JP2014502493A - がん治療に対する耐性を検出する方法 - Google Patents

がん治療に対する耐性を検出する方法 Download PDF

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Abstract

我々は、5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、そのすぐ後に続く配列番号7に示すヌクレオチド配列とを含むBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントについて記載する。BIM多型バリアントは、配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠くことによって特徴付けられ得る。これを用いて、このような多型を含む個体における慢性骨髄性白血病についてのBCR−ABL非依存性TKI耐性(チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性)、消化管間質性腫瘍(GIST)についてのc−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性、非小細胞肺がん(NSCLC)についてのEGFR非依存性TKI耐性または骨髄増殖性疾患についてのJAK2非依存性TKI耐性を検出することができる。

Description

本発明は、医学、細胞生物学、分子生物学および遺伝学の分野に関する。
慢性骨髄性白血病(CML)は、造血幹細胞のがんであり、CMLの患者全てにおいて見出されるBCR−ABLとよばれる発癌性融合遺伝子の存在により引き起こされる。
BCR−ABLは、正常な対応物と比較した場合のCML細胞の生存および増殖の増加を媒介する構成的活性型チロシンキナーゼをコードする。CMLの効果的な処置は、BCR−ABLのキナーゼ活性を阻害するクラスの薬物(これは、一般的にチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)とよばれる)の形である。
しかし、少ない割合の患者は、TKIに対して一次耐性を示して応答せず、他方、他の患者は、初期に応答するが時間が経つとこれらの薬物に対して二次耐性を生じ、この事象は、急性転化(BC)CMLへの転換およびより短い生存にしばしば随伴する。TKI耐性を有する患者の約60%において(参考文献A1)、TKIをBCR−ABLと結合しにくくするBCR−ABL遺伝子の変異、または「野生型」BCR−ABL遺伝子もしくはタンパク質の増幅および過剰発現のいずれかによりBCR−ABLキナーゼ活性が再活性化されることが見出されている。
残りの40%の症例では、TKI耐性の原因は不明である。BCR−ABLの再活性化なしでTKI耐性を媒介する機構(BCR−ABL非依存性TKI耐性ともよばれる)の発見は、TKI耐性を克服するための方策を決定し、CMLの患者をより良好に管理するために非常に重要である。
よって、BCR−ABL阻害剤を用いる治療は、慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)の患者の大部分において高い割合の疾患管理をもたらしている。しかし、かなりの部分の患者は、まだ最適な応答を達成することができず、後期疾患のほとんど全ての患者は、疾患により死亡している
臨床に基づくリスクスコアを利用して、臨床転帰について患者を階層化するための試みは限定的にしか成功しておらず3、4、その理由は、部分的に、このようなスコアが疾患の分子的特徴または臨床転帰に貢献する患者特異的遺伝的因子を考慮していないからである。実際に、慢性期のCMLに対する応答を予測できるホストの遺伝的因子についてほとんど知られていない5〜7
その結果、現在の臨床上の推奨は、全ての患者を同じ開始用量のイマチニブで処置し、定期的な間隔でベンチマークとなる臨床応答をモニタリングすることである。これらは、末梢血球数の標準化と、3〜6カ月間隔での細胞遺伝学的および分子学的応答の程度とを含む。ベンチマークを達成できない場合にのみ、治療が変更される。このような判断点として、イマチニブの用量を増加すること、より効力が高いチロシンキナーゼ阻害剤に交換すること、ならびに高用量の化学療法および移植の準備をすることを含む選択肢がある。
観念的に、最も迅速な応答を達成するとともに薬物耐性または疾患増悪の出現を回避するように白血病および患者の両方に治療を適応させることが可能である。これらの理由から、応答を予測し、治療を手引きするための信頼できるマーカーが必要である。最近の研究は、CMLにおける薬物耐性および疾患増悪に関連する遺伝的因子への洞察をもたらすアレイに基づく発現プロファイリングに依拠している。しかし、このようなアプローチは、それらの固有の偏りとともに、これらの発現プロファイルに貢献する、根本的な遺伝子事象を定義できないことにより制限される。
本発明の第1の態様に従って、我々は、がんもしくは骨髄増殖性疾患に対する感受性があるかまたはそれに罹患している個体が、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるかを予測する方法を提供する。
この方法は、個体がBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを有するかを決定するステップを含み得る。多型バリアントまたは多型は、5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、その直後に続く配列番号に示すヌクレオチド配列とを含み得る。BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントは、配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠くことがある。
この方法は、BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを有する個体の指標として、配列番号1に示す配列を含む核酸増幅生成物の存在を検出するステップを含み得る。この方法は、代わりにまたはさらに、BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを欠く個体の指標として、配列番号2に示す配列を含む核酸増幅生成物の存在を検出するステップを含み得る。
この方法は、核酸増幅を含み得る。この方法は、配列番号3に示すヌクレオチド配列を利用してよい。これは、配列番号4に示すヌクレオチド配列を利用してよい。これは、これらの配列の組合せを利用してよい。組合せは、プライマーセットとして含んでよい。
この方法は、個体がBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを有すると決定されるならば、個体は、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるようなものであってよい。代わりにまたはさらに、方法は、個体がBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを有さないと決定されるならば、個体は、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みが低いようなものであってよい。
本発明の第2の態様に従って、がんもしくは骨髄増殖性疾患の個体についての治療を選択する方法が提供される。この方法は、上記の方法により、患者が、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるかを決定するステップを含み得る。この方法は、個体がそのような耐性を生じる見込みがあると決定される場合に、治療を選択するようなものであってよい。
治療は、患者のより頻度が高いモニタリングを含み得る。治療は、より頻度が高い血液検査を含み得る。治療は、より頻度が高い骨髄検査を含み得る。治療は、骨髄移植を含み得る。治療は、より効力が高いチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の投与を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤は、ニロチニブもしくはダサチニブまたはその両方を含み得る。治療は、BH3模倣物の投与を含み得る。BH3模倣剤は、ABT−263を含み得る。BH3模倣剤は、TKIと組み合わせて投与してよい。治療は、チロシンキナーゼ阻害剤の用量を増加することを含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブを含み得る。用量は、400mg/日の標準用量を超えて600または800mg/日まで増加してよい。治療は、BCL2群タンパク質の生存促進性効果を阻害する薬物を用いる処置を含み得る。
我々は、本発明の第3の態様に従って、がんもしくは骨髄増殖性疾患の個体に対する特定の治療の成功の見込みを決定する方法を提供する。このような方法は、該治療を、上記の方法により決定された治療と比較するステップを含み得る。
がんもしくは骨髄増殖性疾患は、慢性骨髄性白血病(CML)を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、BCR−ABL非依存性TKI耐性を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブを含み得る。
がんもしくは骨髄増殖性疾患は、消化管間質性腫瘍(GIST)を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、c−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、イマチニブに対する耐性を含み得る。
がんもしくは骨髄増殖性疾患は、非小細胞肺がん(NSCLC)を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、EGFR非依存性TKI耐性を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、スニチニブ、ニロチニブおよびソラフェニブのいずれか1もしくは複数またはそれらの組合せに対する耐性を含み得る。
がんもしくは骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症からなる群から選択されるような骨髄増殖性疾患を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、JAK2非依存性TKI耐性を含み得る。チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性は、JAK阻害剤に対する耐性を含み得る。
がんもしくは骨髄増殖性疾患は、血液悪性腫瘍、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患(真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症を含む)、固形腫瘍、小細胞肺がん、乳がん、結腸直腸がん、卵巣がん、メラノーマおよび神経芽腫からなる群から選択できる。
本発明の第4の態様として、5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、その直後に続く配列番号7に示すヌクレオチド配列とを含む、BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントが提供される。
我々は、本発明の第5の態様に従って、配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠くことによって特徴付けられるBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを提供する。
本発明は、第6の態様において、配列番号1または配列番号2に示すヌクレオチド配列を提供する。このようなヌクレオチド配列は、上記のようなBIM多型バリアントから得ることができる。これは、核酸増幅により得ることができる。
上記のBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントまたはヌクレオチド配列は、BCR−ABL再活性化がない慢性骨髄性白血病についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(BCR−ABL非依存性TKI耐性)と関連することがある。これらは、c−KIT/PDGFR再活性化がない消化管間質性腫瘍(GIST)についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(c−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性)と関連することがある。これらは、EGFR再活性化がない非小細胞肺がん(NSCLC)についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(EGFR非依存性TKI耐性)と関連することがある。これらは、JAK2再活性化がない骨髄増殖性疾患についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(JAK2非依存性TKI耐性)と関連することがある。
本発明の第7の態様では、配列番号3に示すヌクレオチド配列が提供される。我々は、配列番号4に示すヌクレオチド配列をさらに提供する。我々は、このようなヌクレオチド配列の組合せも提供する。これは、プライマーセットとして提供してよい。
本発明の第8の態様に従って、我々は、個体における上記のBIM(BCL2L11)多型の存在または非存在を検出する方法を提供する。この方法は、配列番号1に示す配列を含む核酸増幅生成物を検出するステップを含み得る。この方法は、配列番号2に示す配列を検出するステップを含み得る。検出は、上記のプライマーセットを用いてよい。
我々は、本発明の第9の態様に従って、がんもしくは骨髄増殖性疾患に罹患している患者を処置する方法を提供する。この方法は、がんもしくは骨髄増殖性疾患が、BCR−ABL非依存性TKI耐性CMLがんであるかを決定するステップを含み得る。この方法は、がんもしくは骨髄増殖性疾患が、c−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性GISTがんであるかを決定するステップを含み得る。この方法は、がんもしくは骨髄増殖性疾患が、EGFR非依存性TKI耐性NSCLCがんであるかを決定するステップを含み得る。この方法は、がんもしくは骨髄増殖性疾患が、JAK2非依存性TKI耐性骨髄増殖性疾患であるかを決定するステップを含み得る。この方法は、上記のとおりであってよい。この方法は、本発明の第2の態様において示す(a)〜(g)から選択されるステップを行うことにより患者を処置するステップをさらに含み得る。
このような方法は、配列番号1に示す配列を含む核酸増幅生成物を検出するステップを含み得る。これは、上記のプライマーセットを用いることにより行ってよい。
本発明の実施は、そうでないと示さない限り、当業者の能力の範囲内である化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術を採用する。このような技術は、文献において説明されている。例えば、J.Sambrook、E.F.FritschおよびT.Maniatis、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.ら(1995および定期的な補遺;Current Protocols in Molecular Biology、ch.9、13および16、John Wiley&Sons、New York、N.Y.);B.Roe、J.CrabtreeおよびA.Kahn、1996、DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques、John Wiley&Sons;J.M.PolakおよびJames O’D.McGee、1990、In Situ Hybridization:Principles and Practice;Oxford University Press;M.J.Gait(編)、1984、Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach、Irl Press;D.M.J.LilleyおよびJ.E.Dahlberg、1992、Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology、Academic Press;Using Antibodies:A Laboratory Manual:Portable Protocol No.I、Edward Harlow、David Lane、Ed Harlow(1999、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 0−87969−544−7);Antibodies:A Laboratory Manual、Ed Harlow(編)、David Lane(編)(1988、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ISBN 0−87969−314−2)、1855.Handbook of Drug Screening、Ramakrishna Seethala、Prabhavathi B.Fernandes編(2001、New York、NY、Marcel Dekker、ISBN 0−8247−0562−9);ならびにLab Ref:A Handbook of Recipes,Reagents,and Other Reference Tools for Use at the Bench、Jane RoskamsおよびLinda Rodgers編、2002、Cold Spring Harbor Laboratory、ISBN 0−87969−630−3を参照されたい。これらの全般的な教科書のそれぞれは、本明細書に参照により組み込まれている。
UCSC遺伝子(上)およびRefSeq遺伝子(GeneBank、下)についてのヒトゲノム(hg18)chr2:111,593,210〜111,644,581のUCSCゲノムブラウザからの図である。BIM遺伝子および多型を特徴付ける欠失に印を付す。 6つのCMLゲノムのDNA−PET分析を示す図である。 図2Aは、患者試料の臨床病理学的特徴と、DNA−PET分析に用いたCML株化細胞についてまとめる。 図2Bは、Circos29を用いてDNA−PETデータから作製し、円形プロットとして示す6つのCMLゲノムの核ゲノムマップを示す。32の正常ゲノムのうちの少なくとも1つで同定されたものとマッチするSVを、ふるい分けして除いた(これらのSVは、表E4中のものに相当する)。構造変動(SV)の異なるカテゴリーを、凡例に示すように同心円の層に配置する。アスタリスク(*)は、BCR−ABL1/ABL1−BCR転座の存在を示す。 急性転換に伴う体細胞性構造変動を示す図である。 図3Aは、P098におけるEVI1遺伝子座中の新規な再編成のゲノムブラウザの図を示す。この遺伝子座中にあることが知られている遺伝子[University of California Santa Cruz(UCSC)](Rheadら2010)を赤および青で示す(上)。赤の軌道は、調和性PETの断片カバー範囲を反映する。濃い赤およびピンクの水平な矢じりは、挿入の存在を示す、不調和性PETのマッピング領域(アンカー)を表す。 図3Bは、定量リアルタイムPCRにより測定したEVI1の発現レベルを示す。EVI1レベルは、β−アクチンの発現に対して標準化した2つの急性転化期試料(P022およびP098)と4つの慢性期試料(P308、P355、P490およびP500)について示す。 図3Cは、図3Aに示すように、第3染色体(RP11−137H17、緑)および第8染色体(RP11−828L6、赤;RP11−159N7、黄)についての注文製作プローブを用いるEVI1再編成の蛍光in situハイブリダイゼーション分析を示す。EVI1再編成は、正常対照には存在しないが、P098試料において赤−緑−黄の融合シグナルとして見ることができる。 3つ全ての耐性試料において、BIMのイントロン2中の多型2903bp欠失が存在することを示す図である。 図4Aは、チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を有する患者からの3つの試料(P308、P022およびP098)のうち3つにおける(しかし、チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性がある患者または株化細胞からの試料(P145、P440およびK562)においてではない)、DNA−PETによるBIM欠失の検出を示す。5つの臨床CML試料およびK562のChr2:111580000..111650000 DNA−PETデータは、ゲノムブラウザにおいて示す。緑の線で接続された濃い赤およびピンクの水平の矢じりは、欠失の存在を示す、不調和性PETのマッピング領域(アンカー)を表す。垂直の破線は、欠失領域を示す。 図4Bは、欠失(chr2:111,599,666..111,602,568)についてのUCSCゲノムブラウザ「28−Way Cons」軌道により示されるように、この領域が哺乳動物において保存されていることを示し、y軸に保存の程度を示す。 図4Cは、5名の患者およびK562細胞からのゲノムDNA試料を用いるPCRによる欠失の検証を示す。4.2KbのサイズのPCR生成物は、非欠失対立遺伝子に相当し、1.3KbのサイズのPCR生成物は、欠失対立遺伝子に相当する。M、1Kbマーカー(Fermentas)。 図4Dは、PCR生成物のSanger配列決定により3つ全ての欠失含有試料において見出された同一の切断点を示す。欠失配列は、青で示す。 BIM多型の機能的影響を示す図である。 図5Aは、BIMEL、BIMLおよびBIMSならびにBIMγ(エキソン3を含有することが知られている唯一のアイソフォーム)30〜32を含む主要なBIMアイソフォームについてのエキソンを示す、BIMのゲノム編成を示す。エキソン2と3の間の多型欠失を、赤線で強調する。開始コドン(開始)、ダイニン結合ドメイン(DBD)、BH3ドメイン(BH3)および停止コドン/ポリアデニル化シグナル配列(停止/ポリA)を含有するエキソンも強調する。この図は、実際の縮尺で描いていない。 図5Bは、23のCML患者試料[欠失なし(WT)がn=11および欠失あり(キャリア)がn=12]において定量リアルタイムPCRにより測定し、BIMのエキソン特異的転写産物の発現レベルを示す。エキソンE2A、E3またはE4を含有する様々な転写産物のレベルを、エキソン2Aまたはβ−アクチンに対して標準化した比として表す。平均および平均の標準誤差を、赤線およびバーで表す。統計的有意性(p)は、Wilcoxonの順位和検定により算出する。 図5Cは、実施例2に記載する方法を用いて、欠失を検出するために行った、東アジア人および非東アジア人のCML株化細胞の収集物からのPCR反応生成物を示す。 図5Dは、欠失を有するCML株化細胞および有さないCML株化細胞におけるエキソン4含有転写産物に対するエキソン3含有転写産物の比を示す。 図5Eは、1μMのイマチニブで24時間処置した後の、欠失を有する株化細胞および有さない株化細胞から得られた細胞溶解物におけるBIMELのレベルを示すウェスタンブロットである。 図5Fは、1μMのイマチニブを用いて培養した、欠失を有するCML株化細胞および有さないCML株化細胞の成長曲線を示す。 図5Gは、KCL22およびKYO−1細胞に対するイマチニブ、ダサチニブおよびABT−737のアポトーシス活性を示す。細胞は、2μMのイマチニブ、50nMのダサチニブまたは2.5μMのABT−737で48時間処置し、死滅細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーにより決定した。 BIM多型とチロシンキナーゼ阻害剤に対する臨床耐性との関連を示す図である。2つの東南アジア紹介センターで診察された慢性期または移行期CMLのいずれかの患者を、欧州LeukemiaNet基準、および耐性を与えることが知られているBCR−ABL変異の存在または非存在によるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)に対する感受性または耐性に従って類別した。これらの群のそれぞれにおけるBIM多型の発生率を、次いで決定した。P値は、Fisherの両側正確検定を用いて算出した。 図6Aは、BCR−ABL変異がないTKI耐性患者に対するBCR−ABL変異を有するTKI耐性患者におけるBIM欠失の頻度を示す。 図6Bは、BCR−ABL変異がないTKI耐性患者に対するTKI感受性疾患の患者におけるBIM欠失の頻度を示す。 図6Cは、TKI耐性を有する全ての患者と比較した、TKI感受性疾患の患者におけるBIM欠失の頻度を示す。 cPETタグ計数から推測したコピー数情報を示す図である。染色体を、図の下に示すように緑と黒を交互にして水平軸上に配置する。コピー数の値は、赤で示す平滑化したウィンドウ値とともにY軸上に表す。