JP2014517862A - 繊維製品及び紙の染色のための地球に優しい新規染料 - Google Patents

繊維製品及び紙の染色のための地球に優しい新規染料 Download PDF

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Abstract

本発明は、新規種類の硫化染料の製造に関し、そこでは、原材料として、通常、自然界に存在する様々な種類の天然「バイオマス」が使用され、それらは可溶性染料に変換され、布帛繊維、好ましくはセルロース繊維及びその誘導体(例えば、綿、ビスコース、紙、テンセル)を、高い強度及び色褪せしない特性で染色することができる。この目的に関し、用語「バイオマス」は、農業及び林業部門における通常の人間の収穫活動から得られる副産物として定義される。

Description

硫化染料が、繊維製品セルロース系材料又はセルロース系繊維と合成繊維とのブレンドを染色するために使用されることは、一般的に知られている。色の範囲は、黒色、青色、オリーブ色及び褐色に及ぶが、色合い(hue)は、他の種類の染料と比較して、くすんでいる(dull)。最初の硫化染料は、有機セルロース含有材料(例えば、おがくず、腐植質、ふすま、綿くず及び紙くず)をアルカリ性硫化物及び多硫化物とともに加熱することにより、1873年に製造された(Brit. Pat. 1489; E. Croissant and L.M.F. Bretonniere, Bull. Soc. Ind. Mulhouse 44, 465 (1874))。
Brit.Pat. 1489において、上記加熱は、硫化物との接触の前に、何の媒介もなく、そして、前準備又は変換もなく、実施された。しかしながら、これらの染料は、暗く、吸湿性であり、色合いが悪く、毒性があり、悪臭があると報告されている(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Sulfur Dyes, pg.1-22, Wiley Online Library, published 4. December 2000)。
今日、一群の色、例えば、幾つかの褐色、オリーブ色、灰色、オレンジ色及び黄色は、硫黄、硫化物及び/又は多硫化物を、様々な特定の芳香族有機化合物と混合し、これらの混合物を高温で反応させることにより得られることが周知である。これらの原材料は、様々なベンゼン誘導体に由来し、最も重要な具体例は、アミノ化合物、例えば、m−フェニレンジアミン、m−トルエンジアミン、p−トルイジン、アニリン、p−フェニレンジアミン;アミノ−ニトロ化合物、例えば、p−ニトロアニリン、アミノ−ニトロトルエン;フェノール化合物、例えば、β−ナフトール、p−アミノフェノール、ハイドロキノンである。
今日使用されているこれら有機化合物の全ては、石油芳香族化学に由来するものであり、それらの大部分は毒性学的に有害であると考えられており、それらの幾つかは、潜在的に変異原性及び発癌性であるとも考えられている。
さらに、石油化学は、地球温暖化の大きな一因であり、さらに、染料製造業全体で商業化され、使用されるために必要な、これらの中間体を精製する化学的操作は、多くのエネルギー源を必要とし、さらなる副産物を生じる。
今日における別の生態学的概念は、実在する(real)染料植物の栽培である。しかしながら、この場合、全世界の綿及び羊毛を染色するために、約1億トンの染料植物が必要となる。栽培に必要な面積は、約1億〜2億ヘクタールであると推定され、それは穀物に対する世界的な取り組みの10〜20%を占める。そのような単一栽培の作用は、自然にとって破滅的なものであろう。
林業及び農業における人間の収穫活動は、大量の植物廃棄物を生じる。森林及び農作物に由来するこれらの廃棄物は、「バイオマス」と呼ばれる、数千トンの天然植物性産物に相当し、エネルギー燃料として使用される場合もあれば、廃棄物として処分される場合もある。
本発明の目的は、これらの「バイオマス」産物の一部を利用し、染料に変換することができる製造システムを開発することにある。
これらの染料は、良好な一般的堅牢度特性(例えば、湿潤堅牢度、摩擦堅牢度及び耐光堅牢度)とともに、繊維製品(textile)及び紙、好ましくはセルロース繊維に対して親和性を有する必要がある。しかしながら、本発明における大きな興味及び主要な特徴は、上記植物バイオマスが、環境の持続可能性において協調し、それにより、毒性のある芳香族化合物の使用が回避され、石油芳香族化学において現在知られている方法と比較してCO2発生が低減するという事実によってもたらされる。
驚くべきことに、この目的は、前処理された植物バイオマス、特に廃棄バイオマスを、硫化染料水溶液に変換することにより達成可能であることが見出された。
この理由により、今後、これらの染料は「EARTH-color-S」と名付けられる。
