JP2015003648A - ラックブッシュ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラックブッシュ10は、操舵部材の操舵に応じて軸方向Xに移動することによって転舵輪を転舵させるラック軸8と、ラック軸8を収容するハウジングとの間に介在されており、ラック軸8を軸方向Xに移動可能に支持している。ラックブッシュ10は、ラック軸8に対して外嵌される筒状のブッシュ本体14と、潤滑剤20を溜めるための溜まり部16とを含んでいる。ブッシュ本体14は、軸方向Xに移動するラック軸8に摺擦する内周面14Dを有している。溜まり部16は、ブッシュ本体14の内周面14Dに設けられ、軸方向Xと直交する周方向Cに沿って延びる溝18、および、周方向Cに並ぶ複数の穴19の少なくとも一方で構成されている。
【選択図】図3
Description
請求項3記載の発明は、前記溜まり部の深さ(d1,d2)は、前記ブッシュ本体の肉厚(t1,t2)以下であることを特徴とする、請求項1または2記載のラックブッシュである。
請求項5記載の発明は、前記ブッシュ本体に設けられ、前記一対の半割部分を互いに接続させる接続部(23)を含むことを特徴とする、請求項4記載のラックブッシュである。
請求項7記載の発明は、前記接続部は、前記一対の半割部分における前記軸方向の端部(21C,21D,22C,22D)同士の間に架設されていることを特徴とする、請求項5または6記載のラックブッシュである。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
溜まり部に潤滑剤が溜まった状態で、ラック軸が軸方向への移動を繰り返したとしても、潤滑剤は、溜まり部から、ブッシュ本体とラック軸との間へ、当該周方向における広い範囲に亘って提供され続ける。
請求項2記載の発明によれば、溜まり部は、ブッシュ本体の内周面において、周方向の全域に設けられているため、潤滑剤をラック軸の周方向における全域へと確実に行き渡らせることができる。よって、ラック軸とラックブッシュとの間での潤滑性の更なる向上を図ることができる。
請求項4記載の発明によれば、ブッシュ本体は、軸方向に沿って半割された一対の半割部分を組み合わせることで構成されている。この場合、筒状のブッシュ本体の内周面に溜まり部を形成するよりも、個々に溜まり部が形成された一対の半割部分を組み合わせる方が、溜まり部を有するラックブッシュの製造が容易であり、その分、溜まり部を設けるためのコストの低減を図れる。
請求項6記載の発明によれば、接続部は、ブッシュ本体の肉厚よりも薄いので、折れ曲がりやすい。そのため、接続部を折り曲げて一対の半割部分を容易に組み合わせることで、ラックブッシュを速やかに完成させることができる。
図1は、本発明の一実施形態のステアリング装置1の概略平面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、自在継手4と、中間軸5と、自在継手6と、ピニオン軸7と、ラック軸8と、ハウジング9とを主に含んでいる。
ラック軸8の外周面8Bには、ピニオン7Aと噛み合うラック8Aが形成されており、ピニオン軸7およびラック軸8によってラックアンドピニオン機構からなる転舵機構Aが構成されている。ラック軸8は、ハウジング9に収容されており、ラック軸8の両端部は、ハウジング9の両側へ突出し、各端部にはそれぞれ継手11を介してタイロッド12が結合されている。各タイロッド12は対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する転舵輪13に連結されている。
ここで、ラック軸8が延びる方向を軸方向Xとし、軸方向Xに垂直な方向のうち図1の紙面に向かって延びる方向を前後方向Yとし、軸方向Xに垂直な方向のうち図1の上下に延びる方向を上下方向Zとする。軸方向Xは、車両の幅方向(図1の左右方向)と同じであり、前後方向Yは、車両の前後方向と同じであり、上下方向Zは、車両の上下方向とほぼ同じである。また、車両の前側は、前後方向Yにおける紙面手前側であり、車両の後側は、前後方向Yにおける紙面奥側である。
図2を参照して、ラックブッシュ10は、ブッシュ本体14と、係止部15と、溜まり部16とを含んでいる。
