本開示は、培地組成に従って機能遺伝子の発現を制御するための、定義された遺伝子調節配列の使用に関する。
本開示は、RuBisCoプロモーター等の強力なプロモーター下における遺伝子発現は、十分なまたは最適な生物の成長を提供するために調節を必要とし得るという認識に少なくとも一部は基づいている。本開示はまた、NtcA結合部位(例えば、rbcL)を含むプロモーターは、標的遺伝子発現を調節するために使用することができ、標的遺伝子は、硝酸塩が唯一の窒素源である場合は抑制されるが、アンモニアの窒素、または尿素等の他の非硝酸塩還元窒素源を用いて成長させた場合には発現されるという認識にも少なくとも一部は基づいている。この系は、NtcA抑制系として理解される。また、本明細書に記載される発現系は、標的遺伝子の発現を調節するために使用することができ、標的遺伝子は、硝酸塩が唯一の窒素源である場合は発現されるが、アンモニアの窒素、または尿素等の他の非硝酸塩窒素源を用いて成長させた場合には抑制されることも認識されたい。この系は、NtcA活性化系として理解される。本明細書において報告されるように、NtcA結合部位を含む亜硝酸還元酵素プロモーターは遺伝子発現を調節することができるが、亜硝酸還元酵素プロモーターは相対的に弱く、容認できないほど少ないタンパク質産生量をもたらす。
種々の実施形態は、遺伝子調節およびタンパク質発現を制御するために培地の窒素源を用いる組成物および方法を提供する。
さらに、窒素感受性転写因子領域と、コアプロモーター領域、またはその変異体もしくは機能的断片とを含む構築物を提供することにより、調節された遺伝子発現が提供される。そのような構築物は、培養プロセスの所定の時点で、系において高レベルのタンパク質産生量を得ることができる。本明細書に記載される種々の系は、限定されないが、糖生合成酵素または他の産業用酵素、例えば、エステルヒドロラーゼ等を含むタンパク質材料の生成に適用することができる。本明細書に記載される系は、酵素に応じた作用によって誘導される小分子(限定されないが、糖を含む)を生成するために適用することができる。
本明細書において特に指定される場合を除いて、本開示の組成物およびプロセスは、2009年1月5日に出願された米国特許出願公開第2009/0181434号(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)に記載される組成物およびプロセスに従って実行することができる。
本明細書に記載される窒素によって調節される発現系は、固相バイオリアクター等のバイオリアクターとともに使用されると特に有利であり得る。バイオリアクターとともに使用される場合、フィード内の窒素源を変化させることによりタンパク質発現の迅速な調節を得ることができる。固相バイオリアクターは、2009年1月5日に出願された米国特許出願公開第2009/0181434(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるものに従うことができる。
以下の定義および方法は、本発明をよりよく定義し、本発明を実践する当業者を誘導するために提供される。別途記載のない限り、用語は、関連技術分野の当業者による従来の使用に従って理解されるものとする。
本明細書で使用される用語「異種DNA配列」、「外来性DNAセグメント」、または「異種核酸」は、それぞれ、特定の宿主細胞に対して外来性の源から生じる配列を指すか、または同じ源から生じる場合は、その本来の形態から修飾された配列を指す。よって、宿主細胞中の異種遺伝子は、特定の宿主細胞に対して内在性であるが、例えば、DNAシャフリングによって修飾された遺伝子を含む。また、これらの用語は、自然に発生するDNA配列の非自然的に発生する複数のコピーも含む。よって、これらの用語は、細胞に対して外来性もしくは異種であるか、または細胞に対して相同性であるが、通常は該エレメントが見られない宿主細胞の核酸内の位置にある、DNAセグメントを指す。外来性DNAセグメントは、外来性ポリペプチドを生じるように発現される。「相同性」のDNA配列は、それが導入される宿主細胞と自然に会合しているDNA配列である。
発現ベクター、発現構築物、プラスミド、または組換えDNA構築物は、一般に、例えば、宿主細胞における特定の核酸の転写または翻訳を可能にする一連の特定された核酸エレメントを含む、組換え手段または直接化学合成を用いることを含む人間の介入によって作製された核酸を指すと理解される。発現ベクターは、プラスミド、ウイルス、または核酸断片の一部であり得る。典型的には、発現ベクターは、プロモーターに作動可能に連結された、転写されるべき核酸を含むことができる。
「プロモーター」は、一般に、核酸の転写を誘導する核酸制御配列として理解される。誘導性プロモーターは、一般に、特定の刺激に応じて、作動可能に連結された遺伝子の転写を媒介するプロモーターとして理解される。プロモーターは、ポリメラーゼII型プロモーターの場合のTATAエレメントのように、転写開始部位の近くの必須核酸配列を含むことができる。プロモーターは、任意選択的に、転写開始部位から数千塩基対ほど離れて位置し得る遠位のエンハンサーエレメントまたはリプレッサーエレメントを含むことができる。
本明細書で使用される「転写可能な核酸分子」は、RNA分子に転写されることができるあらゆる核酸分子を指す。転写可能な核酸分子が、翻訳され、その結果、タンパク質産物として発現される機能的mRNA分子に転写される様式で細胞に構築物を導入するための方法は既知である。また、構築物は、対象となる特定のRNA分子の翻訳を阻害するために、アンチセンスRNA分子を発現させることができるように構築されてもよい。本開示の実践のために、構築物および宿主細胞を調製および使用するための従来の組成物および方法は当業者に周知である(例えば、Sambrook and Russel(2006)Condensed Protocols from Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ISBN−10:0879697717、Ausubel et al.(2002)Short Protocols in Molecular Biology,5th ed.,Current Protocols,ISBN−10:0471250929、Sambrook and Russel(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ISBN−10:0879695773、Elhai,J.and Wolk,C.P.1988.Methods in Enzymology 167,747−754を参照)。
「転写開始部位」または「開始部位」は、位置+1としても定義される、転写される配列の一部である第1のヌクレオチドを取り囲む位置である。この部位に関連して、遺伝子の他の全ての配列およびその制御領域に番号を付けることができる。下流の配列(すなわち、3’方向のさらなるタンパク質コード配列)は正の数字で表示することができ、上流の配列(大部分は5’方向の制御領域)は負の数字で表示される。
「作動可能に連結される」または「機能的に連結される」とは、好ましくは、一方の機能が他方の機能による影響を受けるような単一の核酸断片上での核酸配列の会合を指す。例えば、調節DNA配列がコード化DNA配列の発現に影響を与える(すなわち、コード配列または機能的RNAがプロモーターの転写制御下にある)ように2つの配列が配置された場合に、調節DNA配列は、RNAまたはポリペプチドをコードするDNA配列に「作動可能に連結される」または「会合する」と言われる。コード化配列は、センスまたはアンチセンス配向で調節配列に作動可能に連結することができる。2つの核酸分子は、単一の近接する核酸分子の一部であってもよく、また隣接していてもよい。例えば、プロモーターが、細胞中の対象となる遺伝子の転写を調節または媒介する場合、該プロモーターは、対象となる遺伝子に作動可能に連結される。
「構築物」は、一般に、1つ以上の核酸分子が作動可能に連結された核酸分子を含む、ゲノム組込みまたは自己複製が可能な、任意の源に由来するプラスミド、コスミド、ウイルス、自己複製核酸分子、ファージ、または線形もしくは環状の一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNA核酸分子等の、あらゆる組換え核酸分子として理解される。
本開示の構築物は、3’転写終結核酸分子に作動可能に連結された転写可能な核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターを含むことができる。さらに、構築物は、限定されないが、例えば、3’非翻訳領域(3’UTR)由来のさらなる調節核酸分子を含むことができる。構築物は、限定されないが、翻訳開始において重要な役割を果たすことができ、かつ発現構築物中の遺伝子構成成分でもあり得るmRNA核酸分子の5’非翻訳領域(5’UTR)を含むことができる。これらのさらなる上流および下流の調節核酸分子は、プロモーター構築物に存在する他のエレメントに対して天然または異種である源に由来し得る。
「形質転換」という用語は、遺伝的に安定な形質をもたらす、宿主細胞のゲノム内への核酸断片の移入を指す。形質転換された核酸断片を含む宿主細胞は、「遺伝子導入」細胞と称され、遺伝子導入細胞を含む生物は、「遺伝子導入生物」と称される。
「形質転換された」、「遺伝子導入された」、および「組み換えられた」は、異種核酸分子が導入された細菌、シアノバクテリア、動物、もしくは植物等の宿主細胞または宿主生物を指す。核酸分子は、当該技術分野において一般的に知られるおよび開示されるように、ゲノム中に安定に組み込むことができる(Sambrook 1989;Innis 1995;Gelfand 1995;Innis&Gelfand 1999)。既知のPCR法は、限定されないが、プライマー対、入れ子プライマー、単一特異的プライマー、縮重プライマー、遺伝子特異的プライマー、ベクター特異的プライマー、部分的ミスマッチプライマー等を使用する方法を含む。「非形質転換の」という用語は、形質転換プロセスを経験していない正常な細胞を指す。
「野生型」は、いずれの既知の突然変異も持たない、自然において見出されるウイルスまたは生物を指す。
発現系の構成成分
一態様は、成長培地または発酵培地等の培地の窒素源に感受性を示す発現調節系を提供する。
種々の実施形態において、発現調節系は、転写因子領域と、標的配列に作動可能に連結されたコアプロモーター領域とを含む。
転写可能な核酸分子配列は、培地中の窒素源を変更することによって転写レベルで調節することができる。例えば、転写可能な核酸分子配列のmRNA転写は、硝酸塩の存在下ではスイッチがオフになり得るか、または還元窒素の非硝酸塩源、例えば、アンモニアもしくは尿素等の存在下ではスイッチがオンになり得る。よって、本明細書に記載される発現調節系は、廉価なリプレッサー硝酸塩および誘導因子アンモニウムを使用して、異種遺伝子の制御可能な発現を提供することができる。
別の例として、転写可能な核酸分子配列のmRNA転写は、還元窒素の非硝酸塩源、例えばアンモニアもしくは尿素等の存在下ではスイッチがオフになり得るか、または硝酸塩の存在下ではスイッチがオンになり得る。よって、本明細書に記載される発現調節系は、廉価な誘導因子硝酸塩およびリプレッサーアンモニウムを使用して、異種遺伝子の制御可能な発現を提供することができる。
終止領域制御配列の組込みは任意選択的であり、用いられる場合は、終止領域は比較的互換性があるため、その選択は主として利便性の1つである。終止領域は、転写開始領域(プロモーター)に対して天然であり得るか、対象となるDNA配列に対して天然であり得るか、または別の源から得られてもよい。
本開示のプロモーターは、記載されるようにマーカー遺伝子を使用して構築物に組み込むことができ、安定な宿主系において遺伝子発現の適応について検査することができる。本明細書において使用される場合、「マーカー遺伝子」という用語は、いくつかの方法においてその発現をスクリーニングまたはスコア化できるあらゆる転写可能な核酸分子を指す。
転写因子領域
窒素感受性転写因子領域を含むことができる発現調節系を本明細書において提供する。本明細書に記載されるような窒素調節系の実施形態を使用して、培地(例えば、発酵ブロス)中で硝酸塩からアンモニアの窒素(または別の非硝酸塩還元型の窒素、例えば、尿素)に切り替えることにより、作動可能に連結された遺伝子の発現を阻害する抑制の損失をもたらすことができ、それによって培養プロセス中の所定の時点でタンパク質産生を効果的に活性化する。別の実施形態において、培地中でアンモニアの窒素(または別の非硝酸塩還元型の窒素、例えば、尿素)から硝酸塩に切り替えることにより、作動可能に連結された遺伝子の発現を阻害する抑制の損失をもたらすことができ、それによって培養プロセス中の所定の時点でタンパク質産生を効果的に活性化する。
本開示は、シアノバクテリアの窒素レギュロンの主な制御因子であるNtcAに関連する観察に少なくとも一部基づいている。本明細書に提示される結果は、シネコシスティス種PCC6803およびシネココッカス・エロンガタスPCC7942から単離された亜硝酸還元酵素プロモーター(NtcA結合部位を含む)に作動可能に連結された遺伝子は、硝酸塩が唯一の窒素源である場合は発現されるが、アンモニアの窒素を用いて成長させた場合には抑制されることを示している(実施例2を参照)。そのような系は、NtcAによって活性化されるプロモーター系と一致する(Hererro 2001 J Bacteriol 183(2)411−425,416を参照)。これらの結果は、タンパク質発現の制御、ひいては天然産物の生成が、廉価な窒素源の変更によって達成され得ることを実証するものである。Emlyn−Jonesら(2003)等による以前の報告により、遺伝子調節のための亜硝酸還元酵素プロモーターの使用が報告されているが、本発明の発明者は、ある程度の発現の制御は達成され得るものの、従来の系における亜硝酸還元酵素プロモーターは相対的に弱く、容認できないほど少ないタンパク質産生量をもたらすことを発見した(実施例2を参照)。
転写因子領域は、コアプロモーター領域に作動可能に連結することができる。また、本開示は、RuBisCoプロモーター等の強力なプロモーターに作動可能に連結されたNtcA結合配列の使用による観察に少なくとも一部基づいている。本明細書に提示される結果は、ノストック種PCC7120から単離されたrbcLプロモーター(NtcA結合部位を含む)またはその機能的断片に作動可能に連結された遺伝子は、アンモニアが唯一の窒素源である場合は発現されるが、アンモニアの窒素を用いて成長させた場合には抑制されることを示している(実施例2を参照)。そのような系はNtcA抑制プロモーター系と一貫している(Hererro 2001 J Bacteriol 183(2)411−425,420を参照)。
転写因子領域は、コアプロモーター領域に関連する種々の位置を有することができる。例えば、転写因子領域は、コアプロモーター領域の上流または下流にあってもよい。転写因子領域は、コアプロモーター領域の近位にあってもよい。転写因子領域は、コアプロモーター領域の遠位にあってもよい。転写因子領域は、コアプロモーター領域内に含まれてもよい。例えば、転写因子領域は、コアプロモーター領域の配列内に組み込まれてもよい。
転写因子領域は、窒素感受性転写因子を含むことができる。転写因子は、一般に、例えば、典型的には転写開始部位の上流の部位でDNAに結合することにより発現を活性化または抑制することによって、種々の生物において遺伝子発現を調節することに関与することができる。転写因子は、コード化DNA分子にポリメラーゼを動員することによってそれらの機能を発揮することができる。転写因子、または配列特異的DNA結合因子は、一般に、特異的DNA配列に結合し、それによってDNAからmRNAへの遺伝子情報の転写を制御するタンパク質として理解される。転写因子は、DNAからRNAへ、そして特異的遺伝子へと遺伝子情報の転写を行う酵素であるRNAポリメラーゼの動員を促進する(アクチベーター)またはブロックする(リプレッサー)ことにより、単独で、または複合体中の他のタンパク質とともにこの機能を実行することができる。転写因子の特徴の1つは、それらが調節する遺伝子に隣接するDNAの特異的配列に付着することができる1つ以上のDNA結合ドメインを含むということである。
窒素感受性発現調節系は、窒素代謝関連遺伝子と会合したプロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。窒素感受性発現調節系は、亜硝酸還元酵素遺伝子のプロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。例えば、窒素感受性発現調節系は、シアノバクテリア由来の亜硝酸還元酵素遺伝子のプロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。さらなる例として、窒素感受性発現調節系は、シネコシスティスまたはシネココッカスから単離された、NtcAによって調節される亜硝酸還元酵素プロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。内在性亜硝酸還元酵素プロモーターのNtcA結合部位は、転写開始部位からのその距離を用いてアクチベーター部位として機能すると理解される(Herrero 2001 J Bacteriol 183(2)411−425を参照)。さらなる例として、窒素感受性発現調節系は、NtcBによって調節される亜硝酸還元酵素プロモーターを含むことができる。
窒素感受性発現調節系は、窒素によって調節される遺伝子のプロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。窒素感受性発現調節系は、窒素によって調節されるRuBisCo遺伝子のプロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。例えば、窒素感受性発現調節系は、NtcA結合部位またはNtcA結合部位コンセンサス配列のうちの1つ以上を含むプロモーターを含むことができる。別の例として、窒素感受性発現調節系は、NtcB結合部位またはNtcB結合部位コンセンサス配列のうちの1つ以上を含むプロモーターを含むことができる。別の例として、窒素感受性発現調節系は、は、NtcA結合部位およびNtcB結合部位またはNtcA結合部位コンセンサス配列およびNtcB結合部位コンセンサス配列のうちの1つ以上を含むプロモーターを含むことができる。さらなる例として、窒素感受性発現調節系は、藻類またはシアノバクテリア由来の窒素によって調節されるRuBisCo遺伝子のプロモーターを含むことができる。さらなる例として、窒素感受性発現調節系は、ノストック、シネコシスティス、またはシネココッカス由来の窒素によって調節されるRuBisCo遺伝子のプロモーターまたはその機能的断片もしくは変異体を含むことができる。ノストック由来の内在性rbcLプロモーターのNtcA結合部位は、転写開始部位までのその近接を用いてリプレッサー部位として機能すると理解される(Herrero 2001 J Bacteriol 183(2)411−425を参照)。
