JP2015003426A - コアドリル - Google Patents

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浩一 小尾
Koichi Obi
浩一 小尾
靖則 大木
Yasunori Oki
靖則 大木
陽 安立
Akira Adachi
陽 安立
雅明 小針
Masaaki Kobari
雅明 小針
高寛 砂川
Takahiro Sunagawa
高寛 砂川
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Abstract

【課題】合成樹脂を用いて補修済みの填充層の再補修する際に、補修された部分の除去を容易にできるコアドリルを提供する。
【解決手段】円筒壁24aを有するコアドリル本体24と、コアドリル本体24の先端に設けられた複数の穿孔刃25とを備えたコアドリル23において、コアドリル本体24に、先端から基端に向けて延在する切粉排出溝26を円筒壁24aを貫通する態様で形成し、切粉排出溝26の穿孔方向寸法L1を穿孔対象物に対する穿孔深さD1(図10)よりも大きく設定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、コアドリルに係り、特に樹脂やセメントアスファルトモルタルといった粘性の高い素材を切断できるコアドリルに関する。
バラスト道床上に列べられた枕木にレールを締結した構造のバラスト式軌道に代わって、保守管理の省力化を図るため、路盤コンクリート上に列べられたコンクリート製の軌道スラブにレールを直結した構造のスラブ式軌道が採用されることがある。このスラブ式軌道では、レールを弾性的に支持可能なように、軌道スラブと路盤コンクリートとの間に、セメントとアスファルト乳剤と細骨材とを混合したCAモルタル(セメントアスファルトモルタル)による填充層が設けられている。
このCAモルタルによる填充層は、軌道スラブに作用するレールの温度応力や列車の荷重等の外力によって劣化・疲労が進行し、特に豪雪地域では、露出部分からしみ込んだ水分が凍結・融解を繰り返して劣化を早めるため、比較的短期間のうちに補修が必要となる。このようなCAモルタル填充層の補修には、列車の運行がない夜間の短時間のうちに作業を終了して早期に所要の強度を発現可能なように、迅速に硬化可能であり、且つ軌道スラブの弾性支持に必要なばね特性や圧縮強度等の要求を満足する補修材料を用いる必要がある。このような補修材料として、二液型のウレタン樹脂が用いられることがある。
ところが、二液型のウレタン樹脂は冬場に粘性が増大するため、空隙のない密実な補修層を得るために作業に手間と時間がかかる。そこで、冬場でも迅速に硬化可能であり、さらに低コストで作業性に優れた補修材料として、ラジカル硬化性を有する合成樹脂を基材とし、これに高分子弾性材の小片と無機骨材とを混合するとともに、前記基材の硬化剤を添加してなるものも本出願人は提案している(特許文献1参照)。
特開平11−256504号公報
ところで、CAモルタル填充層を補修する場合には、回転式カッターやピックなどを用いてCAモルタル除去することができる。一方、上記のような合成樹脂を用いて補修された填充層は、填充層の強度や耐久性を回復することはできるが、再度補修する必要が生じたときに、補修された部分(合成樹脂部分)を除去するのが困難である。例えば、地震などによって路盤コンクリートが隆起または沈下した場合には、填充層を再度補修して起動スラブの高さを調整する必要があり、このときに合成樹脂部分を除去するのに多大な手間と労力を要することになる。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、合成樹脂を用いて補修済みの填充層の再補修する際に、補修された部分を容易に除去すべく、合成樹脂やCAモルタルといった比較的粘性の高い素材を効率的に穿孔することのできるコアドリルを提供することをその目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一側面によれば、円筒壁(24a)を有するコアドリル本体(24)と、前記コアドリル本体の先端に設けられた複数の穿孔刃(25)とを備えたコアドリル(23)であって、前記コアドリル本体には、先端から基端に向けて延在する切粉排出溝(26)が前記円筒壁を貫通する態様で形成され、当該切粉排出溝の穿孔方向寸法(L1)が穿孔対象物に対する穿孔深さ(D1)よりも大きく設定された構成とする。
