JP2014241262A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置 Download PDF

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【課題】発熱を抑制し、輝度ムラを低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス素子は、光透過性基板1と、光透過性基板1に支持された光透過性電極2と、光透過性電極2と対をなす対電極4と、光透過性電極2と対電極4との間に配置された有機発光層3と、光透過性基板1に対向する封止基板5と、を備える。封止基板5の光透過性基板1側の表面に輻射熱吸収構造6が設けられている。輻射熱吸収構造6は、平面視において有機発光層3の縁部3aに重複して設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう)として、光透過性の基板の表面に、光透過性の電極、発光層を含む複数の機能層、及び、光透過性の電極と対となる電極が積層されたものが知られている。そして、このような有機EL素子を利用して面状の照明装置を得ることが知られている。有機EL素子では、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって発光層で発した光は、光透過性の電極、基板を通して取り出される。発光層は外部から保護するために封止材によって封止される。
特開2012−212555号公報
有機EL素子では、光透過性と導電性とを有する材料(ITOなど)で光透過性の電極が形成されているが、通常、光透過性を有する電極の材料は比抵抗が高く、通電性があまりよくない。特に発光効率の向上のために電極層を薄膜化した場合や、素子の発光面積を大面積化した場合にはシート抵抗が大きくなる。ここで、有機EL素子に電圧を印加して発光を生じさせると、光透過性電極が単体となった部分では、電流の流れに伴ってジュール熱による発熱が生じる場合がある。発熱が生じると、有機層の劣化の原因となるおそれがある。特に、外部電源との接続を行う電極端子の近傍においては電流が集中して局所的に発熱が生じやすくなる。局所的に熱が発生すると、局所的に有機層の劣化が進行し得る。また、局所的に熱が発生すると、温度が高くなりその部分だけ電流が流れやすくなって輝度が発光面内において不均一になり、輝度ムラの問題が生じるおそれがある。
光透過性電極に対する通電性を高めるために、光透過性電極よりも導電性の高い材料で光透過性電極の表面に補助配線を形成し、この補助配線で光透過性電極の電気伝導性を補って電極の通電性を高めることも考えられる。しかしながら、封止構造上、補助配線が形成されない部分が設けられると、その部分での抵抗が高くなって、電流が流れることにより発熱を生じることになり、かえって局所的な発熱が問題となる。
有機EL素子の発熱を抑制する構造として、均熱板を用いる構造も提案されている。例えば、特許文献1には、均熱板として機能するシート部材を封止部材の外面に設けた発光装置の構造が開示されている。
しかしながら、均熱板を用いた場合、発生した熱を均熱板によってできるだけ均一化することはできても、電流の流れに伴って熱の発生は連続して生じるものであり、発熱をさらに抑制する構造が求められる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、発熱を抑制し、輝度ムラを低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置を提供することを目的とする。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、光透過性基板と、前記光透過性基板に支持された光透過性電極と、前記光透過性電極と対をなす対電極と、前記光透過性電極と前記対電極との間に配置された有機発光層と、前記光透過性基板に対向する封止基板と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記封止基板の前記光透過性基板側の表面に輻射熱吸収構造が設けられ、
前記輻射熱吸収構造は、平面視において前記有機発光層の縁部に重複して設けられていることを特徴とする。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記光透過性電極が延長されて封止された領域の内側から外側に引き出されて形成された電極引き出し部を備え、前記輻射熱吸収構造は、平面視において前記電極引き出し部に重複して設けられていることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記輻射熱吸収構造は、黒色領域により構成されていることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記輻射熱吸収構造は、粗面構造により構成されていることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記輻射熱吸収構造は、前記封止基板に積層された輻射熱吸収体により構成されていることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記輻射熱吸収構造は、平面視において前記有機発光層の縁部全域に重複して設けられていることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子にあっては、前記封止基板は、前記光透過性基板側に突出した凸出部を備え、前記輻射熱吸収構造は、前記凸出部に形成されていることが好ましい。
本発明に係る照明装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた照明装置である。
本発明によれば、発熱を抑制し、輝度ムラを低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置を得ることができる。
