JP2014524856A - 円滑に屈曲可能なボール紙 - Google Patents

Abstract

本発明は、中間層（３）と、中間層（３）に対して装着された第１の外方層（２）と、中間層（３）に対して装着された第２の外方層（５）とを備える、円滑に屈曲可能なボール紙（６）に関する。第２の外方層（５）は、円滑に屈曲可能なボール紙（６）が第２の外方層（５）が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能になるように、第１の外方層（２）よりも低いＩＳＯ５６２８に準拠した曲げ剛性を有する。また、円滑に屈曲可能なボール紙（６）を作製するための方法も開示される。

Description

本発明は、中間層と、中間層に対して装着された第１の外方層と、中間層に対して装着された第２の外方層とを備える、円滑に屈曲可能なボール紙に関する。また、本発明は、円滑に屈曲可能なボール紙を作製するための方法に関する。

今日では、例えば店頭ディスプレイ若しくはパッケージ、または宣伝広告用の他の形態を開発するコンテクスト等において、顧客の注意を惹くために湾曲形状物を形成することが可能であることが求められている。例としては、宣伝広告を目的として例えばスーパーマーケット等において使用され得る、清涼飲料缶または香辛料瓶等々の大型モデルを構築するために使用される円筒状または楕円形状のパッケージ及び店頭ディスプレイを挙げることができる。

現在、ディスプレイまたはパッケージングは、カートン用板紙か、または片面段ボール若しくは両面段ボールのいずれかの様々なタイプの段ボールによって製造され得る。これらの材料の問題は、ディスプレイまたはパッケージングとして湾曲させる場合に、いくつかの課題が生じてしまう点である。

高秤量カートン用板紙及び両面段ボールは、過度に小さな半径で屈曲させられると、変形する場合がある。カートン用板紙及び片面段ボールは安定性の点で不足しており、それらに対してより高重量のアイテムを変形または潰れを起こすことなく固定できる可能性は限られており、そのため、例えばディスプレイスタンド等を構築するのは困難となる。このような安定性の欠如により、片面段ボールは加工工程には適さない。

従って、改良された円滑に屈曲可能なボール紙が必要である。

米国特許第４２８６００６号明細書

本発明の目的は、前述の問題が回避される、進歩性のある円滑に屈曲可能なボール紙を提供することである。この目的は、第２の外方層が、第１の外方層よりも低いＩＳＯ５６２８に準拠した曲げ剛性を有し、それにより、円滑に屈曲可能なボール紙が、第２の層が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能となる、請求項１の前提部分の特徴によって達成される。

本発明は、中間層と、中間層に対して装着された第１の外方層と、中間層に対して装着された第２の外方層とを備える、円滑に屈曲可能なボール紙に関する。第２の外方層は、円滑に屈曲可能なボール紙が第２の外方層が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能になるように、第１の外方層よりも低いＩＳＯ５６２８に準拠した曲げ剛性を有する。

曲げ剛性に関して言及する場合には、その曲げ剛性の測定は、ＩＳＯ５６２８に準拠して行われるものである。

本出願における「円滑に屈曲可能な」は、平滑且つ連続的な半径に従って屈曲する材料の能力として規定され、この場合には、平滑且つ連続的な半径に従って屈曲する第１の外方層の能力として規定される。第１の外方層の屈曲後に、第１の外方層は、例えばしわ等のいかなる不整部分も呈するべきではない。

現行の段ボールは、波状パイプに対して垂直に屈曲された場合に、約４００〜４４０ｍｍの半径を有する湾曲形状へと屈曲され得る。この材料を使用する場合には、約４００ｍｍ未満の半径には達しないことに加えて、波状パイプに対して垂直に現行の段ボールを屈曲させることに付随する複数の他の問題が存在する。非常に多量の力が、この材料を屈曲させるために必要となるため、４００ｍｍの半径に近接すると、しわは容易に生じる。この半径を有する円形形状を形成するためには、必要となる重畳部分を除いた２７６０ｍｍの長さを有する段ボールシートが必要となる。このシートサイズは、現行では入手不可能である。

この段ボールの剛性が原因となり、許容し得る円形形状が結果的に得られる様式で材料の端部を接合することもまた困難になる。波状パイプに対して垂直に材料を屈曲させることに関する別の問題は、材料が、鉛直方向においてより低い曲げ剛性を有することになる点である。従って、例えばディスプレイスタンドが受け得る最大荷重は、非常に限定されることになる。これに代わり、段ボールが、波状パイプに沿って屈曲される場合には、半径は、しわを回避するためには、約３〜４倍だけより大きなものである必要がある。

