JP6847642B2 - 発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光装置に関する。
近年は有機ELを利用した発光装置の開発が進んでいる。この発光装置は、照明装置や表示装置として使用されており、第1電極と第2電極の間に有機層を挟んだ構成を有している。そして、一般的には第1電極には透明材料が用いられており、第2電極には金属材料が用いられている。
有機ELを利用した発光装置の一つに、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1の技術は、有機ELを利用した表示装置に光透過性(シースルー)を持たせるために、第2電極を画素の一部にのみ設けている。このような構造において、複数の第2電極の間に位置する領域は光を透過させるため、表示装置は光透過性を有することができる。
特開2011−23336号公報
片面(おもて面)からのみ光を取り出したい透過型の発光装置において、逆側の面(裏面)からも一部の光が漏れ出てしまう場合がある。この場合、裏面側から発光装置を介して反対側を視認しにくくなったり、おもて面での光取り出し効率が低下したりする。
本発明が解決しようとする課題としては、透過型の発光装置において、発光面とは逆の面から可視光を漏れにくくすることが一例として挙げられる。
請求項1に記載の発明は、
透光性を有する基材及び透光性を有する封止部の間に位置する複数の発光部と、
互いに隣り合う前記発光部の間に位置する透光部と、
前記発光部が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層と、を備え、
前記第1層は、前記封止部の一部である、または、前記基材と前記封止部との間に位置し、
前記複数の発光部は第1発光部を含み、
前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向から見て、前記第1層は、少なくとも前記第1発光部に重なる領域に位置し、前記第1発光部と隣り合う前記透光部に重なる領域に位置しない
発光装置である。
また、請求項4に記載の発明は、
透光性を有する基材及び透光性を有する封止部の間に位置する複数の発光部と、
互いに隣り合う前記発光部の間に位置する透光部と、
前記発光部が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層と、を備え、
前記第1層は、前記封止部の一部であり、または、前記基材と前記封止部との間に位置し、
前記発光部は第1波長に発光スペクトルの最大ピークを有する光を発し、
前記第1層は、可視光のうち、前記第1波長より50nm短い波長以上、前記第1波長より50nm長い波長以下の波長帯の波長の光の透過率よりも、当該波長帯以外の波長の光の透過率が高い層である
発光装置である。
実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。 発光部の発光スペクトルの例を示す図である。 第1層の励起スペクトルの例を示す図である。 発光装置の平面図である。 実施例1に係る発光装置の構成を示す断面図である。 実施例2に係る発光装置の構成を示す断面図である。 実施例3に係る発光装置の構成を示す断面図である。 実施例4に係る発光装置の構成を示す断面図である。 実施例5に係る発光装置の構成を示す断面図である。 実施例6に係る発光装置の構成を示す断面図である。 図10に示した発光装置の平面図である。 実施例7に係る移動体を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
図1は、実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。監視者Pは、図1の基材100に垂直な方向から発光装置10の光射出面を見ている。本実施形態に係る発光装置10は、複数の発光部140、透光部および第1層170を備える。複数の発光部140は、透光性を有する基材100及び透光性を有する封止部18の間に位置する。透光部は、互いに隣り合う発光部140の間に位置する。第1層170は、発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む。第1層170は、封止部18の一部である、または、基材100と封止部18との間に位置する。以下に詳しく説明する。
基材100の形状や材料は特に限定されないが、基材100は例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する基板である。基材100は可撓性を有していてもよい。可撓性を有している場合、基材100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。基材100は、例えば矩形などの多角形や円形である。基材100が樹脂基板である場合、基材100は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、基材100が樹脂基板である場合、水分が基材100を透過することを抑制するために、基材100の少なくとも一面(好ましくは両面)に、SiNやSiONなどの無機バリア膜が形成されているのが好ましい。
基材100の第1面101には複数の発光部140が形成されている。発光部140は、透光性の第1電極110、有機層120、および遮光性の第2電極130がこの順に積層された積層構造からなる。そして、第1電極110は、基材100と第2電極130との間に位置する。したがって、発光部140が発光する光のうち、基材100側に出力される光は、封止部側に出力される光よりも高強度になる。
発光装置10が照明装置の場合、複数の発光部140はライン状に延在している。一方、発光装置10が表示装置の場合、複数の発光部140はマトリクスを構成するように配置されているか、セグメントを構成したり所定の形状を表示したりするように(例えばアイコンを表示するように)なっていてもよい。そして複数の発光部140は、画素別に形成されている。
第1電極110は、光透過性を有する透明電極である。透明電極の材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極110の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極110は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極110は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。本図において、基材100の上には、複数の線状の第1電極110が互いに平行に形成されており、後述する第2領域104及び第3領域106には第1電極110は位置していない。
