JP2014233208A - 細胞用ウェルプレートおよび細胞分泌物の分析方法 - Google Patents

細胞用ウェルプレートおよび細胞分泌物の分析方法 Download PDF

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英明 藤田
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努 升島
朋信 渡邉
Tomonobu Watanabe
朋信 渡邉
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博行 野地
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秀▲弦▼ 金
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Abstract

【課題】細胞から分泌された化学物質を1細胞レベルで定量的に分析するためのウェルプレートおよび方法等を提供すること。【解決手段】細胞を1個のみ収容可能なサイズであり、かつ、底部に配された親水性表面と、当該底部を取り囲むように配された疎水性表面とを有しているウェルが複数形成されているウェルプレートを用いる。【選択図】図2

Description

本発明は、細胞から分泌された化学物質を1細胞レベルで回収する方法および分析する方法、ならびにこれらの方法に利用されるウェルプレート、システム、およびキット等に関するものである。
一般的に、血液、尿、穿刺液、または分泌液などに含まれる化学物質を定量的に分析することによって、病態の診断、治療、および経過観察を行うことがある。例えば、酵素(AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、CK、アミラーゼなど)、脂質(コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールなど)、蛋白質(アルブミンなど)、および、老廃物(クレアチニン、尿素窒素、尿酸など)などを定量分析することによって、肝臓・胆道、腎臓、膵臓、または心臓などの機能の状態から疾患が判断される。これらの化学物質は、細胞内で産生されて細胞外へと放出され、血液、尿、穿刺液、または分泌液などに混じる。この過程において化学物質は溶液中に拡散する結果となるため、検出濃度は低い。例えば、がん細胞が分泌した腫瘍マーカーは、血液中に入ると大量の血液によって希釈されてしまう。そのため、末梢血を採取し分析しても、がん早期では、腫瘍マーカーを検出することが困難である。
また、上述の従来の方法では、化学物質は、膨大な、かつ、さまざまな種類の細胞から放出された総集合として検出される。例えば、切除された腫瘍組織検体から分泌される化学物質を調べる場合において、便宜上、細胞は均一的な集合として扱われている。そのため、上記組織検体に、わずかに悪性腫瘍細胞が含まれていたとしても、他の多くが良性腫瘍であれば、全体として良性腫瘍であると診断される。組織検体の細胞診断において、検出精度は高ければ高いほど好ましい。したがって、1細胞レベルで検出することが最も好ましいといえる。
細胞内における化学物質を1細胞レベルで定量的に分析する方法が、特許文献1および非特許文献1に記載されている。特許文献1および非特許文献1に記載されている分析方法では、エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析装置が用いられる。これらの方法では、1個の単離された細胞から、細胞内液を金属被覆されたガラスマイクロニードルによって収集し、0.5%ギ酸を含むアセトニトリル溶媒を添加し、エレクトロスプレーイオン化を行った後、電場型フーリエ変換質量分析計に導入する。これらの方法は、細胞内の物質が溶媒中に拡散することがないため、高感度で、高精度の分析を行い得る。
特開2011−120582号公報(2011年6月23日公開)
Live single-cell video-mass spectrometry for cellular and subcellular molecular detection and cell classification. Mizuno H, Tsuyama N, Harada T, Masujima T. J Mass Spectrom. 2008;43(12):1692-700.
