以下、添付された図面を参照しつつ、本発明による実施形態について、さらに詳細に説明する。
本発明による一実施形態の冷却ファンを具備したヘルメット1は、建築現場、構造物製造現場、各種工場のような作業場で、危険から頭を保護するため、使用者が頭にかぶるものをいう。使用者は、「作業者」のような意味である。
前記冷却ファンを具備したヘルメット1は、内部部材10、外皮部材20、空気通路部30、冷却ファン40、着脱感知部50及び制御部を含んで構成される。
前記内部部材10は、使用者の頭にかぶせられる形状、例えばおおよそ半球形状に形成される。実施形態によって使用者の頭にかぶせられさえすれば、半球形状から変形された形状も可能である。
本実施形態の場合、内部部材10の上部中央の貫通部12には、冷却ファン40が装着される溝14が具備されているし、その溝14の両側には、空気通路部30が形成されている。内部部材10は、一体の部材で形成されており、製造するのに簡便であって生産性が向上するという長所がある
内部部材10は、丈夫であって成形するのに適した材質から作られる。内部部材10は、後述する他の実施形態のヘルメット1aでの中間部材と同一の材質でもって作られもする。
内部部材10の一側には、貫通部12が具備されている。貫通部12は、多数の貫通孔13からなっている。本実施形態の場合、貫通部12は、半球状の内部部材10の上部中央に具備されており、内部部材の内部空間16の熱を排出するためには、この位置が最も望ましい。ただし、実施形態によって、貫通部の位置は、変更が可能である。また、貫通部が上部にも形成され、他のところにも追加して形成されもする。
本実施形態の場合、貫通部12をなす各貫通孔13は、その直径が1ないし3mmである。貫通部12は、多数個の貫通孔からなっている。実施形態によっては、貫通孔の直径が、3mm以上30mm以下の大きさにもなり、直径が大きくなるにつれ、具備される個数は減るように具備される。
前記外皮部材20は、内部部材10の外側に具備される。外皮部材20は、衝撃から使用者の頭を保護することができる剛性を有した、通常のヘルメットで使われる材質で作られる。
前記空気通路部30は、外皮部材20の内側に具備される。空気通路部30は、内部部材10の内部空間16と、外皮部材20の外部空間との空気フローが可能になるように、トンネルのような形態に形成される。空気通路部30は、内部部材10の貫通部12から延設される。
本実施形態の場合、空気通路部30は、内部部材10に形成される。図3を参照すれば、空気通路部30は、内部部材10の外側面に、一部が除去されて形成される。空気通路部30は、貫通部12が具備された内部部材10の上端中央部から、その両側下に延長され、端部まで連結されるように形成されている。
一方、実施形態によって、空気通路部は、3方向、4方向、またはそれ以上に形成され、内部部材の外側面ではない、外側面と内側面との中間部分に形成された空間によって形成されもする。
前記冷却ファン40は、内部部材10の内部空間16から熱気を含んだ空気を吸入し、貫通部12及び空気通路部30を経て外部空間に排出させたり、あるいは外部空間の空気を吸入し、空気通路部30及び貫通部12を経て、内部部材10の内部空間16に空気を吹き入れるように具備される。
本実施形態の場合、冷却ファン40は、直流遠心ファン(centrifugal fan)が使用され、内部部材の内部16から外部に空気フローを作る。かような方向の空気フローが、内部空間16の熱を冷却させるのにさらに効果的である。
一方、実施形態によって、冷却ファンは、軸流ファンが使われ、空気フローが反対に形成させるように具備されもする。
前記着脱感知部50は、使用者または作業者が、前記内部部材10を頭にかぶっているか否かを感知する構成である。内部部材10をかぶっているという意味は、ヘルメット1をかぶっているという意味と同一である。すなわち、着脱感知部50は、使用者がヘルメットをかぶっているか、あるいは脱いでいるかを感知する手段である。
本明細書で、「着用状態」というのは、内部部材10が使用者の頭にかぶせられた状態であると認める状態を意味し、「脱帽状態」といえば、内部部材10が使用者の頭から分離された状態であると認める状態を意味する。
前記制御部は、着脱感知部50が着用状態として感知する場合には、冷却ファン40を作動させ、着脱感知部50が脱帽状態として感知する場合には、冷却ファン40が動作されないように制御する。
