JP2014516096A - 低摩耗フルオロポリマー複合材料 - Google Patents

低摩耗フルオロポリマー複合材料 Download PDF

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Abstract

低摩耗フルオロポリマー複合体は、少なくとも1つのフルオロポリマーとその中に分散された添加物粒子とを含む。そのようなフルオロポリマー複合体の製造方法もまた提供される。この複合体は、硬い対向面に対する滑り運動について低い摩耗速度を示し、溶融加工可能なフルオロポリマーか非溶融加工可能なフルオロポリマーかのどちらかで調合され得る。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりあらゆる目的のためにその全体が本明細書に援用される、2011年5月13日出願の米国仮特許出願第61/486,068号明細書の優先権を主張するものである。
連邦資金提供
本発明は、AFOSR MURIによって授与されるContract/Grant(契約/助成)No.FA9550−04−1−0367のもと、米国政府支援によりなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
本明細書のこの主題は、複合材料に、より具体的には、組成物、それで形成された低摩耗フルオロポリマー複合体、および複合体の製造方法に関する。本組成物は、フルオロポリマーマトリックスとその中に分散された微粒子充填材とを含む。
多くのフルオロポリマーの低摩擦性は長い間知られており、低摩擦対の接面の1つまたは両方としてのこれらの材料の用途につながっている。フルオロポリマーは、それらが多種多様な化学物質に対して比較的不活性であり、高い融点を有し、かつ、一般に生体適合性であるので、様々な用途向けに魅力的である。多くの場合、液体または固体キャリア中に分散されていてもよい微粉化粉末の形態にあるフルオロポリマーはまた、他のベアリング面のための潤滑剤としても使用されている。
しかし、潤滑剤およびベアリング面として使用される公知のフルオロポリマーは、それらの低い摩擦特性ならびに他の望ましい物理的および化学的特性の利益を多くの場合軽減する非常に劣った耐摩耗性を示すことが一般に分かっている。たとえば、低い耐摩耗性を有する材料でできたベアリング面を含む動作機構は、実際の破損および潜在的に破滅的な結末を防ぐために、多くの場合停止時間および部品の交換を伴う頻繁な保守を受けなければならない可能性がある。生産効率および機械利用率は悪影響を受け得る。幾つかの場合には、ある機能の決定的に重要な性質は、他の損害を伴う可能性がある一層高価なアプローチに有利に作動しなくなり得るフルオロポリマーベアリング面の使用を不可能にする。
広く使用されるポリマーポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と金属などの硬表面との摩擦対の場合には、PTFEがトランスファー潤滑剤として働くことが分かっている。PTFEと対向硬表面との間の相対的な機械的動きは、PTFEの、転移膜とも称される、転写層を硬表面上に絶えず構築させ、その結果直接ベアリング接触が両表面上でPTFE間に効果的に存在する。しかし、転写層が適度の厚さに達するとすぐに、転写表面のフレーク様部分は典型的には、摩耗破片として引きちぎれ始める。機械的動きが続くにつれて、追加の材料がバルクPTFE部材から移動して追加の摩耗破片として落ちるにすぎず、PTFEベアリング材料の不十分な耐久性を示す。
材料の滑り摩擦および耐摩耗性特性は頻繁に、摩擦係数μ(時々、滑り摩擦係数と称される)および耐摩耗性係数kで定量的に規定される。これらの量は慣例的に、次の方程式:
Figure 2014516096
(式中、Fは、運動方向に垂直の方向に加えられる力Fを受ける物体を動かすのに克服されなければならない摩擦抵抗力である。Vは、取り除かれる材料の体積であり、dは摩耗暴露にわたっての全滑り距離である)
で定義される。典型的には、kはmm/N−mの単位で報告されるが、μは本質的に無次元の比である。多くの場合に、初期の高い摩耗速度に、比較的一定の摩耗速度に相当する定常状態挙動が続くことが分かり、その結果kの報告値は通常、定常状態挙動を意味する。理想的には、ベアリング面材料は、低い摩擦および良好な耐摩耗性に相当する、低い値のμおよび低い値のkを有する。
材料の摩耗挙動の関連キャラクタリゼーションは、ベアリング対が、許容される性能を提供するためにそれ以内で動作しなければならない圧力と速度との積の値を意味する、いわゆるPV限界によって提供される。そのような試験は、Falex Ring and Block Wear and Friction Testerを用いて便利に実施され得る。この装置および関連試験手順は、ASTM試験方法D2714−94およびG137−97に記載されている。一般的に言えば、試験されるべき材料のブロックが、回転する金属リングに対して取り付けられ、選択された試験圧力でそれに対して荷重をかけられる。このリングは次に回転させられ、摩耗は、試験前におよびその後の選択された間隔で試験ブロックを秤量することによって測定される。Falex摩耗速度は、次の方程式:
Figure 2014516096
から計算されてもよい。
PV限界は、破損が起こる圧力と速度との積の値と慣例的に見なされている。物体のPV限界は、摩擦の急速なおよび制御できない上昇が起こるまでどちらかのまたは両方のパラメータを増加させながら摩耗暴露を実施することによって典型的には測定される。Falex試験の例示的な使用は、参照することによりそれらの全体が本明細書に援用される、特許文献1(4列、25−50行)および特許文献2(4列、63行以下を参照されたい)によって提供されている。
方程式(3)で与えられるFalex摩耗速度は、耐摩耗性係数、または比摩耗速度、方程式(2)のkに換算することができる。当業者によって認められるように、異なる試験方法で測定される摩耗速度は通常相関性があるが、正確な数値は、特定の試験条件に幾らか依存する。
それらの摩擦および耐摩耗性特性を向上させるために微粒子および繊維材料をフルオロポリマーマトリックス中へ組み込むという多数の試みがこれまでにあった。幾つかの場合には、程々に向上した耐摩耗性が、しかし多くの場合摩擦係数の許容されないほどの増加という代償を払って生じる。耐摩耗性を向上させるために必要とされる充填材の部分は多くの場合相当なものである。
PTFEに対して考慮されてきた充填材の中に、硬質材料のマイクロメートルスケール粒子がある。典型的には、これらの添加は、純PTFEのそれよりも最大でも約百倍だけ耐摩耗性を向上させている。しかし、多くの場合に使用後の摩耗表面は、接面を引っ掻くのに十分に大きい、そして十分に突出している、硬質粒子を施されている。これらの充填材はまた典型的にはμを、多くの場合許容されないレベルにまで増加させる。
ある種のタイプのサブミクロンまたはナノスケール粒子のPTFEへの組み込みは、材料が接面を引っ掻く傾向を低減することが分かっているが、耐摩耗性をどれほど多く向上させることができるかに関しては矛盾する結果がある。一般に、試みられた充填材の多くが、一般に、いかなるそのような添加もなしのPTFEマトリックスのそれよりも耐摩耗性kにおいて、最大でも約1〜2桁の大きさの、程々の向上をもたらしたにすぎないので、耐摩耗性などの、決定的に重要な物理的特性に対する微粒子充填材の影響を特定する、および予測する根拠はまったくない。
米国特許第5,179,153号明細書 米国特許第5,789,523号明細書
それ故に、さらにより多くの改善された低い摩耗速度を示すポリマーシステム、とりわけフルオロポリマーシステムが依然として必要とされている。
一実施形態において、微粒子充填材(particulate filler material)との混合でフルオロポリマーを含む物質の組成物であって、充填材粒子(filler particles)が、(a)不規則形状、ならびに(b)動的光散乱によって決定して体積d50値が約50nm〜約500nmの範囲にある粒度分布(size distribution)、および/または静的光散乱によって決定して体積d50値が約80nm〜約1500nmの範囲にある粒度分布を特徴とする組成物がここに提供される。
別の態様は、前述の組成物を含む物品であって、35nmの標準偏差の約R(rms)=161nmの値で特徴付けられる表面粗さを有するタイプ304ステンレス鋼対向面を使用して、かつこの物品を6.25MPaの荷重下および50.8mm/秒の速度の往復運動で用いて摩擦計で測定されるような、約1×10−6mm/N−m未満の摩耗速度、および約0.3未満の摩擦係数で特徴付けられる物品を提供する。
さらに別の態様は、フィルムが上に配置された基材を含む物品であって、フィルムが前述の組成物を含む物品を提供する。フィルムが上に配置された基材の製造方法であって、前述の組成物から器具を形成する工程と、この器具を反復運動で基材と接触させてフィルムを上に堆積させる工程とを含む方法がまた提供される。
さらに別の態様においては、
(a)溶融加工可能(melt-processible)なフルオロポリマーと微粒子充填材とを含む前駆体を溶融配合する工程であって、充填材粒子が、
(i)不規則形状、ならびに
(ii)体積d50値が約50nm〜約500nmの範囲にある動的光散乱によって測定されるような粒度分布、および/または体積d50値が約80nm〜約1500nmの範囲にある静的光散乱によって測定されるような粒度分布
で特徴付けられる工程と;
(b)この前駆体を溶融加工してフルオロポリマー複合体を製造する工程と
を含むフルオロポリマー複合体の製造方法が提供される。
本発明は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明および添付の図面が参照されるときにより十分に理解されるであろうし、さらなる利点が明らかになるであろう。
A〜Cは、本プロセスの実施に有用なある種のパーフルオロオレフィンモノマーの構造である。 本開示の実施において微粒子充填材として有用なα−アルミナのある形態についての粒度分布を描く。 本開示の実施において微粒子充填材として有用なルチル型TiOのある形態についての粒度分布を描く。
本明細書の主題の一態様は、フルオロポリマーマトリックスとその中に分散された微粒子充填材とを含むフルオロポリマー複合体を提供する。本フルオロポリマー複合体の実施形態は、改善された摩耗速度、すなわち、微粒子充填材ローディングなしの匹敵するフルオロポリマーによって提供されるものよりも低い摩耗速度を示す。本フルオロポリマー複合体のある種の実施形態は有益にも、低い比摩耗速度を示す。
本明細書で提供されるようなフルオロポリマー複合体は、多くの用途に用いられてもよく、様々な形状および断面を有することができる。ある実施形態においては、物品の形状は、簡単な幾何学的形状(たとえば、球形、円筒形、多角性など)または複雑な幾何学的形状(たとえば、不規則形状)であり得る。
本フルオロポリマー複合体の実施形態は、優れたトライボロオジー特性を有する物品が有利であるいくつかの産業を挙げると、自動車、工業、航空宇宙、およびスポーツ設備産業において多くの構造体、部品、および構成部品に使用することができる。典型的な用途としては、機械的部品(たとえば、ベアリング、ジョイント、ピストンなど)、ロードベアリング面を有する構造体、スポーツ設備、機械部品および装置などが挙げられるが、それらに限定されない。
