JP2014522642A - グルコース取り込みが増大されたメチオニン生産用微生物 - Google Patents

グルコース取り込みが増大されたメチオニン生産用微生物 Download PDF

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Abstract

本発明は、発酵により、主要な炭素源としてのグルコースからメチオニンを生産するための修飾およびグルコース取り込みを向上させるための修飾、ここで、該 グルコース取り込みはptsGsgrTsgrS およびdgsA から選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される)を含んでなる、メチオニン生産の向上のための組換え微生物に関する。本発明はまた、上記の組換え微生物を、グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で培養する工程、およびその培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程を含む、メチオニンまたはメチオニン誘導体の発酵生産のための方法に関する。

Description

発明の背景
技術分野
本発明は、メチオニンの生産のために改良された微生物およびメチオニンの調製のための方法に関する。特に、本発明は、ptsGsgrSsgrT、またはdgsAから選択される少なくとも一つの遺伝子の修飾された発現を含んでなる、グルコース取り込みが向上されたメチオニン生産用微生物に関する。
背景技術
システイン、ホモシステイン、メチオニン、またはS−アデノシルメチオニンなどの硫黄含有化合物は細胞代謝にとって重要であり、食品または飼料添加物および医薬品として使用されるべく工業的に製造される。特に、動物が合成することのできない必須アミノ酸であるメチオニンは、多くの身体機能において重要な役割を果たす。タンパク質生合成におけるその役割とは別に、メチオニンは、メチル基転移ならびにセレニウムおよび亜鉛のバイオアベイラビリティに関与している。メチオニンはまた、アレルギーやリウマチ熱のような障害の治療薬として直接用いられる。しかしながら、生産されるメチオニンの大部分は動物飼料に添加されている。
BSEおよび鳥インフルエンザの結果として動物由来タンパク質の使用が減少するに伴い、純粋なメチオニンに対する需要が高まっている。通常、D,L−メチオニンは、アクロレイン、メチルメルカプタン、およびシアン化水素から化学的に生産される。しかしながら、ラセミ混合物は、純粋なL−メチオニンほど良好には機能しない(Saunderson, C.L., 1985)。また、純粋なL−メチオニンは、ラセミ体メチオニンから、例えば、N−アセチル−D,L−メチオニンのアシラーゼ処理によって生産することができるが、これにより生産コストは劇的に増加する。従って、環境問題に関連して純粋なL−メチオニンに対する需要が高まりつつあることから、微生物によるメチオニンの生産は魅力的な展望を持つ。
微生物からの化学製品の生産の最適化には、一般に、生合成経路に関与するタンパク質の過剰発現、生合成経路の抑制に関与するタンパク質の減弱、または望ましくない副産物の産生に関与するタンパク質の減弱が必要である。微生物におけるL−メチオニン生産の最適化に向けたこれら総てのアプローチはこれまでに記載されている(例えば、米国特許第7,790,424号、米国特許第7,611,873号、特許出願WO2002/10209号、WO2006/008097号、およびWO2005/059093号を参照)、しかしながら、微生物からのL−メチオニンの工業生産にはさらなる改善が必要である。
一般に、L−メチオニンは、発酵プロセスにより主要な炭素源としてのグルコースで増殖された微生物により生産されている。細菌では、外部のグルコースが細胞内に輸送され、ホスホエノールピルビン酸によりリン酸化される:糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)(Meadow et al. 1990; Rohwer et al. 1996; Tchieu et al. 2001)。PTSは二つの共通細胞質タンパク質である酵素IおよびHPr、ならびに一連の糖特異的酵素II複合体(EII)からなる。大腸菌(E.coli)においてptsGによりコードされるPTS酵素IICBGlcは、グルコースを輸送すると同時にリン酸化してグルコース−6−リン酸(G6P)とする。G6Pはグルコース代謝において不可欠な中間体であるが、その細胞内蓄積により、「リン糖ストレス(phosphosugar stress)」とも呼ばれる糖−リン酸毒性(sugar-phosphate toxicity)という現象が起こる。実際に、グルコースの蓄積は細菌に対して高い毒性を示し、糖化、DNA突然変異誘発および増殖阻害をもたらすことが報告されている(Lee and Cerami, 1987; Kadner et al. 1992)。
最近の研究により、大腸菌ではIICBGlcをコードするptsG遺伝子は、生理学的状態に応じて、転写レベルおよび転写後レベルの両方で、極めて興味深い方法で高度に調節されることが示された(Plumbridge, 1998; Kimata et al. 1998; Plumbridge et al. 2002; Morita and Aiba, 2007; Gorke and Vogel, 2008)。具体的には、いくつかのレベルでの調節が確認されている:
・多くの異なるレギュレーター(ArcA、Fis、Crp)によるptsG遺伝子の発現の調節、特に、最初にMlc(Making larger colonies)と呼ばれた転写レギュレーターであるDgsAによる抑制、
・アンチセンス機構での低分子RNA sgrS(Sugar transport-related sRNA)によるptsG mRNAの不安定化、
・未知の機構での低分子ポリペプチドSgrTによるPtsG活性の制御、および
・転写レギュレーターSgrRによるsgrSsgrTの発現の調節。
微生物におけるグルコース輸送系の操作は、G6Pの毒性およびその系の高度に調節される複雑な性質から非常に難しい。今日まで、ptsGまたはdgsA遺伝子を操作することによりグルコース取り込みを増加させることで、アミノ酸生産、特に、トレオニン生産を向上させるいくつかの試みが行われてきた(DegussaのWO03004675号およびWO03004670号、AjinomotoのUS2004229320ならびにDegussaのWO0281721号)。それにもかかわらず、細菌のグルコース取り込みを増加させることによりメチオニンの生産を向上させた例はない。
本発明の発明者らは、上述の問題を克服し、グルコース取り込みの増加を通じて微生物によるL−メチオニン生産を向上させた。従って、第1の側面では、本発明は、メチオニン生産の向上のための組換え微生物を提供し、その組換え微生物は、a)発酵により、主要な炭素源としてのグルコースからメチオニンを生産するための修飾(modification)、およびb)グルコース取り込みを向上させるための修飾、ここで、該グルコース取り込みはptsGsgrTsgrS、またはdgsAmlc)から選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される、を含んでなる。
本発明者らは、グルコースの取り込みに関与する遺伝子の発現を修飾することにより、微生物へのグルコース取り込みが向上し、その微生物によるメチオニンの生産が増加することを示す。さらに、本発明者らは、グルコースの取り込みに関与する遺伝子の発現を修飾することで、副産物であるケトメチルバレラート(KMV)およびホモランチオニン(HLA)の産生が減少し、その結果、産物であるメチオニンの純度が向上することも見出した。一実施形態では、IICBGlcをコードする遺伝子ptsGの発現が増大される。ptsGの発現は当技術分野で公知の任意の手段によって増大され得るが、一実施形態では、遺伝子ptsGは誘導プロモーターまたは構成プロモーター(inducible or constitutive promoter)の制御下で過剰発現される。別の実施形態では、遺伝子ptsGは低分子RNA sgrSの結合部位の配列を含まない。
他の実施形態では、遺伝子sgrSsgrT、またはdgsAの発現が減弱される。遺伝子発現を減弱させる方法は当業者によく知られている。一実施形態では、遺伝子sgrSが欠失される。別の実施形態では、遺伝子sgrTが欠失される。本発明のさらなる実施形態では、遺伝子dgsAが欠失される。
さらに、グルコース取り込みは、上述の修飾の組合せによっても向上され得る。一実施形態では、遺伝子ptsGの発現が増大され、かつ、遺伝子sgrSの発現が減弱される。別の実施形態では、遺伝子ptsGの発現が増大され、かつ、遺伝子sgrTの発現が減弱される。さらなる実施形態では、遺伝子ptsGの発現が増大され、かつ、遺伝子sgrSおよびsgrTの発現が減弱される。また別の実施形態では、遺伝子ptsGの発現が増大され、かつ、遺伝子dgsAの発現が減弱される。
本発明の微生物は、メチオニンを生産するように修飾される。本発明の微生物は、微生物におけるメチオニン生産を促進するための、当技術分野で公知の任意の修飾を含んでもよいと理解されるが、一実施形態では、以下の遺伝子の少なくとも一つの発現が増大される:pycpntABcysPcysUcysWcysAcysMcysJcysIcysHgcvTgcvHgcvPlpdserAserBserCcysEmetFmetHthrA、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )、またはトレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )。一実施形態では、少なくとも一つの遺伝子が誘導プロモーターの制御下にある。別の実施形態では、以下の遺伝子の少なくとも一つの発現が減弱される:metJpykApykFpurUyncA、またはudhA
特に好ましい実施形態では、遺伝子metJの発現が減弱される。別の実施形態では、遺伝子metJの発現が減弱され、かつ、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大される。さらなる実施形態では、遺伝子metJの発現が減弱され、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大され、かつ、トレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の発現が増大される。さらに別の実施形態では、遺伝子metJの発現が減弱され、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大され、トレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の発現が増大され、かつ、遺伝子cysEの発現が増大される。さらなる実施形態では、遺伝子metJの発現が減弱され、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大され、トレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の発現が増大され、遺伝子cysEの発現が増大され、かつ、遺伝子metFおよび/またはmetHの発現が増大される。特定の実施形態では、本発明は微生物を含んでなり、その微生物では、a)遺伝子pstGが過剰発現され、および/またはsRNA sgrS結合部位を含まず、および/または遺伝子sgrSが欠失され、および/または遺伝子sgrTが欠失され、および/または遺伝子dgsAが欠失され、b)遺伝子metA metHcysPUWAMcysJIHgcvTHPmetFserAserBserCcysEthrA およびpycの発現が増大され、かつc)遺伝子metJpykApykFpurU、およびyncAの発現が減弱される。
本発明の微生物は、ケトメチルバレラート(KMV)およびホモランチオニン(HLA)の産生が少なく、従って、純度の向上したメチオニンを生産する。一実施形態では、生産されたメチオニンは高い純度を有する。一実施形態では、高い純度のメチオニンの発酵生産のための方法が提供され、その方法は、a)上記の組換え微生物を、グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で培養する工程、およびb)該培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程を含んでなる。
第2の側面では、本発明は、高い純度のメチオニンの発酵生産のための方法を提供し、その方法は、a)グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で、i)発酵により、主要な炭素源としてのグルコースからメチオニンを生産するための修飾、およびii)グルコース取り込みを向上させるための修飾、ここで、該グルコース取り込みはptsGsgrTsgrSまたはdgsAから選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される、を含んでなる組換え微生物を培養する工程、およびb)該培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程を含んでなる。
本発明はまた、メチオニンまたはメチオニン誘導体を生産する方法に関すると認識される。一実施形態では、メチオニンまたはメチオニン誘導体の発酵生産のための方法が提供され、その方法は、a)上記の組換え微生物を、グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で培養する工程、およびb)該培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程を含んでなる。
第3の側面では、本発明は、メチオニンまたはメチオニン誘導体の発酵生産のための方法を提供し、その方法は、a)グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で、i)発酵により、主要な炭素源としてのグルコースからメチオニンを生産するための修飾、およびii)グルコース取り込みを向上させるための修飾、ここで、該グルコース取り込みはptsGsgrTsgrSまたはdgsAから選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される)を含んでなる組換え微生物を培養する工程、およびb)該培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程を含んでなる。
株1および株2の培養中の残留グルコース濃度(g/L)。(◆):参照株と呼ばれる株1、(▲):20/20のIPTG濃度条件での株2および(●):20/80のIPTG濃度条件での株2。
発明の具体的説明
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、特に例示した方法に限定されず、当然のことながら、変更し得るものと理解されるべきである。また、本明細書において用いられる用語は単に本発明の特定の実施形態を記載することを目的とするにすぎず、限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものと理解されるべきである。
