JP2015004085A - 積層体の製造方法 - Google Patents

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健志 藤井
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Abstract

【課題】表面の微細な凹凸が低減された積層体を安定的に得ることができる積層体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の積層体の製造方法は、以下の(1)および(2)の2つの工程を少なくとも含む。(1)少なくとも一面110にキャップ層101が設けられた金属基板103を準備する工程(2)エッチングガスと原料ガスとを含む混合ガスを、金属基板103の一面110に設けられたキャップ層101に供給することにより、キャップ層101をエッチングして金属基板103の一面110を露出させながら、化学気相成長法を用いて金属基板103の露出した開口部105から上記原料ガスにより無機物107を順次成長させ、最終的に金属基板103の一面110の全面に無機層109を形成する工程【選択図】図1

Description

本発明は、積層体の製造方法に関する。
非特許文献1(Xuesong Li et al.)には、化学気相成長(CVD)法により、銅箔上に膜質の良いグラフェン膜を均一に形成できることが記載されている。
具体的には以下の手順で銅箔上にグラフェン膜を形成する。はじめに、CVD炉の内部に銅箔を配置し、1000℃まで昇温しながら水素を導入する。次いで、メタンなどの炭化水素系のガスをCVD炉の内部に供給することにより、銅箔表面にグラフェン膜を形成する。
こうして形成されたグラフェン膜を特定の用途に用いるためには、銅箔から剥離して目的の基板に転写する。
しかし、本発明者らの検討によれば、非特許文献1に記載の方法により得られたグラフェン膜は表面に微細な凹凸が形成される場合があることが明らかになった。
このようなグラフェン膜を目的の基板に対して転写すると、基板とグラフェン膜との間で接触不良が起きてしまった。
そこで、本発明では、表面の微細な凹凸が低減された積層体を安定的に得ることができる積層体の製造方法を提供する。
本発明者らは、積層体の表面に微細な凹凸が形成されてしまう要因について鋭意検討した。その結果、金属基板の表面にキャップ層を設けることにより、表面の微細な凹凸が低減された積層体を安定的に得ることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、以下の2つの工程を含む積層体の製造方法が提供される。
はじめに、少なくとも一面にキャップ層が設けられた金属基板を準備する。
次いで、エッチングガスと原料ガスとを含む混合ガスを、上記金属基板の上記一面に設けられたキャップ層に供給することにより、上記キャップ層をエッチングして上記金属基板の上記一面を露出させる。同時に、化学気相成長法を用いて上記金属基板の露出した開口部から上記原料ガスにより無機物を順次成長させ、最終的に上記金属基板の上記一面の全面に無機層を形成し、積層体を得る。
本発明によれば、表面の微細な凹凸が低減された積層体を安定的に得ることができる。
本発明に係る実施形態の積層体の製造方法の工程手順を示す工程断面図である。 本発明に係る実施形態の支持基材付き無機層の製造方法の工程手順を示す工程断面図である。 本発明に係る実施形態の無機層を目的の基板に転写する方法の一例を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。また、「〜」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
図1は、本発明に係る実施形態の積層体100の製造方法の工程手順を示す工程断面図である。
本実施形態に係る積層体100の製造方法は、以下の(1)および(2)の2つの工程を少なくとも含む。
(1)少なくとも一面110にキャップ層101が設けられた金属基板103を準備する工程(図1(a))
(2)エッチングガスと原料ガスとを含む混合ガスを、金属基板103の一面110に設けられたキャップ層101に供給することにより、キャップ層101をエッチングして金属基板103の一面110を露出させながら、化学気相成長法を用いて金属基板103の露出した開口部105から原料ガスにより無機物107を順次成長させ(図1(b)および(c))、最終的に金属基板103の一面110の全面に無機層109を形成する工程(図1(d))
本実施形態の無機層109としては、例えば、グラフェン膜、窒化ホウ素膜などが挙げられる。
