JP2009190640A - 保水量制御装置、車両用空気調和装置、及び保水量制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置、車両用空気調和装置、及び保水量制御プログラムを提供する。
【解決手段】検出された車内の気温、車外の気温、車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定し、ガラスの基準保水量を導出し(S201)、検出された車内の気温、車内の湿度、車速、及び日射量に基づき、予め定められた単位時間あたりに前記ガラスが保水する保水量を所定時間間隔毎に導出し(S202)、保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出し(S203)、導出された蓄積保水量が、前記基準保水量を超えた場合(S204でY)に、保水膜に含まれる水分を蒸発させる(S206)。また、エンジン停止後に、保水膜に含まれる水分を蒸発させるように制御する。
【選択図】図8
【解決手段】検出された車内の気温、車外の気温、車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定し、ガラスの基準保水量を導出し(S201)、検出された車内の気温、車内の湿度、車速、及び日射量に基づき、予め定められた単位時間あたりに前記ガラスが保水する保水量を所定時間間隔毎に導出し(S202)、保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出し(S203)、導出された蓄積保水量が、前記基準保水量を超えた場合(S204でY)に、保水膜に含まれる水分を蒸発させる(S206)。また、エンジン停止後に、保水膜に含まれる水分を蒸発させるように制御する。
【選択図】図8
Description
本発明は、保水量制御装置、車両用空気調和装置、及び保水量制御プログラムに係り、特に防曇ガラスが設けられた車両に好適な保水量制御装置、車両用空気調和装置、及び保水量制御プログラムに関する。
車両用空気調和装置(以下、単に空調装置と記す)には、車内の温度調整だけではなく、ガラスの曇りを抑制する役割もある。このような車両の空調に関する技術として、特許文献1には、水滴により短絡することなく広範囲の結露状態を検出する結露状態検出センサが開示されている。また、特許文献2には、自動車のガラスの曇り又は晴れパターンをパターン初期から後期まで全領域で精度良く予測する物体表面の曇り晴れパターン予測方法及び予測装置が開示されている。
更に特許文献3には、ホットガス暖房モード時における、車両窓ガラスの曇り防止効果を確保すると同時に、窓ガラスの曇り防止制御の有無を的確に判定して、ホットガス暖房モード時の暖房能力を有効に発揮できるようにする技術が開示されている。
また、特許文献4には、クーラユニットのドレンパンに向けて落下する凝縮水などが、導入空気の流れに吹き飛ばされて水漏れの原因となるのを防止する技術が開示されている。更に特許文献5には、レンズの曇りを防止しつつカビの発生を防ぐことができる光学機器が開示されている。
特開2006−266809号公報
特開2003−232756号公報
特開2003−159931号公報
特開平11−321296号公報
特開2000−221301号公報
一般に、空調装置には外気を導入する外気導入モードと内気を循環させる内気循環モードとが設けられており、冬季は防曇のために外気導入モードで動作させることが多い。この外気導入モードで動作させると、換気損失が発生するため空調装置にとっては大きな負荷となる。
そこで、ガラスに保水膜を塗布した防曇ガラスを用いることにより、通常のガラスと比較して、ある程度まで内気循環モードで動作させることができるようになるが、防曇ガラスが曇るタイミングは、ガラス温と室温だけではなく保水膜の保水量も関係するために、曇り始めるタイミングが推定しにくい。
また、上記保水量は直接計測することができないため、保水量を推定する必要があるが、乗車前に既に保水されている量を推定することが困難であった。従って、ある時点で保水される量が推定できたとしても、蓄積された保水量を推定することが困難であった。
このように、防曇ガラスが設けられた車両において、防曇ガラスが曇り始めるタイミングを推定することができないため、その結果防曇ガラスの曇りを防止するための適切な制御を行うことができないという問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑み、防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置、車両用空気調和装置、及び保水量制御プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、前記車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの基準保水量を導出する基準保水量導出手段と、前記車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車内の湿度を検出する湿度検出手段により検出された車内の湿度、前記車速検出手段により検出された車速、及び前記車両の車内に入射する日射量を検出する日射量検出手段により検出された日射量に基づき、前記ガラスの予め定められた単位時間あたりの保水量を所定時間間隔毎に導出する単位時間保水量導出手段と、前記単位時間保水量導出手段により導出された保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出する蓄積保水量導出手段と、前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記蓄積保水量導出手段により導出された蓄積保水量が、前記基準保水量導出手段により導出された前記基準保水量を超えた場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、を有する。
請求項1の発明によれば、ガラス温推定手段が、空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、前記車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定する。