NtcAは、種々の結合ドメインで窒素によって調節される遺伝子のプロモーターに結合するヘリックスターンヘリックス転写調節因子であると理解される(Su et al.2005 Nucleic Acids Research 33(16),5156−5171、Llacer et al.2010 Proc Natl Acad Sci USA 107(35),15397−402を参照)。内在性シアノバクテリアのNtcAレギュロンにおいて、アンモニウムが好ましい窒素源である場合、他の窒素源の同化のための遺伝子の発現は、アンモニウムが豊富な環境において抑制され、アンモニウムが制限された環境において、代替窒素源の取り込みおよび代謝に関与する遺伝子は、遺伝子のプロモーター領域におけるNtcAのcis−調節エレメントへの結合によって誘導することができる。
転写因子領域は、NtcA窒素感受性転写因子結合部位、NtcB窒素感受性転写因子結合部位、またはそれらの変異体もしくは機能的断片のうちの1つ以上を含むことができる。転写因子領域は、NtcA窒素感受性転写因子結合部位およびNtcB窒素感受性転写因子結合部位、またはそれらの変異体もしくは機能的断片のうちの少なくとも各1つを含むことができる。例えば、転写因子領域は、配列番号279(その配列はNtcAおよびNtcBに作動可能に連結されたNirAプロモーターである)に存在するNtcA窒素感受性転写因子結合部位およびNtcB窒素感受性転写因子結合部位もしくはその断片、またはそれと少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むことができる。
転写因子領域は、NtcA結合部位コンセンサス配列またはNtcB結合部位コンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。転写因子領域は、NtcA結合部位コンセンサス配列およびNtcB結合部位コンセンサス配列の両方を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。転写因子領域は、配列番号279(その配列はNtcAおよびNtcBに作動可能に連結されたNirAプロモーターである)に存在するNtcA結合部位コンセンサス配列およびNtcB結合部位コンセンサス配列の両方を含む配列もしくはその断片、またはそれと少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、ノストック、シネコシスティス、またはシネココッカス等の生物の窒素によって調節される遺伝子と機能的に会合したNtcA結合配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。例えば、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、窒素によって調節される遺伝子(例えば、窒素によって調節されるシアノバクテリア遺伝子)のプロモーター領域と機能的に会合したNtcA結合配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。nirオペロン、nirB−ntcB、ntcA、glnA、glnB、amtl、urtオペロン、ntcB、hetC、devBCA、icd、rpoD2−V、nrtP、glnN、nifP、petH、nifH、nifORF1、vnfDG、およびnifHDKのプロモーター領域は、NtcAによって活性化されるプロモーターとして作用すると理解されるかまたは予測される(Herrero 2001 J Bacteriol 183(2)411−425,417,418を参照)。rbcL、hanA gor、gifA、およびgifBプロモーター領域は、NtcAによって抑制されるプロモーターとして作用すると理解されるかまたは予測される(Herrero 2001 J Bacteriol 183(2)411−425を参照)。NtcA結合部位を含む他のプロモーター領域は、xisA、glbN、およびnifHを含む。NtcA結合部位を含む上記配列、またはその変異体もしくは機能的断片のうちのいずれも、本明細書に記載される発現系に含まれることができる。
例えば、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、nirAのプロモーター領域(配列番号26、配列番号32)と機能的に会合したNtcA結合配列と同じかもしくは類似する配列、またはそれと少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列もしくはその断片を有することができる。
例えば、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、以下のゲノムのうちの1つ以上におけるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる:グロエオバクター・ビオラセウスPCC7421(PCC7421)、ノストック種PCC7120(PCC7120)、プロクロロコッカス・マリナスCCMP1375(PCC1375)、プロクロロコッカス・マリナスMED4(MED4)、プロクロロコッカス・マリナスMIT9313(MIT9313)、シネココッカス・エロンガタスPCC6301(PCC6310)、シネココッカス種WH8102(WH8102)、シネコシスティス種PCC6803(PCC6803)、およびサーモシネココッカス・エロンガタスBF−1(サーモシネココッカス)。別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、Su et al. 2005 Nucleic Acids Research 33(16),5156−5171(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、Jiang et al.1997 Biochem J 327,513−517(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。
別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列に含まれるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、配列番号180、配列番号181、配列番号182、配列番号183(Nsp7120 rbcプロモーター)、配列番号227(Ssp6803 RuBisCoプロモーター)、配列番号231(Selo7942 RuBisCoプロモーター)、または配列番号234(Nsp7120 rbcプロモーター)に含まれるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。
別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、プラスミドpLybDB2(配列番号188)、pLybDB3(配列番号189)、pLybDB4(配列番号190、pLybDB5(配列番号191)、pLybDB6(配列番号235)、pLybDB7(配列番号236)、またはpLybDB9(配列番号237)に含まれるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、プラスミドpLybDB4(配列番号190)に含まれるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。
別の例として、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列またはNtcB結合部位配列は、プラスミドpLybAL106(配列番号272)またはpLybAL107(配列番号273)に含まれるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。例えば、本明細書に記載される構築物のNtcA結合部位配列は、プラスミドpLybAL106(配列番号272)に含まれるNtcA結合部位と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。
転写因子領域は、NtcAの正準な結合部位コンセンサス配列であり得るGTAN11Cコンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。GTAトリプレットは、このコンセンサス配列の最も保存された領域であると考えられる。本発明に記載される発現系の構成成分として、NtcA結合部位コンセンサス配列は、NtcAの結合が転写可能な核酸分子の発現の制御をもたらすように位置付けることができる。例えば、GTAN11Cドメインは、転写開始部位の39.5〜40.5ヌクレオチド上流で中央に位置することが分かっており、上流位置−109.5および−180.5でいくつかのプロモーターにおいて見ることもできる。そのような位置付けは例であって、機能性を維持する他の位置も企図されることを理解されたい。
転写因子領域は、GTAN8TACコンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。GTAN8TAC結合ドメインは、NtcAの正準な結合部位コンセンサス配列であると考えられる。
転写因子領域は、GTAN8TGCコンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
転写因子領域は、GTN10ACコンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
転写因子領域は、TGTN9ACAコンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。転写因子領域は、TGTN10ACAコンセンサス配列を含む配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
転写因子領域は、TAN3T/Aの形態の−10様ボックス等のさらなる結合ドメインを含むことができる。例えば、転写因子領域は、TAN3T結合ドメインを含むことができる。別の例として、転写因子領域は、TAN3A結合ドメインを含むことができる。そのような結合ドメインは、大腸菌σ70タイプ3プロモーターに存在する−35ボックスにとって代わる、NtcA結合部位(上述したものであり得る)を有するTAN3Tの形態の大腸菌σ70様−10ボックスに類似し得る(Su et al.2005 Nucleic Acids Research 33(16),5156−5171を参照)。いくつかの実施形態において、−10様ボックスは、Ntcaによって活性化されるプロモーター構築物に存在し得る(Herrero 2001 J Bacteriol 183(2)411−425, 418,419を参照)。TAN3Tボックス結合ドメインは、例えば、転写開始部位から5〜6ヌクレオチド上流に位置し得る。TAN3Tボックス結合ドメインは、例えば、NtcA結合部位コンセンサス配列から22または23ヌクレオチド上流に位置し得る。TAN3Tボックス結合ドメインは、例えば、NtcA結合部位コンセンサス配列から約21、約22、約23、または約24ヌクレオチド上流に位置し得る(Herrero 2001 J Bacteriol 183(2)411−425,419を参照)。
いくつかの実施形態において、上述のようなNtcA結合部位は、例えば、NtcA結合がアクチベーターとして作用する構築物において、−10様ボックスの約21〜約24、例えば、22または23ヌクレオチド下流にあってもよい。いくつかの実施形態において、上述のようなNtcA結合部位は、例えば、NtcA結合がリプレッサーとして作用する構築物において、転写開始部位の付近にあってもよいか、または−10様ボックスと重複していてもよい。
転写因子領域は、NtcA結合部位配列またはNtcA結合部位コンセンサス配列のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、転写因子領域は、上記任意のNtcA結合部位配列またはNtcA結合部位コンセンサス配列のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれ以上を含むことができる。
窒素感受性転写因子領域を含む発現制御系の実施形態におけるインデューサーおよびリプレッサーとしての窒素源の選択は、転写因子とともに機能することが分かっている化合物に従うことができる(参照により本明細書に組み込まれるHerrero et al.2001 J Bacteriol 183(2),411−425を参照)。例えば、いくつかの実施形態において、硝酸塩(+5の窒素酸化状態を有する)の存在下で、NtcAによって活性化されるプロモーター系に作動可能に連結された場合に転写可能な核酸分子の発現が生じ得るが、アンモニア(−3の窒素酸化状態を有する)等の還元窒素源の存在下で、そのような系からの発現が抑制される。反対に、他の実施形態において、硝酸塩(+5の窒素酸化状態を有する)の存在下で、NtcAによって抑制されるプロモーター系に作動可能に連結された場合に転写可能な核酸分子の発現が抑制され、アンモニア(−3の窒素酸化状態を有する)等の還元窒素源の存在下で、そのような系からの発現が活性化される。つまり、いくつかの実施形態において、硝酸塩よりも低い酸化状態を有する窒素源は、NtcAによって調節される系に対して反対の効果を有し得る。換言すると、硝酸塩よりも低い酸化状態を有する窒素源(例えば、アンモニア、尿素)は、NtcAによって活性化されるプロモーター系において発現リプレッサーとして作用することができ、硝酸塩よりも低い酸化状態を有する窒素源(例えば、アンモニア、尿素)は、NtcAによって抑制されるプロモーター系において発現インデューサーとして作用することができる。
硝酸塩は、その塩、例えば、硝酸カリウムまたは硝酸ナトリウム等を含むことができる。硝酸塩よりも低い酸化状態を有する窒素化合物は、限定されないが、尿素、シアン酸、アンモニア、硫酸アンモニウム、アミノ酸、二酸化窒素、一酸化窒素、または亜酸化窒素を含むことができる。好ましくは、硝酸塩よりも低い酸化状態を有する窒素化合物は、アンモニアまたは尿素等の可溶性窒素化合物である。
窒素レギュロン調節タンパク質
いくつかの実施形態において、過剰な窒素レギュロン調節タンパク質を系に添加することにより、非誘導条件下での発現をさらに低下させるかまたは排除することができる。上述のように、発現調節系は、窒素レギュロン調節タンパク質(例えば、硝酸塩誘導性の窒素レギュロン調節タンパク質)に感受性を示す窒素感受性転写因子領域を含むことができる。いくつかの実施形態において、過剰な窒素レギュロン調節タンパク質(例えば、NtcAまたはNtcB)の添加は、非誘導条件下にある標的ヌクレオチド配列の発現をさらに低下させるかまたは排除することができる(例えば、実施例9を参照)。
本明細書に記載される構築物は、NtcAもしくはNtcBまたはその両方のうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。例えば、本明細書に記載される構築物は、NtcAもしくはNtcBまたはその両方をコードする部分を含む配列番号279のヌクレオチド配列またはその断片、または配列番号279に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有し、NtcAもしくはNtcBまたその両方をコードするヌクレオチドまたはその断片を含むことができる。別の例として、NtcAまたはNtcBをコードする部分を含むヌクレオチドを含む構築物は、pLybAL98(配列番号265)であってもよい。
NtcAまたはNtcBのうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列は、転写因子領域の上流にあってもよい。NtcAまたはNtcBのうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列は、転写因子領域の下流にあってもよい。
NtcAまたはNtcBのうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列は、構築物の発現がNtcAポリペプチドまたはNtcBポリペプチドの発現をもたらすように、本明細書に記載される構築物内に位置付けられてもよい。NtcAまたはNtcBのうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列は、コアプロモーター領域の上流にあってもよい。NtcAまたはNtcBのうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列は、コアプロモーター領域の下流にあってもよい。例えば、NtcAまたはNtcBのうちの1つ以上のコピーをコードするヌクレオチド配列は、nirAプロモーターの下流にあってもよい(例えば、実施例9を参照)。
コアプロモーター領域
コアプロモーター領域を含むことができる窒素感受性発現調節系を本明細書において提供する。本明細書に記載されるような窒素調節系の実施形態を使用して、転写因子領域(例えば、Ntcaによって抑制される構成におけるNtcA結合配列)に作動可能に連結されたコアプロモーター領域(例えば、RuBisCoプロモーター由来)は、転写可能な核酸分子の調節された発現をもたらすことができ、培地(例えば、発酵ブロス)中の硝酸塩は、発現を効果的に不活性化することができ、アンモニアの窒素または尿素等の非硝酸塩還元窒素源は、培養プロセス中の所定の時点でタンパク質産生を効果的に活性化することができる。他の実施形態において、
別の実施形態において、転写因子領域(例えば、NtcAによって活性化される構成におけるNtcA結合配列)に作動可能に連結されたコアプロモーター領域は、培地(例えば、発酵ブロス)中のアンモニアの窒素または尿素等の非硝酸塩窒素源を硝酸塩に切り替えると、転写可能な核酸分子の調節された発現をもたらすことができ、それによって培養プロセス中の所定の時点でタンパク質産生を効果的に活性化する。
本開示は、強力なRuBisCoプロモーターの使用による観察に少なくとも一部基づいている。以前の報告により、強力なRuBisCoプロモーターの使用が報告されているが、本発明の発明者は、RuBisCoプロモーターが、レギュロン(NtcAレギュロン等)の非存在下では、宿主細胞の成長および生存率を犠牲にして、転写可能な核酸分子の無制御な発現をもたらすことを発見した。本明細書に提示される結果は、シネコシスティス種PCC6803またはシネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCoプロモーターに作動可能に連結された遺伝子は強く発現されるが、宿主生物は、経時的に極めて緩徐な成長および生存率の損失を示したことを示している(実施例4を参照)。
