JP2015000694A - 車両用空調制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ウインドガラス1の内面に外気を導入した空調風を吹き出し可能で且つその風量を制御可能なデフロスタ吹出口11cとブロアファン12等を有する空調装置2と、空調風を加熱するヒータコア14及びPTCヒータ15とを備え、温湿度センサ42と、外気温センサ43と、停車時間検出部33と、少なくとも、検出されたウインドガラス内面温度T1と外気温度T3と停車継続時間t1とに基づいてウインドガラスの内面に付着している水分が過冷却状態になっている過冷却レベルを判定する過冷却レベル判定部34とを備え、水分の過冷却レベルが高いとき、過冷却レベルが低いときに比べて空調風の風量を低下するように空調装置2を制御するコントロールユニット30を設けた。
【選択図】 図3
Description
しかし、内気は、その内部に含有する水分が多いため、内気循環を多用した場合、車室内の湿度が上昇し、ウインドガラスの曇り発生頻度が高くなる。
そこで、ガラス表面に防曇処理が施されたウインドガラスが提案されている。この防曇ガラスは、例えば、ガラス表面に親水性被膜や吸水性被膜等の防曇処理が施され、曇りの原因である結露が発生し難いように構成されている。
しかし、ガラス表面に付着した水分が吸水性被膜や親水性被膜の飽和水分量を超えたとき、過剰水分が出現し、この過剰水分によってガラス表面に液滴や氷結による曇りが発生する。また、飽和水分量を超えない場合でも、親水性被膜中に含まれる水分により氷結が発生し、ガラス表面に曇りが発生する虞がある。
ガラス表面に吸水性処理を施した場合には、吸水性被膜に保持された水分の氷結により組織破壊を生じ、結果的にガラス表面に曇りが発生する虞がある。
通常状態の水は、夫々の水分子同士において、水素原子のプラス電荷と酸素原子のマイナス電荷とが所定の間隔を保って水素結合を形成している。この水が衝撃を与えられずに緩やかに冷却された場合、水素結合によって形成された間隔を維持したまま水分子がその位置に留まっているため、氷点下の水、所謂過冷却水が生成される。
しかし、特許文献1では、夫々のセンサによってウインドガラスの氷結状態や結露状態を検知するため、ウインドガラスの状態を検知するまでの間、更には、検知してからガラス加熱装置や防曇用空調装置が作動を開始するまでの間、ウインドガラスには氷結や結露による曇りが発生している。つまり、夫々のセンサがウインドガラスの氷結状態や結露状態を検知してからガラス加熱装置等が作動開始するまでの間は、乗員の前方視認性が低下し、安全性の悪化を招く虞がある。また、特許文献1では、ガラス加熱装置等によって、ウインドガラスの氷結や結露を除去しているため、寒冷時には、暖房用電力に加えてガラス加熱装置等を作動させるための電力が必要になり、燃費又は電費の悪化を招く虞もある。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記空調機構を予め設定した予約時間又は予約時刻に作動可能な空調予約手段を備え、前記制御手段は、前記過冷却レベルが高いとき、前記空調予約手段により予め設定した予約時間又は予約時刻に前記デフロスタ機構の作動を開始させることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、空調風を加熱する電動ヒータを設け、前記デフロスタ機構を制御するとき、前記電動ヒータを作動させることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、空調予約に必要な予約設定をパラメータとして乗員の乗車を予測できるため、制御の簡単化と乗員の利便性を向上できる。
請求項5の発明によれば、ウインドガラスの内面に付着している水分の除去を早期化することができる。
図1,図2に示すように、本実施例では、ウインドガラス1と、空調装置2(空調機構)と、車両側発信機3a〜3cと、車載受信機4a,4bと、乗員側携帯機5と、エンジン(図示略)と、走行用モータ(図示略)等を備えたハイブリッド自動車Vの空調制御装置を例として説明する。尚、本発明は、ハイブリッド自動車V以外にガソリンエンジン車に適用しても良く、特に、エンジン冷却水温度が上昇し難いディーゼルエンジン車や熱源の存在しない電機自動車に対して有効である。
