JP7017973B2 - 生下り判定装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉の羽口における生下りを判定する生下り判定装置及び方法に関するものである。
高炉の羽口の内側に設けられたレースウェイで発生する異常現象として、未溶融鉱石である生鉱が羽口の内部を落下する現象である生下りがある。この生下りは、「未溶融鉱石落下」又は「生鉱落下」とも称される。
生下りが発生すると、レースウェイに向けて熱風を吹き込む吹き込み口に、粘性を有する生鉱が滞留するため、送風時の通気性が悪化することから、羽口に接続された送風管が赤熱し、最終的に損傷する可能性がある。生下りの発生を早期に検知できれば、熱風の吹き込みを停止する対策を講じるなど、設備の保護に繋がる利点が期待できる。
また、温度が低い未溶融鉱石の落下は、炉熱の低下を引き起こし、炉冷えに繋がり、銑鉄の生産効率が低下する可能性がある。生下り発生の継続時間及び頻度などを知ることができれば、炉熱との相関調査に繋がるなどの利点が期待できる。
以前は、目視観察による断続的かつ定性的な羽口内異常状態の可否判断がなされてきた。しかし、画像センサによる連続撮像で得られる画像および画像処理により得られる指標値を用いることで、連続的かつ定量的な判断が可能となり、生下りを含む異常発見の高精度化が期待できる。
このような画像センサを用いて羽口内の状態を監視する技術として、従来、特許文献1~3が提案されている。特許文献1~3に記載の技術は、いずれも、羽口に設けられた観察窓に画像センサを配置して画像を取得し、生下り現象の検知を行っている。例えば特許文献1に記載の技術では、輝度及び輝度低下率が、それぞれ閾値と比較されている。例えば特許文献2に記載の技術では、輝度代表値の一定時間当たりの移動平均データの移動標準偏差値が、閾値と比較されている。例えば特許文献3に記載の技術では、現在と過去の輝度差の平均二乗誤差と閾値とが比較され、かつ、現在の平均輝度と閾値とが比較されている。
特許第5867619号公報 特許第5935828号公報 特許第6187387号公報
上記従来の特許文献1~3に記載の技術では、上述のように、輝度、輝度の低下率、輝度代表値の移動標準偏差等の指標値と閾値とが比較されている。しかし、一般に、生下りに起因する輝度変動と、正常な燃焼状態における、輝度ばらつき又は温度変化などによる輝度変動との差異は、比較的小さい。このため、生下り発生か否かの判定に用いる閾値を適切なレベルに設定することが困難となっている。その結果、生下り発生を誤判定するおそれがある。
本発明は、上記問題を解決するもので、生下りに起因する輝度変動に、より高い感度を有する異常判定値を導入することにより、生下りの判定精度を向上することが可能な生下り判定装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は、
高炉の羽口に設けられた監視窓を通して前記高炉の内部が撮像された複数の画像を所定時間毎に取得する画像取得部と、
前記複数の画像から前記所定時間毎の各輝度代表値を算出し、現時点における輝度代表値を含む過去の第1時間幅の第1範囲における前記各輝度代表値からなる第1時系列データを生成し、前記第1時系列データの平均値及び標準偏差を用いて前記第1範囲での前記所定時間毎の各標準化輝度代表値を算出し、現時点における標準化輝度代表値を含む過去の第2時間幅の第2範囲における前記各標準化輝度代表値からなる第2時系列データを生成するデータ生成部と、
前記所定時間毎に生下りを判定するための各異常判定値を、前記所定時間毎の前記各第2時系列データの自己相関関数で算出する異常判定値計算部と、
前記所定時間毎に前記異常判定値が所定の第1閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合に、前記生下りが発生していると判定する生下り判定部と、
を備えるものである。
本発明の第2態様は、
高炉の羽口に設けられた監視窓を通して前記高炉の内部が撮像された複数の画像を所定時間毎に取得する画像取得ステップと、
前記複数の画像から前記所定時間毎の各輝度代表値を算出し、現時点における輝度代表値を含む過去の第1時間幅の第1範囲における前記各輝度代表値からなる第1時系列データを生成し、前記第1時系列データの平均値及び標準偏差を用いて前記第1範囲での前記所定時間毎の各標準化輝度代表値を算出し、現時点における標準化輝度代表値を含む過去の第2時間幅の第2範囲における前記各標準化輝度代表値からなる第2時系列データを生成するデータ生成ステップと、
前記所定時間毎に生下りを判定するための各異常判定値を、前記所定時間毎の前記各第2時系列データの自己相関関数で算出する異常判定値計算ステップと、
前記所定時間毎に前記異常判定値が所定の第1閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合に、前記生下りが発生していると判定する生下り判定ステップと、
を備えるものである。