試料IDは、プロットの左上の角に示す。K562についてy軸尺度が異なることに注意されたい。 東アジア人におけるBIM欠失のゲノム背景を示す図である。 図8A。74名の東アジアHapMap第I期の個体を、BIM中のイントロン欠失について遺伝子型決定し、欠失遺伝子型を、HaploViewソフトウェア(Barrettら2005)を用いてSNP遺伝子型と相関させた。LDに基づくハプロタイプブロックをSNPとともに、左から右にゲノムの順序で示す。ハプロタイプ頻度は、右に灰色で示す。マーカー#49は、A=欠失なしおよびC=欠失を用いてBIM欠失を表す。最も頻度が高い赤のハプロタイプと同一の欠失とは別の欠失が、青のハプロタイプの背景上にある。ハプロタイプタギングSNPに矢じりで印をつける。 図8B。A(#)におけるタギングSNPのID(名称)を、それらのヘテロ接合性頻度(ObsHET)、マイナー対立遺伝子頻度(MAF)および対立遺伝子とともに示す。 DNAペアエンドタグ(PET)配列決定法を示す図である。ゲノムDNAをハイドロシェアにかけ、EcoP15I認識部位をメチル化し、EcoP15I CAPアダプタをDNA断片の端にライゲーションした。メチル化DNA構築物をアガロースゲル上で分離し、9Kbサイズの断片をライゲーションのために選択して、9Kb断片の5’(R3、濃い赤)および3’(F3、ピンク)の端が2つのフランキング非メチル化EcoP15I CAPアダプタを有する内部ビオチン化アダプタで接続された環状生成物が得られた。構築物をメチル化感受性EcoP15Iにより消化して、5’および3’PET構築物を遊離させた。配列決定アダプタをPET構築物にライゲーションし、これを次いでPCRにより増幅し、Applied Biosystems SOLiDシステムにより配列決定した。得られたPETをヒト参照配列hg18に対してマッピングした。 dPETクラスタによる構造変動(SV)の同定を示す図である。「判読」は、ヒト参照配列に対するdPETクラスタのマッピングパターン(「参照に対するマッピング」)から推測した配列決定されたゲノムのゲノム構造を示す。濃い赤の矢印は、5’アンカー領域を表し、ピンクの矢印は、3’アンカー領域を表す。灰色、青および赤の水平線は、染色体セグメントを表す。赤の矢印は、染色体セグメントの向きを示す。 細胞遺伝学的に予測した同腕染色体17qの再構築を示す図である。サイズ2のDNA−PETクラスタは、第17染色体17,595,066位マイナス鎖を、第17染色体28,282,853位プラス鎖に接続する。上、第17染色体核型図式を、赤の垂直線により示す切断点の位置とともに示す。濃い赤およびピンクの矢印は、PETのマッピング位置および向きの符号である。中、ゲノムブラウザ図を、上の赤線に相当する切断点領域について示す。赤の軌道は、調和性マッピングPETによるカバー範囲を表し、遺伝子は、緑で示し、濃い赤およびピンクの矢印は、PETのマッピング位置および向きを示す。下、DNA−PETデータに基づく同腕染色体17qの再構築。矢印は、ゲノム座標が増加する方向を示す。 急性転換に伴う体細胞性構造変動を示す図である。 図12A。BCRおよびABL1遺伝子のゲノム構造と、転座切断点の位置とを示す。エキソンは、箱で示し、イントロンは、転写の方向を示す(+鎖、左から右に)羽状の線で表す。切断点の位置は、それぞれの試料IDとともに赤の垂直線で示す。 図12B。BCRをABL1と接続するペアエンド読み取りの数(カバー範囲で標準化したクラスタサイズ)の相互事象に対する比は、疾患増悪と相関する。第22染色体上のBCRおよび第9染色体上のABL1のゲノム領域を水平軸上に示し、遺伝子は緑および青で示す。コピー数の見積りを、紫の軌道で表す。ピンクおよび濃い赤の矢印は、BCRとABL1との間の接続性を示す。BCR−ABL1およびABL1−BCR転座のPET数は、それぞれ青および灰色で示す。垂直の破線は、切断点の位置を示す。 図12C。DNA−PETにより同定されたBCR−ABL1転座のFISHによる検証を示す。 BIMのエキソン特異的転写産物の発現レベルを示す図である。発現レベルは、定量リアルタイムPCRにより、CMLを患っていない正常個体から作製した7つの株化細胞[欠失なし(WT)がn=3、欠失あり(キャリア)がn=4]において測定する。エキソンE2A、E3またはE4を含有する様々な転写産物のレベルは、エキソン2Aまたはβ−アクチンに対して標準化した比として表す。同定された1名のホモ接合性キャリアについての発現を緑で強調する。統計的有意性(p)は、Wilcoxonの両側順位和検定(赤)および両側t検定(黒)により算出する。 BIMのイントロン2中の2903bp欠失多型が、TKI耐性CML患者試料中に存在することを示す図である。 図14A。5つの臨床CML試料およびK562細胞からのChr2:111,580,000..111,650,000を包含するDNA−PETデータのゲノムブラウザ図を示す。イマチニブに対する耐性を有する患者からの3つの試料(P308、P022およびP098)のうち3つにおける(しかし、イマチニブに対する感受性がある患者または株化細胞からの試料(P145、P440およびK562)においてではない)、DNA−PETによるBIM欠失多型の検出。赤の軌道は、領域(カバー範囲)にマッピングされた配列決定された調和性PETの数を表す。緑の線で接続された赤ワイン色およびピンクの水平の矢じりは、不調和性PETのマッピング領域を表し、欠失の存在を示す。垂直の破線は、欠失領域を示す。 図14B。イントロンBIM欠失多型およびフランキング配列の模式図。切断点は、PCR生成物のSanger配列決定により同定した。欠失配列は、青で強調する。ヒト参照配列座標は、NCBI Build 36に基づく。 図14C。欠失を挟むプライマーを用いた5名の患者試料およびK562細胞からのPCR生成物を示すアガロースゲル。4,226bpおよび1,323bpのサイズのPCR生成物は、それぞれ非欠失および欠失対立遺伝子に相当する。4,226および1,323bp生成物が共に存在することは、この個体が、欠失多型についてヘテロ接合性であることを示す。 図14D。異なる人種集団における欠失多型の頻度を示す表。試料は、PCRにより遺伝子型決定し、aに示すようにしてアガロースゲル上で分析した。 BIM遺伝子機能に対する欠失多型の影響を示す図である。 図15A。BIMEL、BIMLおよびBIMSならびにBIMγ(これは、BH3ドメインを欠く16)を含む主要なBIMアイソフォームについてのエキソンを示す、BIMのゲノム編成。エキソン2と3の間の欠失多型を赤線で強調する。開始コドン(開始)、ダイニン結合ドメイン(DBD)、BH3ドメイン(BH3)および停止コドン/ポリアデニル化シグナル配列(停止/ポリA)を含有するエキソンも強調する。この図は、実際の縮尺で描いていない。 図15B。K562またはKCL22 CML細胞のいずれかにトランスフェクトして、エキソン3/4についてのスプライシングを測定するための読出しとして働いた2つのミニ遺伝子構築物の模式図。エキソン3/4比は、U−E3およびU−E4転写産物に特異的なプライマーを用いるQ−PCRにより得て、アデノウイルス特異的エキソン配列(U)に対して標準化した。 図15C。K562細胞(左手のグラフ)およびKCL22細胞(右手のグラフ)における、欠失ミニ遺伝子構築物と比較した、非欠失ミニ遺伝子構築物におけるE4転写産物に対するE3転写産物の比の増加のヒストグラム(平均+/−平均の標準誤差、*p=0.0002、**p=0.012)。 図15D。23のCML患者試料[欠失なし(WT)がn=11および欠失あり(キャリア)がn=12]において定量リアルタイムPCR(Q−PCR)により測定したBIMのエキソン特異的転写産物の発現レベル。エキソンE2A、E3またはE4を含有する様々な転写産物のレベルは、E2A(E3およびE4について)またはb−アクチン(E2A[全BIM転写産物]について)に対して標準化した比として表す。平均および平均の標準誤差は、赤線およびバーで表す。1名のホモ接合性キャリアについての発現レベルを緑で強調する。統計的有意性は、Wilcoxonの順位和検定を用いて決定した。 図15E。東アジア人および非東アジア人CML株化細胞の収集物における多型を同定する、図14に記載する方法を用いたPCR生成物のアガロースゲル。 図15F。欠失多型を有するCML株化細胞(KCL22)および有さないCML株化細胞(K562およびKYO−1)における、E4含有転写産物に対するE3含有転写産物の比(平均+/−平均の標準誤差、*p=0.016、**p=0.011)。 図15G。1mMのイマチニブで24時間処置した後の、欠失多型を有する株化細胞および有さない株化細胞においてQ−PCRにより測定した、BIMのエキソン4特異的転写産物(β−アクチンに対して標準化した)の発現レベル(平均+/−平均の標準誤差、イマチニブ処置KCL22細胞に対して*p=0.01、**p=0.004)。 図15H。図15Gのようにして処置した株化細胞からの細胞溶解物におけるBIMEL(エキソン4およびBH3ドメインを含有する)およびCrkLのレベルを示すウェスタンブロット。3つ全ての株化細胞において、イマチニブ曝露は、CrkLの脱リン酸化をもたらし、これは、BCR−ABLキナーゼ活性の阻害を示した。 図15I。図15Gのようにして処置した細胞におけるカスパーゼ3切断を示すウェスタンブロット。 図15J。ABT−737とともにまたはなしでイマチニブを用いて処置し、カスパーゼ3切断についてアッセイした株化細胞のウェスタンブロット。 BIM欠失多型を保有するCML株化細胞の新規生成および分析を示す図である。 図16A。BIM欠失多型をK562 CML株化細胞のゲノムに導入するための、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を用いる方策の模式図。 図16B。ゲノム編集したK562株化細胞における多型を検出するための、図16Aに示すプライマーを用いたPCR産物(対照としてのKCL22細胞も示す)。欠失多型について陰性(K562−BIMイントロン+/+)、ならびにヘテロ接合性(K562−BIMイントロン+/−)およびホモ接合性(K562−BIMイントロン−/−)であったクローンを単離した。 図16C。K562−BIMイントロン+/+、K562−BIMイントロン+/−およびK562−BIMイントロン−/−細胞においてQ−PCRにより測定したエキソン3/エキソン4転写産物の比(平均+/−平均の標準誤差、*p=0.002、**p=0.0001)。 図16D。K562−BIMイントロン+/+、K562−BIMイントロン+/−およびK562−BIMイントロン−/−細胞におけるイマチニブ曝露の後のE4含有転写産物の発現(平均+/−平均の標準誤差、*p=0.015、**p=0.001)。 図16E。漸増濃度のイマチニブで処置した後のK562−BIMイントロン+/+、K562−BIMイントロン+/−およびK562−BIMイントロン−/−細胞からの細胞溶解物のウェスタンブロット。ウェスタンブロットは、BIMEL、切断カスパーゼ3、PARP、CrkLおよびβ−アクチンに対する抗体を用いて調べた。 図16F。それぞれβ−アクチンおよび未切断PARPに対して標準化したBIMEL(**p=0.0086、***p=0.00016)および切断PARP(*P=0.018、**P=0.0084)についてのeにおける知見のデンシトメトリーヒストグラム(平均+/−平均の標準誤差)。 図16G。アポトーシス細胞の細胞質画分におけるモノヌクレオソームおよびオリゴヌクレオソームを検出するためのELISAに基づくアッセイを用いる相対的アポトーシス細胞死(平均+/−平均の標準誤差、**p=0.006、***p=0.00021)。 図16H。アポトーシスシグナル伝達K562−BIMイントロン+/+、K562−BIMイントロン+/−およびK562−BIMイントロン−/−細胞に関して、BH3模倣薬であるABT−737をイマチニブに加えることの効果を示すウェスタンブロット。 DNAペアエンドタグ(PET)配列決定法を示す図である。ゲノムDNAをハイドロシェアにかけ、EcoP15I認識部位をメチル化し、EcoP15I CAPアダプタをDNA断片の端にライゲーションした。メチル化DNA構築物をアガロースゲル上で分離し、5、7および9Kbサイズの断片をそれぞれライゲーションのために選択して、5、7または9Kb断片の5’(R3、濃い赤)および3’(F3、ピンク)の端が2つのフランキング非メチル化EcoP15I CAPアダプタを有する内部ビオチン化アダプタにより接続された環状生成物が得られた。構築物をメチル化感受性EcoP15Iにより消化して、5’および3’PET構築物を遊離させた。配列決定アダプタをPET構築物にライゲーションし、これを次いでPCRにより増幅し、Applied Biosystems SOLiDシステムにより配列決定した。得られたPETをヒト参照配列NCBI build 36に対してマッピングした(図はそこから改作した) 6つのCMLゲノムのDNA−PET分析を示す図である。Circos18を用いてDNA−PETデータから作製し、円形プロットとして示す6つのCMLゲノムの核ゲノムマップ。31の正常ゲノムの少なくとも1つで同定されたものとマッチするSVを、ふるい分けして除いた(表H3〜H5)。構造変動(SV)の異なるカテゴリーを、凡例に示すように同心円の層に配置する。アスタリスク(*)は、BCR−ABL/ABL−BCR転座の存在を示す。第9/22染色体転座は、der9上の相互ABL/BCR融合の3Mb欠失によりP098において、および複雑な再編成によりK562において、その均衡の特徴を喪失した。P440で見出された転座は、挿入であった見込みがあり、同じ患者(P145)からの対合する試料中でPCRによっても(しかしDNA−PETによってではない)見出された(表H5の脚注を参照されたい)。 6つのCMLゲノムにおけるBCR−ABL再編成を示す図である。 図19Aは、BCRおよびABL1遺伝子のゲノム構造ならびに転座切断点の位置を示す。エキソンは、黒の箱で示し、イントロンは、転写の方向(+鎖、左から右に)羽状の線で表す。切断点の位置は、それぞれの試料IDとともに赤の垂直線で示す。 図19Bは、BCRをABL1と接続する(青)ペアエンド読み取りの数(クラスタサイズ)、ならびにABL1をBCRと接続する(灰色)相互事象の比が、疾患段階と相関することを示す。第22染色体上のBCRおよび第9染色体上のABL1のゲノム領域を水平軸上に示し、BCRおよびABL1は緑で示す。コピー数の見積りを、紫の軌道で示す。ピンクおよび赤ワイン色の矢印は、BCRとABL1との間の接続性を示す。BCR−ABLおよびABL−BCR転座の試料特異的配列決定深さ(カバー範囲;表H1を参照されたい)について補正したDNA−PETシグナルを、それぞれ青および灰色で示す。垂直の破線は、切断点の位置を示す。「MMR」=主要分子学的寛解。 図19Cは、DNA−PETにより同定されたBCR−ABL転座のFISHによる検証を示す。BCRおよびABL1についてのFISHプローブは、それぞれ緑および赤でラベルを付す。DNA−PETの結果によると、P145は、均衡転座事象(2つの融合)とそれぞれの1つの正常コピー(1G1R)とを示し、P440は、BCR遺伝子座とABL1遺伝子座の間に転座事象を示さず(2R2G)、P022は、均衡転座と、BCR−ABLの余剰のコピーに相当する1つのさらなる融合(3つの融合)と、それぞれの1つの正常コピー(1G1R)とを示し、P098は、BCR−ABL間の融合(1つの融合)と、第9染色体上のABL1欠失に相当するBCRプローブについての残存シグナル(1G)と、それぞれの1つの正常コピー(1G1R)とを示す。 BIMのエキソン3は、停止コドンおよびポリアデニル化シグナルを含有することを示す図である。BIMγのヌクレオチド配列およびそこから導かれるアミノ酸配列を示し、残基および塩基番号を右に示す。エキソン3についてのヌクレオチド配列を青で強調し、エキソン3中の停止コドン(TGA)を赤で強調する。エキソン3中のポリアデニル化シグナル(AATAAA)に下線を付す。 BIMLおよびBIMSは、BIMγと比較してより効力が高いアポトーシス誘発物質であることを示す図である。BIML、BIMSおよびBIMγのcDNAを、pcDNA3−FLAG3プラスミド(Koji Itahanaからの厚意による)にクローニングした。5μgのプラスミドを、KCL22細胞にヌクレオフェクションし、アポトーシス細胞の量を、アネキシンV−FITC/7−AAD染色をヌクレオフェクションの24時間後に用いて測定した。全てのデータは、3回の独立した実験の平均を示す(+/−平均の標準誤差)。 BIMγのsiRNA媒介ノックダウンは、KCL22細胞をイマチニブに対して感受性にしないことを示す図である。 図22Aは、BIMγノックダウンの際のKCL22細胞に対するイマチニブのアポトーシス活性を示す。細胞にsiRNAを24時間トランスフェクトし(U=非トランスフェクション対照)、2μMのイマチニブでさらに48時間処置し、アポトーシス細胞のパーセンテージをフローサイトメトリーにより決定した。 図22Bは、定量リアルタイムPCRにより測定した、対照またはE3特異的siRNAをトランスフェクトしたKCL22細胞におけるBIMのE3含有転写産物の発現レベルを示す。統計的有意性は、Studentのt検定により決定した。 図22Cは、K562およびKYO1のものと比較した、対照またはE3特異的siRNAをトランスフェクトしたKCL22細胞におけるE4含有転写産物に対するE3含有転写産物の比を示す。全てのデータは、3回の独立した実験の平均を示す(+/−平均の標準誤差)。 リンパ芽球様株化細胞におけるBIM遺伝子スプライシングに対するBIM欠失多型の機能的影響を示す図である。7名の正常HapMap個体[3名は欠失なし(WT)、4名は欠失あり(キャリア)]からのリンパ芽球様株化細胞において定量リアルタイムPCR(Q−PCR)により測定した、BIMのエキソン特異的転写産物の発現レベル。エキソンE2A、E3またはE4を含有する様々な転写産物のレベルは、E2A(E3およびE4について)またはβ−アクチン(E2Aについて)に対して標準化した比として表す。キャリアのうち1名は、ホモ接合性であった(緑の菱形)。 慢性期の間および同じ患者からの寛解の後に得られた試料においてDNA−PETにより同定されたdPETクラスタの比較を示す図である。「低信頼度のクラスタの排除」を通過したdPETクラスタを、患者試料P145とP440の間で比較した。クラスタは、2つの群に類別した:両方の試料において同定されたクラスタ(共有クラスタ)および2つの試料のうち一方だけで観察されたクラスタ(ユニーククラスタ)。これらの群のうちで、サイズ2から50のクラスタの画分を示す。 BIM欠失多型を保有するNSCLC株化細胞であるHCC2279が、ゲフィチニブに対して元来耐性であることを示す図である。 図25A。以前に記載された方法13を用いてHCC2279細胞における多型を同定するPCR生成物のアガロースゲル。 図25B。欠失多型を有する(HCC2279)および有さない(PC9)NSCLC株化細胞におけるE4含有転写産物に対するE3含有転写産物の比(平均+/−平均の標準誤差)。 図25C。対照(DMSO)または0.5μMのゲフィチニブで24時間処置した後のPC9およびHCC2279においてQ−PCRにより測定した、エキソン4含有BIM転写産物(β−アクチンに対して標準化した)の発現レベル(平均+/−平均の標準誤差、ゲフィチニブ処置PC9細胞に対して*p=0.0025)。 図25D。対照または0.5μMのゲフィチニブで24時間処置した株化細胞からの細胞溶解物におけるBIMEL(エキソン4およびBH3ドメインを含有する)およびPARPのレベルを示すウェスタンブロット。 図25E。0.5μMのゲフィチニブ、2.5μMのABT−737またはこれら両方で24時間処置した細胞におけるホスホ−EGFR(p−EGFR)、PARPおよびカスパーゼ3切断のレベルを示すウェスタンブロット。 図25F。0.5μMのゲフィチニブ、2.5μMのABT−737またはこれら両方で48時間処置したPC9およびHCC2279の細胞生存性。細胞生存性は、トリパンブルー排除により決定し、非薬物対照に対するパーセンテージとしてプロットした(平均+/−平均の標準誤差、ゲフィチニブ処置およびABT−737処置PC9細胞に対して*p=0.00004)。 BIM欠失多型が、EGFR TKI治療で処置されたEGFR変異非小細胞肺がんの患者における無増悪生存期間がより不良であることを予測することを示す図である。BIM欠失多型の存在または非存在は、EGFRの活性化変異を有することがわかっており、TKI治療を受けたシンガポールおよび日本からの141名のNSCLC患者において決定した。各群についての無増悪生存期間は、Kaplan−Meier法を用いて評価した。
配列表
配列番号1は、BIM_del_FおよびBIM_del_Rプライマーを用いて、記載される欠失を有するBIM遺伝子から増幅したPCR断片の配列である(長さ1,323bp)。
配列番号2は、BIM_del_FおよびBIM_del_Rプライマーを用いてのBIM野生型遺伝子からのPCR断片の配列である(長さ4,226bp)。
配列番号3は、Bim_del_Fフォワードプライマーの配列である(+chr2:111,599,051..111,599,070、hg18)。
配列番号4は、Bim_del_Rリバースプライマーの配列である(−chr2:111,603,257..111,603,276、hg18)。
配列番号5は、BIMにおける欠失:chr2:111,599,666〜111,602,568(hg18)の上流の1000bpフランキング配列chr2:111,598,666〜111,599,665の配列である。
配列番号6は、BIMにおける欠失:chr2:111,599,666〜111,602,568(hg18)の配列である。
配列番号7は、BIMにおける欠失:chr2:111,599,666〜111,602,568(hg18)の下流の1000bpフランキング配列chr2:111,602,569〜111,603,568の配列である。
本発明は、我々が東アジア人集団においてBIM遺伝子中で見出した新規な多型について記載する。この多型は、慢性骨髄性白血病(CML)の患者における薬物耐性の発生と関連する。
この多型を保有するCML患者は、有さない患者よりも、CMLについての標準的な治療に対する耐性を生じる見込みが高い。この多型を検査することは、薬物耐性の予測、ならびに代替および/またはより攻撃的な治療により利益を受ける可能性がある患者の早期の同定のためのバイオマーカーとして有用である。さらに、BIM遺伝子は、他の型のがんにおける治療誘発性細胞死の重要なメディエーターであるので、我々の発明は、東アジア人集団における広範囲のヒトのがんにも関連し得る。
TKI耐性の機構を見出すために、我々は、ハイスループット配列決定と結び付けたゲノムペアエンドタグまたはDNA−PETとよばれる新規な技術(参考文献A2、参考文献A3)を用いて、薬物耐性を有するかまたは有さない患者からのCML細胞のゲノムを調べた。このようにすることにより、我々は、BCR−ABL非依存性TKI耐性の発生と関連する、BIM遺伝子中の以前は知られていなかった欠失を明らかにした。この欠失を有する患者は、欠失を有さない患者よりも、BCR−ABL非依存性TKI耐性を有する見込みが4から5倍(17.4対3.9%)高い(p=0.04、Fisherの両側正確検定)。さらに、我々は、BIM欠失の存在または非存在を、患者からのCML株化細胞におけるBCR−ABL非依存性TKI耐性と相関させることもでき、これは、TKI耐性におけるBIM欠失についての直接的な機構的役割を示唆する。BIMタンパク質のアポトーシス促進性アイソフォームの上方制御がTKI媒介CML細胞死に必要であることがわかっているので(参考文献A4〜A7)、我々は、BIM欠失がアポトーシス促進性BIMの発現を減退させると仮定する。
BIM多型
我々は、1または複数のBIM多型核酸分子を含む単離ポリヌクレオチドについて記載する。これらは、対応するポリペプチドとともに、本文書において、「BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアント」または単純に「BIM多型」として様々に記載される。
単離ポリヌクレオチドは、様々な診断法において用いることができる。単離多型BIM核酸分子は、本明細書で記載する場合、以下の方法の1または複数において用いることができる:a)スクリーニングアッセイ、b)予測のための医薬(例えば診断アッセイ、予後アッセイ、モニタリング臨床試験および薬理遺伝学)およびc)処置方法(例えば治療的および予防的)。
BIM遺伝子は、本文書の他の場所で記載するように、当該技術において知られている。BIM遺伝子の起源は、任意の哺乳動物BIM遺伝子であり得る。一般的に、診断アッセイのために、BIM遺伝子の動物起源は、試験される核酸を有する動物と同じ種である。
単離多型BIM核酸分子は、1または複数のBIM多型を含む。例えば、BIM多型は、5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、その直後に続く配列番号7に示すヌクレオチド配列とを含み得る。BIM多型バリアントは、配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠くことによって特徴付けられ得る。