本開示はまた、RuBisCoプロモーター等の強力なプロモーターに作動可能に連結されたNtcAおよびそのDNA結合配列の使用による観察に少なくとも一部基づいている。NtcA結合部位を含むインタクトなRuBisCoプロモーターを用いた最初の実験では、標的遺伝子発現がほとんど生じなかった。本明細書に提示される結果は、(切断されていない)ノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーターに作動可能に連結された遺伝子では、標的遺伝子発現がほとんど得られなかったことを示している(実施例6を参照)。
驚くべきことに、NtcA結合部位を含むRuBisCoプロモーターの上流切断または下流切断によって、窒素源によって著しく調節される標的遺伝子発現をもたらすことができることが発見された。本明細書に提示される結果は、プロモーター配列の前部領域または後部領域のいずれかが欠失した(すなわち、上流切断または下流切断)、ノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーターに作動可能に連結された遺伝子は、それぞれ、アンモニアの存在下で著しい標的遺伝子発現を示したことを示している(実施例6を参照)。
しかしながら、NtcA結合部位を含むRuBisCoプロモーターの上流領域および下流領域の両方の切断では、遺伝子発現はほとんど引き起こされない。本明細書に提示される結果は、配列の両方のフランキング領域が欠落した(すなわち、上流切断および下流切断された)ノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーターに作動可能に連結された遺伝子では、遺伝子発現がほとんど得られなかったことを示している(実施例6を参照)。
コアプロモーター領域は、転写因子領域に作動可能に連結することができる。例えば、コアプロモーター領域は、転写因子領域の上流または下流にあってもよい。コアプロモーター領域は、転写因子領域を含むことができる。例えば、転写因子領域は、コアプロモーター領域の配列内に組み込まれてもよい。コアプロモーター領域に対する転写因子領域の場所は、本明細書においてさらに記載されるように、その系が、還元アンモニアの存在下で活性化される系であるかまたは抑制される系であるかに影響を及ぼし得る。例えば、rbcLプロモーターの場合のように、転写因子領域がコアプロモーター領域に近位のNtcA結合部位である場合、発現系はNtcAリプレッサー系であってもよく、アンモニアまたは尿素等の還元窒素源の存在は、作動可能に連結された転写可能な核酸分子の発現を活性化することができ、硝酸塩の存在は発現を不活性化することができる。
コアプロモーター領域は、RuBisCoプロモーター配列、またはその変異体、もしくは機能的断片を含むことができる。
コアプロモーター領域は、ノストック、シネコシスティス、またはシネココッカス等の生物のRuBisCoプロモーター配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。例えば、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、以下のゲノムのうちの1つ以上におけるRuBisCoプロモーター配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる:グロエオバクター・ビオラセウスPCC7421(PCC7421)、ノストック種PCC7120(PCC7120)、プロクロロコッカス・マリナスCCMP1375(PCC1375)、プロクロロコッカス・マリナスMED4(MED4)、プロクロロコッカス・マリナスMIT9313(MIT9313)、シネココッカス・エロンガタスPCC6301(PCC6310)、シネココッカス種WH8102(WH8102)、シネコシスティス種PCC6803(PCC6803)、およびサーモシネココッカス・エロンガタスBF−1(サーモシネココッカス)。
別の例として、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、ノストック種PCC7120のRuBisCo(rbcLS)プロモーター配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、シネコシスティス種PCC6803のRuBisCo(rbcLS)プロモーター配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、シネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCo(rbcLS)プロモーター配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、アナベナPCC7120のRuBisCo(rbcLS)プロモーター配列と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、RuBisCo(rbcLS)プロモーター配列の変異体または機能的断片であってもよい。
本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、RuBisCo(rbcLS)プロモーター配列またはその変異体もしくは機能的断片と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。例えば、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、ノストック種PCC7120のrbcプロモーター領域、例えば、配列番号180、配列番号181、配列番号182、または配列番号183と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。別の例として、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、次のような配列番号234のNsp7120のrbcプロモーター領域と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。
例えば、記載される構築物のコアプロモーター領域は、配列番号234、配列番号180、配列番号181、配列番号182および配列番号183のうちのいずれか1つに対して、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、および少なくとも約99%の配列同一性を有することができる。
本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、プラスミドpLybDB2(配列番号188)、pLybDB3(配列番号189)、pLybDB4(配列番号190)、pLybDB5(配列番号191)、pLybDB6(配列番号235)、pLybDB7(配列番号236)、またはpLybDB9(配列番号237)に含まれるコアプロモーター領域と同じかまたは類似する(例えば、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性)配列を有することができる。
本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、本明細書で論じられる任意のプロモーター配列の機能的断片であってもよい。例えば、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、RuBisCo(例えば、rbcLS)プロモーター配列の機能的断片であってもよい。RuBisCoプロモーター配列の機能的断片は、プロモーター活性を保持するRuBisCoプロモーター配列(例えば、ノストック種PCC7120由来のrbcLSプロモーター)の、少なくとも約50個、少なくとも約75個、少なくとも約95個、少なくとも約100個、少なくとも約125個、少なくとも約150個、少なくとも約175個、少なくとも約200個、少なくとも約250個、少なくとも約300個、少なくとも約350個、少なくとも約400個、少なくとも約450個、少なくとも約500個、少なくとも約550個、少なくとも約600個、少なくとも約650個、少なくとも約700個、少なくとも約750個、または少なくとも約800個の近接する塩基を有する核酸配列であってもよい。
本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、RuBisCo(例えば、rbcLS)プロモーター配列の切断型であってもよい。例えば、本明細書に記載される構築物のコアプロモーター領域は、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列の切断型であってもよい。
RuBisCoプロモーター配列の切断は、上流切断であってもよい。例えば、ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列は−319〜−162位(転写開始部位に関連する番号付け、図3を参照)が上流切断されていてもよい(実施例6、実施例7を参照)。ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列の上流切断は、約−300位、約−250位、約−200位、約−190位、約−180位、約−170位、約−160位、約−150位、約−140位、約−130位、約−120位、約−110位、約−100位、約−90位、または約−80位を介して生じ得る。図3に示されるようなノストック種PCC7120の−319〜−162位は、配列番号234の置1〜176位に対応する。
RuBisCoプロモーター配列の切断は、下流切断であってもよい。例えば、ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列は、+26〜+491位(転写開始部位に関連する番号付け、図3を参照)が下流切断されていてもよい(実施例6、実施例7を参照)。ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列の下流切断は、約+10位、約+20位、約+30位、約+40位、約+50位、約+60位、約+70位、約+80位、約+90位、約+100位、約+150位、約+200位、約+250位、約+300位、約+350位、約+400位、約+450位、約+480位、または約+490位で生じ得る。ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列の下流切断は、例えば、rbcLの第1のコドンまたはその近くに存在する制限部位(例えば、+499位のBamHI制限部位)を介して生じ得る。図3に示されるようなノストック種PCC7120の+26〜+491位は、配列番号234の353〜818位に対応する。
転写可能な核酸分子
本明細書に記載されるように、転写可能な核酸分子等の標的ヌクレオチド配列は、成長培地または発酵培地等の培地の1つ以上の構成成分に感受性を示す発現調節系に作動可能に連結することができる。例えば、転写可能な核酸分子は、培地中に存在する窒素源に感受性を示す発現調節系に作動可能に連結することができる。
本開示の構築物に組み込むための例示的な転写可能な核酸分子は、例えば、宿主種以外の種に由来する核酸分子もしくは遺伝子、またはさらには同じ種から発生するかもしくは同じ種に存在する遺伝子を含むが、古典的な複製または繁殖技術よりもむしろ遺伝子操作によってレシピエント細胞に組み込まれる。外来性遺伝子または遺伝的エレメントは、レシピエント細胞に導入される任意の遺伝子または核酸分子を指すことが企図される。外来性核酸分子に含まれる核酸分子の種類は、既に宿主細胞中に存在する核酸分子、別の生物からの核酸分子、異なる生物からの核酸分子、または遺伝子のアンチセンスメッセージを含む核酸分子等の外部で作製される核酸分子、または人工版もしくは改良版の遺伝子をコードする核酸分子を含む。
転写可能な核酸分子は、対象となるポリペプチドをコードするいずれの配列であってもよい。例えば、転写可能な核酸分子は、対象となる特定の活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であってもよい。
転写可能な核酸分子は、スクロース生合成活性を有するポリペプチドをコードすることができる。転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸シンターゼ活性を有するポリペプチドをコードすることができる。転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードすることができる。転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸シンターゼ活性およびスクロースリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードすることができる。
転写可能な核酸分子は、SPS生合成機能およびSPP生合成機能の両方を有するasf遺伝子産物ASFを生成するシネココッカス・エロンガタスPCC7942由来の活性なsps/spp融合(asf)遺伝子であってもよい(例えば、米国特許出願公開第2009/0181434号、実施例5を参照)。いくつかの実施形態において、標的ASFをコードするヌクレオチド配列が、その天然の源(例えば、シネココッカス・エロンガタスPCC7942)からクローン化される。いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、配列番号1のasfポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、配列番号2のASFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。さらなる実施形態において、転写可能な核酸分子は、配列番号1に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、またはspsおよびspp活性を有し、かつ配列番号2に対して少なくとも約80%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。一例として、転写可能な核酸分子は、配列番号1に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列は、ASF、SPS、またはSPP活性を示す。一例として、転写可能な核酸分子は、配列番号2に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列は、ASF、SPS、またはSPP活性を示す。別の例として、転写可能な核酸分子は、ストリンジェントな条件下で配列番号1の全長にわたって配列番号1にハイブリダイズし、活性なSPS/SPP融合(ASF)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。さらなる例として、転写可能な核酸分子は、上記配列のうちのいずれかに対する相補を含むことができる。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸シンターゼ(sps)(例えば、sps遺伝子をコードする配列番号3およびSPSポリペプチドをコードする配列番号4を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸シンターゼを発現するように配列番号3の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸シンターゼを有するポリペプチドをコードする配列番号3に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号4に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はSPS活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸ホスファターゼ(spp)(例えば、spp遺伝子をコードする配列番号5およびSPPポリペプチドをコードする配列番号6を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸ホスファターゼを発現するように配列番号5の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、スクロースリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列番号5に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号6に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はSPP活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、asf、sps、またはsppのうちの1つ以上を含むことができる。例えば、転写可能な核酸分子は、asfおよびsps、asfおよびspp、spsおよびspp、またはasf、sps、およびsppを含むことができる。
