JP7444696B2 - グラフェン複合体、グラフェン複合体の連続製造装置、及びグラフェン複合体の連続製造方法 - Google Patents

グラフェン複合体、グラフェン複合体の連続製造装置、及びグラフェン複合体の連続製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、グラフェン複合体、グラフェン複合体の連続製造装置、及びグラフェン複合体の連続製造方法に関する。
近年、コネクター等の電気接点にグラフェン膜を用いることが検討されている。グラフェン膜のうち単層グラフェンは、多層グラフェンに比べて傷がつきやすく、一般的に、耐久性に劣る。このため、コネクターの電気接点として、多層グラフェンからなるグラフェン膜を用いることが検討されている。
しかし、多層グラフェンは、その表面又は側面に機械的接触があると、グラフェンの層間で剥離するおそれがある。また、多層グラフェン内の導電性は、一般的に、厚さ方向、すなわち多層グラフェンの面直方向のほうが、グラフェンの平面方向よりも小さい。このため、電気接点に多層グラフェンを用いると、電気接点の導電性が小さくなるおそれがある。
特許文献1には、単結晶基板の表面にエピタキシャルな金属膜を成膜した基板に、炭素含有原料ガスを供給し、化学気相成長(CVD)により前記金属膜の表面に二層グラフェン薄膜を成長させるグラフェン薄膜の製造方法が開示されている。
特開2013-177273号公報
しかしながら、特許文献1のグラフェン薄膜の製造方法で得られるグラフェン膜は、二層グラフェンドメインの周囲が単層グラフェンドメインになっているが、この構造は、二層グラフェンのグラフェン層間での剥離を抑制するものでない。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、グラフェン層が強固に固定された機械的強度の高い炭素膜、この炭素膜の連続製造装置及び連続製造方法を提供することにある。
本発明の態様に係るグラフェン複合体は、グラフェンが2層以上積層された多層グラフェン層と、アモルファスカーボンからなり、前記多層グラフェン層の側面の周方向の少なくとも一部に固着したアモルファスカーボン壁部と、を備える。
前記アモルファスカーボン壁部は、前記多層グラフェン層の側面の周方向の全体に固着していることが好ましい。
基板の表面に、前記アモルファスカーボン壁部の底面を介して固着されることが好ましい。
前記基板の材質が、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Au、Al、Si、Cr、Mg、Mn、Mo、Rh、Si、Ta、Ti、W、U、V及びZrからなる群より選択される1種以上の元素、又は前記1種以上の元素を含む化合物からなることが好ましい。
本発明の態様に係るグラフェン複合体の連続製造装置は、載置された基板を移動させるベルトコンベアと、前記ベルトコンベア上に載置された基板を還元する還元部と、前記還元部の下流側に設けられ、前記基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給部と、前記非気体炭素源供給部の下流側に設けられ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱部と、前記非気体炭素源加熱部の下流側に設けられ、前記ベルトコンベア上に載置された基板を加熱して前記基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱部と、を備える。
前記ベルトコンベア、前記還元部の還元部内空間、前記非気体炭素源加熱部の非気体炭素源加熱部内空間、及び前記基板加熱部の基板加熱部内空間は、炉管内に設けられ、前記非気体炭素源供給部は、前記炉管外から前記炉管内に非気体炭素源を供給することが好ましい。
本発明の態様に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、ベルトコンベア上に載置された基板を還元する還元工程と、前記還元工程の後に行われ、前記基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給工程と、前記非気体炭素源供給工程の後に行われ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱工程と、前記非気体炭素源加熱工程の後に行われ、前記ベルトコンベア上に載置された基板を加熱して前記基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱工程と、を備える。
前記非気体炭素源が、フルオレン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、ピレン及びペンタセンからなる群より選択される1種以上の芳香族化合物;フラーレン、CNT及びダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択される1種以上のナノカーボン;又は、スクロース、セルロース、PMMA、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル及びポリカーボネートからなる群より選択される1種以上の高分子化合物であることが好ましい。
前記非気体炭素源加熱工程の加熱温度が、30~120℃であることが好ましい。
前記基板の材質が、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Au、Al、Si、Cr、Mg、Mn、Mo、Rh、Si、Ta、Ti、W、U、V及びZrからなる群より選択される1種以上の金属、又は前記1種以上の元素を含む化合物からなることが好ましい。
前記基板加熱工程の加熱温度が、850~950℃であることが好ましい。
本発明の態様に係るグラフェン複合体の連続製造装置は、ロール・トゥ・ロール搬送基板をロール・トゥ・ロールで搬送する搬送手段と、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板を還元する還元部と、前記還元部の下流側に設けられ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給部と、前記非気体炭素源供給部の下流側に設けられ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱部と、前記非気体炭素源加熱部の下流側に設けられ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板を加熱して前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱部と、を備える。
本発明の態様に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、ロール・トゥ・ロールで搬送されるロール・トゥ・ロール搬送基板を還元する還元工程と、前記還元工程の後に行われ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給工程と、前記非気体炭素源供給工程の後に行われ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱工程と、前記非気体炭素源加熱工程の後に行われ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板を加熱して前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱工程と、を備える。
本発明によれば、グラフェン層が強固に固定された機械的強度の高い炭素膜を提供することができる。本発明によれば、グラフェン層が強固に固定された機械的強度の高い炭素膜の連続製造装置及び前記炭素膜の連続製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るグラフェン複合体を模式的に示す断面図である。 実施例1で得られたグラフェン複合体の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真の一例である。 図2に示す部位(1~5)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。 図2に示したグラフェン複合体の表面のAFM(原子間力顕微鏡)写真とそのライン上のプロファイルの一例である。図4(a)はAFM写真の一例であり、図4(b)は図4(a)に描いたライン上のプロファイルの一例である。 実施例1で得られたグラフェン複合体の表面のSEM写真の一例と、このSEM写真と同じ部位のC-AFM(コンダクティブ原子間力顕微鏡)写真の一例である。図5(a)はSEM写真の一例であり、図5(b)はC-AFM写真の一例である。 SiO/Si基板に転写した実施例1で得られたグラフェン複合体の光学顕微鏡写真の一例と、この光学顕微鏡写真に示す部位(1~6)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。図6(a)は光学顕微鏡写真の一例であり、図6(b)は図6(a)を拡大した光学顕微鏡写真の一例であり、図6(c)は図6(b)に示す部位(1~6)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。 第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置を模式的に示す部分断面図である。 実施例で用いたグラフェン複合体の簡易製造装置を模式的に示す部分断面図である。 加熱前サンプルにおけるメンディングテープを剥離した表面の外観を示す光学顕微鏡写真である。 加熱後サンプルにおけるメンディングテープを剥離した表面の外観を示す光学顕微鏡写真である。 図10に示す部位(1~3)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。 第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置を模式的に示す部分断面図である。
