JP2014232949A - 車両用無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無線通信部をアンテナとともにモジュール化して車両ボティ外面に設置する車両用無線通信装置において、無線通信部の温度異常を精度よく判定すること。
【解決手段】正常状態である無線通信部190の温度を変化させる温度変化パラメータを取得し(S31〜S34)、その温度変化パラメータに基づいて閾値THを設定する(S35、S36)。よって、閾値THが、無線通信部190の正常時の温度変化に応じて変化する。このようにして設定した閾値THと、温度センサ192が検出した温度とを比較して無線通信部190の温度が異常であるか否かを判定する。
【選択図】図6

Description

本発明は、アンテナおよび無線通信部を備えたアンテナモジュールが車両のボディ外面に設置される車両用無線通信装置に関する。
従来、アンテナを介した無線通信を行う無線通信部の温度を検出し、一定値である閾値温度以上であれば異常であると判定する無線通信装置が知られている(たとえば特許文献1)。特許文献1では、異常であると判定したら送信処理を一時的に停止する。
特開2011−217171号公報
車両用の無線通信装置において、アンテナと、アンテナを介して無線通信を行う無線通信部とを1つのモジュール(以下、アンテナモジュールという)として、車両ルーフ面など、車両のボディ外面に設置することが検討されている。アンテナの近くに無線通信部を配置することで、アンテナと無線通信部との間で生じる損失を低減するためである。
しかし、アンテナモジュールが車両ルーフ面などに設置される場合、無線通信部は温度変化が大きい環境に置かれることになる。そのため、従来のような一定値である閾値温度との単純な比較で異常判定すると、実際には正常であるのに、誤って異常と判定してしまったり、反対に、実際には異常であるのに、誤って正常と判定してしまったりする恐れがある。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、無線通信部をアンテナとともにモジュール化して車両ボティ外面に設置する車両用無線通信装置において、無線通信部の温度異常を精度よく判定することにある。
その目的を達成するための本発明は、車両のボディ外面に設置され、アンテナ(110A、110B)と、前記アンテナを介した無線通信を行う無線通信部(190)と、この無線通信部の温度を検出する温度センサ(192)とを備えるアンテナモジュール(100、100A)と、前記車両の内部に設置され、前記無線通信部の温度が異常であるか否かを判定するとともに、前記無線通信部の制御を行う通信ECU(200、200A)と、前記アンテナモジュールと前記通信ECUとの間で通信する装置内通信部(20)とを備え、前記通信ECUは、正常状態である前記無線通信部の温度変化に影響する温度変化パラメータを取得し、取得した温度変化パラメータに基づいて異常判定閾値を設定し、設定した異常判定閾値と、前記温度センサが検出した無線通信部の温度との比較に基づいて前記無線通信部の温度が異常であるか否かを判定することを特徴とする車両用無線通信装置(1、1A)である。
本発明によれば、通信ECUは、正常状態である無線通信部の温度を変化させる温度変化パラメータを取得し、その温度変化パラメータに基づいて異常判定閾値を設定する。よって、異常判定閾値が、無線通信部の正常時の温度変化に応じて変化する。このようにして設定した異常判定閾値と温度センサが検出した温度との比較に基づいて無線通信部の温度が異常であるか否かを判定する。よって、アンテナとともにモジュール化して車両ボティ外面に設置された無線通信部の温度が異常であるか否かを精度よく判定することができる。
実施形態の車両用無線通信装置1の構成図を示す図 通信ECU200の信号に対して入出力する信号を説明する図 アンテナモジュール100が車両ルーフ2に搭載された状態における部分断面図 アンテナモジュール100のCPU161が実行する処理 通信ECU200のCPU211が実行する異常判定処理 閾値THを設定する処理 図6のステップS35で参照するテーブルの例 異常判定結果に応じて行う処理 アンテナモジュール100Aと通信ECU200Aとの間をブルートゥース通信回路165、251により接続する例
(全体構成)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1の車両用無線通信装置1は、アンテナモジュール100と通信ECU200とを備えており、車車間通信および路車間通信の両方またはいずれかを行なう無線通信装置である。車車間通信および路車間通信の通信周波数には、たとえば700MHz帯や5.9GHz帯が用いられる。
