JP2014533989A - 掃除機 - Google Patents

Abstract

共通軸の上に配置された電動機と、羽根車と、アキシャルディフューザと、を含む掃除機が提供される。羽根車は電動機に接続され、共通軸の上で回転して径方向の空気流を起こさせるように配置される。径方向の空気流が軸方向の空気流に転向される。ディフューザ通路が内周壁と外周壁の間に配置され、これらの壁は共通軸の周囲に同軸的に配置される。各ディフューザ通路は、円周方向に壁間で、内壁と外壁の間において共通軸に実質的に平行に走る軸方向に延びるベーンによって区切られる。ベーンは少なくとも２列に配置され、これらは共通軸に実質的に平行に走る軸方向に連続して配置される。

Description

本発明は掃除機に関し、特にアキシャルディフューザ（axial diffuser）を含む掃除機に関する。

電動送風機の効率は、掃除機の損失を最小化する上で重要な要素である。送風機システムのうち、現在のシステムで不必要な損失が見られる部分は、空気案内システムの中にある。通常、ディフューザが存在するのは、羽根車から吹き出された空気を制御された方法で減速させ、そのようにして羽根車により発生する動圧を静圧に変換するためである。掃除機の中のディフューザは、軸方向または径方向のいずれかで配置される。ディフューザの構成は、それが掃除機の効率に影響を与えるため、非常に重要である。高効率のディフューザにより、移動される空気の体積を増大でき、または同じ体積の空気を移動させるのに必要な電力が少なくてすむ。したがって、より効率の高いディフューザが求められるのは明らかである。

特許文献１において、径方向に配置されたディフューザを備える掃除機が提供されている。既知の構成では、ディフューザ内のベーン（vanes）の入口角度を変えることにより、リターンガイドベーンの角度を変化させることと組み合わせたときに、効率が向上する。ディフューザを径方向に配置すると、掃除機の直径が大きくなり、したがって、よりコンパクトな設計が望まれる場合にはディフューザを軸方向に配置することが好ましい。たとえば、大きさが重要な要素となるハンドヘルド型掃除機においては、アキシャルディフューザにより、径方向に配置されたディフューザより小さい外径の設計が可能になる。

特許文献２は、電気モータに直接接続された斜流羽根車（mixed flow impeller）と、羽根車の下流側に配置されたアキシャルディフューザと、を備える掃除機を開示している。

欧州特許第１８７８３７６号明細書 米国特許第６４４２７９２号明細書

ディフューザの一般的な課題は、損失を極小化するために空気をできるだけスムーズに減速させるべきである、という点である。ディフューザの空気流路の流路面積を少しずつ増大させることによって、スムーズな減速が達成される。これは、空気流路が比較的長ければ容易に達成される。長い流路のディフューザを製作する際の問題は、生産工具が結局、非常に複雑となることである。たとえば、射出成形によってディフューザを製造する場合、空気をスムーズに減速させるのに十分な長さの空気流路を有するディフューザを製造するには、射出成形用の工具を極めて複雑にする必要がある。長い流路と断面積が増大するような流路から生じる他の問題は境界層の剥離であり、すなわち、空気流が流れる流路表面から空気流が剥離し、その結果、流れの抵抗が大きくなって損失が増大する。比較的長いベーンを有する１列のディフューザを備える構成では、境界層が減速して停止し、剥離が生じるリスクがある。

さらに、一般に利用可能なエネルギーがコストおよび／または空間面のいずれかの制約によって限定されるバッテリ式掃除機には、できるだけ損失の小さい、コンパクトで効率的な電動送風機が必要となる。したがって、コンパクトな設計および損失の少ない効率的な送風機システムの両方を提供する改良された掃除機に対するニーズがある。

本発明の目的は、上記の問題の少なくともいくつかを解決する改良された掃除機を提供することである。

本発明の第一の態様によれば、この目的は、共通軸上に配置された電動機と、羽根車と、アキシャルディフューザと、を含む掃除機によって達成される。羽根車は電動機に接続され、共通軸上で回転して径方向の空気流を起こすように配置される。径方向の空気流は軸方向の空気流へと転向される。ディフューザ通路は、内周壁と外周壁の間に配置される。これらの壁は、共通軸の周囲に同軸的に配置される。各ディフューザ通路は、壁間で円周方向に、内壁と外壁の間において共通軸に対して実質的に平行に走る軸方向へと延びるベーンによって区切られる。ベーンは少なくとも２列に配置され、これらは共通軸に対して実質的に平行に走る軸方向へと連続的に配される。

ベーンは、連続する少なくとも２列に配置されるため、流路表面が中断される。同じ長さで中断のない表面と比較して、中断された流路表面の場合は空気流れが追従する距離がより長くなるが、これは列間の推移により下流の列のベーンに沿った境界層がより安定するからである。その結果、望ましくない流路表面から空気流の剥離が回避され、空気流がディフューザ通路の利用可能な断面積全体にわたって分散される。したがって、不必要な損失が避けられ、それによってディフューザ内の損失が制限される。その結果、上記の目的が達成される。連続する複数のディフューザ列を備える構成であれば剥離と損失が最小限にとなり、これは下流のベーンの表面に新たな境界層が新しく作られることによる。複数のディフューザ列により、１列の場合より高い仕事率が得られることがわかっている。