実施形態1の有機エレクトロルミネッセンス素子を示し、(a)は一部を分解した平面図、(b)は断面図である。 実施形態2の有機エレクトロルミネッセンス素子を示し、(a)は一部を分解した平面図、(b)は断面図である。 実施形態3の有機エレクトロルミネッセンス素子を示し、(a)は一部を分解した平面図、(b)は断面図である。 (a)及び(b)は、輻射熱吸収構造の一例を示す断面図である。 輻射熱吸収構造の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の他の一例を示す一部の断面図である。
本発明に係る有機EL素子は、光透過性基板1と、光透過性基板1に支持された光透過性電極2と、光透過性電極2と対をなす対電極4と、光透過性電極2と対電極4との間に配置された有機発光層3と、光透過性基板1に対向する封止基板5と、を備える。封止基板5の光透過性基板1側の表面に輻射熱吸収構造6が設けられている。輻射熱吸収構造6は、平面視において有機発光層3の縁部3aに重複して設けられている。この有機EL素子では、輻射熱吸収構造6が熱の生じやすい有機発光層3の縁部3aに重複して設けられているため、輻射によって効率よく熱を吸収して、発熱を抑制することができる。そして、輻射熱吸収構造6によって熱を吸収するため、温度上昇によって一部で過剰に発光することが抑制され、面内に不均一に発光するような輝度ムラを低減することができる。また、発熱を抑制するために、有機発光層3が劣化することを抑制し、信頼性を高めることができる。そのため、発熱を抑制し、輝度ムラを低減することができ、発光が良好で信頼性の高い有機EL素子を得ることができる。
以下、本発明を具現化した実施形態を説明する。もちろん、本発明は実施形態に限定されるものでない。
[実施形態1]
図1は、有機EL素子の実施形態1を示している。この有機EL素子は、光透過性基板1と、光透過性基板1に支持された光透過性電極2と、光透過性電極2と対をなす対電極4と、光透過性電極2と対電極4との間に配置された有機発光層3と、光透過性基板1に対向する封止基板5と、を備えている。
図1(a)は、有機EL素子を平面視(光透過性基板1の表面に垂直な方向から見た場合)した様子を示している。図1(a)は、封止基板5側、すなわち発光面とは反対側の面から見た平面図である。図1(a)では、素子の内部構成が分かりやすいように、封止基板5を取り除いて図示し、封止基板5が接着される領域に配置する封止側壁5Wを斜線で示している。図1(b)では素子の構成が分かりやすいように、左側に第1電極引き出し部11a側の端部を図示し、右側に第2電極引き出し部11b側の端部を図示している。
光透過性基板1としては、光透過性を有する透明な基板であることが好ましい。本実施形態では、光透過性基板1は、ガラス基板で構成することができる。光透過性基板1がガラスで構成されることにより、ガラスは水分の透過性が低いので、光透過性基板1側からの水分の浸入を抑制することができる。また、光透過性基板1は、ガラスと他の材料との複合材によって構成されていてもよい。例えば、ガラス表面に光取り出し性の樹脂層を設けた光透過性基板1を用いた場合、光取り出し性を効果的に高めることができる。この樹脂層は光透過性基板1の光透過性電極2側の面に設けられるものであってよい。光取り出し性の樹脂層としては、散乱構造を有する層などが例示される。樹脂層はプラスチック材の貼り付けにより設けてもよい。プラスチック材料としては、PET、PENなどを用いることができる。また、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系などの材料を用いてもよい。あるいは、樹脂層は、高屈折率層と低屈折率層の複層構造にしたり、さらにその複層構造の界面に微細な凹凸構造を設けたりした層であってもよい。
光透過性電極2、有機発光層3及び対電極4の積層体によって、有機発光体10が構成されている。有機発光体10は、光透過性電極2、有機発光層3及び対電極4が厚み方向に積層された構造と定義できる。有機発光体10の設けられる領域は、平面視(基板表面と垂直な方向から見た場合)において、光透過性基板1の中央部の領域である。有機発光体10は、有機発光体10を取り囲む外周の位置において光透過性基板1に接合される封止基板5によって覆われて封止されており、有機発光体10は封止領域の内部に配置されている。本実施形態では、光透過性基板1側から、光透過性電極2、有機発光層3及び対電極4がこの順で設けられている。
光透過性電極2は光透過性を有する電極である。また、対電極4は、光透過性電極2と対となる電極である。通常、光透過性電極2は陽極を構成し、対電極4は陰極を構成するが、その逆であってもよい。光透過性電極2は、光透過性を有するため、光取り出し側の電極を構成することができる。また、対電極4は光反射性を有していてもよい。その場合、対電極4側に向って発せられる発光層からの光を、対電極4で反射させて光透過性基板1側から取り出すことができる。また、対電極4は光透過性の電極であってもよい。対電極4が光透過性の場合、封止基板5側の面(背面)から光を取り出す構造にすることが可能である。あるいは、対電極4が光透過性の場合、対電極4の背面(有機発光層3とは反対側の面)に光反射性の層を設けることによって、対電極4の方向に進行した光を反射させて、光透過性基板1側から取り出すことが可能である。その際、光反射性の層は、散乱反射性であってもよいし、鏡面反射性であってもよい。
光透過性電極2は、透明な電極材料を用いて構成することができる。例えば、導電性の金属酸化物などを好ましく用いることができる。透明金属酸化物としては、ITO、IZO、AZOなどが例示される。光透過性電極2は、スパッタ法、蒸着法、塗布法などで形成され得る。光透過性電極2の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、10nm〜1000nmの範囲にすることができる。
対電極4は、適宜の電極材料を用いて構成することができる。例えば、対電極4は、AlやAgなどにより形成することができる。対電極4は蒸着法やスパッタ法などで形成され得る。対電極4の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、10nm〜1000nmの範囲にすることができる。
有機発光層3は、発光を生じさせる機能を有する層であり、通常、ホール注入層、ホール輸送層、発光層(発光ドーパントを含む層)、電子輸送層、電子注入層、中間層などから適宜選ばれる複数の層によって構成されるものである。有機発光層3の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、60〜300nm程度にすることができる。
