JP2014520247A - タンパク質の質量分析のための定量基準 - Google Patents

タンパク質の質量分析のための定量基準 Download PDF

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Abstract

本発明は、試料中の標的ポリペプチドの絶対量を測定する方法であって、以下の工程:(a)前記試料に(aa)(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)標的ポリペプチドの部分配列を含む融合ポリペプチドを添加し、(ab)前記試料に(aa)による前記タグ配列を含む又はからなるタグポリペプチドの既知の絶対量を添加して、一方の前記融合ポリペプチドが他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば一方の前記融合ポリペプチドと、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドとが、異なって同位体標識される工程;(b)工程(a)で得た混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程;(c)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(b)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程;並びに(d)前記標的ポリペプチドの絶対量を(i)前記融合ポリペプチド、前記タグポリペプチド及び前記標的ポリペプチドの工程(c)で得た質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知絶対量から決定する工程を含む方法を提供する。

Description

本発明は、試料中の標的ポリペプチドの絶対量を決定する方法であって、以下の工程:(a)前記試料に(aa)(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)標的ポリペプチドの部分配列を含む融合ポリペプチドを添加し、(ab)前記試料に(aa)による前記タグ配列を含む又はからなるタグポリペプチドの既知絶対量を添加して、一方の前記融合ポリペプチドが、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば一方の前記融合ポリペプチドと、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドとが、異なって同位体標識される工程;(b)工程(a)で得た混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程;(c)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(b)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程;並びに(d)前記標的ポリペプチドの絶対量を(i)前記融合ポリペプチド、前記タグポリペプチド及び前記標的ポリペプチドの工程(c)で得た質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知絶対量から決定する工程を含む方法に関する。
本明細書において、特許出願及び製造会社の指示書を含む多数の文献が引用されている。これらの文献の開示は、本出願の特許性に関連すると考えられないが、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。より詳細には、全ての参考文献は、まるでそれぞれ個別の文献が明確かつ個別に参照として組み込まれることが示されているのと同じ程度で、参照として組み込まれる。
質量分析(MS)に基づいたプロテオミクスは、世界的にタンパク質を研究する選択法になっている(1〜3)。質量分析は、本質的に定量的ではないが、方法はこの制限に対してある程度取り組むために開発されてきた。それらの大部分は、安定同位体に基づいており、目的のペプチドの質量シフト型を導入し、次に「重」と「軽」の比を定量化するものである。安定同位体標識化は、標識試薬の化学的添加、酵素的同位体標識化又は代謝標識化のいずれかにより達成される(4〜6)。一般に、これらの手法は、軽及び重標識試料におけるプロテオーム発現レベルの相対的な定量情報を得るために使用される。例えば、細胞培養液中のアミノ酸による安定同位体標識化SILAC(7,8)は、軽又は重標識のように異なって標識された標識アミノ酸をプロテオームに代謝的に組み込むことによって実施される。標識プロテオームを、スパイクイン(spike-in)SILAC手法(9)のような、目的の細胞又は組織プロテオームのタンパク質レベルを決定する内部基準として使用することもできる。
絶対定量化は、相対定量化と比べて技術的により困難であり、今までのところ、一度に単一又は少数のタンパク質のためにしか正確に実施することができない(10)。絶対定量化の典型的な適用は、タンパク質の細胞コピー数(システム生物学のために重要)又は体液中のバイオマーカーの濃度(医療用途のために重要)の決定である。更に、任意の絶対定量化の正確な方法は、1つを超える試料において実施されるとき、これらの試料の間で相対量のタンパク質も生じる。
AQUA(11)、QConCAT(12,13)、PSAQ(14)、絶対SILAC(15)及びFlexiQuant(16)を含む幾つかの絶対定量化の方法が、最近数年間出現している。これらは、全て、試料にスパイクされた標識対応物の確定量に対する重対軽の比により目的の内在性タンパク質を定量化し、主に、重標識ペプチド又は重標識完全長タンパク質のいずれかをスパイクすることにより互いに区別される。AQUA戦略は、重同位体により化学的に合成され、かつ試料調製後にスパイクされたプロテオタイプ(proteotypic)ペプチド(17)を使用する。AQUAペプチドは、市販されているが、特に多くのペプチド又はタンパク質が定量化される必要がある場合に高価である(例えば、Kettenbachら、ネイチャープロトコール(Nat Protoc.)2011年、6:175〜86を参照すること)。更に、AQUA戦略は、ワークフローの後半段階である試料調製及び酵素的タンパク質分解の後のスパイクインにより導入された、ペプチド基準の定量化不確実性に苦しんでいる。更に、例えば保存中のペプチドの損失は、定量化の結果に直接的な影響を与える。QconCAT手法は、プロテオタイプペプチドのコンカテマーである人工タンパク質に基づいている。この人工タンパク質は、大腸菌において組換え的に発現され、タンパク質分解の前に試料にスパイクされる。QconCATは、標識ペプチドの産生を可能にするが、タンパク質分別効果又は消化効率から生じるあらゆる偏りを修正しない。PSAQ、絶対SILAC及びFlexiQuant手法は、重型のアミノ酸であるアルギニン及びリシンにより完全長タンパク質を代謝的に標識して、これらの制限に取り組もうと試みている。PSAQ及びFlexiQuantは、コムギ麦芽抽出物又は細菌細胞抽出物のそれぞれにおいてインビトロで完全長タンパク質を合成し、一方、絶対SILACは、大腸菌における組換えタンパク質発現を用いて記載された。タンパク質基準は、初期段階に、例えば細胞溶解産物に直接的に添加される。それによって、試料分別を並行して実施することができ、SILACタンパク質は、調査されるプロテオームと一緒に消化される。しかし、これらの利点は、完全長のタンパク質を産生させる費用と共にあり、このことが処理量を制限し、一般にこれらの方法は可溶性タンパク質に限定されている。
従って、ペプチド及びポリペプチドの質量分析に基づいた絶対定量化の改善された又は代替的な手段及び方法についての満たされていない必要性が存在する。
本発明は、試料中の標的ポリペプチドの絶対量を決定する方法であって、以下の工程:(a)前記試料に(aa)(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)標的ポリペプチドの部分配列を含む融合ポリペプチドを添加し、(ab)前記試料に(aa)による前記タグ配列を含む又はからなるタグポリペプチドの既知の絶対量を添加して、一方の前記融合ポリペプチドが他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば一方の前記融合ポリペプチドと、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドとが、異なって同位体標識される工程;(b)工程(a)で得た混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程;(c)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(b)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程;並びに(d)前記標的ポリペプチドの絶対量を(i)前記融合ポリペプチド、前記タグポリペプチド及び前記標的ポリペプチドの工程(c)で得た質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知絶対量から決定する工程を含む方法を提供する。
用語「絶対量」は、通常の意味を有し、相対量と、すなわち発現分析において、おそらくmRNA発現プロファイリング又はプロテオミクス法により一般的に決定される比と異なる。特に、用語「絶対量」は、例えば細胞における所定のタンパク質又はポリペプチドの物質のコピー数又は量、或いは確定容量における又は尿若しくは血漿のような体液のng/mLのような試料における量を意味することが理解される。換言すると、前記絶対量は、物質の濃度、質量又は量(分子のモル又は数)で表すことができる。
用語「ポリペプチド」は、当該技術において十分に確立されており、アミノ酸、好ましくは20個の標準的なアミノ酸の重縮合物を意味する。用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用されるときペプチドも包含し、ここでペプチドは、最小長さの2個のアミノ酸を有することが理解される。その一方で用語「ポリペプチド」は、タンパク質を、少なくともそのようなタンパク質が単鎖からなる限りにおいて含む。次いでタンパク質は、1つを超えるポリペプチド鎖を含むこともできる。
本発明の方法は、また、タンパク質が1つを超えるポリペプチド鎖を含む限り、タンパク質の絶対量を決定するのに同様に適していることが理解される。そのような場合では、タンパク質に含まれるポリペプチド鎖のモル比が不明であると仮定すると、目的のタンパク質に含まれる1個のポリペプチドの絶対量を決定することが十分でありうる。あるいは、目的のタンパク質に含まれる1個を超える又は全てのポリペプチドの絶対量を、本発明の方法により決定することができる。
「融合ポリペプチド」は、本発明によると、異なる由来の少なくとも2つのセグメントを含むポリペプチドである。より詳細には、本発明の融合ポリペプチドは、列挙された試料に含まれる又は含まれると推定されるタグアミノ酸配列及び標的ポリペプチドの部分配列の存在を必要とする。1つを超えるタグアミノ酸配列が存在すると意図的に想定される。これは、以下において更に考察される好ましい実施態様の主題である。更にこれは、含まれた実施例において例示され、図1により示されている。融合ポリペプチドの好ましい実施態様が下記において更に記載されており、タンパク質エピトープシグネチャータグ(PrEST)を含む。一方では標的プロテオーム、他方ではタグ配列のタンパク質分解性消化が、ペプチドの別個の2セット又は25%未満、10%未満、5%未満、2%未満若しくは1%未満が重複している少なくともペプチドの2セットを生じるように、前記タグ配列が選択されることが好ましい。「標的プロテオーム」は、典型的には単一種に由来するプロテオームである。標的プロテオームは、前記標的ポリペプチドを含む。好ましいプロテオームは、ヒトプロテオームである。1つを超えるタグ配列が存在する場合、タグ配列は互いに異なることが理解される。特に、前記融合ポリペプチドに存在する第1タグ配列のタンパク質分解性消化により得られるペプチドのセット及び前記融合ポリペプチドに存在する第2タグ配列(また、任意の更なるタグ配列)のタンパク質分解性消化により得られるペプチドのセットは、分離している、すなわち同じ配列のペプチドを共有しない。参照が本明細書においてタンパク質分解性消化により得られるペプチドの分離セットに対してなされる場合、ペプチドのセットは、最小長さ以上のペプチドに関して特に分離しており、前記最小長さは、少なくとも4、5、6、7、8又は9個のアミノ酸であることが理解される。