以下の説明は、中間層が波状である、すなわちフルートを備える、円滑に屈曲可能なボール紙に対して主に焦点を置く。しかし、外方層に関する説明は、中間層が例えば熱成形芯等のフルートとは異なる材料を含む場合に該当する。

平滑且つ連続的な半径を得るための１つの条件は、材料が、屈曲可能方向への屈曲を被った場合に、第２の外方層が、波状中間層の各峰の間において座屈することである。第２の外方層の各セクションが、座屈を呈する場合には、屈曲は、材料の各セクションにわたって分布し得る。上述の内容は、オイラーの第４の座屈のケース、すなわち、以下の式によって理論的に説明され得る：

本発明による円滑に屈曲可能なボール紙が、屈曲にされると、第２の外方層における材料は、第２の外方層の曲げ剛性が十分な低さである場合には、波状中間層の峰同士の間において座屈し始める。

第２の外方層の曲げ剛性が、過度に高い場合には、印加される力Ｐｋが、以降においてはＳＣＴと呼ぶ、ＩＳＯ９８９５に準拠した短期間圧縮試験による材料の圧縮強度に達した場合に、第２の外方層は、代わりに破損する、すなわちしわを形成することとなる。第２の外方層の曲げ剛性が過度に高い場合には、第２の外方層は、座屈を被らず、従って材料は、平滑且つ連続的な半径に従って必ずしも屈曲しないことになる。

第２の外方層が座屈を受けない場合でも、第１の外方層の曲げ剛性が十分な高さである場合には、材料を多少なりとも正確な曲線形状へと屈曲させることが依然として可能である場合がある。しかし、その結果は、第２の外方層が座屈を受けている場合と同程度の良好さにはならない。

第２の外方層のセクションが座屈を呈するようにするためには、第２の外方層の圧縮強度（ＳＣＴ）は、座屈Ｐｋ（Ｎ／ｍにおいて測定）よりも高くあるべきであり、すなわちＰｋ＜ＳＣＴであるべきである。

この不等式を利用し、等式１を再編することにより、次の式が得られる：

平滑で連続的な半径に従って屈曲する材料を得るためには、第２の条件が必要となる。第２の外方層の曲げ剛性は、第１の外方層の曲げ剛性よりも低いことが必要となる。円滑に屈曲可能なボール紙が、屈曲を被る場合には、第２の外方層は、内方に変形するか、または波状中間層の峰同士の間において折れ曲がるべきである。曲げモーメントが印加される箇所により、第２の外方層が初めに屈曲し始めるまたは折れ曲がり始める位置が決定されることになる。第２の外方層の曲げ剛性が、第１の外方層との関連において過度に高い場合には、材料は、平滑で連続した半径へと屈曲しない。第２の外方層の曲げ剛性が高いと、第２の外方層及び従って円滑に屈曲可能なボール紙を屈曲／折曲させるためには、高い曲げモーメントが必要となる。第２の外方層が、中間層のフルートの２つの峰同士の間、すなわち高いモーメントを印加される位置において屈曲／折曲し始めると、第１の外方層は、その曲げ剛性が十分な高さではない場合には、第２の外方層が折れ曲がる際に第２の外方層の曲げ剛性が急激に低下することによって、容易にしわ寄りを生じさせることになる。第１の外方層が、しわを得ると、材料は、平滑で連続的な半径へと屈曲しなくなる。第２の外方層が、波状中間層の峰の中の２つの間で屈曲／折曲した場合には、第２の外方層の隣接セクションの屈曲／折曲と第２の外方層の既に屈曲したセクションの再屈曲／再折曲との間の必要とされるモーメントに関する差は、可能な限り小さくあるべきである。従って、屈曲／折曲後の２つの峰同士の間における第２の外方層の曲げ剛性の低下は、可能な限り低くあるべきである。換言すれば、曲げ剛性は、可能な限り低くあるべきである。しかし、第１の外方層が、より高い曲げ剛性を有する場合には、第２の外方層のより高い曲げ剛性が許容され得る。