本実施形態では、アンテナモジュール100は、図3に示すように車両ルーフ2の外面に設置される。一方、通信ECU200は、車両内部の所定位置に設置される。通信ECU200が設置される位置は、車両内部であれば特に限定はないが、電子部品を備えているので、日光等による温度変化が少ない環境が好ましい。
(アンテナモジュール100の構成)
アンテナモジュール100は、車車間通信および路車間通信用の構成として、図1に示すように、2つのアンテナ110A、110B、切り替えスイッチ120、2つのローノイズアンプ130A、130B、パワーアンプ140、通信チップ150、インターフェースアダプター160、切り替え回路170、電源部180を備える。以上の構成のうち、アンテナ110を除いた構成が無線通信部190である。なお、無線通信部190は、アンテナ110を介した無線通信を行う機能を備えていればよく、必ずしも図1の構成に限定されない。
上述の構成以外に、このアンテナモジュール100は、温度センサ192、GNSS(Global Navigation Satellite Systems)用アンテナ194、ローノイズアンプ196も備える。GNSS用アンテナ194はローノイズアンプ196に接続され、そのローノイズアンプ196は同軸ケーブル30に接続されている。
車車間通信および路車間通信用のアンテナ110のうちの一方のアンテナ110Aは受信専用であり、ローノイズアンプ130Aが接続されている。これに対して、他方のアンテナ110Bは、受信および送信の両方に用いられる。切り替えスイッチ120により、受信時には、アンテナ110Bはローノイズアンプ130Bに接続され、送信時には、アンテナ110Bはパワーアンプ140に接続される。
通信チップ150は、2つの受信部151、152、送信部153、ベースバンド処理部154を備える。本実施形態では、IEEE802.11pの通信規格により車車間通信および路車間通信を行なう仕様となっている。
一方の受信部151はローノイズアンプ130Aと接続され、他方の受信部152はローノイズアンプ130Bと接続されている。受信時には、切り替えスイッチ120により、受信部152と接続されているローノイズアンプ130Bと、アンテナ110Bが接続される。したがって、受信時は、2つのアンテナ110A、110Bが用いられる。切り替えスイッチ120の切り替えはアンテナ切り替え回路170が行う。これら受信部151、152は、入力される高周波信号を、ベースバンド帯の信号に復調し、ろ波および増幅を行なってベースバンド処理部154へ送る。
送信部153は、パワーアンプ140と接続されている。送信時には、切り替えスイッチ120が切り替えられて、パワーアンプ140および送信部153と、アンテナ110Bとが接続される。送信部153は、ベースバンド処理部154から送られてくる信号を高周波帯の信号に変調してパワーアンプ140へ送る。
ベースバンド処理部154は、ベースバンド信号の変調、復調を行なう。また、受信時は、受信ダイバーシティ(ここでは最大比合成ダイバーシティ)が行われる。
上記構成の通信チップ150は、インターフェースアダプター160との間で相互に通信が可能となっている。インターフェースアダプター160は、CPU161と、メモリ162と、インターフェース部(以下、I/F部)163とを備える。I/F部163は、イーサネット(登録商標)の通信規格で通信を行うためのイーサネットケーブル20に接続されている。このイーサネットケーブル20が本実施形態における装置内通信部である。CPU161は、イーサネットケーブル20およびI/F部163を介して通信ECU200との間で通信を行う。また、このCPU161は通信チップ150を制御する。
切り替え回路170は、通信チップ150の通信状態をもとにして、切り替えスイッチ120の切り替えを行う。
電源部180は、インターフェース部163に接続されており、イーサネットケーブル20を介して供給される電力を、アンテナモジュール100を構成する種々の部品に供給する。温度センサ192は、無線通信部190の温度を検出するために、アンテナモジュール100の筐体3(図3参照)の内部において、無線通信部190の近傍に配置される。この温度センサ192は、検出した温度を示す信号をインターフェース部163に出力する。
(通信ECU200の構成)