また、基準保水量導出手段が前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの基準保水量を導出し、単位時間保水量導出手段が前記車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車内の湿度を検出する湿度検出手段により検出された車内の湿度、前記車速検出手段により検出された車速、及び前記車両の車内に入射する日射量を検出する日射量検出手段により検出された日射量に基づき、前記ガラスの予め定められた単位時間あたりの保水量を所定時間間隔毎に導出し、蓄積保水量導出手段が、前記単位時間保水量導出手段により導出された保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出する。
そして、制御手段が前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記蓄積保水量導出手段により導出された蓄積保水量が、前記基準保水量導出手段により導出された前記基準保水量を超えた場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する。
このように、エンジン停止後に保水膜に含まれる水分を蒸発させることができるので、エンジンの動作中における蓄積保水量を導出できる結果、防曇ガラスが曇り始めるタイミングを推定することができるため、防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置を提供することができる。
なお、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記基準保水量は、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点未満の場合には、運転者の視界の確保が不可能となる前記ガラスの限界保水量であり、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点以上の場合には、前記ガラスが曇り始める前記ガラスの最大保水量であるようにしても良い。
これにより、防曇ガラスが凍結するガラス温の場合、及び防曇ガラスが凍結しないガラス温の場合にも、防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置を提供することができる。
なお、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記制御手段は、前記基準保水量及び前記蓄積保水量に基づき定まる時間だけ、前記蒸発手段により前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御するようにしても良い。
これにより、曇りの発生を防止できるとともに、水分が蒸発したにもかかわらず蒸発手段が動作し続けることを防止することができる。
一方、上記課題を解決するために、請求項4の発明は、空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温が、予め定められた前記ガラスの氷点より低い場合に、前記ガラスの近傍の湿度であるガラス近傍湿度を検出するガラス近傍湿度検出手段と、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの近傍の基準湿度を導出する基準湿度導出手段と、前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記ガラス近傍湿度検出手段により検出された前記ガラス近傍湿度が、前記基準湿度導出手段により導出された前記基準湿度より高い場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、を有する。
請求項4の発明によれば、ガラス温推定手段が、空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定する。
また、ガラス近傍湿度検出手段が、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温が、予め定められた前記ガラスの氷点より低い場合に、前記ガラスの近傍の湿度であるガラス近傍湿度を検出する。
更に、基準湿度導出手段が、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの近傍の基準湿度を導出する。
そして、制御手段が、前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記ガラス近傍湿度検出手段により検出された前記ガラス近傍湿度が、前記基準湿度導出手段により導出された前記基準湿度より高い場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する。
このように、エンジン停止後に保水膜に含まれる水分を蒸発させることができ、更に基準湿度及びガラス近傍湿度により、防曇ガラスが曇り始めるタイミングを推定することができるため、防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置を提供することができる。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記基準湿度は、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点未満の場合には、運転者の視界の確保が不可能となる前記ガラスの近傍の湿度である限界ガラス近傍湿度であり、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点以上の場合には、前記ガラスが曇り始める前記ガラスの近傍の湿度である限界ガラス近傍湿度であるようにしても良い。
これにより、防曇ガラスが凍結するガラス温の場合、及び防曇ガラスが凍結しないガラス温の場合にも、防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置を提供することができる。
