JP2014505763A - 光沢のある外観に改良するための自己析出被膜、及び該被膜を施す方法 - Google Patents

光沢のある外観に改良するための自己析出被膜、及び該被膜を施す方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、望ましい特性、例えば防湿特性を維持し、なおも光沢仕上げを実現することができる、外観改良のための自己析出被膜組成物を提供する。光沢を得るためにこの被膜上には追加の被膜は必要としない。光沢組成物は、連鎖移動剤を添加することにより、自己析出エポキシ分散体被膜の分子量分布を狭くし、分子量を低減することによって達成される。連鎖移動剤は、重合プロセスを用いて重合された少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー、硬化剤、及び過酸化物とFeF3とフッ化水素酸と成るスタータ組成物と混合されたエポキシ樹脂から形成されたチオール含有化合物である。スタータ組成物を排除することによって、販売に適した浴濃縮物が製造される。

Description

関連出願の相互参照
本発明は2010年12月20日付けで出願された米国仮出願第61/425,229号の優先権を主張する。
本発明は、金属と自己析出被覆浴との化学反応による、金属基材上にポリマー被膜の改善された外観を生成するための自己析出組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は平滑な高光沢被膜表面仕上げを提供するように変性された、自己析出被覆浴によって生成された光沢被膜に関する。
自己析出は約30年間にわたって鋼上で商業的に利用されており、現在はその利用が十分に確立されている。詳細に関しては、例えば米国特許第3,063,877号;同第3,585,084号;同第3,592,699号;同第3,674,567号;同第3,791,431号;同第3,795,546号;同第4,030,945号;同第4,108,817号;同第4,178,400号;同第4,186,226号;同第4,242,379号;同第4,234,704号;同第4,636,264号;同第4,636,265号;同第4,800,106号;及び同第5,342,694号の各明細書を参照されたい。エポキシ樹脂系自己析出被覆システムは米国特許第4,180,603号(Howell Jr.);同第4,289,826号(Howell Jr.);同第5,500,460号(Ahmed他)の各明細書:及び国際公開第00/71337号パンフレットに記載されている。自己析出のためのエポキシ−アクリルブレンド樹脂も米国特許第7,138,444号明細書に記載されてはあるが、しかしこれらの被覆が提供するのは低光沢の半艶消し仕上げである。これら全ての特許明細書及び特許出願公開明細書の開示内容は、これらが下記教示と特に矛盾することのない範囲で、参照することにより本明細書中に組み込まれる。
自己析出組成物は、液体、通常は水性の溶液、エマルジョン、又は分散体の形態を成しており、これらの中で、挿入された物体の活性金属表面が、付着樹脂又はポリマー膜で被覆される。この液体は、活性金属との接触がない状態では任意の樹脂又はポリマーの自然発生の析出又は凝集に対して長時間にわたって安定であるけれども、付着樹脂又はポリマー膜は、金属が浴内に留まるのが長ければ長いほど厚さが増大する。自己析出プロセスに用いられると、この組成物は硬化時にポリマー被膜を形成する。「活性金属」は、溶液又は分散液中に導入されると相当な速度で自然に溶解し始める金属として定義される。このような組成物、及びこのような組成物を使用して金属表面上に被膜を形成するプロセスは技術分野において、そして本明細書において、「自己析出(autodeposition)」組成物又は「自己析出する(autodepositing)」組成物、分散体、エマルジョン、懸濁液、浴、溶液、プロセス、方法、又は同様の用語として一般に表される。自己析出はしばしば電着と対比される。それぞれは同様の性能特性を有する付着膜を生成し得るものの、これらが生成される由来となる分散体、及びこれらが析出するメカニズムは明らかに異なる。電着は、被覆しようとする金属又は他の物体が、被覆が行われるように直流電流源と接続されることを必要とする。このような外部電流は自己析出では使用されない。
良好な耐食性をもたらすエポキシ−アクリル系システムを含む、現在商業的に利用可能な典型的な自己析出被膜は低光沢仕上げであり、そして表面にむらを有することがある。多くの業界において、自己析出プライマーの低光沢仕上げはその用途にとって完全に満足のゆくものであった。例えば従来の自己析出被膜は、光沢のある、「表面を見せる」外観を達成するために続いて塗料で被覆されることになっているプライマーとして使用されている。このような自己析出プライマー組成物は、防食、及び後続の被膜のための適切な密着性を必要とする数多くの技術的用途、例えば自動車構成部分、農機具、電気器具、ここで挙げるにはあまりにも多くの用途において利用されている。
或る特定の用途では、自己析出被膜は、上塗りの必要なしに使用されている。一般に、商業的に利用可能な自己析出被膜の性質が低光沢であることにより、この用途は、例えばショックアブソーバー、自動車シートトラックなどにおける、見せない表面に限定される。自己析出被膜はこれらの被膜事例において数十年間にわたって利用されているものの、良好な耐食性及び密着性を有する平滑な、光沢のある改善された外観は容易には得られなかった。後続の被覆作業を必要とすることのない自己析出被覆の改善された外観が望まれる場合がある。このような必要性は業界においては満たされていなかった。
従来技術において、有機溶剤中のエポキシ樹脂及びアクリルモノマーの溶液を調製することによって、自己析出用途のために使用される特定のエポキシ又はエポキシ−アクリル樹脂が一般に形成された。結果として生じた混合物を界面活性剤と一緒に水中で分散し、所望の粒径まで機械的に分散して、次いで重合した。高濃度の溶剤は自己析出被覆浴において望ましくないので、これらの溶剤リッチエマルジョンは、技術分野において知られている蒸留技術によって溶剤を除去することを必要とした。次いで結果として生じた重合された樹脂を他の成分と混合し、そして自己析出被覆浴の成分として使用することができた。浴は金属表面上に自己析出され硬化されると、ポリマー被膜を形成する。製造コストの増大を招いていたプロセス溶剤の必要性を排除及び/又は最小化する低溶剤/無溶剤エポキシ−アクリル自己析出被覆組成物が開発されている。しかしこれらのエポキシ−アクリル樹脂系被膜の外観はいくつかの欠点、例えば高い表面粗さ及び低い光沢を有していた。
上述のように、以前の自己析出調製物は、半艶消しの低光沢仕上げを受け入れることができる用途に限定されている。光沢のある改善された外観を達成するための従来の試みは特にエポキシ−アクリル組成物を用いた場合には、大きな成功を見なかった。金属に対して直接的なプライマー又は防食熱硬化性プライマー、例えば2成分ウレタン、2成分エポキシ、及び電着エポキシは、粘度が低いが故に、光沢のある平滑仕上げを有する単一相低分子量ポリマーシステムであるが、しかしこれらのシステムは端面耐食性能を欠いている。被膜の外観特性を向上させる従来の方法は、とりわけ流動添加剤、補助溶剤、又は可塑剤の使用を伴ったが、これらの解決手段は、被膜の揮発性有機化合物(VOC)含量及び環境維持性に影響を及ぼすことがある。
以前は、樹脂のエポキシ相及びアクリル相の特徴は相溶性がなく、このことが低光沢、艶消し、及び型押仕上げの被膜に関与していた。本発明は両相を相溶性にしようと努め、こうすることで、耐食性を損なうことなしに、また金属基材及び後から付与される任意の被膜に対する密着性を損なうことなしに、光沢を増大させ、粗さを低減することによって、結果として生じる被膜の美的特性及び外観全体の特性を高める。本発明の別の態様において、本発明の被膜は平滑であり高光沢であればあるほど、大幅に清浄化しやすくなり、そして道路上の自然条件によって容易に洗浄することができ、これにより場合によっては腐食を少なくすることができる。
これまで、自己析出被膜は、製造業者の要望を満たすほど十分な光沢及び平滑さを欠いているため、自動車の「見せる」表面のためには成功裡には使用されていない。特に低価格自動車市場において、耐食性能を損なうことなしに「見せる」表面を達成するための所要塗料層数を低減するという必要性が満たされていない。本発明の被膜はより高い光沢及び平滑さの両方を有しており、独立の被膜、例えば仕上げ被膜として使用することができる。特に低価格自動車市場において、このような被膜は、低廉な車体部品のために有用であり、これにより魅力的な、光沢のある被膜をより低いコストで顧客に提供することができる。
本発明はこれらの問題点に対処し、より高い光沢と平滑さとを備えた外観のための自己析出被膜、これらの付与用法、及び被膜付き物品を提供する新しい自己析出組成物及び浴成分のいくつかの態様を開示する。本発明による自己析出組成物は、連鎖移動剤の使用によって得られる変性エポキシ−アクリル樹脂を含む。連鎖移動剤を使用することによって、結果として生じる樹脂の重量平均分子量が低減され、また分子量分布が狭くなる。この樹脂は予期せぬことに、他の望ましい特性、例えば耐食性及び物理的特性、及び良好な防湿特性を維持しながら、光沢度及び平滑度を向上させた。
本発明の1態様において開示されるのは、改善された光沢外観及び平滑さと、密着性及び耐食性とが組み合わされた特性を自己析出被膜に提供する、自己析出組成物中に使用されるエポキシ分散体である。開示された組成物は、分子量分布範囲を狭くすることを含む。これは結果として生じる低分子量ポリマー全体とは事実上若干異なりはするものの、これらの2つの効果は本発明において相互に関連する。このようなより狭い分子量分布範囲は、バリア特性を著しく損なうことなしに、新しい光沢外観に関与する。
