部を支持する。この突起部33により、傾斜部32と屋根材2との間に十分な隙間S1が形成される(図5参照)。ここで、立ち上がり部31の側方には、立ち上がり部31、屋根材2、および下地材1により断熱空間V1が形成される。また、筒状部35の側方には、筒状部35と屋根材2とにより空間V2が形成される。
図6は、突起部33が無い場合に形成される隙間S2を示す図である。
突起部33が無い場合、傾斜部32上に屋根材2が直接当接し、当接点Pから断熱空間V1側に寄った部分に微小の隙間S2が形成される。この隙間S2に断熱空間V1の湿気により結露が生じて水が溜まると、隙間S2が微小であることから毛細管現象が引き起こされ、隙間S2の水が空間V2側に吸い上げられる。そして、吸い上げられた水がビス4を伝って縦ジョイント3内部に侵入し、縦ジョイント3を固定するビス91(図4)に悪影響を与えるおそれがある。
このような問題に対し、本実施形態では、突起部33により、傾斜部32と屋根材2との間に十分な大きさの隙間S1が形成されるので、屋根材2と傾斜部32との間で毛細管現象が生じることを抑制でき、雨仕舞いを良好にできる。
図4に戻って筒状部35は、上側の方が下側より幅が広い段付き角筒状に形成され、傾斜部32および立ち上がり部31によって下地材1から浮いた状態で支持される。筒状部35の側壁部351において、前記段付き部分を利用して下地材1側に開いた溝部34が形成される。
溝部34は、傾斜部32より下地材1から離れた位置にあり(別の表現を用いると、立ち上がり方向(図4中上下方向)において立ち上がり部31と傾斜部32を挟んで反対側にあり)、下地材1側に開いて屋根材2の幅方向先端部が差し込まれる。このように、本実施形態では、屋根材2の幅方向端部は、突起部33に支持され、先端が溝部34に差し込まれた状態となる。そして、ビス4が、傾斜部23上の屋根材2における突起部33との接触点より屋根材2の幅方向先端側を貫通して縦ジョイント3にねじ込まれる。これより、本実施形態では、屋根材2の幅方向端部が縦ジョイント3の側壁部300に固定される。
なお、ビス4として例えばタッピングビスを用いることができる。また、屋根材2の幅方向端部の2本の溝22は、突起部33との接触点よりも屋根材2の幅方向内側に位置する。この溝22部分で屋根材2の幅方向端部に予め折り目をつけておくことができるので、本実施形態では、前述したように、屋根材2の幅方向端部を溝部34に差し込む際の作業性を良好にできる。
筒状部35の底部352には、縦ジョイント3の内方に突出する台座部3521がある。縦ジョイント3は、台座部3521に打ち込まれるビス91により下地材1に固定される。台座部3521は、ビス91の挿通点を高い位置にし、雨仕舞いを良好にする役割を果たす。ビス91は例えばタッピングビスを用いることができる。筒状部35の天面部353には、図4の紙面垂直方向に開口部354が延びる。
縦ジョイント3間には、太陽電池モジュール6、具体的には、太陽電池パネル本体を屋根構造100に取り付けるための横桟木61、が架設される。
横桟木61は、縦ジョイント3に対して固定部材92により固定される。固定部材92は、ボルト921、ナット922,923、および押さえキャップ924を備える。
ボルト921は、天面部353の裏面に係止され、軸部が開口部354、横桟木61、および押さえキャップ924を挿通する。ナット922はボルト921に締結され、横桟木61を縦ジョイント3に対して固定する。押さえキャップ924は、長手状かつ断面視コ字状に形成され、下方側が開いた姿勢で横桟木61上に設置される。ナット923はボルト921に締結され、押さえキャップ924を縦ジョイント3に対して固定する。押さえキャップ924により開口部354への水の浸入が防止される。
断熱空間V1は、前述したように、立ち上がり部31の側方にあり、立ち上がり部31、屋根材2、および下地材1により囲まれた空間からなる。断熱空間V1は、流れ方向下方側で外部と連通する(図9参照)。断熱空間V1は、屋根材2と下地材1との間に空気層を形成し、屋根構造100の断熱効果を向上させる。
