JP2014232255A - 反射防止フィルム - Google Patents

反射防止フィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2014232255A
JP2014232255A JP2013113906A JP2013113906A JP2014232255A JP 2014232255 A JP2014232255 A JP 2014232255A JP 2013113906 A JP2013113906 A JP 2013113906A JP 2013113906 A JP2013113906 A JP 2013113906A JP 2014232255 A JP2014232255 A JP 2014232255A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
mass
film
layer
index layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013113906A
Other languages
English (en)
Inventor
辰徳 加藤
Tatsunori Kato
辰徳 加藤
孝之 野島
Takayuki Nojima
孝之 野島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2013113906A priority Critical patent/JP2014232255A/ja
Publication of JP2014232255A publication Critical patent/JP2014232255A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】指紋の拭取り性に優れると共に、ニジムラも生じない反射防止フィルムを提供する。【解決手段】(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂5〜15質量%、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2〜8質量%、(c)成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂9〜70質量%、(d)中空シリカ微粒子22〜83質量%、(e)光重合開始剤1〜10質量%からなり(但し、(a)〜(e)の合計は100質量%)、成分(b)の含有量が、成分(a)の含有量より少ない低屈折率層を最表層に備え、透明基材フィルムとして、遅相軸方向の屈折率(nx)と進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−y)が0.07〜0.20の、配向ポリエステルフィルムを使用していることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネル表面等に適用される反射防止フィルムに関し、特に指紋の拭取り性に優れると共に、偏光素子上に配置して表示画面を斜めから観察してもニジムラが生じない反射防止フィルムに関する。
現在、画像表示部に直接触れることにより情報を入力できるデバイスとして、タッチパネルが広く用いられている。このタッチパネルの表面には、外光からの反射光によって視認性が悪化することを低減するため、一般的に反射防止フィルムが貼着されている。しかし、タッチパネルはほぼ日常的に外気と接触したり人の手に触れられるため、汚れや指紋などが反射防止フィルムの表面に付着し、視認性の悪化や美観を損ねたりする等の問題があった。
この問題を解決するために、防汚性も兼ね備えた反射防止フィルムが、特許文献1及び特許文献2に提案されている。反射防止フィルムは、一般的に屈折率が相対的に高い高屈折率層と屈折率が相対的に低い低屈折率層とを組み合わせて構成されるが、特許文献1及び特許文献2では、反射防止フィルムの最表面層を構成する低屈折率層に防汚性を付与している。具体的には、特許文献1では、低屈折率層にポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン材料を加えることで防汚性の付与が図られている。また、特許文献2では、フッ素系界面活性剤を低屈折率層へ加えることで防汚性の付与が図られている。なお、特許文献1及び特許文献2では、透明基材フィルムとして、一般的なポリエステルフィルムを使用している。
特開2011-154177号公報 特開2008-122603号公報
しかし、特許文献1の反射防止フィルムでは、マジックインキなどに対する汚れ防止性能には優れるが、指紋付着・拭取り性が不足する課題を有する。また、特許文献2の反射防止フィルムでは、フッ素含有成分の配合量が不適切なため、指紋付着・拭取り性が不足すると共に、マジックインキなどの汚れ防止性能がないといった課題もあった。
また、特許文献1,2では、透明基材フィルムとして一般的なポリエステルフィルムを使用しているため、これらのフィルムを偏光素子上に配置した場合、表示画面を斜めから観察すると、液晶表示装置に色の異なるムラ(ニジムラ)が生じ、液晶表示装置の表示品質が損なわれてしまうという課題がある。
当該ニジムラを抑制するには、COPフィルム、PCフィルム、TACフィルムでもある程度効果が期待できる。しかしながら、これらのフィルムは耐湿熱性に劣るため、高温多湿の環境下においては長時間の保管や使用が難しい。
そこで、本発明の目的とするところは、指紋の拭取り性に優れると共に、偏光素子上に配置して表示画面を斜めから観察してもニジムラが生じない反射防止フィルムを提供することにある。