さらに、本発明は、エポキシ分散体中のエポキシ−アクリルハイブリッド粒子のエポキシ部分とアクリル部分とを相溶性にする新しい組成物及び新しい方法を開示する。この方法はエマルジョン粒子内部の2相間の微視的適合性を高め、ひいては光沢度及び平滑度、並びに外観特性全体を大幅に改善する。エポキシとアクリルとを相溶性にするという所望の結果を達成するために、本発明者は先ず、高分子量熱可塑性アクリル相の粘度特性に眼を向けた。それというのも、これは自己析出組成物中に使用されるミニエマルジョン重合粒子中の低分子量熱硬化性エポキシ相とは異なるからである。連鎖移動剤(chain transfer agents, CTA)、例えばチオール含有化合物を導入すると、性能に不都合な影響を及ぼすことなしに、分子量分布範囲が著しく狭められ、そして重量平均分子量が低減される一方、被膜の美的特徴が大幅に高められる。本発明のこの態様において、高分子量ポリマー形成を阻止することによって、分子量分布が狭められ、これにより分布範囲は低分子量範囲まで狭められる。
本発明のさらに別の態様において、我々は、チオールグリセリンで変性されたエポキシ−アクリルミニエマルジョン樹脂を基剤とする自己析出組成物で製造されたエポキシ−アクリル架橋型樹脂被膜を含む自己析出被膜を開示する。他のCTA添加剤を含有するエマルジョン及び/又は分子量低減アプローチで調製された被膜と比較すると、本発明は、より低いチオールグリセリンレベルでより高い光沢及び平滑さを提供した。
さらに、ミニエマルジョン重合プロセスは、本発明の組成物を得る上で重要な役割を果たす。従来のシード又はバッチエマルジョン重合アプローチにチオールグリセリンを導入したときには、ミニエマルジョンプロセスの利用時に観察されるものと同等の平滑で光沢のある表面はもたらされなかった。理由は、十分には分からないが、CTA、具体的にはチオールグリセリンと組み合わされたミニエマルジョンプロセスは、これらの態様のいずれか単独を用いては得られない、光沢及び平滑さを改善する上での予期せぬ相乗作用をもたらした。
本発明の他の態様において、我々は、チオールグリセロール、ドデカンチオール、エタンチオール、及び/又はこれらの組み合わせを含む種々のチオール含有化合物を使用して化学的に変性されたエポキシ−アクリルミニエマルジョン樹脂を含有する組成物を開示する。種々のチオール含有化合物で変性された種々のエマルジョンによって形成された自己析出被膜は、自己析出被膜表面の平滑さ及び光沢を改善する。チオグリセロールを使用して変性された被覆組成物は、自己析出ポリマーの流動及びレベリングを著しく改善する。このことは、周囲領域から流動することによって、ポリマーの析出が不十分な領域を被膜が覆うのを助ける。
本発明の1つの態様では、本明細書中に記載されたポリマー変性は、流動添加剤、及び可塑剤などを、ポリマー調製物から低減又は排除するのを可能にし、これにより、これらのタイプの添加剤を使用している間に生じる被膜システムの副作用、例えばVOCの導入、耐食性の低下、又はその他の有害な作用を回避する。
本発明の別の態様において、好ましくは鉄又は亜鉛金属表面を含む被膜付き金属基材であって、本発明による自己析出組成物、好ましくはチオグリセロール変性型エマルジョンを含む自己析出浴で被覆された基材が提供され、この基材は、前記エマルジョンの非変性バージョンと比較して平滑な表面を有している。チオグリセロール変性型被膜の60度入射光における光沢レベルは、未変性エポキシ−アクリルエマルジョン含有自己析出被覆組成物、例えばHenkel Corporation, Madison Heights, MIから商業的に入手可能な、60度入射光における光沢レベル約20〜30グロス単位を示すAquence 930と比較して、85グロス単位を上回ることが望ましい。
上述のように、本発明の数多くの態様は、エポキシ−アクリルミニエマルジョン自己析出組成物、例えばHenkel Corporation (Madison Heights, MI)からAquence 900シリーズとして商業的に入手可能な組成物に対する変性剤として、種々の連鎖移動剤を利用することを伴う。
これらの研究において、発明者は、全ての連鎖移動剤が等しく良好に働くわけではないことを見いだした。例えば、ミニエマルジョンプロセスにおいて周知の連鎖移動剤であるトリクロロメタンを試験すると、生成された樹脂の、結果としての自己析出被膜は光沢及び平滑さが不十分であった。同様に、樹脂製造プロセス、例えば従来のシードエマルジョン重合とともに連鎖移動剤を使用した場合には、光沢及び平滑さの著しい改善をもたらさなかった。
作業例以外、又は他に指示のある場合以外は、成分、反応条件、又は成分パラメータの定義の量を表す全ての数値は、全ての事例において「約」という用語によって修飾されるものと理解されるべきである。他に指示がない限り、全てのパーセンテージは重量パーセントである。分子量は、他に指定のない限り、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatograph, GPC)によって測定した重量平均分子量である。
図1は、例7(コントロール)の結果として生じる被膜の分子量分布範囲を、例2,4及び6の被膜と比較するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。 図1Aは、例7(コントロール)(TD-3002-BBロット39090)における結果として生じる被膜の分子量分布範囲のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。 図1Bは、例4(XQ3311-152aエマルジョン)の結果として生じる被膜の分子量分布範囲のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。 図1Cは、例2(XQ3311-152bエマルジョン)の結果として生じる被膜の分子量分布範囲のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。 図1Dは、例6(XQ3311-122bエマルジョン)の結果として生じる被膜の分子量分布範囲のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。
図2は、例3の結果として生じる被膜の分子量分布範囲を、例9と比較するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。 図2Aは、ミニエマルジョン重合生成物である例3(3372-137a エマルジョン;注入1;結果Id 15164)の結果として生じる被膜の分子量分布範囲のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。 図2Bは、例9(3379-64 エマルジョン;注入1;結果Id 15168)の結果として生じる被膜の分子量分布範囲のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。この調製物は例3と類似する、しかし非ミニエマルジョン重合によって形成された3372-137bであった。
樹脂製造のミニエマルジョン重合プロセスと、チオール系連鎖移動剤とを組み合わせることによって、結果として生じる自己析出被膜の光沢及び平滑さの予期せぬ改善が観察された。特に興味深いものとして、最良の結果をもたらすチオール含有化合物としては、限定されはしないが、チオグリセロール、ドデカンチオール、及びエタンチオールを含むチオール含有連鎖移動剤が挙げられる。
チオールは、自然の状態で酸性の有機硫黄化合物である。チオールの官能基は、硫黄原子が酸素原子と置換した状態のヒドロキシル基である。本発明のこの態様において、チオール置換型グリセロールは、分子量分布縮小化合物として作用し、表面の平滑な高光沢被膜を提供するように多くのエマルジョンを変性するために使用することができる。このようなチオール化合物は連鎖移動剤として利用することができる。連鎖移動剤は分子量を著しく低減し、分子量分布範囲を狭め、また、バリア性能に著しく不都合な影響を与えることなしに、被膜の美的特徴を大幅に向上させる。
1つの態様において、好ましくは任意の界面活性剤を添加する前に、チオグリセロールから成る連鎖移動剤を重合プロセスに添加した。チオグリセロール変性型エマルジョンで形成された自己析出被膜は、自己析出被膜表面の平滑さ及び光沢を改善する。チオグリセロールを使用した変性は、自己析出ポリマーの流動及びレベリングを著しく改善する。このことは、周囲領域からの流動を改善することによって、ポリマーの析出が不十分ないかなる領域をも被膜が覆うのを助ける。この技術によるポリマー変性は、流動添加剤、及び可塑剤などをポリマー調製物から低減又は排除するのを助けることによって、これらのタイプの添加剤を使用している間の被膜システムの副作用、例えばVOCの導入、耐食性の低下、又はその他の有害な作用を回避しつつ、自己析出被膜の流動及び平滑さを改善することもできる。
連鎖移動剤、例えばチオグリセロールは、室温でエマルジョンの有機部分(エポキシとエチレン系不飽和モノマーとのブレンド)に添加されてもよい。上記有機ブレンドを使用して、無溶剤ミニエマルジョンを米国特許第7,138,444号明細書の教示内容に従って調製し、続いて重合することによって、自己析出被膜を析出するための自己析出浴内で使用するのに適した自己析出組成物を形成する上で有用なエポキシ分散体を提供した。
チオグリセロールは、ミニエマルジョンの有機部分中に存在するエポキシ樹脂と反応することによって、追加の一次ヒドロキシル基を提供するという二重目的に役立つように見える一方、チオグリセロールはエチレン系不飽和モノマーの重合中に連鎖移動剤として作用し、これにより流動を改善するのを助けるアクリル部分の分子量を制御するだけでなく、分子量分布範囲をも縮小するようにも見え、このことは光沢外観を与える。ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析は、ポリマー分子量分布の低減、及びポリマーの重量平均分子量の低減を示した。いくつかの態様では、調製物中にチオグリセロールが添加されることによってポリマー中の高分子量種の量も低減される。