以下、図面を用いて実施形態に係るグラフェン複合体、グラフェン複合体の連続製造装置及びグラフェン複合体の連続製造方法について詳細に説明する。
[グラフェン複合体]
図1は、本実施形態に係るグラフェン複合体を模式的に示す断面図である。図2は、後述の実施例1で得られたグラフェン複合体の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真の一例である。具体的には、図2は、基板の表面に成膜されたグラフェン複合体の表面のSEM写真の一例である。
図1に示すように、本実施形態に係るグラフェン複合体90は、多層グラフェン層70と、アモルファスカーボン壁部80と、を備える。
(多層グラフェン層)
多層グラフェン層70は、グラフェン71が2層以上積層されたグラフェン積層体からなる層である。図1及び図2に示すように、多層グラフェン層70は、シワ72、欠損部73等を有する場合がある。ここで、欠損部73とは、グラフェン71が外的要因等で破断してグラフェン71の端面が露出している部分を意味する。なお、シワ72、欠損部73等は、多層グラフェン層70に必須の構成ではない。
グラフェン複合体90は、通常、金属等からなる基板15の表面に成膜される。シワ72は、グラフェン複合体90の成膜時に基板15の熱収縮がグラフェン複合体90の熱収縮よりも大きくなることによって生じると考えられる。また、欠損部73は、シワ72に多層グラフェン層70外からの応力等が作用して1層以上のグラフェン71が破断することにより生じると考えられる。
なお、グラフェン71は、通常、グラフェン71の厚さ方向に沿った導電性よりもグラフェン71の平面方向に沿った導電性のほうが大きい。このため、欠損部73を有する多層グラフェン層70の表面では、欠損部73の端面を介したグラフェン71の平面方向に沿った導電性が、欠損部73以外の部分の導電性よりも高い。従って、欠損部73は、多層グラフェン層70の厚さ方向の電流パス75を形成しやすい。
図1に示すように、多層グラフェン層70は、グラフェン積層体からなり、積層されたグラフェン71間の密着性は比較的低い。また、多層グラフェン層70は、シワ72、欠損部73等を有する場合もある。このため、多層グラフェン層70の機械的強度は、通常、後述のアモルファスカーボン壁部80に比較して低くなる。
(アモルファスカーボン壁部)
アモルファスカーボン壁部80は、アモルファスカーボンからなり、多層グラフェン層70の側面の周方向の少なくとも一部に固着した部分である。ここで、多層グラフェン層70の側面とは、多層グラフェン層70を構成するグラフェン積層体の周方向の端面を意味する。
図1に示すように、アモルファスカーボン壁部80は、層状の多層グラフェン層70と異なり、バルク状で密な構造をしている。このため、アモルファスカーボン壁部80の機械的強度は、通常、多層グラフェン層70に比較してが高くなる。
グラフェン複合体90では、アモルファスカーボン壁部80が、多層グラフェン層70の側面の周方向の少なくとも一部に固着している。このため、グラフェン複合体90は、多層グラフェン層70のみからなる多層グラフェン膜に比較して、多層グラフェン層70が強固に固定された構造体となる。
図2によれば、濃色の楕円状の多層グラフェン層70と、その周囲に生成された淡色のアモルファスカーボン壁部80とが、1個のグラフェン複合体90を形成していることが分かる。図2には、多数個のグラフェン複合体90が示されている。
図2に示す多数個のグラフェン複合体90では、グラフェン複合体90のそれぞれが、アモルファスカーボン壁部80が、多層グラフェン層70の側面の周方向の少なくとも一部に固着している。
図2に示す多数個のグラフェン複合体90のうちの多くは、アモルファスカーボン壁部80が、多層グラフェン層70の側面の周方向の全体に固着している。このようにアモルファスカーボン壁部80が多層グラフェン層70の側面の周方向の全体に固着していると、多層グラフェン層70がより強固に固定された構造体となるため好ましい。
上記のように欠損部73を有する多層グラフェン層70の表面では欠損部73に電流パス75が形成されやすい。これに対し、アモルファスカーボン壁部80では、アモルファスカーボン壁部80のうち多層グラフェン層70側の内壁面82に近い部分である内壁周囲部85に電流パス75が形成されやすい。
このため、多層グラフェン層70が欠損部73を有する場合、電流は、欠損部73の電流パス75を介して多層グラフェン層70内を平面方向に流れた後、多層グラフェンとアモルファスカーボンの境界の結合部を厚さ方向に流れやすい。
図2に示すように、グラフェン複合体90は、通常、多層グラフェン層70が楕円状になる。また、グラフェン複合体90は、多層グラフェン層70の楕円の長径が、例えば0.5~5μm、好ましくは1~3μmである。
グラフェン複合体90は、通常、金属等からなる基板15の表面に成膜される。この基板15の表面に成膜されたグラフェン複合体90は、通常、基板15の表面に、アモルファスカーボン壁部80の底面を介して固着されるものとなる。基板15の表面に成膜されたグラフェン複合体90は、アモルファスカーボン壁部80の底面と基板15の表面とが固着することでアモルファスカーボン壁部80の機械的強度がより向上するため好ましい。なお、基板15の表面に成膜されたグラフェン複合体90から基板15を除去する場合は、グラフェン複合体90からの基板15の剥離、基板15の溶解等を行う。
ここで、基板15の材質としては、特に限定されない。基板15の材質としては、例えば、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Au、Al、Si、Cr、Mg、Mn、Mo、Rh、Si、Ta、Ti、W、U、V及びZrからなる群より選択される1種以上の元素、又は前記1種以上の元素を含む化合物からなる。前記1種以上の元素を含む化合物としては、例えば、酸化物が用いられる。
基板15が上記材質からなると、炭素源分解の触媒作用及び炭素の溶解作用の1種以上の作用を有するため好ましい。このうち、Cuは、炭素源分解の触媒作用が大きいため好ましい。
基板15の形状としては、特に限定されないが、例えば、板状等の2次元形状、円筒状等の3次元形状が用いられる。
基板15の厚さとしては、特に限定されないが、例えば10~100μm、好ましくは20~40μmとする。基板15の厚さが、上記範囲内にあると基板全体への熱伝導が早いため好ましい。
図3は、図2に示す部位(1~5)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。図2に示す部位1~部位5のうち、部位1~部位3は濃色の楕円状の多層グラフェン層70にある部位であり、部位4及び部位5は淡色のアモルファスカーボン壁部80にある部位である。
図3に示すように、図2の部位1~部位3では、1600cm-1付近のGピーク及び2700cm-1付近の2Dピークが観測されるため、上記部位1~部位3がグラフェンからなることが分かった。また、図2の部位1~部位3では、Gピークの散乱強度が2Dピークの散乱強度より大きいため、上記部位1~部位3が多層グラフェンからなることが分かった。このため、図2の部位1~部位3が存在する濃色の楕円状の部分は、多層グラフェンからなる多層グラフェン層70であることが分かった。
図3に示すように、図2の部位4及び部位5では、Gピークが観測されるが2Dピークが観測されないため、上記部位4及び部位5がアモルファスカーボンからなることが分かった。このため、図2の部位4及び部位5が存在する淡色の部分は、アモルファスカーボンからなるアモルファスカーボン壁部80であることが推測される。
図4は、図2に示したグラフェン複合体の表面のAFM(原子間力顕微鏡)写真とそのライン上のプロファイルの一例である。図4(a)はAFM写真の一例であり、図4(b)は図4(a)に描いたライン上のプロファイルの一例である。
図4(a)及び(b)より、図2に示すシワ72は、高低差が16μm程度あることが分かった。
図5は、後述の実施例1で得られたグラフェン複合体の表面のSEM写真の一例と、このSEM写真と同じ部位のC-AFM(コンダクティブ原子間力顕微鏡)写真の一例である。図5(a)はSEM写真の一例であり、図5(b)はC-AFM写真の一例である。
図5(b)より、実施例1で得られたグラフェン複合体90では、図5(a)に示す濃色の楕円状の多層グラフェン層70の内部で電流が流れることが分かった。また、図5(a)と(b)とを比較すると、図5(b)で電流が流れる範囲は、図5(a)に示す濃色の楕円状の多層グラフェン層70を含みかつ多層グラフェン層70よりも若干広くなっていることが分かった。すなわち、図5(b)で電流が流れる範囲は、図5(a)の濃色の楕円状の多層グラフェン層70と、この多層グラフェン層70から淡色のアモルファスカーボン壁部80側にはみ出した部分とであることが分かった。
このため、グラフェン複合体90では、電流は、多層グラフェン層70内に加え、アモルファスカーボン壁部80のうち多層グラフェン層70側の内壁面82に近い内壁周囲部85も流れることが分かった。
図6は、SiO/Si基板に転写した実施例1で得られたグラフェン複合体の光学顕微鏡写真の一例と、この光学顕微鏡写真に示す部位(1~6)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。図6(a)は光学顕微鏡写真の一例であり、図6(b)は図6(a)を拡大した光学顕微鏡写真の一例であり、図6(c)は図6(b)に示す部位(1~6)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。
具体的には、図6は、金属基板の表面で成膜したグラフェン複合体90を金属基板から他のSiO/Si基板に転写したグラフェン複合体90について、光学顕微鏡写真の撮影及びラマン散乱強度の測定を行った結果である。
図6より、実施例1で得られたグラフェン複合体90では、転写した場合でも多層グラフェンとアモルファスカーボンが連なったシートの形状を維持しており、多層グラフェン層70とアモルファスカーボン壁部80とが強固に結合していることが分かった。