このような構成とすることにより、穿孔刃により切削された切粉は穿孔対象物に進入しない切粉排出溝の後部から容易に排出され、穿孔刃の表面に付着することが抑制されるため、合成樹脂やCAモルタルといった比較的粘性の高い素材であっても効率的に(高速で)穿孔することができる。したがって、補修済みの填充層における円筒状孔内の合成樹脂部分を容易に除去することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記切粉排出溝(26)は、前記コアドリル本体(24)の先端から基端に向けて回転方向と相反する側に傾斜している構成とすることができる。
この構成によれば、切削された切粉が回転する切粉排出溝によってコアドリル本体の基端側に強制的に排出されるため、合成樹脂やCAモルタルといった比較的粘性の高い素材であっても切粉の穿孔刃への付着を防止して効率的に穿孔することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記複数の穿孔刃(25)は、前記円筒壁(24a)の表面から径方向外側および径方向内側の少なくとも一方に突出するとともに、当該一方への突出量(P1)が他方への突出量よりも大きくなるように形成され、少なくとも1つの穿孔刃がより大きく突出する側が、隣接する穿孔刃のうちの少なくとも1つがより大きく突出する側と相反する構成とすることができる。
この構成によれば、切削された切粉が穿孔刃の表面に付着することが抑制されるため、合成樹脂やCAモルタルといった比較的粘性の高い素材であっても効率的に(高速で)切断することができる。
また、本発明の一側面によれば、前記複数の穿孔刃(25)は、より大きく突出する側が周方向に沿って交互となるように配置された構成とすることができる。
この構成によれば、合成樹脂やCAモルタルといった比較的粘性の高い素材をより効率的に切断することができる。
このように本発明によれば、合成樹脂やCAモルタルといった比較的粘性の高い素材を効率的に穿孔できるコアドリルを提供することができる。
スラブ式軌道を示す斜視図 填充層補修用の架台を設置した状態のスラブ式軌道の斜視図 填充層補修用の架台を設置した状態のスラブ式軌道の正面図 図3に示すコアドリルの側面図 図3に示すコアドリルの正面図 図5中のVI−VI断面図 図3に示す回転カッターの平面図 図7中のVIII−VIII断面図 填充層の補修状態を示す平面図 図9中のA部の合成樹脂除去方法を説明するための要部平面図 図9中のB部の合成樹脂除去方法を説明するための要部断面図 図9中のC部の合成樹脂除去方法を説明するための概略平面図 図9中のD部の合成樹脂除去方法を説明するための要部平面図 変形例に係るコアドリルの正面図 図14中のXV−XV断面図 変形例に係る回転カッターの図8に対応する断面図
以下、本発明に係る填充層4の再補修方法およびこれに用いる填充層除去装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、スラブ式軌道は、路盤コンクリート1上に列べられたコンクリート製の軌道スラブ2にレール3を直結した構造とされており、レール3を弾性的に支持可能なように、軌道スラブ2と路盤コンクリート1との間に、セメントとアスファルト乳剤と細骨材とを混合したCAモルタル(セメントアスファルトモルタル)による填充層4が設けられている。また、軌道スラブ2の水平方向の移動を防止するために、路盤コンクリート1には、上方に向けて突出する円柱状または半円柱状の突起5が形成され、軌道スラブ2の軌道軸方向の両端面には、突起5よりも大きな半径を有する半円柱状の溝6が形成され、突起5と溝6との間に形成される円筒状の間隙にも上記同様のCAモルタルによる填充層7が設けられている。なお、填充層4、7の破損部分は合成樹脂を用いて補修されている。