図2に示すように、空調装置2は、空調ダクト11と、ブロアファン12と、エバポレータ13と、ヒータコア14と、PTCヒータ15(電動ヒータ)と、操作パネル16と、コントロールユニット30(制御手段)等を備えている。ここで、ヒータコア14とPTCヒータ15とが空調風の加熱手段に相当している。
この空調装置2は、乗員が操作パネル16上で設定した設定温度(例えば25℃)、設定風量(例えば中風量)及び設定方向(例えばデフロスタモード)に応じて空調風の温度、風量及び吹出方向等を自動制御可能なオートエアコンである。空調装置2の空調風は、外気のみ又は内気のみ、或いは外気と内気の混合気によって生成される。
図2に示すように、遠心式ブロアファン12は、外気導入口11a及び内気導入口11bの下流側且つエバポレータ13の上流側に配設され、所定風量の空調風を車室内へ送風可能に構成されている。このブロアファン12は、最下段から最大回転数(全開)の最高段まで複数段、例えば4段階でステップ制御されるファンモータ12aによって回転駆動される。
ヒータコア14は、エバポレータ13の下流側に所定間隔離隔して配設されている。このヒータコア14は、エンジンの冷却水通路に接続され、エバポレータ13を通過した空調風(冷風)を冷却水によって再加熱する暖房用熱交換器である。
このPTCヒータ15は、バッテリ(図示略)に接続され、ヒータコア14を通過した空調風(冷風)を電熱線により再加熱する暖房用熱交換器である。尚、このPTCヒータ15は、ヒータコア14の直上流側に配設しても良い。
以上により、第2ダンパ22の回転動作によって、ヒータコア14及びPTCヒータ15を通過した高温の空調風とヒータコア14及びPTCヒータ15をバイパスした低温の空調風との混合比率が調整され、車室内へ供給される空調風温度が調節されている。
この空調制御部31は、操作パネル16の操作による各種標準モード(ヒーコン駆動制御ともいう)の実行の他に、低温下において車室内を除湿するために、乗車予測部32の指令に基づく乗車予測モードと、ウインドガラス1内面に付着した水分の過冷却状態を解消するために、過冷却レベル判定部34の指令に基づく過冷却モード等を実行している。
図1に示すように、自動車Vのドア及びトランクリッド表面にはノブ近傍にタッチセンサ6a〜6eが夫々設けられ、乗員がタッチセンサ6a〜6eのうちの何れかのタッチセンサに接触したとき、接触したタッチセンサに応じた車両側発信機3a〜3cの何れかからのリクエスト信号が送信される。このリクエスト信号は、タッチセンサ6a〜6eを中心とした半径Rの円形範囲(例えば0.7〜1.0m)に送信可能な出力に設定される。
乗員側携帯機5は、リクエスト信号を受信したとき、所定の認識番号を含む応答信号を車載受信機4a,4bへ出力する。車載受信機4a,4bのうち、応答信号を受信した受信機は、乗員側携帯機5から送信された認識番号が予め登録された認識番号と一致する場合、ドアのロック・アンロック機構(図示略)を駆動し、ドアを自動的にアンロックする。
乗車予測モードでは、ブロアモータ12aの作動が開始され、第1ダンパ21により内気導入口11bを全閉し、第2ダンパ22によりヒータコア14のバイパス比率100%にし、第3ダンパ23によりフェイス吹出口11dとフット吹出口11eとを全閉することによって、デフロスタ吹出口11cからウインドガラス1内面に一定期間外気を送風する。尚、この時間は車室内容積やブロアモータ12aの送風能力に応じて適宜設定される。
乗車予測部32は、乗車予測モード実行中で且つドアセンサ46がオンを検知したとき、ブロアファン12やブロアモータ12aの作動音を低減するために、ブロアモータ12aの回転数を所定回転数低下して外気導入量を低減させる第1回転数低下制御を行い、乗車予測モード実行中で且つシートセンサ45がオンを検知したとき、着座した乗員に空調風が当たらないように、ブロアモータ12aの回転数を第1回転数低下制御よりも所定回転数低下して外気導入量を低減させる第2回転数低下制御を行なっている。