有機層120は発光層を有している。有機層120は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層120は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層120のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極110と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層120の残りの層は、蒸着法によって形成されていてもよく、また、有機層120のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
発光部140は第1波長に最大ピークを有する光を発する。発光部140の発光色が赤色である場合、第1波長はたとえば585nm以上700nm以下である。発光部140の発光色が緑色である場合、第1波長はたとえば490nm以上585nm未満である。発光部140の発光色が青色である場合、第1波長はたとえば390nm以上490nm未満である。
発光部140の発光色が赤色である場合、有機層120は、たとえばBAlqおよびBtpIrを含む。発光部140の発光色が緑色である場合、有機層120はたとえばCBPおよびIr(ppy)を含む。そして、発光部140が青色である場合、有機層120はたとえばCDBPおよびFIrpicを含む。
第2電極130は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極130は遮光性を有している。第2電極130の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第2電極130は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。本図に示す例において、発光装置10は複数の線状の第2電極130を有している。第2電極130は、第1電極110のそれぞれに対して設けられており、かつ第1電極110よりも幅が広くなっている。このため、基材100の第1面101に垂直な方向から見た場合において、幅方向において第1電極110の全体が第2電極130と重なっており、また第2電極130に覆われている。なお、第1電極110は、第2電極130よりも幅が広く、基材100の第1面101に垂直な方向から見た場合において、幅方向において第2電極130の全体が第1電極110に重なっていてもよい。
第1電極110の縁は、絶縁膜150によって覆われている。絶縁膜150は例えばポリイミドなどの感光性の樹脂材料によって形成されており、第1電極110のうち発光部140となる部分を囲んでいる。第2電極130の幅方向の縁は、絶縁膜150上に位置している。言い換えると、基材100の第1面101に垂直な方向から見た場合において、絶縁膜150の一部は第2電極130からはみ出ている。また本図に示す例において、有機層120は絶縁膜150の上及び側面にも形成されている。そして有機層120は隣り合う発光部140の間で分断されている。ただし、有機層120は、隣り合う発光部140にわたって連続して設けられていても良い。
発光装置10は第1領域102、第2領域104、及び第3領域106を有している。第1領域102は基材100の第1面101に垂直な方向から見て第2電極130と重なる領域である。第2領域104は、第2電極130とは重ならないが、絶縁膜150と重なる領域である。本図に示す例において、有機層120は第2領域104にも形成されている。第3領域106は、第2電極130とも絶縁膜150とも重ならない領域である。透光部は、第2領域104および第3領域106からなる。すなわち透光部は、基材100の第1面101に垂直な方向から見て、第2電極130と重ならない領域である。本図に示す例において、有機層120は第3領域106の少なくとも一部には形成されていない。そしてたとえば第2領域104の幅は、第3領域106の幅よりも狭い。また第3領域106の幅は第1領域102の幅よりも広くてもよいし、狭くてもよい。第1領域102の幅を1とした場合、第2領域104の幅は例えば0以上(又は0超)0.3以下であり、第3領域106の幅は例えば0.3以上3以下である。また第1領域102の幅は、例えば50μm以上500μm以下であり、第2領域104の幅は例えば0μm以上(又は0μm超)100μm以下であり、第3領域106の幅は例えば15μm以上1500μm以下である。
本実施形態において、封止部18は、基材100側から、接着層184および封止板180がこの順に積層された積層構造を含む。封止板180は接着層184を介して発光部140を覆っている。発光装置10が封止部18を備えることにより、発光部140への水分やガスの侵入を抑制し、有機層120へのダメージを抑えて発光部140の寿命を延ばすことができる。
基材100の平面形状は、例えば矩形などの多角形や円形である。そして封止板180は透光性を有しており、例えばガラス又は樹脂を用いて形成されている。封止板180は、基材100と同様の多角形や円形である。封止板180は接着層184で発光部140に固定される。接着層184としてはたとえばエポキシ樹脂を用いることができる。そして複数の発光部140は、いずれも基材100と封止板180の間の封止された空間の中に位置している。また、封止部18は基材100の第1面101に垂直な方向から見て枠状の側面部材(図10の側面部材186に相当)をさらに備えても良い。その場合、側面部材の一方の端部は、封止板180の外周と一体に接合されている。そして、封止板180と側面部材とで、中央に凹部を設けた形状を構成している。側面部材も封止板180と同様にガラス又は樹脂を用いて形成されており、側面部材の封止板180と反対側の端部は基材100に対して接着剤等で固定されている。そうすることで、発光部140を、封止板180、側面部材、および基材100で囲われた空間内に封止することができる。また、封止された空間には接着剤が充填され、接着層184が形成されている。
さらに、本実施形態において封止部18はさらに第1層170を含む。上記した通り、第1層170は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料(以下、「波長変換材料」と呼ぶ。)を含む層である。すなわち、第1層170は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する波長変換層とも言える。発光部140は少なくとも可視光を発し、波長変換材料は、発光部140が発する可視光の少なくとも一部を赤外光に変換して放出する。可視光の波長たとえは390nm以上700nm以下であり、赤外光の波長はたとえば700nm超過である。
