JP2014514159A - 内燃機関用ピストンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

ピストン上側部分(3)が鍛造法で製造され、ピストン下側部分(4)が鋳造または鍛造法で製造され、次いで互いに溶接される内燃機関用の鋼製のピストン(1)を製造する方法が提案される。製造法を単純にするために、ピストン上側部分を温間変形加工法を用いて最後まで鍛造し、これにより燃焼キャビティと上側クーリングチャンネル領域のさらなる加工を省略することができるようにする。

Description

本発明は、請求項1の上位概念部に記載の内燃機関用ピストンの製造方法に関する。
内燃機関用の鋼から成るピストンを製造するために、まずピストン上側部分を鍛造法で製造し、ピストン下側部分を鍛造法または鋳造により製造し、次いでピストン上側部分をピストン下側部分に溶接することが公知先行技術から一般的に知られている。これに関してドイツ連邦共和国特許出願公開第19501416号明細書、ドイツ連邦共和国特許第2919638号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19603589号明細書およびドイツ連邦共和国特許出願公開第19846152号明細書を参照することができる。この場合、熱間変形加工法、つまり950℃〜1300℃の鋼温度における熱間鍛法が使用される。
この方法は、鍛造ブランクの加熱のために高いエネルギ消費が必要であるという欠点を有している。さらに、鍛造ブランクの表面に、制御不能な酸化層が形成される。この酸化層を除去するためには、鍛造ブランクの表面に粗い投射材を噴射(ブラスト)する必要がある。これによって鍛造物輪郭の大きな変動が生じるので、その結果、切削加工法による鍛造ブランクの手間のかかる後加工が必要となる。
したがって本発明の課題は、公知先行技術の上述の欠点を回避することであり、この場合、特に燃焼キャビティおよびクーリングチャンネルの手間のかかる後加工が回避されることが望ましい。
本発明の別の課題は、回転対称ではなく、もしくは偏心的に形成された燃焼キャビティおよびクーリングチャンネルを備えたピストンを廉価な方法で製造することができる方法を提供することである。
最後に、本発明の課題は、燃焼キャビティの縁部とクーリングチャンネルの上側部分との間の壁が全周にわたって一定の厚さを有するピストンが製造可能である方法を提供することである。
これらの課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴により解決される。本発明の有利な態様は従属請求項に記載されている。
ピストン上側部分が亜熱間変形加工もしくは温間変形加工(Halbwarmschmiede)法によって製造されることにより、比較的高い精度および改善された表面品質を備えるピストン上側部分が製造され得る。これによって、鍛造ブランクの、特に燃焼キャビティおよび上側のクーリングチャンネルの領域における手間のかかる後加工が不要になる。この場合、低い変形加工温度に基づいて、ピストンブランクの表面の酸化は著しく減じられるので、表面をきれいにするブラスト法(Strahlverfahren)を使用することができるか、もしくはブラストを完全に省略することができる。さらに、鍛造型用に比較的小さな耐熱性と、比較的高い強度および硬さを有する材料が使用され得る。これによって、クーリングチャンネルのために必要とされるような比較的深い輪郭を製造することができる。最終的に、鍛造ブランクの加熱のために、熱間鍛造時におけるよりも小さなエネルギ消費しか必要とならない。
本発明の幾つかの実施の形態を以下に図面に付き説明する。
本発明による方法により製造されたピストンを、ピン孔軸線に対して垂直に位置する切断平面で示す断面図である。 ピストンを、ピン孔軸線に沿った切断平面で示す断面図である。 温間変形加工後のピストン上側部分を示す断面図である。 ピストン上側部分を、外側輪郭および摩擦溶接のために設けられた載置領域の旋削加工後に示す断面である。 非対称に形成され、偏心的に配置された燃焼キャビティを備えるピストン上側部分の態様を示す上から見た平面図である。 図5に示したVI−VI線に沿ったピストン上側部分の断面図である。 摩擦溶接による接合前のピストン上側部分とピストン下側部分を示す図である。 非対称に形成され、偏心して配置された燃焼キャビティとバルブリセスとを有するピストン上側部分の態様を上から見た平面図である。 図8に示したIX−IX線に沿ったピストン上側部分の断面図である。
図1は、摩擦溶接シーム5を介して互いに結合されたピストン上側部分3とピストン下側部分4とから成る、本発明による方法により製造されたピストン1の態様をピン軸線2に対して垂直方向の断面で示している。
ピストン1は、ピストン頂部6を有している。ピストン頂部6には燃焼キャビティ7が加工成形されている。半径方向外側では、ピストン頂部6に、ピストンリング(図示せず)のためのリング溝部分9を備えた下方に向けられた環状壁8が一体成形されている。環状壁8の半径方向内側に、ピストン1はピストン頂部6の下面に一体成形された環状の支持部10を有している。
ピストン下側部分4は、互いに反対の側に位置する2つのスカートエレメント11,12を有している。これらのスカートエレメント11,12は、互いに反対の側に位置する2つのピンボス13,14を介して、それぞれ1つのピン孔15,16に互いに結合されている。図1には、切断平面の位置に基づいて、ピン孔15を備えたピンボス13しか示されていない。
ピストン下側部分4の上面には、ピンボス13,14に結合された環状の載置部17が配置されている。さらに、ピストン下側部分4の上面は、載置部17の半径方向外側に配置され、スカートエレメント11,12に結合された環状に延びる環状リブ18を有している。載置部17と環状リブ18との間には、半径方向に位置調整された環状エレメント19が延びている。