特許文献1および非特許文献1に記載のように、細胞内における化学物質を1細胞レベルで定量的に分析する方法は存在するが、細胞から分泌された化学物質を1細胞レベルで定量的に分析する方法は存在しない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、細胞から分泌された化学物質を1細胞レベルで回収する方法および分析する方法、ならびにこれらの方法に利用されるウェルプレート、システム、およびキット等を提供することにある。
本願発明者らは、細胞ひとつひとつを微小な領域に封入することができれば、1細胞レベルで、かつ、分泌された化学物質の拡散を最小限にした、高感度で高精度の定量分析を行うことができると考えた。そして、それを可能にする方法を鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
本発明に係るウェルプレートは、ウェル形成面に複数のウェルが形成されている細胞用のウェルプレートであって、
上記ウェルは、容積が150fL以上で40pL以下の範囲内であり、かつ、細胞を1個のみ収容可能なサイズに形成されており、
上記ウェルは、底部に配された親水性表面と、当該底部を取り囲むように配された疎水性表面とを有してなり、
上記ウェル形成面は、少なくとも上記ウェルを取り囲むように疎水性表面が配されている。
本発明に係るウェルプレートの一実施形態において、上記ウェルは、直径が10μm以上で40μm以下であり、かつ、高さが2μm以上で30μm以下の円柱形である。
本発明に係るウェルプレートの他の実施形態において、上記親水性表面はガラスからなり、かつ、上記疎水性表面はフッ素樹脂からなる。
本発明に係る回収方法は、上記ウェルプレートを用いた、細胞からの分泌物の回収方法であって、疎水性液体と上記ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴から、当該親水性液体の少なくとも一部を回収する工程を含む。
本発明に係る回収方法の一実施形態は、親水性液体に細胞が懸濁されてなる細胞懸濁液を、上記ウェルプレート上に注入し、各ウェルを当該細胞懸濁液で満たす工程1と、上記工程1の後に、疎水性液体を上記ウェルプレート上に注入し、各ウェル内に、疎水性液体と当該ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴を形成させる工程2と、上記工程2から所望の時間が経過した後に、上記液滴から、上記親水性液体の少なくとも一部を回収する工程3とを含む。
本発明に係る分析方法は、上記回収方法を用いて回収した親水性液体中の成分を分析する工程を含む。
本発明に係る分析方法の一実施形態において、分析する上記工程は、細胞分泌物の成分を分析するために行われる。
本発明に係るシステムは、上記回収方法、または上記分析方法に用いるためのシステムであって、上記ウェルプレート、および、疎水性液体と上記ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴から、当該親水性液体の少なくとも一部を回収するサンプル回収装置を備えている。
本発明に係るシステムの一実施形態は、上記サンプル回収装置が回収する上記親水性液体中の成分を分析する分析装置をさらに備えている。
本発明に係るキットは、上記ウェルプレートを含んでいる。
本発明に係るキットの一実施形態は、金属被覆されたガラスマイクロニードルをさらに含んでいる。
本発明によって、細胞から分泌された化学物質を1細胞レベルで定量的に分析することが可能となった。
本発明の一実施形態に係るウェルプレートの概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る回収方法の一部の工程を説明する図である。 本発明の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。 実施例1における、ウェルからのサンプル回収中の顕微画像を示す図である。 実施例1における、細胞外および細胞内からのサンプルにおけるマススペクトルの一例を示す図である。 実施例1における、細胞外からのサンプルにおける細胞培養時間によるピークの変化を示す図である。 実施例1における、主成分分析法の結果を示す図である。 実施例1における、2つの別個のT細胞からのサンプルにおけるマススペクトルの比較を示す図である。 実施例2における、ウェルからのサンプル回収中の顕微画像を示す図である。 実施例2における、ES細胞から得られたピークとPartial−iPS細胞から得られたピークとの判別分析の結果を示す図である。 実施例3における、ウェルの直径と細胞外液に含まれる分泌物濃度との関係を示す図である。
〔1.ウェルプレート〕
本発明に係るウェルプレートは、ウェル形成面に複数のウェルが形成されている細胞用のウェルプレートであって、上記ウェルは、容積が150fL以上で40pL以下の範囲内であり、かつ、細胞を1個のみ収容可能なサイズに形成されており、上記ウェルは、底部に配された親水性表面と、当該底部を取り囲むように配された疎水性表面とを有してなり、上記ウェル形成面は、少なくとも上記ウェルを取り囲むように疎水性表面が配されている。