また、請求項6の発明は、請求項4又は請求項5の発明において、前記制御手段は、前記ガラス近傍湿度及び前記限界ガラス近傍湿度に基づき定まる時間だけ、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御するにようにしても良い。
これにより、曇りの発生を防止できるとともに、水分が蒸発したにもかかわらず蒸発手段が動作し続けることを防止することができる。
また、請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保水量制御装置を備えた車両用空気調和装置であり、この車両用空気調和装置は請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明の効果と同様の効果が得られる車両用空気調和装置である。
一方、上記課題を解決するために、請求項8の発明は、空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、前記車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの基準保水量を導出する基準保水量導出手段と、前記車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車内の湿度を検出する湿度検出手段により検出された車内の湿度、前記車速検出手段により検出された車速、及び前記車両の車内に入射する日射量を検出する日射量検出手段により検出された日射量に基づき、前記ガラスの予め定められた単位時間あたりの保水量を所定時間間隔毎に導出する単位時間保水量導出手段と、前記単位時間保水量導出手段により導出された保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出する蓄積保水量導出手段と、前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記蓄積保水量導出手段により導出された蓄積保水量が、前記基準保水量導出手段により導出された前記基準保水量を超えた場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、としてコンピュータを機能させるための保水量制御プログラムである。
請求項8の発明は、請求項1の発明の効果と同様の効果が得られる保水量制御プログラムである。
また、請求項9の発明は、空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温が、予め定められた前記ガラスの氷点より低い場合に、前記ガラスの近傍の湿度であるガラス近傍湿度を検出するガラス近傍湿度検出手段と、前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの近傍の基準湿度を導出する基準湿度導出手段と、前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記ガラス近傍湿度検出手段により検出された前記ガラス近傍湿度が、前記基準湿度導出手段により導出された前記基準湿度より高い場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、としてコンピュータを機能させるための保水量制御プログラムである。
請求項9の発明は、請求項4の発明の効果と同様の効果が得られる保水量制御プログラムである。
本発明によれば、防曇ガラスの曇りを防止する適切な制御を行うことを可能とする保水量制御装置、車両用空気調和装置、及び保水量制御プログラムを提供することができるという効果が得られる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、車両の車内の気温を室温、車外の気温を外気温と表現する。また、車両用空気調和装置を単に空調装置と表現する。
更に、本実施の形態における車両には保水膜を有するガラスである防曇ガラス(以下、単にガラスと記す)が設けられているものとする。
図1は、本実施の形態に係る空調装置10を含む構成を示す図である。同図に示されるように、空調装置10は、エア・コンディショナー(以下の説明ではエアコンと記す)20、エアコンECU12を含んで構成され、同図ではこの空調装置10に、エンジンECU11、及び電源ECU13が接続されるように構成されている。
このうち、保水量制御装置に対応するエアコンECU12は、エアコン20を制御するものである。特にエアコンECU12は、後述するブロアファンが発生する風量を制御することが可能である。エアコンECU12は、後述する外気導入モードでエアコン20のブロアファンを回転させるように制御することにより、上記保水膜に含まれる水分を蒸発させることができる。
電源ECU13は、図示しないバッテリからエンジンECU11、エアコンECU12及びエアコン20に電源電力を供給し、エンジンECU11、及びエアコンECU12を起動するものである。
エンジンECU11は、車速センサ、スロットル開度センサ、燃圧センサ、空燃費センサ、エンジン回転数センサ等の各種センサが接続されたものであり、エンジンに係る制御全般を行う。このエンジンECU11に接続された車速センサにより検出された車速をエアコンECU12が取得することができる。
次に、エアコン20の概略構成を示す図2、及び車両内の吹出し口等を示す図3を用いてエアコン20に関して説明する。
図2に示されるエアコン20は、コンプレッサ22、コンデンサ24及びエバポレータ26等を備え、これらによって冷媒が循環される冷凍サイクルが形成されている。この冷凍サイクルでは、コンプレッサ22によって圧縮された冷媒が、コンデンサ24によって冷却されて液化される。また、この液化された冷媒は、エバポレータ26で気化される。これにより、エアコン20では、エバポレータ26を通過する空気の冷却及び除湿を行なうようになっている。
また、このエアコン20は、空調風となる空気の流路が形成されたエアコンユニット28を備えている。このエアコンユニット28には、エバポレータ26が配設され、空調風となる空気の冷却及び除湿が可能となっている。また、エアコンユニット28には、空調風の流路の一端側に、内気導入口30Aと外気導入口30Bが形成された導入箱32が取り付けられ、他端側に、複数の吹出し口が形成されている。