この第1態様及び第2態様では、下りを判定するための異常判定値が第2時系列データの自己相関関数で算出される。異常判定値に基づき、生下りが発生したか否かが判定される。自己相関関数で算出された異常判定値は、正常な燃焼状態が有する輝度のばらつき又は温度変化による輝度の変動よりも、生下りに起因する比較的大きな輝度変動に対してより高い感度を持つ。このため、第1態様及び第2態様によれば、従来よりも高精度で生下りを判定することが可能となる。また、第1態様及び第2態様によれば、羽口の内部における生下り発生の有無を連続的かつ定量的に判定することが可能である。その結果、人間による断続的かつ定性的な判定に比べて、人的コストを抑えつつ、安定的にかつ高精度で生下り発生を判定することが可能となる。
生下りの時間オーダーに比して長い時間幅の温度変化、結露、送風管内における堆積物の生成などの現象によって、ベースとなる輝度値が変化することもあり得る。異常判定値と閾値とを比較して生下りが発生したか否かを判定する場合には、ベースとなる輝度値が変化すると、閾値を逐一設定し直す必要がある。しかし、この態様によれば、所定時間毎に生成された第1時系列データの各々の平均値及び標準偏差を用いて、動的な標準化輝度代表値がそれぞれ算出されている。したがって、第1時間幅における相対的な輝度値を得ることができる。このため、ベースとなる輝度値の変化が抑制されることから、一定の閾値を用いて生下りが発生したか否かを判定することが可能となる。
また、上記第1態様において、例えば、前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記標準化輝度代表値が所定の第2閾値以下か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下になった場合に、前記生下りが発生していると判定してもよい。
この態様によれば、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下になった場合に、前記生下りが発生していると判定するので、輝度値の低下を招く生下りを高精度で判定することができる
また、上記第1態様において、例えば、前記異常判定値が所定の第1閾値以上である状態が継続する時間である第1継続時間をカウントする第1計時部と、前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下である状態が継続する時間である第2継続時間をカウントする第2計時部とを更に備えてよく
前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記第1継続時間が所定の第3閾値以上か否かを判定し、前記所定時間毎に前記第2継続時間が所定の第4閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下になった場合、かつ、前記第1継続時間が前記第3閾値以上になった場合であって前記第2継続時間が前記第4閾値以上になった場合に、所定時間継続して前記生下りが発生していると判定してもよい。
この態様によれば、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下になった場合、かつ、前記第1継続時間が前記第3閾値以上になった場合であって前記第2継続時間が前記第4閾値以上になった場合に、所定時間継続して前記生下りが発生していると判定するので、第3閾値、第4閾値を適切な値に設定することによって、異常判定部は、例えば所定時間継続して発生している重大な生下りを定することができ、実用上扱いやすくなる。
また、上記第1態様において、例えば、前記データ生成部は、さらに、前記所定時間毎に、現時点における標準化輝度代表値を含む過去の第3時間幅の第3範囲における前記各標準化輝度代表値からなる第3時系列データ移動平均した各標準化輝度移動平均値を算出してもよく、
前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記標準化輝度移動平均値が所定の第2閾値以下か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下になった場合に、前記生下りが発生していると判定してもよい。
この態様によれば、過去の第3時間幅の各標準化輝度代表値からなる第3時系列データで移動平均された標準化輝度移動平均値が、用いられているので、時間的な輝度のばらつきによるノイズを抑えることができる。このため、輝度変動の傾向を捉えやすくなる。その結果、生下り発生の判定精度を向上することが可能となる。
また、上記第1態様において、例えば、前記異常判定値が前記第1閾値以上である状態が継続する時間である第1継続時間をカウントする第1計時部と、前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下である状態が継続する時間である第3継続時間をカウントする第3計時部とを更に備ええもよく、
前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記第1継続時間が所定の第3閾値以下か否かを判定し、前記所定時間毎に前記第3継続時間が所定の第4閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下になった場合、かつ、前記第1継続時間が前記第3閾値以上になった場合であって前記第3継続時間が前記第4閾値以上になった場合に、所定時間継続して前記生下りが発生していると判定してもよい。