いくつかの、例えばスクリーニングアッセイにおける使用のために、BIM多型核酸分子は、少なくとも約15ヌクレオチド(nt)、少なくとも約18nt、少なくとも約20ntまたは少なくとも約25ntの長さであり、しばしば少なくとも約50ntである。このような小さいDNA断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーションスクリーニングなどのためのプライマーとして有用である。より大きいポリヌクレオチド断片、例えば少なくとも約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約300nt、少なくとも約500nt、少なくとも約1000nt、少なくとも約1500nt、コード領域全体まで、またはコード領域全体とBIM遺伝子からの約1000ntまでの5’および/もしくは約1000ntまでの3’フランキング配列は、コードされるポリペプチド、プロモーターモチーフなどを生成するために有用である。PCRのような増幅反応における使用のために、プライマーの対を用いる。プライマー配列の正確な組成は重要でないが、ほとんどの用途のために、プライマーは、当該技術において知られるように、ストリンジェント条件下で対象配列とハイブリダイズする。
プローブとして用いる場合、単離多型BIM核酸分子は、追加の非BIMヌクレオチド配列が検出アッセイに干渉しない限り、非BIMヌクレオチド配列を含んでよい。プローブは、単離多型BIM配列と、任意の数の非BIMヌクレオチド配列(例えば約1bpから約1kb以上まで)を含んでよい。
スクリーニングの目的のために、多型配列のハイブリダイゼーションプローブを用いることができ、ここでは、両方の形が、別々の反応において、固相マトリクス上で空間的に離れて、または互いに区別できるように標識されて存在する。アッセイは、記載される多型の1または複数とハイブリダイズする核酸を利用してよい。
本明細書で記載する単離多型BIM核酸分子は、固体基材と直接または間接的(例えばリンカー分子を介して)に結合(例えば化学的コンジュゲート)できる。固体基材は、それらに限定されないが、ビーズ、例えばポリスチレンビーズ;チップ、例えばガラス、シリカなど;プラスチック表面、例えばポリスチレン、ポリカーボネートプラスチックマルチウェルプレートなどを含む、当該技術において知られるいずれであってもよい。
単離多型BIM核酸分子は、化学的もしくは生化学的合成により、組換えDNA技術により、もしくは生物学的供給源から核酸を単離することにより、または上記の任意の組合せにより得ることができる。例えば、核酸は、当該技術において知られるように固相合成技術を用いて合成できる。オリゴヌクレオチド合成は、Edgeら(1981)Nature 292:756頁;Duckworthら(1981)Nucleic Acids Res.9:1691頁ならびにBeaucageおよびCaruthers(1981)Tet.Letters 22:1859頁にも記載されている。核酸の調製の後に、核酸を、次いで、発現系の他のメンバーにライゲーションして、転写開始および終結領域(これらが、適切な条件下で対象ポリペプチド生成物への核酸の発現をもたらす)と作動可能に組み合わさった対象生成物をコードする核酸を含む発現カセットまたは系を生成する。
追加のBIM遺伝子多型は、それらに限定されないが、SSCP、変性HPLCおよび配列決定を含む当該技術において知られる任意の様々な方法を用いて同定してよい。SSCPは、追加のBIM遺伝子多型を同定するために用いてよい。一般的に、PCRプライマーおよび制限酵素は、約25bpから約500bpまで、または約100bpから約250bpまで、またはその範囲内の任意の中間もしくは重複する範囲のサイズの生成物を生じるように選択される。
多型BIMポリペプチド
我々は、単離多型BIMポリペプチドについてさらに記載する。単離多型BIMポリペプチドは、BIMポリペプチドの生物活性を改変する薬剤をスクリーニングするためのアッセイにおいて有用であり得る。
用語「多型BIMポリペプチド」は、全長天然ポリペプチドおよびその断片、特に生物活性断片および/または機能的ドメイン、例えば生物活性を有する領域もしくはドメインなどに相当する断片;その抗原性断片を含み、かつ他のタンパク質もしくはその一部と対象ポリペプチドとの融合体を含む、既知のBIMポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされるアミノ酸配列を包含する。BIMポリペプチドのアミノ酸配列は開示されている。例えばMooreら、既出を参照されたい。BIMポリペプチドにおける多型は、一般的に、参照配列に対して定義される。
本明細書で用いる場合、「多型BIMポリペプチド」は、i)天然多型BIMポリペプチド、ii)多型BIMポリペプチドの断片、iii)多型BIMポリペプチドのポリペプチド類似体、iv)多型BIMポリペプチドのバリアント、v)多型BIMポリペプチドの免疫活性断片およびvi)多型BIMポリペプチドを含む融合タンパク質のアミノ酸配列を有する組換えまたは非組換えポリペプチドのアミノ酸配列のことをいう。多型BIMポリペプチドは、生体試料から、または自然、合成、半合成もしくは組換えのいずれかの供給源から得ることができる。
用語「多型BIMポリペプチド」は、少なくとも約5アミノ酸、少なくとも約10アミノ酸、少なくとも約15アミノ酸、少なくとも約25アミノ酸、少なくとも約50アミノ酸、少なくとも約75アミノ酸、少なくとも約100アミノ酸、少なくとも約200アミノ酸、少なくとも約300アミノ酸、少なくとも約400アミノ酸から、または多型BIMポリペプチドのポリペプチド全体までを含むポリペプチドを包含する。いくつかの実施形態では、多型BIMポリペプチドは、生物活性を示し、例えば、ポリペプチドは、in vitroアッセイにおいてB細胞の増殖および免疫グロブリンの生成を引き起こす。BIM生物活性についての他のアッセイは、当該技術において知られており、多型BIMポリペプチドが生物活性を示すかを決定し、かつ所望により、BIM生物活性を定量するために用いることができる。BIM生物学的アッセイは、様々な出版物、例えばMooreら、既出に記載されている。
多型BIMポリペプチドは、融合タンパク質の一部であってよい。適切な融合パートナー(例えば非BIMポリペプチドまたは「異種ポリペプチド」)は、それらに限定されないが、免疫認識をもたらす異種ポリペプチド、例えばエピトープタグ;検出可能なシグナルをもたらす異種ポリペプチド、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、β−ガラクトシダーゼなど;触媒機能をもたらす異種ポリペプチド;および細胞への侵入を容易にする異種ポリペプチドを含む。融合パートナーは、多型BIMポリペプチドのN末端、C末端またはその両方にインフレームで、ポリペプチドの合成の標準的な方法を用いて、または組換え法を用いて結合させることができる。
多型BIMポリペプチドは、自然の供給源からの単離;化学合成による生成;および標準的な組換え技術による生成を含む任意の既知の方法、またはそのような方法の組合せにより得ることができる。
多型BIMポリペプチドは、生物学的供給源から、親和性クロマトグラフィーを用いて、例えば固体支持体に固定化されたBIMポリペプチドに特異的な抗体を用いて単離できる。ポリペプチドは、発現の目的に応じて、従来の様式に従って原核または真核生物において発現できる。タンパク質の大規模生成のために、E.coli、B.subtilis、S.cerevisiaeのような単細胞生物、バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞、または脊椎動物、特に哺乳動物のような高等生物の細胞、例えばCOS7細胞、CHO細胞、HEK293細胞などを発現宿主細胞として用いてよい。いくつかの状況では、遺伝子を真核細胞において発現させることが望ましく、ここでは、タンパク質は、天然のフォールディングと翻訳後修飾により利益を受ける。ポリペプチドは、次いで、細胞培養物上清または細胞溶解物から、上記のように親和性クロマトグラフィー法またはアニオン交換/サイズ排除クロマトグラフィー法を用いて単離できる。
発現宿主を採用することにより大量のタンパク質またはその断片を入手して、タンパク質を従来の様式に従って単離および精製してよい。溶解物を発現宿主から調製し、溶解物を、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィーまたは他の精製技術により精製できる。
BIM多型の検出
多型または変異、例えば本明細書に記載するBIM多型についてDNAを分析するためにいくつかの異なる方法が、通常、用いられる。
よって、個体に由来するポリヌクレオチド試料中のBIM多型の検出は、それらに限定されないが、特異的プライマーを用いる配列の増幅;ポリヌクレオチド試料のヌクレオチド配列の決定;ハイブリダイゼーション分析;1本鎖高次構造多型分析;変性勾配ゲル電気泳動;ミスマッチ切断検出などを含む当該技術において知られる任意の手段により達成できる。BIM多型の検出は、BIM遺伝子のmRNA転写産物レベルの変化;BIM遺伝子の異常改変、例えば異常メチル化パターン;BIM mRNAの非野生型スプライシングパターンの存在;BIMポリペプチドレベルの変化;および/またはBIMポリペプチド生物活性の変化の検出により達成することもできる。
試料
個体に由来する(例えば個体から得られる)ポリヌクレオチド試料は、個体から採取された生体試料から得られる。個体からのポリヌクレオチドを含む任意の生体試料は、用いるのに適している。生体試料は、ポリヌクレオチドを単離するように処理してもよい。代わりに、全細胞または他の生体試料を、その中に含まれるポリヌクレオチドを単離することなく用いてよい。
核酸増幅
ポリヌクレオチド試料を分析することによるBIM多型の検出は、いくつかの様式で行うことができる。試験核酸試料は、BIM多型(複数可)を含むことが知られている配列領域を増幅するプライマーを用いて増幅できる。ゲノムDNAまたはmRNAを、直接用いることができる。代わりに、対象の領域を適切なベクターにクローニングして、分析のために十分な量に成長させることができる。
核酸は、分析のために十分な量を提供するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)などのような従来の技術により増幅してよい。ポリメラーゼ連鎖反応の使用は、例えば「PCR Protocols(Methods in Molecular Biology)」(2000)J.M.S.BartlettおよびD.Stirling編、Humana Press;ならびに「PCR Applications:Protocols for Functional Genomics」(1999)Innis、GelfandおよびSninsky編、Academic Pressを含む様々な出版物に記載されている。
検出可能な標識を増幅反応に含めてよい。適切な標識は、蛍光色素、例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリスリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、放射活性標識、例えば32P、35S、Hなどを含む。標識は、2段階系であってよく、ここでは、増幅DNAが、高親和性結合パートナー、例えばアビジン、特異的抗体などを有するビオチン、ハプテンなどとコンジュゲートし、結合パートナーが検出可能な標識とコンジュゲートする。標識は、プライマーの一方または両方とコンジュゲートしてよい。代わりに、増幅に用いたヌクレオチドのプールを標識して、標識を増幅生成物中に組み込む。
BIM多型を含む領域を一旦増幅すると、BIM多型は、PCR生成物中で、ヌクレオチド配列決定により、SSCP分析により、または当該技術において知られる任意の他の方法により検出できる。
核酸配列決定
最も決定的な方法は、DNAまたは転写されたmRNA(入手可能であれば)を配列決定して、実際の塩基配列を決定することである(MaxamおよびGilbert、1977;Sangerら、1977)。
試料の核酸は、ジデオキシ鎖ターミネーション法またはその他の公知の方法により配列決定できる。ゲノムDNAまたはmRNAを直接用いてよい。mRNAを用いるならば、cDNAコピーをまず作製してよい。所望により、試料の核酸は、PCRを用いて増幅できる。当該技術において知られる様々な配列決定反応を用いて、BIM遺伝子または特定の多型が生じることが知られているその一部を直接配列決定して、試料の核酸の配列を、BIM多型を含有する参照ポリヌクレオチドと比較することにより多型を検出できる。様々な自動化配列決定手順のいずれも用いることができる。例えば、WO94/16101;Cohenら(1996)Adv.Chromatography 36:127〜162頁を参照されたい。
このような方法は最も決定的であるが、これは、最も費用と時間がかかる方法でもある。
制限マッピング分析(RFLP分析)
個体における特定のDNA配列、例えばBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントをコードする遺伝子は、DNAの配列の欠失、重複する配列の挿入、配列の逆位または単一ヌクレオチドから別のものへの変換のような多くの異なる変化を受けることがある。特定のDNA配列中の変化は、4〜6ヌクレオチドの特異的DNA配列を認識する制限酵素を用いることにより追跡できる。
制限マッピング分析は、よって、多型についてのDNAの分析においても用いることができる。ある制限酵素についての認識部位を変化させる部位にて既知の多型について探しているならば、この制限酵素を用いて単純にDNAを消化し、断片をゲル上でまたはサザンブロットを用いて分析して、多型の存在または非存在を決定することが可能である。この型の分析は、全体的な挿入または欠失の存在または非存在を決定するためにも有用である。対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションは、既知の多型の存在を決定するためのさらに別の方法である。
制限酵素は、DNAを、それらの特異的認識配列にて切断(消化)し、1百万程度の破片をもたらす。制限酵素により認識される配列を、認識されないものに変化させる相違が存在する場合、領域を切断することにより生成されるDNAの破片は、異なるサイズのものである。よって、ある領域からの様々な可能性のある断片サイズは、領域内のDNAの精密な配列に依存する。
生成される断片の変動は、「制限断片長多型」(RFLP)とよばれる。異なるバリアントDNA配列を反映する異なるサイズの断片は、消化されたDNAをそのサイズに従って分離することにより視覚化できる。ゲルまたはキャピラリー電気泳動、特にアクリルアミドまたはアガロースゲルのような様々な手段により分画を行ってよい。
例えば、DNA断片は、アガロースゲル上にあって、放射活性標識DNA「プローブ」とのアニーリングにより個別の断片を視覚化してよい。各個体は、特定の配列の2つの異なる形を有することがある。2つのホモログが同じ形の多型を保有する場合、1つのバンドが観察される。2以上の形の多型が、集団中の特定のDNAマーカーについて存在することがあるが、1つの家系において、4つの形だけが可能である(それぞれの親から2つ)。それぞれの子供は、それぞれの親から1つの形の多型を受け継ぐ。よって、各染色体領域の起源を追跡できる(母性または父性起源)。
上記の技術は、当該技術において公知である。これらの技術についての詳細な記載は、例えば「Laboratory Methods for the Detection of Mutations and Polymorphisms in DNA」(1997)G.R.Taylor編、CRC Pressおよびそこで引用される参考文献を含む様々な出版物において見出すことができる。
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)
代わりにまたはさらに、RT−PCRを行うことができる。PCRは、よって、多型に特異的なプライマーを用いることにより多型が存在するかを決定するためにも用いてよい。
このような方法は、鋳型として個体の遺伝物質を含む生体試料を個体から回収するステップと、場合によって、鋳型核酸(ゲノムDNA、mRNAまたはその両方)を生体試料から単離するステップと、鋳型核酸試料を、BIM多型核酸分子と特異的にハイブリダイズする1もしくは複数のプライマーと、試料中の鋳型核酸分子のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じる条件下で接触させるステップと、増幅生成物の存在、非存在および/もしくは相対的量を検出するステップと、タイの長さを対照試料と比較するステップとを含み得る。予想されるサイズの増幅生成物が観察されることは、BIM多型プライマー内に含まれるBIM多型が、試験核酸試料中に存在することを示す。
ハイブリダイゼーション条件、BIM多型プライマー長、およびBIM多型プライマー内の多型の位置のようなパラメータは、プライマー(複数可)内に存在する多型が試料の核酸内にも存在しない限りハイブリダイゼーションが生じないように選択できる。当業者は、このようなパラメータをどのように選択し、変動させるかをよく認識している。例えば、Saikiら(1986)Nature 324:163頁;およびSaikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230頁を参照されたい。
ハイブリダイゼーション分析
バリアント配列とのハイブリダイゼーションを用いて、BIM多型の存在を決定することもできる。
ハイブリダイゼーション分析は、それらに限定されないが、サザンブロット、ノザンブロット、ドットブロット、マイクロアレイなどを含むいくつかの異なる様式で行うことができる。米国特許第5,445,934号またはWO95/35505に記載されるような、固体支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイへの対照およびバリアント配列のハイブリダイゼーションパターンは、バリアント配列の存在を検出するための手段として用いてもよい。
核酸試料中の多型の同定は、試料および対照の核酸を、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含有する高密度アレイにハイブリダイズさせることにより行うことができる。Croninら(1996)Human Mutation 7:244〜255頁;およびKozalら(1996)Nature Med.2:753〜759頁。
質量分析
既知遺伝子内の多型の存在を決定するための質量分析の使用は、米国特許第5,869,242号に開示されている。
オリゴヌクレオチドライゲーション
代わりに、オリゴヌクレオチドライゲーションを、多型を検出する手段として利用する様々な方法が当該技術において知られている。例えばRileyら(1990)Nucleic Acids Res.18:2887〜2890頁;およびDelahuntyら(1996)Am.J Hum.Genet.58:1239〜1246頁を参照されたい。
1本鎖高次構造多型(SSCP)分析
1本鎖高次構造多型(SSCP)分析は、多型を検出するための迅速で有効な方法である(Deanら、Cell 61:863頁、1990;GlavacおよびDean、Hum.Mutation 2:404頁、1993;Podusloら、Am.J.Hum.Genet.49:106頁、1992)。SSCPでは、ゲル上での異常な鎖の移動性は、遺伝子内の変異事象と関連する。
ゲルマトリクス中での変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、ミスマッチ切断検出およびヘテロ2重鎖分析も、多型を検出するために用いてよい。
制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング(REF)
制限エンドヌクレアーゼフィンガープリンティング(REF)を、場合によってRT−PCRを行った後に行うこともできる。REFは、1本鎖高次構造多型(SSCP)法の改変であり、2kbの長さまでのDNA断片中の配列の変更を効率よく検出することを可能にする(LiuおよびSommer、1995)。
多型の遺伝子分析は、なかでも米国特許第5,552,28号、第5,654,13号、第5,670,33号、第5,807,67号、第5,858,66号、第5,691,15号、第5,922,57号、第5,972,60号、第6,136,53号および第5,955,26号に詳細に開示されている。
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ドットブロット分析
特定の遺伝子上の多型を検出するための別の方法は、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ドットブロット分析に従うことである(Conner,B.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.、80、278〜282頁(1983))。この方法は、標的多型を挟むように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを用いたPCR増幅遺伝子断片の対立遺伝子に特異的なオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズ可能なDNA断片をドットブロット分析に供することにより行うことができる。この様式で、このようなDNA断片上の多型を検出できる。
ポリペプチド分析
多型がアミノ酸の変化を含む場合、分析される遺伝子の発現生成物を用いて多型の分析を行うことが可能である。この場合、多型部位に相当するアミノ酸を含有する限り、部分タンパク質または部分ペプチドを分析のための試料として用いることができる。多型部位にてアミノ酸を直接アッセイする方法または免疫学的方法をこの場合に用いてよい。エドマン法のような既知のアミノ酸配列分析法を前者において用いてよく、遺伝子の発現生成物に特異的な結合活性を有するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いる方法、例えば酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA法)、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降法または免疫拡散法を後者において用いてよい。
上記のようにして得られる多型についての情報は、統計的に合計して、疾患の診断、罹患についての相対的リスクの検出および識別、ならびに療法の選択のために用いてよい。
発現分析
特定の試料中の多型BIM核酸分子、例えば多型BIM mRNAまたは多型BIMポリペプチドの発現レベルを決定するために、いくつかの方法が利用可能である。診断をいくつかの方法により行って、患者の試料中の正常もしくは異常BIM mRNAの存在または非存在または量の変化を決定してよい。例えば、検出は、従来の方法に従って行われる、標識抗体を用いる細胞または組織学的切片の染色を利用してよい。細胞は、細胞質の分子を染色するために透過にされる。対象の抗体を細胞試料に加え、エピトープとの結合を可能にするのに十分な時間、通常少なくとも約10分間インキュベートする。抗体は、放射性同位体、酵素、蛍光剤、化学発光剤または直接検出のためのその他の標識を用いて標識してよい。代わりに、第2段階の抗体または試薬を用いてシグナルを増幅する。このような試薬は、当該技術において公知である。例えば、1次抗体をビオチンとコンジュゲートさせ、セイヨウワサビペルオキシダーゼコンジュゲートアビジンを第2段階試薬として加えてもよい。代わりに、2次抗体を蛍光化合物、例えばフルオレセイン、ローダミン、テキサスレッドなどとコンジュゲートさせる。最終検出は、ペルオキシダーゼの存在下で色の変化を経る基質を用いる。抗体結合の非存在または存在は、解離細胞のフローサイトメトリー、顕微鏡観察、X線撮影法、シンチレーション計数などを含む様々な方法により決定してよい。多型BIMポリペプチドの存在および/またはレベルは、当業者に知られる任意の様式で検出および/または定量してもよい。
さらに、試験は、BIM mRNAの発現の測定を含み得る。生化学的研究を行って、BIMコード領域または制御領域内の配列多型が疾患と関連するかを決定してよい。疾患関連多型は、遺伝子の欠失もしくは切断、発現レベルを変更する変異、タンパク質の活性に影響する変異などを含むことがある。
BIMの発現レベルに影響し得るプロモーターまたはエンハンサー配列中の変化を、当該技術において知られる様々な方法により、正常対立遺伝子の発現レベルと比較できる。プロモーターまたはエンハンサー強度を決定する方法は、発現した自然タンパク質の定量;簡便な定量をもたらすβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼなどのようなレポーター遺伝子とともにベクターへのバリアント制御エレメントの挿入などを含む。