捨板7は、縦ジョイント3と同様の長さを有する。捨板7は、平板状の本体71と、本体71の幅方向中央部に形成されて下地材1から離れる側に突出する台座部72と、本体71の幅方向両端縁から斜めに立ち上がる排水用側壁部73とを備える。台座部73にはビス91が挿通する。台座部73は、ビス91の挿通点を高い位置にし、雨仕舞いを良好にする役割を果たす。
排水用側壁部73は、断熱空間V1内において流れ方向に延びる。排水用側壁部73は、立ち上がり部31との間にある水を流れ方向下方に流して外部に排水する。一対の排水用側壁部73は、縦ジョイント3の立ち上がり部31の幅分、離れて設けられる。これにより、本実施形態では、縦ジョイント3を捨板7上に載置するだけで縦ジョイント3が排水用側壁部73間に納まり、縦ジョイント3および排水用側壁部73を下地材1に対して一体的に位置決めできる。
以下、屋根材2および縦ジョイント3の軒先側の施工方法を説明する。
図7は、屋根材2および縦ジョイント3の第1段階の施工内容を示す拡大斜視図である。
第1段階の施工では、縦ジョイント3を下地材1上に捨板7を介して設置し、屋根材2の幅方向端部を縦ジョイント3にビス止めする。この際、縦ジョイント3は、流れ方向下端が下地材1の流れ方向下端とほぼ一致する位置に設置される。また、屋根材2の流れ方向下端部は、下地材1の流れ方向下端よりも流れ方向下方に突出する。
図8は、第2段階の施工内容を示す拡大斜視図である。
第2段階の施工では、屋根材2の突出部分において縦ジョイント3周りを切断する。
図9は、第3段階の施工内容を示す拡大斜視図である。
第3段階の施工では、屋根材2において軒側に突出した部分を折り曲げて処理する。
図10は、第4段階の施工状態を示す拡大斜視図である。
第4段階の施工では、縦ジョイント3の流れ方向下端にキャップ30を取り付け、キャップ30により縦ジョイント3の内部空間および屋根材2と下地材1との間の断熱空間V1を覆う。キャップ30は、縦ジョイント3の側壁部300に当接する当接部301を備える。当接部301を縦ジョイント3にビス留めすることにより、キャップ30を縦ジョイント3に固定する。
以上により、屋根材2および縦ジョイント3の軒先側の施工が完了する。
ここで従来、屋根材として工場生産の金属製のものを用いる場合において、該屋根材を葺く方向(以下、例として流れ方向とする)の屋根の長さがトラックの運搬規制以上である場合、屋根の流れ方向を複数枚の屋根材で葺くこととなるため、屋根の継目が雨漏れの要因となるという問題がある。また、継目の部分が雨仕舞いを劣化させるので、このような従来の施工方法は、雨水の流れが悪い緩勾配の屋根には適用が難しいという問題がある。
また、屋根の流れ方向を1枚の屋根材で葺く場合において、屋根材の長さがトラックの運搬規制以上である場合、屋根材を現場で制作する必要がある。従来、屋根材の幅方向端部同士は、吊子を介して連結するかハゼ組みにより連結する。吊子を介した連結では、背景技術で説明したように、事前に屋根材の幅方向端部をクランク状等に折り曲げる必要がある。ハゼ組では、屋根材の幅方向端部同士を重ねて折り曲げる必要がある。
そのため、屋根の流れ方向を1枚の屋根材で葺く場合、従来の施工方法では、現場で鋼板コイルを切断した後に鋼板の幅方向端部を成型機等で折り曲げる必要があるので場所と費用がかかる。そのため、従来の施工方法は一般住宅に適用することが難しく、大型物件に対してしか適用できないという問題がある。
従来、リフォームの際に既存の屋根構造上に太陽電池モジュールを設置する場合、太陽電池モジュールの取付金具を屋根に固定するためにリフォーム後の屋根にビスをねじ込む施工方法が一般的である。発泡スチロール等の断熱材が屋根に用いられている場合、発泡スチロール等の断熱材は経年により痩せるため、ビスをねじ込む従来の施工方法では断熱材の強度把握が重要になる。よって、従来の施工方法では、断熱材の強度を把握できるリフォーム時には太陽電池モジュールを設置できるが、太陽電池モジュールの設置を、屋根の新規の設置時から数年経た後に行う場合や屋根のリフォーム時から数年経た後に行う場合、断熱材の強度が不明のため設置が難しいという問題がある。