通信ECU200はアンテナモジュール100との間で、イーサネットケーブル20を介して相互に通信可能になっている。
この通信ECU200は、演算部210、GNSS受信部220、セキュリティアクセスモジュール(SAM)230、電源240、インターフェース部250を備える。
演算部210は、CPU211と、メモリ212と、I/F部213とを備える。I/F部213は、車両内の通信ネットワークであるCANに接続されている。CPU211は、I/F部213を介してCANから車両内の種々の情報を取得し、または車両内の機器へ情報提供できる。また、CPU211は、無線通信部190の温度が異常であるか否かの判定を行い、判定結果に基づいた無線通信部190の制御を行う。CPU211が行うこれらの処理は、図5〜8を用いて後述する。
GNSS受信部220は、同軸ケーブル30を介してGNSS用アンテナ194と接続されており、GNSS用アンテナ194から供給される信号をろ波、増幅、復調して受信データを演算部210へ供給する。SAM230は、車車間通信または路車間通信により送受信する信号を暗号化、復号化する。
電源240は、この通信ECU200の内部の種々の構成部品に電力を供給する。また、電源240は、インターフェース部250に接続されている。I/F部250にはイーサネットケーブル20が接続されており、電源240は、インターフェース部250およびイーサネットケーブル20を介して、アンテナモジュール100の構成部品にも電力を供給する。
(演算部210に対して入出力する信号)
図2に示すように、通信ECU200には、バッテリ電源(+B)、アクセサリ信号(ACC)、イグニッション信号(IG)、グランド信号(GND)、方向指示灯の点滅状態を示す信号(Turn signals)、エアバッグの展開状態を示す信号(Airbag signals)が直接入力される。
また、通信ECU200は、CANバス40を介して、HMI要求信号の出力、種々の車両情報(Vehicle Info)の取得を行う。HMI要求信号はHMI装置41に供給される。このHMI装置41はメーターディスプレイなどである。
図2に示すように、CANバス40には、外気温センサ42、日照センサ43、車速センサ44、その他のセンサ群45、その他の(通信ECU200以外)のECU群46、ナビゲーション装置47も接続されている。
通信ECU200は、それらのセンサ42〜45、ECU群46から、外気温、日照量、車速、加速度、ヨーレート、ブレーキ信号などの車両情報を取得する。また、通信ECU200にUSBコネクタ260が設けられ、このUSBコネクタ260を介したUSB接続によって、通信ECU200はナビゲーション装置47と通信可能に構成されてもよい。
(アンテナモジュール100の車両搭載位置)
図3に示すように、アンテナモジュール100が備える筐体3は、外観デザイン上の理由等により、車両前方から車両後方にかけて流線形を有する形状(いわゆるシャークフィン形状)に形成されている。
地板4は、略長方形をなす平面形状であり金属板により構成される。アンテナモジュール100が車両ルーフ2の上面2aに搭載された状態では、地板4は車両ルーフ2の上面2aに沿う。地板4の上面部である地板面4aには、樹脂からなる平板形状のプリント配線基板5が地板面4aに対して略垂直に立設されている。
プリント配線基板5の一方の面5aにはアンテナグランド6が導体パターン(導体膜)により形成されている。また、この面5aには、アンテナグランド6と地板4とを電気的に接続する接続部7も導体パターンにより形成されている。この接続部7によりアンテナグランド6は地板4と同電位となっている。
基板5の、アンテナグランド6と同じ面5aには、無線通信部190が固定されている。また、プリント配線基板5にはアンテナ110A、110Bも固定されている。
(温度監視処理−アンテナモジュール側の処理)
次に、無線通信部190の温度を監視するために、アンテナモジュール100のCPU(以下、アンテナモジュール側CPU)161および通信ECU200のCPU(以下、ECU側CPU)211が実行する制御を説明する。
アンテナモジュール側CPU161は、図4に示すように、電源がONになると、所定の初期化処理を行う(ステップS1)。この初期化処理にはたとえばタイマーのリセットなどがある。続いて、割り込みを許可する(ステップS2)。割り込みを許可するのは、本実施形態では、I/F部163がイーサネットケーブル20を介して通信ECU200と行う通信を、割り込み処理により実行する設定としているからである。