この場合、支持部10と載置部17とは、支持部10の下面と載置部17の上面とが互いに接触し、第1の載置領域20を形成するように、配置されている。さらに、環状壁8と環状リブ18とは、環状壁8の下側の端面と環状リブ18の上面とが同様に互いに接触し、第2の載置領域21を形成するように、配置されている。第1および第2の載置領域20,21は、ピストン1の製造時に摩擦溶接面を形成する。
これにより、ピストン頂部6の近傍で半径方向外側に配置された環状に延びるクーリングチャンネル22は、上方ではピストン頂部6により、半径方向内側では部分的にピストン頂部6により、部分的に支持部10により、かつ部分的に載置部17により、下方では環状エレメント19により、半径方向外側では部分的に環状壁8により、かつ部分的に環状リブ18により画定されている。クーリングチャンネル22は、冷却オイルの導入のための流入開口と、冷却オイルの導出のための流出開口とを有しているが、これらは図面には示されていない。
図2には、ピストン1がピン孔軸線2に沿った断面で示されている。図2では両方のピンボス13,14と、環状エレメント19とが示されている。ピンボス14,15は該ピンボス13,14に一体成形された載置面17を有している。環状エレメント19は該載置面17もしくはピンボス13,14に結合されている。
ピストン1は、たとえばクロム鋼42CrMo4のような調質鋼から製造されている。この場合、ピストン下側部分4の製造は、従来のように鋳造または熱間鍛造により行われている。
ピストン上側部分3は、温間変形加工法により製造される。これにより、ピストン上側部分3は、高い表面品質を得、特に燃焼キャビティ7および上側のクーリングチャンネル22の領域ならびに内側のドーム領域29において高い精度で製造され得る。
この場合、ピストン上側部分3のために設けられたドロップ鍛造機の金型に合わせて成形されたクロム鋼の部分は600℃〜900℃にまで加熱され、次いで複数の変形加工ステップ、つまり同一のドロップ鍛造機内における複数の鍛造工程で成形される。鍛造中に発生する薄い酸化被膜は、たとえばウォールナッツ顆粒を用いた精密ブラスト(Feinstrahlen)により除去される。次いで、これにより生じたピストン上側部分3のブランクを材料の要求に応じて調質する。つまりブランクは、約800℃から900℃に加熱され、焼き入れされ、次いで約550℃〜650℃で焼き戻される。酸化を防ぐために、調質は保護ガス雰囲気において行われる。ピストン上側部分3の、これにより生じたブランクは図3に示されている。この場合、燃焼キャビティ7、上側のクーリングチャンネル領域および内側のドーム領域29は、既に最後まで成形されている、つまり完成しているので、これらの領域では別の加工ステップはもはや必要ではない。この場合、キャビティ縁部とクーリングチャンネル領域との間の壁厚さは、全周にわたってほぼ一定である。ピストン上側部分3が製造加工後にどのように見えるかは図3に一点破線で示されている。
続く方法ステップでは、ピストン頂部6の半径方向外側の領域23と、ピストン上側部分3の、リング溝部分9のために規定された半径方向外側の領域24と、環状壁8の下端面25と、環状壁8の内側面27の下側領域26と、支持部10の載置面28とが、旋削により加工されるので、ピストン上側部分3は、図4に示されているようになる。クーリングチャンネル22の下側の領域、環状壁8の下側の端面25および支持部10の載置面28は、この後者の加工ステップ後に最後まで成形されている。ピストン上側部分3が仕上げ加工後にどのように見えるかは一点破線により示されている。
温間変形加工法による製造方法によって、特に図5および図6に示されているように非対称的に形成されかつ偏心的に配置された燃焼キャビティ7’を備えるピストン上側部分3’を製造することができる。この場合も、ピストン上側部分3’の製造のための温間変形加工法によるプロセスが終わっている場合に、燃焼キャビティ7’をさらに加工することはもはや必要ではない。
これに対して択一的には、ピストン上側部分は、精密鋳造法(Feingiessverfahren)により製造され得る。酸化を阻止するために、精密鋳造法は保護ガス雰囲気において行うことが望ましい。
図5および図6に示した実施の形態では、燃焼キャビティ7’がほぼ四つ葉のクローバの形状を有している。しかし、温間変形加工法では燃焼キャビティのあらゆる任意の形状が実現され得る。
図8および図9は、図5および図6に示したピストン上側部分を示している。ピストン上側部分3''のピストン頂部6には、付加的にバルブリセス30が加工成形されている。
図4,図5,図6,図8および図9によるピストン上側部分3,3’,3''はピストン下側部分4(図示しない)と共に、回転され、互いに対して力をかけながら運動させ、載置領域20,21においてピストン上側部分3,3’,3''とピストン下側部分4とを接触させた状態で互いに摩擦溶接させるために、摩擦溶接装置内に緊締されて、図7に示されているように互いに対して位置決めされる。燃焼キャビティ7’が非対称にまたは偏心して形成されている場合、摩擦溶接時には、溶接工程の終了後に燃焼キャビティ7’がたとえばピン軸線2に対して明確に定義された回転位置を占めるように注意される。この場合、図1および図2に示されたピストン1が形成される。
最後の方法ステップの枠内で、リング溝部分9の溝がピストン外壁に加工成形され、図3および図4に示されているように、ピストン頂部6が平らに旋削加工される。さらに、ピストンの精密な輪郭およびボス穴が加工成形される。
1 ピストン
2 ピン軸線
3,3’3'' ピストン上側部分
4 ピストン下側部分
5 溶接シーム
6 ピストン頂部
7,7’ 燃焼キャビティ
8 環状壁
9 リング溝部分
10 支持部
11,12 スカートエレメント
13,14 ピンボス
15,16 ピン孔
17 載置部
18 環状リブ
19 環状エレメント
20 第1の載置領域
21 第2の載置領域
22 クーリングチャンネル
23 ピストン頂部6の外側の領域
24 ピストン上側部分の外側の領域
25 環状壁8の下側の端面
26 環状壁8の内側面27の下側領域
27 環状壁8の内側面
28 支持部10の載置面
29 内側のドーム領域
30 バルブリセス