本開示の一態様においては、フルオロポリマー複合体の使用は、ベアリングおよびシール用途でとりわけ有益である。一般に、フルオロポリマー複合体の実施形態は、対向物体の1つ以上の表面と接触するように決められた1つ以上の表面を有するように配置構成されてもよい。フルオロポリマー複合体および対向面の隣接部のエリアは一般に、あらゆる有利な構成を有してもよい、接触面を画定する。可能な接触面としては、実質的平面および直円柱の幾つかまたはすべての形状が挙げられる。複合体の可能な断面形状としてはしたがって、多角形、曲面断面、不規則、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
本フルオロポリマー複合体のトライボロジー性が特定の用途向けに設計できることもまた指摘されるべきである。このように、本開示の実施形態は、異なる産業のおよび特定の構成部品の多くの異なる要件を満たし得る物品を提供することができる。
フルオロポリマー複合体と対向物体との隣接エリアが相対運動中であるベアリング用途は、低い摩擦および/または高い耐摩耗性を提供する実施形態の使用によって恩恵を受ける。
ポリマー複合体の耐摩耗性は、ベアリング対の他の部材の、複合体の表面と、対向面とも称される、ベアリング面との滑り接触中に形成される転移膜の性質によって影響され得る。充填材なしのフルオロポリマーが、鋼表面などの、典型的な対向面に対して滑らされるときに、転写層が生じ、急速に増成し得るが、フレーク様部分引きちぎれとして、通常は素速く崩壊する。本発明者らは、耐久性のある、安定な転移膜が、本明細書に記載されるフルオロポリマー複合材料で形成されることを観察した。転移膜は、表面の連続的な相対運動中にフレーク化または類似の崩壊を示すことなく対向面にしっかりと固着し得る。本複合体の幾つかの実施形態の耐摩耗性の有益な向上は、ベアリング面に対する複合体の相対滑り運動が往復もしくは振動性(たとえば、圧力シリンダー内のピストン)か、一方向性(たとえば、支持ベアリング内で回転するシャフト)かのどちらかである用途において見られる。
フルオロポリマー
フルオロポリマーは、金属酸化物または他の好適な微粒子充填材との混合によってポリマー複合体で有用な組成物を調製するために本明細書で使用される。当該目的のために個々のフルオロポリマーを単独で使用することができ;2つ以上の異なる種類のフルオロポリマーの混合物またはブレンドを同様にうまく使用することができる。本発明の実施に有用なフルオロポリマーは、少なくとも1つの不飽和フッ素化モノマー(フルオロモノマー)から製造される。本明細書での使用に好適なフルオロモノマーは、少なくとも約35重量%のフッ素、好ましくは少なくとも約50重量%のフッ素を好ましくは含有し、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基もしくはフルオロアルコキシ基が二重結合炭素に結合したオレフィンモノマーであり得る。一実施形態においては、本明細書での使用に好適なフルオロモノマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)である。さらなる態様においては、前述の組成物は、フルオロポリマー複合体に成形される。
本組成物および複合体のためにとりわけ有用なフルオロポリマーはしたがって、(a)いかなる有意なコモノマーも存在せずにそれだけで重合したテトラフルオロエチレン、すなわち、TFEのホモポリマー、および(b)TFEと、得られたポリマーの融点がPTFEのそれよりも下に実質的に低下しない(たとえば、約8%未満、約4%未満、約2%未満、または約1%未満だけ低下した)ような低濃度のコモノマーとのコポリマーである、変性PTFEを意味する、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。変性PTFEは、ベーキング(溶融)中のフィルム形成能力を向上させる少量のコモノマーを含有する。そのような目的のために有用なコモノマーは典型的には、分子中に嵩高い側基を導入するものであり、そのようなモノマーの具体的な例は以下に記載される。そのようなコモノマーの濃度は、PTFE中に存在するTFEおよびコモノマーの総重量を基準として、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。少なくとも約0.05重量%の最小量のコモノマーが、加工性への著しい有益な影響を及ぼすために好ましくは使用される。コモノマーの存在は、平均分子量の低下を引き起こすと考えられる。
PTFE(および変性PTFE)は典型的には、少なくとも約1×10Pa・s、好ましくは少なくとも約1×10Pa・sの溶融クリープ粘度を有する。そのような高い溶融粘度で、ポリマーは融解状態で流れず、それ故溶融加工可能なポリマーではない。溶融クリープ粘度の測定は、米国特許第7,763,680号明細書の列4に開示されている。PTFEの高い溶融粘度は、その極めて高い分子量(Mw)、たとえば、少なくとも約10に起因する。この高い分子量の追加の証としては、少なくとも330℃、通常少なくとも331℃、最も多くの場合少なくとも332℃(すべて一次加熱で測定される)である、PTFEの高い融点が挙げられる。その極めて高い溶融粘度に起因する、PTFEの非溶融流動性は、372℃でおよび5kg荷重を用いてASTM D 1238−10に従って測定されるときに0のメルトフローレイト(MFR)として現れる。この高い溶融粘度はまた、PTFEを溶解させるための一次加熱(たとえば、少なくとも75J/g)と比べて二次加熱について得られるはるかにより低い融解熱(たとえば、55J/g以下)をもたらし、少なくとも20J/gの差を表す。PTFEの高い溶融粘度は、一次加熱からの冷却時に再結晶する融解PTFEの能力を低下させる。PTFEの高い溶融粘度は、その標準比重(SSG)が測定されることを可能にし、その測定手順(米国特許第4,036,802号明細書にもまた記載されている、ASTM D 4894−07)は、SSG試料の寸法の変化なしにその溶融温度よりも上でSSG試料を自立で(封じ込めなしで)焼結することを含む。SSG試料は焼結中に流れない。
低分子量PTFEは、上に記載されたPTFEからそれを区別する、PTFE微粉末として一般に知られている。PTFE微粉末の分子量はPTFEと比べて低い、すなわち、分子量(Mw)は一般に10〜10の範囲にある。PTFE微粉末のこのより低い分子量の結果は、溶融流動性ではないPTFEと対照的に、それが融解状態で流動性を有することである。PTFE微粉末の溶融流動性は、融解ポリマーに関して5kg荷重を使用して372℃で、ASTM D 1238−10に従って測定されるように、少なくとも約0.01g/10分、好ましくは少なくとも約0.1g/10分、より好ましくは少なくとも約5g/10分、さらにより好ましくは少なくとも約10g/10分のメルトフローレイト(MFR)で特徴付けることができる。
PTFE微粉末は、その低い分子量のために溶融流動性で特徴付けられるが、PTFE微粉末はそれ自体、溶融成形加工性(melt-fabricable)ではない、すなわち、PTFE微粉末の溶融体から成形された物品は極端な脆性を有し、PTFE微粉末の押し出されたフィラメントは、たとえば、非常に脆いのでそれは曲げると壊れる。(非溶融流動性PTFEと比べて)その低い分子量のために、PTFE微粉末は、強度をまったく持たず、引張または曲げ試験用の圧縮成形プラークは、圧縮金型から取り出されるときにプラークが割れるかまたは粉々に崩れるのでPTFE微粉末から一般に製造することができないし、それは、引張特性かMIT Flex Life(MIT屈曲寿命)かのどちらかについての試験実施を妨げる。したがって、この微粉末は、ゼロ引張強度およびゼロサイクルのMIT Flex Lifeを割り当てられる。対照的に、PTFEは、たとえば、少なくとも1000サイクル、好ましくは少なくとも2000サイクルのMIT屈曲寿命[8ミル(0.21mm)厚さの圧縮成形フィルムを使用する、ASTM D−2176−97a(2007)]]によって示唆されるように、脆いよりもむしろ、柔軟性である。結果として、PTFE微粉末は、PTFEそれ自体および/またはTFEと以下に記載されるものなどの他のモノマーとのコポリマーなどの他のポリマーとのブレンド成分として使用される。
他の実施形態においては、それだけでホモポリマーを製造するためにまたはTFEなどの他のコモノマーとの共重合において、本明細書での使用に好適なフルオロモノマーは、次式I:
Figure 2014516096
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、H、FおよびClから選択され;Rは、H、F、またはC〜C12、もしくはC〜C、もしくはC〜C、もしくはC
〜Cの直鎖もしくは分岐の、またはC〜C12、もしくはC〜C、もしくはC〜Cの環状、置換もしくは非置換のアルキルラジカルであり;Rは、C〜C12、もしくはC〜C、もしくはC〜C、もしくはC〜Cの直鎖もしくは分岐の、またはC〜C12、もしくはC〜C、もしくはC〜Cの環状、置換もしくは非置換のアルキレンラジカルであり;Aは、H、Fまたは官能基であり;aは0または1であり;jおよびkはそれぞれ独立して0〜10である;ただし、a、jおよびkがすべて0であるときは、R、R、RおよびAの少なくとも1つはFではない)
の構造で表すことができる。
上に記載されたような非置換のアルキルもしくはアルキレンラジカルは、炭素および水素以外の元素をまったく含有しない。置換ヒドロカルビルラジカルでは、ClおよびFから選択される1つ以上のハロゲンを、1つ以上の水素と任意選択的に置き換えることができる;および/または、O、N、SおよびPから選択される1つ以上のヘテロ原子を、鎖中の(すなわち、非末端の)または環中の炭素原子の1つ以上と置き換えることができる、ただし、各ヘテロ原子は、少なくとも1個、好ましくは2個の炭素原子で次の最も近いヘテロ原子から分離されており、かつ、炭素原子のどれも2つ以上のヘテロ原子に結合していない。他の実施形態においては、少なくとも20%、または少なくとも40%、または少なくとも60%、または少なくとも80%の置換可能な水素原子がフッ素原子で置き換えられている。好ましくは、式Iのフルオロモノマーは、過フッ素化されている、すなわち、すべての置換可能な水素原子がフッ素原子で置き換えられている。
式Iの化合物において、線状Rラジカルは、たとえば、bが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であるCラジカルであり得るし、このラジカルは1〜2b+1個のフッ素原子を含有することができる。たとえば、Cラジカルは、1〜9個のフッ素原子を含有することができる。線状Rラジカルは、2b+1個のフッ素原子で過フッ素化されるが、分岐もしくは環状ラジカルは、2b+1個よりも少ないフッ素原子で過フッ素化されるであろう。式Iの化合物において、線状Rラジカルは、たとえば、cが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12であるCラジカルであり得るし、このラジカルは1〜2c個のフッ素原子を含有することができる。たとえば、Cラジカルは、1〜12個のフッ素原子を含有することができる。線状Rラジカルは2c個のフッ素原子で過フッ素化されるが、分岐もしくは環状ラジカルは、2c個よりも少ないフッ素原子で過フッ素化されるであろう。
本明細書での使用に好適なC〜C12の直鎖もしくは分岐の、置換もしくは非置換の、アルキルもしくはアルキレンラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、第二ブチル、第三ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、トリメチルペンチル、アリルおよびプロパルギルラジカルを挙げるまたはそれらから誘導することができる。本明細書での使用に好適なC〜C12の環状脂肪族の、置換もしくは非置換の、アルキルもしくはアルキレンラジカルの例としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、パーヒドロ−アントラセン、アダマンタン、またはトリシクロ−[5.2.1.02.6]−デカン基を、骨格として、その構造中に含有する脂環式官能基を挙げるまたはそれらから誘導することができる。