本発明に係るウェルプレートの一実施形態について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るウェルプレート1の概略構成を示す図であり、(A)はウェルプレート1の概略平面図であり、(B)はウェルプレート1の概略断面図である。
ウェルプレート1は、1細胞レベルで細胞分泌物を分析するために用いられる、細胞用のプレートである。ウェルプレート1の大きさは、特に限定されず、その目的に応じて適宜設計され得る。ウェルプレート1の大きさは、例えば円形であれば直径0.5cm〜2.5cm程度、四角形であれば一辺が0.5cm〜2.5cm程度とすることができる。
図1の(A)に示すように、ウェルプレート1では、ウェル形成面5に、複数のウェル2が等間隔で形成されている。各ウェル2は、同じ大きさであり、直径が10μm以上で40μm以下であり、かつ、高さが2μm以上で30μm以下の円柱形である。ウェル2の直径および高さは、分析したい細胞の大きさに合わせて、この範囲内で適宜選択すればよい。各ウェル2はこのような大きさを有しているため、各ウェル2には細胞が1個のみ収容される。なお、図1は概略図であり、実際のウェルプレート1上には、例えば、10μm〜40μmの間隔で、10000〜1000000個のウェル2が形成されている。
ウェル2は、底面(底部)3が親水性材料からなり、側面4が疎水性材料からなる。親水性材料としては、ガラス(疎水性ガラスの場合は親水化したもの)、ならびにアクリルおよび石英などの透明な素材を親水化したものが挙げられる。親水化は、例えば、エチレングリコールまたは親水シリコーンなどによればよい。疎水性材料としては、フッ素樹脂、ポリエステル、およびアクリルなどが挙げられる。
ウェル形成面5は、全体が疎水性材料からなる。疎水性材料としては、側面4の材料として列挙したものが挙げられる。
ウェルプレート1の作製方法は、特に限定されず、公知の方法を用いればよい。例えば、ウェルプレート1は、文献:Kim, S.H. et al. Large-scale femtoliter droplet array for digital counting of single biomolecules. Lab Chip 12, 4986-4991 (2012) の記載に基づいて作製することができる(後述の実施例も参照)。
本発明に係るウェルプレートの他の実施形態において、上から見た場合のウェルの形状は、円形でなくてもよく、例えば、楕円形、または方形等であってもよいが、単離細胞は一般的に球状であるため、円形であることが好ましい。また、ウェルの底部は平面でなくてもよく、例えば、半球形に窪んでいてもよい。ウェルプレートの作製の容易性の観点からは、ウェルの底部は平面であることが好ましい。さらに、ウェル全体の形状は、円柱形でなくてもよく、凹型の分割球(半球など;球を平面で分割した形状)、楕円柱、または角柱形等であってもよい。
本発明に係るウェルプレートにおいて、ウェルは、容積が150fL以上で40pL以下、好ましくは150fL以上で1pL以下、より好ましくは150fL以上で500fL以下の範囲内であり、かつ、細胞を1個のみ収容可能なサイズに形成されている。例えば、ウェル形成面におけるウェルの開口が円形である場合、当該ウェルの開口の直径は、細胞の直径の1倍以上で2倍未満とすることが望ましく、ウェルの高さは、細胞の直径の0.2倍以上で2倍未満とすることが望ましい。ウェルの開口が楕円形である場合、当該ウェルの開口の直径は、最小部分および最大部分の何れにおいても細胞の直径の1倍以上で2倍未満とすることが望ましく、ウェルの高さは、細胞の直径の0.2倍以上で2倍未満とすることが望ましい。
ウェル形成面は、全体に疎水性表面が配されているものに限定されず、少なくとも各ウェルを取り囲むように疎水性表面が配されていればよい。ウェル形成面は、好ましくは、全体に疎水性表面が配されている。なお、「取り囲む」とは、各ウェルにおいて、ウェル内の疎水性表面とウェル形成面の疎水性表面との間に隙間がない状態であることをいう。
また、ウェルにおける親水性表面および疎水性表面の配置は上記に限定されず、ウェルは、底部に配された親水性表面と、当該底部を取り囲むように配された疎水性表面とを有していればよい。なお、「取り囲む」とは、親水性表面と疎水性表面との間に隙間がない状態であることをいう。
〔2.回収方法〕
本発明に係る回収方法は、上述のウェルプレートを用いるものであって、疎水性液体と上記ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴から、当該親水性液体の少なくとも一部を回収する工程を含んでいる。本発明に係る回収方法は、細胞からの分泌物を1細胞レベルで回収する方法である。