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂5〜15質量%、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2〜8質量%、(c)前記成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂9〜70質量%、(d)中空シリカ微粒子22〜83質量%、(e)光重合開始剤1〜10質量%からなり(但し、前記各成分(a)〜(e)の合計は100質量%である)、前記成分(b)の含有量が、前記成分(a)の含有量より少ない低屈折率層用樹脂組成物を硬化させてなる低屈折率層を最表層に備え、透明基材フィルムとして、該フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)との差(nx−y)が0.07〜0.20の、配向ポリエステルフィルムを使用していることを特徴とする、反射防止フィルム。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、その下限(○○)及び上限(××)の数値を含む意味である。したがって、正確に表せば「○○以上××以下」となる。
本発明によれば、低屈折率層用樹脂組成物の組成(特に、指紋の拭取り性に直接関与する(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂と(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの配合バランス)を適切に設定したことで、指紋の拭取り性に優れる低屈折率層を形成可能な樹脂組成物と、これを用いた反射防止フィルムを提供することができる。
また、透明基材フィルムには所定の配向ポリエステルフィルムを使用しているため、本発明の反射防止フィルムを偏光素子上に配置した場合に、表示画面を斜めから観察してもニジムラが生じることがない。また、COPフィルムやPCフィルム等と比べて耐湿熱性に優れるため、高温多湿の環境下においても品質が劣化することなく、長時間の保管や使用に適している。
《低屈折率層用樹脂組成物》
本発明で使用する低屈折率層用の樹脂組成物は、タッチパネル等の表面に貼着される反射防止フィルムを構成する層の1つである低屈折率層を形成するための樹脂組成物であって、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光重合開始剤とから成る。
<(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂>
フッ素含有紫外線硬化型樹脂は、防汚性機能を発現するためのものであり、低屈折率層の表面を触った際に付着する脂質である指紋の付着性を弱め、指紋の拭き取り性を高めることができる。フッ素含有紫外線硬化型樹脂としては、C2〜C7のパーフルオロアルキル鎖を含有する(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のオプツールDAC−HPや、DIC(株)製のメガファックRS−75等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートを意味する。また、同様に、後述の「(メタ)アクリル単量体」は、アクリル単量体及びメタクリル単量体を指し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基を指す。
フッ素含有紫外線硬化型樹脂は、低屈折率層用樹脂組成物中に5〜15質量%含まれる。この含有量が5質量%未満では、低屈折率層の表面を触った際に付着する指紋の付着性を弱めることが出来ない。一方、15質量%を超えると、指紋の拭取り性が悪化する。
<(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン>
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層の表面に付着した指紋の拭取り性を向上することが出来る。アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンとしては、具体的には、ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK−UV3500,BYK−UV3530,BYK−UV3570等が挙げられる。
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンは、低屈折率層用樹脂組成物中に2〜8質量%含まれる。この含有量が2質量%未満では、低屈折率層の表面に付着した指紋の拭取り性が向上しない。一方、8質量%を超えると、低屈折率層の表面を触った際に付着する指紋の付着性を弱めることが出来ない。
<(c)紫外線硬化型樹脂>
成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂は、低屈折率層へ硬度を付与する事が出来る。成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂としては、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとして具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール基含有(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、ウレタン変性アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含む多官能重合性化合物等が挙げられる。
成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂は、低屈折率層用樹脂組成物中に9〜70質量%含まれる。この含有量が9質量%未満では、低屈折率層の硬度不足や透過率の低下が生じる。一方、70質量%を超えると、指紋の拭取り性が向上しない。
<(d)中空シリカ微粒子>
中空シリカ微粒子は、低屈折率層の屈折率を積極的に低くするために配合されるものである。中空シリカ微粒子の屈折率は製法によって異なるが、1.25〜1.40程度であることが好ましい。中空シリカ微粒子としては、屈折率を低くするものであれば特に限定されず、従来から反射防止フィルムを構成する低屈折率層に使用されている公知の中空シリカ微粒子を使用できる。具体的には、日揮触媒化成(株)製のアクリル修飾中空シリカ微粒子であるスルーリアNAU等が挙げられる。また、中空シリカ微粒子の平均粒子径も従来と同等であればよい。具体的には、10〜100nm程度である。