有機発光層3の積層構造は、例えば、光透過性電極2を陽極とし、対電極4を陰極とした場合、光透過性電極2側から順に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層とすることができる。なお、積層構造は、これに限定されるものではなく、例えば、発光層の単層としたり、ホール輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造にしたり、ホール輸送層と発光層との積層構造にしたり、発光層と電子輸送層との積層構造にしたりすることができる。また、発光層は単層構造でも多層構造でもよく、例えば発光色が白色の場合には、発光層中に赤色、緑色、青色の3色のドーパント色素をドーピングしたり、赤、緑、青の発光層を積層させたりしてもよい。また、対となる二つの電極に挟んでこの電極間に電圧を印加した際に発光が生じる積層構造を1つの発光ユニットとした場合に、複数の発光ユニットが光透過性及び導電性を有する中間層を介して積層されたマルチユニット構造になっていてもよい。マルチユニット構造とは、対となる電極(陽極と陰極)の間に、厚み方向に重なる複数の発光ユニットを備えた構造である。
封止基板5は、水分の透過性が低い基板材料を用いて形成することができる。例えば、ガラス基板などを用いることができる。具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。これらは比較的安価なガラス材料であるため素子の製造コストを抑えることが可能になる。封止基板5には、有機発光体10を収容するための凹部を有してもよいが、有していなくてもよい。本実施形態の封止基板5では、封止基板5は凹部を有しており、この凹部によって外周に封止側壁5Wが形成されている。封止基板5が凹部を有している場合、有機発光体10の側方を覆って封止することができるため、水分の浸入をより抑制することができ、封止性を高めることができる。凹部を有する封止基板5としては、例えば、キャップガラスを用いることが可能である。封止基板5が凹部を有していない場合、封止基板5の平坦な面を光透過性基板1に対向させて封止することが可能になり、また、板状の封止基板5をそのまま用いることができる。ただし、封止基板5が凹部を有していない場合には、他の封止材料によって有機発光体10を封止するためのスペーサとなる側壁が形成されることを要する。
封止基板5は、接着材料により光透過性基板1に接合されている。接着材料は、有機発光体10の外周を取り囲む封止側壁5Wにおける光透過性基板1側の面に設けられるものである。図1(a)における斜線部分で示すように、本実施形態では、封止基板5は、光透過性電極2を構成する導電層の表面と、その導電層が分断された隙間における光透過性基板1の表面とに接して接着されている。このように、封止基板5が光透過性基板1に接着されることにより、有機発光体10は、外部空間から遮断されて封止されることになる。
封止基板5を接着する材料は、接着剤として機能する適宜の材料により構成されるものであり、例えば、樹脂性の接着材料を用いることができる。樹脂性の接着材料は、防湿性を有していることが好ましい。例えば、乾燥剤を含有することにより防湿性を高めることができる。樹脂性の接着材料は、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂などを主成分とするものであってもよい。
光透過性基板1と封止基板5とに挟まれて有機発光層3が封止された部分(封止内部間隙9)には、充填剤が充填されていてもよいし、空洞となった封止空間が形成されていてもよい。封止内部間隙9を封止空間にする場合、封止基板5で簡単に封止することができ、素子を容易に作製することができる。また、封止内部間隙9に充填剤が充填されずに封止空間が形成された場合、封止空間には乾燥材を設けることが好ましい。それにより、封止空間に水分が浸入したとしても、浸入した水分を吸収することができる。例えば、封止基板5の光透過性基板1側の面に貼り付けることにより乾燥材を封止空間内に設けることができる。あるいは、乾燥材は塗布により設けられてもよい。
また、光透過性基板1と封止基板5とに挟まれた封止領域の封止内部間隙9を充填剤で満たした場合、封止基板5が内側に湾曲したとしても、有機発光体10に接触することを低減でき、有機発光体10が損傷を受けることをより抑制することができる。充填剤は乾燥剤や吸湿剤が配合された樹脂組成物で構成することができる。また、流動性を有する樹脂組成物を用いることにより、封止内部間隙9に充填剤を簡単に充填することができる。充填剤は硬化するものであっても、硬化しないものであってもよい。また、充填剤が乾燥剤や吸湿剤を含有することによって、内部に水分が浸入したとしても、充填剤で水分を吸収することができ、有機発光層3に水分が到達することを抑制することができる。
有機EL素子では、光透過性電極2と対電極4とに電圧を印加し、有機発光層3において正孔と電子を結合させて発光を生じさせる。そのため、光透過性電極2及び対電極4のそれぞれと導通する電極端子を封止領域よりも外部に引き出して設ける必要がある。電極端子は、外部電極と電気的に接続するための端子である。図1の形態では、光透過性電極2を構成する導電層を光透過性基板1の端部に引き出すことにより、電極引き出し部11を形成している。そして、この電極引き出し部11の表面に、電極端子を構成する電極パッド8が設けられている。
電極引き出し部11は、光透過性基板1の端部表面に設けられている。電極引き出し部11は、光透過性電極2と電気的に接続される第1電極引き出し部11aと、対電極4と電気的に接続される第2電極引き出し部11bとに区分される。第1電極引き出し部11aは、平面視において、光透過性電極2が延長して有機発光層3からはみ出した部分と定義できる。第2電極引き出し部11bは、光透過性基板1の端部において光透過性電極2を構成する導電層がパターニングにより分断された部分と定義できる。なお、第2電極引き出し部11bは、対電極4の材料を引き出して形成してもよく、その場合、第2電極引き出し部11bは、有機発光層3からはみ出した対電極4の部分と定義できる。