従来、太陽電池モジュールの設置を、屋根材を掴むタイプの取付金具を用いて行う施工方法もある。しかしながら、この施工方法は、屋根材の表面を取付金具が著しくキズ付けるという問題がある。また、この施工方法は、屋根にビスをねじ込む従来の施工方法と同様、屋根の下地材の強度が良好でなければ実行できないので、屋根の新規の設置時から数年経た場合や屋根のリフォーム時から数年経た場合、屋根の強度把握が難しくやはり設置が難しいという問題がある。
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態では、先端が溝部34に差し込まれた状態の屋根材2の幅方向端部をビス4により縦ジョイント3に固定する。そのため、キャップを用いることなく簡素な構成で屋根材2同士を幅方向に連結できるとともに、屋根材2と縦ジョイント3との間への水の侵入防止を図ることができる。縦ジョイント3の傾斜部32に突起部33があるので、傾斜部32と屋根材2との間に十分な大きさの隙間S1を設けることができる。そのため、屋根材2と傾斜部32の間で毛細管現象が生じることを抑制でき、雨仕舞いを良好にできる。
(2)本実施形態では、屋根材2を固定するためのビス4を縦ジョイント3にねじ込むので、ビス4を直接野地板111等の下地材1に打ち込む施工方法に比べ、下地材1に穴を開けることがない分、雨仕舞いを良好にできる。
(3)本実施形態では、屋根材2の縦ジョイント3への固定は、幅方向端部を溝部34に差し込んでビス止めすることにより行うため、鋼板に複雑な折り目を付けることを不要にできる。そのため、本実施形態では、現場で容易に屋根材2を作成でき、低コスト化を図ることができるとともに一般住宅にも適用可能となる。
本実施形態では、鋼板コイルを切断して屋根材2を制作するので、屋根材2の長さを施工対象の屋根の長さに指定できる。従って、本実施形態では、材料のロスを少なくでき、低コスト化を十分に図ることができる。
(4)本実施形態では、現場に鋼板コイルを持ち込んで屋根材2を制作することにより、縦ジョイント3間の棟から軒先までを1枚の屋根材2で葺くことを低コストで行うことができる。そのため、本実施形態では、一般住宅の施工においても屋根の流れ方向における継目を不要にでき、雨仕舞いを良好にできる。これにより本実施形態は一般住宅の緩勾配の屋根にも適用できる。
(5)本実施形態では、屋根材2の幅方向端部を縦ジョイント3の溝部34に差し込んでビス止めするだけで屋根材2を固定でき、屋根材の固定のためのインナーキャップを設置することを不要にできるので、屋根構造100の施工を簡単かつ迅速にできる。
(6)屋根材2がビス止めされる傾斜部32は、立ち上がり部31によって、屋根材2上にたまる雨水より上方に保持されるので、雨仕舞いを良好にできる。
(7)縦ジョイント3、屋根材2、および下地材1によって囲まれた断熱空間V1が屋根材2と下地材1との間に空気層を形成するので、屋根構造100の断熱性能を向上できる。
(8)屋根材2と縦ジョイント3の間の断熱空間V1には排水用側壁部73があるので、屋根材2と縦ジョイント3の間に万が一雨水が浸入した場合でも、排水用側壁部73によって雨水を外部へ排出できる。また、排水用側壁部73を縦ジョイント3の幅分、離して設けることで、縦ジョイント3を、排水用側壁部73を捨板7に対して固定するためのガイドとしても機能させることができ、捨板7および縦ジョイント3を下地材1に対して一体的に位置決めできる。
(9)本実施形態では、縦ジョイント3を太陽電池モジュール6の架台として用いることができるので、下地材1の強度にかかわらず太陽電池モジュール6を設置でき、太陽電池モジュール6を屋根の設置後に後付けできる。
