JP2014503028A - 弾性ナノ複合体、ナノ複合体組成物およびこれらの製造方法 - Google Patents

弾性ナノ複合体、ナノ複合体組成物およびこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

弾性ナノ複合体は、(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含む、少なくとも1種のエラストマー;(b) 少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラック;および(c) 少なくとも1phrのナノクレーを含み、ここで該ナノ複合体をある物品に用いる場合、該物品は、40℃において、80.0cc*mm/[m2-日]なる気体透過係数を持つ。該カーボンブラックは、これと該ナノクレーとの間の相互作用を減じるために、黒鉛化することができる。該弾性ナノ複合体は、該黒鉛化カーボンブラックを使用し、または使用することなしに、該組成物内の該ナノクレー小板を配向させて、該配向ナノクレー-含有弾性ナノ複合体に、0.15を越える配向パラメータを持たせるような方法で、カレンダリングまたは押出し処理することができる。

Description

本発明は、弾性ナノ複合体、該弾性組成物を含有する組成物、ナノ複合体の製造方法、および物品における該ナノ複合体の使用に関する。より詳しくは、本発明は、改善された性能特性およびブレンディング適性を持つ、C4〜C7イソオレフィンを主成分とするナノ複合体の提供を目的とする。
主としてイソブチレン単位を含むゴム状コポリマーは、その低い気体透過性、固有の制動、防振性、および低い表面エネルギーの故に周知であり、これらの諸特性は、このようなコポリマーを、タイヤ用インナーライナー等の用途において極めて望ましいものとしている。最終的な用途における他のエラストマー成分とのより良好な相溶性または同時-硬化性を持たせるためには、不飽和コモノマーおよび/または反応性官能基を含むコモノマーを、該イソブチレン系ゴム状ポリマーに導入する。これまでに知られているコモノマーは、例えばイソプレンおよびp-メチルスチレンを含む。該コポリマーを部分的にブロム化して、より良好な相溶性を得ることも可能である。
タイヤ工業では、タイヤチューブおよびインナーライナーにおいて使用されるエラストマーのバリヤー性を高めたいとの要望がある。弾性ナノ複合体が、この要求を満たすために開発された。ナノ複合体は、少なくとも一次元においてナノメータ範囲のサイズを持つ無機粒子を含有するポリマー系である。これらに係る幾つかの例は、米国特許第6,060,549号、同第6,103,817号、同第6,034,164号、同第5,973,053号、同第5,936,023号、同第5,883,173号、同第5,807,629号、同第5,665,183号、同第5,576,373号、および同第5,576,372号において開示されている。ナノ複合体において使用される無機粒子の一般的なタイプは、フィロ珪酸塩、所謂「ナノクレー(nanoclays)」と呼ばれる一般的な群の無機物質である。理想的には、該ナノ複合体内でインターカレーションが起るべきであり、ここで該ポリマーは、該クレー表面間の空間または坑道内に挿入される。
前記層状クレーは、前記基材ポリマーにおいて、5種の異なる状態に適し得るものである。その第一の状態は、「粒子分散」状態であり、ここで該クレー粒子のサイズは、μmオーダーの程度であるが、該粒子は、該基材ポリマー中に均一に分散されている。凝集物および凝結体なる用語が、この状態を記述するために使用される。該クレーの第二の状態は、「インターカレーション」状態であり、ここでポリマー鎖は、該層状クレー構造内に挿入された状態にあり、これは、該ポリマー対該クレーの比とは無関係に、結晶学的に規則的な様式で起る。インターカレーション状態は、典型的には有機クレープレート間に数層のポリマーを含むことができる。約0.3〜0.7nmなる範囲の初期状態から約2.0〜6.0nmなる範囲までの状態への、ゴムにより膨潤した該ナノクレーの前記坑道内間隙の増大は、インターカレーション状態の生成と考えることができる。該クレーの第三の状態は、「凝集」状態である。これは、概念的にはインターカレーション状態と同一であるが、該クレー層各々は、該クレー層のヒドロキシル化末端-末端相互作用のために、しばしば凝集または凝結する。該クレーの第四の状態は、「インターカレーション-凝集」状態である。このインターカレーション-凝集状態にある該クレーのプレートは、分離することができるが、タクトイドまたは凝集体が形成され、これらは100〜500nmなる範囲の厚みを有している。該クレーの第五の状態は、「表層剥離」状態である。表層剥離状態において、上記クレー層各々は、連続層としてのポリマー内で所定の平均距離だけ分離されており、該平均距離は、該ポリマー中の該クレーの濃度またはその使用量に依存する。従って、好ましくは個々のnm-サイズのクレー小板が、該ポリマー内に十分に分散されている場所において、表層剥離されていることが望ましい。
同様に、前記処方内の前記小板が、気体の流れに対して直交するような所望の配向を持つことも望ましい。この状態が特に望ましい。というのは、該小板の規則的な配列が、気体分子の拡散を遮断する上で効果的であると考えられるからである。従って、該クレーが表層剥離状態にあり、および/または気体の流れに対して直交するように配向されたクレー小板を含むような処方物を含有する物品が望ましい。従って、バリア性を改善するために、含まれる該クレーが表層剥離状態にあり、および/または気体の流れに対して直交する配向を持つような処方物に対する需要がある。
付随的に、添加物、即ちカーボンブラックおよび無機クレー両者を含むエラストマー処方物において、該カーボンブラック表面の極性基および該親水性ナノクレー間の相互作用は、良好なクレーの分散または該エラストマー内における表層剥離、あるいは該エラストマー内における前記ナノクレー小板の所望の配向を達成することを、極めて困難なものとする恐れがある。従って、弾性ナノ複合体内のナノフィラー間の相互作用を減じて、最終的にバリア性を改善することに対する特別な要求がある。
本発明の目的は、不透過性という特性を必要とする物品、例えばタイヤインナーライナー、タイヤチューブ、タイヤ硬化ブラダ(bladder)、ホース、医療用ストッパー、不透過性シート、および他の同様な品目において使用するための、改善された能力を持つナノ複合体を提供することにある。
本明細書において開示されるものは、ナノクレー弾性ナノ複合体であり、該複合体は、以下の各成分:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含む、少なくとも1種のエラストマー;(b) 少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラック;および(c) 少なくとも1phrのナノクレーを含み、ここで、該エラストマーが、ある物品に用いられるべく配合された場合、該物品は、40℃において、80.0cc*mm/[m2・日]またはそれ未満の気体透過係数を持つ。
同様に本明細書に記載されるものは、ナノクレー弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を減じる方法であり、該方法は、以下の諸工程:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むエラストマーをブレンディングして、ポリマーブレンドを得る工程;(b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーブレンドに添加する工程;(c) 該ポリマーブレンドに、少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラックを添加する工程;および(d) ナノ複合体を得る工程を含む。該ナノ複合体が、ある物品に用いるべく配合された場合、該物品は、40℃において、80.0cc*mm/[m2・日]またはそれ未満の気体透過係数を持つ。
同様に本明細書に記載されるものは、ナノクレー弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を減じる方法であり、該方法は、以下の諸工程:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むエラストマーをブレンディングして、ポリマーブレンドを得る工程;(b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーブレンドに添加する工程; (c) その後、該ポリマーブレンドを、カレンダリングおよび/または押出し処理に付す工程;および(d) このようにして、0.15を越える、端部方向(edge-on direction)における配向パラメータP2を持つ、配向ナノクレー弾性ナノ複合体を得る工程を含む。
図1は、エラストマーマトリックスにおけるナノクレー粒子の例示的な配向パターンを表す図である。
図2は、小角X-線散乱(SAXS)法を利用した、ナノクレー小板の配向測定を示す図である。
以下において、本発明の種々の特定の態様、変形、および実施例を説明するが、これらは、特許請求の範囲に記載された本発明を理解する目的で、ここにおいて採用された、好ましい態様および定義を含む。これら例示的な態様が、特別に説明されているが、様々な他の態様が、本発明の精神および範囲を逸脱することなしに、当業者には理解され、また当業者により容易に実施し得るものと理解すべきである。侵害を決定するために、「本発明」の範囲は、添付した特許請求の範囲の任意の一つまたは2以上において言及されており、これらは、その等価物、およびそこに記載されているものと等価な、要素または限定を含む。
定義:
ここに記載される本発明に適用し得る定義は、以下の通りである:
ゴムとは、ASTM D1566の定義:「大きな変形から復元でき、かつ沸騰溶媒中に本質的に不溶(しかし、膨潤可能)状態に変性することができ、あるいは該状態に変性されている物質」を満たす任意のポリマーまたはポリマーの組成物を意味する。更に、該ゴムは、アモルファス物質である。エラストマーとは、該ゴムなる用語と互換的に使用し得る用語である。エラストマー組成物とは、少なくとも1種の上記の如きエラストマーを含む任意の組成物を意味する。
ASTM D1566によって定義されているように、加硫ゴム配合物とは、「エラストマーの配合により得られる架橋された弾性材料であって、小さな力によって大きな変形を起こし易く、該変形力を解除した際に、ほぼその元の寸法にまで迅速に、効果的に復元し得る物質」を意味する。硬化(された)エラストマー組成物とは、硬化工程に付され、および/または有効量の硬化剤または硬化包装を含み、またはこれを使用して作成された任意のエラストマー組成物を意味し、またこの用語は、加硫ゴム配合物なる用語と互換的に使用されるものである。
前記用語「phr」とは、ゴム100部当たりの部または「部」であり、また組成物の成分が質量基準で測定される分野においては、該エラストマー成分全体の全質量を基準とする、共通の尺度である。1種、2種、3種またはそれ以上の異なるゴム成分が、与えられた配合中に存在するか否かに係りなく、全ゴム成分に関する該全体としてのphrまたは部は、常に100phrとして定義される。全ての他のゴム以外の成分は、100部のゴムに対する質量によって割当てられ、かつphrで表される。このようにして、例えば、1種のみまたはそれ以上の成分のレベルを調節した後、各成分に対する百分率を再度算出する必要なしに、ゴムに関する同一の相対的な割合に基いて、異なる組成物間の硬化剤のレベルまたはフィラーの装入量等を、容易に比較することができる。
「アルキル」とは、アルカンの化学式から1またはそれ以上の水素原子を抜取ることにより、該アルカンから誘導することのできるパラフィン系炭化水素基、例えばメチル基(CH3)、またはエチル基(CH3CH2)等を意味する。
「アリール」とは、芳香族化合物、例えばベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等に特徴的なリング構造を形成し、かつ典型的にはその構造内に交互の二重結合(「不飽和性」)を有する、炭化水素基を意味する。従って、アリール基は、芳香族化合物の化学式から1またはそれ以上の水素原子を抜取ることにより、該化合物から誘導される基、例えばフェニル基、即ちC6H5基等である。
「置換(された)」とは、少なくとも一つの水素原子が、少なくとも一つの、例えばハロゲン原子(塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素)、アミノ、ニトロ、スルホキシ(スルホネートまたはアルキルスルホネート基)、チオール、アルキルチオール、およびヒドロキシル基;アルキル基、即ちメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル等を包含する、1〜20個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖のアルキル基;アルコキシ基、即ちメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、およびデシルオキシ基等を包含する、1〜20個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖のアルコキシ基;少なくとも一つのハロゲン原子によって置換されている、1〜20個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、また例えばクロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨードメチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2-フルオロエチル、3-クロロプロピル、3-ブロモプロピル、3-フルオロプロピル、4-クロロブチル、4-フルオロブチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、ジフルオロメチル、ジヨードメチル、2,2-ジクロロエチル、2,2-ジブロモエチル、2,2-ジフルオロエチル、3,3-ジクロロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、4,4-ジクロロブチル、4,4-ジブロモブチル、4,4-ジフルオロブチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,3,3-トリフルオロプロピル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、および2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基を包含するハロアルキル基、から選択される少なくとも一つの置換基によって置換えられていることを意味する。即ち、例えば「置換された」スチレン系の単位は、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン等を含む。