多型BIMポリペプチド中の変異についてのスクリーニングは、タンパク質の機能的または抗原性の特徴に基づいてよい。タンパク質切断アッセイは、タンパク質の生物活性に影響し得る欠失を検出するために有用である。多型BIMポリペプチド内の多型を検出するために設計された様々なイムノアッセイを、スクリーニングにおいて用いてよい。多くの多様な遺伝子変異が特定の疾患表現型を導く場合、機能的タンパク質アッセイが、効果的なスクリーニングツールであることが証明されている。コードされる多型BIMポリペプチドの活性は、特定の多型を欠く参照BIMポリペプチドとの比較により決定できる。
BIM遺伝子発現のレベルが興味の対象である診断方法は、対象の試料のBIM核酸の豊富さを、対照値のものと比較して、いずれかの相対的な相違を決定することを典型的に含み、ここで、相違は、定性的および/または定量的に測定してよく、この相違を、次いで、異常BIM遺伝子発現パターンの存在または非存在と関連させる。試料中の核酸の豊富さを決定するための様々な異なる方法が当業者に知られており、対象の具体的な方法は、Pietuら、Genome Res.(1996年6月)6:492〜503頁;Zhaoら、Gene(1995年4月24日)156:207〜213頁;Soares、Curr.Opin.Biotechnol.(1997年10月)8:542〜546頁;Raval、J.Pharmacol Toxicol Methods(1994年11月)32:125〜127頁;Chalifourら、Anal.Biochem(1994年2月1日)216:299〜304頁;StolzおよびTuan、Mol.Biotechnol.(19960年12月 6:225〜230頁;Hongら、Bioscience Reports(1982)2:907頁;ならびにMcGraw、Anal.Biochem.(1984)143:298頁に記載されるものを含む。また、WO97/27317(その開示は、本明細書に参照により組み込まれている)に開示される方法も対象である。
BIM(BCL2L11)
BIMは、BAM;BIM;BOD;BimL;BimEL;BIM−ベータ6;BIM−ベータ7;BIM−アルファ6;BCL2L11としても知られる。
BIM遺伝子およびポリペプチドのGenBank受託番号およびUCSC遺伝子IDは、次のとおりである。
GeneBank受託番号:
遺伝子(転写産物) タンパク質
NM_207002 NP_996885
NM_138621 NP_619527
NM_006538 NM_006538
UCSC遺伝子ID:
遺伝子(転写産物) タンパク質
uc002tgw.1 タンパク質なし
uc002tgx.1 タンパク質なし
uc010fkd.1 タンパク質なし
uc002tgy.1 タンパク質なし
uc002tgz.1 O43521
uc010fke.1 タンパク質なし
uc002tha.1 O43521
uc002thb.1 タンパク質なし
uc002thc.1 タンパク質なし
uc002thd.1 O43521
以下の転写産物についての記載は、上に列挙するGeneBank受託番号およびUCSC遺伝子IDに相当する。
NCBI GeneBank(RefSeq)
NM_207002.2
Homo sapiens BCL2様11(アポトーシス促進物質)(BCL2L11)、転写産物バリアント9、mRNA。
NM_138621.3
Homo sapiens BCL2様11(アポトーシス促進物質)(BCL2L11)、転写産物バリアント1、mRNA。
NM_006538.3
Homo sapiens BCL2様11(アポトーシス促進物質)(BCL2L11)、転写産物バリアント6、mRNA。
UCSC遺伝子
bim−アルファ1(uc002tgw.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
bim−アルファ1(uc002tgx.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
bim−アルファ1(uc010fkd.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
bim−アルファ1(uc002tgy.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
bim−アルファ1(uc002tgz.1)
BCL2様11転写産物バリアント9。
RefSeq(NM_006538)
bim−アルファ1(uc010fke.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
BCL2L11(uc002tha.1)
BCL2様11アイソフォーム9
RefSeq(NM_138621):
bim−アルファ1(uc002thb.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
bim−アルファ1(uc002thc.1)
Bim−アルファ1、完全cds。
RefSeq(NM_006538):
BCL2L11(uc002thd.1)
BCL2様11アイソフォーム9
RefSeq(NM_006538):
UCSCゲノムブラウザデータベース/データについての文献
Rhead B、Karolchik D、Kuhn RM、Hinrichs AS、Zweig AS、Fujita P、Diekhans M、Smith KE、Rosenbloom KR、Raney BJ、Pohl A、Pheasant M、Meyer L、Hsu F、Hillman−Jackson J、Harte RA、Giardine B、Dreszer T、Clawson H、Barber GP、Haussler D、Kent WJ.The UCSC Genome Browser database:update 2010.Nucleic Acids Res.2010年1月;38(データベース版):D613〜9.Epub 2009年11月11日。
この遺伝子によりコードされるタンパク質は、BCL−2タンパク質ファミリーに属する。BCL−2ファミリーメンバーは、ヘテロ二量体またはホモ二量体を形成し、広い多様性の細胞活動に関与する抗アポトーシスまたはアポトーシス促進性の調節物質として働く。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、Bcl−2ホモロジードメイン3(BH3)を含有する。これは、BCL2、BCL2L1/BCL−X(L)およびMCL1を含むBCL−2タンパク質ファミリーの他のメンバーと相互作用し、アポトーシスアクチベーターとして働くことが示されている。この遺伝子の発現は、神経増殖因子(NGF)により、およびフォークヘッド転写因子FKHR−L1により誘発でき、このことは、神経およびリンパ球アポトーシスにおけるこの遺伝子の役割を示唆する。マウスでの対応物のトランスジェニック研究は、この遺伝子が、胸腺細胞の負の選択におけるアポトーシスの必須の発動因子として機能することを示唆した。この遺伝子のいくつかの代替スプライス転写産物バリアントが同定されている[RefSeqにより提供される]。
慢性骨髄性白血病(CML)におけるチロシンキナーゼ阻害剤処置に対する耐性の予測
我々の発見は、以下の状況において臨床的利用性を有し得る。
BIM欠失を有する患者は、その状態をより頻繁にモニタリングすることにより利益を受けることができる。このことにより、代替および/またはより攻撃的な治療、例えば骨髄移植をより早期に用いることが可能になり、より良好な臨床転帰を潜在的に導くことができる。
BIM欠失は、治療の手引きとして用いることができる。例えば、欠失を有する患者は、BH3模倣剤として知られるクラスの薬物に対して特に感受性が高いことがあるTKI耐性患者の部分群であり得る(参考文献A8〜A12)。ABT−263(現在、早期段階の臨床試験中)のようなこのような薬物は、BCL2ファミリーのタンパク質の生存促進性メンバー(これは、通常、BIMタンパク質の死滅促進性ファミリーに対抗する)を選択的に標的にする。
CMLは、造血幹細胞のがんであり、BCR−ABLとよばれる発癌性融合遺伝子(これは、疾患の原因因子であると考えられる)の存在により引き起こされる。BCR−ABLは、正常な対応物と比較した場合にCML細胞の生存および増殖の増加を媒介する構成的活性型チロシンキナーゼをコードする。
CMLに対する効果的な処置は、BCR−ABLのキナーゼ活性を阻害するクラスの薬物の形であり、これらは、一般的に、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)とよばれる。しかし、時間が経つと、一部分の患者は、これらの薬物に対して臨床耐性を生じ、この事象は、急性転化(BC)CMLへの転換およびより短い生存にしばしば随伴する。
約60%の患者において、TKI耐性は、TKIをBCR−ABLと結合しにくくするBCR−ABL遺伝子の変異、または「野生型」BCR−ABL遺伝子もしくはタンパク質の過剰発現によるBCR−ABLの再活性化を伴う。両方の場合において、BCR−ABLキナーゼ活性は、TKIの存在下で回復し、よってBCR−ABL依存性TKI耐性との用語が用いられる。残りの40%の症例では、TKI耐性は、BCR−ABL再活性化の非存在下で生じ、BCR−ABL非依存性TKI耐性とよばれる。
現在までに、BCR−ABL非依存性TKI耐性の原因は不明であり、この形の耐性を媒介する機構の理解が深まることは、TKI耐性を克服するための方策を決定するために重要である。TKI耐性は、TKI耐性を生じる患者とそうでない患者との間の後天性または遺伝性の遺伝子の相違により媒介されるはずであるので、我々は、このような相違の同定が、TKI耐性の機構を解明するための見込みのあるアプローチであると推論する。
したがって、我々は、ハイスループット配列決定と結び付けたゲノムペアエンドタグまたはDNA−PETとよばれる新規な技術を用いて、薬物耐性を有するかまたは有さず、BCR−ABLキナーゼドメイン変異を有するおよび有さない患者からの初代CML細胞のゲノムを調べた。
本開示では、我々は、我々のチームによる以下の新規な発見について記載する。
DNA−PETの使用により、我々は、BCR−ABL非依存性TKI耐性の発生と関連する、BIM遺伝子中の以前は知られていなかった欠失を明らかにした。CML患者試料の臨床的にアノテートされたセットを用いて、我々は、この欠失を有する患者が、欠失を有さない患者よりも、BCR−ABL非依存性TKI耐性を有する見込みが4から5倍高いことを見出した(p=0.04、Fisherの両側正確検定)。
次に、我々は、患者由来CML株化細胞におけるBIM欠失の存在が、BCR−ABL非依存性TKI耐性と強く関連することを見出した。7つの患者由来CML株化細胞のパネルを用いて、我々は、欠失を有する1つの株化細胞を見出した。重要なことに、BIM欠失含有株化細胞だけが、BCR−ABL非依存性TKI耐性を示した。これらの結果は、BCR−ABL非依存性TKI耐性におけるBIM欠失についての直接的な機構的役割を示唆する。BIMタンパク質の上方制御がTKI媒介CML細胞死に必要であることがわかっているので、我々は、BIM欠失がBIMのアポトーシス促進性アイソフォームの発現を減退させると仮定する。
BIM欠失のさらなる分析(図4Cに示す配列番号3および4に記載するプライマーを用いる実施例2に記載するようなPCRアッセイ、SNP分析ならびにHapMapデータを用いて)により、欠失が、実際は、東アジア系の個体のおよそ10%の頻度を有する正常な多型であることが明らかになった。欠失多型は、60の白人HapMap試料および446のドイツ人血液提供者のスクリーニングに基づいて白人には存在しない見込みがあるか、または60のヨルバ族HapMap試料のスクリーニングに基づいて、アフリカ人(ヨルバ族)集団にも存在しない見込みがある(表E6)。BIM欠失の人種による分離と一貫して、b.に記載する欠失を有する株化細胞は、CMLの日本人個体に由来することが見出された(参考文献A31)。
この知見は、以下の項に記載するように、いくつかの意味および潜在的な臨床的使用を有する。
本発明は、次のようにして用いることができる。
CML患者がTKI耐性を生じるかを発症時に予測することは、現在のところ不可能である。TKI耐性を生じるリスクの増加と関連する遺伝的因子を同定することにより、東アジア人集団において、このような個体を同定することが今回可能になり得る。BIM欠失を有する患者を、次いで、医師がより密接に追跡し、現在推奨されているよりも高い頻度で疾患状態をモニタリングすることを勧めることができる。これらは、より頻度が高い血液および骨髄検査を含み得る。
さらに、BIM欠失の存在は、特定の代替治療方策に対する感受性を予測できる。これらは、400mg/日の標準用量を超えて600または800mg/日までイマチニブの用量を増加することを含む。代わりに、このような患者は、BCL2群タンパク質(BIMタンパク質が通常対抗する)の生存促進性効果を阻害する新規なクラスの薬物を用いて処置できる可能性がある。この後者の可能性について、我々の研究室で現在調べている。
重要なことに、TKIおよび他の標的治療は非常に高価であるので、BIM欠失を有することが見出された患者を管理する医師は、この知見を、より高い薬物用量の使用もしくは治療の変更に伴う費用の増加を患者および/または第三者支払人に対して正当化するため、または欠失の非存在下でのこれらの方策を回避するための根拠として用いることができる。
その他の疾患
他のがんの患者におけるBIM欠失の存在も、薬物耐性の発生についての予測因子および代替治療のための手引きとして用いることができる。
これは、CMLについて記載した状況と同じであり、他の血液悪性腫瘍(慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病および多発性骨髄腫)、骨髄増殖性疾患(真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症を含む)ならびに最も一般的な固形腫瘍(非小細胞および小細胞肺がん、乳がん、結腸直腸がん、卵巣がん、メラノーマおよび神経芽腫)および消化管間質性腫瘍(GIST)を包含し得る。
よって、本明細書で開示するBIM多型は、EGFR駆動型非小細胞肺がん(NSCLC)および消化管間質性腫瘍(GIST、GordonおよびFisher、2010)のような他の疾患におけるキナーゼ阻害剤処置に対する耐性を検出するために用いることもできる。
したがって、本明細書で開示するBIM多型を保有するこのようながんおよび腫瘍の患者は、それらのそれぞれの発癌性キナーゼを標的にする治療に対して耐性がある見込みがより高い。
さらに、Willら、Apoptosis induced by JAK2 inhibition is mediated by Bim and enhanced by the BH3 mimetic ABT−737 in JAK2 mutant human erythroid cells.Blood 8 2010年4月、115巻、14号も参照される。この文書は、JAK2活性化変異によって特徴付けられる骨髄増殖性疾患について記載している。この文献は、JAK阻害剤も感受性のためにBIM発現を必要とすることの証拠を提供する。
したがって、本明細書で開示するBIM多型は、さらに、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症のような骨髄増殖性疾患におけるキナーゼ阻害剤処置に対する耐性を検出するために用いることができる。本明細書で開示するBIM多型を保有する患者のような骨髄増殖性疾患の患者は、それらのそれぞれの発癌性キナーゼを標的にする治療に対して耐性がある見込みがより高い。
我々は、このような多型を含む個体における、EGFR駆動型非小細胞肺がん(NSCLC)、c−KIT/PDGFR駆動型消化管間質性腫瘍(GIST)またはJAK2駆動型骨髄増殖性疾患に罹患している個体におけるキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性と関連するBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを開示する。
EGFR駆動型非小細胞肺がん(NSCLC)を処置するために用いるキナーゼ阻害剤の例は、ゲフィチニブおよびエルロチニブを含み、消化管間質性腫瘍(GIST)を処置するために用いるキナーゼ阻害剤の例は、イマチニブである。骨髄増殖性疾患は、それらの原因因子キナーゼに対するキナーゼ阻害剤、例えばJAK2に対する阻害剤を用いて処置できる。
BIM多型は、5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、その直後に続く配列番号7に示すヌクレオチド配列とを含む、BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを含み得る。多型バリアントBIM(BCL2L11)は、配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠くことによって特徴付けられ得る。
我々は、非小細胞肺がん(NSCLC)に罹患している個体が、キナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるかを予測する方法であって、個体が、記載されるBIM(BCL2L11)多型を有するかを決定するステップを含む方法を開示する。耐性は、EGFR再活性化に依存しないことがある。非小細胞肺がん(NSCLC)は、EGFR駆動型非小細胞肺がん(NSCLC)のようにEGFR活性化と関連するかまたはそれにより引き起こされる非小細胞肺がん(NSCLC)を含み得る。
我々は、さらに、消化管間質性腫瘍(GIST)に罹患している個体が、キナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるかを予測する方法であって、個体が、記載されるBIM(BCL2L11)多型を有するかを決定するステップを含む方法を開示する。耐性は、c−KIT/PDGFR再活性化に依存しないことがある。消化管間質性腫瘍(GIST)は、c−KIT/PDGFR駆動型消化管間質性腫瘍(GIST)のようなc−KIT/PDGFR活性化と関連するかまたはそれにより引き起こされる消化管間質性腫瘍(GIST)を含み得る。
我々は、骨髄増殖性疾患に罹患している個体が、キナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるかを予測する方法であって、個体が、記載されるBIM(BCL2L11)多型を有するかを決定するステップを含む方法も開示する。耐性は、JAK2再活性化に依存しないことがある。骨髄増殖性疾患は、JAK2駆動型骨髄増殖性疾患のようなJAK2活性化と関連するかまたはそれにより引き起こされる骨髄増殖性疾患を含み得る。
我々は、例えば配列番号3に示すヌクレオチド配列と配列番号4に示すヌクレオチド配列とを含むプライマーセットを用いることにより、配列番号1に示す配列を含む核酸増幅生成物の存在を検出するステップを含む方法であって、個体がBIM(BCL2L11)多型を有すると決定されるならば、該個体は、キナーゼ阻害剤を用いる非小細胞肺がん(NSCLC)の処置に対する耐性を生じる見込みがある方法を開示する。
我々は、さらに、個体がBIM(BCL2L11)多型を有すると決定されるならば、該個体は、キナーゼ阻害剤を用いる消化管間質性腫瘍(GIST)の処置に対する耐性を生じる見込みがあるそのような方法を開示する。
我々は、個体がBIM(BCL2L11)多型を有すると決定されるならば、該個体は、キナーゼ阻害剤を用いる骨髄増殖性疾患の処置に対する耐性を生じる見込みがあるそのような方法も開示する。
逆に、このような個体がBIM(BCL2L11)多型を有さないと決定されるならば(例えば配列番号2に示す配列を含む核酸増幅生成物の存在が検出されるならば)、該個体は、キナーゼ阻害剤を用いる非小細胞肺がん(NSCLC)の処置に対する耐性を生じる見込みがより低い。
同様に、このような方法では、個体がBIM(BCL2L11)多型を有さないと決定されるならば、該個体は、キナーゼ阻害剤を用いる消化管間質性腫瘍(GIST)の処置に対する耐性を生じる見込みがより低い。
また、このような方法では、個体がBIM(BCL2L11)多型を有さないと決定されるならば、該個体は、キナーゼ阻害剤を用いる骨髄増殖性疾患の処置に対する耐性を生じる見込みがより低い。
我々は、非小細胞肺がん(NSCLC)もしくは消化管間質性腫瘍(GIST)もしくは骨髄増殖性疾患または上記のいずれかの組合せの個体に対する特定の治療の成功の見込みを決定する方法であって、該治療を、上記の方法により決定される治療と比較するステップを含む方法について記載する。
我々は、さらに、個体におけるキナーゼ阻害剤耐性非小細胞肺がん(NSCLC)の診断方法であって、個体における上記のBIM(BCL2L11)多型の存在を検出するステップを含む方法について記載する。我々は、個体におけるキナーゼ阻害剤耐性消化管間質性腫瘍(GIST)の診断方法であって、個体における上記のBIM(BCL2L11)多型の存在を検出するステップを含む方法についても記載する。我々は、個体におけるキナーゼ阻害剤耐性骨髄増殖性疾患の診断方法であって、個体における上記のBIM(BCL2L11)多型の存在を検出するステップを含む方法について記載する。
我々は、非小細胞肺がん(NSCLC)および/または消化管間質性腫瘍(GIST)および/または骨髄増殖性疾患に罹患している患者を処置する方法であって、がんがキナーゼ耐性がんであるかを上記の方法により決定するステップと、患者を処置するステップとを含む方法を提供する。
実施例1.Bim−アルファ1における欠失の存在をスクリーニングするためのアッセイ
標準的プロトコール/DNA抽出用キット
血液からのDNA抽出のためにQiagen血液および細胞培養物DNA Midiキット(cat.No 13343)(詳細についてQIAGEN_Genomic_DNA_Handbook.pdfを参照されたい)
または
頬側スワブからのDNA抽出のためにMasterAmp(商標)頬側スワブDNA抽出キット。
Qiagen Allprep DNA/RNAミニキット(cat.No 80204)、Qiagen Inc、Valencia、California、United States of Americaを用いることも可能である。
実施例2.Bim欠失検出のためのゲノムDNAを用いるPCRアッセイ
プライマー(100uM) 各0.2μl
ゲノムDNA 1μl(50ng)
dNTP(10mM) 2.5μl
Jumpstart Taq 2.5μl(Sigma;Cat.D1313)
10×緩衝液 5μl
O 50μlまで加える
PCRプログラム
ステップ1:96℃、30秒
ステップ2:94℃、15秒
ステップ3:64℃、30秒
ステップ4:68℃、5分
ステップ5:ステップ2〜4を11回反復
ステップ6:94℃、15秒
ステップ7:60℃、30秒
ステップ8:68℃、5分
ステップ9:ステップ6〜8を17回反復
ステップ10:68℃、20分
16℃を永続
プライマー
Bim_del_F AATACCACAGAGGCCCACAG(+chr2:111,599,051..111,599,070)
Bim_del_R GCCTGAAGGTGCTGAGAAAG(−chr2:111,603,257..111,603,276)
PCR生成物は、臭化エチジウムを用いて1%アガロースゲル上で泳動させ、
欠失なしで4,226bp
欠失ありで1,323bp
のサイズの生成物をUVスクリーン上で視覚化する。
実施例3.材料および方法:患者および試料
臨床試料は、IRB承認プロトコールに従って、the Singapore General HospitalおよびUniversity of Malayaで診察された患者から得た。
単核細胞をFicoll遠心分離により単離し、製造者の使用説明に従ってAllPrep DNA/RNAミニキット(Qiagen)を用いてDNA/RNAを抽出した。
実施例4.材料および方法:DNA−PET分析および検証
ゲノムDNAをハイドロシェアにかけて5、7および9Kbの断片にし、配列決定ライブラリーの構築のために用い、大量並列SOLiDシーケンサー(表E1および以下の記載を参照されたい)を用いて配列決定した。
ペアエンド(Applied Biosystemsの用語:メイトペア)ライブラリーを、図9に示すようにして構築した。簡単に述べると、5〜9KbのDNA断片の両端に対応した2×25bpのタグ構築物を、EcoP15Iを用いて作製した。2×25bpライブラリーのハイスループット配列決定を、製造者の推奨に従ってSOLiDシーケンサー(Applied Biosystems)で行った。配列タグを、ヒト参照配列(NCBI Build 36、hg18)に対してマッピングし、タグあたり2つの色コードミスマッチを可能にするSOLiDシステム分析パイプラインツール、Corona Lite(Applied Biosystems)を用いて対合させた。ライブラリー挿入分布内であったペアエンドタグ(PET)を、調和性PET(cPET)に類別した。cPET基準により却下されたPETを、不調和性PET(dPET)に類別した。これらは、さらに、5つの異なるカテゴリーに分けた;(i)異なる染色体上にマッピングされた2つのタグ、(ii)同じ染色体上であるが異なる鎖上にマッピングされた2つのタグ、(iii)同じ染色体上であるが、間違った順序(3’の下流に5’)でマッピングされた2つのタグ、(iv)同じ染色体上、同じ鎖上に正しい順序であるが、1.1×最大ライブラリーサイズより大きいスパン距離でマッピングされた2つのタグ、(v)同じ染色体上、同じ鎖上に正しい順序であるが、最小ライブラリーサイズより小さいスパン距離でマッピングされた2つのタグ。カテゴリー(v)をさらなる分析から除外した。配列タグが10Kb以内で同じゲノム領域に対して両側にマッピングされたdPETを、一緒にクラスタ分けした。第1タグの左および右に対する10Kb検索ウィンドウを、最も外側のタグ座標に従って10Kbに広げた。左(5’)および右(3’)のタグがマッピングされた領域を、アンカー領域と記載した。サイズ3以上のクラスタを、SVの同定のために保存した。単一dPETクラスタは、5’マッピングアンカー領域が3’マッピングアンカー領域から遠く離れているならば欠失、マッピング順序が通常の5’から3’でなく3’から5’であるならば直列重複、マッピングの向きが逆(異なる鎖上)であるならば不対合逆位、ならびに5’および3’アンカーが異なる染色体にマッピングされるならば孤立染色体間転座のような1つの再編成点を有するSVを同定できた。2つの位置が近いdPETクラスタを用いて、図10に記載する逆位、挿入および均衡転座のような2つの再編成点を有するSVを推測できた。
