JP2014500253A - ベンジルアミン化合物から2,2−ジフルオロエチルアミンを調製する方法 - Google Patents

ベンジルアミン化合物から2,2−ジフルオロエチルアミンを調製する方法 Download PDF

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Abstract

段階(i)及び段階(ii)を含んでいる、式(I)CHFCHNHで表される2,2−ジフルオロエチルアミンを調製する方法。段階(i)において、一般式(II)CHF−CHHalで表される2,2−ジフルオロ−1−ハロゲンエタンを、酸捕捉剤(即ち、反応中に遊離される水素化合物を除去することが可能な化合物)の存在下で、式(III)で表されるベンジルアミン化合物と反応させる。式(II)においては、Halは、塩素、臭素又はヨウ素を意味し、式(III)においては、Rは、水素又はC−C12−アルキルを意味し、及び、Rは、水素、ハロゲン、C−C12−アルキル又はC−C−アルコキシを意味する。段階(ii)において、段階(i)で得られたN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を接触水素化に付して、式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミン又はその塩を生成させる。
【化1】

Description

本発明は、ベンジルアミン化合物を2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンと反応させることにより2,2−ジフルオロエチルアミンを調製する方法に関する。
2,2−ジフルオロエチルアミンは、活性物質の調製における重要な中間体である。2,2−ジフルオロエチルアミンを調製するためのさまざまな方法が知られている(例えば、WO 2009/036901)。
Donettiら(J. Med. Chem., 1989, 32, 957−961)は、2,2−ジフルオロアセトアミドから出発する2,2−ジフルオロエチルアミン塩酸塩の合成について記載している。この場合、所望のアミンは、テトラヒドロフラン(THF)中のジボランの溶液を用いて調製される。その収率は、48%である。
Klugerら(JACS, 1982, 104, 10, pages 2891−2897)は、水素化ホウ素ナトリウム及び三フッ化ホウ素エーテラートを用いて、アミドから出発する、2,2−ジフルオロエチルアミンの合成について記載している。その収率は、60%である。Vyazkov, V.A.ら(Vyazkov,V.A., Gontar,A.F., Grinevskaya,V.K., Igoumnova,E.V.、及び、Igoumnov,S.M., A.N.Nesmeyanov)(Institute of Organoelement Compounds, Russian Academy of Sciences, Moscow, Russia Fluorine Notes (2009), 65)も、水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元(収率 50−65%)について記載している。
さらに、Kollonitsch(US 4,030,994)は、2,2−ジフルオロエチルアミンの合成について、即ち、紫外線下、フッ化水素中におけるエチルアミンとフルオロオキシトリフルオロメタンの反応について、記載している。
Swartsは、「Uber einige fluorhaltige Alkylamine」[On some fluorine−comprising alkylamines]の標題を有する論文(Chem. Zentralblatt, Volume 75, 1904, pages 944−945)において、2,2−ジフルオロエチルアミン及びテトラフルオロエチルアミンの調製と、それに続けて、得られた生成物を予め変換した後で2種類の生成物を分別蒸留によって又は塩酸塩として又はシュウ酸塩として分離することについて記載している。Swartsは、出発化合物として1−ブロモ−2,2−ジフルオロエタンを使用し、その1−ブロモ−2,2−ジフルオロエタンを、2molのアルコール性アンモニアを含んでいる反応管の中で、比較的高い温度(即ち、125℃〜145℃)で、比較的長い期間(即ち、3日間)にわたって加熱している。当該出発化合物は、化合物ジフルオロエチルアミン及びテトラフルオロエチルアミンに、完全に変換される。
2,2−ジフルオロエチルアミンの調製については、Dickeyらによっても記述されている(Industrial and Engineering Chemistry, 1956, No.2, 209−213)。そこでは、2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを、オートクレーブ(ロッキングオートクレーブ)内で、28%水酸化アンモニウム(即ち、28%アンモニア水溶液)と反応させる。その反応混合物を135℃〜140℃の温度で31時間加熱する。反応が終了した後、その反応混合物を濾過し、アミンをその反応混合物から留去させる。しかしながら、留出物の中には多量のアンモニアと多少の水が依然として残っているので、当該アミンを水酸化ナトリウムで脱水し、再度蒸留する。かくして、当該アミンは、65%の収率で得られた。
この調製方法は、まさにSwartsによる調製方法として、31時間という極めて長い反応時間を必要とし、また、65%という収率は低めであるので、不利である。それと同時に、その反応混合物は、反応混合物中に存在している塩化物イオン又はフッ化物イオンと組み合わされた水性アンモニアが当該調製方法において使用される高い温度で金属材料を攻撃するので、極めて腐食性である。
上記既知調製方法は、全て、特に、経済的に有益な商業規模(工業規模)で実施することができないので、不利である。収率が低いこと及び高価で危険な化学物質(例えば、水素化ホウ素ナトリウム/BF又はジボラン)を使用することが、Donettiらによる調製方法及びKlugerらによる調製方法を2,2−ジフルオロエチルアミンの商業規模での調製に適したものとするのに対して妨げになっている。Kollonitschらによる調製方法は、危険な化学物質を使用し、純粋な2,2−ジフルオロエチルアミンは得られない。Dickeyらによる調製方法及びSwartsらによる調製方法も、極めて長い反応時間を必要とし、同時に、選択性に欠けるので当該調製方法の収率は不満足なものであるという理由により、商業規模での使用に関しては適していないか又は非経済的である。
さらに、高温でアンモニアを使用することは、安全性の観点から要求される高価な特別の耐圧設備が必要であるので、問題である。
国際特許出願公開第2009/036901号 米国特許第4,030,994号
J. Med. Chem., 1989, 32, 957−961 JACS, 1982, 104, 10, pages 2891−2897 Institute of Organoelement Compounds, Russian Academy of Sciences, Moscow, Russia Fluorine Notes (2009), 65 Chem. Zentralblatt, Volume 75, 1904, pages 944−945 Industrial and Engineering Chemistry, 1956, No.2, 209−213