「EARTH」という用語は、この用語が、出発原材料として使用されるバイオマスの起源を表すこと、そして、得られた染料の色合いが地球の自然界(earth nature)の色に沿ったものであることに基づく。
「color」という用語は、最終的に得られた産物が染色特性を有することに基づく。
「S」という用語は、最終的な高分子染料を形成するために合成において使用されるその他の成分が、基本的に、硫黄、硫化物及び/又は多硫化物であることに基づく。
天然植物廃棄物の使用によってもたらされるそのような染料は、「地球に優しい染料(sustainable dyes)」とみなすことができる。
本発明の主題は、以下の工程:
(i)植物バイオマス、好ましくは廃棄バイオマス、さらに好ましくは農工廃棄物に由来するバイオマスを準備する工程;
(ii)前記植物バイオマスを、高温下、水性アルカリ性媒体及び/又はアミノ若しくはポリアミノ化合物で前処理する工程;
(iii)前記前処理された植物バイオマスを、硫黄、硫化物、多硫化物及びそれらの組み合わせからなる群より選択された硫化剤と混合する工程;
(iv)得られた混合物を、120〜350℃の温度で少なくとも2時間加熱する工程;
(v)工程(iv)で得られた混合物を水性媒体に溶解し、所望により、不溶解固形粒子を除去する工程
を含む、染料の製造方法である。
(i)基本的に、バイオマスは、いかなる種類の植物性産物であってもよいが、特に、林業若しくは農業収穫活動に由来する又は海洋資源に由来する植物性産物であることができる。これら植物性産物の全てを化学用語で定義することは困難であるが、おおよそ以下のグループに分類することができる。
(a)乾燥重量を基準として約3〜50重量%のリグニンを含有する植物性産物。さらなる成分としては、多糖類(例えば、セルロース)が挙げられる。具体例としては、林業活動(forestry activities)の廃棄物(例えば、樹皮、木材チップ、木材ペレット、おがくず、コットン残渣)又は農業収穫活動(agricultural crop activities)の廃棄物(例えば、乾燥果実の殻、好ましくは、ナッツの殻、例えば、ヘーゼルナッツの殻、クルミの殻、ココナツの殻、カシューナッツの殻、ピスタチオの殻、松の実の殻、及びアーモンドの殻、さらには穀物(cereals)、果実の種、例えば、ナツメヤシの種、サクランボの種、オリーブの種)から得られるバイオマス源が挙げられる。
(b)乾燥重量を基準として約5〜50重量%のフェノール及びポリフェノールを含有する植物性産物(その大部分は果実に関連する)。さらなる成分としては、テルペン、フェノール酸、スチルベン、リグナン、フラボノイド、タンニン、脂質、タンパク質が挙げられる。具体例としては、オリーブパルプ、オリーブ搾りかす(olive orujillo)、種粉末(pips flour)、米残渣(rice residues)、ブドウ搾りかす(grape marc)、ヒマワリパルプ、大豆パルプ、キャノーラバガス(canola bagasse)、ハーブ粉末(herbs ground)、コーンコブ(corncob)及びコーヒー粉末(coffee ground)が挙げられる。
(c)海洋資源由来の植物性産物(例えば、褐藻類、紅藻類及び緑藻類等の藻類)。藻類は、通常、藻類の種類に応じて、アルギン酸、キシラン、マンニトール、タンパク質、タンニンを主成分として含有する。
本発明のさらに好ましい実施形態において、バイオマス源は、グループ(a)及び(b)の組み合わせ、例えば、皮、種子及び枝の一部を含有するブドウ残渣である。
ここでの例示は、農業活動の結果として得ることができるが、その一方で、各国の活動及び土壌特性に応じて異なる、その他のバイオマス廃棄物を排除するものではない。
好ましいバイオマスは、上記のような食用作物、特に、それらの廃棄物(例えば、乾燥果実の殻(例えば、ナッツの殻)、果実の種及びコーヒー粉末)から得られる。
バイオマスの要素のサイズによっては、本発明の方法に導入する前に、適当な操作(例えば、スライス、細断、ペレット化、切断、製粉)によってサイズを減少させることが有利である場合がある。
(ii)本発明の一実施形態において、植物バイオマスの前処理は、好適には、pH9以上(例えば、pH10〜14)の水性アルカリ性媒体中で実施される。好ましいアルカリ化剤としては、無機水酸化物及び塩基性塩、例えば、苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、又はNH4OHが挙げられる。
好ましくは、水中の水酸化ナトリウム又はカリウムの濃度が5〜50重量%である水性アルカリ性媒体である。
バイオマスと水性アルカリ性媒体との重量比は、広範な範囲、例えば1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1で変動し得る。バイオマス(乾燥重量基準)とアルカリ化剤(乾燥重量基準)との重量比は、好ましくは1:3〜3:1、さらに好ましくは1:2〜2:1である。