ステップS3ではタイマーをリセットする。ステップS4では、タイマーを参照して、予め設定された一定時間が経過したか否かを判断する。この判断がNOであればステップS5へ進み、無線通信処理を実行する。この無線通信処理は、たとえば、通信チップ150の制御、通信チャンネルの設定、送受信切り替え、送信するデータのセット、受信したデータの読み取りなどである。アンテナモジュール側CPU161は、データの送信においては、通信チップ150に、所定のデューティ比でデータの送信を行わせる。このデューティ比は、後述する図8の処理により、無線通信部190の温度が異常であるか否かを判定した結果に応じて変更される。
ステップS4がYESの場合にはステップS6に進み、温度センサ192からセンサ値(以下、温度センサ値)を読み出す。ステップS7では、ステップS6で読み出した温度センサ値を、インターフェースアダプター160内の所定のイーサネット出力バッファへ書き出す。
(温度監視処理−ECU側の処理)
次に図5を説明する。ECU側CPU211は、図5に示す処理を一定の実行周期毎に実行する。
ステップS11では、アンテナモジュール側CPU161から、前述の温度センサ値を、I/F部163、イーサネットケーブル20、I/F部250を介して取得する。ステップS12では、温度センサ値が示す温度が、異常判定閾値(以下、単に閾値)TH以上であるか否かを判断する。この閾値THは、後述する図6の処理により、正常状態である無線通信部190の温度を反映して設定される。
この判断がNO、すなわち無線通信部190の温度が閾値THよりも低い場合には、ステップS13へ進み、無線通信部190は正常であると判定する。この判定結果は、メモリ212など、演算部211内の所定の記憶部に記憶する。
さらに、異常判定Aカウンタをクリアし(ステップS14)、異常判定Bカウンタもクリアする(ステップS15)。
ステップS12の判断がYES、すなわち無線通信部190の温度が閾値TH以上であれば、ステップS16へ進む。ステップS16では、これまで正常判定をしていたか否かをさらに判断する。この判断がYES、つまり、前回のステップS12の判断までは正常判定であった場合にはステップS17へ進む。ステップS17では、無線通信部190の異常判定結果を異常判定Aとする。異常判定Aは、3つの異常状態のうち最も異常の程度が軽い状態である。
ステップS16の判断がNOであればステップS18へ進む。ステップS18では、これまで異常判定Aと判定していたか否かを判断する。ステップS18がYESであれば、ステップS19へ進み、異常判定Aカウンタに1を換算する。続いて、ステップS20において、異常判定Aカウンタが一定回数以上となったか否かを判断する。まだ一定回数にはなっていない場合には(S20:NO)、ステップS17を実行する。よって、異常判定Aと判定する状態を継続する。
異常判定Aカウンタが一定回数以上となった場合にはステップS20の判断がYESとなりステップS21へ進む。ステップS21では異常判定Bとする。
ステップS18がNOの場合には、これまでの判定結果は異常判定Bであることになる。ステップS18がNOであれば、ステップS22へ進む。ステップS22では、異常判定Bカウンタを1加算する。続いてステップS23において、異常判定Bカウンタが一定回数以上となったか否かを判断する。まだ、一定回数にはなっていない場合には(S23:NO)、ステップS21を実行する。よって、異常判定Bと判定する状態を継続する。
異常判定Bカウンタが一定回数以上となった場合にはステップS23の判断がYESとなりステップS24へ進む。ステップS24では異常判定Cとする。
(閾値THの更新)
ECU側CPU211は、図6の処理を周期的に実行して閾値THを逐次更新する。ステップS31では、外気温センサ42からセンサ値を取り込む。ステップS32では日照センサ43からセンサ値を取り込む。ステップS33では車速センサ44からセンサ値を取り込む。ステップS34では送信デューティ比の設定値を取り込む。
ステップS35では、ステップS31〜S34で取り込んだデータに基づいて、予め設定されているテーブルを参照して、前述した図5のステップS12で用いる閾値THを設定する。
図7に上記テーブルを例示する。図7には(A)〜(D)の4つのテーブルが示されている。テーブル(A)、(B)は、いずれも外気温30度以上の場合に用いるテーブルである。テーブル(A)、(B)の違いは、送信デューティ比であり、テーブル(A)は送信デューティ比が5%以上、テーブル(B)は送信デューティ比が5%未満である。