また、図6の部位1~部位3では、1600cm-1付近のGピーク及び2700cm-1付近の2Dピークが観測されるため、上記部位1~部位3がグラフェンからなることが分かった。
また、図6の部位4及び部位5では、Gピークが観測されるが2Dピークが観測されないため、上記部位4及び部位5がアモルファスカーボンからなることが分かった。
さらに、図6の部位6では、ピークが観測されないため、部位6に成膜物がないことが分かった。この部分は転写の過程でシートが破れた箇所である。
(本実施形態に係るグラフェン複合体の効果)
本実施形態に係るグラフェン複合体では、多層グラフェン層70の側面がアモルファスカーボン壁部80で固定される。このため、本実施形態に係るグラフェン複合体によれば、グラフェン層が強固に固定された機械的強度の高い炭素膜が得られる。
また、本実施形態に係るグラフェン複合体では、アモルファスカーボン壁部80のうち多層グラフェン層70側の内壁面82に近い内壁周囲部85でも電流が流れる。このため、本実施形態に係るグラフェン複合体によれば、多層グラフェン層70の面直方向の導通性が高い。
なお、本実施形態に係るグラフェン複合体は、基板15の表面に、アモルファスカーボン壁部80の底面を介して固着させることができる。基板15の表面に固着した本実施形態に係るグラフェン複合体によれば、アモルファスカーボン壁部80の底面と基板15の表面とが固着することでアモルファスカーボン壁部80の機械的強度がより向上する。
[グラフェン複合体の連続製造装置]
[第1の実施形態]
図7は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置を模式的に示す部分断面図である。第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1A(1)は、ベルトコンベア10と、還元部20と、非気体炭素源供給部30と、非気体炭素源加熱部40と、基板加熱部50とを備える。
(炉管)
グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、ベルトコンベア10、還元部20の還元部内空間23、非気体炭素源加熱部40の非気体炭素源加熱部内空間43及び基板加熱部50の基板加熱部内空間53は、炉管5内に設けられる。
ここで、炉管5とは、炉管5の壁面を介した炉管5内外の物体又は物質の流通を阻害し、かつ炉管5の壁面を介した熱の流通が可能な管状体である。炉管5は、炉管5の外部に設けられた加熱手段又は光照射手段により、炉管5内部を加熱したり光照射したりすることができるようになっている。
また、還元部内空間23とは、還元部20における炉管5内の空間を意味する。非気体炭素源加熱部内空間43とは、非気体炭素源加熱部40における炉管5内の空間を意味する。基板加熱部内空間53とは、基板加熱部50における炉管5内の空間を意味する。
非気体炭素源加熱部内空間43及び基板加熱部内空間53は、それぞれ、非気体炭素源加熱部40及び基板加熱部50が有する加熱手段により、加熱することができるようになっている。還元部内空間23は、還元部20が有する還元手段により還元処理することができるようになっている。なお、グラフェン複合体の連続製造装置1Aでは、還元部20が有する還元手段は加熱手段になっている。
炉管の材質としては、例えば、石英、セラミック等が用いられる。このうち石英は、透明で赤外線を通すことから内容物の加熱が容易なため好ましい。
炉管5は、長手方向の入口側から矢印12の方向にベルトコンベア10及び矢印の方向に雰囲気ガス13が導入され、長手方向の出口側から矢印12の方向にベルトコンベア10及び矢印の方向に雰囲気ガス13が排出されるようになっている。
また、グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、非気体炭素源供給部30は、炉管5外から炉管5内に非気体炭素源35を供給するようになっている。
以下、ベルトコンベア10、還元部20、非気体炭素源供給部30、非気体炭素源加熱部40、及び基板加熱部50についてさらに説明する。
(ベルトコンベア)
ベルトコンベア10は、ベルトコンベア10上に載置された基板15A(15)を移動させる装置である。基板15Aは、基板15のうち板状の基板である。グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、ベルトコンベア10は炉管5内に配置される。
ベルトコンベア10は、高温になる基板加熱部50内を移動するため、1000℃以上の耐熱性を有する材質及び構造を有する。ベルトコンベア10としては、例えば、スチールベルトコンベア、金属製バーコンベア、セラミックチェーンコンベア等が用いられる。このうち、セラミックチェーンコンベアは、金属の不純物混入が避けられるため好ましい。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aの稼働時、ベルトコンベア10は、通常、一定速度で移動させる。
ベルトコンベア10上に載置される基板15Aとしては、上記の本実施形態に係るグラフェン複合体で説明した基板15と同じものが用いられるため、説明を省略する。
(還元部)
還元部20は、ベルトコンベア10上に載置された基板15Aを還元するユニットである。ここで、還元とは、例えば、金属からなる基板15Aの表面に金属酸化物が形成されている場合において、金属酸化物を金属にするために行われる。基板15Aの表面の金属酸化物を還元して金属にすることにより、基板15Aの表面へのグラフェン複合体90の成膜が安定的に行われるようになる。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、還元部20は、炉管5の外部に設けられた還元手段である還元装置21により、還元部20における炉管5内の空間である還元部内空間23内を還元することができるようになっている。なお、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの変形例として、炉管5の外部に還元装置21を設けない還元部20を備えた、図示しないグラフェン複合体の連続製造装置としてもよい。
還元装置21としては、例えば、還元用ヒーター、光照射還元装置等が用いられる。還元用ヒーターは基板15Aを加熱することにより、光照射還元装置は基板15Aに光照射することにより、基板15Aを還元する装置である。
なお、グラフェン複合体の連続製造装置が炉管5の外部に還元装置21を設けない還元部20を備えるものである場合、還元部20は、例えば、還元部内空間23内に基板15Aの還元が可能な還元性物質を導入する構成にする。
上記構成により、還元部20は、ベルトコンベア10上に載置されベルトコンベア10とともに還元部内空間23内を移動する基板15A等の物体又は物質を還元することができるようになっている。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて還元装置21は、炉管5の外部、かつベルトコンベア10が形成する平面の上下方向に配置される。これにより、還元装置21は、ベルトコンベア10上に載置されベルトコンベア10とともに還元部内空間23内を移動する基板15A等の物体又は物質を上下方向から還元することができるようになっている。
還元装置21が還元用ヒーターである場合、還元用ヒーターは還元部内空間23を、1000℃以上に加熱可能な加熱手段とする。還元用ヒーターとしては、例えば、管状炉、レーザー加熱装置等が用いられる。このうち、管状炉は、広い領域を高温に維持できるため好ましい。
(非気体炭素源供給部)
非気体炭素源供給部30は、還元部20の下流側に設けられ、基板15Aの表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源35を供給するユニットである。ここで、還元部20の下流側とは、ベルトコンベア10の移動方向における下流側を意味する。
また、非気体炭素源35とは、グラフェン複合体の原料となる炭素源であって、気体でないものを意味する。非気体炭素源35としては、固体状炭素源、液体状炭素源等が用いられる。
なお、グラフェン複合体の連続製造装置1Aを用いたグラフェン複合体の連続製造時には、非気体炭素源35を加熱して気体炭素源45にする。このため、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの原料としてはじめから気体炭素源45を用いることも可能である。しかし、気体炭素源45の運搬、保存、グラフェン複合体の連続製造装置1Aへの安定供給等に手間がかかるおそれがある。これに対し、非気体炭素源35は、運搬、保存、グラフェン複合体の連続製造装置1Aへの安定供給等が容易であるため好ましい。
非気体炭素源35としては、炭素含有物質が用いられ、炭素含有物質である限り特に限定されない。非気体炭素源35としては、例えば、フルオレン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、ピレン及びペンタセンからなる群より選択される1種以上の芳香族化合物;フラーレン、CNT及びダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択される1種以上のナノカーボン;又は、スクロース、セルロース、PMMA、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル及びポリカーボネートからなる群より選択される1種以上の高分子化合物、が用いられる。非気体炭素源35が上記物質からなると、グラフェンを構成する六員環を含むため、又は安全に取り扱える炭素源であるため好ましい。また、非気体炭素源35が、フルオレンからなると、より安価で安全に取り扱えるためより好ましい。
非気体炭素源35の形状としては、特に限定されないが、例えば、粒状、塊状、粉体状等の固体状とすることができる。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、非気体炭素源供給部30は、炉管5外から炉管5内に非気体炭素源35を供給するようになっている。より具体的には、非気体炭素源供給部30は、その一部が、炉管5に穿設された孔部に挿入されることにより、炉管5外から炉管5内に非気体炭素源35を供給するようになっている。