用語「部分配列」は、その最も広義な形態において、検出される標的ポリペプチドの任意の部分配列を意味し、更に、前記標的ポリペプチドの配列全体を含む。好ましい実施態様において、前記部分配列は、標的ポリペプチドの部分配列であり、前記標的ポリペプチドの配列全体は除外される。前記部分配列の好ましい長さ範囲は、下記において更に考察される。
用語「同位体」は、同じ数の陽子(原子番号)を有するが、異なる数の中性子を有する2つ以上の核種を意味する。質量数におけるそのような差は、質量スペクトルにおいて一方の同位体標識化合物又はフラグメントが他方の非標識対応物と異なるピーク位置をもたらす。好ましい同位体は、重水素、13C及び15Nである。
用語「標識される」は、天然に生じる頻度から逸脱する同位体の頻度を意味する。好ましい実施態様において、用語「同位体標識される」は、同じ原子番号の原子が考慮される限り、所定の同位体を独占的に含有する化合物、部分、フラグメント又は分子を意味する。例えば、好ましい同位体標識リシンは、全ての炭素位置に13C核種を有する。好ましい実施態様において、全てのリシン及び/又は全てのアルギニンのように1個以上の特定のアミノ酸が同位体標識される。適切な同位体標識アミノ酸残基が、下記において更に提示されている。
用語「異なって標識される」又は「異なって同位体標識される」は、本明細書で使用されるとき、複数の標識化スキームを意味する。特に、一方が標識され、他方が標識されないのであれば、2個のポリペプチドが異なって標識されるには十分である。同様に想定されることは、一方のポリペプチドが1つの特定の方法により同位体標識され、他方のポリペプチドも同位体標識されるが、異なった方法でされることであり、その結果は、両方のポリペプチドが同位体の天然に生じる頻度を示さず、質量スペクトルにおいて区別されうることである。「異なって同位体標識される」は、本発明によると、タンパク質分解性消化を受けて、(i)第1及び第2ペプチドが、配列は同一であるが、質量が異なって融合ポリペプチドに含まれるように、少なくとも第1ペプチドが標的ポリペプチドから形成され、少なくとも第2ペプチドがその部分配列から形成され、(ii)第3及び第4ペプチドが、配列は同一であるが、質量が異なって融合ポリペプチドに含まれるように、少なくとも第3ペプチドがタグポリペプチドから形成され、少なくとも第4ペプチドがタグ配列から形成されるものであると理解される。これは、例えば、内部標識を含む標識ポリペプチドにより達成することができ、1個以上の所定のアミノ酸がそれぞれ現れるときに標識され、前記アミノ酸は、好ましくは、タンパク質分解性消化に使用される酵素により認識される切断部位に含まれるものである。そのような好ましいアミノ酸は、本明細書の他の部分に記載されているように、リシン及び/又はアルギニンである。まとめると、一方の前記縮合ポリペプチドと他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドは、異なって内部的に同位体標識されることが好ましい。用語「内部」は、標識と関連して本明細書で使用されるとき、末端標識と区別されることが理解される。
一般的に言えば、本開示において「異なって標識される」又は「異なって同位体標識される」と称される場合、これらの用語は好ましい実施態様に関連することが理解される。より一般的には、同位体標識化が含まれるが、これに限定されない質量変更の任意の手段が想定される。用語「質量変更」及び「質量変更された」は、本明細書で使用されるとき、質量に関して違いをつけるため、異なる供給源及び同一の配列から得られるペプチド(又はポリペプチド)に提供する全ての手段及び方法を意味する。同位体標識化は、この目標を達成する1つの好ましい手段である。当該技術において知られている代替的な方法は、相対及び絶対定量化における等圧タグ(iTRAQ)の使用である。この方法は、同位体コード共有タグを使用する(例えば、Rossら、分子及び細胞のプロテオミクス(Mol. Cell. Proteomics)3、1154〜69、2004年を参照すること)。好ましくは、iTRAQは、ペプチド及びポリペプチドのN末端及び側鎖アミンの共有標識化に基づいている。適切な作用物質は、当該技術において知られており、その例には、4−plex及び8−plexと呼ばれる作用物質が含まれる。実体Aが実体Bと比較して質量変更されていると記述される場合、実体A又は実体Bのいずれかが、例えば異なる同位体標識化又はiTRAQの意味の共有タグの存在によって、天然に生じる形態から逸脱していることが理解される。
「少なくとも一方の前記融合ポリペプチドと、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドとが、異なって同位体標識される」という、主な実施態様に引用されている要件に目を向けると、前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドは、同じ方法により若しくは異なる標識化パターンに従って同位体標識されうること又は前記融合ポリペプチドが同位体標識される場合、両方とも非標識でありうることが注目される。より詳細には、少なくとも以下の標識化スキームが包含される。(1)前記融合ポリペプチドは同位体標識され、前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドは両方とも同位体標識されない。(2)前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドは同位体標識され、前記融合ポリペプチドは同位体標識されず、ここで標的ポリペプチド及びタグポリペプチドは、同じ方法により又は異なる標識化パターンに従って同位体標識される。(3)標的ポリペプチド、融合ポリペプチド及びタグポリペプチドから選択されるポリペプチドは同位体標識されない又は第1パターンに従って同位体標識され、同じ群から選択される第2のポリペプチドは第2パターンに従って同位体標識され、群の残りのポリペプチドは第3パターンに従って同位体標識される。標識化スキーム(3)の3つのパターン(又はポリペプチドのうちの1つが同位体標識されない場合は2つのパターン)は、例えば、1個以上の所定のアミノ酸の2又は3つの同位体標識形態を使用して実施することができ、前記2又は3つの同位体標識形態は、総質量が異なっている。(3)に従った例示的な標識化スキームは以下である。標的ポリペプチドは同位体標識されず、融合ポリペプチドは同位体標識され(「ヘビー級(heacy weight)」形態)、タグポリペプチドは、例えば「ミドル級(middle weight)」又は「超ヘビー級(extra heavy weight)」形態のいずれかで提供されるように異なるパターンに従って同位体標識される。そのような標識化スキームは、タグポリペプチドのタンパク質分解産物を試料の消化により誘導することもできると推定される場合、例えば、試料がヒトであり、タグがヒトタンパク質又はそのドメイン若しくはセグメントである場合、特に好ましいことがある。
用語「標識化スキーム」は、本明細書で使用されるとき、異なるポリペプチドを区別するものである。所定の標識化スキームでは、ポリペプチドの部類(部類は、標的ポリペプチド、タグポリペプチド及び融合ポリペプチドである)が、同じ方法により、例えばリシンが生じる全ての位置への13C標識リシンの組み込みにより標識される。標識化スキームは、異なる部類が異なって標識されることを提供する。その一方で用語「標識化パターン」は、所定のポリペプチドの異なる標識形態を区別する。例えば、特定のポリペプチドは、リシンの全ての出現を13C標識リシンに代えること又は全ての位置のアルギニンを1315N標識アルギニンに代えることによって標識することができ、それによって標識化パターンを異なったものにすることができる。
同位体標識化の多様な手段は当業者の自由裁量に任され、標識試薬の化学的添加、酵素同位体標識化又は代謝標識化が含まれる(4〜6)。
本発明によると、同位体標識化は代謝標識化により導入されることが好ましい。換言すると、本発明の方法に使用されるポリペプチドは、標識されることが求められる限り、好ましくは無細胞系のみならず細胞系のような生体系での産生により得られる。例えば、リシン及び/又はアルギニンに対して栄養要求性である宿主細胞を使用することができ、同時に、同位体標識リシン及び/又はアルギニンが増殖培地にもたらされる。代謝同位体標識化の好ましい手段は、細胞培養液中のアミノ酸を用いた安定同位体標識化(SILAC)である。SILAC手順は、当該技術において知られており、本明細書上記の背景技術のセクションのみならず、参照として本明細書に組み込まれるそれに関連して引用された参考文献に記載されている。上記に記述されたように、同位体標識化が高質量数の同位体を使用する限り、標識形態は一般的に「ヘビー(重)」形態と呼ばれ、一方、天然に生じる対応物又は考慮される重同位体を含有しない若しくは実質的に含有しない対応物は、一般的に「ライト(軽)」形態と呼ばれる。
列挙された「タグポリペプチドの既知絶対量」は、当該技術において確立された方法により決定することができる。好ましい方法はアミノ酸分析である。アミノ酸分析は、典型的には多様な会社によりサービスとして提供される。方法には、好ましくは、所定の試料の全加水分解、得られた遊離アミノ酸の化学誘導体化、例えば逆相HPLCによる誘導体化アミノ酸の分離、続く結果の解釈が含まれる。方法は、例えばMoore及びStein、生化学ジャーナル(J. Biol. Chem.)176、367〜388(1948年)並びにMoore及びStein、生化学ジャーナル176、337〜365(1948年)により詳細に記載されている。
本発明の方法は、一方では融合ポリペプチドの第1部分配列が標的タンパク質の部分配列と同一であること、他方では融合ポリペプチドの第2部分配列がタグポリペプチドと同一であることを必要とする。更に、アミノ酸配列が同一であったとしても、融合ポリペプチドの第1部分配列の質量と標的ポリペプチドの対応物の質量が別個である必要がある。同様に、融合ポリペプチドの第2配列の質量とタグポリペプチドの質量も別個である必要がある。このことは、上記に記載された標識化スキームにより達成することができる。このことは、融合ポリペプチド内のタグ配列とタグポリペプチド、並びに前記融合ポリペプチドに含まれた前記部分配列と標的ポリペプチドポリペプチドの定量比較を可能にする。
工程(b)は、質量分析法により都合良く扱うことができるフラグメントを生じる、当該技術において十分に確立されているタンパク質分解性消化を提供する。タンパク質分解性消化に使用するのに好ましい酵素は、下記において更に記載される。前記タンパク質分解性消化は特異的であること、すなわち切断は使用される酵素の全ての切断部位において生じることが好ましい。その一方で、本明細書に記載されているように、本発明の方法は、不完全な消化により導入される偏りの回避を提供する。
タンパク質分解性消化に続いて、質量分光分析が実施される。イオン化ペプチド分子が質量分析計の真空系に移動される。好ましい稼働様式において、当該技術の実務家に広く知られているように、質量分析計は、そのときに機器に進入するペプチドの質量スペクトルを記録する質量分析走査を実施するように稼働する。定量化は、この質量分析(又はMS)走査に存在するピークに基づいている。含まれる実施例は、質量分析計の適切な稼働様式のより詳細な説明を提供する。分析される試料の性質、試料に含まれると推定されるポリペプチド及び利用可能な機器類に応じて、当業者は適切な稼働様式を選択することができる。
タンパク質分解性消化の実施を考慮すると、(aa)による前記タグ配列を含むタグポリペプチド又は(aa)による前記タグ配列からなるタグポリペプチドは、交換可能に使用することができる。好ましくは、いずれの場合においても、1つ以上の同じタグフラグメントがタンパク質分解性消化の際に生じる。
質量分光分析を実施する前に、タンパク質分解性消化の結果を、当該技術において確立されているクロマトグラフィーに付すことができる。クロマトグラフィーの好ましい手段は、液体クロマトグラフィー(LC)である。好ましい稼働様式では、ペプチド混合物が液体クロマトグラフィーカラムに注入され、有機溶媒の勾配により数分間から数時間かけて分離され、オンラインエレクトロスプレーされる。
