JP3268553B2 - セルロース系繊維の加工方法 - Google Patents

セルロース系繊維の加工方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系繊維
の加工方法に関する。さらに詳しくは、セルロース系繊
維を茶抽出物で染色した後、漂白作用を有する物質で処
理することにより、優れた紫外線遮蔽能、抗菌性及び抗
酸化性を保有しつつ、洗濯や紫外線の照射などによる変
色や機能の低下が極めて少ないセルロース系繊維を得る
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種繊維に紫外線遮蔽能、抗菌性などの
機能を付与する試みが活発に行われ、その知見が衣類な
どに応用されている。紫外線遮蔽能を繊維製品に付与す
る場合には、紫外線遮蔽能を有する酸化チタンや酸化亜
鉛等を繊維に練り混む方法や、紫外線吸収剤を繊維に固
着あるいは塗布する方法が主に採用されている。このう
ち、綿などのセルロース系繊維に紫外線遮蔽能を付与す
る場合には、主に紫外線吸収剤であるベンゾトリアゾー
ル系あるいはベンゾフェノン系の有機化合物を、アクリ
ル系樹脂などと併用して繊維に固着させる方法が一般に
行われている。一方、綿に抗菌性を付与する場合には、
酸化チタン、銀化合物、セラミック、ヒノキチオール、
キトサン、ε−ポリリジンなどの抗菌性を有する物質を
綿に担持させる方法が提案されている。
【0003】ところで、繊維を茶抽出物で染色する、い
わゆる茶染めは古くから行われており、静岡県浜松繊維
工業試験場報告、第21号、106〜110頁(198
2)には、茶染めに使用する前処理剤や媒染剤が紹介さ
れている。また、特開平6−173176号公報には、
繊維製品をタンニン酸又はカチオン化剤を含む前処理液
と接触させて前処理し、次いで茶抽出物を含む染液と接
触させて染色する方法が記載されている。さらに、この
公報には、該茶染め繊維製品が抗菌性及び紫外線カット
作用を有することが記載されている。特開平9−316
786号公報には、繊維製品をカテキン又はその属性体
を含む染液と接触させた後、媒染剤を含む媒染液と接触
させることよりなる染色繊維製品の製造法等が記載され
ている。この方法によって染色された繊維は、水虫菌や
黄色ブドウ状球菌等に対して抗菌活性を有することも記
載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、茶染
めを行った繊維には、独特の色合いと共に、紫外線遮蔽
能や抗菌活性と言った有用な機能が付与される場合があ
る。このような、茶染めによる紫外線遮蔽能や抗菌活性
の付与を期待する場合、それらの効果を高めるために
は、茶抽出物中の有効成分をより多く繊維に固着させる
必要がある。したがって、茶染め繊維製品におけるこれ
ら機能を高めようとすると、必然的に製品の色合いは濃
いものとなる。一方、従来の茶染め繊維製品は、洗濯堅
牢性や紫外線堅牢性が必ずしも十分ではなく、例えば洗
剤の種類によっては、洗濯によって色合いが著しく変化
するという欠点を有する。また、色合いの変化は、染色
を濃くした場合に顕著になり易い。このような状況下、
本発明の目的は、茶染めによって様々な有用な機能を繊
維製品に付与すると共に、染色後における色調の変化と
いう課題を解決することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明者らは鋭意研究を行ったところ、セルロース系繊
維を茶抽出物で染色した後、特定の漂白剤で漂白する
と、該繊維の色は茶褐色から白色ないし肌色に変化する
にもかかわらず、意外にも紫外線遮蔽能は漂白処理前と
殆ど差がないことを見出した。また、繊維の抗菌性は、
漂白処理によりむしろ高まることが明らかとなった。さ
らに、該方法により得られた繊維は、従来の茶染め繊維
と異なり、洗濯を行ったり、紫外線照射を受けても、色
調の変化が殆ど起こらないことも見出した。本発明は、
これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0006】請求項1記載の本発明は、セルロース系繊
維を茶抽出物で染色した後、漂白作用を有する物質で処
理することを特徴とするセルロース系繊維の加工方法で
ある。請求項2記載の本発明は、漂白作用を有する物質
が、有機過酸である請求項1記載の方法である。請求項
3記載の本発明は、請求項1記載の加工方法を含む工程