下記例は種々のチオール含有化合物を含む詳細な試験上の重量パーセントを提供するが、本発明の種々の態様は0.1%〜2.0%のチオグリセロール、0.01%〜4.0%のドデカンチオール、及び0.01%〜2.0%のエタンチオールを有効成分として含む。
本発明は、チオール含有物質を含む連鎖移動剤が添加されるエポキシ樹脂−エチレン系不飽和モノマーブレンドの成分に関する以下の記述によってより容易に理解される。好適なエポキシモノマーブレンドは、下記により詳細に説明する、チオールを含有する分子量低減連鎖移動剤との混合時に利用される。エポキシモノマーブレンドに適用可能なあらゆる種類のチオール含有変性を開示するための、例を挙げる。
少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に、必要に応じて潜伏性架橋剤及び/又は融合助剤と一緒に少なくとも1種のエポキシ樹脂を溶解するか又は溶解して分散し、次いで少なくとも1種の連鎖移動剤を添加することによって、本発明によるエポキシ樹脂−エチレン系不飽和モノマーブレンドが形成される。
本発明によれば、エポキシ分散体形成プロセスは、(a)エポキシ樹脂を少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーで分解することによって混合物を形成し、そして連鎖移動剤及び任意の成分を添加し;(b)工程(a)の混合物を、必要に応じて界面活性剤と一緒に水中に分散することにより、粗粒子分散体を形成してこれを機械的に分散することによってミニエマルジョンを形成し;そして(c)ミニエマルジョン中に含有される少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーを重合することによりエポキシ分散体を形成する、工程を含む。本明細書中に使用される「エポキシ分散体」という用語は、エポキシ樹脂−エチレン系不飽和モノマーのミニエマルジョン重合から生じる分散体を意味する。当業者には明らかなように、連鎖移動剤はエポキシ分散体中に組み入れられる。使用されるエポキシ樹脂及びエチレン系不飽和モノマーのタイプ及び濃度は、特定の性能特性、例えば耐食性、軟質性、端面保護を達成するために変化させることができる。使用されるエチレン系不飽和モノマーのタイプ及び濃度は、種々の顔料着色性タイプとの改善された適合性を提供するための手段として利用することもできる。
本発明において有用なエポキシ樹脂は、1つ又は2つ以上のヒドロキシル基を含有する1種又は2種以上のエポキシ樹脂に基づくことができる。このようなエポキシ樹脂はよく知られた物質であり、例えばThe Encyclopedia of Polymer Science and Engineering (第2版)第6巻の“Epoxy Resins”と題する章に記載されている。本発明による使用方法は、同じ分子内部に(i)1つ又は2つ以上のエポキシド基並びに(ii)1つ又は2つ以上のヒドロキシル基を含有するエポキシ樹脂に基づいている。好ましくは、使用されるエポキシ樹脂は1分子当たり1つ又は2つ以上のヒドロキシル基と、おおよそ2つのエポキシド基とを含有する。
エポキシ樹脂は、1,2−エポキシ部分が付着された中心有機部分のタイプによってしばしば記述される。このような中心部分の非排他的な例は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及び、1つ又は2つのNH部分がビスフェノール中の等しい数のOH部分に対して置換されたこれらの類似体から誘導された部分;ホルムアルデヒドとフェノール及び置換型フェノール及びこれらのアミノ類似体とのノボラク縮合物(縮合物は少なくとも2つの芳香族核を含有している);トリアジン;ヒダントイン;及び少なくとも2つのヒドロキシル部分及び/又はアミノ部分を含有する他の有機部分(それぞれの事例において、エポキシ樹脂分子中に存在するエポキシ部分と同じ数の水素原子が親分子中のヒドロキシ及び/又はアミノ部分から抹消されている)である。必要に応じて、1,2−エポキシド部分は1つ又は2つ以上の、好ましくはただ1つのメチレン基によって上記中心部分から分離されていてもよい。このようなモノマーのオリゴマーが、これら自体又は他の有機分子が少なくとも2つのヒドロキシル及び/又はアミノ部分をそれぞれ含有する状態で、中心有機部分として働いてもよい。
本発明に有用なエポキシ樹脂は、多価フェノール、例えばビスフェノールA(多価フェノールの特に好ましい種)、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、カテコール、及びレゾルシノールなどのグリシジルエーテルを含む。
主として経済的及び商業的利用可能性の理由から、本発明においてビスフェノールAから誘導されたエポキシ樹脂を利用することが一般に好ましい。より具体的には、本発明において利用されるエポキシ部分含有分子は、好ましくは一般化学式:
Figure 2014505763
(上式において、
Figure 2014505763
であり、「n」は0〜50の整数である)
に一致する。このようなエポキシ樹脂を本発明の樹脂成分として直接に使用しようとするならば、「n」は、それぞれの分子が少なくとも1つのヒドロキシル基を含有するように約1〜30の範囲内の整数であることが好ましい。このタイプの商業的に入手可能なエポキシ樹脂は通常、n値及びエポキシ基数が多少異なる分子の混合物である。好ましくは、使用されるエポキシ樹脂混合物の数平均分子量は約350〜約5,000、より好ましくは約400〜約3000である。好ましくは、エポキシ樹脂混合物中の1分子当たりのエポキシド基の平均数は1.7〜2.5、より好ましくは1.9〜2.1である。エポキシ樹脂混合物はn=0である樹脂分子を含有していてもよい。
他の好適なエポキシ樹脂は、鎖延長されたエポキシ樹脂、並びに軟化性エポキシ樹脂を含む。前者において、個々のエポキシ樹脂分子をこれらのエポキシ基を介して反応させるように鎖延長剤を利用することにより、開始エポキシ樹脂よりも平均分子量が高いポリマーを形成する。「軟化性エポキシ樹脂(flexibilizing epoxy resin)」は、ジエチレントリアミン(DETA)を用いるそれ自体の硬化の際に、45以下のデュロメーターショアD示度を有するエポキシ樹脂として定義することができる。好適な軟化性エポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1つのエポキシド基と、硬化された自己析出被膜の軟質性を高めることができる1つ又は2つ以上の基、例えば脂肪族長鎖(例えば構造−(CH2n−に相当するポリメチレン鎖。「n」は好ましくは3を上回り、より好ましくは6を上回る。ポリメチレン鎖は軟化性エポキシ樹脂の主鎖及び/又は主鎖に対する側鎖内に存在し得る)、ポリエステル鎖(特に脂肪二酸とグリコール又はグリコールオリゴマーとの縮合によって形成される鎖)、ポリオキシアルキレン鎖(例えば((CH2n−CHR−O−)m−、ここで「n」は0〜3、「m」は2以上、そしてRはH又はアルキルである)などを含有する化合物を含む。特に好ましい軟化性エポキシ樹脂は、エポキシ当量約350のカルダノール(カシューナッツ油から得られる長鎖不飽和炭化水素基で置換されたフェノール)から誘導される二官能性エポキシである。
好適なエチレン系不飽和モノマーの一例としては、ビニル芳香族炭化水素、例えばスチレン及び置換型スチレン、ビニル脂肪族炭化水素、エチレン系不飽和酸、例えばアクリル酸及びメタクリル酸、並びにこのような酸のアルキル及びヒドロキシル−アルキルエステルが挙げられる。非排他的な例は、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルメタクリレートを含む。アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、及びメタクリルアミドも適している。上記モノマーのいずれかの組み合わせを利用してもよい。
アニオン性官能基を有するエチレン系不飽和モノマーを使用するのが典型的である。アニオン官能性モノマーは、共重合によりエマルジョン又は水性溶液ポリマーにされると、イオン電荷の「結合(bound)」源を提供することによって、重合中、及び後続の自己析出組成物調製中の両方においてエマルジョンポリマー粒子を効果的に安定化する。提供される1つの利点は、外部界面活性剤の使用を最小化又は排除することである。加えて、これらのアニオン官能性モノマーは自己析出膜形成が生じるのに必要なポリマーに、スルフェート基又はスルホネート基の「結合」源を提供することができる。好適なアニオン官能性モノマーの一例としては、2−スルホエチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレン−スルホン酸、ビニルホスホン酸、ホスフェートモノマー、例えば、Rhodiaから入手可能なPAM−100及びPAM−200ホスフェートエステルモノマー、及びこれらのモノマーの対応塩が挙げられる。
1つの態様において、ホスフェートモノマー、例えば、Rhodiaから入手可能なPAM−100及びPAM−200、及びこれらのモノマーの対応塩をエチレン系不飽和モノマーの一部として使用することができる。PAM−100及びPAM−200のようなホスフェートモノマーの使用は、機械特性及び密着性の改善を可能にする。ホスフェートモノマーはエポキシ樹脂及びエチレン系不飽和モノマーの分散後、そしてモノマーの重合前又は重合中に添加されることが一般に好ましい。
本発明の別の態様では、ヒドロキシル官能性エチレン系不飽和モノマーを使用することができる。ヒドロキシル官能性エチレン系不飽和モノマーの使用は、ヒドロキシル反応性架橋剤又は硬化剤とともに使用されるとより大きな耐溶剤性を有する分散体を提供する。ヒドロキシル官能性エチレン系不飽和モノマーの非排他的な例は、2−ヒドロキシルメタクリレート、ヒドロキシルアクリレート、及びヒドロキシルプロピルメタクリレートを含む。