式I中のA置換基としての本明細書での使用に好適な官能基としては、エステル、アルコール、酸(炭素−、硫黄−、およびリンベースの酸などの)基、ならびにそのような基の塩およびハロゲン化物;ならびにシアネート、カルバメート、およびニトリル基が挙げられる。使用することができる具体的な官能基としては、−SOF、−CN、−COOH、および−CH−Z(ここで、−Zは、−OH、−OCN、−O−(CO)−NH、または−OP(O)(OH)である)が挙げられる。
ホモ重合させることができる式Iのフルオロモノマーとしては、ポリフッ化ビニル(PVF)を製造するためのフッ化ビニル(VF)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)を製造するためのフッ化ビニリデン(VF)、およびポリクロロトリフルオロエチレンを製造するためのクロロトリフルオロエチレンが挙げられる。共重合に好適な式Iのフルオロモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VF)、およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのパーフルオロオレフィン、およびパーフルオロ(ブチル)エチレン(PFBE)などのパーフルオロアルキルエチレンなどの群中のものが挙げられる。上に名前を挙げられたコモノマーのいずれかとの共重合のための好ましいモノマーはテトラフルオロエチレン(TFE)である。
さらに他の実施形態においては、それだけでホモポリマーを製造するためにまたはTFEおよび/または上に記載された他のコモノマーのいずれかとの共重合において、本明細書での使用に好適なフルオロモノマーは、次式II:
Figure 2014516096
(式中、R〜RおよびAはそれぞれ、式Iに関して上に述べられた通りであり;dおよびeはそれぞれ独立して0〜10であり;f、gおよびhはそれぞれ独立して0または1であり;R〜Rは、dおよびeが両方とも非ゼロであり、かつ、gがゼロであるときに、RおよびRが異なるRラジカルであることを除いて式IにおけるRに関して上に記載されたものと同じラジカルである)
の構造で表すことができる。
式IIの化合物は、本明細書での使用に好適なフルオロポリマー中へエーテル官能基を導入し、次式:CF=CF−(O−CFCFR11−O−CFCFR12SOF(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から選択され、h=0、1または2である)で表されるものなどのフルオロビニルエーテルを含む。米国特許第3,282,875号明細書に開示されているこのタイプのポリマーの例は、CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF、そしてパーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホリルフルオリド)を含み、米国特許第4,358,545号明細書および同第4,940,525号明細書に開示されている例は、CF=CF−O−CFCFSOFを含む。式IIの化合物の別の例は、米国特許第4,552,631号明細書に開示されているように、CF=CF−O−CF−CF(CF)−O−CFCFCOCH、パーフルオロ(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノネンカルボン酸)のメチルエステルである。ニトリル、シアネート、カルバメート、およびホスホン酸の官能基を持った類似のフルオロビニルエーテルが米国特許第5,637,748号明細書、同第6,300,445号明細書、および同第6,177,196号明細書に開示されている。本明細書での使用に好適なフルオロエーテルの製造方法は、この段落で上にリストされた米国特許に述べられており、この段落で上にリストされた米国特許のそれぞれは、あらゆる目的のために本明細書の一部としてその全体をこの参照により援用される。
コモノマーとして本明細書での使用に好適な特定の式IIの化合物としては、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)およびパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)などのフルオロビニルエーテルが挙げられる。好ましいフルオロビニルエーテルとしては、アルキル基が1〜5個の炭素原子を含有する、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)が挙げられ、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、ならびにパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)が好ましい。これらの好ましいフルオロビニルエーテルの構造はそれぞれ、図1A〜1Cに描かれている。
さらに他の実施形態においては、それだけでホモポリマーを製造するためにまたはTFEおよび/または上に記載された他のコモノマーのいずれかとの共重合において、本明細書での使用に好適なフルオロモノマーは、次式III:
Figure 2014516096
(式中、各Rは独立して、式Iとの関連で上に記載された通りである)
の構造で表すことができる。好適な式IIIのモノマーとしては、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)が挙げられる。
さらに他の実施形態においては、それだけでホモポリマーを製造するためにまたはTFEおよび/または上に記載された他のコモノマーのいずれかとの共重合において、本明細書での使用に好適なフルオロモノマーは、次式IV:
Figure 2014516096
(式中、各Rは独立して、式Iとの関連で上に記載された通りである)
の構造で表すことができる。好適な式IVのモノマーとしては、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)が挙げられる。
様々な実施形態において、本明細書での使用に好適なフルオロポリマーコポリマーは、これらのモノマー:TFEならびに式I、II、IIIおよびIVのモノマーの任意の2つ、3つ、4つまたは5つから製造することができる。下記はこのように、利用可能である代表的な組み合わせである:TFE/式I;TFE/式II;TFE/式III;TFE/式IV;TFE/式I/式II;TFE/式I/式III;TFE/式I/式IV;式I/式II;式I/式III;および式I/式IV。5つの種類のモノマーのうちの少なくとも2つが使用されるという条件で、各モノマーに由来する単位は、(最終コポリマーの重量を基準として)少なくとも約1重量%、または少なくとも約5重量%、または少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%、およびその上約99重量%以下、または約95重量%以下、または約90重量%以下、または約85重量%以下、または約80重量%以下の量で最終コポリマー中に存在することができ;残りは、他のすべての種類のモノマーのうちの1つ、2つ、3つまたはすべてから構成される。
本明細書で使用されるようなフルオロポリマーはまた、乾式ブレンディングによって通常達成される、上に記載されるホモポリマーおよび/またはコポリマーの2つ以上の混合物であり得る。しかし、本明細書で使用されるようなフルオロポリマーは、ポリマーの相互溶解、ポリマー間の化学結合、またはポリマーの1つの領域の他のもののマトリックス中へ分散があるように、ポリマーを一緒に溶融混練することによって達成できる、上に記載されたホモポリマーおよび/またはコポリマーの2つ以上から調製されるポリマーアロイであり得る。
本明細書での使用に好適なテトラフルオロエチレンポリマーは、水性重合(米国特許第3,635,926号明細書に記載されているように)または過ハロゲン化溶媒中での重合(米国特許第3,642,742号明細書)または水性および過ハロゲン化相を両方とも含むハイブリッド法(米国特許第4,499,249号明細書)によって製造することができる。フリーラジカル重合開始剤および連鎖移動剤がこれらの重合では使用され、文献で広く考察されている。たとえば、過硫酸塩開始剤およびアルカン連鎖移動剤がTFE/PAVEコポリマーの水性重合のために記載されている。フッ素化過酸化物開始剤ならびにアルコール、ハロゲン化アルカン、およびフッ素化アルコールが、非水性または水性/非水性ハイブリッド重合のために記載されている。
本明細書での使用に好適な様々なフルオロポリマーとしては、室温で、それらのガラス転移温度よりも下である(非晶質の場合)か、またはそれらの融点よりも下であり(半結晶性の場合)、かつ、いかなる感知できるほどの化学変化もなしに加熱されたときにソフトになり、冷却されたときに再び堅くなるフルオロポリマーである、熱可塑性であるものが挙げられる。半結晶性の熱可塑性フルオロポリマーは、(ASTM D 3418−08に従って)10℃/分の加熱速度で示差走査熱量測定法(DSC)によって測定されるときに、少なくとも約1J/g、または少なくとも約4J/g、または少なくとも約8J/gの融解熱を有することができる。本明細書での使用に好適な様々なフルオロポリマーは、さらにまたはあるいは溶融加工可能として特徴付けることができ、溶融加工可能なフルオロポリマーはまた溶融二次加工可能であり得る。溶融加工可能なフルオロポリマーは、融解状態で加工することができる、すなわち、押出機および射出成形機などの従来の加工装置を用いて溶融体からフィルム、繊維およびチューブなどの造形品へ二次加工することができる。溶融二次加工可能なフルオロポリマーは、融解状態で加工されているにもかかわらずそれらの意図される目的のために有用であるのに十分な強度および靱性を示す二次加工品を製造するために使用することができる。この有用な強度は、フルオロポリマーそれ自体について、二次加工品での脆性の欠如、および/または少なくとも約1000サイクル、または少なくとも約2000サイクル(上に記載されたように測定される)のMIT Flex Lifeによって多くの場合示される。
熱可塑性の、溶融加工可能なおよび/または溶融二次加工可能なフルオロポリマーの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)と、コポリマーの融点をPTFEのそれよりも下に、たとえば、315℃以下の溶融温度に下げるのに十分な量でポリマー中に存在する少なくとも1つのフッ素化共重合性モノマー(コモノマー)とのコポリマーが挙げられる。そのようなTFEコポリマーは、具体的なコポリマーにとって標準的である融解ポリマーへの荷重および溶融温度を用いてASTM D−1238−10に従って測定されるような、少なくとも約1、または少なくとも約5、または少なくとも約10、または少なくとも約20、または少なくとも約30、なおかつ約100以下、または約90以下、または約80以下、または約70以下、または約60以下のメルトフローレイト(MFR)を有するコポリマーを提供するためにある量のコモノマーをコポリマーへ典型的には組み込んでいる。好ましくは、溶融粘度は、少なくとも約10Pa・sであり、より好ましくは、約10Pa・s〜約10Pa・s、最も好ましくは約10〜約10Pa・sの範囲であろう。Pa・s単位の溶融粘度は、g/10分単位の531,700/MFRである。