工程(d)は、絶対量、特に試料に含まれる標的ポリペプチドの絶対量を測定するために、質量スペクトルから得た情報(相対強度として見なすことができる)をタグポリペプチドの既知絶対量と組み合わせる。更に説明するために、本明細書上記に紹介された第1〜第4ペプチドの用語法を使用して、所定の標的ポリペプチドの絶対量を例えば以下のように決定することができる。物質の量の比は、対応するピークのMSスペクトルにおける強度の比と同一である。第1〜第4ペプチドの短縮名称として1〜4の番号を使用して、以下が当てはまる。第4ペプチド(融合ペプチドに含まれるタグ配列から誘導されるタンパク質分解フラグメント)の物質の量N(4)は、N(4)=N(3)×I(4)/I(3)に従って決定することができる。N(3)は、タグポリペプチドの既知絶対値である。I(3)及びI(4)は、対応するピーク強度である。融合ポリペプチドの定義を考慮すると、N(2)=N(4)が当てはまり、すなわち融合ポリペプチドのどちらの部分から形成されるペプチドの物質の量でも同一である。次に標的ポリペプチドの物質の量N(1)は、以下のように決定することができる:N(1)=N(2)×I(1)/I(2)。N(2)=N(4)及びN(4)=N(3)×I(4)/I(3)を使用し、続いてN(1)=N(3)[I(1)I(4)/I(2)I(3)]となり、これは、ピーク強度I(1)〜I(4)及びタグポリペプチドの既知絶対値N(3)に基づいた標的ポリペプチドの絶対定量化を可能にする。実践において、比は幾つかのペプチド、すなわちタグ配列及び標的ポリペプチド配列にわたる1つを超えるペプチド対の強度の比の平均として通常決定されることに留意すること。
本発明の方法は、3つの別個の種の特異的標的化スキームを使用し、標的化スキームは上記に記載されている。本発明の方法の主な特徴は、融合ポリペプチドの使用であり、前記融合ポリペプチドは、本明細書において「タグ配列」とも呼ばれる少なくとも1つの一般的な配列を含有する。既知絶対量における上記に定義されたタグポリペプチドが付随的に提供することは、定量的に決定される実際のポリペプチドから有利に独立した方法で較正を可能にすることである。
上記において考察された多様な従来技術の方法から逸脱して、本発明の方法は、ワークフロー全体において基準(主な実施態様の場合、前記既知絶対量のタグポリペプチド)の初期添加を提供する。その結果として、タンパク質分解性消化及び任意のクロマトグラフィーを含む下流工程は、基準及び分析される試料の構成成分の両方に等しく適用される。例えばタンパク質分解性消化の効率又は性能におけるばらつきは、工程(a)において得られる混合物の全ての構成成分に等しく影響を与え、それによって、生じうるあらゆる偏りが回避される。好ましい実施態様において、サイズ排除クロマトグラフィーのようなタンパク質の大きさに基づいた方法は、前記の添加の後に使用されない。
非常に少ないタンパク質存在量の正確なタンパク質定量化が困難であることは、プロテオミクスの実務家に良く知られている。しかし、融合タンパク質基準それ自体の正確な定量化は、決定されるポリペプチドの細胞存在量又は他の特徴によって左右されず、同じ量の融合ポリペプチドが、好ましくは本発明の方法のそれぞれの場合に使用されることが留意される。また、添加される前記融合ポリペプチドを含む組成物の純度は、方法が総タンパク質ではなく、融合ポリペプチドの量を特異的に決定するので、影響を与えない。
本明細書に含まれる実施例においてより詳細に考察されるように、本発明の方法は、細胞タンパク質発現レベルの定量的決定の正確性に有意な改善をもたらす。方法の更なる利点は、典型的には、基準の正確な定量化及び絶対定量化される標的ポリペプチドの両方のため、幾つかの定量化できるペプチドをそれぞれの融合ポリペプチドにもたらすことである。更に、タンパク質発現を標準的な系(例えば、大腸菌)において実施することができるため、そして好ましい実施態様においては比較的短い特有の配列だけが異なるので、多数の融合ポリペプチドを同様の条件下で産生することができるため、基準の産生を合理化することができる。
第2態様において、本発明は、定量基準を作り出す方法であって、以下の工程:(a)(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)定量的に測定される標的ポリペプチドの部分配列をそれぞれが含む複数の融合ポリペプチドを準備し、全ての融合ポリペプチドが、少なくとも1つのタグ配列を共有し、それにより基準を得る工程;(b)(ba)(a)の融合ポリペプチドのうちで共有されているタグ配列を含む又はからなる既知量のタグポリペプチドを、1回につき1つの前記融合ポリペプチドに添加して、前記融合ポリペプチドが、前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば前記融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドが異なって同位体標識される工程、(bb)工程(ba)で得た1個の融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドの混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程、(bc)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(bb)のタンパク質分解性消化の結果を質量分光分析に付す工程、並びに(bd)(i)融合ポリペプチド及びタグポリペプチドの質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知量から前記1個の融合ポリペプチドの絶対量を決定し、それにより1回につき1個の前記融合ポリペプチドの絶対量を得る工程によって、前記融合ポリペプチドの絶対量を決定する工程を含む方法を提供する。
第2態様は下記において更に考察される多重化の選択肢を提供するが、前記第2態様は、複数の融合ポリペプチドの使用に限定されないことが留意される。したがって、本発明は、定量基準を作り出す方法であって、以下の工程:(a)1個の融合ポリペプチドを準備し、1個の融合ポリペプチドが、(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)定量的に測定される標的ポリペプチドの部分配列を含み、それにより基準を得る工程;(b)(ba)(a)の1個の融合ポリペプチドに含まれているタグ配列を含む又はからなる既知量のタグポリペプチドを1つの融合ポリペプチドに添加して、前記融合ポリペプチドが、前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば前記融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドが異なって同位体標識される工程、(bb)工程(ba)で得た1個の融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドの混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程、(bc)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(bb)のタンパク質分解性消化の結果を質量分光分析に付す工程、並びに(bd)(i)融合ポリペプチド及びタグポリペプチドの質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知量から前記1つの融合ポリペプチドの絶対量を決定し、それにより1個の融合ポリペプチドの絶対量を得る工程によって、前記融合ポリペプチドの絶対量を決定する工程を含む方法も提供する。
換言すると、融合ポリペプチド調製物の一部は、既知量のタグポリペプチドと組み合わされ、ここで融合ポリペプチドは、標的ポリペプチドと比較して質量変更されている。この二成分混合物は、タンパク質分解性消化、質量分光分析及び定量化に付されて、融合ポリペプチド部分の絶対量をもたらし、この量から、調製物における融合ポリペプチドの正確な濃度を計算することができる。したがって、単一融合ポリペプチドの定量基準がもたらされる。次に、定量基準の少なくとも一部が、分析される試料に添加され、その後、得られた混合物のタンパク質分解性消化が実施される。タンパク質分解性消化の結果は、場合によりクロマトグラフィーの後で質量分光分析に付される。次に標的ポリペプチドの絶対量は、(i)融合ポリペプチド及び標的ポリペプチドの質量スペクトルのピーク強度及び(ii)融合ポリペプチドの既知絶対量から決定され、ここで前記融合ポリペプチドは、前記標的ポリペプチドと比較して質量変更されている。
したがって、前記第2態様は、1つの融合ポリペプチド及びその複数の両方の使用を網羅するより簡潔な形態において、定量基準を作り出す方法であって、以下の工程:(a)1個又は複数の融合ポリペプチドを準備し、1個の融合ポリペプチド又はそれぞれの前記融合ポリペプチドが、それぞれ、(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)定量的に測定される標的ポリペプチドの部分配列を含み、前記複数の融合ポリペプチドが準備される限り、全ての融合ポリペプチドが少なくとも1つのタグ配列を共有し、それにより基準を得る工程;(b)(ba)それぞれ(a)の1個の融合ポリペプチドに含まれる又は融合ポリペプチドのうちで共有されるタグ配列を含む又はからなる既知量のタグポリペプチドを、1回につき1個の融合ポリペプチド又は前記融合ポリペプチドの1個に、それぞれ添加して、前記融合ポリペプチドが、前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば前記融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドが異なって同位体標識される工程、(bb)工程(ba)で得た1個の融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドの混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程、(bc)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(bb)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程、並びに(bd)(i)融合ポリペプチド及びタグポリペプチドの質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知量から前記1個の融合ポリペプチドの絶対量を決定し、それにより1回につき1個の融合ポリペプチド又は前記複数の融合ポリペプチドのうちの1個の絶対量をそれぞれ得る工程によって、前記融合ポリペプチドの絶対量を決定する工程を含む方法に関することが理解される。
関連して、本発明は第3態様において、試料中の1個以上の標的ポリペプチドの絶対量を決定する方法であって、以下の工程:(a)場合により第2態様の方法を実施する工程;(b)第2態様で定義された定量基準を前記試料に添加する工程;(c)工程(b)で得た混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程;(d)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(c)のタンパク質分解性消化の結果を質量分光分析に付す工程;並びに(e)(i)融合ポリペプチド及び標的ポリペプチドの工程(d)で得た質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記融合ポリペプチドの既知絶対量から標的ポリペプチドの絶対量を決定し、前記融合ポリペプチドが前記標的ポリペプチドと比較して質量変更されている、例えば前記1個以上の標的ポリペプチドが前記融合ポリペプチドと異なって同位体標識されている工程を含む方法を提供する。
主な実施態様は単一の質量実験から1個のポリペプチドの絶対定量化を提供するが、本発明の第2及び第3態様は、(i)基準の調製及び定量化、並びに(ii)試料に含まれる複数のポリペプチドの1個以上の定量化におけるこの基準の使用に関する。重要なことは、そのような手法が多重化に容易に適合することである。換言すると、試料に含まれる1個のみならず、複数のポリペプチドを同時に定量的に決定することができる。