本明細書において引用される総ての刊行物、特許および特許出願は、前掲または後掲を問わず、引用することにより本明細書の開示の一部とされる。しかしながら、本明細書において記述される刊行物は、それらの刊行物の中で報告されておりかつ本発明に関連して使用される可能性があるプロトコール、試薬およびベクターの記載および開示を目的として引用される。本明細書中のいかなる記載も、本発明が先行発明に基づいてかかる開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきでない。
さらに、本発明の実施には、特に断りのない限り、当技術分野の技術の範囲内である通常の微生物学的技術および分子生物学的技術を用いる。そのような技術は当業者によく知られており、文献において十分に説明されている。例えば、Prescott et al. (1999); およびSambrook et al., (1989) (2001)参照。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その(the)」という単数形は、特に明示されていない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。従って、例えば、「一微生物」という場合には、そのような微生物の複数が包含され、「一酵素」という場合には、1以上の酵素を表すなどである。特に定義されない限り、本明細書において用いられる総ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の熟練者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の材料および方法を使用して、本発明の実施または試験を行うことができるが、好ましい材料および方法を次に記載する。
本明細書においては、以下の用語が特許請求の範囲および明細書の解釈のために用いられ得る。
以下の特許請求の範囲および本発明の前述の記載では、明示された言語または必然的な関連性から文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、「含んでなる」という用語または変化形(comprisesもしくはcomprising)は、包含の意味で、すなわち、述べられた特徴の存在を具体的に示すだけでなく、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除しないように用いられる。
本発明の記載において、遺伝子およびタンパク質は大腸菌における対応する遺伝子の名称を用いて識別される。しかしながら、特に断りのない限り、これらの名称の使用は本発明に従うより一般的な意味を有し、他の生物、より詳しくは微生物における対応する遺伝子およびタンパク質の総てを包含する。
PFAM(アラインメントのタンパク質ファミリーデータベースおよび隠れマルコフモデル(protein families database of alignments and hidden Markov models)、 http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/)は、タンパク質配列アラインメントを多数集めたものである。各PFAMにより、多重アラインメントを視覚化し、タンパク質ドメインを調べ、生物間の分布を評価し、他のデータベースへのアクセスを確保し、既知のタンパク質構造を表示することができる。
COG(タンパク質のオーソロガス群のクラスター(clusters of orthologous groups of proteins)、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/COG/)は、38の主要な系統発生系を示す66の完全配列決定されたゲノムからのタンパク質配列を比較することにより得られる。各COGは、少なくとも3つの系から定義され、先に保存されているドメインを同定することができる。
相同配列およびそれらの相同性%を同定する手段は当業者によく知られており、特にBLASTプログラムが挙げられ、このプログラムは、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/から、このウェブサイトに示されているデフォルトパラメーターとともに利用することができる。次に、得られた配列を、例えばプログラムCLUSTALW(http://www.ebi.ac.uk/clustalw/)またはMULTALIN(http://multalin.toulouse.intra.fr/multalin/)を、これらのウェブサイトに示されているデフォルトパラメーターとともに用いて活用する(例えば、アラインする)ことができる。
当業者ならば、GenBankに示されている既知の遺伝子に関する参照番号を用いて他の生物、細菌株、酵母、真菌、哺乳類、植物などにおける等価な遺伝子を決定することができる。この常法は、有利には、コンセンサス配列を使用して行われ、このコンセンサス配列は、他の微生物由来の遺伝子との配列アラインメントを行い、縮重プローブを設計して、他の生物における対応する遺伝子をクローニングすることにより決定することができる。これらの分子生物学の常法は当業者によく知られており、例えば、Sambrook et al. (1989)に記載されている。
本発明は、メチオニン生産のための組換え微生物に関する。具体的には、本発明は、グルコース取り込みを増加させることによる微生物におけるメチオニン生産の向上に関する。
「メチオニン生産の向上」という用語は、メチオニン生産性の増大および/またはメチオニン力価の増大および/またはメチオニン/炭素源収率の増大および/またはメチオニン純度の上昇を意味する。「メチオニン/炭素源収率の増加」という用語は、発酵中に得られたメチオニンの量を消費されたグルコースの量で割ったものを定義する。それはメチオニンg数/グルコースg数またはメチオニンmol数/グルコースmol数のパーセントで表すことができる。これに関して「増加」という用語は、明記された修飾を受けていない微生物と比べての測定可能な増加を表す。好ましい実施形態では、その増加は少なくとも約7%、好適には、少なくとも約15%、好適には、少なくとも約25%、最も好適には、少なくとも約30%の増加である。全メチオニン/グルコース収率は、好適には、少なくとも約7%g/g、好適には、少なくとも約15%g/g、好適には、少なくとも約20%g/g、最も好適には、少なくとも約24%g/gである。
グルコースの消費量およびメチオニン生産量を決定するための方法は当業者によく知られており、本明細書の他所で論じている。
「メチオニン純度の上昇」または「上昇した純度のメチオニン」という用語は、メチオニン生産量に対する、発酵中に得られたケトメチルバレラート(KMV)および/またはホモランチオニン(HLA)の量に関する用語である。これに関して、メチオニンの量に対するKMVおよびHLAの量の割合が、本発明の微生物において改善される。この割合は、KLVおよびHLAの生産量を減少させることによるか、またはKMVおよびHLAの濃度は一定のままメチオニンの生産量を向上させることによるか、あるいはその両方によって改善され得る。また、有利には、それは、メチオニン生産量に対する、培養終了時に発酵培養液中に残留するグルコースの量を意味する。本発明においては、生産されたメチオニンの量に対する、発酵培養液中に残留するグルコースの割合が、本発明の微生物において減少される。この割合は、発酵培養液中に残留するグルコースの量を減少させることによるか、または発酵槽に注入されるグルコースの総量は一定のままメチオニンの生産量を向上させることによるか、あるいはその両方によって改善され得る。
培地中に含まれるメチオニン、NAM、KMV、HLAおよびグルコースの量を決定するための方法は当業者によく知られている。例えば、L_メチオニン(L_methionine)の量は、OPA/Fmoc誘導体化後にHPLCにより、標準としてL−メチオニン(Fluka、参照番号64319)を用いて測定し得る。
上述のように、外部のグルコースが細菌細胞内に輸送され、ホスホエノールピルビン酸によりリン酸化される:糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)(Meadow et al. 1990、 Rohwer et al. 1996、 Tchieu et al. 2001)。リン酸化グルコースは高濃度では細胞に対して毒性があり、従って、PTS系は高度に調節される。このことが、その系が複雑であるという事実と関連して、その系の操作を非常に困難なものにしている。しかしながら、下記のように、本発明者らはグルコース取り込みが向上された組換え微生物を作出した。
本明細書において「組換え微生物」という用語は、自然界には見られない、自然界に見られる同等の微生物と遺伝的に異なる細菌、酵母または真菌を意味する。本発明によれば、「修飾」という用語は、微生物において導入または誘導された任意の遺伝子変化を表す。微生物は、新たな遺伝エレメントの導入または欠失のいずれかにより修飾され得る。さらに、微生物は、指定突然変異誘発と特定の選択圧下での進化の組合せによって新規代謝経路の発生および進化を促すことにより修飾され得る(例えば、WO2004/076659号参照)。好適には、微生物は腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、クロストリジウム科(Clostridiaceae)、バチルス科(Bacillaceae)、ストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)およびサッカロミセス科(Saccharomyceteceae)を含んでなる群から選択される。より好適には、微生物は腸内細菌科またはコリネバクテリウム科またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種である。一実施形態では、微生物は大腸菌(Escherichia coli)である。
特に、例では修飾大腸菌株を示しているが、これらの修飾は同じ科の他の微生物でも容易に行うことができる。
大腸菌は、腸内細菌科に属し、この科には、芽胞形成しない、典型的には長さ1〜5μmのグラム陰性桿菌のメンバーが含まれる。ほとんどのメンバーは鞭毛を有し、鞭毛を用いて動き回るが、いくつかの属は非運動性である。この科の多くのメンバーが、ヒトおよび他の動物の腸内で見られる腸管菌叢の正常な部分であるが、水または土壌中で見られるものや、様々な異なる動植物に寄生するものもある。大腸菌は最も重要なモデル生物の一つであるが、腸内細菌科の他の重要なメンバーとして、クレブシェラ属(Klebsiella)、特に、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、およびサルモネラ菌属(Salmonella)も挙げられる。
本明細書において「グルコース取り込みを向上させる」、「グルコース取り込みが向上された」という用語、およびその文法的同義語は、グルコース摂取率の増加を意味する。「グルコース摂取率の増加」という用語は、発酵中に消費されたグルコースの量をバイオマス濃度で割ったものを指す。具体的には、グルコース摂取率は下記載のように定義することができる:
Figure 2014522642
(式中、rはグルコース摂取率であり、Xはバイオマス濃度である)。
グルコース摂取率は以下のように記載することができる:
Figure 2014522642
(式中、Sはt時点におけるグルコース消費量である)。流加発酵の場合、培養中に消費されたグルコースの量は、バッチ培養物中に存在するグルコースと、接種材料に加えられたグルコースと、流加段階中に注入されたグルコースとの合計から、実験終了時の残留グルコースを引いた値に相当する。他の技術を使用することもでき、それらは文献に記載されている:
・グルコース摂取率を測定するための蛍光グルコース類似体(2−(N−(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル)アミノ)−2−デオキシグルコースまたは2−NBDG)の使用(Natarajan A. and Srienc F. (1999) metabolic engineering, vol 1, issue 4, 320-333)、
・PtsG活性の測定(Kornberg H. L. and Reeves R. E. Biochem. J (1972) 128, 1339-1344、 Rungrassamee et al., Erch Microbiol (2008) 190:41-49)、
ptsG mRNAのような特異的標的を定量し、対応する遺伝子の発現の増大を確認するために使用されるqRT−PCR(定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応)プロファイリング。
これに関して「増加」という用語は、明記された修飾を受けていない微生物と比べての測定可能な増加を表す。
本発明によれば、グルコース取り込みは、ptsGsgrTsgrS、またはdgsAから選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される。さらに、微生物におけるptsGの過剰発現によるまたはPtsGの活性増加を介したグルコース取り込みの向上は当業者に知られている異なる技術によって測定することができる。
本明細書において「発現を修飾する」という用語は、遺伝子の発現が遺伝エレメントの導入または欠失を通じて増大または低減されることを示す。一般には、遺伝子の発現は、修飾されていない同等の微生物、すなわち、グルコース輸送を向上させるための遺伝エレメントの導入または欠失を含まない微生物と比べて増大または低減される。遺伝子の発現が基準に対して増大されるか低減されるかを判定する方法は当技術分野で周知であり、下記に述べる。
グルコース取り込みは本発明によれば遺伝子ptsGの発現を増大させることにより向上される。このptsG遺伝子は、大腸菌においてPTS酵素IICBGlc(別名−EC2.7.1.69、タンパク質−N(pi)−ホスホヒスチジン−糖ホスホトランスフェラーゼ、ホスホトランスフェラーゼ系の酵素II、PEP−糖ホスホトランスフェラーゼ酵素II、PTSパーミアーゼ)をコードする。ptsG遺伝子のヌクレオチド配列は配列番号18に示される。
本明細書において「増大」という用語、およびその文法的同義語は、修飾されていない同等の微生物と比べて遺伝子の発現を増大させるまたはアップレギュレートする修飾を意味する。「発現の増大」、「発現の増加」または「過剰発現」という用語は、本書において互換的に用いられ、同様の意味を有する。