特に述べない限り、本明細書において使用する「質量%(wt%)」は、質量基準の百分率を意味し、「モル%(mol%)」は、モル基準の百分率を意味し、「体積%(vol%)」は、体積基準の百分率を意味し、また全ての分子量は、g/モル(g/mol)単位の量である。
透過性の低減:
タイヤ工業では、気体遮断用途において使用可能な弾性ナノ複合体に対する絶えることのない需要がある。透過性の低減をもたらす技術におけるあらゆる改良が、気体遮断用途において有用な物品の製造において、かなりの経費節減をもたらし、またこのような物品に対してより良好な耐久性を付与する可能性がある。故に、透過性の低下は、これら物品の製造業者並びにその消費者両者にとって有利でありかつ望ましいことである。
本明細書では、幾つかの透過性を減じる方法を開示する。このような方法の一つは、黒鉛化カーボンブラックを添加することにより、ナノクレー弾性ナノ複合体を改善することを目標とするものであり、該方法は、(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むエラストマーをブレンディングして、ポリマーブレンドを得る工程;(b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーブレンドに添加する工程;(c) 該ポリマーブレンドに、少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラックを添加する工程;および(d) ナノ複合体を得る工程を含む。ある物品に用いるために、該エラストマーが配合された場合、該物品は、80.0cc*mm/[m2・日]またはそれ未満の40℃における気体透過係数を持つ。
前記改善されたナノクレー弾性ナノ複合体もここに記載され、該ナノ複合体は、以下の成分:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含む、少なくとも1種のエラストマー;(b) 少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラック;および(c) 少なくとも1phrのナノクレーを含み、ここで該ナノ複合体は、ある物品に用いるために配合され、該物品は、40℃において、80.0cc*mm/(m2・日)またはそれ未満の気体透過係数を持つ。
前記改良されたナノクレー弾性ナノ複合体が、ある物品に用いるべく配合された場合に、本発明者等は、驚くべきことに、前記黒鉛化カーボンブラックの代わりに黒鉛化されていない同一グレードのカーボンブラックを使用した点を除き、同一のナノ複合体を使用した場合と比較して、これらの物品が低下した透過性を持つことを観測した。
同様に、前記ナノクレーを配向させることにより、ナノクレー弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を減じる方法もここに開示され、該方法は、以下の諸工程:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むエラストマーをブレンディングして、ポリマーブレンドを得る工程;(b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーブレンドに添加する工程;(c) その後、該ポリマーブレンドを、カレンダリングおよび/または押出し処理に付す工程、および(d) このようにして、0.15を越える、端部方向における配向パラメータP2を持つ、配向ナノクレー弾性ナノ複合体を得る工程を含む。この方法は、更に前記工程(c)に先立って、少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラックを、該ポリマーブレンドに添加する工程をも含むことができる。
本発明者等は、驚くべきことに、配合物の高い加工度によって、前記クレーの配向が向上することを見出した。特に、方向性の配合物加工処理、例えばカレンダリングおよび/または押出し加工処理によって、クレーの改善された配向性が向上する。該クレーの改善された配向性は、以下に説明するように、透過性の低減をもたらす可能性がある。更に、黒鉛化カーボンブラックの使用は、ナノクレー-カーボンブラック間相互作用を減じることができ、結果として、方向性の配合物加工処理によって、前記配向パラメータP2により測定される、該ナノクレー粒子のより高い配向度を得ることが可能となる。
このような改善されたナノクレー弾性ナノ複合体は、不透過性であることが望ましい、あらゆる物品に用いるために、そこに配合することができ、このような物品は、タイヤインナーライナー、タイヤ(インナー)チューブ、タイヤ硬化ブラダ、ホース、医療用ストッパー、不透過性シート、およびその他の同様な品目であり得る。
黒鉛化カーボンブラックを含むナノクレー弾性ナノ複合体:
本明細書の幾つかの態様において、前記ナノクレー弾性ナノ複合体は、一般に以下の成分:(i) 少なくとも1種の黒鉛化カーボンブラック(GCB);および(ii) 少なくとも1種のナノクレー;および(iii) 少なくとも1種のエラストマーを含む。また、本発明の弾性ナノ複合体は、その他のフィラーおよび添加剤を含むこともできる。これらの成分各々について、以下に説明する:
(i)黒鉛化カーボンブラック:
本発明の前記弾性ナノ複合体は、黒鉛化カーボンブラック(GCB)を含む。GCBは、炉内で、200℃またはそれ以上、350℃またはそれ以上、500℃またはそれ以上、800℃またはそれ以上、1,000℃またはそれ以上、または2,500℃またはそれ以上の温度にて、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、または少なくとも36時間に渡りカーボンブラックを加熱することにより、カーボンブラックから得ることができる。上に列挙した温度および時間の任意の組合せを使用することができる。同様に、より高い温度(1,000℃を越える温度)にて、4時間未満の加熱が、該カーボンブラックを黒鉛化するのに必要とされる可能性がある。該カーボンブラックを、実質的に不活性な雰囲気の下で、例えば窒素ガス雰囲気下で加熱して、該黒鉛化カーボンブラックを製造することができる。黒鉛化にとって有用なカーボンブラックのグレードは、N110〜N990なる範囲のグレード、好ましくはN660なるグレードを含む。
カーボンブラックは、典型的には加硫工程による3-次元網状構造の生成を通して、弾性ナノ複合体のエラストマー相の引張強さおよびモジュラスを高めることによって、該弾性ナノ複合体を強化する目的で、当工業において利用されてきた。カーボンブラックは、ASTM D 3265によって測定されるような、約10〜約95nmなる範囲の平均径を持つ。該カーボンブラックの粒径は、通常表面積に対して反比例している。従って、小さな粒径を持つカーボンブラックは、より大きな粒径を持つカーボンブラックよりも、ASTM D 3037に従って測定される値として、より高い表面積を有している。
カーボンブラックの表面積およびその表面特性は、該カーボンブラックの相互作用上の挙動に影響を与える傾向があり、即ちカーボンブラック自体で凝集体を生成するか、あるいは前記弾性ナノ複合体の他の成分と共に凝集体を生成するか否かに影響する。カーボンブラック表面の化学的な特性は、通常は様々な酸素原子-含有基、例えばカルボキシル、フェノール、キノン、ラクトン、ケトン、および/またはアルデヒド基を含むことから、変動する傾向がある。これらの酸素原子-含有基は、該カーボンブラック表面を、極性および親水性の表面とする。
本発明者等は、カーボンブラックおよびナノクレーを含有する弾性ナノ複合体において凝集体の存在を観測したが、該凝集体の存在は、該ナノクレーと該カーボンブラックとの会合が可能であることを示している。如何なる理論にも拘泥するつもりはないが、本発明者等は、該観測された凝集体が、該カーボンブラックの極性基と該親水性のナノクレー表面との間の相互作用によるものであるとの考えを、ここに提示する。本発明者等は、更にこれら凝集体の生成が、該ナノクレーの表層剥離を阻害し、結果として気体分子拡散通路の遮断における、該クレー小板(platelets)の有効性を減じるとの考えをも、ここに提示する。従って、本発明者等は、これらの凝集体を含有する弾性ナノ複合体を用いて作成した物品の透過性が、逆の影響を受ける可能性があるとの考えを提示する。
本発明者等は、驚くべきことに、GCBおよびナノクレーを含有する弾性ナノ複合体を用いて作成した物品が、黒鉛化されていない状態にある同一グレードのカーボンブラックおよび同一のナノクレーを含有する弾性ナノ複合体を用いて作成した物品と比較して低い気体透過係数を持つことを見出した。如何なる特定の理論にも拘泥するつもりはないが、本発明者等は、該GCBを使用することにより観測された該透過性の改善が、200℃またはそれ以上の温度に加熱することによる表面の極性基の除去または不活化によるものであると考えることができるものと推量している。該GCBの表面上の基の該除去または不活化は、該黒鉛化されていないカーボンブラックを用いた類似体と比較して、より少数の表面極性基の存在をもたらすはずであり、従って該除去または不活化は、該GCBの表面を、該黒鉛化されていない状態と比較して、より疎水性の高いものとする。
従って、前記黒鉛化されていないカーボンブラックを用いた類似体を使用した場合と比較して、前記GCBの疎水性表面と前記ナノクレー表面上の親水性基との間に、より小さな相互作用が生じるはずであり、このことは、順次より少量の凝集体の生成へと導く可能性がある。再度、この理論に拘泥するつもりはないが、本発明者等は、GCBおよびナノクレーを含有する弾性ナノ複合体を用いた場合に観測された前記改善された透過性が、より少数の凝集体の生成およびその結果としてのより良好な該ナノクレーの表層剥離によるものと考える。該凝集体の有無は、当分野において公知の方法を利用して、透過型電子顕微鏡(TEM)により決定することができる。
前記GCBを、300℃なる温度にて、8時間に渡り窒素ガス雰囲気下で加熱することにより生成する、特定の態様において、前記本発明の弾性ナノ複合体は、TEM法によって測定されたように、前記黒鉛化カーボンブラックの代わりに前記黒鉛化されていないカーボンブラックを使用した場合における同様な弾性ナノ複合体よりも、少なくとも5%少ない凝集体、少なくとも10%少ない凝集体、少なくとも20%少ない凝集体、少なくとも40%少ない凝集体、少なくとも60%少ない凝集体、少なくとも90%少ない凝集体を含む。
強化グレードの黒鉛化されていないカーボンブラックに対する場合と同様な、タイヤトレッドおよび側壁に対する公知のフィラー量にて、前記GCBを使用することができる。本発明の態様において、該GCBは、前記ブレンドの少なくとも10phr、好ましくは10〜100phrなる範囲のレベルにて、他の態様において更に好ましくは30〜80phrなる範囲、および更に別の態様においては50〜80phrなる範囲のレベルにて存在する。
本発明者等は、前記GCBの使用は、エラストマー組成物に与えられた前記強化特性に負の影響を及ぼすことはないが、逆に前記本発明の弾性ナノ複合体を用いて作成された物品の透過性に負の影響を与えるものと考える。ここに与えた態様において、本発明の弾性ナノ複合体を用いて作成された物品は、40℃にて80cc*mm/[m2-日]またはそれ未満、75cc*mm/[m2-日]またはそれ未満、または70cc*mm/[m2-日]という気体透過係数を持つ。
(ii)層状クレー:
前記所望の弾性ナノ複合体を製造するためには、層状クレーを、前記弾性ポリマーに配合する。個々のナノクレー小板の厚みは、通常約1nmであるが、その表面の寸法は、一般に70nmから600nmを越える範囲の値であり、その結果として、異常に高いアスペクト比をもたらす。このことは、極めて小さな最大寸法を持つが、小さな、1粒子当たりの表面積対体積の比を持つ微細な粒状カーボンブラックとは異なっている。この高いアスペクト比は、シート-状の構造を持つナノクレーを与える。典型的には、このような材料は凝集して、該層状クレーを与える。
前記層状クレーは、好ましくは、一般的に「スメクタイト」または「スメクタイト-型クレー」と呼ばれる、膨張した結晶格子を持つクレー系無機物の一般群に属する。一例として、これは、モンモリロナイト、バイデル石、およびノントロナイトからなるジオクタヘドラルスメクタイト、およびサポナイト、ヘクトライト、およびソーコナイトを包含するトリオクタヘドラルスメクタイトを含むことができる。同様に、合成により調製し得るスメクタイト-クレーも、本発明において意図されている。