導入箱32には、内気導入口30Aと外気導入口30Bを選択的に開閉する切換ドア34が設けられている。また、エアコンユニット28には、ブロアファン36が配置され、更にエバポレータ26の下流側にエアミックスドア38及びヒータコア40が配置されていると共に、複数の吹出し口を選択的に開閉するモード切換ドア42が設けられている。
エアコン20では、空調風を生成する空気の導入モードとして、内気導入口30Aから車両内の空気を導入する内気循環モードと、外気導入口30Bから車外の空気を導入する外気導入モードの選択が可能となっている。エアコン20では、導入モードに応じて切換ドア34が作動されて、内気導入口30Aと外気導入口30Bが開閉されるようになっている。
また、エアコン20には、空調風の吹出し口として、デフロスタ吹出し口44、レジスタ吹出し口46、及び足元吹出し口48が設けられている。図3に示されるように、車両内18の前部に設けられているインストルメントパネル(インパネ50)には、デフロスタ吹出し口44としてセンタデフロスタ吹出し口44Aとサイドデフロスタ吹出し口44Bが開口され、レジスタ吹出し口46としてセンタレジスタ吹出し口46Aとサイドデフロスタ吹出し口46Bが開口されている。これらの各吹き出し口により、ガラス14の保水膜に保水された水分を蒸発することができる。
また、足元吹出し口48としては、前席足元吹出し口48A(図3では図示省略)と後席足元吹出し口48Bが設けられている。
上述した図2に示されるように、エアコンユニット28には、デフロスタ吹出し口44が形成されたダクト52A、センタレジスタ吹出し口46Aが形成されたダクト52B、サイドレジスタ吹出し口46Bが形成されたダクト52C、足元吹出し口48が形成されたダクト52Dが連結され、ダクト52Dから後席足元吹出し口48Bが形成されたリヤヒータダクト52Eが分岐されており、モード切換ドア42は、ダクト52A、52C、52Dを選択的に開閉可能となっている。
また、エアコン20には、空調風の吹出しモードとしてデフロスタ吹出し口44が選択されるDEFモード、レジスタ吹出し口46が選択されるFACEモード、足元吹出し口48が選択されるFOOTモード、レジスタ吹出し口46と足元吹出し口48が選択されるBI−LEVELモード及びデフロスタ吹き出し口44と足元吹出し口48が選択されるFOOT/EDFモードが設定されている。エアコン20では、設定された吹出しモードに応じた吹出し口が開放されるようにモード切換ドア42が作動される。
なお、ヒータコア40は、図示しないエンジンとの間でエンジン冷却液が循環されるようになっており、エアコン20では、ヒータコア40を通過する空気を、エンジン冷却液によって加熱する。また、エアコン20では、エアミックドア38の開度によって、ヒータコア40を通過する空気量とヒータコア40をバイパスする空気量を制御する。エアコンユニット28内では、ヒータコア40を通過された空気とヒータコア40をバイパスされた空気が混合されるようになっており、これにより、エアコン20では、この混合された空気が所望の温度となるようにエアミックスドア38を制御する。
次に、図4を用いてエアコンECU12の詳細について説明する。同図に示されるように、エアコンECU12には、上述したコンプレッサ22が接続されていると共に、ブロアファン36を駆動するブロアモータ56が接続されている。これにより、エアコンECU12は、コンプレッサ22の冷媒圧縮能力(冷房能力)の制御と共に、ブロアモータ56の回転速度または所定時間あたりの回転数を制御することによる吹出し口から吹き出される空調風の風量の制御を行うことができる。
また、エアコンECU12には、切換ドア34を作動するアクチュエータ58A、エアミックスドア38を作動するアクチュエータ58B及び、モード切換ドア42を作動するアクチュエータ58Cが接続されている。エアコンECU12は、導入モードに応じたクチュエータ58Aの作動、目標吹出し温度に応じたアクチュエータ58Bの作動及び、吹出しモードに応じたアクチュエータ58Cの作動を制御する。
一方、エアコンECU12には、室温を検出する室温センサ60、外気温を検出する外気温センサ62、車両の車内に入射する日射量を検出する日射センサ64、車内の湿度を検出する湿度センサ65、ヒータコア40で空調風の加熱に用いるエンジン冷却液の液温を検出する液温センサ66、及びエバポレータ26を通過した空気の温度を検出するエバポレータ後センサ68などの環境状態、エアコン20の作動状態等を検出する各種のセンサが接続されている。
なお、上記湿度センサ65は、ガラス14の近傍の湿度である近傍湿度を検出することも可能である。
エアコンECU12は、図示しない操作パネルのスイッチ操作によって設定温度などのエアコン20の運転条件が設定されて空調運転が指示されると、運転条件及び環境条件等を読み込んで、車両内を設定温度とするために必要な空調風の温度である目標吹出し温度を設定し、設定した目標吹出し温度が得られるように空調運転を行う。
このときに、エアコンECU12は、運転条件として設定されたブロア風量又は、目標吹出し温度に基づいて設定したブロア風量が得られるようにブロアモータ56を駆動する。なお、このようなエアコンECU12の空調制御は、公知の制御を適用することができる。
以下、フローチャート等を用いて、本実施の形態におけるガラス14の曇りを防止する曇り防止制御について説明する。
まず、この曇り防止制御についての概要を説明する。本実施の形態に係る曇り防止制御では、運転者が乗車する前に、予めガラス14の保水膜に保水された水分を蒸発させておく。この予め水分を蒸発させておく処理(以下、事前蒸発処理と記す)は、エンジン停止後に行われる。
この処理により、運転者が乗車前に予め水分が蒸発されるので、次に運転者が乗車した際の保水量を0又は略0とすることができる。エンジンの始動後に、上述した各種センサから得られる情報に基づいてガラス14の曇り及び凍結を防止する処理(以下、運転時蒸発処理と記す)をエンジンが停止するまで行う。
上述した事前蒸発処理及び運転時蒸発処理が保水量制御プログラムの処理を示すものである。
以下、エアコンECU12により行われる上述した事前蒸発処理及び運転時蒸発処理の詳細について説明するが、まず最初に運転時蒸発処理から説明する。