この態様によれば、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下になった場合、かつ、前記第1継続時間が前記第3閾値以上になった場合であって前記第3継続時間が前記第4閾値以上になった場合に、所定時間継続して前記生下りが発生していると判定するので、第3閾値、第4閾値を適切な値に設定することによって、異常判定部は、例えば所定時間継続して発生している重大な生下りを定することができ、実用上扱いやすくなる。



また、上記第1態様において、例えば、前記データ生成部は、前記輝度代表値として、前記複数の画像のそれぞれにおける輝度の最大値を用いてもよい。
この態様によれば、輝度代表値として、複数の画像のそれぞれにおける輝度の最大値が用いられているため、羽口に堆積物が溜まって内部が隠された場合でも、堆積物の空いた箇所から、堆積物が無い場合と同レベルの輝度の最大値を得ることができる。
また、上記第1態様において、例えば、前記データ生成部は、前記輝度代表値として、前記複数の画像のそれぞれにおける輝度の平均値を用いてもよい。
この態様によれば、輝度代表値として、複数の画像のそれぞれにおける輝度の平均値が用いられているため、画像における輝度の高低は平均化されてしまうが、生下り発生による輝度の変化を確実に得ることができる。
また、上記第1態様において、例えば、前記生下りが発生したと判定されると、警告を出力する警告制御部を更に備えてもよい。
この態様によれば、生下りが発生したと判定されると、警告が出力されるため、高炉の操作員は、生下り発生に対して適切に対処することができる。
本発明によれば、自己相関関数による異常判定値は、正常な燃焼状態が有する輝度のばらつき又は温度変化による輝度の変動よりも、生下りに起因する比較的大きな輝度変動に対して、より高い感度を持つため、従来よりも高精度で生下りの発生を判定することが可能となる。
本実施形態の生下り判定装置の構成例を概略的に示すブロック図である。 高炉の羽口周辺の構成を概略的に示す図である。 羽口の内部の燃焼状態を概略的に示す図である。 生下り判定装置の動作を概略的に示すフローチャートである。 実際の高炉の羽口においてカメラにより撮像した際の標準化輝度代表値、標準化輝度代表値の移動平均値、及び異常判定値のそれぞれの推移を概略的に示すタイミングチャートである。 実際の高炉の羽口においてカメラにより撮像した際の標準化輝度代表値、標準化輝度代表値の移動平均値、及び異常判定値のそれぞれの推移を概略的に示すタイミングチャートである。 実際の高炉の羽口においてカメラにより撮像した際の標準化輝度代表値、標準化輝度代表値の移動平均値、及び異常判定値のそれぞれの推移を概略的に示すタイミングチャートである。 自己相関関数を説明するタイミングチャートである。
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、同じ構成要素には同じ符号が用いられ、詳細な説明は、適宜、省略される。
(構成)
図1は、本実施形態における生下り判定装置100の構成例を概略的に示すブロック図である。図2は、高炉の羽口周辺の構成を概略的に示す図である。図3は、羽口の内部の燃焼状態を概略的に示す図である。
図2において、高炉11の頂部から鉄鉱石、石灰石、コークス等が高炉11に投入される。高炉11の下部に設けられた羽口13には、送風管14が接続され、送風管14を貫通して、ランス15が設けられている。熱風炉10からの高温空気が送風管14を通して、微粉炭16等がランス15を通して、それぞれ高圧で高炉11内に吹き込まれる。これらの吹き込み先に、レースウェイ17と呼ばれる空洞が形成されており、主に、このレースウェイ17において、コークスが燃焼し、鉄鉱石が還元される。その結果、高炉11の底部に、高温液体状の銑鉄である溶銑12が得られる。
送風管14から分岐した分岐管20の先端には、羽口13の内部を監視するための監視窓21が設けられている。監視窓21の近傍には、カメラ18及びハーフミラー19が配置されている。ハーフミラー19は、監視窓21の正面に配置される。ハーフミラー19は、視野を調整するために光軸が調整可能に構成されてもよい。
カメラ18は、ハーフミラー19、監視窓21、羽口13を介して、羽口13の内部のレースウェイ17を撮像する。カメラ18は、例えば30フレーム/秒の撮像速度で動作する。カメラ18は、例えば画素数が360画素(横)×240画素(縦)の画像を撮像する。カメラ18によって、図3に示されるような羽口13の内側のレースウェイ17が、例えば1秒間に30回連続的に撮像される。
図1に示されるように、生下り判定装置100は、ディスプレイ110、入力部120、警告部130、カメラ18、制御部140を備える。制御部140は、メモリ150と、中央演算処理装置(CPU)160とを含む。本実施形態における生下り判定装置100は、例えば図3に示される羽口13の内側のレースウェイ17の画像を用いて、羽口13の近傍において生下りが発生したか否かを判定する。生下り判定装置100は、例えばパーソナルコンピュータを含む。
ディスプレイ110は、例えば液晶ディスプレイパネルを含む。ディスプレイ110の表示内容は、制御部140によって制御される。なお、ディスプレイ110は、液晶ディスプレイパネルに限られない。ディスプレイ110は、有機EL(electroluminescence)パネルなどの他のパネルを含んでもよい。