本発明に係る回収方法の一実施形態では、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる上記液滴は、親水性液体に細胞が懸濁されてなる細胞懸濁液を、上記ウェルプレート上に注入し、各ウェルを当該細胞懸濁液で満たす工程1と、当該工程1の後に、疎水性液体を当該ウェルプレート上に注入する工程2とを行うことによって形成される。すなわち、本発明に係る回収方法の一実施形態では、(i)親水性液体に細胞が懸濁されてなる細胞懸濁液を、上述のウェルプレート上に注入し、各ウェルを当該細胞懸濁液で満たす工程1と、(ii)工程1の後に、疎水性液体を上記ウェルプレート上に注入し、各ウェル内に、疎水性液体と当該ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴を形成させる工程2と、(iii)上記工程2から所望の時間が経過した後に、上記液滴から、上記親水性液体の少なくとも一部を回収する工程3とを含んでいる。本発明に係る回収方法の一実施形態を例に、本発明に係る回収方法について、図2を参照して説明する。なお、以下では、ウェルプレート1を用いて説明するが、本実施形態はこれに限定されず、上述のウェルプレートの何れを用いてもよい。
(工程1)
工程1は、親水性液体21に細胞22が懸濁されてなる細胞懸濁液23を、ウェルプレート1上に注入し、各ウェル2を細胞懸濁液23で満たす工程である。
親水性液体21としては、例えば、生理食塩水、培養培地、およびリンゲル液などが挙げられ、目的に応じて適宜選択すればよい。また、親水性液体21は、浸透圧およびpHなどを細胞の生存条件に調整されていることが好ましい場合がある。
細胞22の種類は、特に限定されない。細胞22は、例えば、ヒト、マウス、およびラットなどの動物、植物または菌類などに由来する。また、細胞22は、培養細胞であってもよいし、生体から採取された細胞であってもよい。細胞22の種類としては、T細胞、B細胞、および好中球などの血液細胞;乳癌細胞、および胃癌細胞などのがん細胞;ES細胞、およびiPS細胞などの幹細胞;未受精卵などが挙げられる。
細胞懸濁液23において、細胞22はできるだけ単細胞になるよう懸濁されていることが好ましい。
細胞懸濁液23をウェルプレート1上に注入する方法は特に限定されず、例えば、公知のマイクロピペットを用いればよい。各ウェル2が細胞懸濁液23で十分に満たされる量を注入することが好ましい。
図2の(A)は、ウェルプレート1上に細胞懸濁液23が注入され、各ウェル2が細胞懸濁液23で満たされた直後の状態を示す模式図である。図2の(A)に示すように、細胞22の一部はウェル2に入っているが、細胞22の多くはウェル2に入っていない状態である。その後、例えば、1分〜5分間静置することによって、重力により細胞22を沈ませる。
(工程2)
工程2は、上述の工程1の後に、疎水性液体24をウェルプレート1上に注入し、各ウェル2内に、1個の細胞22と親水性液体21とを含んでなる液滴25を形成させる工程である。液滴25は、疎水性液体24とウェル2の底面3とに取り囲まれている。
疎水性液体24としては、例えば、油脂、シリコーンオイル、フッ素化脂肪族化合物などが挙げられる。好ましい疎水性液体24の特徴としては、親水性液体21に分散しにくいこと、細胞毒性がないこと、純度が高いこと、および透明であることなどが挙げられる。疎水性液体24をウェルプレート1上に注入する方法は特に限定されず、例えば、公知のマイクロピペットを用いればよい。疎水性液体24は、1箇所から注入することが好ましい。1箇所から注入することによって、表面張力により一様に広がるという利点がある。
図2の(B)は、ウェルプレート1上に疎水性液体24が注入されている最中の状態を示す模式図である。図2の(B)に示すように、ウェルプレート1上に注入された疎水性液体24は、ウェル形成面5および疎水性材料からなる側面4に沿って流動する。しかし、親水性材料からなる底面3は疎水性液体24よりも親水性液体21に対する親和性が高い。そのため、底面3には親水性液体21が残り、親水性液体21と混ざりにくい疎水性液体24は親水性液体21の上を流動する。親水性液体21と疎水性液体24との界面は、エネルギー的に安定なドーム型となる。また、細胞22は疎水性液体24よりも親水性液体21に対する親和性が高いため、ウェル2の外にある細胞22は、流動してきた疎水性液体24に押されて、ウェル2の中に入る。ウェル2の直径および高さは、細胞22が1個のみが入るように設計されているため、各ウェル2内には、1個の細胞22と親水性液体21とからなるドーム型の液滴25が形成される。液滴25は、疎水性液体24と底面3とに取り囲まれている。疎水性液体24に押し出された親水性液体21は、吸引すればよい。吸引する方法としては、例えば、ピペットで吸い取る方法、濾紙で吸い取る方法などが挙げられる。
形成される液滴25の体積は、ウェル2の直径および高さに依存する。すなわち、液滴25の体積は、ウェル2の体積に依存する。例えば、ウェル2が直径10μm、高さ5μmであり、細胞22が直径6μmである場合、液滴25に含まれる親水性液体21の体積は、280fL程度である。
このように、工程1および工程2を行うことによって、細胞22を1個ずつ、微量の親水性液体21に封入することができる。
(工程3)
工程3は、上述の工程2から所望の時間が経過した後に、液滴25から、親水性液体21の少なくとも一部を回収する工程である。