この運転時蒸発処理は2種類あり、ひとつはガラス14の基準保水量と予め定められた単位時間あたりにガラス14が保水する保水量(蓄積保水量)とに基づいて行われる処理(処理Aとする)であり、もうひとつはガラス14の近傍の湿度であるガラス近傍湿度と基準湿度とに基づいて行われる処理(処理Bとする)である。上記処理A、及び処理Bは、いずれか一方が選択的に実行される。具体的には、予め運転者によりいずれの処理を実行するかが設定されるようにしても良いし、いずれか一方のみで動作するようなプログラムを用いるようにしても良い。
なお、上記蓄積保水量とは単位時間あたりにガラス14が保水する保水量を単位時間が経過しただけ加算することにより得られるものである。
まず、処理Aについて説明するが、この説明に先立ち、同処理で用いられるグラフについて、図5、図6を用いて説明する。
図5には、(A)〜(D)までの4種類のグラフが示されている。これらのグラフは、縦軸が保水量を示し、横軸がそれぞれ室温、湿度、車速、日射量を示すグラフである。
グラフ(A)〜(D)に示される保水量は、単位時間あたりにガラス14が保水する保水量である。すなわち、グラフ(A)〜(D)は、検出した室温、湿度、車速、日射量から単位時間あたりにガラス14が保水する保水量を導出するためのグラフである。このグラフを示す関数がエアコンECU12のプログラムに予め組み込まれており、それを用いることにより、検出された各値に対応する保水量を導出する。
次に、図6に示されるグラフについて説明する。図6には、(A)〜(D)までの4種類のグラフが示されている。このうち、グラフ(A)は、縦軸が運転者の視野の確保が不可能となる限界保水量を示し、横軸がガラス温を示している。従って、グラフ(A)は、そのときのガラス温における限界保水量を導出するためのグラフである。
グラフ(B)は、保水膜の最大保水量を示し、横軸がガラス温を示している。従って、グラフ(B)は、そのときのガラス温における最大保水量を導出するためのグラフである。
また、グラフ(C)は、縦軸がブロアファンにより送風する送風時間を示し、横軸が蓄積保水量から限界保水量を減算した値を示している。更に、グラフ(D)は、縦軸がブロアファンにより送風する送風時間を示し、横軸が蓄積保水量から最大保水量を減算した値を示している。また、このグラフ(D)は、後述する事前蒸発処理(図14のステップ703、706)でも用いられる。
上述した図5、図6に示したグラフを示す関数がエアコンECU12のプログラムに予め組み込まれている。
以上を踏まえ、図7、及び図7で用いられる関数のフローチャートを示す図8、図9を用いて、エアコンECU12により実行される処理Aの流れについて説明する。この処理Aは、上述したように、エンジン始動からエンジン停止まで繰り返し行われる処理であり、エアコンECU12に予め組み込まれたプログラムに従って実行されるものである。
なお、図8で用いられる変数Aは、上記蓄積保水量を示すものであり、上述した事前蒸発処理によりガラス14の水分は蒸発されているので、この変数Aは予め0で初期化されているものとする。
まず、ステップ101で、上述した各センサにより、室温、外気温、湿度、日射量、車速を検出する。次のステップ102で、従来より行われている方法により、室温、外気温、車速からガラス温Tを推定する。
次のステップ103で、ガラス温Tがガラス14の氷点未満か否か判断し、肯定判断した場合にはステップ104の処理A(氷点未満)へ処理が進み、否定判断した場合にはステップ105処理A(氷点以上)へ処理が進む。いずれのステップに進んだ場合も、再びステップ101の処理に戻る。
上記ステップ104の処理A(氷点未満)について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、基準保水量として、運転者の視界の確保が不可能となるガラス14の限界保水量を適用したものである。
まず、ステップ201では、ガラス温から視界の確保が不可能になる限界保水量Mを導出する。この導出は上述した図6(A)のグラフにより導出することができる。
更に、ステップ202で、室温、湿度、車速、日射量から単位時間保水量Bを導出する。このステップ202で上述したグラフが用いられる。具体的には、まず上記図5のグラフ(A)〜(D)により、室温、湿度、車速、日射量から保水量が導出されるが、室温、湿度、車速、日射量から導出された保水量をそれぞれX(室温)、Y(湿度)、Z(車速)、W(日射量)と置くと、室温、湿度、及び車速が大きいほど保水量は増加するため、それらに対応するX、Y、Zの符号は正となり、日射量が大きいほど保水量は減少するため、それに対応するWの符号は負となる。
従って、単位時間あたりの保水量Bは、以下の式により導出することができる。
保水量B=X(室温)+Y(湿度)+Z(車速)−W(日射量)
このようにして導出された保水量Bを、次のステップ203で蓄積保水量Aに加え、その値を改めて蓄積保水量Aとする。
次のステップ204で、蓄積保水量Aが最大保水量Mを超えたか否か判断する。ステップ204で否定判断した場合には、ステップ208でエアコンECU12に内蔵されたタイマをセットする。このタイマは、単位時間を計測するタイマである。次のステップ209で、タイムアウトと判断されると処理を終了する。
一方、ステップ204で肯定判断した場合には、ステップ205で、上記図6グラフ(C)を示す関数を用いて蓄積保水量Aと限界保水量Mからブロアファン送風時間tを導出する。そして、ステップ206で、ブロアファン送風時間tだけブロアファンを回転することによりガラス14の水分を蒸発させ、ステップ207でAを0で初期化して処理を終了する。
この処理A(氷点未満)を終了した後、再び図7のステップ101から処理が実行される。
なお、上述した処理では、室温、外気温、湿度、日射量、車速を検出し(ステップ101)、単位時間保水量Bを導出する(ステップ202)間隔と、単位時間が経過する毎に加算する(ステップ203)間隔とがいずれも単位時間となっているが、室温、外気温、湿度、日射量、車速を検出し、単位時間保水量を導出する間隔を、単位時間以外の所定時間間隔とするようにしても良い。また、加算する間隔も、例えば単位時間を1秒としたとき、5秒間隔で加算しても良い。この場合は5秒間に加算されるべき量が加算されることとなる。
上記ステップ105の処理A(氷点以上)について、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、基準保水量として、ガラス14が曇り始めるガラス14の最大保水量を適用したものである。