入力部120は、例えばマウス又はキーボードを含む。入力部120は、ユーザにより操作されると、その操作内容を示す操作信号を制御部140に出力する。なお、ディスプレイ110がタッチパネル式ディスプレイの場合には、マウス又はキーボードに代えて、タッチパネル式ディスプレイが入力部120を兼用してもよい。
警告部130は、高炉11の操作員に、警告を発するためのものである。警告部130は、赤色LED131と、黄色LED132と、を含む。赤色LED131は、生下りが所定時間継続して発生したときに、操作員に報知するためのものである。黄色LED132は、操作員に警告を発する前に、生下りが発生し始めたときに、操作員の注意を喚起するためのものである。
代替的に、警告部130は、赤色LED131のみを含み、黄色LED132を含まなくてもよい。さらに代替的に、警告部130は、赤色LED131及び黄色LED132に代えて、又は加えて、スピーカ又は電子ブザーを含み、音で操作員に警告するようにしてもよい。
メモリ150は、例えば半導体メモリ等により構成される。メモリ150は、例えばリードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的に消去書き換え可能なROM(EEPROM)などを含む。メモリ150の例えばROMは、CPU160を動作させる本実施形態の制御プログラムを記憶する。
CPU160は、メモリ150に記憶された本実施形態の制御プログラムにしたがって動作することによって、画像取得部161、輝度計算部162(データ生成部の一例に相当)、指標値計算部163(異常判定値計算部の一例に相当)、計時部164、異常判定部165(生下り判定部の一例に相当)、警告制御部166として機能する。
画像取得部161は、カメラ18により撮像された画像を取得する。画像取得部161は、カメラ18により撮像された画像のうち、例えば1枚/秒の画像を取得する。すなわち、画像取得部161は、例えば30フレーム/秒の撮像速度で動作するカメラ18により撮像された画像のうち、30枚ごとに1枚の画像を取得する。
輝度計算部162は、画像取得部161により取得された画像を処理して、現時刻tにおける輝度代表値X(t)を算出する。輝度計算部162は、算出した輝度代表値X(t)をメモリ150に保存する。輝度代表値X(t)は、本実施形態では、360画素(横)×240画素(縦)の各画素の輝度の平均値である。
輝度計算部162は、現時刻tにおける輝度代表値X(t)を含む過去の所定時間W1(第1時間幅の一例に相当)の範囲における輝度代表値X(t)をメモリ150から読み出す。輝度計算部162は、読み出された輝度代表値X(t)を用いて、式(1)で表される輝度代表値の時系列データDn(第1時系列データの一例に相当)を生成する。本実施形態では、例えばW1=60分である。
Dn
={X(t-W1+1),X(t-W1+2),・・・,X(t)} (1)
輝度計算部162は、時系列データDnを用いて、式(2)で表される標準化輝度代表値Xn(t)を算出する。輝度計算部162は、算出した標準化輝度代表値Xn(t)をメモリ150に保存する。
Xn(t)
={X(t)-μ(t)}/σ(t) (2)
但し、μ(t)は、式(3)で表される、時系列データDnの平均値であり、σ(t)は、式(4)で表される、時系列データDnの標準偏差である。
Figure 0007017973000001
Figure 0007017973000002
平均値μ(t)と標準偏差σ(t)とは、それぞれ、時刻tに応じて動的に定まるため、標準化輝度代表値Xn(t)も、時刻tに応じて動的に定まることになる。カメラ18により撮像された羽口13の画像では、生下りの時間オーダーに比して長い時間幅の現象(例えば羽口13又はレースウェイ17における温度変化、結露、送風管14内の堆積物など)によって、ベースとなる輝度値に変化が生じることがあり得る。しかし、時刻tに応じて動的に定まる標準化輝度代表値Xn(t)は、ベースとなる輝度値の変化を追従した上での相対的な値となる性質を有する。このため、生下りの判定に用いる閾値を逐一設定し直す必要がなくなるという利点が生まれる。
したがって、参照する過去データに対する、生下り現象による輝度低下時間分の影響を少なくするために、所定時間W1は、生下り現象に比して十分に長い時間幅に設定されるのが好ましい。例えば、所定時間W1を仮に10分間とした場合、その10分間に生下りが発生して3分間続くとする。この場合、10分間のうち3分間の輝度が低下しているので、その10分間の平均値を算出し、標準偏差を計算すると、ベースとなる輝度値が低下して、元々暗いはずとなってしまう。そこで、本実施形態では、所定時間W1が例えば60分間に設定されて、生下りによる輝度低下の影響を受けにくい時間とされている。すなわち、60分間のうち生下りが3分間続いたとしても、その影響は軽微と考えられる。代替的に、所定時間W1は、60分を超える時間に設定されてもよい。
指標値計算部163は、式(5)で表される、現時刻tの標準化輝度代表値Xn(t)を含む過去の所定時間W2(第2時間幅の一例に相当)の範囲における標準化輝度代表値の時系列データDacf(第2時系列データの一例に相当)を生成する。
Dacf
={Xn(t-W2+1),Xn(t-W2+2),・・・,Xn(t)} (5)
指標値計算部163は、標準化輝度代表値の時系列データDacfを用いて、式(6)で表される自己相関関数を現時刻tの異常判定値Va(t)として算出する。
