JP2015004086A - 未溶融鉱石検出方法及び高炉操業方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高炉1の複数の羽口2にそれぞれ圧力計11を設置し、複数の圧力計11で羽口圧力値をそれぞれ測定する。そして、測定した複数の羽口圧力値の非同期的な変動を検出したとき、羽口部に未溶融鉱石が付着していると判断する。このとき、複数の羽口圧力値の平均値を当該羽口圧力値の同期成分として採用し、各羽口圧力値から同期成分(平均値)をそれぞれ減算することで、上記羽口圧力値の非同期成分を抽出する。
【選択図】図3
Description
そこで、本発明は、低コスト、低メンテナンスで未溶融鉱石を検出する未溶融鉱石検出方法、及びそれを用いた高炉操業方法を提供することを課題としている。
このように、複数の羽口圧力値の平均値を算出することで、複数の羽口圧力値の同期成分を抽出することできる。したがって、当該平均値を各羽口圧力値から減算して圧力差分値を算出することで、羽口圧力値の非同期成分を抽出することができる。したがって、圧力差分値が許容値以上に変動しているかを監視することで、適切に複数の羽口圧力値の非同期的な変動を検出することができる。
このように、複数の羽口圧力値の中央値を、複数の羽口圧力値の同期成分として採用し、非同期的な変動を検出する。これにより、使用する羽口圧力値が比較的少ない場合であっても、当該同期成分を適切に抽出することができる。そのため、複数の羽口圧力値の非同期的な変動を安定して検出することができる。
このように、圧力差分値の2階微分をとることで、当該圧力差分値の変動を効率的に検知することができる。複数の羽口圧力値の時間平均値はそれぞれ異なる値となるため(ベースが異なるため)、同期成分を減算しただけの圧力差分値に対しては閾値処理を適用することができない。上記のように2階微分をとることでベースを揃えることができ、閾値処理を適用することができ、容易に当該圧力差分値の変動を検知することができる。
このように、未溶融鉱石検出結果に基づいて操業条件を調整することができるので、安定した高炉操業を実現することができる。
また、未溶融鉱石検出結果に基づいて炉頂装入物分布を調整するので、高炉を安定的に稼動することができ、生産性の向上と燃料比の低下とを図ることができる。
図1は、本実施形態の高炉操業方法が適用された高炉の全体図である。
この図1に示すように、高炉1の羽口2の内側には、炉内に熱風炉からの熱風を送風するための送風管(ブローパイプ)3が接続され、この送風管3を貫通してランス4が設置されている。ランス4からは、炉内に微粉炭、酸素、都市ガスなどの燃料が吹き込まれる。
また、羽口部には、図2に示すように、オペレータが炉内を監視するための炉内監視用窓6が形成されている。そして、炉内監視用窓6近傍には、羽口2の内部の圧力を計測するための圧力計11が設置されている。ここで、圧力計11は、高炉1に設けられた複数の羽口2に対してそれぞれ設置するものとする。
未溶融鉱石20は、レースウェイ5が破壊することにより落下するものであり、一部の未溶融鉱石20は羽口2の先端に付着する。このとき、付着した未溶融鉱石20によって熱風の送風が妨げられ、羽口内部の圧力が上昇する。
また、未溶融鉱石落下検出部12による未溶融鉱石検出結果は、炉頂装入物調整部14にも入力される。炉頂装入物調整部14は、当該検出結果に基づいて、炉頂から装入する装入物分布(鉱石とコークスとの比率)を調整する。例えば、未溶融鉱石20の落下検出結果をもとに、未溶融鉱石20の落下頻度を測定し、測定した落下頻度が基準値以下となるように炉頂装入物分布を調整する。
この図3は、2つの羽口(羽口aと羽口b)に対して圧力値をプロットしたものである。未溶融鉱石20が落下し、羽口aの先端のみに未溶融鉱石20が付着した場合、羽口aにおいて熱風の送風が妨げられるため、図中破線で囲んだ部分に示すように羽口aの圧力が微小に上昇する。そして、その後、未溶融鉱石20が羽口aの先端から自然に剥がれ落ちることで、羽口aの圧力は通常値まで低下する。この羽口aの圧力変動は、羽口bの圧力変動とは非同期の変動となる。
図4は、未溶融鉱石落下検出部12で実行する未溶融鉱石落下検出処理手順を示すフローチャートである。この未溶融鉱石落下検出処理は、所定時間ごとに繰り返し実行するものであり、先ずステップS1で、未溶融鉱石落下検出部12は、各圧力計11で検出した羽口部の圧力値を取得する。