テーブル(C)、(D)は、テーブル(A)、(B)とは反対に、いずれも外気温30度未満の場合に用いるテーブルである。テーブル(C)、(D)の違いは、テーブル(A)、(B)の違いと同様、送信デューティ比であり、テーブル(C)は送信デューティ比が5%以上、テーブル(D)は送信デューティ比が5%未満である。
各テーブル(A)〜(D)は、いずれも、車速と日照量とにより閾値THが定まるテーブルである。いずれのテーブルも、車速および日照量が2つの範囲に区分されている。具体的には、いずれのテーブルも、車速は30km/h未満と30km/h以上に区分されており、日照量は大と小に区分されている。なお、日照量が大であるか小であるかは、予め設定されている基準日照量との比較により決定する。
テーブル(D)の日照量「大」を除く各テーブルは、車速が高い(30km/h以上)場合には、車速が低い(30km/h未満)場合よりも閾値THが低くなっている。車速が高い場合には、車速が低い場合よりも閾値THが低くなっている理由は、アンテナモジュール100が車両ルーフ2の上面2aに設置されていることから、車速が高いほど、外気により冷却される効果が大きいためである。
テーブル(D)の日照量「大」では、車速によらず同じ閾値であるのは、日照量「大」の場合において設定する閾値THの下限値を、本実施形態では80度と決めたからである。
また、各テーブルとも、日照量が大きい場合には、日照量が小さい場合よりも閾値THが高くなっている。この理由は、アンテナモジュール100が車両ルーフ2の上面2aという日照により高温になりやすい位置に設置されているためである。
また、外気温の条件が互いに異なり、送信デューティ比の条件は互いに同じであるテーブル(A)、(C)の比較、および、テーブル(B)、(D)の比較から、外気温が高い(30度以上)場合は、外気温が低い(30度未満)場合よりも閾値THが高くなっている。この理由は、外気温が高いほど、正常時であっても、無線通信部190の温度は外気温の影響を受けて高くなるからである。
また、送信デューティ比の条件が互いに異なり、外気温の条件は互いに同じであるテーブル(A)、(B)の比較、および、テーブル(C)、(D)の比較から、送信デューティ比が高い(5%以上)場合には送信デューティ比が低い(5%未満)場合よりも、閾値THが高くなっている。この理由は、デューティ比が高いほど平均送信電力が高く、送信電力が高いほど、正常時であっても無線通信部190は発熱するからである。
図7に例示したテーブルの閾値THは、いずれも、環境温度や送信による発熱により想定される正常状態の無線通信部190の温度を想定して設定されている。なお、車速、日照量、外気温は、無線通信部190の環境温度に影響する環境温度パラメータである。また、送信デューティ比は送信電力関連パラメータである。そして、環境温度パラメータおよび送信電力関連パラメータは、正常時の通信チップ150の温度変化に影響する温度変化パラメータである。
(異常判定結果に応じた処理)
ECU側CPU211は、図5の処理を実行した後、図8の処理を実行する。ステップS41では送信禁止状態となっているか否かを判断する。送信禁止状態は、最も異常の程度が高い異常判定Cと判断した時に、後述するステップS50で設定される。
送信禁止であれば(S41:YES)、送信をすることなく処理を終了する。送信禁止ではない場合には(S41:NO)、ステップS42に進み、異常判定結果の読み込みを行う。
ステップS43では、ステップS42での読み込んだ異常判定結果が正常判定であるか否かを判断する。正常判定であればステップS44へ進み、送信条件制限を解除する。送信条件制限とは、送信時の無線通信部190の消費電力を低減させるための制限であり、本実施形態では送信デューティ比の低減および最大送信電力の低減である。
ステップS43で正常判定でないと判断した場合、ステップS45へ進む。ステップS45では、異常判定結果が異常判定Aであるか否かを判断する。ステップS45の判断がYESである場合にはステップS46へ進み、送信デューティ比を、正常判定時の送信デューティ比よりも低い予め設定された値に低減する。
ステップS45で異常判定結果は異常判定Aではないと判断した場合(S45:NO)にはステップS47へ進み、異常判定結果が異常判定Bであるか否かを判断する。ステップS47の判断がYESである場合にはステップS48へ進み、送信デューティ比を、正常判定時の送信デューティ比よりも低い予め設定された値に低減する。なお、ステップS46で設定する送信デューティ比とステップS48で設定する送信デューティ比は、同じであってもよいし、より異常の程度が高い異常判定Bの場合に実行するステップS48で設定する送信デューティ比の方が低い値となっていてもよい。