一般に、本明細書で使用されるような熱可塑性の、溶融加工可能なおよび/または溶融二次加工可能なフルオロポリマーとしては、少なくとも約40モル%、または少なくとも約45モル%、または少なくとも約50モル%、または少なくとも約55モル%、または少なくとも約60モル%、なおかつ約99モル%以下、または約90モル%以下、または約85モル%以下、または約80モル%以下、または約75モル%以下のTFEと;少なくとも約1モル%、または少なくとも約5モル%、または少なくとも約10モル%、または少なくとも約15モル%、または少なくとも約20モル%、なおかつ約60モル%以下、または約55モル%以下、または約50モル%以下、または約45モル%以下、または約40モル%以下の少なくとも1つの他のモノマーとを含有するコポリマーが挙げられる。TFEと重合させて溶融加工可能なフルオロポリマーを形成するための好適なコモノマーとしては、式I、II、IIIおよび/またはIVの化合物;ならびに、特に、[ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの]3〜8個の炭素原子を有するパーフルオロオレフィン、および/または線状もしくは分岐アルキル基が1〜5個の炭素原子を含有する、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)が挙げられる。好ましいPAVEモノマーは、アルキル基が1、2、3または4個の炭素原子を含有するものであり、コポリマーは、幾つかのPAVEモノマーを使用して製造することができる。好ましいTFEコポリマーとしては、FEP(TFE/HFPコポリマー)、PFA(TFE/PAVEコポリマー)、PAVEがPEVEおよび/またはPPVEであるTFE/HFP/PAVE、MFA(PAVEのアルキル基が少なくとも2個の炭素原子を有するTFE/PMVE/PAVE)ならびにTHV(TFE/HFP/VF)が挙げられる。追加の溶融加工可能なフルオロポリマーは、エチレン(E)またはプロピレン(P)とTFEまたは塩素化TFE(CTFE)とのコポリマー、とりわけETFE、ECTFEおよびPCTFEである。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびフッ化ビニリデンのコポリマーならびにポリフッ化ビニル(PVF)およびフッ化ビニルのコポリマーのフィルム形成ポリマーがまた同様に有用である。
本組成物およびそれで構築されたフルオロポリマー複合体は、微粒子充填材のような多種多様な材料を使用して形成されてもよい。本組成物に組み込まれてもよい微粒子充填材の非限定的な例としては、金属および無機物質の両方が挙げられる。
例示的な金属としては、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、希土類金属、ならびに鋼およびステンレス鋼などの、それらの合金が挙げられるが、それらに限定されない。
無機物質の非限定的な例としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、アルカリ土類金属、およびホウ素の酸化物;ホウ素、アルミニウム、チタン、およびケイ素の窒化物;ランタンなどの希土類金属のホウ化物;ケイ素、ホウ素、鉄、タングステン、およびバナジウムの炭化物;モリブデン、タングステン、および亜鉛の硫化物;アルカリ土類および希土類金属のフッ化物;任意選択的に化学的に官能化されているグラフェンおよび黒鉛酸化物などの黒鉛材料、カーボンブラック、炭素繊維、ナノチューブ、および球状の、C60ベース材料などの、サブミクロンおよびナノスケールの炭素ベースの材料;ならびに酸素またはフッ素以外の少なくとも2つのカチオンを含有する化合物を意味する、混合酸化物およびフッ化物が挙げられる。例示的な混合酸化物としては、ケイ酸塩、バナジウム酸塩、チタン酸塩、およびフェライト、ならびに板状形態か棒様形態かのどちらかの天然または合成粘土が挙げられる。単一微粒子材料か2つ以上の微粒子材料の組み合わせかのどちらかが微粒子充填材として組み込まれてもよく、本明細書に列挙される材料は、ドーパントまたは付随的不純物を含んでもよいと理解されるべきである。
充填材の粒子は、不規則粒子、および針状結晶、棒、ウィスカー、繊維、またはプレートレットなどの高もしくは低アスペクト比粒子などの、任意の形状を有してもよい。幾つかの実施形態においては、粒子は、少なくとも1つのサブミクロン寸法の粒度分布を有する。幾つかの実施形態においては、不規則形状は、破砕またはミリングプロセスから生じる。粒子はまた、円形またはファセット形状を有してもよく、実質的に十分に緻密であっても、ある程度の気孔率を有してもよい。ファセット形状は、針様の鋭く尖った先または多様な、実質的に平面を含んでもよい。微粒子充填材は、個々の一次粒子からなってもよい。あるいは、微粒子充填材の幾らかまたはすべてが、そのような一次粒子の凝集または凝集塊の形態にあってもよい。幾つかの実施形態においては、部分的に凝集塊になった粒子は、特性が不規則またはフラクタルであり得る全体形状を有する。幾つかの場合には、粒子は、部分的に凝集塊になった状態によってか、用いられる製造手順の結果としてかのどちらかで、かなりの内部気孔率を示す。
幾つかの実施形態においては、充填材は、サブミクロン粒子またはナノ粒子を含む。本明細書で用いるところでは、用語「サブミクロン粒子」は、最大でも0.5μm(500nm)のd50値(メジアン径)で特徴付けられる、少なくとも1つの次元で測定されるような、粒度分布を有する類似粒子の集合体の部分である粒子を意味する。用語「ナノ粒子」は、最大でも0.1μm(100nm)のd50値で特徴付けられる少なくとも1つの次元での粒度分布を有する類似粒子の集合体の部分である粒子を意味する。ナノ粒子はしたがってサブミクロン粒子のより大きいクラス内に入る。
幾つかの場合には、出発微粒子充填材の一部は、一次粒径よりも大きい、凝集したかまたは凝集塊になった粒子を含む。ある実施形態においては、少なくとも1つの次元で測定されるように、一次粒径は100nm以下であり得るが、凝集塊は2μm以上ほどに大きいものであり得る。別の実施形態においては、少なくとも1つの次元で一次粒径は50nm以下、凝集塊は10μm以上ほどに大きいものであり得る。幾らかまたはすべてのこれらの大きい粒子は、フルオロポリマー複合体の形成中か、摩耗プロセスが進行するにつれて粒子がベアリング面で新たに曝されるときにかのどちらかで、その後バラバラに壊れるかまたは解凝集塊し得ると考えられる。したがって、微粒子充填材が本フルオロポリマー複合体へ組み込まれる前の、その初期状態で微粒子充填材を特徴付けるために本明細書で用いられるより大きい尺度の粒径は、複合体中にまたはそれから形成される転移膜中に必ずしも存続せず、それによって形成されたより小さい粒子は、より小さいサイズを有し得る。
多数の技法が、直接測定か間接測定かのどちらかによって小さい粒子のサイズを特徴付けるために当該技術分野において知られている。異なる技法が同じ粒子、とりわけ非円形もしくは不規則形状または多様な分布を有するものについて異なるサイズ結果を与えることは知られている。たとえば、広く用いられる間接法は、粒子の集合体の表面に吸着され得るガスの量の測定に基づいて、既知質量の粒子の凝集体有効表面積の測定を提供する、Brunauer−Emmett−Teller(BET)法である。ガスの量は、集合体の比表面積(単位質量当たりの面積)を計算するために用いられる。集合体が単分散の、十分に緻密な球からなると仮定することによって、特徴的なサイズが推定され得る。BET測定値について、表面積が大きければ大きいほど、等価または特性サイズがより小さいことは十分理解されるであろう。
しかし、著しい気孔率を特徴とする粒子は、それらがそれらの外形寸法に専ら基づく、したがってBET測定から非現実的に小さい推定サイズをもたらすであろうものよりもはるかに多くのガスを吸着するであろう。類似の、しかし多分より小さい食い違いは、フラクタルの、荒削りの、または別なふうに不規則の表面、したがって高まった表面積を示す粒子について生じる。
ある実施形態においては、本開示の実施に有用な微粒子充填材は、少なくとも約22m/gのBET測定比表面積を有してもよい。他の実施形態においては、この材料は、少なくとも約43m/g、少なくとも約7m/g、少なくとも約2m/g、または少なくとも約0.3m/gのBET測定比表面積を有してもよい。
その一方で、たとえば、走査または透過電子顕微鏡法を用いる、直接画像形成は、個々の粒子が画像形成され、直接サイズによって区分されることを可能にする。画像解析技術は、球状からの逸脱などの、粒度分布および形状特性を定量化するために電子顕微鏡写真に適用することができる。しかし、熟練した解釈が、気孔率などの、他の極めて重要な特性を特定するために、および視覚化される物体が一次粒子かまたは多数の一次粒子の会合か、たとえば、凝集塊になっているかもしくはより堅く結び付けられている粒子であるかを解明するために必要とされ得る。
小角x線および中性子散乱ならびに静的または動的光散乱などの、放射線散乱法はまた、幅広いまたは多様な分布および不規則形状粒子または形状の分布が散乱データの解釈を複雑にするが、集合体の平均および粒度分布を測定するために用いることができる。
測定法の一実施形態においては、粒径は、希薄懸濁液で調製された粒子に関して典型的に実施される、動的光散乱(DLS)によって測定されてもよい。この測定のための好適な機器は、Microtrac Nanotrac Ultra粒度分析計として商業的に入手可能である。Nanotrac Ultraは、180度の入射角で780nmダイオードレーザーを使用するヘテロダイン検出を適用する。
典型的なデータ収集では、バックグラウンド信号が先ず測定される。綿密にきれいにされたホウケイ酸ガラス容器がおおよそ10mLのキャリア流体で満たされ、室温と平衡状態にされる。Nanotrac光学プローブが挿入され、バックグラウンドがMicrotrac Flex(登録商標)ソフトウェアSet Zero機能を用いて300秒間測定される。バックグラウンド控除後の結果として生じるローディング指数は名目上ゼロである。興味のある試料は次に、好適なローディング指数が濃度非依存性のローディングレジーム内で達成されるまでガラス容器にロードされる。試料温度は、測定前に周囲環境と平衡状態にされる。各試料は、満足できるデータを得るのに十分な回数実行される。
各実行についての自己相関関数は、この機器から取得され、低フィルタリングおよび高感度設定を用いるソフトウェアによって解釈される。典型的には、各累積相関関数は、z平均拡散係数および正規化第2キュムラント(多分散性項)を得るためにキュムラントの方法を用いてフィットさせられる。z平均拡散係数は次に、Stokes−Einstein式および適切な周囲温度についての水の公知粘度(たとえば、25℃で0.955cP)を用いて粒子の有効流体力学直径(または有効径)に換算される。粒子の体積加重分布は、適切な屈折率(たとえば、アルミナ粒子については1.7および懸濁水性溶液については1.33)を用いるMie理論に従って誘導される。実行すべてからの体積分布が最終DLS結果を得るために平均される。
測定法の別の実施形態においては、粒径は、液体中の希釈懸濁液で調製された粒子に関して同様に典型的には実施される、静的光散乱(SLS)法によって測定されてもよい。この測定のための好適な機器は、Beckman Coulter LS 13 320 Particle Size Analyzerとして商業的に入手可能である。この機器は、780nmレーザー回折を、450nm、600nmおよび900nmでPolarized Intensity Differential Scattering(PIDS)(偏光強度示差散乱)と組み合わせて、多波長で動作する。光散乱についてのMie理論は、1.7;0.01iの推定複素屈折率を用いて粒度分布を計算するためにソフトウェアによって適用される。