転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸シンターゼ活性もしくはトレハロースリン酸ホスファターゼ活性、グルコシルグリセロールリン酸シンターゼ活性もしくはグルコシルグリセロールリン酸ホスファターゼ活性、またはマンノシルフルクトースリン酸シンターゼ活性もしくはマンノシルフルクトースリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードすることができる。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸シンターゼ(tps)(例えば、tps遺伝子をコードする配列番号76およびTPSポリペプチドをコードする配列番号77を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸シンターゼを発現するように配列番号76の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸シンターゼを有するポリペプチドをコードする配列番号76に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号77に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はTPS活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸ホスファターゼ(tpp)(例えば、tpp遺伝子をコードする配列番号78およびTPPポリペプチドをコードする配列番号79を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸ホスファターゼを発現するように配列番号78の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、トレハロースリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列番号78に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号79に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はTPP活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、グルコシルグリセロールリン酸シンターゼ(gps)(例えば、gps遺伝子をコードする配列番号80およびGPSポリペプチドをコードする配列番号81を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、グルコシルグリセロールリン酸シンターゼを発現するように配列番号80の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、グルコシルグリセロールリン酸シンターゼを有するポリペプチドをコードする配列番号80に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号81に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はGPS活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、グルコシルグリセロールリン酸ホスファターゼ(gpp)(例えば、gpp遺伝子をコードする配列番号82およびGPPポリペプチドをコードする配列番号83を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、グルコシルグリセロールリン酸ホスファターゼを発現するように配列番号82の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、グルコシルグリセロールリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列番号82に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号83に少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はGPP活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、マンノシルフルクトースリン酸シンターゼ(mps)(例えば、mps遺伝子をコードする配列番号84およびMPSポリペプチドをコードする配列番号85を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、マンノシルフルクトースリン酸シンターゼを発現するように配列番号84の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、マンノシルフルクトースリン酸シンターゼを有するポリペプチドをコードする配列番号84に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号85に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はMPS活性を示す。
いくつかの実施形態において、転写可能な核酸分子は、マンノシルフルクトースリン酸ホスファターゼ(mpp)(例えば、mpp遺伝子をコードする配列番号86およびMPPポリペプチドをコードする配列番号87を参照)またはその相同体を含む。例えば、転写可能な核酸分子は、マンノシルフルクトースリン酸ホスファターゼを発現するように配列番号86の配列を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、マンノシルフルクトースリン酸ホスファターゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列番号86に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のパーセント同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。別の例として、転写可能な核酸分子は、配列番号87に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むことができ、発現される配列はMPP活性を示す。
代替として、転写可能な核酸分子は、例えば、アンチセンス、阻害性RNA(RNAi)または共抑制媒介機構を介して、内在性遺伝子の発現の標的阻害を引き起こすRNA分子をコードすることにより、宿主細胞または宿主生物の表現型を生じさせることができる。RNAはまた、所望の内在性mRNA産物を切断するように遺伝子操作された触媒性RNA分子(すなわち、リボザイム)であってもよい。対象となる表現型または形態の変化を表すタンパク質またはmRNAをコードするあらゆる核酸分子が、本開示の実践に有用であり得る。
宿主
宿主生物または宿主細胞は、1つ以上の培地構成成分に感受性を示す発現調節系に作動可能に連結された転写可能な核酸分子を含む構築物で形質転換することができる。例えば、宿主生物または宿主細胞は、培地中に存在する窒素源に感受性を示す発現調節系に作動可能に連結された転写可能な核酸分子を含む構築物で形質転換することができる。
本明細書に記載される構築物は、宿主ゲノムに基づくかまたは組み込まれたプラスミドであってもよい。例えば、本明細書に記載される構築物(例えば、プラスミドpLybDB4、配列番号190)は、プラスミドとして宿主中に存在することができる(例えば、実施例11を参照)。別の例として、本明細書に記載される構築物(例えば、プラスミドpLybAL98、配列番号265)は、宿主(例えば、LYB511株)のゲノム中に組み込まれてもよい(例えば、実施例9、実施例11、実施例12を参照)。いくつかの実施形態において、宿主のゲノム中への組込みは、標的ヌクレオチドの誘導性発現を増加させることができる(実施例11と実施例12とを比較)。
形質転換された宿主生物または宿主細胞は、対象となる遺伝子の存在、および本開示の発現系によって付与された発現レベルまたはプロファイルについて分析することができる。当業者は、形質転換された宿主の分析のために利用可能な多くの方法を認識している。例えば、宿主分析のための方法は、限定されないが、サザンブロットまたはノーザンブロット、PCRに基づくアプローチ、生化学的解析、表現型スクリーニング法、および免疫診断アッセイを含む。
宿主生物は、真核生物または原核生物であってもよい。
宿主生物は、光合成微生物であってもよい。宿主生物は、例えば、シアノバクテリア等の天然光合成微生物、または人工光合成細菌等の遺伝子操作された光合成微生物であってもよい。天然光合成微生物であるか、または光合成をするように遺伝子操作することができるかのいずれかである例示的な微生物は、限定されないが、細菌、真菌、古細菌、原生生物、微小植物(例えば、緑藻類)、ならびにプランクトン、プラなリア、およびアメーバ等の動物を含む。自然に発生する光合成微生物の例として、限定されないが、スピルリナ・マキシマム、スピルリナ・プラテンシス、ドナリエラ・サリナ、ボトリオコックス・ブラウニイ、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・ピレノイドーサ、セレナストルム・カプリコミュータ、セネデスムス・クアドリカウダ、ポルフィリディウム・クルエンタム、セネデスムス・アクタス、ドナリエラ種、セネデスムス・オブリクース、アナベノプシス、アウロシラ、キリンドロスペルマム、シネコッカス種、シネコシスティス種、またはトリポスリックスが挙げられる。
好ましくは、宿主光合成微生物は、シアノバクテリアである。シアノバクテリアはまた、藍藻としても知られ、幅広い酸素発生型の光独立栄養生物である。宿主シアノバクテリアは、藍藻植物門由来のいずれの光合成微生物であってもよい。宿主シアノバクテリアは、単細胞形態またはコロニー形態(例えば、フィラメント、シート、またはボール)を有することができる。好ましくは、宿主シアノバクテリアは、単細胞シアノバクテリアである。宿主生物となり得るシアノバクテリアの例として、限定されないが、シネコシスティス、シネココッカス、サーモシネココッカス、ノストック、プロクロロコッカス、ミクロシスティス、アナベナ、スピルリナ、およびグロエオバクター属が挙げられる。好ましくは、宿主シアノバクテリアは、シネコシスティス種またはシネココッカス種である。より好ましくは、宿主シアノバクテリアは、シネココッカス・エロンガタスPCC7942(ATCC33912)またはシネコシスティス種PCC6803(ATCC27184)である。
宿主細胞または宿主生物は、内在性窒素制御系を含むことができる。宿主細胞または宿主生物のゲノムは、NtcAポリペプチドをコードすることができる。宿主細胞または宿主生物は、窒素制御系に従ってNtcAポリペプチドを発現することができる。代替として、宿主細胞または宿主生物は、NtcAポリペプチドをコードするように、または窒素源に応じてNtcAポリペプチドを発現するように遺伝子操作することができる。
本明細書に記載されるように、転写可能な核酸分子の無調節な発現は、宿主細胞もしくは宿主生物の成長率を低下させ得るか、または宿主細胞もしくは宿主生物の生存率を低下させ得る(実施例4を参照)。本明細書に記載される発現系の種々の実施形態は、転写可能な核酸分子の発現の窒素感受性調節を提供することができ、それによって、無調節な発現と比較して形質転換された宿主の成長率または生存率の増加を提供する。本明細書に記載される発現系を使用して、形質転換された宿主細胞または宿主生物は、同じかまたは実質的に類似する条件下で、形質転換されていない宿主細胞または宿主生物よりも約20%未満より低い成長率(例えば、約15%、10%、5%未満より低い成長率)を有することができる。本明細書に記載される発現系を使用して、形質転換された宿主細胞または宿主生物は、同じかまたは実質的に類似する条件下で成長させた無調節な構築物で形質転換した宿主細胞または宿主生物よりも約5%超より高い成長率(例えば、約10%、15%、または20%超より高い成長率)を有することができる。上記考察は、生存率を成長率に置き変えた場合、生存率にも等しく適用される。
キット
また、キットも提供される。そのようなキットは、本明細書に記載される薬剤または組成物を含むことができ、特定の実施形態においては、投与のための指示を含むことができる。そのようなキットは、本明細書に記載される方法の性能を高めることができる。キットとして供給される場合、組成物の異なる構成成分を個別の容器に梱包して、使用直前に混合することができる。構成成分は、限定されないが、本明細書に記載される発現系もしくは発現カセット、またはその構成成分もしくは配列を含む。そのような構成成分の梱包は、所望の場合、組成物を含む1つ以上の単位投与形態を含み得る包装または分注デバイス内に存在してもよい。包装は、例えば、金属箔または、例えばブリスターパック等のプラスチック箔を含む。そのような構成成分の梱包は、特定の場合において、構成成分の活性を失うことなく、個別に長期保存を可能にすることができる。
キットはまた、例えば、個別に包装された凍結乾燥した活性構成成分に加えられる滅菌水または生理食塩水等の試薬を別の容器に含んでもよい。例えば、密封されたガラス製アンプルが凍結乾燥した構成成分を含んでもよく、別のアンプルに、滅菌水、滅菌生理食塩水、または滅菌されたものを含み、それらの各々は、窒素等の中性の非反応性気体の下で梱包される。アンプルは、ガラス、有機ポリマー(例えば、ポリカーボネート)、ポリスチレン、セラミック、金属、または試薬を保持するために典型的に用いられる任意の他の材料等の任意の好適な材料から構成されてもよい。好適な容器の他の例として、アンプルと同様の物質から製造され得る瓶、およびアルミニウムまたは合金等の箔で裏打ちされた内部から構成され得るエンベロープが挙げられる。他の容器は、試験管、バイアル、フラスコ、瓶、注射器等を含む。容器は、皮下注射針によって穿孔することができるストッパーを有する瓶等の滅菌アクセスポートを有してもよい。他の容器は、除去されると構成成分の混合を可能にする容易に除去可能な膜によって分離された2つの区画を有してもよい。除去可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴム等であってもよい。
特定の実施形態において、キットは、指示材料とともに供給されてもよい。指示は、紙もしくは他の基板上に印刷されてもよいか、またはフロッピー(登録商標)ディスク、ミニCD−ROM、CD−ROM、DVD−ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープ等の電子可読媒体として供給されてもよい。詳細な指示は、キットと物理的に関連していない可能性がある:代わりに、ユーザは、キットの製造業者または配給業者によって指定されたインターネットウェブサイトへと誘導される場合がある。
分子の遺伝子操作
上記の必要とされるパーセント同一性を有し、かつ必要とされる発現タンパク質の活性を保持する変異体ヌクレオチドおよびそれらのコードされたポリペプチドの設計、作製、および試験は、当該技術分野の技術の範囲内である。例えば、変異株の定向進化および迅速な単離は、限定されないが、Link et al.(2007)Nature Reviews 5(9),680−688、Sanger et al.(1991)Gene 97(1),119−123、Ghadessy et al.(2001)Proc Natl Acad Sci USA 98(8)4552−4557を含む参考文献に記載される方法に従うことができる。よって、当業者は、本明細書に記載される基準配列に対して、例えば、少なくとも95〜99%の同一性を有する大量のヌクレオチドまたはポリペプチド変異体を作製することができ、当該技術分野において日常的な方法に従って所望の表現型についてスクリーニングすることができる。一般に、保存的置換は、必要とされる活性が保持される限り、いずれの位置で行われてもよい。
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の同一性パーセント(%)は、2つの配列を最適に整列させた(比較ウィンドウにわたって、適切な挿入、欠失、またはギャップの合計が基準配列の約20パーセント未満である)ときに、基準配列と比較して、候補配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸配列と同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージとして理解される。パーセント同一性を決定するために、配列を同一させ、必要があれば、ギャップを導入して最大のパーセント配列同一性を得る。パーセント同一性を決定するための配列整列化の手順は、当業者に周知であり、Smith and Watermanの局所的相同性アルゴリズム、Needleman and Wunschの相同性整列化アルゴリズム、Pearson and Lipmanの類似性検索法のツール、そして好ましくは、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実装を用いること(例えば、GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)を含む。大抵の場合、BLAST、BLAST2、ALIGN2、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等の公的に入手可能なコンピュータソフトウェアが配列を整列させるために使用される。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大の整列化を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列化を測定するための適切なパラメータを決定することができる。配列を整列させると、所与の配列Bへの、該配列との、または該配列に対する所与の配列Aのパーセント配列同一性(代替として、所与の配列Bへの、該配列との、または該配列に対して特定のパーセント配列同一性を有するまたは含む所与の配列Aとも言える)は、以下のように算出することができる:パーセント配列同一性=X/Y100(式中、Xは、AおよびBの配列整列化プログラムまたはアルゴリズムの整列化によって完全一致としてスコア化される残基の数であり、Yは、Bにある残基の合計数である)。配列Aの長さが配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するパーセント配列同一性は、BのAに対するパーセント配列同一性と等しくない。
本明細書で使用される場合、「実質的なパーセント配列同一性」という用語は、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、またはより大きな配列同一性、例えば、約98%もしくは約99%の配列同一性であるパーセント配列同一性を指す。よって、一実施形態は、本明細書に記載される核酸配列と、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、またはより大きな配列同一性、例えば、約98%もしくは約99%の配列同一性を有する核酸分子である。作動可能に連結された転写可能な核酸分子の転写を制御することができ、本明細書に提供される発現系の核酸配列に対する実質的なパーセント配列同一性を有する核酸分子は、本開示の範囲内に包含される。
「高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、6×SSC緩衝液(すなわち、0.9M塩化ナトリウムおよび0.09Mクエン酸ナトリウム)中、65℃でのハイブリダイゼーションとして定義される。これらの条件を前提として、2つの配列間の二本鎖DNAの融解温度(Tm)を算出することによって、所与の配列のセットがハイブリダイズするかどうかを決定することができる。特定の二本鎖が、6×SSCの塩条件において65℃よりも低い融解温度を有する場合、これらの2つの配列はハイブリダイズしない。一方、同じ塩条件において融解温度が65℃を超える場合、これらの配列はハイブリダイズする。一般に、任意のハイブリダイズしたDNA:DNA配列の融解温度は、次の式を使用して決定することができる:Tm=81.5℃+16.6(log10[Na+])+0.41(G/C含量の割合)−0.63(%ホルムアミド)−(600/1)。さらに、DNA:DNAハイブリッドのTmは、ヌクレオチドの同一性が1%減少するたびに1〜1.5℃減少する(例えば、Sambrook and Russel,2006を参照)。
