JP2014516155A - 早期関節リウマチの診断のための方法 - Google Patents

早期関節リウマチの診断のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、関節リウマチ(RA)を伴う患者の生物製剤中に存在する自己抗体により特異的に認識されるバイオマーカーに関する。本発明は、RAの診断のために、特に、早期RAの診断のために、これらのバイオマーカーを使用した方法及びキットを提供する。

Description

関連出願
本願は、2011年5月13日に出願された欧州特許出願第EP 11 305 584号への優先権を主張し、該欧州特許出願は、その全体において参照により本明細書において組み入れられる。
発明の属する技術分野
本発明は、関節リウマチ(RA)を伴う患者の生物学的サンプル中に存在する自己抗体により特異的に認識されるバイオマーカーに関する。本発明は、RAの診断のために、特に早期RAの診断のために、これらのバイオマーカーを使用するための方法及びキットを提供する。
発明の背景
関節リウマチは、世界の人口の約1%に影響を及ぼす慢性の自己免疫疾患である。それは、最終的に、軟骨及び骨破壊、関節変形、ならびに可動性の喪失を招きうる、関節の滑膜表層における炎症及び細胞増殖により特徴付けられる。関節リウマチは、通常は、いくつかの関節において、同時に、しばしば対称的な様式で、問題を起こす。早期関節リウマチは、より小さな関節(例えば手首、手、足首、及び足における関節など)に最初に影響を及ぼす傾向がある。疾患が進行するにつれて、肩、肘、膝、腰、顎、及び首の関節も含まれるようになりうる。関節中又はその周辺の領域だけに影響を及ぼす他の関節炎の状態とは異なり、慢性関節リウマチは、皮膚、血管、心臓、肺、及び筋肉を含む身体全体にわたる関節外組織において炎症を起こしうる全身性疾患である。
関節リウマチは、疼痛、変形、生活の質の減少、及び障害に関連付けられ、それは、次に、正常で生産的な生活を送るための患者の能力に影響を及ぼす。最近の研究では、疾患の発症から5年後、関節リウマチを伴う患者の約3分の1がもはや仕事することができず、10年以内に、患者の半分が実質的な機能障害を有することが示されている(A. Young et al., Rheumatology, 2007, 46: 350-357)。結果的に、関節リウマチは、社会に対して重要な経済的負担を課す。かなりのデータで、また、関節リウマチが、下落した平均余命に関連付けられることが示唆されている。
関節リウマチは広範囲に研究されてきたが、疾患の病因及び病態は不完全に理解されたままである。関節リウマチについてのリスクを増加させうる要因は、以下を含む:個人の性別(女性は、男性よりも疾患を発生する可能性が3〜4倍高い);年齢(関節リウマチは、40〜60歳の間の年齢で、より一般に生じるが、それは、また、子供、十代、及びより高齢の成人を襲いうる);遺伝(関節リウマチが、主要組織適合複合体(MHC)抗原HLA−DR4、より具体的にはDRB10401及びDRB10404に強く関連付けられていることが見出された);及び喫煙(関節リウマチは、非喫煙者より喫煙者において約4倍より一般的である)。
現在、関節リウマチのための信頼できる治療法はない。処置は、本質的に、疼痛を軽減する、炎症を低下させる、ならびに関節損傷及び骨破壊を止める又は遅らせることに向けられる。現在の治療的アプローチは、症状の早期に疾患修飾抗リウマチ薬物(DMARD)を処方することである。なぜなら、そのような薬物を用いて早期に処置された関節リウマチ患者は、より良い転帰を有し、機能のより大きな保存、より少ない仕事障害、及び早期死亡のより小さなリスクを伴う。関節リウマチの病態生理学の理解における最近の進歩は、新たなDMARD(生物学的応答修飾因子と呼ばれる)の開発に導いている。生物学的DMARDは、関節リウマチに関連付けられる異常な免疫反応に含まれる、特定の重要な細胞又は分子、例えば腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)、インターロイキン1(IL−1)、T細胞、及びB細胞などの作用を標的とし、そしてブロックするように設計される。伝統的なDMARDとの比較において、生物学的薬剤は、作用のずっと迅速な発現を有し、関節損傷の効果的な長期的防止を伴う、より良い臨床応答を提供することができる(J. K. D. de Vries-Bouwstra et al., Rheum. Dis. Clin. North Am., 2005, 31: 745-762)。
不可逆的な関節破壊は、疾患の早期段階での介入により防止することができるため、関節リウマチの早期診断が重要である。しかし、関節リウマチの確定診断は困難でありうる。関節リウマチの診断のために実施することができる免疫学的テストは、特に、リウマチ因子(RF)、及び抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体のレベルの測定を含む。RF用の血清学的テストは、中程度の感度及び特異性、ならびに他の慢性の炎症性及び感染性疾患における高い陽性率により複雑化される(T. Dorner et al., Curr. Opin. Rheumatol, 2004, 16: 246-253)。抗CCP抗体テストは、関節リウマチの診断において特に有用であり、疾患過程における早期での高い特異性及び陽性、ならびに重度疾患及び不可逆的損傷を有する可能性がある患者を同定する能力を伴う。しかし、抗CCP抗体テストにおける陰性結果は、関節リウマチを除外しない。
従って、関節リウマチの新たな生物学的マーカーについての必要がある。特に、疾患の早期段階での信頼できる診断及びモニタリングを許し、早期介入が疼痛、関節破壊、及び長期障害を潜在的に防止することを可能にしうるバイオマーカーが、高度に望ましい。
発明の概要
本発明者らは、関節リウマチ(RA)の早期段階に関連付けられた新たな自己抗体を見出しており、前記自己抗体の検出のために使用することができる9つのバイオマーカーを同定している。これらのバイオマーカーの4つについて、本発明者らは、また、RA患者の血清により特異的に認識されるエピトープを同定している。
このように、一局面において、本発明は、被験者において関節リウマチを診断するためのインビトロの方法を提供し、前記方法は、被験者から得られた生物学的サンプル中で、WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、C17orf85タンパク質、TCP10Lタンパク質、ZNF706タンパク質、MGC17403タンパク質、CCDC72タンパク質、ELOF1タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質からなるタンパク質の群より選択される1つ又は複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1つ又は複数の自己抗体を検出する工程を含む。あるいは、方法は、これらのタンパク質のフラグメントを用いて行ってもよい。
好ましい実施態様において、複数のタンパク質バイオマーカー(即ち、4つ、又は4つを上回るタンパク質バイオマーカー)を、診断の方法において使用する。換言すれば、本発明の方法は、以下の工程を含みうる:バイオマーカー−抗体複合体が、4、5、6、7、8、又は9のバイオマーカーと生物学的サンプル中に存在する自己抗体の間に形成することを許す時間にわたり及び条件下で、生物学的サンプルを複数のバイオマーカーと接触させること;ならびに、形成された任意のバイオマーカー−抗体複合体を検出すること。
特定の実施態様において、診断の方法は、9つの異なるバイオマーカー(WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、C17orf85タンパク質、TCP10Lタンパク質、ZNF706タンパク質、MGC17403タンパク質、CCDC72タンパク質、ELOF1タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質、それらの類似体、ならびに本明細書において記載するそれらのフラグメントを含む)を使用して実施される。
他の特定の実施態様において、診断の方法は、以下の4つのバイオマーカー:WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、ZNF706タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質を使用して実施される。
特定の実施態様において、WIBGタンパク質は、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである。
特定の実施態様において、TPM2タンパク質は、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである。
特定の実施態様において、ZNF706タンパク質は、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである。
特定の実施態様において、GABARAPL2タンパク質は、配列番号19及び配列番号20を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである。
特定の実施態様において、テストされる被験者は、CCP陰性である、又はテストされる生物学的サンプルは、CCP陰性被験者から得られる。
好ましい実施態様において、本発明の方法は、RAを伴う患者を早期段階で検出するために実施される。
本明細書において提供する診断の方法において、タンパク質バイオマーカーと生物学的サンプル中に存在する自己抗体の間に形成された任意のバイオマーカー−抗体複合体を検出する工程は、任意の適した方法により実施されうる。特定の実施態様において、検出はイムノアッセイによる。
特定の実施態様において、診断方法において使用されるタンパク質バイオマーカー又はバイオマーカーは、固体の担体又は支持体上に固定化される。
典型的には、診断の方法は、さらに、被験者から得られた生物学的サンプル中で、C反応性タンパク質、血清アミロイドA、インターロイキン6、S100タンパク質、オステオポンチン、リウマチ因子、マトリックスメタロプロテアーゼ1、マトリックスメタロプロテアーゼ3、ヒアルロン酸、sCD14、血管新生マーカー、ならびに骨、軟骨、及び滑膜代謝の産物からなる群より選択される少なくとも1つのマーカーの濃度を測定することを含みうる。
別の局面において、本発明は、被験者におけるRAのインビトロ診断のためのキットを提供する。これらのキットは:本発明の1、2、3、4、5、6、7、8、又は9のバイオマーカーとタンパク質バイオマーカーとテストされる生物学的サンプル中に存在する自己抗体の間に形成されたバイオマーカー−抗体複合体を検出するための少なくとも1つの試薬を含む。キットにおいて、少なくとも1つのタンパク質バイオマーカーが、固体の担体又は支持体上に固定化されうる、又は、あるいは、試薬が、タンパク質バイオマーカーを固体の担体又は支持体上に固定化するために使用することができるキット中に含まれうる。キットは、さらに、本発明に従って、診断の方法を行うための指示を含みうる。特定の実施態様において、キットは、少なくとも9つのバイオマーカー(WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2、又はそれらのフラグメントを含む)を含む。他の実施態様において、キットは、以下の4つのバイオマーカー:WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、ZNF706タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質を含む。
