JP2015002627A - 車両用高電圧遮断装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の車両用高電圧遮断装置において、車両衝突の可能性を予見したときに電力供給を遮断してしまうと、実際には衝突が発生せずに走行継続が可能であっても、電力供給が遮断されたままになってしまうという問題があった。
また、実際に生じた車両衝突を検出したことで電力供給を遮断する場合では、衝突の衝撃によって電力供給の遮断動作が阻害されるおそれがあった。
前記衝突予見手段は、電動車両の衝突可能性を予見する。
前記衝突検出手段は、前記電動車両に実際に生じた衝突を検出する。
前記電力遮断手段は、前記衝突予見手段からの予見信号が入力されると、バッテリから前記電動車両の走行駆動源として用いられるモータへの電力供給を遮断する。
前記電力復帰手段は、前記電力供給を遮断した後に、前記衝突検出手段からの衝突信号が入力されないと、前記電力供給の復帰を行う。
また、電力供給遮断後に衝突検出手段からの衝突信号が未入力であれば、電力復帰手段により、バッテリからモータへの電力供給が復帰される。すなわち、衝突可能性が予見されたことで電力供給が遮断されても、実際に衝突が発生しなければ、電力供給を復帰することができる。これにより、衝突予見後に衝突を回避する等で走行可能状態であるときには、電力遮断状態が継続してしまうことを防止できる。
この結果、衝突によって電力供給遮断動作が阻害されることと、衝突未発生時の電力供給遮断状態が継続されることを防止することができる。
まず、実施例1の車両用高電圧遮断装置の構成を、「車両用高電圧遮断装置の全体システム構成」、「電力遮断制御処理構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1の車両用高電圧遮断装置を示す全体システム構成図である。以下、図1に基づき、実施例1の車両用高電圧遮断装置の全体システム構成を説明する。
このモータ/ジェネレータ2は、バッテリ13からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作する(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)。さらに、モータ/ジェネレータ2は、ロータがエンジン1や駆動輪5からの回転エネルギを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ13を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。
ここで、バッテリ13は、リチウムイオン二次電池や高容量キャパシタ等によって構成される高電圧バッテリである。
ここで、Gセンサ23は、前後Gセンサと左右Gセンサを含む。また、このエアバッグコントローラ15から出力されるエアバッグユニット15aの展開指令は、CAN通信線17を介して統合コントローラ10へ入力され、ハイブリッド車両Sの衝突発生判断に用いられる。つまり、このエアバッグコントローラ15を含むエアバッグシステムは、ハイブリッド車両Sの衝突を検出する衝突検出手段に相当する。
また、このインテリジェントブレーキコントローラ16から出力されるブレーキ制御指令は、CAN通信線17を介して統合コントローラ10へ入力され、ハイブリッド車両Sの衝突予見判断に用いられる。つまり、このインテリジェントブレーキコントローラ16を含むインテリジェントブレーキアシストシステムは、ハイブリッド車両Sの衝突を予見する衝突予見手段に相当する。
そして、第1,第2リレースイッチ18a,18bがON制御されることで、インバータ12とバッテリ13が通電し、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2へ電力供給がなされて平滑コンデンサ12aが充電される。また、第1,第2リレースイッチ18a,18bがOFF制御されることで、インバータ12とバッテリ13が断線し、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断され、平滑コンデンサ12a内の電荷が放電される。
図2は、実施例1の統合コントローラにて実行される電力遮断制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、図2に基づき、電力遮断制御処理の各ステップを説明する。なお、この図2に示す電力遮断制御処理は、ハイブリッド車両Sの電源投入後、例えば10ミリ秒ごとの一定周期で繰り返し実行される。