すなわち、着脱感知部50で、現在状態を着用状態として感知し、これに対応する信号を出力すれば、制御部は、この信号を受け、冷却ファン40を動作させるのである。また、着脱感知部50で、脱帽状態として感知し、これに対応する信号を出力すれば、制御部は、この信号を受け、冷却ファン40が動作している場合には、動作を止めるようにし、停止している状態を続けて維持する。
制御部は、図面に図示されていないが、冷却ファンに付着して具備され、ヘルメットのある一部分に具備されもする。制御部の詳細構成は、該技術分野の当業者に容易に実施可能な構成であるので、これ以上の説明は省略する。
一方、本発明のヘルメットには、冷却ファンの動作いかんを手動で制御することができるメインスイッチ(図示せず)が具備されもする。かようなメインスイッチとしては、トグルスイッチ、プッシュボタンスィッチ、ローカススイッチ、スライドスィッチのうちいずれか一つが使われる。メインスイッチは、使用者がアクセスしやすい適切な位置に具備される。
本実施形態の場合、着脱感知部50は、外皮部材の一側及び他側のそれぞれに具備された第1顎ひも部材52及び第2顎ひも部材54を含む。
第1顎ひも部材52及び第2顎ひも部材54は、本実施形態のヘルメットを頭にかぶった後、そのヘルメットを意図せずに離脱させない固定手段である。かような顎ひも部材を締結することは、安全と関連性が大きく、これを法で強制している。
第1顎ひも部材52の端部53と、第2顎ひも部材54の端部55には、相互分離可能なように結合可能である。それぞれの端部53,55には、リミットスィッチのような機械的構成や、電気的なセンサなどを具備し、相互結合される場合、これを着用状態として感知し、相互分離する場合、これを脱帽状態として感知し、それぞれの場合に対応する信号を出力するように構成されている。
従って、使用者が本実施形態のヘルメット1をかぶり、第1顎ひも部材52の端部53及び第2顎ひも部材54の端部55を相互結合させるだけで、別途の動作なしに、着用状態に対応する信号が着脱感知部50で発せられて制御部に伝達され、制御部は、かような信号を受けて冷却ファン40を動作させる。
冷却ファン40が動作する前には、第1顎ひも部材52の端部53及び第2顎ひも部材54の端部55が相互分離されており、かような状態は、着脱感知部によって脱帽状態として感知されるから、脱帽状態に対応する信号を受けた制御部によって、冷却ファン40は、停止状態で維持されるのである。
冷却ファン40が動作すれば、ヘルメット1の内部部材10内部で発生する熱が、外部に排出され、一定温度以上には上がらず、作業者は、長期間快適な状態で作業を続けることができる。
作業を終えたヘルメット使用者(作業者)が、ヘルメット1をはずすために、結合されていた第1顎ひも部材52の端部53及び第2顎ひも部材54の端部55を相互分離させれば、脱帽状態に対応する信号が発せられて制御部に伝達され、制御部は、かような信号を受け、冷却ファン40の動作を停止させ、これを維持させる。これにより、使用者は、冷却ファン40を止める動作を行わずとも、自動的に冷却ファン40の動作が止まる。
一方、実施形態によって、内部部材内部の一側に、温度センサまたは湿度センサを具備することもできる。制御部では、これらセンサによって、温度と湿度とを計算し、事前設定された値によって、冷却ファン40の動作いかんだけではなく、動作時の回転速度の加減を調節することもできるように構成されもする。かような構成を具備する場合、さらに効果的に効率的に冷却がなされるという長所がある。
一方、本実施形態の場合、外皮部材20の外側後方には、電源供給部70が具備されている。電源供給部70は、充電式であり、外皮部材20と接する面が、外皮部材20の曲率と同一の曲率有するように形成されている。電源供給部70は、外皮部材20に、クリップ72のような結合手段によって固定される。
実施形態によって、電源供給部70は、外皮部材20にねじのような手段で固定されたり、あるいはシリコンクリップなどで接合して装着される。また、実施形態によって、電源供給部70が外皮部材20に固定されるのではなく、使用者が、腰ベルトなどに固定して使われもし、その場合、電源供給部と、制御部や冷却ファンは、電線で連結されるように構成される。
図4を参考にすれば、電源供給部70には、充電残量が表示される表示部74が具備されている。表示部74は、発光ダイオード(LED)のような発光素子が多数個具備されて構成され、残った電気量のパーセント(%)を表示したり、あるいは残った使用時間を表示するように構成されもする。表示部74によって、使用者は、電源供給部70に残っている電気量を確認し、充電いかんを決定することができる。