従来は、太陽電池モジュール6の設置のために下地材1の強度を確保する必要があり、断熱材13に制約があったが(断熱材として発泡スチロールを用いる場合、断熱材の強度を確保するために断熱材の設置からさほど時間を経ていないことが必要)、本実施形態では、縦ジョイント3を太陽電池モジュール6の架台として用いることができるので、断熱材13の制約がなくなる。
(10)縦ジョイント3が所定の間隔で設けられるので、縦ジョイント3間に取り付ける屋上設備の形状によっては、桟木61を用いずに直接屋上設備を縦ジョイント3に取り付けることができる。なお、屋上設備として本実施形態では太陽電池モジュール6を例示したが、屋上設備は太陽熱温水器モジュール等であってもよい。
(第2実施形態)
図11は、縦ジョイント3にかぶせるキャップ8Aを示す断面図である。
本実施形態の屋根構造100Aでは、太陽電池モジュール6が縦ジョイント3上に設置されず、縦ジョイント3に開口部354への水の浸入を防止するキャップ8Aが被せられる。
キャップ8Aは、長手状、かつ断面視コ字状である。キャップ8Aは、開口部354への水の浸入を防ぐカバー部81と、カバー部の幅方向(図11中左右方向)端縁部から鉛直に下方に延びる側壁部82とを備える。キャップ8Aは、縦ジョイント3に上方から嵌め込まれ、側壁部82がビス93で縦ジョイント3に固定される。本実施形態の他の構成は第1実施形態と同様である。
図12,13は、キャップ形状の変形例を示すキャップ8B,8Cの断面図である。
キャップ8B,8Cの形状は適宜でよく、カバー部81が断面視V字状であってもよいし断面視半円状であってもよい。
図14は、固定方法の変形例を示すキャップ8Dの断面図である。
キャップ8Dの側壁部82下端に、筒状部351の溝34に差し込まれるV字状のフック部83が設けられていてもよい。図11〜図13の各例ではキャップ8A〜8Cはビス止めされていたが、キャップ8Dはフック部83により縦ジョイント3に取り付けられていてもよい。
(変形例)
前記実施形態では、屋根構造100は既存の屋根上に設置されるものであったが、屋根構造は垂木上に屋根材を介さず直接新規に施工されるものであってもよい。
前記実施形態では、屋根材2は金属製であったが樹脂製であってもよい。
前記実施形態では、ジョイント3(縦ジョイント3)および屋根材2は流れ方向に設置されたが、ジョイントおよび屋根材は桁方向に設置されてもよい。
図15は、変形例の縦ジョイント3の横断面を示す図である。
底部352の幅方向端縁部から下方に、かつ傾斜部32と平行に突出部3522が突出していてもよい。突出部3522は、図15中紙面垂直方向に沿って延びる。突出部3522には、傾斜部32を挿通するビス4がねじ込まれる。
図16は、突出部3522および捨板7の変形例を示す図である。
突出部3522は底部352から真下に突出していてもよい。捨板7において、排水用側壁部73は、縦ジョイント3のガイド機能を有していなくてもよく、縦ジョイント3の立ち上がり部31から側方に離れた位置にあってもよい。また、底部352や捨板7に、ビス91の挿通点を高い位置にするための台座部3521、72を設けなくてもよい。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
1…下地材、2…屋根材、3…ジョイント、4…ビス、6…太陽電池モジュール、12…アスファルトルーフィング(防水シート材)、13…断熱材、31…立ち上がり部、32…傾斜部、33…突起部、34…溝部、35…筒状部、73…排水用側壁部、92…固定部材、100,100A〜100F…屋根構造、113…既存の屋根材、300…ジョイントの側壁部、354…天面部、354…開口部、V1…断熱空間(空間)。

Claims (6)

  1. 長手状で可撓性を有し、下地材上にて幅方向に互いに隙間を介して敷設される屋根材と、
    長手状に形成されて前記下地材上における前記隙間に配置されるジョイントと、