本発明の別の実施形態において、植物バイオマスの前処理は、アミノ又はポリアミノ化合物を用いて、好ましくは、少なくとも1個のアミノ基を有する有機アミノ化合物(例えば、モノアルキルアミン及びモノアルキルアミノアルコール)を用いて実施される。
少なくとも1個のNH2基を有する有用な有機アミノ化合物の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−及びi−プロピルアミン、n−、i−及びt−ブチルアミン、アミルアミン、C6−C18アルキルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、C5−C18ヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、C5−C18アルキレンジアミン、尿素、グアニジン、並びに、ジシアンジアミドが挙げられる。
ポリアミノ化合物の具体例は、ジ(C1−C4アルキレン)トリアミン(例えば、ジエチレントリアミン)、及びトリ(C1−C4アルキレン)テトラミン(例えば、トリエチレンテトラミン)である。
本発明の前処理工程において特に有用な有機化合物は、少なくとも2個のアミノ基を有するか、又は少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個の水酸基とを有し、それらは、縮合反応において、植物バイオマスのアルデヒド又はアセタール基と反応することができる。例示的な化合物は、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、C3−C18ヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、C5−C18アルキレンジアミン、尿素、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン及びジシアンジアミドである。
バイオマス(乾燥重量基準)とアミノ又はポリアミノ化合物との重量比は、広範な範囲、例えば1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、さらに好ましくは1:3〜3:1、最も好ましくは1:2〜2:1で変動し得る。
アミノ又はポリアミノ化合物は、材料中に又は水溶液中に加えることができる。水溶液は、上記のようなアルカリ化剤を含有することができる。
上記前処理の温度は、好適には40〜200℃、好ましくは110〜170℃である。
上記前処理の期間は、好適には1〜48時間、好ましくは2〜18時間である。
前処理工程の間に、水を蒸発留去することが可能である。
しかしながら、液状又はペースト状物を得るために、還流下又は加圧下で加熱することが好ましい。
(iii)硫化に関し、工程(ii)で得られた前処理後の混合物(好ましくは未単離のもの)を、硫黄、アルカリ性硫化物、アルカリ性多硫化物又はそれらの組み合わせ(以下、硫化剤という。)と、好ましくは撹拌(stirring)又はその他の任意の種類の混合(agitation)によって、混合する。
硫黄は、元素硫黄の公知のいかなる修飾物であってもよいが、好ましくはα硫黄(斜方硫黄)である。
好ましい硫化物は金属硫化物であり、さらに好ましい硫化物はアルカリ金属硫化物(例えば、硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム、硫化カリウム及び硫化水素カリウム)である。
好ましい多硫化物は、アルカリ金属硫化物を元素硫黄で処理することにより形成されるアルカリ金属多硫化物(例えば、多硫化ナトリウム及び多硫化カリウム)である。
硫化物及び多硫化物は、固形物中に又は水溶液として導入することができる。
硫化剤と前処理された植物バイオマスとの相対重量(乾燥重量に基づいて算出)は、1:10〜10:1、好ましくは1:1〜10:1、さらに好ましくは1:1〜5:1、さらに一層好ましくは1:1〜3:1、最も好ましくは1:1〜2.5:1の間で変動することができる。
もちろん、上記範囲よりも少ない硫化剤を使用することも可能であるが、バイオマスの一部が未反応のままであることは、本発明の方法の経済性を低下させるであろう。
(iv)工程(iii)で得られた混合物を、120〜350℃、好ましくは150〜320℃、さらに好ましくは160〜300℃、最も好ましくは180〜270℃の温度で、少なくとも2時間、好ましくは6〜48時間、さらに好ましくは10〜30時間、加熱する。
この加熱工程は、アミノ化合物の存在下、及び/又は、工程(ii)のアルカリ化剤及び使用される場合にはアルカリ性硫化物又は多硫化物に由来するアルカリ性媒体の存在下で実施される。水を蒸発させず、反応を液体形態で最後まで実施する場合には、適当な加圧装置が使用される。