Figure 0007017973000003
但し、τは自己相関を取る際の遅れ時間である。本実施形態では、τ≧1に設定されている。すなわち、自己相関を取る際の時間幅を互いに1[秒]以上ずらせている。所定時間W2は、生下りの発生による輝度変動の影響が出やすい時間オーダーの時間幅に設定することができる。本実施形態では例えば、W2=10[秒]である。
指標値計算部163は、現時刻tにおける異常判定値Va(t)と予め定められた閾値TH1(第1閾値の一例に相当)とを比較して、
Va(t)≧TH1 (条件1)
が成立するか否かを判定する。また、指標値計算部163は、現時刻tにおける標準化輝度代表値Xn(t)と予め定められた閾値TH2(第2閾値の一例に相当)とを比較して、
Xn(t)≦TH2 (条件2)
が成立するか否かを判定する。指標値計算部163は、判定結果を異常判定部165に通知する。
計時部164(第1計時部の一例に相当)は、上記(条件1)が成立している現時刻tにおける継続時間T1(t)(第1継続時間の一例に相当)をカウントし、継続時間T1(t)と予め定められた閾値TH3(第1時間閾値の一例に相当)とを比較して、
T1(t)≧TH3 (条件3)
が成立するか否かを判定する。また、計時部164(第2計時部の一例に相当)は、上記(条件2)が成立している現時刻tにおける継続時間T2(t)(第2継続時間の一例に相当)をカウントし、継続時間T2(t)と予め定められた閾値TH4(第2時間閾値の一例に相当)とを比較して、
T2(t)≧TH4 (条件4)
が成立するか否かを判定する。計時部164は、判定結果を異常判定部165に通知する。
異常判定部165は、(条件1)及び(条件2)の両方が成立すると指標値計算部163により判定されたときに、生下りが発生し始めたと判定する。異常判定部165は、(条件1)及び(条件2)が成立すると指標値計算部163により判定され、かつ、(条件3)及び(条件4)が成立すると計時部164により判定されたときに、所定時間継続して生下りが発生していると判定する。異常判定部165は、(条件1)及び(条件2)の少なくとも一方が成立しないと指標値計算部163により判定されたときは、生下りが発生していないと判定する。異常判定部165は、判定結果を警告制御部166に通知する。
警告制御部166は、生下りが発生し始めたと異常判定部165によって判定されると、つまり(条件1)及び(条件2)の両方が成立すると、黄色LED132を点灯する。警告制御部166は、所定時間継続して生下りが発生していると異常判定部165によって判定されると、つまり(条件1)~(条件4)の全てが成立すると、赤色LED131を点灯する。
警告制御部166は、警告部130がスピーカ又は電子ブザーを含んでいる場合には、赤色LED131の点灯に代えて、又は加えて、スピーカ又は電子ブザーを作動させてもよい。警告制御部166は、ディスプレイ110に警告メッセージを表示させて、ディスプレイ110を警告部130として機能させてもよい。
警告部130を用いて、警告制御部166によって警告が発せられると、高炉11の操作員は、熱風炉10から高炉11への送風条件を変更するなどの方策により生下りの発生に対処することができる。
例えば、カメラ18により撮像された30フレーム/秒の連続画像を間引いて、画像取得部161が、1枚/秒の画像を取得する場合には、例えば、TH1=2.5、TH2=-2、TH3=5[秒]、TH4=5[秒]に設定してもよい。このように閾値TH1~TH4が設定されると、実際の生下りの発生時点から、(条件1)及び(条件2)の両方が成立するまでに、約5[秒]を要する場合、(条件3)及び(条件4)を合わせると、おおよそ10[秒]以上継続して発生している生下りのみを判定することができる。
なお、本実施形態では、輝度計算部162は、現時刻tにおける輝度代表値X(t)として、各画素の輝度の平均値を用いているが、これに限られない。代替的に、輝度代表値X(t)は、360画素(横)×240画素(縦)の各画素の輝度のうちの最大値でもよい。さらに代替的に、輝度代表値X(t)は、所定時間Nにおける上記平均値又は最大値の移動平均値でもよい。所定時間Nは、例えば10[秒]である。本実施形態では、1[枚/秒]であるので、所定時間Nは、10[枚]の画像ということもできる。本実施形態は、移動平均値を用いていないので、N=1[秒]とも言える。
輝度代表値X(t)として最大値を用いると、生下りが発生したときに、監視窓21から部分的に生下り以外の高輝度領域が見えていると、その高輝度領域の輝度値を取得してしまう。このため、生下りが発生しても輝度値が大きく変化せず、異常判定値Va(t)による生下り判定が鈍くなってしまう可能性がある。一方、輝度代表値X(t)として平均値を用いると、生下りが発生したときに輝度値が変化するので、その問題は解消することができる。しかし、堆積物で監視窓21の下半分が遮蔽されると、生下りが発生していないのに、輝度値が低下してしまうという問題がある。これに対して、輝度代表値X(t)として最大値を用いると、堆積物で監視窓21の下半分が遮蔽されても、高輝度領域の輝度値を取得することができるので、堆積物による影響は少ない。
また、所定時間Nについては、長過ぎると、輝度値の変化が鈍ってしまって、変化量が小さくなり過ぎる可能性がある。一方、短過ぎると、輝度値の変化が急峻になってしまう可能性がある。