ここで、非特許文献1で報告されているグラフェンは各ドメインが結合した多結晶の状態である。ドメインバウンダリーではキャリアが散乱されるため、ドメインバウンダリーにより電気特性が制限される。
非特許文献2(I. Vlassiouk et al.)には、ドメインそのものを大きくし、ひとつのドメイン内では単結晶と言えるグラフェンが形成され、高い特性が得られることが報告されている。具体的には、通常のCVDでは原料ガスのメタンガスとエッチングガスの水素ガスとの混合流量比が同程度(以下「通常条件のCVD」と呼ぶ。)であるに対し、非特許文献2では水素でメタンを100倍以上に希釈している。これにより、水素ガスが結晶性の悪い箇所や結合が弱い部分を選択的にエッチングし結晶性の高い単結晶のみが成長する。結果的に、6角形をした100μmを超えるドメインサイズを持つグラフェンが形成される。
そこで、本発明者らもメタンガスを水素ガスで100倍に希釈し(以下「水素希釈」と呼ぶ。)、銅基板上にグラフェンの成長を試みたところ、確かにドメインサイズが20μmを超え、従来よりも大きなドメインサイズのグラフェンを得ることに成功した。しかし、この得られたグラフェンを転写法によりSiO/Si基板に転写したところ、シート抵抗は水素希釈を行った方が通常条件のCVDよりも悪い値となった。
そこで、転写の状態を確認すると水素希釈を行ったグラフェンでは所々に剥がれが観測され、この剥がれのためにシート抵抗が増加したことが分かった。この剥がれの原因を調査したところ、水素希釈した銅基板は表面に微細な凹凸が発生し、表面粗さRaが1μm以上の大きさになっていたことが分かった。水素希釈ではグラフェンのエッチングとグラフェンの成長とが繰り返されているため通常条件のCVDに比べ圧倒的にグラフェンの成長速度が遅い(1/10以下)。グラフェンが形成されている箇所は銅の蒸発が抑制される。しかし、グラフェンが形成されていない箇所は銅の蒸発が生じ、その結果、銅基板表面に微細な凹凸が形成されてしまうことが分かった。
銅基板に対してそのままCVDを行うと、CVD温度が1000℃と銅の融点1084℃に近いため、銅基板表面から銅原子が蒸発する。ここで、通常条件のCVDはグラフェンの成長速度が数分程度である。よって、銅基板表面に微細な凹凸が形成される前にグラフェンが銅基板表面を覆うため、銅原子の蒸発は大きな問題とはならない。しかし、水素希釈した条件ではグラフェンの成長速度が1時間以上となるため、グラフェンが形成されている箇所と形成されていない箇所とで銅蒸発に差が生じる。これにより、銅基板表面に微細な凹凸が形成されてしまう。本発明者らはこの凹凸が転写での付着を妨げることに気づいた。
そこで、本発明者らは、大きなドメインのグラフェンを形成でき、かつ、表面に微細な凹凸が発生しないグラフェン膜の製造方法を探索した。そして、銅基板上にあらかじめキャップ層を形成することで、銅の蒸発が抑制されるとともに、大きなドメインを有し、かつ、表面に微細な凹凸を有さないグラフェン膜が得られることを見出した。
本発明の積層体の製造方法によれば、エッチングガスによりキャップ層101をエッチングし、金属基板103の表面を露出させる。また、原料ガスにより、露出した開口部105から無機層109を順次形成する。金属基板103の表面は、常に、キャップ層101または無機層109に保護されているため、金属基板103を構成する金属の蒸発は抑制される。キャップ層101のエッチングが進むと自己整合的に無機層109が形成され、キャップ層101がすべてエッチングされると同時に金属基板103の一面110の全面に無機層109が形成される。したがって、本発明の積層体の製造方法によれば、金属基板103を構成する金属の蒸発を抑制しながら、無機層109を形成することができる。
すなわち、本発明の積層体の製造方法によれば、転写での不良の原因である金属基板103表面の微細な凹凸を抑制することができる。さらに、ドメインサイズが大きく、より特性の高い無機層109が提供される。これにより、高い特性をもった無機層109の任意の用途への適用の可能性が拓ける。
以下、各工程について説明する。
はじめに、(1)工程について説明する。
少なくとも一面110にキャップ層101が設けられた金属基板103は、金属基板103にキャップ層101を形成することにより得ることができる。また、既にキャップ層101が形成された金属基板103を準備してもよい。
金属基板103は、無機層109の種類により適宜選択されるため特に限定されないが、原料ガスに対する溶解性が低く、かつ、原料ガスに対して触媒作用を示す金属により形成されたものが好ましい。このような金属基板103を構成する金属としては、例えば、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Ru、Rh、Pd、W、Re、Ir、Ptおよびこれらの合金からなる群から選択される1種または2種以上の遷移金属が挙げられる。また、金属基板103の形態は、箔、薄膜、バルク、およびそれらの単結晶もしくは多結晶などとすることができる。これらの中でも、最も典型的な金属基板103は銅箔である。