特定の好ましい実施態様において、これらのキットは、さらに、RA特異的自己抗体(例えばPAD4ペプチド、BRAFペプチド、及びカルパスタチンペプチドなど)の存在を検出するための少なくとも1つの追加のRAバイオマーカーを含む(本明細書において参照により組み入れられるWO2010115745を参照のこと。)。
さらに別の局面において、本発明は、被験者におけるRAの診断のためのアレイを提供する。本発明に従ったアレイは、その表面に付着した、本発明の少なくとも1つのタンパク質バイオマーカーを含む。特に、本発明は、CCP陰性の被験者におけるRAの診断のためのアレイを提供し、アレイは、その表面に付着した、本明細書において記載するWIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2タンパク質を含む少なくとも9つのタンパク質バイオマーカーを含む。特定の実施態様において、アレイは、その表面に付着した、以下の4つのバイオマーカー:WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、ZNF706タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質を含む。
特定の実施態様において、本発明のアレイは、さらに、その表面に付着した、RA特異的自己抗体(例えば抗核抗体及び抗CCP抗体など)の存在を検出するための少なくとも1つの追加のRAバイオマーカーを含む。
好ましい実施態様において、アレイは、さらに、その表面に付着した、RA特異的自己抗体(例えばPAD4ペプチド、BRAFペプチド、及びカルパスタチンペプチドなど)の存在を検出するための少なくとも1つの追加のRAバイオマーカーを含む(本明細書において参照により組み入れられるWO2010115745を参照のこと。)。
本発明のこれらの及び他の目的、利点、及び特色は、好ましい実施態様の以下の詳細な記載を読んだ当業者に明らかになろう。
定義
本明細書を通して、いくつかの用語を用いており、それらを以下のパラグラフにおいて定義する。
本明細書において使用する通り、用語「被験者」は、ヒト又は別の哺乳動物(例、霊長類、イヌ、ネコ、ヤギ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、ウサギなど)を指し、それらは、RAに罹患しうる。本発明の好ましい実施態様において、被験者はヒトである。そのような実施態様において、被験者は、しばしば「個体」として言及される。用語「個体」は、特定の年齢を表示せず、このように、子供、十代、及び大人を包含する。
用語「RAを有する疑いのある被験者」は、RAを示している1つ又は複数の症状(例、関節の疼痛、凝り、又は腫脹)を呈する、又はRAについてスクリーニングされる(例、身体検査の間に)被験者を指す。あるいは又は加えて、RAを有する疑いのある被験者は、1つ又は複数のリスク因子(例、年齢、性別、家族歴、喫煙など)を有しうる。この用語は、RAについてテストされていない被験者ならびに初期診断を受けている被験者を包含する。
用語「生物学的サンプル」を、その最も広い意味において、本明細書において使用する。生物学的サンプルは、一般的に、被験者から得られる。サンプルは、任意の生物学的組織又は液体でありうるが、それを用いて本発明のバイオマーカーをアッセイしてもよい。頻繁に、サンプルは、「臨床サンプル」、即ち、患者に由来するサンプルでありうる。そのようなサンプルは、非限定的に、細胞を含みうる又は含まないであろう体液、例えば、血液(例、全血、血清、又は血漿)、滑液、唾液、組織又は細針生検サンプル、ならびに公知の診断、処置、及び/又は転帰の履歴を伴うアーカイブサンプルを含む。生物学的サンプルは、また、組織の切片(例えば組織学的目的のために採られた凍結切片など)を含みうる。用語「生物学的サンプル」は、また、生物学的サンプルをプロセシングすることにより由来する任意の材料を包含する。由来する材料は、非限定的に、サンプルから単離した細胞(又はそれらの子孫)又はサンプルから抽出したタンパク質を含む。生物学的サンプルのプロセシングは、ろ過、蒸留、抽出、濃縮、干渉成分の不活化、試薬の添加などの1つ又は複数を含みうる。
本発明の好ましい実施態様において、生物学的サンプルは、血清学的サンプルである、及び、被験者から得られた全血、血清、もしくは血漿である又はそれに由来する。
用語「正常な」及び「健常な」を、本明細書において互換的に使用する。それらは、任意のRA症状を呈していない、RAと又は軟骨もしくは骨損傷と診断されていない被験者を指す。好ましくは、正常被験者は、RAのための投薬を受けていない、任意の他の疾患(特に、自己免疫炎症性疾患)と診断されていない。特定の実施態様において、正常被験者は、テストされる生物学的サンプルが得られた被験者と比較し、同様の性別、年齢、及び/又は体格指数を有しうる。用語「正常な」を、また、本明細書において、健常被験者から得られたサンプルを認定するために使用する。
本発明の文脈において、用語「コントロール」は、被験者を特徴付けるために使用される場合、健常である被験者又はRA以外の特定の疾患と診断された患者を指す。用語「コントロールサンプル」は、健常者から又はRA以外の疾患と診断された患者から得られた1つ、又は1を上回るサンプルを指す。
用語「自己抗体」は、本明細書において使用する通り、当技術分野において受け入れられている意味を有し、被験者の免疫系により産生される、及び、被験者自身のタンパク質に対して向けられた抗体を指す。自己抗体は、身体自体の細胞、組織、及び/又は器官を攻撃し、炎症及び損傷を起こしうる。
本明細書において使用する通り、用語「自己抗原」は、自己免疫反応における通り、被験者の身体において自己抗体の産生を刺激する内因性抗原又はその活性フラグメントを指す。この用語は、また、被験者において又は被験者から得られた生物学的サンプル中に存在する自己抗体と抗原−抗体複合体を形成することができる任意の物質を包含する。
用語「バイオマーカー」及び「マーカー」を、本明細書において互換的に使用する。それらは、生物学的過程、生物学的事象、及び/又は病理学的状態の特有の指標である物質を指す。本発明の文脈において、用語「RAのバイオマーカー」は、本明細書において提供するWIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2タンパク質を包含し、それらは、RA患者の生物学的サンプル(例、血液サンプル)中に存在する抗WIBG自己抗体、抗TPM2自己抗体、抗C17orf85自己抗体、抗TCP10L自己抗体、抗ZNF706自己抗体、抗MGC17403自己抗体、抗CCDC72自己抗体、抗ELOF1自己抗体、及び抗GABARAPL2自己抗体により特異的に認識される。特定の好ましい実施態様において、本発明のバイオマーカーは、20未満のアミノ酸のタンパク質フラグメントである。より好ましい実施態様において、本発明のバイオマーカーは、5〜20の間のアミノ酸(即ち、10又は15のアミノ酸)のタンパク質フラグメントである。
本明細書において使用する通り、用語「RAを示している」は、過程又は事象に適用される場合、RAの診断である過程又は事象を指し、過程又は事象は、健常被験者において及び/又はRA以外の疾患に苦しむ被験者においてよりも、有意によりしばしばRAを伴う被験者において見出される。用語「RAの早期段階」は、症状の発症後1年に及ぶ疾患の段階を指す。
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」を本明細書において互換的に使用し、種々の長さのアミノ酸配列を指す(それらの中性(非荷電)形態又は塩のいずれか、非修飾又はグリコシル化、側鎖酸化、もしくはリン酸化による修飾のいずれか、あるいはシトルリン化)。特定の実施態様において、アミノ酸配列は、完全長天然タンパク質である。他の実施態様において、アミノ酸配列は、完全長タンパク質のより小さなフラグメントである。さらなる他の実施態様において、アミノ酸配列を、アミノ酸側鎖に付着した追加の置換基(例えばグリコシル単位、脂質、又は無機イオン、例えばリン酸など)、ならびに鎖の化学的変換に関連する修飾(例えばスルフヒドリル基の酸化など)により修飾する。このように、用語「タンパク質」(又はその等価の用語)は、その特定の特性を有意に変化させないそれらの修飾に供される、完全長の天然タンパク質、又はそのフラグメントのアミノ酸配列を含むことを意図する。特に、用語「タンパク質」は、タンパク質アイソフォーム、即ち、同じ遺伝子によりコードされるが、しかし、それらのpIもしくはMW、又は両方において異なるバリアントを包含する。そのようなアイソフォームは、それらのアミノ酸配列において異なりうるか(例、オルタナティブスプライシング又は限定的タンパク質分解の結果として)、又は代替物において、異なる翻訳後修飾(例、グリコシル化、アシル化、リン酸化)から生じうる。
用語「類似体」は、本明細書においてタンパク質又はポリペプチドへの参照において使用する場合、タンパク質又はポリペプチドと類似の又は同一の機能を持つが、しかし、タンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列と類似している又は同一であるアミノ酸配列あるいはタンパク質又はポリペプチドのものと類似している又は同一である構造を必ずしも含む必要はない。好ましくは、本発明の文脈において、類似体は、タンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列と、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を有する。特定の好ましい実施態様において、本発明のペプチドバイオマーカーの類似体は、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列と少なくとも80%同一である又は少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を有する。
用語「相同な」(又は「相同性」)は、本明細書において使用する通り、用語「同一性」と同義であり、2つのポリペプチド分子間又は2つの核酸分子間での配列類似性を指す。比較された配列の両方における位置が、同じ塩基又は同じアミノ酸残基により占められている場合、それぞれの分子はその位置で相同である。2つの配列間での相同性のパーセンテージは、2つの配列により共有されるマッチする又は相同な位置の数を、比較する位置の数で除し、100を乗じた数に対応する。一般的に、比較は、2つの配列を整列し、最大の相同性を与える場合に作られる。相同なアミノ酸配列は、同一又は類似のアミノ酸配列を共有する。類似の残基は、参照配列中の対応するアミノ酸残基についての保存的置換、又はその「許される点突然変異」である。参照配列中の残基の「保存的置換」は、対応する参照残基と物理的に又は機能的に類似している、例えば、類似のサイズ、形状、電荷、化学的特性(共有結合又は水素結合を形成する能力を含む)などを有する置換である。特に好ましい保存的置換は、Dayhoff et al.(“Atlas of Protein Sequence and Structure”, 1978, Nat. Biomed. Res. Foundation, Washington, DC, Suppl.3, 22: 354-352)による「受け入れられた点突然変異」について定義された基準を満たすものである。