さらに、ステップS49において、最大送信電力を、正常判定時の最大送信電力よりも低い予め設定された値に低減する。
ステップS47で異常判定結果は異常判定Bではないと判断した場合(S47:NO)には、異常判定結果は、異常の程度が最も高い異常判定Cであることになる。この場合、ステップS50へ進み、送信禁止に設定し、さらに、ステップS51において、所定の表示部に故障表示を行う。
以上、説明した本実施形態によれば、通信ECU200は、正常状態である無線通信部190の温度を変化させる温度変化パラメータを取得し(S31〜S34)、その温度変化パラメータに基づいて閾値THを設定する(S35、S36)。よって、閾値THが、無線通信部190の正常時の温度変化に応じて変化する。このようにして設定した閾値THと、温度センサ192が検出した温度とを比較して無線通信部190の温度が異常であるか否かを判定する(S12)。よって、アンテナ110A、110Bとともにモジュール化して車両ルーフ2の外面に設置された無線通信部190の温度が異常であるか否かを精度よく判定することができる。
また、本実施形態では、無線通信部190が異常であるか正常であるかを判定するだけでなく、異常であると判定する場合には異常レベルの程度が互いに異なる異常判定A〜Cのいずれであるかも判定する(図5)。そして、最も異常レベルが高い異常判定C以外であれば、無線通信部190の温度上昇を抑制するために送信電力を制限するが(S46、S48、S49)、送信禁止にはしない。よって、異常の程度によらず即座に送信を停止してしまう場合よりも、送信を継続することができる。
さらに、本実施形態では、異常と判定しても送信を継続する異常レベルとして、2つの異常レベル、すなわち、異常判定A、異常判定Bを設定している。そして、異常判定Aであると判定した場合には、送信デューティ比を正常時の送信デューティ比よりも低い値に低減するのみで、最大送信電力は低減しない(S46)。よって、無線通信部190が異常であると判定しても、異常判定結果が異常判定Aであれば、送信距離を維持することが可能である。
また、本実施形態では、3つの異常判定レベルのうち中間のレベル、すなわち、異常判定Bと判定した場合には(S47:YES)、送信デューティ比を正常時よりも低くし(S48)、且つ、最大送信電力を正常時よりも低くする(S49)。そのため、異常判定Aよりも、より異常の程度が高い状況において、送信を継続しつつも、異常判定Aと判定したときよりも無線通信部190の温度上昇をより抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、前述の実施形態では、アンテナモジュール100は、車車間通信および路車間通信において受信ダイバーシティを行うために、2つのアンテナ110A、110Bを備えていたが、車車間通信および路車間通信を行うアンテナは1本でもよいし、また、3本以上でもよい(変形例1)。また、車車間通信および路車間通信のいずれか一方のみを行ってもよい(変形例2)。
また、前述の実施形態では、環境温度変化パラメータとして、車速、日照量、外気温を取得していたが、閾値THを設定するために取得する環境温度変化パラメータが、上記3つのパラメータのうちのいずれか1つのみ、あるいは、2つのみでもよい(変形例3)。また、閾値THを設定するための温度変化パラメータには、環境温度変化パラメータ以外に、送信電力関連パラメータを用いている場合には、環境温度変化パラメータを用いず、送信電力関連パラメータのみから閾値THを設定してもよい(変形例4)。反対に、環境温度変化パラメータを用いている場合には、送信電力関連パラメータを用いず、環境温度変化パラメータのみから閾値THを設定してもよい(変形例5)。また、送信電力関連パラメータとして、前述した送信デューティ比に代えて、あるいは、それに加えて、最大送信電力を取得してもよい(変形例6)。
また、前述の実施形態では、異常レベルを、異常であると判定する場合に、3つの異常レベルのうちのいずれであるかも判定していたが、単に異常であるとのみ判定してもよい(変形例7)。また、異常レベルを3つ以外の複数の数に分けて判定してもよい(変形例8)。
前述の実施形態では、アンテナモジュール100と通信ECU200との間で通信する装置内通信部としてイーサネットケーブル20を備えていたが、その他の種類のケーブルでアンテナモジュール100と通信ECU200との間を通信するようにしてもよい(変形例9)。