金属基板103は、無機層109の支持基板となるとともに、供給された原料ガスをクラッキングする触媒となり、無機層109の成長を促進する作用を有する。
例えば、無機層109がグラフェン膜の場合、金属基板103は、グラフェン膜の支持基板となるとともに、供給された炭素を含有するガスをクラッキングする触媒となり、炭素原子がシート状である結晶構造のグラフェンの成長を促進する作用を有する。
キャップ層101は金属基板103の蒸発を抑制できるとともに、エッチングガスによりエッチングされるものであれば特に限定されないが、例えば、アモルファスカーボン薄膜、グラファイトの微結晶薄膜、高温で炭化する樹脂層、酸化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、アモルファスカーボン薄膜またはグラファイトの微結晶薄膜が好ましい。
キャップ層101の厚みは金属基板103の蒸発を抑制できるとともに、エッチングガスにより効率良くエッチングされる厚みであれば特に限定されないが、通常は1nm以上10nm以下の範囲内である。キャップ層101の厚みが、上記範囲内であると、金属基板103の蒸発を充分に抑制できるとともに、エッチングガスによりキャップ層101を効率良くエッチングすることができる。そのため、積層体100表面の微細な凹凸を低減しつつ、無機層109の成膜時間を短縮することができる。
金属基板103の一面110にキャップ層101であるアモルファスカーボン薄膜を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、PLD法(パルスレーザー堆積)などが挙げられる。
スパッタ法は、例えば、以下の方法である。まず、1×10−4Pa以下の真空中にてArガスをプラズマ化し、ターゲットであるグラファイト焼結体にArプラズマを衝突させることで、炭素原子を飛び出させる。この炭素原子を金属基板103上に供給することで、金属基板103上にアモルファスカーボン薄膜を形成することができる。
一方、PLD法では、1×10−6Pa以下の超高真空中でグラファイトをKrFのエキシマレーザーにてアブレーションすることで、瞬時に蒸発した炭素が分子線の状態で供給される。この炭素の分子線を金属基板103上に供給することで、金属基板103上にアモルファスカーボン薄膜を形成することができる。
次に、(2)工程について説明する。
(2)工程では、エッチングガスと原料ガスとを含む混合ガスを、金属基板103の一面110に設けられたキャップ層101に供給することにより、キャップ層101をエッチングして金属基板103の一面110を露出させながら、化学気相成長法を用いて金属基板103の露出した開口部105から原料ガスにより無機物107を順次成長させ(図1(b)および(c))、最終的に金属基板103の一面110の全面に無機層109を形成する(図1(d))。
はじめに、エッチングガスと原料ガスとを含む混合ガスを、金属基板103の一面110に設けられたキャップ層101に供給することにより、キャップ層101をエッチングして金属基板103の一面110を露出させる(図1(b))。
上記エッチングガスとしては、キャップ層101の種類により適宜選択され、キャップ層101をエッチングできるものであれば特に限定されないが、例えば、水素ガス、塩素系ガスなどの還元性ガス、酸素ガスの酸化性ガスが挙げられる。これらの中でも、得られる無機層109のドメインサイズを大きくすることができる観点から、水素ガスが好ましい。
次いで、化学気相成長法を用いて金属基板103の露出した開口部105から原料ガスにより無機物107を順次成長させ(図1(b)および(c))、最終的に金属基板103の一面110の全面に無機層109を形成する(図1(d))。
このとき、最終的にエッチングガスによる無機層109のエッチングと原料ガスによる無機層109の成長とが平衡となり、その結果、無機層109の表面が平坦になるとともに、無機層109の厚みが例えば単層で一定となる。ここで、「無機層109の厚みが単層で一定となる」とは、例えば、無機層109がグラフェン膜の場合、単層グラフェンで均一に形成されたことをいう。また、「無機層109の表面が平坦になる」とは、例えば、無機層109がグラフェン膜の場合、二乗平均粗さRMSが、例えば、10nm以下になることをいう。