第２の外方層の全てのセクションが、座屈を呈し、第１の外方層の曲げ剛性が、第２の外方層に比べて十分な高さである場合には、（上述したように）円滑に屈曲可能なボール紙は、平滑且つ連続的な半径へと屈曲することになる。しかし、第２の外方層の各セクションが、屈曲半径が小さくなるにつれて結果的にしわを得ることになる。これらのしわは、材料の機能には影響を及ぼさない。しかし、第２の外方層が何らかの形で消費者に対して曝される場合には、しわが存在しないことが有利となり得る（デザイン上の観点より）。これらのしわを回避するためには、以下の条件が必要となる。

ここで、
であり、ここで、
である。

実質的に一方向にのみ屈曲可能なボール紙を得ることにより、例えばスーパーマーケット等々向けの関心を引くスタンド及び宣伝広告用材料を作製することが可能となる。円滑に屈曲可能なボール紙は、新たなタイプの円筒状または楕円形状のパッケージ及びディスプレイへと形成され得る。円滑に屈曲可能なボール紙を使用することにより、例えば、宣伝広告を目的としたディスプレイとして使用し得る、清涼飲料缶または香辛料瓶等々の大型モデルを構築すること等が可能になる。別の利点は、円滑に屈曲可能なボール紙の屈曲特性を利用することにより、例えば各側部に対して力が印加された場合に開く等の、容易に開くパッケージが実現される点である。

片面段ボールに比べて、本明細書において説明されるような円滑に屈曲可能なボール紙は、印刷及び打ち抜き加工等の従来的な転換機械類との間に適合性を有する。

更に、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙の両面が、平滑表面を有するのに対して、片面段ボールは、一方の側を向いたフルーティングを有するため、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙は、転換装置内において引っ掛かる可能性がより低い。

他の可能な用途は、材料が屈曲後に元の位置へと戻ろうとすることによる内蔵ばね特徴を利用して、自動的に開くパッケージまたは新規のサルーン扉等々のスマートオープンデバイスを構築することであり得る。

本発明による円滑に屈曲可能なボール紙は、カートン用板紙から構成された同様の構造体に比べて、重量を増加させずにより厚いものにすることが可能であり、そのため、棚等のまたは円滑に屈曲可能なボール紙に類似した異なる物体の固定がより容易になる。また、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙は、同様のカートン用板紙構造体よりも頑丈且つ安定的ものとなり得る。

更に、通常の段ボールまたはカートン用板紙に比べて、材料を変形させることなく、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙を使用して片面湾曲形状構造及び片面湾曲形状設計を実現することが可能となる。これは、小径を有する湾曲形状を形成することが可能であることが消費者にとっては魅力的となり得るため、パッケージングのコンテクストにおいて興味深いものとなり得る。

第２の外方層よりも第１の外方層の曲げ剛性をより高くすることにより、円滑に屈曲可能なボール紙は、第１の外方層が対面する方向に屈曲することが困難になる。

円滑に屈曲可能なボール紙は、フルートを備える波状層である中間層を有してもよい。円滑に屈曲可能なボール紙は、第２の層が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能であってもよく、この方向は、中間層のフルートに対して実質的に垂直である。

円滑に屈曲可能なボール紙は、第２の外方層の各セクションが、以下の等式に応じた座屈を呈するように選択された、第２の外方層の曲げ剛性を有してもよい。

この第１の外方層及び／または第２の外方層は、印刷に適した表面を有する材料から構成されてもよい。

先述のように、円滑に屈曲可能なボール紙の１つの用途は、宣伝広告用のディスプレイまたはパッケージとして使用することである。これに適合した表面を有することにより、作製及び取扱いが簡単になる。

第１の外方層は、ライナ、紙、若しくはプラスチック、または、ライナ、紙、若しくはプラスチックの中の任意の２つ以上の積層体、または複合材料の中の１つから構成されてもよい。

これらの材料は、第１の外方層について所望の曲げ剛性特徴を示し、円滑に屈曲可能なボール紙を様々な使用に対して変化させるために必要とされる様々な要件に適合するように容易に適応させることができる。例えば、フルートに対して直接的に装着可能な、またはフルート若しくは中間層の別の形状物に対して装着された別の表面の頂部上に積層される、任意の種類の印刷可能表面が、考えられる。

第２の外方層は、ライナ、紙、若しくはプラスチック、またはライナ、紙、若しくはプラスチックの中の任意の２つ以上の積層体、または複合材料の中の１つから構成されてもよい。