一方、本発明の着脱感知部50は、第1顎ひも部材52及び第2顎ひも部材54を含む前述の実施形態とは異なる構成でもって多様に変形が可能である。以下で詳細に説明する。
本発明による一実施形態のヘルメットに具備された着脱感知部は、動作感知センサを含んでもよい。動作感知センサは、ヘルメットの適切な位置に具備される。動作感知センサは、動きを感知するセンサである。
動作感知センサを含んだ着脱感知部は、動作感知センサが動きを感知する場合、これを着用状態として感知し、これに対応する信号を出力する。一方、動きを感知することができない場合、これを前記脱帽状態として感知し、これに対応する信号を出力したり、あるいは何の信号も出力しないように構成されている。
使用者が、かような動作感知センサが含まれた着脱感知部を具備したヘルメットを着用するために、手に取れば、停止状態の脱帽状態として感知していたヘルメットの着脱感知部は、動きを感知し、これを着用状態として感知し、これに対応する信号を制御部に送る。制御部は、信号を受けて冷却ファンを動作させる。
その場合、実際に使用者が頭にかぶる前に冷却ファンが作動することもあるが、発明の本来の目的が達成されるにおいて、かような差は無視しても差し支えない。
ヘルメットを頭にかぶった作業者は、ほぼ動きが続いているから、冷却ファンの作動は止まらない。ただし、ヘルメットを頭にかぶった作業者が、何秒間かは実際に動かない場合もあるので、かような場合に備えて、制御部は、停止状態が所定時間、例えば、5秒以上停止状態にあれば、これを停止状態の脱帽状態であると認識するように設定することもできる。
使用者がヘルメットをはずし、保管台などに乗せれば、動きがなくなる。かような場合、着脱感知部は、脱帽状態として感知し、これに対応する信号を制御部に送れば、これによって制御部は、冷却ファンの動作を中断させる。
一方、本発明による他の実施形態のヘルメットに具備された着脱感知部は、湿度を測定することができる湿度センサを含んでもよい。
湿度センサは、内部部材の内部空間の湿度値を測定することができるように、内部部材10の内側面に具備される。着脱感知部は、湿度センサによって測定された内部部材の内部空間の湿度値が、事前設定された湿度値以上になれば、これを着用状態として感知し、事前設定された湿度値未満になれば、前記脱帽状態として感知するように構成される。詳細な動作についての説明は、前述のところが適切に変形されて適用されるので、省略する。
一方、本発明によるさらに他の実施形態のヘルメットに具備された着脱感知部は、内部部材の内側面の一側に具備されたボタンを含んでもよい。
図5を参照すれば、ボタン50bが、内部部材10の貫通部12周辺に具備されたところが例示されている。着脱感知部は、ボタン50bが使用者の頭によって押される場合、これを前記着用状態として感知し、ボタン50bが押されない場合、これを脱帽状態として感知するように構成される。本実施形態についての詳細な動作に係わる説明は、前述のところが適切に変形されて適用されるので、省略する。
一方、さらに他の実施形態の場合、着脱感知部は、前述の実施形態のボタン50bの代わりに、圧力センサを含んでもよい。圧力センサは、内部部材の内側面に具備されて圧力を測定することができる構成である。
着脱感知部は、圧力センサが使用者の頭によって接触される場合、これを着用状態として感知し、圧力センサに接触されることがない場合、これを脱帽状態として感知するように構成されている。
一方、本発明によるさらに他の実施形態のヘルメットに具備された着脱感知部は、赤外線発信部と赤外線受信部とを含んで構成されもする。
図5を参照すれば、52cで示された内部部材の一側に、赤外線発信部が具備され、54cで示された内部部材の内側面の他側に、赤外線受信部が具備されもする。
着脱感知部は、赤外線発信部で発せられた赤外線が、赤外線受信部に感知されなければ、着用状態として感知し、赤外線発信部で発せられた赤外線が、赤外線受信部に感知されれば、脱帽状態として感知するように構成されている。
すなわち、使用者がヘルメットをかぶれば、使用者の頭によって、赤外線発信部から赤外線受信部に照射されている赤外線を遮断することになる。このようになれば、着脱感知部は、着用状態として感知する。使用者がヘルメットをはずせば、赤外線は赤外線受信部で感知され、着脱感知部は、これを脱帽状態として感知する。本実施形態についての詳細な動作に係わる説明は、前述のところが適切に変形されて適用されるので、省略する。