中空シリカ微粒子は、低屈折率層用組成物中に22〜83質量%含まれる。中空シリカ微粒子の含有量が22質量%未満では、低屈折率層の屈折率を後述の範囲とすることが出来ない。一方、中空シリカ微粒子の含有量が83質量%より多いと、塗膜強度が弱くなるため好ましくない。
<(e)光重合開始剤>
光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線により低屈折率層用塗液を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤は、低屈折率層用樹脂組成物中に1〜10質量%含まれる。光重合開始剤の含有量が1質量%未満では、低屈折率層の硬化が不十分となる。一方、光重合開始剤の含有量が10質量%を超えると、光重合開始剤が不必要に多くなり好ましくない。
《反射防止フィルム》
反射防止フィルムは、透明基材フィルムの一方面に少なくとも反射防止層が積層された構成である。反射防止層は、上記低屈折率層用樹脂組成物によって形成される低屈折率層のみによって構成することもできるが、低屈折率層よりも屈折率の高い高屈折率層と組み合わせて構成することが好ましい。低屈折率層のみによって構成する場合は、それのみで反射防止効果を担保できるが、低屈折率層と高屈折率層とを組み合わせた場合は、当該低屈折率層と高屈折率層との有意な屈折率差により、より高い反射防止効果を得られる。
<透明基材フィルム>
透明基材フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルからなる配向ポリエステルフィルム(高複屈折フィルムとも称される)を使用する。特に、遅相軸方向の屈折率(nx)と進相軸方向の屈折率(ny)との差(nx−ny:△n)が0.07〜0.20、好ましくは0.10〜0.15のものを使用する。この屈折率差(△n)が0.07未満では、充分なニジムラの抑制効果が得られず、また、後述のリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなる。一方、屈折率差(△n)が0.20を超えると、フィルムに裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する。(nx)としては、1.67〜1.78が好ましく、より好ましくは1.69〜1.73である。(ny)としては、1.55〜1.65が好ましく、より好ましいくは1.57〜1.62である。(nx)、(ny)、及び(△n)が上記の関係を満たすことで、好適なニジムラの抑制効果を得ることができる。
(0000)
また、配向ポリエステルフィルムのリタデーションは、3000〜30000nmが好ましい。リタデーションが3000nm未満では、反射防止フィルムを偏光素子上に配置した場合、斜め方向から観察した時に強い干渉色(ニジムラ)を呈し、包絡線形状が光源の発光スペクトルと相違して良好な視認性を確保することができない場合がある。一方、リタデーションが30000nmを超えても更なる視認性の改善効果は実質的に得られないばかりか、フィルムの厚みも相当に厚くなり、取り扱い性が低下する。より好ましいリタデーションの下限値は5000nm以上であり、さらに好ましくは10000nm以上である。
なお、リタデーションとは、ポリエステルフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、ポリエステルフィルムの厚み(d)とにより、以下の式によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
リタデーションは、例えば王子計測機器製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することもできる。
配向ポリエステルフィルムは、未延伸のポリエステルフィルムを、縦・横方向の何れか一方又は双方に延伸することで結晶配向することで得られる。リタデーションの制御方法としては、延伸倍率、延伸温度、及び作製するポリエステルフィルムの膜厚により適宜設定することができる。具体的には、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、また、膜厚が厚いほど、高いリタデーションを得やすくなり、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、また、膜厚が薄いほど、低いリタデーションを得やすくなる。
透明基材フィルムの膜厚は通常25〜400μm程度、好ましくは25〜200μm程度である。透明基材フィルムの厚みが25μmより薄い場合や400μmより厚い場合には、反射防止フィルムの製造時及び使用時における取り扱い性が低下してしまうと共に、リタデーションを上記範囲に設定し難くなる。
<低屈折率層>
低屈折率層は高屈折率層の屈折率より低く設定されることを要件とし、後述のように必要に応じてハードコート層も積層する場合は、ハードコート層よりも屈折率を低く設定する。具体的には、低屈折率層の屈折率は1.33〜1.46程度が好ましい。該屈折率が1.33未満の場合には十分な硬度を得ることが困難である。その一方、屈折率が1.46を超える場合には十分な反射防止性能を得ることが難しい。
<低屈折率層用樹脂組成物>
低屈折率層を形成するための樹脂組成物としては、上述の組成物を使用する。これを用いて形成した低屈折率層は、十分な硬度を具備しながら上記範囲の屈折率となり、さらに優れた防汚性、詳しくは指紋拭取性を有する。そのため、低屈折率層は反射防止フィルムにおいて最表層とする。これにより、優れた指紋拭取性を有する反射防止フィルムとすることができる。一方、低屈折率層の表層側に他の層を積層すると、反射防止フィルムの指紋拭取性が損なわれる。
<高屈折率層>
高屈折率層は、低屈折率層との有意な屈折率差により反射防止効果を発現させるための層である。高屈折率層の屈折率は、低屈折率層より高く設定される。後述のように必要に応じてハードコート層も積層する場合は、ハードコート層よりも屈折率を高く設定する。具体的には、高屈折率層の屈折率は1.6〜2.4程度が好ましい。この屈折率が1.6より小さい場合、反射防止性能が損なわれる。一方、屈折率が2.4を超える高屈折率層を形成することは現状では困難である。
<高屈折率層用樹脂組成物>