ここで、展開制御指令は、Gセンサ23によって検出されたハイブリッド車両Sに作用する加速度Gが所定値以上となり、衝突が発生したと判断されるときに出力される。
ここで、ブレーキ制御指令は、レーザレーダセンサ24によって検出された自車両前方の車両(障害物)との距離が所定値以下となり、衝突発生の可能性が予見されるときに出力される。
すなわち、ステップS1での展開制御指令出力との判断があれば、ハイブリッド車両Sに衝突が発生したとする。また、ステップS2でのブレーキ制御指令出力との判断があれば、ハイブリッド車両Sに衝突が発生する可能性を予見したとする。そして、衝突発生又は衝突の予見に基づき、高電圧リレー18のコイル18cの通電を遮断する制御信号を出力することで、第1,第2リレースイッチ18a,18bがOFF制御(遮断)され、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断される。
なお、一定周期ごとに繰り返し実行される電力遮断制御処理において、前回の処理でブレーキ制御信号が出力されて高電圧リレー18が遮断し、今回の処理で展開制御指令出力との判断がなされた場合には、すでに高電圧リレー18は遮断されている。そのため、このステップS3では、この遮断状態を継続することとなる。
ここで、「現在、ブレーキ制御信号が出力されたことで高電圧リレー18が遮断している状態」とは、一定周期ごとに繰り返し実行される電力遮断制御処理において、前回の処理でブレーキ制御信号が出力されて高電圧リレー18が遮断した場合である。その場合、今回の処理では、ブレーキ制御信号が出力されていなくても、すでに高電圧リレー18は遮断され、インバータ12とバッテリ13が断線し、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断されている。
ここで、「通電復帰条件」とは、第1条件と第2条件を有しており、いずれか一方が成立したときに条件成立と判断する。そして、前記第1条件は、ハイブリッド車両Sが停車し、且つ、インテリジェントブレーキコントローラ16からのブレーキ制御指令が入力されないこととする。また、前記第2条件は、駆動力要求が発生し、且つ、インテリジェントブレーキコントローラ16からのブレーキ制御指令が入力されないこととする。
なお、「ハイブリッド車両Sが停車」とは、図示しない車速センサによって検出された車速が所定値以下になった状態である。また、「駆動力要求が発生」とは、アクセル踏込動作がなされてアクセル開度が所定値以上になった状態である。つまり、「通電復帰条件」は、車両衝突が確実に発生していないと判断可能な条件である。
すなわち、ステップS5での通電復帰条件成立と判断された場合とは、例えば衝突発生の可能性を予見したことで、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断したものの、実際には衝突が発生しなかった場合である。このときには、このステップS6に進んで、高電圧リレー18のコイル18cを通電する制御信号が出力されて、第1,第2リレースイッチ18a,18bがON制御(通電)される。これにより、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が復帰する。
まず、「高電圧遮断装置の必要性と課題」の説明を行い、続いて、実施例1の車両用高電圧遮断装置における作用を「衝突予見時電力遮断→電力復帰作用」、「衝突予見時電力遮断→遮断継続作用」、「衝突発生時遮断作用」、「衝突及び衝突可能性未発生時リレー接続状態継続作用」を説明する。
図3は、比較例の電動車両における高電圧回路の一例を模式的に示す回路説明図である。以下、図3に基づき、高電圧遮断装置の必要性と課題について説明する。
また、強電電源であるバッテリ102にエアコン用の電動コンプレッサ103が接続されている場合であっても、車両衝突発生時に電動コンプレッサ103とバッテリ102との通電状態が維持されていると、衝突による統合コントローラ104の故障等によって、衝突発生後も電動コンプレッサ103が駆動し続ける可能性があった。
これに対し、衝突発生の可能性が予見した段階でインバータ101等とバッテリ102の間を遮断してしまうと、実際には車両衝突は発生しなかった場合に、電動車両が走行を続けてもバッテリ102からモータ100への電力供給が遮断されたままになってしまうという問題があった。