2,2−ジフルオロエチルアミンを調製するための既知調製方法から出発して、現在生じている検討事項は、どのようにして2,2−ジフルオロエチルアミンを単純で安価な方法で調製することができるかということである。用語「安価な調製方法」は、例えば、出発物質が危険ではなく、別の技術的な問題(これは、例えば、当該反応混合物が腐食的に作用するということに起因する)が生じず、並びに/又は、所望の2,2−ジフルオロエチルアミンが満足できる高い収率及び満足できる高い純度で得られる(これは、例えば、当該反応が極めて選択的に起こるということに起因する)という理由により、大きな財務費用を伴うことなく実施することが可能な調製方法を意味するものと理解される。
上記で記載した不利な点を回避し且つ商業規模で容易に実施することが可能な、2,2−ジフルオロエチルアミンを調製するための特に有利な調製方法が見いだされた。本発明による調製方法では、その第1段階において、2,2−ジフルオロ−1−ハロエタン化合物は、比較的穏やかな反応条件下で、及び、比較的短い反応時間で、所望のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物に選択的に変換される。第2段階において、当該ベンジル基が接触水素化によって再度除去され、そして、所望のN,N−ジフルオロエチルアミンが相応して得られる。
従って、本発明の対象は、式(I)
Figure 2014500253
で表される2,2−ジフルオロエチルアミンを調製する方法であって、ここで、該調製方法は、以下の段階(i)及び段階(ii):
段階(i)−アルキル化: 一般式(II)
Figure 2014500253
〔式中、Halは、塩素、臭素又はヨウ素である;Halは、好ましくは、塩素又は臭素であり、極めて好ましくは、塩素である〕
で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンを、酸捕捉剤(即ち、酸を不活性化する(中和する)ことが可能な化合物)の存在下で、式(III)
Figure 2014500253
〔式中、
は、水素又はC−C12−アルキルであり;好ましくは、Rは、水素又はC−C−アルキルであり;及び、
は、水素、ハロゲン、C−C12−アルキル又はC−C−アルコキシであり;好ましくは、Rは、水素、フッ素、塩素、C−C−アルキル又はC−C−アルコキシ(特に、メトキシ)である〕
で表されるベンジルアミン化合物と反応させて、式(IV)
Figure 2014500253
〔式中、R及びRは、上記で定義されているとおりである〕
で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を生成させる段階;
及び、
段階(ii): 段階(i)で得られた式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を接触水素化に付して、式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミン又はその塩を得る段階;
を含んでいる。
本発明による調製方法は、下記スキームによって例証することができる:
Figure 2014500253
所望の2,2−ジフルオロエチルアミンは、本発明による調製方法によって、良好な収率及び短い反応時間及び高い純度で得られるが、これは、実際の反応生成物を大規模に再処理することが概して必要ないことによる。
本発明の対象は、さらに、式(IV)
Figure 2014500253
で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンを調製するための段階(i)のプロセスであり、ここで、該プロセスは、2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを、酸捕捉剤の存在下で、式(III)
Figure 2014500253
で表されるベンジルアミンと反応させることを含み、これは、段階(i)に関して記載されているプロセス段階、反応条件及び反応体を包含する。
本発明の対象は、さらに、2,2−ジフルオロエチルアミンの調製(これは、段階(ii)に関して記載されているプロセス段階、反応条件及び反応体を包含する)における式(IV)で表されるベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンの使用である。
2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンが塩基性条件下で反応してHHal(HCl、HBr又はHI)が除去されてフッ化ビニリデンを生成し、従って、段階(i)における反応にはもはや利用できないということは、「M. Hudlicky in “Chemistry of Organofluorine Compounds”, 2nd edition, 1976, pp. 489−490」及び「Houben Weyl, E 10b/2, pp. 92−98」から知られており、また、2,2−ジフルオロエチルアミンは極めて反応性が高く、得られた式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物が段階(i)における反応条件下でさらに反応するということが極めて起こりそうであるということは、「J. Org. Chem., 2007, 72(22), pp. 8569」から知られているが、本発明者らは、驚くべきことに、式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物が、本発明による調製方法の段階(i)によって良好な収率及び良好な純度で得られ、従って、大規模な精製を省略することができるということを見い出した。結局のところ、目標化合物である2,2−ジフルオロエチルアミンは、段階(i)で使用される出発物質に基づいて、極めて良好な収率で得られる。
段階(i)におけるアルキル化に関しては、本発明者らは、増大した二重又は多重のアルキル化が起こるであろうとの予測に反して、反応させる式(III)で表されるベンジルアミン化合物と酸捕捉剤のモル量の合計が使用する式(II)で表される2,2−ジフルオロハロエタンのモル量よりも少ない場合には、極めて高い収率が達成されるということを見い出した。式(III)で表されるベンジルアミン化合物を出発物質と酸捕捉剤の両方として使用する場合、ここでも、反応させる式(III)で表されるベンジルアミン化合物のモル量と酸捕捉剤として作用する式(III)で表されるベンジルアミン化合物のモル量の合計が使用する式(II)で表される2,2−ジフルオロハロエタンのモル量よりも少ないということは当てはまる。
本発明による調製方法においては、好ましくは、式(II)〔式中、Halは、塩素又は臭素である〕で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタン化合物を使用する。特に好ましくは、化合物2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン(CHF−CHCl)を使用する。
本発明による調製方法においては、さらにまた、好ましくは、式(III)〔式中、
(a) Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルからなる群から選択され、並びに、Rは、水素、メチル、塩素及びメトキシからなる群から選択される;又は、
(b) Rは、水素及びメチルからなる群から選択され、並びに、Rは、水素、メチル及び塩素からなる群から選択される;又は、
(c) R及びRは、それぞれ、水素である〕
で表されるベンジルアミン化合物を使用する。
式(III)で表されるベンジルアミン化合物は、知られている。それらは、既知調製方法によって調製することがで可能であり、及び、場合によっては、市販されてもいる。
