JP2014234576A - ポリエーテルイミド繊維の染色方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエーテルイミド繊維の染色において、染色時の繊維物性低下を解消しつつ、ポリエーテルイミド繊維を鮮明・濃色に染めることのできる染色方法の提供。【解決手段】ポリエーテルイミド繊維を、その添加量が1〜60%owfの範囲内にあるベンジルアルコール系化合物を単独で、またはベンジルアルコール系化合物と他のキャリアの重量比率が100:0〜20:80で併用した分散染料を含有する染色液にて染色を行い、さらに還元洗浄する。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエーテルイミド繊維の染色方法に関するものである。
ポリエーテルイミド繊維は、耐熱性、難燃性に優れる繊維であり、産業資材分野、電気電子分野、農業資材分野、アパレル分野、光学材料分野、航空機・自動車・船舶分野などをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用されている。
ポリエーテルイミド繊維は、耐熱性、難燃性に優れる繊維であり、産業資材分野、電気電子分野、農業資材分野、アパレル分野、光学材料分野、航空機・自動車・船舶分野などをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用されている。
ポリエーテルイミド繊維に限らず多くの高機能合成繊維は、アパレル分野を中心に多くの用途で着色された状態で使用されており、着色した繊維はあらかじめ顔料などを添加した紡糸原液から繊維を形成することにより製造されているが、色相が限定されるなどの問題点を有する。その中で、ポリエーテルイミド繊維は、一部の染料を用いることにより染色することが可能ではあるが、使用できる染料が限定されるほか、鮮明色や濃色に染色することが困難であることなどが、アパレル分野での展開の阻害要因となっている。
濃色染色の手法として、キャリアを使用することにより鮮明色や濃色を得る可能性が期待されるが、キャリアを使用する際には繊維の物性低下が懸念される他、環境汚染への配慮からキャリアの使用自体が加工場等で敬遠されるなどの問題点を有する。特許文献1には、染色温度を下げ、あるいはより濃色に染色するためにキャリアを併用する方法は、染色されたポリエーテルイミド繊維が非常に硬くなるうえに脆くなるので適用できないことを開示している。
特許文献2において、イミド繊維を、分散染料を含む染色液にて処理する染色方法において、前記染色液に、フタル酸イミド系化合物をキャリアとして添加することを特徴とするポリエーテルイミド繊維の染色方法を見出したが、他のキャリアに比べて物性低下が抑えられるものの充分ではなかった。
特許文献2において、イミド繊維を、分散染料を含む染色液にて処理する染色方法において、前記染色液に、フタル酸イミド系化合物をキャリアとして添加することを特徴とするポリエーテルイミド繊維の染色方法を見出したが、他のキャリアに比べて物性低下が抑えられるものの充分ではなかった。
本発明の目的は、上記従来技術において問題点とされていた染色時の繊維物性低下を解消しつつ、ポリエーテルイミド繊維を鮮明・濃色に染めることのできる染色方法を提供することである。また、該染色方法により染色されたポリエーテルイミド繊維およびその繊維構造物を提供することである。
本発明者らが上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリエーテルイミド繊維を、キャリアとしてベンジルアルコール系化合物を単独で使用して、またはベンジルアルコール系化合物と他のキャリアとを併用して染色することにより、従来のキャリア使用時に発生していた繊維物性低下を抑制しつつ、鮮明・濃色に染色できることを見出し、本発明に到達した。なお、本発明において、キャリアとは繊維の染料吸収性を高めるために染浴に添加されるもので、染料が繊維中に拡散する効果を有する染色助剤を意味している。
本発明第1の構成は、ポリエーテルイミド繊維を、分散染料を含む染色液にて処理する染色方法において、前記染色液に、キャリアとしてベンジルアルコール系化合物を単独で使用して、またはベンジルアルコール系化合物と他のキャリアとを併用して添加することを特徴とするポリエーテルイミド繊維の染色方法である。
上記第1の構成において、ベンジルアルコール系化合物の添加量が1〜60%owfの範囲内にあることが好ましい。
上記第1の構成において、キャリアとして、ベンジルアルコール系化合物と他のキャリアを併用する染色方法であって、ベンジルアルコール系化合物と他のキャリアの重量比率が100:0〜20:80であることが好ましい。