第１の外方層及び／または第２の外方層は、上質紙、スーパー仕上げ紙、マシン光沢仕上げ紙、耐脂紙、新聞用紙、マシン仕上げ紙、ライナ、金属フォイル、金属化フィルム、複合材料、または、上質紙、スーパー仕上げ紙、マシン光沢仕上げ紙、耐脂紙、新聞用紙、マシン仕上げ紙、ライナ、金属フォイル、金属化フィルム、若しくはセルロース繊維強化ポリマー（例えばナノセルロースを含む）等の複合材料の中の任意の２つ以上の積層体の中の１つから構成されてもよい。

これらの材料は、第２の外方層について所望の曲げ剛性特徴を示し、円滑に屈曲可能なボール紙を様々な使用に対して変化させるために必要とされる様々な要件に適合するように容易に適応させることができる。

波状中間層は、フルートサイズＡ、Ｂ、Ｃ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、若しくはＫのいずれかを備えてもよく、または、空洞を含む熱成形構造芯等の何らかの他の適切な芯材料から構成されてもよい。例えば、これは、カップ形状圧痕（穿孔支援）を有する芯材料等であることが可能である。熱成形芯は、連続中間層を形成してもよく、または、熱成形芯材料が第１の層と第２の層との間に断続的に存在する中間層を形成してもよい。熱成形芯は、例えば、プラスチック材料またはセルロースベース材料から構成されてもよい。熱成形芯を使用する場合には、熱成形芯は、第１の外方層及び第２の外方層の屈曲に従うことが可能になるように可撓性を有さなければならない。

また、本発明は、中間層、第１の外方層、及び第２の外方層を備える円滑に屈曲可能なボール紙を作製するための方法に関する。この方法は、
中間層に対して第１の外方層を装着することにより、片面ボール紙を作製するステップと、
中間層に対して第２の外方層を装着するステップと
を含み、
第２の外方層は、円滑に屈曲可能なボール紙が第２の外方層が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能になるように、第１の外方層よりも低いＩＳＯ５６２８に準拠した曲げ剛性を有する。

また、この方法は、
第２の外方層を中間層に対して装着する前に、片面ボール紙が平坦状になるように、片面ボール紙を構成するステップ
を含んでもよい。

これにより、円滑に屈曲可能なボール紙は、望ましくない方向に屈曲しないように確保される。

また、この方法は、
第１の層が対面する方向に湾曲された初期湾曲状片面ボール紙を使用し、第２の外方層の装着前に初期湾曲状片面ボール紙を平坦状に構成するステップ
を含んでもよい。

波状中間層の方向に初期湾曲状片面段ボールを使用し、第２の外方層の装着前にこの片面段ボールを平坦状に構成することにより、円滑に屈曲可能なボール紙は、第２の層が対面する方向に自発的に屈曲することが更に困難になる。この作製方法を利用することにより、材料に対して耐屈曲性（第２の外方層に向かう方向における）を付加することが可能となる。

また、この方法は、
中間層に対して第１の外方層を装着することにより、片面ボール紙を作製するステップと、
第２の層が対面する方向に片面段ボールを湾曲させるように、片面段ボールを構成するステップと、
湾曲された波状中間層に対して第２の外方層を装着するステップと
を含んでもよい。

その結果、平坦相への復元が制限されるが、第２の層が対面する及び波状中間層のフルートに対して垂直な方向へは依然として更に屈曲可能である、初期湾曲状材料が得られることになる。

この方法は、円滑に屈曲可能なボール紙の中間層が、フルートまたは熱成形芯等の他の適切な芯材料を備える波状層である場合に、利用され得る。上記の既述の方法については、第２の外方層は、第１の外方層が中間層の上に装着される前に、中間層に対して装着されてもよい。また、第１の外方層及び第２の外方層は、中間層の上に同時に装着されてもよい。

先行技術による片面段ボールの概略図である。 先行技術による両面段ボールの概略図である。 平坦状態における本発明による円滑に屈曲可能なボール紙の概略図である。 第２の層が対面する及び波状中間層のフルートに対して垂直である方向へと外方に屈曲された、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙の概略図である。 第２の外方層の座屈の概念を示す概略図である。

図面において、同様の特徴は、同一の参照番号を有する。

図１ａは、先行技術による片面段ボール１を概略的に開示する。片面段ボール１は、フルートを備える波状層３に対して装着された第１の外方層２を備える。この片面段ボール１は、例えばガラスまたは磁器等から作製された易壊性の物体の周囲に巻き付けられるように意図されるため、多大な剛直量を示さない。