本発明による調製方法においては、式(II)で表される化合物としての2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを式(III)〔式中、Rラジカル及びRラジカルは、項目(a)、(b)又は(c)のうちの1つに記載されている意味を有する〕で表されるベンジルアミン化合物と反応させるのが、特に好ましい。
特に別途示されていない限り、表現「アルキル」は、それ単独であっても、又は、別の用語と組み合わされていても(例えば、アルコキシ)、12個以下の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素鎖、即ち、C−C12−アルキルを意味し、好ましくは、6個以下の炭素を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素鎖、即ち、C−C−アルキルを意味し、特に好ましくは、4個以下の炭素を有する直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素鎖、即ち、C−C−アルキルを意味する。そのようなアルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル又はイソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル及びn−ドデシルである。該アルキル類は、適切な置換基で、例えば、ハロゲンで、置換され得る。
特に別途示されていない限り、「ハロゲン」又は「Hal」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
段階(i)の式(II)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンと式(III)で表されるベンジルアミン化合物の反応は、何も混ぜずにそれらだけで(即ち、溶媒を添加することなく)実施することができるか、又は、溶媒の存在下で実施することができる。
段階(i)において当該反応混合物に溶媒を添加する場合、その溶媒は、好ましくは、当該反応混合物がそのプロセス全体を通して充分に撹拌できる状態にあるような量で使用する。使用する2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンの体積に基づいて、有利には、1〜50倍の量の、好ましくは、2〜40倍の量の、特に好ましくは、2〜20倍の量の、該溶媒を使用する。用語「溶媒」は、本発明によれば、純粋な溶媒の混合物も意味するものと理解される。適切な溶媒は、当該反応条件下において不活性である全ての有機溶媒である。本発明による適切な溶媒は、特に、以下のものである:水、エーテル類(例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、並びに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドポリエーテル類);テトラヒドロチオフェンジオキシド、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ベンジルメチルスルホキシド、ジイソブチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド又はジイソアミルスルホキシドなどの化合物;スルホン類、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジフェニルスルホン、ジヘキシルスルホン、メチルエチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチルイソブチルスルホン及びペンタメチレンスルホン;脂肪族炭化水素類、シクロ脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、例えば、沸点が例えば40℃〜250℃の範囲内にある成分を含んでいるホワイトスピリット、シメン、沸点間隔(boiling point interval)が70℃〜190℃の範囲内にあるベンジンフラクション、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、ベンゼン、トルエン又はキシレン);ハロゲン化芳香族化合物(例えば、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン);アミド類(例えば、ヘキサメチルホスホルアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジプロピルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N−メチルピロリジン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジン、オクチルピロリドン、オクチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリンジオン、N−ホルミルピペリジン又はN,N’−1,4−ジホルミルピペラジン);ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−ブチロニトリル、イソブチロニトリル又はベンゾニトリル);ケトン類(例えば、アセトン)、又は、それらの混合物。
段階(i)における好ましい溶媒は、芳香族炭化水素類及び/又は脂肪族炭化水素類、特に、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチレンスルホキシド及びN−メチルピロリドンである。
本発明によれば、段階(i)は、何も混ぜずに、即ち、溶媒無しで、実施するのが好ましい。該調製方法は、これによって、溶媒を購入する必要がなく、反応後に処理する必要もないので、さらに一層安価に実施することが可能である。
段階(i)の反応は、有利には、その反応において遊離されるハロゲン化水素化合物(即ち、HCl、HBr又はHI)と結合することが可能な1種類以上の酸捕捉剤の存在下で実施する。
適切な酸捕捉剤は、遊離されたハロゲン化水素化合物と結合することが可能な全ての有機塩基及び無機塩基である。有機塩基の例は、第3級窒素塩基、例えば、第3級アミン類、置換されているか又は置換されていないピリジン類及び置換されているか又は置換されていないキノリン類、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、N−メチル−シクロヘキシルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2−メチル−5−エチルピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、4−ジメチルアミノピリジン、キノリン、キナルジン、N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ジアザシクロヘキサン、N,N−ジエチル−1,4−ジアザシクロヘキサン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノナン(DBN)、ジアザビシクロウンデカン(DBU)、ブチルイミダゾール並びにメチルイミダゾールである。
無機塩基の例は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素塩又は炭酸塩、及び、別の無機水性塩基である;好ましいのは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム及び酢酸ナトリウムである。