微生物において遺伝子の発現を増大させる様々な手段は当業者に知られており、例えば、メッセンジャーRNAの安定性の増大、遺伝子のコピー数の増加、より強力なプロモーターの使用、調節エレメントの除去または活性が高められた対立遺伝子の使用、あるいはおそらくはこれらの手段の組合せによるものが挙げられる。さらに、遺伝子の発現は染色体または染色体外の手段によっても増大させることができる。例えば、数コピーの遺伝子を組換え法により微生物のゲノムに導入し得る。あるいは、遺伝子を、それらの複製起点と、従って細胞内でのそれらのコピー数が異なる種々のタイプのプラスミドによって運ばせることもできる。遺伝子は、厳密な複製を行う低コピー数プラスミド(pSC101、RK2)、低コピー数プラスミド(pACYC、pRSF1010)または高コピー数プラスミド(pSK bluescript II)に対応して、1〜5コピー、約20コピーまたは最大500コピーで存在し得る。調節エレメントは遺伝子の発現の制御に重要である。例えば、遺伝子は、異なる強度のプロモーターを用いて発現させることができ、さらに、これらのプロモーターは誘導性であってもよい。これらのプロモーターは同種または異種であってよい。適当なプロモーターを選択することは十分に当業者の能力の範囲内であるが、例えば、プロモーターPtrc、Ptac、Plac、またはλプロモーターcIが広く用いられている。一実施形態では、遺伝子ptsGの発現はその遺伝子を誘導プロモーターまたは構成プロモーターの制御下に置くことにより増大される。
別の実施形態では、遺伝子ptsGの発現は低分子RNA sgrSの結合部位をコードする配列を除去することにより増大される。
「低分子RNA sgrSの結合部位をコードする配列を除去する」とは、低分子RNA sgrSの結合部位(配列番号19)が完全にまたは部分的に欠失され、遺伝子ptsGにおける低分子RNA sgrSの結合が妨げられるということを意味する。
グルコース取り込みはまた、遺伝子sgrSおよび/または遺伝子sgrTおよび/または遺伝子dgsAの発現を減弱させることによっても向上される。sgrS遺伝子は大腸菌において低分子RNAであるSugar transport-related sRNAをコードする。sgrS遺伝子のヌクレオチド配列は配列番号20で示される。sgrT遺伝子は大腸菌において低分子ポリペプチドSgrTをコードする。sgrT遺伝子のヌクレオチド配列は配列番号21に示される。dgsA遺伝子はいくつかの遺伝子、特に、ptsG遺伝子および大腸菌由来ptsHIcrrオペロンの転写レプレッサーとして作用するグローバルレギュレーターをコードする。dgsA遺伝子のヌクレオチド配列は配列番号22に示される。
本明細書において「減弱」という用語は、遺伝子の発現の部分的または完全な抑制を意味する。この発現抑制は、遺伝子の発現の阻害、遺伝子の発現に必要なプロモーター領域の総てまたは一部の欠失、遺伝子のコード領域における欠失、および/あるいは野生型プロモーターとより弱い天然または合成プロモーターの交換のいずれかであり得る。好適には、遺伝子の減弱は本質的にはその遺伝子の完全な欠失であり、その遺伝子は本発明による株の同定、単離および精製を容易にする選択マーカー遺伝子で置き換えることができる。例えば、遺伝子発現の抑制は相同組換え技術により達成され得る(Datsenko & Wanner, 2000)。一実施形態では、グルコース取り込みは、遺伝子sgrSの欠失により向上される。別の実施形態では、グルコース取り込みは、遺伝子sgrTの欠失により向上される。別の実施形態では、グルコース取り込みは、遺伝子dgsAの欠失により向上される。
さらなる実施形態では、グルコース取り込みは、上述の修飾の組合せによって向上される。例えば、本発明の微生物では、グルコース取り込みは以下により向上され得る:
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子sgrSの発現を減弱させること、
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子sgrTの発現を減弱させること、
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子dgsAの発現を減弱させること、
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子sgrSおよび遺伝子sgrTの発現を減弱させること、
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子dgsAおよび遺伝子sgrSの発現を減弱させること、
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子dgsAおよび遺伝子sgrTの発現を減弱させること、
・遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子dgsAならびに遺伝子sgrTおよびsgrSの発現を減弱させること、
・遺伝子dgsAの発現を減弱させ、かつ、遺伝子sgrSおよび/またはsgrTの発現を減弱させること。
本発明の好ましい実施形態では、グルコース取り込みは、遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子sgrSおよび遺伝子sgrTの発現を減弱させることにより向上される。
本発明の別の好ましい実施形態では、グルコース取り込みは、遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子dgsAの発現を減弱させることにより向上される。
より好ましくは、グルコース取り込みは、遺伝子ptsGの発現を増大させ、かつ、遺伝子dgsAならびに遺伝子sgrTおよびsgrSの発現を減弱させることにより向上される。
メチオニン生産を向上させるためにグルコース輸送を向上させるための修飾は単独ではなされないが、微生物による主要な炭素源としてのグルコースからのメチオニンの発酵生産を促進する修飾と組み合わせて行われる。微生物におけるメチオニンの生産を促進する修飾は当業者によく知られている。一実施形態では、以下の遺伝子の少なくとも一つの発現が増大される:pycpntABcysPcysUcysWcysAcysMcysJcysIcysHgcvTgcvHgcvPlpdserAserBserCcysEmetFmetHthrA、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )、またはトレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )。本発明の特定の実施形態では、これらの遺伝子の少なくとも一つは誘導プロモーターの制御下にあり得る。本発明の好ましい実施形態では、遺伝子thrA が誘導プロモーターの制御下で発現される。
別の実施形態では、以下の遺伝子の少なくとも一つの発現が減弱される:metJpykApykFpurJyncA、またはudhA。微生物における遺伝子の発現を修飾する方法は当業者によく知られており、上記および下記で述べる。
加えて、微生物による主要な炭素源としてのグルコースからのメチオニンの発酵生産は、上述の修飾の組合せによって達成され得る、例えば:
・遺伝子metJの発現が減弱され、かつ、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大される、
・遺伝子metJの発現が減弱され、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大され、かつ、トレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の発現が増大される、
・遺伝子metJの発現が減弱され、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大され、トレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の発現が増大され、かつ、遺伝子cysEの発現が増大される、
・遺伝子metJの発現が減弱され、S−アデノシルメチオニンおよび/またはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )の発現が増大され、トレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の発現が増大され、遺伝子cysEの発現が増大され、かつ、遺伝子metFおよび/またはmetHの発現が増大される。
本発明の特定の実施形態では、組換え微生物は以下の遺伝子修飾を含んでなる:
a)遺伝子pstGが過剰発現され、および/またはsRNA sgrS結合部位を含まず、および/または遺伝子sgrSが欠失され、および/または遺伝子sgrTが欠失され、および/または遺伝子dgsAが欠失され、
b)遺伝子metA metHcysPUWAMcysJIHgcvTHPmetFserAserBserCcysEthrA 、およびpycの発現が増大され、かつ、
c)遺伝子metJpykApykFpurU、およびyncAの発現が減弱される。
本発明はまた、メチオニンまたはメチオニン誘導体を生産する方法に関し、その方法は、上記の微生物を、グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で培養すること、および該培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収することを含んでなる。
当業者ならば、本発明による微生物の培養条件を定義することができる。好ましくは、その微生物は20℃〜55℃の間、好適には、25℃〜40℃の間、より具体的には、大腸菌では約37℃の温度で発酵させる。
発酵は一般に、少なくとも一つの単純炭素源を、必要な場合には、代謝産物の生産に必要な補助基質とともに含有する、使用する微生物に適合した既知の定義された組成の無機培養培地の入った発酵槽で行われる。特に、大腸菌用の無機培養培地は、M9培地(Anderson, 1946)、M63培地(Miller, 1992)またはSchaefer et al. (1999, Anal. Biochem. 270: 88-96)により定義されているものなどの培地と同一または類似の組成のものであってよい。
「発酵性炭素源」という用語は、微生物によって代謝され得る任意の炭素源を意味し、この場合、その基質は少なくとも一つの炭素原子を含む。本発明の特定の実施形態では、その炭素源は再生可能な供給原料に由来する。再生可能な供給原料は、短時間で、目的産物へのその変換を可能とするのに十分な量で再生され得る、特定の工業プロセスに必要な原料として定義される。
本発明によれば、その炭素源はグルコースを含む。
発酵後に、それからのメチオニンまたはメチオニン誘導体は培養培地から回収され、必要な場合には、精製され得る。培養培地からメチオニンおよびメチオニン誘導体などの化合物を回収し、精製する方法は当業者によく知られている。
メチオニン誘導体はメチオニンの変換経路および/または分解経路から生じる。特に、これらの産物はS−アデノシル−メチオニン(SAM)およびN−アセチルメチオニン(NAM)である。特に、NAMは、容易に再生可能なメチオニン誘導体であり、単離され、脱アシル化によりメチオニンへと変換され得る。従って、「培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収すること」との句は、メチオニン、SAM、NAM、および有用であり得る他の総ての誘導体を回収する行為を意味する。
プロトコール
下記の実施例に記載するメチオニン生産株を構築するために、いくつかのプロトコールを用いた。
プロトコール1:相同組換えによる染色体修飾および組換え体の選択(Datsenko & Wanner, (2000)。
特定の染色体遺伝子座における対立遺伝子置換または遺伝子破壊は、Datsenko & Wanner (2000)により記載されているように、相同組換えによって行った。Flp認識部位が隣接した、クロラムフェニコール(Cm)耐性catまたはカナマイシン(Km)耐性kanを、PCRにより、鋳型としてそれぞれpKD3またはpKD4プラスミドを用いることで増幅した。得られたPCR産物を用いて、λRed(γ、β、exo)リコンビナーゼを発現するプラスミドpKD46を保持するレシピエント大腸菌株を形質転換した。次に、抗生物質耐性形質転換体を選択し、突然変異遺伝子座の染色体構造を、下表1に記載の適当なプライマーを用いたPCR解析により確認した。
cat耐性遺伝子は、Datsenko & Wanner (2000)により記載されているように、Flpリコンビナーゼをコードする遺伝子を有するプラスミドpCP20と、kan遺伝子を有するプラスミドpKD4を用いることで、kan耐性遺伝子により置き換えることができる。pCP20およびpKD4プラスミドを目的の株に導入し、flp遺伝子を発現させる目的で、形質転換体を、カナマイシン(kanamycine)を添加したLB上で37℃で培養した後、増殖するクローンを、表1に記載のオリゴヌクレオチドを用いたPCRにより確認した。
耐性遺伝子を、Datsenko. & Wanner (2000)により記載されているように、プラスミドpCP20を用いることにより除去した。簡単に述べると、pCP20プラスミドを保持するクローンをLB上で37℃で培養した後、30℃で抗生物質耐性の欠如について調べた。次に、抗生物質感受性クローンを、表1に記載のプライマーを用いたPCRにより確認した。
プロトコール2:ファージP1の形質導入
染色体修飾をP1形質導入により、所与の大腸菌レシピエント株に移入した。このプロトコールは、(i)耐性関連の染色体修飾を含むドナー株におけるファージ溶解液の調製と、(ii)このファージ溶解液によるレシピエント株の感染との2段階から構成される。
ファージ溶解液の調製
・10mlのLB+Cm 30μg/mlまたはKm 50μg/ml+グルコース0.2%+CaCl 5mM中に、目的の染色体修飾を有するMG1655株の一晩培養物100μlを植菌する。
・振盪しながら37℃で30分間インキュベートする。
・ドナー株MG1655で調製したP1ファージ溶解液100μlを添加する(約1×10ファージ/ml)。
・細胞が完全に溶解するまで37℃で3時間振盪する。
・200μlのクロロホルムを加え、ボルテックスにかける。
・4500gで10分間遠心分離して細胞残屑を除去する。
・上清を滅菌試験管に移す。
・溶解液を4℃で保存する。
形質導入
・LB培地中で培養した大腸菌レシピエント株の一晩培養物5mlを1500gで10分間遠心分離する。
・2.5mlのMgSO 10mM、CaCl 5mMに細胞ペレットを懸濁する。
・100μlの細胞に、染色体に修飾を有するMG1655株のP1ファージ100μl(供試試験管)を感染させ、対照試験管として、P1ファージを含まない細胞100μlと、細胞を含まないP1ファージ100μlとを感染させる。
・振盪せずに30℃で30分間インキュベートする。
・各試験管に100μlの1Mクエン酸ナトリウムを加え、ボルテックスにかける。
・1mLのLBを加える。
・振盪しながら37℃で1時間インキュベートする。
・7000rpmで3分間遠心分離する。
・LB+Cm 30μg/mlまたはKm 50μg/mlに播種する。
・37℃で一晩インキュベートする。
Figure 2014522642
Figure 2014522642
実施例1:株2の構築