なお、衝突によるバッテリ102からの電力供給の遮断が阻害されることを防止するために、衝突衝撃の影響を受けにくい位置に高電圧遮断装置105を設置することが考えられる。しかし、この場合では、高電圧遮断装置105のレイアウト自由度が制限されるという問題が生じてしまう。
実施例1のハイブリッド車両Sにおいて電源が投入されると、統合コントローラ10からの制御信号によって高電圧リレー18のコイル18cが通電する。これにより、第1,第2リレースイッチ18a,18bがON制御(接続)され、インバータ12とバッテリ13が通電し、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2へ電力供給がなされる。
一方、図2に示す電力遮断制御処理が一定周期で繰り返し実行される。
ここで、ブレーキユニット16aの制御が継続していれば、インテリジェントブレーキコントローラ16からブレーキ制御指令が出力されるため、ステップS3へと進み、高電圧リレー18の遮断状態が継続する。
また、ブレーキユニット16aの制御が終了していれば、インテリジェントブレーキコントローラ16からブレーキ制御指令の出力がないため、ステップS4へと進む。そして、現在、ブレーキ制御信号が出力されたことで高電圧リレー18が遮断している状態であるか否かが判断される。
そして、通電復帰条件のうち第1条件(ハイブリッド車両Sが停車し、且つ、インテリジェントブレーキコントローラ16からのブレーキ制御指令が入力されないこと)、又は、第2条件(駆動力要求が発生し、且つ、インテリジェントブレーキコントローラ16からのブレーキ制御指令が入力されないこと)のいずれか一方が成立すれば、ステップS6へと進んで、遮断状態になっている高電圧リレー18を接続し、エンドへ進む。
また、衝突によるバッテリ102からの電力供給の遮断が阻害されることを防止できるので、高電圧リレー18の設置位置が衝突衝撃の影響を受けにくい位置である必要がない。そのため、高電圧リレー18のレイアウト自由度が制限されず、必要な位置に設定することができる。
このため、走行可能状態が継続しているにもかかわらず、電力遮断状態となってしまい、モータ/ジェネレータ2が停止したままになることを防止できる。
これにより、衝突未発生状態であることを確実に判断してから、高電圧リレー18を接続し電力供給の復帰をすることができる。つまり、高電圧リレー18を接続して電力供給を復帰した直後、電力供給を再度遮断する、といった事態の発生を防止することができる。
これにより、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断されても、ドライバーの要求駆動力を実現することができ、電力供給の遮断に伴う違和感を与えることが防止できる。
次に、衝突発生の可能性が予見された後、実際に車両衝突が発生した場合について説明する。
この場合では、まず、n2回目の処理において、ステップS1→ステップS2→ステップS3→エンドへと進み、実際に車両衝突は発生していないものの、衝突が発生すると予見したことで、高電圧リレー18を遮断する。これにより、第1,第2リレースイッチ18a,18bがOFF制御(遮断)され、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断される。
これにより、衝突発生時には、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給の遮断を確実に実行することができる。
次に、衝突発生の可能性が予見されるよりも前に、実際に車両衝突が発生した場合について説明する。
この場合では、n3回目の処理におけるステップS1にてエアバッグコントローラ15からの展開制御指令が出力されたか否か、つまり実際に車両衝突が発生したか否かを判断した段階で、YESと判断される。これにより、ステップS3→エンドへと進み、高電圧リレー18を遮断する。これにより、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が速やかに遮断される。
次に、電源投入後、衝突可能性の予見や実際の車両衝突が発生しない場合について説明する。
この場合では、n4回目の処理において、ステップS1→ステップS2→ステップS4→エンドへと進み、高電圧リレー18は接続状態を維持する。
これにより、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給は継続し、安定して走行することができる。
実施例1の車両用高電圧遮断装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