本発明第2の構成は、上記の染色方法により染色されたポリエーテルイミド繊維または繊維構造物である。
本発明の染色方法によれば、キャリア使用により発生していた繊維物性低下を抑制しつつ、幅広い種類の分散染料を選択可能であるため、多種多様な色へと染色することができる。これにより原液着色や限られた一部の分散染料でしか着色することが出来なかったポリエーテルイミド繊維を多種多様な色へと染色することができ、アパレル分野をはじめとするファッション性を重視する分野への展開を可能とする。
(ポリエーテルイミド繊維)
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエーテルイミド繊維とは、下記式で表される構造単位を主として有する、2,2‐ビス[4‐(2,3‐ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン2無水物とm‐フェニレンジアミンとの重縮合物により得られるポリエーテルイミド系ポリマーであり、商標名「ウルテム」としてサービクイノベイティブプラスチックス(Sabic Innovative Plastics)社より市販されている非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーを繊維化することにより得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエーテルイミド繊維とは、下記式で表される構造単位を主として有する、2,2‐ビス[4‐(2,3‐ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン2無水物とm‐フェニレンジアミンとの重縮合物により得られるポリエーテルイミド系ポリマーであり、商標名「ウルテム」としてサービクイノベイティブプラスチックス(Sabic Innovative Plastics)社より市販されている非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーを繊維化することにより得ることができる。
本発明で使用されるポリエーテルイミド繊維の製造方法に関して特に限定されるものではないが、例えば非晶性ポリエーテルイミド系ポリマー、好ましくは、繊維形成性に優れた分子量分布(Mw/Mn)が2.5未満の非晶性ポリエーテルイミド系ポリマーを390℃で溶融させ、丸孔ノズルより吐出し、2000m/分にて巻き取ることにより得られる。なお、前記のMw/Mnにおいて、Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。
得られたポリエーテルイミド繊維は、単繊維繊度が通常3dtex以下であり、好ましくは、0.1〜2.6dtexの範囲であり、引張強度2cN/dtex以上を有し、200℃における乾熱収縮率は5%以下であるので、耐熱性が優れている。また、耐酸性、耐アルカリ性などの化学的性質も優れている。なお、本発明において、ポリエーテルイミド繊維のフィラメント数、断面形状、ポリマー中への添加剤の有無、繊維物性などについては、なんら制限を受けるものではない。
(染色液)
上記のポリエーテルイミド繊維を染色するための染色液は、分散染料、該染料を水に分散溶解させるための染料分散剤を含む染色液に本発明で使用されるキャリアを添加し、さらに定法により必要に応じてpH調整剤等を加えて構成される。
上記のポリエーテルイミド繊維を染色するための染色液は、分散染料、該染料を水に分散溶解させるための染料分散剤を含む染色液に本発明で使用されるキャリアを添加し、さらに定法により必要に応じてpH調整剤等を加えて構成される。
(分散染料)
本発明において用いられる分散染料としては、通常のポリエステル繊維の染色に用いられる分散染料であればいずれの染料も使用可能であり、特に限定されるものではない。
特にポリエーテルイミド繊維に好適な分散染料としては、拡散性がよく、無機性/有機性比において無機性が高い染料であり、一般的に水酸基やハロゲンを含む染料である。ポリエーテルイミド繊維に好適な染料としては、具体的には、例えば、ダイスター社製「Dianix Yellow E‐3G」、「Dianix Red E‐FB」、「Dianix Orange 2G‐FS」、「Dianix Blue 3RSF」、「Dianix Blue S‐2G」、「Dianix Navy S‐2G」、日本化薬(株)製「Kayalon Micro Yellow AQ‐LE」、「Kayalon Micro Red AQ‐LE」、「Kayalon P Black ECX 300」などが挙げられる。上述した染料の中には特にキャリアを使用せずとも良好に繊維を染着させることができるものも存在するが、キャリアを使用した場合には濃染色ができる。また、キャリアを使用しない場合には良好に染着できない染料についても、キャリアを使用することにより良好に染色できるため、本発明において用いることができる染料は特に上記に限定されるものではない。