工程2の後、工程3を行う前に、所望の時間おく。この間に、液滴25に含まれる細胞22は細胞内から親水性液体21へ種々の化学物質を分泌する。分泌させる時間はその目的に応じて適宜設定される。分泌された化学物質(分泌物)は、液滴25に閉じ込められる。工程3では、細胞22から分泌された種々の化学物質を含む液滴25から、親水性液体21の少なくとも一部を回収する。ウェルプレート1には蓋がなく、また、親水性液体21は疎水性液体24に覆われているだけであるため、親水性液体21を容易に回収することができる。
回収する方法は特に限定されないが、例えば、回収した親水性液体21を、エレクトロスプレーイオン化法(ESI法)を用いた電場型フーリエ変換質量分析計に供する場合、親水性液体21はガラスマイクロニードルを用いて回収される(図4参照)ことが好ましい。回収した親水性液体21に含まれる化学物質はイオン化され、かつ、回収した親水性液体21は霧状でなければならないからである。化学物質のイオン化のために、ガラスマイクロニードルは、金属によって被覆されている。金属としては、銀、鉄、および金などが挙げられる。ガラスマイクロニードルの内部への親水性液体21の吸入には、例えば、シリンジポンプを用いればよい。
このように、工程1、工程2、および工程3を行うことによって、細胞22からの分泌物を1細胞レベルで回収することができる。
〔3.分析方法〕
本発明に係る分析方法は、上述の回収方法を用いて回収した親水性液体中の成分を分析する工程を含んでいる。当該工程は、例えば、細胞分泌物の成分を分析するために行われるものである。
分析方法は特に限定されないが、例えば、質量分析、ラマン散乱解析、SDS−PAGE、プロテインアレイ、およびELISAなどが挙げられる。質量分析のイオン化法としては、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)、電子衝撃イオン化法(EI)、化学イオン化法(CI)、およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)などが挙げられる。また、質量分析計のアナライザーの種類としては、四重極型(Q)、二重収束型(磁場型,EB)、飛行時間型(TOF)、イオントラップ型(IT)、およびイオンサイクロトロン型(フーリエ変換型,FT)などが挙げられる。なかでも、電場型フーリエ変換質量分析計は、感度が高いため好ましい。
ESI法を用いた電場型フーリエ変換質量分析計を用いる場合、例えば、上述の工程3において親水性液体21を吸入したガラスマイクロニードルに、0.5%ギ酸を含むアセトニトリル溶媒を添加し、エレクトロスプレーイオン化を介して、化学物質をイオン化すると同時に、親水性液体21を霧状化し、電場型フーリエ変換質量分析計に導入して、質量分析を行えばよい。これにより、親水性液体21中の成分を分析することができる。さらに、例えば、細胞22を含まない親水性液体21(コントロール)のスペクトルを比較することによって、細胞22を含む液滴25から回収された親水性液体21に含まれている細胞分泌物の成分を同定することができる。
このように、本発明に係る分析方法を用いれば、1個の細胞に由来する分泌物を分析する、すなわち、1細胞レベルで細胞分泌物を分析することができる。また、本発明に係る分析方法は、多数の細胞を容易に1個ずつ封入することができるため、短時間で効率的に網羅的な定量分析を行うことができる。さらに、細胞を1個ずつ、微量の親水性液体に封入することができるため、分泌物の濃度の低下を抑えることができ、高感度で、高精度の定量分析を行うことができる。
〔4.システム〕
本発明に係るシステムは、上述の回収方法、または上述の分析方法に用いるためのシステムであって、上述のウェルプレートおよびサンプル回収装置を備えている。当該サンプル回収装置は、疎水性液体とウェルプレートのウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴から、当該親水性液体の少なくとも一部を回収するものである。
本発明に係るシステムの一実施形態について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係るシステム50の概略構成を示す図である。
システム50は、ウェルプレート41、ステージ42、サンプル回収装置43、サンプル処理装置44、および分析装置45を備えて構成されている。以下に、サンプルの回収、およびサンプルの分析を行う際のシステムの動作について簡単に説明する。
ウェルプレート41は、上述のウェルプレート1と同じものである。ウェルプレート41は、例えば、上記〔2.回収方法〕欄の記載に従って、疎水性液体とウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴が、各ウェルに1つずつ形成された状態である。
ウェルプレート41は、ステージ42のプレート支持面に保持されている。ステージ42は、XYZの三方向に動かすことができる。サンプルを回収する際には、ステージ42を動かすことによって、ウェルプレート41とサンプル回収装置43との位置関係を調節することができる。