宿主細胞は、当該技術分野で既知の様々な標準的な技術を使用して形質転換することができる(例えば、Sambrook and Russel(2006)Condensed Protocols from Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ISBN−10:0879697717、Ausubel et al.(2002)Short Protocols in Molecular Biology,5th ed.,Current Protocols,ISBN−10:0471250929、Sambrook and Russel(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,ISBN−10:0879695773、Elhai,J.and Wolk,C.P.1988.Methods in Enzymology 167,747−754を参照)。そのような技術は、限定されないが、ウイルス感染、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、マイクロプロジェクタイル媒介送達、受容体媒介取り込み、細胞融合、エレクトロポレーション等を含む。宿主細胞ゲノムに安定に組み込まれた発現ベクターを含む組換え宿主細胞を提供するために、トランスフェクトされた細胞を選択して増殖させることができる。
本明細書に記載されるアプローチに従って開発された宿主株は、当該技術分野で既知の多くの方法によって評価することができる(例えば、Studier(2005)Protein Expr Purif.41(1),207−234;Gellissen,ed.(2005)Production of Recombinant Proteins:Novel Microbial and Eukaryotic Expression Systems,Wiley−VCH,ISBN−10:3527310363、Baneyx(2004)Protein Expression Technologies,Taylor&Francis,ISBN−10:0954523253を参照)。
遺伝子を下方制御またはサイレンシングする方法は当該技術分野で既知である。例えば、発現されたタンパク質活性は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、タンパク質アプタマー、ヌクレオチドアプタマー、およびRNA干渉(RNAi)(例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、およびマイクロRNA(miRNA)を使用して下方制御または排除することができる(例えば、ハンマーヘッド型リボザイムおよび低分子ヘアピンRNAについて記載するFanning and Symonds(2006)Handbook Exp Pharmacol.173,289−303G、デオキシリボヌクレオチド配列の標的化について記載するHelene,C,et al.(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660,27−36;Maher(1992)Bioassays 14(12):807−15、アプタマーについて記載するLee et al.(2006)Curr Opin Chem Biol.10,1−8、RNAiについて記載するReynolds et al.(2004)Nature Biotechnology 22(3),326−330、RNAiについて記載するPushparaj and Melendez(2006)Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology 33(5−6),504−510、RNAiについて記載するDillon et al.(2005)Annual Review of Physiology 67,147−173、RNAiについて記載するDykxhoorn and Lieberman (2005)Annual Review of Medicine 56,401−423を参照)。RNAi分子は、様々な源(例えば、Ambion(TX)、Sigma Aldrich(MO)、Invitrogen)から市販されている。様々なアルゴリズムを使用するいくつかのsiRNA分子設計プログラムが当該技術分野で既知である(例えば、Cenix algorithm,Ambion;BLOCK−iT(商標)RNAi Designer,Invitrogen;siRNA Whitehead Institute Design Tools, Bioinformatics&Research Computingを参照)。最適なsiRNA配列を定義する際に影響力のある形質は、siRNAの終端におけるG/C含量、siRNAの特定の内部ドメインのTm、siRNAの長さ、CDS(コード化領域)内の標的配列の位置、および3’オーバーハングのヌクレオチド含量を含む。
本明細書に記載される定義および方法は、本開示をさらに定義し、本開示を実践する当業者を誘導するために提供される。別途記載のない限り、用語は、関連技術分野の当業者による従来の使用に従って理解されるものとする。
いくつかの実施形態において、成分の量、特性(分子量、反応条件等)を表す数字は、本開示の特定の実施形態が、いくつかの場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきであることを説明および主張するために使用される。いくつかの実施形態において、用語「約」は、値を測定するために用いられるデバイスまたは方法の平均値の標準偏差を値が含むことを示すために使用される。いくつかの実施形態において、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメータは、報告された有効桁の数値を考慮して、通常の四捨五入法を適用することにより解釈されるべきである。本開示のいくつかの実施形態の広い範囲を既定する数値範囲および数値パラメータは、近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。本開示のいくつかの実施形態に提示される数値は、それら各々の試験測定法に見出される標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を含み得る。本明細書における値の範囲の記述は、その範囲内に属するそれぞれ別の値を個別に言及する簡単な方法としての役割を果たすことが企図されるに過ぎない。本明細書において別途指示のない限り、それぞれ個別の値は、あたかも本明細書に個別に記述されているかのように本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、具体的な実施形態に関する内容において使用される用語「a」、「an」、および「the」、ならびに同様の言及(特に、添付の特許請求の範囲のいくつかの内容において)は、別途特に記載の限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈することができる。いくつかの実施形態において、特許請求の範囲を含む、本明細書で使用される用語「or」は、代替物のみを指すか、または代替手段が相互に排他的であることを指すと明示的に示されていないかぎり、「および/または」を意味するために使用される。
用語「含む(comprise)」、「有する(have)」、および「含む(include)」は、非限定的な連結動詞である。「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」等のこれらの動詞のうちの1つ以上のいずれの形態または時制も非限定的である。例えば、1つ以上のステップを「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」いずれの方法も、それらの1つ以上のステップのみを有することに限定されるのではなく、列挙されていない他のステップも包含することができる。同様に、1つ以上の特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」いずれの組成物またはデバイスも、それらの1つ以上の特徴のみを有することに限定されるのではなく、列挙されていない他の特徴を包含することができる。
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別途指示のない限り、またはさもなければ明らかに文脈と矛盾しない限り、いずれの好適な順序で行われてもよい。本明細書において特定の実施形態に関して提供されるありとあらゆる例、または例示的な言語(例えば、「等」)の使用は、本開示をより理解し易くすることを意図しているに過ぎず、別途特許請求の範囲に記載されない限り、本開示の範囲に制限を加えるものではない。本明細書におけるいずれの言語も、本開示の実施に必要不可欠な任意の請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
本明細書に開示される本開示の代替の要素または実施形態のグループ分けは、限定的であると解釈されるべきではない。各グループの構成単位は、個別に、または本明細書に見出されるグループの他の構成単位もしくは他の要素との任意の組み合わせにおいて、参照または特許請求され得る。グループの1つ以上の構成単位は、利便性または特許性の理由からグループに含まれ得るかまたは削除され得る。いずれかのそのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正された通りにグループを含むものと見なされ、よって、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュグループの書面による記載を満たす。
本出願に引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および他の参考文献は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願、または他の参考文献が、あらゆる目的のために、参照によりその全体が組み入れられるように個々に指示されたのと同じ程度まで、あらゆる目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書における参考文献の引用は、それらが本開示に対する先行技術であることを認めるものであると解釈されるべきではない。
本開示について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正例、変形例、および均等な実施形態が考えられることは明白であろう。さらに、本開示の全ての実施例は、非限定的な例として提供されることを認識されたい。
以下の非限定的な実施例は、本開示をさらに例示するために提供される。当業者は、以下の実施例において開示される技術は、発明者が本開示の実践において良好に機能することを発見したアプローチを表しており、よって、その実践のための様式の例を構成すると考えられることを理解されたい。しかしながら、当業者は、本開示を踏まえると、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく、なおも同じかまたは同様の結果を得ることができることを理解されたい。
実施例1:細胞からのインベルターゼ活性の除去
インベルターゼは、スクロースを細胞内で正常な代謝官能基に再同化されるグルコースおよびフルクトースに加水分解するため、スクロースを蓄積させるために、細胞からインベルターゼ(β−フルクトフラノシダーゼ)活性を除去するようにシネコシスティス種PCC6803を遺伝子操作した。ATCC27184(LYB426)からインベルターゼをコードする遺伝子lim17(配列番号140)を欠失させてLYB471を得た。野生型株(LYB467)からも該遺伝子を欠失させてLYB472を得た。経時的に、LYB426による運動性の損失等、これらの株の間で相違が生じた(Kamei et al.2001)。
最初に、ネオマイシン耐性マーカーを使用して、インベルターゼをコードする遺伝子lim17をLYB426から欠失させ、LYB443を作製した。連続PCRを使用して、大きな一続きの隣接するDNAを残すようにlim17(配列番号140)に欠失を作製した。Sspinvdel−F(配列番号142)およびSspinvdel−R(配列番号143)をプライマーとして使用して、LYB426全細胞のゲノムDNAテンプレート上で最初のPCR反応を行った。Ssp6803インベルターゼ欠失PCR2(配列番号146)を作製するためのテンプレートとして再びLYB426全細胞ゲノムDNAを使用して、この反応の産物(Ssp6803インベルターゼ欠失PCR1、配列番号144)を第2の反応(Sspinvdel−R2(配列番号145を用いて))においてプライマーとして使用した。2番目のPCR産物をXbaIおよびSphIで消化し、次いで、同様に消化したpUC19(配列番号139)にライゲーションし、pLybAL38(配列番号147)を作製した。オリゴヌクレオチドbsuppkanmcs−FおよびbsuppkanPstI−Rを用いて、枯草菌168(Bs upp aph PCR)(配列番号220)由来のアミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(aph)およびウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(upp)を含むDNA断片をプラスミドpLybAL8f(配列番号69)から増幅した。このPCR産物をSalIおよびPstIで消化し、次いで、lim17(配列番号140)隣接配列の間に見出されるSbfIおよびSalIで消化したpLybAL38(配列番号147)にライゲーションし、pLybAL41(配列番号221)を作製した。次いで、pUC19(配列番号139)の骨格内に見出されるAatIIを用いた制限酵素消化によりプラスミドpLybAL41を直線化し、次いで、若干修正されたEaton−Rye(2004)のプロトコルによりLYB426内に形質転換した。具体的には、膜で寒天プレートの上を覆う代わりに、形質転換混合物を寒天プレート上に直接配置した。次いで、寒天を持ち上げ、ペトリ皿の底に抗生物質を加え、次いで皿の中に寒天を戻し入れることにより、抗生物質を投与した。この変更は、必要な寒天プレートの数を3分の1に減らすためにのみ行われた。25μg/mlネオマイシンを含むBG11−Aプレート上で組込みを選択した。オリゴヌクレオチドSspinvdelscreen−FおよびSspinvdelscreen−Rを使用した全細胞からのゲノムDNAの増幅により、染色体の全コピーにわたる適切な組込みおよび完全な分離についてコロニーを分析した。野生型の増幅により2.8kbpの産物を得、ネオマイシン耐性マーカーおよび枯草菌のupp遺伝子を有するlim17(配列番号140)の欠失により3.7kbpの産物を得た。
次いで、LYB443中のネオマイシン耐性マーカーをスペクチノマイシン耐性のためのマーカーと交換し(加えたupp遺伝子も除去した)、インベルターゼをLYB467から欠失させた。オリゴヌクレオチドspecSalI−FおよびspecSbfI−Rを用いて、スペクチノマイシン耐性マーカーをプラスミドpBSL175から増幅した(Alexeyev et al.1995)。この反応の産物を、次いでSalIおよびSbfIで消化し、次いで、同様に消化したpLybAL41にライゲーションしてpLybAL58を作製した。LYB443株およびLYB467株を用いて上述のように二重相同性組換えを行い、それぞれLYB471株およびLYB472株を得た。25μg/mlスペクチノマイシンを含むBG11−Aプレート上で組換えを選択した。オリゴヌクレオチドSspinvdelscreen−FおよびSspinvdelscreen−Rを使用した全細胞からのゲノムDNAの増幅により、適切な組込みおよびコロニーの完全な分離について再度調べた。スペクチノマイシン耐性マーカーを有するlim17(配列番号140)の欠失により2.6kbpの産物を得た。
1)塩暴露条件下で実行したLYB426(野生型)とLYB443との間の比較の結果、野生型において測定可能なスクロースは得られなかったが、LYB443のバックグラウンドに3倍の増加が見られたこと、および2)asf遺伝子を用いて形質転換し、機能的プロモーターの制御下で実験を行ったLYB443により、細胞内および培地中にスクロースが蓄積したことが示唆されたことから明らかなように、インベルターゼの欠失によりスクロースが可能になった。
実施例2:菌体外多糖の発現の低下
さらに、シネコシスティス種PCC6803は、通常の培養物の熟成に応じて、または細胞に対する環境ストレス条件下で、著しい量の菌体外多糖(EPS)を生成することが分かっている(Panoff et al.1988)。大量のEPSは、スクロースの生成を導くことができる炭素および全体的な代謝フラックスの著しい分配を意味する。EPS変異株が選択されているにもかかわらず、シネコシスティス種PCC6803における菌体外多糖生成の遺伝的特徴は比較的未知である(Panoff and Joset 1989)。内在性プラスミドpSYSM上の大きな遺伝子クラスター(ほぼ18kbpのサイズ)は、既知の遺伝子に対するそれらの相同性に基づいて、EPSの生成に大きく寄与していると推測されている(Kaneko et al.2003)。この目的を達成するために、EPS生合成に関連する重要な生合成経路に寄与すると考えられる推定上の遺伝子をLYB472から除去してLYB476を作製した。
推定上のEPS座位の欠失にはインベルターゼの欠失と同様のストラテジーを用いた。上述と同様に、一次オリゴヌクレオチドepsko−Fおよびepsko−R、次いで二次ヌクレオチドpSYSM−R2を用いて連続PCRを行った。二次PCR産物をXbaIおよびSphIで消化し、次いで、同様に消化したpLybAL41にライゲーションしてpLybAL61を得た。オリゴヌクレオチドMLSSalI−FおよびMLSSbfI−Rを用いて、プラスミドpE194由来のエリスロマイシン耐性マーカー(Horinouchi and Weisblum 1982)を増幅した。得られた産物をSalIおよびSbfIで消化し、次いで、同様に消化したpLybAL61にライゲーションしてpLybAL62を得た。上述のように、直線化したpLybAL62を用いてLYB472の二重相同性組換えを行い、LYB476株を作製した。オリゴヌクレオチドEPSKOscreen−FおよびEPSKOscreen−Rを用いた全細胞DNAのPCRによりコロニーを適切な組込みについて分析した。欠失により、野生型株の18.7kbpの産物の代わりに3.2kbpの産物を生じさせた。3.2kbpの欠失は容易に観察することができたが、18.7kbpの野生型産物の増幅には困難が認められたため、完全な分離が存在するかどうかを増幅によって判定することは適切ではなくなった。代わりに、オリゴヌクレオチド対EPSKOscreen−F/EPSKOint−R1、EPSKOint−F2/EPSKOint−R2、EPSKOint−F3/EPSKOint−R3、EPSKOint−F4/EPSKOint−R4、およびEPSKOint−F1/EPSKOscreen−Rを使用した複数のPCR産物の損失によって完全な分離を評価した(オリゴヌクレオチドの一方または両方が、欠失された領域内に見られる)。これらのオリゴヌクレオチドを用いた野生型DNAの増幅により、産物EPS KO Sreen_Border1、EPS KO int PCR2、EPS KO int PCR3、EPS KO int PCR4、およびEPS KO Sreen_Border2をそれぞれ得た。