本発明において用いられる分散染料としては、通常のポリエステル繊維の染色に用いられる分散染料であればいずれの染料も使用可能であり、特に限定されるものではない。
特にポリエーテルイミド繊維に好適な分散染料としては、拡散性がよく、無機性/有機性比において無機性が高い染料であり、一般的に水酸基やハロゲンを含む染料である。ポリエーテルイミド繊維に好適な染料としては、具体的には、例えば、ダイスター社製「Dianix Yellow E‐3G」、「Dianix Red E‐FB」、「Dianix Orange 2G‐FS」、「Dianix Blue 3RSF」、「Dianix Blue S‐2G」、「Dianix Navy S‐2G」、日本化薬(株)製「Kayalon Micro Yellow AQ‐LE」、「Kayalon Micro Red AQ‐LE」、「Kayalon P Black ECX 300」などが挙げられる。上述した染料の中には特にキャリアを使用せずとも良好に繊維を染着させることができるものも存在するが、キャリアを使用した場合には濃染色ができる。また、キャリアを使用しない場合には良好に染着できない染料についても、キャリアを使用することにより良好に染色できるため、本発明において用いることができる染料は特に上記に限定されるものではない。
ポリエーテルイミド繊維を染色するための分散染料の使用量は、繊維重量に対して、0.5〜20%owfの範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.7〜5%owfの範囲である。0.5%owf未満であると染着性が不十分であり、20%owfを超えると染料ロスを招き好ましくない。
(キャリア)
本発明において、キャリアとしてベンジルアルコール系化合物を用いることが重要である。ベンジルアルコール系化合物としては、例えば、ベンジルアルコール、DL‐β‐エチルフェネチルアルコール、2‐エトキシベンジルアルコール、3‐クロロベンジルアルコール、2,5‐ジメチルベンジルアルコール、2‐ニトロベンジルアルコール、p‐イソプロピルベンジルアルコール、2‐メチルフェネチルアルコール、3‐メチルフェネチルアルコール、4‐メチルフェネチルアルコール、2‐メトキシベンジルアルコール、3‐ヨードベンジルアルコール、ケイ皮アルコール、p‐アニシルアルコールおよびベンズヒドロールの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。前記ベンジルアルコール系化合物は、市販のものを使用することができる。
本発明において、キャリアとしてベンジルアルコール系化合物を用いることが重要である。ベンジルアルコール系化合物としては、例えば、ベンジルアルコール、DL‐β‐エチルフェネチルアルコール、2‐エトキシベンジルアルコール、3‐クロロベンジルアルコール、2,5‐ジメチルベンジルアルコール、2‐ニトロベンジルアルコール、p‐イソプロピルベンジルアルコール、2‐メチルフェネチルアルコール、3‐メチルフェネチルアルコール、4‐メチルフェネチルアルコール、2‐メトキシベンジルアルコール、3‐ヨードベンジルアルコール、ケイ皮アルコール、p‐アニシルアルコールおよびベンズヒドロールの中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。前記ベンジルアルコール系化合物は、市販のものを使用することができる。
染浴に添加するベンジルアルコール系化合物の量は1〜60%owfが好ましく、5〜50%owfがより好ましい。ベンジルアルコール系化合物の量が1%owf未満である場合、濃色に染めることができなくなり、60%owfを超えると布帛が膠着し硬くなるため、好ましくない。
本発明において、キャリアとしてベンジルアルコール系化合物を用いるが、他のキャリアを併用してもよく、その場合にはなお濃色に染色することが可能である。他のキャリアとして、フタル酸イミド系キャリア、クロロベンゼン系キャリア、メチルナフタレン系キャリアを用いることができる。前記フタル酸イミド系は「ダイキャリアTN‐55」(大和化学工業(株)製)等として、クロロベンゼン系は「IPC‐71PキャリアC‐71」(一方社油脂工業(株)製)等として、メチルナフタレン系は「テトロシンAT‐M」(山川薬品工業(株)製)等として入手することができる。他に、紫外線吸収剤を含有するキャリアである「ブリアンFOK‐3」(松本油脂製薬(株)製)等を用いてもよい。