また、異常判定部165による生下り発生の判定条件は、上記に限られない。例えば異常判定部165は、(条件1)のみが成立すると生下りが発生したと判定してもよい。但し、(条件1)のみの場合には、鉄鉱石と十分に反応せずに高温に赤熱したコークスが羽口13の近傍に到達したときも、生下り発生と判定してしまう。しかし、(条件2)を付加することによって、異常判定部165は、輝度値の低下を招く生下りのみを精度良く判定することが可能となる。さらに、(条件3)及び(条件4)を付加し、閾値TH3,TH4を適切な値に設定することによって、異常判定部165は、例えば所定時間継続して発生している重大な生下りのみを判定することができ、実用上扱いやすくなる。
また、指標値計算部163は、上記(条件2)では、閾値TH2との比較対象を標準化輝度代表値Xn(t)としているが、これに限られない。例えば、指標値計算部163は、閾値TH2との比較対象として、式(7)で表される標準化輝度代表値の時系列データDnm(第3時系列データの一例に相当)で移動平均した、式(8)で表される、標準化輝度代表値の移動平均値である標準化輝度移動平均値Xnm(t)を用いてもよい。
Dnm
={Xn(t-W3+1),Xn(t-W3+2),・・・,Xn(t)} (7)
標準化輝度代表値の時系列データDnmは、現時刻tの標準化輝度代表値Xn(t)を含む過去の所定時間W3(第3時間幅の一例に相当)の範囲における標準化輝度代表値の時系列データである。
Figure 0007017973000004
この場合には、指標値計算部163は、現時刻tにおける標準化輝度移動平均値Xnm(t)と閾値TH2(第2閾値の一例に相当)とを比較して、
Xnm(t)≦TH2 (条件2)
が成立するか否かを判定する。また、計時部164(第3計時部の一例に相当)は、上記(条件2)が成立している現時刻tにおける継続時間T3(t)(第3継続時間の一例に相当)をカウントし、継続時間T3(t)と閾値TH4(第2時間閾値の一例に相当)とを比較して、
T3(t)≧TH4 (条件4)
が成立するか否かを判定する。
標準化輝度移動平均値Xnm(t)を用いると、時間的な輝度のばらつきによるノイズの影響を抑えることができる。このため、輝度変動の傾向を捉えやすくなる。その結果、生下り発生の判定精度を向上することが可能となる。一方、(条件1)については、生下りの発生を早期に判定するために、複数の画像の移動平均値ではなくて単一の画像の輝度代表値を用いることが好ましい。
なお、所定時間W3は、生下りの発生による輝度変動の影響が出やすい時間オーダーの時間幅に設定された所定時間W2と同じ時間であるW3=10[秒]に設定してもよい。或いは、W3≦W2、例えばW3=5[秒]に設定してもよい。
(動作)
図4は、生下り判定装置の動作を概略的に示すフローチャートである。図4の動作は、所定時間(例えば1秒)ごとに繰り返し実行される。
ステップS1000において、画像取得部161は、カメラ18により撮像された画像を取得する。ステップS1005において、輝度計算部162は、ステップS1000で取得された画像から輝度代表値X(t)を算出する。輝度計算部162は、算出した輝度代表値X(t)をメモリ150に保存してもよい。ステップS1010において、輝度計算部162は、過去の所定時間W1の輝度代表値X(t)をメモリ150から読み出して、上記式(1)で表される時系列データDnを生成する。輝度計算部162は、更に、時系列データDnを用いて、上記式(2)で表される標準化輝度代表値Xn(t)を算出する。輝度計算部162は、算出した標準化輝度代表値Xn(t)をメモリ150に保存してもよい。
なお、図4の動作が最初に開始されてから所定時間W1(例えばW1=60分)が経過するまでは、ステップS1000,S1005のみが実行されるようにしてもよい。すなわち、ステップS1010以降は、所定時間W1の輝度代表値X(t)がメモリ150に保存された後に、実行されるようにしてもよい。
ステップS1015において、指標値計算部163は、上記式(5)で表される過去の所定時間W2の標準化輝度代表値の時系列データDacfを生成する。指標値計算部163は、標準化輝度代表値の時系列データDacfを用いて、上記式(6)で表される自己相関関数を現時刻tにおける異常判定値Va(t)として算出する。
ステップS1020において、指標値計算部163は、(条件1)及び(条件2)の両方が成立するか否かを判定し、判定結果を異常判定部165に通知する。(条件1)及び(条件2)の両方が成立していれば(ステップS1020でYES)、処理はステップS1025に進む。一方、(条件1)及び(条件2)の少なくとも一方が成立していなければ(ステップS1020でNO)、生下りが発生していないと異常判定部165により判定され、図4の動作は終了する。
ステップS1025において、計時部164は、(条件3)及び(条件4)の両方が成立したか否かを判定し、判定結果を異常判定部165に通知する。(条件3)及び(条件4)の少なくとも一方が成立していなければ(ステップS1025でNO)、処理はステップS1030に進む。一方、(条件3)及び(条件4)の両方が成立していれば(ステップS1025でYES)、処理はステップS1035に進む。
