JP2014236676A - チョコレートカステラ及びその製造法 - Google Patents

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慎二郎 白井
Shinjiro Shirai
慎二郎 白井
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Abstract

【課題】カステラの風味差別化に貢献できる本格的なチョコレート風味のチョコレートカステラを、とくに付加的な器具を用いることなく提供する。【解決手段】砂糖と卵を比重0.44以下に起泡させ、これに小麦粉を加え、さらにガナッシュ状のチョコレートを混合して得られる生地を焼成することにより、チョコレートカステラを得る。【選択図】なし

Description

本発明は、チョコレートを混合した生地を焼成したチョコレートカステラおよびその製造法に関する。
カステラは、ポルトガルから伝わったカステイリヤをもとに、日本で独自に発展した伝統的な焼成菓子であり、古くから製造され親しまれている。
カステラは、砂糖、小麦粉、卵を主原料とし、砂糖を小麦粉の2倍以上使用した生地を木枠と呼ばれる特殊な型に充填して焼成し、焼きあがった生地表面に、液体油をしみこませた渋紙を乗せて艶をださせ、一口サイズないし長方形の棹状にカットした伝統的なものである。なお、焼成前にカステラ生地ないし、木枠の底面にザラメ糖をまぶすことも広く行われている。
しかし、カステラは、伝統的な菓子であるが故、風味や食感の差別化が難しいという問題があるように思われる。カステラ生地に、抹茶やココアパウダーを混ぜて風味の差別化を図ったものも一部に存在するが、斬新なものではない。
カカオマスやチョコレートを使用したチョコレートカステラも存在するが、本格的なチョコレート風味を付与するには至っていない。それは、カカオマスやチョコレートを使用すると、どうしても生地中の気泡が消失してしまい、使用量がごく少量に限られれるためと推定される。
特許文献1は、風味、外観の点において従来のカステラと異なるココナツ風味の純白中国カステラを提案している。しかし、チョコレートカステラに関する技術ではなく、チョコレートの場合における消泡の問題の開示もない。
なお、本発明と特に関連する技術ではないが、カステラの製造において、焼成中に「泡切り」と呼ばれる手間のかかる作業を行う必要があり、これを省略する方法として、特許文献2は、気泡の大きさを整える整泡工程を備えることを、特許文献3は、生地に起泡性乳化油脂添加することを提案している。
特開平09−154473号公報 特開平11−46670号公報 特開2012−135260号公報
本発明は、カステラの風味差別化に貢献できる本格的なチョコレート風味のチョコレートカステラを提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ガナッシュ状にしたチョコレートを混合した生地を用いることにより、とくに付加的な器具を用いることなく、本格的なチョコレート風味を有するカステラを得ることができるとの知見を得、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、1)小麦粉100重量部に対して砂糖200〜250重量部、卵220〜250重量部、及びチョコレート50〜60重量部を配合することを特徴とする生地を焼成したチョコレートカステラ。2)砂糖と卵を比重0.44以下に起泡させ、これに小麦粉を加え、さらにガナッシュ状のチョコレートを混合して得られる生地を焼成する1記載のチョコレートカステラの製造法。3)起泡させた砂糖と卵の比重が0.41〜0.44である2記載の製造法。4)焼成する生地が比重0.56〜0.62である2記載の製造法。5)チョコレートのカカオ分が55〜62重量%である請求項2記載のチョコレートカステラの製造法。を骨子とする。
本発明に従えば、付加的な器具を使う必要がなく、また製造工程においても新たな工程も特殊な器具や材料を使う必要もなく、きわめて平易な方法にて、本格的なチョコレート風味を有するチョコレートカステラを製造することが可能となる。また本発明によれば、風味に差別化を持たせることが難しいカステラのような製品においては大きなアピール力を発揮できる利点を有する。