結果は、上記EPS遺伝子の欠失により、Panoff and Joset,1989およびLaurentin and Edwards,2003によって記載される抽出および比色アッセイによって測定した場合に、EPS産生量の>80%損失を示す新しい遺伝子操作された生物が生じたことを示した。さらに、EPSの生合成の低下を伴う修飾された生物は、成長率または全体的な生存率を低下させないと考えられる。
実施例3:亜硝酸還元酵素プロモーターからのASFの発現
以下の実施例は、シネコシスティス種PCC6803またはシネココッカス・エロンガタスPCC7942の亜硝酸還元酵素プロモーターからのASFの発現を示す。
asf遺伝子(pLybAL18)の前にシネココッカス・エロンガタスPCC7942由来の亜硝酸還元酵素プロモーターを含むが、EPSの発現が低いプラスミドを保持するシネコシスティス種の株であるLYB476を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。(プラスミドpLybAL18およびその作製については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0181434号に記載される。同じく米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるように、三親接合によりプラスミドpLybAL18をLYB476に導入した。)白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を、20mM硝酸カリウムおよび25mg/mlクロラムフェニコールを含む50mlの新しいBG11培地(pH9.0)に再分散させた。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。遠心分離により細胞から培地を分離し、酵素に基づく比色法を使用してスクロース濃度について培地をアッセイした(Biovision Sucrose Assay Kit K626番)。細胞を界面活性剤による溶解に供し、上記酵素に基づく方法を使用して、精製した上清をスクロース濃度についてアッセイした。
pLybAL18プラスミドを介してasf遺伝子を保持するLYB476は、培地中にスクロースを発現し、元の培養物中の細胞の乾燥バイオマスの30〜50重量%を占めていた。溶解時に細胞から遊離したスクロースの濃度は、培養物中に観察された全スクロースの10重量%未満に相当した。
asf遺伝子pLybAL16の前にシネコシスティス種PCC6803由来の亜硝酸還元酵素プロモーターを有する異なるプラスミドでLYB476を選択的に形質転換し、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。(プラスミドpLybAL16およびその作製については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0181434号に記載される。米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるように、三親接合によりプラスミドpLybAL16をLYB476に導入した。)白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を、20mM硝酸カリウムおよび25mg/mlクロラムフェニコールを含む50mlの新しいBG11培地(pH9.0)に再分散させた。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。遠心分離により細胞から培地を分離し、酵素に基づく比色法を使用してスクロース濃度について培地をアッセイした(Biovision Sucrose Assay Kit K626番)。細胞を界面活性剤による溶解に供し、上記酵素に基づく方法を使用して、精製した上清をスクロース濃度についてアッセイした。
プラスミドpLybAL16を保持するLYB476の結果は、元の培養物中の細胞の乾燥バイオマスの30〜50重量%を占める培地においてスクロースが主に観察されたことを示した。溶解時に細胞から遊離したスクロースの濃度は、培養物中に観察された全スクロースの10重量%未満に相当した。
実施例4:シネコシスティス種PCC6803またはシネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCoプロモーターからのASFの発現、ならびにシネコシスティス種PCC6803のRUBISCOプロモーターからのSPSおよびSPPの共発現
シアノバクテリア由来のリブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシゲナーゼ(RuBisCo)は、生物圏において最も豊富に発現されるタンパク質の1つであるため、RuBisCoプロモーターは、最も強力な既知のプロモーターの1つであると考えられる。シネコシスティス種PCC6803およびシネココッカス・エロンガタスPCC7942の両方からのこのプロモーターの単離およびクローン化、ならびにスクロースを生成するasf遺伝子の前への配置が成功裏に達成され、検証された。結果は、恐らくはスクロース生成に向けての資源の過剰な配分に起因して、RuBisCoプロモーターの制御下でasfを発現させることによるスクロースの生成が、成長の阻害を導くことを示唆していた。これらの結果はさらに、バイオマスの蓄積期間中にスクロース生成を調節することが必要であることを示唆している。
(米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるような)プラスミドpLybAL19のλΡRプロモーターおよびCIをシネコシスティス種PCC6803およびシネココッカス・エロンガタスPCC7942由来のRuBisCoプロモーターで置換した。オリゴヌクレオチド対SsprbcL−F/SsprbcL−RおよびSelorbcL−F/SelorbcL−Rをそれぞれ使用して、シネコシスティス種PCC6803およびシネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCoプロモーターを全細胞ゲノムDNAから増幅した。PCR産物をXbaIおよびAflIIで消化し、同様に消化したpLybAL19にライゲーションし、シネコシスティス種PCC6803およびシネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCoプロモーターのためにpLybAL42およびpLybAL43をそれぞれ作製した。
(米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるように)三親接合を用いてプラスミドpLybAL42およびpLybAL43をLYB472株に挿入した。しかし、接合完了体が現れ、次いで褐色に変わり、プラスミドを保持する株を大腸菌ドナーおよびヘルパー株から精製するためにそれらを再画線した時点で死滅した。これは過剰なスクロース生成によるものであり得ると考えられた。
また、相同性組換えスクロース産生系も生成され、シネコシスティス種PCC6803RuBisCoオペロン(rbcLXS)(配列番号233)に関連して、シネコシスティス種PCC6803のspsおよびspp遺伝子がシネコシスティス種PCC6803のRuBisCoプロモーターの後に配置され、推定上のrbcLXSターミネーターによって終結される。C末端His6−タグ化sps翻訳領域は、rbcLの開始点から始まりrbcXの末端で終端していた。C末端His6−タグ化spp翻訳領域でrbcSを置換した。この構築物を組み立てるために、sps内の1.3kbpのXmaI/SpeI断片を除いて隣接するXbaIおよびPmeI部位を含む人工オペロンを合成した(Blue Heron,Bothell,WA)。このXbaI/PmeI断片をXbaIおよびClaI(T4 DNAポリメラーゼで平滑末端化)で消化したプラスミドpLybAL50(誘導体pLybAL19)内に配置し、プラスミドpLybAL66を作製した。オリゴヌクレオチドSsp6803spsXS−FおよびSsp6803spsXS−Rを用いて、PCRによりLYB467全細胞ゲノムDNAからspsのXmaI/SpeI断片を増幅した。この産物をXmaIおよびSpeIで消化し、同様に消化したpLybAL66にライゲーションしてpLybAL67を作製した。
pLybAL66およびpLybAL67の両方を三親接合によりLYB472に導入した。pLybAL66の接合完了体(不完全spsを有する)は健康そうに見えた。しかし、pLybAL67の接合完了体(完全spsを有する)は、pLybAL42およびpLybAL43の接合完了体と同じ挙動を示した。経時的に、pLybAL67を含むLYB472の緑色コロニーが数個現れた。これらのうちのいくつかを25μg/mlのクロラムフェニコールを含むBG11−A中で成長させた。Wizard Plus SV Miniprep Kit(Promega、Madison,WI)を用いてプラスミドDNAを精製し、ペレットを再懸濁した後に、ビーズ破砕機にてさらに1分間ガラスビーズで処理した。少量の精製プラスミドDNAを形質転換により大腸菌NEB5α(NEB、Ipswich,MA)中に増幅した。DNAを再びミニプレップし、制限分析に供したところ、いくつかの分離株は元のプラスミドDNAとマッチしなかった。制限分析によって正しく見えた分離株は、恐らくは、非常に小さい欠失/挿入、または点変異のいずれかを含んでいたと考えられる。いずれの場合でも、これらのプラスミドの配列のさらなる分析は行わなかった。
しかしながら、いくつかのpLybAL67接合完了体をスクロース生成について定性的に分析した。端的に述べると、滅菌した延伸ガラス製ウィスカーチューブを使用して、プラスミドpLybAL66またはpLybAL67のいずれかを保持するLYB472の小さな単離コロニーを寒天プレートから回収し、クロラムフェニコールを添加した50μリットルのBG11A培地に移した。次いで、この微小培養物を、懸滴溶液の蒸発による損失を回避するために、無細胞培地のプールの1ml超の懸滴として滅菌マルチウェルトレー内に配置した。7日後、液滴を回収し、遠心分離によってバイオマスを除去し、スクロースの存在について上清(消費された培養ブロス)をアッセイした。pLybAL67を保持するLYB472を成長させた培養物に強い比色応答が観察されたのに対し、プラスミドを含まないLYB472またはLYB472のpLybAL66の培養物は、有意な応答を示さなかった。試料中のバイオマスレベルが非常に低いことを考慮すると、これらの試料中のスクロースの定量的アッセイは不可能であったが、定性的分析により、pLybAL67を保持するLYB472の場合、asf遺伝子の上流にある完全に機能的なRuBisCoプロモーターを用いると著しいスクロース生成が観察されたことが示唆された。pLybAL67を保持するLYB472の量の調節を試みると非常に緩徐な成長が見られたが数日後に停止し、経時的に生存率が損失すると考えられた淡黄色〜白っぽい細胞が得られた。
実施例5:ノストック種PCC7120のRUBISCOプロモーターの変異からのエステラーゼ発現
以下の実施例は、ノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーターの変異からのエステラーゼ発現を示す。
pLybAL42、pLybAL43、pLybAL66、およびpLybAL67の結果は、RuBisCoプロモーターは、スクロース生成のために十分な酵素を合成することができるかもしれないが、バイオマス蓄積の段階では生成が下方制御される必要があることを示唆していた(実施例3を参照)。さらに、商品を経済的に生産するために、調節は廉価であるべきである。以前の報告は、発現を制御するためにNtcAが使用されたことを示しているが(例えば、Jiang et al.1997;Herrero et al,2001;Muro−Pastor et al,2005を参照)、シネコシスティス種PCC6823における使用は報告されていない。
容易にアッセイすることができる単純な酵素系である好熱性カルボキシルエステラーゼ上で、シネコシスティス種PCC6823におけるNtca系を最初に検査した。オリゴヌクレオチドE020−FおよびE020−Rを使用して、翻訳領域にC末端His6−タグを付加したプラスミドpCE020RからPCRにより好熱性カルボキシルエステラーゼ遺伝子を増殖した。PCR産物をNdeIおよびClaIで消化し、同様に消化したpLybAL50にライゲーションして、LybAL50のasf遺伝子がエステラーゼ遺伝子で置換されたpLybAL68を作製した。
次に、CIおよびλPRプロモーターを、ノストック種PCC7120のrbcLXSプロモーターの種々の断片で置換した。全領域、コア+下流領域、コア+上流領域、およびコア単独を含む4つの異なる構築物を作製した。ノストック種PCC7120の精製した染色体のDNA(ATCC番号27893D−5)のPCR増幅によりこれらの断片を得た(それぞれ、オリゴヌクレオチド対Nsp7120rbcprom−F1/Nsp7120rbcprom−R1、Nsp7120rbcprom−F2/Nsp7120rbcprom−R1、Nsp7120rbcprom−F1/Nsp7120rbcprom−R2、およびNsp7120rbcprom−F2/Nsp7120rbcprom−R2)。PCR産物をSbfIおよびBamHIで消化し、次いで、同様に消化したpLybAL68にライゲーションし、pLybAL69、pLybAL70、pLybAL71、およびpLybAL72をそれぞれ作製した。
(米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるように)三親接合によりプラスミドをLYB476に導入した。
プラスミドpLybAL69(LYB E020遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加した5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。遠心分離により細胞から培地を分離し、細胞を界面活性剤による溶解に供し、p−ニトロフェノールアセテートによる比色アッセイを使用して、精製した上清をエステラーゼ活性についてアッセイした。端的に述べると、100μΜのp−ニトロフェニルアセテート(アセトニトリル中の1mM原液から)を50mMリン酸緩衝液(pH7)に分散させた。0.1μlの粗溶解物の添加により反応を開始させ、加水分解反応から遊離したp−ニトロフェニレートの形成は、348nm(ニトロフェノール/ニトロフェニレートイオンの等吸収点)で追跡した。
プラスミドpLybAL70(LYB E020遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)の株を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。遠心分離により細胞から培地を分離し、細胞を界面活性剤による溶解に供し、上述のように、p−ニトロフェノールアセテートによる比色アッセイを使用して、精製した上清をエステラーゼ活性についてアッセイした。
プラスミドpLybAL71(LYB E020遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)の株を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。遠心分離により細胞から培地を分離し、細胞を界面活性剤による溶解に供し、上述のように、p−ニトロフェノールアセテートによる比色アッセイを使用して、精製した上清をエステラーゼ活性についてアッセイした。
プラスミドpLybAL72(LYB E020遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)の株を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μΕの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。遠心分離により細胞から培地を分離し、細胞を界面活性剤による溶解に供し、上述のように、p−ニトロフェノールアセテートによる比色アッセイを使用して、精製した上清をエステラーゼ活性についてアッセイした。
結果は、カルボキシエステラーゼ遺伝子の発現が、ポリペプチドのカルボキシ末端上に6XHisidineタグを含むようにクローン化および遺伝子操作された好熱性エステラーゼに対応することを示した。酵素は極めて安定しており、組換え生物の宿主において可溶性の高い活性酵素として良好に発現されることが示された。酵素活性に関する比色アッセイは、タンパク質発現収率を測定するための極めて感受性の高い定量的手段である。この目的を達成するために、NE020遺伝子を含むプラスミド構築物の検査によって、検査した構築物の全体的なタンパク質の発現に対する明確な応答が得られた。各系で測定された総タンパク量に相関する酵素代謝回転の初期速度を用いることにより、生成された酵素の指標が提供された。さらに、タンパク質に付加した6XHisタグに対して産生させた抗体を使用した溶解バイオマスのウエスタンブロッティング分析により、各試料において発現されたタンパク質のレベルに関する見解が提供され、また、動的アッセイのデータを検証するための手段も提供された。
実施例6:ノストック種PCC7120のRUBISCOプロモーターの変異からのASFの発現
以下の実施例は、ノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーターの変異からのASF発現を示す。
プラスミドpLybAL69、pLybAL70、pLybAL71、およびpLybAL72由来のカルボキシエステラーゼ(E020)遺伝子をプラスミドpLybAL50由来のasf遺伝子(C末端His6タグを保持する)で置換した。BamHIおよびClaIを用いた消化によりpLybAL50中のasf遺伝子を除去し、同様に消化したpLybAL69、pLybAL70、pLybAL71、およびpLybAL72内に配置して、pLybDB2(配列番号188)、pLybDB3(配列番号189)、pLybDB4(配列番号190)、およびpLybDB5(配列番号191)をそれぞれ作製した。