により製造されるセルロース系繊維である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるセルロース系繊維
とは、綿、麻、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、テ
ンセル、リヨセル等を指称し、これらの中では綿が好ま
しい。なお、セルロース系繊維には、上記の素材を原料
とした紙、織布、布織布、フェルト等も含まれる。
【0008】セルロース系繊維を染色するために用いる
茶抽出物とは、茶を適当な溶媒で抽出して得られるもの
である。ここで、茶とは、茶樹(学名:カメリア シネ
ンシス)の葉や茎、あるいはこれらを飲用の緑茶、ウー
ロン茶、紅茶、プアール茶等に加工したものを意味す
る。茶抽出物は、上記の茶を水、熱水、有機溶媒、含水
有機溶媒などで抽出したもの、あるいはこれら抽出物か
ら溶媒分画等の方法によってカテキン類の含量を高めた
ものや、その際に生じる非カテキン画分のいずれも使用
することができる。例えば、上記の茶を熱水で抽出し、
得られた抽出物を酢酸エチル−水などの溶媒を用いて分
画した際に得られる水相(非カテキン画分)を用いて染
色したセルロース系繊維は、カテキン類を多く含む有機
溶媒相(例えば酢酸エチル相)を使用して染色したセル
ロース系繊維と比較しても、同等もしくはそれ以上の紫
外線遮蔽能、抗菌性及び抗酸化能を示す。この傾向は、
後記する漂白処理を行った後も変わらない。したがっ
て、従来未利用の成分を有効に利用できるという点で
は、非カテキン画分の使用は好ましいことである。とこ
ろで、前記茶の抽出に用いられる有機溶媒としては、特
に制限はないが、通常は低級アルコール、アセトン、酢
酸エチル等がある。
【0009】セルロース系繊維を茶抽出物で染色する方
法としては、従来より知られている茶染めの方法を適用
することができるが、好ましくは前処理として繊維を第
四アンモニウム塩などのカチオン化剤で処理した後、茶
抽出物で染色することによって、有効成分を効率よく繊
維に固着させることができる。
【0010】本発明では、上記した方法によってセルロ
ース系繊維を茶抽出物で染色した後、該繊維を漂白作用
を有する物質で漂白する。ここで、漂白作用を有する物
質としては、例えば次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナ
トリウム、過酸化水素、有機過酸(例えば過酢酸な
ど)、過炭酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過リン酸、オ
ゾンなどを挙げることができる。これらの中では、有機
過酸が好適であり、特に過酢酸が好ましい。以下に、過
酢酸を用いて漂白処理する場合の条件等について例示す
る。過酢酸製剤(商品名:ダイヤパワー、三菱ガス化学
(株)製、成分:過酢酸6%、過酸化水素8%、酢酸3
2%)5〜50g/リットル、好ましくは10〜20g
/リットルと非イオン界面活性剤(商品名:エマルゲン
108、花王(株)製)0.5g/リットルを混ぜ、適
量の水を加えた後、pHを4〜9、より好適には5〜8
に調整する。このものを、浴比1:5〜1:50(重量
比)、好ましくは1:15〜30(重量比)、温度30
〜80℃、好ましくは40〜50℃、処理時間20〜1
20分、好ましくは30〜60分の条件で漂白処理を行
う。
【0011】茶抽出物で染色したセルロース系繊維を、
上記したようにして漂白処理を行うことにより、繊維の
色は茶褐色から次第に肌色〜白色に変化する。ところ
で、繊維の紫外線遮蔽能は、繊維の色調によって大きく
変化し、一般的に濃い色調は紫外線遮蔽能が高く、逆に
白色や肌色は紫外線遮蔽能が低いとされている(「人に
やさしい繊維と加工−UVカット加工」、p.252−
264、繊維社)。しかし、本発明においては、茶染め
によって濃い茶褐色に染色した繊維を白色ないし肌色に
漂白するにもかかわらず、紫外線遮蔽能は漂白処理前と
殆ど変わらない。
【0012】上記した本発明の加工方法を含む工程によ
り製造されるセルロース系繊維は、従来法により茶染め
する繊維と異なり、茶抽出物由来の色合いを求めるもの
ではない。また、洗濯等による色合いの変化は、漂白を
十分に行ったもの程少ないことが確かめられた。さら
に、紫外線照射量の多い春〜夏は比較的淡色の衣料が好
まれることなどを考慮すると、本発明による上記漂白処
理は、繊維の強度が低下しない範囲で十分に行うことが