本発明の分散体及び被覆組成物は、硬化された被膜中に架橋ポリマーマトリックスを提供するためにポリマー最終生成物と反応し得る1種又は2種以上の物質を含有してもよい。本発明の1つの態様では、硬化剤(架橋剤と呼ばれることがある)の少なくとも一部は、一般的には組成物硬化段階中に遭遇する高い温度でエポキシ分散体最終生成物と反応するだけである。このような硬化剤は技術分野において「潜伏性」硬化剤又は硬膜剤と呼ばれることが多い。なぜならばこれらは通常の室温を十分に超えた温度に加熱された場合にのみ活性化されるようになるからである。物品表面上の析出前及び析出中にエポキシ樹脂又はエポキシプレポリマーの著しい架橋を回避し得るように、潜伏性硬化剤の使用が本発明では好ましい。金属物品の場合、約20℃〜約60℃の温度で析出が行われるのが一般的である。しかしながら所望の場合には、反応性がより高い少量の硬化剤を潜伏性硬化剤に加えて存在させることにより、物品上の析出前に部分架橋を達成することもできる。本発明の1つの態様において、少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーが重合される前に、少なくとも1種の潜伏性硬化剤、例えばブロック型イソシアネートが混合物中に組み入れられる。好ましいブロック型イソシアネートは、中程度の反応性を有するイソシアネート、例えば脂肪族イソシアネートと、より大きく立体障害された且つ/又はより高い酸安定性のブロッキング基、例えば6−アミノヘキサン酸及び/又はベンゾトリアゾールのラクタムから誘導された基とを含む。このような架橋剤のための標準的な焼付温度は160℃以上である。このような架橋剤の利用は、時期尚早の架橋が、一般的には周囲温度〜100℃の温度で行われる重合プロセス中に発生するのを回避する。Degussa CorporationのVestagon B1530は1つの代表例である。
好ましい架橋剤は一般に、エポキシ樹脂及び/又はエチレン系不飽和モノマー中に存在するヒドロキシル基及び/又は無傷のエポキシド基と反応することができるように選択される。ヒドロキシル基はエポキシ樹脂に固有のものである。それというのも、ヒドロキシル基はエポキシド開環時に、この開環がエポキシ樹脂進行中に発生するのか、又は被覆浴中の残留エポキシと酸、例えばHFとの反応によって発生するのかとは無関係に形成されるからである。ヒドロキシル基は、ヒドロキシル官能性エチレン系不飽和モノマーが使用される場合に付与することもできる。
本発明において使用される好適な架橋剤は、プロセスの硬化段階に見いだされる高温、例えば少なくとも100℃のエポキシ分散体中で、反応性エポキシ−アクリルポリマー上のエポキシド又はヒドロキシル部分と反応する。好ましい架橋剤は、ヒドロキシル基と反応し、また、自己析出浴組成物の比較的酸性の環境内に配置された場合にエポキシ−アクリルポリマー中にまだ存在し得る任意の未反応のエポキシド基と反応すると考えられる。このようなエポキシド基のほとんど又は全ては、おそらくは加水分解されることによってヒドロキシル基を生成する。さらに、たとえエポキシ基がこのようなものとして残留するとしても、通常は架橋反応、例えばエステル化、エーテル化、及びウレタン形成のために利用可能な少なくともいくつかのヒドロキシル基が存在することになる。
架橋剤は好ましくは、加熱された場合にのみエポキシ及び/又はヒドロキシルと急速に化学付加反応することができるが、しかし好ましくは100℃、120℃、130℃、140℃、150℃の温度ではこのような部分に対して反応性を僅かしか又は全く呈さない分子である。このような架橋剤は技術分野において潜伏性硬化剤と呼ばれることがある。好適な架橋剤の例は、(a)少なくとも2つのエポキシ及び/又はヒドロキシル反応性官能基、例えばチオール、ヒドロキシル、カルボキシル、及び無水カルボン酸を含有する分子、及び(b)少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する分子であって、それぞれのこのような基が従来のブロッキング剤でブロックされるか、又はウレトジオン構造を形成することによって内部ブロックされているので、ブロック型イソシアネート基はヒドロキシル基と室温では感知し得る速度で反応することはなく、100℃を超える温度まで加熱することによってブロック除去された後でこのような基と急速に反応する、少なくとも2つのブロック型イソシアネート基を含有する分子、を含む。ブロッキング基は任意の好適な脂肪族、脂環式、芳香族、又はアルキル芳香族モノアルコール、モノアミド、モノアミン、又はモノオキシムから誘導することができる。比較的低い温度、例えば120℃でのブロック除去が望まれる場合にケトキシムが有用である。ブロック除去が160℃以上でのみ、かなりの速度で始まることが望まれる場合、より大きく立体障害された且つ/又はより高い酸安定性のブロッキング基、例えば6−アミノヘキサン酸及び/又はベンゾトリアゾールのラクタムから誘導された基が好ましい。
イソホロンジイソシアネート系の、エプシロンカプロラクタムでブロックされたイソシアネートを架橋剤として使用することが特に好ましい。ブロック型イソシアネート・タイプの架橋剤が利用される場合、ヒドロキシ基に対するブロック型イソシアネート基の比(NCO:OH)は一般的には約0.05〜約1.2、より好ましくは約0.1〜約0.5となる。他の例としてはブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が挙げられる。
変性剤又は調整剤と呼ばれることもある連鎖移動剤は、連鎖停止及び再開反応に基づいてモノマーが比較的短い長さの鎖を形成することだけを許すことによって分子量を低減するように作用する。連鎖停止は、2つのフリーラジカルが反応してラジカル末端無しの新しい分子を形成するときに生じる。連鎖移動はラジカルが非ラジカル種と化学反応し、その結果、第1の種に結合されないさらに別のラジカル種をもたらす時に生じる。最も一般的には鎖末端ラジカルは、2つの結合部のうちの弱い方と結合しようとし、そして1つの原子が鎖末端に結合されるようになる。このことが生じると、現在の鎖形成が停止され、そして新しいラジカル末端の反応性に応じて、新しい鎖が発生することもしないこともある。これらの反応が行われると、モノマーからポリマーへの変換速度全体を変化させることなしに分子量が減少する。
連鎖停止反応を引き起こすために、チオールとして一般に知られているメルカプタンを含む多くの連鎖移動剤を反応混合物に添加してよい。本発明のこれらの種々の態様に適したチオールの代表としては、種々のチオール含有化合物、具体的にはとりわけチオールグリセリン、ドデカンチオール、エタノールチオールが挙げられる。これらの化学物質の組み合わせをいくつかの用途に利用してもよい。これらの連鎖移動剤は好ましさが増加する順に、少なくとも0.01,0.2,0.30,0.32,0.34,0.35,0.36,0.38,0.40,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9又は1.0%であり、そして好ましさが増加する順に、10.00,9.00,8.0,7.0,6.0,5.0,4.0,3.0,2.0,1.5%以下である、エポキシ樹脂−エチレン系不飽和モノマーブレンド中のチオール含有化合物の濃度で用いてもよい。これらの範囲のそれぞれはエマルジョン固形物を基準とする。あまりにも多くの連鎖移動剤を使用すると、エポキシ分散体が自己析出浴内で不安定になることがある。使用量があまりにも少ないと、エポキシ分散体中のエポキシ樹脂とエチレン系不飽和モノマーとを相溶性にするという所期効果が達成されなくなる。
分子量を低減するためにチオール含有化合物の意図的な添加を利用する時には、チオール含有化合物の濃度は好ましさが増加する順に、少なくとも約0.01%であり、そして10.00%以下であり、特に、好ましさが増加する順に、約0.1%〜約1.00%であってよい。これらの範囲のそれぞれはエマルジョン固形物を基準とする。開始剤を付加的に使用することに応じて、開始剤濃度の増大が耐食性能に不都合な影響を及ぼすほど大きくはないことを条件として、連鎖移動剤の量を低減することができる。
好ましさが増加する順に、前記ポリマーの少なくとも75,77,80,82,84,85,86,87,88,89,91,92,93,94,又は95重量%が、重量平均分子量として測定して約25,000〜1,000ダルトンの範囲内にあるように分子量分布を狭めるのに十分な量で少なくとも1種の連鎖移動剤が存在することが望ましい。
1つの態様の場合、本明細書中の連鎖移動剤の使用効果は、高分子量種、具体的には250,000ダルトンを超える分子量を有する種の量が、結果として生じたエポキシ分散体中で3%重量未満に低減されることによって示される。対照的に、米国特許第7,138,444号明細書に記載された従来技術のエポキシ分散体は約33重量%のこのような種を含有する。
一般に、本発明による自己析出組成物中に融合助剤成分が存在することが好ましい。この成分は好ましくは、グリコール、好ましくは少なくとも1つの末端ヒドロキシ基を有するグリコールのモノエーテル及びモノエステルから成る群から選択される。エチレングリコールのモノエーテルは容易に入手可能であり、ブリスター形成を低減する上で効果的ではあるが、しかし数多くの地域における公害防止法によって使用を制限され、またプロピレングリコールのモノエーテルよりも、本発明による生成物中に形成されるエマルジョンを不安定化させる確率が高いことも判っているので、プロピレングリコールのモノエーテル、特にプロピレングリコールのn−ブチル及びフェニルモノエーテルがこのクラスでは好ましい。グリコールモノエーテルを使用する場合には、本発明による自己析出液体組成物中のこれらのパーセンテージは、組成物中の総固形分の約5〜約30%、好ましくは約18〜26%の範囲内にあることが好ましい。
最終生成物中の最大耐食性が必要となる場合には、モノエステルはモノエーテルよりも好ましさが僅かに低いが、しかし低濃度では概ね効果的であり、従って経済及び/又は厳格な溶剤放出基準に対する遵守が最大限の耐食性よりも重要であるならば好ましい。特に好ましいモノエステルは2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ2−メチルプロピオネートである。このモノエステル及び他のモノエステルは使用する場合には好ましくは、総自己析出液体組成物の少なくとも0.5%の量で存在し、そしてより好ましくは約1〜10%、さらに好ましくは約2.5〜5%の量で存在する。
エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーの水中の分散は技術分野において知られている手順によって達成することができる。1つの態様では、エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーの水中の分散は、乳化によって達成される。エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーの水中の乳化は、技術分野において知られた乳化手順のいずれによってでも達成することができる。所望の結果は、エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーを含有するミセルの微粒子分散体である。エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーとともに、他の所望の被膜成分及び添加剤を乳化することができる。
1つの態様の場合、乳化手順は2段階プロセスを伴う。このプロセスにおいて、エポキシプレポリマー、エチレン系不飽和モノマー、及び任意の添加成分の溶液を水中に乳化することによって、エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーを含有するミセルの粗分散体を形成する。次いで粗分散体を機械的に分散することによって微粒子分散体を形成する。1つの態様では粗分散体に少なくとも1つの粒径微細化段階を施す。例えば、粗分散体には、粗分散体を狭いアパーチャに強制的に通す少なくとも1つの粒径精緻化段階を施すことができる。
1つの態様の場合、約6,000psi〜約15,000psiのチャンバ圧力を有するマイクロフルイダイザー又はホモジナイザー内で、エポキシプレポリマー、エチレン系不飽和モノマー、及び任意の添加成分をマイクロ流体化又は均一化する。本明細書中に使用する「マイクロ流体化」及び「均一化」は、エポキシプレポリマー、エチレン系不飽和モノマー、及び任意の添加成分の液滴サイズを低減するための機械プロセスである。エポキシプレポリマー、エチレン系不飽和モノマー、及び任意の添加成分は水中で液滴を形成する。液滴の平均直径はマイクロ流体化又は均一化の前では約1〜10ミクロンである。エポキシプレポリマー、エチレン系不飽和モノマー、及び任意の添加成分の平均直径は、マイクロ流体化又は均一化中に約1ミクロン未満に低減される。好ましくは、液滴平均直径はマイクロ流体化又は均一化中に約0.01〜約0.5ミクロンに低減される。マイクロ流体化中、エポキシプレポリマー、エチレン系不飽和モノマー、及び任意の添加成分を含有する混合物は好ましくは、700フィート/秒の速度で、約8,000psi〜約12,000psiの圧力下で小さなチャネルに通される。マイクロフルイダイザー又はホモジナイザーによって混合物に加えられる剪断力、衝突力、膨張力、及びキャビテーション力に関与する相互作用強度が、混合物中の液滴のサイズ及び分布を、そして最終的にはポリマー粒子のサイズを制御する。
好ましいマイクロフルイダイザーはMicrofluidics Corporationから入手可能である。好ましいホモジナイザーはAPV invensysから入手可能である。Microfluidicsのマイクロフルイダイザーの場合、混合物は特別に指定されたチャンバ内にポンプで供給される。このチャンバ内では、流体シートがそれぞれ1500フィート/秒及び16,000psiまでの極めて高い速度及び圧力で相互作用する。チャンバ内部に固定された微細流路は、強力な乱流を有する極度に集中的な相互作用のゾーンを提供し、キャビテーション力及び剪断力のさなかにエネルギーを放出させる。最も好ましくはMicrofluidicsのマイクロフルイダイザーは8,000〜12,000psiのチャンバ圧力に設定される。
1つの態様の場合、乳化剤、例えば界面活性剤を使用することによって、水中の分散体の形成を促進又は支援する。アニオン性界面活性剤が一般には好ましいが、両性並びに非イオン性界面活性剤を利用してもよい。異なる界面活性剤の組み合わせ及び混合物を使用することができる。本発明において使用するための好ましいアニオン性界面活性剤の1つのクラスは、一般式:
Figure 2014505763
に一致するエーテルスルフェートである。ここでMは、一価カチオン又はより高い価数のカチオンの一価部分、好ましくはナトリウム又はアンモニウム、より好ましくはアンモニウムを表す。pは、好ましくは2〜7の正の整数であり、そしてR''はアルキル又はアルキルアリール部分、より好ましくはアルキルフェノール部分を表す。独立して、R''の炭素原子数は好ましくは8 30であり、より好ましくは15 20である。他の好適な商業的に入手可能なアニオン性乳化剤はDowfax(商標) 2A-1(アルキル化ジフェニルオキシドジスルホネートのナトリウム塩);Abex(商標)26-5;Texapon(商標)E-12及びK-12;Rhodapex(商標)CO-128, -433及び-436及びEP-100, -110, -115, -120及び-227;Disponsil(商標) AES-13、及びAerosol(商標)OT (ジオクチル・スルホコハク酸ナトリウム)、及びStepanのPolystep(商標)B40を含む。
唯一の最も好ましいアニオン性乳化剤はラウリルスルフェートの塩である。活性アニオン性乳化剤の好ましい量は、固形分の総組成物重量を基準として約0.1〜約5wt%であり、好ましくは約0.7〜約2wt%である。好ましい態様では、重合可能なアニオン性界面活性剤を使用して、水中の分散体の形成を促進又は支援する。重合可能なアニオン性界面活性剤は業界では広く知られている。本発明において使用される重合可能なアニオン性界面活性剤に対する要件は、基がラジカル重合に関与し得ることに加えてアニオン性界面活性剤構造を有することである。利用時には界面活性剤は分散体中のポリマーに結合し、このことが安定性を改善し、所要の遊離界面活性剤のレベルを低減する。重合可能なアニオン性界面活性剤の非排他的な例は、アリルオキシヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、及びプロフェニル変性型ノニルフェノールエトキシレート硫酸塩、例えばHitenol A-10、Hitenol BC-10、及びHitenol BC-05 (DKS Internationalの製品)を含む。Hitenol BC-10、及びHitenol BC-05が特に好ましい。
本明細書中に具体化され幅広く記載された本発明の目的に従って、本発明はエポキシ分散体を形成する方法であって、この方法は:(a)エポキシ樹脂−エチレン系不飽和モノマーブレンドを形成し:(b)工程(a)の混合物を少なくとも1種の界面活性剤で分散することによって、微粒子分散体を形成し;そして(c)微粒子分散体中に含有された少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーを重合することによりエポキシ分散体を形成し、この際に工程(c)の前に少なくとも1種の水溶性開始剤及び/又は1種の有機溶解性開始剤を添加する、工程を含む方法を含む。
本質的に任意のタイプのフリーラジカル発生剤を使用して、モノマーの重合を開始することができる。例えば、フリーラジカル発生化合物、紫外光又は紫外線を使用することができる。ラジカル開始剤を添加することにより、分散体のエポキシ含有ミセル内部のエチレン系不飽和モノマーを重合するのを容易にすることもできる。エポキシプレポリマーと重合されたモノマーとの相対グラフト度は、もしこれがあるならば、開始剤タイプを注意深く選ぶことによって、特定の分子量及び特定の機能終点を可能にすることができる。開始剤は分散形成プロセスにおける種々の時点で添加してもよい。1つの態様の場合、開始剤は有機溶解性であり、エポキシプレポリマー及びエチレン系不飽和モノマーを水中で分散する前に有機相内に導入する。別の態様では、開始剤は水溶性であり、エポキシプレポリマー/エチレン系不飽和モノマーの混合物を水中で分散した後で導入する。別の態様では、有機溶解性開始剤及び水溶性開始剤を添加する。別の態様では、水性分散体が形成された後で有機溶解性開始剤を導入する。この態様の場合、有機溶解性開始剤を補助溶剤中に直接に添加するか又は溶解し、そして分散体中にドリップする。
好適な有機溶解性開始剤の非排他的な例は、過酸化物、ペルオキ酸シエステル、並びに有機溶解性アゾ化合物を含む。過酸化ベンゾイルが1つの好ましい例である。好適な水溶性開始剤の非排他的な例は、過酸化水素、tert-ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、ヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、又はリチウム)、又は過硫酸アンモニウム;アゾ開始剤、例えばアゾビスイソブチロニトリル又は2,2'−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)二塩酸;又はこれらの混合物を含む。過硫酸アンモニウム及びVazo 68 WSP (E.I. DuPont de Nemoursから入手可能)が2つの好ましい例である。1つの態様において、このような開始剤を還元剤と組み合わせることによってレドックス系を形成してもよい。還元剤の非排他的な例は、亜硫酸塩、例えばアルカリ金属のピロ亜硫酸塩、又は次亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、又はイソアスコルビン酸、又はホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを含む。本明細書中では一緒にしてレドックス・システムと呼ばれるフリーラジカル前駆体及び還元剤は、使用されるモノマーの重量を基準として約0.01%〜5%のレベルで使用してよい。レドックス・システムの非排他的な例は、t−ブチルヒドロペルオキシド/ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム/Fe(III);t−ブチルヒドロペルオキシド/イソアスコルビン酸/Fe(III);及び過硫酸アンモニウム/亜硫酸水素ナトリウム/次亜硫酸ナトリウム/Fe(III)を含む。別の態様では、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを使用して、過酸化物の不存在下で少なくとも1種のアニオン性界面活性剤、例えば硫酸塩及びスルホン酸塩とともに重合を開始する。この方法に由来するアニオン性末端基を組み入れる事によって、エマルジョン並びに対応自己析出浴の安定レベルが高められる。ノニルフェノールエトキシレート硫酸アンモニウム塩及びラウリル硫酸ナトリウムは2つの好適な非排他的な例である。