用語「標識」、「検出可能な薬剤を用いて標識された」、及び「検出可能な部分を用いて標識された」は、本明細書において互換的に使用される。これらの用語を使用し、実体(例、WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、C17orf85タンパク質、TCP10Lタンパク質、ZNF706タンパク質、MGC17403タンパク質、CCDC72タンパク質、ELOF1タンパク質、又はGABARAPL2タンパク質)を可視化することができ、例えば、別の実体(例、抗WIBG自己抗体、TPM2自己抗体、C17orf85自己抗体、TCP10L自己抗体、ZNF706自己抗体、MGC17403自己抗体、CCDC72自己抗体、ELOF1自己抗体、及びGABARAPL2自己抗体)への結合が続く。好ましくは、検出可能な薬剤又は部分を選択し、それが、測定することができ、その強度が結合実体の量に関連するシグナルを生成するようにする。アレイベースの方法において、検出可能な薬剤又は部分も好ましくは選択し、それが、局在化シグナルを生成するようにし、それにより、アレイ上の各々のスポットからのシグナルの空間分解能を許す。タンパク質及びポリペプチドを標識するための方法は、当技術分野において周知である。標識ポリペプチドは、標識の取り込み又はそれへの共役により調製することができ、それは、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、もしくは化学的手段、又は任意の他の適した手段により直接的又は間接的に検出可能である。適した検出可能薬剤は、非限定的に、種々のリガンド、放射性核種、蛍光色素、化学発光薬剤、微粒子、酵素、比色標識、磁気標識、及びハプテンを含む。
用語「タンパク質アレイ」及び「タンパク質チップ」を、本明細書において互換的に使用する。それらは、異なるタンパク質又はポリペプチドが、順序付けられた様式において、基質上の別々のスポットで固定化された基質表面を指す。タンパク質アレイを使用し、タンパク質/タンパク質相互作用(例、抗原/抗体相互作用)を同定し、酵素の基質を同定し、又は生物学的に活性な小分子の標的を同定しうる。用語「マイクロアレイ」は、具体的には、小型化され、視覚的な評価のために顕微鏡検査を要求するアレイを指す。
用語「CCP陰性患者」及び「CCP陰性被験者」を、本明細書において互換的に使用する。それらは、その血清が、シトルリン化タンパク質に対して向けられた抗体を含まない(又は少なくとも検出可能な抗体を含まない)被験者を指す。
特定の好ましい実施態様の詳細な説明
上に言及する通り、本発明は、患者から得られた生物学的サンプル中でのRA特異的自己抗体の存在を検出するために使用することができるバイオマーカーを提供する。これらのバイオマーカーは、WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、C17orf85タンパク質、TCP10Lタンパク質、ZNF706タンパク質、MGC17403タンパク質、CCDC72タンパク質、ELOF1タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質であり、それらは、それぞれ、特異的に、RA患者の血清中に存在する抗WIBG自己抗体、抗TPM2自己抗体、抗C17orf85自己抗体、抗TCP10L自己抗体、抗ZNF706自己抗体、抗MGC17403自己抗体、抗CCDC72自己抗体、抗ELOF1自己抗体、及び抗GABARAPL2自己抗体と反応する。
本発明の診断方法を用いて使用することができる他の公知のバイオマーカーは、PAD4ペプチド、BRAFペプチド、及びカルパスタチンペプチドである(本明細書において参照により組み入れられるWO2010115745を参照のこと)。
本発明は、また、RAの診断においてこれらのバイオマーカーを使用するための方法を提供する。
I−ポリペプチド/タンパク質バイオマーカー
用語「WIBGタンパク質」は、「within bgcnホモログ(ショウジョウバエ)」又は「Y14のパートナー及びmagoアイソフォーム1」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP13として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_032345又はNP_115721を用いて見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P13は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「WIBG」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「WIBGフラグメント」は、WIBGタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、又は200のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。本発明の好ましい実施態様において、本発明のWIBGバイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
特定の実施態様において、WIBGフラグメントは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13より選択されたアミノ酸配列を含む又はそれからなるWIBGタンパク質のペプチドフラグメントである。
用語「TPM2タンパク質」は、「トロポミオシン2(ベータ)」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP3として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_003289又はNP_003280の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P3は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「TPM2」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「TPM2フラグメント」は、TPM2タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、又は250のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。本発明の好ましい実施態様において、本発明のTPM2バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
特定の実施態様において、TPM2フラグメントは、配列番号14及び配列番号15より選択されたアミノ酸配列を含む又はそれからなるTPM2タンパク質のペプチドフラグメントである。
用語「C17orf85タンパク質」は、「ELG PROTEINアイソフォームB」又は「染色体17オープンリーディングフレーム85」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP7として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_018553又はNP_061023の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P7は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「C17orf85」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「C17orf85フラグメント」は、C17orf85タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも約10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、又は250のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。本発明の好ましい実施態様において、本発明のC17orf85バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
用語「TCP10Lタンパク質」は、「T複合体マウス様」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP9として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_144659又はNP_653260の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P9は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「TCP10L」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「TCP10Lフラグメント」は、TCP10Lタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、又は200のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。本発明の好ましい実施態様において、本発明のTCP10Lバイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
用語「ZNF706タンパク質」は、「ジンクフィンガータンパク質706」又は「HSPC038タンパク質」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP4として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_016096又はNP_057180の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P4は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「ZNF706」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「ZNF706フラグメント」は、ZNF706タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、又は70のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。本発明の好ましい実施態様において、本発明のZNF706バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
特定の実施態様において、ZNF706フラグメントは、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18より選択されたアミノ酸配列を含む又はそれからなるZNF706タンパク質のペプチドフラグメントである。