前記電動車両(ハイブリッド車両)Sの衝突を検出する衝突検出手段(エアバッグコントローラ)15と、
前記衝突予見手段(インテリジェントブレーキコントローラ)16からの予見信号が入力されると、バッテリ13から前記電動車両(ハイブリッド車両)Sの走行駆動源Kとして用いられるモータ(モータ/ジェネレータ)2への電力供給を遮断する電力遮断手段(高電圧リレー)18と、
前記電力供給を遮断した後に、前記衝突検出手段(エアバッグコントローラ)15からの衝突信号が入力されないと、前記電力供給の復帰を行う電力復帰手段(統合コントローラ)10と、
を備える構成とした。
これにより、衝突によって電力供給遮断動作が阻害されることと、衝突未発生時の電力供給遮断状態が継続されることを防止することができる。
これにより、(1)の効果に加え、車両衝突発生時において、電力遮断状態を確実にすることができる。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、衝突未発生状態を確実に判断してから電力供給の復帰をすることができる。
前記電力遮断手段(高電圧リレー)18によって前記電力供給が遮断されたとき、要求駆動力を前記エンジン1からの出力トルクで実現するエンジン制御手段(エンジンコントローラ)11を備える構成とした。
これにより、(1)〜(3)の少なくともいずれかの効果に加え、バッテリ13からモータ/ジェネレータ2への電力供給が遮断されても、ドライバーの要求駆動力を実現することができる。
前記衝突検出手段を、車載機器(レーザレーダセンサ)24からの信号に基づいてエアバッグ(エアバッグユニット)15aを展開するエアバッグシステム(エアバッグコントローラ)15によって構成することとした。
これにより、(1)〜(4)の少なくともいずれかの効果に加え、ハイブリッド車両Sに搭載される既存のシステムを利用して衝突発生の予見や衝突発生の検出を行うことができる。
1 エンジン
2 モータ/ジェネレータ(モータ)
10 統合コントローラ(電力復帰手段)
11 エンジンコントローラ(エンジン制御手段)
12 インバータ
13 バッテリ
14 バッテリコントローラ
15 エアバッグコントローラ(衝突検出手段)
16 インテリジェントブレーキコントローラ(衝突予見手段)
17 CAN通信線
18 高電圧リレー(電力遮断手段)
Claims (5)
- 電動車両の衝突可能性を予見する衝突予見手段と、
前記電動車両に実際に生じた衝突を検出する衝突検出手段と、
前記衝突予見手段からの予見信号が入力されると、バッテリから前記電動車両の走行駆動源として用いられるモータへの電力供給を遮断する電力遮断手段と、
前記電力供給を遮断した後に、前記衝突検出手段からの衝突信号が入力されないと、前記電力供給の復帰を行う電力復帰手段と、
を備えることを特徴とする車両用高電圧遮断装置。 - 請求項1に記載された車両用高電圧遮断装置において、
前記電力遮断手段は、前記電力供給を遮断した後に、前記衝突検出手段からの衝突信号が入力されると、前記電力供給の遮断を継続する
ことを特徴とする車両用高電圧遮断装置。 - 請求項1又は請求項2に記載された車両用高電圧遮断装置において、
前記電力復帰手段は、前記電動車両が停車し、且つ、前記衝突予見手段からの予見信号が入力されないとする第1の通電復帰条件、又は、駆動力要求が発生し、且つ、前記衝突予見手段からの予見信号が入力されないとする第2の通電復帰条件の一方が成立したら、前記電力供給の復帰を行う
ことを特徴とする車両用高電圧遮断装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された車両用高電圧遮断装置において、
前記電動車両は、前記走行駆動源として前記モータと、エンジンと、を有し、
前記電力遮断手段によって前記電力供給が遮断されたとき、要求駆動力を前記エンジンからの出力トルクで実現するエンジン制御手段を備える
ことを特徴とする車両用高電圧遮断装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された車両用高電圧遮断装置において、
前記衝突予見手段を、車載機器からの信号に基づいて自動的にブレーキをかけて減速するインテリジェントブレーキアシストシステムによって構成し、
前記衝突検出手段を、車載機器からの信号に基づいてエアバッグを展開するエアバッグシステムによって構成する
ことを特徴とする車両用高電圧遮断装置。
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