本発明のカステラは、小麦粉100重量部に対して砂糖200〜250重量部、卵220〜250重量部、及びチョコレート50〜60重量部を配合したカステラ生地を木枠に充填し焼成して得られる。
砂糖の量は、小麦粉100重量部に対し200〜250重量部が適当である。200重量部より少ないと甘味が不足し、食感のしとり感が失われるなどカステラらしさに乏しいものとなる。また、250重量部を超えると甘味が強すぎる他、火抜けが悪くなり生地の食感がねたつくという問題がある。卵は、小麦粉100重量部に対し卵黄と卵白を合計220〜250重量部配合するのが適当である。この範囲を外れるとカステラらしさに乏しいものとなってしまう。卵の量が少ないと比重が重くなり食感が重くなりやすい。一方卵が多くなりすぎると生地が浮きすぎて、焼成後に生地が落ちて目が詰まってしまう。チョコレートは、本格的なチョコレートカステラを得るためには、小麦粉100重量部に対し50〜60重量部を配合するのが適当である。50重量部より少ないとチョコレートの風味に乏しく、60重量部を超えると消泡が著しく起こり生地の浮きに乏しいものとなってしまう。
焼成するカステラ生地は大きく分けて共立て法と別立て法の2通りの製造方法があるが、本発明はいずれの方法にも適用できる。すなわち、共立て法は、卵黄と卵白を合わせた全卵と砂糖を混ぜ合わせて起泡し、小麦粉、水あめ、蜂蜜等の材料を混合する方法であり、別立て法は、卵黄と砂糖を起泡し、小麦粉、水あめ、蜂蜜等の材料を混合して、卵白と砂糖を混ぜ合わせて起泡したメレンゲを混ぜ合わせる方法であるが、いずれの場合も、小麦粉を混合した後にチョコレートを混合することができる。
ここで、チョコレートは、加熱しガナッシュ状にしたチョコレートを用いる必要がある。単に細かく刻んだチョコレート或いは熱で融解したチョコレートを用いるのでは生地の起泡が消失して焼成しても浮きが無くカステラとは呼べない商品価値のないものになってしまう。ガナッシュ状のチョコレートは、チョコレートと水や牛乳、クリームなど水系のものを加熱混合し撹拌することによって得ることができる。ガナッシュ状のチョコレートは、加熱したものを用いるのが好ましく、前記のようにチョコレートと水や牛乳など水系のものを加熱混合したものは冷却せずに用いるとよい。また、チョコレートが混合される生地は、35℃程度に加温されることが好ましい。温度が低すぎると分散性が悪く生地の流動性が悪くなったり、ガナッシュのだまができるといった問題が生じやすい。
得られたカステラ生地を焼成することにより、本格的なチョコレート風味を有するチョコレートカステラを製造することが可能となる。以下、一般的なカステラの製造例(共立て法)に沿って本発明をより具体的に説明する。
先ず、卵黄と卵白を合わせた全卵と砂糖を混ぜ合わせて35℃〜40℃に温めたのちミキサー等を用いて比重0.44以下になるまで起泡させ、ねき水といわれる温めた水、水あめ、蜂蜜の混合物を起泡した生地に加える。前記した比重を0.44以下にしておかないと後述するようにチョコレートを混合する工程における消泡により生地の比重が大きくなり、最適な生地比重を得ることが難しくなり、結果的に焼成後のチョコレートカステラの浮きを小さくしてしまいやすい。チョコレートは、必ずしも「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」の規格上のチョコレートである必要はないが、規格上のチョコレートが風味の点において好ましく、カカオ分が55〜62重量%のものがより好ましい。
ねき水を加えた後、ゴムベラやハンドホイッパーを使用して、薄力粉をしっかりと混合する。粉が見えなくなるまで混合した後、これに、別途用意しておいた加熱されたガナッシュ状のチョコレートを加えて撹拌する。撹拌は、手などでゆるやかに行うとよいが、撹拌とともに消泡して比重が大きくなるので適当なところで撹拌を止める。生地の比重は、0.56〜0.62程度が適当である。ガナッシュ状のチョコレートは、湯煎等によって加熱融解したチョコレートに加熱した牛乳や水を混合し撹拌することによって得ることができる。加える際のガナッシュ状のチョコレートの温度は、40℃〜60℃が好ましい。