用語「MGC17403タンパク質」は、「仮定上のタンパク質MGC17403」OR3)、又は「転写伸長因子(SII)N末端及び中央ドメイン含有(TCEANC)」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP6として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_152634又はNP_689847の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P6は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「MGC17403」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「MGC17403フラグメント」は、MGC17403タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、又は200のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。本発明の好ましい実施態様において、本発明のMGC17403バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
用語「CCDC72タンパク質」は、「コイルドコイルドメイン含有72」又は「仮定上のタンパク質HSPC016」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP5として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_015933又はNP_057017の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P5は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「CCDC72」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「CCDC72フラグメント」は、CCDC72タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも約10、15、20、25、30、40、50、又は60のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。特定の本発明の好ましい実施態様において、本発明のCCDC72バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
用語「ELOF1タンパク質」は、「伸長因子1ホモログ(S. Cerevisiae)」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP10として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_032377又はNP_115753の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P10は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「ELOF1」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「ELOF1フラグメント」は、ELOF1タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、又は60のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。特定の本発明の好ましい実施態様において、本発明のELOF1バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
用語「GABARAPL2タンパク質」は、「GABA(A)受容体関連タンパク質様2」と名付けられたタンパク質を指し、実施例においてP23として参照される。前記タンパク質の配列は、NCBIリファレンス:NM_007285.5又はNP_009216.1の下で見出されうる。本明細書において記載する通りに同定されたタンパク質P23は、以下のアミノ酸配列を有する:
広く理解されるために、用語「GABARAPL2」は、タンパク質、ならびに、また、タンパク質の類似体及びフラグメントを指す。用語「GABARAPL2フラグメント」は、GABARAPL2タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも5つのアミノ酸残基の(好ましくは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、又は110のアミノ酸残基の)アミノ酸配列を含むペプチドを指す。特定の本発明の好ましい実施態様において、本発明のGABARAPL2バイオマーカーのフラグメントは、ペプチドバイオマーカーのアミノ酸配列の少なくとも5つの連続アミノ酸残基のアミノ酸配列を含み、全タンパク質ではない。
特定の実施態様において、GABARAPL2フラグメントは、配列番号19及び配列番号20より選択されたアミノ酸配列を含む又はそれからなるGABARAPL2タンパク質のペプチドフラグメントである。
ペプチドバイオマーカーの調製
本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーは、任意の適した方法(組換え方法を含む)により調製されうる。そのような方法は、例えば、“The Proteins”(Vol. II, 3rd Ed., H. Neurath et al.(Eds.), 1976, Academic Press: New York, NY, pp.105-237)において記載される通りであり、また、本発明のバイオマーカーを合成するために使用してもよい。
特定の実施態様において、本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーを提供し、それは固体の担体又は支持体(例、ビーズ又はアレイ)上に固定化する。ポリペプチド分子を固体表面上に固定化するための方法は、当技術分野において公知である。ポリペプチド/タンパク質を、固体の担体又は支持体の表面に共有結合的又は受動的のいずれかで結合することにより固定化してもよい。適した担体又は支持体の例は、非限定的に、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、デキストラン、セファデックス、セファロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、フィルターペーパー、マグネタイト、イオン交換樹脂、ガラス、ポリアミン−メチル−ビニル−エーテル−マレイン酸共重合体、アミノ酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、ナイロン、シルクなどを含む。固体の担体又は支持体の表面上でのポリペプチド/タンパク質バイオマーカーの固定化は、当技術分野において周知の方法を使用した、架橋、共有結合的な結合又は物理的吸着を含みうる。固体の担体又は支持体は、ビーズ、粒子、マイクロプレートウェル、アレイ、キュベット、チューブ、膜、又は、本発明に従って診断方法を行うために適した任意の他の形状(例、イムノアッセイを使用する)の形態でありうる。
特に、本発明は、その表面に固定化された、本発明の少なくとも1つのペプチドバイオマーカーを含む、RAの診断のためのアレイ又はタンパク質アレイを提供する。好ましくは、アレイは、本発明の1を上回るポリペプチド/タンパク質バイオマーカーを含む。アレイは、さらに、RAの少なくとも1つの追加のバイオマーカーを含みうる。RAの適したバイオマーカーは、抗核抗体及び/又はCCP抗体の存在の検出を許すバイオマーカーを含む。
本発明は、また、RAの診断のためのタンパク質ビーズ懸濁液アレイを提供する。このビーズ懸濁液アレイは、1つ又は複数の同定可能な別個の粒子又はビーズの懸濁液を含み、それにおいて、各々のビーズは、そのサイズ、色、又は蛍光痕跡に関連するコーディング特色を含み、及び、それにおいて、各々のビーズは、本発明のポリペプチド/タンパク質バイオマーカーを用いてコーティングされる。ビーズ懸濁液アレイの例は、xMAP(登録商標)ビーズ懸濁液アレイ(Luminex Corporation)を含む。
II−診断の方法
上に言及する通り、本明細書において開示するバイオマーカーは、早期段階でのRA患者の血清により、特定の実施態様において、CCP陰性のRA患者の血清により特異的に認識される。
したがって、本発明は、被験者におけるRAの診断のための方法を提供する。そのような方法は、テストされる被験者から得られた生物学的サンプルを、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9のバイオマーカーと、バイオマーカー−抗体複合体が形成することを許す時間にわたり及び条件下で接触させること;及び、形成されたバイオマーカー−抗体複合体を検出することを含む。
バイオマーカーは、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択してもよい。
本発明は、また、被験者におけるRAの診断のための方法を提供する。そのような方法は、テストされる被験者から得られた生物学的サンプルを、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9のバイオマーカーと、バイオマーカー−抗体複合体が形成することを許す時間にわたり及び条件下で接触させること;及び、形成された任意のバイオマーカー−抗体を検出することを含む。バイオマーカーは、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択してもよい。
この方法において、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、被験者における早期RAを示している。
他の実施態様において、3つを上回るバイオマーカーを、組み合わせにおいて使用する(例えば、4、5、6、7、8、又は9つのバイオマーカー)。好ましい実施態様において、バイオマーカーの組み合わせは、少なくともWIBG、TPM2、C17orf85、TCP10Lを含む。
特定の好ましい実施態様において、9つのバイオマーカーを使用する(即ち、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2)。
他の好ましい実施態様において、4つのバイオマーカーを使用する(即ち、WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2)。
生物学的サンプル
本発明の診断方法を、1つ又は複数のバイオマーカーをアッセイすることを許す生物学的サンプルの任意の型に適用してもよい。適した生物学的サンプルの例は、非限定的に、全血、血清、血漿、唾液、及び滑液を含む。本発明の実行において使用される生物学的サンプルは、被験者から収集された新鮮又は凍結サンプル、あるいは公知の診断、処置、及び/又は転帰歴を伴う記録保管サンプルでありうる。生物学的サンプルは、任意の非侵襲的手段、例えば、被験者から血液を引くことにより、又は細針吸引もしくは針生検を使用して収集してもよい。特定の実施態様において、生物学的サンプルは、血清学的サンプルであり、全血、血清、血漿からなる群より選択される。