非気体炭素源供給部30は、炉管5に穿設された孔部に、炉管5の周方向の気密性を保つように挿入されると、非気体炭素源35が気化して得られた気体炭素源45が炉管5外に漏出することが抑制されるため好ましい。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aの稼働時、ベルトコンベア10は、通常、一定速度で移動する。このため、非気体炭素源供給部30は、炉管5内の基板15Aの表面又はこの表面上の空間に、一定量の非気体炭素源35を供給できることが好ましい。非気体炭素源供給部30が一定量の非気体炭素源35を供給する場合、非気体炭素源35が気化して得られた気体炭素源45の炉管5内の濃度のばらつきが小さくなり、得られるグラフェン複合体の品質が均一になるため好ましい。
炉管5内の基板15Aの表面又はこの表面上の空間に、一定量の非気体炭素源35を供給できる非気体炭素源供給部30としては、例えば、非気体炭素源35を自然落下させかつ落下量を制御可能な装置が用いられる。
(非気体炭素源加熱部)
非気体炭素源加熱部40は、非気体炭素源供給部30の下流側に設けられ、非気体炭素源35を加熱して気体炭素源45を生成するユニットである。
非気体炭素源加熱部40は、炉管5の外部に設けられた加熱手段である炭素源加熱用ヒーター41により、非気体炭素源加熱部40における炉管5内の空間である非気体炭素源加熱部内空間43内を加熱することができるようになっている。
具体的には、非気体炭素源加熱部40は、ベルトコンベア10上に載置されベルトコンベア10とともに非気体炭素源加熱部内空間43内を移動する基板15A等の物体又は物質を加熱することができるようになっている。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、炭素源加熱用ヒーター41は、炉管5の外部、かつベルトコンベア10が形成する平面の上下方向に配置される。これにより、炭素源加熱用ヒーター41は、ベルトコンベア10上に載置されベルトコンベア10とともに非気体炭素源加熱部内空間43内を移動する基板15A等の物体又は物質を上下方向から加熱することができるようになっている。
炭素源加熱用ヒーター41は、非気体炭素源加熱部内空間43を、20~400℃に加熱可能な加熱手段である。炭素源加熱用ヒーター41としては、例えば、管状炉、レーザー加熱装置、リボンヒーター、マントルヒーター、ドライヤー等が用いられる。このうち、マントルヒーターは、安定な温度調節が可能であるため好ましい。
(基板加熱部)
基板加熱部50は、非気体炭素源加熱部40の下流側に設けられ、ベルトコンベア10上に載置された基板15Aを加熱して基板15Aの表面にグラフェン複合体90を成膜するユニットである。
基板加熱部50は、炉管5の外部に設けられた加熱手段である基板加熱用ヒーター51により、基板加熱部50における炉管5内の空間である基板加熱部内空間53内を加熱することができるようになっている。
具体的には、基板加熱部50は、ベルトコンベア10上に載置されベルトコンベア10とともに基板加熱部内空間53内を移動する基板15A等の物体又は物質を加熱することができるようになっている。
グラフェン複合体の連続製造装置1Aにおいて、基板加熱用ヒーター51は、炉管5の外部、かつベルトコンベア10が形成する平面の上下方向に配置される。これにより、基板加熱用ヒーター51は、ベルトコンベア10上に載置されベルトコンベア10とともに基板加熱部内空間53内を移動する基板15A等の物体又は物質を上下方向から加熱することができるようになっている。
基板加熱用ヒーター51は、基板加熱部内空間53を、900℃以上に加熱可能な加熱手段である。基板加熱用ヒーター51としては、例えば、管状炉、レーザー加熱装置等が用いられる。このうち、管状炉は、広い領域を加熱できるため好ましい。
第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置の作用は、下記の第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法において説明する。
[グラフェン複合体の連続製造方法]
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、上記第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置を用いる製造方法である。ここで、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置とは、図7に示すグラフェン複合体の連続製造装置1Aと、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの変形例とを含む概念である。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、還元工程と、非気体炭素源供給工程と、非気体炭素源加熱工程と、基板加熱工程とを備える。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、はじめに、炉管5内に配置され基板15Aが載置されたベルトコンベア10を図7の矢印12の方向に一定速度で移動させ、かつ矢印の方向に雰囲気ガス13を導入する。
基板15Aとしては、上記の第1の実施形態に係るグラフェン複合体で説明した基板15Aと同じものが用いられるため、説明を省略する。
雰囲気ガス13としては、例えば、ArとHとの混合ガス;He、Ne、N等の不活性ガス等が用いられる。雰囲気ガス13がArとHとの混合ガスの場合、混合ガスは、混合ガス100体積%中にHが、通常1~5体積%、好ましくは1~3体積%含まれる。ArとHとの混合ガスにおけるHの含有量が上記範囲内にあると、グラフェン複合体が得られやすいため、また万が一ガス漏れがあった際に水素の爆発濃度の下限以下であることから安全に取り扱えるため、好ましい。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、雰囲気ガス13が導入された炉管5内を一定速度で移動するベルトコンベア10上に基板15Aを載置した上で、還元工程と、非気体炭素源供給工程と、非気体炭素源加熱工程と、基板加熱工程とを行う。これにより、本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、基板15A表面へのグラフェン複合体の連続製造が可能である。
また、本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、通常、ベルトコンベア10上に複数個の基板15Aを載置する。これにより、本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、複数個の基板15A表面へのグラフェン複合体の連続製造が可能である。ベルトコンベア10上に載置される複数個の基板15Aは、同一形状同一大きさで、かつベルトコンベア10の移動方向に対して等間隔で載置されることが好ましい。複数個の基板15Aがこのようにベルトコンベア10上に載置されると、得られるグラフェン複合体の品質のバラツキが小さくなる。
(還元工程)
還元工程は、ベルトコンベア10上に載置された基板15Aを還元する工程である。還元工程は、移動するベルトコンベア10上の基板15Aに対して行われる。還元工程を行うと、基板15Aの表面の金属酸化物を還元して金属にすることにより、基板15Aの表面へのグラフェン複合体90の成膜が安定的に行われるようになる。
具体的には、還元工程は、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの還元部20で、還元部20における炉管5内の空間である還元部内空間23内を還元する工程である。グラフェン複合体の連続製造装置1Aを用いる場合、還元部内空間23内の還元は、還元装置21により行われる。また、還元装置21を備えないグラフェン複合体の連続製造装置1Aの変形例を用いる場合、還元工程は、還元部内空間23内に基板15Aの還元が可能な還元性物質を導入する還元部20を用いて実施される。
還元装置21としては、例えば、還元用ヒーター、光照射還元装置等が用いられる。還元用ヒーターは基板15Aを加熱することにより、光照射還元装置は基板15Aに光照射することにより、基板15Aを還元する装置である。
また、還元部内空間23内に導入される、基板15Aの還元が可能な還元性物質としては、例えば、H等が用いられる。
還元装置21として還元用ヒーターを用いる場合、還元部内空間23の温度を、例えば800~1200℃、好ましくは900~1100℃とする。
(非気体炭素源供給工程)
非気体炭素源供給工程は、還元工程の後に行われ、基板15Aの表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源35を供給する工程である。
非気体炭素源供給工程は、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの非気体炭素源供給部30を用いて行われる。
非気体炭素源35としては、本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置で説明した非気体炭素源35と同じものが用いられるため、説明を省略する。
非気体炭素源35が固体である場合、非気体炭素源供給工程では、図7に示すように非気体炭素源供給部30から基板15Aの表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源35が供給される。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、ベルトコンベア10は、通常、一定速度で移動する。このため、非気体炭素源供給工程では、炉管5内の基板15Aの表面又はこの表面上の空間に、一定量の非気体炭素源35が供給されることが好ましい。一定量の非気体炭素源35が供給される場合、非気体炭素源35が気化して得られた気体炭素源45の炉管5内の濃度のばらつきが小さくなり、得られるグラフェン複合体の品質が均一になるため好ましい。