望ましい。勿論、漂白後の該繊維を必要に応じて好みの
色で再度染色したり、様々な色の模様等をプリントする
ことも可能である。
【0013】本発明の方法によって得られるセルロース
系繊維は、高い紫外線遮蔽能に加えて、優れた抗菌性及
び抗酸化性も同時に有する。したがって、この繊維は紫
外線遮蔽能を活かした衣類のみならず、抗菌性や抗酸化
性を活かした用途、例えばガーゼなどの医療用品あるい
は各種包材などとしての利用等、その応用範囲は極めて
広い。
【0014】
【実施例】以下に、実施例を示して本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。 製造例1 緑茶1kgを90℃の熱水10リットルに入れ、ときど
き攪拌しながら30分間抽出した。抽出物を濾過するこ
とにより茶葉残渣を除去して得た抽出液を、固形分が3
0〜35%となるまで減圧下で濃縮した。次いで、この
抽出液を噴霧乾燥して300gの粉状茶抽出物1を得
た。
【0015】製造例2 製造例1で得た茶抽出物150gを水500mlに溶か
し、これに酢酸エチル300mlを加えて激しく攪拌し
た後、静置して水相と酢酸エチル相を分離した。この操
作をさらに続けて2回行い、合計3回の操作で得られた
酢酸エチル相を合一したのち、減圧下で酢酸エチルを留
去した。次に、残渣を水に溶解し、これを凍結乾燥して
粉末化したカテキン画分48gを得た。この画分を高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、各
種カテキン類の含量を測定した。結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】第 1 表
【0017】製造例3 製造例2の水相を凍結乾燥して粉末化した非カテキン画
分100gを得た。この画分をHPLCにより分析し、
各種カテキン類の含量を測定した。結果を第2表に示
す。
【0018】
【表2】第 2 表 N.D.:検出せず
【0019】実施例1 精錬漂白及びシルケット加工した綿平織物(50S×5
0S)の茶抽出物による染色水12リットルを入れたド
ラム型染色機に上記の綿平織物(400g)を投入し、
2分間攪拌した後、市販の第四アンモニウム化合物(商
品名:Cibafix E 、チバ・スペシャリティー・ケミカル
ズ社製) 20g(5% o.w.f.)を加えた。5分間運転し
た後、40℃ボーメのカセイソーダ溶液20mlを添加
し、さらに5分間運転を続けた。次いで、10分間で4
0℃に昇温した後、この温度で20分間保持して反応を
行った。反応終了後、排液し、同量の水で水洗を2回繰
り返した。次に、第四アンモニウム化合物で処理した綿
平織物が入っているドラム型染色機に、新たに12リッ
トルの水を加え、非イオン界面活性剤(商品名:エマル
ゲン108、花王(株)製)を6g添加し、5分間運転
した。その後、製造例1の茶抽出物60gを加えて10
分間運転した。次いで、リン酸二ナトリウム12水塩1
34gおよびリン酸二水素カリウム2.9gを添加して
pHを8に調整し、10分間で40℃に昇温した。この
温度に20分間保持したのち、排液し、同量の水で水洗
を2回繰り返した。
【0020】実施例2 実施例1と同様に、第四アンモニウム化合物で処理した
綿平織物が入っているドラム型染色機に、新たに12リ
ットルの水を加え、非イオン界面活性剤(商品名:エマ
ルゲン108、花王(株)製)を6g添加し、5分間運
転した。その後、製造例2のカテキン画分60gを加え
て10分間運転した。次に、リン酸二ナトリウム12水
塩134gおよびリン酸二水素カリウム2.9gを添加
してpHを8に調整し、10分間で40℃に昇温した。
この温度に20分間保持したのち、排液し、同量の水で
水洗を2回繰り返した。
【0021】実施例3 実施例1と同様に、第四アンモニウム化合物で処理した
綿平織物が入っているドラム型染色機に、新たに12リ
ットルの水を加え、非イオン界面活性剤(商品名:エマ
ルゲン108、花王(株)製)を6g添加し、5分間運
転した。その後、製造例3の非カテキン画分60gを加
えて10分間運転した。次に、リン酸二ナトリウム12
水塩134gおよびリン酸二水素カリウム2.9gを添
加してpHを8に調整し、10分間で40℃に昇温し
た。この温度に20分間保持したのち、排液し、同量の
水で水洗を2回繰り返した。
【0022】実施例4 実施例1と同様に、第四アンモニウム化合物で処理した