キャリアとしてベンジルアルコール系化合物と他のキャリアを併用する場合、染浴に添加するキャリアの総量は、1〜60%owfが好ましく、2〜50%owfがより好ましい。ベンジルアルコール系化合物と他のキャリアの重量比率は、100:0〜20:80の比率であることが、キャリアとしての効果を発揮しながら、繊維物性の低下を防ぐ観点から望ましい。
(染色条件)
本発明者らがポリエーテルイミド繊維の染色時の染色温度と繊維物性低下の関係について種々検討した結果によれば、染色温度は100〜150℃、好ましくは110〜140℃の範囲内の温度で染色を行うと、濃染色が可能となり、かつ染色による繊維物性低下が抑制されるので好ましい。染色温度が100℃よりも低いと染着性が不十分となり、150℃を超えるとキャリアによりポリエーテルイミド繊維が可塑化されて繊維物性の低下が起こりやすくなるので好ましくない。
本発明者らがポリエーテルイミド繊維の染色時の染色温度と繊維物性低下の関係について種々検討した結果によれば、染色温度は100〜150℃、好ましくは110〜140℃の範囲内の温度で染色を行うと、濃染色が可能となり、かつ染色による繊維物性低下が抑制されるので好ましい。染色温度が100℃よりも低いと染着性が不十分となり、150℃を超えるとキャリアによりポリエーテルイミド繊維が可塑化されて繊維物性の低下が起こりやすくなるので好ましくない。
本発明における染色方法においても、通常のポリエステルの染色と同様に、pH調整剤や乳化剤などの種々の染色助剤を、本発明の効果を損なわない程度に使用することができる。
本発明において、染色装置として、ウインス、ジッカー、ビーム、液流染色機などを用いることができるが、なかでも高温高圧液流染色機を使用するのが好ましい。
(染色後の処理)
染色後には、通常行われている方法により、染色処理された染色物を還元洗浄浴(苛性ソーダ等のアルカリ、ハイドロサルファイトなどの還元剤、界面活性剤等を含む水溶液)に浸漬することによる還元洗浄を行って、繊維表面に付着した染料等の不純物の除去を行って、染色されたポリエーテルイミド繊維および繊維構造物を得ることができる。
染色後には、通常行われている方法により、染色処理された染色物を還元洗浄浴(苛性ソーダ等のアルカリ、ハイドロサルファイトなどの還元剤、界面活性剤等を含む水溶液)に浸漬することによる還元洗浄を行って、繊維表面に付着した染料等の不純物の除去を行って、染色されたポリエーテルイミド繊維および繊維構造物を得ることができる。
本発明において、フタル酸イミド系、クロロベンゼン系、メチルナフタレン系など、他のキャリアをベンジルアルコール系化合物と併用してもよいことを前述した。これらのうち、クロロベンゼン系やメチルナフタレン系のキャリアについては上記還元洗浄処理では繊維中に残存したキャリアを取り除くことはできないため、別途熱処理により気化させることにより除去する必要があり、余分な工程を必要とするうえ、熱処理により気化した残存キャリアを無害化するために非常に特殊な方法を用いる必要がある。これに比し、フタル酸イミド系キャリアにおいては、繊維中に残存する余剰キャリアは還元洗浄により容易に分解、無害化することが可能であり、染色廃液中のキャリアについてもアルカリにて煮沸することにより分解、無害化されるので、環境への負荷が小さいことも、フタル酸イミド系キャリアの利点である。
(繊維構造物)
本発明において、ポリエーテルイミド繊維は、短繊維、長繊維の形態で、綿、ステープルトウ、紡績糸、フィラメント糸を含み、ポリエーテルイミド繊維単独の綿、糸条、ポリエーテルイミド繊維と他の繊維との混綿、混繊糸、混紡糸を含む。
また、本発明において、ポリエーテルイミド繊維は、織物、編み物、不織布、ロープなどの任意の繊維構造物を形成させることができるが、ポリエーテルイミド繊維を染色後、繊維構造物を形成してもよく、また、ポリエーテルイミド繊維の繊維構造物(布帛等)を形成後に染色を行ってもよい。
本発明において、ポリエーテルイミド繊維は、短繊維、長繊維の形態で、綿、ステープルトウ、紡績糸、フィラメント糸を含み、ポリエーテルイミド繊維単独の綿、糸条、ポリエーテルイミド繊維と他の繊維との混綿、混繊糸、混紡糸を含む。
また、本発明において、ポリエーテルイミド繊維は、織物、編み物、不織布、ロープなどの任意の繊維構造物を形成させることができるが、ポリエーテルイミド繊維を染色後、繊維構造物を形成してもよく、また、ポリエーテルイミド繊維の繊維構造物(布帛等)を形成後に染色を行ってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。尚、物性等の評価は下記の方法にて実施した。