1.メチオニン生産株1、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC(pCL1920−PgapApycre−TT07)は特許出願PCT/FR2010/052937に記載されており、これは引用することにより本願の開示の一部とされる。
2.株2の構築
細胞へのグルコース取り込みを増加させるために、PtsG(IICGlc)、すなわち、グルコースホスホトランスフェラーゼ系のグルコース特異的PTSパーミアーゼを、細菌人工染色体と、人工誘導trcプロモーターの使用により過剰生産させた。
プラスミドpCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07は、プラスミドpCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07(下記)から誘導され、従って、細菌人工染色体pCC1BAC(Epicentre)に由来するものである。
プラスミドpCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07の構築のために、PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07断片をオーバーラッピングPCRにより得た。まず、PlacIqlacI−TT02領域を、以下のオリゴヌクレオチド、Ome2070−EcoRI−PlacIq−FおよびOme2071−NheI−TT02−lacIq−Rを用い、PCRにより、プラスミドpTRC99A(Stratagene)から増幅し、Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07領域を、以下のオリゴヌクレオチド、Ome2072−GfpTurboOpt−RBS012−AvrII−OP01−Ptrc01−NheI−TT02−FおよびOme2073−EcoRI−SfiI−PacI−TT07−Rを用い、PCRにより、プラスミドpCR4BluntTOPO−TTadcCI857−PlambdaR(−35)−RBS01−GfpTurboOpt−TT07(Geneartにより合成、下記)から増幅した。次に、鋳型として、オーバーラッピング領域を有するPlacIqlacI−TT02およびPtrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07のPCR産物と、オリゴヌクレオチドOme2070−EcoRI−PlacIq−FおよびOme2073−EcoRI−SfiI−PacI−TT07−Rを用いることにより、オーバーラッピングPCRを行った。最終PCR産物PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07をEcoRIおよびSfiI制限酵素により消化し、pCC1BACベクターのEcoRI/SfiI部位にクローニングした。組換えプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07プラスミドを得た。
Ome2070−EcoRI−PlacIq−F(配列番号1)
Figure 2014522642
この配列において
・小文字の配列は、EcoRI制限部位および余分な塩基に関する配列であり、
・大文字の配列は、pTRC99Aベクターに含まれる、lacI遺伝子のPlacIq修飾型プロモーター(2967〜2991、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/M22744.1上に参照配列)と相同な配列である。
Ome2071−NheI−TT02−lacIq−R(配列番号2)
Figure 2014522642
この配列において
・太字の大文字の配列は、人工trcプロモーター、Ptrc01(Meynial-Salles et al. 2005)と相同な配列であり、
・小文字の配列は、NheI制限部位および余分な塩基に関する配列であり、
・斜体の大文字の配列は、TT02と呼称される、大腸菌rrnB遺伝子の転写ターミネーターT(Orosz et al. 1991)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)に関する配列であり、
・大文字の配列は、lacI遺伝子(4118〜4137、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/M22744.1上に参照配列、または365652〜365671、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・下線を施した配列は、オーバーラッピングPCRステップに必要なオーバーラッピング領域を示す。
Ome2072−GfpTurboOpt−RBS012−AvrII−OP01−Ptrc01−NheI−TT02−F(配列番号3)
Figure 2014522642
この配列において
・斜体の大文字の配列は、TT02と呼称される、大腸菌rrnB遺伝子の転写ターミネーターT(Orosz et al. 1991)(ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)に関する配列であり、
・小文字の配列は、NheIまたはAvrII制限部位および余分な塩基に関する配列であり、
・太字の大文字の配列は、人工trcプロモーター、Ptrc01およびオペレーター、OP01(Meynial-Salles et al. 2005)と相同な配列であり、
・太字斜体の小文字の配列は、RBS012と呼称される、リボソーム結合部位配列であり、
・大文字の配列は、GfpTurboOptと呼称される、大腸菌のコドン使用頻度に合わせて最適化された、修飾型gfp遺伝子と相同な配列であり、
・下線を施した配列は、オーバーラッピングPCRステップに必要なオーバーラッピング領域を示す。
Ome2073−EcoRI−SfiI−PacI−TT07−R(配列番号4)
Figure 2014522642
この配列において
・小文字の配列は、EcoRI、SfiI、PacI制限部位および余分な塩基に関する配列であり、
・斜体の大文字の配列は、TT07と呼称される、転写ターミネーター配列T7Te(Harrington et al. 2001)である。
GfpTurboOpt−TT07領域は、Geneart Companyによって合成された、pCR4BluntTOPO−TTadcCI857−PlambdaR(−35)−RBS01−GfpTurboOpt−TT07プラスミド中に存在する(配列番号17):
Figure 2014522642
この配列において
・太字斜体の小文字の配列は、RBS012と呼称される、リボソーム結合部位に関する配列であり、
・小文字の配列は、GfpTurboOptと呼称される、大腸菌用に最適化されたGfpTurbo遺伝子(Evrogene)と相同な配列であり、
・大文字の配列は、BstZ17I制限部位に関する配列であり、
・下線を施した文字の配列は、TT07と呼称される、転写ターミネーター配列T7Te(Harrington et al. 2001)である。
pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07ベクターにおいて、GfpTurboOpt遺伝子をptsG遺伝子により置き換えて、プラスミドpCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07を得るために、pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07をまず、AvrIIおよびBstZ17I制限酵素により部分的に消化した。次に、ptsG領域を、以下のオリゴヌクレオチド、Ome2115−AvrII−RBS012−ptsG−FおよびOme2116−BstZ17I−ptsG−Rを用い、PCRにより、大腸菌MG1655株のゲノムDNAから増幅し、得られたPCR産物をAvrIIおよびBstZ17I制限酵素により消化し、pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−GfpTurboOpt−TT07ベクターのAvrII/BstZ17I部位にクローニングした。組換えプラスミドをDNA配列決定法により確認し、pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07プラスミドを得た。
Ome2115−AvrII−RBS012−ptsG−F(配列番号5)
Figure 2014522642
この配列において
・小文字の配列は、NotI、AvrII制限部位および余分な塩基に関する配列であり、
・太字の大文字の配列は、RBS012と呼称される、リボソーム結合部位配列であり、
・大文字の配列は、ptsG遺伝子(1157092〜1157116、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列である。
Ome2116−BstZ17I−ptsG−R(配列番号6)
Figure 2014522642
この配列において
・小文字の配列は、BstZ17I制限部位および余分な塩基に関する配列であり、
・大文字の配列は、ptsG遺伝子(1158502〜1158525、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列である。
最後に、得られたプラスミドpCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07を株1に導入し、MG1655株2、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC(pCL1920−PgapApycre−TT07)(pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07)を作出した。
この構築物pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07では、天然プロモーターならびに低分子RNA sgrSの結合部位は強力な人工プロモーターで置き換えられている。その結果として、ptsGは過剰発現されるが、そのmRNAはもはや調節されることなく、sgrSによる分解は起こらない。
誘導条件(培養物にIPTG添加)下で増殖させた株におけるptsG過剰発現をqPCRにより確認した。
実施例2:株4の構築
1.メチオニン生産株3、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR (−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA 11 ΔtreBC::TT02−serA−serC Ptrc30−pntAB::Cm ΔudhA(pCL1920−PgapA−pycre−TT07)は特許出願WO2012/055798号に記載されており、これは引用することにより本願の開示の一部とされる。
2.株4の構築
NADPH産生経路(トランスヒドロゲナーゼUdhAおよびPntAB)に関して修飾されたメチオニン生産株においてPtsGを過剰生産するために、プラスミドpCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07(実施例1に記載)の抗生物質耐性カセットを修飾する必要があった。pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07のクロラムフェニコール耐性遺伝子をゲンタマイシン耐性遺伝子により置き換え、pCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07プラスミドを得る。
この抗生物質耐性遺伝子置換を進めるために、pKD46ベクターに含まれるRed系に基づいた手法(Genebridges)を用いた。この目的で、二つのオリゴヌクレオチドを用いた:
Ome2127−RHamont−pCC1BAC−Gt−F(配列番号7)
Figure 2014522642
(この配列において
・下線を施した大文字の配列は、クロラムフェニコール耐性遺伝子の3’側にあるpCC1BACベクターの領域と相同な配列であり、
・大文字の配列は、p34S−Gmベクターに含まれるゲンタマイシン耐性遺伝子(Dennis & Zyltra, 1998)(735〜805、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/AF062079.1上に参照配列)と相同な配列である)
および
Ome2128−RHaval−pCC1BAC−Gt−R(配列番号8)
Figure 2014522642
(この配列において
・下線を施した大文字の配列は、クロラムフェニコール耐性遺伝子の5’側にあるpCC1BACベクターの領域と相同な配列であり、
・大文字は、p34S−Gmベクターに含まれるゲンタマイシン耐性遺伝子(Dennis & Zyltra, 1998)(272〜344、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/AF062079.1上に参照配列)と相同な配列である。)
オリゴヌクレオチドOme2127−RHamont−pCC1BAC−Gt−FおよびOme2128−RHaval−pCC1BAC−Gt−Rを用いて、プラスミドp34S−Gmからゲンタマイシン耐性カセット(Dennis & Zyltra, 1998)を増幅した。次に、得られたPCR産物をエレクトロポレーションにより株DH5α(pCC1BAC−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07)(pKD46)に導入した(この株では、Redリコンビナーゼ酵素が相同組換えを可能にする)。次に、ゲンタマイシン耐性・クロラムフェニコール感受性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を制限プロフィール解析(restriction profile analysis)により確認した。
最後に、組換えプラスミドpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07をDNA配列決定法により確認し、そのプラスミドを株3に導入し、MG1655株4、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::T07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserCtrc30−pntAB::Cm ΔudhA(pCL1920−PgapApycre−TT01)(pCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07)を得た。
この構築物pCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07では、天然プロモーターならびに低分子RNA sgrSの結合部位は強力な人工プロモーターで置き換えられている。その結果として、ptsGは過剰発現されるが、そのmRNAはもはや調節されることなく、sgrSによる分解は起こらない。