本実施形態では、封止された領域の内側から外側に引き出され、光透過性電極2に電気的に接続された電極引き出し部11(第1電極引き出し部11a及び第2電極引き出し部11b)を備えている。具体的には、電極引き出し部11は、光透過性電極2を構成する導電層が光透過性基板1の端部側に引き出され、封止基板5が設けられる領域よりも外側に延出されることによって形成されている。すなわち、光透過性電極2を構成する導電層は、第1電極引き出し部11aが設けられる端部では、この導電層が延伸することにより封止領域からはみ出して光透過性基板1の表面に形成されている。そして、第1電極引き出し部11aは、光透過性電極2の延長部分により構成されている。また、光透過性電極2を構成する導電層は、第2電極引き出し部11bが設けられる端部では、この導電層が分断されるとともに分断された導電層が延伸することにより封止領域からはみ出して光透過性基板1の表面に形成されている。そして、第2電極引き出し部11bは、光透過性電極2から分離した導電層の延長部分により構成されている。第2電極引き出し部11bは、封止領域の内部において、積層された対電極4と接触しており、それにより第2電極引き出し部11bと対電極4とが導通する構造となっている。
なお、電極引き出し部11の構造(電極を封止領域よりも外部に引き出す構造)は、図1の形態の構造に限られるものではなく、例えば、第1電極引き出し部11a及び第2電極引き出し部11bの一方又は両方を、光透過性電極2を構成する導電層とは別の導電層を用いて形成してもよい。
電極引き出し部11の外部に露出した表面には、電極パッド8が設けられている。電極パッド8は、非発光領域に形成されるものであるため、光透過性を有さなくてもよい。電極パッド8を設けることにより、外部電源との接続を電極パッド8で行うことができ、電気接続性を高めることができる。また、電極パッド8を設けることにより、光透過性電極2及び電極引き出し部11を構成する導電層の通電性を高めることができる。電極パッド8は、光透過性電極2に電気的に接続されるものと、対電極4bに電気的に接続されるものとが、電気的に絶縁されて形成されている。
電極引き出し部11の封止領域の内部の表面には、補助配線7が設けられている。補助配線7は、非発光領域に形成されるものであるため、光透過性を有さなくてもよい。また、補助配線7を設けることにより、光透過性電極2及び電極引き出し部11を構成する導電層の通電性を高めることができる。補助配線7は、光透過性電極2に電気的に接続されて形成されており、対電極4bとは電気的に絶縁されている。補助電極7は、光透過性電極2の延長部分に形成されている。補助配線7は、有機発光層3を囲むように枠状に設けられることが好ましい。それにより、面内の電流密度をより均一にして面内でより均一な発光を得ることができる。ただし、前記の通り、補助配線7は、光透過性電極2と対電極4とがショートしないように適宜分断されたパターンで形成されていてよい。なお、実施形態1では補助配線7が形成された有機EL素子を示しているが、補助配線7は形成されていなくてもよい。
補助配線7と電極パッド8とは、同じ材料で構成することが好ましい。それにより、簡単に導通性の高い補助配線7及び電極パッド8を形成することができる。補助配線7及び電極パッド8は、例えば、金属層で形成することができる。これらは、金属層の積層構造で形成することがさらに好ましい。例えば、Mo/Al/Moの積層構造を用いることができる。
そして、本実施形態の有機EL素子では、封止基板5の光透過性基板1側の表面に輻射熱吸収構造6が設けられている。この輻射熱吸収構造6は、平面視において有機発光層3の縁部3aに重複して設けられている。輻射熱吸収構造6が設けられることにより、輻射により熱を吸収して発熱を抑制することができる。図1(a)では、輻射熱吸収構造6を一点鎖線で示している。図1(b)では、有機発光層3の縁部3aの位置を破線で示している。輻射熱吸収構造6は、封止基板5の端部に設けられている。輻射熱吸収構造6は、封止基板5の内部側の表面(底面5a)に設けられている。
実施形態1では、有機EL素子は長方形又は正方形の四角形である。電極引き出し部11は、四角形の対向する二辺に設けられている。電極パッド8は、四角形の対向する二辺に設けられている。輻射熱吸収構造6は、電極引き出し部11、及び、電極パッド8が設けられた辺に設けられている。輻射熱吸収構造6が電極引き出し部11が設けられた辺に設けられると、熱がより生じやすい部分に輻射熱吸収構造6を配置することができる。そのため、発熱をより抑制することができる。輻射熱吸収構造6は、少なくとも四角形の四隅となる角隅部を含んで設けられていることが好ましい一態様である。角隅部は熱が生じやすいため、熱を効率よく吸収することができる。
ここで、有機EL素子においては、電流は全て電極パッド8から電極引き出し部11を経由して流れるため、当該部分に電流が集中し、そこで発生するジュール熱の影響で、素子温度が局所的に高くなる傾向がある。面状(パネル状)となった有機EL素子においては、電圧降下の関係上、電流密度は、有機発光体10の中央領域で最も低く、外周部で最も高くなるからである。また、発光領域となる有機発光体10と電極端子となる電極パッド8との間には、ITO膜などによって形成された抵抗の高い光透過性電極2のみからなる箇所が設けられており、さらにジュール熱が局所的に発生しやすい要因となる。さらに、実施形態1においては、補助配線7はショートしないように、第2電極引き出し部11bには形成されず、光透過性電極2を引き出した第1電極引き出し部11aに形成されており、補助配線7の近傍に相対的により多くの電流が流れる。補助配線7をつたって電流が流れ、その電流が光透過性電極2(有機発光層3の下側)に流れ込むからである。そのため、補助配線7近傍の基板外周部においてはジュール熱の発生が相対的に多くなる。また、局所的に温度が高いと電流が流れやすくなって過剰に発光して局所的に輝度が高くなり、面内において輝度ムラが発生するおそれがある。さらには、温度が高くなると電流が流れやすくなって電流密度が増加し、この部分においてさらにジュール熱が発生するという悪循環が生じる場合もある。そこで、実施形態1の有機EL素子では、輻射熱吸収構造6を有機発光層3の縁部3aと平面視において重複するような配置で設けるようにしている。すると、局所的に熱が発生しやすい部分において熱を吸収することができるため、効率よく発熱を抑制することができる。また、輻射熱吸収構造6によって発熱の生じやすい部分の熱を優先的に吸収することにより、局所的な温度分布の偏在が抑制され、面内において温度がより均一化され、輝度ムラを抑制することができる。また、全体の温度上昇が抑制されるため、高温による有機発光層3の劣化が抑制され、通電性が向上するので、信頼性を高めることができる。