まず、ステップ301では、ガラス温から曇り始める最大保水量M’を導出する。この導出は上述した図6(B)のグラフにより導出することができる。
更に、ステップ302で、室温、湿度、車速、日射量から単位時間保水量Bを導出する。このステップ302での単位時間保水量Bの導出方法は、図8のステップ202における導出方法と同じ方法である。導出された保水量Bを、次のステップ303で蓄積保水量Aに加え、その値を改めて蓄積保水量Aとする。
次のステップ304で、蓄積保水量Aが最大保水量M’を超えたか否か判断する。ステップ304で否定判断した場合には、ステップ308でエアコンECU12に内蔵されたタイマをセットする。このタイマは、単位時間を計測するタイマである。次のステップ309で、タイムアウトと判断されると処理を終了する。
一方、ステップ304で肯定判断した場合には、ステップ305で、上記図6グラフ(D)を示す関数を用いて蓄積保水量Aと最大保水量Mからブロアファン送風時間tを導出する。そして、ステップ306で、ブロアファン送風時間tだけブロアファンを回転することによりガラス14の水分を蒸発させ、ステップ307でAを0で初期化して処理を終了する。
この処理A(氷点以上)を終了した後、再び図7のステップ101から処理が実行される。
なお、上述した処理では、室温、外気温、湿度、日射量、車速を検出し(ステップ101)、単位時間保水量Bを導出する(ステップ302)間隔と、単位時間が経過する毎に加算する(ステップ303)間隔とがいずれも単位時間となっているが、室温、外気温、湿度、日射量、車速を検出し、単位時間保水量を導出する間隔を、単位時間以外の所定時間間隔とするようにしても良い。また、加算する間隔も、例えば単位時間を1秒としたとき、5秒間隔で加算しても良い。この場合は5秒間に加算されるべき量が加算されることとなる。
次に、処理Bについて説明するが、この説明に先立ち、同処理で用いられるグラフについて、図10を用いて説明する。
図10には、(A)〜(D)までの4種類のグラフが示されている。このうち、グラフ(A)は、縦軸が運転者の視野確保不可能となる限界ガラス近傍湿度を示し、横軸がガラス温を示している。従って、グラフ(A)は、そのときのガラス温における限界近傍湿度を導出するためのグラフである。
グラフ(B)は、縦軸が曇り始める限界ガラス近傍湿度を示し、横軸がガラス温を示している。従って、グラフ(B)は、そのときのガラス温における限界ガラス近傍湿度を導出するためのグラフである。
また、グラフ(C)は、縦軸がブロアファンにより送風する送風時間を示し、横軸がガラス近傍湿度から限界ガラス近傍湿度を減算した値を示している。更に、グラフ(D)は、縦軸がブロアファンにより送風する送風時間を示し、横軸がガラス近傍湿度から最大保水量を減算した値を示している。なお、グラフ(C)は、氷点がガラス温未満の場合に適用され、グラフ(D)は、氷点がガラス温以上の場合に適用される。また、このグラフ(D)は、後述する事前蒸発処理(図14のステップ703、706)でも用いられる。
上述した図10に示したグラフを示す関数がエアコンECU12のプログラムに予め組み込まれている。
以上を踏まえ、図11、及び図11で用いられる関数のフローチャートを示す図12、図13を用いて、エアコンECU12により実行される処理Bの流れについて説明する。この処理Bは、上述したように、エンジン始動からエンジン停止まで繰り返し行われる処理であり、エアコンECU12に予め組み込まれたプログラムに従って実行されるものである。
まず、ステップ401で、上述した各センサにより、室温、外気温、湿度、日射量、車速を検出する。次のステップ402で、従来より行われている方法により、室温、外気温、車速からガラス温Tを推定する。
次のステップ403で、ガラス温Tがガラス14の氷点未満か否か判断し、肯定判断した場合にステップ404の処理B(氷点未満)へ処理が進み、否定判断した場合に再びステップ405処理B(氷点以上)へ処理が進む。いずれのステップに進んだ場合も、再びステップ401の処理に戻る。
上記ステップ404の処理B(氷点未満)について、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、基準湿度として、運転者の視界の確保が不可能となるガラス14の近傍の湿度である限界ガラス近傍湿度を適用したものである。
まず、ステップ501では、ガラス温から視界確保が不可能になる限界ガラス近傍湿度Nを導出する。この導出は上述した図10(A)のグラフにより導出することができる。
更に、ステップ502で、湿度センサ65によりガラス近傍湿度Hを検出する。次のステップ503でガラス近傍湿度Hが限界ガラス近傍湿度Nを超えたか否か判断する。ステップ503で否定判断した場合には、ステップ506でエアコンECU12に内蔵されたタイマをセットする。このタイマは、単位時間を計測するタイマである。次のステップ507で、タイムアウトと判断されると処理を終了する。
一方、ステップ503で肯定判断した場合には、ステップ504で、上記図10グラフ(C)を示す関数を用いてガラス近傍湿度Hと限界ガラス近傍湿度Nからブロアファン送風時間tを導出する。そして、ステップ505で、ブロアファン送風時間tだけブロアファンを回転することによりガラス14の水分を蒸発させ、処理を終了する。
この処理B(氷点未満)を終了した後、再び図11のステップ401から処理が実行される。
上記ステップ405の処理A(氷点以上)について、図13のフローチャートを用いて説明する。なお、この処理は、基準湿度として、ガラス14が曇り始めるガラス14の近傍の湿度である限界ガラス近傍湿度を適用したものである。
まず、ステップ601では、ガラス温から曇り始める限界ガラス近傍湿度N’を導出する。この導出は上述した図10(B)のグラフにより導出することができる。
更に、ステップ602で、湿度センサ65によりガラス近傍湿度Hを検出する。次のステップ603で、ガラス近傍湿度Hが限界ガラス近傍湿度N’を超えたか否か判断する。ステップ603で否定判断した場合には、ステップ606でエアコンECU12に内蔵されたタイマをセットする。このタイマは、単位時間を計測するタイマである。次のステップ607で、タイムアウトと判断されると処理を終了する。