異なるゲノムにわたるクラスタの比較を、両側に10Kbだけ拡張した5’および3’アンカー領域のオーバーラップに基づいて行った。第2ライブラリーのクラスタの5’アンカー領域が第1ライブラリーのクラスタの5’拡張アンカー領域とオーバーラップし、同じことが3’アンカー領域にもいえるならば、2つのクラスタを一緒に群分けし、アンカー領域の10Kb拡張を最も外側の開始および終了アンカー座標に従って調整した。遺伝子アノテーションは、ライブラリー特異的切断点を用いて2009年5月14日にUCSC(http://genome.ucsc.edu/;Rheadら、2010)からダウンロードしたRefSeq遺伝子に基づいた。同定したSVを、本文書の他の場所で記載する32の正常個体のSVおよびDNA−PET品質基準に基づいてふるい分けした。
いくつかの遺伝子座は、dPETクラスタの蓄積を示した。これらの遺伝子座にて、特定のSVをあるdPETクラスタに割り当てることは誤り導く可能性がある(例えば、直列重複の切断点が欠失および/または転座に囲まれているならば、再編成は直列重複と解釈しないほうがよい)。よって、切断点に基づく相互接続ネットワークを確立して、複雑な領域内の切断点を、孤立し、かつ複雑さがより少ないSVから分けた。切断点の近隣を決定するために、各dPETクラスタアンカー領域の始点および終点を、検索ウィンドウとしてそれぞれのゲノムライブラリーの最大挿入サイズだけ拡張した。近隣クラスタのウィンドウが互いにオーバーラップするならば、dPETクラスタを一緒にスーパークラスタに群分けした。この手順により、クラスタBを介してクラスタAからCへの間接的接続が可能になった。スーパークラスタに一緒に加えることができるdPETクラスタの数を、スーパークラスタサイズとして表した。3を超えるdPETクラスタを相互接続した場合、切断点の対は「複雑」と分類した(染色体内および染色体間)。
蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を次のようにして行った。細胞を0.75M KClで20分間、37℃にて処置することにより核を採集した。次いで、数回の固定の後に、核をFISH用のスライド上に滴下した。EVI1プローブ(クローンRP11−137H17)を緑色で標識し、chr8:127,950,637から130,664,919の挿入(それぞれクローンRP11−828L6およびRP11−159N7)をそれぞれ赤および黄で標識した。フォスミドプローブ調製のために、DNAを、ニックトランスレーションシステム(Invitrogen)を用いるビオチン−16−dUTPの存在下でのニックトランスレーションにより標識した。1μg/μlのCot1 DNAの存在下で、DNAコスミドクローンを5ng/μlの濃度でハイブリダイゼーション緩衝液(2SSC、10%デキストラン硫酸、1×PBS、50%ホルムアミド)に再懸濁した。ハイブリダイゼーションの前に、核のスライドを0.01%ペプシンで37℃にて5分間処置した後に、1×PBSでのすすぎ、1%ホルムアルデヒドでの10分間の処置、1×PBSでのすすぎ(5分間)および一連のエタノールによる脱水(70%、80%および100%)を行った。変性プローブを、これらの前処置したスライドに施用し、75℃にて5分間同時変性させ、37℃にて1晩ハイブリダイズした。2回のハイブリダイゼーション後の洗浄を45℃にて2SSC/50%ホルムアミド中で7分間行い、それぞれの後に2SSC中、45℃にて7分ずつの洗浄を2回行った。ブロッキングの後に、スライドを、アビジンコンジュゲートフルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Vector Laboratories)を用いて明示した。洗浄の後に、vectashieldを用いてスライドを顕微鏡に載せ、落射蛍光顕微鏡で観察した。画像分析は、Metasystemソフトウェアを用いて行った。
予測されるSVの検証のために、予測される切断点を挟むPCRプライマーを用いて、後続のSanger配列決定のために再編成領域を増幅した。
リアルタイムPCRアッセイのために、製造者の使用説明に従ってRNeasyミニキット(Qiagen)を用いて、トータル細胞RNAを抽出した。RNAを、Superscript III第1鎖合成システム(Invitrogen)を用いて逆転写し、iQ5マルチカラーリアルタイム検出システム(Bio−Rad)を、25ulの全反応容量で用いて定量的に評価した。プライマーを59℃にて20秒間アニーリングし、アンプリコンを72℃にて30秒間伸長した。定めたサイクルの総数は、40であった。β−アクチンまたはBIMのエキソン2Aの転写産物レベルを用いて、試料間を標準化した。用いたプライマーは次のとおりである:BIMエキソン2A(順方向:ATGGCAAAGCAACCTTCTGATG;逆方向:GGCTCTGTCTGTAGGGAGGT)、BIMエクソン3(順方向:CAATGGTAGTCATCC−TAGAGG;逆方向:GACAAAATGCTCAAGGAAGAGG)、BIMエクソン4(順方向:TTCCATGAGGCAGGCTGAAC;逆方向:CCTCCTTGCATAGTAAGCGTT)、β−アクチン(順方向:GGACTTCGAGCAAGAGATGG;逆方向:AGCACTGTGTTGGCGTAC−AG)およびEVI1(順方向:ACCCACTCCTTTCTTTATGGACC;逆方向:TGATC−AGGCAGTTGGAATTGTG)。
実施例5.材料および方法:株化細胞および組織培養
CML系統は、ATCC(MEG−01およびKU812)、JCRB(NCO2)およびDSMZ(KCL22、K562、KYO1、JK1、BV173およびNALM1)から得た。細胞を、ペニシリン、ストレプトマイシン、グルタミンおよび10%胎児ウシ血清を補ったRPMI1640培地で成長させ、37°、5%COの湿潤インキュベータ中でインキュベートした。
実施例6.結果:CML患者試料
我々は、4つのフィラデルフィア(Ph)染色体陽性CML患者試料および1つのCML株化細胞を、DNA−PET分析のために選択した(図2A)。
これらの試料は、チロシンキナーゼ阻害剤に対する臨床感受性または耐性を示す患者を代表し、慢性および骨髄急性転化期の患者を2名ずつ含む。慢性期の患者のうち1名と両方の急性転化期の患者はチロシンキナーゼ阻害剤に耐性であり、急性転化期試料のうちの一方はPh染色体とともにさらなる核型異常を示した。
我々は、K562 CML株化細胞および処置感受性患者からの寛解試料も、Ph染色体についてのそれぞれ陽性および陰性対照として含めた。
実施例7.結果:CMLゲノムのDNA−PET分析
我々は、278百万を超える重複のないPETに由来する72.1Gbのマッピング可能DNA配列を作製し、各ゲノムについて平均で109倍の物理的(断片)カバー範囲を達成した(上の表E1)。85.4%のPETが参照ゲノムと調和してマッピングされ、14.6%のPETはそのようにマッピングされなかった。後者を不調和性PET(dPET)として分類した。同じ2つのゲノム領域を接続する多重dPETのクラスタ分けにより、我々は、3,408の異なる構造変動(SV)を同定でき、かつ各dPETについてSVの型を定義できた(図10ならびに以下の表E2およびE3を参照されたい)。
正常集団に存在するさらなるSVを除外するためおよび偽陽性の割合を減らすために、32の正常で無関係の個体から得られたさらなるDNA−PETデータにより、および以下のバイオインフォマティクスにより定義される品質基準によりSVをさらにふるい分けした。(i)クラスタが、100を超えるスーパークラスタサイズにより示される100以上の他のクラスタと相互接続される、(ii)クラスタが、切断点に向かう15Kbの拡張を含む2つのアンカー領域間の2000を超えるBlastスコアで示される2つの接合切断点領域間で高い配列類似性を有する、(iii)クラスタが、2つのアンカー/拡張領域間で300を超えるBlastスコアを示し、配列類似性が、一方の側でアンカー内にあり、他方の側で拡張内にある(ECタイプ)、(iv)クラスタが、2のクラスタサイズを有するならば、クラスタを除外した。このことにより、459のCML特異的SV(表E3および表E4)およびコピー数情報(図7)が得られ、我々は、各ゲノムについて核ゲノムマップを作製できた(図2B)。
重要なことに、DNA−PETを用いて、我々は、寛解試料以外の全てにおいてBCR−ABL転座を同定できた。このデータセットを次に、疾患段階または薬物耐性のいずれかとともに追跡されるSVを同定するために用いた。
実施例8.結果:急性転換のDNA−PET分析
急性転化期において見出されるさらなる染色体異常および分子異常が、臨床挙動に貢献すると考えられる。しかし、これらの事象の数的または構造的性質のいずれについての網羅的な評価も、特にコピー数の変化がないSVの検出について、技術的に難しい。したがって、我々は、急性転化期の発生の際に生じるSVの分析に注目することにした。ここで、表E4に示すように、我々は、急性転化期におけるSVの数の漸進的な増加を観察し、これは、核型決定およびFISH分析と良好に相関した(表E7ならびに図3Dおよび11)。我々は、次いで、SVの性質を類別し、2名の急性転化期患者におけるSVの最も顕著なカテゴリーが欠失(P098およびP022、n=81[全てのSVの58.7%])であり、続いて不対合逆位(n=24[17.4%])、孤立転座(n=12[8.7%])および直列重複(n=9[6.5%])であり、他のSVカテゴリーのそれぞれについて5%未満であったことを見出した(図2A)。急性転化期株化細胞K562は、予想されたように、急性転化期患者試料と比較して、より多くの再編成を示した(237に対してそれぞれ63および75)。K562において最も顕著なカテゴリーは直列重複であり(n=104[43.9%)、続いて欠失(n=71[30%])、不対合逆位(n=26[11%])および複雑な染色体内再編成(n=14[5.9%])であった。興味深いことに、2つの急性転化期試料およびK562株化細胞においてBCR−ABL1に加えて均衡転座は観察されなかった。
我々は、次に、急性転化期特異的SVを、UCSCゲノムバイオインフォマティクスホームページ(http://genome.ucsc.edu/)(Rheadら2010)からダウンロードしたRefSeq遺伝子と交差させることにより、個別の体細胞性SVのうちのどれが急性転化期に対して生物学的に貢献できるかについて調べて、遺伝子機能に直接影響すると予測される205の候補SVを同定した。この群のうちで、我々は、dPETクラスタサイズの増加として認識可能であったBCR−ABL1自体の増幅を観察し、これは、転換の認識された特徴である(図12)6、10。我々は、相互ABL1−BCR転座を示すクラスタサイズと段階との間の逆の相関も観察した(図12)。注目すべきことに、DNA−PETは、FISHによるder9中の欠失と一貫して、試料P098におけるABL1−BCRの完全喪失を検出した(図12)。我々が同定した別の候補は、第3染色体上のMECOMのイントロン1(以前はEVI1およびMDS1として知られていた)への第8染色体の2.7Mbの挿入(図3A)であり、これについて、我々は、FISHにより確認した(図3C)。EVI−1は、ジンクフィンガー転写因子であり、正常造血幹細胞(HSC)の増殖および維持において必須の役割を演じ11〜13、HSCにおいて過剰発現されると、骨髄過剰増殖およびミエロイド分化遮断をもたらす。我々が知るところでは、EVI1内またはその上流の同等の挿入は報告されておらず、挿入部位の分析は、第8染色体の挿入が、より短い転写産物の転写レベルを変更し得ることを示唆し、これについて、我々は、RT−PCRにより確認した(図3B)。
これらをまとめると、我々のDNA−PET分析は、急性転化期増悪の既知および新規な特徴をともに同定でき、ヒトがんモデルにおいて生じる構造変化の数および性質についての最初の評価を提供する。
実施例9.結果:イマチニブ耐性試料における東アジア人BIM多型
我々は、次に、耐性関連SVについて調べ、3つ全ての耐性試料に生じる2つの欠失と、3つのうち少なくとも2つにおける6つのSVとを見出した。2.5Kbのサイズの1つの欠失は、CMLとまだ結び付けられていない遺伝子であるZNF385Dのイントロン1内にあった。興味深いことに、3つ全ての耐性試料において観察された他方の欠失は、アポトーシス促進性遺伝子BCL2L11(BOD、BIML、BIMELまたはBIMとしても知られる)のイントロン2内にあった(図4A)。重要なことに、BIM上方制御を妨げることによりCMLがイマチニブ耐性になるので14〜16、イマチニブによるBIM上方制御は、この薬物がアポトーシスを誘発するために必要であると他者は報告している。我々は、この欠失をPCRおよび配列決定により確認し、3つ全ての試料において同一の2,903bpの欠失を見出し(図4Cおよび図4D)、このことは、欠失が生殖系列であり、よって多型を構成することを示唆した。したがって、我々は、国際HapMapプロジェクト17からの74の正常東アジア人試料をスクリーニングして、BIM欠失キャリアの頻度が17.6%であることを決定した(12のヘテロ接合性および1のホモ接合性個体;9.5%の対立遺伝子頻度)。BIM欠失は、再発性の体細胞性事象ではなく構造的多型であることがわかったが、我々は、3名全ての耐性患者が、イマチニブ感受性にとって必要な遺伝子である14〜16BIM欠失のキャリアであるという事実に興味を持った。
実施例10.結果:BIM多型の機能的影響
BIM遺伝子構造の分析は、欠失が、互いに排他的な様式でのエキソン3および4の選択的スプライシングをもたらす可能性を示唆した。この可能性は、欠失が、エキソン3のイントロン−エキソン境界の5’端の近傍(107bp)にあるとともに、エキソン3自体の中に停止コドンが存在することにより示唆された(図5A)。この仮説を試験するために、我々は、欠失を有する(n=12)および有さない(n=11)初代CML試料を得て、エキソン3含有転写産物およびエキソン4含有転写産物ならびに全般的なBIM転写についての読出しとしてのエキソン2含有転写産物(エキソン2は、全てのBIMアイソフォームに存在するので)18の発現レベルを測定した。図5Bに示すように、我々は、欠失が、エキソン3含有転写産物の増加とともにエキソン4含有転写産物の減少と関連するが、全般的なBIM転写は影響されなかったことを見出した。これらの結果は、正常個体からのリンパ芽球様株化細胞において反映され、このことは、欠失の影響が、系統非依存性であることを示した(図13)。
BIMのアポトーシス促進性の特性はエキソン4のみで見出される(図5A)18、19BH3ドメイン内にあるので、我々は、エキソン4含有転写産物の減少が、イマチニブ耐性と関連するかという疑問を持った。幸運なことに、我々は、欠失を保有する1つのCML株化細胞KCL22を同定でき、これらの細胞を用いてこの疑問に対処した(図5C)。顕著なことに、この系統は、日本人患者から元々得られ、ほとんどの他のCML系統とは対照的に、イマチニブ耐性を最初から示していた20〜22。我々は、細胞が、エキソン3/エキソン4転写産物の比の増加を示し(図5D)、このことが、欠失を有さない系統と比較して、イマチニブ曝露の前後両方でKCL22株化細胞において主要なエキソン4含有BIMアイソフォームであるBIMELのタンパク質発現の減少と関連したことを確認した(図5E)。我々は、KCL22細胞が、イマチニブとともにより効力が高い第2世代チロシンキナーゼ阻害剤に対して耐性であったことも確認した(図5F)。
これらの結果から、我々は、早期の臨床試験23にあるBH3模倣剤が、KCL22細胞をイマチニブに対して感受性にし得るかという疑問を持った。図5Gに示すように、我々は、このことが実際にそうであり、イマチニブまたはダサチニブとABT−737との組合せが、KCL22細胞において(しかしKYO−1細胞においてではない)アポトーシスを相乗的に誘発するように働いたことを見出した。
実施例11.結果:BIM多型と慢性骨髄性白血病におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するBCR−ABL非依存性臨床耐性との関連
我々は、次に、東アジア人CML患者のより大きいコホートにおける多型の頻度を決定し、これが12.0%(158名のうち19名)に存在することを見出した。我々は、多型が、臨床耐性を予測できるという仮説についても試験した。この分析において、我々は、KCL22細胞により例示されるように多型の存在が、チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を与えるために十分であるが、その非存在下では、耐性は、耐性を与えるBCR−ABL変異を保有するクローンの出現を必要とする24と推論した。
したがって、我々は、耐性を有する全ての患者からの試料を、BCR−ABL変異を有するものと有さないものとに分け、2つの群の間の多型の頻度の有意な相違を見出した:BCR−ABL変異を有するもの42のうち2(4.8%)に対して、有さないもの55のうち13(23.6%)(p=0.01)(図6A)。
BCR−ABL変異の非存在下で感受性疾患の患者と耐性疾患の患者とにおける多型の頻度を我々が決定した場合に、相違はこれもまた有意であった:イマチニブ感受性患者において61名のうち4名に対してイマチニブ耐性患者について55名のうち13名(p=0.02)(図6B)。しかし、イマチニブ感受性患者(61名のうち4名)と、全てのイマチニブ耐性患者(97名のうち15名)との間に多型の頻度の有意な相違はなかった(p=0.13)(図6C)。
この結果は、ここでの統計的有意性が、一般的なCML集団におけるBIM多型の頻度に依存することに鑑みて、予想できたことであった。
実施例12.考察
我々は、in vitroおよびin vivo両方でのチロシンキナーゼ阻害剤に対する臨床耐性と関連するBIM遺伝子のイントロン2における新規な多型について報告する。正常東アジア人集団における欠失キャリアの頻度は17.6%であり、2つの東南アジアの紹介センターで診察されたCML患者において12.0%である。このコホートでは、多型は、BCR−ABL変異の非存在下で、耐性を有する症例の4分の1(13/55または23.6%)を占めた。我々は、CMLの世界的な発生率において地理的な変動が欠如していること25に鑑みて、原因論的役割の可能性が低いと考えている。
我々は、多型の存在が、BIM遺伝子のエキソン4を含有する転写産物に対してエキソン3を含有する転写産物の発現の増加をもたらすことも示し、臨床耐性の発生と多型の存在との間の著しい関連を見出し、これは、欠失を有する個体が、有さない個体よりも耐性を発生するリスクが相対的に1.34倍である(ヘテロ接合性遺伝子型の相対的リスク;95%信頼区間0.94〜1.59)というものであった。さらに、耐性がBCR−ABL阻害に依存しないことを決定することにより、我々は、耐性および欠失を有する患者が、欠失を有さない患者よりも、BCR−ABL中に耐性を与える変異を有するCMLクローンを保有する見込みが低いと予測することができた。この知見は、このようなクローンが、治療の選択圧の下でのみ、他の耐性を与える機構の非存在下24で出現するという考えと一貫している。
現在の臨床ガイドラインは、耐性の出現の際にチロシンキナーゼ阻害剤の用量を増加することまたはより効力が高いチロシンキナーゼ阻害剤に変更することについて支持している。よって、これらのガイドラインに従い、後続の応答データが入手可能であったBIM多型関連耐性を有する4名の患者がだれも応答しなかったことは大きな関心事である。事例的であるが、この観察結果は、BIM欠失関連耐性がBCR−ABL非依存性であるという我々の知見と一貫する。しかし、我々のin vitroでの観察結果は、この状況での耐性が、チロシンキナーゼ阻害剤とBH3模倣剤とを組み合わせることにより克服できることも示唆する。つまり、BIM多型は、チロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性とBH3模倣剤に対する応答との両方の予測因子として用いることができる。この多型のスクリーニングは、よって、東アジアのCML患者の管理において有用である可能性がある。我々の知見を、薬物感受性がBIM媒介アポトーシスに依存する他のがんに適用できることも、調査を正当化する26〜28
実施例13および14.BIM多型と非小細胞肺がん(NSCLC)におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するEGFR非依存性臨床耐性との関連
TKIがNSCLC株化細胞を死滅させることができるようにするために、変異EGFR駆動型NSCLCがBIM発現を必要とすることが以前に示されている(CraggらPLOS Medicine、2007;CostaらPLOS Medicine、2007)。
したがって、我々は、BIM多型を保持する株化細胞および拡張により患者が、変異EGFRを標的にする薬物に対して耐性であると予測する。
さらに、我々は、耐性株化細胞が、BH3模倣薬(例えばABT−737およびABT−263)と抗EGFR薬との組合せに対する感受性があると予測する。
実施例13.BIM多型と非小細胞肺がん(NSCLC)におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するEGFR非依存性臨床耐性との関連−in vitroでの相関
EGFRに活性化変異を有するNSCLC株化細胞を同定する。
株化細胞を、次いで、以前に記載されるPCR分析により、BIM多型の存在または非存在について分析する。
抗EGFR薬に対する様々な株化細胞の感受性および/または耐性を、細胞成長、増殖およびアポトーシスについての標準的な細胞アッセイを用いて決定する。
株化細胞を、単独薬剤としてまたはEGFRを標的にする薬物との組合せのいずれかでのBH3模倣剤に対する感受性についても試験する。
多型の存在または非存在を、次いで、試験される薬物に対するNSCLC株化細胞の感受性/耐性の程度と相関させる。
我々は、BIM多型の存在と薬物耐性との間に正の相関があると予想する。
具体的に、我々は、BIM多型を保持するEGFRの活性化変異を有するNSCLC系統は、BIM多型を保持しないものよりも抗EGFR薬に対してより耐性であると予測する。
さらに、我々は、BIM多型を有し、かつEGFRを標的にする薬物に対して耐性がある株化細胞は、BH3模倣薬(例えばABT−737およびABT−263)と抗EGFR薬との組合せに対する感受性があると予測する。
実施例14.BIM多型と非小細胞肺がん(NSCLC)におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するEGFR非依存性臨床耐性との関連−患者の相関
EGFRに活性化変異を有するNSCLC患者を同定する。
患者および/またはその腫瘍からのDNAを、以前に記載されるPCR分析により、BIM多型の存在または非存在について分析する。
抗EGFR治療に対する患者の応答を、次いで、臨床基準を用いて決定する。これらのデータは、腫瘍サイズ、腫瘍増殖停止期間、無増悪生存期間、全生存および活動指標のような臨床パラメータを含む。
多型の存在または非存在を、次いで、上記の臨床パラメータと相関させる。
我々は、BIM多型の存在と、多型を有さない患者と比較して劣った抗EGFR治療に対する応答との間に正の相関が存在すると予想する。このことは、腫瘍のサイズが減少できないこととして観察されることがある。
さらに、このような患者は、より短い腫瘍増殖停止期間、無増悪生存期間および/または全生存を有することがある。
実施例15および16.BIM多型と消化管間質性腫瘍(GIST)におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するc−KIT/PDGFR非依存性臨床耐性との関連
TKIがGIST株化細胞を死滅させることができるようにするために、c−KIT/PDGFR駆動型GISTがBIM発現を必要とすることが以前に示されている(GordonらJBC、2010)。
したがって、我々は、BIM多型を保持する株化細胞および拡張により患者が、変異c−KITを標的にする薬物に対して耐性であると予測する。