波長変換材料を含むことにより、第1層170は発光部140が発する可視光の少なくとも一部を赤外光に変換して放出する。なかでも、第1層170は、特に発光部140の発光スペクトルにおいて最大ピークをとる第1波長の光を、赤外光に変換することが好ましい。具体的には、第1層170はたとえば以下の第1例から第5例の少なくともいずれかに該当する様な層であることが好ましい。
以下において、発光部140の発光スペクトルはたとえば、発光装置10の基材100側の出力面から出力される光を計測することで得られる。また、第1層170の励起スペクトル(PLEスペクトル)は、たとえば発光装置10の封止部18側にたとえば光を390nmから700nmの範囲で波長を変えながら順に照射し、発光装置10の封止部18側または基材100側に放出される赤外光の強度を測定することにより得られる。ここで、測定する赤外光の波長は特に限定されないが、たとえば700μm超過1200μm以下のうち少なくともいずれかの波長とすればよい。また、以下において、「励起強度」とは、赤外光放出に対する励起強度をいい、すなわち、赤外光を測定して得た励起スペクトルの励起強度をいう。
また、第1層170を含む構造を発光装置10から切り出し、その構造を対象として測定した励起スペクトルを、第1層170の光の励起スペクトルとみなしてもよい。本図の例においてたとえば、接着層184を切断することで封止板180、第1層170および接着層184の一部を含む構造を得、測定対象とすることができる。発光スペクトルや励起スペクトルの測定範囲はたとえば390nmから700nmとする。
第1例において、第1層170は、たとえば390nm以上700nm以下の波長範囲内の光の励起強度の平均値(平均励起強度)よりも、第1波長における光の励起強度が高い層である。ここで、第1層170の平均励起強度はたとえば、複数の波長の光における第1層170の励起強度を波長ごとに計測し、それらの平均値を算出することで得られる。
第2例において、発光部140の発光スペクトルの内、第1波長を含むピークにおいて、ピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲を第1範囲とする。そして、第1範囲内の光に対する、第1層170の吸収率が10%以上である。なお、第1層170の吸収スペクトルは、たとえば発光装置10の封止部18側に照射した光の反射スペクトルおよび透過スペクトルを取得し、照射光のスペクトルから透過スペクトルおよび反射スペクトルを差し引くことによって得られる。また、上記したように第1層170を含む構造を発光装置10から切り出し、その構造を対象として測定した光の吸収率を、第1層170の光の吸収率とみなしてもよい。
図2は、発光部140の発光スペクトルの例を示す図である。本図を用いて第2例について説明する。本図に示す発光スペクトルでは、第1波長に最大ピークを有する。第1波長におけるピーク強度はIである。そして、本図中、発光強度IはIの2分の1の大きさである。第1波長のピークの裾は第2波長および第3波長で強度Iをとる。第2波長は第3波長よりも短い。ここで、第2波長を下限、第3波長を上限とした波長範囲を第1範囲とする。そして、第2例において、第1層170の吸収率は、第1範囲内の全体にわたって、10%以上である。また、第1層170の吸収率は、第1範囲内の全体にわたって、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
なお、発光部140の発光スペクトルが、三つ以上の波長で上記の強度Iをとる場合、それらの波長のうち、第1波長よりも短く且つ最も第1波長に近い波長を第2波長とする。また、それらの波長のうち、第1波長よりも長く且つ最も第1波長に近い波長を第3波長とする。なお、第1範囲の中には、第1波長以外の波長においてさらに他の発光ピークが存在しても良い。
第1層170が、基材100の第1面101に垂直な方向から見て透光部に重なる領域にも形成される場合、第1層170の光の吸収率は、第1範囲内の全体にわたって、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。そうすれば、発光装置10の色身に与える影響が小さい。
第3例において、第1層170は、第2例で説明した第1範囲内に励起ピークを有する層である。特に、第1層170の光の励起スペクトルのうち最大の励起ピークが第1範囲内に位置することが好ましい。
第4例において、第1層170の最大励起ピークにおける、ピーク強度の2分の1の励起強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲を第2範囲とする。そして、第2範囲内に、第1波長が含まれる。
図3は、第1層170の励起スペクトルの例を示す図である。本図を用いて第4例について説明する。本図に示す励起スペクトルは、第4波長をピーク波長とする最大ピークを有する。第4波長におけるピーク強度はIである。そして、本図中、励起強度IはIの2分の1の大きさである。第4波長のピークの裾は第5波長および第6波長で強度Iをとる。第5波長は第6波長よりも短い。ここで、第5波長を下限、第6波長を上限とした波長範囲を第2範囲とする。そして、第4例において、発光部140の発光スペクトルの最大ピーク波長である第1波長が、第2範囲内に含まれる。
なお、第1層170の励起スペクトルが、三つ以上の波長で上記の強度Iをとる場合、それらの波長のうち、第4波長よりも短く且つ最も第4波長に近い波長を第5波長とする。また、それらの波長のうち、第4波長よりも長く且つ最も第4波長に近い波長を第6波長とする。また、第2範囲の中には、第4波長以外の波長においてさらに他の励起ピークが存在しても良い。
第5例において、第1層170の励起スペクトルの最大励起強度をとる波長と、発光部140の発光スペクトルのピーク波長である第1波長との差は100nm以下である。また、第1層170の励起スペクトルの最大励起強度をとる波長と、発光部140の発光スペクトルのピーク波長である第1波長との差は50nm以下であることがより好ましい。
また、上記した第1例から第5例において、第1波長より100nm短い波長、および100nm長い波長における第1層170の光の吸収率は、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。そうすれば、第1層170が透光部に設けられた場合であっても、第1波長から離れた波長の光を十分に透過することができる。
また、第1層170は、可視光のうち第1波長を含む一部の波長帯の波長の光の透過率よりも、その一部の波長帯以外の光の透過率が高い層であることが好ましい。その一部の波長帯は、たとえば第1波長より50nm短い波長以上、第1波長より50nm長い波長以下の範囲である。第1層170が第1波長を含む一部の波長帯以外の光を、十分に通すことにより、発光装置10の高い透光性を確保できる。