更に別の態様において、前記ナノクレーは、天然または合成フィロケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、ノントロナイト、バイデル石、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト(magadite)、ケニアイト(kenyaite)、スチーブンサイト等、並びにバーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキサイド、ハイドロタルサイト等から選択される。任意の前記態様の組合せも、本発明においては意図されている。
前記弾性ナノ複合体に配合される前記クレーまたは表層剥離クレーの量は、一般的に、該弾性ナノ複合体の機械的諸特性またはバリア性、例えば引張強さまたは気体透過性の改善をもたらすのに十分なものである。該クレーの量は、一般的に、該弾性ナノ複合体のポリマー含有率を基準として、一態様においては、0.5〜10質量%なる範囲にあり、また他の態様においては、1〜5質量%なる範囲にある。100部のゴム当たりの部で表した場合には、該クレーまたは表層剥離クレーは、1phrを越える量にて、好ましくは一態様においては、1〜30phrなる範囲の量にて、また別の態様においては、5〜20phrなる範囲の量にて存在し得る。
気体遮断用途に対して、透過性は、該気体の拡散係数および該気体の平衡吸収率の関数である。従って、バリア性を改善し、かつナノクレー弾性ナノ複合体を含有する処方物の使用により透過性を減じるためには、該処方物を介する気体の流れを遅延させるための何らかの処置を講じる必要がある。これら処置は、クレー小板の配向の改善、生成する凝集体またはタクトイドの低減、および/または分散均一性の改善を含むことができる。
クレー小板の配向:
バリア的用途において、ナノクレー小板は、気体分子が移動しなければならない経路の長さを増大することによって、前記処方物を介する該気体の流れを遅延するように機能する。ナノ複合体を介するガスの流速を遅らせる、この延長された経路の長さは、「湾曲通路」と呼ばれており、また何らナノクレーを含まない処方物と比較して、該気体流速の減衰度は、湾曲度と呼ばれる。フィルム等の物品のサンプル内における該クレー小板の配向は、気体の流動方向に関するもの、または該フィルムサンプルの面に関するものとして記載することができる。
前記ナノクレー小板は、気体の流れに対して直交する状態で、気体の流れに対して平行な状態で、あるいは無秩序な状態で配列されている。図1は、フィルム1-1、1-2および1-3における、該ナノクレー小板(50)の幾つかの可能な配列を示す図である。該フィルム(20)は、該フィルムの面が気体の流れ(10)に対して直交するように配置されている。該フィルム(40)の代表的な断面が、該フィルムを介する気体分子(30)の通路を示すために、拡大されている。1-1についてみると、該ナノクレー小板は、該気体の流れに対して平行に(かつ該フィルムサンプルの面に対して垂直に)配向されている。図1の1-1に示された該ナノクレー小板の配向を持つ物品は、典型的に低いバリア性を有し、また気体はこれを容易に透過する。1-2についてみると、該ナノクレー小板は、該気体の流れおよび該フィルムの面に対してランダムに配向されている。図1の1-2に示された該ナノクレー小板の配向を持つ物品は、典型的には中間的なバリア性を与える。1-3についてみると、該ナノクレー小板は、該気体の流れに対して垂直かつ該フィルムサンプルの面に対して平行に配向されている。図1の1-3に示された該ナノクレー小板の配向を持つ物品は、場合により望ましいものであり、また最低の透過性と共に優れたバリア性を与えるはずである。
カーボンブラックまたはGCBをも含有する処方物において、前記ナノクレーのスタックは、小角X-線散乱(SAXS)法、広角X-線散乱(WAXS)法、または小角中性子散乱(SANS)法等の検出法を利用することにより解析することはできる。特許請求の範囲の目的に対しては、SAXSを使用した。ナノ複合体サンプルのSAXS測定は、該ビームが該サンプルに対して該フィルムの面に対して2つの異なる角度にて、例えば図2に示す如く、以下に記載する端部および面方向にて当たるように、該サンプルを配向させることによって行われる。
図2は、SAXS等の回折法を利用した、処方物における前記ナノクレーの配向の測定を示す図である。該処方物は、フィルムサンプル(100)形状にあり、そのフィルム面(200)は、x-z面内にある。X-線ビームは、前記端部-方向またはz-面(300)および前記面-方向またはy-面(400)に導かれる。その光散乱データを集め、かつ分析して、各面に関する散乱パターンを得る。該散乱パターンにおいて、平坦面状のパターンに関して、該パターンは、ベクトルが、該ナノクレーの主平坦面に対して垂直であることを示している。より直線に近い形状にあるパターンに関連して、ベクトルは、該ナノクレーの端部に対してより平行に近い関係にあり、即ち該表面上の点Pにおける、非-平坦性表面(例えば、ナノクレースタック)に対して垂直な面は、該点Pにおけるその表面の接線方向の面に対して垂直なベクトルである。
また、前記小板の配向は、配向パラメータによって数学的に記述することができる。前記ナノクレースタックが、円筒対称性を持つものと想定すると、該ナノクレーの配向は、単一の角度βに依存して、配向分布関数g(β)により記述することができ、ここで該単一の角度は、該ナノクレースタックに関する垂線と該フィルム面に沿ったフィルムの垂線との間の角度として定義される。層状スタックの断面の、散乱強度SAXS解析の方位走査を、以下の如き、図1に示された、改良オンサーガ (Onsager)配向分布関数(g(β))を用いて行うことができる:
g(β)= p0 +(1-p0)*(p/sinhp)*(cosh(pcosβ)) 式1
ここで、βは上記定義通りであり、pは、関連する系の前記ナノクレースタックの配向分布の幅に関連し、また典型的にpは、0またはそれ以上である(該pの値が高いほど、前記フィルム面に対する配向度は高い)。等方性の系に対して、pは0であり、またp0は、等方性の寄与率であって、p0は0〜1.0なる範囲内にある。
これら有機クレースタックの好ましい配向の程度は、以下の式2によって表されるヘルマン(Herman)の配向パラメータ(P2)を用いて算出し得る:
Figure 2014503028
ここで、βは上記定義通りであり、またg(β)は、上で定義した如き改良オンサーガ配向分布関数である。P2は、前記サンプルの面に対する、該サンプル内の前記ナノクレー小板の配向分布を表し、その値は、約-0.5〜約1なる範囲内にある。該ナノクレー小板は、例えば図1の1-3におけるように、P2=1である場合には、該フィルムの面に対して平行に配列されているものと考えられる。該ナノクレー小板は、例えば図1の1-1におけるようにP2=-0.5である場合には、該フィルムの面に対して直角であり、また例えば図1の1-2におけるように、P2=0である場合には、ランダムに配向されているものと考えられる。
前記エラストマーに対してナノフィラーとして添加されたナノクレーの配向と、その量(質量%)との間にも、ある関連性を確認することができる。これらナノ複合体におけるナノクレースタックの3-次元モデル化を実施することができ、またヘルマンの配向パラメータで表された配向の程度は、以下の式3に示すとおりである:
P2= (1-p0)(1-3p-1[coth(p) - p-1]) 式3
ここで、pは前記系内の前記ナノクレースタックの配向分布の幅に関連し、該pの値は、典型的には0またはそれ以上である(該pの値が高いほど、前記フィルム面に対する配向度は高い)。等方性の系に対して、pは0であり、またp0は、等方性の寄与率であって、p0は0〜1.0なる範囲内にある。
気体遮断用途に対して、前記処方物内の前記クレー小板の望ましい配向は、その最大の次元が、前記気体の流れに対して垂直であり、結果として、図1の1-3に示した如く、該気体分子が移動する必要のある経路の長さを増大するような配向である。この配向は最大の湾曲性をもたらす。従って、本明細書における態様では、端部方向における配向パラメータP2は、0よりも大きく、0.5よりも大きく、0.15よりも大きく、0.25よりも大きく、0.50よりも大きく、0.75よりも大きく、また最も好ましくはP2は1.0である。
しかし、配合されたナノ複合体における、前記クレー小板の凝集および該小板と他の物質、例えばカーボンブラックとの会合のために、しばしばこの望ましい配向を達成することは困難である。該ナノクレー小板の配向が、前記フィルムの面に対して平行でない場合における、この好ましい配向からのあらゆるズレは、バリア性に対して負の影響を及ぼす恐れがある。本発明者等は、都合のよいことに、該ナノクレー-カーボンブラック相互作用を、GCBの使用により減じ得ることを見出した。本発明者等は、更に黒鉛化されていないカーボンブラックに代わるGCBの配合が、前記P2を改善でき、また最終的に前記物品のバリア性をも改善し得るものと考える。更にはまた、本発明者等は、該配合物質の方向付け処理により、該P2を改善し、また最終的に該物品のバリア性をも改善し得ることをも見出した。
改質または表層剥離添加物:
少なくとも1種の、該層状フィラーの層間表面に存在するアニオンとイオン交換反応を行うことのできる薬剤、添加剤、または界面活性剤によるインターカレーションまたは表層剥離を通して、上記した層状のクレーを改質して、該クレーを更に疎水性の高いものとすることが可能である。該薬剤、添加剤、または界面活性剤は、該層状フィラーの層間表面に存在するアニオンとイオン交換反応を行う、その能力のために選択される。適当な化合物は、カチオン性界面活性剤、好ましくは四級アンモニウムであり、該界面活性剤においては、少なくとも2つのより分子量の高い基および2つまでのより分子量の低い基が、該界面活性剤の窒素原子に結合している。
適当な四級アンモニウムは、ベンジルトリアルキルアンモニウム、メチルベンジルジアルキルアンモニウム、メチルベンジル2-水素化牛脂アンモニウム、ジメチルベンジル水添牛脂アンモニウム、ジメチルジタロウ、およびジベンジルジアルキルアンモニウムを含むが、これらに限定されない。
適当な改質用添加剤は、カチオン性界面活性剤、例えばアンモニウム、アルキルアミンまたはアルキルアンモニウム(一級、二級、三級および四級アルキルアンモニウム)、脂肪族、芳香族または芳香脂肪族アミン、ホスフィンおよびスルフィドのホスホニウムまたはスルホニウム誘導体を包含する。例えば、アミン化合物(または対応するアンモニウムイオン)は、構造:R2R3R4Nを持つものであり、該構造においてR2、R3、およびR4は、一態様においては、C1〜C30アルキル基またはC2〜C30アルケンであり、また他の態様においては、C1〜C20アルキル基またはC2〜C20アルケンであり、これらの基は同一であっても、また異なるものであってもよい。一態様において、前記表層剥離用添加剤は、長鎖三級アミンであり、ここにおいて少なくともR2は、C14〜C20アルキル基またはアルケンである。
特定の態様において、前記層状クレーは、ベンジル官能基を含むことができ、該官能基は、前記ポリマー内のクレー層の分離性を改善するために与えられ、結果として米国特許出願第12/851,264号に記載されている如く、前記弾性ナノ複合体の不透過性を改善する。従って、該四級アンモニウムに結合している前記低分子量の基の一つは、ベンジル誘導単位である。該アンモニウムは、構造的には以下のように記載することができる:
(R)N
ここで、R5はベンジル誘導単位であり、これは置換されていても、置換されていなくてもよく、R6は、C1〜C26アルキル基、C2〜C26アルケン、およびC3〜C26アリール基から選択され、またR7およびR8は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、C9〜C26アルキル基、C9〜C26アルケン、およびC9〜C26アリール基から選択される。
他の態様において、一群の表層剥離添加剤は、層間表面に共有結合により結合することのできるこのような添加剤を含む。これらは式:-Si(R9)2R10で表される構造を持つポリシランを含み、該式においてR9は、夫々の存在位置において同一でも異なっていてもよく、またアルキル基、アルコキシ基またはオキシシラン基から選択され、更にR10は、前記複合体のマトリックスポリマーと相溶性の有機基である。その他の適当な表層剥離添加剤は、2〜30個の炭素原子を含むプロトン化されたアミノ酸およびその塩、例えば12-アミノドデカン酸、ε-カプロラクタムおよび同様な物質を含む。
特定の一態様において、前記1またはそれ以上の表層剥離添加剤は、前記ハロゲン化エラストマーのハロゲン化サイトと反応して、前記クレーの表層剥離を助ける錯体を生成することができる。幾つかの態様において、該添加剤は、あらゆる一級、二級および三級アミンおよびホスフィン;アルキルおよびアリールスルフィドおよびチオール;およびこれらの多官能性変種を含む。望ましい添加剤は、長鎖三級アミン、例えばN,N-ジメチルオクタデシルアミン、N,N-ジオクタデシル-メチルアミン、所謂二水素化牛脂アルキルメチルアミン等、およびアミン-末端を持つポリテトラヒドロフラン;ヘキサメチレンナトリウムチオサルフェート等の長鎖チオールおよびチオサルフェート化合物を包含する。
更に別の態様において、改質添加剤は、C25〜C500なる範囲の炭素鎖長を持つ、少なくとも一つのポリマー鎖を含み、ここで該ポリマー鎖は、また以下に示すように、該ポリマー鎖Eのペンダント基としてのアンモニウム-官能性基をも含む:
Figure 2014503028
ここで各基R11、R12およびR13は、同一でも異なっていてもよく、夫々独立に水素原子、C1〜C26アルキル基、アルケンまたはアリール基、置換C1〜C26アルキル基、アルケンまたはアリール基、C1〜C26脂肪族アルコールまたはエーテル、C1〜C26カルボン酸、ニトリル、エトキシル化アミン、アクリレートおよびエステルから選択され;またX-は、アンモニウムの対イオン、例えばBr-、Cl-または(PF6)-である。