高屈折率層を形成するための樹脂組成物としては、上記高屈折率層の屈折率の範囲において、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば特に制限されず、バインダーとしての有機材料や、積極的に屈折率を高めるために必要に応じてバインダーに分散添加される無機材料等を従来と同様に用いることができる。
有機材料としては、例えば重合硬化後の屈折率が1.6〜1.8程度の重合性単量体を含む組成物等を用いることができる。そのような重合性単量体としては、2−ビニルナフタレン、4−ブロモスチレン、9−ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの重合性単量体を使用した場合は、それのみで有意に高い屈折率を有する層を形成できるので、無機材料の添加は必ずしも必要ない。一方、無機材料も併用する場合は、上記以外の重合性単量体及びこれらの重合体を含む組成物をウェットコーティング時の活性エネルギー線硬化型樹脂として用いることができる。
無機材料としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化シラン、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化錫、ITO等の金属酸化物微粒子が挙げられる。中でも、導電性や帯電防止能の観点からは、酸化錫、酸化アンチモン及びITOが好ましく、高屈折率の観点からは、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムが好ましい。無機材料微粒子の平均粒子径は高屈折率層の厚みを大きく超えないことが好ましく、特に0.15μm以下であることが好ましい。無機材料微粒子の平均粒子径が高屈折率層の厚みより大きくなると、光の散乱が生じる等、高屈折率層の光学性能が低下する傾向にある。
<ハードコート層>
また、反射防止フィルムには、表面硬度を向上するため、必要に応じて透明基材フィルムの一方面のみ若しくは両面にハードコート層を積層することもできる。反射防止層を積層した側に積層する場合は、反射防止層よりも内層側、すなわち透明基材フィルムの直上に積層する。
ハードコート層の屈折率は、1.49〜1.70であることが好ましい。屈折率がこの範囲から外れていると、低屈折率層と高屈折率層との屈折率バランスが崩れ、干渉縞が発生するため好ましくない。また、ハードコート層の乾燥硬化後の膜厚は、1〜20μm程度が好ましい。膜厚が1μmより薄い場合は、十分な表面硬度が得られないため好ましくない。膜厚が20μmより厚い場合は、屈曲性の低下等の問題が生じるため好ましくない。
<ハードコート層用樹脂組成物>
ハードコート層を形成するための樹脂組成物としては、従来より反射防止フィルム等に用いられる公知のものであれば、特に制限されない。例えば、テトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物や、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いることができ、これらを混合してもよい。そして、これらに光重合開始剤を加えて調製したハードコート層用塗液に紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射して硬化させてハードコート層を形成することができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとして具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール基含有(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、ウレタン変性アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含む多官能重合性化合物等が挙げられる。これらのうち生産性及び硬度を両立させる観点より、鉛筆硬度(評価法:JIS−K5600−5−4)がH以上となる活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物の硬化物であることが好ましい。
光重合開始剤は、紫外線(UV)等の活性エネルギー線によりハードコート層用塗液を硬化させて塗膜を形成する際の重合開始剤として用いられる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線照射により重合を開始するものであれば特に限定されず、公知の化合物を使用できる。例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフェリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系重合開始剤、ベンゾイン、2,2−ジメトキシ1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンゾイン系重合開始剤、ベンゾフェノン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系重合開始剤、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系重合開始剤等が挙げられる。
また、ハードコート層は、透光性微粒子を含有していてもよい。透光性微粒子は、ハードコート層に表面の凹凸を形成し、反射防止性(防眩性)を向上させるものである。透光性微粒子としては、例えばシリカのほか、塩化ビニル、(メタ)アクリル単量体、スチレン及びエチレンから選択される少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体などから形成される。更に、ハードコート層は、表面調整剤やスリップ剤等その他添加剤を含有していても良い。
<低屈折率層、高屈折率層、ハードコート層の形成>