使用される式(III)で表されるベンジルアミン化合物に対する酸捕捉剤のモル比、特に、上記塩基のモル比は、約0.1〜約3の範囲内、好ましくは、約0.5〜約3の範囲内、特に好ましくは、約0.7〜約1.3の範囲内にある。さらに多い量の塩基を使用することも技術的には可能であるが、収率が低下する。
使用される式(III)で表されるアミンに対する2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンのモル比は、通常、約30:1〜約1:3の範囲内、好ましくは、約10:1〜約1:2の範囲内、及び、特に好ましくは、約8:1〜約1:1の範囲内にある。
好ましい実施形態では、式(III)で表されるベンジルアミン化合物を酸捕捉剤として使用し、その結果、追加の酸捕捉剤を使用する必要がない。この場合、使用される式(III)で表されるアミンに対する2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンのモル比は、通常、約15:1〜約1:3の範囲内、好ましくは、約8:1〜約1:2.5の範囲内、及び、特に好ましくは、約4:1〜約1:2の範囲内にある。
式(III)で表されるベンジルアミン化合物及び該塩基は、式(II)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンの中に導入することも可能である。
本発明による調製方法の段階(i)は、一般に、触媒を添加することなく実施されるが、段階(i)において、式(III)で表されるベンジルアミン化合物と2,2−ジフルオロハロエタンの反応を促進する触媒を使用することも可能である。反応温度は、触媒を使用することによって低減され、それによって、当該反応混合物の内因性圧力も低減される。内因性圧力がそれほど高くない場合、当該工程は、単純な条件下で工業的に実施することが可能である。
本発明に従って適しているのは、特に、アルカリ金属の臭化物及びヨウ化物(例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム又は臭化カリウム);臭化アンモニウム及びヨウ化アンモニウム;臭化テトラアルキルアンモニウム及びヨウ化テトラアルキルアンモニウム(例えば、ヨウ化テトラエチルアンモニウム);特定のハロゲン化ホスホニウム、例えば、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム又はハロゲン化テトラアリールホスホニウム(例えば、ヘキサデシル(トリブチル)ホスホニウムブロミド、ステアリルトリブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラオクチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド及びテトラフェニルホスホニウムブロミド)、テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド;並びに、ビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチリウムブロミドである。さらに、適切な触媒の混合物も考えられる。
上記触媒のうちで、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、臭化テトラブチルアンモニウム及びテトラフェニルホスホニウムブロミドが、段階(i)の反応を促進するのに特に適している。ヨウ化ナトリウム及びヨウ化カリウムが特に重要である。
該触媒は、その場で製造することも可能であり、例えば、HBr若しくはHIをアンモニアと反応させることによって、又は、反応性が高い臭化アルキル若しくはヨウ化アルキル(例えば、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル又はヨウ化エチル)を添加することによって、製造することもできる。
段階(i)において触媒が存在している場合、その触媒は、使用される式(II)で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンに基づいて、約0.01〜約25重量%の濃度で使用する。さらに高い濃度は、原理的には可能である。該触媒は、好ましくは、約0.2〜約25重量%の濃度で、特に好ましくは、約0.4〜約20重量%の濃度で、及び、極めて特に好ましくは、約0.5〜約15重量%の濃度で、使用する。しかしながら、該触媒は、好ましくは、約0.05〜約3重量%の濃度で、約0.1〜約10重量%の濃度で、又は、約0.5〜約10重量%の濃度で、使用することも可能である。
段階(i)の反応は、耐圧性密閉試験容器(オートクレーブ)内で、原則として、内因性圧力下で実施する。反応中の圧力(即ち、内因性圧力)は、使用される反応温度、使用される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタン、使用される触媒及び使用される式(III)で表されるベンジルアミン化合物の量に依存する。該圧力は、段階(i)において溶媒が存在している場合は、使用される溶媒にも依存する。圧力を増大させることが望まれる場合、圧力の付加的な増大は、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを添加することによって達成することができる。
段階(i)における反応温度は、使用される出発物質に応じて、さまざまであり得る。段階(i)において触媒を添加しない場合、段階(i)は、約70℃〜約200℃の範囲内の内部温度(即ち、反応容器内の温度)で実施する。段階(i)の実施においては、その内部温度が約90℃〜約150℃の範囲内にあるのが好ましく、特に好ましくは、約90℃〜約140℃の範囲内にある。当該操作が好ましい温度範囲内で実施される場合、副反応(特に、複合的なアルキル化)は殆ど起こらないということが確定された。
段階(i)において触媒を使用する場合、その反応混合物の反応温度は、相応して低減される。当業者は、特定の触媒を添加した際に反応温度がどの程度低減されるかについて知っており、そして、日常的な実験又は自分の知識及び上記内部温度範囲から、特定の反応混合物に関する最適な反応内部温度範囲を見いだすことができる。
段階(i)における反応の反応時間は短く、そして、約0.5〜約20時間の範囲内にある。さらに長い反応時間も可能であるが、経済的に有益ではない。
段階(i)の反応混合物は、濾過とそれに続く分別蒸留によって後処理するか、又は、当該反応混合物の希釈(水を添加し、その際、存在している可能性のある塩類が溶解される)とそれに続く相分離とその後の分別蒸留によって後処理する。付加的な塩基(例えば、水酸化ナトリウム溶液)による遊離によって、塩基又は式(III)で表されるベンジルアミン化合物を再度遊離させることができ、そして、従って、それらを当該調製方法に再度戻すことができる。
次いで、式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を段階(ii)の接触水素化に付す。
段階(ii)における式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミンを生成させるための式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物の接触水素化では、気体水素を反応容器の中に導入するか、又は、ギ酸若しくはヒドラジン及びその誘導体又はその塩を用いて気体水素を反応容器内でその場で生成させる。