前記改質剤は、前記組成物中に、透過性テストによって測定されるような最適の空気保留性を達成する量で存在し得る。例えば、該添加剤は、一態様においては、0.1〜40phrなる範囲、もう一つの態様においては、0.2〜20phrなる範囲、および更に別の態様においては、0.3〜10phrなる範囲の量で使用することができる。
前記変性剤は、任意の段階において、添加剤として前記組成物に添加することができ、例えば該添加剤を、前記エラストマーに添加し、次いで前記層状クレーを添加することができ、あるいは少なくとも1種のエラストマーおよび少なくとも1種の層状クレーの組合せに対して添加することも可能であり、あるいは更に別の態様においては、該添加剤を先ず該層状クレーとブレンドし、次いでこれに該エラストマーを添加することも可能である。
(iii)エラストマー:
本発明を実施するに際して有用な好ましいエラストマーは、C4〜C7イソオレフィンモノマー由来のポリマーを含む。これらポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。幾つかの態様において、該C4〜C7イソオレフィンモノマー由来のポリマーは、a) 少なくとも1種のC4〜C7イソオレフィンモノマーおよび少なくとも1種のマルチオレフィンモノマーから誘導されるコポリマーおよび/またはb) C4〜C7イソオレフィンモノマー由来のホモポリマーを含む。このようなポリマーは、これまでブチルゴムと呼ばれていた。該コポリマーに関連して、該コポリマーにおける該イソオレフィンから誘導される単位の含有率は、全モノマー由来の単位の質量を基準として、70〜99.5質量%なる範囲、または85〜99.5質量%なる範囲にある。該コポリマーにおける該マルチオレフィンから誘導される単位は、30〜0.5質量%なる範囲、15〜0.5質量%なる範囲、または8〜0.5質量%なる範囲にある。
前記C4〜C7イソオレフィンは、イソブチレン、イソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、1-ブテン、2-ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン、および4-メチル-1-ペンテン等の化合物から選択することができる。前記マルチオレフィンは、C4〜C14マルチオレフィン、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、およびピペリレン、および他のモノマー、例えば米国特許第5,506,316号および同第5,162,425号に記載されているようなモノマーから選択することができる。その他の重合性モノマー、例えばスチレンおよびジクロロスチレン等も、ブチルゴムにおけるホモ重合または共重合にとって適している。
前記イソオレフィンがイソブチレンである場合、前記エラストマーは、「イソブチレンを主成分とするエラストマー」と呼ぶことができ、また少なくとも70モル%のイソブチレンから誘導される単位を含むエラストマーまたはポリマーとも呼ばれる。本発明において有用な該イソブチレンを主成分とするブチルゴムポリマーの一態様は、92〜99.5質量%なる範囲の量のイソブチレンと0.5〜8質量%なる範囲の量のイソプレンとを反応させることにより、あるいは別の態様においては、95〜99.5質量%なる範囲の量のイソブチレンと0.5〜5.0質量%なる範囲の量のイソプレンとを反応させることにより得られる。
本発明の望ましい態様における前記エラストマーは、好ましくは塩素または臭素によりハロゲン化されたものである。ハロゲン化ブチルゴムは、上記ブチルコポリマーの何れかをハロゲン化することにより作成される。ハロゲン化は、任意の手段により行うことができ、即ち本発明は、該ハロゲン化方法により何等限定されるものではない。該ハロゲンの含有率(質量%)は、一態様においては、該ハロゲン化ブチルゴムの質量を基準として、0.1〜10質量%なる範囲にあり、また別の態様においては、0.5〜5質量%なる範囲にある。更に別の態様において、該ハロゲン化ブチルゴムのハロゲン含有率(質量%)は、1.0〜2.5質量%なる範囲にある。
本発明の別の態様によれば、前記コポリマーは、C4〜C7イソオレフィンから誘導される単位およびアルキルスチレンから誘導される単位を含むランダムコポリマーであり、該コポリマーは、少なくとも85質量%、より選択的には少なくとも86.5質量%の量の該イソオレフィン単位、約8〜約12質量%なる範囲の量のアルキルスチレン単位、および約1.1〜約1.5質量%なる範囲の量のハロゲンを含む。一態様において、該ポリマーは、C4〜C7α-オレフィンおよびメチルスチレンのランダムな弾性コポリマーであり、これは約8〜約12質量%なる範囲のメチルスチレン、および1.1〜1.5質量%なる範囲の臭素または塩素を含む。例示的な物質は、ポリマー鎖に沿ってランダムに配置されている以下のモノマー単位を含むポリマーとして特徴付けることができる:
Figure 2014503028
ここで、RおよびR1は、夫々独立に水素原子、低級アルキル基、例えばC1〜C7アルキル基および一級または二級アルキルハライドであり、またXはハロゲン原子である。一態様において、RおよびR1は、各々水素原子である。
前記ランダムポリマー構造内に存在する全アルキル置換スチレン[上記構造(1)および(2)の総量]の25モル%までが、一態様においては、上記のハロゲン化アルキル置換構造(2)であり得、また他の態様においては、10〜25モル%なる範囲が該構造のものであり得る。更に別の態様において、該ランダムコポリマー自体における、官能化構造(2)の量は、約0.8〜約1.10モル%なる範囲にある。
一態様において、前記エラストマーは、イソブチレンとp-メチルスチレンとのランダムコポリマーを含み、該コポリマーは約5〜約10質量%なる範囲のp-メチルスチレンを含んでいる。該p-メチルスチレンコモノマー上のメチル基の約17%〜約40%を臭素化することができる(「BIMSM」またはブロム化イソブチレンp-メチルスチレンゴム、ここで「M」は、ISO1629において記載されているように、該ポリマー鎖が飽和状態にあることを示す)。
もう一つの態様において、前記官能基は、これが、高温度にて該ポリマー成分と混合された場合に、前記マトリックスポリマー中に存在する官能基、例えば酸、アミノまたはヒドロキシル官能基と反応することができ、あるいは該官能基と極性結合を形成し得るように選択される。
幾つかの態様において、前記ランダムコポリマーは、該ポリマーの少なくとも95質量%が、10%以内なる該ポリマーの平均のp-アルキルスチレン含有率にて、p-アルキルスチレンを含むような、実質的に均一な組成上の分布を持つ。例示的なポリマーは、4.0未満、あるいはまた2.5未満の狭い分子量分布(Mw/Mn)によって特徴付けられる。該コポリマーは、400,000から2,000,000までの範囲の例示的な粘度平均分子量およびまたゲル浸透クロマトグラフィー法により決定された、100,000〜750,000なる範囲の例示的な数平均分子量を有している。
幾つかの態様において、前記ポリマーは、実質的に均一な組成分布を有し、かつ約8〜約12質量%なる範囲のアルキルスチレン部分および約1.1〜約1.5質量%なる範囲のハロゲンを含み、更に約6未満のMw/Mnを持つ。
上で論じたランダムコポリマーは、典型的にはハロゲン化炭化水素、例えば塩素化炭化水素および/またはフッ素化炭化水素を含む希釈剤中で(例えば、米国特許第7,232,872号を参照のこと)、ルイス酸触媒および場合により触媒開始剤を使用してスラリー重合し、次いでハロゲンおよびラジカル開始剤、例えば熱および/または光および/または化学的開始剤の存在下で、溶液中でハロゲン化、好ましくはブロム化し、かつ場合により更に異なる官能性部分による該ハロゲンの新電子置換を行うことにより製造することができる。
一態様において、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)ポリマーは、一般に該コポリマー中のモノマー由来の単位の全量に対して、約0.8〜約1.1モル%なる範囲の量のハロメチルスチレン基を含む。もう一つの態様において、ハロメチルスチレン基の量は、0.80〜1.10モル%なる範囲にあり、また更に別の態様においては、0.80〜1.00モル%なる範囲にあり、更に他の態様においては、0.85〜1.1モル%なる範囲にあり、また他の態様においては、0.85〜1.0モル%なる範囲にあり、ここで望ましい範囲は、任意の上限と任意の下限との組合せであり得る。他の方法で表した場合、本発明のコポリマーは、該ポリマーの質量を基準として、約1.1〜約1.5質量%なる範囲のハロゲンを含み、もう一つの態様においては、1.1〜1.5質量%なる範囲のハロゲンを含み、また他の態様においては、1.15〜1.45質量%なる範囲のハロゲンを含む。好ましい一態様において、該ハロゲンは、臭素または塩素であり、最も好ましい態様では、該ハロゲンは臭素である。
もう一つの態様において、前記コポリマーは、リング上のハロゲンまたは該ポリマー主鎖中のハロゲン原子を実質的に含まないものである。一態様において、前記ランダムポリマーは、C4〜C7イソオレフィンから誘導される単位(またはイソモノオレフィン)、p-メチルスチレンから誘導される単位およびp-(ハロメチルスチレン)から誘導される単位を含むコポリマーであり、ここで該p-(ハロメチルスチレン)から誘導される単位は、該ポリマー中に、p-メチルスチレン単位の全数を基準として約10〜約22モル%なる範囲の割合で存在し、また該p-メチルスチレンから誘導される単位は、一態様においては、該ポリマー全質量に対して、8〜12質量%なる範囲の量で存在し、また別の態様においては、9〜10.5質量%なる範囲の量で存在する。もう一つの態様において、該p-(ハロメチルスチレン)は、p-(ブロモメチルスチレン)である。
本発明において使用するのに適した、他のC4〜C7イソオレフィンから誘導される単位を含むエラストマーは、該イソオレフィンおよび少なくとも2種のマルチオレフィンを含有するポリマーを含み、ここにおいて該マルチオレフィンは、重合前に異なる主鎖構造を持つ。このようなポリマーは、C4〜C8イソオレフィンから誘導される単位、C4〜C14マルチオレフィンから誘導される単位、およびアルキルスチレンから誘導される単位を含むブロックおよびランダムポリマー両者を包含する。このようなポリマーの一つは、イソブチレン、イソプレン、およびアルキルスチレン、好ましくはメチルスチレンモノマーから製造することができる。もう一つの適当なポリマーは、イソブチレン、シクロペンタジエン、およびアルキルスチレンモノマーから重合することができる。このようなポリマーは、カチオン重合条件の下で得られる。
透過性を減じる方法:
ここにおいては、ナノクレー弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を減じる方法が開示され、該方法は、以下の諸工程:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含有するエラストマーをブレンディングして、ポリマーブレンドを得る工程;(b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーブレンドに添加する工程;(c) 少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラックを、該ポリマーブレンドに添加する工程;および(d) ナノ複合体を得る工程を含む。該ナノ複合体が、ある物品に用いるべく配合された場合、該物品は、80.0cc*mm/(m2・日)またはそれ未満の、40℃における気体透過係数を持つ。幾つかの態様において、該物品は、0.15を越える配向パラメータP2を持つ。
同様に、本明細書においては、ナノクレー弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を、該ナノクレーを配向することにより減じる方法が開示され、該方法は、以下の諸工程:(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むエラストマーをブレンディングして、ポリマーブレンドを得る工程;(b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーブレンドに添加する工程;(c) その後該ポリマーブレンドをカレンダリングおよび/または押出し処理する工程;および(d) これにより0.15を越える、端部方向における配向パラメータP2を持つ、配向ナノクレー弾性ナノ複合体を得る工程を含む。この方法は、更に、前記工程(c)に先立って、少なくとも10phrのGCBを前記ポリマーブレンドに添加する工程をも含むことができる。
ここに記載される態様において、前記ナノクレー弾性ナノ複合体は、メルトブレンディング、溶液ブレンディング、およびエマルションブレンディングにより、またはこれらの組合せによって完全に製造される。しかし、これらが、ナノ複合体の可能な製法の全てを網羅するものではない。
メルトブレンディング:
本発明の前記弾性ナノ複合体は、ポリマーのメルトブレンディング法によって製造することができる。該成分のブレンディングは、前記ポリマー成分、インターカレーション状態にある前記クレー、および前記GCBを、任意の適当な混合デバイス、例えばバンバリー(BanburyTM)ミキサ、ブラベンダー(BrabenderTM)ミキサまたは好ましくはミキサ/押出機内で併合することにより、また該クレーのインターカレーションを可能とし、該ポリマー内で表層剥離し、またそこに均一に分散するのに十分な剪断条件の下にて、120〜300℃なる範囲の温度にて混合することにより行うことができ、かくして該弾性ナノ複合体が生成される。該クレーを該エラストマー内に分散させ、かつその中で表層剥離させた後、前記GCBを該ミキサ内に添加し、該GCBの該エラストマー混合物への十分な分散を可能とするのに十分な期間に渡りそこで処理する。次いで、該ナノクレー弾性ナノ複合体は、更に、当業者には公知の従来のエラストマー混合技術に従って、該ミキサ内で配合される。