誘導条件(培養物にIPTG添加)下で増殖させた株におけるptsG過剰発現をqPCRにより確認した。
実施例3:株5の構築
ptsG転写物およびPtsGタンパク質に対するいずれの調節も回避するために、PtsG活性を調節する低分子ペプチドをコードする遺伝子sgrTと、ptsGのmRNAに干渉するsgrS低分子RNAをコードするsgrS遺伝子の一部を欠失させた。
遺伝子sgrS/TsgrS/TsetAオペロンの第1遺伝子である。下流遺伝子setAの発現を消失させずにsgrS/T遺伝子を欠失させるために、sgrS/Tを欠失させるとともに、setA遺伝子をオペロンのプロモーターの下流に移動させた。この目的で、プロトコール1に記載した相同組換え法を用いた。Keio変異株コレクション(Keio mutant collection)の大腸菌BW25113 ΔsetA::Km(pKD46)株(Baba et al., 2006)を用い、sgrS/T遺伝子を欠失させるとともにクロラムフェニコール耐性カセットを挿入し、オペロンプロモーターの下流にsetA遺伝子を再配置した。
具体的には、sgrS/T遺伝子を欠失させるのに必要な断片「sgrR−PsgrR−PsgrS−RBSsetA−setA−FRT−Cm−FRT−leuD」(断片4)をオーバーラッピングPCRにより増幅した。まず、最終オーバーラッピングPCRの鋳型となる断片1、断片2および断片3を増幅した。これらの断片は各々、3’末端と5’末端の間に少なくとも48ヌクレオチド長の相同領域を有し、この相同領域がオーバーラッピングPCRステップを可能にする。断片1、「sgrR−PsgrR−PsgrS−RBSsetA−setA」は、オリゴヌクレオチドOme2371−DsgrS−F1およびOme2372−DsgrS−R1を用い、大腸菌MG1655ゲノムDNAから増幅し、断片2、「PsgrR−PsgrS−RBSsetA−setA」は、オリゴヌクレオチドOme2373−DsgrS−F2およびOme2374−DsgrS−R2を用い、大腸菌MG1655ゲノムDNAから増幅し、断片3、「FRT−Cm−FRT−leuD」は、オリゴヌクレオチドOme2375−DsgrS−F3およびOme2376−DsgrS−R3を用い、プラスミドpKD3からPCR増幅した。最後に、断片4を、鋳型として用いられる断片1、断片2および断片3の混合物から、オリゴヌクレオチドOme2371−DsgrS−F1およびOme2376−DsgrS−R3を用いることによりPCR増幅した。
Ome2371−DsgrS−F1(配列番号9)
Figure 2014522642
この配列は、sgrR遺伝子(76743〜76765、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome2372−DsgrS−R1(配列番号10)
Figure 2014522642
この配列において
・大文字の配列は、sgrRおよびsgrSプロモーター領域(77379〜77398、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・太字の大文字は、setA領域(77637〜77607、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・下線を施した文字の配列は、オーバーラッピングPCRステップに必要なオーバーラッピング領域を示す。
Ome2373−DsgrS−F2(配列番号11)
Figure 2014522642
この配列において
・大文字の配列は、sgrRおよびsgrSプロモーター領域(77370〜77398、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・太字の大文字の配列は、setA領域(77637〜77607、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・下線を施した文字の配列は、オーバーラッピングPCRステップに必要なオーバーラッピング領域を示す。
Ome2374−DsgrS−R2(配列番号12)
Figure 2014522642
この配列において
・斜体の大文字の配列は、クロラムフェニコール耐性カセットの増幅に関する配列(Datsenko & Wanner, 2000に参照配列)であり、
・太字の大文字の配列は、setA領域(78799〜78777、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・下線を施した文字の配列は、オーバーラッピングPCRステップに必要なオーバーラッピング領域を示す。
Ome2375−DsgrS−F3(配列番号13)
Figure 2014522642
この配列において
・太字の大文字の配列は、setA領域(78764〜78799、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・斜体の大文字の配列は、クロラムフェニコール耐性カセットの増幅に関する配列(Datsenko & Wanner, 2000に参照配列)であり、
・下線を施した文字の配列は、オーバーラッピングPCRステップに必要なオーバーラッピング領域を示す。
Ome2376−DsgrS−R3(配列番号14)
Figure 2014522642
この配列において
・大文字の配列は、setAleuD領域(78919〜78800、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同な配列であり、
・斜体の大文字の配列は、クロラムフェニコール耐性カセットの増幅に関する配列(Datsenko & Wanner, 2000に参照配列)である。
次に、得られたPCR産物(断片4に相当する)をエレクトロポレーションにより株BW25113 ΔsetA::Km(pKD46)に導入した(この株では、Redリコンビナーゼ酵素が相同組換えを可能にした)。次に、クロラムフェニコール耐性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を、下に定義されるオリゴヌクレオチドOme2378−DsgrS−FseqおよびOme2377−DsgrS−Rseqを用いたPCR解析により確認し、DNA配列決定法により確認した。選択株をBW25113 ΔsgrS::Cmと呼称した。
sgrTオープンリーディングフレームは低分子RNAをコードするsgrS配列とオーバーラップするため、sgrSの欠失によりsgrTが欠失することになる。従って、sgrS/T欠失をΔsgrSと呼称した。
Ome2378−DsgrS−Fseq(配列番号15)
Figure 2014522642
この配列は、sgrR遺伝子(76502〜76521、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
Ome2377−DsgrS−Rseq(配列番号16)
Figure 2014522642
この配列は、leuD遺伝子(79143〜79120、ウェブサイトhttp://ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
sgrS/T欠失をP1ファージ形質導入によりBW25113 ΔsgrS::Cm株から株1へと移入した。次に、クロラムフェニコール耐性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を、オリゴヌクレオチドOme2378−DsgrS−FseqおよびOme2377−DsgrS−Rseqを用いたPCR解析により確認した。得られた株を株5、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metF Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔsgrS::Cm(pCL1920−PgapApycre−TT07)と呼称した。
実施例4:株6の構築
NADPH産生経路(トランスヒドロゲナーゼUdhAおよびPntAB)に関して修飾されたメチオニン株においてPtsG調節を克服するために、株3についてsgrS/T遺伝子を欠失させた。
この目的で、ΔsgrS::Cm欠失のクロラムフェニコール耐性カセットを、まず、カナマイシン耐性カセットによって置き換えた。このために、pCP20およびpKD4プラスミドをBW25113 ΔsgrS::Cm株に導入し、形質転換体を、カナマイシンを補給したLB上で37℃で培養した後、増殖するクローンを、オリゴヌクレオチドOme2378−DsgrS−FseqおよびOme2377−DsgrS−Rseqを用いたPCRにより確認した。次に、ΔsgrS::Km欠失を、P1ファージ形質導入によりBW25113 ΔsgrS::Km株から株3へと移入した。次に、カナマイシン耐性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を、オリゴヌクレオチドOme2378−DsgrS−FseqおよびOme2377−DsgrS−Rseqを用いたPCR解析により確認した。得られた株を株6、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserCtrc30−pntAB::Cm AudhA ΔsgrS::Km(pCL1920−PgapApycre−TT07)と呼称した。
実施例5:株7の構築
pCC1BACVB01−PlacIq−lacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07からptsGをすでに過剰発現する株2においてグルコース取り込みを大幅に増加させるために、その株においてsgrS/T遺伝子を欠失させた。
この目的で、ΔsgrS欠失を、P1ファージ形質導入によりBW25113 ΔsgrS::Km株から株2へと移入した。次に、クロラムフェニコール耐性形質転換体を選択し、耐性カセットの挿入を、オリゴヌクレオチドOme2378−DsgrS−FseqおよびOme2377−DsgrS−Rseqを用いたPCR解析により確認した。得られた株を株7、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−Pλ(−35)−PBS01−thrA cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔsgrS::Cm(pCL1920−PgapApycre−TT07)(pCC1BACVB01−PlacIq−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07)と呼称した。
誘導条件(培養物にIPTG添加)下で増殖させた株におけるptsG過剰発現をqPCRにより確認した。
実施例6:株15の構築
1.株8
メチオニン生産株8は特許出願WO2012/055798号に記載されており、これは引用することにより本願の開示の一部とされる。株8の遺伝子型は以下である、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC
2.株9、株10、株11および株12の構築
pycreと呼称される、インゲン根粒菌(Rhizobium etli)のピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子を過剰発現させるために、この遺伝子1コピーを染色体上のmelBおよびpurU遺伝子座に2回組み込んだ。melB遺伝子座では、pycre遺伝子は、pycre遺伝子の翻訳開始部位の上流に組み込まれた、合成Ptrcプロモーター配列、mRNA安定化配列および最適リボソーム結合部位の付加により発現された。この構築物はΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07と注釈付けされた。purU遺伝子座では、pycre遺伝子は、pycre遺伝子の翻訳開始部位の上流に組み込まれた、PL11(ファージλのPλL1プロモーターの−10ボックスに突然変異)および最適リボソーム結合部位の付加により発現された。この構築物はΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07と注釈付けされた。
下に示す染色体上の異なる遺伝子座での遺伝子組み込みについての総ての記載は同じ方法に従って構成される、1)目的の遺伝子座の上流および下流の相同配列、DNA断片ならびに耐性カセットを含む複製ベクターの構築、2)相同組換えによる最小株(MG1655 metA11 pKD46)への目的の修飾の組み込み、および3)複合株(いくつかの修飾をすでに含むMG1655)への目的の修飾の形質導入。
2.1.株9および株10の構築
melB遺伝子を欠失させ、それをPtrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07領域により置き換えるために、Datsenko & Wanner (2000)により記載されている相同組換え法を用いた。この方法は、考慮する遺伝子の大部分を欠失させるとともに、クロラムフェニコールまたはカナマイシン耐性カセットだけでなく追加のDNAを挿入することを可能とする。この目的で、以下のプラスミドを構築した、pUC18−ΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Km。このpUC18−ΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Kmプラスミドは、pUC18ベクター(Norrander et al., Gene 26 (1983), 101-106)から誘導され、Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07断片と連結されたカナマイシン耐性カセットを保持し、それらはどちらもmelBの上流領域と下流領域の間にクローニングされている。
pUC18−ΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Kmの構築のために、まず、pUC18−ΔmelB::TT02−SMCプラスミドを構築した。このプラスミドは、melBの上流領域と下流領域を有し、これらの領域の間には、転写ターミネーター(大腸菌のrrnB遺伝子のT、TT02と呼称される)および多重クローニング部位(BstZ17I、HindIII、PacI、AvrII、ApaI、SmaI、BamHI制限部位からなり、SMCと呼称される)がある。この最後の領域を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、ゲノムDNAからPCR増幅した:
melBup−F(配列番号23)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、SfoIおよびKpnI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(大文字)は、melB領域の配列(4340489〜4340513)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