好ましい実施態様において、本発明の方法は、生物学的サンプル自体で、サンプルのプロセシングを伴わず、又はそれが限定されて、実施される。
しかし、あるいは、本発明の方法は、生物学的サンプルから調製されたタンパク質抽出物で実施してもよい。この場合において、タンパク質抽出物は、好ましくは、全タンパク質含量を含む。タンパク質抽出の方法は、当技術分野において周知である(例えば、“Protein Methods”, D.M. Bollag et al., 2nd Ed., 1996, Wiley-Liss; “Protein Purification Methods: A Practical Approach”, E.L. Harris and S. Angal (Eds.), 1989; “Protein Purification Techniques: A Practical Approach”, S. Roe, 2nd Ed., 2001, Oxford University Press; “Principles and Reactions of Protein Extraction, Purification, and Characterization”, H. Ahmed, 2005, CRC Press: Boca Raton, FLを参照のこと)。種々のキットを使用し、体液及び組織からタンパク質を抽出することができる。そのようなキットは、例えば、BioRad Laboratories(Hercules, CA)、BD Biosciences Clontech(Mountain View, CA)、Chemicon International, Inc.(Temecula, CA)、Calbiochem(San Diego, CA)、Pierce Biotechnology(Rockford, IL)、及びInvitrogen Corp.(Carlsbad, CA)から商業的に利用可能である。従うべきプロトコールを非常に詳細に記載するユーザーガイドが、通常、全てのこれらのキット中に含まれる。感度、プロセシング時間、及びコストは、キットごとに異なりうる。当業者は、特定の状況のための最も適切なキットを簡単に選択することができる。
バイオマーカー−抗体複合体の検出
本発明の診断方法は、タンパク質バイオマーカーとテストされる生物学的サンプル中に存在する自己抗体の間に形成されたバイオマーカー−抗原複合体の検出を含む。本発明の実行において、そのような複合体の検出を、任意の適した方法(例えば、E. Harlow and A. Lane, “Antibodies: A Laboratories Manual”, 1988, Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor, NYを参照のこと)により実施しうる。
例えば、バイオマーカー−抗体複合体の検出を、イムノアッセイを使用して実施しうる。広い範囲のイムノアッセイ技術を利用可能であり、ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び免疫蛍光免疫沈降を含む。イムノアッセイは当技術分野において周知である。そのようなアッセイを行うための方法ならびに実際的な適用及び手順が、テキストブックにおいて要約されている。そのようなテキストブックの例は、P. Tijssen, In: Practice and theory of enzyme immunoassays, eds. R. H. Burdon and v. P. H. Knippenberg, Elsevier, Amsterdam (1990), pp.221-278及びMethods in Enzymology, Eds. S. P. Colowick et al., Academic Pressの種々の巻(免疫学的検出方法を扱う)、特に、第70、73、74、84、92、及び121巻を含む。イムノアッセイは、競合的又は非競争的でありうる。
例えば、サンドイッチアッセイ技術の多数のバリエーションのいずれかを使用し、イムノアッセイを実施してもよい。簡単には、例えば、本発明に従った抗WIBG自己抗体の検出に適用される典型的なサンドイッチアッセイにおいて、非標識WIBGタンパク質/ポリペプチドバイオマーカーを、固体表面上に固定化し(上に記載する通り)、テストされる生物学的サンプルを、バイオマーカー−抗体複合体の形成を許す時間にわたり及び条件下で、結合したバイオマーカーとの接触に持ち込む。インキュベーションに続き、検出可能な部分を用いて標識されている、及び、テストされる種からの抗体を特異的に認識する抗体(例、ヒト被験者についての抗ヒトIgG)を加え、任意のバイオマーカー結合自己抗体と標識抗体の間での三元複合体の形成を許す条件下でインキュベートする。任意の非結合材料を洗い流し、サンプル中の任意の抗WIBG自己抗体の存在を、検出可能な部分により直接的に又は間接的に産生されたシグナルの観察/検出により決定する。このアッセイに関するバリエーションはアッセイを含み、それにおいて、生物学的サンプル及び標識抗体の両方が、固定化されたWIBGタンパク質/ポリペプチドバイオマーカーに同時に加えられる。
二次抗体(即ち、上に記載する通りに、サンドイッチアッセイにおいて加えた抗体)を、任意の検出可能な部分を用いて標識してもよく、即ち、その任意の実体は、その化学的な性質により、分析的に同定可能なシグナルを提供し、三元複合体の検出、及び、結果的に、バイオマーカー−抗体複合体の検出を許す。
検出は定性的又は定量的のいずれかでありうる。生物学的分子(例えば抗体など)を標識するための方法が、当技術分野において周知である(例えば、“Affinity Techniques. Enzyme Purification: Part B”, Methods in Enzymol., 1974, Vol. 34, W. B. Jakoby and M. Wilneck (Eds.), Academic Press: New York, NY;及びM. Wilchek and E. A. Bayer, Anal. Biochem., 1988, 171: 1-32を参照のこと)。
イムノアッセイにおいて最も一般に使用される検出可能な部分は、酵素及びフルオロフォアである。酵素イムノアッセイ(EIA又はELISA)の場合において、酵素、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(perodixase)、グルコースオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼなどは、二次抗体に、一般的には、グルタルアルデヒド又は過ヨウ素酸を用いて共役する。特異的酵素と使用される基質を、一般的に、対応する酵素の加水分解時に、検出可能な色変化の産生のために選ぶ。免疫蛍光の場合において、二次抗体を、その結合能力の変更を伴わず、蛍光部分に化学的に結合する。バイオマーカー−抗体複合体への蛍光標識抗体の結合及び任意の非結合材料の除去後、蛍光部分により生成された蛍光シグナルを検出し、場合により、定量化する。あるいは、二次抗体を、ラジオアイソトープ、化学発光部分、又は生物発光部分を用いて標識してもよい。
RA診断
本発明の方法において、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、テストされた生物学的サンプル中でのWIBG自己抗体、TPM2自己抗体、C17orf85自己抗体、TCP10L自己抗体、ZNF706自己抗体、MGC17403自己抗体、CCDC72自己抗体、ELOF1自己抗体、及びGABARAPL2自己抗体の存在を示しており、従って、生物学的サンプルが得られる被験者におけるRAを示している。このように、本発明の方法は、患者におけるRAの診断のために使用してもよい。特に、本発明の方法は、RAを有することが疑われる被験者をテストするために使用してもよい。
RAの診断は、本明細書において提供する方法により得られた結果のみに基づいて実施されうることが当業者により理解されるであろう。あるいは、医師は、また、RAを診断するための既存の方法において使用される他の臨床的又は病理学的パラメーターを考慮しうる。このように、本発明の方法を使用して得られた結果は、RAの診断のために実施される他のテスト、アッセイ、又は手順からの結果と比較してもよい及び/又は組み合わせてもよい。そのような比較及び/又は組み合わせは、より洗練した診断を提供するのに役立ちうる。
例えば、本発明のRA診断方法は、ARA基準との組み合わせにおいて使用してもよい(即ち、2010 American College of Rheumatology/ European League against Rheumatism classification criteria of RA、D. Aletahal et al., Arthritis Rheum., 9 September 2010, Vol 62: 2569-2581に記載される。表3を参照のこと)。
あるいは又は追加的に、本発明のRA診断方法からの結果は、他のRAバイオマーカーを用いた1つ又は複数のアッセイからの結果との組み合わせにおいて使用してもよい。このように、特定の実施態様において、RAの診断は、本発明の方法からの結果に、及び、異なるRAバイオマーカーを使用する1つ又は複数の追加アッセイからの結果に基づきうる。例えば、RAバイオマーカーのパネルは、個別又は同時のいずれかで、例えば、チップ又はビーズベースアレイ技術を使用し、テストしてもよい。
適したRAバイオマーカーの例は、非限定的に、CCP、C反応性タンパク質、血清アミロイドA、インターロイキン6(IL6)、S100タンパク質、オストポンチン(ostopontin)、リウマチ因子、マトリックスメタロプロテアーゼ1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテアーゼ3(MMP−3)、ヒアルロン酸、sCD14、血管新生マーカー(例えば血管内皮増殖因子又はVEGFなど)、及び骨、軟骨、又は滑膜代謝の産物(例えばピリジノリン又はそのグリコシル化形態;デオキシピリジノリン;架橋テロペプチド;コラーゲンネオエピトープ;CS846;軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質;軟骨中間層タンパク質;マトリリン、コンドロモジュラチン、オステオカルシンなど)を含む。
好ましい実施態様において、本発明の方法を、CCP陰性患者におけるRAの診断のために使用する。実際に、本明細書において実施例のセクション中に報告する通り、本発明者らは、9つのタンパク質バイオマーカー(WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、C17orf85タンパク質、TCP10Lタンパク質、ZNF706タンパク質、MGC17403タンパク質、CCDC72タンパク質、ELOF1タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質)の少なくとも1つを使用した本発明の方法が、CCP陰性被験者の60%超においてRAの診断を許すことを示している(抗CCP陰性RA患者の3/5が、少なくとも1つの同定されたタンパク質について陽性であった)。