エマルションブレンディング:
GCBの混入に先立って、クレーとエラストマーとの前記混合物をエマルション法によって製造することができる。該エマルション法においては、無機クレーの水性スラリーを、溶媒(セメント)中に溶解したポリマーと混合する。この混合は、エマルションまたはマイクロエマルションを生成するのに十分に強力なものであるべきである。幾つかの態様において、該エマルションは、有機溶液中の水性溶液または懸濁液として作成することができる。バッチ式および連続式方法を含む、研究室規模および大規模生産両者のための標準的な方法および装置を使用して、本発明の前記ポリマー系ナノ複合体を製造することができる。
幾つかの態様において、弾性ナノ複合体は、水、少なくとも1種の層状クレーを含有する溶液Aと、溶媒および少なくとも1種のエラストマーを含有する溶液Bとを接触させる工程;および該溶液Aおよび溶液Bの接触生成物から該溶媒および水を除去して、弾性ナノ複合体を回収する工程を含む方法によって作成される。幾つかの態様において、該エマルションは、該混合物を、高剪断ミキサを使用した攪拌処理に掛けることにより生成される。
幾つかの態様において、ナノ複合体は、水、少なくとも1種の層状クレーを含有する溶液Aと、溶媒および少なくとも1種のエラストマーを含有する溶液Bとを接触させる工程を含む方法により製造され、ここで該接触工程は、乳化剤または界面活性剤の存在下で行われる。
前記エマルションは、前記炭化水素、水および使用する場合には界面活性剤を含む混合物を、市販のブレンダーまたはその等価物におけるように、該エマルションを生成するのに十分な期間、例えば一般的には少なくとも数秒間に渡り、十分な剪断処理に掛けることにより製造される。該エマルションは、連続的または間欠的な混合または攪拌を行い、または行うことなく、加熱または他の温度制御を行い、または行うことなく、前記クレーの表層剥離性を高めるのに十分な期間、一態様においては、0.1〜100時間またはそれ以上、他の態様においては、1〜50時間なる範囲の期間、および更なる態様においては、2〜20時間なる範囲の期間に渡り、エマルション状態のまま維持することができる。
使用する場合には、前記界面活性剤の濃度は、比較的安定なエマルションの生成を可能とするのに十分な値である。好ましくは、使用する該界面活性剤の量は、該エマルション全体の少なくとも0.001質量%、より好ましくは約0.001〜約3質量%なる範囲、および最も好ましくは0.01乃至2質量%未満なる範囲にある。
本発明の前記エマルションを製造する上で有用なカチオン性界面活性剤は、三級アミン、ジアミン、ポリアミン、アミン、並びに四級アンモニウム化合物を含む。本発明のエマルションを製造する上で有用なノニオン性界面活性剤は、アルキルエトキシレート、直鎖アルコールエトキシレート、アルキルグルコシド、アミドエトキシレート、アミンエトキシレート(例えば、ココ-、タロウ-、およびオレイル-アミンエトキシレート)、フェノールエトキシレート、およびノニルフェノールエトキシレートを包含する。
溶液ブレンディング:
前記エラストマーおよびクレーは、また該エラストマー中の該クレーの初期表層剥離を達成するために、溶液ブレンディング法によって混合することができる。この溶液法においては、ナノ複合体を、炭化水素溶媒および少なくとも1種の層状クレーを含有する溶液Aと、溶媒および少なくとも1種のエラストマーを含有する溶液Bとを接触させ、また該溶液Aおよび該溶液Bの接触処理による生成物から該溶媒を除去することにより、ナノ複合体とすることによって製造する。
前記層状ナノフィラーは、上記の如く有機分子で処理された層状クレーであり得る。更に別の態様において、ナノ複合体は、少なくとも1種のエラストマーと少なくとも1種の層状クレーとを、溶媒中で接触させる工程、および得られる接触処理生成物から該溶媒を除去して、ナノ複合体を生成する工程を含む方法により製造される。
もう一つの態様において、ナノ複合体は、少なくとも1種のエラストマーと少なくとも1種の層状クレーとを、溶媒混合物中で接触させる工程、および得られる接触処理生成物から該混合溶媒を除去して、ナノ複合体を生成する工程を含む方法により製造される。
更に別の態様において、ナノ複合体は、溶媒または溶媒混合物中に、少なくとも1種のエラストマーを溶解し、次いで少なくとも1種の層状クレーを該溶液に分散させる工程を含む接触処理生成物を製造する工程、および得られた接触処理生成物から該混合溶媒を除去して、ナノ複合体を生成する工程により製造される。更に別の態様において、ナノ複合体は、溶媒または溶媒混合物中に、少なくとも1種の層状クレーを分散させ、次いで該分散液に少なくとも1種のエラストマーを溶解する工程を含む、接触処理生成物を製造する工程、および得られた接触処理生成物から該混合溶媒を除去して、ナノ複合体を生成する工程により製造される。
上記態様において、溶媒は、前記ナノ複合体組成物の製造において、該組成物の全質量を基準として、30〜99質量%なる範囲、あるいはまた40〜99質量%なる範囲、あるいはまた50〜99質量%なる範囲、あるいはまた60〜99質量%なる範囲、あるいはまた70〜99質量%なる範囲、あるいはまた80〜99質量%なる範囲、あるいはまた90〜99質量%なる範囲、あるいはまた95〜99質量%なる範囲の量で存在し得る。
付随的に、幾つかの態様においては、前記ナノ複合体組成物の製造中に、2またはそれ以上の溶媒が準備される場合には、各溶媒は、0.1〜99.9容積%なる範囲、あるいはまた1〜99容積%なる範囲、あるいはまた5〜95容積%なる範囲、あるいはまた10〜90容積%なる範囲の割合を占めることができ、ここで全ての溶媒の全体積は、100容積%である。
適当な溶媒は、炭化水素、例えばC4〜C22の直鎖、環式、分岐アルカンを含むアルカン、アルケン、芳香族化合物、およびこれらの混合物を含む。該溶媒の具体例は、プロパン、イソブタン、ペンタン、メチルシクロペンタン、イソヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、3-エチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-エチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、2,24-トリメチルペンタン、オクタン、ヘプタン、ブタン、エタン、メタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、1,1-ジメチルシクロペンタン、cis-1,2-ジメチルシクロペンタン、trans-1,2-ジメチルシクロペンタン、trans-1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、o-キシレン、p-キシレン、m-キシレン、およびこれらの混合物を包含する。
もう一つの態様において、適当な溶媒は、C2〜C22のニトロ化直鎖、環式または分岐アルカンを含む、1種またはそれ以上のニトロ化アルカンを包含する。ニトロ化アルカンは、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロペンタン、ニトロヘキサン、ニトロヘプタン、ニトロオクタン、ニトロデカン、ニトロノナン、ニトロドデカン、ニトロウンデカン、ニトロシクロメタン、ニトロシクロエタン、ニトロシクロプロパン、ニトロシクロブタン、ニトロシクロペンタン、ニトロシクロヘキサン、ニトロシクロヘプタン、ニトロシクロオクタン、ニトロシクロデカン、ニトロシクロノナン、ニトロシクロドデカン、ニトロシクロウンデカン、ニトロベンゼン、および上記化合物のジ-およびトリ-ニトロ誘導体、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
もう一つの態様において、適当な溶媒は、C1〜C22のアルコール、ケトン、エーテル、カルボン酸、エステルおよびこれらの混合物を含む、少なくとも1種の酸素原子含有化合物を包含する。更に、他の適当な溶媒は、WO 2006/085957に記載されている。
塩素化炭化水素、例えば塩化メチル、メチレンクロリド、エチルクロリド、プロピルクロリド、ブチルクロリド、クロロホルム、およびこれらの混合物等の、上記溶媒全てのハロゲン化誘導体も使用することができる。
完全に処方された化合物において、予備混合されたナノ複合体エラストマーを生成する、前記コポリマーおよび前記ナノクレーを混合するために、エマルションまたは溶液法を利用する場合、該ナノ複合体における基本となるエラストマーの量は、ナノ複合体100部当たりの部(phn)で表される。該ナノ複合体は、規定されたクレー装入量を持つように調製されるであろう。
エマルション法または溶液法の何れかを利用する場合、前記弾性ナノ複合体を回収した後、前記カーボンブラックを、他の配合添加剤と前記エラストマーとをブレンディングする際に、該他の配合添加剤を前記ブレンドに添加する前に、またはその後に添加する。但し、ここでは、該ブレンドに任意の硬化剤を添加する前に、カーボンブラックを添加すべきである。
配合添加剤:
前記弾性ナノ複合体は、完全に配合されたエラストマーを得るために、追加の成分とブレンドすることができる。可能な追加の成分は公知のフィラー、ナノフィラー、加工助剤およびプロセス油、並びに硬化添加剤を含む。
公知の弾性フィラーは、例えば炭酸カルシウム、シリカ、非-有機系クレー、タルク、二酸化チタン、および黒鉛化されていないカーボンブラックである。該フィラーの1種またはそれ以上を使用することができる。ここで使用するような用語「シリカ」とは、任意の型または粒径を持つシリカまたは他の珪酸誘導体、または溶液処理、熱分解処理等の方法によって処理され、かつ所定の表面積を持つ珪酸、例えば未処理シリカ、沈降シリカ、結晶性シリカ、コロイド状シリカ、アルミニウムまたはカルシウムシリケート、ヒュームドシリカ等を意味するものとする。
その他のフィラーおよび添加剤:
また、本発明の前記エラストマー組成物は、通常ゴム配合物において使用されている他の成分および添加剤、例えば有効量の他の加工助剤、顔料、促進剤、架橋および硬化性物質、酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤をも含むことができる。例えば、エラストマー組成物は、場合により他の有用な加工助剤、例えばプラストマー、ポリブテン、またはこれらの混合物を含むことができる。
少なくとも1種のエラストマーを含むことに加えて、前記エラストマー組成物は、また場合によって少なくとも1種のフィラー、例えば炭酸カルシウム、マイカ、シリカ、珪酸塩、タルク、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、デンプン、木粉、非-黒鉛化カーボンブラック、またはこれらの混合物をも含むことができる。該フィラーは、任意のサイズを持つものであり得、また典型的に、タイヤ工業においては、約0.0001μm〜約100μmなる範囲のサイズを持つものである。
ここで使用するような用語「シリカ」とは、任意の型または粒径を持つシリカまたは他の珪酸誘導体、または溶液処理、熱分解処理等の方法によって処理された珪酸を意味するものとし、その例は未処理シリカ、沈降シリカ、結晶性シリカ、コロイド状シリカ、アルミニウムまたはカルシウムシリケート、ヒュームドシリカ等を含む。沈降シリカは、公知のシリカまたは高度に分散性のシリカであり得る。
架橋剤、加硫用添加剤、および硬化法:
一般に、ポリマーブレンド、例えばタイヤを製造するのに使用されるポリマーブレンドは架橋されるが、それによって該ポリマーの機械的諸特性が改善される。加硫ゴム配合物の物性、性能特性、および耐久性は、該配合物の加硫反応中に生成される架橋の数(架橋密度)およびその型と直接的に関連していることが知られている。
本発明の幾つかの態様において、前記エラストマー組成物およびこれらの組成物から作成された物品は、該エラストマーが、該エラストマー組成物を硬化するための工程を経ることを可能とするために、少なくとも1種の加硫用添加剤または架橋剤を含むことができる。ここで使用するような用語「加硫用添加剤または包装」とは、当工業において普通に理解されている如く、ゴムに対して加硫性を付与することのできる任意の物質または方法を意味する。加硫包装または系は、少なくとも1種の以下に記載するものを含むことができる。
適当な成分は、硫黄、金属酸化物、有機金属化合物、およびラジカル開始剤を含む。過酸化物加硫系または樹脂加硫系も使用することができる。しかし、前記エラストマーが、DVAを生成するために熱可塑性物質と組合されている場合(ここでは、該熱可塑性物質の架橋は望ましくない)であって、該熱可塑性樹脂が、過酸化物の存在により架橋されてしまうようなものである場合には、過酸化物加硫系の使用を回避することができる。
硫黄は、ジエン-含有エラストマー用の、最も一般的な化学的加硫剤である。これは、斜方8-員リングまたはアモルファスポリマー形状で存在する。典型的な硫黄加硫系は、該硫黄を活性化するための促進剤、加硫速度の調節を助けるための活性化剤および遅延剤からなっている。該促進剤は、加硫の開始および加硫速度を調節し、また生成する硫黄架橋の数および型を調節するように作用する。また、活性化剤を、前記加硫用添加剤および促進剤との組合せで使用することができる。該活性化剤は、先ず該促進剤と反応して、ゴム-可溶性錯体を形成し、該錯体は、次に該硫黄と反応して硫化薬剤を生成する。一般的な活性剤の群は、アミン、ジアミン、グアニジン、チオウレア、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバメート、キサンテート等を含む。遅延剤は、未加硫のゴムを処理するための十分な時間を確保するために、硬化の初期の開始を遅らせる目的で使用することができる。