段階(ii)による接触水素化のための触媒として、当業者には知られている接触水素化に適した任意の触媒を使用することができる。例えば、パラジウム触媒、白金触媒、ラネーニッケル触媒又はラネーコバルト触媒、リンドラー触媒、ルテニウム触媒及びロジウム触媒などを使用することができる。これら不均一系触媒に加えて、均一系触媒を使用することもできる。適切な触媒は、好ましくは、周期表の第8〜10族の1種類以上の金属、特に、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム及び白金から選択される1種類以上の金属を含んでいる。該金属は、任意の化学形態で、例えば、元素として、コロイド状で、塩若しくは酸化物として、錯化剤と一緒にキレートとして、又は、合金(ここで、該合金は、上記金属に加えて、別の金属(例えば、アルミニウム)も含有し得る)として、存在させることができる。該金属は、担持された形態で、即ち、任意の支持体(好ましくは、無機支持体)に適用された担持形態で、存在させることができる。担体としては、例えば、炭素(黒鉛、炭又は活性炭)、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び二酸化チタンなどが適している。本発明による好ましい触媒は、無機担体上に担持された周期表の第8〜10族の1種類以上の金属を含んでいる。本発明に従って特に好ましいのは、白金及び/又はパラジウムを含んでおり且つ無機担体に適用され得る触媒である。そのような触媒は、例えば、PtO、活性炭担持Pd(OH)(パールマン触媒)、ラネーニッケル触媒及びリンドラー触媒である。該触媒は、水で湿らせた形態又は乾燥形態のいずれでも使用することができる。使用する触媒は、好ましくは、数回の反応で再使用する。
該触媒は、本発明による調製方法においては、使用する式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物に基づいて、約0.01〜約30重量%の濃度で使用する。該触媒は、好ましくは、約0.1〜約12重量%の濃度で、好ましくは、約0.1〜約2.5重量%の濃度で使用する。
段階(ii)の接触水素化は、何も混ぜずにそれらだけで実施するか、又は、適切な溶媒の中で実施する。段階(ii)を溶媒の中で実施する場合、その溶媒は、ここでも、好ましくは、当該反応混合物がそのプロセス全体を通して撹拌できる状態にあるような量で使用する。使用する式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物に基づいて、有利には、約1〜50倍(v/v)の量の、好ましくは、約2〜40倍の量の、特に好ましくは、2〜10倍の量の、該溶媒を使用する。
当該反応条件下において不活性である全ての有機溶媒は、溶媒として適している。用語「溶媒」は、本発明によれば、純粋な溶媒の混合物も意味するものと理解される。
段階(ii)において本発明に従って適している溶媒は、特に、以下のものである:
水、エーテル類(例えば、エチルプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、n−ブチルエーテル、アニソール、フェネトール、シクロヘキシルメチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメチルグリコール、ジフェニルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、イソプロピルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、並びに、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドポリエーテル類);脂肪族炭化水素類、シクロ脂肪族炭化水素類又は芳香族炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、例えば、沸点が例えば40℃〜250℃の範囲内にある成分を含んでいるホワイトスピリット、シメン、沸点間隔(boiling point interval)が70℃〜190℃の範囲内にあるベンジンフラクション、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル、リグロイン、オクタン、ベンゼン、トルエン又はキシレン);直鎖カルボン酸及び分枝鎖カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びイソ酪酸)及びそれらのエステル類(例えば、酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びイソブタノール)、又は、それらの混合物。
好ましいのは、芳香族炭化水素類又は脂肪族炭化水素類、特に、トルエン及びキシレン、メタノール、酢酸及び酢酸n−ブチルである。
段階(ii)において接触水素化を促進するために、有機酸又は無機酸を添加することができる。有機酸の例は、以下のものである:脂肪族の非分枝鎖及び分枝鎖のモノカルボン酸、ジカルボン酸及びトリカルボン酸(例えば、酢酸、イソ酪酸、シュウ酸、クエン酸及びトリフルオロ酢酸);スルホン酸誘導体(例えば、p−トルエンスルホン酸、p−クロロスルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸)。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸である。
酸と使用する式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物のモル比は、約0.001〜約10の範囲内にあり、好ましくは、約0.01〜約5の範囲内にあり、特に好ましくは、約0.02〜約1の範囲内にある。さらに多い量の酸を使用することも、原理的には可能である。適切な取扱い性を有している場合、該酸は溶媒として使用することも可能である。
段階(ii)における接触水素化は、約0℃〜約200℃の範囲内の温度で実施することができる。好ましくは、その内部温度は、約20℃〜約150℃の範囲内にあり;その内部温度は、特に好ましくは、約40℃〜130℃の範囲内にある。
該接触水素化の反応時間は、短く、そして、約0.1〜12時間の範囲内にある。さらに長い反応時間も可能であるが、経済的に有益ではない。
該接触水素化は、オートクレーブ内で過剰圧力下(即ち、最大で約200barまでの圧力下)で実施することができるか、又は、水素ガス雰囲気内で標準圧力で実施することができる。特に、高い反応温度を用いた場合、高圧下で実施するのが有益であり得る。圧力の(付加的な)増大は、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスを供給することによって達成することができる。本発明による水素化は、好ましくは、約1〜約100barの範囲内の圧力で実施し、特に好ましくは、約1.5〜約10barの範囲内の圧力で実施する。
該接触水素化は、ポンプ水素化(pump hydrogenation)として、又は、バッチプロセスで、実施することができる。ポンプ水素化では、上記溶媒に溶解されているか又はそれのみで存在している式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物をオートクレーブに連続的に添加し、及び、バッチプロセスでは、上記溶媒に溶解されているか又はそれのみで存在している式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を1回分ずつオートクレーブに添加する。当該オートクレーブは水素雰囲気下にあり、そして、上記触媒のうちの少なくとも1種類を装入する。