melBup−R(配列番号24)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、多重クローニング部位のBstZ17I制限部位とHindIII制限部位の一部に関する領域であり、
・領域(太字の大文字)は、大腸菌のrrnB遺伝子の転写ターミネーターT(Orosz et al. 1991)に関する領域であり、
・領域(大文字)は、melB領域の配列(4341377〜4341406)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
melBdown−F(配列番号25)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(太字の大文字)は、大腸菌のrrnB遺伝子の転写ターミネーターT(Orosz et al. 1991)の一部に関する領域であり、
・領域(小文字)は、多重クローニング部位全体に関する領域であり、
・領域(大文字)は、melB領域の配列(4342793〜4342818)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
melBdown−R(配列番号26)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、SfoIおよびKpnI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(大文字)は、melB領域の配列(4343694〜4343719)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
第一に、「upMelB」および「downMelB」断片を、それぞれ、melBup−F/melBup−RおよびmelBdown−F/melBdown−Rオリゴヌクレオチドを用いて、MG1655ゲノムDNAからPCR増幅した。第二に、「upMelB−downMelB」断片を、melBup−F/melBdown−Rオリゴヌクレオチドを用いて、「upMelB」および「downMelB」PCR断片(これらの断片は大腸菌のrrnB遺伝子の転写ターミネーターTの一部および多重クローニング部位の一部からなるオーバーラッピング領域を有する)から増幅した。「upMelB−downMelB」PCR断片を制限酵素SfoIで切断し、pUC18ベクターの平滑末端化したEcoRI/HindIII部位にクローニングし、pUC18−ΔmelB::TT02−SMCプラスミドを得た。
次に、カナマイシン耐性カセットを、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、pKD4ベクターからPCR増幅した:
Km−F(配列番号27)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域((Datsenko & Wanner (2000)に参照配列)であり、
・領域(大文字)は、SmaIおよびBstZ17I制限部位および余分な塩基に関する領域である。
Km−R(配列番号28)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、カナマイシン耐性カセットの増幅に関する領域(Datsenko & Wanner (2000)に参照配列)であり、
・領域(大文字)は、HindIII制限部位および余分な塩基に関する領域である。
PCR断片を制限酵素BstZ17IおよびHindIIIで切断し、pUC18−ΔmelB::TT02−SMCプラスミドのBstZ17I/HindIII部位にクローニングし、pUC18−ΔmelB::TT02−SMC::Kmプラスミドを得た。
最後に、Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07断片を、プライマーPtrc01/ARN01/RBS012−pycre−Fおよびpycre−TT07−Rを用いて、特許出願WO2012/055798号に記載されているプラスミドpCL1920−PgapApycre−TT07からPCR増幅した。PCR断片を制限酵素AvrIIおよびPacIで切断し、pUC18−ΔmelB::TT02−SMC::KmプラスミドのAvrII/PacI部位にクローニングし、pUC18−ΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Kmプラスミドを得た。
組換えプラスミドをDNA配列決定法により確認した。
Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−F(配列番号29)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、PacI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(太字の大文字)は、人工誘導性trcプロモーターと相同な領域であり、
・領域(下線を施した大文字)は、mRNAを安定化させた配列(Meynial-Salles et al. 2005)と相同な領域であり、
・領域(斜体の大文字)は、最適リボソーム結合部位と相同な領域であり、
・領域(大文字)は、インゲン根粒菌のpyc遺伝子の開始点(1〜32)と相同な領域である。
pycre−TT07−R(配列番号30)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、SmaI、AvrIIおよびNotI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(太字の大文字)は、TT07と呼称される、T7te転写ターミネーター配列(Harrington et al. 2001)に関する領域であり、
・領域(大文字)は、インゲン根粒菌のpyc遺伝子の終了点(3441〜3465)と相同な領域である。
第二に、pUC18−ΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::KmプラスミドをKpnI制限酵素で切断することによりΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Km断片を得、その断片を、プロトコール1に従って、エレクトロポレーションによりMG1655 metA11 pKD46株に導入した。次に、カナマイシン耐性形質転換体を選択し、ΔmelB::TT02−Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Km断片の挿入を、オリゴヌクレオチドmelB−pycre−FおよびmelB−pycre−Rを用いたPCR解析により確認した。確認済みの選択株をMG1655 metA 11 pKD46 ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Kmと呼称した。
melB−pycre−F(配列番号31)
Figure 2014522642
この配列は、melB領域の配列(4340168〜4340187)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
melB−pycre−R(配列番号32)
Figure 2014522642
この配列は、melB領域の配列(4344044〜4344065)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
第3に、ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Km染色体修飾を、プロトコール2に従って、上記のMG1655 metA 11 pKD46 ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Km株のP1ファージ溶解液を用いて、株8に形質導入した。カナマイシン耐性形質導入体を選択し、ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07::Km染色体修飾の存在を、プライマーmelB−pycre−FおよびmelB−pycre−Rを用いたPCRにより確認した。得られた株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thzA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/KBS012−pycre−TT07::Kmを株9と呼称した。
次に、カナマイシン耐性カセットを除去した。カナマイシン耐性カセットのFRT部位に作用するリコンビナーゼFLPを有するpCP20プラスミドを株9に導入した。37℃での一連の培養の後、カナマイシン耐性カセットが存在しないことを、従前に用いたものと同じオリゴヌクレオチド、melB−pycre−F/melB−pycre−Rを用いたPCR解析により確認した。得られた株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcFcysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapA−metA11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07を株10と呼称した。
2.2.株11および株12の構築
purU遺伝子を欠失させ、それをPL11/RBS012−pycre−TT07領域により置き換えるために、Datsenko & Wanner (2000)により記載されている相同組換え戦略を用いた。この目的で、以下のプラスミドを構築した、pUC18−ΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::Km。このpUC18−ΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::Kmプラスミドは、pUC18ベクター(Norrander et al., Gene 26 (1983), 101-106)から誘導され、PL11/RBS012−pycre−TT07断片と連結されたカナマイシン耐性カセットを保持し、それらはどちらもpurUの上流領域と下流領域の間にクローニングされている。
pUC18−ΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::Kmの構築のために、まず、pUC18−ΔpurU::TT02−SMCプラスミドを構築した。このプラスミドはpurUの上流領域と下流領域を有し、これらの領域の間には、転写ターミネーター(大腸菌のrrnB遺伝子のT、TT02と呼称される)および多重クローニング部位(BstZ17I、HindIII、PacI、AvrII、ApaI、SmaI、BamHI制限部位からなり、SMCと呼称される)がある。この最後の領域を、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、ゲノムDNAからPCR増幅した:
purUup−F(配列番号33)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、StuIおよびNsiI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(大文字)は、purU領域の配列(1288424〜1288447)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
purUup−R(配列番号34)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、多重クローニング部位のBstZ17I制限部位およびHindIII制限部位の一部に関する領域であり、
・領域(太字の大文字)は、大腸菌のrrnB遺伝子の転写ターミネーターT(Orosz et al. 1991)に関する領域であり、
・領域(大文字)は、purU領域の配列(1287849〜1287877)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
purUdown−F(配列番号35)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(太字の大文字)は、大腸菌のrrnB遺伝子の転写ターミネーターT(Orosz et al. 1991)の一部に関する領域であり、
・領域(小文字)は、多重クローニング部位全体に関する領域であり、
・領域(大文字)は、purU領域の配列(1287000〜1287028)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
purUdown−R(配列番号36)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、StuIおよびNsiI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(大文字)は、purU領域の配列(1286429〜1286452)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同な領域である。
第一に、「upPurU」および「downPurU」断片を、それぞれ、purUup−F/purUup−RおよびpurUdown−F/purUdown−Rオリゴヌクレオチドを用いて、MG1655ゲノムDNAからPCR増幅した。第二に、「upPurU−downPurU」断片を、purUup−F/purUdown−Rオリゴヌクレオチドを用いて、「upPurU」および「downPurU」PCR断片(これらの断片は大腸菌のrrnB遺伝子の転写ターミネーターTの一部および多重クローニング部位の一部からなるオーバーラッピング領域を有する)から増幅した。「upPurU−downPurU」PCR断片を制限酵素StuIで切断し、pUC18ベクターの平滑末端化したEcoRI/HindIII部位にクローニングし、プラスミドpUC18−ΔpurU:TT02−SMCを得た。
次に、カナマイシン耐性カセットを、オリゴヌクレオチドKm−FおよびKm−R(上記)を用いて、pKD4ベクターからPCR増幅した。PCR断片を制限酵素BstZ17IおよびHindIIIで切断し、pUC18−ΔpurU::TT02−SMCプラスミドのBstZ17I/HindIII部位にクローニングし、プラスミドpUC18−ΔpurU::TT02−SMC::Kmを得た。
最後に、PL11/RBS012−pycre−TT07::Km断片を、プライマーPL11/RBS012−pycre−Fおよびpycre−TT07−R2を用いて、特許出願WO2012/055798号に記載されているプラスミドpCL1920−PgapApycre−TT07からPCR増幅した。PCR断片を制限酵素SpeIおよびSmaIで切断し、pUC18−ΔpurU::TT02−SMC::KmプラスミドのAvrII/SmaI部位にクローニングし、pUC18−ΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::Kmプラスミドを得た。組換えプラスミドをDNA配列決定法により確認した。