(染着率)
染色前の原液及び染色後の残液をそれぞれアセトン水(アセトン/水=1/1混合溶液)で任意の同一倍率に希釈し、以下の測定器を用いて各々の吸光度を測定した後に、以下に示す式から染着率を求めた。
吸光度測定器:分光光度計 HITACHI
HITACHI Model 100‐40
Spectrophotometer
染着率=(A−B)/A×100(%)
ここで、A及びBはそれぞれ以下を示す。
A:原液(アセトン水希釈溶液)吸光度
B:染色残液(アセトン水希釈溶液)吸光度
染色前の原液及び染色後の残液をそれぞれアセトン水(アセトン/水=1/1混合溶液)で任意の同一倍率に希釈し、以下の測定器を用いて各々の吸光度を測定した後に、以下に示す式から染着率を求めた。
吸光度測定器:分光光度計 HITACHI
HITACHI Model 100‐40
Spectrophotometer
染着率=(A−B)/A×100(%)
ここで、A及びBはそれぞれ以下を示す。
A:原液(アセトン水希釈溶液)吸光度
B:染色残液(アセトン水希釈溶液)吸光度
(繊維強度)
JIS L1013試験法に準拠して、予め調湿されたヤーンを試長20cm、初荷重0.25cN/dtex及び引張速度50%/分の条件で測定し、n=20の平均値を採用した。また繊維繊度は質量法により求めた。求めた繊維強度から、染色前後の繊維強度比を算出し、これを強度保持率とした。
JIS L1013試験法に準拠して、予め調湿されたヤーンを試長20cm、初荷重0.25cN/dtex及び引張速度50%/分の条件で測定し、n=20の平均値を採用した。また繊維繊度は質量法により求めた。求めた繊維強度から、染色前後の繊維強度比を算出し、これを強度保持率とした。
<実施例1>
220dtex/100フィラメントのポリエーテルイミド繊維を、240ゲージ筒編機(丸善産業(株)製)を用いて筒編地を作製した。得られた筒編地を下記に示す染料、染料分散剤およびキャリア等を含む染色液とともに密閉可能な耐圧ステンレス容器に入れ、所定温度にて30分間染色した。染色された筒編地を、下記還元洗浄浴にて80℃で20分間還元洗浄を行い、繊維表面に付着している不純物を除去した。
220dtex/100フィラメントのポリエーテルイミド繊維を、240ゲージ筒編機(丸善産業(株)製)を用いて筒編地を作製した。得られた筒編地を下記に示す染料、染料分散剤およびキャリア等を含む染色液とともに密閉可能な耐圧ステンレス容器に入れ、所定温度にて30分間染色した。染色された筒編地を、下記還元洗浄浴にて80℃で20分間還元洗浄を行い、繊維表面に付着している不純物を除去した。
(染色液組成および液量)
ポリエーテルイミド繊維の筒編地 7g
ウルトラMTレベル[染料分散剤](日華化学(株)製) 1g/L
ディスパーTL 1g/L
Kayalon Polyester Brilliant Orange HL‐SF[染料](日本化薬(株)製) 3.0%owf
ベンジルアルコール[キャリア](東京化成工業(株)製) 29%owf(2.1mL)
全液量 210mL
染色温度 140℃
ポリエーテルイミド繊維の筒編地 7g
ウルトラMTレベル[染料分散剤](日華化学(株)製) 1g/L
ディスパーTL 1g/L
Kayalon Polyester Brilliant Orange HL‐SF[染料](日本化薬(株)製) 3.0%owf
ベンジルアルコール[キャリア](東京化成工業(株)製) 29%owf(2.1mL)
全液量 210mL
染色温度 140℃
(還元洗浄液組成)
リポトールPE[非イオン界面活性剤](日華化学(株)製) 2g/L
苛性ソーダ 2g/L
ハイドロサルファイト 2g/L
液量 200mL
リポトールPE[非イオン界面活性剤](日華化学(株)製) 2g/L
苛性ソーダ 2g/L
ハイドロサルファイト 2g/L
液量 200mL
<実施例2>
ベンジルアルコールを44%owf(3.1mL)に増やしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
ベンジルアルコールを44%owf(3.1mL)に増やしたこと以外は実施例1と同様に実施した。
<実施例3>
ベンジルアルコールを14%owf(1.0mL)に減らし、フタル酸イミド系キャリア「ダイキャリアTN‐55」を1.5%owf追加したこと以外は実施例1と同様に実施した。
ベンジルアルコールを14%owf(1.0mL)に減らし、フタル酸イミド系キャリア「ダイキャリアTN‐55」を1.5%owf追加したこと以外は実施例1と同様に実施した。