さらに、我々は、耐性株化細胞が、BH3模倣薬(例えばABT−737およびABT−263)と抗c−KIT薬との組合せに対する感受性があると予測する。
実施例15.BIM多型と消化管間質性腫瘍(GIST)におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するc−KIT/PDGFR非依存性臨床耐性との関連−in vitroでの相関
c−KITに活性化変異を有するc−KIT駆動型GIST株化細胞を同定する。
株化細胞を、次いで、以前に記載されるPCR分析により、BIM多型の存在または非存在について分析する。
抗c−KIT薬に対する様々な株化細胞の感受性および/または耐性を、細胞成長、増殖およびアポトーシスについての標準的な細胞アッセイを用いて決定する。
株化細胞を、単独薬剤としてまたはc−KITを標的にする薬物との組合せのいずれかでのBH3模倣剤に対する感受性についても試験する。
多型の存在または非存在を、次いで、試験される薬物に対するGIST株化細胞の感受性/耐性の程度と相関させる。
我々は、BIM多型の存在と薬物耐性との間に正の相関があると予想する。
具体的に、我々は、BIM多型を保持するc−KITの活性化変異を有するGIST系統は、BIM多型を保持しないものよりも抗c−KIT薬に対してより耐性であると予測する。
さらに、我々は、BIM多型を有し、かつc−KITを標的にする薬物に対して耐性がある株化細胞は、BH3模倣薬(例えばABT−737およびABT−263)と抗c−KIT薬との組合せに対する感受性があると予測する。
実施例16.BIM多型と消化管間質性腫瘍(GIST)におけるチロシンキナーゼ阻害剤に対するc−KIT/PDGFR非依存性臨床耐性との関連−患者の相関
c−KITに活性化変異を有するGIST患者を同定する。
患者および/またはその腫瘍からのDNAを、以前に記載されるPCR分析により、BIM多型の存在または非存在について分析する。
抗c−KIT治療に対する患者の応答を、次いで、標準的臨床基準を用いて決定する。これらのデータは、腫瘍サイズ、腫瘍増殖停止期間、無増悪生存期間、全生存および活動指標のような臨床パラメータを含む。
多型の存在または非存在を、次いで、上記の臨床パラメータと相関させる。
我々は、BIM多型の存在と、多型を有さない患者と比較して劣った抗c−KIT治療に対する応答との間に正の相関が存在すると予想する。このことは、腫瘍のサイズが減少できないこととして観察されることがある。さらに、このような患者は、より短い腫瘍増殖停止期間、無増悪生存期間および/または全生存を有することがある。
実施例1〜16についての参考文献
実施例H1〜H8
実施例H1〜H8は、BIM遺伝子中の共通の欠失多型が、慢性骨髄性白血病におけるイマチニブに対する内在性の耐性に貢献することを証明する。
実施例H1.材料および方法
倫理委員会承認
臨床CML試料は、the Singapore General Hospital、秋田大学医学部付属病院、the University of Malaya Medical Centreおよびthe National University Cancer Institute,Singaporeで診察された患者から得た。ドイツ人の対照試料は、the University Hospital of Bonnでの血液提供者から得た。マレー人、中国人およびインド人の対照試料は、最近行われた地方集団研究に由来した4、5。書面でのインフォームドコンセントおよび参加施設における施設調査委員会の承認を、本研究に試料を提供した全ての患者および正常個体から得た。
配列タグのマッピング
ペアタグを、SOLiDシステム分析パイプラインツールCorona Lite(Applied Biosystems)により、タグあたり2つの色コードミスマッチを可能にする色空間で参照配列(NCBI build 36)に対して個別にマッピングした。未解明の位置を有する参照配列のコンティグ(random_chr)および代替MHCハプロタイプを、マッピングのための参照から除外した。個別にマッピングしたタグを、Corona Liteにより対合させた。一方または両方のタグが多重のマッピング位置を有する場合、「レスキュー」とよばれるプロセスにより、調和性PETが創出できた(両方のタグが同じ染色体、同じ鎖、同じ向き、正しい5’→3’の順序および互いに予想される距離にある)。
不調和性PET(dPET)のクラスタ分け
ペアエンドタグ(PET)を、両方のタグが同じ染色体、同じ鎖、正しい5’から3’の順序および予想されるスパン範囲内にマッピングされる調和性PET(cPET)として類別した。スパン範囲は、Hillmerらに記載されるようなスパン分布の勾配に基づいて決定した。cPET基準から却下されたPETは、不調和性PET(dPET)と分類した。同じ融合点に広がる異なるdPETをクラスタ分けするために、以下の手順を用いた。あるdPETの5’および3’タグのマッピング位置を、両方向に、それぞれのゲノムライブラリーの最大挿入サイズだけ拡張して、5’および3’ウィンドウを創出した。第2dPETの5’および3’タグが第1dPETの5’および3’ウィンドウ内にマッピングされたならば、2つのPETは、サイズ2のクラスタと定義し、5’および3’ウィンドウを、(最大ライブラリーサイズの)第2dPETのタグ拡張を含有するように調整した。その後、5’および3’タグがそれぞれこの5’および3’ウィンドウ内にマッピングされたdPETを、このクラスタに割り当て、必要であればウィンドウを調整した。融合点の周囲に一緒にクラスタ分けされるdPETの数を、クラスタサイズにより表した。クラスタの5’タグによりカバーされるゲノム領域を5’アンカーと定義し、クラスタの3’タグによりカバーされるゲノム領域を3’アンカーと定義した。500bp未満のアンカー領域を有するdPETクラスタを、さらなる分析から除外した。
K562のDNA−PET配列決定は、以前に記載されている。同じK562 dPETクラスタを本研究で用いたが、セントロメア領域は除外せず(以前の研究ではそのようにされた)、500bp未満のアンカー領域を有するdPETクラスタを除外し(以前は1000bp未満)、新しい除外/ふるい分け手順を用いた(以下を参照されたい)。
低信頼度クラスタの除外
我々は、一連の統計検定を用いて、低信頼度クラスタをさらなる分析から除外した。検定は、キメラ配列構築物または局所挿入サイズ変動から生じ得るdPETクラスタについてのライブラリー特異的閾値を決定する。特に、短い欠失を示すdPETクラスタは、非均一スパン分布のアーチファクトとして生じ得るので、我々は、ゲノム(最大ライブラリーサイズのビンに離散化される)上の「伸展」dPET(端が最大ライブラリーサイズより長く離れていることだけによる不調和性)の分布について2項分布モデルを用いて、最小クラスタサイズ閾値を見積もり、平均で1未満の偽陽性が予想されるようにした(ゲノムビンの数によりp値をボンフェローニ補正した)。具体的に、閾値(端が最大ライブラリーサイズの2倍未満隔たっているクラスタにのみ当てはめた)は:
(ここで、Nは、伸展dPETの数であり、bは、ビンの数であり、f(k;n,p)は、成功確率pでのn回の独立試行についてkでの2項分布密度関数である)
と計算される。
ライブラリー準備における環状化ステップから生じるキメラPET構築物は、ゲノムにわたって分散し、よって、dPETクラスタを形成する見込みは低いと予想される。しかし、莫大な量の配列により、少数のこのようなクラスタが生じ、我々は、以前と同様の2項分布モデルを採用して、ライブラリー特異的最小クラスタサイズ閾値を設定した(平均で1未満の偽陽性が予想される)。
(ここで、Dは、dPETの数である)。なお、伸展dPETクラスタは単一のビン(第1の近似に対して)により定義できるが、一般的に、dPETクラスタを定義するために2つのビンを選択しなければならず、このことは、上の等式における2次因数を説明する。キメラPETクラスタは、端が互いに非常に近傍にあるように生じる見込みが低いので、上記の閾値は、端が、
(式中、Gは、ゲノムのサイズであり、b(t)は、サイズtの領域内のビンの数である)より近いクラスタには当てはめない。この方法論により定義されるクラスタサイズ閾値を、表H12に示す。
スーパークラスタ分け
いくつかの遺伝子座は、dPETクラスタの蓄積を示した。これらの遺伝子座では、特定のSVをあるdPETクラスタに割り当てることは誤り導く可能性があるので、我々は、切断点に基づく相互接続ネットワーク(スーパークラスタ分け)を確立して、複雑な領域にある切断点を、孤立し、かつ複雑さが低いSVから分けた。切断点の近隣を決定するために、各dPETクラスタアンカー領域の始点および終点を、各ゲノムライブラリーの最大挿入サイズだけ、検索ウィンドウとして拡張した。近隣クラスタのウィンドウが互いにオーバーラップするならば、dPETクラスタをスーパークラスタに一緒に群分けした。この手順により、クラスタBを介してクラスタAからCへの間接的接続が可能になった。スーパークラスタに一緒に加えることができるdPETクラスタの数を、スーパークラスタサイズとして表した。3を超えるdPETクラスタを相互接続した場合、切断点の対は「複雑」と分類した(染色体内および染色体間)。この相互接続ネットワークを、低信頼度クラスタの除外(上を参照されたい)の後であるが、DNA−PETデータキュレーション(以下を参照されたい)の前に確立した。
DNA−PETデータキュレーション
未処理DNA−PETデータは、6つのCML試料において3,408の異なるSVを予測した(表H4)。
我々は、以下の品質基準に基づいてデータをふるい分けした:i)我々は、対合した慢性期/寛解試料(P145およびP440)のdPETクラスタのクラスタサイズを比較し、クラスタを2つの群に分けた:a)両方の試料で同定されたクラスタ、およびb)2つのうち一方だけで観察されたクラスタ。この階層化により、サイズ2から4のクラスタは、アーチファクトが豊富であることが示唆された(図24)。確実にするために、我々は、サイズ2〜5の全てのdPETクラスタを、SV召集から除外した。ii)マッピングアーチファクトは、配列類似性が高い領域間にdPETクラスタを創出できる。SOLiD対合パイプラインの「レスキュー」とよばれる手順は、このようなアーチファクトを、2つのタグの調和性の対合に有利にすることにより大きく低減するが、領域間の配列類似性は、それでもアーチファクトを創出できる。しかし、配列類似性が非対立遺伝子相同組換えによる再編成を誘引できるので、配列類似性が高い全てのdPETクラスタを除外することは問題である。切断点間の配列類似性を評価するために、我々は、左および右のアンカー領域を15Kbだけ、切断点に向かって拡張し、2つの領域をBLASTプログラム(bl2seq)によりアラインメントした。2つの領域のアラインメントは、通常、多重のアラインメントをもたらすが、我々は、最も高いスコアのものを用いた(表H6において「BlastScore1」と定義する)。
Blastスコアが2,000を超えた場合では、検証のために特異的PCRプライマーを設計することは通常困難であったので、我々は、このような高いBlastスコアを有するdPETクラスタを除外した。iii)特に、2つの予測される対合切断点の一方の側のアンカー領域と他方の側のアンカーの拡張との間の配列類似性は、マッピングアーチファクトの指標である(「拡張−クラスタ」についてのECアラインメントタイプ)。これは、他のアンカーの拡張に対するアンカータグの正しいマッピング(これらは配列特徴を共有する)がcPETを創出するという仮定に基づく。我々は、300を超えるBlastスコアおよびECアラインメントタイプを有するdPETクラスタを除外した。iv)いくつかのゲノム領域は、マッピングアーチファクトを蓄積する傾向があり、我々は、100を超えるスーパークラスタサイズを有する全てのdPETクラスタを除外した。我々は、株化細胞においてのみ(しかし、臨床試料(および未公開のデータ)においてではない)このような複雑さの真の再編成を観察した。このふるい分け手順は、CML試料において1,349の異なる予測SVをもたらした(表H4)。
交差ゲノム比較
異なるゲノムにわたるクラスタの比較を、両側に10Kbだけ拡張した5’および3’アンカー領域のオーバーラップに基づいて行った。第2ライブラリーのクラスタの5’アンカー領域が、第1ライブラリーのクラスタの5’拡張アンカー領域とオーバーラップし、同じことが3’アンカー領域にもいえるならば、2つのクラスタを一緒に群分けし、アンカー領域の10Kb拡張を最も外側の開始および終了アンカー座標に従って調整した。切断点の位置を用いて、同定したSVを、がんでない個体のペアエンド配列決定研究7、8に基づく、公開されているSVと比較した。公開されているSVとオーバーラップする予測SVの画分を、より大きい事象に対するオーバーラップのパーセンテージにより算出した。遺伝子アノテーションは、UCSC(http://genome.ucsc.edu/;9)から2009年5月14日にダウンロードしたRefSeq遺伝子に基づいた。
我々は、9名の中国人、6名のヨーロッパ人、3名のアフリカ人、2名のメキシコ人および1名のインド人を含む21名の正常個体のDNA−PETデータ(22のライブラリー、未公開データ)を、交差ゲノム比較に含めた。21の正常試料の1または複数のSVとマッチしたCML患者の全てのSVを生殖系列SVに類別し、さらなる分析から除外した。さらに、5名のアフリカ人、3名のヨーロッパ人、1名の日本人および1名の中国人を含む10名のがんでない個体におけるペアエンド配列決定アプローチ7、8により同定されたSVと80%以上オーバーラップしたSVを生殖系列と類別して除外した。31の正常試料を用いるこの「生殖系列ふるい分け手順」は、CML試料における309の異なる予測SVをもたらした(表H4〜H6)。CMLゲノムにおける予測SVの検証のために、予測切断点を挟むPCRプライマーを用いて、後続のSanger配列決定のために再編成領域を増幅した。
急性転化期再編成の特徴付け
急性転化期への移行における一貫した分子的知見は、BCR−ABLタンパク質自体のレベルの増加である3、10、11。このことは、BCR−ABL遺伝子増幅およびPh染色体の重複を含むいくつかの機構により生じる3、10、11。したがって、我々は、2つの慢性期試料(P145およびP308)と比較した場合に、急性転化期試料(P022、P098、K562)においてBCR−ABLについてのDNA−PETシグナルの増加を検出でき、我々は、これをFISHと相関させた(図19Bおよび図19C)。我々は、相互ABL−BCR転座を表すDNA−PETシグナルと段階との間の逆の相関も観察した(図19B)。der9上のABL−BCR再編成点の欠失について記載されており12、我々は、逆の相関の根底にある急性転化試料P098およびK562におけるABL−BCRの完全喪失(図19Bおよび19C)を検出した。
我々は、急性転化期試料における可能性のある体細胞性SVの性質を類別し、2名の急性転化期患者におけるSVの最も顕著なカテゴリーが欠失(P098およびP022、n=79[全てのSVの79%])、続いて直列重複(n=6[6%])および孤立転座(n=5[5%])であり、他のSVカテゴリーのそれぞれについて5%未満であったことを見出した(表H5)。
1)SV統計は、dPETクラスタの数を反映する(逆位、挿入および均衡転座は、事象あたり2のdPETクラスタで構成される)
2)相互ABL−BCRではないBCR−ABL転座が、派生第9染色体の欠失により存在する
3)相互ABL−BCRではないBCR−ABL転座が、派生第9染色体の喪失または複雑な再編成により存在する
4)慢性期患者試料P145における4つの予測SVは、同じ患者の寛解試料(P440)において予測されず(寛解における非存在)、P145においてDNA−PETが示されなかった7つのSVがP440において予測された(慢性における非存在)。「寛解における非存在」カテゴリーにおいて、再編成点のうち2つはBCR−ABLおよびABL−BCRであり、2つの5Kb欠失がP440で見つからなかったが、両方の試料においてPCRにより同定された。「慢性における非存在」カテゴリーにおいて、欠失および孤立転座はPCRにより検証できず、リストから除外され、5つの残りの矛盾したSVは、慢性および寛解試料の両方でPCRにより検出でき、DNA−PETにより慢性試料において見つからなかった。
急性転化期株化細胞K562は、予想されたように、急性転化期患者試料と比較してより多くの再編成を示した(153に対してそれぞれ40および60)。K562においても欠失が最も顕著なカテゴリーであり(n=70[46%)、続いて直列重複(n=39[25%])、不対合逆位(n=20[13%])、孤立転座(n=11[7%])および複雑な染色体内再編成(n=11[7%])であった。興味深いことに、2つの急性転化期試料およびK562株化細胞においてBCR−ABLに加えて均衡転座は観察されなかった。
株化細胞および細胞培養条件
CML系統は、ATCC(MEG−01およびKU812)、独立行政法人 医薬基盤研究所 JCRB細胞バンク(NCO2)およびthe German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(KCL22、K562、KYO−1、JK1、BV173およびNALM1)から得た。細胞は、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミンおよび10%FBSを補ったRPMI−1640培地で成長させ、37℃、5%COの湿潤インキュベータ中でインキュベートした。
蛍光In Situハイブリダイゼーション(FISH)
細胞を0.75M KClで15分間、37℃にて処置することにより核を採集した。固定の後に、核をFISH用のスライド上に滴下した。BCR−ABL融合は、Vysis LSI(遺伝子座特異的識別子)BCR/ABL1 2重融合転座プローブ(Abbott Molecular)により検出した。LSI BCRプローブを、SpectrumGreenで標識し、LSI ABL1プローブを、SpectrumOrangeで標識した。LSI BCR/ABL1 2色2重融合転座プローブ(Abbott Molecular)を用いるFISHアッセイを、製造者の使用説明にわずかな改変を加えて、固定細胞に対して行った。簡単に述べると、スライドを一連のアルコール中で脱水し、同時変性を3分間、75℃にて行い、その後、37℃にて1晩ハイブリダイゼーションした。FISHシグナルの評価は、1000倍の倍率の下で蛍光顕微鏡(Olympus BX60)を用いて行った。それぞれの場合に、約200の間期の核をシグナルパターンについて評価した。
リアルタイムRT−PCR
製造者の使用説明に従ってRNeasyミニキット(Qiagen)を用いて、トータル細胞RNAを抽出した。RNAを、Superscript III第1鎖合成システム(Invitrogen)を用いて逆転写し、iQ5マルチカラーリアルタイム検出システム(Bio−Rad)を、25μlの全反応容量で用いて定量的に評価した。プライマーを59℃にて20秒間アニーリングし、アンプリコンを72℃にて30秒間伸長した。定めたサイクルの総数は、40であった。β−アクチンまたはBIMのエキソン2Aの転写産物レベルを用いて、試料間を標準化した。以下のプライマーを用いた:BIMエクソン2A(順方向:ATGGCAAAGCAACCTTCTGATG;逆方向:GGCTCTGTCTGTAGGGAGGT)、BIMエクソン3(順方向:CAATGGTAGTCATCCTAGAGG;逆方向:GACAAAATGCTCAAGGAAGAGG)、BIMエクソン4(順方向:TTCCATGAGGCAGGCTGAAC;逆方向:CCTCCTTGCATAGTAAGCGTT)およびβ−アクチン(順方向:GGACTTCGAGCAAGAGATGG;逆方向:AGCACTGTGTTGGCGTAC−AG)。
ウェスタンブロット
ウェスタンブロッティングを、ヒトBIM、CrkL、pCrkL、カスパーゼ3、切断カスパーゼ3、PARP(全てCell Signaling Technologyから)およびβ−アクチン(Sigma)に対する抗体を用いて行った。検出は、ウサギ(Sigma)またはマウスIgG(Santa Cruz)に特異的なHRPコンジュゲート2次抗体を用いて行った。メンブレンは、Western Lightning化学発光試薬(PerkinElmer)を用いて視覚化した。
アネキシンV染色による細胞死の検出
製造者の使用説明に従ってアネキシンV−FITC/7−AADキット(Beckman Coulter)を用いてアポトーシスを測定した。簡単に述べると、処置または未処置細胞を、アネキシンV−FITCおよび7−AADで、1×結合緩衝液中で15分間、室温にて染色し、次いで、フローサイトメトリーにより分析した。
E3含有BIM転写産物のsiRNAノックダウン
E3含有BIM転写産物に対する小型干渉RNA(siRNA)(BIMγsiRNA1:CCACCAUAGUCAAGAUACA;BIMγsiRNA2:CAGAACAACUCAACCACAA)および陰性対照siRNA(ON−TARGETplus非ターゲティングsiRNA#1)を、Dharmacon Inc.から購入した。ヌクレオフェクションを、KCL22細胞に対して、Nucleofector溶液V(Lonza)をsiRNAの存在下で用いて行った。
BIMにおける欠失についてのスクリーニング
我々は、HapMap13ホームページ(http://snp.cshl.org/)からダウンロードしたAffymetrixゲノムワイドヒトSNPアレイ6.0強度データを用いて、BIMにおける欠失多型のコピー数を推測した。2つの遺伝子型決定された単一ヌクレオチド位置が、欠失内にあった:SNP_A−4195083およびCN_173550。2つのマーカーの未処理強度を用いて、Kornら14により提案されるアルゴリズムと類似の混合ガウスモデルを用いてコピー数変動事象を求めた。この手順を用いて、我々は、コピー数を予測し、それにより、ヨーロッパ人(n=60)、ヨルバ族(n=60)および中国人/日本人(n=90)起源の無関係のHapMap試料における欠失の存在または非存在を予測した。我々は、次いで、以下の温度サイクル条件:96℃で30秒間、(94℃で15秒間、64℃で30秒間、68℃で5分間)×12、(94℃で15秒間、60℃で30秒間、68℃で5分間)×18、68℃で20分間を用いて、プライマーBim_del_F AATACCACAGAGGCCCACAGおよびBim_del_R GCCTGAAGGTGCTGAGAAAGならびにJumpStart RedAccuTaq LA DNAポリメラーゼ(Sigma)を用いるPCRにより、我々が有していた中国人/日本人DNA試料(n=74)における欠失の遺伝子型を決定した。欠失を有する(1,323bp)および欠失を有さない(4,226bp)得られたPCR生成物を、1%アガロースゲル上で分析した。我々は、PCRに基づく遺伝子型を用いて、ヨーロッパ人およびヨルバ族試料における遺伝子型召集についての単一ヌクレオチド強度カットオフを精密化し、頻度評価のために東アジア人試料のPCRにより検証された遺伝子型だけを用いた。
ヨーロッパ人集団における欠失が中程度の頻度であるが、HapMap試料において偶然見つからなかったのかをさらに調べ、アジアにおける欠失頻度をより精密に決定するために、我々は、PCRアッセイにより、595のドイツ人、600のマレー人、608の中国人および605のインド人試料について遺伝子型決定した。
BIM欠失についての寄与分画の算出
東アジア人患者の処置耐性の集団寄与分画を算出するために、我々は、PAF=(f(OR−1))/(f(OR−1)+1)(患者のうちの欠失キャリアの頻度(f=0.135)f、およびTKI処置に対して耐性の患者と感受性の患者との間の欠失キャリアのオッズ比(OR)(OR=3.19))を用いた。
ミニ遺伝子プラスミド構築
pI−12スプライシング構築物を、Mariano Garcia−Blancoからの厚意として得た。標準的なクローニング技術を用いて、2つの他のミニ遺伝子構築物であるpI−12−WTおよびpI−12−MUTを構築した。簡単に述べると、BIMエキソン4とエキソン4の上流の659bp配列とを一緒に、KCL22ゲノムDNAから、5’−GCCGCTCGAGTCTCTCCATGTGGTGTTTG−3’をフォワードプライマーとしておよび5’−GCCGAAGCTTCCTCCTTGCATAGTAAGCGTT−3’をリバースプライマーとして用いて増幅した。PCR生成物を、XhoIおよびHindIIIで消化し、pI−12プラスミドのXhoIおよびHindIII部位にクローニングした。BIMエキソン3と欠失多型を有するおよび有さない上流領域とを、KCL22ゲノムDNAから、5’−GCCGGATATCATGGAAGGAACTGACCTGGTG−3’をフォワードプライマーとしておよび5’−GCCGATCGATGTAGGAAACTGGGTGAATGGC−3’をリバースプライマーとして用いて増幅した。4500bpおよび1597bpのサイズの2つのPCR生成物を得て、これらをゲル精製し、EcoRVおよびClaIで消化し、プラスミドのEcoRVおよびClaI部位にクローニングして、欠失多型を含有しないpI−12−WT構築物および欠失多型を含有するpI−12−MUT構築物を得た。
BIM欠失多型をゲノム編集するために用いたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)