(非気体炭素源加熱工程)
非気体炭素源加熱工程は、非気体炭素源供給工程の後に行われ、非気体炭素源35を加熱して気体炭素源45を生成する工程である。
非気体炭素源加熱工程は、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの非気体炭素源加熱部40を用いて行われる。
非気体炭素源加熱工程では、非気体炭素源加熱部内空間43の加熱温度を、通常30~120℃、好ましくは50~80℃とする。非気体炭素源加熱部内空間43の加熱温度が上記範囲内にあると、非気体炭素源35からグラフェン複合体90の成膜に好適な状態の気体炭素源45が生成されやすいため好ましい。非気体炭素源加熱部内空間43の加熱温度が120℃を超えると、グラフェン複合体90の成膜が困難になりやすい。
非気体炭素源35が固体である場合、非気体炭素源加熱工程では、ベルトコンベア10の進行に伴って非気体炭素源35が気化することにより、非気体炭素源35が小さくなる。具体的には、非気体炭素源加熱工程では、ベルトコンベア10の進行に伴って、図7に示す非気体炭素源35A、35B、35Cのように非気体炭素源35が小さくなり、気体炭素源45が生成される。
(基板加熱工程)
基板加熱工程は、非気体炭素源加熱工程の後に行われ、ベルトコンベア10上に載置された基板15Aを加熱して基板15Aの表面にグラフェン複合体90を成膜する工程である。具体的には、基板加熱工程は、気体炭素源45が基板15Aの表面に吸着して分解・結合することにより、基板15Aの表面でグラフェン複合体を形成する工程である。
基板加熱工程は、グラフェン複合体の連続製造装置1Aの基板加熱部50を用いて行われる。
基板加熱工程では、基板加熱部内空間53の加熱温度を、通常850~950℃、好ましくは875~925℃とする。基板加熱部内空間53の加熱温度が上記範囲内にあると、グラフェン複合体90の成膜が容易であるため好ましい。基板加熱部内空間53の加熱温度が上記範囲外であると、グラフェン複合体90の成膜が困難になりやすい。
[グラフェン複合体の連続製造装置]
[第2の実施形態]
図12は、第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置を模式的に示す部分断面図である。第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1B(1)は、搬送手段14と、還元部20と、非気体炭素源供給部30と、非気体炭素源加熱部40と、基板加熱部50とを備える。
第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Bは、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Aに比較して、搬送手段14を備え、ベルトコンベア10を備えない点で異なる。また、第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Bは、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Aに比較して、基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15B(15)を用いる点で異なる。
第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Bは、グラフェン複合体の連続製造装置1Aに比較して、搬送手段14を備え、ベルトコンベア10を備えず、基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる点以外は同様である。このため、グラフェン複合体の連続製造装置1Bと、グラフェン複合体の連続製造装置1Aとの共通の部材に同一の符号を付し、構成及び作用の説明を省略又は簡略化する。
(搬送手段)
搬送手段14は、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bをロール・トゥ・ロールで搬送するユニットである。ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bとしては、例えば、基板15のうちロール・トゥ・ロールで搬送可能な、長尺状基板又は連結基板が用いられる。ここで、連結基板とは、複数枚の基板が基板の端部に設けられた接続部で平面方向に接続された基板を意味する。連結基板を構成する複数枚の基板は、ロール・トゥ・ロール搬送方向、基板の平面内かつロール・トゥ・ロール搬送方向に対して所定の角度を有する方向、等に接続される。「基板の平面内かつロール・トゥ・ロール搬送方向に対して所定の角度を有する方向」としては、例えば、基板の平面内かつロール・トゥ・ロール搬送方向への垂直方向が挙げられる。
複数枚の基板がロール・トゥ・ロール搬送方向に接続されると、連結基板はロール・トゥ・ロール搬送基板の長手方向に沿って接続されたものとなる。複数枚の基板が基板の平面内かつロール・トゥ・ロール搬送方向に対する垂直方向に接続されると、連結基板はロール・トゥ・ロール搬送基板の幅方向に沿って接続されたものとなる。複数枚の基板がロール・トゥ・ロール搬送方向に接続されるとともに基板の平面内かつロール・トゥ・ロール搬送方向に垂直方向に接続されると、連結基板はロール・トゥ・ロール搬送基板の長手方向及び幅方向に沿って接続されたものとなる。
ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bは、形状以外は、基板15Aと同様であるため説明を省略する。搬送手段14は、例えば、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを巻き取る手段である。
(還元部)
還元部20は、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを還元するユニットである。
還元部20は、還元部内空間23内を移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを還元することができるようになっている。
グラフェン複合体の連続製造装置1Bにおいて還元装置21は、炉管5の外部、かつロール・トゥ・ロール搬送基板15Bが形成する平面の上下方向に配置される。これにより、還元装置21は、還元部内空間23内を移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを上下方向から還元することができるようになっている。
還元部20は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Aの還元部20と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(非気体炭素源供給部)
非気体炭素源供給部30は、還元部20の下流側に設けられ、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源35を供給するユニットである。ここで、還元部20の下流側とは、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの移動方向における下流側を意味する。
グラフェン複合体の連続製造装置1Bの稼働時、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bは、通常、一定速度で移動する。
非気体炭素源供給部30は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Aの非気体炭素源供給部30と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(非気体炭素源加熱部)
非気体炭素源加熱部40は、非気体炭素源供給部30の下流側に設けられ、非気体炭素源35を加熱して気体炭素源45を生成するユニットである。
非気体炭素源加熱部40は、炉管5の外部に設けられた加熱手段である炭素源加熱用ヒーター41により、非気体炭素源加熱部40における炉管5内の空間である非気体炭素源加熱部内空間43内を加熱することができるようになっている。
具体的には、非気体炭素源加熱部40は、非気体炭素源加熱部内空間43内を移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを加熱することができるようになっている。
グラフェン複合体の連続製造装置1Bにおいて、炭素源加熱用ヒーター41は、炉管5の外部、かつロール・トゥ・ロール搬送基板15Bが形成する平面の上下方向に配置される。これにより、炭素源加熱用ヒーター41は、非気体炭素源加熱部内空間43内を移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを上下方向から加熱することができるようになっている。
非気体炭素源加熱部40は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Aの非気体炭素源加熱部40と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(基板加熱部)
基板加熱部50は、非気体炭素源加熱部40の下流側に設けられ、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを加熱してロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面にグラフェン複合体90を成膜するユニットである。
具体的には、基板加熱部50は、基板加熱部内空間53内を移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを加熱することができるようになっている。
グラフェン複合体の連続製造装置1Bにおいて、基板加熱用ヒーター51は、炉管5の外部、かつロール・トゥ・ロール搬送基板15Bが形成する平面の上下方向に配置される。これにより、基板加熱用ヒーター51は、基板加熱部内空間53内を移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを上下方向から加熱することができるようになっている。