III−キット
別の局面において、本発明は、本発明に従って診断方法を行うために有用な材料を含むキットを提供する。本明細書において提供する診断手順は、診断研究室、実験研究室、又は開業医により実施されうる。本発明は、これらの異なる設定において使用することができるキットを提供する。
WIBG自己抗体、TPM2自己抗体、C17orf85自己抗体、TCP10L自己抗体、ZNF706自己抗体、MGC17403自己抗体、CCDC72自己抗体、ELOF1自己抗体、及びGABARAPL2自己抗体、又はそれらの任意の組み合わせを生物学的サンプル中で検出するための、及び/又は、RA、特に、早期RAを、本発明に従って、被験者において診断するための材料及び試薬を、キットにおいて一緒に組み立ててもよい。本発明の各々のキットは、本発明の少なくとも1つのタンパク質/ポリペプチドバイオマーカーを、好ましくは、生物学的サンプル中の自己抗体の検出のために適した量で含む。
このように、特定の実施態様において、本発明のキットは、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9のバイオマーカーを含む。
さらに別の実施態様において、本発明のキットは、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択される少なくとも4、5、7、8、又は9のバイオマーカーを含む。
好ましい実施態様において、本発明のキットは、少なくともWIBG、TPM2、C17orf85、TCP10Lを含む。
別の好ましい実施態様において、キットは、少なくとも9つのバイオマーカー:WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2を含む。
さらに別の好ましい実施態様において、キットは、4つの以下のバイオマーカー:WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2を含む。
キット中に含まれるペプチドバイオマーカーは、基質表面(例、ビーズ、アレイなど)上に固定化してもよい又はしなくてもよい。このように、好ましい実施態様において、本発明のキットは、本明細書において提供する通り、RAを診断するためのアレイを含む。あるいは、基質表面は、ペプチドバイオマーカーの固定化のための本発明のキット中に含まれうる。
本発明のキットは、一般的に、また、キット中に含まれるペプチドバイオマーカーと生物学的サンプル中に存在する自己抗体の間に形成されたバイオマーカー−抗体複合体の検出のための少なくとも1つの試薬を含む。そのような試薬は、例えば、上に記載する通り、テストした種からの抗体(例、ヒト被験者のための抗ヒトIgG)を特異的に認識する標識抗体でありうる。
手順に依存して、キットは、さらに、以下の1つ又は複数を含みうる:抽出緩衝液及び/又は試薬、ブロッキング緩衝液及び/又は試薬、免疫検出緩衝液及び/又は試薬、標識緩衝液及び/又は試薬、ならびに検出手段。手順の異なる工程を実施するためにこれらの緩衝液及び試薬を使用するためのプロトコールが、キット中に含まれうる。
本発明のキットに含まれる異なる試薬が、固体(例、凍結乾燥)又は液体の形態で供給されうる。本発明のキットは、場合により、各々の個々の緩衝液及び/又は試薬のための異なる容器(例、バイアル、アンプル、試験管、フラスコ、又はボトル)を含みうる。各々の成分は、一般的に、そのそれぞれの容器中に分注する、又は、濃縮形態で提供するのに適するであろう。開示する方法の特定の工程を行うために適した他の容器も提供されうる。キットの個々の容器は、好ましくは、市販のために厳重な管理下で維持される。
特定の実施態様において、キットは、本発明の方法に従って、被験者における、RA、特に早期RAの診断のためにその成分を使用するための指示を含む。本発明の方法に従ってキットを使用するための指示は、被験者から得られた生物学的サンプルをプロセシングするため及び/又はテストを実施するための指示、ならびに/あるいは、結果を解釈するための指示を含みうる。キットは、また、医薬品又は生物学的産物の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により規定される形態の通知を含みうる。
本発明を、さらに、以下の実施例により例示する。しかし、この実施例は、本発明の範囲を限定するものとして任意の方法で解釈すべきではない。
実施例
以下の実施例は、本発明の製造及び実施の好ましい様式の一部を記載する。しかし、実施例は、例示的な目的だけのためであり、本発明の範囲を限定することを意味しないことを理解すべきである。さらに、実施例における記載が過去形で提示されない限り、本文は、明細書の残りの部分と同様に、実験が実際に実施された、又は、データが実際に得られたことを示唆することを意図しない。
実施例1:早期RAを示している9つの自己抗原の同定
序論
RAにおいて新たな自己抗体を同定するために、本発明者らは、1年未満の疾患期間を伴う20人のRA患者、5年超の疾患期間を伴う19人のRA患者、及び23のコントロールから血清を選択し、8000のヒトタンパク質アレイをスクリーニングした。1年未満の疾患期間を伴うRA患者に関連付けられた24の「新たな自己抗原」が同定された。タンパク質アレイ検出の妥当性を確認するために、本発明者らは、同じタンパク質をELISAアッセイにおいて使用した。早期RA患者に関連付けられた24のタンパク質の間で、本発明者らは、早期RA患者からの自己抗体により優先的に認識された9つのタンパク質を検証した。実際に、これらのタンパク質は、疾患期間1年未満を伴うRA患者の21%〜47%及びコントロールの5%未満により認識された。
患者&方法
タンパク質アレイのためのRA患者の血清。本発明者らは、マルセイユのLa Conception Hospitalのリウマチ病棟からの39人のRA患者を試験した。20人のRA患者が、1年未満の、19人が、5年を上回る疾患期間を有した。全てのRA患者が、American College of Rheumatology 1987改訂基準を満たした。倫理的な承認が、この試験のために得られた(DC2008−327)。全ての参加者が、インフォームドコンセントを与えた。
タンパク質アレイのためのコントロールの血清。コントロールは、マルセイユのLa Conception Hospitalのリウマチ病棟からの脊椎関節症(AS)を伴う7人の患者及び全身性紅斑性狼瘡(SLE)を伴う2人の患者、ナショナルコホート(Hospitals Cochin, Saint Antoine, Saint Louis, Paris, Hospital Claude Huriez, Lille and Hospital La Conception, Marseille)からの全身性硬化症(SSc)を伴う4人の患者から成った。健常コントロールを、研究室のスタッフボランティアの間で募集し、ボランティアの骨髄を使用した。全ての参加者が、インフォームドコンセントを与えた。
ヒトタンパク質アレイ。本発明者らは、Invitrogenからの「ProtoArray」を使用した。このヒトタンパク質マイクロアレイは、8268のヒトタンパク質を含む。2%がプロテアーゼ又はペプチダーゼであり、2%が分泌タンパク質であり、3%が転写因子であり、3%が細胞死に、11%がシグナル伝達に、13%が細胞コミュニケーションに含まれ、5%がプロテインキナーゼであり、13%が核タンパク質であり、17%が膜タンパク質であり、31%が代謝に含まれる(Protein Contentリスト4.0からのデータ)。
全てのタンパク質を、GST融合タンパク質として発現し、未変性条件下で精製し、ニトロセルロースでコーティングされたガラススライド上に二通りにスポットした。ヒトタンパク質コレクションは、ヒトUltimate ORF Clone Collection(http://orf.invitrogen.comからのデータ)に由来した。各々のクローンを、GenBankで配列チェックした。ヒトタンパク質コレクションを生成するために使用したすべてのクローンが、Gateway(登録商標)ベクター中にクローン化されたヒトORFを含んだ。目的のタンパク質を、バキュロウイルス発現系を使用し、N末端GST融合タンパク質として発現した。各々のクローンが、予想される分子量のタンパク質を発現することをウエスタンブロッティングにより検証した後、タンパク質を発現及び精製し、ニトロセルロースでコーティングされたガラススライド上にスポットした。
タンパク質アレイ上での血清プロファイリングアッセイ。スライドを、1%BSA/PBSTを用いてブロックした。血清サンプルをアレイに加えた。洗浄後、Alexa Fluor(登録商標)647色素に共役した抗ヒトIgGを加えた。アレイを洗浄し、乾燥させた(Partnership, Evry, FRANCE)。
データ取得/分析。アレイを、GenePix(登録商標)4000B Fluorescent Scannerを用いてスキャンした。データを、GenePix(登録商標)Proソフトウェアを用いて取得し、ProtoArray(商標)Prospector 2.0を使用してプロセシングした。
データ分析。同定された自己抗原の質を評価するために、値のパネルを、各々のタンパク質アレイについて算出し、Zスコア、CIP値(Chebyshev's Inequality Precision Value)、及びCV(重複スポット間での変動係数)を含んだ。Zスコアは、アレイ上の全てのヒトタンパク質からの平均シグナル値を引き、アレイ上の全てのヒトタンパク質についてのシグナル値の標準偏差により割った、所与のスポットについてのシグナル値である。CIP値によって、全ての陰性コントロールスポットと比べ、所与のスポットについてのシグナル強度を評価し、観察されたシグナルが、陰性コントロール分布から来うる確率を算出する。CIP値が低いほど、シグナルが無作為事象に起因していない確率が高くなる。CVによって、重複間での類似性を評価する。CVが低いほど、重複間での類似性は高くなる。Zスコア>3.0、CIP値<0.05、及びCV<0.5は、陽性スポットを定義する。
ELISAのためのRA患者及びコントロール。RA患者を、Hospital La Conception(Marseille, France)のRheumatology Wardから、及びHospital Jean Minjoz(Besancon, France)のRheumatology Wardから選んだ。これらの患者は、RAについての1987 American College of Rheumatology改定基準を満たした。早期RAの90%が、抗CCP陽性であった。脊椎関節症(AS)及び乾癬性関節炎(PsA)を伴う患者は、Hospital La Conception(Marseille, France)のRheumatology Wardから選ばれた。研究室スタッフ及びMarseille Blood Transfusion Centerスタッフからのボランティアを正常コントロールとした。倫理的な承認が、この試験のために得られた(DC2008−327)。全ての参加者が、インフォームドコンセントを与えた。