ステップS1030において、異常判定部165は、生下りが発生し始めたと判定し、判定結果を警告制御部166に通知する。警告制御部166は、通知を受けて、黄色LED132を点灯する。その後、図4の動作は終了する。ステップS1035において、異常判定部165は、所定時間継続して生下りが発生していると判定し、判定結果を警告制御部166に通知する。警告制御部166は、通知を受けて、黄色LED132を消灯し、赤色LED131を点灯する。その後、図4の動作は終了する。
(輝度代表値、異常判定値の推移例)
図5~図7は、実際の高炉11の羽口13においてカメラ18により撮像した際の標準化輝度代表値、標準化輝度代表値の移動平均値、及び異常判定値のそれぞれの推移を概略的に示すタイミングチャートである。図8は、自己相関関数を説明するタイミングチャートである。図5は、比較のために、正常状態が続く場合の標準化輝度代表値P5、異常判定値Q5、及び標準化輝度代表値の移動平均値R5の推移を示す。図6は、10秒以上の生下り現象を含む場合の標準化輝度代表値P6、異常判定値Q6、及び標準化輝度代表値の移動平均値R6の推移を示す。図7は、10秒未満の生下りと10秒以上の生下りとを含む場合の標準化輝度代表値P7、異常判定値Q7、及び標準化輝度代表値の移動平均値R7の推移を示す。
なお、図5~図7では、上記(条件2)における閾値TH2の比較対象として、標準化輝度代表値の移動平均値が用いられている。また、図6、図7において、三角点は、(条件1)及び(条件2)の両方が成立した最初の時刻を表し、四角点は、(条件1)~(条件4)の全てが成立した最初の時刻を表す。
上記式(6)から分かるように、図8の異常判定値Va(t)は、(t-W2+1)からtまでの時系列データAと、(t-τ-W2+1)から(t-τ)までの時系列データBとの内積の総和である。したがって、正常な燃焼状態(つまりノイズのみの信号)が続く場合には、異常判定値Va(t)の期待値はゼロである。このため、正常状態が続く図5では、異常判定値Q5は増大せず、閾値TH1に達していない。
一方、異常な燃焼状態(つまり非定常な信号)が続く場合には、図8の異常判定値Va(t)は増大する。図6では、生下りが発生した際に、時刻t61において、異常判定値Q6が増大して閾値TH1以上になって(条件1)が成立し、かつ、標準化輝度代表値の移動平均値R6が閾値TH2以下になって(条件2)が成立し、黄色LED132が点灯している。そして、時刻t61の所定時間後の時刻t62に、赤色LED131が点灯している。同様に、時刻t63において、異常判定値Q6が増大して閾値TH1以上になり、かつ標準化輝度代表値の移動平均値R6が閾値TH2以下になって、黄色LED132が点灯している。そして、時刻t63の所定時間後の時刻t64に、赤色LED131が点灯している。
また、図7では、領域A1において10秒未満の生下りが発生している。したがって、標準化輝度代表値P7が閾値TH1以上になり、かつ標準化輝度代表値の移動平均値R7が閾値TH2以下になった時刻t71に、黄色LED132が点灯している。しかしながら、継続時間が短く(条件3)が成立しないため、赤色LED131は点灯されていない。
一方、図7の領域A2において10秒以上の生下りが発生している。したがって、標準化輝度代表値P7が閾値TH1以上になり、かつ標準化輝度代表値の移動平均値R7が閾値TH2以下になった時刻t72に、黄色LED132が点灯している。そして、時刻t72の所定時間後の時刻t73に、赤色LED131が点灯している。
また、図7の領域A3では、標準化輝度代表値P7の増大に起因して、異常判定値Q7が増大して閾値TH1以上となって(条件1)が成立しているが、(条件2)は成立していないため、黄色LED132及び赤色LED131は、ともに点灯していない。
(効果)
以上説明されたように、本実施形態では、異常判定値Va(t)として自己相関関数を用いている。このため、異常判定値Va(t)は、正常な燃焼状態が有する輝度のばらつき或いは温度変化による輝度変動よりも、生下りに起因する比較的大きな輝度変動に対して、より高い感度を有する。したがって、従来よりも高精度で、生下りの発生を判定することが可能となる。
また、本実施形態では、羽口13の内部における生下り発生の有無を連続的かつ定量的に判定することができる。このため、人間により断続的かつ定性的な判定よりも、人的コストを抑えつつ、高精度で、生下りの発生を判定することが可能となる。
また、本実施形態では、高炉11の羽口13が見える監視窓21の外側にカメラ18及びハーフミラー19を設置し、羽口13に非接触で、羽口13の内部の画像を撮像している。したがって、一酸化炭素などのガスが洩れる危険性はなく、安全性、耐久性及びメンテナンス性に優れた生下り判定装置100を実現することができる。
11 高炉
13 羽口
161 画像取得部
162 輝度計算部
163 指標値計算部
164 計時部
165 異常判定部
166 警告制御部

Claims (9)

  1. 高炉の羽口に設けられた監視窓を通して前記高炉の内部が撮像された複数の画像を所定時間毎に取得する画像取得部と、
    前記複数の画像から前記所定時間毎の各輝度代表値を算出し、現時点における輝度代表値を含む過去の第1時間幅の第1範囲における前記各輝度代表値からなる第1時系列データを生成し、前記第1時系列データの平均値及び標準偏差を用いて前記第1範囲での前記所定時間毎の各標準化輝度代表値を算出し、現時点における標準化輝度代表値を含む過去の第2時間幅の第2範囲における前記各標準化輝度代表値からなる第2時系列データを生成するデータ生成部と、