(米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるように)三親接合によりプラスミドをLYB476に導入した。
プラスミドpLybDB2(配列番号188)(asf遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を48時間振盪した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
プラスミドpLybDB3(配列番号189)(asf遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節される切断されたRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
プラスミドpLybDB4(配列番号190)(asf遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節される切断されたRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を48時間振盪した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
プラスミドpLybDB5(配列番号191)(asf遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節される切断されたRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を24時間振盪した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
ノストック種PCC7120由来のRuBisCoプロモーター配列の構造は表1に従った。
表1 ノストック種PCC7120プロモーターの領域(図3を参照)
図3に示される領域は、rbcL(RuBisCoの大きなサブユニット)の第1のコドンを通ってSbfI部位が導入された点から始まる。公開されたゲノム(Kaneko et al.2001 DNA Res 8,205−213)からDNA配列を採用した。番号付けは転写の開始(+1)に関連する。小文字は、SbfIおよびBamHI制限酵素部位を導入するために作製された変異を意味する。プロモーターとして特定された配列は、通常は典型的な大腸菌タイプσ70プロモーターとして特定されるであろう領域を網羅している。−10コンセンサス配列(TATAAT)は、転写の開始に関連して特定することができる。DNAフットプリント分析を使用してNtcAが2ヶ所でDNAに結合することを示した(Kaneko et al.2001 DNA Res 8,205−213を参照)。図3で強調されているNtcAコンセンサス部位1は、GTN10ACである。図3で強調されているNtcAコンセンサス部位2は、GTN9ACである。どちらもAsおよびTsに隣接されている。DNAフットプリント分析により、第2のタンパク質(第2因子)がプロモーター領域に結合することが示唆されている(Ramasubramanian et al.1994 J Bacteriol 176,1214−1223を参照)。
無細胞消費培地でスクロース測定を行い、総乾燥バイオマスに対して基準化し、各試料のバックグラウンドグルコースに対して補正した。
結果は、窒素によって制御されるRuBisCoプロモーターを取り囲むセグメント領域全体から構成されるプロモーター構築物では、配列の両方の隣接領域が欠損した構築物と同様に検出可能なスクロースがほとんど得られなかったことを示した。配列の前部領域または後部領域のいずれかが欠失した構築物は、それぞれ、著しいスクロース生成を示した(0.15〜0.9グラムの糖/乾燥バイオマス1グラム)。アンモニアを含む培養物では、硝酸塩から構成される培養液と比較して糖の収率に3〜5倍の増加が得られ、スクロースの収率が培地の窒素源に依存することが示された。asf(6XHistidineタグを含む)タンパク質の存在を検出するために行ったウエスタンブロット分析により、単一の前部配列領域または後部配列領域が切断された構築物に測定可能な量のタンパク質が示された:これは、スクロース生成の知見と一致する。アンモニアまたは硝酸塩を含む培地を用いた対照実験により、生物の成長特性に大きな変化をきたすことなく、該生物が窒素源の切り換えに耐えたことが実証された。
実施例7:ノストック種PCC7120のRUBISCOプロモーターの変異からのSPS/SPP2つの遺伝子のオペロン発現
プラスミドpLybAL69、pLybAL70、pLybAL71、およびpLybAL72由来のカルボキシエステラーゼ(E020)遺伝子を、それらのオペロン構造においてプラスミドpLybAL67由来のspsおよびspp遺伝子(それぞれがC末端His6タグを保持する)で置換した。オリゴヌクレオチドSPSSPP Forward 2番およびSPSSPP Reverseを用いて、PCRによりpLybAL67テンプレートからspsおよびspp遺伝子を保持する断片を増幅した。PCR産物をBglIIおよびNarIで消化し、BamHIおよびClaIで消化したプラスミドpLybAL69、pLybAL70、およびpLybAL72内に配置し、プラスミドpLybDB6(配列番号235)、pLybDB7(配列番号236)、およびpLybDB9(配列番号237)をそれぞれ作製した。pLybDB8と名付けられたプラスミドpLybAL71(E020)およびpLybDB4(配列番号190)(asf)のsps/sppの相当物は、その構築中に遭遇した困難のために破棄された。
(米国特許出願公開第2009/0181434号に記載されるように)三親接合によりプラスミドをLYB476に導入した。
プラスミドpLybDB6(配列番号235)(シネコシスティス種PCC6803のsps/spp遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節されるRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を48時間振盪した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
プラスミドpLybDB7(配列番号236)(シネコシスティス種PCC6803のsps/spp遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節される切断されたRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を48時間振盪した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
プラスミドpLybDB9(配列番号237)(シネコシスティス種PCC6803のsps/spp遺伝子の前の、ノストック種PCC7120由来の窒素によって調節される切断されたRuBisCoプロモーター配列)を保持するシネコシスティス種(LYB476)を、25μg/mlのクロラムフェニコールおよび窒素源として硝酸カリウムの代わりに4mM塩化アンモニウムを添加し、5mM HEPES緩衝液を用いてpH8.0に調節した50mlのBG11培地中で培養した。白色LEDを用いて100μEの照射下、250RPMで振盪フラスコ中、28℃で培養を行った。4日間の発酵後、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、1×体積の滅菌脱イオン水で1回洗浄した。ペレット化した細胞を最小限の滅菌水に再分散させ、等しく分割し、4mM塩化アンモニウムまたは20mM硝酸カリウムのいずれかと、25mg/mlのクロラムフェニコールとを含む、それぞれpH8.0またはpH9.0の25mlの新しいBG11培地に播種した。100mEの照射下、250RPMおよび28℃で培養物を48時間振盪した。培地から細胞を分離し、Biovisionの結合酵素バイオアッセイを使用して消費培地中のスクロース含量を分析した。消費培地中のスクロースの量を、培養のバイオマス蓄積段階で用いられたアンモニア消費培地の残留試料に対して行われた同様のスクロース測定値と比較した。対照実験を行って、最終的な誘導培養およびそれに続く最終細胞ペレットの溶解後に、細胞内の残留スクロース含量を測定した。
無細胞消費培地のスクロース測定を行い、総乾燥バイオマスに対して基準化し、各試料のバックグラウンドグルコースに対して補正した。
asf構築物に関して観察された結果によれば、sps/spp遺伝子上流の窒素によって制御されるRuBisCoプロモーターを取り囲むセグメント領域全体から構成されるプロモーター構築物では、検出可能なスクロースがわずかしか得られなかった。配列の両方の隣接領域が欠損した構築物は、中程度のスクロース収率を示した:これは、asf構築物に関して得られた結果と矛盾するものである。
配列の前部セグメントが欠失した構築物を作製する予定であった:しかしながら、配列の後部が欠失した領域に著しいスクロース生成が見られた(0.15〜0.3グラムの糖/乾燥バイオマス1グラム)。硝酸塩およびアンモニアの両方の窒素源が同様のレベルの糖産生をもたらしたことから、スクロースの収率は窒素源に感受性を示さないことが分かった。スクロースの収率は、sps/spp構築物において比較的著しく減少し、全体的な調節による制御も効果的に実現された。
実施例8:プラスミドの構築
製造業者によって細胞当たり約20コピーであると記載される低コピーベクターpSMARTGC LK(Lucigen、Middleton,WI)(配列番号192)を、大腸菌NEB5α(NEB、Ipswich,MA)における構築のための骨格として初期プラスミドに使用した。その次に、pSMARTGC LKをpLG338(配列番号202)(細胞当たり6〜8コピー)で置換した。全てのPCR増幅は、製造業者(NEB、Ipswich,MA)によって記載されるようにPhusionポリメラーゼを使用して行った。
オリゴヌクレオチドSspuppins−F(配列番号193)およびSspuppins−R(配列番号194)を用いて、PCRによりゲノムDNAからシネコシスティス種PCC6803のupp座位を増幅し、製造業者によって記載されるようにpSMARTGC LKベクターにクローン化し、pLybAL73f(配列番号195)を作製した。遺伝子を分割し、FspIおよびKpnIでpLybAL73fを消化することにより複数のクローン化部位を加え、次いで、リン酸化、アニーリングしたオリゴヌクレオチドSspuppMCS−F(配列番号196)およびSspuppMCS−R(配列番号197)を挿入し、プラスミドpLybAL74f(配列番号198)を得た。次いで、FspIおよびSphIでpLybAL74fを消化し、リン酸化、アニーリングしたオリゴヌクレオチドSelo7942rbcTerm−F(配列番号199)およびSelo7942rbcTerm−R(配列番号200)にライゲーションすることにより、pLybAL74fからプラスミドpLybAL75f(配列番号201)を作製した。こうしてシネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCoオペロン転写ターミネーターを複数のクローン化部位の前に配置して、uppプロモーターによって生成されたリードスルー転写物からのasf(配列番号1)の発現を防止した。次に、それぞれの産物を直線化し、次いで染色体内に組み込むためにLYB476中に形質転換することができるように、pLybDB3(配列番号189)およびpLybDB4(配列番号190)からpLybAL75f内にそれぞれのプロモーターと一緒にasfをクローン化する努力が行われたが、正しい産物は得られなかった。
次いで、さらにコピー数がより少ないベクターpLG338(配列番号202)(細胞当たり6〜8コピー)を選択した。SphIを用いた部分的消化、その後のEcoRVを用いた消化、SphI部位を平滑化するためのT4ポリメラーゼによる処理、次いで、5.4kbpのベクターの再ライゲーションにより、pLG338からプラスミドpLybAL78A(配列番号203)を構築した。次いで、PshAIおよびNheIでプラスミドpLybAL78Aを消化し、次いで、pLybAL75f(配列番号201)由来の転写ターミネーターおよび複数のクローン化部位が介在するシネコシスティス種PCC6803のupp座位を保持するHindIII(T4ポリメラーゼで処理)−XbaI断片を挿入し、pLybAL79(配列番号204)を作製した。次いで、pLybDB3(配列番号189)およびpLybDB4(配列番号190)由来のそれぞれのプロモーターとともにasfを保持するSphI−ClaI(T4ポリメラーゼで処理)断片をSphIおよびNotI(T4ポリメラーゼで処理)で消化したpLybAL79に成功裏に挿入し、pLybAL80(配列番号205)およびpLybAL81(配列番号206)をそれぞれ作製した。
抗生物質耐性マーカーの共組込みによる選択を可能にするために、オリゴヌクレオチドasfcmlint−F(配列番号242)およびasfcmlint−R(配列番号243)を使用して増幅し、SacIIで消化したpKD32(配列番号241)由来のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子をsacII部位に挿入することにより、pLybAL79、pLybAL80、およびpLybAL81から、プラスミドpLybEA8(配列番号238)、pLybEA9(配列番号239)、およびpLybEA10(配列番号240)をそれぞれ作製した。こうして、転写ターミネーターが介在しない、asf遺伝子および下流クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子が収束的に転写されたプラスミドを得た。SacIIで消化および再ライゲーションすることにより、プラスミドpLybEA8、pLybEA9、およびpLybEA10の配向とは反対の配向でクロラムフェニコール耐性マーカーを含むプラスミドを構築し、プラスミドpLybAL84(配列番号244)、pLybAL85(配列番号245)、およびpLybAL86(配列番号246)をそれぞれ作製した。
インベルターゼの座位で組み込むためのベクターの構築は、プラスミドpLybAL87b(配列番号247)から始まった。複数のクローン化部位が介在するインベルターゼの座位を保持するPCR産物を挿入することにより、pLybEA8からプラスミドpLybAL87bを作製した。オリゴヌクレオチドSspinvint−F(配列番号248)およびSspinvint−R(配列番号249)を用いたシネコシスティス種PCC6803野生型染色体のDNAの連続PCR、続いて、第1の反応産物およびプライマーとしてオリゴヌクレオチドSspinvint−R2(配列番号250)を使用した二次増幅により、このPCR産物を作成した。この最終PCR産物をEcoRIで消化し、1.4kbpの産物をpLybEA8のEcoRI断片(4.9kbp)に挿入することで、その介在する複数のクローン化部位およびクロラムフェニコール耐性マーカーとともにupp座位を置換した。再び、シネココッカス・エロンガタスPCC7942のRuBisCoオペロン転写ターミネーターを複数のクローン化部位の上流に配置して、上流プロモーターによるasf遺伝子のリードスルー転写を防止した。NotIおよびSphIでプラスミドpLybAL87bを消化し、リン酸化、アニーリングしたオリゴヌクレオチドSelo7942rbcTerm−F2(配列番号251)およびSelo7942rbcTerm−R2(配列番号252)を挿入し、pLybAL88b(配列番号253)を作製した。最終構築物のasf遺伝子の前に配置されたプロモーターからクロラムフェニコール耐性マーカーが不必要にさらに発現するのを回避するために、プラスミドpLybAL85(配列番号245)のasf遺伝子とクロラムフェニコール耐性マーカーとの間に転写ターミネーターも配置した。SacIIおよびBamHIの両方を用いてプラスミドpLybAL85を部分的に消化し、次いで、シネココッカス・エロンガタスPCC7942のpsbAII転写ターミネーターを含む、リン酸化、アニーリングしたオリゴヌクレオチドSelo7942AIITerm−F(配列番号254)およびSelo7942AIITerm−R(配列番号255)を9.5kbpのベクターに挿入し、pLybAL89(配列番号256)を作製した。プラスミドpLybAL88bおよびpLybAL89を組み合わせてpLybAL90(配列番号257)を作製した。pLybAL89由来の3.9kbpのSphI−KpnI断片をpLybAL88b由来の6.3kbpのSphI−KpnI断片にライゲーションした。次いで、プラスミドpLybAL86由来の0.37kbpのSphI−BamHI断片をプラスミドpLybAL90由来の9.6kbpのSphI−BamHI断片と組み合わせてpLybAL91(配列番号258)を作製した。プラスミドpLybAL91は、転写ターミネーターによって分割されたインベルターゼの座位、pLybDB4由来のノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーター断片、asf、別の転写ターミネーター、そしてasfと同じ方向に転写されたその独自のプロモーターを有するクロラムフェニコール耐性マーカーを含む。
プラスミドpLybAL88bのインベルターゼの座位を、菌体外多糖の座位と2段階で交換した。最初に、シネコシスティス種PCC6803野生型染色体のDNAをオリゴヌクレオチドSspEPSint−F(配列番号259)およびSspEPSint−R(配列番号260)を用いて増殖した。この反応の0.67kbpの産物をEcoRIおよびNotIで消化し、同様に消化したpLybAL88bの5.7kbp断片にライゲーションし、pLybAL93(配列番号261)を形成した。次に、シネコシスティス種PCC6803野生型染色体のDNAをオリゴヌクレオチドSspEPSint−F2(配列番号262)およびSspEPSint−R2(配列番号263)を用いて増殖した。この反応の1.1kbpの産物をEcoRIおよびKpnIで消化し、同様に消化したpLybAL93の5.6kbp断片にライゲーションし、pLybAL94(配列番号264)を形成した。次いで、pLybAL94の6.7kbpのSphI−KpnI断片を、同様に消化したpLybAL91の3.6kbp断片とライゲーションすることにより、プラスミドpLybAL98(配列番号265)を作製した。プラスミドpLybAL98は、転写ターミネーターによって分割された菌体外多糖の座位、pLybDB4由来のノストック種PCC7120のRuBisCoプロモーター断片、asf、別の転写ターミネーター、そしてasfと同じ方向に転写されたその独自のプロモーターを有するクロラムフェニコール耐性マーカーを含む。