好ましい実施形態において、反応は、乾式反応器(dry way reactor)とも呼ばれるbake-pot反応器中で実施され、該反応器において、当初、反応物は液体のままであって撹拌可能であるが、次いで、加熱工程の間に水を蒸発留去すると反応物は固形物になり撹拌は自動的に停止する。反応は、反応器壁が加熱される間、継続され得る。反応の間に、H2Sが放出され、アルカリスクラバー(alkaline scrubber)で回収され得る。このガス発生は、固形物の内部への良好な熱伝達にも役立つ。
この工程の間、硫黄が前処理されたバイオマス材料と相互作用し、これにより、良好な水溶性及びセルロース親和性、そして、もちろん、色素体による(chromophoric)最終的な染色の色合いを実現する活性基が導入されると考えられる。硫黄がバイオマスと相互作用することを示す事実の一つは、H2Sの発生であり、そこでは、硫黄が、有機バイオマス分子の2個の水素原子を硫黄原子で置換することにより、それら2個の水素原子を放出する。これは、pHから独立して、乾式硫化及び湿式硫化において生じる。
基本的に、加熱条件及び時間は、バイオマスの良好な「処理(cooking)」を可能とし、その効果は、最終的な染料の強さ、溶解性及び染色特性と強く関連する。色合いは、使用されるバイオマスの種類とさらに強く関連する。一般的に、加熱条件が苛酷になるほど、強度が高くなるとともに色合いが深くなる。しかしながら、温度が高過ぎると、産物が「焼ける(burn)」おそれがあるので、最終的な染料収率及び所望の色合いの点から最良の性能が発揮される適正な温度及び時間が、実験的に見出される。
(v)硫化反応の終了時に、得られた産物を水又は水性アルカリ性媒体に溶解させる。存在する場合には、固形粒子が除去され、この際、例えば、濾過、デカンテーション又はその他の適当な手段が使用される。
発生するH2Sよりも多くのアルカリ化剤が存在する場合には、最終産物はアルカリ性となる。
硫化の間に水を蒸発留去する場合には、産物は固形である。
アルカリ性pHは硫化固形産物の可溶化に好適であるので、調製される水溶液はアルカリ性pHを有することが好ましく、アルカリ性pHは、好ましくは8以上、さらに好ましくは9以上、例えば8〜14、さらに好ましくは9〜13である。
可溶化が終了すると、「液体EARTH-color-S」と名付けられる、可溶化「バイオマス」の水溶液が得られる。
本発明の目的の一つは、毒性副産物の形成を回避することであり、特に、最終産物に含有される遊離の硫化物を出来る限り低くすべきである。
この目的は、多くの場合、バイオマスの量に対する硫化剤の量を上記範囲内に調整することにより簡便に実現することができる。
遊離の硫化物の量を低減させるために、アルカリ性媒体中で硫化物と反応することができる酸化剤(例えば、空気、酸素、過酸化物又は亜塩素酸塩)を、可溶化した硫化産物を含有するアルカリ性水溶液に加えることが有利である場合もある。この酸化は、好ましくは20〜70℃の温度で実施される。
今日まで、硫化染料の化学構造についてほとんど知られておらず、したがって、硫化染料は、その製造方法及び出発材料の属性に従って分類され得るのみである。
したがって、本発明の別の主題は、上記方法によって調製された染料の水溶液である。
従来の硫化染料とは異なり、本発明の染料水溶液は悪臭がなく、遊離の硫化物(S2-イオン、HS-イオン及びH2S)を、工程(v)で得られた水溶液の総重量を基準として3重量%未満、好ましくは0.1重量%〜2.5重量%未満の量で含有する。
本発明の染料水溶液は、アルカリ性pH、好ましくはpH8以上、さらに好ましくはpH9以上、例えば、pH8〜14、さらに好ましくはpH9〜13を有する。
最終的な染料産物は、通常、硫化工程を経て得られた固形物の水溶性化産物であるので、最も効果的な希釈は、バイオマス起源及び硫化条件に応じて変化し得るが、一般的には、可能である最も高濃度の染料溶液を得ることが有利であり、その濃度は染料溶液の総重量を基準として約40〜65重量%、好ましくは40〜55重量%であることが見出された。結晶化に対する安定性を確保するために、低濃度(例えば、染料溶液の総重量を基準として10〜40重量%、特に20〜30重量%)が好ましい場合もあるかもしれない。
本発明の染料溶液の別の利点は、工程(iv)で得られた産物が、水又はアルカリ性水溶液に対して非常によく溶解し、不溶性固体をほとんど含まないので、すぐに染色工程で使用することができる点である。これは、硫化の終了時においてバイオマス全体をほとんど可溶性産物に変換させる、工程(i)及び(ii)における所定の前処理によるものである。本発明の染料溶液のさらに別の利点は、従来は一般的であったメルカプタン臭がほとんど除去される点であり、これも、硫化前の所定の前処理工程によるものと考えられる。