様々な統計的キャラクタリゼーションは、動的光散乱か静的光散乱かのどちらかを用いて得られた粒子分布データから誘導することができる。体積d50または中央粒径が一般に、おおよその粒径を表すために用いられる。粒径の他の一般的な統計的に誘導される尺度としては、d10およびd90が挙げられる。集合体中の粒子の10体積%および90体積%が、それぞれ、d10およびd90未満のサイズを有することが理解されるべきである。これらの値は、単独でかまたはd50値と組み合わせて、対称ではないか、または多様である、もしくは複雑である分布にとってとりわけ有用である、粒子分布の追加のキャラクタリゼーションを提供することができる。
幾つかの場合には、異なる技法で得られた粒度分布は微妙な差異を示すことが指摘されるべきである。これらの差異は一般に、粒子が非円形で、不規則形状で、多様であるか、または十分に緻密ではない集合体についてより顕著である。たとえば、サブミクロン粒子集合体の動的光散乱測定値は、より小さい一次粒子の凝集または凝集塊から生じる粒子などの、1μmよりも上の粒子の存在に対して典型的には鈍感である。そのような集合体中の粒子はそれにもかかわらず、それらのd50値が、本明細書で上に考察されたように、500nm未満であるという条件で、本発明の実施に有用なサブミクロン粒子と見なされる。
ある実施形態においては、本開示の実施に有用な充填材の粒子は、約500nm以下、220nm以下、120nm以下、または70nm以下の動的光散乱によって測定される体積中央粒径(d50)を有してもよい。幾つかの実施形態においては、動的光散乱によって測定されるd50値は、少なくとも約50nm、少なくとも約70nm、または少なくとも約100nmであってもよい。さらなる実施形態は、d50値が約50〜500nm、または約70〜500nm、または約100〜220nmの範囲にある充填材粒度分布を有してもよい。充填材の粒子の一次粒径は、幾つかの実施形態においては約10〜30nm、約30〜50nm、または約30〜60nmであってもよい。
約100nmよりも下の平均粒径を有する微粒子充填材は、小さい粒子をより大きい前駆体から製造するための摩砕、破砕、ミリング、または他の機械プロセスの使用を伴うプロセスによって調製することができるが、化学合成、気相合成、凝縮相合成、イオン化クラスタービームによる高速堆積、圧密、堆積およびゾル−ゲル法がまた、そのような目的のために、用いられてもよいし、用いるのがより容易であり得る。
別の実施形態においては、本開示の実施に有用な充填材の粒子は、約1500nm以下、500nm以下、または200nm以下の静的光散乱によって測定される体積中央粒径(d50)を有してもよい。幾つかの実施形態においては、静的光散乱によって測定されるd50値は、少なくとも約80nm、少なくとも約100nm、または少なくとも約200nmであってもよい。
さらに他の実施形態においては、本開示の実施に有用な充填材の粒子は、約1000nm以下、500nm以下、330nm以下の動的光散乱によって測定されるd90値で特徴付けられる粒度分布を示す。
さらに他の実施形態においては、本開示の実施に有用な充填材の粒子は、前述の尺度の2つ以上の組み合わせで、たとえば、動的光散乱によって測定されるd50、静的光散乱によって測定されるd50、動的光散乱によって測定されるd90、静的光散乱によって測定されるd90、およびBET法によって測定される有効平均サイズの少なくとも2つで特徴付けられる粒度分布を示す。たとえば、ある実施形態においては、粒子は、220nm以下の動的光散乱によって測定されるd50と330nm以下の動的光散乱によって測定されるd90とを示す。別の実施形態においては、粒子は、220nm以下の動的光散乱によって測定されるd50と340nm以下の静的光散乱によって測定されるd50とを示す。さらに別の実施形態においては、粒子は、220nm以下の動的光散乱によって測定されるd50とBET法によって測定されるような80nmの有効平均粒径とを示す。上に述べられたサイズ要件のすべてのそのような組み合わせは、本開示の実施形態の範囲内であることが理解される。
粒径を特徴付けるための異なる方法の相補的性質の例は、本複合材料に有用であることが分かっているサブミクロンα−アルミナ(ストック#44652、Alfa Aesar,Ward Hill,MA)によって提供される。図2は、静的および動的光散乱の両方によってこの材料について得られた粒度分布データを提供する。これらの分布から得られるd50、d10、およびd90の値(nm単位)は、下の表Iに示される。同じ材料は、試験方法が特定されていないが、60nmの粒径を有すると製造業者によって示されている。DLSおよびSLSは両方とも、製造業者によって示された60nmよりも大きい粒径を実証することが理解され得る。約2000nmでSLS分布に見られるピークは、適用された超音波処理中に分離されない、かなりの数の実質的に凝集塊になったまたは凝集した粒子の存在をさらに示唆すると考えられる。DLSはこれらの大きい粒子に鈍感であり、それらの寄与は、SLSデータのd50、d10、およびd90の測定値をDLSデータから誘導される相当する値から幾分シフトさせる。それにもかかわらず、このアルミナ材料は、d50が、静的光散乱によって測定されるときでさえも、500nm未満であるので、サブミクロン粒子と依然として考えられてもよい。
Figure 2014516096
サブミクロン微粒子充填材として有用と分かったルチル型のTiOは、図3におよび下の表IIに示されるSLSおよびDLSデータを生み出す。
Figure 2014516096
これらのデータは、本開示の実施に有用な粒子についてSLSおよびDLS法によって提供されるデータの差異の別の例を表す。SLS測定分布における約10μmでのピークは、一次粒子の少なくとも幾らかが実質的に凝集しているかまたは凝集塊になっていることを示し得る。
本組成物およびフルオロポリマー複合体の様々な実施形態は、約0.1重量%〜約50重量%の範囲であってもよいレベルの微粒子充填材ローディングを組み込んでいる。別の実施形態においては、フルオロポリマー中の微粒子充填材の最終ローディングは、約0.1〜30重量%であってもよい。さらに他の実施形態においては、最終ローディングは、約0.1〜20重量%、約0.1〜10重量%、約0.5〜10重量%、または約1〜8重量%であってもよい。余りにも高いローディングは、引張強度および靱性などの、複合体の機械的特性を危うくし得る。低いローディングはそのような強度特性を有益に向上させ得るが、ローディングは、未充填フルオロポリマー体よりも摩耗特性の十分な向上を付随して生み出すように選択されてもよい。一般に、複合体は、粒子が十分に分散されるという条件で、機械的特性の過度の劣化なしにより大きい粒子よりも高いローディングのサブミクロンまたはナノスケール粒子を含んでもよい。
前述の組成物およびフルオロポリマー複合体は、任意の好適な方法によって製造されてもよい。
ある態様においては、本明細書で考察される微粒子充填材およびフルオロポリマー材料のいずれかを使用して実施され得る、スラリー法を用いる本組成物の可能な製造方法が提供される。スラリープロセスのある実施形態においては、微粒子充填材が先ず、極性有機液体に分散させられる。粒子分散系は次に、フルオロポリマー粉末粒子と混合され、この組み合わせは、充填材の粒子が実質的に一様に分散している前駆体スラリーを生み出すために処理される。スラリーは次に、粒子がフルオロポリマー粉末粒子の表面と会合している、複合粉末材料を形成するために、典型的には真空と加熱との組み合わせ下に乾燥させられる。複合粉末は好ましくは自由流動性である。幾つかの実施形態においては、粒子は、サブミクロンまたはナノスケール粒子であってもよい。スラリーベースのプロセスは、フルオロポリマーそれ自体に有害な影響を及ぼすことなしに、ジェットミリングなどの他の技法が典型的に提供するよりも良好な複合粉末中の粒子の分散を促進することが分かった。
スラリープロセスの実施においては、粒子分散系は、微粒子充填材と極性有機液体とを好適な容器中で組み合わせ、次に機械的エネルギーをこの組み合わせに与えることによって形成される。ある実施形態においては、機械的エネルギーは、超音波エネルギー源への暴露を意味する、超音波処理によって提供される。好ましくは、暴露の強度および時間は、微粒子充填材を極性有機液体中に実質的に完全に分散された状態にならせるのに十分である。あるいは、エネルギーは、限定なしに高渦巻きまたは高剪断混合などの、任意の他の好適な高エネルギー混合技術によって供給されてもよい。理想的には、粒子分散系は、乾燥複合粉末材料の形成のために十分な時間安定なままである。粒子形状、サイズ、および組成、ならびに使用される極性有機液体などの、様々な影響が、粒子相互作用を左右する力、したがって粒子分散系の安定性を変える。
前駆体スラリーは次に、粒子分散系と所望のフルオロポリマーの粒子とを組み合わせることによって形成される。用語「粒子」は、フルオロポリマー組成物に関連して本明細書で用いるところでは、限定なしに、粉末、毛羽、顆粒、削り屑、およびペレットなどの、任意の分割形態を意味する。粒子は、複合粉末材料を使用して製造される最終複合体における微粒子充填材の十分なブレンディングおよび分散と矛盾しない任意の特有の寸法を有してもよい。ある実施形態においては、フルオロポリマー粒子は、約100nm〜数mmの範囲の特有の寸法を有してもよい。幾つかの実施形態においては、より小さいフルオロポリマー粒子が微粒子充填材の良好な分散を促進するために有益に用いられることが分かっている。出発フルオロポリマー粉末への微粒子充填材の分散を向上させると、最終複合体における充填材粒子のより一様な分散を典型的にはもたらし、それは順繰りに、その摩耗および摩擦性能ならびにその強度の両方などの、最終物体のより良好な究極の機械的特性をもたらすことができると考えられる。
様々な極性有機液体が、本複合粉末材料およびフルオロポリマー複合体がそれから製造される粒子分散系および前駆体スラリーを生み出すのに有用である。好適な極性有機液体としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、および第三ブタノールなどの、低級アルコールが挙げられるが、それらに限定されない。N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、エステル、またはケトンなどの、他の極性有機液体も同様に有用である。ある種の好ましい実施形態においては、IPAが使用される。
初期粒子分散系は、適切な分散系と矛盾しない極性有機液体中の任意の濃度の微粒子充填材で形成されてもよい。しかし、このプロセスで消費されるエネルギーを最小限にするために、極性有機液体中の粒子物質の量は、好ましくは最大限にされ、適切な分散系に矛盾しない。そのような配合ルートは、後で除去されなければならない極性有機液体の量を最小限にする。ある実施においては、粒子分散系は、全液体分散系を基準として、約10重量%以下、約8重量%以下、約5重量%以下、または約2重量%以下の量で、粒子を含有してもよい。除去された液体は、リサイクルされても、その潜在エネルギーを回収するために燃やされても、または別の方法で廃棄処分されてもよい。