上記原料ガスとしては、無機層109の種類により適宜選択され、化学気相成長法により無機層109を形成できるものであれば特に限定されない。例えば、無機層109がグラフェン膜の場合は、メタン、プロパン、エタノール、メタノール、アセチレンなどの炭化水素系ガスが挙げられる。また、無機層109が窒化ホウ素膜の場合は、ボラジン、アンモニアボランなどが挙げられる。
また、原料ガスに対するエッチングガスの混合流量比は50以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、500以上であることが特に好ましい。原料ガスに対するエッチングガスの混合流量比が上記下限値以上であると、キャップ層101を十分にエッチングすることができる。
また、原料ガスに対するエッチングガスの混合流量比は800以下であることが好ましい。原料ガスに対するエッチングガスの混合流量比が上記上限値以下であると、無機層109の成長速度を向上させることができる。
以下、無機層109がグラフェン膜の場合について具体的に説明する。
はじめに、少なくとも一面110にキャップ層101が設けられた金属基板103を管状炉に配置し、1×10−1Pa以下まで真空引きを行った後、600〜1200℃程度に加熱する。
キャップ層101がない場合、1000℃まで加熱をすると金属基板103を構成する金属が蒸発を始める。しかし、キャップ層101があるために金属が蒸発せず、安定な表面を保つことができる。
次いで、メタンなどの炭化水素系ガスと水素ガスとを1:100の割合で混合させた混合ガスをキャップ層101に供給する。このとき水素ガスによりキャップ層101であるアモルファスカーボン薄膜のエッチングが開始される。このエッチングは結合の弱い箇所や膜厚の薄い箇所から選択的に起こる。エッチングが進むと金属基板103の一面110に達する。このとき、混合ガス中の炭化水素系ガスが金属基板103の一面110に達し、クラッキング(解離吸着)される。その際、供給されたガスに由来する炭素原子は金属基板103上でグラフェンの核を形成する。そして、キャップ層101のエッチングが進み金属基板103の一面110がさらに露出されるとともに、グラフェンの成長も核を中心に同時に生じ、金属基板103の一面110を保護しながら成長が進んでいく。そして、最終的に、キャップ層101がすべてエッチングされると、各ドメインのグラフェンが結合し、金属基板103の一面110の全面にグラフェン膜が形成される。
このとき、最終的にエッチングガスによるグラフェン膜のエッチングと原料ガスによるグラフェン膜の成長とが平衡となり、その結果、グラフェン膜の表面は平坦になるとともに、グラフェン膜の厚みは一定となる。
以上の工程により、金属基板103の平坦性を保った状態でグラフェン膜(無機層109)が金属基板103の一面110上に形成され、本実施形態に係る積層体100を得ることができる。
ここで、本実施形態に係るグラフェンとは、sp結合で互いに結合して炭素原子が1原子層以上の膜状または層状に形成されている状態の物質を指す。したがって、本実施形態に係るグラフェンには、単層グラフェンのみならず、多層グラフェンも含む。なお、本実施形態において、グラフェン膜は、グラフェンにより形成されているものをいう。
グラフェンは1層で約2.3%もの高い光吸収を示す。そのため、グラフェン膜の透明性を確保する観点から、グラフェン膜の層数は好ましくは1層以上10層以下である。グラフェン膜の層数が上記範囲内であると、グラフェンの高い移動度を維持しつつ、グラフェン膜の透明性を向上させることができる。これにより、例えば、得られるグラフェン膜を薄膜太陽電池に用いた場合、薄膜太陽電池の発電効率をより一層向上させることができる。
グラフェン膜の層厚方向における波長550nmでの光線透過率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。グラフェン膜の光線透過率が上記下限値以上であると、例えば、得られるグラフェン膜を薄膜太陽電池に用いた場合、薄膜太陽電池の発電効率を向上させることができる。
次に、得られた無機層109を、目的の基板に転写する方法について説明する。図2は、本発明に係る実施形態の支持基材111付き無機層109の製造方法の工程手順を示す工程断面図である。図3は、本発明に係る実施形態の無機層109を目的の基板113に転写する方法の一例を示す断面図である。
はじめに、支持基材111を無機層109の表面に接するように形成する(図2(a)および(b))。
具体的には、金属基板103上に形成されている無機層109の状態を維持しつつ、支持基材111を無機層109上に形成する。このとき、支持基材111は、無機層109を保持できるものが好ましい。