本発明の適用システム、特に、ジーンズ用のデニム、パッドスチーム(Pad-Steam)、パッドOx(Pad-Ox)又はパッドサイジングOx(Pad-sizing-Ox)等の連続適用(continuous applications)では、染料水溶液が使用されるので、すぐに使用できる溶液は、従来法で提供される固形物よりも、はるかに関心事である。これらの溶液に含有される硫化物の量が低いことの別の利点は、産物それ自体がGOTS承認可能であり、非毒性と考えられる点である。
本発明の染料水溶液は、セルロース材料、例えば、綿、紙、ビスコース及びセルロース誘導体(例えば、Tencel(登録商標)又はLyocel(登録商標))、リネン又は竹を染色するために使用することができ、その際、好適には、現在知られている「硫化染料」染色システム、例えば、吸尽染色(exhaust dyeing)、パッドスチーム(Pad-Steam)、パッドOx(Pad-Ox)、デニム、パッドサイジング(Pad-sizing)又はパッドサイジングOx(Pad-sizing-Ox)が使用される。
セルロース染色は、通常、アルカリ性−還元条件下で実施される。正確な染色条件は、上記染色システムに依存し、当業者に公知である。還元条件は、好ましくは、糖類、例えば、グルコース、デキストロース又はフルクトースを還元剤として使用して実現されるが、その他の還元剤、例えば、ハイドロサルファイト、硫化物、多硫化物、二酸化チオ尿素、水素化ホウ素ナトリウム又はヒドロキシアセトンも技術的に使用可能である。
還元染色工程が終了したら、それ以降の適用プロセスでは、酸化剤(例えば、過酸化物、過炭酸塩、過硫酸塩又は臭素酸塩)を使用し、所望によりカチオン性固定剤も使用する酸化的固定工程が実施される。
硫化染料を使用した連続染色に通常含まれる種々の工程は、以下の通りである。
1.染色
染料を、助剤(例えば、湿潤剤、金属イオン封鎖剤及び還元剤)と混合し、必要であれば、アルカリと混合する。染色は、布帛(fabric)を染料溶液に通過及び浸漬させることにより実施され、パッド又はデニム適用の場合、この染料溶液は、70〜80℃の温度を有することができる。パッドスチーム適用の場合、パッディング(padding)は、室温で実施され、その後、温度は、1分間のスチームによって100℃まで増加し、それにより、染料は繊維に行き渡り、繊維と反応する。
2.洗浄
従来は、非固定染料を除去し、反応して固定された染料のみを繊維上に残すために、パッディング又はパッディング−スチームの後、洗浄工程が実施されていた。しかしながら、水を節約するために適用技術が近年改良され、パッドOx、パッドスチームOx、デニムOx等のシステムが開発され、それらにおいては、洗浄工程が除去され、最初のパッディング後の布帛は固定剤槽に直接浸漬され、反応に供される。
3.固定
a)事前の洗浄(previous washing)がある場合
この場合、通常、染料の遊離のチオール基を酸化して、従前は可溶性であった染料(アルカリ性及び還元性の媒質中)を不溶性の色素(酸性及び酸化性の媒質中)に変換させる硫黄架橋を形成するために、酸化剤(例えば、アルカリ臭素酸塩/酢酸、アルカリ過硫酸塩/炭酸塩又は過酸化水素/酢酸)を使用することで十分である。
b)事前の洗浄がない場合
洗浄工程によって除去されなかった非固定染料が固定槽に放出されないことを保証するために、繊維材料内部の染料をブロックして不溶化するカチオン性剤が、酸及び酸化剤に加えて使用される。
4.特殊な固定(パッドサイジングOx)
これは、デニム適用で基本的に使用される特殊なケースであり、染色の後、洗浄は実施されず、固定は酸、酸化剤及び好ましくはカチオン性サイジング剤組成物を使用したサイジングとともに実施される。
本発明のさらに別の主題は、上記染料水溶液で染色されたセルロース材料又はセルロース含有材料である。
セルロース又はセルロース含有材料は、例えば、繊維、糸、織物、ニットウェア、衣類、特にアパレル及びデニム物品、さらに紙及びボール紙物品である。
好ましい実施形態において、染色されたセルロース材料は、本発明の方法によって調製された硫化染料水溶液で褐色又はオリーブ色に染色された綿製品材料、特にデニムジーンズであり、植物バイオマスは、乾燥果実の殻、特にナッツ(例えば、ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド)の殻、又は果実の種(例えば、オリーブの種)、又はコーヒー粉末に由来する。
好ましい一実施形態において、この植物バイオマスは、工程(ii)において、水性アルカリ性媒体で前処理される。
別の好ましい実施形態において、この植物バイオマスは、工程(ii)において、上記のように、アミノ又はポリアミノ化合物を使用して、特に、少なくとも2個のアミノ基を有する又は少なくとも1個のアミノ基と少なくとも1個の水酸基とを有するアミノ又はポリアミノ化合物を使用して、前処理される。