低屈折率層、高屈折率層、及びハードコート層は、各樹脂組成物を透明基材フィルム上へ順に塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。低屈折率層、高屈折率層、及びハードコート層の塗布方法は特に制限されず、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、インクジェット法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用できる。活性エネルギー線の種類は特に制限されないが、利便性等の観点から紫外線を用いることが好ましい。尚、ハードコート層の透明基材フィルムに対する密着性を向上させるために、予め透明基材フィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことも可能である。
また、塗工性の観点から、各樹脂組成物は溶媒に希釈し塗工することが好ましい。溶媒としては、各層形成用の塗液に従来から使用されている公知のものであれば特に制限は無く、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系の溶媒が適時選択できる。
<プライマー層>
なお、ハードコート層を積層する場合、透明基材フィルム(配向ポリエステルフィルム)の一方面又は表裏両面には、プライマー層を積層することが好ましい。少なくとも、配向ポリエステルフィルムとハードコート層との間には、両層の密着性を向上させるため、プライマー層を介在させることが好ましい。この場合、プライマー層の屈折率(np)と、配向ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率(nx)及び進相軸方向の屈折率(ny)とが、ny<np<nxとなる関係に設定することが好ましい。各屈折率をこのような関係に設定することで、プライマー層と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差が低減され、ニジムラの発生を確実に抑制することができる。具体的には、プライマー層の屈折率(np)は、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率(ny)の最小屈折率1.55より高く、遅相軸方向の屈折率(nx)の最大屈折率1.78より低い範囲に設定する。好ましくは1.56〜1.65である。
また、プライマー層を介在させる場合は、ハードコート層の屈折率(nh)と、配向ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率(nx)及び進相軸方向の屈折率(ny)との関係も、ny<nh<nxとなる関係に設定することが好ましい。当該関係に設定することで、プライマー層の屈折率がニジムラ防止効果に与える影響がさらに少なくなる。この場合のハードコート層の屈折率(nh)は、上記プライマー層の屈折率と同様である。
プライマー層の材料としては、上記屈折率の条件を満たすものであれば特に限定されず、例えば熱硬化性又は熱可塑性のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び、これらの変性体等が挙げられる。また、プライマー層の屈折率を調整するために、高屈折率微粒子、キレート化合物等を添加することができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多塩基酸成分とジオール成分とから得られるポリエステルを用いることができる。多価塩基成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。
ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを例示することができる。
アクリル樹脂としては、以下に例示されるモノマーを共重合することで得られるものが挙げられる。モノマーとしては、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基又はその塩を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンである。
ウレタン樹脂としては、例えばポリオール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤、架橋剤等で構成されものが挙げられる。ポリオールとしては、例えばポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールのようなポリエーテル、ポリエチレンアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリカプロラクトン等を含むグリコールとジカルボン酸との脱水反応により製造されるポリエステル、カーボネート結合を有するポリカーボネート、アクリル系ポリオール、ひまし油等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
鎖延長剤あるいは架橋剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水等が挙げられる。
屈折率を調整するための高屈折率微粒子としては、上記第1光学干渉層で使用するものと同種のものを使用することができる。高屈折率微粒子の含有量としては特に限定されず、例えばプライマー層に添加する樹脂成分の硬化物の、予め測定した屈折率の値との加重平均で、形成するハードコート層の屈折率が上記関係を満たすよう、その他の成分との関係で適宜調整すればよい。
また、キレート化合物としては、例えば水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物及び水溶性のジルコニウム化合物等が挙げられる。水溶性のチタンキレート化合物としては、例えばジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンのアンモニウム塩、チタンベロキソクエン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
水溶性のチタンアシレート化合物としては、例えばオキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)等が挙げられる。水溶性のジルコニウム化合物としては、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