ELISAによる自己抗体の検出。プレートを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中で希釈した各々の精製タンパク質を用いて一晩コーティングした。プレートを、5%ミルクを含むPBSを用いてブロックした。PBS中で1:100に希釈した血清を、3時間にわたりインキュベートした。0.1%Tween 20を用いた洗浄後、ペルオキシダーゼ共役抗ヒトIgG(Sigma, France)を加えた。光学密度を405nmで読み取った。バックグラウンドODを、タンパク質を伴わないウェルに各々の血清を加えることにより得た。陽性血清を、バックグラウンドODの2倍を上回るOD値により定義した。
統計分析。p値を、カイ二乗検定を使用して算出した。
結果
早期RAを伴う患者に関連付けられた自己抗体パターン。疾患期間1年未満を伴うRA患者からの20の血清を選択し、タンパク質アレイ上でのそれらの反応性パターンを比較した。疾患期間5年超を伴うRA患者からの19の血清及びコントロール群からの23の血清が、既にスクリーニングされた(Auger et al., Annals of Rheumatic Diseases, 2009, 68:591-594)。コントロール群は、脊椎関節症(AS)を伴う7人の患者、狼瘡(SLE)を伴う2人の患者、全身性硬化症(SSc)を伴う4人の患者、及び10人の健常コントロールで構成された。各々のタンパク質に結合した自己抗体の存在を、抗ヒトIgG抗体により検出した。
5年超の疾患期間を伴う各々のRA患者及びコントロールにより認識されるタンパク質の数は、非常に類似していた。平均では、RA血清は101のタンパク質に結合し、AS血清は112のタンパク質に結合し、SLE血清は91のタンパク質に結合し、SSc血清は103のタンパク質に結合し、健常コントロール血清は89のタンパク質に結合した。
他方で、1年未満の疾患期間を伴うRA血清は、58のタンパク質を結合した。これらのタンパク質の間で、早期RAに関連付けられた24のタンパク質(P1〜P24)を同定した。これらのタンパク質は、1年未満の疾患期間を伴うRA患者の30%〜60%により及びコントロールの10%未満により認識された(表1)。P2、P4、P9、P10、P13、P15、P20だけが、また、5年超の疾患期間を伴うRA患者により認識された。
早期RAに関連付けられた特異的自己抗体の同定。タンパク質アレイ検出の妥当性を確認するために、同じ24のタンパク質をELISAアッセイにおいて使用した。疾患期間1年未満を伴う47人のRA患者、5年超の疾患期間を伴う25人のRA患者、66人のAS患者、21人のPsA患者、及び38人の健常コントロールからの血清をテストした。
P11、P16、P12、P1、P15、P8、P22、P24、P14、P18、P2、P21、P20、P17、及びP19は、早期RAについてあまり特異的ではなく、コントロールの5%〜15%が、これらのタンパク質について陽性であった。
本発明者らは、P13、P3、P7、P9、P4、P6、P5、P10、及びP23が、早期RAについてより特異的であることを見出した。これらのタンパク質は、1年未満の疾患期間を伴うRA患者の21%〜47%により及びコントロールの5%未満により認識された(表2)。
興味深いことに、P13への自己抗体は、早期RAについて非常に特異的であった。実際に、RA患者の血清の47%が、P13を認識したが、それに対し、AS患者の0%(p<10−7)、PsA患者の0%(p=0.0001)、及び健常個人の0%(p<10−5)であった。
早期RA患者の70%が、少なくとも1つのタンパク質について血清陽性であった(表3)。最後に、抗CCP陰性RA患者の3/5が、少なくとも1つの同定されたタンパク質について陽性であった(表3)。これらの自己抗体は、RA診断のための潜在的な付加価値を有した。
結論
この試験において、本発明者らは、早期RAに関連付けられた9つの新たな自己抗体の同定を報告する。これらの自己抗体の感度は21%〜47%の範囲であったが、特異性は95%〜100%であった。これらのタンパク質は、RA患者の早期診断を許す。
実施例2:早期RAを示している4つの自己抗原の同定
患者&方法
実施例1を参照のこと。
タンパク質アレイ上の血清プロファイリングアッセイ。タンパク質アレイを、Partnerchip(Evry, France)でプロセシングした。簡単には、スライドを、1%BSA(ウシ血清アルブミン)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いてブロックした。PBS中で1:500に希釈した血清サンプルを、アレイに加えた。洗浄後、Alexa Fluor(登録商標)647色素に共役した抗ヒトIgGを加えた。アレイを、GenePix(登録商標)4000B Fluorescent Scannerを用いてスキャンした。データを、GenePix(登録商標)Proソフトウェアを用いて取得し、ProtoArray(商標)Prospector 2.0(Invitrogen, Carlsbad, California, USA)を使用してプロセシングした。
結果
RA患者及びコントロールに関連付けられた自己抗体パターン。本発明者らは、1年未満の疾患期間を伴うRA患者からの20の血清を選択し、タンパク質アレイ上でのそれらの反応性パターンを、5年超の疾患期間を伴うRA患者からの19の血清及びコントロールからの23の血清のそれと比較した。コントロール群は、脊椎関節症(AS)を伴う7人の患者、狼瘡(SLE)を伴う2人の患者、全身性硬化症(SSc)を伴う4人の患者、及び10人の健常被験者を含んだ。自己抗体を、抗ヒトIgG抗体により検出した。
平均では、5年超の疾患期間を伴うRA患者の血清が、101のタンパク質に結合することが見出された。AS血清は112のタンパク質に結合し、SLE血清は91のタンパク質に結合し、SSc血清は103のタンパク質に結合し、健常コントロール血清は89のタンパク質に結合した。
1年未満の疾患期間を伴うRA患者からの血清は、平均で、58のタンパク質に結合した。これらのタンパク質の間で、本発明者らは、1年未満の疾患期間を伴うRA患者の30%〜60%及びコントロールの10%未満より認識された25のタンパク質(P1〜P25)を同定した(表4)。これらのタンパク質は、疾患期間5年超を伴うRA患者の0〜37%により認識された。
RA患者について特異的な自己抗体。タンパク質アレイ検出の妥当性を確認するために、本発明者らは、免疫吸着剤として精製タンパク質を使用し、ELISAアッセイを開発した。本発明者らは、疾患期間1年未満を伴う68人のRA患者、疾患期間5年超の40人のRA患者、76人のAS患者、27人のPsA患者、及び38人の健常被験者からの血清をテストした。
早期RAからの自己抗体により標的にされる18のタンパク質が、また、コントロールの5%超からの自己抗体により認識された。これらのタンパク質は、FGF12、DCX、SYT1、IGBP1、TCP10L、EIF1AX、C7orf50、C17orf85、TSLP、SCYL1、YY1、TPM4、FKBP3、SPANXN3、CCDC97、PAD4、LMNA、及びANP32Eである。
7つのタンパク質が、早期RA患者の18%超及び5%未満のコントロールにより認識された。これらのタンパク質は、WIBG、TPM2、ELOF1、CCDC72、MGC17403、ZNF706、及びGABARAPL2である。
早期RA患者と関連付けられた特異的自己抗体。WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2が、早期RA患者からの血清によりほぼ固有に認識された(表5)。実際に、これらのタンパク質は、早期RA患者の18%〜41%及び疾患期間5年超を伴うRA患者又はコントロールの5%未満を同定した。興味深いことに、WIBGへの自己抗体は、早期RAについて非常に特異的であった。実際に、RA患者の血清の41%が、WIBGを認識したが、それに対し、疾患期間5年超を伴うRA患者の5%(p= 0.00005)、AS患者の0%(p<10−7)、PsA患者の0%(p=0.0001)、及び健常個人の0%(p<10−5)であった。
さらに、早期RA患者の68人中の40人(60%)が、これらの4つのタンパク質の少なくとも1つを認識した(表6)。
考察
RAの発生に導く早期の免疫学的事象において洞察に入るために、及び、早期RAのための診断ツールを開発するために、本発明者らは、早期RA(1年未満)、5年超の疾患期間を伴うRA、強直性脊椎炎、及び狼瘡を伴う患者からの及び健常被験者からの血清を用いて8000のタンパク質アレイをスクリーニングしてきた。
早期RAの特異的な血清学的マーカーでありうる25のタンパク質を選択した。なぜなら、それらは、早期RA患者の30%〜60%及びコントロールの10%未満を同定したためである。これらのタンパク質の間で、1つだけ、PAD4(アルギニンをシトルリンに変換する酵素)が、5年超の疾患期間を伴う10%超のRA患者により認識され、RA自己抗体のための標的であることが既に公知であった。
タンパク質アレイ検出の妥当性を確認するために、同一のタンパク質を、ELISAアッセイにおいて使用し、患者及びコントロールからより多くの血清をスクリーニングした。早期RAの特異的なマーカーを同定するために、コントロール群の5%超により認識された全てのタンパク質及び5年超の疾患期間を伴うRA患者により認識された全てのタンパク質を除外した。1年未満の疾患期間を伴うRA患者に関連付けられた4つの新たな自己抗体ファミリーを、同定した。これらの自己抗体は、WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2を認識する。これらの自己抗体は、18%〜41%のRA患者及び5%未満のコントロールにより認識された。
WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2への自己抗体は、早期RAに強く関連付けられた。実際に、GABARAPL2への自己抗体は、早期RA患者において見出されたが、5年を上回る疾患期間を伴うRA患者において見出されなかった。WIBG、TPM2、及びZNF706への自己抗体が、また、5年を上回る疾患期間を伴うRA患者において見出されたが、しかし、それほどしばしばではなかった。抗体陽性のRA患者のパーセンテージは、疾患期間とともに減少した。実際に、WIBGが、1年未満の疾患期間を伴うRA患者の41%、1〜5年の間の疾患期間を伴うRA患者の12%、及び5年を上回る疾患期間を伴うわずか5%のRA患者により認識された(データ示さず)。
自己抗体の減少は、処置に関連しうる。いくつかの試験では、RAに関連付けられる自己抗体のレベルが、効果的な疾患修飾治療薬の投与に伴い減少することが文書化されている。それは、抗核自己抗体(ANA)の場合である。ANAは、RAを伴う患者の20〜30%において陽性である。しかし、疾患発症の最初の数ヶ月後、ANAテストは陰性になり、疾患が発生する際、陰性のままでありうる(Goldbach-Mansky et al., Arthritis Res., 2000, 3: 236-243)。これは、また、抗Sa及びリウマチ因子について当てはまる。処置された最近発症の多発性関節炎において、抗CCP保有率は、安定しているか、又はわずかに増加しているのに対し、抗Sa及びリウマチ因子抗体は、頻繁に、30ヶ月で消失する(Guzian et al., Arthritis Care Res., 2010, 62: 1624-1632)。
疾患の発症から1年後、RA患者の97%が、効果的な疾患修飾治療を有する。これは、疾患期間5年超を伴うRA患者における自己抗体の減少を説明しうる。