輻射熱吸収構造6は、封止基板5の光透過性基板1側、すなわち有機発光体10側の表面に設けられている。つまり、輻射熱吸収構造6は、封止領域内に配設されるものである。このため、熱を効率よく吸収することができる。従来、局所的な発熱を抑制する構造として、封止基板5の外部表面に均熱板を設ける構造が知られているが、均熱板は、熱伝導により熱を均一化させる機能のものであり、熱吸収性は少ない。また、均熱板は外部に設けられており、熱が封止基板5を介して伝達するため、直接的に発熱を抑制することはできない。一方、輻射熱吸収構造6は封止領域の内部において、熱が発生しやすい封止基板5の端部に配設されているために、効率よく熱を吸収して、局所的な発熱を抑制するとともに、それによって素子全体が高温になることを抑制することができる。そのため、輝度ムラを抑制し、信頼性を高めることができるのである。
封止基板5の素子外部側の表面(光透過性基板1とは反対側の面)には、均熱板がさらに設けられていてもよい。それにより、温度分布の不均一化をさらに低減することができる。例えば、均熱板はCuなどで構成することができる。
実施形態1では、輻射熱吸収構造6は、封止基板5に積層された輻射熱吸収体6Aにより構成されている。すなわち、輻射熱吸収構造6は封止基板5とは別体で構成されている。このように、輻射熱吸収構造6は、封止基板5に積層された輻射熱吸収体6Aにより構成されていることが好ましい。それにより、輻射熱の吸収性の高い材料で構成された輻射熱吸収体6Aを用いることができるので、熱吸収性を高めることができる。また、簡単に輻射熱吸収構造6を形成することができる。
輻射熱吸収構造6は、平面視において電極引き出し部11に重複して設けられていることが好ましい。電極引き出し部11は、光透過性電極2が延長されて封止された領域の内側から外側に引き出されたものである。輻射熱吸収構造6を電極引き出し部11に重複して設けることにより、発熱がより生じやすい部分である電極引き出し部11のより近傍に輻射熱吸収構造6を配置させることができるため、熱を効率よく吸収して、発熱を抑制することができる。本実施形態では、平面視において、第1電極引き出し部11aに重複して輻射熱吸収構造6が設けられている。第1電極引き出し部11aは、光透過性電極2が延長して形成された部分であり、熱が発生しやすい部分である。そのため、より効率よく発熱を抑えることができる。
輻射熱吸収構造6は、封止側壁5Wに接して設けられていてもよい。それにより、発熱の生じやすい電極引き出し部11と、平面視において重複する範囲をより多くして輻射熱吸収構造6を設けることができ、発熱をさらに効率よく抑えることができる。
輻射熱吸収構造6は、封止基板5における電極パッド8が形成された側の端部に設けられることが好ましい。有機EL素子を駆動させる際、電流は電極パッド8を通って、素子に入るため、電極パッド8の近傍が温度上昇しやすい。そこで、輻射熱吸収構造6を電極パッド8が形成された側の封止基板5の端部に設けることによって、熱を効率よく吸収して、発熱を抑制することができる。
輻射熱吸収構造6は、平面視において補助配線7に重複して設けられていることが好ましい。それにより、発熱がより生じやすい部分である補助配線7のより近傍に輻射熱吸収構造6を配置させることができるため、熱を効率よく吸収して、発熱を抑制することができる。本実施形態では、平面視において、補助配線7に重複して輻射熱吸収構造6が設けられている。補助配線7は、光透過性電極2の延長部分の表面に電気伝導性を高めるために形成された層であり、補助配線7近傍の電極引き出し部11が熱の発生しやすい部分である。そのため、より効率よく発熱を抑えることができる。
輻射熱吸収構造6は、黒色領域6Bにより構成されていることが好ましい一態様である。黒色領域6Bは、色が黒色となった領域である。黒色となることにより、輻射による熱吸収性を高めることができるため、発熱をより抑制することができる。また、黒色により熱吸収を行うことができるので、輻射熱吸収構造6を容易に形成することができる。実施形態1では、輻射熱吸収体6Aが黒色となることにより、黒色領域6Bが形成されている。
輻射熱吸収構造6は、粗面構造6Cにより構成されていることが好ましい一態様である。粗面となることにより、輻射による熱吸収性を高めることができるため、発熱をより抑制することができる。また、粗面により熱吸収を行うことができるので、輻射熱吸収構造6を容易に形成することができる。粗面構造6Cは、封止基板5自体の表面に形成されていてもよいし、封止基板5の表面に設けられた輻射熱吸収体6Aの表面が粗面となることにより設けられていてもよい。実施形態1では、輻射熱吸収体6Aの光透過性基板1側の表面が粗面となることにより、粗面構造6Cが形成されている。粗面構造6Cは、微細な凹凸により形成されていてよい。
本実施形態では、輻射熱吸収構造6は、輻射熱吸収体6A、黒色領域6B及び粗面構造6Cの全てを含んで構成されている。輻射熱吸収構造6は、これら(6A、6B及び6C)のうちの少なくとも1つで構成されていてもよい。例えば、黒色領域6B及び粗面構造6Cを有さない輻射熱吸収体6Aによって、輻射熱吸収構造6が構成されていてもよい。あるいは、粗面構造6Cを有さない黒色の輻射熱吸収体6A、又は、粗面構造6Cを有し黒色でない輻射熱吸収体6Aによって、輻射熱吸収構造6が構成されていてもよい。
輻射熱吸収構造6が黒色領域6B及び粗面構造6Cの一方又は両方によって構成されることが好ましいことを説明する。
下記の式(1)は、熱放射の基本式である。この式は、輻射による熱吸収を示す式であると言える。この式では、絶対温度T、表面積A、放射率εの物体が、熱放射によって放出する熱量Pが示されている。ここで、熱が放射される周囲の壁面(吸熱体)は、表面積A、放射率ε、温度Tで示される。
Figure 2014241262