(変形例10)
アンテナモジュール100と通信ECU200との間の通信を無線通信としてもよい。たとえば、図9に示す車両用無線通信装置1Aでは、アンテナモジュール100A、通信ECU200Aが、それぞれブルートゥース送受信回路165、251を備える。そして、アンテナモジュール100Aと通信ECU200Aは、それらが備えるブルートゥース送受信回路165、251により通信を行う。このブルートゥース送受信回路165、251が装置内無線通信部に相当する。なお、この変形例では、電源240は電源供給用の線を設けてアンテナモジュール100Aへ電源を供給する。
1、1A:車両用無線通信装置 2:車両ルーフ 20:イーサネットケーブル(装置内通信部) 42:外気温センサ 43:日照センサ 44:車速センサ 46:その他のECU群 100、100A:アンテナモジュール 110A:アンテナ 110B:アンテナ 150:通信チップ(送受信回路) 151:受信部 152:受信部 153:送信部 154:ベースバンド処理部 160:インターフェースアダプター 161:CPU 162:メモリ 163:インターフェース部 165:ブルートゥース送受信回路(装置内通信部) 190:無線通信部 192:温度センサ 200、200A:通信ECU 210:演算部 211:CPU 212:メモリ 250:インターフェース部 251:ブルートゥース送受信回路(装置内通信部)

Claims (7)

  1. 車両のボディ外面に設置され、アンテナ(110A、110B)と、前記アンテナを介した無線通信を行う無線通信部(190)と、この無線通信部の温度を検出する温度センサ(192)とを備えるアンテナモジュール(100、100A)と、
    前記車両の内部に設置され、前記無線通信部の温度が異常であるか否かを判定するとともに、前記無線通信部の制御を行う通信ECU(200、200A)と、
    前記アンテナモジュールと前記通信ECUとの間で通信する装置内通信部(20)とを備え、
    前記通信ECUは、正常状態である前記無線通信部の温度変化に影響する温度変化パラメータを取得し、取得した温度変化パラメータに基づいて異常判定閾値を設定し、設定した異常判定閾値と、前記温度センサが検出した無線通信部の温度との比較に基づいて前記無線通信部の温度が異常であるか否かを判定することを特徴とする車両用無線通信装置(1、1A)。
  2. 請求項1において、
    前記通信ECUは、前記温度変化パラメータとして、前記無線通信部の環境温度に影響する環境温度変化パラメータを取得することを特徴とする車両用無線通信装置。
  3. 請求項2において、
    前記環境温度変化パラメータは、日照量、車速、外気温の少なくとも一つであることを特徴とする車両用無線通信装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記通信ECUは、前記温度変化パラメータとして、前記無線通信部の送信電力に関連する送信電力関連パラメータを取得することを特徴とする車両用無線通信装置。
  5. 請求項4において、
    前記送信電力関連パラメータは、送信デューティ比および最大送信電力の少なくとも一方であることを特徴とする車両用無線通信装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記通信ECUは、
    前記無線通信部の温度が異常であるか正常であるかを判定することに加え、異常であると判定する場合には、複数に区分した異常レベルのうちのいずれであるかも判定し、
    前記異常レベルが最も高い場合には無線送信を停止し、前記異常レベルが最も高いレベルよりも低い場合には、異常レベルに対応して予め設定された、送信電力を低減する制御を行うことを特徴とする車両用無線通信装置。
  7. 請求項6において、
    前記通信ECUは、
    異常レベルを3つに区分して前記無線通信部の異常判定を行い、
    前記異常レベルが最も異常であることを示すレベルの場合には無線送信を停止し、
    前記異常レベルが最も低いレベルの場合には、送信デューティ比を正常時よりも低くし、
    前記異常レベルが中間レベルの場合には、送信デューティ比を正常時よりも低くし、且つ、最大送信電力を正常時よりも低くすることを特徴とする車両用無線通信装置。
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