    前記所定時間毎に生下りを判定するための各異常判定値を、前記所定時間毎の前記各第2時系列データの自己相関関数で算出する異常判定値計算部と、
    前記所定時間毎に前記異常判定値が所定の第1閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合に、前記生下りが発生していると判定する生下り判定部と、
    を備える生下り判定装置。
  2. 前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記標準化輝度代表値が所定の第2閾値以下か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下になった場合に、前記生下りが発生していると判定する
    請求項1に記載の生下り判定装置。
  3. 前記異常判定値が所定の第1閾値以上である状態が継続する時間である第1継続時間をカウントする第1計時部
    前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下である状態が継続する時間である第2継続時間をカウントする第2計時部とを更に備え、
    前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記第1継続時間が所定の第3閾値以上か否かを判定し、前記所定時間毎に前記第2継続時間が所定の第4閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度代表値が前記第2閾値以下になった場合、かつ、前記第1継続時間が前記第3閾値以上になった場合であって前記第2継続時間が前記第4閾値以上になった場合に、所定時間継続して前記生下りが発生していると判定する、
    請求項に記載の生下り判定装置。
  4. 前記データ生成部は、さらに、前記所定時間毎に、現時点における標準化輝度代表値を含む過去の第3時間幅の第3範囲における前記各標準化輝度代表値からなる第3時系列データ移動平均した各標準化輝度移動平均値を算出し、
    前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記標準化輝度移動平均値が所定の第2閾値以下か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下になった場合に、前記生下りが発生していると判定する、
    請求項1記載の生下り判定装置。
  5. 前記異常判定値が前記第1閾値以上である状態が継続する時間である第1継続時間をカウントする第1計時部と
    前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下である状態が継続する時間である第3継続時間をカウントする第3計時部とを更に備え、
    前記生下り判定部は、さらに、前記所定時間毎に前記第1継続時間が所定の第3閾値以下か否かを判定し、前記所定時間毎に前記第3継続時間が所定の第4閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合であって前記標準化輝度移動平均値が前記第2閾値以下になった場合、かつ、前記第1継続時間が前記第3閾値以上になった場合であって前記第3継続時間が前記第4閾値以上になった場合に、所定時間継続して前記生下りが発生していると判定する、
    請求項4に記載の生下り判定装置。
  6. 前記データ生成部は、前記輝度代表値として、前記複数の画像のそれぞれにおける輝度の最大値を用いる、
    請求項1~のいずれか1項に記載の生下り判定装置。
  7. 前記データ生成部は、前記輝度代表値として、前記複数の画像のそれぞれにおける輝度の平均値を用いる、
    請求項1~のいずれか1項に記載の生下り判定装置。
  8. 前記生下りが発生したと判定されると、警告を出力する警告制御部を更に備える、
    請求項1~のいずれか1項に記載の生下り判定装置。
  9. 高炉の羽口に設けられた監視窓を通して前記高炉の内部が撮像された複数の画像を所定時間毎に取得する画像取得ステップと、
    前記複数の画像から前記所定時間毎の各輝度代表値を算出し、現時点における輝度代表値を含む過去の第1時間幅の第1範囲における前記各輝度代表値からなる第1時系列データを生成し、前記第1時系列データの平均値及び標準偏差を用いて前記第1範囲での前記所定時間毎の各標準化輝度代表値を算出し、現時点における標準化輝度代表値を含む過去の第2時間幅の第2範囲における前記各標準化輝度代表値からなる第2時系列データを生成するデータ生成ステップと、
    前記所定時間毎に生下りを判定するための各異常判定値を、前記所定時間毎の前記各第2時系列データの自己相関関数で算出する異常判定値計算ステップと、
    前記所定時間毎に前記異常判定値が所定の第1閾値以上か否かを判定し、前記異常判定値が前記第1閾値以上になった場合に、前記生下りが発生していると判定する生下り判定ステップと、
    を備える生下り判定方法。
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