この填充層4、7を再度補修するために、図2および図3に示す補修用台車10を用いる。補修用台車10は、填充層4と同程度の幅、および填充層4よりも長い軌道軸方向長さとされ、左右のレール3上を走行可能な車輪11を備えている。なお、補修用台車10は、自走式および牽引式のどちらであってもよい。補修用台車10は、両側部にて軌道スラブ2を挟み込むように垂下され、軌道軸方向に延在する一対の走行レール12と、少なくとも軌道軸方向の一方の端面に沿って軌道幅方向に延在する走行レール13とを備えている。補修用台車10には、走行レール12の高さを調節するための高さ調整機構14が設けられており、ハンドルを回転させることによって各走行レール12を上下方向に容易に移動することができる。
軌道スラブ2の側方の走行レール12には、穿孔機15とウォールソー16とが走行可能に取り付けられるとともに、ワイヤーソー17(図10参照)が着脱自在に取り付けられる。一方、軌道軸方向の走行レール13には、穿孔機15が走行可能に取り付けられる。
穿孔機15は、走行レール12、13に移動可能かつ固定可能に取り付けられるガイドレール架台21と、ガイドレール架台21に移動可能に取り付けられる穿孔機本体22と、穿孔機本体22に取り付けられて穿孔機本体22により回転駆動される円筒状のコアドリル23とを含む。
軌道スラブ2の側方の走行レール12に取り付けられる穿孔機15では、ガイドレール架台21のガイドレール21aおよびコアドリル23の軸線23Xを軌道幅方向に延在させた状態で穿孔機本体22が填充層4の側方に配置され、コアドリル23を回転駆動しながら穿孔機本体22がガイドレール21aに沿って移動することにより、コアドリル23によって填充層4の側面に円筒状孔8が穿孔される。
一方、軌道スラブ2の上方の走行レール13に取り付けられる穿孔機15では、ガイドレール架台21のガイドレール21aおよびコアドリル23の軸線23Xを鉛直方向に延在させた状態で穿孔機本体22が填充層7の上方に配置され、コアドリル23を回転駆動しながら穿孔機本体22がガイドレール21aに沿って移動することにより、コアドリル23によって填充層7の上面に円筒状孔8が穿孔される。
ウォールソー16は、走行レール12に取り付けられるガイド架台31と、ガイド架台31に移動可能に設けられ、填充層4の側方かつ填充層4のやや上方に固定されるウォールソー本体32と、ウォールソー本体32に取り付けられてウォールソー本体32により回転駆動される円板状の回転カッター33とを含む。
ガイド架台31は、ガイドレール31aを軌道幅方向に延在させた状態で、走行レール12に沿って軌道軸方向に移動可能とされている。ウォールソー本体32は、ガイドレール31aに沿って軌道幅方向に移動可能かつ固定可能とされている。回転カッター33は、軌道面と平行となるようにセットされるとともに、ウォールソー本体32のガイドレール31aに対する固定位置によって切削深さを設定され、ガイド架台31とウォールソー本体32とが走行レール12に沿って移動することにより填充層4に側面から水平溝9を切削する。なお、ここでは軌道面に平行な溝を水平溝9と称するものとする。本実施形態では、2枚の回転カッター33が間隔を調整可能にウォールソー本体32に取り付けられ、一度に2列の水平溝9を切削できるようになっている。
図4〜図6に示すように、コアドリル23は、円筒壁24aを有するコアドリル本体24と、コアドリル本体24の先端に設けられた複数の円弧状の穿孔刃25とを備えている。各穿孔刃25は、コアドリル本体24の円筒壁24aよりも厚く形成され、円筒壁24aの表面から径方向外側および径方向内側に等しい突出量P1をもって突出している。これにより、填充層4に穿孔した円筒状孔8を画成する壁とコアドリル本体24の円筒壁24aとの間に隙間ができ、切粉が効率よく排出されて円筒状孔8が効率良く穿孔可能になる。