PL11/RBS012−pycre−F(配列番号37)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、SpeI、SalI、HpaIおよびMluI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(太字の大文字)は、λバクテリオファージPプロモーターの短鎖型(PL1 Giladi et al. 1995)と相同な、Kincade & deHaseth (1991)に記載されている−10ボックスに突然変異(G12T、下線を施した太字の文字)を保持する領域であり(このプロモーターをPL11と呼称する)、
・領域(斜体の大文字)は、最適リボソーム結合部位と相同な領域であり、
・領域(大文字)は、インゲン根粒菌のpyc遺伝子の5’開始点(1〜32)と相同な領域である。
pycre−TT07−R2(配列番号38)
Figure 2014522642
この配列において
・領域(小文字)は、SmaI、PacI、ScaI、SnaBI制限部位および余分な塩基に関する領域であり、
・領域(太字の大文字)は、T7te転写ターミネーター配列(Harrington et al. 2001)に関する領域であり、
・領域(大文字)は、インゲン根粒菌のpyc遺伝子の5’末端(3445〜3465)と相同な領域である。
第二に、pUC18−ΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::KmプラスミドをNsiI制限酵素で切断することによりΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::Km断片を得、その断片を、プロトコール1に従って、エレクトロポレーションによりMG1655 metA11 pKD46株に導入した。次に、カナマイシン耐性形質転換体を選択し、ΔpurU::TT02−PL11/RBS012−pycre−TT07::Km断片の挿入を、オリゴヌクレオチドpurU−pycre−FおよびpurU−pycre−Rを用いたPCR解析により確認した。確認済みの選択株をMG1655 metA 11 pKD46 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07:Kmと呼称した。
purU−pycre−F(配列番号39)
Figure 2014522642
この配列は、purU領域の配列(1288589〜1288608)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
purU−pycre−R(配列番号40)
Figure 2014522642
この配列は、purU領域の配列(1285868〜1285887)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
第3に、ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07::Km染色体修飾を、プロトコール2に従って、上記のMG1655 metA*11 pKD46 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07:Km株のP1ファージ溶解液を用いて、株10に形質導入した。カナマイシン耐性形質導入体を選択し、ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07:Km染色体修飾の存在を、プライマーpurU−pycre−FおよびpurU−pycre−Rを用いたPCRにより確認した。得られた株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB:RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07::Kmを株11と呼称した。
次に、カナマイシン耐性カセットを除去した。カナマイシン耐性カセットのFRT部位に作用するリコンビナーゼFLPを有するpCP20プラスミドを株11に導入した。37℃での一連の培養の後、カナマイシン耐性カセットが存在しないことを、従前に用いたものと同じオリゴヌクレオチド、purU−pycre−F/purU−pycre−Rを用いたPCR解析により確認した。得られた株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−met Ptrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR*(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL1l/RBS012−pycre−TT07を株12と呼称した。
3.株13および株14の構築
細胞内へのメチレンテトラヒドロ葉酸プールを増加させるために、gcvTHPオペロンによってコードされるグリシン開裂複合体を、このオペロンの1コピーをyjbI遺伝子座において染色体上に付加することにより過剰生産させた。gcvTHPのこの付加的コピーを、人工誘導性trcプロモーターおよび最適リボソーム結合部位を用いて発現させ、特許出願PCT/FR2012/051361号に記載されているΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07::Km染色体組み込みを得た。
ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07::Km染色体修飾を、プロトコール2に従って、特許出願PCT/FR2012/051361に記載されているMG1655 metA 11 pKD46 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07::Km株のP1ファージ溶解液を用いて、株12に形質導入した。カナマイシン耐性形質導入体を選択し、ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07::Km染色体修飾の存在を、特許出願PCT/FR2012/051361に記載されているプライマーyjbI−gcvTHP−FおよびyjbI−gcvTHP−Rを用いたPCRにより確認した。得られた株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07::Kmを株13と呼称した。
次に、カナマイシン耐性カセットを除去した。カナマイシン耐性カセットのFRT部位に作用するリコンビナーゼFLPを有するpCP20プラスミドを株13に導入した。37℃での一連の培養の後、カナマイシン耐性カセットが存在しないことを、従前に用いたものと同じオリゴヌクレオチド、yjbI−gcvTHP−FおよびyjbI−gcvTHP−Rを用いたPCR解析により確認した。得られた株、MG1655 metA 11 ΔtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07を株14と呼称した。
4.株15の構築
セリン経路への流れを増加させるために、特許出願PCT/FR2012/051361に記載されているプラスミドpCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01serC−TT072−Ptrc30/RBS01serA−TTadccaを株14に導入し、以下の株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB:RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07(pCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadcca)を得、株15と呼称した。
実施例7:株16および株17の構築
1.株16の構築
細胞へのグルコース取り込みを増加させるために、大腸菌PEP依存性糖ホスホトランスフェラーゼ(PTS)系の酵素をコードする複数の遺伝子の発現を制御する転写デュアルレギュレーター(a transcriptional dual regulator)をコードする遺伝子dgsA(またはmlc)を欠失させた。
dgsA遺伝子を欠失させるために、Keio変異株コレクションの大腸菌BW25113 ΔdgsA::Km株(Baba et al., 2006)を用いた。ΔdgsA::Km欠失をP1ファージ形質導入により(プロトコール2に従って)、BW25113 ΔdgsA::Km株から株14へと移入した。カナマイシン耐性形質導入体を選択し、ΔdgsA::Km染色体欠失の存在を、下に定義するプライマーdgsA−FおよびdgsA−Rを用いたPCRにより確認した。
確保した株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT0 7 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07 ΔdgsA::Kmを株16と呼称した。
dgsA−F(配列番号41)
Figure 2014522642
この配列は、dgsA領域の配列(1667067〜1667086)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
dgsA−R(配列番号42)
Figure 2014522642
この配列は、dgsA領域の配列(1664853〜1664872)(ウェブサイトhttp://www.ecogene.org/上に参照配列)と相同である。
2.株17の構築
細胞へのグルコース取り込みを増加させるもう一つの方法は、グルコースリン酸転移系の膜透過パートナーであるPtsG(IICGlc)を過剰生産することにある。株15のバックグラウンドにおいてptsGを過剰発現させるために、以下のプラスミドを構築した、pCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadcca
プラスミドpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaは、プラスミドpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07(実施例1の株2の構築において上記)および、特許出願PCT/FR2012/051361に記載されているプラスミドpCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01serC−TT072−Ptrc30/RBS01serA−TTadccaから誘導される。プラスミドpCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01serC−TT072−Ptrc30/RBS01serA−TTadccaから、制限酵素SnaBIおよびAvrIIを用いてPtrc30/RBS01serC−TT072−Ptrc30/RBS01serA−TTadcca断片を切断し、その断片をpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07プラスミドの平滑末端化したPacI部位にクローニングし、プラスミドpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaを得た。
次に、プラスミドpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaを株16に導入し、以下の株、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TTadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB::RN/Ptrc01/ARN01/RBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07 ΔdgsA::Km(pCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadcca)を得、株17と呼称した。
このプラスミドpCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07では、ptsG遺伝子の天然プロモーターならびに低分子RNA sgrSの結合部位は強力な人工プロモーターで置き換えられている(上の実施例1で記載した構築)。その結果として、ptsGは過剰発現されるが、そのmRNAはもはや調節されることなく、sgrSによる分解は起こらない。
誘導条件(培養物にIPTG添加)下で増殖させた株17におけるptsG遺伝子の過剰発現をqPCRにより確認した。
実施例8:株18の構築
株18は、プラスミドpCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadcca(特許出願PCT/FR2012/051361に記載)の修飾型を保持する株であり、すなわち、pCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaのクロラムフェニコール耐性遺伝子を、ゲンタマイシン耐性遺伝子により置き換え、プラスミドpCC1BACVB01−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaとしたものである。
pCC1BAC−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaプラスミドの抗生物質耐性遺伝子を置き換えるために、pCC1BACVB01−PlacIqlacI−TT02−Ptrc01/OP01/RBS012−ptsG−TT07プラスミドの構築について上に記載したものと同じ手順を用いた。
次に、プラスミドpCC1BACVB01−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadccaを株16に導入し、MG1655 metA 11 PtrcmetHtrcF−cysPUWAMtrcF−cysJIHtrc09−gcvTHPtrc36−ARNmst17−metFtrc07−serB ΔmetJ ΔpykF ΔpykA ΔpurU ΔyncA ΔmalS::TadcCI857−PλR(−35)−thrA 1−cysE ΔpgaABCD::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔuxaCA::TT07−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔCP4−6::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔwcaM::TT02−TTadc−PλR(−35)−RBS01−thrA 1−cysE−PgapAmetA 11 ΔtreBC::TT02−serAserC ΔmelB:RN/Ptrc01/ARN01/KBS012−pycre−TT07 ΔpurU::RN/PL11/RBS012−pycre−TT07 ΔyjbI::RN/Ptrc01/RBS01−gcvTHP−TT07 ΔdgsA::Km(pCC1BACVB01−TT02−Ptrc30/RBS01−serC−TT072−Ptrc30/RBS01−serA−TTadcca)株を得、株18と呼称した。