ZFNは、Sigma−Aldrich CompoZr TM ZFN Technology(USA)により注文製作された。このZFNは、欠失多型に相当する領域の5’端から551bp下流の部位を切断した(図14B)。修復鋳型は、2つのフランキングホモロジーアームだけを含有したが、BIM欠失多型領域を含有しなかった(図16A)。修復鋳型を、鋳型としてKCL22ゲノムDNAと、以下のプライマー:5’CATAAATACCACAGAGGCCCACAGC3’(このフォワードプライマーは、BIM欠失多型領域の5’端から619bp上流にある)、5’CCCTCGAAGACACCTCTATTGGGAGGC3’(このリバースプライマーは、BIM欠失多型領域の3’端の743bp下流にある)とを用いるPCRにより構築した。
我々は、1362bp長のPCR生成物を単離し、これをDNAベクターpCR(登録商標)−BluntII−TOPO(登録商標)(Invitrogen、USA)にクローニングした。我々は、修復鋳型を配列決定し、正しい配列が得られたことを確認した。修復鋳型およびZFNコードプラスミドをK562細胞に、以前に言及されたプロトコール15を用いることによりトランスフェクトした。PCRに基づく検出アッセイを開発して、トランスフェクトされたK562細胞集団のうちでBIM欠失多型を有するクローンの存在を検出した。このPCRに基づくアッセイにおいて用いたプライマーは、修復鋳型の外側で見出されるBIMイントロン領域にアニーリングした(図16A)。その結果、このアッセイは、修復鋳型を検出しなかった(データは示さず)。用いたプライマーの配列は、5’GGCCTTCAACCACTATCTCAGTGCAATGG3’(このフォワードプライマーは、BIM欠失多型領域の5’端から1507bp上流にある)、5’GGTTTCAGAGACAGAGCTGGGACTCC3’(このリバースプライマーは、BIM欠失多型領域の3’端の767bp下流にある)であった。
BIM欠失多型を有するゲノム編集されたK562クローンを、希釈クローニングにより単離した。トランスフェクトしたK562細胞を、2.5細胞/mlの密度に希釈した。96ウェルプレートフォーマットを用いて、各ウェルに、次いで、200ulの希釈したトランスフェクトされたK562細胞を播種した。各ウェルからうまく増幅したクローンを採集し、ゲノムDNAを、Qiagen DNEasyキットを用いて単離した。
ゲノム編集されたK562クローンに対するイマチニブおよびABT−737実験
野生型およびゲノム編集されたK562クローンを、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミンおよび20%FBSを補ったRPMI−1640培地で培養し、37℃、5%COの湿潤インキュベータ中でインキュベートした。6ウェルプレート中で、1×10細胞を各ウェルに2×10細胞/mlの密度で播種した。適当な薬物との48時間のインキュベーションの後に、細胞をウェスタン分析のために採集した(図16)。
アポトーシスアッセイのために、4×10細胞を12ウェルプレートの各ウェルに2×10細胞/mlの密度で播種した。アポトーシス細胞中のモノヌクレオソームおよびオリゴヌクレオソームの存在を、細胞死検出ELISA(Roche)を用い、製造者の使用説明に従うことにより検出した。
1)発症(P145)および寛解(P440)にて同じ個体
2)46,XY,+8,t(9;22)(q34;q11.2),i(17)(q10)[cp2]/48,idem,+der(22)t(9;22)[7]/48,idem,+19[cp4]/48,idem,t(12;17)(p13;q11.2),+19[cp3]/49,idem,+8,+19[2]/46,XY[3]。
表H1.DNA−PET分析に用いた患者およびCML株化細胞(K562)の臨床病理学的特徴
表H2.SOLiDプラットフォームでの大量並列PET配列決定の統計
1)配列決定した25bpタグの数
2)ヒト参照ゲノム(NCBI build 36)に対してマッピングした25bpタグの数
3)マッピングした25bpタグを対合した後に作製されたペアエンドタグ(PET)の数
4)非重複PET;両方のペアタグについて同じ始点を有するPETを、これらが同じPCR生成物に由来する(独立した生物学的情報でない)という仮定に基づいて除外した
5)調和性PET
6)非重複cPET(4を参照されたい)
7)cPETによる物理的カバー範囲;染色体位置を交差するcPET接続の平均数
8)非重複不調和性PET(4を参照されたい)
9)「低信頼度クラスタの除外」を通過した同じ潜在的再編成点の周囲のdPETのクラスタ。
表H3.5つの患者試料およびK562株化細胞においてDNA−PETにより予測されるSV1)
1)SV統計は、dPETクラスタの数を反映する(逆位、挿入および均衡転座は、事象あたり2のdPETクラスタで構成される)
2)相互ABL−BCRではないBCR−ABL転座が、派生第9染色体の欠失により存在する
3)相互ABL−BCRではないBCR−ABL転座が、派生第9染色体の喪失または複雑な再編成により存在する
表H4.5つの患者試料およびK562株化細胞においてDNA−PETにより予測されるSVのふるい分け1)SV統計は、dPETクラスタの数を反映する(逆位、挿入および均衡転座は、事象あたり2のdPETクラスタで構成される)
2)異なるゲノムにおける同じSVは1回計数する。
3)スーパークラスタサイズが100を超えるか、またはBlastスコアが2000を超えるか、またはBlastアラインメントがECタイプであるか、またはクラスタサイズが2〜5である(上記を参照されたい)dPETクラスタをふるい分けした
4)21名の正常個体の22の正常ライブラリーのDNA−PET情報および10の正常試料の公開されているペアエンド配列決定データ7、8によりデータをふるい分けした後。
表H5.5つの患者試料およびK562株化細胞においてDNA−PETにより予測されるCML特異的SV1)
1)SV統計は、dPETクラスタの数を反映する(逆位、挿入および均衡転座は、事象あたり2のdPETクラスタで構成される)
2)相互ABL−BCRではないBCR−ABL転座が、派生第9染色体の欠失により存在する
3)相互ABL−BCRではないBCR−ABL転座が、派生第9染色体の喪失または複雑な再編成により存在する。
4)慢性期患者試料P145における4つの予測SVは、同じ患者の寛解試料(P440)において予測されず(寛解における非存在)、P145においてDNA−PETが示されなかった7つのSVがP440において予測された(慢性における非存在)。「寛解における非存在」カテゴリーにおいて、再編成点のうち2つはBCR−ABLおよびABL−BCRであり、2つの5Kb欠失がP440で見つからなかったが、両方の試料においてPCRにより同定された。「慢性における非存在」カテゴリーにおいて、欠失および孤立転座はPCRにより検証できず、リストから除外され、5つの残りの矛盾したSVは、慢性および寛解試料の両方でPCRにより検出でき、DNA−PETにより慢性試料において見つからなかった。
表H7.PCRにより検証した再編成点
1)両方の切断点にて同じ配列のマイクロホモロジーを太字で示し、左の切断点に割り当てる。2つのゲノム切断点の間の挿入配列を太字および下線で示す。
CHR=血液学的完全応答、PCyR=細胞遺伝学的部分応答、CCyR=細胞遺伝学的完全応答、CCA=クローン染色体異常。
表H8.早期慢性期におけるファーストラインイマチニブに対する奏功の欧州LeukemiaNet(ELN)基準16
表H9.BIM欠失多型とベースライン特徴との関連。BIM多型とベースライン特徴との間の関連について試験する統計分析は、個別のコホート表にあるt検定*、Wilcoxon順位和^およびFisherの正確検定**を用いて行った。組み合わせたコホートデータについてのロジスティック回帰分析は、BIM多型群(BIM、BIMなし)間の平均年齢の有意差(p=0.020)と、コホート間の有意でない差(p=0.984)とを示した。BIM多型とチロシンキナーゼ阻害剤に対する臨床耐性との関連は、統計的に有意であった(p=0.022)。主文献における表1について、両方のコホートにおいて示される群年齢の相違のかなりの大きさ(およそ7歳)と、シンガポール人/マレーシア人コホートの年齢の相違が統計的有意性に近づいた(p=0.055)という事実とにより、年齢の相違を調整することが適当であると考えられた。
表H10.BIM欠失多型を有する患者の臨床特徴。略語:IFN、インターフェロン;IM、イマチニブ;TKI、チロシンキナーゼ阻害剤;ELN、欧州Leukemia Net;CP、慢性期;AP、移行期;BC、急性転化;H、高;L、低;UNK、不明;CHR、血液学的完全応答;PCyR、細胞発生的部分応答;CCyR、細胞遺伝学的完全応答;MMR、主要分子学的応答;CMR、分子学的完全応答。
表H11.BIM欠失多型とBCR−ABLキナーゼドメイン変異の非存在下でのイマチニブ耐性との関連。表1における患者の2つのコホートをそれぞれ3つの群にさらに分けた:BCR−ABL変異なしの耐性(群I)、BCR−ABL変異ありの耐性(群II)および感受性(群III)。したがって、これらのデータを、ロジスティック回帰を用いて分析した。シンガポール人/マレーシア人と日本人コホートとの間に有意差はなかった(p=0.31)が、Fisherの正確検定により示されるように群の間に有意差があった(p=0.03)。オッズ比についてのペアワイズ95%信頼区間は、群I対群III、ならびに群I対群IIおよびIIIの間の有意差を示したが、群I対群II(オッズ比=2.03、0.68〜7.58の95%CI)、および群II対群III(オッズ比=1.66、0.41〜5.89の95%CI)の間に有意差はなかった。群I対群IIIを比較することにより、3.37のオッズ比(1.35〜9.23の95%CI)が得られ、群I対群IIおよびIIIを比較することにより、1.90のオッズ比(2.08〜4.35の95%CI)が得られた。全ての計算は、SAS V9.2 17を用いて行った。
表H12.「低信頼度クラスタの除外」により定義される閾値1)左アンカー開始が右アンカー開始の2×最大ライブラリーサイズ未満離れている(欠失)クラスタについての最小dPETクラスタサイズ
2)「2×ライブラリーサイズまで伸展」したものおよび「近傍閾値」内のものを除く全てのdPETクラスタについての最小dPETクラスタサイズ
3)サイズ2のdPETクラスタは、両方のアンカーが記載される距離以内(「伸展dPET」規則以外)であるならば、許容する。
上記の閾値を通過したdPETクラスタは、スーパークラスタ分け(以下を参照されたい)の基礎となった。
表H13.アネキシンV染色により決定した、イマチニブで処置したKCL22、KYO−1およびNCO2株化細胞のIC50
実施例H2.実施例H1についての参考文献
以下は、実施例H1.材料および方法についての参考文献である。
実施例H3.序論
慢性骨髄性白血病(CML)の患者のほとんどは、BCR−ABLチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)での治療に応答する。しかし、患者の15〜20%は、TKIに対して最適に応答せず、TKI耐性を有する。代替治療に対する臨床耐性または感受性を予測するための信頼できるバイオマーカーは、現在のところない。今回、我々は、BIM遺伝子中の2.9Kb欠失多型により媒介される固有のTKI耐性の新規な機構を同定する。この欠失は、死滅促進性BH3ドメインを含有するBIMアイソフォームからスプライシングがなくなるように偏らせ、BH3含有転写産物を上方制御するTKIの能力を減退させた。このことにより、鈍いアポトーシス応答と固有のTKI耐性(BH3模倣薬を用いて克服できた耐性)が導かれた。興味深いことに、多型は、東アジア人個体に制限され(12.3%キャリア率)、アフリカ人および白人には存在しなかった(0%)。東アジア人CML患者(n=203)は、多型の存在と劣ったTKI応答との間の強い関連を示した(p=0.02)。我々の結果は、共通の欠失多型がどのようにしてTKI(広範囲のキナーゼ駆動型がんに対して効力が証明されたクラスの薬物)に対する臨床応答に影響できるかを示す。重要なことに、BIM機能に対する多型の影響を明らかにすることにより、我々は、BH3模倣剤がこの形のTKI耐性を克服できることを証明する。
BIMは、BCL2ファミリーの生存促進性メンバー(BCL2、BCL−XL、MCL1およびA1)に対抗するか、または細胞死の遠位エフェクターBAXおよびBAKに直接結合することにより細胞死を活性化する、BH3のみのタンパク質のファミリーメンバーである。BCR−ABL1は、部分的に、BIM転写を抑制することとともにBIMタンパク質をERK依存性リン酸化によるプロテアソーム分解に向ける4〜6ことにより、CML細胞の生存についての有利性を維持する。重要なことに、TKIは、CML細胞において、BIM転写を上方制御することによりアポトーシスを誘発するが、BIM発現を妨げることは、in vitroでのTKI耐性を与えるために十分である4〜6。TKI臨床耐性は、BCR−ABL1のキナーゼドメインにおける後天性体細胞変異(これは、BCR−ABL1と結合してそれを阻害するTKIの能力を減少させる)と最も一般的に関連する。しかし、このような変異は、応答に全く失敗するかまたは臨床基準により定義されるように準最適TKI応答を有する患者の大部分において見出すことができない。さらに、TKIに対する患者の様々な応答は、生殖系列バリアントまたは多型も、CMLにおける薬物耐性に貢献する可能性をもたらす2、8
実施例H4.TKI感受性CMLにおけるBIM遺伝子のイントロン2における構造バリアント
CMLにおける新規なTKI耐性機構を同定するために、我々は、ペアエンドタグの大量並列DNA配列決定9、10(図14)を用いて、TKIに対して感受性または耐性である患者から得られた5つのCML試料のゲノムを調べた(表H1)。
我々は、全てのCML試料(しかし対照ではない)において、BCR−ABL1転座とともにいくつかの新規な構造変動(SV)を同定した(図18および図19ならびに表H2〜H7)。
全ての耐性試料において共通のSVのうち、我々は特に1つに注目した。なぜなら、これは、BIM遺伝子のイントロン2中に生じたからである(図14A)。このSVは、同一の2,903bp欠失を含み(図14A、図14Bおよび図14C)、これが生殖系列および多型であることを示唆した。実際に、2465の正常個体のスクリーニングにより、我々は、欠失多型が、東アジア人の個体に共通して生じる(12.3〜14.3%のキャリア頻度)が、アフリカ人およびヨーロッパ人集団には存在しない(0%)ことを見出した(図14D)。
実施例H5.BIM遺伝子のスプライシング
BIM遺伝子構造を調べることは、欠失多型が、互いに排他的な様式でエキソン3および4のスプライシングをもたらすことを示唆し、この可能性は、エキソン3のイントロン−エキソン境界の5’端の近傍(107bp)にあるとともに、エキソン3自体の中に停止コドンおよびポリアデニル化シグナルが存在する(図15Aおよび図20)11ことにより示唆された。BIM発現に対する多型の影響を確認するために、我々は、ミニ遺伝子を構築して、欠失の存在下または非存在下でのエキソン4に対するエキソン3のスプライシングを測定し(図15B)12、欠失が、エキソン4よりもエキソン3へのスプライシングに少なくとも5倍好ましいことを見出した(図15C)。重要なことに、多型含有試料は、エキソン4含有転写産物に対して高いレベルのエキソン3含有転写産物を発現したが、全般的なBIM転写は影響されなかった(図15D)ので、患者からの初代CML細胞は同じ現象を示した。同様の結果が、正常HapMap個体から得られたリンパ芽球様株化細胞において観察され、このことは、細胞系統非依存性の影響を示した(図23)。アポトーシス促進性BH3ドメインは、エキソン4においてのみ見出され(図14A)、BIMアポトーシス機能のために必要である13、14ので、我々の観察結果は、TKI耐性についての新規な機構を示唆した。このモデルにおいて、TKI曝露の際に、多型含有CML細胞は、エキソン4含有BIM転写産物に対してエキソン3含有BIM転写産物の発現に有利となり、BH3含有BIMアイソフォームの発現を減少させ、その結果、BH3ドメイン依存性アポトーシスを減退させた。これらの研究を容易にするために、我々は、欠失を含有する日本人CML株化細胞KCL22を同定し15(図15E)、これらが、欠失非含有細胞と比較して、エキソン3/エキソン4転写産物の比の増加を示すことを確認した(図15F)。KCL22細胞は、また、TKI曝露の後のエキソン4含有転写産物の誘発の減少(図15G)と、主要BH3含有BIMアイソフォームであるBIMELタンパク質のより低いレベル(図15H)とを示した16。以前の報告15、17、18と一貫して、KCL22細胞は、効果のあるBCR−ABL阻害にもかかわらずイマチニブに対して耐性であり(図15Hおよび表H13)、イマチニブ曝露の際のアポトーシスシグナル伝達の減退を示した(図15I)。
KCL22細胞は、エキソン4/BH3含有(しかしエキソン3含有ではない)BIMアイソフォームの増加する発現に対しても非常に感受性であったが(図21)、エキソン3含有転写産物のsiRNA媒介ノックダウンは、イマチニブに対してKCL22細胞を感受性にせず(図22)、このことは、イマチニブにより誘発されるアポトーシスの減退が、BH3模倣薬の添加により回復できることを示唆した19。図14Jに示すように、我々は、これが実際にそうであることを見出した。
実施例H6.欠失多型を再現するための遺伝子ターゲティング
我々は、次に、ジンクフィンガーヌクレアーゼにより促進される遺伝子ターゲティングを採用して、イマチニブ感受性K562 CML細胞のBIM遺伝子における欠失多型を精密に再現した(図15A)。我々は、次いで、BIMスプライシングおよび発現の変化ならびにTKIにより誘発されるアポトーシスについてこれらの細胞を分析した。我々は、欠失多型についてヘテロ接合性(K562−BIMイントロン+/−)またはホモ接合性(K562−BIMイントロン−/−)のサブクローンを作製し(図16B)、これらの細胞において、多型量依存性の様式で増加するエキソン3/エキソン4転写産物の比を確認した(図16C)。欠失多型含有細胞は、また、イマチニブ曝露の後のエキソン4含有転写産物の誘発の減少(図16D)、BIMELタンパク質の上方制御の減退およびアポトーシスシグナル伝達と細胞死の両方の減衰(図16E、図16Fおよび図16G)を示した。KCL22細胞においてと同様に、ABT−737をイマチニブに加えることにより、多型含有細胞においてアポトーシスを活性化する後者の能力が増強された(図16H)。これらをまとめると、我々の研究は、多型が、BH3含有BIMアイソフォームからスプライシングがなくなるように偏らせることによりイマチニブに対するアポトーシス応答を減退させ、CML細胞をイマチニブに対して元来耐性にするために十分であることを確立する。重要なことに、我々は、イマチニブに対するアポトーシス応答が、多型含有細胞において、BH3模倣薬により回復できることも示す。
実施例H7.回顧的分析(Retrospective Analysis)
次に、我々は、東アジア人CML患者におけるTKI応答に対する多型の影響について回顧的分析を行った。2つの独立する東アジア人(シンガポール/マレーシアおよび日本)コホートからの新しく診断された慢性期CML患者の群(n=203)を用いて、我々は、標準的な用量のイマチニブ(400mg/日)を用いるファーストライン治療に対する臨床応答を、欠失多型を有する個体と有さない個体との間で比較した。臨床応答は、欧州LeukemiaNet(ELN)基準(表H8)に従って分類し、耐性患者は、ELN基準により「準最適応答者」または「失敗」と定義し、感受性患者は、ELNにより定義される「最適応答者」に相当した。
両方の地理的コホートにおいて、欠失多型を有する患者は、対照と比較して、感受性疾患に対して耐性疾患を有する見込みがより高かった(表1)。一緒に分析した場合に、欠失多型を有さない患者に対して、欠失多型を有する患者のうちで耐性疾患についての全体的なオッズ比は、2.94であった(p=0.02、1.17〜7.43の95%CI)。比較により、我々は、診断からイマチニブの開始までの時間の中央値、診断時のSokalスコアまたはインターフェロンの以前の使用(表H9)を含む他の可能性のある予後または交絡因子に関して2つの群の間に有意な差を見出さなかった。
事例的であるが、我々は、多型を有する耐性患者の大多数が、その後、第2世代TKI治療に対して応答しないことにも注目し(表H10)、この知見は、我々が株化細胞において観察した固有の耐性と一致した。
TKI耐性は、BCR−ABLキナーゼドメインにおける体細胞性変異の獲得と最も一般的に関連する。しかし、欠失多型は、固有のTKI耐性と関連するので(図16)、我々は、このような患者が、キナーゼドメイン変異の非存在下で耐性であると予測した。したがって、我々は、患者を次の3つの臨床群に分けた:BCR−ABL変異なしの耐性(群I)、BCR−ABL変異ありの耐性(群II)または感受性(群III)。我々は、多型を有する患者が、有さない患者と比較して、群IIおよび群IIIを組み合わせたものに対して群Iにある見込みがより高いことを見出した(オッズ比=1.90、2.08〜4.35の95%CI)(表H11)。これらのデータは、我々の仮説に対する第2の臨床的検証を提供する。
実施例H8.考察(実施例H1〜H6)
まとめると、我々の知見は、がんはそれらの体細胞により獲得された「駆動」変異に従って分類されるべきであるが、生殖系列多型は、「標的」治療に対するこのようながんの応答を直接調節でき、臨床転帰に影響できるという原理を証明する。重要なことに、我々は、共通BIM欠失多型がどのようにして、部分的に、均一に定義され処置されたCML患者の群において見られる不均質な応答の原因になり得るかを示す。著しいことに、多型は、東アジア諸国の個体においてのみ見出され、これらについて、ヨーロッパおよび北米と比較して(26%)、イマチニブに対する細胞遺伝学的不完全応答のより高い比率(約50%)が報告されている。これらの人種の相違に対する欠失多型の相対的貢献を評価するために、我々は、多型が、東アジア人の症例における約23%の耐性(集団寄与分画)の根底にあると見積もった。このことは、これらの世界の2つの集団の間で観察される細胞遺伝学的完全応答比率における相違を部分的に説明し得る。
BIM機能に対する欠失多型の影響を明らかにすることにより、我々は、それにより多型がCMLにおける薬物耐性に貢献する新規なスプライシング機構についても記載する。つまり、耐性がBH3含有BIMアイソフォームの発現の減退によることを証明することにおいて、我々は、BIM機能の薬理学的回復が、この特定の形のTKI耐性を克服できたことを確認できた。我々は、欠失多型の存在は臨床TKI耐性と強く関連するが、後天的および遺伝的なその他の遺伝的因子が、CML患者におけるTKI治療に対する最終応答を指図する見込みがあることに注目する。それにもかかわらず、この多型についてのスクリーニングは、TKIに対する耐性を予測するために、東アジア人系統のCML患者の管理において有用である可能性がある。
BIM発現は、広範囲のヒトのがんにおけるTKI感受性に必要であるので20〜23、我々は、上皮増殖因子受容体(EGFR)駆動型非小細胞肺がん(NSCLC)におけるBIM欠失多型の影響についても調べた。随伴する文献において記載されるように、我々は、欠失多型が、NSCLC株化細胞におけるEGFR阻害剤に対する固有の耐性をもたらし、EGFR活性化変異を有することがわかっているNSCLC患者においてEGFR阻害剤に対して著しくより短い無増悪生存期間を予測する24ことを見出した。まとめると、我々のデータは、BIM欠失多型が、ヒトのキナーゼ駆動型がんにおけるin vitroおよびin vivoでのTKI耐性についての生殖系列バイオマーカーであることを明確に証明する。
最後に、多型の人種による分離はそれ自体で興味深いが、これが、異なる世界の集団における固有の薬物耐性の原因であるまだ見つかっていない他の多型の原型であることが、我々の知見においてより重要であると考えられる。
実施例H9.実施例H3〜H8についての参考文献
以下は、実施例H3〜実施例H8についての参考文献である。
実施例N1〜N4
実施例N1〜N4は、EGFR駆動型非小細胞肺がんにおけるBIM欠失多型と関連する無増悪生存期間の短縮を証明する。
実施例N1.材料および方法
倫理委員会承認
臨床NSCLC試料は、the National Cancer Centre、Singapore、東邦大学医療センター大森病院、日本、愛知県がんセンター、日本およびthe National University Cancer Institute、National University Health System、Singaporeで診察された患者から得た。書面でのインフォームドコンセントおよび参加施設における施設調査委員会の承認を、本研究に試料を提供した全ての患者から得た。
細胞培養条件および試薬
NSCLC細胞(PC9およびHCC2279)は、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミンおよび10%FBSを補ったRPMI−1640培地で成長させ、37℃、5%COの湿潤インキュベータ中でインキュベートした。ゲフィチニブおよびABT−737は、DMSOに再懸濁して−20℃にて保存した。