1つの態様において、エチレン系不飽和モノマーの重合は加熱を伴って実施される。種々様々な温度を採用することができ、特定の最適温度はそれぞれの開始剤によって変化する。一般に、過硫酸塩は約75℃〜約90℃の温度で処理される。過酸化物及びアゾ化合物の処理温度は一般に、半減分解速度が約1〜約120分となるように選択される。或いは、周囲条件又は近周囲条件で重合を実施し得るレドックス開始法も技術分野において広く知られている。
エポキシ樹脂と、エチレン系不飽和モノマーと、架橋剤と、添加成分とを合体させるための媒体として溶剤が使用されることがある。溶剤成分は大抵の場合、最終自己析出組成物に望ましい特徴を導くとは考えられない。溶剤成分は減圧下での蒸留によってエマルジョンから除去することができる。しかし多くの場合、溶剤は本発明による最終自己析出組成物の技術的利点を減少させることはなく、自己析出組成物中に残されてもよい。このような残留溶剤は、通常の場合、自己析出プロセス終了時の硬化段階において見いだされる温度上昇中に駆出されることになる。任意の溶剤は、(i)炭素原子数6〜10の芳香族炭化水素と、(ii)炭素原子数3〜8のケトンとの混合物である。好ましくは、材料を混合するために使用される溶剤の量は、水を含まない成分の総重量の少なくとも10wt%である。最も好ましい溶剤はトルエン及びメチルイソブチルケトン(MTBK)である。
本発明による自己析出組成物は、本明細書中に記載したエポキシ分散体を水中に含み、数多くの追加の成分を含有してもよい。このような追加の成分は充填剤、殺生剤、発泡制御剤、顔料、及び可溶性着色剤、流動制御又はレベリング剤を含む。これらの種々の成分の組成物は、従来のエポキシ樹脂系自己析出組成物、例えば米国特許第5,500,460号及び同第6,096,806号及び米国出願番号09/578,935号の各明細書(これらの教示内容は参照することによって本明細書中に組み込まれる)に記載されている組成物中に使用される対応成分の濃度に従って選択することができる。
好適な流動制御添加剤又はレベリング剤は例えば、被膜技術分野において知られているアクリル(ポリアクリレート)物質、例えばSolutiaによって商標MODAFLOWTMで販売されている製品、並びに他のレベリング剤、例えばBYK-310(BYK-Chemie)、PERENOLTM F-60(Henkel)、及びFLUORADTM FC-430(3M)を含む。
本発明による組成物のために、他の自己析出液体組成物における同様の使用にとって申し分のないものとして確立された材料から、顔料、充填剤成分、又は可溶性着色剤を一般に選択することができる。好適な材料は、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、ハンザイエロー、及び/又はベンジジンイエロー顔料、酸化剤、及び酸安定二酸化チタンなどを含む。
自己析出によって金属基材を被覆するのに適した自己析出被覆浴組成物を調製するために、上記エポキシ分散体を、少なくとも1種の自己析出促進剤成分と組み合わせることができる。自己析出促進剤成分は、浴組成物と接触した金属基材の表面から活性金属(例えば鉄)を溶解させることができる。好ましくは、存在する促進剤の量は、温度20℃で接触面1平方デシメートル当たり1時間当たり少なくとも約0.020グラム当量の金属イオンを溶解するのに十分な量である。好ましくは、標準的な水素電極よりも少なくとも100ミリボルトだけ高い酸化性を有する酸化還元力を浴組成物に与えるのに効果的な濃度で利用される。自己析出促進剤成分は好ましくは、フッ化水素酸及びその塩、フルオロケイ酸及びその塩、フルオロチタン酸及びその塩、鉄イオン、酢酸、リン酸、硫酸、硝酸、過酸化水素、ペルオキシ酸、クエン酸及びその塩、及び酒石酸及びその塩から成る群から選択される。より好ましくは、促進剤は、(a)総量が少なくとも0.4g/Lのフッ化物イオン、(b)少なくとも0.003g/lの量の溶解された三価鉄原子、(c)自己析出組成物に少なくとも1.6であり、そして約5以下のpHを与えるのに十分な量の水素イオン源、及び必要に応じて(d)過酸化水素を含む。
フッ化物イオン並びに適切なpHの両方のための源として、フッ化水素酸が好ましい。フッ化鉄はフッ化物イオン並びに溶解された三価鉄の両方を供給することができる。HF及びFeF3から成る促進剤は、本発明における使用に特に好ましい。
本発明による被覆プロセスは好ましくは、(a)活性金属表面を備えた物品と前述の自己析出組成物とを、プレポリマー膜の形成を引き起こすのに十分な時間にわたって接触させ(この膜は、自己析出浴組成物の特定の他の成分、具体的には金属表面上に所定の厚さを有する架橋剤を含有してもよい)、(b)被覆された金属表面を、自己析出浴組成物との接触から分離し、(c)被覆された金属表面を水洗することによって、浴組成物のうち吸着されたが、付着されなかった成分を、被膜のより多く付着した部分から取り除き、そして(d)水洗済みの表面を加熱することにより、最終硬化された被膜を形成する、工程を含むことになる。理論によって縛られたくはないが、ウェット付着被膜が加熱されると、エポキシ分散体中に存在するエポキシ樹脂と架橋剤とが反応することによって熱硬化性ポリマーマトリックスを形成すると考えられる。
通常、自己析出組成物を付与する前に、金属表面を脱脂して、水で水洗することが好ましい。本発明に従って処理されるべき金属表面を清浄化して脱脂する従来の技術を本発明のために用いることができる。水による水洗は流水に晒すことによって行うことができるが、しかし通常は10〜120秒間、又は好ましくは20〜60秒間にわたって、通常の周囲温度の水中に浸漬することによって行うことになる。
金属表面と本発明の自己析出組成物とを接触させるためには任意の方法を用いることができる。例は浸漬(例えばディッピング)、噴霧又はロール塗布などを含む。浸漬が通常は好ましい。
好ましくは、活性金属表面と本発明の自己析出浴組成物との接触は、約0.5〜約10分間、より好ましくは約1〜約3分間の時間にわたって行われる。接触は好ましくは、約10〜約50ミクロン(好ましくは約18〜約25ミクロン)の最終膜厚を生成するのに十分に長い時間にわたって行われることが好ましい。
必要に応じて、被覆された膜内に追加の望ましい反応を引き起こすことができる、又は膜の変性を引き起こすことができる試薬が、ウェット被膜表面と自己析出浴組成物の大部分との接触の中止後に使用されるリンス剤中に含まれていてよい。このような試薬は,水単独で水洗した後にウェット被膜と接触させてもよい。本発明の自己析出浴組成物は一般に、良質の最終膜を提供するために水道水又は脱イオン水で単純水洗した後に加熱することができるウェット被膜を生成するものの、アルカリ土類金属化合物、例えば同一所有者の特許第6,613,387号明細書(全体的に参照することによって本明細書中に組み入れられる)に記載されているような硝酸カルシウムを含む水溶液で水洗することによって硬化された被膜の耐食性をさらに改善することもできる。
水洗を施されたウェット被覆された、必要に応じて後処理された自己析出膜の最終加熱は好ましくは100℃を上回る温度で行われる。硬化温度は、潜伏性架橋剤と、自己析出された膜内に存在するエポキシ分散体のエポキシ反応性官能基及びヒドロキシル反応性官能基とを反応させるのに十分に高くなければならない。一般に最終加熱温度は、約3分間〜約60分間、より好ましくは約10分間〜約30分間にわたって、少なくとも100℃〜約300℃、より好ましくは130℃〜約240℃の温度で、被膜を乾燥させて硬化させるように選択される。
加熱は所望の場合には複数の段階で実施することができる。例えば、約5〜約15分間にわたって継続する第1段階において、被覆された基材をピーク温度約55℃〜約65℃に加熱することによって、被膜内の残留水のほとんどを蒸発させ、そして約30〜約50分間にわたって継続する第2段階において、被覆された基材をピーク温度約175℃〜約195℃に加熱する。ピーク温度は好ましくは、第1加熱段階が完了した後、好ましくは約10分以内で到達する。
本発明による被膜はまた同時硬化プロセスと適合性がある。このプロセスでは、脱水された未硬化の自己析出された被膜に塗料を付与し、2つの層を一緒に硬化させる。例えば国際公開第2009/088993号パンフレットを参照されたい。
本発明において使用される自己析出組成物は、種々の構成部分、例えば自動車シート構成部分及び自動車構成部分、例えばショックアブソーバー、ジャッキ、リーフスプリング、サスペンション構成部分及びブラケットなど、及び家具の構成部分、例えば引き出しレールなどの鉄、亜鉛、鉄合金及び亜鉛合金、そして特に鋼部分の表面を処理するために使用することができる。自己析出被膜は、摩耗及び表面衝撃を被る屋内金属家具、例えばファイリング・キャビネット、ファイリング棚、デスクなどに特に適している。