一方、ステップ603で肯定判断した場合には、ステップ604で、上記図10グラフ(D)を示す関数を用いてガラス近傍湿度Hと限界ガラス近傍湿度N’からブロアファン送風時間tを導出する。そして、ステップ605で、ブロアファン送風時間tだけブロアファンを回転することによりガラス14の水分を蒸発させ、処理を終了する。
この処理B(氷点以上)を終了した後、再び図11のステップ401から処理が実行される。
次に、図14のフローチャートを用いて、上述した事前蒸発処理について説明する。まず、ステップ701でエンジンが運転者により停止されると、ステップ702に進み、ステップ702では、プラグイン可能か否か判断する。ここでプラグイン可能とは、家庭用のコンセントから電源電力を供給可能であることをいう。
ステップ702でプラグイン可能と判断した場合には、電力が十分に供給されるため、ステップ703で蓄積保水量と最大保水量(ガラス近傍湿度、限界近傍湿度)からブロアファン送風時間tを導出する。このステップ703では、運転時蒸発処理が処理Aの場合には、蓄積保水量と最大保水量が用いられ、運転時蒸発処理が処理Bの場合には、ガラス近傍湿度と限界近傍湿度が用いられる。このとき上述した図6のグラフ(D)、図10のグラフDを示す関数が用いられる。
次のステップ704で、外気導入モードにし、電気ヒータ又はヒートポンプをオンにし、更にブロアファンを回転して、ステップ708に処理が進む。上記電気ヒータ又はヒートポンプは、ブロアファンが回転を終了するまでオンとされる。
一方、ステップ702で、プラグイン不可能と判断した場合には、ステップ705で、バッテリからエアコン20に供給される電源電圧が所定電圧以上か否か判断する。この所定電圧とは、上述したステップ703、304の実行が可能となる程度の電圧である。
上記ステップ705で肯定判断した場合には、上記ステップ703の処理を行う。一方、ステップ705で、否定判断した場合には、ステップ706で蓄積保水量と最大保水量(ガラス近傍湿度、限界近傍湿度)からブロアファン送風時間tを導出する。このステップ703では、運転時蒸発処理が処理Aの場合には、蓄積保水量と最大保水量が用いられ、運転時蒸発処理が処理Bの場合には、ガラス近傍湿度と限界近傍湿度が用いられる。
なお、このステップ706と上記ステップ703では、それぞれの処理に続くステップで行われる動作が異なるため、これらのステップで導出されるブロアファン送風時間tの値は異なるものとなる。プラグイン可能な場合の送風時間tは、バッテリによる電源電力を用いて蒸発させる送風時間tよりも当然に短いものとなる。
次のステップ707で、外気導入モードにし、ブロアファンを回転し、ステップ708に処理が進む。
ステップ708は、上記ステップ703、ステップ708で導出したブロアファン送風時間tが経過したか否かの判断であり、ブロアファン送風時間tが経過した場合には、ステップ709でブロアファンを停止し、ステップ710で内気循環モードに変更し、処理を終了する。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
また、上記実施の形態で示した各グラフ(図5、図6、図10)は、一例を示すものであるため、直線で示されるグラフとなっているが、単調増加であれば曲線等が含まれてもよい。
また、上記各グラフを示す関数がプログラムで用いられているが、この関数に代えて、テーブルを用いるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、保水された水分の蒸発にブロアファンによる送風を用いているが、これに限るものではない。例えばガラス14の内部或いは近傍に熱を発生させる手段を設け、この手段により水分を蒸発するようにしても良い。
また、実施の形態で示した各種処理プログラムの処理の流れ(図6、図8、図9参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができることも言うまでもない。
10 空調装置
11 エンジンECU
12 エアコンECU
13 電源ECU
14 防曇ガラス
20 エアコン
36 ブロアファン
56 ブロアモータ
60 室温センサ
62 外気温センサ
64 日射センサ
65 湿度センサ
11 エンジンECU
12 エアコンECU
13 電源ECU
14 防曇ガラス
20 エアコン
36 ブロアファン
56 ブロアモータ
60 室温センサ
62 外気温センサ
64 日射センサ
65 湿度センサ
Claims (9)
- 空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、前記車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、
前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの基準保水量を導出する基準保水量導出手段と、
前記車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車内の湿度を検出する湿度検出手段により検出された車内の湿度、前記車速検出手段により検出された車速、及び前記車両の車内に入射する日射量を検出する日射量検出手段により検出された日射量に基づき、前記ガラスの予め定められた単位時間あたりの保水量を所定時間間隔毎に導出する単位時間保水量導出手段と、
前記単位時間保水量導出手段により導出された保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出する蓄積保水量導出手段と、
前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記蓄積保水量導出手段により導出された蓄積保水量が、前記基準保水量導出手段により導出された前記基準保水量を超えた場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、
を有する保水量制御装置。 - 前記基準保水量は、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点未満の場合には、運転者の視界の確保が不可能となる前記ガラスの限界保水量であり、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点以上の場合には、前記ガラスが曇り始める前記ガラスの最大保水量である請求項1に記載の保水量制御装置。