反応が終了した後、得られた式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミンは、蒸留によって精製することができる。あるいは、式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミンは、塩(例えば、塩酸塩)として単離及び精製するすることも可能である。該塩は、接触水素化の前、接触水素化中又は接触水素化の後で、酸を添加することによって生成させる。該塩は、その後、塩基を添加することによって、遊離させることができる。
式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミンは、通常、本発明による反応の後で、触媒の濾過後に溶媒中でさらに使用することが可能な純度で存在している。
本発明について下記実施例によってさらに充分に記述するが、本発明は、それら実施例に限定されるものではない。
調製実施例
実施例1: N−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンの調製(段階(i))
Figure 2014500253
実施例1.1
1152g(11.1mol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び403gのベンジルアミン(3.695mol)を、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、700gの水を添加し、水相を分離させる。その水相はベンジルアミン塩酸塩を含んでおり、このベンジルアミン塩酸塩は、水酸化ナトリウム溶液を添加することにより変換して遊離ベンジルアミンに戻す。該有機相を、最初に、標準圧力下で蒸留し、未反応の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを留去する。次いで、減圧蒸留(約200mbar)を再度実施して、残留している微量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを留去する。306gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが、蒸留残渣として、98.9%の純度で得られる。これは、反応させたベンジルアミンに基づいて、95.6%の収率に相当する。新たな蒸留によって、N−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンを99%を超える純度で得ることも可能である。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.2
62gのN−メチルピロリドンの中の2g(20mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び4.5g(41mmol)のベンジルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、50gの1N塩酸を添加し、溶媒を減圧下に除去する。その残渣を取って50mLの水と50mLのジクロロメタンの中に入れ、固体炭酸水素ナトリウムを用いてpHを8に調節する。次いで、相を分離させ、その水相を20mLのジクロロメタンで再度抽出する。その有機相を蒸留する。2.4gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる。これは、使用した2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンに基づいて、66.2%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.3
5g(49.7mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び11.3g(105mmol)のベンジルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、100gの1N塩酸を添加し、溶媒を減圧下に除去する。その残渣を取って50mLの水と50mLのジクロロメタンの中に入れ、固体炭酸水素ナトリウムを用いてpHを8に調節する。次いで、相を分離させ、その水相を20mLのジクロロメタンで再度抽出する。その有機相を蒸留する。3.5gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる。これは、使用した2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンに基づいて、41%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.4
18.7gのN,N−ジメチルアセトアミドの中の10g(92mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、5g(46mmol)のベンジルアミン及び5.2g(51mmol)のトリエチルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で6時間加熱する。次いで、100gの1N塩酸を添加し、溶媒を減圧下に除去する。その残渣を取って30mLのジクロロメタンの中に入れ、固体炭酸水素ナトリウムを用いてpHを8に調節する。次いで、相を分離させ、その水相を20mLのジクロロメタンで再度抽出する。その有機相を蒸留する。7.1gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる。これは、ベンジルアミンに基づいて、90%の収率に相当する。
実施例1.5
20.6gのN−メチルピロリドンの中の10g(92mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、5g(46mmol)のベンジルアミン及び5.2g(51mmol)のトリエチルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で6時間加熱する。次いで、100gの1N塩酸を添加し、溶媒を減圧下に除去する。その残渣を取って30mLのジクロロメタンの中に入れ、固体炭酸水素ナトリウムを用いてpHを8に調節する。次いで、相を分離させ、その水相を20mLのジクロロメタンで再度抽出する。その有機相を蒸留する。7.3gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる。これは、ベンジルアミンに基づいて、93%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.6
20.6gのN−メチルピロリドンの中の10g(92mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、5g(46mmol)のベンジルアミン、1gの臭化カリウム及び5.2g(51mmol)のトリエチルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で6時間加熱する。次いで、100gの1N塩酸を添加し、溶媒を減圧下に除去する。その残渣を取って30mLのジクロロメタンの中に入れ、固体炭酸水素ナトリウムを用いてpHを8に調節する。次いで、相を分離させ、その水相を20mLのジクロロメタンで再度抽出する。その有機相を蒸留する。7.4gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる。これは、ベンジルアミンに基づいて、94%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.7