図1に戻り、発光装置10における光の経路について、以下に説明する。以下において、発光装置10の基材100側を「おもて面」、封止部18側を「裏面」と呼ぶ。発光部140から出力され基材100側に進んだ光は、基材100と気相との界面への入射角が臨界角より小さい場合、主に発光装置10の外側に出力する。ただし、界面ではフレネル反射が生じ、一部の光は裏面側に進み、裏面漏れ光の要因となる。これに対し、本実施形態の発光装置10は第1層170を備えるため、第1層170を通過する光の一部を可視光以外の光に変換する。したがって、視認される裏面漏れ光を小さくすることができる。また、第1層170において、波長変換材料は単なる光の吸収体に比べて吸収スペクトルのピークが鋭いため、裏面側から発光装置10を通しておもて面側を見た場合の高い視認性を維持することができる。また、発光装置10が色味を帯びることも避けられる。くわえて、波長変換材料は、波長変換後の光を放出するため、吸収体を用いる場合に比べて発光装置10の温度上昇が抑えられる。
本実施形態において、第1層170は封止板180の発光部140側の面に形成されている。すなわち、第1層170は、接着層184と封止板180の間に位置し、接着層184および封止板180と接している。第1層170が、封止板180に接していることにより、封止板180と発光部140との間に光拡散性の部材が存在した場合にも、より外側で光の波長変換をすることができる。なお、第1層170が封止部18に含まれる場合、その位置を特に限らない。また、封止部18には複数の第1層170が含まれていても良い。
また、本図の例において、第1層170は、基材100の発光部140が設けられた第1面101に垂直な方向において、発光部140を基準に、基材100とは反対側に位置する。なお、第1層170は第1面101に垂直な方向から見て、発光部140と重なっていても良いし、重なっていなくても良い。
図1に示す例において第1層170は、基材100の第1面101に垂直な方向から見て、第1領域102、第2領域104および第3領域106の全体と重なる様に設けられている。すなわち、第1層170は、基材100の第1面101に垂直な方向から見て、発光部140と重なる領域に形成されており、透光部と重なる領域にさらに形成されている。したがって、第1層170をパターニングする必要が無く、容易に形成できる。
また、第1層170は、基材100の発光部140が設けられた第1面101に垂直な方向から見て、少なくとも透光部に重なる領域に位置するようにできる。波長変換材料の光の吸収スペクトルのピークは急峻であるため、透光部に第1層170を設けても、発光装置10の色味にほとんど影響しない。
また、第1層170は、基材100の第1面101に垂直な方向から見て、発光部140に重なる位置のみに設けられていても良い。具体的には、複数の発光部140は第1発光部を含み、基材100の発光部140が設けられた第1面101に垂直な方向から見て、第1層170は、少なくとも第1発光部に重なる領域に位置し、第1発光部と隣り合う透光部に重なる領域に位置していなくてもよい。そうすれば、第1層170が透光部の色味に影響しない。
また、以下に説明するように、少なくとも発光部140と重なる領域に第1層170が設けられていれば、裏面漏れ光をより効率良く低減できる。発光部140から出力され基材100側に進んだ光は、基材100と気相との界面への入射角が臨界角より大きい場合、全反射する。全反射した後の発光装置10中の光は、発光装置10のおもて面および裏面で全反射される角度を保ったままであれば発光装置10の中を伝搬して側面から出射されるため、裏面漏れ光とはならない。しかし、発光装置10中には発光部140が設けられており、特に第2電極130の裏面側の凹凸等によって反射された光は、発光装置10の裏面から出射可能な角度となりうる。従って、裏面漏れ光は、発光部140に重なる領域において特に大きくなるおそれがある。これに対し、少なくとも発光部140と重なる領域に第1層170を設けることにより、裏面漏れ光を効率良く低減できる。
封止板180の面に第1層170を形成する際、たとえばマスクパターン、フォトリソグラフィー、またはインクジェット法等を用いて、第1層170をパターニングすることができる。また、発光部140の上に封止板180を固定する際には、パターニングされた第1層170の位置と発光部140との位置とが所望の位置関係となるように、アライメントマーク等を用いて位置あわせすることができる。
第1層170の厚さは特に限定されないが、たとえば10nm以上100μm以下である。なお、第1層170が封止部18に含まれる場合、封止部18が全体として充分な封止機能を有していれば良く、第1層170は単独で発光部140を封止可能な封止機能を有していなくても良い。
波長変換材料はたとえば、発光部140が発する光を吸収し、赤外光に変換して放出する蛍光材料を含む。蛍光材料は特に限定されないが、発光部140の発光色が赤色である場合、用いられる蛍光材料としてはYb等の酸化イッテルビウム、Nd等の酸化ネオジム、およびアロフィコシアニン等が挙げられる。また、発光部140の発光色が青色である場合、用いられる蛍光材料としてはフィコエリスリン等が挙げられる。なお、波長変換材料は、一種のみを用いても良いし、二種以上を合わせて用いても良い。
また、波長変換材料は、色素分子の微結晶群等、ナノスケールの凹凸を有する材料であってもよい。このような材料では、励起光を照射することで生じるフォノン援用過程を利用した波長変換が生じる。また、波長変換材料は量子ドット等であってもよい。
第1層170は、波長変換材料をたとえばインクジェット法、スピンコート法等の塗布法や、蒸着法で成膜することにより形成できる。塗布法を用いる場合、波長変換材料を溶解または分散させる溶媒は特に限定されないが、溶媒としてはたとえばオクチル酸、酢酸エチル、および酢酸ブチルのうちの一以上を用いることができる。
また、第1層170は、たとえば蛍光材料等の波長変換材料が分散された樹脂層であってもよい。この場合、樹脂層は、たとえばアクリル樹脂、シリコン樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群からなる一以上の樹脂を含む。第1層170を形成する方法としては、樹脂と波長変換材料とを混合した上で、封止板180等の面上に塗布する方法が挙げられる。
図4は発光装置10の平面図である。ただし、本図では、封止部18を省略している。なお、図1は図4のA−A断面に対応している。本図に示す例において、第1領域102、第2領域104、及び第3領域106は、いずれも線状かつ同一方向に延在している。そして本図及び図1に示すように、第2領域104、第1領域102、第2領域104、及び第3領域106が、この順に繰り返し並んでいる。