ここで、放射率εは黒体を1としたときの比率である。放射率εは、アルミニウムで0.02〜0.1程度、鉄(酸化面)で0.5〜0.9、ゴムで0.95、セラミックで0.95程度である。放射率εは、0から1までの値であり、最大値が1となる。
上記の式(1)から、吸熱体の放射率(ε)が大きくなって1に近づくほど、すなわち黒体に近づけば近づくほど、放射する熱量Pが大きくなって、吸熱体が吸収する熱量は大きくなることが分かる。そのため、輻射熱吸収構造6を黒色領域6Bを有して構成することによって、輻射熱吸収構造6の周囲領域との放射率に差をつけることができ、輻射による吸熱量を大きくすることができる。これにより、発熱を抑制して、有機EL素子の温度の上昇をより抑えることができる。
上記の式(1)から、吸熱体の表面積(A)が大きいほど、放射する熱量Pが大きくなって、吸熱体が吸収する熱量は大きくなることが分かる。そのため、輻射熱吸収構造6を粗面構造6Cを有して構成することによって、輻射熱吸収構造6の周囲領域との表面積に差をつけることができ、輻射による吸熱量を大きくすることができる。これにより、発熱を抑制して、有機EL素子の温度の上昇をより抑えることができる。
黒色領域6B及び粗面構造6Cを有する輻射熱吸収体6Aを用いると、輻射による熱吸収性が高い輻射熱吸収構造6を簡単に形成することができる。
輻射熱吸収体6Aは、封止基板5の底面5aに輻射熱吸収体6Aを構成するシート材を貼り付けることにより、封止基板5に設けることができる。シート材の貼り付けは接着剤を用いることができる。シート材で輻射熱吸収体6Aを構成する場合、簡単に熱吸収性の高い輻射熱吸収構造6を形成することができる。また、輻射熱吸収体6Aは、封止基板5の底面5aに輻射熱吸収体6Aを形成するための流動性組成物を塗布することにより、封止基板5に設けてもよい。塗布により輻射熱吸収体6Aを形成する場合、効率よく輻射熱吸収構造6を形成することができる。輻射熱吸収体6Aは、有機発光体10の封止を行う前の封止基板5に形成することができる。
輻射熱吸収体6Aの材料としては、ゴム、セラミック、黒色アルマイトなどが例示される。これらの材料を用いることにより、輻射による熱吸収を高めることができる。なお、黒色アルマイトは、Alを陽極酸化させたもので黒色となったものであってよい。
輻射熱吸収体6Aは、乾燥材により構成されてもよい。それにより、熱吸収を行うとともに、封止内部空間の乾燥を行うことができ、効率よく熱吸収と吸湿を行うことができる。それにより、製造が容易になるとともに、信頼性をさらに高めることができる。乾燥材は、例えば、酸化カルシウムにより構成される。また、輻射熱吸収体6Aが設けられる好ましい位置と、乾燥材が設けられる好ましい位置とは、ともに封止基板5の外周端部近傍であるため、吸熱性の乾燥材を設けることで簡単に輻射熱吸収構造6を配置することができる。
実施形態1では、輻射熱吸収構造6は、複数(6個)が分断されて設けられている。輻射熱吸収構造6は、封止基板5の端部に、端部の全長に亘るものが各1つ設けられていてもよい。
[実施形態2]
図2は、有機EL素子の実施形態2を示している。実施形態2は、実施形態1とは電極引き出し構造が異なっており、それ以外は同様の構成である。実施形態1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
実施形態2の有機EL素子は、補助配線7が環状に形成されている。すなわち、補助配線7は、有機発光体10の外周を取り囲むように枠体として形成されている。これにより、光透過性電極2の通電性を高く補助することができる。図2(a)では隠れている補助配線7を破線で示している。図2(a)では、輻射熱吸収構造6を一点鎖線で示している。図2(b)では、有機発光層3の縁部3aの位置を破線で示している。
実施形態2の有機EL素子は、絶縁層12を備えている。図2(b)で示すように、絶縁層12は、補助配線7を被覆する被覆層として形成されている。絶縁層12は絶縁材料によって形成されるものであり、例えば、樹脂により構成される。図2(a)及び(b)で示すように、絶縁層12は、対電極4と電気的に接続される電極パッド8の素子内部側の補助配線7の位置に設けられる。絶縁層12の素子内部側は有機発光層3と接している。そして、絶縁層12の表面に、補助配線7と接触しないように、対電極4の一部が延長されている。対電極4の延長部分は、第2電極引き出し部11bに接触している。このように、絶縁層12を設けることにより、電気的にショートの発生しない電極引き出し構造を構成することができる。
絶縁層12を設ける場合、補助配線7を有機発光体10を取り囲んで環状に設けることができる。すなわち、光透過性電極2の外周全体に亘って補助配線7を設けることができる。その場合、補助配線7は分断しておらず、一体となる。そのため、光透過性電極2の通電性を高めることができ、輝度の高い発光を得ることができる。ただし、製造容易性の観点からは、絶縁層12を設けない実施形態1の方が、有利な場合がある。
実施形態2では、封止基板5における電極パッド8が形成された端部に、長尺の輻射熱吸収構造6が設けられている。この実施形態では、電極パッド8は、光透過性基板1の両端部に形成されているため、この両端部の両方に輻射熱吸収構造6が形成されている。輻射熱吸収構造6は、電極引き出し部11及び電極パッド8が形成された有機EL素子の四角形の対向する二辺に設けられている。輻射熱吸収構造6は、封止基板5の端部の全長に亘っている。輻射熱吸収構造6は、平面視において有機発光層3の縁部3aと重複するように配置される。
輻射熱吸収構造6の好ましい態様及び配置は、輻射熱吸収構造6が封止基板5の端部で一体化していること以外は、実施形態1と同じであってよい。すなわち、輻射熱吸収構造6は、輻射熱吸収体6A、黒色領域6B及び粗面構造6Cのいずれか1つ以上により構成されることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において電極引き出し部11と重複して設けられることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において補助配線7と重複して設けられることが好ましい。