ステップS3では、未溶融鉱石落下検出部12は、前記ステップS1で取得した各羽口圧力値から、前記ステップS2で算出した圧力平均値をそれぞれ減算し、これを圧力差分値としてステップS4に移行する。ここで、羽口圧力値から圧力平均値を減算することは、当該羽口圧力値の非同期成分を抽出することと同義である。
ステップS5では、前記ステップS4で得られた結果に対して閾値処理を行う。ここでは、前記ステップS4で得られた各値が予め設定した閾値(例えば、−3)以下であるか否かを判定する。ここで、上記閾値は、圧力の変動度合いに応じて適宜設定するものとする。
一方、前記ステップS5で、すべての値が閾値を上回っていると判定した場合には、ステップS7に移行し、いずれの羽口部にも未溶融構成20は付着していない(未溶融鉱石非検知)と判断してから未溶融鉱石落下検出処理を終了する。
ここでは、8つの羽口2にそれぞれ圧力計11を設置し、これらの圧力計11で検出した羽口圧力値に基づいて、未溶融鉱石20の検出処理を行う場合について説明する。先ず、未溶融鉱石落下検出部12は、初めに8つの圧力計11で検出した羽口圧力値を取得し(図4のステップS1)、次に取得した8つの羽口圧力値の平均値をとる(ステップS2)。
一方、時刻t2では、1つの羽口部(羽口A)で他の羽口部とは異なる圧力変動が起こる非同期変動が発生している。また、時刻t3でも同様に、1つの羽口部(羽口B)で他の羽口部とは異なる圧力変動が起こる非同期変動が発生している。
次に、未溶融鉱石落下検出部12は、圧力計11で検出した羽口圧力値(図5(a))から、8つの羽口圧力値の平均値(図5(b))を減算する(ステップS3)。8つの羽口圧力値についてこの同期成分を減算する処理を行った結果は、図5(c)に示すようになる。減算処理後の圧力差分値は、非同期変動がない場合は略一定値となり、非同期変動がある場合は、非同期変動が起きている時刻で大きく変動する。
また、時刻t1や時刻t4のように、全ての羽口部で同期して圧力値が変動している場合には、未溶融鉱石20の落下を非検知とすることができる。このように、羽口圧力値から非同期成分を抽出して未溶融鉱石20を検出するので、未溶融鉱石20の誤検出を防止することができる。このように、精度良く未溶融鉱石20を検知することができる。
これに対して、本実施形態では、通常の操業で利用している羽口部の圧力値のみを用いて未溶融鉱石の検知を行うことができる。したがって、未溶融鉱石を検知するための新たな設備を設置するためのコストやメンテナンスの工数がかからない。
このように、単一の羽口圧力値からでは判定することのできない非同期の微小変動を、複数の羽口圧力値を総合的に判定することにより精度良く検知することができる。
なお、上記実施形態においては、同時刻の複数の羽口圧力値の平均値を同期成分として採用する場合について説明したが、使用する羽口圧力値が少ない場合は、1つの羽口の圧力変動が平均圧力値に及ぼす影響が大きいため、同時刻の複数の羽口圧力値の中央値を同期成分として採用することもできる。これにより、安定して非同期成分を抽出することができる。
Claims (5)
- 高炉の羽口部で未溶融鉱石を検出する未溶融鉱石検出方法であって、
複数の前記羽口部の内部の圧力値である羽口圧力値をそれぞれ測定し、
測定した複数の羽口圧力値の非同期的な変動を検出したとき、前記羽口部に未溶融鉱石が付着していると判断することを特徴とする未溶融鉱石検出方法。 - 前記複数の羽口圧力値の平均値を各羽口圧力値からそれぞれ減算した圧力差分値のうち、少なくとも1つが予め設定した許容値以上に変動しているとき、複数の羽口圧力値が非同期的に変動していると判断することを特徴とする請求項1に記載の未溶融鉱石検出方法。
- 前記複数の羽口圧力値の中央値を各羽口圧力値からそれぞれ減算した圧力差分値のうち、少なくとも1つが予め設定した許容値以上に変動しているとき、複数の羽口圧力値が非同期的に変動していると判断することを特徴とする請求項1に記載の未溶融鉱石検出方法。
- 複数の前記圧力差分値をそれぞれ2階微分した結果を予め設定した閾値と比較し、少なくとも1つが前記閾値以下であるとき、前記羽口部に未溶融鉱石が付着していると判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の未溶融鉱石検出方法。
- 前記請求項1〜4の何れか1項に記載の未溶融鉱石検出方法の検出結果に基づいて、炉頂から装入する周辺部の鉱石とコークスとの比率を調整することを特徴とする高炉操業方法。
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