重合された化合物の分子量を低減することにより、被覆をウェットアウトすることができ、より高光沢の外観が生じる。発明の背景において上述したように、光沢のある自己析出組成物被膜のための、特に新興国で製造される自動車のための多くの新しい用途がある。そこで望まれるのは自己析出被膜だけであって、後に続くものはない。そのような場合、光沢自己析出被膜がこれらの国の規格に間に合うものであり得るならば、本発明はそれを実現することができる。
ASTM標準規格試験D523は、光沢を測定するための標準規格試験である。下記例において、60度に関する光沢値が記載されている。これはASTM標準規格試験D523試験法に由来する測定値である。この試験法は、60°の角度で反射した光を測定した時の乾燥エマルジョン床磨き剤膜の光沢の差を評価するために用いられる。この試験法は、基材への付与後の膜の60°鏡面光沢の割り出しに範囲が及ぶ。鏡面光沢は、光沢感をもたらすいくつかの関連外観特質の1つである。
Henkel Corporationから商業的に入手可能なAquence 900 Series ミニエマルジョンを使用し、重合手順を利用して、自己析出ミニエマルジョンのベース、被覆浴を調製し、そして結果として生じる基材を処理して評価する方法を以下に示す。
攪拌器、窒素導入口、コンデンサ、及び滴下漏斗を備えた2リットルの清浄な4つ口フラスコに、a)171.4グラムのエポキシ樹脂(ER)(エポキシ当量約900の固形エポキシ樹脂)、及びb)21.8グラムのブロック型イソシアネート(BI)(イソホロンジイソシアネートのカプロラクタム・ブロック型イソシアヌレート)をフラスコに添加した。c)56.5グラムのスチレン(STY)と、d)51.0グラムのn−ブチルアクリレート(BA)と、e)2.8グラムのメタクリル酸(MAA)と、f)6.4グラムのヒドロキシルエチルメタクリレート(HEMA)と、g)54.5グラムのメチルメタクリレート(MMA)と、h)14.6グラムのエステルアルコール(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートプロピオン酸)(EA)との均一混合物をフラスコに添加し、そしてエポキシ樹脂(エポキシ当量約900の固形エポキシ樹脂)(ER)とブロック型イソシアネート(イソホロンジイソシアネートのカプロラクタム・ブロック型イソシアヌレート)(BI)とが溶解されるまでこれを混合した。i)16.8グラムのアニオン性界面活性剤(アンモニウムラウリルスルフェート)(ALS)28%NV)とj)578.1グラムの脱イオン水(DI)との均一混合物を混合しながら10分間にわたってフラスコに添加した。粗分散体をフラスコから除去し、そして9000〜10,000psiでM-110 Microfluidizer(登録商標)(Microfluidics Corporationの製品)に通すことにより100nm〜500nmの微粒子分散体ミニエマルジョンを形成した。平均粒径はほぼ250nmと測定された。
攪拌器、コンデンサ、及び窒素導入口を滴下漏斗とともに備えた2リットル・フラスコ内に、窒素雰囲気下で微粒子分散体又はミニエマルジョンをローディングした。次いで、k)0.25グラムの1%硫酸鉄、l)0.12グラムのホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(SFS)、及びm)5.0グラムの脱イオン水の混合物をそれぞれ、混合しながらフラスコ内に添加し、次いでフラスコの内容物を55℃まで加熱した。n)1.2グラムのホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムとo)10.2グラムの脱イオン水との混合物を次いで3時間にわたって均一な速度でフラスコに添加した。添加期間の途中で、p)1.8グラムのt−ブチルヒドロペルオキシド(t−B)とq)10.2グラムの脱イオン水との混合物を3時間にわたって均一速度で添加した。これらの添加中、次いでフラスコの内容物を65℃に加熱した。
添加が完了したら、フラスコ内容物を1時間にわたって65℃で維持した。最終測定固形物は36.4重量%であった。
1リットル被覆浴の調製
アニオン変性型エポキシ/アクリルエマルジョン及びカーボンブラック顔料スラリーを作成するための第1段階において、120.0gのアニオン変性型エポキシ/アクリルエマルジョンに、40.5%固形分の4.4gのブラック顔料スラリーを添加した。これらの材料は10〜60分間にわたって混合させておいた。次いで、自己析出浴を1.0リットル容器内で調製し、これに40.0gの商業的に入手可能なスターター(Starter) 300(過酸化水素、FeF3、及びHFを含む)、及び833.6gの脱イオン水(DI)を攪拌しながらゆっくりと添加した。最後に我々は残りの量の水を添加し、そして常に攪拌下で浴を維持しつつ1時間にわたって浴を混合した。浴パラメータは:
酸化還元値 275〜425mV
Lineguard 101メーター示度 100〜350マイクロアンペア
総非揮発分% 1〜10%
ウェット被覆剤固形分 20〜50%
Starter滴定 5〜40ml
浴温度 20〜25°F
導電率 1,200〜4,500マイクロシーメンス
であった。
被覆:
被覆のための標準的な手順に従って、パネル:冷間圧延鋼(CRS)パネルを次のように浴内で被覆した。
A. 清浄化
B. 温水洗
C. 脱イオン水洗
D. Aquence 処理浴による処理
E. 水洗
F. Aquence(登録商標)リアクションリンス剤による処理
これらのパネルを10〜40分の炉時間にわたって50〜200℃で炉硬化した。
評価:
パネルを評価するためのプロセスは次の通りである:
乾燥膜厚はCRS 15〜25μmであった。
膜光沢測定:
光沢をHoriba Gloss meter 600で測定する。値が高いほど、より高光沢仕上げであることを示す。例の結果における光沢示度を測定するために、光沢測定単位は基準ASTM D1455及び/又はD523試験手順を利用し、我々はこれらの手順に従った。種々の環境のもとで光沢を測定するために、我々は60,20又は85度の角度の入射光を送ることができた。
相対値を次のように測定することができる。
高光沢>80、好ましくは>90
中光沢>40
低光沢艶消し仕上げ<30
Figure 2014505763
膜平滑度測定:
粗さチェッカー、すなわちTaylor Hobson PrecisionによるSortronic 25で膜平滑度を測定した。平滑値Raをマイクロメートル(μm)で測定する。値が低ければ低いほど、より平滑な仕上げであることを示す。
浴組成物と同様に浴濃縮物を調製することができるが、しかし浴濃縮物は、販売又は配送のために、商業的に利用可能な「スターター(Starter) 300」の一部として含まれている過酸化物、FeF3、又はフッ化水素酸を含まない。浴濃縮物は被覆組成物と同様に形成されてもよいが、しかしこれらの3つの化学物質が含まれない状態で形成される。むしろ、スターター(Starter) 300成分、すなわち過酸化物、FeF3、及び/又はフッ化水素酸を除いて、被覆組成物に関連して上に挙げた化学物質全てが含まれることになる。これを濃縮物に添加し、そして水で希釈することにより、本発明による自己析出のための浴組成物を形成することができる。濃縮物の濃度はいずれの場合にも浴組成物の2〜20倍超濃縮されていてもよい。
それぞれの例に対して、エマルジョンプロセス、被膜調製手順、及び被膜付与は、他の断りのない限り、上記のように進められる。これらのパラメータを念頭に置いて、我々はここで本発明に基づいて改善された例に目を向ける。
例1(3311−54)
この例では、我々は0.5%チオールグリセリンでベース・ミニエマルジョン(上記のHenkel CorporationのAquence 900 Series)の分子量分布を改善するためにチオールグリセリンの変性剤を添加した。
項目(i)アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸アンモニウム)(ALS)及び(j)(DI水)の直前に2.0gのメルカプタン(チオールグリセリン)(TG)を添加し、そして10分を超える時間にわたって混合を続けさせておいた。エマルジョンプロセスの残り、被膜調製手順、及び被膜付与は上記のように進められた。
硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):92
Ra値:0.3μm
例2(3311−152b)
この例において、我々は0.35%チオールグリセリンでミニエマルジョンを変性するために新しい濃度のチオールグリセリン変性剤を添加した。
Figure 2014505763
項目(i)及び(j)の添加直前に1.42gのチオールグリセリンを添加し、そして10分を超える時間にわたって混合を続けさせておいた。硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):92
Ra値:0.3μm
例3(3372−137a)
この例において、我々は僅か0.2%チオールグリセリン(0.2% TG)でミニエマルジョンを変性するために異なる濃度のチオールグリセリン変性剤を添加した。
Figure 2014505763
例1と同じプロセスに従うが、ただし項目(i)は異なるアニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)(SDS)に置き換えた。
硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):90
Ra値:0.5μm
例4(3311−152a)
この例において、我々は0.7%ドデカンチオールでミニエマルジョンを変性するために新しいドデカンチオール変性剤を添加した。表3を参照されたい。
Figure 2014505763
加えて、項目(i)を16.3gのラウリル硫酸ナトリウム−アニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)(SLS)に置き換えた。項目(i)及び(j)の添加直前に2.6gのドデカンチオール(Aldrich)を添加し、そして10分を超える時間にわたって混合した。硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):68