図１ｂは、先行技術による両面段ボール４を概略的に開示する。両面段ボール４は、第１の外方層２及びフルートを備える波状層３に加えて、第２の外方層５を備える。この第２の外方層５は、パッケージング用に意図されているため、両面段ボール４に高度の剛性及び強度を与えることを目的として、第１の外方層２と同一の種類のものからなる。また同時に、変形を伴わずに高い度合いで屈曲することができない。

図２ａは、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６を概略的に開示する。本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６は、第１の外方層２と、中間層３と、第１の外方層２よりも低い曲げ剛性を有する材料から構成される第２の外方層５とを備える。図２の円滑に屈曲可能なボール紙は、波状中間層３を示すが、中間層３は、波状層に限定されない。

また、以下の説明は、例えば熱成形芯等から構成された中間層を有する円滑に屈曲可能なボール紙にも該当する。波状中間層について言及がなされる場合には、代わりに熱成形芯を有することが考えられる。本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６の第１の外方層２及び第２の外方層５は、上述の特徴を有する単一層か、または２つ以上の層の積層のいずれかであってもよい。また、これらの外方層は、フィルム等の別の層により一体的に被覆または積層されて、水分、水蒸気、グリス、香気、酸素、あるいは鉱油成分またはＵＶインク若しくは他の揮発性物質からの遊離基成分等の揮発性物質の移動に対するバリア等の、バリア特性を実現してもよい。フルートを備える波状層３は、単一のフルート層、または各層が同一のフルートサイズ若しくは異なるフルートサイズを有し得る２つ以上のフルート層を備えてもよい。

第１の外方層２及び第２の外方層５は、当技術において公知のように、印刷に適した表面を有してもよい。

図２ｂは、第２の層５が対面する及び波状中間層３のフルートに対して垂直な方向へと外方に屈曲された、本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６を概略的に示す。低い曲げ剛性の第２の外方層５を、高い曲げ剛性の第１の外方層２と組み合わせることにより、これが可能になる。この特徴により、円滑に屈曲可能なボール紙６は、層２、層３、または層５の中の１つまたは複数の変形を伴うことなく逆方向に屈曲することが困難になる。

図２ｂに示す円滑に屈曲可能なボール紙６は、図１ａに示すもの等の片面段ボールに対して第２の外方層５を貼付することにより製造される。第２の外方層５は、デンプン糊、溶融接着剤、またはフルート層に対して層を装着するのに適した任意の他の種類の固定手段により、片面段ボールに対して貼付される。固定手段には、例えば先述のようなバリア特性を実現するため等の他の機能的構成要素を含んでもよい。

第２の外方層は、一般的には、片面段ボールが表面上に平坦に配置された状態において貼付される。円滑に屈曲可能なボール紙６が平坦状に留まることを確保するためには、波状中間層３の方向へと初期湾曲状片面段ボールを使用し、第２の外方層５を装着する前にこの片面段ボールを平坦状にすることが、適し得る。この場合には、円滑に屈曲可能なボール紙６は、第２の層が対面する方向に自発的に屈曲することがより困難となる。この作製方法を利用することにより、材料に対して（第２の外方層に向かう方向における）耐屈曲性を付加することが可能となる。

本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６は、標準的な段ボールが屈曲され得る最小半径未満に対応する半径へと屈曲されることが可能となる。本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６を屈曲させた後には、しわ、すなわちボール紙の第１の外方層２の折り目は存在しない。円滑に屈曲可能なボール紙６の第１の外方層２は、屈曲後には凸状となる。図２においては、第２の外方層５の座屈は、例示上の理由により示されていない。座屈の概念は、図３に示される。

図３は、図２ｂの円滑に屈曲可能なボール紙６の近接図を示す。図３においては、第１の外方層は、しわを伴わない平滑且つ連続的な半径を備える。波状中間層３は、第２の外方層５に対面する複数の峰７と、第１の外方層に対面する複数の谷８とを呈する。峰７同士の間に、第２の外方層は、セクション９を備える。平滑且つ連続的な半径を得るための１つの条件は、材料が、屈曲可能方向への屈曲を被った場合に、第２の外方層５が、波状中間層３の各峰７の間において座屈すべきである点である。第２の外方層５の各セクション９が、座屈を呈する場合には、屈曲は、材料の各セクションにわたって分布し得る。図３においては、第２の外方層の座屈のサイズが、例示上の目的から示されるが、これは、例えば屈曲度及び材料の選択等によって変化し得る。