互いに隣接する穿孔刃25は、円筒壁24aを貫通する態様でコアドリル本体24の外周面に形成された切粉排出溝26によって互いに分離されている。この切粉排出溝26は、図4に示すようにコアドリル本体24の先端から基端(後端)に向けて回転方向と反対向きに傾斜するように延在しており、穿孔方向寸法(コアドリル23の軸線23Xに沿う寸法)L1を有している。この穿孔方向寸法L1は、後述するように穿孔対象となる填充層4、7の穿孔深さD1よりも大きく設定されている。
図7および図8に示すように、回転カッター33は、外周縁に複数の切粉排出溝35が形成された円板状の基板34と、基板34の外周に設けられた複数の切削刃36とを備えている。の外周縁には複数の円弧状の切削刃36が一体形成されている。各切削刃36は、円板状の基板34よりも厚く形成され、基板34の表面から上側および下側の一方(回転軸33X方向の一方)に等しい突出量P2をもって突出している。また、複数の切削刃36は、回転方法に沿って円筒壁24aの表面から上側および下側とに交互に突出するように形成されている。つまり、各回転カッター33は、基板34の表面から突出する側が、隣接する切削刃36と異なるように形成されている。
これにより、填充層4に切削した水平溝9を画成する壁と回転カッター33の基板34との間に隙間ができるとともに、切削刃36が外周面と突出する上下一方の側面のみで水平溝9を画成する壁に接触するため、切粉が効率よく排出されて水平溝9を効率良く切削することができる。また回転カッター33の回転抵抗が小さくなり、水平溝9の切削効率をより向上させることができる。
互いに隣接する切削刃36は、基板34を貫通する態様で回転カッター33の外周縁に形成された切粉排出溝35によって互いに分離される。この切粉排出溝35は、図7に示すように、周方向長さの小さな2つの小溝35Aと周方向長さの大きな1つの大溝35Bとを1セットとして、ここでは10セットの切粉排出溝35を周方向に等間隔に並べて形成されている。これにより、回転カッター33の周長に対する切削刃36の占める割合が一般的なものよりも小さくされ、切粉が排出され易くなっている。また、比較的小さな切粉は小溝35Aから排出され、比較的大きな切粉は大溝35Bから排出されるため、粘着性の異なる様々な素材を効率的に切断できるようになる。本実施形態では、2つの小溝35Aの間隔と小溝35Aと大溝35Bとの間隔とは等しくされており、すべての切削刃36の周方向長さが均一とされている。
次に、補修済みの填充層4を再度補修する方法について図9〜図12を参照して説明する。図9は、填充層4の補修状態を示す平面図である。ここでは、填充層4が全周にわたって(軌道軸方向の両端面と軌道幅方向の両端面とのすべてについて)合成樹脂により補修されているときに、軌道スラブ2の高さを変更せずに補修済みの部分のみを撤去する場合(A)と、軌道スラブ2の高さを変更するために(特に、扛下するとき)填充層4および填充層7のすべてを撤去する場合(B)とを例に挙げて説明する。
図9(A)に示すように、填充層4のうち補修済みの部分のみを撤去するには、仮想線で示す補修エリアA、補修エリアBに分けて合成樹脂を撤去する。補修エリアAは、填充層4の軌道軸方向の端面を含む領域、および填充層4のCAモルタル部分4Aと合成樹脂部分4Bとの境界が湾曲する軌道軸方向の端面と軌道幅方向の端面との接続部分を含む領域であり、補修エリアBは、填充層4のCAモルタル部分4Aと合成樹脂部分4Bとの境界が軌道軸方向に沿う填充層4の軌道幅方向の端面を含む領域である。
補修エリアAの合成樹脂部分4Bを撤去するときには、上記構成の穿孔機15を用い、図10に示すように填充層4の合成樹脂部分4Bを貫通する円筒状孔8を穿孔する。合成樹脂部分4Bを貫通する円筒状孔8の穿孔深さD1は、切粉排出溝26の穿孔方向寸法L1よりも小さくなるように計画し、穿孔深さD1が切粉排出溝26の穿孔方向寸法L1よりも大きくなる領域は後述するワイヤーソー17による補修エリアCとする。言い換えれば、切粉排出溝26の穿孔方向寸法L1を、コアドリル23による穿孔深さD1よりも大きくする(L1>D1)。