Ra値:0.5μm
例5(3311−133a)
この例において、我々は0.25%エタノールチオールでミニエマルジョンを変性するために新しいエタノールチオール変性剤を添加した。表4を参照されたい。
Figure 2014505763
ここでもまた、項目(i)を12.8gのアニオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)(SLS)に置き換え、そして項目(i)及び(j)の添加直前に0.63gのエタンチオールを添加し、そして10分を超える時間にわたって混合した。硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):49
Ra値:0.8μm
例6(3372−122b)
この例において、我々は高次の第三ブチル過酸化水素開始剤及びアスコルビン酸還元剤(Vc)でミニエマルジョンを変性するために開始剤及び還元剤を添加した。表5を参照されたい。
Figure 2014505763
項目(n)及び(p)を3.6グラムのアスコルビン酸及び5.1gのt−ブチル過酸化水素に置き換えた。
硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):75
Ra値:0.47μm
例7(対照39090)連鎖移動剤(CTA)なし
Figure 2014505763
硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):10〜20
Ra値:1.0〜1.4μm
例8
図1は、比較例である例7の分子量分布範囲を、例2,4及び6と比較するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析を示す図である。注目すべきなのは、上側の図である図1Aにおける例7のコントロール組成物の分子量分布が、望ましくないほどに広い分布を示しているのに対して、3つの例4,2及び6は、それぞれ下方に向かって図1B,1C及び1Dに対応して、大幅に密な分子量(MW)分布を示していることである。
GPC結果は、例2,4及び6における変性が、分子量及び多分散性、又は分子量分布を例7の対照と比較して著しく縮小したことを示している。低分子量を分子量分布と比較する表7を参照されたい。
Figure 2014505763
例9
異なる重合プロセスによる3379−64組成物と指定された3372−137b調製物を、0.2%メルカプタン(チオールグリセリン)(TG)とともにレギュラーシードエマルジョン(すなわち非ミニエマルジョン)重合に添加した。
レギュラーシード(すなわち非ミニエマルジョン)調製:
攪拌器及び窒素導入口を備えた2リットルの清浄な4つ口フラスコに、1グラムのアニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)(SDS)及び300グラムの脱イオン水を添加した。4.0グラムのブチルアクリレートと、3.0gのメチルメタクリレートと、5.0gのスチレンとの混合物を上述のフラスコ中にローディングし、そして10〜20分間にわたって攪拌した。次いで、我々は0.3gの過硫酸ナトリウムを10.0gの脱イオン水中に溶解し、その混合物を上記フラスコ内に添加した。フラスコを窒素ブランケット下で30〜60分間にわたって75℃まで加熱した。
プレエマルジョン調製:
80.0gのBA、72.0gのMMA、115.0gのsty、6.0gのMAA、15.0gのHEMA、0.67gのTG90、3.5gのアニオン性界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)(SDS)、185.0gのDI水、及び1.14gのt−BHPOを秤量して清浄な容器(1ガロンHDPEプラスチック)内に入れる。十分に混合し、そして比較的安定なプレエマルジョンが形成されるまで強力に振盪させた。
還元剤供給:0.8gのSFSを25.0gのDI水中に溶解し、シリンジ自動供給ポンプ内に入れる。
チェイサー:0.2gのSFSを5.0gの水中に、そして0.28gのt−BHPOを5.0gのDI水中に別個のビーカー内で溶解する。
重合
プレエマルジョン及び還元剤を別個のフィードポンプで3時間の供給時間にわたってフラスコ内に60℃で供給する。供給が完了したら30分間保持する。10分間にわたってチェイサーを添加する。さらに2時間、60℃で保持する。エマルジョンの%NVは35.8であった。
硬化された被膜付きパネル上の結果:
光沢(60°):62
Ra値:1.04μm
例3及び例9を同じモノマー組成物を使用して調製した。両方とも同じローディング時にチオールグリセリンを含有した。他方において、異なるプロセス、すなわちミニエマルジョン対レギュラーシード(すなわち非ミニエマルジョン)重合を用いてエマルジョンを調製した。
Figure 2014505763
図2:例3と例9とから得られた被膜の分子量分布範囲を比較するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)分析が示すように、例3の被膜は著しく高い光沢示度、及びより平滑な表面を意味するより小さなRa値をもたらす。我々の試験結果は、本発明の結果としての被膜の光沢度及び平滑度が対照組成物よりも大幅に高められることを示す。光沢値は一貫して90GUを上回り、上記図は、これらの値が「高光沢」であると考えられることを示している。この高光沢値は、防湿保護を含む他の望ましい特性を犠牲にすることなしに光沢のある自己析出被膜を形成するのに好適であり且つ望ましい新しい組成物を意味している。これはいくつかの用途にとって極めて有利である。

Claims (10)

  1. (i)エポキシ樹脂;(ii)ミニエマルジョン重合プロセスを用いて少なくとも1種の連鎖移動剤の存在下で重合される少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー;(iii)必要に応じて、少なくとも1種の潜伏性硬化剤;及び(iv)必要に応じて、融合助剤、
    を含む少なくとも1種のエポキシ分散体;
    水を含んで成る外観改良のための自己析出組成物であって、
    前記エポキシ分散体の分子量分布が、重量平均分子量として測定され、前記エポキシ分散体の少なくとも75重量%が約25,000〜1,000ダルトンの範囲にある、外観改良のための自己析出組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂が、一般化学構造:
    Figure 2014505763
    (上式において、
    Figure 2014505763
    であり、nは0又は1〜50の整数である)
    に一致する1種又は2種以上のエポキシ樹脂から誘導される、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記エチレン系不飽和モノマーが、ビニル芳香族炭化水素、スチレン、置換型スチレン、ビニル脂肪族炭化水素、エチレン系不飽和酸、アクリル及びメタクリル酸、エチレン系不飽和酸のアルキル及びヒドロキシル−アルキルエステル、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記連鎖移動剤が、チオールグリセリン、ドデカンチオール、エタノールチオール、トリクロロメタン、及びこれらの組み合わせを含むチオール含有化合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  5. チオールグリセリン、ドデカンチオール、エタノールチオール、トリクロロメタン、及びこれらの組み合わせを含む前記チオール含有化合物のチオール含有化合物濃度が、好ましさが増加する順に、少なくとも約0.01%であり、そして10.00%以下である、請求項4に記載の組成物。
  6. (i)エポキシ樹脂;(ii)ミニエマルジョン重合プロセスを用いて少なくとも1種の連鎖移動剤の存在下で重合される少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー;(iii)必要に応じて少なくとも1種の潜伏性硬化剤;及び(iv)必要に応じて融合助剤を含む少なくとも1種のエポキシ分散体;
    水;及び
    促進剤成分を含んで成る外観改良のための自己析出被覆浴組成物であって、
    前記エポキシ分散体の分子量分布が、重量平均分子量として測定され、前記エポキシ分散体の少なくとも75重量%が約25,000〜1,000ダルトンの範囲である、外観改良のための自己析出被覆浴組成物。
  7. 前記エポキシ樹脂が、一般化学構造:
    Figure 2014505763
    (上式において、
    Figure 2014505763
    であり、nは0又は1〜50の整数である)
    に一致する1種又は2種以上のエポキシ樹脂から誘導される、請求項6に記載の組成物。
  8. 光沢外観を与えるために自己析出エポキシ系被膜組成物で金属基材を被覆する方法であって:
    先ず前記基材を清浄化し、そして水洗し、続いて脱イオン水洗工程を行い;
    請求項6に記載の自己析出浴組成物で処理し、そして水洗し;
    必要に応じてリアクションリンス剤で処理すること
    によって浴内で金属基材の被覆を達成し;そして
    被膜付き金属基材を形成するために50〜200℃の高温で10〜40分の時間にわたって炉硬化する
    ことを含む、金属基材を被覆する方法。
  9. 請求項8に記載の方法に従って被覆された被膜付き金属基材を含む製造物品。
  10. ASTM D−523に基づく光沢が少なくとも80のエポキシ−アクリルハイブリッドポリマー自己析出被膜が析出された金属基材を含む製造物品。
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