Claims (5)

  1. 内燃機関用のピストン(1)の製造方法において、
    燃焼キャビティ(7,7’)を有するピストン頂部(6)と、半径方向外側で前記ピストン頂部(6)に一体成形された下方に向けられた環状壁(8)と、該環状壁(8)の半径方向内側に配置された、前記ピストン頂部(6)の下面に一体成形された環状の支持部(10)とを備えたピストン上側部分(3,3’3'')であって、前記環状壁(8)と支持部(10)との間にクーリングチャンネル(22)の上側部分が形成されるピストン上側部分(3,3’3'')を調質鋼から鍛造法により製造する方法ステップと
    互いに反対の側に位置する2つのピンボス(13,14)を介して互いに結合されている互いに反対の側に位置する2つのスカートエレメント(11,12)と、ピストン下側部分(4)の上面に配置された、前記ピンボス(13,14)に結合された環状の載置部(17)と、該載置部(17)の半径方向外側に配置された、前記スカートエレメント(11,12)に結合された環状に延びる環状リブ(18)とを備えたピストン下側部分(4)であって、前記載置部(17)と、前記環状リブ(18)との間に前記クーリングチャンネル(22)の下側部分が形成されるピストン下側部分(4)を鋼から鍛造法または鋳造法で製造する方法ステップと、
    ピストン上側部分(3,3’、3'')をピストン下側部分(4)に、一方では前記環状壁(8)と前記環状リブ(18)との互いに接触している載置面に沿って、他方では前記支持部(10)と前記載置部(17)との互いに接触している載置面に沿って溶接し、前記ピストン上側部分(3)と前記ピストン下側部分(4)とから形成される前記クーリングチャンネル(22)を閉じる方法ステップと、
    切削加工法を用いて前記ピストン(1)を仕上げ加工する方法ステップと
    を有する、内燃機関用のピストン(1)の製造方法において、
    前記ピストン上側部分(3,3’,3'')を製造するために、ピストン上側部分ブランクを温間変形加工法により600℃〜900℃で鍛造し、これにより前記燃焼キャビティ(7,7’)および/または前記クーリングチャンネル(22)の前記上側部分を更に加工することはなく、かつこれにより前記ピストン頂部(6)の半径方向外側の領域(23)と、前記環状壁(8)の半径方向外側の領域と、前記環状壁(8)の内側面(27)の下側領域(26)と、ピストン上側部分ブランクの前記支持部の前記載置面(28)とを、前記ピストン上側部分(3,3’,3'')の製造のために最後まで加工することを特徴とする、内燃機関用のピストン(1)の製造方法。
  2. 前記燃焼キャビティ(7,7’)のキャビティ縁部と前記クーリングチャンネル(22)との間で前記ピストン頂部(6)の領域の厚さが全周にわたって一定であるように前記ピストン上側部分(3,3’,3'')を鍛造する、請求項1記載の内燃機関用のピストン(1)を製造する方法。
  3. 前記温間変形加工後に前記ピストン上側部分ブランクを保護ガス雰囲気において調質する、請求項1または2記載の内燃機関用のピストン(1)を製造する方法。
  4. 前記ピストン上側部分(3’)に、非対称に形成されかつ偏心的に配置された燃焼キャビティ(7’)を加工成形する、請求項1から3までのいずれか1項記載の内燃機関用のピストン(1)を製造する方法。
  5. 前記ピストン上側部分(3'')に少なくとも1つのバルブリセス(30)を加工成形する、請求項1から4までのいずれか1項記載の内燃機関用のピストン(1)を製造する方法。
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