基板加熱部50は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置1Aの基板加熱部50と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
[グラフェン複合体の連続製造方法]
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、上記第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置を用いる製造方法である。ここで、第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置とは、図12に示すグラフェン複合体の連続製造装置1Bと、グラフェン複合体の連続製造装置1Bの変形例とを含む概念である。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、還元工程と、非気体炭素源供給工程と、非気体炭素源加熱工程と、基板加熱工程とを備える。
第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法に比較して、ベルトコンベア10を用いず、基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15B(15)を用いる点で異なる。
第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法に比較して、ベルトコンベア10を用いず、基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる点以外は同様である。このため、第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法と、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法とで同様の部分については、説明を省略又は簡略化する。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、はじめに、炉管5内に配置されたロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを図12の矢印12の方向に一定速度で移動させ、かつ矢印の方向に雰囲気ガス13を導入する。ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの移動は、搬送手段14により行われる。
雰囲気ガス13としては、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法とで説明した雰囲気ガス13と同じものが用いられるため、説明を省略する。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、雰囲気ガス13が導入された炉管5内を一定速度で移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bに対し、還元工程と、非気体炭素源供給工程と、非気体炭素源加熱工程と、基板加熱工程とを行う。これにより、本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、ロール・トゥ・ロール搬送基板15B表面へのグラフェン複合体の連続製造が可能である。
(還元工程)
還元工程は、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを還元する工程である。還元工程は、移動するロール・トゥ・ロール搬送基板15Bに対して行われる。還元工程は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法の還元工程と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(非気体炭素源供給工程)
非気体炭素源供給工程は、還元工程の後に行われ、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源35を供給する工程である。
本実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法では、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bは、通常、一定速度で移動する。このため、非気体炭素源供給工程では、炉管5内のロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面又はこの表面上の空間に、一定量の非気体炭素源35が供給されることが好ましい。一定量の非気体炭素源35が供給される場合、非気体炭素源35が気化して得られた気体炭素源45の炉管5内の濃度のばらつきが小さくなり、得られるグラフェン複合体の品質が均一になるため好ましい。
非気体炭素源供給工程は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法の非気体炭素源供給工程と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(非気体炭素源加熱工程)
非気体炭素源加熱工程は、非気体炭素源供給工程の後に行われ、非気体炭素源35を加熱して気体炭素源45を生成する工程である。
非気体炭素源35が固体である場合、非気体炭素源加熱工程では、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの進行に伴って非気体炭素源35が気化することにより、非気体炭素源35が小さくなる。具体的には、非気体炭素源加熱工程では、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの進行に伴って、図12に示す非気体炭素源35A、35B、35Cのように非気体炭素源35が小さくなり、気体炭素源45が生成される。
非気体炭素源供給工程は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法の非気体炭素源供給工程と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(基板加熱工程)
基板加熱工程は、非気体炭素源加熱工程の後に行われ、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを加熱してロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面にグラフェン複合体90を成膜する工程である。具体的には、基板加熱工程は、気体炭素源45がロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面に吸着して分解・結合することにより、ロール・トゥ・ロール搬送基板15Bの表面でグラフェン複合体を形成する工程である。
基板加熱工程は、ベルトコンベア10及び基板15Aに代えてロール・トゥ・ロール搬送基板15Bを用いる以外は、第1の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法の基板加熱工程と同様であるため、これ以上の説明を省略する。
(第1及び第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置の効果)
第1及び第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造装置によれば、グラフェン層が強固に固定された機械的強度の高い炭素膜を提供することができる。
(第1及び第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法の効果)
第1及び第2の実施形態に係るグラフェン複合体の連続製造方法によれば、グラフェン層が強固に固定された機械的強度の高い炭素膜の連続製造装置及び前記炭素膜の連続製造方法を提供することができる。
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図7に示すグラフェン複合体の連続製造装置1に代えて、図8に示す簡易なグラフェン複合体の簡易製造装置2を用いてグラフェン複合体の成膜試験を行った。
(グラフェン複合体の簡易製造装置)
図8は、実施例で用いたグラフェン複合体の簡易製造装置を模式的に示す部分断面図である。グラフェン複合体の簡易製造装置2は、炉管5と、炉管5に巻かれたリボンヒーター42と、炉管5を外から加熱する電気炉52と、を備える。また、炉管5内には、移動可能な石英ボート11が配置される。
炉管5としては、石英(GE214)からなり、外径30mm、内径26mm、長さ1000mmの炉管5を用いた。
グラフェン複合体の簡易製造装置2の石英ボート11は、グラフェン複合体の連続製造装置1のベルトコンベア10に相当する。
グラフェン複合体の簡易製造装置2のリボンヒーター42は、グラフェン複合体の連続製造装置1の炭素源加熱用ヒーター41に相当する。グラフェン複合体の簡易製造装置2のリボンヒーター42が巻かれた炉管5内の空間であるリボンヒーター内空間44Aは、グラフェン複合体の連続製造装置1の非気体炭素源加熱部内空間43に相当する。
グラフェン複合体の簡易製造装置2の電気炉52は、グラフェン複合体の連続製造装置1の還元用ヒーターからなる還元装置21又は基板加熱用ヒーター51に相当する。グラフェン複合体の簡易製造装置2の電気炉52内が設けられた炉管5内の空間である電気炉内空間54Aは、グラフェン複合体の連続製造装置1の還元部内空間23又は基板加熱部内空間53に相当する。
なお、グラフェンの簡易製造装置2の炉管5の両端には、雰囲気ガス13を導入するガス供給部と雰囲気ガス13を排出する排気部とがそれぞれ接続されており、炉管5の内部が外気と混合しないような構造になっている。