サンプル回収装置43は、ウェルプレート41の各ウェルに形成された液滴から親水性液体を回収する。サンプル回収装置43は、親水性液体の回収に用いることができる限り特に限定されないが、例えば、上記〔2.回収方法〕欄に記載のように、マイクロニードルとシリンジポンプとを備えた構成が挙げられる。サンプル回収装置43によって回収された親水性液体は、例えば、細胞から分泌された成分を含んでおり、必要に応じてサンプル処理装置44および分析装置45に供される。
サンプル処理装置44は、サンプル回収装置43によって回収された親水性液体を前処理して、分析装置45に供給する装置である。分析装置45が例えば電場型フーリエ変換質量分析計の場合、サンプル処理装置44は、エレクトロスプレーイオン化装置であり得る。なお、分析装置45での分析に際して、かかる前処理が不要な場合は、サンプル処理装置44を設置しなくてもよい。
分析装置45は、サンプル回収装置43によって回収された親水性液体(必要に応じて、サンプル処理装置44で前処理が行われたもの)の分析を行う。分析装置45は、例えば、親水性液体中に含まれる成分の成分分析を行う。分析装置45としては、例えば、上記〔3.分析方法〕欄に記載のものが挙げられる。
なお、図示していないが、システム50の動作は、制御部によって自動制御されていてもよい。すなわち、ステージ42上にウェルプレート41を配置すれば、サンプル回収装置43による親水性液体の回収、必要に応じて行われる回収した親水性液体の前処理、および親水性液体の分析を自動で行うこともできる。
〔5.キット〕
本発明に係るキットは、上述のウェルプレートを含む。本発明に係るキットは、細胞分泌物の分析用である。
本発明に係るキットは、さらに、上述の疎水性液体、上述の親水性液体、金属被覆されたガラスマイクロニードル、イオン化溶媒、および超純水のうちの少なくとも1つを含んでいてもよく、なかでも、疎水性液体および金属被覆されたガラスマイクロニードルのうちの少なくとも1つを含んでいることが好ましく、金属被覆されたガラスマイクロニードルを含んでいることがより好ましい。
このように、本発明は、単細胞から分泌される化学物質を網羅的にかつ定量的に分析することができる。すなわち、血液、尿、穿刺液、または分泌液などに放出される細胞由来の化学物質を、本発明では1細胞レベルで分析することができる。そのため、本発明は、生化学分析診断などにおいて、特に有用である。
また、本発明では、わずかな分泌物の変化を検出することができるとともに、細胞ごとにおける相違を比較することができる。すなわち、細胞の状態または種類を判別することができる。例えば、腫瘍組織の良性/悪性診断を1細胞レベルで行うことができるため、悪性腫瘍の早期発見に大きく貢献することが期待される。
また、本発明では、ウェルプレートに膨大な微小ウェルを形成することができる。そのため、分析のスリープットは高く、ドラッグスクリーニングなどの膨大数の試行条件を必要とする場合にも有用である。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔実施例1〕
直径25mmの円形カバーガラス(松浪硝子工業株式会社製)上にフッ素樹脂(CYTOP,旭硝子社製)を2000rpmで30秒間スピンコートし、180℃で1時間加温することによって、ガラスをフッ素樹脂でコートした。これを4回繰り返し、厚み5μmのフッ素樹脂膜を作製した。次いで、フォトレジスト(AZP4903, AZ Electronic Materials社製)を塗布し、UVリソグラフィー法によって直径10μmの円をパターニングし、ドライエッチング法によって直径10μm、深さ5μmのマイクロウェルを形成した(RIE-10NR,Samco社製)。このようにして作製したウェルプレートを直径20mmの貫通穴を開けた直径35mmの細胞培養ディッシュ底面にマニキュアで貼り付けた。24時間乾燥後、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)に浸漬し、次いで減圧することによって、マイクロウェル内の気泡を取り除いた。
マウス(BALB/c,5〜8週齢)を開腹後、滅菌ピンセットを用いてリンパ節を採取し、さらにD−PBS中で滅菌ピンセットを用いてほぐすことによって、単細胞浮遊液を得た。単細胞浮遊液を遠沈管に入れ5分間静置した後、上澄みを回収し、1000rpmで3分間遠心した沈殿した細胞を、5%牛血清を含むRPMI1640培地に懸濁した。さらに、Milteny Biotec社のMACS磁気トラップシステムを用い、T細胞およびB細胞をそれぞれ得た。
1×10個/mLのT細胞またはB細胞を含むHEPES溶液(25 mM HEPES, 140 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 0.49 mM MgCl2, 1.8 mM CaCl2, 12 mM NaHCO3, 0.37 mM KH2PO4 および5.6 mM Glucose)500μLを、作製したウェルプレート上に載せ、3分間静置した。次いで、油(FC−40,シグマ社製)を上部からゆっくりと注ぐことによって、細胞とHEPES溶液をウェル内に封入した。室温で1時間培養した後、細胞が1個だけ入っているウェルから、細胞周辺の溶液200fLを金属皮膜したガラスマイクロニードル(Humanix社製)を用いて回収した(図4;T細胞が入っているウェルからのサンプル回収中の顕微画像(A)、その模式図(B))。ガラスマイクロニードル中の溶液にイオン化溶媒として0.5%のギ酸を含むアセトニトリル1μLを加え、エレクトロスプレーイオン化を介して、化学物質をイオン化すると同時に溶液を霧状化し、電場型フーリエ変換質量分析計(LTQ Orbitrap XL,Thermo Fisher Scientific社製)に導入した。
得られたピークをKEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)データベースと照合したところ、細胞由来のピークであることが確認された。例えば、1個のT細胞を封入したウェルでは、2700個以上のピークが検出され(図5の(A))、細胞の代謝物として157個の候補が得られた。比較検証のために細胞内液を同様に分析すると、より多くのピークが検出された(図5の(B))。これは、細胞内部にある化学物質の一部が、細胞外へと放出されていることを示している。
また、マイクロウェル内の溶液から得られたピークが、細胞の分泌液由来であることを確認するために、細胞の封入から30分後および1時間後に、マイクロウェル内の溶液を回収し、上記分析を行った。その結果、時間経過と共に、取得されるピークの強度は大きくなり、これらの化学物質が、確かに細胞から分泌されていることが確かめられた。図6に、一例として、m/z = 139.074に相当する検出ピーク(ヘキサン酸であると考えられる)を示す。
また、回収した溶液に含まれる化学物質の分析により、血中に含まれるT細胞とB細胞の両者を区別することを試みた。両者の相違を容易に可視化するために、主成分分析法を用いて、質量分析で得られた多変量のデータを、互いに相関のない、少ない個数の特性値にまとめた(図7)。主成分分析には、MarkerView software(AB Sciex社製)を用いた。図7に示されるように、T細胞とB細胞とで有意な差がみられた。すなわち、T細胞とB細胞とでは分泌する物質に違いがあり、本発明の手法ではその違いを検出できることを示している。つまり、本発明の手法によって細胞種を判別できることが明らかとなった。
また、2つの別個のT細胞において、ピークを比較した。両者は、互いに類似したピークを有していたが、分泌された化学物質にわずかな違いがあることがわかった(図8)。このことは、同種の細胞であっても、細胞ごとに、分泌される化学物質がわずかに異なること、および、本発明の手法によってそのわずかな違いを検出できることを示している。
〔実施例2〕
実施例1と同様の方法を用いて、直径40μm、深さ5μmのマイクロウェルを有するウェルプレートを作製した。作製したウェルプレートを直径20mmの貫通穴を開けた直径35mmの細胞培養ディッシュ底面にマニキュアで貼り付けた。24時間乾燥後、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)に浸漬し、次いで減圧することによって、マイクロウェル内の気泡を取り除いた。
ES培地(10%FBS、1%グルタミン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%ペニシリン、および1%ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーゲル培地)で培養したES細胞、iPS細胞、または部分的に初期化されたiPS細胞(Partial−iPS細胞)を1%トリプシン含有EGTA溶液で剥離した。次いで、細胞をES培地に懸濁し、1000rpmで3分間遠心したのち、沈殿した細胞をHEPES溶液に懸濁した。
1×10個/mLのES細胞、iPS細胞またはPartial−iPS細胞を含むHEPES溶液(25 mM HEPES, 140 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 0.49 mM MgCl2, 1.8 mM CaCl2, 12 mM NaHCO3, 0.37 mM KH2PO4および5.6 mM Glucose)500μLを、作製したウェルプレート上に載せ、3分間静置した。次いで、油(FC−40,シグマ社製)を上部からゆっくりと注ぐことによって、細胞とHEPES溶液をウェル内に封入した。室温で1時間培養した後、細胞が1個だけ入っているウェルから、細胞周辺の溶液200fLを金属皮膜したガラスマイクロニードルを用いて回収した(図9;ES細胞が入っているウェルからのサンプル回収中の顕微画像)。ガラスマイクロニードル中の溶液にイオン化溶媒として0.5%のギ酸を含むアセトニトリル1μLを加え、エレクトロスプレーイオン化を介して、化学物質をイオン化すると同時に溶液を霧状化し、電場型フーリエ変換質量分析計に導入した。
得られたピークをKEGGデータベースと照合したところ、細胞由来のピークであることが確認された。ES細胞およびiPS細胞から得られたピークとPartial−iPS細胞から得られたピークとを判別分析によって比較したところ、有意な差があり、この手法によって細胞種を判別できることが明らかとなった(図10)。
〔実施例3〕