前記エラストマーがハロゲンを含む場合、例えばハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)を含む態様においては、該エラストマーは、金属酸化物とのハロゲン反応によって架橋することができる。該金属酸化物は、該ポリマー内のハロゲン原子と反応して、活性な中間体を生成し、該中間体は、次いで更に反応して炭素-炭素結合を生成するものと考えられる。金属ハライドが副生成物として遊離され、また該ハライドは、この反応に対する自己触媒として作用し得る。一般的な加硫用添加剤は、ZnO、CaO、MgO、Al2O3、CrO3、FeO、Fe2O3、およびNiOを含む。これらの金属酸化物は、単独で、または対応する金属の脂肪酸錯体(例えば、Zn、Ca、Mg、およびAlのステアレート塩)との組合せ、またはステアリン酸および硫黄化合物またはアルキルパーオキサイド化合物の何れかとの組合せで使用することができる。
特に、シリカが主なフィラーである場合、またはシリカが他のフィラーとの組合せで存在する場合には、1種またはそれ以上の架橋剤を、本発明の前記エラストマー組成物において使用することが好ましい。特定の態様においては、1種またはそれ以上のシランカップリング剤を、該エラストマー組成物において使用する。該カップリング剤は、二官能性の有機シランカップリング剤であり得る。「有機シランカップリング剤」は、当業者には公知の、任意のシラン-結合フィラーおよび/または架橋活性化剤および/またはシラン強化剤であり、その例はビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(β-メトキシエトキシ)シラン、メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等、およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。特定の一態様においては、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを使用する。
エラストマーの促進された加硫に関するメカニズムは、前記硬化剤、促進剤、活性化剤およびポリマー間の複雑な相互作用を含む。理想的には、あらゆる使用可能な加硫用添加剤が、有効な架橋の生成において消費され、該架橋は2つのポリマー鎖を相互に結合し、また該ポリマーマトリックスの全体的な強度を高める。多数の促進剤が、当分野において公知であり、その例は、以下に列挙するものを含むが、これらに限定されない:ステアリン酸、ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、4,4'-ジチオジモルホリン、テトラブチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアジルジスルフィド、ヘキサメチレン-1,6-ビスチオサルフェート二ナトリウム塩2水和物(フレックスシス(Flexsys)社により、デュラリンク(DURALINKTM) HTSとして市販されている)、2-モルホリノチオベンゾチアゾール(MBSまたはMOR)、90%のMORと10%のMBTSとのブレンド(MOR 90)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、およびN-オキシジエチレンチオカルバミル-N-オキシジエチレンスルホンアミド、亜鉛2-エチルヘキサノエート、およびチオウレア。
エラストマー組成物は、典型的にゴム配合物において通常使用されている他の成分および添加剤、例えば有効量の他の無着色のおよび非-着色性の加工助剤、プロセス油、顔料、酸化防止剤、および/またはオゾン亀裂防止剤を含む。
第二のポリマー:
一態様において、上記の如き弾性ナノ複合体は、コンパウンドの唯一のエラストマー成分であり得る。その結果、上記利点が完全に享受される。あるいはまた、他の態様においては、本発明のナノ複合体を、異なる/第二のポリマーとブレンドして、所定の特性または特徴を持つコンパウンドを得ることができる。
幾つかの態様において、前記第二のポリマーは、弾性ポリマーである。第二の弾性ポリマーの例は、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム(SBR)、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン/プロピレンゴム(EPM)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)およびこれらの混合物を含む。
他の態様においては、前記ナノ複合体を、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリルポリマー、スチレン/マレイン酸無水物ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)、およびこれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーとブレンディングして、ポリマーブレンドまたは組成物を生成する。好ましくは、該ナノ複合体および該熱可塑性ポリマーは、一緒に動力学的に加硫される。
ポリマーブレンド内にブレンディングする場合、単独のまたは異なるポリマーのブレンド(即ち、反応器ブレンド、物理的ブレンド、例えばメルト混合によるブレンド)としての前記第二のポリマーは、該組成物中に、一態様においては、10phr〜90phrなる範囲の量、またもう一つの態様においては、10〜80phrなる範囲の量、および更に別の態様においては、30〜70phrなる範囲の量、および更に別の態様においては、40〜60phrなる範囲の量、および更に別の態様においては、5〜50phrなる範囲の量、および更に別の態様においては、5〜40phrなる範囲の量、および更に別の態様においては、20〜60phrなる範囲の量、および更に別の態様においては、20〜50phrなる範囲の量で存在することができ、選択すべき態様は、該組成物の所望の最終的な使用、用途に依存する。
このような第二のポリマーは、前記最終的な組成物中に、5〜90phrなる範囲の量で存在し得る。より高い不透過性を得るために、該ポリマーブレンドにおけるより低い透過性を持つポリマーの使用は、少量、即ち50phr未満に制限されるであろう。
次いで、前記ポリマー組成物を押出し処理および/またはカレンダリング処理することができる。該押出し処理および/またはカレンダリング処理は、前記ナノクレーが前記所望の配向パラメータP2を達成している限り、当分野において公知の構成の、任意の押出機および/またはカレンダーを用いて行うことができる。
例えば、前記ポリマー組成物は、ホットフィード(hot feed)押出装置、低温押出装置、またはこれらの組合せによって押出すことができる。該ポリマー組成物は、当分野において公知のカレンダー装置を用いてカレンダリング処理に付すことができる。該カレンダーは、様々な複雑性を持つ、様々な構成のものであり得る。特別な態様において、ライナー用コンパウンドは、押出機により該カレンダーに移される。
理論に拘泥するつもりはないが、本発明者等は、上に略述した混合工程(メルト混合、溶液混合、およびエマルション混合工程)中に、前記クレーが、表層剥離を受けるものと考える。この表層剥離は、クレー-クレー間相互作用を減じ、結果として相乗的に個々の小板に有利な配向をとらせる。前記押出しおよび/またはカレンダリング工程中に、加熱した場合、および剪断力を適用した場合、該クレー小板は、有利なことに、その表面の法線が、該押出されたおよび/またはカレンダリングされたシートの面に対して垂直となるように、配向することができる。その上、GCBを使用した場合には、このGCBと該クレー小板との間の相互作用が低下する可能性があり、これは、より良好なナノクレー小板の表層剥離、最適の配向を可能とし、結果として最終的にバリア性の改善を可能とする。
工業的利用性:
本発明の態様は、好ましくは、ここにおいて記載した如き、物品または硬化したナノ複合体組成物について測定した値として、80.0cc*mm/(m2・日)またはそれ未満という、40℃における気体透過係数を持つ。あるいはまた、該気体透過係数は、ここにおいて記載した如き、物品または硬化したナノ複合体コンパウンドについて測定した値として、40℃において、75cc*mm/(m2・日)またはそれ未満、40℃において、70cc*mm/(m2・日)またはそれ未満であり得る。
タイヤインナーライナー等の膜状物品を介する気体の透過または透過率は、3つの異なる過程からなっている。第一に、該気体分子は、該膜の一方の側において溶解する必要があり、次いでより気体濃度の低い反対側に、該膜またはライナーを横切って拡散する必要があり、その拡散速度は、拡散勾配の大きさに依存し、またその結果として隣接するタイヤ要素または他の媒体中で蒸発またはそこに分散する。酸素および窒素分子のサイズは、夫々2.9および3.1Åであり、拡散の活性化エネルギーは、酸素および窒素に対して夫々49.8および50.6KJ/モルであることが報告されている。明らかに、これらの値は、酸素が、窒素よりも容易に拡散することを示唆しており、また酸素に関する透過率の値は、窒素に関する値よりも高いであろう。
従って、本発明は、以下のような態様を提供する:
1. 以下の成分を含むナノ複合体:
(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含む、少なくとも1種のエラストマー、ここで好ましくは、該ポリマーは、C4〜C7イソオレフィンおよび少なくとも1種のマルチオレフィンから誘導される単位を含むコポリマーであり、場合によって該ポリマーは、塩素または臭素によってハロゲン化されており、あるいはまた該ポリマーは、実質的に均一な組成上の分布を持ち、かつ約8〜約12質量%なる範囲の量のアルキルスチレン部分および約1.1〜約1.5質量%なる範囲の量のハロゲン原子を含み、更に約6未満のMw/Mnを持つコポリマーである;
(b) 少なくとも10phr、好ましくは10〜100phrなる範囲、30〜80phrなる範囲、50〜80phrなる範囲、または60phrなる黒鉛化カーボンブラック、一態様においては、カーボンブラックが、200℃またはそれ以上、350℃またはそれ以上、500℃またはそれ以上、800℃またはそれ以上、1,000℃またはそれ以上、または2,500℃またはそれ以上の温度にて、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、または少なくとも36時間なる期間に渡り、場合により実質的に不活性な雰囲気下、好ましくは窒素ガス雰囲気下で加熱されて、黒鉛化カーボンブラックとされており;
(c) 少なくとも1phr、好ましくは1〜50phrなる範囲、5〜20phrなる範囲、5〜10phrなる範囲、5または10phrなる量のナノクレー、ここで好ましくは、該ナノクレーは、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデル石、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキサイド、ハイドロタルサイト、およびこれらの混合物から選択され;および
(d) 場合により、第二のポリマー、ここで好ましくは、該第二の弾性ポリマーは、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
(e) 場合により、フィラー、プロセス油、および硬化添加剤からなる群から選択される、少なくとも1種の成分。
また、ここにおいて該ナノ複合体が物品に用いられた場合、該物品は、80.0cc*mm/[m2-日]、75cc*mm/[m2-日]またはそれ以下、または70cc*mm/[m2-日]またはそれ以下の、40℃における気体透過係数を持つ。
2. 前記アルキルスチレンがp-メチルスチレンであり、かつ前記イソオレフィンがイソブチレンである、前記パラグラフ1記載のナノ複合体。好ましくは、該アルキルスチレンは、ハロゲン原子により官能化されており、かつ25モル%までの該アルキルスチレンが、このように官能化されており;より一層好ましくは10〜25モル%なる範囲の該アルキルスチレンがハロゲン原子により官能化されている。
3. 前記ナノ複合体が、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルポリマー、スチレン-マレイン酸無水物ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)、およびこれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーとブレンドされている、前記パラグラフ1および2記載のナノ複合体。好ましくは、該ナノ複合体および該熱可塑性ポリマーは、一緒に動力学的に加硫されている。
4. 前記パラグラフ1〜3に記載のナノ複合体を含む物品。ここで好ましくは、該物品は、黒鉛化されていない状態にあるカーボンブラックが、該黒鉛化カーボンブラックの代わりに使用されている同一の物品よりも、0.5〜20%なる範囲、3〜15%なる範囲、4〜10%なる範囲だけ低い絶対酸素透過率を有し、該黒鉛化カーボンブラックは、窒素雰囲気下で248℃なる温度にて8時間加熱することにより作成される。
5. 前記物品がインナーライナーまたはフィルムである、前記パラグラフ4に記載の物品。
6. ある物品の透過性を減じる方法であって、該改善された物品が、前記パラグラフ4および5に記載の物品であり、あるいは該改善された物品が、前記パラグラフ1〜3に記載の弾性ナノ複合体を含む該方法。ここで、該方法は以下の諸工程を含む:
(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むポリマーを得て、ポリマーブレンドを生成する工程、ここで好ましくは、該ポリマーは、少なくとも1種のC4〜C7イソオレフィンおよび少なくとも1種のマルチオレフィンから誘導される単位を含むコポリマーであり、場合により該ポリマーは、塩素または臭素によりハロゲン化されており、好ましくは該ポリマーは、実質的に均一な組成上の分布を持ち、また約8〜約12質量%なる範囲の量のアルキルスチレン部分および約1.1〜約1.5質量%なる範囲の量のハロゲン原子を含み、かつ約6未満のMw/Mnを持つコポリマーであり;