グラフェン複合体の簡易製造装置2では、炉管5内に、非気体炭素源35を載置した石英ボート11Aと、基板15Aを載置した石英ボート11Bとを用いることにより、ベルトコンベア10を用いるグラフェン複合体の連続製造装置1での連続製造を再現した。
具体的には、石英ボート11Aをリボンヒーター内空間44Aに配置することにより非気体炭素源35を気化させ非気体炭素源加熱工程を再現した。また、石英ボート11Bを電気炉内空間54Aに配置することにより、基板15Aを加熱還元する還元工程と、基板15A表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱工程とを再現した。還元工程は、石英ボート11A上の非気体炭素源35の気化前の工程である。基板加熱工程は、石英ボート11A上の非気体炭素源35の気化後の工程である。
(グラフェン複合体の成膜試験)
<前処理>
基板15Aとして、銅箔(株式会社ニラコ製、厚さ30μm)を10mm角にカットしたものを用いた。基板15Aは、アセトン及びエタノールで5分ずつ超音波洗浄を行い、窒素ブローで乾燥させた。
<簡易製造装置内への石英ボートの設置>
基板15Aを載置した石英ボート11Bをグラフェン複合体の簡易製造装置2の電気炉内空間54Aに配置した。一方、非気体炭素源35を載置した石英ボート11Aをグラフェン複合体の簡易製造装置2のリボンヒーター内空間44Aに配置した。非気体炭素源35として、フルオレン0.5mgを用いた。
<還元工程>
炉管5の中をAr+H(2体積%)の混合ガスで置換した後、同ガスを69sccm(大気圧)で維持した。この状態で電気炉内空間54A内の温度を1000℃に昇温し1時間維持することで石英ボート11B上の基板15Aを還元した。
<非気体炭素源加熱工程>
還元工程の後、リボンヒーター42を用いてリボンヒーター内空間44Aを設定温度(25℃)まで昇温し、石英ボート11A上の非気体炭素源35(フルオレン)を50℃で10分間加熱した。これにより、フルオレンガス(気体炭素源45)の生成を試みた。
<基板加熱工程>
非気体炭素源加熱工程の後、電気炉52を用いて電気炉内空間54A内の温度を900℃に昇温し10分間維持した。これにより、炉管5のフルオレンガスを用いて、石英ボート11B上の基板15Aの表面にグラフェン複合体90を成膜することを試みた。基板加熱工程の終了後は、電気炉52による加熱を停止し、急冷を行った。
銅箔からなる基板15Aの表面にはグラフェン複合体90が成膜されていた。
(評価)
<SEM写真>
図2は、実施例1で得られたグラフェン複合体の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真の一例である。具体的には、図2は、基板の表面に成膜されたグラフェン複合体の表面のSEM写真の一例である。
図2によれば、濃色の楕円状の多層グラフェン層70と、その周囲に生成された淡色のアモルファスカーボン壁部80とが、1個のグラフェン複合体90を形成していることが分かる。図2には、多数個のグラフェン複合体90が示されている。
図2に示す多数個のグラフェン複合体90では、グラフェン複合体90のそれぞれが、アモルファスカーボン壁部80が、多層グラフェン層70の側面の周方向の少なくとも一部に固着していることが分かる。また、図2に示す多数個のグラフェン複合体90のうちの多くは、アモルファスカーボン壁部80が、多層グラフェン層70の側面の周方向の全体に固着していることが分かる。
<ラマン散乱強度>
図3は、図2に示す部位(1~5)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。図2に示す部位1~部位5のうち、部位1~部位3は濃色の楕円状の多層グラフェン層70にある部位であり、部位4及び部位5は淡色のアモルファスカーボン壁部80にある部位である。
図3に示すように、図2の部位1~部位3では、1600cm-1付近のGピーク及び2700cm-1付近の2Dピークが観測されるため、上記部位1~部位3がグラフェンからなることが分かった。また、図2の部位1~部位3では、Gピークの散乱強度が2Dピークの散乱強度より大きいため、上記部位1~部位3が多層グラフェンからなることが分かった。このため、図2の部位1~部位3が存在する濃色の楕円状の部分は、多層グラフェンからなる多層グラフェン層70であることが分かった。
図3に示すように、図2の部位4及び部位5では、Gピークが観測されるが2Dピークが観測されないため、上記部位4及び部位5がアモルファスカーボンからなることが分かった。このため、図2の部位4及び部位5が存在する淡色の部分は、アモルファスカーボンからなるアモルファスカーボン壁部80であることが推測される。
<AFM写真>
図4は、図2に示したグラフェン複合体の表面のAFM(原子間力顕微鏡)写真とそのライン上のプロファイルの一例である。図4(a)はAFM写真の一例であり、図4(b)は図4(a)に描いたライン上のプロファイルの一例である。
図4(a)及び(b)より、図2に示すシワ72は、高低差が16μm程度あることが分かった。
<電流が流れる範囲の測定>
図5は、実施例1で得られたグラフェン複合体の表面のSEM写真の一例と、このSEM写真と同じ部位のC-AFM(コンダクティブ原子間力顕微鏡)写真の一例である。図5(a)はSEM写真の一例であり、図5(b)はC-AFM写真の一例である。
図5(b)より、実施例1で得られたグラフェン複合体90では、図5(a)に示す濃色の楕円状の多層グラフェン層70の内部で電流が流れることが分かった。また、図5(a)と(b)とを比較すると、図5(b)で電流が流れる範囲は、図5(a)に示す濃色の楕円状の多層グラフェン層70を含みかつ多層グラフェン層70よりも若干広くなっていることが分かった。すなわち、図5(b)で電流が流れる範囲は、図5(a)の濃色の楕円状の多層グラフェン層70と、この多層グラフェン層70から淡色のアモルファスカーボン壁部80側にはみ出した部分とであることが分かった。
このため、グラフェン複合体90では、電流は、多層グラフェン層70内に加え、アモルファスカーボン壁部80のうち多層グラフェン層70側の内壁面82に近い内壁周囲部85も流れることが分かった。
<グラフェン複合体の転写>
銅箔からなる基板15Aの表面に成膜されたグラフェン複合体90にPMMA(ポリメタクリル酸メチル)膜をスピンコートにより成膜し、銅のエッチング液に浸漬して銅箔を溶解した。エッチング液に浮くグラフェン複合体90とPMMA膜との混合体をSiO/Si基板で掬い取ったのち、PMMA膜をアセトンで溶かし、純水で洗浄することにより、グラフェン複合体90をSiO/Si基板に転写した。
図6は、SiO/Si基板に転写した実施例1で得られたグラフェン複合体の光学顕微鏡写真の一例と、この光学顕微鏡写真に示す部位(1~6)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。図6(a)は光学顕微鏡写真の一例であり、図6(b)は図6(a)を拡大した光学顕微鏡写真の一例であり、図6(c)は図6(b)に示す部位(1~6)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。
具体的には、図6は、金属基板の表面で成膜したグラフェン複合体90を金属基板から他のSiO/Si基板に転写したグラフェン複合体90について、光学顕微鏡写真の撮影及びラマン散乱強度の測定を行った結果である。
図6(b)及び(c)より、グラフェン複合体90では、転写した場合でも一枚のシートの形状を維持しており、多層グラフェン層70とアモルファスカーボン壁部80とが強固に結合していることが分かった。
また、図6の部位1~部位3では、1600cm-1付近のGピーク及び2700cm-1付近の2Dピークが観測されるため、上記部位1~部位3がグラフェンからなることが分かった。
また、図6の部位4及び部位5では、Gピークが観測されるが2Dピークが観測されないため、上記部位4及び部位5がアモルファスカーボンからなることが分かった。
さらに、図6の部位6では、ピークが観測されないため、部位6に成膜物がないことが分かった。この部分は転写の過程でシートが破れた箇所である。
<グラフェン複合体の剥離試験>
銅箔からなる10mm角の基板15Aと、この表面に成膜されたグラフェン複合体90とを備える剥離試験用サンプルを用いてグラフェン複合体90の剥離試験を行った。
初めに、剥離試験用サンプルのグラフェン複合体90側の表面の全体を覆うように、メンディングテープ(スリーエムジャパン株式会社製、スコッチメンディングテープ)を貼付した。なお、メンディングテープの貼付の際、メンディングテープの表面に60kgの荷重をかけた。メンディングテープの貼付から1分後、剥離試験用サンプルからメンディングテープを剥離した。メンディングテープは、スコッチテープの端部を摘まみ、基板15Aの表面に対して垂直方向に0.1cm/秒の一定速度で引き上げることにより剥離した。
次に、メンディングテープの剥離後かつ加熱前の剥離試験用サンプル(加熱前サンプル)を、空気中、230℃に加熱したホットプレート上に15分間載置した。
加熱終了後の剥離後サンプル(加熱後サンプル)について、メンディングテープを剥離した表面の外観を観察した。
図9は、加熱前サンプルにおけるメンディングテープを剥離した表面の外観を示す光学顕微鏡写真である。図10は、加熱後サンプルにおけるメンディングテープを剥離した表面の外観を示す光学顕微鏡写真である。図11は、図10に示す部位(1~3)のラマンシフトと散乱強度との関係を示すグラフである。
図10の部位3は、やや濃色で楕円状の部位であり、色及び形状は図9と同様であった。図10の部位2は、淡色で不定形の部位であり、色及び形状は図9と同様であった。図10の部位1は、濃色で不定形の部位であり、図10の部位2の一部が図9に比較して濃色に変色した部位である。
図11より、図10の部位3では、1600cm-1付近のGピーク及び2700cm-1付近の2Dピークが共に観測され、さらにGピークの散乱強度が2Dピークの散乱強度より大きいことが分かった。このため、図10の部位3は、楕円状の多層グラフェンからなる部位であることが分かった。
図11より、図10の部位2では、Gピークが観測されるが2Dピークが観測されないことが分かった。このため、図10の部位2は、不定形のアモルファスカーボンからなることが分かった。