上記したように(図4参照)コアドリル本体24の外周面には先端から延在する切粉排出溝26が形成され、切粉排出溝26の穿孔方向寸法L1が穿孔深さD1よりも大きく設定されていることにより、穿孔刃25により切削された切粉が填充層4に進入しない切粉排出溝26の後部から容易に排出され、穿孔刃25の表面に付着することが抑制されるため、合成樹脂部分4Bに所望の深さの円筒状孔8を効率的に穿孔することができ、円筒状孔8内の合成樹脂を容易に撤去することができる。
また、切粉排出溝26がコアドリル本体24の先端から基端に向けて回転方向と相反する側に傾斜しているため、切削された切粉は回転する切粉排出溝26によってコアドリル本体24の基端側に強制的に排出される。そのため、切粉の穿孔刃25への付着が防止され、効率的な穿孔が可能になる。
円筒状孔8を複数穿設する場合には、図10に示すように隣接する各円筒状孔8同士が若干離間するように配置してもよく、隣接する各円筒状孔8同士の一部が重複して円筒状孔8が連続するように配置してもよい。
円筒状孔8を穿設した後、円筒状孔8内の合成樹脂を撤去する。複数の円筒状孔8を離間させて穿設した場合には、互いに隣接する円筒状孔8間の合成樹脂も撤去する。円筒状孔8の上下に位置する合成樹脂は、撤去しても撤去しなくてもよい。また複数の円筒状孔8を重複させて穿設した場合には、円筒状孔8の上下に位置する合成樹脂は、撤去しても撤去しなくてもよい。このように、円筒状孔8内の合成樹脂を先に撤去することにより、残りの合成樹脂の撤去が容易になる。
補修エリアBの合成樹脂部分4Bを撤去するときには、上記構成のウォールソー16を用い、図11に示すように填充層4の軌道幅方向の端面にCAモルタル部分4Aに至る上下2段の水平溝9を切削し、水平溝9間の合成樹脂を撤去する。
上記したように(図7、図8参照)回転カッター33の外周縁には、切削刃36を周方向に複数に分割する切粉排出溝35が形成され、各切削刃36が基板34の表面から回転軸方向の少なくとも一側へ突出し且つ基板34の表面からより大きく突出する側が隣接する切削刃36と異なるように形成されているため、合成樹脂部分4Bに上下2段の水平溝9を容易に切削することができ、水平溝9間の合成樹脂を容易に撤去することができる。
図9(B)に示すように、填充層4、7のすべてを撤去するには、仮想線で示す補修エリアA、補修エリアC、補修エリアDに分けて合成樹脂を撤去する。補修エリアAは、上記図9(A)と同様であり、填充層4の撤去方法も、上記図9(A)に関連して説明したものと同じである。補修エリアCは、軌道スラブ2の両溝6間の領域である。
補修エリアCの合成樹脂部分4Bを撤去するときには、図12に示すようにワイヤーソー17を用いる。ワイヤーソー17を用いて補修エリアCの合成樹脂部分4Bを撤去するにあたっては、まずはじめに、突起5の内側において填充層4を軌道幅方向に貫通する貫通孔18を形成する。ここでは、3本の貫通孔18を形成し、2台のワイヤーソー17を用いることにより施工速度を向上させている。貫通孔18は、穿孔機15を用いて填充層4の両側面から円筒状孔8を形成し、両円筒状孔8を貫通させてコアを抜き取ればよい。或いは、専用のドリルを用いて貫通孔18を形成してもよい。
ワイヤーソー17は、適宜な位置に配置されるプーリ41と、各プーリ41に掛け回され、平面視で填充層4を囲繞するように張り巡らされた環状のワイヤ42と、填充層4の側方に設置され、ワイヤ42を周方向の少なくとも一方に回転駆動するワイヤーソー本体43とを含む。プーリ41およびワイヤーソー本体43は、補修用台車10の走行レール12(図2参照)に取り付けるとよく、上下に2段の位置に容易にセットできるように上下動機構を備えるように構成するとよい。