- 前記制御手段は、前記基準保水量及び前記蓄積保水量に基づき定まる時間だけ、前記蒸発手段により前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する請求項1又は請求項2に記載の保水量制御装置。
- 空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、
前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温が、予め定められた前記ガラスの氷点より低い場合に、前記ガラスの近傍の湿度であるガラス近傍湿度を検出するガラス近傍湿度検出手段と、
前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの近傍の基準湿度を導出する基準湿度導出手段と、
前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記ガラス近傍湿度検出手段により検出された前記ガラス近傍湿度が、前記基準湿度導出手段により導出された前記基準湿度より高い場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、
を有する保水量制御装置。 - 前記基準湿度は、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点未満の場合には、運転者の視界の確保が不可能となる前記ガラスの近傍の湿度である限界ガラス近傍湿度であり、前記ガラス温が予め定められた前記ガラスの氷点以上の場合には、前記ガラスが曇り始める前記ガラスの近傍の湿度である限界ガラス近傍湿度である請求項4に記載の保水量制御装置。
- 前記制御手段は、前記ガラス近傍湿度及び前記限界ガラス近傍湿度に基づき定まる時間だけ、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する請求項4又は請求項5に記載の保水量制御装置。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の保水量制御装置を備えた車両用空気調和装置。
- 空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、前記車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、
前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの基準保水量を導出する基準保水量導出手段と、
前記車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車内の湿度を検出する湿度検出手段により検出された車内の湿度、前記車速検出手段により検出された車速、及び前記車両の車内に入射する日射量を検出する日射量検出手段により検出された日射量に基づき、前記ガラスの予め定められた単位時間あたりの保水量を所定時間間隔毎に導出する単位時間保水量導出手段と、
前記単位時間保水量導出手段により導出された保水量を加算することにより得られる蓄積保水量を導出する蓄積保水量導出手段と、
前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記蓄積保水量導出手段により導出された蓄積保水量が、前記基準保水量導出手段により導出された前記基準保水量を超えた場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、
としてコンピュータを機能させるための保水量制御プログラム。 - 空気調和対象となる車両の車内の気温を検出する車内気温検出手段により検出された車内の気温、前記車両の車外の気温を検出する車外気温検出手段により検出された車外の気温、及び前記車両の車速を検出する車速検出手段により検出された車速に基づき、車両に設けられた保水膜を有するガラスの温度であるガラス温を推定するガラス温推定手段と、
前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温が、予め定められた前記ガラスの氷点より低い場合に、前記ガラスの近傍の湿度であるガラス近傍湿度を検出するガラス近傍湿度検出手段と、
前記ガラス温推定手段により推定されたガラス温に基づき、前記ガラスの近傍の基準湿度を導出する基準湿度導出手段と、
前記車両に設けられたエンジンの停止後に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるための蒸発手段を制御し、前記エンジンの始動後に、前記ガラス近傍湿度検出手段により検出された前記ガラス近傍湿度が、前記基準湿度導出手段により導出された前記基準湿度より高い場合に、前記保水膜に含まれる水分を蒸発させるように前記蒸発手段を制御する制御手段と、
としてコンピュータを機能させるための保水量制御プログラム。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014061778A (ja) * | 2012-09-21 | 2014-04-10 | Mazda Motor Corp | 車両用空調制御装置 |
JP2014213659A (ja) * | 2013-04-24 | 2014-11-17 | マツダ株式会社 | 車両用空調制御装置 |
JP2015000694A (ja) * | 2013-06-18 | 2015-01-05 | マツダ株式会社 | 車両用空調制御装置 |
JP2021116051A (ja) * | 2020-01-29 | 2021-08-10 | トヨタ自動車株式会社 | 制御装置、車両、制御システム、プログラム及び制御方法 |
-
2008
- 2008-02-15 JP JP2008035076A patent/JP2009190640A/ja active Pending
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