本図の例において、第1領域102、第2領域104、及び第3領域106のうち第1領域102は最も光線透過率が低い。また、第2領域104は絶縁膜150が存在している分、第3領域106に対して光線透過率が低くなっている。本実施形態ではたとえば第2領域104の幅は第3領域106の幅よりも狭くすることができる。そうすれば、発光装置10において第2領域104の面積占有率は、第3領域106の面積占有率よりも低くなり、発光装置10の光線透過率はより高くなる。
次に、発光装置10の製造方法について説明する。まず、基材100に第1電極110を、例えばスパッタリング法を用いて形成する。次いで、第1電極110を例えばフォトリソグラフィー法を利用して所定のパターンにする。次いで、第1電極110の縁の上に絶縁膜150を形成する。例えば絶縁膜150が感光性の樹脂で形成されている場合、絶縁膜150は、露光及び現像工程を経ることにより、所定のパターンに形成される。次いで、有機層120及び第2電極130をこの順に形成する。有機層120が蒸着法で形成される層を含む場合、この層は、例えばマスクを用いるなどして所定のパターンに形成される。第2電極130も、例えばマスクを用いるなどして所定のパターンに形成される。次いで、第1層170を形成した封止板180を接着層184で接着し、発光部140を封止する。
なお、図1では、第1層170が封止板180の発光部140側の面に設けられている例を示して説明したが、第1層170は、封止板180の発光部140側とは反対側の面に設けられていても良いし、封止板180の両面に設けられていても良い。なお、大気や水分により劣化しうる波長変換材料を用いる場合には、第1層170は、封止板180の発光部140側の面に設けられていることが好ましい。また、第1層170が封止板180の発光部140側とは反対側の面に設けられている場合、第1層170は波長変換材料を含むフィルムとして別途形成され、封止板180に対して貼り付けられても良い。そうすれば、封止板180を基材100に対して固定した後に、必要に応じて第1層170を取り付けることができる。
また、複数の発光部140は、互いに発光色が異なる複数種類の発光部140を含んでいても良い。この場合、発光装置10は各発光色に対応する複数種類の第1層170を含むことが好ましい。たとえば、複数の発光部140は、発光色が赤色である発光部140と、発光色が緑色である発光部140と、発光色が青色である発光部140とをそれぞれ一以上含む。そして、発光装置10は、特に赤色の光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170と、特に緑色の光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170と、特に青色の光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170とを含む。複数種類の第1層170は、互いに積層されていても良いし、基材100の第1面101に垂直な方向から見て互いに異なる領域に形成されていても良い。
以上、本実施形態において、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
(実施例1)
図5は、実施例1に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は実施形態における図1に相当する。本実施例に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて実施形態に係る発光装置10と同じである。
本実施例において、第1層170は基材100と接着層184の間に形成されており、本図の例において、第1層170は基材100および接着層184に接している。
本実施例の発光装置10の製造方法について説明する。まず、基材100に発光部140を形成するまでは実施形態と同様に行える。次いで発光部140の上に第1層170を形成する。第1層170は実施形態で説明したのと同様に、たとえばインクジェット法、スピンコート法等の塗布法や、蒸着法で成膜できる。次いで、封止板180を接着層184で第1層170の上に固定する。
なお、封止板180の少なくともいずれかの主面には実施形態のように第1層170がさらに形成されていても良い。
以上、本実施例においても、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
(実施例2)
図6は、実施例2に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は実施形態における図1に相当する。本実施例に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて実施形態および実施例1の少なくともいずれかに係る発光装置10と同じである。
本実施例において、接着層184、および封止板180の少なくともいずれかが、第1層170である。本図では、接着層184が第1層170である例を示している。
本実施例において、封止板180および接着層184の少なくとも一方が第1層170である場合、封止板180または接着層184を形成する樹脂材料に波長変換材料を混合することで第1層170として機能させることができる。
すなわち、封止板180が第1層170である場合、樹脂材料と波長変換材料を混合し、成形することで封止板180を得る。そして、その封止板180を用いて発光部140を封止する。また、接着層184が第1層170である場合、封止板180と発光部140との間を、波長変換材料を混合したエポキシ樹脂等で接着する。
以上、本実施例においても、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
くわえて、本実施例の発光装置10において、封止板180および接着層184の少なくとも一方が第1層170である。したがって、別途の第1層170を設ける必要が無いため、製造効率を高めることができる。
(実施例3)
図7は、実施例3に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は実施形態における図1に相当する。本実施例に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて実施形態に係る発光装置10と同じである。