粒子分散系は次に、乾燥複合粉末材料中の微粒子充填材の所望のローディングを生成するために必要な量のフルオロポリマーと組み合わせられる。最終用途に依存して、微粒子充填材は、複合フルオロポリマー体中の充填材粒子の最終ローディングが約0.1重量%〜約50重量%の範囲にあり得るような量で乾燥複合粉末材料中に存在する。別の実施形態においては、フルオロポリマー中の充填材の最終ローディングは、約0.1〜30重量%であってもよい。さらに他の実施形態においては、充填材の最終ローディングは、約0.1〜20重量%、約0.1〜10重量%、約0.5〜10重量%、または約1〜8重量%であってもよい。余りにも高いローディングは、引張強度および靱性などの、複合体の機械的特性を危うくし得る。低いローディングは、そのような強度特性を有益に向上させ得るが、ローディングは、未充填フルオロポリマー体よりも摩耗特性の十分な向上を付随して生み出すように選択されてもよい。一般に、複合体は、粒子が十分に分散されるという条件で、機械的特性の過度の劣化なしにより大きい充填材粒子よりも高いローディングのサブミクロンまたはナノスケール充填材粒子を含んでもよい。
さらなる態様においては、上に記載されたように製造された複合粉末材料は、フルオロポリマー複合体を形成するために使用される。フルオロポリマーが溶融加工可能ではない、一実施形態においては、複合粉末材料は圧縮成形され、複合体を形成するために焼結される。焼結操作は、圧縮下にかまたは自由焼結として、すなわち、圧縮力の継続適用なしに実施することができる。
代わりの実施形態は、複合粉末材料を溶融加工することによって形成されたフルオロポリマー複合体を提供する。幾つかの実施においては、溶融加工は、中間体が先ず、粉末、顆粒、ペレットなどの形態で製造され、その後再溶融され、所望の最終形状を有する製造品に成形される、多段階プロセスを含む。ある実施においては、中間体は、熱または機械的エネルギーの適用による固体ペレット、顆粒または粉末から融解状態への熱可塑性樹脂の変換を含む溶融配合またはブレンディング操作によって形成される。フルオロポリマーとそれと会合した微粒子充填材とを含み、本明細書に記載されるように調製された複合粉末材料などの、必須の添加材料は、配合または混合プロセス中にポリマーマトリックスが溶融するかまたは軟化する前に、中に、または溶融したかまたは軟化した後に導入されてもよい。配合装置は次に、原料を組成物に分散させ、ポリマーを移動させ、そして充填材を分配させて均一な混合物を形成するのに十分な応力を提供する機械的エネルギーを提供する。
溶融ブレンディングは、バッチミキサー(たとえば、Haake、Brabender、Banbury、DSM Research、および他の製造業者から入手可能なミキサー)で、または押出機もしくは遊星ギアミキサーを用いてもよい、連続配合システムで成し遂げることができる。好適な連続プロセス装置としては、共回転二軸スクリュー押出機、反転二軸スクリュー押出機、マルチスクリュー押出機、単軸スクリュー押出機、共混練機(往復単軸スクリュー押出機)、および粘稠な材料を処理するように設計された他の装置が挙げられる。本フルオロポリマー複合体を形成するのに好適に用いられるバッチおよび連続処理ハードウェアは、ブレンド中の特異成分を溶解させるのに十分な熱および機械的エネルギーを与え、固体粒子または液体小滴を破壊するのに十分な剪断および/または伸長流れならびに応力を発生させ、次にそれらを主要(マトリックス)ポリマー溶融相に一様に分配させ得る。理想的には、そのようなシステムは、粘稠な材料を高温で処理し、効率的にそれらを下流の成形および造形装置にポンプ送液することができる。本装置はまた、高圧の、磨損および腐食環境に対処できることが望ましい。本方法に用いられる配合システムは、ダイおよびペレット化システムを通して調合物溶融体を典型的にはポンプ送液する。
中間体は、ポリマーを溶融加工する技術分野で公知の任意の適用可能な技法を用いて所望の形状を有する製造品に成形されてもよい。
他の実施においては、溶融ブレンディングまたは配合工程によって製造された材料は、冷却されるまたは粉末、顆粒、ペレットなどに成形されることなく、所望の形状へすぐに溶融加工される。たとえば、この製造は、マトリックスポリマーおよび他の原料がたった一つの溶融履歴を経験するように二軸スクリュー押出技術を射出成形機で組み合わせるインライン配合および射出成形システムを用いてもよい。他の実施形態においては、溶融加工および成形、圧縮成形または焼結などの、造形操作によって製造された材料は、最終形状または寸法へ機械加工されてもよい。さらに他の実施においては、部品の表面は、研磨または他の操作によって仕上げられてもよい。
複合粉末材料が、追加量の複合粉末材料に使用された同じフルオロポリマー、1つ以上の他のフルオロポリマー、または両方のどれかを含んでもよいマトリックス中へ微粒子充填材がそれによって導入されるキャリアとして使用されることもまた考えられる。たとえば、複合粉末材料は、中間体がその後第2の溶融加工可能なフルオロポリマー粉末とブレンドされる状態で、溶融加工可能ではない第1フルオロポリマー粉末材料でスラリー法を用いて形成されてもよい。ある実施形態においては、2つのポリマーの割合は、全体ブレンドが溶融加工可能であるようなものである。他の実施形態は、3つ以上のブレンドされるフルオロポリマーを必要としてもよい。あるいは、中間体は、非溶融加工可能なフルオロポリマーで形成され、その後いっそう多くの同じフルオロポリマーと組み合わせられ、圧縮成形および焼結によって加工される。
さらに他の実施においては、スラリー法は、微粒子充填材を溶融加工可能なフルオロポリマー粉末粒子上へ分散させるために用いられ、それは、複合体を形成するために直接溶融加工されるか、充填材なしの追加の溶融加工可能なフルオロポリマー粉末粒子により溶融加工工程において降下(let down)される中間体として使用されるかのどちらかである。追加のフルオロポリマー粒子は、同じタイプのものであっても、異なるタイプのものであってもよい。
別の実施形態においては、上に記載されたものなどの、溶融配合装置が、充填材をフルオロポリマーの粒子上へ分散させるためのスラリー法の先行使用なしに、必要量の微粒子充填材と溶融加工可能なフルオロポリマーとを直接組み合わせることによって組成物を調製するために用いられる。ブレンドされた組成物は次に、射出成形および押出を含むが、それらに限定されない、上に記載された技術のいずれかを用いてフルオロポリマー複合体へ加工される。幾つかの組成物については、こうして製造された複合体中の充填材の分散レベルは、低摩擦および低摩耗などの、複合体が許容されるレベルの所望のトライボロジー特性を達成するために十分である。さらに別の態様においては、複合粉末材料は、微粒子充填材をフルオロポリマー粒子の表面上へ分散させるために、ジェットミリングなどの、他の形態の混合を用いて調製することができる。そのような混合は、溶融加工可能か非溶融加工可能かのどちらかのフルオロポリマー粒子で実施することができる。それぞれの形態の複合粉末材料は次に、上に記載されたように、溶融加工するか焼結するかのどちらかであり得る。
本フルオロポリマー複合体が離散物体としてか、あるいは、そのような物体の少なくとも1つの外面上にコートされているか、または別のやり方で外面に取り付けられている層などの、別の物体と会合した物体としてかのどちらかで調製することができる。用語「フルオロポリマー複合体」は、本明細書で用いるところではしたがって、それらのすべてが低い摩耗速度対を提供するために対向表面上に耐えるように改造された摩耗面を提供することができる、これらの構造体のいずれかを意味すると理解されるべきである。
本プロセスの形態は、たとえば、6.25MPaの圧力および50.8mm/秒の速度でラップされた304ステンレス鋼対向面に対して複合体を動かす往復摩擦計を用いて測定されるように、最大でも1×10−6mm/N−m、または最大でも1×10−7mm/N−m、または最大でも1×10−8mm/N−mであってもよい摩耗速度を幾つかの実施形態において示す複合体を製造するために用いられてもよい。ある実施形態においては、本プロセスは、約0.3未満または約0.25未満であってもよい摩擦係数を示す複合体を製造するために用いられてもよい。
別の態様においては、ベアリング対の一方の部材のベアリング面上に転移膜を形成する方法であって、他方の部材が、フルオロポリマー複合体によってその少なくとも一部が提供される、表面を有する器具である方法が提供される。本プロセスは、フルオロポリマー複合体の表面をベアリング面と接触させる工程と;複合体の表面をベアリング面に対して推し進める荷重を加える工程と;複合体をベアリング面に対して動かす工程とを含み、運動の量および荷重は、複合体に由来する転移膜をベアリング面上に形成させるのに十分である。ある実施形態においては、転移膜の定常状態形態は、初期なじみ運転期間後に達成される。幾つかの実施においては、基材は、酸化物ガラスまたは硬質ポリマーなどの、透明な材料であり得る。前述のプロセスによって形成される基材がまた提供される。
本発明のある種の実施形態の操作および効果は、以下に記載されるように、一連の実施例(実施例1〜14)からより十分に理解され得る。これらの実施例がベースとする実施形態は、代表的であるにすぎず、本発明の態様を例示するためのそれらの実施形態の選択は、実施例に記載されない原材料、成分、反応剤、条件、技法および/または構成が本明細書での使用に好適ではないこと、または実施例に記載されない主題が添付のクレームおよびそれらの等価物の範囲から排除されることを示唆するものではない。実施例の重要性は、それらから得られた結果を、対照例1〜2として役立つように設計されているある種の試行から得られた結果と比較することによってより良く理解され、対照例は、それらがフルオロポリマーベースであるが、微粒子充填材を含有しないか、異なる方法によって加工されるかのどちらかであるので、そのような比較に根拠を提供する。
原材料
実施例を実施するのに使用される原材料としては、下記が挙げられる:
イソプロピルアルコール(IPA):4Åモレキュラーシーブ上に保管されるOptima(登録商標)銘柄(HO<0.020%、0.2μm濾過)(Fisher Scientific,Pittsburgh,PA)。
PTFE 7C粉末:Teflon(登録商標)PTFE 7Cポリテトラフルオロエチレン粒状樹脂(DuPont Corporation,Wilmington,DE)。
PFA 340:Teflon(登録商標)PFA 340:まだ溶融加工されていない、緩く詰められた毛羽である、パーフルオロアルコキシ樹脂(DuPont Corporation,Wilmington,DE)。
サブミクロンα−アルミナ:
試料A:60nmのおおよその粒径を有すると製造業者によって表される、ストック#44652,Alfa Aesar,Ward Hill,MA;
試料B:27〜43nmのおおよその粒径を有すると製造業者によって表される、ストック#44653,Alfa Aesar,Ward Hill,MA;
試料C:350〜490nmのおおよその粒径を有すると製造業者によって表される、ストック#42573,Alfa Aesar,Ward Hill,MA;
(測定方法は、平均粒径を測定することに関して製造業者によってまったく示されなかった)
ルチル型TiO:動的光散乱によって測定されるように160nmのd50値の粒度分布をもたらす、実験室沈澱法によって調製された。
往復耐摩耗性試験