WIBGは、エキソン接合部複合体(EJC)の分解に含まれるリボソーム関連タンパク質である。EJCは、mRNAスプライシングの間に組み立てられ、mRNAを核輸送の間に細胞質中へ輸送し、翻訳の間に除去される(Gehring et al., Cell, 2009, 137: 536-548)。WIBGは、mRNAの翻訳を増強する(Diem et al., Nat.Struct. Mol. Biol., 2007, 14: 1173-1179)。WIBGは、また、ウイルス遺伝子の翻訳を増強することが示されており、「シャペロン」として作用する(Boyne et al., EMBO J., 2010, 29: 1851-1864)。
WIBG(within bgcnホモログ、ショウジョウバエ)は、早期RAについての高い感度及び特異性のため、診断的利益を有しうる。実際に、抗WIBG自己抗体は、早期RA患者の41%及び5年超の疾患期間を伴うRA患者の5%において検出され、これらの自己抗体は、任意のコントロールにおいて存在しなかった。抗WIBG抗体は、58人中26人(45%)の抗CCP陽性の早期RA患者及び10人中3人(30%)の抗CCP陰性の早期RA患者において検出された(表6)。一緒に、これらの結果は、WIBGを使用し、早期RAを伴う患者を診断することができることを示す。
TPM2(トロポミオシン2)は、筋収縮に含まれる、アクチンフィラメント結合タンパク質ファミリーのメンバーである(Lin et al., Adv. Exp. Med. Biol., 2008, 644: 201-222)。
ZNF706(ジンクフィンガータンパク質706)は、C2H2型ジンクフィンガータンパク質ファミリーに属する。ジンクフィンガータンパク質は、特異性がそのDNA結合ドメインに依存するDNA結合タンパク質である(Luchi et al., Cell. Mol. Life Sci., 2001, 58: 625-635; Laity et al., Curr. Opin. Struct. Biol., 2001, 11: 39-46)。
GABARAPL2(GABA(A)受容体関連タンパク質2)はオートファジーにおいて含まれ、その過程により、タンパク質及びオルガネラは、オートファゴソーム小胞中に隔離され、分解のためにリソソームに送達される(Diem et al., Nat. Stuct. Mol. Biol., 2007, 14: 1173-1179)。
WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2への自己抗体は、従って、疾患の早期段階でRAを診断するために使用することができる。
実施例3:早期RAを示している4つの自己抗原のエピトープマッピング
患者&方法
実施例2に示す通り、4つの自己抗原(WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2)が同定された(それらは、早期RA患者からの血清によりほぼ固有に認識される)。これらのタンパク質上にB細胞エピトープをマッピングするために、各々のタンパク質を包含する重複ペプチドを、RA血清中でのそれらの反応性についてELISAアッセイにより分析した。
ペプチドスクリーニングのためのRA患者の血清。1年未満の疾患期間を伴うRA患者を試験した。全てのRA患者が、American College of Rheumatology 1987改訂基準を満たす。倫理的な承認が、この試験のために得られるであろう(DC2008−327)。全ての参加者が、インフォームドコンセントを与えた。
ペプチドスクリーニングのためのコントロールの血清。コントロールは、脊椎関節症(AS)、乾癬性関節炎(PsA)、又は全身性紅斑性狼瘡(SLE)の患者であった。健常コントロールを、研究室スタッフボランティアの間で募集した(及びボランティアの骨髄)。全ての参加者が、インフォームドコンセントを与えた(DC2008−327)。
合成ペプチド。15−merペプチド(各々のバイオマーカーについて7つのアミノ酸だけオーバーラップしている)を、固相系(Eurogentec, France)を使用して合成した。
ELISAによる自己抗体の検出。プレートを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中で希釈した10μg/ウェルのペプチドを用いて一晩コーティングした。プレートを、5%ミルクを含むPBSを用いてブロックした。PBS中で1:100に希釈した血清を、2時間にわたりインキュベートした。0.1%Tween 20を用いた洗浄後、ペルオキシダーゼ共役抗ヒトIgG(Sigma, France)を加えた。光学密度を405nmで読み取った。バックグラウンドODを、ペプチドを伴わないウェルに各々の血清を加えることにより得た。陽性血清を、バックグラウンドODの2倍を上回るOD値として定義した。
統計分析。p値を、カイ二乗検定を使用して算出した。
結果
WIBGのエピトープ。RA患者の血清により認識されることが見出されたWIBGタンパク質の領域は、以下であった:
TPM2のエピトープ。RA患者の血清により認識されることが見出されたTPM2タンパク質の領域は、以下であった:
ZNF706のエピトープ。RA患者の血清により認識されることが見出されたZNF706タンパク質の領域は、以下であった:
GABARAPL2のエピトープ。RA患者の血清により認識されることが見出されたGABARAPL2タンパク質の領域は、以下であった:

Claims (17)

  1. 被験者から得られた生物学的サンプル中で、WIBGタンパク質、TPM2タンパク質、C17orf85タンパク質、TCP10Lタンパク質、ZNF706タンパク質、MGC17403タンパク質、CCDC72タンパク質、ELOF1タンパク質、及びGABARAPL2タンパク質からなるタンパク質の群より選択される1つ又は複数のタンパク質バイオマーカーを認識する1つ又は複数の自己抗体を検出する工程を含む、被験者において関節リウマチを診断するためのインビトロの方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、以下の工程:
    被験者から得られた前記生物学的サンプルを、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9種のバイオマーカーと接触させること;ならびに
    形成された任意のバイオマーカー−抗体複合体を検出すること、
    (ここで、バイオマーカー−抗体複合体の検出は、被験者における関節リウマチを示している)を含む方法。
  3. 被験者から得られた前記生物学的サンプルを、前記バイオマーカーの4、5、6、7、8、又は9種と接触させる、請求項2記載の方法。
  4. 被験者から得られた前記生物学的サンプルを、4つのバイオマーカー:WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2と接触させる、請求項3記載の方法。
  5. 被験者から得られた前記生物学的サンプルを、前記9つのバイオマーカーと接触させる、請求項3記載の方法。
  6. WIBGタンパク質が、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;TPM2タンパク質が、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;ZNF706タンパク質が、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;そして、GABARAPL2タンパク質が、配列番号19及び配列番号20を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 被験者がCCP陰性である、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
  8. 方法が、関節リウマチを早期段階で診断するためである、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. キットが、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9種のバイオマーカー;
    バイオマーカーと被験者から得られた生物学的サンプル中に存在する自己抗体の間に形成されたバイオマーカー−抗体複合体を検出するための少なくとも1つの試薬を含む、被験者における関節リウマチのインビトロ診断のためのキット。
  10. 前記キットが9つの前記バイオマーカーを含む、請求項9記載のキット。
  11. 前記キットが4つのバイオマーカー:WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2を含む、請求項10記載のキット。
  12. WIBGタンパク質が、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;TPM2タンパク質が、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;ZNF706タンパク質が、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;そして、GABARAPL2タンパク質が、配列番号19及び配列番号20を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項9〜11のいずれか一項記載のキット。
  13. アレイが、その表面に付着した、WIBG、TPM2、C17orf85、TCP10L、ZNF706、MGC17403、CCDC72、ELOF1、及びGABARAPL2からなる群より選択される1、2、3、4、5、6、7、8、又は9種のバイオマーカーを含む、被験者において関節リウマチを診断するためのアレイ。
  14. アレイが、その表面に付着した、前記9つのバイオマーカーを含む、請求項13記載のアレイ。
  15. アレイが、その表面に付着した、4つのバイオマーカー:WIBG、TPM2、ZNF706、及びGABARAPL2を含む、請求項13記載のアレイ。
  16. WIBGタンパク質が、配列番号10、配列番号11、配列番号12、及び配列番号13からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;TPM2タンパク質が、配列番号14及び配列番号15からなる群より選択される配列を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;ZNF706タンパク質が、配列番号16、配列番号17、及び配列番号18を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドであり;そして、GABARAPL2タンパク質が、配列番号19及び配列番号20を含む又はそれからなるアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項13〜15のいずれか一項記載のアレイ。
  17. その表面に付着した、抗核抗体の及び/又は抗CCP抗体の存在を検出するための1つ又は複数の追加のバイオマーカーをさらに含む、請求項13〜16のいずれか一項記載のアレイ。
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