実施例9:振盪フラスコでの発酵によるL−メチオニンの生産
生産株を小エルレンマイヤーフラスコで評価した。5.5mLの前培養物を、混合培地(2.5g.L−1グルコースおよび90%最少培地PC1を含む10%LB培地(Sigma 25%))中で30℃で21時間増殖させた。それを用いて、OD600nmが0.2となるようにPC1培地(表2)の培養物50mLに植菌した。必要な場合には、抗生物質を、スペクチノマイシンは50mg.L−1の濃度で、クロラムフェニコールは30mg.L−1の濃度で、ゲンタマイシンは10mg.L−1の濃度で加えた。IPTGを、各実施例で示した異なる濃度で培養物に加えた。培養温度は37℃であった。培養物のOD600が5〜7に達したときに、細胞外アミノ酸を、OPA/Fmoc誘導体化後にHPLCにより定量し、他の関連代謝産物を、屈折率検出によるHPLC(有機酸およびグルコース)およびシリル化後のGC−MSを用いて分析した。各株について数回の反復を行った。
メチオニン収率は次のように表した:
Figure 2014522642
Figure 2014522642
異なる株におけるptsG過剰発現のメチオニン生産に対する影響
Figure 2014522642
表3で分かるように、メチオニン生産収率はptsGの過剰発現により大幅に増加する。20μΜのIPTGの場合に最大のptsG誘導が得られ(qPCRにより確認。データは示していない)、そのような条件下でメチオニンの最大生産も得られる。さらに、ptsG過剰発現は培養物中のケトメチルバレラート蓄積の減少も可能にする。
情報として、フラスコ内で培養した対照株1は、IPTGを添加しないで株2で得られた収率と同等のメチオニン生産収率を与える。
Figure 2014522642
トランスヒドロゲナーゼ発現を修飾した株4(pntABの過剰発現およびudhAの欠失)におけるptsGの過剰発現はホモランチオニンおよびケトメチルバレラートの産生の減少を可能にする。そのようなバックグラウンドでは、ptsGの過剰発現は、メチオニン生産収率を増大させないが最終産物の純度を明らかに向上させる。
これは、メチオニン生産株におけるグルコース取り込み増加効果の予測が容易ではなかったことを示す。
sgrSおよびsgrT欠失のメチオニン生産に対する影響
Figure 2014522642
上の表5で分かるように、メチオニン収率は遺伝子sgrSおよびsgrTの欠失により大幅に増加する。
SgrSはptsG mRNAの翻訳を直接的にも間接的にも阻害する。SgrSの5’末端は、PtsGの活性を調節する、43個のアミノ酸のオープンリーディングフレーム、sgrTを含む。株5では、sgrSおよびsgrTの両遺伝子が欠失しており、メチオニン生産に対する影響はプラス方向であり、ptsGの過剰発現の場合に得られた影響と同様である(表3を参照)。
実施例10:株1および株2を用いたバイオリアクターにおける発酵によるL−メチオニンの生産
続いて、フラスコ内で十分な量の目的代謝産物を生産した株を、流加法を用い、2.5L発酵槽(Pierre Guerin)において生産条件下で試験した。
2.5g.L−1グルコースを添加したLB培地10mLで増殖させた24時間培養物を用いて、最少培地(B1a)に24時間前培養物を植菌した。これらのインキュベーションは、50mLの最少培地(B1a)の入った500mLバッフル付フラスコで、回転式振盪培養機(200RPM)に入れて行った。1回目の前培養は30℃の温度で培養し、2回目の前培養は34℃の温度で培養した。
3回目の前培養工程はバイオリアクター(Sixfors)で行い、バイオリアクターには200mLの最少培地(B1b)を充填し、濃縮前培養物5mLをバイオマス濃度1.2g.L−1に植菌した。前培養温度は34℃で一定に保ち、pHは10%NHOH溶液を用いて6.8の値に自動調整した。溶存酸素濃度は、空気供給および/または撹拌により大気分圧飽和の30%の値に連続的に調整した。バッチ培地のグルコース枯渇後、流加を初期流速0.7mL.h−1で開始し、増殖速度0.13h−1で24時間、指数関数的に増加させ、最終細胞濃度約20g.L−1を得た。
Figure 2014522642
Figure 2014522642
Figure 2014522642
Figure 2014522642
続いて、2.5L発酵槽(Pierre Guerin)に600mLの最少培地(B2)を充填し、55〜70mLの間の範囲の前培養物量をバイオマス濃度2.1g.L−1に植菌した。
培養温度は37℃で一定に保ち、pHはNHOH溶液の自動添加(NHOH 10%を9時間、そして、培養終了まで28%)により作業値(6.8)に維持した。バッチ段階中、初期撹拌速度は200RPMに設定し、流加段階中は1000RPMまで速めた。バッチ段階中、初期気流速度は40NL.h−1に設定し、流加段階開始時に100NL.h−1まで速めた。溶存酸素濃度は撹拌回数を増やすことにより20〜40%の間の値、好適には、30%飽和に維持した。
細胞塊が5g.L−1に近い濃度に達したら、流加を初期流速5mL.h−1で開始した。供給溶液は、流速が上昇し26時間後には27mL.h−1に達するS字状プロフィールで14時間注入した。正確な供給条件は下式:
Figure 2014522642
(式中、Q(t)はバッチ容量600mLの場合の供給流速(mL.h−1)である)
により算出した。
14時間の間、パラメーターはp1=1.80、p2=22.40、p3=0.27、p4=6.50であり、その後、14時間から26時間まで、パラメーターはp1=2.00、p2=25.00、p3=0.40、p4=9.00であった。
26時間の流加後、供給溶液ポンプを止め、グルコース枯渇後に培養を停止した。
細胞外アミノ酸を、OPA/Fmoc誘導体化後にHPLCにより定量し、他の関連代謝産物を、屈折率検出によるHPLC(有機酸およびグルコース)およびシリル化後のGC−MSを用いて分析した。
Figure 2014522642
表10で分かるように、株2の培養中に適用されたIPTG濃度に関係なく、ptsG過剰発現はメチオニン生産を大幅に向上させる。株2におけるptsG遺伝子の構成的過剰発現(誘導条件:バッチ培地中20μΜ IPTG−流加培地中20μΜ IPTG)はメチオニン収率を増大させるための最良の条件である。
ptsGの発現の誘導はqPCRにより調べた。ptsG mRNAのレベルはIPTGを用いた株2および株3において対照株1よりもずっと高かった。図1の結果を参照。
ptsG過剰発現により、株2は培養中でもその終了時点でもグルコースを蓄積しない。それに比べて、野生型グルコース取り込みを行う株1は25時間の増殖後に強いグルコース蓄積を示す。残留グルコース濃度は、株1の場合には10g/Lを上回り、株2の場合には3g/L未満である。
グルコース取り込みの向上は、メチオニン生産を向上させるだけでなく、産物の純度も向上させる。
リアクター容量は、初期容量に、pH調節および培養物供給のために加える溶液の量を加算し、サンプリングに用いる容量と蒸発により損失する容量を減算することにより算出した。
流加容量は、供給ストックを秤量することにより連続的に追跡した。次に、注入重量、溶液の密度およびBrix法により決定されたグルコース濃度([グルコース])に基づいて、グルコース注入量を計算した。メチオニン収率は次のように表した。
Figure 2014522642
各株について培養中に得られた最大収率を本明細書に示した。
この場合、メチオニンおよびメチオニンはそれぞれ、初期メチオニン濃度および最終メチオニン濃度であり、VおよびVは初期容量およびt時点における容量である。
消費グルコースは次のように計算した:
Figure 2014522642
注入グルコース=流加容量 [グルコース]
消費グルコース=[グルコース] +注入グルコース−[グルコース]residual
この場合、[グルコース]、[グルコース]、[グルコース]residualはそれぞれ、初期グルコース濃度、流加グルコース濃度および残留グルコース濃度である。
実施例11
株15、株17および株18を用いたバイオリアクターにおける発酵によるL−メチオニンの生産
前培養条件は上に記載した(実施例10)。
続いて、2.5L発酵槽(Pierre Guerin)に600mLの最少培地(B2)を充填し、55〜70mLの間の範囲の前培養物量をバイオマス濃度2.1g.L−1に植菌した。バッチ培地B2の最終リン酸濃度は0〜20mMの間に含まれる値に調整した。
培養温度は37℃で一定に保ち、pHはNHOH溶液の自動添加(NHOH 10%を9時間、そして、培養終了まで28%)により作業値(6.8)に維持した。バッチ段階中、初期撹拌速度は200RPMに設定し、流加段階中は1000RPMまで速めた。バッチ段階中、初期気流速度は40NL.h−1に設定し、流加段階開始時に100NL.h−1まで速めた。溶存酸素濃度は撹拌回数を増やすことにより20〜40%の間の値、好適には、30%飽和に維持した。必要な場合には、バッチ培地および流加培地にIPTGを終濃度20μΜで加えた。必要な場合には、抗生物質を、カナマイシンは濃度50mg.L−1で、クロラムフェニコールは30mg.L−1で、ゲンタマイシンは10mg.L−1で加えた。
細胞塊が5g.L−1に近い濃度に達したら、流加を初期流速5mL.h−1で開始した。F2培地の最終リン酸濃度は5〜30mMの間に含まれる値に調整し、培養中にリン酸制限に達した。供給溶液は、流速が上昇し26時間後には27mL.h−1に達するS字状プロフィールで注入した。正確な供給条件は下式:
Figure 2014522642
(式中、Q(t)はバッチ容量600mLの場合の供給流速(mL.h−1)であり、p1=1.80、p2=22.40、p3=0.27、p4=6.50である)
により算出した。この流速は、10〜50%、好適には、全培養期間を通じて30%速められた。
26時間の流加後、供給溶液ポンプを止め、グルコース枯渇後に培養を停止した。
細胞外アミノ酸を、OPA/Fmoc誘導体化後にHPLCにより定量し、他の関連代謝産物を、屈折率検出によるHPLC(有機酸およびグルコース)およびシリル化後のGC−MSを用いて分析した。
Figure 2014522642
比グルコース消費速度(qs)は、ptsGの過剰発現に関連しているかどうかに関係なくdgsA遺伝子の欠失により増加した。さらに、メチオニンの生産収率(最大収率および最終収率の両方)がこれらの遺伝子修飾により上昇した。
メチオニン収率の定義については上の実施例10を参照。
比グルコース消費速度(qs)は次のように計算した。
Figure 2014522642
(式中、[X]はt時点における細胞濃度である)。
参照文献:
Figure 2014522642

Claims (14)

  1. メチオニン生産の向上のための組換え微生物であって、
    a)発酵により、主要な炭素源としてのグルコースからメチオニンを生産するための修飾、および
    b)グルコース取り込みを向上させるための修飾、ここで、該グルコース取り込みはptsGsgrTsgrS、またはdgsAから選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される、
    を含んでなる、組換え微生物。
  2. 遺伝子ptsGの発現が増大された、請求項1に記載の微生物。
  3. 遺伝子ptsGが、誘導プロモーターまたは構成プロモーターの制御下で過剰発現される、請求項2に記載の微生物。
  4. 遺伝子ptsGが低分子RNA sgrSの結合部位の配列を含まない、請求項2または3に記載の微生物。
  5. 遺伝子sgrSおよび/またはsgrTおよび/またはdgsAの発現が減弱された、請求項1〜4のいずれか一項に記載の微生物。
  6. 遺伝子sgrSおよび/またはsgrTおよび/またはdgsAが欠失された、請求項5に記載の微生物。
  7. 以下の遺伝子:pycpntABcysPcysUcysWcysAcysMcysJcysIcysHgcvTgcvHgcvPlpdserAserBserCcysEmetFmetHthrA、S−アデノシルメチオニンおよび/もしくはメチオニンに対するフィードバック感受性が低減された酵素をコードするmetA対立遺伝子(MetA )、またはトレオニンに対するフィードバック阻害が低減された酵素をコードするthrA対立遺伝子(thrA )の少なくとも一つの発現が増大された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の微生物。
  8. 少なくとも一つの遺伝子が誘導プロモーターの制御下にある、請求項7に記載の微生物。
  9. 以下の遺伝子:metJpykApykFpurUyncA、またはudhAの少なくとも一つの発現が減弱された、請求項1〜8のいずれか一項に記載の微生物。
  10. d)遺伝子pstGが過剰発現され、および/またはsRNA sgrS結合部位を含まず、および/または遺伝子sgrSが欠失され、および/または遺伝子sgrTが欠失され、および/または遺伝子dgsAが欠失され、
    e)遺伝子metA metHcysPUWAMcysJIHgcvTHPmetFserAserBserCcysEthrA 、およびpycの発現が増大され、かつ
    f)遺伝子metJpykApykFpurU、およびyncAの発現が減弱された、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の微生物。
  11. 前記微生物が腸内細菌科またはコリネバクテリウム科細菌由来のものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の微生物。
  12. 前記微生物が大腸菌である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の微生物。
  13. メチオニンまたはメチオニン誘導体の発酵生産のための方法であって、
    a)請求項1〜14のいずれか一項に記載の組換え微生物を、グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で培養する工程、および
    b)前記培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程
    を含んでなる、方法。
  14. メチオニンまたはメチオニン誘導体の発酵生産のための方法であって、
    a)グルコースを含有する発酵性炭素源と、硫黄源とを含んでなる適当な培養培地中で、
    i.発酵により、主要な炭素源としてのグルコースからメチオニンを生産するための修飾、および
    ii.グルコース取り込みを向上させるための修飾、ここで、該グルコース取り込みはptsGsgrTsgrS、またはdgsAから選択される少なくとも一つの遺伝子の発現を修飾することにより向上される、
    を含んでなる組換え微生物を培養する工程、および
    b)該培養培地からメチオニンまたはメチオニン誘導体を回収する工程
    を含んでなる、方法。
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