実施形態において、ベーンは３つ以上の連続する列として配置される。さらに多くの列を使用することによって、上述のような流路表面の中断の効果が一層高まる。さらに、複数の列により、ディフューザ通路の断面積がスムーズに増大し、その結果、空気流れはスムーズに減速する。

実施形態において、少なくとも２つのペアのベーンが連続的に配された列として配置される。

実施形態において、第一のペアのベーンは共通軸に関して第一の角度で配置され、第二のペアのベーンは共通軸に関して第二の角度で配置される。第二の角度は第一の角度より小さい。それによって、連続する各列について、空気流の方向に向かって、１つのペアに含まれる２つのベーン間の通路の幅は増大し、ディフューザ通路の断面積が増大し、それゆえ通路を流れる空気流れの流路面積が増大する。

実施形態において、第一のペアに含まれるベーンは実質的に平行に、相互から離間して配置される。

実施形態において、第二のペアのベーンは、第一のペアのベーンに対して円周方向にずらして配置される。

実施形態において、ずれは距離に０．１５〜０．３５倍を乗じた長さである。

実施形態において、電動機はバッテリで駆動される。

実施形態において、掃除機は直立型である。

本発明のその他の特徴と利点は、添付の特許請求の範囲と以下の詳細な説明を読むことによって明らかとなるであろう。当業者であれば、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の異なる特徴を組み合わせて、以下に説明されるもの以外の実施形態を創出できることに気付くであろう。

本発明の各種の態様は、その具体的な特徴と利点を含め、以下の詳細な説明と添付の図面から容易に理解されるであろう。

従来の掃除機を示す。 本発明のある実施形態による掃除機の内部を示す。 本発明のある実施形態におけるディフューザベーンの詳細を示す。 本発明のある実施形態におけるディフューザベーンの詳細を示す。 直立型の掃除機を示す。 バッテリ式ハンドヘルド型掃除機を示す。

ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照しながら本発明をより詳しく説明する。しかしながら、本発明は本明細書に記載されている実施形態に限定されると解釈するべきではない。例示的実施形態に関して開示されている特徴は、本発明の属する業界の当業者であれば容易にわかるように、組み合わせることもできる。図面全体にわたり、同様の参照番号は同様の要素を指す。

図１は、従来の掃除機を示す。掃除機１は、羽根車とディフューザを含むモータファンシステムを備える掃除機本体を含む。一般に、このような掃除機の本体は比較的大きな直径を有し、これは少なくともひとつには、ディフューザが径方向に配置され、空気の通路が羽根車の径方向に外側に配置されることによる。

図２は、本発明による掃除機１の内部を示す。掃除機１は、電動機２と、羽根車３と、アキシャルディフューザ４と、を含み、これらは共通軸５の上に配置されている。羽根車３は電動機２に接続され、共通軸５の上で回転して径方向の空気流を発生させるように配置される。アキシャルディフューザ４は、複数のディフューザ通路６を含む。径方向の空気流は軸方向の空気流に方向転換される。軸方向の空気流を達成するために、径方向の空気流は羽根車とディフューザの間にあるベーンのない空間（図示せず）の中で方向転換される。アキシャルディフューザ４は、ベーンのない空間から出る空気の実質的に周方向の速度をより軸方向へと偏向させるように配置される。ディフューザ通路６は内周壁７と外周壁８の間に配置される。壁７、８は共通軸５の周囲に同軸的に配置される。各ディフューザ通路６は、内壁７と外壁８の間に配置され、少なくとも部分的に共通軸５と平行な軸方向に延びるベーン９によって円周方向に区切られる。図の実施形態におけるベーン９は、連続する３列１０ａ、１０ｂ、１０ｃに配置されている。しかしながら、設計される具体的な掃除機によって、ベーン９が連続して配置される列の数はいくつでもよい。

図３ａと３ｂは、円周方向にディフューザ通路６を区切るディフューザベーン９の配置の詳細を示す。空気流の主な方向は、矢印によって示されている。図の具体的な実施形態において、ベーン９は３つの連続する列１０ａ、１０ｂ、１０ｃの中のペアとして配置される。１つのペアに含まれるベーン９は、相互に実質的に平行に配置される。第一のペアのベーン９ａ、９ｂは、共通軸５に関して第一の角度αで配置される。共通軸５に関して、第二のペアのベーン９ｃ、９ｄは第二の角度βで配置され、第三のペアのベーン９ｅ、９ｆは第三の角度γで配置される。列１０ａ、１０ｂ、１０ｃの各々についてベーン９の角度が小さくなり、それによって連続する列１０の各々について、各ペアに含まれる２つのベーン間の通路の幅が広くなる。その結果、ディフューザ通路６の断面積および、それゆえ通路内を流れる空気流れの流路面積は空気流の方向に増大する。ベーン９の配置によって、流路面積のスムーズな増大が達成される。第一のペアに含まれる第一のベーン９ａ、９ｂは相互からの距離Ａで配置され、第二のペアに含まれる第二のベーン（９ｃ、９ｄ）も同様である。