一方、図6ないし図8には、本発明による他の実施形態の冷却ファンを具備したヘルメット1aが例示されている。
本実施形態の冷却ファンを具備したヘルメット1aを、最初の実施形態のヘルメット1と比較して説明すれば、前述の実施形態の内部部材10が、本実施形態では、内皮部材11aと中間部材15aとから構成されているというところに差がある。以下では、最初の実施形態のヘルメット1と差がある構成について主に説明し、説明されていない構成については、前述の説明がそのまま、または適切に変形されて適用される。
本実施形態の冷却ファンを具備したヘルメット1aは、内部部材、外皮部材20a、空気通路部30a、冷却ファン、着脱感知部及び制御部を含んで構成される。
内部部材は、内皮部材11aと中間部材15aとからなっている。
図7を参照すれば、内皮部材11aには、貫通部12aが具備されている。貫通部12aは、多数の貫通孔13aからなっている。内皮部材11aには、中間部材15aの組み立てを容易にするように一助となり、空気通路部の一部を構成するガイド部17aが形成されている。1対のガイド部17aは、内皮部材11aの外側面に突き出て延設されている。
本実施形態の場合、内皮部材は、ポリカーボネート材質で作られる。ポリカーボネートは、透明であり、強度、引っ張り力にすぐれるという長所があり、内皮部材として適する。
一方、実施形態によって、内皮部材は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、フェノール樹脂(PF)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、メラミン、ポリ塩化ビニル(PVC)のうちいずれか一つで作られたり、あるいはそれらのうち2個以上を混合した材質で作ることも可能である。
ポリエチレン(PE)は、軽くて柔軟であって化学薬品に強く、電気絶縁性にすぐれるという長所があり、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、熱可塑性樹脂のうち最高の耐熱性を保有しており、温度湿度の影響に安定しており、寸法安定性にすぐれるという長所があり、ポリアミド(PA、ナイロン)は、摩擦摩耗性にすぐれ、強靭であって引っ張り力が良好であるという長所があり、ポリプロピレン(PP)は、ポリエチレンと類似しているが、さらに透明であり、かつ軟化点が高く、反復屈曲に十分に耐えるという長所があり、ポリ塩化ビニル(PVC)は、価格が廉価であり、可塑剤の添加程度によって、柔軟度の調節が可能であり、耐薬品性、電気絶縁性が良好であるという長所があり、ポリスチレン(PS)は、無色透明であり、可視光線透過率がアクリルの次に優秀であり、電気絶縁性、耐薬品性が良好であるという長所があり、ABS樹脂は、強度、耐薬品性、耐油性が良好であって光沢があるという長所がある。内皮部材の材料選択時に前述の長所を考慮する。
空気通路部30aは、中間部材15aに具備される。中間部材15aの上部中央には、冷却ファンの装着のための空間である溝14aが形成されている。中間部材15aは、内皮部材11a及び外部部材20aとは別途の部材でもって形成される。かような構成によってなる場合、衝撃吸収能の向上するという長所がある。
本実施形態の場合、中間部材15aは、スチロホーム、EPP、PE発泡スポンジのうち少なくともいずれか一つで作られる。
スチロホーム(EPS:発泡ポリスチレン)、発泡ポリプロピレン(EPP)、発泡スポンジ(PE:発泡ポリエチレン)、発泡ポリウレタン(PUF)の四種いずれも発泡プラスチックの種類であり、衝撃吸収のための緩衝効果が良好であり、中間部材として使うのに適している。
スチロホームは、最も古い発泡プラスチックであり、今も最も広く使用されている。EPPは、既存スチロホームの物理的脆弱性である壊れ性、反復緩衝性、柔軟性、耐薬品性などを補強した素材であり、電子製品包装、自動車部品、構造物など高価製品の包装材及び産業用資材として広く活用されており、軽量性、強度、柔軟性の特徴において、化学処理及び腐食に影響が小さいという特徴がある。
PE発泡スポンジは、剛性は低いが、弾力、柔軟性にすぐれるという長所がある。発泡ポリウレタン(polyurethane foam)は、主原料であるポリオールの性質により、丈夫なものから柔らかいものまで、多様な発泡体を得ることができるという長所がある。
中間部材材質の選択時、前述の長所を考慮して選択する。