座屈の概念は、上記においてより詳細に説明されている。

本発明による円滑に屈曲可能なボール紙６が、屈曲されると、第２の外方層５における材料は、第２の外方層５の曲げ剛性が十分な低さである場合には、波状中間層３の峰７同士の間において座屈し始める。

円滑に屈曲可能なボール紙が材料の損傷を被ることなく屈曲され得る最小半径を試験するために、特殊な試験装置を開発した。この試験装置は、１０２ｍｍ、７５ｍｍ、３４ｍｍ、３３ｍｍ、２０ｍｍ、及び１２ｍｍの直径を有する平滑表面を有する６つのパイプを備える。これらのパイプは、好ましくは、金属から構成され、安定化用のビームまたはテーブル等のベースの上に取り付けられる。

全てのボール紙の試験片の幅は、１０５ｍｍであり、すなわちＡ４紙を二等分に切断したサイズである。試験片の長さは、２９７ｍｍであり、すなわちＡ４紙の長さである。全ての試験片は、ＩＳＯ１８７に従って調整される（３０％ＲＨ、２３℃にて事前調整され、その後５０％ＲＨ、２３℃にて調整される）。

初めに、選択された試験片が、最大パイプの周囲において屈曲され、その後、視覚による検査により材料に対する損傷が検出される。試験片は、１８０°、すなわち試験片の両端部が同一方向を向くように屈曲される。損傷が、視覚的に検出できない場合には、試験片は、２番目に大きなパイプの周囲において屈曲され、同一の様式で評価される。この手順は、材料が屈曲プロセスにより損傷を被るまで、または材料が最小の１２ｍｍパイプの周囲における屈曲を問題なく通過するまで、より小さなパイプ直径を使用して繰り返される。異なるタイプの円滑に屈曲可能な段ボールを試験することに加えて、ひと揃いのカートン用板紙グレードが選択される。ＰＥ積層段ボールに加えて、４８３Ｅグレード（屋外ディスプレイ用に使用されるＥフルート、６１０ｇ／ｍ^２、フルートはライナ＋ＰＥ層＋ＭＧ紙の上に積層される）が、試験される。

［表１］は、屈曲試験の結果を示す。ＯＫ！は、損傷が視覚的に認められないことを意味する。Ｆａｉｌ！は、任意の外方層Ａにおいてしわ等の損傷が視覚的に認められることを意味する。グレードの前の＊は、ボール紙が本発明により作製されたものであることを示す。

［表１］から分かるように、本発明による全ての円滑に屈曲可能なボール紙は、いずれの外方層に対する視覚的損傷も示すことなく従来のボール紙よりも小さな半径にまで屈曲することが可能である。［表１］において分かるように、４８３Ｅグレードは、１０２直径パイプにおいて既に故障を発生する。

特許請求の範囲において記述される参照符号は、特許請求の範囲により保護される事項の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、それらの記号の唯一の役割は、特許請求の範囲をより理解しやすいものにすることである。

理解されるように、本発明は、様々な自明の点において変更を行うことが可能であり、それらの変更はいずれも、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく行い得る。従って、図面及びそれに対する説明は、本質的に例示として見なされるべきであり、限定的なものとして見なされるべきではない。

１ 片面段ボール
２ 第１の外方層
３ 波状層、中間層、波状中間層
４ 両面段ボール
５ 第２の外方層
６ 円滑に屈曲可能なボール紙
７ 峰
８ 谷
９ セクション

Claims (13)