またさらに、第二のペアのベーン９ｃ、９ｄは、第一のペアのベーン９ａ、９ｂに関して円周方向にずらして配置される。一般に、ずれは距離Ａの０．１５〜０．３５倍になるように選択される。当初述べた製造上の利点に加えて、このずれは、ディフューザ通路６の大部分で安定した空気の流れを保持するのに役立つ。前述のように、隣接するベーン９ｆの上流のベーン９ｄは空気流を隣接するベーン９ｆへと案内するほか、スロットを提供する。このスロットを通じて、隣接するディフューザ通路からの空気が隣接するベーン９ｆに沿って流れ、安定した境界層が生じやすくなる。

図４は、ハンドヘルド直立型掃除機１を示す。図からわかるように、直径が大きな設計は嵩張り、それゆえ使用者にとって使い心地が悪く、不便である。したがって、直立型の掃除機は、本発明を実施した場合に設計が改善される掃除機の、また別の例である。

図５は、ハンドヘルド型掃除機１を示す。このタイプの掃除機は一般に、内蔵された充電式バッテリによって駆動されるか、カーバッテリ等の車両バッテリによって駆動されるように構成される。それゆえ、利用可能な電力は限定される。またさらに、使用者がその掃除機は使い勝手がよく、使いやすいと感じるように、設計をコンパクトでスリムなものとする必要がある。このような掃除機はそれゆえ、本発明を実施した場合に設計が改善される掃除機の一例である。

上述の例示的実施形態は、当業者であればわかるように、組み合わせてもよい。本発明を例示的実施形態に関して説明したが、多くの異なる改変形態、改良形態などが当業者にとって明らかになるであろう。したがって、当然のことながら、前述のものは各種の例示的実施形態の説明であり、本発明は開示された具体的な実施形態に限定されず、開示された実施形態の改良形態、開示された実施形態の特徴の組み合わせ、およびその他の実施形態は、付属の特許請求項の範囲内に含められるものとする。

Claims (9)

1. 共通軸（５）の上に配置された電動機（２）と、羽根車（３）と、アキシャルディフューザ（４）と、を含み、前記羽根車（３）が前記電動機（２）に接続されて、前記共通軸（５）で回転して径方向の空気流を発生させるように構成され、前記径方向の空気流が軸方向の空気流へと転向され、
   前記ディフューザ通路（６）が内周壁（７）と外周壁（８）の間に配置され、前記壁（７、８）が前記共通軸（５）の周囲に同軸的に配置され、
   各ディフューザ通路（６）が、円周方向に前記壁（７、８）間で、前記内壁（７）と前記外壁（８）との間において少なくとも部分的に前記共通軸（５）と平行な軸方向に延びるベーン（９ａ〜ｆ）によって区切られている掃除機（１）において、
   前記ベーン（９）が、前記共通軸（５）に平行な前記軸方向に連続的に配置された少なくとも２つの列（１０）に配置されることを特徴とする掃除機（１）。
2. 前記ベーン（９）が前記軸方向に連続的に配置された３つ以上の列（１０）に配置される、請求項１に記載の掃除機（１）。
3. 少なくとも第一と第二のペアのベーン（９ａ、９ｂ、９ｃ、９ｄ）が前記ディフューザ通路に沿って連続的に配置された少なくとも２つの列（１０ａ、１０ｂ）に配置される、請求項１または２に記載の掃除機（１）。
4. 前記第一のペアのベーン（９ａ、９ｂ）が前記共通軸（３）に対して第一の角度αで配置され、前記第二のペアのベーン（９ｃ、９ｄ）が前記共通軸（３）に対して第二の角度βで配置され、前記第二の角度βが前記第一の角度αより小さい、請求項３に記載の掃除機（１）。
5. 前記第一のペアに含まれる前記ベーン（９ａ、９ｂ）が実質的に平行に、相互から離間して配置される、請求項３または４に記載の掃除機（１）。
6. 前記第二のペアのベーン（９ｃ、９ｄ）が前記第一のペアのベーン（９ａ、９ｂ）に対して円周方向にずらして配置される、請求項３〜５のいずれか１項に記載の掃除機（１）。
7. 前記ずれが、あるペアに含まれる前記ベーン間の距離の０．１５〜０．３５倍である、請求項６に記載の掃除機（１）。
8. 前記電動機（２）がバッテリにより駆動される、請求項１〜７のいずれか１項に記載の掃除機。
9. 前記掃除機が直立型である、請求項１〜８のいずれか１項に記載の掃除機。

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