図示するように、ワイヤーソー本体43によってワイヤ42の弛みをとりながらワイヤ42を回転駆動することにより、CAモルタル部分4Aを含む填充層4に上下2段の水平溝9を切削し、水平溝9間の合成樹脂を撤去する。この際、2段の水平溝9を填充層4の上端(軌道スラブ2との境界)および下端(路盤コンクリート1との境界)に位置させることにより、水平溝9間の合成樹脂を撤去するだけで、軌道軸方向の端面の合成樹脂部分4Bをすべて取り除くことができる。なお、軌道スラブ2を扛上する場合には、水平溝9を1段切削して縁を切るだけとし、填充層4を撤去しないようにしてもよい。
補修エリアDの填充層7(CAモルタルまたは合成樹脂)を撤去するときには、走行レール13(図3参照)に取り付けられた穿孔機15を用い、図13に示すように填充層7を上下に貫通する円筒状孔8を穿孔する。補修エリアAのときと同様に、コアドリル23は、填充層7の穿孔深さすなわち突起5の高さよりも長い穿孔方向寸法L1の切粉排出溝26を有するものを用いる。
この場合も補修エリアAのときと同様に、切粉を切粉排出溝26から排出しながら合成樹脂部分4Bに所望の深さの円筒状孔8を穿孔することができ、円筒状孔8内の合成樹脂を容易に撤去することができる。複数の円筒状孔8は、図13に示すように隣接する各円筒状孔8同士の一部が重複するように配置してもよく、隣接する各円筒状孔8同士が若干離間するように配置してもよい。
軌道スラブ2の高さを変更する際には、填充層4、7をすべて撤去した後、或いは1段だけ切削した水平溝9により縁を切った後、軌道スラブ2の高さを調整し、スペーサを設置して軌道スラブ2を所望の高さに固定する。なお、路盤コンクリート1が沈下したことでレール3の高さを上げる必要がある場合であっても、填充層4のうちの合成樹脂部分4Bの縁を切り、填充層7を撤去すれば、填充層4のうちのCAモルタル部分4Aが軌道スラブ2と路盤コンクリート1とを接合している状態であっても、その接合強度は比較的低いため、路盤コンクリート1と軌道スラブ2との間にジャッキを設置して軌道スラブ2を持ち上げることができる。
その後、填充層4と軌道スラブ2または路盤コンクリート1との間および填充層4の合成樹脂を撤去した部分に新たに合成樹脂を充填する。これにより、合成樹脂により補修済みの填充層4の再補修が完了する。
このように、合成樹脂部分4Bを穿孔または切削できる穿孔機15やウォールソー16に加えてワイヤーソー17を併用することにより、填充層4の外周部の如何なる部位が合成樹脂により補修されていても、合成樹脂部分4Bを除去することができる。
<変形例1>
次に、コアドリル23の変形例について説明する。図5および図6に示したコアドリル23に代えて、図14および図15に示すような形態のコアドリル23を用いていもよい。このコアドリル23は、図4と同様の切粉排出溝26を有しているが、コアドリル本体24の先端に形成された複数の穿孔刃125が、円筒壁24aの表面から径方向外側および径方向内側の一方のみに突出量P1をもって突出し、且つ回転方法に沿って径方向外側と径方向内側とに交互に突出するように形成されている。
このように、穿孔刃125の一方への突出量P1を他方への突出量よりも大きくし、穿孔刃125がコアドリル本体24からより大きく突出する側が、隣接する穿孔刃125がより大きく突出する側と異なるようにコアドリル23を形成すると、円筒状孔8を画成する壁と穿孔刃125の一方の面との間に隙間が形成され、切粉がより効率よく排出されるため、円筒状孔8の穿孔効率が向上するとともに、穿孔刃125の回転抵抗が小さくなることによっても円筒状孔8の穿孔効率が向上する。
<変形例2>
次に、回転カッター33の変形例について説明する。図8に示した回転カッター33に代えて、図16に示すような形態の回転カッター33を用いていもよい。この回転カッター33は、図7と同様の切粉排出溝35を有しているが、回転カッター33の外周縁に形成された各切削刃136が、基板34の表面から上側および下側の一方に突出量P2をもって突出する他、上側および下側の他方にも突出量P2よりも小さな突出量P3をもって突出している。この回転カッター33においても、切削刃136が基板34の表面からより大きく突出する側(P2側)が、隣接する切削刃136と異なるように形成される。