(b) 該ポリマーに、少なくとも1phr、好ましくは1〜50phrなる範囲、5〜20phrなる範囲、5〜10phrなる範囲、5phrまたは10phrなる量のナノクレーを添加する工程、ここで好ましくは、該ナノクレーは、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデル石、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキサイド、ハイドロタルサイト、およびこれらの混合物から選択され、好ましくは該ナノクレーおよび該ポリマーを、メルトブレンディング、溶液ブレンディング、またはエマルションブレンディング法によりブレンディングして、前記弾性ナノ複合体を作成し;
(c) 少なくとも10phr、好ましくは10〜100phrなる範囲、30〜80phrなる範囲、50〜80phrなる範囲、または60phrなる量の黒鉛化カーボンブラックを、前記弾性ナノ複合体に添加する工程、ここにおいて好ましくは、カーボンブラックを、200℃またはそれ以上、350℃またはそれ以上、500℃またはそれ以上、800℃またはそれ以上、1,000℃またはそれ以上、または2,500℃またはそれ以上の温度にて、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、または少なくとも36時間なる期間に渡り、場合により実質的に不活性な雰囲気下、好ましくは窒素ガス雰囲気下で加熱して、該黒鉛化カーボンブラックを製造し;
(d) 場合により、硬化剤、少なくとも1種の追加のフィラー、および/またはプロセス油を添加する工程;
(e) 場合により、第二のポリマーを添加する工程、ここにおいて好ましくは、該第二のポリマーは、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
(f) 場合により、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルポリマー、スチレン-マレイン酸無水物ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと混合する工程、ここにおいて好ましくは、該熱可塑性ポリマーの混合工程は、動力学的加硫処理を含み;および
(g) ナノクレー弾性ナノ複合体を得る工程、ここで該ナノ複合体を、ある物品に用いる場合、該物品は、80.0cc*mm/[m2-日]、75cc*mm/[m2-日]またはそれ以下、または70cc*mm/[m2-日]またはそれ以下の、40℃における気体透過係数を持つ。
7. ある物品の透過性を減じる方法。該方法は、以下の諸工程を含む:
(a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むポリマーを得て、ポリマーブレンドを生成する工程、ここにおいて好ましくは、該ポリマーは、少なくとも1種のC4〜C7イソオレフィンおよび少なくとも1種のマルチオレフィンから誘導される単位を含むコポリマーであり、場合により該ポリマーは、塩素または臭素によりハロゲン化されており、好ましくは該ポリマーは、実質的に均一な組成上の分布を持ち、また約8〜約12質量%なる範囲の量のアルキルスチレン部分および約1.1〜約1.5質量%なる範囲の量のハロゲン原子を含み、かつ約6未満のMw/Mnを持つコポリマーであり;
(b) 該ポリマーに、少なくとも1phr、好ましくは1〜50phrなる範囲、5〜20phrなる範囲、5〜10phrなる範囲、5phrまたは10phrなる量のナノクレーを添加する工程、ここで好ましくは、該ナノクレーは、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデル石、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキサイド、ハイドロタルサイト、およびこれらの混合物から選択され、好ましくは該ナノクレーおよび該ポリマーを、メルトブレンディング、溶液ブレンディング、またはエマルションブレンディング法によりブレンディングして、弾性ナノ複合体を作成し;
(c) 少なくとも10phr、好ましくは10〜100phrなる範囲、30〜80phrなる範囲、50〜80phrなる範囲、または60phrなる量のカーボンブラックを、前記ナノ複合体に添加する工程、好ましくは、該カーボンブラックは黒鉛化カーボンブラックであり、ここにおいて好ましくは、該カーボンブラックは、200℃またはそれ以上、350℃またはそれ以上、500℃またはそれ以上、800℃またはそれ以上、1,000℃またはそれ以上、または2,500℃またはそれ以上の温度にて、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも24時間、または少なくとも36時間なる期間に渡り、場合により実質的に不活性な雰囲気下、好ましくは窒素ガス雰囲気下で加熱されて、黒鉛化カーボンブラックとしたものであり;
(d) 場合により、硬化剤、少なくとも1種のフィラー、および/またはプロセス油を添加する工程;
(e) 場合により、第二のポリマーを添加する工程、ここにおいて好ましくは、該第二のポリマーは、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴムおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
(f) 場合により、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルポリマー、スチレン-マレイン酸無水物ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと混合する工程、ここにおいて好ましくは、該熱可塑性ポリマーの混合工程は、動力学的加硫処理を含み;
(g) 弾性ナノ複合体を得る工程、
(h) その後、該ナノ複合体をカレンダリング処理および/または押出し処理する工程;
(i) それにより、0.15を越える、対向する方向における配向ファクタP2を持つ、配向された弾性ナノ複合体を得る工程、ここにおいて該配向ファクタは、好ましくは0を越え、0.5を越え、0.15を越え、0.25を越え、0.50を越え、0.75を越え、また最も好ましくは、P2は1.0であり、また好ましくは、該ナノ複合体を、物品に用いる場合、該物品は、80.0cc*mm/[m2-日]、75cc*mm/[m2-日]またはそれ以下、または70cc*mm/[m2-日]またはそれ以下の、40℃における気体透過係数を持つ。
本発明の前記ナノ複合体を含む組成物は、押出し、圧縮成形、ブロー成形、射出成型処理し、また積層処理して、繊維、フィルム、積層品、層状物、工業的部品、例えば自動車部品、家庭電化製品のハウジング、消費製品、包装等を包含する様々な形状の物品とすることができる。
上記の如きナノ複合体組成物は、タイヤの生産において使用される、空気遮断膜(air membranes)、例えばインナーライナー、インナーチューブ側壁、トレッド、ブラダ等の製造において使用することができる。該インナーライナーおよびタイヤを製造するのに使用する方法および装置は、当分野において周知である。本発明は、インナーライナーまたはタイヤ等の物品の、任意の特定の製造方法に制限されるものではない。特に、該ナノ複合体は、トラックのタイヤ、バスのタイヤ、自動車のタイヤ、モーターサイクルのタイヤ、オフロード車のタイヤ、飛行機のタイヤ等の様々なタイヤ用途用の物品に用いる組成物において有用である。
他の用途において、前記ナノ複合体を含有するエラストマー組成物は、エアークッション、空気バネ、エアーベローズ、ホース、アキュムレータバッグ、およびベルト、例えばコンベアベルトまたは自動車ベルトにおいて使用することができる。該組成物は、成形ゴム部品において有用であり、また自動車サスペンションバンパー、自動車排気装置ハンガー、およびボディーマウントにおいて広範な用途を持つ。
更に、前記ナノ複合体を含有するエラストマー組成物は、また接着剤、コーキング剤、封止剤、および艶出しコンパウンドとして使用することも可能である。これら組成物は、またゴム処方物の可塑剤として、伸縮性ラップフィルムに加工される組成物の成分として、潤滑剤用の分散剤として、および注封および電気ケーブル装入材料においても有用である。
実施例1
以下において示すように、黒鉛化カーボンブラックを製造し、また以下に示すようなナノ複合体において使用した。
カーボンブラックN660を、磁器製蒸発皿に入れ、炉内で300℃なる温度にて、8時間加熱して、所望の黒鉛化カーボンブラックを製造した。該黒鉛化カーボンブラックを周囲温度まで冷却し、以下のナノ複合体において使用した。
以下のような一般的な方法に記載されているように、3種のナノ複合体を作成し、以下の表1に示されている組成物において使用した。サンプルは、該ゴム/ナノクレーおよび随意のカーボンブラック、随意のGCB、ナフタレン系オイル、加工樹脂(ストラクトール(StruktolTM) 40 MS)およびフェノール樹脂(SP1068)を、ブラベンダー(BrabenderTM)ミキサ内で、135℃にて7分間、60rpmにて混合することにより調製した。ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄、およびMBTSを含む硬化剤を添加し、該ミキサを45℃にて4分間、40rpmにて稼働した。これらサンプルを、170℃にて硬化させた。
ナノ複合体1(NC1)は、カーボンブラックを含んでおらず、ナノ複合体2(NC2)は、カーボンブラックN660(非-黒鉛化)を含み、またナノ複合体3(NC3)は、黒鉛化カーボンブラックを含む。NC1およびNC2は、本発明のサンプルNC3の比較例として使用する。NC1、NC2およびNC3の組成を、以下の表1に示す:
表1:ナノ複合体1、2および3の組成
Figure 2014503028
1:BIMSMは、ISO1629により指定されているような、ブロム化イソブチルp-メチルスチレンエラストマーである。
検体を、以下に記載するように、モコン(Mocon)透過性測定のために細断した。
透過性テスト法
酸素透過率を、モコンオックス-トランモデル(Mocon Ox-Tran Model) 2/61酸素透過率テスト装置およびパーム-ネット(Perm-Net)作動装置(ASTM D3985)を使用して測定した。装置1基当たり6個のセルがあり、各セル内の各テストサンプルを介する気体の透過を、個別に測定した。前記サンプル組成物由来の薄い加硫処理されたテスト用検体を、拡散セル内に載せる。該テストサンプルは、10cm2なる全表面積を持つ、約3.81cm×3.81cm(約1.5in×1.5in)なるサイズのものである。酸素透過率測定における誤差(2σ)は、±0.245(×108)単位である。ベースラインを設定するための0なる読みが得られ、次いでサンプルを40℃にてテストした。酸素透過率を、O2検出器を用いて測定した。データは、cc*mm/[m2-日]単位での透過係数およびcc*mm/[m2-日-mmHg]単位での透過率係数として報告した。
これら透過係数を、以下の表2に与える。
表2:サンプルNC1、NC2およびNC3に関する透過率:
Figure 2014503028
上記データから明らかな如く、本発明のサンプルの透過係数は、前記比較例のサンプルに対して著しく低い。如何なる理論にも拘泥するつもりはないが、前記カーボンブラックの200℃またはそれ以上の温度における加熱は、その表面上の極性基を実質的に除去し、結果として前記親水性クレー表面の基と、該黒鉛化カーボンブラック表面との間の相互作用を低下するものと考えられる。該クレーと該カーボンブラックとの間のこの低下された相互作用は、高い分散性をもたらし、該分散性は、該クレーをより高い表層剥離性および分散性を持つものとし、これによって上で観測された、より低い透過係数をもたらす可能性がある。
実施例2
3種のナノ複合体(NC4、NC5、およびNC6)を、以下の一般的な方法において記載するようにして、また以下の表3に示す処方を使用して製造した。ナノ複合体は、前記ゴム/ナノクレーマスターバッチと、カーボンブラック、ナフテン系オイル、加工樹脂(ストラクトール(Struktol) 40 MS)、およびフェノール樹脂(SP1068)、および随意のジシクロペンタジエン炭化水素樹脂とを、135℃および40rpmにて4分間に渡り、コベロナンバー(Kobelo Number) 27, 200kgバンバリー(BanburyTM)ミキサ内で混合することにより製造した。ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄、およびMBTSを含む硬化剤を添加し、また該ミキサを100℃および30rpmにて、2分間という最少期間に渡り稼働させた。これらサンプルを、180℃にて硬化させた。
NC4は、ブロモブチルを用いた比較例である。NC5およびNC6は、ナノクレー弾性ナノ複合体(100部のエキスプロ(ExxproTM)および9部のナノクレー)を含む。
表3:ナノ複合体の処方:
Figure 2014503028
1:ムーニー粘度は、ASTM D 1646に従って測定された。
これらのナノ複合体(NC4、NC5、およびNC6)を、上記バンバリーミキサからタイヤカレンダーラインに移した。該組成物を、一連のミル系に通すが、ここで該組成物は、加熱され、次いでコンベアベルトを通して、4-本ロールZ-形カレンダーに移された。カレンダーロールは、80℃なる温度に維持した。タイヤ製造にとって望ましいゲージを持つ該シートが、該カレンダーロールを離れた際、該シートは、一連のテンションロールに通され、空冷され、次いで支持コンパウンドと共に積重ねられた。