本実施例において、封止部18は、保護樹脂層188を含む。保護樹脂層188は、発光部140を覆い、封止機能を有する樹脂層である。また、保護樹脂層188は、波長変換材料を含み、第1層170として機能する。保護樹脂層188はたとえばアクリル樹脂、シリコン樹脂、およびエポキシ樹脂からなる群から選択される一以上の樹脂を含む。そして、保護樹脂層188は、樹脂、波長変換材料、および必要に応じて他の添加物を混合して得られる樹脂組成物を用いて形成される。具体的にはたとえば、発光部140を覆うように設けた金型と、発光部140との間の空間に樹脂組成物を充填して固化または硬化させることにより、保護樹脂層188を形成できる。または、板状に成形した上記の樹脂組成物を軟化させ、発光部140に押しつけた状態で固化または硬化させることにより保護樹脂層188を形成しても良い。
以上、本実施例においても、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
(実施例4)
図8は、実施例4に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は実施形態における図1に相当する。本実施例に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて実施形態、および実施例1〜実施例3の少なくともいずれかに係る発光装置10と同じである。
本実施例の封止部18は、第1層170および無機膜182を含む。無機膜182はたとえば封止膜である。
無機膜182は、発光部140を覆うよう形成されている。発光部140は無機膜182と基材100との間に位置する。本図に示す例において無機膜182は、基材100の第1面101に垂直な方向から見て第1領域102、第2領域104、および第3領域106の全体を覆っている。
無機膜182としては、例えば、SiN、SiON、Al、TiOなどの無機バリア膜や、それらを含むバリア積層膜、またはそれらの混合膜を用いることができる。これらは、例えば、スパッタリング法、CVD法、ALD法、EB蒸着法などの真空成膜法で形成することができる。
図8の例において、第1層170は、基材100と無機膜182との間に位置する。この場合、大気や水分により劣化しうる波長変換材料を用いても、無機膜182により劣化が抑制される。ただし、本例に限定されず、第1層170と基材100との間に無機膜182が位置していてもよい。
また、無機膜182が第1層170を兼ねていても良い。この場合、SiO、SiO、TiO、Al等の無機絶縁材料と、波長変換材料とを共蒸着等することで無機膜182を形成できる。具体的には無機絶縁材料はEB蒸着法等により、波長変換材料は抵抗加熱蒸着法等により蒸着できる。
なお、本実施例において、発光装置10は、無機膜182に加えて、封止板180および接着層184をさらに備えても良い。また、発光装置10は、無機膜182に加えて、保護樹脂層188をさらに備えても良い。また、発光装置10は、積層された複数の無機膜182を備えていても良い。
以上、本実施例においても、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
(実施例5)
図9は、実施例5に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は実施形態における図1に相当する。本実施例に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて実施形態、および実施例1〜実施例4の少なくともいずれかに係る発光装置10と同じである。
本実施例において、封止部18は中空封止構造を構成している。すなわち、封止板180と基材100との間には密閉された空洞がある。なお、この空洞内は減圧されていても良いし、不活性ガスが充填されていても良い。
本実施例において、封止部18は基材100の第1面101に垂直な方向から見て枠状の側面部材(図10の側面部材186に相当)を備えている。そして、側面部材の一方の端部は、封止板180の外周と一体に接合されている。したがって、封止板180と側面部材とで、中央に凹部を設けた形状が構成されている。側面部材も封止板180と同様にガラス又は樹脂を用いて形成されており、側面部材の封止板180と反対側の端部は基材100に対して接着剤等で固定されている。そうすることで、発光部140を、封止板180、側面部材、および基材100で囲われた空間内に封止することができる。
図9では、第1層170が基材100に対して形成されている。そして、第1層170が基材100と封止部18との間に位置している。そうすることで、基材100の表面側で反射された光が空洞内に至る前に、効率良く波長変換をすることができる。なお、本図の例に限定されず、第1層170は、封止板180の少なくとも一方の主面に形成されていても良い。
なお、本実施例において、発光装置10は、無機膜182をさらに備えても良い。
以上、本実施例においても、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
(実施例6)
図10は、実施例6に係る発光装置10の構成を示す断面図である。図11は図10に示した発光装置10の平面図である。ただし、図11において一部の部材は省略されており、有機層120および封止部18の外形が破線で示されている。図10は図11のC−C断面に対応している。本実施例に係る発光装置10は、実施形態および実施例1〜実施例5の少なくともいずれかに係る発光装置10と同様の構成を有している。図1、および図5〜図9は図11のA−A断面図に対応する。
図10では、実施例5のように封止部18が中空封止構造を構成している例を示している。ただし本図では、第1層170が封止板180の発光部140側の面に形成されている例を示している。すなわち封止部18は、封止板180、第1層170、側面部材186を含む。側面部材186は、基材100の第1面101に垂直な方向から見て枠状の部材である。封止部18において、側面部材186の一方の端部は、封止板180の外周と一体に接合されている。そして、封止板180と側面部材186とで、中央に凹部を設けた形状を構成している。側面部材186も封止板180と同様にガラス又は樹脂を用いて形成されており、側面部材186の封止板180と反対側の端部は基材100に対して接着剤等で固定されている。そうすることで、発光部140を、封止板180、側面部材186、および基材100で囲われた空間内に封止することができる。
また、発光装置10は、第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134を備えている。第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134は、いずれも基材100のうち発光部140と同一面に形成されている。第1端子112及び第2端子132は封止部18の外部に位置している。第1引出配線114は第1端子112と第1電極110とを接続しており、第2引出配線134は第2端子132と第2電極130とを接続している。言い換えると、第1引出配線114及び第2引出配線134は、いずれも封止板180の内側から外側に延在している。