これらの実施形態において、好ましい染色方法は、吸尽染色(exhaust dyeing)、パッドスチーム(Pad-Steam)、パッドOx(Pad-Ox)、デニム、パッドサイジング(Pad-sizing)及びパッドサイジングOx(Pad-sizing-Ox)からなる群より選択され、特にデニムである。
以下の実施例において、別段の規定がない限り、パーセントは重量パーセントを意味する。
[実施例1a]
ステンレス製容器に、以下の材料:50重量%濃水酸化ナトリウム水溶液120g、粉砕したヘーゼルナッツ殻60g、水50gを投入し、混合する。
この混合物を、還流下、2時間、沸点で加熱する。
この時間の経過後、反応物を80℃に冷却し、以下の成分:硫黄90g、硫化ナトリウム水和物(約60重量%Na2S)30gを添加する。
混合物を170℃の温度まで加熱し、水を蒸発させる。その後、反応物をゆっくりと260℃まで加熱し、この温度で18時間維持する。
反応の間に、H2Sが形成され、アルカリスクラバー(alkaline scrubber)で捕捉される。
反応が終了すると、火山石に似た外観を有する黒色固形物143gが得られる。
反応物を水250gに溶解し、沸点で1時間加熱する。
得られた染料液を加圧濾過によって濾過し、不溶残渣(1g未満)を除去する。
pHが12以上であり、硫化物含量が2%以下である茶色−オリーブ色の水溶液約390gが得られるので、硫化物をさらに低減させる酸化工程を省略することができる。
[実施例1b]
実施例1aと同様に得られた水溶液200gを、デキストロース20g、50重量%濃水酸化ナトリウム水溶液20g及び湿潤剤(リン酸エステル誘導体)の溶液(活性物質5〜15%)2gと混合し、水で希釈して、染色液槽1リットルを得る。綿の断片を、染色液槽に浸漬し、パッドし、100〜102℃で1分間、スチームする。その後、染色した布帛を洗浄し、5g/L過酸化水素及び5g/L酢酸で酸化させる。
良好な洗濯堅牢度並びに摩擦及び耐光堅牢度を有する褐色の染物が得られる。
[実施例2a]
ステンレス製容器に、以下の材料:50重量%濃水酸化ナトリウム水溶液80g、水50g、粉砕したオリーブ種55gを投入し、混合する。
混合物を、加圧下、130℃で4時間、煮沸する。
次いで、硫黄80g及び硫化ナトリウム水和物(約60重量%Na2S)50gを添加する。混合物をゆっくりと265℃まで加熱し、この温度で24時間維持する。反応が終了したら、反応物を水300gに溶解し、沸点で2時間加熱する。pH13〜14のオリーブ色の液体450gが得られる。
オリーブ色の液体を加圧濾過によって濾過し、不溶粒子(約0.5g)を除去する。次いで、濾過した液体を密閉容器に導入し、O2流を60℃の溶液に通過させ、遊離の硫化物の量が1.5%未満になるまで遊離の硫化物と反応させる。
[実施例2b]
実施例2aの液体染料調製物150gを、デキストロース20g及び苛性ソーダ(48Be)30gを溶解させた水600gに添加し、水を用いて調製物を1000gに調整し、湿潤剤(リン酸エステル)5gを添加する。溶液を80℃まで加熱し、マルセル化綿糸を10秒間浸漬させる。染色した布帛を洗浄し、次いで、30g/Lカチオン性化合物(塩化ベンザルコニウム)を含有する50℃の溶液に浸漬する。カチオン性化合物によってアニオン性染料が固定され、緑色が増した褐色がかった色合いとともに、良好な洗濯堅牢度並びに摩擦及び耐光堅牢度を有する濃い染物が得られる。
[実施例3a]
ステンレス製溶液に、以下の成分:50重量%濃水酸化ナトリウム水溶液120g、水30g、粉砕したアーモンド殻55gを投入し、混合する。
混合物を、内圧を2.5barまで上昇させた密閉反応器中、170℃で24時間加熱する。
この工程が終了したら、以下の化学物質:硫黄95g、硫化ナトリウム水和物(約60重量%Na2S)40gを添加する。
混合物の温度を250℃まで上昇させ、この温度で15時間維持し、水を蒸発留去する。
次いで、固形反応物を水250g及び苛性ソーダ15gと混合し、pH12以上の着色液体420gが得られるまで1時間煮沸する。
液体物質を加圧濾過によって濾過し、不溶粒子(約1g)を除去する。次いで、濾過した液体を密閉容器に導入し、気流を60℃の溶液に通過させ、遊離の硫化物の量が1.5%未満になるまで遊離の硫化物と反応させる。
その後、デキストロース15g及び50%苛性ソーダ15gを溶液に加え、75℃で15分間加熱し、染料組成物による良好な還元レベルを確保する。
[実施例3b]
実施例3aと同様に得られた水溶液100gを水500gで希釈し、グルコース10g、炭酸ナトリウム10g及び湿潤剤5gと混合する。混合物を1000gになるまで水で希釈し、70℃で加熱する。綿布の断片を上記で調製した溶液に15秒間浸漬し、1分間空気酸化させた後、洗浄し、次いで、臭素酸ナトリウム及び酢酸の溶液(臭素酸ナトリウム2.3g/L及び80%酢酸10g/L)に浸漬し、洗浄する。
良好な堅牢度を有する濃い暗褐色の染物(実施例1bで得られたものよりも緑色が増している)が得られる。
[実施例4a]