第2態様によると、1個又は複数の融合ポリペプチドが準備される。第2態様の工程(b)によると、1回につき1個の融合ポリペプチドが既知量のタグポリペプチドと組み合わされる。この二成分混合物をタンパク質分解性消化、質量分光分析及び定量化に付して、1回につき1個の前記融合ポリペプチドの絶対量をもたらす。基準に含まれる1個、それ以上又は全ての融合ポリペプチドについて第2態様の工程(b)を実施することによって、基準は、定量的に特徴決定され、本発明の第3態様の方法に使用することができる。第2態様の方法は、工程(a)において定量基準の物理的製造を提供し、工程(b)において構成成分融合ポリペプチドの絶対量に関する特徴決定を提供する。好ましい定量基準は、本明細書において「PrESTマスターミックス」とも呼ばれる。
第3態様の方法は、工程(a)によると、本発明の第2態様の定量基準を作り出す方法の全体を組み込むことができる。あるいは、工程(a)を省くことができる。その場合、工程(b)により添加される定量基準は、第2態様の工程(b)により特徴決定されることが理解される。
従って、1つの実施態様において、内部基準(すなわち、融合ポリペプチド)は、内部基準の内部基準(すなわち、タグポリペプチド)を使用して第1工程において定量化され、試料中の標的タンパク質は、定量化された内部基準(すなわち、第1工程で定量化された融合ポリペプチド)を使用して続く第2工程において定量化される。この実施態様において、第1工程は、定量化融合ポリペプチドを提供する会社の施設のような1つの場所で実施することができ、一方、第2工程は、生物学的試料中のタンパク質が診断目的で定量化される実験室のような別の場所で実施される。
第3態様において列挙されているように、前記1個以上の標的ポリペプチドは、前記融合ポリペプチドと比較して質量変更されている、好ましくは異なって同位体標識されている。換言すると、前記融合ポリペプチドが同位体標識されないこれらの場合において、試料に含まれる1個以上の標的ポリペプチドが同位体標識されている試料を調製する必要がある。その一方で、同位体標識試料を調製する要件は、前記融合ポリペプチドが同位体標識される第3態様に該当する実施態様では生じない。
好ましい実施態様では、前記試料中の標的ポリペプチドの異なる部分配列を含む1個を超える融合ポリペプチドが使用される。この実施態様によると、1個を超える融合ポリペプチドが、1個の所定の標的ポリペプチドの定量化に使用される。この態様は、本明細書に含まれる実施例において更に記載されており、改善された精度及び統計的有意性を提供する。
更に好ましい実施態様において、1又は2つのタグが前記融合ポリペプチドに存在し、前記タグは、精製タグ及び溶解性タグから選択される。この実施態様は、2つの異なるタグの同時の存在を包含する。それぞれのタグの好ましい実施態様は、下記において更に記載される。溶解性タグは、好ましくは本発明の方法により定量化タグ(「タグ配列」)として使用される。
本発明の絶対量を測定する方法の更に好ましい実施態様において、前記試料は細胞及び/又は体液を含む。前記細胞は、多様な種類又は単一の種類のものでありうる。更に、細胞は1つ以上の組織に包埋されうる。ヒト細胞が想定される限り、そのようなヒト細胞はヒト胚から得られないこと、特にヒト胚の破壊を伴う方法を介して得られないことが好ましい。その一方で、ヒト胚性幹細胞は、当業者の自由裁量に任されている。したがって本発明は、ヒト胚を使用又は破壊する必要なくヒト胚性幹細胞を扱うことができる。試料は、1つ以上の体液を含むことができ、前記体液は、好ましくは血液、血清、血漿、母乳、脳脊髄液、粘液、腹水、胸水、唾液、精液、汗、涙、膣分泌物及び尿から選択される。
更に好ましい実施態様において、前記添加は、ポリペプチドのタンパク質分解性消化の前に実施される。この実施態様は、分析される試料が細胞を含む又はからなる場合に関する。前記添加は、主な実施態様による融合ポリペプチド及びタグポリペプチドの添加又は本発明の第3態様の定量基準の添加を意味する。いずれの場合でも、この実施態様による初期添加は、試料調製及び処理により、特に酵素消化工程により導入される可能性のあるあらゆる偏りの根拠を方法に提供する。これは、ワークフローの際に基準の後期スパイクインを必要とする従来技術の方法と比較して、更なる利点である。
更に好ましい実施態様において、2〜500個の融合ポリペプチドが使用される。上記に記述されたように、本発明の第2及び第3態様は多重化を提供する。方法のそれぞれの場合に使用される融合ポリペプチドの好ましい数は、2〜200個の間、例えば2〜100個の間であり、50個の融合ポリペプチドのようにその下限と上限に包含されている任意の整数値を含む。本明細書に含まれる実施例は、43個の融合ポリペプチドを使用した場合の優れた性能を説明する。
更に好ましい実施態様において、溶解性タグはぞれぞれの前記融合ポリペプチドに存在する。好ましい溶解性タグは、配列番号1の配列からなる。配列番号1の配列は、一方ではヒトプロテオームのトリプシン消化により得られる配列と、他方では配列番号1の配列のトリプシン消化により得られる配列が別個である点において特に有利である。換言すると、配列番号1の配列のトリプシン消化はペプチドを生じ、それらのうちヒトプロテオームのトリプシン消化により得られたものはない。本明細書に開示されている他の好ましい酵素がタンパク質分解性消化に使用される場合、同じことが、配列番号1の配列から得られるペプチドの少なくとも大多数に当てはまる。
更に好ましい実施態様において、ポリペプチドの前記部分配列は、(a)15〜205個のアミノ酸からなる;(b)プロテオタイプペプチドを含む;並びに/又は(c)他のタンパク質と最小配列同一性を有するように選択され、シグナルペプチドを排除し、及び/若しくは膜貫通領域からの配列を排除する。この実施態様に列挙されている部分配列は、本発明の融合ポリペプチドに含まれる標的ポリペプチドの部分配列である。特徴(a)は、前記部分配列の好ましい長さ範囲をもたらす。更に好ましい長さ及び長さ範囲は、本明細書において、特に本発明の第4態様の記載において開示されている。そのような開示は、本発明の好ましい実施態様を準用する。前記長さ範囲は、トリプシンペプチドにおいて観察される長さ範囲を超えることに留意すること。その結果、この実施態様における本発明は、タンパク質分解性消化に使用されるタンパク質分解酵素の切断を受けにくい、例えばトリプシンペプチド又は他のペプチドを使用する従来技術の方法と区別される。有利には、上記に記述されたように、この長さ範囲の部分配列は、タンパク質分解性消化の際に複数のペプチドを生じ、それによって定量化の精度を向上させる。
用語「プロテオタイプ」は、この特定の文脈において使用されるとき、前記プロテオタイプペプチドを含む所定のポリペプチドの質量スペクトルにおいて頻繁又は常に観察されるペプチドを意味する。
この好ましい実施態様の部分(c)によると、前記部分配列の特有性(他のタンパク質に対する、特に同じプロテオームの他のタンパク質に対する最小配列同一性)又は容易な取扱い及び/若しくは検出(シグナルペプチド及び膜貫通セグメントの排除)に関する更なる特徴が提供される。
更に好ましい実施態様において、前記既知絶対量の前記タグポリペプチドは、アミノ酸分析により決定される。アミノ酸分析の好ましい手段及び方法は、本明細書上記に記載されている。
第4態様において、本発明は質量分析による標的ポリペプチドの定量化のために融合ポリペプチドを提供し、前記融合ポリペプチドは35〜455個のアミン酸残基からなり、(i)標的ポリペプチドのフラグメントである標的領域及び(ii)標的ポリペプチドのフラグメントではないタグ領域を含み、前記標的領域は15〜205個のアミノ酸残基からなり、少なくとも2つのシグネチャー領域を含み;前記タグ領域は20〜250個のアミノ酸残基からなり、少なくとも2つのシグネチャー領域を含み;各シグネチャー領域は、構造:Y−Z−X4-28−Y−Zを有し、ここで全てのYは(i)〜(iv)のうちの1つから選択され、(i)はR又はKであり、(ii)はY、F、W又はLであり(iii)はEであり、(iv)はDであり、各X及び各Zは独立して任意のアミノ酸残基であるが、但し、Yが(i)〜(iii)から選択される場合、ZはPではなく;各シグネチャー領域は、重同位体を含む少なくとも1個のアミノ酸残基を含む。
この態様は、本発明の方法に用いることもできる融合ポリペプチドに関する。明細書の全体にわたって、標的ポリペプチドは、任意のポリペプチド、特に任意の状態の任意の生物体又は細胞のプロテオームに天然に生じるポリペプチドでありうる。本発明の第4態様の融合ポリペプチドに含まれる2つの領域は、それぞれ、「シグネチャー領域」と呼ばれる少なくとも2つの特定の構造要素を含むように選択される。重要なことには、各シグネチャー領域のN及びC末端アミノが、本明細書に記載されている質量分析プロトコールに適したプロテアーゼにより認識されるように選択されることである。したがって(i)〜(iv)のアミノ酸は、以下のプロテアーゼ:プロリン(P)が後に続かない限り、アルギニン(R)及びリシン(K)残基のカルボキシル側を切断する、トリプシン;プロリン(P)が後に続かない限り、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(V)及びロイシン(L)のカルボキシル側を切断する、キモトリプシン;プロリン(P)が後に続かない限りリシン(K)残基のカルボキシル側を切断するLys−C;プロリン(P)が後に続かない限りグルタミン酸(E)残基のカルボキシル側を切断するGlu−C;プロリン(P)が後に続かない限りアルギニン(R)残基のカルボキシル側を切断するArg−C;並びにアスパラギン酸(D)残基のアミノ側を切断するAsp−Nの選択性に基づいている。融合ポリペプチドのこの設計原則は、タンパク質分解性消化の際に、少なくとも2つの質量変更産物が標的及びタグ領域それぞれから得られることを確実にする。同じY残基が、第1シグネチャー領域のカルボン酸末端と第2シグネチャー領域のアミノ末端を構成できることが、理解されるべきである。
一般用語「質量変更」は、上記に定義されたとおりに本明細書において使用される。好ましくは、天然に生じる頻度から逸脱する少なくとも1個の同位体の頻度、好ましくは少なくとも1個の重同位体の独占的な発生を意味し、重同位体は、好ましくはD、13C及び15Nから選択される。
本発明の融合ポリペプチドの好ましい実施態様において、前記タグ領域又は前記タグポリペプチドは、それぞれ、溶解性タグ又はそのフラグメントに対応し、すなわち、を含み又はからなり、前記溶解性タグは、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(Trx)、N利用サブスタンス(N-Utilization substance)(NusA)、低分子ユビキチン修飾因子(SUMO)、溶解性向上タグ(SET)、ジスルフィド形成タンパク質C(DsbC)、17キロダルトンタンパク質(Skp)、T7ファージタンパク質キナーゼ(T7PK)、タンパク質G B1ドメイン(GB1)、タンパク質A IgG ZZ反復ドメイン(ZZ)及びアルブミン結合タンパク質(ABP)から選択される。これらの溶解性タグの構造は、当該技術において知られており、当業者には容易に入手可能である。溶解性タグ(又はそのフラグメント)は第4態様の融合ポリペプチドのタグ領域を構成するときに質量変更されることが、上記の定義から分かる。
好ましくは、前記フラグメントは、溶解性付与特性が保持される又は有意に妨げられないように選択される。そのようになるかは、当業者によって更に苦労することなく、例えば一方では試験ポリペプチドを含む融合構築物に対して、他方では問題の溶解性タグ又はそのフラグメントに対して溶解性アッセイを実施して、決定することができる。全ての溶解性タグを含む構築物と、そのフラグメントを含む構築物との溶解性を比較することによって、溶解性付与特性が、考慮されるフラグメントにより保持されているか及びどの程度保持されているかを決定することができる。
上記に考察された理由によって、タグ領域の少なくとも2つのシグネチャー領域の配列は、1つの実施態様によると、タンパク質分解によりヒトプロテオームから誘導されるあらゆる配列と異なる。