リアルタイムRT−PCR(Q−PCR)
製造者の使用説明に従ってRNeasyミニキット(Qiagen)を用いて、トータル細胞RNAを抽出した。RNAを、Superscript III第1鎖合成システム(Invitrogen)を用いて逆転写し、iQ5マルチカラーリアルタイム検出システム(Bio−Rad)を、25μlの全反応容量で用いて定量的に評価した。プライマーを59℃にて20秒間アニーリングし、アンプリコンを72℃にて30秒間伸長した。定めたサイクルの総数は、40であった。β−アクチンまたはBIMのエキソン2Aの転写産物レベルを用いて、試料間を標準化した。以下のプライマーを用いた:BIMエクソン2A(順方向:ATGGCAAAGCAACCTTCTGATG;逆方向:GGCTCTGTCTGTAGGGAGGT)、BIMエクソン3(順方向:CAATGGTAGTCATCCTAGAGG;逆方向:GACAAAATGCTCAAGGAAGAGG)、BIMエクソン4(順方向:TTCCATGAGGCAGGCTGAAC;逆方向:CCTCCTTGCATAGTAAGCGTT)およびβ−アクチン(順方向:GGACTTCGAGCAAGAGATGG;逆方向:AGCACTGTGTTGGCGTAC−AG)。
ウェスタンブロット
ウェスタンブロッティングを、ヒトBIM、カスパーゼ3、切断カスパーゼ3、PARP、ホスホ−EGFR(Y1068)(全てCell Signaling Technologyから)およびβ−アクチン(Sigma)に対する抗体を用いて行った。検出は、ウサギ(Sigma)またはマウスIgG(Santa Cruz)に特異的なHRPコンジュゲート2次抗体を用いて行った。メンブレンは、Western Lightning化学発光試薬(PerkinElmer)を用いて視覚化した。
トリパンブルー生存性アッセイ
PC9またはHCC2279細胞を、24ウェルプレート中に、ウェルあたり5×10または1.6×10細胞にて3重に播種し、DMSO(薬物なし)、0.5μMゲフィチニブ、2.5μM ABT−737またはゲフィチニブとABT−737との組合せで処置した。トリパンブルー染色を行って、処置の48時間後の生存細胞の数を評価した。
EGFR変異分析
肺腫瘍のFFPEスライドを、キシレンおよび無水エタノールでスライドを洗浄することによりパラフィン除去した。各スライドからの肺がん領域を掻きとり、1.5mlチューブに移し、QIAGEN QIAamp FFPE組織キットを用いてゲノムDNAを抽出した。EGFRエキソン18から21を、配列決定した。50ngのFFPE gDNAを、10μlのGoTaqホットスタートTaq無色マスターミックス(M5133、Promega)を含有する20ulの反応容量でのPCRにより増幅した。PCR条件は、95℃で5分間、35サイクルの95℃で50秒間、58℃で50秒間、72℃で60秒間のDNA増幅、および72℃で10分間の最終伸長であった。用いたPCRプライマーは、エキソン18(フォワード:TGGCACTGCTTTCCAGCATGG;リバース:CTCCCCACCAGACCATGAGAGG)、エクソン19(順方向:ATCACTGGGCAGCATGTGGCA;逆方向:CCTGAGGTTCAGAGCCATGGAC)、エクソン20(順方向:CATGCGAAGCCACACTGACGTG;逆方向:GCATGTGAGGATCCTGGCTC)、エクソン21(順方向:GATCTGTCCCTCACAGCAGG;逆方向:GGTGTCAGGAAAATGCTGGCTG)であった。PCR生成物を、エキソヌクレアーゼI(M0293L、New England Biolabs,Inc)−エビアルカリホスファターゼ(M8201、Promega)処置により精製した。精製PCR生成物を、フォワードおよびリバース方向に、ABI PRISM BigDyeターミネーターサイクル配列決定レディ反応キット(バージョン3)をABI PRISM 3730遺伝子分析機(Applied Biosystems、CA)において用いて配列決定した。クロマトグラムを、SeqScape V2.5および手動での調査により分析した。
BIMにおける多型欠失のスクリーニング
DNAを、患者の血液試料から抽出するか、またはホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)生検スライド/ブロックから回収した。血液からのゲノムDNAについて、我々は、以下の温度サイクル条件:96℃で30秒間、(94℃で15秒間、60℃で60秒間、68℃で10分間)×29、68℃で20分間を用いて、プライマーBim_del_F AATACCACAGAGGCCCACAGおよびBim_del_R GCCTGAAGGTGCTGAGAAAGならびにJumpStart RedAccuTaq LA DNAポリメラーゼ(Sigma)を用いる単一PCR反応により、試料中の欠失の遺伝子型を決定した。欠失(1,323bp)および野生型(4,226bp)対立遺伝子から得られたPCR生成物を、1%アガロースゲル上で分析した。
FFPE組織から回収したDNAについて、PCR反応を独立して行って、野生型および欠失対立遺伝子の存在を決定した。プライマーBIM FFPE F5 CCACCAATGGAAAAGGTTCAおよびBIM FFPE R1 CTGTCATTTCTCCCCACCACを用いて、野生型対立遺伝子を遺伝子型決定した。プライマーBIM FFPE F5 CCACCAATGGAAAAGGTTCAおよびBIM Del FFPE R2 GGCACAGCCTCTATGGAGAAを用いて、欠失対立遺伝子を遺伝子型決定した。PCR反応は、GoTaqホットスタートポリメラーゼ(promega)を用い、以下の温度サイクル条件:95℃で5分間、(95℃で50秒間、58℃で50秒間、72℃で1分間)×39、72℃で10分間を用いて行った。欠失(284bp)および野生型(362bp)対立遺伝子からのPCR生成物を、2%アガロースゲル上で分析し、配列決定して切断点を確認した。
EGFR NSCLC患者データ分析
1次エンドポイントは、東アジア諸国からのEGFR TKIで処置されたEGFR変異NSCLC患者の無増悪生存期間(PFS)に対するBIM欠失多型の影響を調べることであった。PFSは、EGFR TKI治療の開始から腫瘍増悪または任意の原因での死亡のいずれかまでで算出した。TKI治療が副作用により停止されるならば、観察を検閲した。生存曲線を比較するKaplan−Meier検定のP値は、Wilcoxon検定およびログランク検定を用いて算出した。t検定およびFisherの正確検定を用いて、BIM欠失および野生型集団の臨床特徴間の差について検定した。
Cox比例ハザード回帰分析を用いて、単変量および多変量ハザード比を、以下の因子について得た:年齢、性別、組織学、喫煙歴、エキソンおよび特異的変異によるEGFR変異の型、段階、ファーストまたはセカンドラインTKI治療、民族、TKI(ゲフィチニブまたはエルロチニブ)およびECOG指標。段階的回帰において変量を入力するための有意水準は、0.05であった。Windows用SASシステム、バージョン9.2 PHREG手順を用いて計算を行った。
表N1.BIM多型の状態による患者の特徴
実施例N2.序論
上皮増殖因子受容体(EGFR)中に活性化変異を有する全てではないが多くの非小細胞肺がん(NSCLC)患者は、EGFR阻害剤に応答する。しかし、EGFR阻害剤に対する初期の応答は、応答持続期間を予測しない。我々は、新規なBIM欠失多型が、株化細胞におけるEGFR阻害剤に対するアポトーシス促進性BIM応答を減退させ、患者における無増悪生存期間のかなりの短縮を予測することを報告する。
EGFRにおける活性化変異は、NSCLC患者のうちで高い応答比率を予測する1、2。このようながんは、東アジア諸国において特に一般的であり、ここでは、非小細胞肺がんの50%まででEGFR変異を見出すことができ、これは、興味深いことに、女性、東アジア人、非喫煙者においてより一般的である3〜5。これとは対照的に、EGFR活性化変異は、西洋における肺がんの約10%で見出すことができるだけである。しかし、患者の人種と関係なく、活性化変異を保有する腫瘍におけるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を用いる治療は、より高い応答比率6〜8、および細胞毒性化学療法と比較して著しく延長された無増悪生存期間と関連する。しかし、高い奏功率にもかかわらず、応答持続期間(週から年)および腫瘍縮小の程度(完全応答から安定疾患)に関してかなりの不均質性が存在する10〜12
これらの臨床的観察結果は、根底にある「駆動」変異、例えばBCR−ABLまたはEGFRキナーゼが効果的に阻害されていても、遺伝子的またはエピジェネティックな修飾因子がTKI治療に対する腫瘍応答を調節し得ることを示唆する。ゲノムワイドなペアエンド配列決定アプローチを用いて、我々は、最近、慢性骨髄性白血病株化細胞における固有のイマチニブ耐性と、イマチニブに対する劣った臨床応答とをもたらすBIM遺伝子中の欠失多型を見出した13。著しいことに、多型は、東アジア人系統の個体に限定され(12.3%キャリア率)13、これは、上記のように、感受性を増すEGFR変異を有するNSCLC患者について豊富になる、興味をそそる人口統計である。機構的に、欠失は、死滅促進性BH3ドメインをコードするエキソン4を含有するBIMアイソフォームからスプライシングがなくなるように偏らせ、そのことによりBH3含有BIMタンパク質アイソフォームを上方制御するTKIの能力を減退させる。このことは、次に、TKI曝露の後の鈍いアポトーシス応答と、TKIに対する固有の耐性とを導く13。EGFR阻害剤は、アポトーシスを活性化するためにBH3含有BIMアイソフォームの誘発も必要とし14、15、17、18、BIM誘発を妨げることにより、TKIに対してEGFR変異肺がん細胞を耐性にしたので16、17、我々は、BIM欠失多型も、EGFR変異を有するNSCLCにおいてTKI応答を減退させるかという疑問を持った。
実施例N3.HCC2779は、TKI感受性を増すEGFR変異を有するが、TKI耐性である
この疑問に答えることを補助するために、我々は、TKI感受性を増すEGFR変異を保有するが、不可解なことにTKI耐性である(既知の2次耐性を与える変異のいずれも欠くと定義される)NSCLC株化細胞を検索した。我々は、あるそのような系統であるHCC2279を同定でき、これは、特に、有効なEGFR阻害にもかかわらずアポトーシスを活性化できない16、17、19、20。我々は、HCC2779細胞におけるBIM欠失多型の存在を確認し(図25A)、BIM機能に対する欠失多型の影響を決定した。予想されたように、欠失は、多型を有さない細胞と比較して、エキソン4/BH3含有BIMアイソフォームに対するエキソン3含有BIMアイソフォームの発現が増加した(図25B)。さらに、TKI曝露は、対照細胞と比較して、転写産物およびタンパク質のレベルにてエキソン4/BH3含有BIMアイソフォームの発現の減少と、アポトーシスシグナル伝達の活性化の減退を伴った(図25Cおよび図25D)。TKI耐性は、BH3含有BIMタンパク質のレベルの減少によるとの見解と一貫して、BH3模倣薬であるABT−737の添加は、TKIにより誘発されるアポトーシスシグナル伝達および細胞死を増強した(図25Eおよび図25F)。これとは別に、我々は、イマチニブ感受性CML細胞に欠失多型を新規導入することが、このような細胞を元来イマチニブ耐性にするために十分であることも示し16、このことは、多型がHCC2279細胞におけるTKI耐性の大部分を担うことを示唆する。
実施例N4.BIMにおける欠失は、EGFR TKIに対する応答の持続期間と相関する
次に、我々は、欠失が、EGFR活性化変異を有するNSCLC患者におけるEGFR TKIに対する応答の持続期間と相関するかという疑問を持った。欠失多型を有するかまたは有さない患者は、既知の予後因子に関して異ならなかった(表N1)。それにもかかわらず、多型の存在は、著しくより短い無増悪生存期間を予測でき、多型を有さない個体についての11.9カ月と比較して6.6カ月の中央値であった(n=141、p=0.0027)(図26)。Cox回帰モデルを用いる多変量分析では、TKI耐性エキソン20変異の存在(ハザード比=6.00、95%信頼区間2.05〜17.57、p=0.0011)18、19に加えて欠失多型(ハザード比=2.14、95%信頼区間1.30〜3.50、p=0.0026)だけが、より不良な無増悪生存期間についての独立した予後因子であることがわかった。
まとめとして、我々は、BIM欠失多型が、正常およびがん細胞におけるBH3含有BIMアイソフォームのスプライシングおよび発現の減退をもたらすことを見出す(図25および参考文献16)。チロシンキナーゼ駆動型がんの状況では、多型により与えられる異常スプライシングは、根底にある「駆動」変異にかかわらずTKIに対する固有の細胞耐性をもたらすために十分である(図25および参考文献16)。重要なことに、CMLまたはEGFR変異NSCLCのいずれかの患者では、多型の存在は、著しく劣ったTKI応答とも関連する(図26および参考文献16)。
標的がん治療の関係において、我々の結果は、均質に定義され、処置された患者のうちでの腫瘍応答の不均質性についての説明を提供する。我々のデータは、単一生殖系列多型がどのようにして、重要な遺伝子内にそれが生じた場合に、共通の生物学による異なるがんにおける臨床転帰に強く影響できるかにも光を当てる。このことは、これらの疾患におけるTKI感受性の媒介におけるBIMの中心的役割を反映するようである14、15、20。我々は、BIM多型がTKI応答に影響するがんのリストが、感受性についてBIM発現に依存する21〜23他のものも含むように拡大されると期待する。我々のデータは、治療応答に対する多型の影響に焦点を当てているが、ヒト多型が、がんの生物学の他の態様のうちでの不均質性の原因でもあることが可能である。BIM欠失と異なって、これらは、おそらく、治療応答の増強をもたらし得るか、または「駆動」変異と協調してがんの増悪を加速または遅延させることさえできる。我々が証明したように、このような多型がどのようにして遺伝子機能に影響するかを機構的に理解することにより、予後判定および治療に関するがん患者の管理の改善を導き得る。BIM多型を有する患者におけるTKI耐性の場合、BH3模倣剤を標準的なTKI治療に加えることにより、耐性を克服するための個別化された処置が可能になることがある。
実施例N5.実施例N2〜N4についての参考文献
以下は、実施例N2〜実施例N4についての参考文献である。
本文書で言及する各出願および特許、ならびに上記の各出願および特許において引用または参照される各文書(各出願および特許の審査中(「出願引用文書」)を含む)、ならびに各出願および特許ならびにいずれの出願引用文書においても引用または言及されたいずれの製品についてのいずれの製造者の使用説明またはカタログも、本明細書に参照により組み込まれる。さらに、本文において引用した全ての文書、および本文において引用した文書において引用または参照される全ての文書、および本文において引用または言及したいずれの製品についてのいずれの製造者の使用説明またはカタログも、本明細書に参照により組み込まれる。
本発明の記載される方法およびシステムの様々な改変および変形が、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者にとって明らかである。本発明を、具体的な好ましい実施形態との関連において記載したが、請求される本発明は、このような具体的な実施形態に不当に限定されないことが理解される。実際に、分子生物学または関連する分野の当業者にとって明らかな本発明を行うための記載される形態の様々な改変が、特許請求の範囲内であることを意図する。

Claims (16)

  1. がんもしくは骨髄増殖性疾患に対する感受性があるか、またはそれに罹患している個体がチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるか、を予測する方法であって、5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、その直後に続く配列番号7に示すヌクレオチド配列とを含むBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントを前記個体が有するかを決定するステップを含み、好ましくは、前記BIM(BCL2L11)遺伝子の前記多型バリアントが、配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠く方法。
  2. (a)前記BIM(BCL2L11)遺伝子の前記多型バリアントを有する前記個体の指標として、配列番号1に示す配列を含む核酸増幅生成物の存在を検出するステップ、または(b)前記BIM(BCL2L11)遺伝子の前記多型バリアントを欠く前記個体の指標として、配列番号2に示す配列を含む核酸増幅生成物の存在を検出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. (a)配列番号3に示すヌクレオチド配列、もしくは(b)配列番号4に示すヌクレオチド配列、または例えばプライマーセットとしての(a)および(b)の組合せを、用いる核酸増幅生成物を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. (a)前記個体が前記BIM(BCL2L11)遺伝子の前記多型バリアントを有すると決定されるならば、前記個体が、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあり、または(b)前記個体が前記BIM(BCL2L11)遺伝子の前記多型バリアントを有さないと決定されるならば、前記個体は、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みが低い、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. がんもしくは骨髄増殖性疾患の個体についての治療を選択する方法であって、請求項1から4のいずれかに記載の方法により、患者が、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性を生じる見込みがあるかを決定するステップと、前記個体がそのような耐性を生じる見込みがあると決定される場合に、
    (a)前記患者のより頻度が高いモニタリング、
    (b)より頻度が高い血液検査および骨髄検査、
    (c)骨髄移植、
    (d)ニロチニブもしくはダサチニブのようなより効力が高いチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の投与、
    (e)例えばTKIとの組合せでのBH3模倣剤、例えばABT−263の投与、
    (f)チロシンキナーゼ阻害剤、例えばイマチニブの用量の、例えば400mg/日の標準用量を超えて600または800mg/日までの増加、または
    (g)BCL2群タンパク質の生存促進性効果を阻害する薬物を用いる処置
    のいずれか1または複数を含む治療を選択するステップと
    を含む方法。
  6. がんもしくは骨髄増殖性疾患の個体に対する特定の治療の成功の見込みを決定する方法であって、前記治療を、請求項5に記載の方法により決定された治療と比較するステップを含む方法。
  7. (a)前記がんもしくは骨髄増殖性疾患が、慢性骨髄性白血病(CML)を含み、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する前記耐性が、例えば、イマチニブのようなチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性のようなBCR−ABL非依存性TKI耐性を含むか、
    (b)前記がんもしくは骨髄増殖性疾患が、消化管間質性腫瘍(GIST)を含み、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する前記耐性が、例えば、イマチニブのようなチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性のようなc−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性を含むか、
    (c)前記がんもしくは骨髄増殖性疾患が、非小細胞肺がん(NSCLC)を含み、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する前記耐性が、例えば、エルロチニブもしくはゲフィチニブのようなチロシンキナーゼ阻害剤またはその他のキナーゼ阻害剤、例えばスニチニブ、ニロチニブおよびソラフェニブに対する耐性のようなEGFR非依存性TKI耐性を含むか、
    (d)前記がんもしくは骨髄増殖性疾患が、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症からなる群から選択されるような骨髄増殖性疾患を含み、チロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する前記耐性が、例えば、JAK阻害剤に対する耐性のようなJAK2非依存性TKI耐性を含むか、あるいは
    (e)前記がんもしくは骨髄増殖性疾患が、血液悪性腫瘍、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患(真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症を含む)、固形腫瘍、小細胞肺がん、乳がん、結腸直腸がん、卵巣がん、メラノーマおよび神経芽腫からなる群から選択される、
    請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 5’から3’の順序で、配列番号5に示すヌクレオチド配列と、その直後に続く配列番号7に示すヌクレオチド配列とを含む、BIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアント。
  9. 配列番号6に示すヌクレオチド配列を欠くことによって特徴付けられるBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアント。
  10. 請求項8または9に記載のBIM多型バリアントから、例えば核酸増幅により得ることができる、配列番号1または配列番号2に示すヌクレオチド配列。
  11. このような多型を含む個体において、
    (i)BCR−ABL再活性化がない慢性骨髄性白血病についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(BCR−ABL非依存性TKI耐性)、
    (ii)c−KIT/PDGFR再活性化がない消化管間質性腫瘍(GIST)についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(c−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性)、
    (iii)EGFR再活性化がない非小細胞肺がん(NSCLC)についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(EGFR非依存性TKI耐性)または
    (iv)JAK2再活性化がない骨髄増殖性疾患についてのチロシンキナーゼ阻害剤を用いる処置に対する耐性(JAK2非依存性TKI耐性)
    と関連する、請求項8もしくは9に記載のBIM(BCL2L11)遺伝子の多型バリアントまたは請求項10に記載のヌクレオチド配列。
  12. (a)配列番号3に示すヌクレオチド配列、もしくは(b)配列番号4に示すヌクレオチド配列、または(a)および(b)の組合せ、例えばプライマーセット。
  13. 個体における請求項8または9に記載のBIM(BCL2L11)多型の存在または非存在を検出する方法であって、配列番号1に示す配列または配列番号2に示す配列を含む核酸増幅生成物を、例えば請求項12に記載のプライマーセットを用いることにより検出するステップを含む方法。
  14. がんもしくは骨髄増殖性疾患に罹患している患者を処置する方法であって、前記がんもしくは骨髄増殖性疾患が、BCR−ABL非依存性TKI耐性CMLがん、c−KIT/PDGFR非依存性TKI耐性GISTがん、EGFR非依存性TKI耐性NSCLCがん、またはJAK2非依存性TKI耐性骨髄増殖性疾患であるかを、請求項1から7のいずれかに記載の方法により決定するステップと、請求項5に示す(a)〜(g)から選択されるステップを行うことにより前記患者を処置するステップとを含む方法。
  15. 配列番号1に示す配列を含む核酸増幅生成物を、例えば請求項5に記載のプライマーセットを用いることにより検出するステップを含む、請求項13または14に記載の方法。
  16. 添付の図面の図1から26を参照して実質的に上に記載され、かつ図1から26に示すような多型バリアント、ヌクレオチド配列または方法。
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