実施例1.6と同様に実施する。1gの臭化カリウムの代わりに、1.5gのヨウ化カリウムを使用する。N−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが、ベンジルアミンに基づいて、95%の収率で得られる。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.8
20gの水の中の10g(92mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン、5g(46mmol)のベンジルアミン及び5.2g(51mmol)のトリエチルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で6時間加熱する。その二相溶液を毎回50mLのジクロロメタンで2回抽出する。その有機相を合して50mLの水で洗浄し、次いで、蒸留する。5.2gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが得られる。これは、ベンジルアミンに基づいて、66%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.9
実施例1.5と同様に実施する。当該反応混合物は、140℃の内部温度で6時間加熱する。N−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが、ベンジルアミンに基づいて、83%の収率で得られる。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
ジアルキル化誘導体であるN−ベンジル−N−(2,2−ジフルオロエチル)−2,2−ジフルオロエタンアミンが、第2成分として単離される。
H NMR(CDCl):7.25−7.37(m,5H),5.73(tt,2H),3.86(s,2H),3.0(dt,4H)。
実施例1.10
768.1g(7.39mol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び400gのベンジルアミン(3.695mol)を、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、700gの水を添加し、水相を分離させる。その有機相を標準圧力下で蒸留し、過剰の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを留去する。残留している微量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを減圧下(200mbar)で留去する。304gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが、残渣として、97.2%の純度で得られる。これは、反応させたベンジルアミンに基づいて、93.4%の収率に相当する。水相中に存在しているベンジルアミン塩酸塩は、水酸化ナトリウム溶液を添加することにより再遊離させることが可能であり、そして、再度使用することができる。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例1.11
757.9g(7.39mol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び800gのベンジルアミン(7.39mol)を、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、1400gの水を添加し、水相を分離させる。その有機相を標準圧力下で蒸留し、過剰の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを留去する。残留している微量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンを減圧下(200mbar)で留去する。587gの量のN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが、残渣として、97.4%の純度で得られる。これは、反応させたベンジルアミンに基づいて、93.4%の収率に相当する。水相中に存在しているベンジルアミン塩酸塩は、水酸化ナトリウム溶液を添加することにより再遊離させることが可能であり、そして、再度使用することができる。さらに21gのN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミンが水相注に存在しており、その結果、収率は96%まで上昇する。
H NMR(CDCl):7.24−7.35(m,5H),5.84(tt,1H),3.84(s,2H),2.95(dt,2H)。
実施例2: 2,2−ジフルオロ−N−(4−メチルベンジル)エタンアミンの調製(段階(i))
Figure 2014500253
26.2g(242mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び10gの4−メチルベンジルアミン(80.8mmol)を、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、50gの水を添加し、水相を分離させる。その水相を2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンで再度抽出し、そして、その有機相を合して実施例1.1に記載されているように蒸留する。ここでも、水相中に存在している4−メチルベンジルアミン塩酸塩は、水酸化ナトリウム溶液を添加することにより変換して遊離4−メチルベンジルアミンに戻すことができる。蒸留後、4.3gの2,2−ジフルオロ−N−(4−メチルベンジル)エタンアミンが得られる。これは、反応させた4−メチルベンジルアミンに基づいて、58%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.18(d,2H),7.13(d,2H),5.82(tt,1H),3.78(s,2H),2.93(dt,2H),2.32(s,3H)。
実施例3: 2,2−ジフルオロ−N−(4−クロロベンジル)エタンアミンの調製(段階(i))
Figure 2014500253
22.4g(207mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び10g(69mmol)の4−クロロベンジルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、50gの水を添加し、水相を分離させる。その水相を2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンで再度抽出し、そして、その有機相を合して実施例1.1に記載されているように蒸留する。ここでも、水相中に存在している4−クロロベンジルアミン塩酸塩は、水酸化ナトリウム溶液を添加することにより変換して遊離4−クロロベンジルアミンに戻すことができる。蒸留後、4.25gの2,2−ジフルオロ−N−(4−クロロベンジル)エタンアミンが得られる。これは、反応させた4−クロロベンジルアミンに基づいて、61%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.24−7.3(m,4H),5.84(tt,1H),3.81(s,2H),2.94(dt,2H)。
実施例4: 2,2−ジフルオロ−N−(4−メトキシベンジル)エタンアミンの調製(段階(i))
Figure 2014500253