平面の硬表面に対するピン様試料の往復運動下での試料の試験を、言及することによって全体が本明細書に援用される、Sawyerらに付与された米国特許第7,790,658号明細書(「658特許」)の図2に描かれているもののような自動化の、コンピュータ制御摩擦計を用いて行った。そのような摩擦計の追加の説明は、W.G.Sawyerら、「A Study on the Friction and Wear of PTFE Filled with Alumina Nanoparticles」,Wear,vol.254,pp.573−580(2003)による論文に提供されている。この摩擦計は、標準荷重力が注意深く制御され、荷重および滑り力が連続的に監視され、記録される状態で、フルオロポリマーベース試験試料が対向面と往復の滑り接触させられることを可能にした。摩耗は、試験検体の高さの減少を測定する位置検出器によっておよび試験試料を定期的に取り外し、そして秤量することによっての両方で監視した。
この摩擦計を、約6.4×6.4mmの正方形断面の細長いプリズムの形態を有する試料を試験するために用いた。典型的にはプリズムは約20mmの初期長さを有した。各場合に、従来の機械加工技術を用いて様々な出発複合体からこの形態の試料を調製した。特に以下に述べられる場合を除いて、本耐摩耗性測定に使用される対向面は、35nmの標準偏差の、約R(rms)=161nmの値で特徴付けられる表面粗さを生成するようにラップした、304シリーズのステンレス鋼板であった。測定は、試料の正方形面が約6.25MPaの圧力で対向面に押し付けられ、そして約50.8mm/秒の速度で往復風に移動させられる状態で実施された。観察される摩耗速度は、対向面材料ならびに特有の荷重および比速度にある程度依存することが知られており、その結果本フルオロポリマー体が、たとえば、異なる組成または表面仕上げを有する、異なる対向面に対して試験される場合に異なる摩耗速度を示す可能性が高いであろうことは指摘されるべきである。
対照例1
未充填PTFE試料の加工
Teflon(登録商標)PTFE 7C粉末を、ASTM D4894−07の手順に一致した圧縮成形および焼結技術を用いて試験試料に成形した。使用された金型は、約2.86cmの直径の直円柱の形をしたキャビティを有した。金型に約12gの出発粉末材料を装入した。粉末を、約5000psiの荷重で圧縮し、周囲温度で2分間保持して約0.9cm高さの成形体を形成した。
圧縮粉末成形体を次に金型から取り出し、自由焼結して試験試料を形成した。先ず、成形体を、窒素パージ付きの290℃炉に入れた。炉温度をすぐに、120℃/時の速度で380℃まで昇温し、次に380℃で30分間保持した。その後、検体を、60℃/時の速度で294℃まで冷却し、294℃で24分間保持し、その後それを炉から取り出した。
摩耗試験実施に好適な試料は、従来の機械加工技術によって焼結体から得られた。
実施例1
ジェットミリングを用いるアルミナ−PTFE複合体の調製
焼結α−アルミナ/PTFE複合体を、言及することによって全体が本明細書に援用される、米国特許第7,790,658号明細書に述べられている手順に従って概して調製した。具体的には、Teflon(登録商標)PTFE 7C中の5重量%の試料Aα−アルミナの混合物を調製し、アルミナ内張りSturtevantジェットミルに3回通した。この粉末を、12.6mm直径の容器に加え、500MPa一軸圧力でのプレス機で統合した。結果として生じる圧縮ペレットを次に、2.5MPaの圧力下に、次の温度プロフィール:3時間かけて380℃まで昇温、380℃で3時間保持、3時間かけて周囲温度まで降温、で焼結した。摩耗試験実施に好適な試料は、従来の機械加工技術によって焼結体から得られた。
実施例2
スラリープロセスを用いるアルミナ−PTFE複合体の調製
おおよそ3.45重量%の実施例1に使用されたものと同じサブミクロン粒子試料Aα−アルミナを含有する前駆体スラリーを、5.0gのこの粒子を200mLボトル中の140gのIPAに加えることによって形成した。サブミクロン粒子を加えた後に、ボトルを、超音波ホーン(約40%振幅(400W)で動作する、チタン先端のBranson Digital Sonicator 450)を用いて超音波処理した。混合物を、各サイクル後に45秒の緩和間隔付きで、1分継続時間の3サイクルにかけた。結果は、目に見える粒子がまったくなしのミルク状分散系であった。
その後すぐに、91.6gのこのスラリー(3.16gのアルミナを提供するための)を、実施例1の試料を調製するために使用されたものと同じ60.0gのTeflon(登録商標)PTFE 7C粒状粉末を含有する500mLの西洋なし底フラスコに加えた。スラリーの量は、最終PTFE/アルミナ混合物中に5.0重量%のアルミナレベルを提供するように選択した。フラスコ壁を追加の100mLのIPAでリンスしてフラスコ壁をきれいにした。フラスコを次に2、3分間穏やかに旋回させてPTFE粉末とIPA/アルミナスラリーとの混合を確実にした。
次にPTFE粉末−IPA/アルミナスラリー混合物を、ロータリーエバポレーターを用いてフラスコ中で乾燥させた。注意深く突沸を避けながら、圧力をゆっくり下げ、水浴を55℃に加熱して極性有機液体を均一に蒸発させ、除去した。スラリーを、極性有機液体が除去されるときに混合し続けた。結果として生じる粉末を、あらゆる残留水および/またはIPAを除去するために4時間高真空(4Pa≒30ミリトル)下に50℃で4時間さらに乾燥させた。乾燥複合粉末材料は自由流動性であった。乾燥複合粉末材料を次に、対照例1に述べられたものと同じ圧縮成形および焼結技術によって試験試料に成形した。
実施例3
α−アルミナ/PTFE複合体の耐摩耗性
実施例1および2に述べられたように調製された焼結α−アルミナ/PTFE複合体の試料の往復耐摩耗性を試験し、対照例1に述べられたように調製された試料のそれと比較した。
結果は、実施例2のIPAスラリー調製α−アルミナ/PTFE複合体が、対照例1の未充填PTFE材料の比較的不十分な摩耗速度k=3.74×10−4mm/N−mよりも著しく良好である、k=7.04×10−8mm/N−mの低い往復摩耗速度を示すことを示す。実施例1のジェットミルにかけたα−アルミナ/PTFE複合体もまたk=1.3×10−7mm/N−mの低い摩耗速度を示した。
ジェットミルにかけたおよびスラリーベースのα−アルミナ/PTFE複合体は両方とも、ラップされた304ステンレス鋼に対する条件下で測定されるときに、低い摩擦特性、たとえば、未充填PTFEについての0.18に対して、約0.2〜0.23の滑り摩擦係数を示した。
実施例4〜5
溶融ブレンディングを用いるPFA−サブミクロン粒子複合体の調製
実験室規模の溶融加工技術を用いて表Iに述べられるようなトライボロジーおよび機械的検査のための試料AおよびBの5重量%のサブミクロンα−アルミナ粒子を充填したTeflon(登録商標)PFA 340の複合体を調製した。
Figure 2014516096
試料は、サブミクロンα−アルミナ粒子とTeflon(登録商標)PFA 340マトリックス材料とを直接溶融ブレンドすることによって調製した。溶融ブレンディングは、再循環ループおよび試料抽気弁付きの15cc容量、共回転、相互かみ合いの円錐状二軸スクリューバッチミキサーを用いる、XploreTMミクロ配合システム(DSM Research,Galeen,NV)を使用して実施した。各試料について必要量の選択されるサブミクロンα−アルミナおよびTeflon(登録商標)PFA 340を手動混合し、スクリューが回転しながら、バレルのトップに取り付けられた漏斗およびプランジャーシステムによってミキサーへゆっくりロードした。ローディングが完了したとき、供給プランジャーを取り除き、プラグで置き換えた。混合時間は、プラグが確保されたときにマークした。
ミクロ配合機は、400℃以下での制御および運転のために決められた3つのバレル加熱域(トップ−中央−ボトム)で配置構成された。温度は、スクリュー先端よりも下に配置された溶融熱電対で監視した。スクリューポンプ送液によって与えられるバレル上の駆動モーターアンペア数および力を、組成、温度、化学反応または分散の状態による粘度の変化を示すために監視した。温度、力およびアンペア数についての平均値を記録した。ミキサーからの押出物を、移動可能なプランジャー付きの加熱トランスファーシリンダーに集め、射出成形装置へ入れた。
取り外し可能な2ピース金型を含有する加熱および水冷シリンダーを有する圧縮空気駆動式射出成形機を、仕上げ複合体を溶融加工するために用いた。成形機の運転を、射出圧力および時間、ならびにパックホールド圧力および時間などの、射出パラメータの事前選択を可能にするように制御した。
各試料を順繰りに混合し、上に記載されたようにトランスファーシリンダーに入れ、次に成形機にロードし、確保した。圧縮空気駆動式シリンダーを、融解材料を金型キャビティの中に押し込むようにプランジャーを推し進めて、活性化した。射出成形サイクルの完了後に、金型を加熱されたキャビティから取り外し、金型部分を分離し、そのようにして成形品を金型から取り出し、周囲温度まで放冷することができた。
摩耗試験実施に好適な試料は、従来の機械加工技術によって射出成形体から得られた。
実施例6
スラリー法を用いるTeflon(登録商標)PFA 340−サブミクロン粒子複合体の調製
別のTeflon(登録商標)PFA 340−サブミクロンα−アルミナ粒子複合体を、スラリープロセスを用いて調製された複合粉末材料を溶融加工することによって調製した。具体的には、おおよそ3.45重量%のサブミクロンα−アルミナ微粒子充填材を含有する前駆体スラリーを、5.0gの試料A粒子を200mLボトル中の140gのIPAに加えることによって形成した。サブミクロン粒子を加えた後に、ボトルを、超音波ホーン(約40%振幅(400W)で動作する、チタン先端のBranson Digital Sonicator 450)を用いて超音波処理した。混合物を、各サイクル後に45秒の緩和間隔付きで、1分継続時間の3サイクルにかけた。結果は、目に見える粒子がまったくなしのミルク状分散系であった。
その後すぐに、91.6gのこのスラリー(3.16gのアルミナを提供するための)を、60.0gのTeflon(登録商標)PFA 340毛羽を含有する500mLの西洋なし底フラスコに加えた。スラリーの量は、最終PFA/アルミナ混合物中に5.0重量%のアルミナレベルを提供するように選択した。フラスコ壁を追加の100mLのIPAでリンスしてフラスコ壁をきれいにした。フラスコを次に2、3分間穏やかに旋回させてPFA材料とIPA/アルミナスラリーとの混合を確実にした。
次にPFA粉末−IPA/アルミナスラリー混合物を、加熱のための水浴付きのロータリーエバポレーターを用いてフラスコ中で乾燥させた。注意深く突沸を避けながら、圧力をゆっくり下げ、浴を55℃に加熱して極性有機液体を均一に蒸発させ、除去した。スラリーを、極性有機液体が除去されるときに混合し続けた。結果として生じる粉末を、あらゆる残留水および/またはIPAを除去するために4時間高真空(4Pa≒30ミリトル)下に50℃で4時間さらに乾燥させた。乾燥複合粉末材料は自由流動性であった。
複合粉末材料を次に、実施例4〜5の溶融ブレンド試料を製造するために用いられた同じ混合および射出成形装置を用いて加工した。同じ加工条件を用い、実施例4〜5のものに視覚的によく似ている射出成形試料をもたらした。摩耗試験実施に好適な試料は、従来の機械加工技術によって射出成形体から得られた。
対照例2
未充填Teflon(登録商標)PFA 340試料の加工
実施例4〜6の試料を調製するために用いられた同じ実験室規模の溶融加工ならびに射出成形装置および加工条件を用いて比較トライボロジーおよび機械的検査のための粒子添加なしのTeflon(登録商標)PFA 340の射出成形試料を調製した。
実施例7
α−アルミナ/PFA複合体の耐摩耗性
実施例4〜6に述べられたように調製された溶融加工α−アルミナ/PFA複合体の試料の往復耐摩耗性を、上に記載された摩擦計システムを用いて試験し、対照例2の未充填PFA体についての耐摩耗性データと比較した。
次の結果が、これらの試料の定常状態摩耗速度kおよび滑り摩擦係数μについて得られた。