綿平織物が入っているドラム型染色機に、新たに12リ
ットルの水を加え、酢酸24g、酢酸ナトリウム3水塩
109gを添加してpHを5に調整した後、非イオン界
面活性剤(商品名:エマルゲン108、花王(株)製)
を6g添加し、5分間運転した。次いで、製造例1の茶
抽出物60gを加えて10分間運転した。その後、10
分間で40℃に昇温した。この温度に20分間保持した
のち、排液し、同量の水で水洗を2回繰り返した。
【0023】実施例5 実施例1と同様に、第四アンモニウム化合物で処理した
綿平織物が入っているドラム型染色機に、新たに12リ
ットルの水を加え、酢酸24g、酢酸ナトリウム3水塩
109gを添加してpHを5に調整した後、非イオン界
面活性剤(商品名:エマルゲン108、花王(株)製)
を6g添加し、5分間運転した。次いで、製造例2のカ
テキン画分60gを加えて10分間運転した。その後、
10分間で40℃に昇温した。この温度に20分間保持
したのち、排液し、同量の水で水洗を2回繰り返した。
【0024】実施例6 実施例1と同様に、第四アンモニウム化合物で処理した
綿平織物が入っているドラム型染色機に、新たに12リ
ットルの水を加え、酢酸24g、酢酸ナトリウム3水塩
109gを添加してpHを5に調整した後、非イオン界
面活性剤(商品名:エマルゲン108、花王(株)製)
を6g添加し、5分間運転した。次いで、製造例3の非
カテキン画分60gを加え10分間運転した。その後、
10分間で40℃に昇温した。この温度に20分間保持
したのち、排液し、同量の水で水洗を2回繰り返した。
【0025】試験例1 綿平織物の過酢酸による漂白処理 実施例1〜6で得られた綿平織物の各60gをドラム型
染色機に入れ、10.8リットルの水と非イオン界面活
性剤(商品名:エマルゲン108、花王(株)製)4g
を加え、2分間運転した。次いで、過酢酸製剤(商品
名:ダイヤパワー、三菱ガス化学(株)製)108gを
加えて2分間運転した。その後、ソーダ灰65gを添加
してpHを8に調整し、10分間で50℃に昇温した。
この温度に60分間保持したのち、排液し、同量の水で
水洗を2回繰り返した。
【0026】試験例2 紫外線遮蔽効果の測定 実施例1〜6に示した方法により染色した綿平織物およ
び該染色後試験例1に示した方法で漂白処理した綿平織
物について、それぞれのL* ・ a* ・ b値をカラーコン
ピューター(スガ試験機製、SM−4)で測定した。ま
た、それらの紫外線遮蔽率(280〜400nm)を自
記分光光度計(島津製作所製、UV−2100)により
測定した。結果を第3表および第4表に示す。
【0027】
【表3】第 3 表
【0028】
【表4】第 4 表
【0029】第3表から明らかなように、実施例1〜6
に示した方法により染色した綿平織物は、試験例1に示
した漂白処理を行うことにより、特にL* (明度)が増
加した。このことは、漂白処理によって綿平織物の肉眼
による色調が茶褐色から極く淡い肌色に変化したことと
一致する。一方、第4表より、染色を行っていない対照
の綿平織物は紫外線遮蔽率が76.9%と低い値である
のに対し、実施例1〜6に示した方法により染色した綿
平織物、あるいは該染色後に漂白処理を行った綿平織物
は90%以上の高い紫外線遮蔽率を有していることが分
かる。したがって、これらの綿平織物はすべて、アパレ
ル製品等品質性能対策協議会の「紫外線遮蔽性能測定方
法および評価基準のガイドライン」におけるA級の基準
を満たした。
【0030】試験例3 抗酸化性の測定 下記のA液20mlを蓋付ガラス瓶に入れ、これを30
℃の恒温槽に収納して安定させた後、実施例6の方法に
より染色した綿平織物を試験例1の方法によって漂白処
理した試料0.2gを加えて30分間振盪した。別途、
キャリアーとして、下記のB液4ml/minを流した
FIA分光光度計を準備し、ここに上記反応後の反応液
を20μl注入し、波長570nmにおける吸光度を測
定した。一方、A液を数段階に希釈した標準液を調製
し、これを同様にして測定し、検量線を作成した。測定
された吸光度と検量線によりヨウ素濃度を求め、ヨウ素
還元量を算定した。なお、対照として、茶抽出物による
染色を行っていない綿平織物を用いた。
【0031】A液:1mmol/1I2 /1%KI−酢
酸緩衝液(pH4) B液:0.2%澱粉/1%KI−酢酸緩衝液(pH4)
【0032】測定の結果、対照のヨウ素還元量が0であ
ったのに対し、上記試料のヨウ素還元量は16.32μ