実施形態2では、輻射熱吸収構造6を封止基板5の端縁に沿って形成することができるため、簡単に輻射熱吸収構造6を形成することができる。また、実施形態2では、補助配線7が分断されずに連続して形成されているため、この連続した補助配線7により生じる発熱を効率よく吸収することができる。
[実施形態3]
図3は、有機EL素子の実施形態3を示している。実施形態3は、実施形態1とは輻射熱吸収構造6の大きさ及び配置が異なっており、それ以外は同様の構成である。実施形態1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図3(a)の一部分解した平面図では、輻射熱吸収構造6を一点鎖線で示している。図3(b)の断面図では、有機発光層3の縁部3aの位置を破線で示している。
実施形態3では、輻射熱吸収構造6は、平面視において有機発光層3の縁部3a全域に重複して設けられている。このように、輻射熱吸収構造6は、平面視において有機発光層3の縁部3a全域に重複して設けられていることが好ましい一態様である。それにより、温度が上昇しやすい外周近傍において輻射により熱を吸収することができるため、発熱をさらに抑制することができる。
有機EL素子の面内における電流密度分布及び温度分布においては、電極パッド8が設けられた近傍において分布が最も高くなるが、外周部においても比較的これらの分布が高くなる。特に有機発光体10を囲むように補助配線7を設け、補助配線7が電極パッド8が形成された端部以外の端部にも配置された場合には、補助配線7からの電流の流れにより、補助配線7が設けられた近傍の全体で熱が生じやすくなる。したがって、輻射熱吸収構造6を、有機発光層3の縁部3aの全域と重複するように、封止基板5の外周に沿って設けることにより、発熱を高く抑制することができる。また、面内の温度分布がより均一化することにより、輝度の均一化をより行うことができ、輝度ムラをさらに低減することができる。輻射熱吸収構造6は、枠状に設けられるものであってよい。輻射熱吸収構造6は、環状に設けられるものであってよい。輻射熱吸収構造6は、封止基板5の外周に沿って設けられるものであってよい。
輻射熱吸収構造6は、発生する熱の大小に応じて、面積、体積、厚みが部分的に調整されてもよい。例えば、電極パッド8の近傍においては輻射熱吸収構造6の面積又は厚みを大きくしてもよい。それにより、吸熱量のバランスを調整することができ、面内の電流密度分布及び温度分布をより均一化することができる。
図3の有機EL素子は、図1の変形例であり、輻射熱吸収構造6は、枠状に設けられること以外は、図1で説明した輻射熱吸収構造6と同様の構成にすることができる。すなわち、輻射熱吸収構造6は、輻射熱吸収体6A、黒色領域6B及び粗面構造6Cのいずれか1つ以上により構成されることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において電極引き出し部11と重複して設けられることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において補助配線7と重複して設けられることが好ましい。
図3では、実施形態1を基にした変形例を示しているが、実施形態2において、輻射熱吸収構造6が有機発光層3の縁部3aの全域と重複するように設けられてもよい。実施形態2では、環状に補助配線7が設けられており、この環状の補助配線7に対応して環状の輻射熱吸収構造6が設けられることにより、効率よく発熱を抑制することができる。
[輻射熱吸収構造]
上記の各実施形態で採用され得る輻射熱吸収構造6の他の態様をさらに説明する。
図4(a)は、輻射熱吸収構造6の他の一例を示している。この輻射熱吸収構造6は、封止基板5の表面が黒色に着色されることにより形成された黒色領域6Bにより構成されている。この形態では、黒色の塗料を塗布することによって、簡単に輻射熱吸収構造6を形成することができる。なお、封止基板5自体が部分的に黒色になって、黒色領域6Bが形成されてもよい。例えば、黒色粒子が内部で分散した封止基板5を用いることにより、黒色領域6Bで形成された輻射熱吸収構造6を構成することができる。
図4(b)は、輻射熱吸収構造6の他の一例を示している。この輻射熱吸収構造6は、封止基板5の表面が部分的に粗面化されることにより形成された粗面構造6Cにより構成されている。この形態では、封止基板5の一部を粗面化することによって、簡単に輻射熱吸収構造6を形成することができる。なお、封止基板5自体が黒色になるとともに、表面が粗化されて、輻射熱吸収構造6が形成されてもよい。ただし、輻射による熱吸収性を高めるためには、上記の実施形態で説明したように、輻射熱吸収体6Aを用いることがより好ましい。
図5は、輻射熱吸収構造6の他の一例を示している。この構造は、封止基板5の形状が異なっている。図5の構造は、実施形態1〜3のいずれにも適用可能である。
封止基板5は、光透過性基板1側に突出した凸出部5Pを備え、輻射熱吸収構造6は、凸出部5Pに形成されていることが好ましい一態様である。それにより、輻射熱吸収構造6が、熱の発生源である電極引き出し部11や補助配線7近傍により近づくことができるため、効率よく輻射により熱を吸収することができる。
凸出部5Pは、輻射熱吸収構造6が設けられる位置に形成されるものであってよい。例えば、凸出部5Pは封止基板5の外周部に枠状に形成される。あるいは、凸出部5Pは、有機EL素子の四角形を構成する辺のうちの電極引き出し部11が形成された二辺に設けられる。凸出部5Pは封止側壁5Wと接していてよい。それにより、より端部側に輻射熱吸収構造6を配置させて熱吸収性を高めることができるとともに、製造を容易にすることができる。
図5の実施形態では、凸出部5Pは段状に突出している。段状に突出することにより、輻射熱吸収構造6の全体をより光透過性基板1側に近づけることができるため、吸熱性を高めることができる。
ここで、物理量には、いわゆる逆2乗の法則が知られている。逆2乗の法則とは、物理量の定量的な値が、発生源からの距離の2乗に反比例する、という法則である。熱の放出及び吸収に関しても、この逆2乗の法則が適用され得る。その場合、物体から放射される単位面積当りの熱量は、物体間距離の2乗に反比例すると考えられる。そのため、輻射熱吸収構造6の面積が同一であれば、発熱部からの距離が近い方が吸熱効率は向上することになり、温度上昇をより抑えることができる。したがって、熱吸収性を高めるためには、光透過性基板1側に距離がより近づいた凸出部5Pに、輻射熱吸収構造6を設けることが好ましいのである。