ステンレス製容器に、以下の材料:粉砕した殻120g(90%アーモンド殻+10%ヘーゼルナッツ殻)、モノエタノールアミン80g及び水150gを投入し、混合する。
混合物を、内圧を2.5barまで上昇させた密閉反応器中、150℃で15時間加熱する。赤色がかった暗褐色(dark reddish brown color)の懸濁液が得られたら、これを硫化ナトリウム水和物(約60重量%Na2S)55g、硫黄120g及び消泡剤1gと混合する。
混合物をゆっくりと(4〜5時間かけて)260℃まで加熱し、この温度で16時間維持し、水を蒸発留去する。反応の間にH2Sの放出が観察される。
反応時間の後、得られた固形物を水250g及び苛性ソーダ15gに溶解し、30分間煮沸する。濾過によって、濃緑色(dark greenish)の溶液420gが得られるが、遊離の硫化物の量が2.5%未満であるので、必ずしも酸化する必要はない。
[実施例4b]
衣類吸尽染色機(exhaust garment dyeing machine)に、以下の材料が導入される。水50L、実施例4aと同様に得られた染料溶液1kg、デキストロース1kg、苛性ソーダ1kg及び湿潤剤(リン酸エステル誘導体)0.5kgが混合され、衣類(綿のパンツ及びシャツ)5kgを含む染色機に導入される。温度を70℃まで上昇させ、20分後に、塩化ナトリウム1kgを加える。染色をさらに30分間継続する。
次いで、染料液体を捨て、衣類を50℃の脱イオン水で2回洗浄する。最後の洗浄水は、実質的に透明であり、着色は残っていない。
水50L、酢酸500g及び過酸化水素(30%)500gを使用して酸化液槽を調製する。衣類をこの溶液に40℃で20分間浸漬し、次いで、溶液を捨て、衣類をリンスする。衣類は、濃く色褪せしない暗褐色(deep and fast dark brown color)に染色され、それを異なるファッショナブルな後処理(例えば、酵素又は過酸化物による洗浄(wash-down))に供してもよい。
[実施例5a]
オートクレーブ反応器中で、オリーブ種60g、尿素75g及び水150gを混合する。混合物を3〜3.5barの圧力で160℃まで加熱する。この温度を12時間維持する。次いで、硫化ナトリウム水和物(約60重量%Na2S)70g及び硫黄140gを反応物に加え、混合物をゆっくりと150〜255℃に加熱し、この温度を12時間維持する。反応の間に、H2Sが放出される。次いで、反応物を冷却し、得られた暗色固形物130gを、104〜106℃において、水300g及び水酸化ナトリウム溶液(50%)60gを用いて溶解させる。
固形物は水性媒体に非常に溶解しやすく、不溶残渣及びメルカプタン臭は観察されない。
遊離の硫化物の量が2.5%以下になるまでO2流を通過させる。
最終的に、緑色がかった暗褐色の溶液490gが得られる。
[実施例5b]
実施例5aで得られた産物を使用して、実施例4bに記載される吸尽染色プロセスを実施する。両染色結果を比較すると、実施例5aの産物を使用して得られた色合いは、実施例4aの産物を使用して得られた色合いよりも、緑色及び青色がかった褐色である。
[実施例6a]
コーヒー粉末60gを50%苛性ソーダ水溶液120g及び水100gと混合し、105℃で2時間加熱する。次いで、硫黄125gを加え、混合物をゆっくりと250℃まで加熱し、この温度で14時間維持する。
反応物を冷却し、得られた固形物を水1000mL及び50%苛性ソーダ液50gで溶解し、100℃で1時間加熱する。暗緑色を帯びた染料溶液1250gが得られる。
[実施例6b]
実施例6aで得られた染料溶液250gをデキストロース20g、50%苛性ソーダ水溶液25g及び湿潤剤2gと混合し、水で希釈し、1Lの染色液槽を得る。この液槽を75℃に加熱し、綿布を染色液槽に10秒間浸漬する。
リンスの後、綿布を、臭素酸ナトリウム5g/L及び酢酸10g/Lを含有する溶液で酸化させると、実施例1a、3a及び4aのナッツ殻を用いて得られた褐色よりもかなりオレンジ色の増した褐色(Da reddish and Db yellowish)となる。
[実施例7a]
粉砕したアーモンド及びヘーゼルナッツの殻の混合物120gを水150g及びジエチレントリアミン80gと混合し、シリコーン系消泡剤1gを加える。混合物を、内圧が2.7〜3.0barの密閉容器中、165℃で反応させる。この反応条件を6時間維持する。
前処理が完了したら、反応物を80℃まで冷却し、圧力を解放する。硫黄210g及び硫化ナトリウム水和物(約60重量%Na2S)140gを加え、温度を140℃〜260℃に上昇させながら、混合物を8時間反応させ、さらに15時間、この温度に維持する。反応の間にH2S及びアンモニアの放出が観察される。
反応を停止させたら、得られた固形物に水400gを加え、1時間煮沸する。
次いで、得られた暗褐色を帯びた液体を、水を用いて800gに調整する。遊離の硫化物の量は2%未満であるので、この溶液の酸化は必ずしも必要ではない。