第4態様の融合ポリペプチドを、例えば、被験者の試料における標的ポリペプチドのエキソビボ定量化を含む、被験者の医学的状態の診断に使用することができる。ヒト試料が分析されるときは、タグ領域がヒトポリペプチドではない場合が有益でありうる。したがって、第4態様の実施態様において、タグ領域のアミノ酸配列は、ヒトタンパク質又はそのフラグメントのアミノ酸配列ではない。ヒトタンパク質が他の真核生物のタンパク質と高い相同性を有することがあるので、タグ領域は、原核生物(例えば、細菌)のタンパク質又はそのフラグメントのアミノ酸配列を有することが特に好ましいことがある。
上記に既に示されているように、特に好ましいタグ領域又はタグポリペプチドは、配列番号1に記載された配列を有する。
更に好ましい実施態様によると、前記タグ領域は40〜150個のアミノ酸からなり、独立して前記標的領域は、20〜150個のアミノ酸、例えば25〜100個のアミノ酸からなる。更に融合ポリペプチドは、80〜300個、より好ましくは100〜200個のアミノ酸からなることが好ましい。
更に好ましい実施態様によると、前記標的領域及び独立して前記タグ領域は、少なくとも3つ、例えば少なくとも4、5、6、7又は8つのシグネチャー領域を含む。これらの好ましい実施態様は、前記融合ポリペプチドがタンパク質分解酵素と接触したとき、それぞれの前記領域から形成される増加数のタンパク質分解産物を提供し、タンパク質分解酵素は下記において更に詳述される。
更に好ましい実施態様によると、各シグネチャー領域は、重同位体を含む少なくとも2個、例えば少なくとも3又は4個のアミノ酸残基を独立して含む。
LysC及びトリプシンは、特に適したタンパク質分解酵素であることが見出されている(例えば、下記の実施例を参照すること)。したがって、更に好ましい実施態様によると、前記YはR及びKから選択される。
上記した通り、好ましい重同位体は、重水素(D)、13C及び15Nから選択されるべきである。
通常、融合ポリペプチドの重同位体を含むアミノ酸残基は、1つを超える重同位体を含む。大きな質量シフトをもたらすので、多量の組込重同位体が好ましいことがある。更に好ましい実施態様において、重同位体を含む少なくとも1個のアミノ酸残基は、L−アルギニン−136、L−アルギニン−136 154、L−アルギニン−136 1547、L−アルギニン−1547、L−アルギニン−154、L−リシン−136 152、L−リシン−152、L−リシン−136、L−リシン−136 1529、L−リシン−1529、L−リシン−D4、L−メチオニン−13CD3、L−チロシン−139、L−チロシン−15N及びL−チロシン−139 15Nから選択される。そのような重同位体標識アミノ酸は、当該技術において良く知られており、多様な製造会社から入手可能である。これらのアミノ酸の1個以上の使用は、本発明の任意の標識化スキーム及びパターンにとって好ましい。好ましい様式において、トリプシンがアルギニン及びリシンのC末端を特異的に切断するので、全てのリシン及びアルギニンは、トリプシンペプチドが典型的には1個の標識アミノ酸を含有するように標識される。
更に好ましい実施態様によると、融合ポリペプチドは、精製タグを更に含む。
更に、融合ポリペプチドの効率的な発現を可能にするため、融合ポリペプチドの標的領域は、標的ポリペプチドの膜貫通領域に対応しないことが好ましい。更に、シグナルペプチドが多くの場合に成熟型の標的ポリペプチドにおいては切断されているので、融合ポリペプチドの標的領域は、標的ポリペプチドのシグナルペプチドに対応しないことも好ましい。
上記に記載された本発明の方法のうちのいずれかの好ましい実施態様において、前記融合ポリペプチドは、本発明の第4態様、並びにそれに参照された実施態様に従って定義される。
好ましい精製タグは、Hisタグ、FLAGタグ、SBPタグ、mycタグ及びOneStrepタグから選択されるべきである。
本開示に従って試料において1つ以上の標的タンパク質又はポリペプチドを定量化する使用者には、タンパク質分解性消化に適した固相に予め装填された、定量化に必要な融合ポリペプチドを得ることが好都合でありうる。そのような固相は、固体支持体、カラム又はフィルターでありうる。好ましくは、カラム中の前記支持体における融合ポリペプチドの量は、予め決められている。したがって、試料を融合ポリペプチドでスパイクする工程は、使用者の責務ではなく、このことは、また、手順における人為的過誤の危険性を低減する。したがって、第5態様において、本発明は、第4態様の少なくとも1個の融合ポリペプチドが上又は中に配置されているカラムに更に関する。配置の手段は、当業者の技能の範囲内であり、共有結合、並びに非共有吸着又は吸収が含まれる。
トリプシン、キモトリプシン、Lys−C、Glu−C又はAsp−Nのようなタンパク質分解酵素をカラム上又は中に配置することもできる。そのようなカラムを使用するとき、使用者は、消化のためにタンパク質分解酵素を加える必要がなく、このことは好都合であり、人為的過誤の危険性を更に低減しうる。1つの実施態様によると、融合ポリペプチドは、試料が添加される前のあらゆるタンパク質分解性消化を防止するために、支持体上/カラム中のタンパク質分解酵素から離される。
本発明は、第6態様において、(a)少なくとも1個の第4態様の融合ポリペプチド、並びに(b)(i)第4態様により定義されたタグ領域と同じアミノ酸配列を含む若しくはからなるが、前記タグ領域と異なって同位体標識されている第2ポリペプチド及び/又は(ii)トリプシン、キモトリプシン、Lys−C、Glu−C若しくはAsp−Nのようなタンパク質分解酵素を含むキットを提供する。本明細書に記載されている定量化プロトコールに必要な産物の組み合わせをキットに入れることは、再現性の増加及び使用者の側での人為的過誤の危険性の減少をもたらすことができる。第6態様の第2ポリペプチドは、例えば「非標識」でありうる。また「ミドル級」又は「超ヘビー級」でありうる。そのような実施態様は、方法の態様に関連して上記に考察されている。
キットの好ましい実施態様において、少なくとも1個の融合ポリペプチドが本発明の第5態様のカラム中又は上に配置されている。キットの更に好ましい実施態様において、前記第2ポリペプチドは既知絶対量で提供される。
更なる態様において、本発明は、標的ポリペプチドの定量化における参照としての、本発明の第2態様において定義された定量基準又は本発明の第4態様の融合ポリペプチドの使用に関する。本発明の使用の好ましい実施態様において、前記定量化は質量分析により実施される。
使用態様の更なる多様な実施態様が上記の他の態様と関連して記載される。
PrEST濃度の正確な測定のための概略的ワークフロー。重又は軽ABPを、栄養要求性大腸菌株において組換え的に発現させ、C末端OneStrepタグを使用して精製する。アミノ酸分析により濃度を別個に分析した重標識ABPをPrESTと一緒に混合し、溶解消化を実施する。ペプチドをベンチトップ質量分析機で実施した短LC MS/MSにより測定し、PrEST濃度を、PrEST及びABPに由来するABPペプチドのSILAC比により正確に測定する。 ABP定量化の精度。(A)ベンチトップExactive質量分析機により測定されたABPペプチドの43の変動係数(CV)の全体的な分布の密度プロット。 ABP定量化の精度。(B)ABPペプチドの比及びそれらの変動係数(CV)を示すタンパク質の代表例。 PrEST配列を伴うペプチド比。PrESTマスターミックスを癌細胞株の溶解産物にスパイクし、内在性タンパク質に対して測定した。ペプチド比を抽出して、タンパク質を定量した。配列を伴うペプチド比の変動を示す。重複ペプチドは、切断の失敗に起因する。 PrEST配列を伴うペプチド比。PrESTマスターミックスを癌細胞株の溶解産物にスパイクし、内在性タンパク質に対して測定した。ペプチド比を抽出して、タンパク質を定量した。配列を伴うペプチド比の変動を示す。重複ペプチドは、切断の失敗に起因する。 PrEST配列を伴うペプチド比。PrESTマスターミックスを癌細胞株の溶解産物にスパイクし、内在性タンパク質に対して測定した。ペプチド比を抽出して、タンパク質を定量した。配列を伴うペプチド比の変動を示す。重複ペプチドは、切断の失敗に起因する。 絶対定量化手順の再現性。代表例の3つの独立した定量化実験であり、マスターミックス調製とPrEST定量化を独立して実施した。バーは各タンパク質におけるペプチド比の中央値を反映している。 HeLa細胞1個あたり測定されたタンパク質コピー数。点プロットは、3つの独立した実験で測定された細胞1個あたりのタンパク質コピー数を示す。エラーバーはCVに対応する。細胞1個あたり4,000〜20,000,000個の範囲のコピー数のタンパク質が定量化された(表2も参照すること)。 HeLa細胞溶解産物における単一タンパク質の直接定量化。(A)単一タンパク質の直接定量化における「シングルプレックス(single-plex)」戦略の原理。同じ実験において、ABP定量化タグに対するSILACペプチド比マッピングは、PrESTの量を決定し、一方、PrEST構築物のタンパク質特異的領域に対するSILAC比マッピングは、内在性タンパク質のレベルを決定する。実験は、SILAC重標識細胞、未標識PrEST構築物及び重標識ABPタグ(左側)又はその逆(右側)により実施することができる。 HeLa細胞溶解産物における単一タンパク質の直接定量化。(B)絶対量タンパク質のシングルプレックス決定。ここに示されているワークフローでは、未標識PrEST構築物と重標識ABPタグの両方が、消化前にHeLa細胞溶解産物にスパイクされる。 HeLa細胞溶解産物における単一タンパク質の直接定量化。(C)3つの異なるタンパク質における「マスターミックス」実験で得られたコピー数と、シングルプレックス実験のコピー数の比較。エラーバーは、三回の測定の平均の標準偏差である。 重PrESTを使用する絶対定量化。(A)SILAC重標識細胞溶解産物に対して軽PrESTを定量化して得たコピー数(黒印)と、未標識細胞溶解産物に対して重PrESTを定量化して得たコピー数(赤印)の比較。(B)Aに示された値であるが、散布図としてプロットした。 SILAC−PrESTに基づいた定量化とELISAの比較。がん原伝子c−Fos(A)及びStratifin(B)をELISAにより定量化して、SILAC−PrEST絶対定量化を評価した。異なるELISA適合緩衝液及び濾過と未濾過細胞溶解産物とを比較した。 異なるマウスにおけるインテグリンベータ3、タリン1及びキンドリン3の絶対定量化。(a)インテグリンとそのコアクチベーターを一緒にまとめた。(b)野生型マウスと比較したキンドリン3の発現レベルの減少。
実施例は本発明を説明する。
実施例1:材料及び方法
タンパク質エピトープシグネチャータグ−
短タンパク質フラグメント、すなわち標的ポリペプチドの部分配列を、Human Protein Atlasによりハイスループットで産生し、ここでそれらは抗体産生のために抗原として使用される(18,19)。簡潔には、各標的タンパク質の特有の領域を表す適切なタンパク質エピトープシグネチャータグ(PrEST)を、テンプレートとしてヒトゲノム配列(EnsEMBL)を使用して設計した。他のタンパク質、シグナルペプチド及び膜貫通領域に対するエピトープ及びドメインの大きさの類似性を含む(18)、50〜150個のアミノ酸の大きさ及び他のヒトタンパク質に対する低い相同性を有する特有のPrESTを選択した。クローニング、タンパク質発現及び精製は、以前に記載されたとおりに実施した(19,20)。最適な保存のため、PrESTを凍結乾燥し、8Mの尿素に溶解し、更なる使用まで−20℃で保存した。PrESTがHeLa細胞に内在性対応物を有することを確実にするため、約4,000個のタンパク質の深さで測定したHeLaプロテオームの存在量範囲にわたって広がる50個のタンパク質を選択した。タンパク質を、特定のタンパク質の部類、細胞局在化又は機能に関係なく選んだ。50個のタンパク質のうち、43個は、組換えにより発現した形態でProtein Atlas供給により容易に入手可能であった。多重化実験では、これらの43個のPrESTを、それぞれ適切な濃度で一緒に混合した。次にこの「マスターミックス」を細胞溶解産物にスパイクした。
細胞培養−
SILAC標識化では、HeLa細胞を、10%透析ウシ胎児血清(Gibco)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を含有するダルベッコー改変イーグル培地(Invitrogen)で培養した。重アルギニン(高純度Arg10、Cambridge Isotope Laboratories)及び重リシン(高純度Lys8、Cambridge Isotope Laboratory)を、それぞれ33μg/ml又は76μg/mlの最終濃度で加えた。6継代後、細胞を質量分析による評価により十分に標識した。細胞を、Countess細胞カウンター(Invitrogen)を使用して計数し、106個の細胞のアリコートを素早く凍結し、−80℃で保存した。