Figure 2014516096
結果は、溶融加工可能なPFAマトリックスとアルミナ微粒子充填材とを含む複合体が、低い摩擦係数を危うくすることなく、比較の未充填Teflon(登録商標)PFA 340材料の摩耗速度の大きさよりも3桁ほどだけ低下した摩耗速度を示し得ることを示す。
実施例8〜10
スラリープロセスを用いるアルミナ−PTFE複合体の調製および摩耗試験
試料Aサブミクロンα−アルミナをTeflon(登録商標)PTFE 7C中に含む複合体の追加の実施例(実施例8および9)を、実施例2の試料について用いられた同じスラリープロセスを用いて、しかし加えられるアルミナの量を、2および8重量%のローディングレベルを提供するように調整して調製した。別の試料(実施例10)を、5重量%の試料Bサブミクロンα−アルミナを使用して調製した。
これらの試料の往復摩耗試験は、表IIIに示される結果を生み出した。
Figure 2014516096
低い摩耗速度および低い摩擦係数がこれらの試料について見られた。
実施例11〜13
異なる対向面に対するアルミナ−PTFE複合体の摩耗試験
5重量%の試料AアルミナをPTFE中に含む複合体の追加の試料を、実施例2の原材料および方法に従って調製し、ラップされた304ステンレス鋼対向面を、研磨304ステンレス鋼、ラップされたTi合金(Ti6Al4V)、およびガラス顕微鏡スライドなどの、他の対向面で置き換えたことを除いては、実施例3に述べられたように往復耐摩耗性について試験した。摩耗試験の結果を表IVに示す。
Figure 2014516096
低い摩耗速度および低い摩擦係数がこれらの試料について見られた。
実施例14
TiO−PTFE複合体の調製および摩耗試験
5重量%のルチル型のTiOをTeflon(登録商標)PTFE 7C中に含む複合体を、実施例2に述べられたスラリープロセスを用いて、しかしTiOがα−アルミナと置き換わる状態で調製した。実施例3に従って実施された往復摩耗試験は、k=1.11×10−7mm/N−mの低い摩耗速度およびμ=0.23の低い摩擦係数をもたらした。
このように本発明をかなり十分詳細に説明してきたが、そのような詳細が厳密に忠実に守られる必要がないこと、しかし追加の変更および修正が当業者に思い浮かぶことは理解されるであろう。たとえば、加工に役立つためにまたは特性を高めるためにフルオロポリマーでの使用が知られている追加の添加剤が、本複合体を製造する様々な段階で添加されてもよい。本製造方法は、異なる装置を用いておよび本明細書に記載される工程を異なる順に実施して、様々なやり方で実施されてもよいことが理解されるべきである。これらの変更および修正のすべては、追記のクレームによって定義されるような本発明の範囲内に入ると理解されるべきである。
本明細書の他の場所で名前を挙げられる供給業者に加えて、本明細書での使用に好適な様々な材料は、当該技術分野において公知の方法によって製造され得る、および/またはAlfa Aesar(Ward Hill,MA)、City Chemical(West Haven,CT)、Fisher Scientific(Fairlawn,NJ)、Nanostructured & Amorphous Materials,Inc.(Houston,TX)、PACE Technologies(Tucson,AZ)、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、またはStanford Materials(Aliso Viejo,CA)などの供給業者から商業的に入手可能である。
数値の範囲が本明細書に列挙されるかまたは規定される場合、この範囲は、その終点およびこの範囲内の個々の整数および分数をすべて含み、そしてまた、それらのより狭い範囲のそれぞれがあたかも明確に列挙されているかのように同じ程度に、述べられた範囲内の値のより大きい群のサブグループを形成するためにそれらの終点と内部整数および分数との様々な可能な組み合わせすべてによって形成されるその中のより狭い範囲のそれぞれを含む。数値の範囲が述べられる値よりも大きいと本明細書で述べられる場合、この範囲はそれにもかかわらず有限であり、本明細書に記載されるような本発明の背景の中で使用可能である値によってその上限に接している。数値の範囲が述べられる値よりも小さいと本明細書に述べられる場合、この範囲はそれにもかかわらず非ゼロ値によってその下限に接している。さらに、特に明確に述べられないかまたは用法の前後関係によってそれとは反対が示されない限り、本明細書に列挙される量、サイズ、範囲、処方、パラメータ、ならびに他の量および特性は、特に用語「約」によって修正されるときに、正確であってもよいが、正確である必要はなく、そしてまた、許容差、換算係数、丸め、測定誤差など、ならびに本発明の背景の中で、述べられる値への機能的なおよび/または動作可能な等価性を有するその外側のそれらの値の述べられる値内への包含を反映して、おおよそであってもおよび/または述べられるよりも(要望通り)大きくても小さくてもよい。
本明細書に示される式のそれぞれは、(1)他の可変のラジカル、置換基または数係数のすべてが一定に保持されながら、可変のラジカル、置換基または数係数の1つについて所定の範囲内からの選択、および(2)その他が一定に保持される状態で他の可変のラジカル、置換基または数係数のそれぞれについて所定の範囲内からの同じ選択を順繰りに行うことによって当該式に集めることができる別個の、個々の化合物またはモノマーのそれぞれおよびすべてを示す。その範囲によって表示される群のメンバーのたった一つの可変のラジカル、置換基または数係数のいずれかについて所定の範囲内で行われる選択に加えて、複数の化合物またはモノマーは、ラジカル、置換基または数係数の全群のメンバーの2つ以上、しかしすべて未満を選択することによって選択することによって表示され得る。可変のラジカル、置換基または数係数のいずれかについて所定の範囲内で行われる選択が、(i)その範囲によって表示される全群のメンバーのたった一つ、または(ii)全群のメンバーの2つ以上、しかしすべて未満を含有するサブグループであるときに、選択されるメンバーは、サブグループを形成するために選択されない全群のそれらのメンバーを除外することによって選択される。化合物、モノマー、または複数の化合物もしくはモノマーは、当該変数についての所定の範囲の全群を意味する可変のラジカル、置換基または数係数の1つ以上の定義によってそのような事象では特徴付けられてもよいが、その場合にはサブグループを形成するために除外されたメンバーは全群には不在である。
本明細書では、特に明確に述べられないかまたは用法の前後関係によってそれとは反対が示されない限り、本明細書の主題の実施形態がある種の特徴または要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなるまたはそれらによってもしくはそれらから構成されると記述されるまたは記載される場合、1つ以上の特徴または要素が、それらの明確に記述されたかまたは記載されたものに加えて実施形態に存在してもよい。しかし、本明細書の主題の代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素から本質的になると記述されてもまたは記載されてもよく、その実施形態では、実施形態の操作の原則または特徴的な特性を実質的に変えるであろう特徴または要素はその中に存在しない。本明細書の主題のさらなる代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素からなると記述されても記載されてもよく、その実施形態では、またはそれの非実質的な変形では、具体的に記述されたかまたは記載された特徴または要素のみが存在する。

Claims (20)

  1. 微粒子充填材との混合でフルオロポリマーを含む物質の組成物であって、充填材粒子が、
    (a)不規則形状、ならびに
    (b)動的光散乱によって決定して体積d50値が約50nm〜約500nmの範囲にある粒度分布、および/または静的光散乱によって決定して体積d50値が約80nm〜約1500nmの範囲にある粒度分布
    を特徴とする、上記組成物。
  2. 充填材粒子が、動的光散乱によって決定して体積d90値が最大でも約1000nmである粒度分布を特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 充填材粒子が、BET法によって測定して80nm以下の平均有効粒径を有する請求項1に記載の組成物。
  4. 動的光散乱または静的光散乱によって決定される前記d50値が、BET法によって測定される前記平均粒径よりも少なくとも2.5倍大きい請求項1に記載の組成物。
  5. 動的光散乱によって決定して、充填材粒子の前記粒度分布が、220nm以下のd50値、およびBET法によって測定して80nm以下の平均有効粒径を有する請求項4に記載の組成物。
  6. フルオロポリマーがPTFEを含む請求項1に記載の組成物。
  7. フルオロポリマーが、PTFEとPTFE微粉末とのブレンドを含む請求項1に記載の組成物。
  8. フルオロポリマーが、熱可塑性の、溶融加工可能なおよび/または溶融成形加工可能なフルオロポリマーを含む請求項1に記載の組成物。
  9. フルオロポリマーが、TFEとTFE以外のフッ素化オレフィンおよびフッ素化不飽和エーテルの1つまたは両方とのコポリマーを含む請求項1に記載の組成物。
  10. フルオロポリマーが、エラストマーフルオロポリマーとPTFE微粉末とのブレンドを含む請求項1に記載の組成物。
  11. 微粒子充填材が酸化アルミニウムを含む請求項1に記載の組成物。
  12. 微粒子充填材が、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との混合物を含む請求項1に記載の組成物。
  13. 微粒子充填材が、ルチル型二酸化チタンを含む請求項1に記載の組成物。
  14. 存在する微粒子充填材の量が、組成物の約0.1〜30質量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
  15. 請求項1に記載の組成物を含む物品であって、35nmの標準偏差の約R(rms)=161nmの値を特徴とする表面粗さを有するタイプ304ステンレス鋼対向面を使用する摩擦計で、かつ上記物品を6.25MPaの荷重下および50.8mm/秒の速度の往復運動で測定して、約1×10−6mm/N−m未満の摩耗率、および約0.3未満の摩擦係数を特徴とする、上記物品。
  16. フィルムが上に配置された基材を含む物品であって、フィルムが請求項1に記載の組成物を含む物品。
  17. 基材が透明である請求項16に記載の物品。
  18. フィルムが上に配置された基材の製造方法であって、請求項1に記載の組成物から器具を形成する工程と、器具を反復運動で基材と接触させてフィルムを上に堆積させる工程とを含む、上記方法。
  19. 請求項18に記載の方法によって製造された基材を含む物品。
  20. (a)溶融加工可能なフルオロポリマーと微粒子充填材とを含む前駆体を溶融配合する工程の、充填材粒子が、
    (i)不規則形状、ならびに
    (ii)動的光散乱によって決定して体積d50値が約50nm〜約500nmの範囲にある粒度分布、および/または静的光散乱によって決定して体積d50値が約80nm〜約1500nmの範囲にある粒度分布、
    を特徴とする、該工程と、
    (b)前駆体を溶融加工してフルオロポリマー複合体を製造する工程と
    を含む、フルオロポリマー複合体の製造方法。
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