23.15g(214mmol)の量の2,2−ジフルオロ−1−クロロエタン及び10g(71mmol)の4−メトキシベンジルアミンを、オートクレーブ内で、120℃の内部温度で16時間加熱する。次いで、50gの水を添加し、水相を分離させる。その水相を2,2−ジフルオロ−1−クロロエタンで再度抽出し、そして、その有機相を合して実施例1.1に記載されているように蒸留する。ここでも、水相中に存在している4−メトキシベンジルアミン塩酸塩は、水酸化ナトリウム溶液を添加することにより変換して遊離4−メトキシベンジルアミンに戻すことができる。蒸留後、4.93gの2,2−ジフルオロ−N−(4−メトキシベンジル)エタンアミンが得られる。これは、反応させた4−メトキシベンジルアミンに基づいて、68%の収率に相当する。
H NMR(CDCl):7.22(m,2H),6.87(m,2H),5.83(tt,1H),3.79(s,3H),3.77(2H),2.94(dt,2H)。
実施例5: 2,2−ジフルオロエチルアミンの調製(段階(ii))
Figure 2014500253
実施例5.1
280g(1.62mol)の量の2,2−ジフルオロエチルベンジルアミンを1260mLのトルエンに溶解させ、7.0gの活性炭担持5%パラジウム(水で湿らせてある;約52重量%水)を添加する。不活性にした後、6barの水素を加え、その混合物を80℃で10時間加熱する。触媒を濾過した後、2,2−ジフルオロエチルアミンを蒸留する。109.8gの量の2,2−ジフルオロエチルアミンが得られる。これは、使用した2,2−ジフルオロエチルベンジルアミンに基づいて、84%の収率に相当する。
Н NMR(CDCl):5.5−5.9(m,1H),2.94−3.1(m,2H),1.26(br m,NH)。

Claims (15)

  1. 式(I)
    Figure 2014500253
    で表される2,2−ジフルオロエチルアミンを調製する方法であって、以下の段階(i)及び段階(ii):
    段階(i): 式(II)
    Figure 2014500253
    で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンを、酸捕捉剤(即ち、酸を不活性化する(中和する)ことが可能な化合物)の存在下で、式(III)
    Figure 2014500253
    で表されるベンジルアミン化合物と反応させて、式(IV)
    Figure 2014500253
    で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を生成させる段階;
    〔ここで、
    式(II)において、
    Halは、塩素、臭素又はヨウ素である;
    並びに、式(III)及び式(IV)において、
    は、水素又はC−C12−アルキルであり;及び、
    は、水素、ハロゲン、C−C12−アルキル又はC−C−アルコキシである〕;
    及び、
    段階(ii): 段階(i)で得られた式(IV)で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を接触水素化に付し、それによって、式(I)で表される2,2−ジフルオロエチルアミン又はその塩を得る段階;
    を含む、前記調製方法。
  2. 使用されるベンジルアミン化合物の一部分を酸捕捉剤として作用させ、一方、式(III)で表されるベンジルアミン化合物の残りの部分を反応させる、請求項1に記載の調製方法。
  3. 段階(i)において、酸捕捉剤として、有機塩基又は無機塩基を使用する、請求項1に記載の調製方法。
  4. 段階(i)において、使用される式(II)で表される2,2−ジフルオロハロエタンのモル量が酸捕捉剤及び反応させる式(III)で表されるベンジルアミン化合物のモル量よりも大きい、請求項2又は3に記載の調製方法。
  5. 段階(i)を溶媒無しで実施する、請求項1〜4の1項に記載の調製方法。
  6. 段階(i)を、アルカリ金属の臭化物及びヨウ化物、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、臭化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラアリールホスホニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド、ビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチリウムブロミド又はそれらの混合物から選択される触媒の存在下で実施する、請求項1〜5の1項に記載の調製方法。
  7. 式(III)及び式(IV)において、R及びRがそれぞれ水素であり、並びに、式(II)において、Halが塩素である、請求項1〜6の1項に記載の調製方法。
  8. 式(IV)
    Figure 2014500253
    で表されるN−ベンジル−2,2−ジフルオロエタンアミン化合物を調製する方法であって、一般式(II)
    Figure 2014500253
    で表される2,2−ジフルオロ−1−ハロエタンを、酸捕捉剤の存在下で、式(III)
    Figure 2014500253
    で表されるベンジルアミン化合物と反応させる〔ここで、
    式(II)において、
    Halは、塩素、臭素又はヨウ素である;
    並びに、式(III)及び式(IV)において、
    は、水素又はC−C12−アルキルであり;及び、
    は、水素、ハロゲン、C−C12−アルキル又はC−C−アルコキシである〕
    ことを含む、前記調製方法。
  9. 式(III)及び式(IV)において、
    が、水素又はC−C−アルキルであり;及び、
    が、水素、フッ素、塩素、臭素若しくはヨウ素、C−C−アルキル、又は、C−C−アルコキシ若しくはメトキシである;
    請求項8に記載の調製方法。
  10. 式(III)及び式(IV)において、R及びRがそれぞれ水素であり、並びに、式(II)において、Halが塩素である、請求項8に記載の調製方法。
  11. 使用されるベンジルアミン化合物の一部分を酸捕捉剤として作用させ、一方、式(III)で表されるベンジルアミン化合物の残りの部分を反応させる、請求項8〜10の1項に記載の調製方法。
  12. 酸捕捉剤として、有機塩基又は無機塩基を使用する、請求項8〜10の1項に記載の調製方法。
  13. 使用される式(II)で表される2,2−ジフルオロハロエタンのモル量が酸捕捉剤及び反応させる式(III)で表されるベンジルアミン化合物のモル量よりも大きい、請求項8〜12の1項に記載の調製方法。
  14. 溶媒無しで実施する、請求項8〜13の1項に記載の調製方法。
  15. 前記調製方法を、アルカリ金属の臭化物及びヨウ化物、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、臭化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化テトラアリールホスホニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジエチルアミノ)ホスホニウムブロミド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムクロリド、テトラキス(ジプロピルアミノ)ホスホニウムブロミド、ビス(ジメチルアミノ)[(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)アミノ]メチリウムブロミド又はそれらの混合物から選択される触媒の存在下で実施する、請求項8〜14の1項に記載の調製方法。
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