回転カッター33をこのような形態としても、水平溝9を画成する壁と回転カッター33の基板34との間に隙間ができるとともに、切削刃136が外周面と突出する上下一方の側面のみで水平溝9を画成する壁に接触するため、切粉を効率よく排出して水平溝9の切削効率を向上させることができる。
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ウォールソー16が上下2枚の回転カッター33を保持して同時に2段の水平溝9を切削しているが、回転カッター33を1枚のみ保持し、2段の水平溝9を順次切削する形態としてもよい。また、上記実施形態では、回転カッター33を、切削刃36のより大きく突出する側が周方向に沿って1つずつ交互に配置される形態としたが、より大きく突出する側が必ずしも周方向の両隣と異なる必要はなく、例えば、より大きく突出する側が周方向に沿って2つずつ交互に配置されるような形態としてもよい。或いは、より大きく突出する側が3つずつ交互に配置されるような形態とすることにより、一部の切削刃36のみにおいてより大きく突出する側が一方に隣接する切削刃36と異なるようにしてもよい。これらのことは、コアドリル23についても同様である。また、上記変形例1では、穿孔刃125が一方のみへ突出する形態を示したが、回転カッター33について説明した変形例2のように、一方への突出量P1よりも小さな突出量をもって他方へも突出するような形態とすることもできる。また、上記実施形態では、填充層4の全周が補修されている場合の再補修方法について説明したが、周縁の一部のみが補修されている填充層4を再補修することも当然に可能であり、この場合にも、上記のようにして補修エリアを設定し、エリアに応じた填充層除去装置(穿孔機15、ウォールソー16またはワイヤーソー17)を用いて合成樹脂部分4Bを撤去すればよい。この他、各要素の具体的形状や、配置、数量、および作業手順の順序などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上記実施形態に示した本発明に係る填充層除去装置の各要素や再補修手順の各要素は、必ずしも全てが必須ではなく、取捨選択可能である。
23 コアドリル
24 コアドリル本体
24a 円筒壁
25、125 穿孔刃
26 切粉排出溝
D1 円筒状孔8の穿孔深さ
L1 切粉排出溝26の穿孔方向寸法
P1 突出量(より大きく突出する側)

Claims (4)

  1. 円筒壁を有するコアドリル本体と、前記コアドリル本体の先端に設けられた複数の穿孔刃とを備えたコアドリルであって、
    前記コアドリル本体には、先端から基端に向けて延在する切粉排出溝が前記円筒壁を貫通する態様で形成され、当該切粉排出溝の穿孔方向寸法が穿孔対象物に対する穿孔深さよりも大きく設定されたことを特徴とするコアドリル。
  2. 前記切粉排出溝は、前記コアドリル本体の先端から基端に向けて回転方向と相反する側に傾斜していることを特徴とする、請求項1に記載のコアドリル。
  3. 前記複数の穿孔刃は、前記円筒壁の表面から径方向外側および径方向内側の少なくとも一方に突出するとともに、当該一方への突出量が他方への突出量よりも大きくなるように形成され、少なくとも1つの穿孔刃がより大きく突出する側が、隣接する穿孔刃のうちの少なくとも1つがより大きく突出する側と相反することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のコアドリル。
  4. 前記複数の穿孔刃は、より大きく突出する側が周方向に沿って交互となるように配置されたことを特徴とする、請求項3に記載のコアドリル。
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