<実施例4>
ベンジルアルコールを22%owf(0.2mL)に減らし、「ダイキャリアTN‐55」を2.4%owf追加したこと以外は実施例1と同様に実施した。
ベンジルアルコールを22%owf(0.2mL)に減らし、「ダイキャリアTN‐55」を2.4%owf追加したこと以外は実施例1と同様に実施した。
<実施例5>
染色温度を135℃に変更したこと以外は実施例3と同様に実施した。
染色温度を135℃に変更したこと以外は実施例3と同様に実施した。
<実施例6>
ベンジルアルコールを15%owf(1.1mL)に減らし、紫外線吸収剤を含有するキャリア「ブリアンFOK‐3」を3%owf追加し、染色温度を135℃に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。
ベンジルアルコールを15%owf(1.1mL)に減らし、紫外線吸収剤を含有するキャリア「ブリアンFOK‐3」を3%owf追加し、染色温度を135℃に変更したこと以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例1>
ベンジルアルコールに替えて、「ダイキャリアTN‐55」のみをキャリアとして3%owf用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。
ベンジルアルコールに替えて、「ダイキャリアTN‐55」のみをキャリアとして3%owf用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例2>
ベンジルアルコールに替えて、「ブリアンFOK‐3」のみをキャリアとして5%owf用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。
ベンジルアルコールに替えて、「ブリアンFOK‐3」のみをキャリアとして5%owf用いたこと以外は実施例1と同様に実施した。
得られた筒編地の染着率および強度保持率を表1に示す。
表1からも明らかな通り、ベンジルアルコールをキャリアとして使用することにより、濃染色かつ強度保持率の高いポリエーテルイミド繊維を得ることができる。
本発明によれば、従来濃色に染色することが困難であったポリエーテルイミド繊維を多様な色彩で、鮮明濃色に染色することが可能になり、アパレル分野、産業用分野用の繊維として用途が広がることになるので、産業上の利用性が極めて高い。
以上、本発明の好ましい実施態様を例示的に説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に開示した本発明の範囲及び精神から逸脱することなく多様な修正、付加および置換ができることが理解可能であろう。
Claims (4)
- ポリエーテルイミド繊維を、分散染料を含む染色液にて処理する染色方法において、前記染色液に、キャリアとして、ベンジルアルコール系化合物を単独で、またはベンジルアルコール系化合物と他のキャリアとを併用して添加することを特徴とするポリエーテルイミド繊維の染色方法。
- ベンジルアルコール系化合物の添加量が1〜60%owfの範囲内にある請求項1に記載のポリエーテルイミド繊維の染色方法。
- キャリアとして、ベンジルアルコール系化合物と他のキャリアとを併用する染色方法であって、ベンジルアルコール系化合物と他のキャリアの重量比率が100:0〜20:80である請求項1または2に記載のポリエーテルイミド繊維の染色方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の染色方法により染色されたポリエーテルイミド繊維または繊維構造物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101667300B1 (ko) * | 2015-07-20 | 2016-10-18 | 다이텍연구원 | 폴리이미드섬유의 염색방법 |
WO2018025817A1 (ja) * | 2016-08-05 | 2018-02-08 | 株式会社クラレ | 高視認性を有する難燃布帛 |
CN112323518A (zh) * | 2020-11-16 | 2021-02-05 | 五邑大学 | 一种醋酯面料染色载体及其制备方法 |
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- 2013-06-04 JP JP2013117818A patent/JP2014234576A/ja active Pending
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