1. 中間層（３）と、該中間層（３）に対して装着された第１の外方層（２）と、前記中間層（３）に対して装着された第２の外方層（５）とを備える、円滑に屈曲可能なボール紙（６）において、前記第２の外方層（５）は、前記円滑に屈曲可能なボール紙（６）が前記第２の層（５）が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能になるように、前記第１の外方層（２）よりも低いＩＳＯ５６２８に準拠した曲げ剛性を有することを特徴とする、円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
2. 前記中間層（３）は、フルートを備える波状層であることと、前記円滑に屈曲可能なボール紙（６）は、前記第２の外方層（５）が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能であり、該方向は、前記中間層（３）の前記フルートに対して実質的に垂直であることとを特徴とする、請求項１に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
3. 前記第２の外方層（５）の前記曲げ剛性は、該第２の外方層（５）の各セクション（９）が、
   に応じた座屈を呈するように、以下の等式、すなわち
   に従って選択され、ここで、ＥＩ_{second outer layer}は、前記第２の外方層（５）の前記曲げ剛性であり、ＳＣＴは、ＩＳＯ９８９５に準拠した短期間圧縮試験による前記第２の外方層（５）の圧縮強度であり、λは、前記円滑に屈曲可能なボール紙（６）の前記中間層（３）の前記フルートの２つの峰（７）同士の間の長さであり、Ｐｋは、前記第２の外方層（５）を座屈させるために必要とされる座屈力であることを特徴とする、請求項２に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
4. 前記第１の外方層（２）及び／または前記第２の外方層（５）は、印刷に適した表面を有する材料から構成されることを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
5. 前記第１の外方層（２）は、ライナ、紙、若しくはプラスチック、あるいは積層体、ライナ、紙、若しくはプラスチックの中の任意の２つ以上の複合材料、または複合材料の中の１つから構成されることを特徴とする、請求項１から４のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
6. 前記第２の外方層（５）は、ライナ、紙、若しくはプラスチック、あるいは積層体、ライナ、紙、若しくはプラスチックの中の任意の２つ以上の複合材料、または複合材料の中の１つから構成されることを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
7. 前記第１の外方層（２）は、上質紙、スーパー仕上げ紙、マシン光沢仕上げ紙、耐脂紙、新聞用紙、マシン仕上げ紙、ライナ、金属フォイル、金属化フィルム、複合材料、または、上質紙、スーパー仕上げ紙、マシン光沢仕上げ紙、耐脂紙、新聞用紙、マシン仕上げ紙、ライナ、金属フォイル、金属化フィルム、若しくは複合材料の中の任意の２つ以上の積層体の中の１つから構成されることを特徴とする、請求項１から６のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
8. 前記第２の外方層（５）は、上質紙、スーパー仕上げ紙、マシン光沢仕上げ紙、耐脂紙、新聞用紙、マシン仕上げ紙、ライナ、金属フォイル、金属化フィルム、複合材料、または、上質紙、スーパー仕上げ紙、マシン光沢仕上げ紙、耐脂紙、新聞用紙、マシン仕上げ紙、ライナ、金属フォイル、金属化フィルム、若しくは複合材料の中の任意の２つ以上の積層体の中の１つから構成されることを特徴とする、請求項１から７のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
9. 前記波状中間層（３）は、フルートサイズＡ、Ｂ、Ｃ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、若しくはＫ、または該フルートサイズＡ、Ｂ、Ｃ、Ｅ、Ｆ、Ｇ、若しくはＫの中のいずれかの組合せの中のいずれかを備えることを特徴とする、請求項２から８のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）。
10. 中間層（３）、第１の外方層（２）、及び第２の外方層（５）を備える、円滑に屈曲可能なボール紙（６）を作製するための方法において、
    前記中間層（３）に対して前記第１の外方層（２）を装着することにより、片面ボール紙を作製するステップと、
    前記中間層（３）に対して前記第２の外方層（５）を装着するステップと
    を含み、
    前記第２の外方層（５）は、前記円滑に屈曲可能なボール紙（６）が前記第２の外方層（５）が対面する方向にのみ外方へと屈曲可能になるように、前記第１の外方層（２）よりも低いＩＳＯ５６２８に準拠した曲げ剛性を有することを特徴とする、方法。
11. 前記第１の外方層（２）が対面する方向に湾曲された初期湾曲状片面ボール紙を使用し、前記第２の外方層（５）の装着前に該初期湾曲状片面ボール紙を平坦状に構成するステップ
    を含むことを特徴とする、請求項１０に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）を作製するための方法。
12. 前記中間層に対して前記第１の外方層（２）を装着することにより、片面ボール紙を作製するステップと、
    前記第２の層が対面する方向に前記片面段ボールを湾曲させるように、該片面段ボールを構成するステップと、
    前記湾曲された波状中間層に対して前記第２の外方層を装着するステップと
    を含むことを特徴とする、請求項１０に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）を作製するための方法。
13. 前記中間層（３）は、フルートを備える波状層であることを特徴とする、請求項１０から１２のいずれか一項に記載の円滑に屈曲可能なボール紙（６）を作製するための方法。