第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134は、例えば、第1電極110と同一の材料で形成された層を有している。また、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134の少なくとも一つの少なくとも一部は、この層の上に、第1電極110よりも低抵抗な金属膜を有していてもよい。この金属膜は、例えばMo又はMo合金などの第1金属層、Al又はAl合金などの第2金属層、及びMo又はMo合金などの第3金属層をこの順に積層させた構成を有している。なお、この金属膜は、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134のすべてに形成されている必要はない。
第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134のうち第1電極110と同一の材料で形成された層は、第1電極110と同一工程で形成されている。このため、第1電極110は、第1端子112の少なくとも一部の層と一体になっている。またこれらが金属膜を有している場合、この金属膜は、例えばスパッタリング法などによる成膜およびエッチング等によるパターニングを行って形成される。この場合、第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134の光線透過率は、基材100の光線透過率よりも低くなる。
本図に示す例において、第1引出配線114及び第2引出配線134は一つの発光部140について一つずつ形成されている。複数の第1引出配線114はいずれも同一の第1端子112に接続しており、複数の第2引出配線134はいずれも同一の第2端子132に接続している。そして、第1端子112には、ボンディングワイヤ又はリード端子などの導電部材を介して制御回路の正極端子が接続され、第2端子132には、ボンディングワイヤ又はリード端子などの導電部材を介して制御回路の負極端子が接続される。ただし、発光装置10は複数の第2端子132を備え、第2引出配線134がそれぞれ異なる第2端子132に接続されていても良い。
以上、本実施例においても、発光装置10は発光部140が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層170を備える。したがって、基材100のおもて面側で反射されて発光装置10の裏面側へ出射される可視光を低減できる。また、発光装置10の温度上昇を抑えるとともに、発光装置10の高い光透過性を維持することもできる。
(実施例7)
図12は、実施例7に係る移動体22を示す図である。本図に示す例において、移動体22は、ボディ260及び発光システム20を備えている。発光システム20は、ボディ260に保持されている。本図に示す例において、移動体22は、自動車であり、ボディ260は、車体である。移動体22は、路面RS上を移動している。なお、移動体22は、列車、船舶又は飛行機であってもよい。移動体22が列車である場合、ボディ260は車体である。移動体22が船舶である場合、ボディ260は船体である。移動体22が飛行機である場合、ボディ260は胴体である。
発光システム20は、発光装置10、基体200及び枠体250を備えている。
本実施例に係る発光装置10は、実施形態および実施例1から実施例6の少なくともいずれかに係る発光装置10と同様である。発光装置10は、基体200上に搭載されている。具体的には、基体200は、第1面202及び第2面204を有している。第2面204は、第1面202とは反対側の面である。発光装置10は、基材100の第1面101とは反対側の面が基体200の第1面202と対向するように基体200の第1面202上に搭載されている。なお、本図では、説明のため、第1電極110、有機層120、第2電極130、絶縁膜150、第1層170および封止部18を図示していない。
基体200は、透光性を有している。このため、発光部140からの光は、基体200を透過することができ、具体的には、基体200の第1面202から基体200に入射し、基体200の第2面204を介して基体200の外側へ出射される。
基体200は、枠体250によって保持されている。ボディ260の一部は、枠体250として機能している。本図に示す例において、基体200は、枠体250によって支持されており、リアウインドウとして機能している。より具体的には、基体200は、第2面204が路面RS(言い換えると、移動体22の移動方向)に対して斜め上を向くように、枠体250によって支持されている。人間の視覚では、第1面202側から第2面204側の物体が透けて見える。したがって、移動体22の乗客、特に運転・操舵・操縦者から移動体22外への視認性を妨げることなく発光システム20を設置することができる。
なお、発光装置10は、基体200の第2面204上に搭載されていてもよい。より具体的には、発光装置10は、基材100の第1面101が発光部140を介して基体200の第2面204と対向するように基体200の第2面204上に搭載されていてもよい。
また、発光部140は、基体200の第1面202上に直接形成されていてもよい。言い換えると、基体200が基材100として機能していてもよい。
本図に示す例において、発光部140は、日本国道路運送車両の保安基準第39条の2に定める「補助制動灯」(言い換えると、ハイマウントストップランプ(HMSL)又はブレーキランプ)の一部を構成している。発光部140(具体的には、発光部140の中心)は、路面RSから例えば1m以上2m20cm以下の高さhLにある。
上記の実施形態及び実施例では、ボトムエミッション型の発光装置の例を示したが、それに限定されない。たとえば発光装置はトップエミッション型でもよい。発光装置がトップエミッション型である場合、第1層170はたとえば発光部140と基材100との間に設けられればよい。
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上述の実施形態および各実施例は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
透光性を有する基材及び透光性を有する封止部の間に位置する複数の発光部と、
互いに隣り合う前記発光部の間に位置する透光部と、
前記発光部が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層と、を備え、
前記第1層は、前記封止部の一部である、または、前記基材と前記封止部との間に位置する発光装置。
2.