プラスミドpLybAL94の菌体外多糖の座位を、シネコシスティス種PCC6803のsps座位と2段階で交換した。最初に、シネコシスティス種PCC6803野生型染色体のDNAをオリゴヌクレオチドSspspsint−F(配列番号266)およびSspspsint−R(配列番号267)を用いて増殖した。この反応の1.3kbpの産物をRsrIIおよびKpnIで消化し、同様に消化したpLybAL94の5.6kbp断片にライゲーションし、pLybAL95(配列番号268)を形成した。次に、シネコシスティス種PCC6803野生型染色体のDNAをオリゴヌクレオチドSspspsint−F2(配列番号269)およびSspspsint−R2(配列番号270)を用いて増殖した。この反応の0.92kbpの産物をMreIおよびNotIで消化し、同様に消化したpLybAL95の6.3kbp断片にライゲーションし、pLybAL96(配列番号271)を形成した。
カナマイシン抵抗性マーカーをシネコシスティス種PCC6803のsps座位に組み込むと同時に、硝酸塩誘導性窒素レギュロン調節タンパク質およびインベルターゼ遺伝子をそれぞれ組み込むために、プラスミドpLybAL106(配列番号272)およびpLybAL107(配列番号273)を構築した。最初に、MluIを用いた消化および8.7kbp断片の追放によりpLybAL90のカナマイシン抵抗性マーカーを欠失させ、pLybAL100(配列番号274)を作製した。次いで、pLybAL100のクロラムフェニコール耐性マーカーをpKD13(配列番号275)のカナマイシン抵抗性マーカーで置換した。pKD13のカナマイシン抵抗性マーカーをオリゴヌクレオチドneoflpint−F(配列番号276)およびasfcmlint−R(a)(配列番号277)を用いて増殖した。1.3kbpの産物をPacIおよびSacIIで消化し、同様に消化したpLybAL100の7.7kbp断片にライゲーションし、pLybAL101(配列番号278)を作製した。シネココッカス・エロンガタスPCC7942由来のnirAプロモーター(配列番号32)、その後にシネココッカス・エロンガタスPCC7942由来のntcAおよびntcB(PnirA_ntcA_ntcB)(配列番号279)またはインベルターゼ(PnirA_lim17)(配列番号280)遺伝子のいずれかを含む断片をBlueheron(Bothell,WA)で合成した。誤った染色体の組換えを制限するために、シネコシスティス種PCC6803由来の遺伝子の代わりにシネココッカス・エロンガタスPCC7942由来の遺伝子を使用した。これらの断片(1.9および1.7kbp)をSbfIおよびPmeIで消化し、pLybAL101の6.2kbp断片内に配置して、pLybAL102(配列番号281)およびpLybAL103(配列番号282)をそれぞれ作製した。sps座位に組み込むために、pLybAL102およびpLybAL103由来の硝酸塩誘導性遺伝子およびカナマイシン抵抗性マーカーをpLybAL96と組み合わせた。pLybAL102およびpLybAL103由来の3.2kbpおよび3.1kbpのSbfI−SacII断片を、同様に消化したpLybAL96の7.2kbp断片にライゲーションし、pLybAL106(配列番号272)およびpLybAL107(配列番号273)をそれぞれ得た。
実施例9:組込み
シネコシスティス種PCC6803の株への組込みのために、BG11−A(HEPESを用いてpH8.0、またはCHESを用いてpH9.0のいずれかに緩衝した)にて約0.4のOD730まで細胞を成長させ、遠心分離によりペレット化し、次いで、新しい培地に2.5のOD730まで再懸濁した。CHESを用いてpH9.0に緩衝した場合により良好な成長が観察されたが、ネオマイシンおよび5−フルオロウラシル等の塩基感受性化合物を培地に添加した場合は、pH8.0のHEPESを使用した。2〜10μgのDNA(AflIIおよびMluIで直線化した)を500μlのこの細胞懸濁液と混合することにより形質転換を行い、透明なプラスチック製チューブ内にて光の下で3時間インキュベートし、混合し、次いでさらに3時間インキュベートした。次いで、0.3%チオ硫酸ナトリウムを含むBG11−A寒天プレートに細胞懸濁液を適用した。絶えず照射下にてプレートを一晩インキュベートした。細胞を播種した時から24時間後、プレート上の寒天を持ち上げ、寒天の下に抗生物質の50%を適用した。36時間後に、残りの50%の抗生物質を適用した。クロラムフェニコール、ネオマイシン、および5−フルオロウラシルの最終濃度は、それぞれ、25、25、および1μg/mlであった。抗生物質を含むプレート上に候補を再画線し、次いでコロニーPCRによりスクリーニングした。完全な分離が観察されるまでこのプロセスを繰り返した。完全に分離した時点で、今度は抗生物質の不在下で、再び候補を再画線した。コロニーPCRにより候補を再びスクリーニングし、完全な分離が維持されていると判断した。
組換え領域外のオリゴヌクレオチドを用いたPCRにより組込みを分析した。オリゴヌクレオチドSspuppintscrn−F(配列番号283)およびSspuppintscrn−R(配列番号284)を用いてupp座位における組込みをスクリーニングした。LYB476株に見られるような野生型uppは、0.89kbpの産物を生じた。pLybAL81(配列番号206)、pLybEA8(配列番号238)、pLybEA10(配列番号240)、pLybAL84(配列番号244)、およびpLybAL86(配列番号246)を用いた適切な組込みは、それぞれ、3.4、2.0、4.5、2.0、および4.5kbpの産物を生じた。オリゴヌクレオチドSspinvdelscreen−F(配列番号153)およびSspinvdelscreen−R(配列番号154)を用いてインベルターゼ(lim17)の座位における組込みをスクリーニングした。LYB476株からのインベルターゼの座位の増幅により2.6kbpの産物を得た。pLybAL91(配列番号258)を用いた適切な組込みにより5.3kbpの産物を得た。オリゴヌクレオチドEPSKOscreen−F(配列番号167)およびEPSKOscreen−R(配列番号168)を用いて菌体外多糖の座位における組込みをスクリーニングした。LYB476株からの菌体外多糖の座位の増幅により3.2kbpの産物が得られた。pLybAL98(配列番号265)を用いた適切な組込みにより5.6kbpの産物が得られた。オリゴヌクレオチドSsp6803spsscreen−F(配列番号285)およびSsp6803spsscreen−R(配列番号286)を用いてsps座位における組込みをスクリーニングした。LYB476株に見られるような野生型spsは、4.0kbpの産物を生じた。プラスミドpLybAL106(配列番号272)およびpLybAL107(配列番号273)を用いた適切な組込みにより、それぞれ5.6kbpおよび5.4kbpの産物が得られた。
プラスミドpLybAL106およびpLybAL107を直線化し、LYB476株に形質転換し、それぞれLYB509およびLYB510を得た。プラスミドpLybAL98を直線化し、LYB509およびLYB510に形質転換し、それぞれ、LYB511およびLYB512を得た。
upp座位におけるasfの組込み
pLybAL81を使用してシネコシスティス種PCC6803のupp座位にasfを組み込むという試みがなされたが、成功しなかった。プラスミドpLybAL81(配列番号206)をAflIIおよびMluIで直線化し、LYB476に形質転換し、次いで、1μg/mlの5−フルオロウラシルを含むBG11−Aプレート上で形質転換体を選択した。オリゴヌクレオチドSspuppintscrn−F(配列番号283)およびSspuppintscrn−R(配列番号284)を使用して、PCR増幅によりゲノムDNAから候補をスクリーニングした。適切な組込みは、野生型0.89kbpの代わりに3.4kbpのPCR産物を生じた。得られた5−フルオロウラシル耐性候補からのゲノムDNAの増幅によるPCR産物は、野生型DNAの大きさであった。これらの候補は、asfの組込みの代わりに、upp座位または別の座位における5−フルオロウラシル耐性変異株の自然選択から生じた可能性がある。しかしながら、それらは特徴づけされなかった。
プラスミドpLybEA8(配列番号238)およびpLybEA10(配列番号240)を使用した抗生物質耐性マーカーの共組込みにより、upp座位におけるasfの組込みを選択することが決定された。プラスミドpLybEA8がクロラムフェニコール耐性マーカーのみを含むのに対し、pLybEA10は、プラスミドpLybDB4(配列番号190)に見られるノストックPCC7120のrubiscoプロモーター断片から転写されたasf遺伝子も含む。コロニーは、asf遺伝子を欠損したプラスミドである直線化したpLybEA8を用いたLYB476の形質転換からのみ得られた。プライマーsspuppintscrn−F(配列番号283)およびsspuppintscrn−R(配列番号284)を用いて、PCRによりupp座位を分析した。適切な組込みは、野生型0.89kbpの代わりに2.0kbpのDNA片を生成するはずである。野生型および組込み体断片の両方が検出されたことから、不完全な分離が示唆された。抗生物質の選択による反復的な再画線によって完全な分離を生じさせることはできなかった。asfを含むプラスミドであるpLybEA10の形質転換ではコロニーは得られなかった。
クロラムフェニコール耐性マーカーの適切な発現がasfの組込みを得るための問題ではなかったことを確認するために、pLybAL84(配列番号244)およびpLybAL86(配列番号246)のそれぞれにおいてプラスミドpLybEA8およびpLybEA10のマーカーの配向を逆向きにした。asfの強力な発現が下流の収束性cat遺伝子の発現を減衰させるかもしれないことが予測された。しかしながら、同様の結果が得られた。
インベルターゼおよび菌体外多糖の座位におけるasfの組込み
以前の研究から、これらの遺伝子の欠失の完全な分離は問題ではなかったことが分かっていたため、インベルターゼおよび菌体外多糖の座位における組込みを選択し、upp座位における組込みを中止した。染色体上のインベルターゼ(lim17)の座位および大きなプラスミドpSYSM上に位置する菌体外多糖の座位にasf遺伝子を組み込むために、直線化したpLybAL91(配列番号258)およびpLybAL98(配列番号265)を用いてLYB476を形質転換した。組込み手順により、その時は現れ始めたがすぐに死滅した、非常に小さなコロニーを得た。
修飾された宿主におけるインベルターゼおよび菌体外多糖の座位におけるasfの組込み
組込みが成功しないのは、たとえ硝酸塩を含む培地で成長させた場合であっても発現されるASFによるスクロース生成の結果ではないかと考えられた。プラスミドpLybDB4(配列番号190)に関する以前の結果により、非誘導条件下にあっても発現は完全に停止されないことが示された。これは、asf発現の基本レベルを減少させるか(過剰なNtcAおよびNtcBの添加)または毒性の原因となるスクロースの分解(インベルターゼ活性の付加)によってスクロースの毒性(恐らくは深刻な浸透圧の不均衡による)を低下させようとする努力に至った。硝酸塩上で成長する間は誘導されるが、アンモニア上で成長する間は抑制されるシネココッカス・エロンガタスPCC7942のnirA プロモーターの後に、これらのタンパク質をコードする遺伝子を配置した。プラスミドpLybAL106(配列番号272)およびpLybAL107(配列番号273)を使用して、これらの構築物をsps座位に組み込み、LYB509株よびLYB510株を得た。これらの株は、いずれの困難も伴わずに構築された。
プラスミドpLybAL91(配列番号258)を用いたLYB509株およびLYB510株のインベルターゼの座位におけるasfの組込みはなおも不成功であった。しかしながら、これらの株におけるプラスミドpLybAL98(配列番号265)を用いた菌体外多糖の座位におけるasfの組込みにより、それぞれLYB511およびLYB512を得た。
プラスミドpLybDB4(配列番号190)を保持するLYB476からの以前のデータによれば、尿素の誘導に応答してスクロース生成の増加が示されている。尿素によって誘導される細胞は、硝酸塩中で成長させた細胞よりも約3倍多くのスクロースを分泌した。我々の結果は、LYB511asf組込み体も、尿素の誘導に応答してスクロースを分泌することを示している。LYB511は、硝酸塩よりも尿素に応答して、スクロースの分泌において4〜5倍の増加を示した。興味深いことに、尿素で処理したLYB511は、尿素で処理したpLybDB4を保持するLYB476よりも4倍多くのスクロースを分泌した。さらに、硝酸塩で処理したLYB511も、硝酸塩で処理したpLybDB4を保持するLYB476よりも3倍多くのスクロースを分泌した。これらの結果は、プラスミド由来の外来性であるasfの発現と比較して、asf組込み体が全体的により多くのスクロースを生成することを示唆している。細胞溶解物から得られたスクロースの量は、全試料間で同様であった。これらの結果は、細胞は分泌前の内部スクロースの有限濃度にのみ耐えることができることを示唆している。スクロースアッセイの結果も、asf遺伝子の安定した内在性発現を暗示している。
LYB512株は、尿素に応答したスクロース生成の増加を示さなかった。さらなるインベルターゼ発現の窒素調節による制御には漏れがあるか、またはインベルターゼは経時的に非常に安定しているかのいずれかでなければならない。
実施例10:液相フォトバイオリアクターにおける組み込まれた窒素によって制御されるスクロース生成
LYB511株をBG11寒天培地上で培養し、単一コロニーを50mlの液体BG11培地に移し、培養物が730nmの光学密度測定値によって判定される対数期成長に至ったと判断されるまで(通常3〜4日)、50マイクロアインシュタインの白色光下、250RPM、30℃で振盪させた。30℃に維持した500mlの撹拌したBG11培養ブロスに対数期の培養物を無菌的に移し、150マイクロアインシュタインの白色蛍光下、1分当たり1体積の濾過空気で通気した。培養物が中対数期成長に達した時点で、遠心分離により細胞を無菌的に回収し、脱イオン水で1回洗浄した。細胞ペレットを10mlの脱イオン水に分散させ、5mlを20mM硝酸ナトリウムまたは10mM尿素を添加した500mlのBG11培養ブロスに導入した。150マイクロアインシュタインの白色蛍光下、撹拌しながら、かつ1分当たり1体積で通気しながら、30℃で培養物を成長させた。4日間にわたって毎日10mlの培養ブロスを除去し、pH、バイオマス密度、およびスクロース濃度を測定した。
結果は、窒素源として硝酸ナトリウムを含む培養物では、4日間の試験中にバイオマス蓄積が2.25倍増加し、ピークスクロース濃度は9.3マイクロモルであったことを示した。窒素源として尿素を含む培養物では、4日間の試験中にバイオマス蓄積はわずか1.2倍増加したのみであり、ピークスクロース濃度は83マイクロモルであった。両方の培養物において、pHは7から7.8に徐々に増加した。
実施例11:固相フォトバイオリアクターにおけるプラスミドに基づいた窒素によって調節されるスクロースの生成
プラスミドpLybDB4を保持するLYB476株をBG11寒天培地上で培養し、単一コロニーを50mlの液体BG11培地に移し、培養物が730nmの光学密度測定値によって判定される対数期成長に至ったと判断されるまで(通常3〜4日)、50マイクロアインシュタインの白色光下、250RPM、30℃で振盪させた。30℃に維持した3000mlの撹拌したBG11培養ブロスに対数期の培養物を無菌的に移し、150マイクロアインシュタインの白色蛍光下、1分当たり1体積の濾過空気で通気した。
培養物が中対数期成長に達した時点で、細胞を無菌トラフに無菌的に移した。6平方インチの大きさの(米国特許出願第20090181434号に記載されるような)固相フォトバイオリアクターの布をトラフに沈め、暗所にて室温で一晩インキュベートさせた。ガスおよび培地配管が装着された状態で固相フォトバイオリアクター内に布を無菌的に設置した。ガス源は濾過された大気であり、1分当たり0.1リットルで導入された。1分当たり0.2mlの流速で15分能動的にポンピングして、4時間の一定間隔で反応器に培地を導入した。150マイクロアインシュタインの白色蛍光下、30℃で培養物を成長させた。初期培地は、窒素源として20mM硝酸ナトリウムを含むBG11から構成され、5日後に、窒素源として10mM尿素を含むBG11に切り替えられ、7日間にわたって発酵を継続した。試験期間にわたって毎日10mlの培養ブロスを除去し、pHおよびスクロース濃度を測定した。培養中、回収された流出液のpHは7.2のままであった。
結果は、硝酸塩相供給中のピークスクロース生成では、8.8mMスクロースの濃度で0.16ミリモルを得たことを示した。尿素相供給中のピークスクロース生成では、52mMスクロースの濃度で0.94ミリモルを得た。
実施例12:固相フォトバイオリアクターにおける組み込まれた窒素によって調節されるスクロース生成
LYB511株をBG11寒天培地上で培養し、単一コロニーを50mlの液体BG11培地に移し、培養物が730nmの光学密度測定値によって判定される対数期成長に至ったと判断されるまで(通常3〜4日)、50マイクロアインシュタインの白色光下、250RPM、30℃で振盪させた。30℃に維持した3000mlの撹拌したBG11培養ブロスに対数期の培養物を無菌的に移し、150マイクロアインシュタインの白色蛍光下、1分当たり1体積の濾過空気で通気した。培養物が中対数期成長に達した時点で、細胞を無菌トラフに無菌的に移した。6インチ×6インチの大きさの(特許出願第20090181434号に記載されるような)固相フォトバイオリアクターの布をトラフに沈め、暗所にて室温で一晩インキュベートさせた。ガスおよび培地配管が装着された状態で固相フォトバイオリアクター内に布を無菌的に設置した。ガス源は濾過された大気であり、1分当たり0.1リットルで導入された。1分当たり0.2mlの流速で15分能動的にポンピングして、4時間の一定間隔で反応器に培地を導入した。150マイクロアインシュタインの白色蛍光下、30℃で培養物を成長させた。初期培地は、窒素源として20mM硝酸ナトリウムを含むBG11から構成され、5日後に、窒素源として10mM尿素を含むBG11に切り替えられ、7日間にわたって発酵を継続した。試験期間にわたって毎日10mlの培養ブロスを除去し、pHおよびスクロース濃度を測定した。培養中、回収された流出液のpHは7.2のままであった。
結果は、硝酸塩相供給中のピークスクロース生成では、18mMスクロースの濃度で0.32ミリモルを得たことを示した。尿素相供給中のピークスクロース生成では、91mMスクロースの濃度で1.6ミリモルを得た。
参考文献