ABP(アルブミン結合タンパク質)のタンパク質発現及び精製−
発現ベクターpAff8c(Human Protein Atlas)を、アルブミン結合タンパク質(ABP)のC末端にOneStrepアフィニティータグを挿入するSLICクローニングにより修飾した(21)。重標識ABPを大腸菌において発現させるため、アルギニン及びリシンに対して栄養要求性の発現株を使用した(33)。培養物を、(22)に以前に記載された通りに、但し18個の通常の(「軽」)アミノ酸、並びに重アルギニン及びリシンを添加したPA5052最小自己誘導培地で増殖させた。培養物を一晩増殖させ、約5.7のOD6000で採取した。大腸菌細胞を、Bioruptor(Diagenode)を使用して100mMのTris、150mMのNaCl及びプロテアーゼインヒビター(Roche)に溶解した。細胞片を遠心分離により除去し、可溶性ABPを、AKTAシステムに連結したStrepTap Hitrapカラム(GE Healthcare)のアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製した。タンパク質の純度を、溶解消化を介して質量分析により、続いてLC MS/MSにより評価した。ABP及び汚染物の存在量を、最も強力なペプチドのシグナルの添加により推定した。ABPをPBSで透析し、アリコートにし、素早く凍結し、−80℃で保存した。精製ABPの濃度を、アミノ酸分析(Genaxxon BioScience GmbH)により測定した。
試料調製−
HeLa細胞を、100mMのTris、4%のSDS、100mMのDTTに溶解し、95℃で5分間インキュベートし、Bioruptorを使用して分裂させた。溶解産物を、SpinXフィルター(22μm、Corning)を介する遠心分離により清澄にした。PrESTを、標識HeLa細胞に適切な濃度(本文を参照すること)で加え、試料をFASP法(23)により更に処理した。簡潔には、タンパク質を30kDaフィルターで捕捉し、SDSを尿素含有緩衝液と交換した。タンパク質をヨードアセトアミドでアルキル化し、トリプシン処理した(Promega)。更に、ペプチド分離を、記載されたように(24)、ピペットによる6つの画分SAXを使用して実施した。
PrEST及びABPを混合し、変性緩衝液(10mMのHEPES中6Mの尿素、2Mのチオ尿素、pH8)で可溶化し、DTTで還元し、続いてヨードアセトアミドでアルキル化した。タンパク質混合物をLysC(Wako)で3時間消化し、重炭酸アンモニウムで希釈し、更にトリプシンで一晩消化した。消化を、TFAによる酸性化で停止させ、C18−EmporeディスクStageTipsで脱塩した(25)。
液体クロマトグラフィー及び質量分析−
HeLa細胞にスパイクした軽PrESTの分析を、ナノエレクトロスプレーイオン供給源(Proxeon Biosystems、現Thermo Fisher Scientific)を介してEasyナノ−HPLCに連結したLTQ−Orbitrap質量分析機(Thermo Fisher Scientific)により実施した。ペプチドを、逆相材料のReproSil−Pur120C18−AQ3μm樹脂(Dr.Maisch GmbH)で内部充填された15cmの融解石英エミッターにより分離し、5〜35%に勾配する緩衝液B(80%のアセトニトリル、0.5%の酢酸)で205分間溶出した。質量分析機は、データ依存式に稼働して、MS及び連続MS/MSを自動的に測定した。LTQ−Orbitrap完全走査MSスペクトル(300〜1650m/z)は、400のm/zで60,000の解像度により得た。7個の最も存在量のあるイオンを、衝突誘起解離(CID)を使用する線形イオントラップにより順次単離及び断片化し、続いて線形イオントラップにより分析した。
HeLa細胞にスパイクしたPrESTの分析を、ナノエレクトロスプレーイオン供給源(Thermo Fisher Scientific)を介してEasyナノ−HPLCに連結したLTQ−OrbitrapVelos質量分析機(Thermo Fisher Scientific)により実施した。ペプチドを、C18−AQ1.8μm樹脂(Dr.Maisch GmbH)を使用して内部充填された20cmカラムにより分離し、5〜35%に勾配する緩衝液Bで205分間溶出した。質量分析機は、データ依存式に稼働して、MS及び高エネルギー衝突解離(HCD)を適用する10連続MS/MSを自動的に測定した(34)。LTQ−Orbitrap完全走査MSスペクトル(100又は300〜1650m/z)は、400のm/zで60,000の解像度により得た。
PrEST−ABPペプチドを、上記の記載と同じナノ−HPLC設定を使用して、HCDオプションを有するExactive機器(Thermo Fisher Scientific)によりオンラインで分析した。ペプチドを5〜30%の直線勾配の緩衝液Bにより40分間かけて溶出した。Exactive質量分析機は、前駆イオンの交互MS走査(300〜1600m/z)の実施による全イオン断片化(AIF)及び段階的HCD断片化を使用する全イオン断片化走査(100〜1600m/z)によってペプチドを同定した(26)。両方の走査は、200のm/zで100,000の解像度により得た。
データ分析−
得られたデータを、ヒトIPIデータベース(v.3.68−87.087入力)を使用するMaxQuant(27)(バージョン1.1.1.36)で分析した。一般的な汚染物及びABP溶解性タグの配列を、これらのデータベースに加えた。ペプチドの同定には、MaxQuantフレームワークに組み込まれた確率検索エンジンであるAndromedaを使用した(28)。システインのカルバミドメチル化は、固定修飾として検索に含まれ、メチオニン酸化とN末端アセチル化は変動修飾として含まれた。2つの切断欠損を許容し、同定されたペプチド1個あたり最低6個のアミノ酸を必要とした。前駆イオン又はフラグメントイオンの初期質量許容度は、6ppmに設定され、フラグメント質量は、0.5Thまでの逸脱を許容した。得られたデータの統計的評価では、事後誤差の確率及び偽発見率(FDR)を使用した。FDRを、リバース(reverse)データベースを検索することにより決定し、ペプチド同定のために0.01に設定した。
AIFデータは、50ピークまで100m/zあたり15ppmの許容度で分析した以外は、上記に記載されたとおりに処理した。前駆イオン質量は、少なくとも0.6のコサイン相関値に基づいて可能性のあるフラグメントイオン候補と一致させた(26)。
酵素結合免疫吸着物アッセイ−
がん原遺伝子c−Fos及びStratifin(14−3−3σ)の絶対量測定をELISAにより実施した。キットをUSCNK Life Scienceから購入し、製造会社の使用説明書に従って実施した。HeLa細胞を、PBSのRIPA1(50mMのTris pH7.5、150mMのNaCl、1%のNP−40)又はRIPA2(50mMのTris pH7.5、150mMのNaCl、1%のNP−40;0.1%のSDS)においてプロテアーゼインヒビターを用いて溶解した。細胞を、Biorupterを使用した3回の凍結融解サイクル及び超音波処理により破壊させた。ELISAのため、試料を1:10に希釈した。蛍光活性を、マイクロプレート読取機(Tecan)により測定し、標準曲線により実際の濃度に変換した。
実施例2:HeLa細胞におけるタンパク質の絶対定量化
相対定量化と異なり、絶対定量化は、第1に基準の絶対量の測定を必要とし、第2に目的の分析物と比較した基準の相対量を必要とする、2工程プロセスとして実施することができる。基準のレベルの決定、続く制御は、決して些細なことではなく、手法の全体的な精度を制限する工程と容易になりうる。下記に、高い精度で各PrESTの絶対量を決定する一般的方法を最初に記載する。
次に、異なるPrESTの「マスターミックス」を構築し、SILAC−PrEST法が細胞タンパク質を正確に定量化する能力を評価する。次に、マスターミックスを適用して、癌細胞株における37個のタンパク質のコピー数を決定する。最後に、2工程が1つのLC MS/MS分析に組み込まれる、目的の単一タンパク質の定量化のための代替的なワークフローを記載する。
PrEST濃度の正確な測定−各PrESTは、120個のアミノ酸の可溶化タグであるアルブミン結合ドメイン(ABP)に既に融合している。インシリコにおけるABPの消化は、6〜30個のアミノ酸の長さの40個のトリプシンペプチドをもたらす(付録表1)。重SILAC標識型のABPタンパク質タグを組換え的に発現した。必要であれば、N末端Hisタグ及びC末端OneStrepタグに基づいた二重親和性手法を使用して、高度に精製されたタンパク質フラグメントを生成し、完全長のABPのみが得られることを確実にした。ABPタンパク質フラグメントの絶対濃度はアミノ酸分析により決定し、この方法はタンパク質定量化の最も正確な方法であるが、比較的大量の高度に精製されたタンパク質にのみ適用可能である。質量分析により判断すると、ABPへの重SILACの組み込みは99%であり、その純度は約97%であった(実験手順を参照すること)。これらの2つの要素は補完的な方向で機能するため及び効果の大きさが小さいので、測定されたABP濃度をこれらのために調整しなかった。
ABPのLC MS/MSは、実に多くの容易に検出可能なトリプシンペプチドを明らかにした(下記を参照すること)。Protein Atlas Projectの43個のPrESTのそれぞれを、図1に概略的に示されているように既知量の標識ABPと別々に混合して、SILAC LC−MS/MS実験を可能にした。この実験は、それぞれのPrESTに別々のLC MS/MSの実施を必要とするので、プロジェクト全体にとって測度制限的になる可能性があった。
したがって、この分析をVelos機器ではなく、経済的で強靱なベンチトップOrtitrap機器により実施することを決めた。Exactive機器は、ペプチド前駆体を単離することができず、したがって全イオン断片化(AIF)(26)を1時間実施して、ペプチドを同定した。典型的には、少なくとも8個の標識ABPペプチドを、PrESTからの対応するABPペプチドに対して定量化することができ、PrEST定量化に7%の変動係数(CV)中央値をもたらした(図2A)。
全体的な処理量を制限するPrEST濃度の測定工程を克服するため、重PrESTを、自動化チップ系(TriVersa Nanomate)のスタティックナノエレクトロスプレー(static nanoelectrospray)により測定した。これは、試料の低い消費を使用して、ABPペプチドの簡単な混合物のより多くの処理量の測定を可能にする。ペプチド比は変動係数中央値5.5%を示し、Exactiveに基づいた測定値7%に対する改善を示した。
重要なことは、特定のPrEST定量化を、所望の精度が達成されるまでこの段階で繰り返すことができることである。本明細書では、PrEST定量化の精度がワークフローの他の工程の精度よりも高いと推定されるので、これは実施しなかった。PrEST定量化の結果の幾つかの典型的な例を図2Bに示す。同じ量のPrESTが各PrEST定量化実験に使用されるので、定量化の精度は、標的タンパク質の細胞存在量又は他の任意の特徴に依存しないことに留意すること。重要なことは、方法が総タンパク質ではなく、PrESTの濃度を特異的に測定するので、ワークフローにおける定量化精度は、PrESTの純度にも依存しないことである。
PrESTマスターミックス及び内在性タンパク質定量化−PrESTの量を定量化してから、ヒト癌細胞株におけるタンパク質発現レベルの測定に進んだ。便宜上、非標識PrESTを使用し、重SILAC標識HeLa細胞に対して定量化した。消化された総細胞溶解産物が数十万のトリプシンペプチドからなるので、単一、又はさらには多数のPrESTの添加は、混合物の全体的な複雑性を変えることはない。上記に確立された定量化量に基づいて、43個のPrESTを一緒に混合した。初期実験において、PrESTの等モル混合物を使用し、これを異なる量でHeLa溶解産物にスパイクした。測定されたSILAC比は、SILAC比が最も正確な定量化範囲内にある、すなわち互いに比較的近接するように、マスターミックスに各PrESTの適切なレベルを確立した。