実施例1と同様の方法を用いて、直径10μm、深さ5μmのマイクロウェルを有するウェルプレート、直径15μm、深さ5μmのマイクロウェルを有するウェルプレート、および、直径40μm、深さ5μmのマイクロウェルを有するウェルプレートを作製した。作製したウェルプレートを直径20mmの貫通穴を開けた直径35mmの細胞培養ディッシュ底面にマニキュアで貼り付けた。24時間乾燥後、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)に浸漬し、次いで減圧することによって、マイクロウェル内の気泡を取り除いた。
1×10個/mLのT細胞を含むHEPES溶液(25 mM HEPES, 140 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 0.49 mM MgCl2, 1.8 mM CaCl2, 12 mM NaHCO3, 0.37 mM KH2PO4 および5.6 mM Glucose)500μLを、作製したウェルプレート上に載せ、3分間静置した。次いで、油(FC−40,シグマ社製)を上部からゆっくりと注ぐことによって、細胞とHEPES溶液をウェル内に封入した。室温で1時間培養した後、細胞が1個だけ入っているウェルから、細胞周辺の溶液200fLを金属皮膜したガラスマイクロニードルを用いて回収した。ガラスマイクロニードル中の溶液にイオン化溶媒として0.5%のギ酸を含むアセトニトリル1μLを加え、エレクトロスプレーイオン化を介して、化学物質をイオン化すると同時に溶液を霧状化し、電場型フーリエ変換質量分析計に導入した。
m/z = 229.216に相当する物質(テトラデカン酸であると考えられる)の濃度を、直径が異なるマイクロウェル同士で比較した。その結果を図11に示す。マイクロウェルの直径が大きくなるにつれて、上記物質の濃度は低くなった。このように、微小な体積の溶液に細胞を封入することにより、分泌物の濃度が向上する、すなわち分析の感度の向上に寄与することがわかった。
本発明に係るウェルプレート、回収方法、分析方法、システム、およびキットは、例えば、医療分析分野において、1細胞レベルでの細胞分泌物の分析に利用し得る。
1 ウェルプレート
2 ウェル
3 底面(底部)
4 側面
5 ウェル形成面
21 親水性液体
22 細胞
23 細胞懸濁液
24 疎水性液体
25 液滴
41 ウェルプレート
42 ステージ
43 サンプル回収装置
44 サンプル処理装置
45 分析装置
50 システム

Claims (11)

  1. ウェル形成面に複数のウェルが形成されている細胞用のウェルプレートであって、
    上記ウェルは、容積が150fL以上で40pL以下の範囲内であり、かつ、細胞を1個のみ収容可能なサイズに形成されており、
    上記ウェルは、底部に配された親水性表面と、当該底部を取り囲むように配された疎水性表面とを有してなり、
    上記ウェル形成面は、少なくとも上記ウェルを取り囲むように疎水性表面が配されている、ウェルプレート。
  2. 上記ウェルは、直径が10μm以上で40μm以下であり、かつ、高さが2μm以上で30μm以下の円柱形である、請求項1に記載のウェルプレート。
  3. 上記親水性表面はガラスからなり、かつ、上記疎水性表面はフッ素樹脂からなる、請求項1または2に記載のウェルプレート。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載のウェルプレートを用いた、細胞からの分泌物の回収方法であって、
    疎水性液体と上記ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴から、当該親水性液体の少なくとも一部を回収する工程を含む、回収方法。
  5. 1個の細胞と親水性液体とを含んでなる上記液滴は、
    親水性液体に細胞が懸濁されてなる細胞懸濁液を、上記ウェルプレート上に注入し、各ウェルを当該細胞懸濁液で満たす工程1と、
    上記工程1の後に、疎水性液体を上記ウェルプレート上に注入する工程2とを行うことによって形成される、請求項4に記載の回収方法。
  6. 請求項4または5に記載の回収方法を用いて回収した親水性液体中の成分を分析する工程を含む、分析方法。
  7. 分析する上記工程は、細胞分泌物の成分を分析するために行われる、請求項6に記載の分析方法。
  8. 請求項4もしくは5に記載の回収方法、または請求項6もしくは7に記載の分析方法に用いるためのシステムであって、
    請求項1〜3の何れか1項に記載のウェルプレート、および、疎水性液体と上記ウェルの底部に配された親水性表面とに取り囲まれた、1個の細胞と親水性液体とを含んでなる液滴から、当該親水性液体の少なくとも一部を回収するサンプル回収装置を備えたシステム。
  9. 上記サンプル回収装置が回収する上記親水性液体中の成分を分析する分析装置をさらに備えた、請求項8に記載のシステム。
  10. 請求項1〜3の何れか1項に記載のウェルプレートを含む、キット。
  11. 金属被覆されたガラスマイクロニードルをさらに含む、請求項10に記載のキット。
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