このような支持基材111を構成する材料としては、例えば、高分子材料を含む溶液から溶媒を揮発させることによって固化したものや、プレポリマーなどの高分子材料の前駆体を重合することによって固化したものである。支持基材111は、例えば、(1)ある程度の支持機能を発揮できること、(2)金属基板103の除去の際に影響を受けないこと、(3)無機層109に影響を与えずにそれ自体が除去可能であること、という3つの条件を満たすものが好ましい。なお、この段階の無機層109は、金属基板103と支持基材111とに挟まれた状態となっている(図2(b))。
このような条件を満たす支持基材111としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などが挙げられる。PMMAやPDMSは、溶媒に溶解して溶液とし、その溶液を無機層109上に塗布して乾燥することにより容易に無機層109上に支持基材111を形成できる。
さらに、金属基板103の除去のための処理(エッチング処理)にも耐えることができ、かつ、支持基材111自体も容易に除去することができる。そして、無機層109を転写するために適した膜に形成可能である。これらの条件を満たすPMMAやPDMSは、本実施形態における支持基材111を構成する材料として好ましい。
次いで、金属基板103を除去することにより、支持基材111付き無機層109を得る(図2(c))。金属基板103の除去方法としては、支持基材111付き無機層109を変質させない手法から選択される。例えば、エッチングが挙げられる。具体的には、酸などによるウェットエッチング;反応性イオンエッチングなどのドライエッチングなどが挙げられる。
金属基板103が除去されると、無機層109が支持基材111に付着して表面を露出させている状態になる。
次に、無機層109の金属基板103に接していた面を、目的の基板113に貼り付ける(図3(a)および(b))。具体的には、無機層109を基板113の表面に、例えば、80℃、0.5kg/cmの条件で押し付ける。次いで、180℃、30分間加熱する。これにより、支持基材111が軟化し、無機層109を目的の基板113の表面に密着させることができる。
最後に、支持基材111を除去する(図3(c))。これにより、基板113に無機層109が転写する。支持基材111を除去する手法としては、無機層109、および基板113に対して影響を及ぼしにくい任意の手法を採用することができる。例えば、基板113がシリコン基板やガラス基板などの無機物であるなら、支持基材111を有機溶媒に溶解させることにより、支持基材111を除去することができる。したがって、支持基材111の材質や性状は、本工程において除去可能なものを採用しておくのが好ましい。
本実施形態に係る積層体100は、様々な用途に応用することができる。例えば、単層グラフェンは、キャリア(電子)の移動度が約15000cm/Vsであり、シリコンに比べ一桁以上高い値を示すことが知られている。そのため、本実施形態に係る積層体100は、グラフェンの高い移動度を活かして、例えば、薄膜太陽電池、トランジスタ、スピン注入デバイス、ガスセンサーなどに応用することができる。なかでも、グラフェン膜の高い移動度と透明性を活かして、導電性薄膜および透明導電膜へ好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、金属基板として、10mm角の化学機械研磨した銅箔(膜厚100μm)を用いた。この銅箔の中心線平均粗さRaは1nmである。この銅箔をPLDチャンバーに配置し、1×10−7Paまで真空引きを行った。
その後、室温にて、波長248nm、エネルギー200mJのエキシマレーザーをグラファイト焼結体のターゲットに5Hzで照射することにより、厚さ1nmのアモルファスカーボン薄膜を銅箔の表面に形成し、キャップ層とした。
次いで、このアモルファスカーボン薄膜付き銅箔をCVDの反応炉に配置し、1×10−3Paまで真空引きを行った。そして、銅箔を50℃/minの昇温レートで1000℃まで加熱した。その後、銅箔を1000℃に保持した状態で、メタンガスを1sccm、水素ガスを100sccmの流量で導入した。銅箔の温度と混合ガスの流量を保持した状態で60分間成膜を行った。ここで、キャップ層である上記アモルファスカーボン薄膜は十分にエッチングされていた。また、最終的に銅箔の全面にグラフェン膜が成膜した。成膜後は100℃/secの冷却レートにて急冷し、銅箔上にグラフェン膜を得た。
次に、グラフェン膜の表面に、ポリメチルメタクリレート(PMMA)をジククロベンゼンに10wt%の濃度で溶解した溶液を20μl滴下した。次いで、回転数4000rpm、60秒の条件でグラフェン膜の表面にPMMA溶液をスピンコートした。その後、40℃、30分間の条件でPMMA溶液を乾燥させ、グラフェン膜の表面にPMMA膜を形成した。