43個全てのPrESTが適切なレベルを有するマスターミックスを、SILAC標識細胞の溶解産物にスパイクした。混合物をFASPプロトコールに従って消化し、続いてSAX断片化し、6つのフラクションを得て、それをLTQ Orbitrap質量分析機により4時間の勾配で別々に測定した。PrESTマスターミックスにより標的にされた43個のタンパク質のうち37個を定量化することができた。
タンパク質を、幾つかのPrEST誘導ペプチド(平均値3.7、中央値3)により一般的に定量化して、全体的なCV中央値18%を得た(付録表2)。これらの37個のタンパク質標的の結果を図3に示し、完全な同定及び定量化情報を、付録表2に記載する。例として、接着タンパク質IQGAP1を5個のペプチドで定量化し、それぞれほぼ同一の定量化の結果(CV10.6%)を得た。ATP5B(ミトコンドリアATPシンターゼサブユニットベータ)の7個の定量化トリプシンペプチドのうち6個は、非常に近接したSILAC比を有したが、1個のペプチドは中央値と38%異なる比を有した。このペプチドは、明らかに異常値であり、その逸脱値は、CV値を8.2%から27.2%に上昇させるようにCV値に対して有意に寄与する。しかし、ペプチド値の中央値をタンパク質定量化の基礎にするので、異常ペプチドが、測定されたタンパク質発現値に対して寄与することはほとんどなく、したがってCV値が、この実験において実際に得られる精度を過小評価することはほとんどない。同じ理由で、PrESTに包含される領域における内在性タンパク質の修飾は、異常値のペプチド比を引き起こしうるが、これは測定されるタンパク質比にほとんど寄与しない。
このタンパク質絶対定量化の工程の精度を独立して評価するため、「制限トリプシンペプチド」(内部arg又はlysを有さない)から決定された比を、1又は2つの欠損トリプシン切断部位を含有するより長い型のペプチドから決定されたものと比較した。これらのペプチドは、AQUAのようなペプチド基準に基づいた方法では非常に問題であるが、本発明の測定では、そのようなペプチドから非常に類似した比が測定された。このことは、消化がPrEST及び内在性タンパク質において同じ様に進行したことを示す(表1)。したがって、不確実性を導入するどころか、SILAC−PrEST手法において、これらのペプチドは追加的な定量化情報を提供することができる。
絶対定量化手順の両方の工程に関連する変動の程度を評価するため、PrEST定量化及びマスターミックス生成、並びに標的タンパク質の細胞生存量の測定を含むワークフロー全体を更に2回繰り返した。この分析は、全ての工程と関連する平均値の標準誤差が平均して24%であることを示した。この値は、優れており、知る限りにおいて、現在まで報告されている細胞発現レベルの最も正確な決定である。さらにより重要なことは、それぞれのタンパク質において、ワークフローのそれぞれの工程の誤差は、個別のCVによって直ちに明らかになることである。したがって、全てのタンパク質発現レベル測定値を、測定値の信頼度に従って分類、許容又は棄却することができる。図4は、三重測定によるタンパク質発現決定の典型例を示す。ペプチド比分布をタンパク質平均値の変動と比較すると、マスターミックスの調製が最大の変動に寄与し、一方、SILAC比決定に起因する誤差はいくらか低いことが明らかである。したがって、マスターミックスの自動化調製は、将来的に更なる改善をもたらしうる。
HeLa細胞におけるタンパク質コピー数の決定−次に、HeLa細胞溶解産物中のタンパク質量の絶対値を使用して、細胞中の対応するコピー数を計算した。HeLa細胞数は、細胞カウンターにより自動的に決定した(実験手順を参照すること)。それぞれのPrESTの既知量及び内在性タンパク質に対するこれらのSILAC比を考慮して、37個の異なるタンパク質の細胞コピー数を決定した。標準誤差が25%以内の非常に高い精度の絶対定量化が、37個のタンパク質のうち30個で達成された(表2)
細胞コピー数は、非常に僅かなタンパク質においてのみ知られており、したがって、これらのコピー数をタンパク質の既知の機能と関連づけることは興味深い(付録表3)。細胞骨格タンパク質ビメンチンは、中間径フィラメントを形成し、細胞1個あたり2千万コピーの最も存在量のあるタンパク質であった。もう一方の極端な場合では、転写因子及び癌遺伝子FOSが、本発明のHeLa細胞試料において約4,000コピーで存在する。予測されるように、細胞シグナル伝達に関与するタンパク質は、一般に低い値で発現し、例としては、足場因子のマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ足場タンパク質1(MAP2K1IP1)でさえも、僅か160,000コピーで存在する。しかし、14−3−3アイソフォームのような、一般的なシャペロンのような役割を有する遍在性シグナル伝達因子は、極めて多く発現される(14−3−3シグマ;2千1百万コピー)。ミトコンドリアリボソームの2つのメンバーは、この細胞株において約200,000コピーを有し(L23及びL5)、一方、3番目(L35)は、約500,000を有する(全てのリボソームタンパク質サブユニットが等しい化学量論を有するわけではないことに留意すること)。ミトコンドリアゲノムは13個の遺伝子のみをコードし、したがって、翻訳に関与するタンパク質がそのような多いコピー数を必要とすることは、恐らく驚くべきことである。呼吸鎖のメンバーATP5Bは、HeLa細胞1個あたり約5百万のコピーを有し、プロテアソームの調節成分であるPSMC3よりも約5倍多い。T複合体は、シャペロン系のメンバーであり、予測されるように、非常に多いコピー数(約4百万)を有する。伝統的な酵素である脂肪酸シンターゼは、340万コピーで発現し、一方、別の酵素であるアシル補酵素Aチオエステルヒドロラーゼ(ACOT7)は、約7倍少なく発現する(450,000コピー)。そのような発現数は、代謝経路のモデル設計にとって興味深い。これらは事例であるが、細胞タンパク質の絶対発現レベルについての知識が、細胞におけるそれらの役割の理解に寄与しうることを例示している。
重PrESTを使用する絶対定量化−上記では、既に発現及び精製されたPrESTを使用し、重ABPタンパク質及び重SILAC標識細胞溶解産物に対して定量化した。細胞株においてコピー数を決定することは好都合であるが、他の適用において、重標識PrESTを発現することがより適することがあり、次にこれを、組織及び臨床体液試料を含む任意の選択されたプロテオームと混合することができる。非標識試料に絶対定量化手法を適用するため、重SILAC標識大腸菌に28個のPrESTを発現し、精製し、重マスターミックスを調製した。PrESTレベルの定量化を合理化するため、スタティックナノエレクトロスプレー(Advion NanoMate;実施例1を参照すること)を用いる自動設定を開発した。予測されたように、重マスターミックスを通常の非SILAC標識細胞にスパイクすると、前の実験と良好な相関関係を有する標的タンパク質の同様に直接的な定量化を可能にした(図7)。タンパク質の同定及び定量化についての詳細な情報を付録表4に提供する。
単一実験における絶対定量化−単一タンパク質標的を定量化するSILAC−PrEST戦略の変形を開発することも望んだ。この場合、タンパク質絶対定量化に関与する2つの実験工程を、図6Aに概略的に示されているように1つにまとめることができる。正確な既知量のABP溶解性タグを、標識PrESTと一緒に細胞溶解産物に混合した。次に試料のLC−MS/MS分析は、軽ABP溶解性タグと標識PrEST ABPペプチドとのSILAC比を提供する。これらの比は、使用されたPrESTの量を正確に定量化する。同じLC MSデータは、標識PrESTペプチドと非標識内在性タンパク質対応物との比も含有する。一緒に、これらの比は、単一実験における内在性タンパク質の絶対量を定量化する。三重SILAC標識化は、比がPrEST構築物の異なる領域、すなわち、一般ABP溶解性タグ領域(PrESTを定量化するため)及びタンパク質特異的PrEST領域(内在性タンパク質を定量化するため)に対して決定されるので、この手法では必要ないことに留意すること。
この定量化のシングルプレックス方法は、SILAC標識細胞溶解産物及びSILAC標識ABPが非標識PrESTに対して定量化される、3個の異なるHeLaタンパク質において実施した。図6Cに示されているように、三重実験に基づいたこれらの測定において、一致する値が得られた。絶対レベルは、一般に、上記に記載された多重PrEST−SELAC実験において独立して決定されたコピー数と十分に合致し(平均値の最大差は40%)、両方の手法の有効性を実証している。
酵素結合免疫吸着物アッセイ−ELISAは、絶対量を決定する又はタンパク質レベルを少なくとも再現的に決定する生化学研究における標準的な手法である。したがって、SILAC−PrEST法をこの確立された技術と比較した。Stratifin(14−3−3σ)のELISAアッセイを典型的な条件下−製造会社により推奨されたとおりに濾過細胞溶解産物及びリン酸緩衝食塩水(PBS)−で実施すると、ELISAは、MSが定量化した量の20%未満を記録した。(14−3−3アイソフォームによる干渉は、これらのペプチドが異なっているので存在しないことに留意すること)。製造会社の推奨は、PBSはペレットを可溶化できないというものであった。溶解度は非イオン性洗剤NP−40の添加により増加し、これは大部分の試料ペレットを溶解することができた。アニオン性洗剤である低濃度のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の添加は、測定されるタンパク質量を有意に増加する更なる改善をもたらした(図8B)。依然として、絶対量は、質量分光分析と比較して2倍過小評価されており、恐らくそれはFASPプロトコールが4%のドデシル硫酸ナトリウムの使用により完全な可溶化を可能にするからである。
転写因子及びがん原遺伝子FOSのレベルもELISAにより調査し、本発明のミックスにおいて定量化される最低存在量のタンパク質であった。ここでは、可溶化は問題になるとは思われず、MSにより決定された及び異なる緩衝液条件を使用するELISAにより決定された定量化値の間には優れた合致があった(図8A)。
実施例3:マウスPrESTを使用する絶対定量化
実験手順−N末端Hisタグを融合させたマウスPrESTを、同位体標識136 152−リシン(Lys8)及び136 154−アルギニン(Arg10)(Cambridge Isotopes Laboratories)が補充された最小培地の使用により栄養要求性大腸菌株に発現させて、「重」標識タンパク質を得た。細菌を遠心分離により採取し、7Mの塩化グアニジウム、47mMのNa2HPO4、2.65mMのNaH2PO4、10mMのTris HCL、300mMのNaCl、10mMのベータ−メルカプトエタノール、pH8.0で溶解し、His融合PrESTペプチドを、Cobalt Talonカラム(Clontech)で濃縮し、6Mの尿素、50mMのNaH2PO4、100mMのNaCl、30mMの酢酸、70mMの酢酸Na pH5で溶出した(29)。
血液試料をマウスから取り出して、ヘパリンを含有するチューブに入れた。血液を70gで2回遠心分離し、毎回、血小板豊富血漿(PRP)である上澄みを得た。アピラーゼ及びプロスタサイクリン(PGI2)をPRPに加えて、血小板凝集を抑制した。試料を遠心分離し、ペレットを1mlのタイロード緩衝液(Ca2+なし、BSA、アピラーゼ及びPGI2含有)で2回洗浄した。最終的にペレットを300〜400μlのタイロード緩衝液に懸濁し、37℃で30分間インキュベートした。標準的な血液学的分析を、Hemavet 950(Drew Scientific Inc.)を使用して実施し、血小板を数えた。