生地は、細かいメッシュを通して気泡を均一化させ、木枠に充填し、上火200℃〜210℃、下火140℃〜150℃で焼成を開始する。焼成開始後10分以内の間に、泡切りを3〜4回行い、生地全体の泡の均一化及び温度の均一化を行う。焼成開始15分〜20分後に表面の焼き色がついたら、中枠、灰枠、灰鉄板を木枠の上に乗せる。生地が本枠まで浮いてきたら、木枠を180℃回転させる。焼成開始45〜50分後に灰枠を持ち上げ、冷気を入れて熱気を出すガス抜きと呼ばれる工程を行い浮きを安定させて表面を平らにする。ガス抜きから10〜15分後に窯から出し、生地を木枠からはがし、焼きあがった生地の表面に油を塗った渋紙を張り付け、表面に艶を出す。
以上のようにして得られた本発明のチョコレートカステラは、従来にない全く新規な、本格的なチョコレート風味のカステラである。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
<実施例1>(カステラ生地に、チョコレートと牛乳を混合加熱したガナッシュを添加した例)
全卵2040部と卵黄160部に上白糖1375部とグラニュー糖250部を投入し湯煎にて35℃まで温めた後に、15コートミキサーでホイップを開始した。ホイップ開始から5分後に米飴260部と水あめ180部を80℃まで加熱し、上記生地に投入し、比重0.42までホイップを続けた。その後薄力粉1000部を上記生地に投入し、ハンドホイッパーを用いて縦に切るように撹拌した。撹拌後カカオ分55%のチョコレート550部を湯煎で溶かし、80℃まで加熱した牛乳150部を湯煎で溶かしたチョコレートに加えて作製した水中油型の乳化物を上記生地に加え、比重0.58になるまで手で撹拌した。
その後、上記生地を細かいメッシュに通し、生地を均一化させた後、木枠に流し上火210℃、下火120℃の窯(「南蛮バッケン」、七洋製作所製)で焼成を開始した。開始後10分以内の間に、泡切りを3〜4回行い、生地全体の泡の均一化及び温度の均一化を行った。焼成開始20分後に表面の焼き色がついたら、中枠、灰枠、灰鉄板を木枠の上に乗せ、生地が本枠まで浮いてきたら、木枠を180℃回転させた。焼成開始45分後に灰枠を持ち上げ、冷気を入れて熱気を出すガス抜きと呼ばれる工程を行い浮きを安定させて表面を平らにした。焼成開始65分後に窯から出し、生地を木枠からはがし、焼きあがった生地の表面に油を塗った渋紙を張り付け、表面に艶を出した。
<比較例1>(カステラ生地にチョコレートを添加した例)
実施例1の製法にて薄力粉を添加後、50℃の湯煎で溶かした55%のチョコレートを生地に直接添加したが泡が消泡し比重が0.8まで重くなってしまった。この生地を実施例1と同様の方法で焼成した。比重が重いため、生地が浮かず目の詰まった生地になった。
<比較例2>
実施例1の製法にて卵と砂糖の起泡が比重0.45よりも重い場合、チョコレートと牛乳を混合加熱したガナッシュを添加した後、比重が0.63よりも重くなってしまった。この生地を実施例1と同様の方法で焼成した。比重が重いため、生地が浮かずに目の詰まった生地になった。

Claims (5)

  1. 小麦粉100重量部に対して砂糖200〜250重量部、卵220〜250重量部、及びチョコレート50〜60重量部を配合することを特徴とする生地を焼成したチョコレートカステラ。
  2. 砂糖と卵を比重0.44以下に起泡させ、これに小麦粉を加え、さらにガナッシュ状のチョコレートを混合して得られる生地を焼成する請求項1記載のチョコレートカステラの製造法。
  3. 起泡させた砂糖と卵の比重が0.41〜0.44である請求項2記載の製造法。
  4. 焼成する生地が比重0.56〜0.62である請求項2記載の製造法。
  5. チョコレートのカカオ分が55〜62重量%である請求項2記載のチョコレートカステラの製造法。
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