mol/g−試料であり、抗酸化性を有することが認め
られた。
【0033】試験例4 紫外線照射および洗濯による外観と紫外線遮蔽能の変化 試験例1で得られたそれぞれの綿平織物を、中性洗剤
(商品名:モノゲンドライ&ウール、プロクターアンド
ギャンブルファーイースト社製)を用いてJISL 0
217(繊維製品の取扱いに関する表示記号およびその
表示方法)の103法に準拠した40℃の水洗い洗濯を
10回繰り返したが、外観と紫外線遮蔽能に殆ど変化が
認められなかった。また、JIS L 0842(カー
ボンアーク灯光に対する染色堅牢度試験方法)の試験に
おいても、変退色は4級で変化が少なく、耐光試験機
(スガ試験機FAL−5−BH)で20時間紫外線照射
を行った後も、紫外線遮蔽能に殆ど変化がなかった。こ
のように、本発明に係るセルロース繊維加工品は、紫外
線照射および洗濯による色調の変化や紫外線遮蔽能の低
下が殆ど認められないことが分かった。
【0034】試験例5 抗菌性の測定 実施例6に示した方法により染色した綿平織物及び該染
色後試験例1に示した方法で漂白処理した綿平織物につ
いて、それぞれJIS L 0217(繊維製品の取扱
いに関する表示記号及びその表示方法)の103号の試
験方法(洗剤はJAFET標準洗剤を使用)による10
回の洗濯を行った。次いで、これら綿平織物の抗菌性を
JIS L 1902−98(繊維製品の抗菌性試験方
法)の定量試験方法(統一試験方法)により測定した。
また、抗菌性の評価は静菌活性値(=logB−log
C、ここでBは無加工布を18時間培養後に回収した菌
数を、Cは制菌加工布を18時間培養後に回収した菌数
を示す。なお、試験対象菌種は黄色ブドウ球菌であ
る。)を求めることにより行った。
【0035】その結果、実施例6に示した方法により染
色した綿平織物及び該染色後試験例1に示した方法で漂
白処理した綿平織物(いずれも10回洗濯)の静菌活性
値はそれぞれ2.3及び4.1であり、漂白処理によっ
て抗菌性が向上することが明らかになった。また、これ
らの数値はいずれも、繊維関連会社の業界団体である繊
維製品新機能評価協議会が定める抗菌防臭加工製品の認
証基準(上記静菌活性値2.2以上)を満たした。この
ように、茶抽出物で染色した繊維製品の抗菌性は、漂白
処理によりさらに向上する。また、本発明品は洗濯後も
実用上十分に満足し得る抗菌性を具備している。
【0036】
【発明の効果】本発明により、茶抽出物による染色の後
に漂白処理を行う繊維の加工方法が提供される。このよ
うにして得られる繊維加工品は、繊維に固着した色素は
漂白され、極く淡い肌色ないし白色に変化するが、茶染
めによる紫外線遮蔽能、抗菌性及び抗酸化性等の有用な
機能は、そのまま繊維に保持される。また、本発明に係
るセルロース繊維加工品は、洗濯や日光の照射に起因す
る色合いや機能の変化が極めて少ない上に、必要に応じ
て好みの色に再度染色することも可能であり、その利用
範囲は極めて広い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 千恵 静岡県浜松市新都田1丁目3番3号 静 岡県浜松工業技術センター内 (72)発明者 原 征彦 静岡県藤枝市宮原223−1 三井農林株 式会社 食品総合研究所内 (72)発明者 南条 文雄 静岡県藤枝市宮原223−1 三井農林株 式会社 食品総合研究所内 (72)発明者 深井 克彦 静岡県藤枝市宮原223−1 三井農林株 式会社 食品総合研究所内 (56)参考文献 特開 平10−331070(JP,A) 特開 平8−296173(JP,A) 特開2000−290872(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 13/00 - 13/535

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース系繊維を茶抽出物で染色した
    後、漂白作用を有する物質で処理することを特徴とする
    セルロース系繊維の加工方法。
  2. 【請求項2】 漂白作用を有する物質が、有機過酸であ
    る請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の加工方法を含む工程によ
    り製造されるセルロース系繊維。
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