単離した血小板を4%のSDS、100mMのTris pH8.5、100mMのDTTで溶解し、95℃で5分間沸騰させ、精製されたPrESTを適切な量で溶解産物に加えた。試料を前に記載したFASP法(30)に従って調製した。ペプチドを遠心分離により収集し、水で溶出した。ペプチドをC18エムポアステージチップ(empore stage tip)で脱塩し、緩衝液B(アセトニトリル80%、酢酸0.5%)で溶出し、有機溶媒をスピードベーシング(speed-vacing)で除去し、試料をA*(アセトニトリル2%、酢酸0.5%)に溶解した。ペプチドを、前分画することなく、1.8μmのC18樹脂(Dr.Maisch GmbH)を充填した内部充填20cmカラム(内径75μm)に装填し、200分間の2〜25%緩衝液B勾配のEASY−nLC 1000(Thermo Fisher Scientific)を使用して分離した。分離したペプチドを、ナノエレクトロスプレーイオン供給源(Proxeon Biosystems)によりQ Exactive質量分析機(Thermo Fisher Scientific)に噴霧した。質量分析機は、鑑定走査を得て、最も存在量のある上位10個のイオンを高エネルギー衝突解離により順次断片化し、MS/MS走査を得た。56,743入力を含有するマウスIPIデータベース、バージョン3.68によりデータを検索した以外は、生データは、実施例1に記載されたMax Quantソフトウエアを使用して分析した。
結果−手法を他の種に更に広げるため、マウスタンパク質を標的にするPrESTを設計した。PrESTは、多くのトリプシンペプチドを生じ、かつ前記測定において質量分析機において観察された多数のペプチドを含む125〜200個のアミノ酸領域を包含するように設計した。それぞれの標的タンパク質において、タンパク質の異なる領域を包含するため及び定量化精度を確実にするために、2個のPrESTを設計した。マウスの血小板におけるインテグリンベータ3、並びにそのコアクチベーターのタリン1及びキンドリン3の発現レベルを測定するために、PrESTを設計した。ヘテロダイマーインテグリンαIIbβ3の活性化(低親和状態から高親和状態にシフトする)は、血小板接着及び凝集において必須の役割を果たす(31)。キンドリン3を欠損しているマウスは、重篤な出血を被り、数日内に死亡する。野生型マウス(Kind3+/+)、Kind3+/n、Kind3n/n及びKind3n/-におけるインテグリンベータ3、タリン1及びキンドリン3の発現レベルを測定した。「n」は、遺伝子のイントロンへのネオマイシンカセットの挿入を示し、キンドリン3のスプライシングに影響を及ぼす。インテグリン活性化の機能性について更に解明するために、野生型マウスにおけるインテグリンベータ3、タリン1及びキンドリン3の化学量論の測定を望んだ。
インテグリンベータ3及びそのコアクチベーターは、血小板における高存在量のタンパク質であり、Itgb3は、細胞1個あたり平均して300,000コピーを有し、一方、そのコアクチベーターのタリン1は470,000コピーを有し、キンドリン3は、血小板1個あたり平均して430,000コピーを有する(表3、図9a)。異なるマウスにおける標的タンパク質のコピー数を、2つの異なるPrESTを使用して二重に測定した。血小板試料間の差は、平均して20%であったが、PrEST間の差は22%である。キンドリン3の計算では、1個のPrESTだけを考慮し、それは、これが生物学的に興味深い領域を標的にするからであり、キンドリン3のC末端は、インテグリンベータ3の細胞質末端と相互作用する。
細胞1個あたりのコピーの他に、異なるノックアウトにおけるキンドリン3の発現レベルの減少も観察された(図9b)。野生型マウスと比較して、キンドリン3は、予測されたように、Kind3+/nマウスでは50%、Kind3n/nマウスでは15%、Kind3n/-マウスでは6%に減少し、この傾向は、Moserら(32)の観察と合致している。
絶対量を使用して、野生型マウスにおける3個のタンパク質(表2)の化学量論を1:1.5:1.3と決定し、この化学量論情報は、コアクチベーターの結合及びインテグリンの活性化の更なる理解に役立つ。
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Claims (15)

  1. 試料において標的ポリペプチドの絶対量を決定する方法であって、以下の工程:
    (a)(aa)(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)標的ポリペプチドの部分配列を含む融合ポリペプチドを前記試料に添加し、
    (ab)前記試料に(aa)による前記タグ配列を含む又はからなるタグポリペプチドの既知絶対量を添加して、
    一方の前記融合ポリペプチドが、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば一方の前記融合ポリペプチドと、他方の前記標的ポリペプチド及び前記タグポリペプチドとが、異なって同位体標識される工程;
    (b)工程(a)で得た混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程;
    (c)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(b)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程;並びに
    (d)前記標的ポリペプチドの絶対量を(i)前記融合ポリペプチド、前記タグポリペプチド及び前記標的ポリペプチドの工程(c)で得た質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知絶対量から決定する工程
    を含む方法。
  2. 定量基準を作り出す方法であって、以下の工程:
    (a)1個又は複数の融合ポリペプチドを準備し、1個の融合ポリペプチド又はそれぞれの前記融合ポリペプチドが、それぞれ、(i)少なくとも1つのタグ配列及び(ii)定量的に測定される標的ポリペプチドの部分配列を含み、前記複数の融合ポリペプチドが準備される限り、全ての融合ポリペプチドが少なくとも1つのタグ配列を共有し、それにより基準を得る工程;
    (b)(ba)それぞれ(a)の1個の融合ポリペプチドに含まれる又は複数の融合ポリペプチドのうちで共有されるタグ配列を含む又はからなる既知量のタグポリペプチドを、1回につき1個の融合ポリペプチド又は前記複数の融合ポリペプチドの1個に、それぞれ添加して、前記融合ポリペプチドが、前記タグポリペプチドと比較して質量変更される、例えば前記融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドが異なって同位体標識される工程、
    (bb)工程(ba)で得た1個の融合ポリペプチドと前記タグポリペプチドの混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程、
    (bc)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(bb)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程;並びに
    (bd)(i)融合ポリペプチド及びタグポリペプチドの質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記タグポリペプチドの前記既知量から前記1個の融合ポリペプチドの絶対量を測定し、
    それにより1回につき1個の融合ポリペプチド又は前記複数の融合ポリペプチドのうちの1個の絶対量をそれぞれ得ることにより、前記融合ポリペプチドの絶対量を測定する工程
    を含む方法。
  3. 試料において1個以上の標的ポリペプチドの絶対量を決定する方法であって、以下の工程:
    (a)場合により、請求項2に記載の方法を実施する工程;
    (b)請求項2(a)に定義された定量基準を前記試料に添加する工程;
    (c)工程(b)で得た混合物のタンパク質分解性消化を実施する工程;
    (d)場合によりクロマトグラフィーの後、工程(c)のタンパク質分解性消化の結果を、質量分光分析に付す工程;並びに
    (e)(i)融合ポリペプチド及び標的ポリペプチドの工程(d)で得た質量スペクトルのピーク強度及び(ii)前記融合ポリペプチドの既知絶対量から標的ポリペプチドの絶対量を決定する工程を含み、
    前記融合ポリペプチドが前記標的ポリペプチドと比較して質量変更されている、例えば前記1個以上の標的ポリペプチドが前記融合ポリペプチドと異なって同位体標識されている方法。
  4. 1又は2つのタグが前記融合ポリペプチド(単数又は複数)に存在し、前記タグ(単数又は複数)が精製タグ及び溶解性タグから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記添加が前記タンパク質分解性消化の前に実施される、請求項1、3又は4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 2〜500個の融合ポリペプチドが使用される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 溶解性タグがそれぞれの前記融合ポリペプチドに存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. ポリペプチドの前記部分配列が、
    (a)15〜205個のアミノ酸からなる;
    (b)プロテオタイプペプチドを含む;並びに/又は
    (c)他のタンパク質と最小配列同一性を有するように選択され、シグナルペプチドを排除し、及び/若しくは膜貫通領域からの配列を排除する
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 質量分析により標的ポリペプチドを定量化するための融合ポリペプチドであって、
    前記融合ポリペプチドが35〜455個のアミン酸残基からなり、(i)標的ポリペプチドのフラグメントである標的領域及び(ii)標的ポリペプチドのフラグメントではないタグ領域を含み、
    前記標的領域が15〜205個のアミノ酸残基からなり、少なくとも2つのシグネチャー領域を含み;
    前記タグ領域が20〜250個のアミノ酸残基からなり、少なくとも2つのシグネチャー領域を含み;
    各シグネチャー領域が、構造:Y−Z−X4-28−Y−Zを有し、ここで
    全てのYが(i)〜(iv)のうちの1つから選択され、(i)がR又はKであり、(ii)がY、F、W又はLであり(iii)がEであり、(iv)がDであり、各X及び各Zが独立して任意のアミノ酸残基であるが、但し、Yが(i)〜(iii)から選択される場合、ZはPではなく;各シグネチャー領域が、重同位体を含む少なくとも1個のアミノ酸残基を含む
    融合ポリペプチド。
  10. 前記タグ領域が、溶解性タグ又はそのフラグメントに対応し、前記溶解性タグが、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(Trx)、N利用サブスタンス(N-Utilization substance)(NusA)、低分子ユビキチン修飾因子(SUMO)、溶解性向上タグ(SET)、ジスルフィド形成タンパク質C(DsbC)、17キロダルトンタンパク質(Skp)、T7ファージタンパク質キナーゼ(T7PK)、タンパク質G B1ドメイン(GB1)、タンパク質A IgG ZZ反復ドメイン(ZZ)及びアルブミン結合タンパク質(ABP)から選択される、請求項9に記載の融合ポリペプチド。
  11. 前記タグ領域が、配列番号1に記載される配列からなる又はそれを含む、請求項9又は10に記載の融合ポリペプチド。
  12. YがR及びKから選択される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の融合ポリペプチド。
  13. 前記融合ポリペプチド(単数又は複数)が、請求項9〜12のいずれか1項に定義されているものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  14. (a)請求項9〜12のいずれか1項に記載の少なくとも1個の融合ポリペプチド;並びに
    (b)(i)請求項9〜12のいずれか1項に定義されているタグ領域のアミノ酸配列を含む若しくはからなり、請求項9〜12のいずれか1項に定義されている前記タグ領域と比較して異なって同位体標識されている第2ポリペプチド;及び/又は
    (ii)トリプシン、キモトリプシン、Lys−C、Glu−C若しくはAsp−Nのようなタンパク質分解酵素
    を含むキット。
  15. 標的ポリペプチド定量化における参照としての、請求項2に定義されている定量基準又は請求項9〜12のいずれか1項に記載の融合ポリペプチドの使用。
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