図11より、図10の部位1では、Gピーク及び2Dピークが共に観測されないことが分かった。このため、図10の部位1は、図10の部位2の不定形のアモルファスカーボンの一部が剥離して露出した銅箔が変色した部位であることが分かった。
図9~11より、図10の部位3が示す楕円状の多層グラフェンは、銅箔からなる基板15Aに強固に固着していることが分かった。また、図10の部位2が示す不定形のアモルファスカーボンは、大部分が剥離しないことが分かった。特に楕円状の多層グラフェン周囲ではアモルファスカーボンが残った。
図10において、楕円状の多層グラフェンである部位3と、この周囲の不定形のアモルファスカーボンからなる部位2のうち部位3に近接する部分と、の複合体が、実施形態のグラフェン複合体に相当する。図10より、グラフェン複合体は、銅箔からなる基板15Aに強固に固着していることが分かった。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1、1A、1B グラフェン複合体の連続製造装置
2 グラフェン複合体の簡易製造装置
5 炉管
6 石英管
10 ベルトコンベア
11 石英ボート
13 雰囲気ガス
14 搬送手段
15 基板
15A 板状の基板
15B ロール・トゥ・ロール搬送基板
20 還元部
21 還元装置
23 還元部内空間
30 非気体炭素源供給部
35 非気体炭素源
40 非気体炭素源加熱部
41 炭素源加熱用ヒーター
42 リボンヒーター
43 非気体炭素源加熱部内空間
44A リボンヒーター内空間
45 気体炭素源
50 基板加熱部
51 基板加熱用ヒーター
52 電気炉
53 基板加熱部内空間
54A 電気炉内空間
70 多層グラフェン層
71 グラフェン
72 シワ
73 欠損部
75 電流パス
80 アモルファスカーボン壁部
82 内壁面
85 内壁周囲部
90 グラフェン複合体

Claims (17)

  1. グラフェンが2層以上積層された多層グラフェン層と、
    アモルファスカーボンからなり、前記多層グラフェン層の側面の周方向の少なくとも一部に固着したアモルファスカーボン壁部と、
    を備え
    前記多層グラフェン層は、シワ、又は、グラフェンが破断してグラフェンの端面が露出している部分である欠損部を有するグラフェン複合体。
  2. 前記アモルファスカーボン壁部は、前記多層グラフェン層の側面の周方向の全体に固着している請求項1に記載のグラフェン複合体。
  3. 基板の表面に、前記アモルファスカーボン壁部の底面を介して固着される請求項1又は2に記載のグラフェン複合体。
  4. 前記基板の材質が、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Au、Al、Si、Cr、Mg、Mn、Mo、RhTa、Ti、W、U、V及びZrからなる群より選択される1種以上の元素、又は前記1種以上の元素を含む化合物からなる請求項3に記載のグラフェン複合体。
  5. 載置された基板を移動させるベルトコンベアと、
    前記ベルトコンベア上に載置された基板を還元する還元部と、
    前記還元部の下流側に設けられ、前記基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給部と、
    前記非気体炭素源供給部の下流側に設けられ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱部と、
    前記非気体炭素源加熱部の下流側に設けられ、前記ベルトコンベア上に載置された基板を加熱して前記基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱部と、
    を備えるグラフェン複合体の連続製造装置。
  6. 前記ベルトコンベア、前記還元部の還元部内空間、前記非気体炭素源加熱部の非気体炭素源加熱部内空間、及び前記基板加熱部の基板加熱部内空間は、炉管内に設けられ、
    前記非気体炭素源供給部は、前記炉管外から前記炉管内に非気体炭素源を供給する請求項5に記載のグラフェン複合体の連続製造装置。
  7. ベルトコンベア上に載置された基板を還元する還元工程と、
    前記還元工程の後に行われ、前記基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給工程と、
    前記非気体炭素源供給工程の後に行われ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱工程と、
    前記非気体炭素源加熱工程の後に行われ、前記ベルトコンベア上に載置された基板を加熱して前記基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱工程と、
    を備えるグラフェン複合体の連続製造方法。
  8. 前記非気体炭素源が、フルオレン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、ピレン及びペンタセンからなる群より選択される1種以上の芳香族化合物;フラーレン、CNT及びダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択される1種以上のナノカーボン;又は、スクロース、セルロース、PMMA、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル及びポリカーボネートからなる群より選択される1種以上の高分子化合物である請求項7に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  9. 前記非気体炭素源加熱工程の加熱温度が、30~120℃である請求項7又は8に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  10. 前記基板の材質が、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Au、Al、Si、Cr、Mg、Mn、Mo、RhTa、Ti、W、U、V及びZrからなる群より選択される1種以上の金属、又は前記1種以上の元素を含む化合物からなる請求項7から9のいずれか一項に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  11. 前記基板加熱工程の加熱温度が、850~950℃である請求項7から10のいずれか一項に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  12. ロール・トゥ・ロール搬送基板をロール・トゥ・ロールで搬送する搬送手段と、
    前記ロール・トゥ・ロール搬送基板を還元する還元部と、
    前記還元部の下流側に設けられ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給部と、
    前記非気体炭素源供給部の下流側に設けられ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱部と、
    前記非気体炭素源加熱部の下流側に設けられ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板を加熱して前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱部と、
    を備えるグラフェン複合体の連続製造装置。
  13. ロール・トゥ・ロールで搬送されるロール・トゥ・ロール搬送基板を還元する還元工程と、
    前記還元工程の後に行われ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面又はこの表面上の空間に非気体炭素源を供給する非気体炭素源供給工程と、
    前記非気体炭素源供給工程の後に行われ、前記非気体炭素源を加熱して気体炭素源を生成する非気体炭素源加熱工程と、
    前記非気体炭素源加熱工程の後に行われ、前記ロール・トゥ・ロール搬送基板を加熱して前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の表面にグラフェン複合体を成膜する基板加熱工程と、
    を備えるグラフェン複合体の連続製造方法。
  14. 前記非気体炭素源が、フルオレン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、トリフェニレン、クリセン、ピレン及びペンタセンからなる群より選択される1種以上の芳香族化合物;フラーレン、CNT及びダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択される1種以上のナノカーボン;又は、スクロース、セルロース、PMMA、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル及びポリカーボネートからなる群より選択される1種以上の高分子化合物である請求項13に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  15. 前記非気体炭素源加熱工程の加熱温度が、30~120℃である請求項13又は14に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  16. 前記ロール・トゥ・ロール搬送基板の材質が、Cu、Ni、Co、Fe、Pt、Au、Al、Si、Cr、Mg、Mn、Mo、RhTa、Ti、W、U、V及びZrからなる群より選択される1種以上の金属、又は前記1種以上の元素を含む化合物からなる請求項13から15のいずれか一項に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
  17. 前記基板加熱工程の加熱温度が、850~950℃である請求項13から16のいずれか一項に記載のグラフェン複合体の連続製造方法。
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