次いで、得られた銅箔−グラフェン膜−PMMA膜の積層体を塩酸10ml、過酸化水素10ml、純水50mlの混合液に浸漬し、銅箔が完全になくなるまでエッチングした。その後、5分間の流水洗浄し、乾燥させることでPMMA膜付きグラフェン膜を得た。
次いで、PMMA膜付きグラフェン膜をSiO/Si基板の表面に80℃、0.5kg/cmの条件で圧着した。次いで、180℃、30分間加熱した。この加熱により、PMMA膜が軟化し、グラフェン膜がSiO/Si基板の表面に密着した。
最後に、アセトンに5分間浸漬することにより、PMMA膜をグラフェン膜の表面から除去し、さらに超純水にて5分間洗浄した。以上の工程よりSiO/Si基板上に形成されたグラフェン膜を得た。
(実施例2)
キャップ層の厚み10nmとし、グラフェン膜の成膜時間を120分間とした以外は実施例1と同様の方法でグラフェン膜を作製した。
(比較例1)
キャップ層を形成しない以外は実施例1と同様の方法でグラフェン膜を作製した。
(比較例2)
メタンガスの流量を1sccm、水素ガスの流量を10sccmとした以外は実施例1と同様の方法でグラフェン膜を作製した。
実施例・比較例で得られたグラフェン膜の中心線平均粗さRaと、SiO/Si基板とグラフェン膜とからなる積層体の抵抗を表1に示す。
キャップ層が1nmの実施例1は、キャップ層のない比較例1よりも、グラフェン膜の中心線平均粗さRaが2桁以上小さい値となっていた。さらに、積層体の抵抗も半分程度になっていた。実施例2では、キャップ層の厚みが10nmと厚くなったため、グラフェンの成膜時間が長くなった。しかし、実施例1と同等のグラフェン膜が得られた。
これに対し、比較例2ではキャップ層の厚みは1nmと実施例1と同じであるがメタンガスと水素ガスの混合モル比が1:10であるため、キャップ層が十分にエッチングされなかった。そのため、部分的にはグラフェンが形成されたが、基板全面には形成されていなかった。
Figure 2015004085
100 積層体
101 キャップ層
103 金属基板
105 開口部
107 無機物
109 無機層
110 一面
111 支持基材
113 基板

Claims (10)

  1. 少なくとも一面にキャップ層が設けられた金属基板を準備する工程と、
    エッチングガスと原料ガスとを含む混合ガスを、前記金属基板の前記一面に設けられたキャップ層に供給することにより、前記キャップ層をエッチングして前記金属基板の前記一面を露出させながら、化学気相成長法を用いて前記金属基板の露出した開口部から前記原料ガスにより無機物を順次成長させ、最終的に前記金属基板の前記一面の全面に無機層を形成する工程と、
    を含む積層体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の積層体の製造方法において、
    前記無機層がグラフェン膜である積層体の製造方法。
  3. 請求項2に記載の積層体の製造方法において、
    前記原料ガスが炭化水素系ガスを含む積層体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    前記金属基板を構成する金属は前記原料ガスをクラッキングし、前記無機層の成長を促進する触媒作用を有する積層体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    最終的に前記エッチングガスによる前記無機層のエッチングと前記原料ガスによる前記無機層の成長とが平衡となり、その結果、前記無機層の表面は平坦になるとともに、前記無機層の厚みは一定となる積層体の製造方法。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    前記エッチングガスが水素ガスを含む積層体の製造方法。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    前記キャップ層の厚みが1nm以上10nm以下の範囲内である積層体の製造方法。
  8. 請求項1乃至7いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    前記原料ガスに対する前記エッチングガスの混合流量比が50以上である積層体の製造方法。
  9. 請求項1乃至8いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    前記金属基板が銅箔である積層体の製造方法。
  10. 請求項1乃至9いずれか一項に記載の積層体の製造方法において、
    前記キャップ層がアモルファスカーボン薄膜またはグラファイトの微結晶薄膜である積層体の製造方法。
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