過冷却レベル判定部34は、過冷却判定テーブル36を備えている。この過冷却レベル判定部34は、各センサ42〜44,47及び停車時間検出部33から出力されたウインドガラス1の内面温度と車室温度と外気温度と冷却水温度と停車継続時間とを入力し、これらの値と過冷却判定テーブル36とに基づいてウインドガラス1の内面に付着した水分の過冷却レベルを判定している。この判定された過冷却レベルは、空調制御部31へ出力され、過冷却モードが実行される。尚、過冷却モードは、乗車予測モードに優先して実行されるように設定されている。
例えば、ウインドガラス1の内面温度T1が1℃、車室温度T2が2℃、外気温度T3が−2℃、冷却水温度T4が0℃、停車継続時間t1が−2℃(外気温度T3)で2時間の場合、弊害加点の合計が11点になり、過冷却レベルはレベルMと判定される。
過冷却レベルHのとき、ブロアモータ12aの回転数を最下段(オフ状態)から最高段(最大回転数)までの各段の保持時間が長くなるように緩やかに増加する。具体的には、オートモードのときの各段数の保持時間よりも長く且つ高段階よりも低段階の保持時間が長くなるように設定されている。デフロスタ吹出口11cは開作動され、吹出口11d,11eは閉作動される。電動ポンプ(図示略)を作動させてヒータコア14へエンジンの冷却水を供給し、PTCヒータ15を作動する。尚、0℃以下の冷却水温が継続する場合、電動ポンプを停止する。
過冷却レベルL,Nのとき、ブロアモータ12aの回転数を最下段から最高段までの各段の保持時間がオートモードと同様になるように均一且つ速やかに増加する。吹出口11cは開作動され、吹出口11d,11eは閉作動される。電動ポンプ及びPTCヒータ15は過冷却制御から外れ、オートモード時と同様の作動となる。
まず、車載受信機4a、Igスイッチ41及び各センサ42〜47等から入力された各種信号を読込み(S1)、車載受信機4aが乗員側携帯機5からの応答信号を受信したか否か判定する(S2)。S2の判定の結果、車載受信機4aが乗員側携帯機5からの応答信号を受信していない場合、終了する。尚、車載受信機4bが乗員側携帯機5からの応答信号を受信した場合も以下と同様の制御を行う。
S3の判定の結果、外気温度が氷点以下の温度の場合、S4へ移行し、過冷却判定テーブル36によって現在の過冷却レベルを判定する。S3の判定の結果、外気温度T3が氷点よりも高い温度の場合、S12へ移行し、ヒーコン駆動制御を実行して終了する。
過冷却レベルの判定後、S5へ移行し、過冷却制御テーブル35に基づいて過冷却レベルに応じた過冷却モードを選択、実行する。
ブロアファン12は、PTCヒータ15がキューリー点温度に達したとき、最下段のオフ状態から第1段の回転数で回転駆動を開始する。尚、ブロアファン12の回転駆動は、過冷却レベル判定から10秒後に作動開始しても良い。
S6の判定の結果、換気が完了した場合、S12へ移行し、ヒーコン駆動制御を実行する。S6の判定の結果、換気が完了していない場合、S7へ移行し、ドアセンサ46がオンか否か判定する。
S11の判定の結果、Igスイッチ41がオンの場合、第2回転数低下制御を終了し、ヒーコン駆動制御を実行して終了する。S11の判定の結果、Igスイッチ41がオフの場合、S10へリターンして第2回転数低下制御を継続する。
この車両用空調制御装置によれば、ウインドガラス1の内面に付着している水分の過冷却レベルを少なくともウインドガラス温度T1と外気温度T3と停車継続時間t1とをパラメータとして予め判定し、過冷却レベルが高いとき、過冷却レベルが低いときに比べて空調風の風量を低下させるため、急速な結晶化の連鎖を生じることなくウインドガラス1の内面に付着している水分の過冷却状態を解消でき、自動車Vの運転開始直後から内気循環による暖房を積極的に実行することができる。
実施例2では、温湿度センサ42Aによってウインドガラス1の内面の水分含有量Fを検出し、検出された水分含有量Fが所定値以上のとき、判定された過冷却レベルに拘わらず過冷却モードを実行する。
このコントロールユニット30Aは、空調制御部31と、乗車予測部32と、停車時間検出部33と、ウインドガラス1の内面に付着している水分の過冷却レベルを判定する過冷却レベル判定部34Aと、過冷却モードを実行するための過冷却制御テーブル35等を備え、ウインドガラス1の内面温度T1とウインドガラス1の内面の水分含有量Fとを同時に検出可能な温湿度センサ42A等が電気的に接続されている。