[実施例7b]
上記実施例で得られた染料溶液を、実施例1bと同様の染色方法に使用すると、得られた染色布帛は、実施例1bと比較して、赤色及び黄色がかった色合いを有する、より濃くて深い褐色を示す。
[実施例8]
洗浄し、乾燥し、粉砕し、最終含水率が10%である紅藻類60gを水350g、苛性ソーダ20g、消泡剤(シリコーン系)0.5g及び湿潤剤(リン酸エステル誘導体)0.5gと混合する。混合物を、4時間煮沸する。煮沸の後、硫化ナトリウム(60%)60g及び硫黄90gを、前処理した混合物に加える。
混合物をゆっくりと260℃まで加熱し、この温度で16時間維持する。
重合反応が終了すると、暗色の粉末125gが形成される。
反応物を水230gで溶解し、100℃で30分間加熱する。
粉末を溶解させると、暗緑色の溶液が得られる。粉末を溶解させると、暗緑色の溶液が形成される。
得られた液体染料は、セルロースに対する親和性を有しており、実施例1bの方法に従って綿を染色することができ、これにより、濃い暗褐色となるが、ナッツ殻がバイオマス原料として使用された場合よりもオレンジ色が増している。

Claims (15)

  1. 下記工程:
    (i)植物バイオマスを準備する工程;
    (ii)前記植物バイオマスを、高温下、水性アルカリ性媒体及び/又はアミノ若しくはポリアミノ化合物で前処理する工程;
    (iii)前記前処理した植物バイオマスを、硫黄、硫化物、多硫化物及びそれらの組み合わせからなる群より選択された硫化剤と混合する工程;
    (iv)得られた混合物を、120〜350℃の温度で少なくとも2時間加熱する工程;
    (v)工程(iv)で得られた混合物を水性媒体に溶解し、所望により、不溶解固形粒子を除去する工程
    を含む、染料の製造方法。
  2. 前記植物バイオマスが、林業若しくは農業収穫活動に由来する又は海洋資源に由来する植物性産物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記植物バイオマスが、乾燥重量を基準として約3〜50重量%のリグニンを含有する植物性産物、乾燥重量を基準として約5〜50重量%のフェノール及びポリフェノールを含有する植物性産物、これらの植物性産物の混合物、並びに、海洋植物からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 工程(ii)において、前記植物バイオマスの前処理が、pH9以上の水性アルカリ性媒体中で実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 工程(ii)において、前記バイオマスと前記水性アルカリ性媒体との重量比が1:10〜10:1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 工程(ii)において、前記アミノ又はポリアミノ化合物が、モノアルキルアミン、モノアルキルアミノアルコール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、C5−C18アルキレンジアミン、尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、ジ(C1−C4アルキレン)トリアミン及びトリ(C1−C4アルキレン)テトラミンからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記前処理の温度が40〜200℃である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記前処理の時間が1〜48時間である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記硫化剤と前記前処理された植物バイオマスとの、乾燥重量を基準とした重量比が、1:10〜10:1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法により調製された染料の水溶液。
  11. 遊離の硫化物を、水溶液の総重量を基準として3重量%未満の量で含有する、請求項10に記載の水溶液。
  12. セルロース材料又はセルロース含有材料を染色するための、請求項10又は11に記載の水溶液の使用。
  13. 請求項10又は11に記載の染料水溶液で染色されたセルロース材料又はセルロース含有材料。
  14. 綿製品材料である、請求項13に記載のセルロース材料又はセルロース含有材料。
  15. 前記綿製品材料が、茶色又はオリーブ色に染色されたデニムジーンズであり、前記植物バイオマスが、乾燥果実の殻、果実の種、又はコーヒー粉末に由来する、請求項14に記載のセルロース材料。
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