比較例のNC4、およびNC5並びにNC6コンパウンドのサンプルは、最初の非-製造段階(第一NP段階)、最終的な混合(製造)段階、および押出されたインナーライナーおよびインナーライナーカレンダリング操作後において集められた。これら採取されたサンプルを、クレーの分散性、およびクレープレートの整列度について、TEMにより検討した。これらサンプルにおける該クレーの分散性および該クレー小板の配向は、SAXSを用いて決定した。該サンプルの透過係数も、上に略述したモコンオックス-トラン(Mocon OX-TRAN)法を利用して測定した。
TEMサンプルの調製
前記ナノ複合体コンパウンドを、ダイアモンドナイフを用いて-150℃にて低温-マイクロトーム処理して、TEMによる特徴付けのための厚み100nmの切片を得た。これらのサンプルは、染色処理に付さなかった。
TEM法
2D TEM像を、160kVの加速電圧にて、ジェオル(JEOL) 2000FX TEMを用いて得た。様々な倍率において得た、様々な位置由来の多数の像を、分散均一性に関する全体的な評価を得るために集めた。
3D TEMのために、FEIテクナイ(Tecnai)TEM装置(G2 F20 スーパーツイン(Super Twin) TMP)を使用した。全てのサンプルは、STEM-HAADFトモグラフィーを用いて行い、そこで該サンプルは、サンプルの損傷を最小化し、かつコントラストを最大とするために、走査型透過電子顕微鏡高角環状暗視野(STEM-HAADF)モードで観測された。これら測定中に、該サンプルは、0度〜-60度なる範囲の角度で傾けられ、これには約90分をかけ、また該サンプルは、後方に0度〜-60度なる範囲の角度で傾けられ、これには更に約90分掛けられ、従って全暴露時間は3時間であった。これらの像を、ボルテックス(Voltex) 3Dボリュームレンダリングソフトウエアを使用して復元した。
TEMの結果
前記TEM顕微鏡写真を、NC5およびNC6各々について定性的に評価した。加工の各段階におけるこれらサンプルの顕微鏡写真を比較して、微細構造における傾向を決定した。
(i) NC5(本発明のサンプル、高ムーニー粘度)
NC5サンプルについて集められた前記像の定性的な観察により、前記ナノクレースタックのサイズが、該サンプルの加工中全体に渡り減少することを観測した。第一NP段階から採取された該サンプル中の該ナノクレースタックは、カレンダリングおよび押出し後に採取されたサンプルにおける該ナノクレースタックよりも大きかった。また、該第一NP段階から採取された該サンプルにおいて観測された大きな凝集体は、該カレンダリングおよび押出し後に採取されたサンプルからは、著しく失われていた。理論に拘泥するつもりはないが、本発明者等は、上記のナノクレースタックのサイズにおける減少が、前記混合、カレンダリング、および押出し処理中に、該クレーが経験する弾性力および剪断力によって達成されたものと考える。本発明者等は、更に該ナノクレースタックのサイズにおける減少が、減じられたナノクレー-ナノクレー相互作用、およびより良好な該ナノクレーの表層剥離性によるものであり得ると考える。
(ii) NC6(本発明、低ムーニー粘度)
前記低ムーニー粘度のインナーライナーコンパウンドに関する前記TEM像は、前記非-製造段階のサンプルにおいて、200μmまでの径を持つ大きなクレー凝集体の存在を示している。しかし、前記製造段階におけるサンプルでは、該クレープレートは分離されているものと思われ、またインターカレーション状態(ほぼ表層剥離された状態)を形成した。該クレープレートとカーボンブラック粒子との会合も観測された。
SAXS法
時間分解2D SAXSパターンを、ブルックハーベンナショナルラボラトリー(Brookhaven National Laboratory:BNL)、ザナショナルシンクロトロンライトソース(the National Synchotron Light Source:NSLS)におけるアドバンストポリマーズビームライン(Advanced Polymers Beamline:X27C)を用いて測定した。x-線ビームの波長は1.371Åであった。該ビームのサイズは、前記サンプル位置において、径0.4mmであった。シンクロトロンx-線は、3-ピースタンタルピンホールコリメータシステムを用いて平行化された。サンプル-検出器間距離は、1.73mであった。該SAXS散乱角を、銀ベヘネートを用いて較正し、またその強度を、入射ビームの揺らぎによって規格化した。該SAXS像を、ビームの揺らぎ、サンプルの吸収、およびバックグラウンド散乱に対して補正した。該x-線測定に係る相対的な不確実性は、±5%であった。これらのSAXSパターンを更に分析することにより、SAXSプロフィールを得、また配向パラメータP2を得た。
SAXSの結果
前記SAXSデータから導いた前記配向パラメータP2を以下の表4に示す。
表4:配向パラメータ(P2)
Figure 2014503028
本発明のサンプルは、前記比較例のNC4サンプルと類似しているか、あるいはより一層望ましい整列状態を持つことが明らかとなった。本発明者等は、ナノクレー-カーボンブラック間相互作用が、NC5およびNC6サンプルにおいては、小板の配向に悪影響を及ぼす恐れがあることを認める。
透過性
NC5を含有するサンプルにつき、透過係数を測定した。前記最終的に作成したコンパウンドの透過係数は、136cc*mm/(m2-日)である。押出し後、該透過係数は、130cc*mm/(m2-日)まで降下する。透過性におけるこの改善は、該押出されたインナーライナーにおける改善された小板の整列性によるものであり得る。
前記小板の配向を更に改善する(それにより透過性を減じる)ために、GCB N660を、カーボンブラックN660の代わりに使用することができる。
あらゆる公知文献および/またはテスト手順を包含する、本明細書に記載した全ての文献は、本件テキストと相反しない程度において、本明細書に参考として組入れるものとするが、最初に提出された出願または提出された文献において述べられていない如何なる公知文献も、ここに参考として組入れることはない。本発明の様々な形態が例示され、また説明されている、前記一般的な説明および特定の態様から明らかな如く、本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、様々な改良を施すことが可能である。従って、これらにより本発明を限定するつもりはない。同様に、用語「含む(comprising)」とは、オーストラリア国内法の目的にとって、用語「含む(including)」と同義である。同様に、「含む(comprising)」とは、以下の用語「から本質的になる(consisting essentially of)」、「である(is)」、および「からなる(consisting of)」を包含し、また「含む(comprising)」が使用されている如何なる部分においても、これは、「から本質的になる(consisting essentially of)」、「である(is)」、または「からなる(consisting of)」なる用語により置換えることができる。
10・・気体の流れ;20、40・・フィルム;30・・気体分子;50・・ナノクレー小板
100・・フィルムサンプル;200・・フィルム面;300・・端部-方向;400・・面-方向

Claims (20)

  1. ナノ複合体であって、以下の各成分:
    (a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含む、少なくとも1種のポリマー;
    (b) 少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラック;および
    (c) 少なくとも1phrのナノクレー
    を含み、該ナノ複合体を物品に用いる場合、該物品が、40℃において、80.0cc*mm/[m2-日]またはそれ未満の気体透過係数を持つことを特徴とする、前記ナノ複合体。
  2. 前記黒鉛化カーボンブラックを得るために、カーボンブラックが200℃またはこれを越える温度まで、少なくとも8時間なる期間に渡り、場合によっては実質的に不活性な雰囲気の下で加熱されている、請求項1記載のナノ複合体。
  3. 前記ポリマーが、少なくとも1種のC4〜C7イソオレフィンおよび少なくとも1種のマルチオレフィンから誘導される単位を含む、請求項1または2記載のナノ複合体。
  4. 更に、前記ナノ複合体を、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルポリマー、スチレン-マレイン酸無水物ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレンエーテル)、およびこれらの混合物からなる群から選択される熱可塑性ポリマーとブレンドして、ポリマーブレンドを製造する、請求項1〜3の何れか1項に記載のナノ複合体。
  5. 前記ナノ複合体および前記熱可塑性ポリマーが、一緒に動力学的に加硫されている、請求項4記載のナノ複合体。
  6. 前記ナノクレーが、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデル石、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキサイド、ハイドロタルサイト、およびこれらの混合物から選択される、請求項1〜5の何れか1項に記載のナノ複合体。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のナノ複合体を含むことを特徴とする物品。
  8. 前記物品が、インナーライナーまたはフィルムである、請求項7記載の物品。
  9. 弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を減じる方法であって、以下の諸工程:
    (a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むポリマーを得る工程;
    (b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーとブレンドして、弾性ナノ複合体を得る工程;および
    (c) 該弾性ナノ複合体に、少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラックを添加する工程
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  10. カーボンブラックを、200℃またはこれを越える温度まで、少なくとも8時間なる期間に渡り、場合によっては窒素の存在下にて加熱して、前記黒鉛化カーボンブラックを得る、請求項9記載の方法。
  11. 前記ブレンディングが、メルトブレンディング、溶液ブレンディング、またはエマルションブレンディングの一つである、請求項9または10記載の方法。
  12. 前記ポリマーが、少なくとも1種のC4〜C7イソオレフィンおよび少なくとも1種のマルチオレフィンから誘導される単位を含むポリマーである、請求項9〜11の何れか1項に記載の方法。
  13. 更に、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリラクトン、ポリアセタール、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリルポリマー、スチレン-マレイン酸無水物ポリマー、芳香族ポリケトン、ポリ(フェニレン)エーテル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと混合する工程をさらに含む、請求項9〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 前記ナノクレーが、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデル石、ベントナイト、ボルコンスコアイト、ラポナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、マガダイト、ケニアイト、スチーブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、アルミネートオキサイド、ハイドロタルサイトの少なくとも1種である、請求項9〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 請求項9〜14の何れか1項に記載の方法により製造したナノ複合体を含むことを特徴とする、物品。
  16. 前記物品が、80.0cc*mm/[m2-日]またはそれ未満の、40℃における気体透過係数を有する、請求項15記載の物品。
  17. 弾性ナノ複合体を含有する物品の透過性を減じる方法であって、以下の諸工程:
    (a) 4〜7個の炭素原子を持つイソオレフィンから誘導される単位を含むポリマーを得る工程;
    (b) 少なくとも1phrのナノクレーを、該ポリマーに添加して、弾性ナノ複合体を得る工程;次いで
    (c) 該弾性ナノ複合体をカレンダリングおよび/または押出し処理に付す工程、および
    (d) このようにして、0.15を越える、端部方向における配向パラメータP2を持つ、配向ナノクレー弾性ナノ複合体を得る工程
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  18. 更に、少なくとも10phrの黒鉛化カーボンブラックを、前記弾性ナノ複合体に添加する工程をさらに含む、請求項17記載の方法。
  19. 請求項17または18記載の配向ナノクレー弾性ナノ複合体。
  20. 請求項17記載の配向ナノクレー弾性ナノ複合体を含むことを特徴とする物品。
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