1.に記載の発光装置において、
前記発光部は、透光性の第1電極、有機層、および遮光性の第2電極がこの順に積層された積層構造からなり、
前記第1電極は、前記基材と前記第2電極との間に位置する発光装置。
3.
1.または2.に記載の発光装置において、
前記発光部は可視光を発し、
前記材料は、前記発光部が発する可視光の少なくとも一部を赤外光に変換して放出する発光装置。
4.
3.に記載の発光装置において、
前記材料は、前記発光部が発する光を吸収し、赤外光に変換して放出する蛍光材料を含む発光装置。
5.
4.に記載の発光装置において、
前記第1層は、前記蛍光材料が分散された樹脂層である発光装置。
6.
1.〜5.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向から見て、前記第1層は、少なくとも前記透光部に重なる領域に位置する発光装置。
7.
1.〜5.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記複数の発光部は第1発光部を含み、
前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向から見て、前記第1層は、少なくとも前記第1発光部に重なる領域に位置し、前記第1発光部と隣り合う前記透光部に重なる領域に位置しない発光装置。
8.
1.〜7.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記第1層は、前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向において、前記発光部を基準に、前記基材とは反対側に位置する発光装置。
9.
1.〜8.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記封止部は、前記第1層および無機膜を含み、
前記第1層は、前記基材と前記無機膜との間に位置する発光装置。
10.
1.〜8.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記封止部は、前記基材側から、接着層および封止板がこの順に積層された積層構造を含む発光装置。
11.
1.〜8.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記封止部は中空封止構造を構成している発光装置。
12.
1.〜11.のいずれか一つに記載の発光装置において、
前記発光部は、第1波長にピークを有する光を発し、
前記第1層は、前記ピークにおけるピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内に励起ピークを有する発光装置。
13.
12.に記載の発光装置において、
前記ピークは前記発光部の発光の最大ピークである発光装置。
10 発光装置
18 封止部
100 基材
101 第1面
102 第1領域
104 第2領域
106 第3領域
110 第1電極
112 第1端子
114 第1引出配線
120 有機層
130 第2電極
132 第2端子
134 第2引出配線
140 発光部
150 絶縁膜
170 第1層
180 封止板
182 無機膜
184 接着層
186 側面部材
188 保護樹脂層
20 発光システム
22 移動体
200 基体
202 第1面
204 第2面
250 枠体
260 ボディ

Claims (14)

  1. 透光性を有する基材及び透光性を有する封止部の間に位置する複数の発光部と、
    互いに隣り合う前記発光部の間に位置する透光部と、
    前記発光部が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層と、を備え、
    前記第1層は、前記封止部の一部であ、または、前記基材と前記封止部との間に位置し、
    前記複数の発光部は第1発光部を含み、
    前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向から見て、前記第1層は、少なくとも前記第1発光部に重なる領域に位置し、前記第1発光部と隣り合う前記透光部に重なる領域に位置しない
    発光装置。
  2. 請求項1に記載の発光装置において、
    前記発光部は、第1波長にピークを有する光を発し、
    前記第1層は、前記ピークにおけるピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内に励起ピークを有する発光装置。
  3. 請求項2に記載の発光装置において、
    前記ピークは前記発光部の発光の最大ピークである発光装置
  4. 透光性を有する基材及び透光性を有する封止部の間に位置する複数の発光部と、
    互いに隣り合う前記発光部の間に位置する透光部と、
    前記発光部が発光する光を可視光以外の光に変換する材料を含む第1層と、を備え、
    前記第1層は、前記封止部の一部であり、または、前記基材と前記封止部との間に位置し、
    前記発光部は第1波長に発光スペクトルの最大ピークを有する光を発し、
    前記第1層は、可視光のうち、前記第1波長より50nm短い波長以上、前記第1波長より50nm長い波長以下の波長帯の波長の光の透過率よりも、当該波長帯以外の波長の光の透過率が高い層である
    発光装置。
  5. 請求項4に記載の発光装置において、
    前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向から見て、前記第1層は、少なくとも前記透光部に重なる領域に位置する発光装置。
  6. 請求項4に記載の発光装置において、
    前記複数の発光部は第1発光部を含み、
    前記基材の前記発光部が設けられた第1面に垂直な方向から見て、前記第1層は、少なくとも前記第1発光部に重なる領域に位置し、前記第1発光部と隣り合う前記透光部に重なる領域に位置しない発光装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記第1層は、前記最大ピークにおけるピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内に励起ピークを有する発光装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記発光部は、透光性の第1電極、有機層、および遮光性の第2電極がこの順に積層された積層構造からなり、
    前記第1電極は、前記基材と前記第2電極との間に位置する発光装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記発光部は可視光を発し、
    前記材料は、前記発光部が発する可視光の少なくとも一部を赤外光に変換して放出する発光装置。
  10. 請求項に記載の発光装置において、
    前記材料は、前記発光部が発する光を吸収し、赤外光に変換して放出する蛍光材料を含む発光装置。
  11. 請求項10に記載の発光装置において、
    前記第1層は、前記蛍光材料が分散された樹脂層である発光装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記封止部は、前記第1層および無機膜を含み、
    前記第1層は、前記基材と前記無機膜との間に位置する発光装置。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記封止部は、前記基材側から、接着層および封止板がこの順に積層された積層構造を含む発光装置。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光装置において、
    前記封止部は中空封止構造を構成している発光装置。
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