ブッシュ本体14は、軸方向Xに延びる筒状である。ブッシュ本体14は、図2における軸方向Xの左側(図1における車両の幅方向の左側)の第1部分14Aと、図2における軸方向Xの右側(車両の幅方向における中心側であって、図1における右側)の第2部分14Bとを含んでいる。第1部分14Aは、第2部分14Bよりも大径である。ブッシュ本体14の外周面14Cは、第1部分14Aと第2部分14Bとの境界において、第1部分14Aから第2部分14Bに向かって縮径している。第1部分14Aの径方向における厚みである肉厚t1は、第2部分14Bの肉厚t2よりも大きい。ブッシュ本体14(ラックブッシュ10)は、ラック軸8に対して同軸状で外嵌された状態で、ハウジング9に収容されている。この状態で、ブッシュ本体14(ラックブッシュ10)は、ラック軸8とハウジング9との間に介在されている。また、この状態では、ブッシュ本体14の外周面14Cは、第1部分14Aおよび第2部分14Bの両部分においてハウジング9の内周面9Cに接している。内周面9Cは、ブッシュ本体14に沿うように第1部分14Aと第2部分14Bとの境界において、第1部分14Aから第2部分14Bに向かって縮径している。また、ブッシュ本体14における内周面14Dは、第1部分14Aおよび第2部分14Bの両部分(つまり、軸方向Xにおける全域)において、ラック軸8の外周面8Bと接している。
係止部15は、第1部分14Aの外周面14Cから径方向Rにおける外側へ突出した爪状の突起である。係止部15は、たとえば、ブッシュ本体14の周方向(ラック軸8の周方向でもある)Cにおいて180°隔てて(図2においてはラック軸8を挟んで上下方向Zに隔てて)2つ形成されている。ここで、ハウジング9の内周面9Cでは、各係止部15と一致する部分に、係止穴17が1つずつ形成されている。各係止部15は、係止穴17に対して係合している。これにより、ラックブッシュ10がハウジング9内で軸方向Xおよび周方向Cにおいて位置決めされている。
以下では、図1および図2に加えて図3も参照して説明する。
図3を参照して、溜まり部16は、ブッシュ本体14の内周面14Dに設けられた溝18および穴19を含んでいる。
次に、車両への組み付けに関して、ラックブッシュ10の構造をさらに詳しく説明する。
以下では、図1〜図3に加えて図4および図5も参照して説明する。
図4を参照して、車両に組み付ける前(ラック軸8に対して外嵌される前)のラックブッシュ10(ブッシュ本体14)は、軸方向Xに沿って半割されていて、一対の半割部分30を含んでいる。一対の半割部分30は、それぞれ半円筒状である。各半割部分30は、ブッシュ本体14の周方向Cにおいて係止部15が形成されている部分から90°ずれた部分を軸方向Xに沿って2分割したものである。筒状のブッシュ本体14の内周面14Dに溜まり部16を形成するよりも、このように、個々に溜まり部16が形成された一対の半割部分30を組み合わせる方が、溜まり部16を有するラックブッシュ10の製造が容易であり、その分、溜まり部16を設けるためのコストの低減を図れる。
一対の半割部分30の中心軸(円弧中心を通る仮想線)は、共に軸方向Xに一致しているので、互いに平行である。一対の半割部分30は、軸方向Xと直交する方向に並んでおり、軸方向Xにおいて同じ位置に配置されている。一対の半割部分30において、図4における右手前側を第1半割部分21とし、図4における左奥側を第2半割部分22とする。
また、接続部23は、ブッシュ本体14の肉厚(ここでは、最も薄い肉厚t2)よりも薄く、板厚方向には、折れ曲がりやすい。そのため、接続部23を折り曲げて一対の半割部分30を容易に組み合わせることで、ラックブッシュ10を速やかに完成させることができる。なお、図4において、接続部23の大きさは、誇張されており、実際の大きさを示すものではない。そのため、接続部23を曲げてブッシュ本体14を円形状にした状態では、接続部23は、図5のように、外周面14Cから外側に突出することはなく、外周面14Cと滑らかに接続されている。このように、一対の半割部分30の軸方向Xの端部21Dおよび端部22Dに設けられた接続部23は、目立たない。このことは、後述する図6〜図8においても当てはまる。そのため、ラック軸8に対してブッシュ本体14が外嵌された後において(図3参照)、接続部23は、図5に示すように径方向Rに突出しておらず、他の部品と干渉することがない。
図6を参照して、ラックブッシュ10は、下側の第1金型24と上側の第2金型25とによって区画された空間に樹脂を流し込んで成形する射出成形によって成形されている。図示しないが、第2金型25には、溝18を成形するためのリブ(凸条)と、穴19を成形するための半球状の凸部とが形成されている。また、接続部23によって連結された一対の半割部分30は、ここでの射出成型の際に、一対の半割部分30とともに一体的に成形される。これにより、個々に溜まり部16が形成された一対の半割部分30を単純な射出プレス成形により成形してから組み合わせることによって、溜まり部16を有するラックブッシュ10を容易に大量生産することができる。