図5の輻射熱吸収構造6は、凸出部5Pに設けられたこと以外は、図1で説明した輻射熱吸収構造6と同様の構成にすることができる。すなわち、輻射熱吸収構造6は、輻射熱吸収体6A、黒色領域6B及び粗面構造6Cのいずれか1つ以上により構成されることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において電極引き出し部11と重複して設けられることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において補助配線7と重複して設けられることが好ましい。
[充填封止構造]
上記の各実施形態では、封止側壁5Wが一体化して形成された封止基板5により封止を行う構造を説明したが、輻射熱吸収構造6は、封止側壁5Wが封止基板5とは別体となった有機EL素子にも設けることができる。その際、輻射熱吸収構造6は、封止内部間隙9に充填剤が充填された充填封止構造にも適用可能である。
図6は、充填封止構造の有機EL素子の一例を示している。図1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。なお、充填封止構造は、ダム材で囲まれた領域にフィル材を充填する、ダムフィル構造と呼ばれることがある。
充填封止構造では、封止基板5は、光透過性基板1側の面が平坦になった基板を用いることができる。封止側壁5Wは、封止基板5とは別材料であるスペーサ材13によって形成される。スペーサ材13としては、樹脂材料、ガラス材料などが用いられる。そして、スペーサ材13の内部側の封止内部間隙9に、充填剤が充填されて充填部9Fが設けられている。充填部9Fが形成される場合、封止基板5が内部側に押されても変形しにくくなり、有機発光体10が封止基板5と接触して損傷することを抑制することができる。
そして、本実施形態においても、輻射熱吸収構造6が、平面視において有機発光層3の縁部3aと重複して、封止基板5の表面に形成されている。そのため、電極引き出し部11から生じる熱を吸収して、温度上昇を抑制することができる。また、発熱を抑制するため、輝度ムラを抑制することができる。
図6では、輻射熱吸収構造6は封止側壁5W(スペーサ材13)と平面視において重複して形成されている。すなわち、輻射熱吸収構造6は、スペーサ材13と封止基板5との間に侵入して形成されている。それにより、輻射熱吸収構造6をより端部側に配置させることができるため、効率よく発熱を抑制することができる。輻射熱吸収構造6は、封止基板5の端縁まで形成されるものであってもよい。
図6の輻射熱吸収構造6は、有機EL素子が充填封止構造であること以外は、図1で説明した輻射熱吸収構造6と同様の構成にすることができる。すなわち、輻射熱吸収構造6は、輻射熱吸収体6A、黒色領域6B及び粗面構造6Cのいずれか1つ以上により構成されることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において電極引き出し部11と重複して設けられることが好ましい。輻射熱吸収構造6は、平面視において補助配線7と重複して設けられることが好ましい。
[照明装置]
照明装置は、上記の有機EL素子を備える。それにより、輝度ムラがなく信頼性の高い照明装置を得ることができる。照明装置は、複数の有機EL素子を面状に配置するものであってよい。照明装置は、有機EL素子に給電するための配線構造を備えるものであってよい。照明装置は、有機EL素子を支持する筐体を備えるものであってよい。照明装置は、有機EL素子と電源とを電気的に接続するプラグを備えるものであってよい。照明装置は、パネル状に構成することができる。照明装置は、厚みを薄くすることができるため、省スペースの照明器具を提供することが可能である。
1 光透過性基板
2 光透過性電極
3 有機発光層
3a 縁部
4 対電極
5 封止基板
5a 底面
5W 封止側壁
5P 凸出部
6 輻射熱吸収構造
6A 輻射熱吸収体
6B 黒色領域
6C 粗面構造
7 補助配線
8 電極パッド
9 封止内部間隙
9F 充填部
10 有機発光体
11 電極引き出し部
12 絶縁層
13 スペーサ材

Claims (8)

  1. 光透過性基板と、前記光透過性基板に支持された光透過性電極と、前記光透過性電極と対をなす対電極と、前記光透過性電極と前記対電極との間に配置された有機発光層と、前記光透過性基板に対向する封止基板と、を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記封止基板の前記光透過性基板側の表面に輻射熱吸収構造が設けられ、
    前記輻射熱吸収構造は、平面視において前記有機発光層の縁部に重複して設けられていることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記光透過性電極が延長されて封止された領域の内側から外側に引き出されて形成された電極引き出し部を備え、
    前記輻射熱吸収構造は、平面視において前記電極引き出し部に重複して設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記輻射熱吸収構造は、黒色領域により構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記輻射熱吸収構造は、粗面構造により構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記輻射熱吸収構造は、前記封止基板に積層された輻射熱吸収体により構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記輻射熱吸収構造は、平面視において前記有機発光層の縁部全域に重複して設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記封止基板は、前記光透過性基板側に突出した凸出部を備え、
    前記輻射熱吸収構造は、前記凸出部に形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた照明装置。
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