この過冷却レベル判定部34Aは、過冷却判定テーブル36Aを備え、各センサ42A〜44,47及び停車時間検出部33からの出力を入力したとき、過冷却判定テーブル36Aに基づいて過冷却レベルを判定する。
これに対し、水分含有量FがHeavy wetの場合、他区分の弊害加点やその合計値に拘わらず、過冷却レベルHと判定している。即ち、過冷却判定テーブル36Aが各区分の弊害加点の合計を算出した結果、過冷却レベルM,L,Nに分類される場合であっても、水分含有量FがHeavy wetと判定された場合には、過冷却制御テーブル35に基づいて過冷却レベルHの制御を実行する。
実施例3では、空調装置2Bの予約設定が検知されたとき、予約時間又は予約時刻にウインドガラス1の内面に付着している水分の過冷却レベルが高い場合、過冷却モードを実行する。
乗員が予約設定部16aを操作して空調装置2Bの作動開始時刻の予約を設定したとき、乗員が設定した時間に空調装置2Bが作動を開始する。乗車予測部32Aは、予約設定部16aの操作によって空調装置2Bの作動開始の予約を検知することにより、将来的な乗員の乗車を実際の乗車前に予測判定している。
1〕前記実施例においては、ブロアモータの回転数が最下段から最高段まで4段階で増加するステップ式モータの例を説明したが、少なくとも空調風量を変更出来れば良く、3段以下、或いは5段以上であっても良い。また、リニアに回転数を変更できるブロアモータを採用することも可能である。
2,2A,2B 空調装置
5 乗員側携帯機
11c デフロスタ吹出口
12 ブロアファン
14 ヒータコア
15 PTCヒータ
16a 予約設定部
23 第3ダンパ
30,30A,30B コントロールユニット
31 空調制御部
33 停車時間検出部
34,34A 過冷却レベル判定部
35 過冷却制御テーブル
36,36A 過冷却判定テーブル
42,42A 温湿度センサ
43 外気温センサ
V 自動車
Claims (5)
- ウインドガラスの内面に外気を導入した空調風を吹き出し可能で且つその風量を制御可能なデフロスタ機構を有する空調機構と、空調風を加熱する加熱手段とを備えた車両の空調制御装置において、
前記ウインドガラスの温度を検出するウインドガラス温度検出手段と、
外気の温度を検出する外気温度検出手段と、
車両の停車後の停車継続時間を検出する停車時間検出手段と、
少なくとも、検出された前記ウインドガラス温度と外気温度と停車継続時間とに基づいて前記ウインドガラスの内面に付着している水分が過冷却状態になっている過冷却レベルを判定する過冷却レベル判定手段とを備え、
前記水分の過冷却レベルが高いとき、過冷却レベルが低いときに比べて空調風の風量を低下するように前記空調機構を制御する制御手段を設けたことを特徴とする車両用空調制御装置。 - 車両の運転開始を予測する運転開始予測手段を備え、
前記制御手段は、前記過冷却レベルが高いとき、車両の運転開始以前に前記デフロスタ機構の作動を開始させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調制御装置。 - 前記空調機構を予め設定した予約時間又は予約時刻に作動可能な空調予約手段を備え、
前記制御手段は、前記過冷却レベルが高いとき、前記空調予約手段により予め設定した予約時間又は予約時刻に前記デフロスタ機構の作動を開始させることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調制御装置。 - 前記ウインドガラスの内面に付着している水分量を判定する水分量判定手段を設け、
前記制御手段は、前記過冷却レベルが前記設定レベルよりも低いときであっても、前記水分量判定手段が所定値以上の水分量の付着を判定したときには、前記過冷却レベル判定手段の判定結果に拘わらず空調風の風量を低下させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用空調制御装置。 - 空調風を加熱する電動ヒータを設け、
前記デフロスタ機構を制御するとき、前記電動ヒータを作動させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用空調制御装置。
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