次に、本発明の変形例について説明する。
図7は、図4に本発明の変形例を適用した図である。図8は、図5に本発明の変形例を適用した図である。ここで、図7および図8の姿勢は、図4と一致している。なお、上記に説明した部材と同様の部材には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
図7を参照して、本発明の変形例における一対の半割部分30は、軸方向Xに並んでいて、互いの境界を中心として対称になっていて、全体として1つの半円筒を構成している。詳しくは、第1半割部分21における端面21Aと、第2半割部分22における端面22Aとは、軸方向Xに沿った同一直線上に配置されていて、第1半割部分21における端面21Bと、第2半割部分22における端面22Bとは、軸方向Xに沿った同一直線上に配置されている。
たとえば、図3を参照して、溜まり部16は、必ずしも溝18および複数の穴19の両方を含んでいる必要はなく、少なくとも一方で構成されていてもよい。
また、溝18は、ブッシュ本体14の内周面14Dに必ずしも2個形成されている必要はなく、1つだけ形成されていることもあり得るし、3つ以上形成されていることもあり得る。また、溝18は、周方向Cの全域に形成されていることが好ましいが、厳密に全域に形成されていなくてもよい。
また、穴19の内径Dは、複数の穴19においてそれぞれ違っていることもあり得る。
また、第1半割部分21の端面21Aと、第2半割部分22の端面22Aとには、ラック軸8に対してラックブッシュ10が外嵌された状態(ラックブッシュ10の円筒状の形状)を維持するためのロック機構(凹凸の嵌め込みなど)が設けられていてもよい。同様に、第1半割部分21の端面21Bと、第2半割部分22の端面22Bとにも、当該ロック機構が設けられていてもよい。その場合、ラック軸8に対してラックブッシュ10を取り付ける工程の作業性の向上に寄与する。
また、図4を参照して、実施例における接続部23は、必ずしも端部同士を連結している必要はなく、端部21Cと端部21Dとの間(端部22Cと端部22Dとの間でもある)で一対の半割部分30を連結していればよい。たとえば、端部21Cと端部21Dとの真ん中であってもよい。また、接続部23は、必ずしも1つである必要はなく、端部21Cと端部21Dとの間で複数設けられていてもよい。
Claims (8)
- 操舵部材の操舵に応じて軸方向に移動することによって転舵輪を転舵させるラック軸と、前記ラック軸を収容するハウジングとの間に介在され、前記ラック軸を前記軸方向に移動可能に支持するラックブッシュであって、
前記ラック軸に対して外嵌される筒状であって、前記軸方向に移動する前記ラック軸に摺擦する内周面を有するブッシュ本体と、
前記ブッシュ本体の内周面に設けられ、前記軸方向と直交する周方向に沿って延びる溝、および、前記周方向に並ぶ複数の穴の少なくとも一方で構成され、潤滑剤を溜めるための溜まり部と、
を含むことを特徴とする、ラックブッシュ。 - 前記溜まり部は、前記ブッシュ本体の内周面において、前記周方向における全域に設けられていることを特徴とする、請求項1記載のラックブッシュ。
- 前記溜まり部の深さは、前記ブッシュ本体の肉厚以下であることを特徴とする、請求項1または2記載のラックブッシュ。
- 前記ブッシュ本体は、前記軸方向に沿って半割されていて、一対の半割部分を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のラックブッシュ。
- 前記ブッシュ本体に設けられ、前記一対の半割部分を互いに接続させる接続部を含むことを特徴とする、請求項4記載のラックブッシュ。
- 前記接続部は、前記ブッシュ本体の肉厚よりも薄いことを特徴とする、請求項5記載のラックブッシュ。
- 前記接続部は、前記一対の半割部分における前記軸方向の端部同士の間に架設されていることを特徴とする、請求項5または6記載のラックブッシュ。
- 前記ラックブッシュは、射出成形により成形されていることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載のラックブッシュ。
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