    前記ジョイントの幅方向両側にある前記各屋根材の幅方向端部を、前記ジョイントの幅方向の両側壁部に固定するビスと、を備え、
    前記両側壁部は、
    前記下地材に支持される立ち上がり部と、
    前記立ち上がり部から前記ジョイントの幅方向中央側、かつ前記下地材から離れる側へ折曲する傾斜部と、
    前記傾斜部における前記立ち上がり部との折曲点近傍にあり、前記下地材側に撓む前記屋根材の幅方向端部を支持する突起部と、
    前記傾斜部より前記下地材から離れた位置にあり、前記下地材側に開いて前記屋根材の幅方向先端部が差し込まれる溝部と、を備え、
    前記ビスは、前記傾斜部上の前記屋根材における前記突起部との接触点より前記屋根材の幅方向先端側を貫通して前記ジョイントにねじ込まれる
    ことを特徴とする屋根構造。
  2. 請求項1に記載の屋根構造において、
    前記屋根材および前記ジョイントは、屋根の流れ方向に設けられ、
    前記立ち上がり部の側方には、前記立ち上がり部、前記屋根材の幅方向端部、および前記下地材により囲まれて前記流れ方向に延び前記流れ方向下方側で外部と連通する空間があり、前記空間内において、前記流れ方向に延び前記立ち上がり部との間にある水を前記流れ方向下方に流して前記外部に排水するための排水用側壁部がある
    ことを特徴とする屋根構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の屋根構造において、
    前記ジョイントは、底部がビスによって前記下地材に対して固定される筒状部を備え、前記筒状部の幅方向の両側壁部には前記溝部が設けられるとともに前記傾斜部が接続し、前記筒状部は、前記傾斜部および前記立ち上がり部によって前記下地材から浮いた状態で支持される
    ことを特徴とする屋根構造。
  4. 請求項3に記載の屋根構造において、
    前記筒状部は、略角筒状に形成され、天面部には長手方向に延びる開口部が形成され、
    前記ジョイント間には、太陽電池モジュールが架設されるとともに、前記太陽電池モジュールを前記ジョイントに対して固定するための固定部材の一端側が前記開口部を挿通して前記天面部の裏面に係止される
    ことを特徴とする屋根構造。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の屋根構造において、
    前記下地材上において、前記ジョイント間における屋根の棟から軒先まで至る領域は、1枚の前記屋根材によって覆われ、
    前記屋根材および前記ジョイントは、既存の屋根材上に防水シート材および断熱材を介して設置され、
    前記下地材は、前記既存の屋根材、前記防水シート材、および前記断熱材を備える
    ことを特徴とする屋根構造。
  6. 長手状に形成され、幅方向両側にある各屋根材の幅方向端部が両側壁部にビスにより固定されるためのジョイントであって、
    前記両側壁部は、
    長手方向および幅方向に直交する立ち上がり方向に延び、基端部が屋根材に支持されるための立ち上がり部と、
    前記立ち上がり部から幅方向中央側、かつ前記基端部から離れる側へ折曲する傾斜部と、
    前記傾斜部における前記立ち上がり部との折曲点近傍にあり、前記基端部側に撓む前記屋根材の幅方向端部を支持するための突起部と、
    前記立ち上がり方向において前記立ち上がり部と前記傾斜部を挟んで反対側にあり、前記立ち上がり部側に開いて前記屋根材の幅方向先端部が差し込まれるための溝部と、を備え、
    前記傾斜部は、前記屋根材において前記突起部との接触点より前記屋根材の幅方向先端側を貫通するビスが当該傾斜部を介して前記ジョイントにねじ込まれるためのものである
    ことを特徴とするジョイント。
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