プライマー層の厚さとしては、要求される性能に応じて適宜調節すればよく特に限定されないが、例えば3〜1000nmとすることができる。特に、プライマー層の厚さが500nm以下であると、鉛筆硬度が向上するので好ましい。一方、プライマー層の厚みが3nm未満であると、配向ポリエステルフィルムとハードコート層との密着性が不充分となる。
プライマー層は、上記成分と必要に応じて他の成分とを溶媒中に混合分散させて調製したプライマー層用塗布液を用いて、他の層と同様に形成することができる。その他の成分としては、例えばレベリング剤、有機又は無機微粒子、光重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防汚剤、スリップ剤、屈折率調整剤、分散剤等が挙げられる。
プライマー層用塗布液を配向ポリエステルフィルムへ塗布するタイミングは、任意の段階で実施することができるが、配向ポリエステルフィルムの製造過程で塗布するのことが好ましく、特に配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布することが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではない。
((低屈折率層用樹脂組成物;LL))
低屈折率層用樹脂組成物として下記原料を使用し、各原料を下記表1に記載した組成にて、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンと、(c)(a)及び(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂と、(d)中空シリカ微粒子と、(e)光開始剤とを混合し、実施例用の低屈折率層用樹脂組成物LL1〜LL16を調製した。尚、表1において各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。
低屈折率層用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂:
ダイキン工業(株)製オプツールDAC−HP
DIC(株)製メガファックRS−75
(b)変性ポリジメチルシロキサン:
アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン;
ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−UV3500
ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−UV3530
アクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン;
ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−UV3570
(c)紫外線硬化型樹脂:
日本化薬(株)製KAYARAD DPHA
日本合成化学工業(株)製紫光UV−7600B
(d)中空シリカ微粒子:
日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子 スルーリアNAU
日揮触媒化成(株)製アクリル修飾中空シリカ微粒子 スルーリア2320
(e)光開始剤:
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE907(I−907)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE184(I−184)
Figure 2014232255
((低屈折率層用樹脂組成物;LL’))
低屈折率用樹脂組成物として、上記原料に加えて下記原料も使用し、各原料を表2に記載した組成にて混合し、比較例用の低屈折率層用樹脂組成物LL’1〜LL’12を調製した。尚、表2において各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。
各原料としては、次の通りである。(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂に対し、フッ素を含有し紫外線硬化しない樹脂として、DIC(株)製メガファックF−558を使用した。(b)アクリル基を有する変性ポリジメチルシロキサンに対し、アクリル基を含有しないポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして、ビックケミー・ジャパン(株)製BYK331を使用した。
Figure 2014232255
(高屈折率層用樹脂組成物;HL)
高屈折率層用樹脂組成物として(f)金属酸化物微粒子47.5質量%と、(g)紫外線硬化型樹脂47.5質量%と、(h)光開始剤5質量%とを混合し、高屈折率層用樹脂組成物HL−1を調製した。尚、各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。
高屈折率層用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
(f)金属酸化物微粒子:シーアイ化成(株)製RTTMIBK15WT%−N24(チタニア分散液)
(g)紫外線硬化型樹脂:日本合成化学工業(株)製紫光UV−7600B
(h)光開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE184(I−184)
(ハードコート層用樹脂組成物;HCL)
ハードコート用樹脂組成物として下記の原料を使用し、各原料を下記表3に記載した組成にて、(i)紫外線硬化型樹脂と、(j)透光線微粒子と、(k)表面調整剤と、(l)光開始剤とを混合し、ハードコート用樹脂組成物HCL1−1〜HCL1−4を調製した。尚、表3において各材料の配合量は、固形分の質量%を記載している。
ハードコート用樹脂組成物の各原料としては、以下の通りである。
(i)紫外線硬化型樹脂:
日本化薬(株)製KAYARAD DPHA
日本合成化学工業(株)製紫光UV−7600B
(j)透光線微粒子:積水化成品(株)製スチレン−アクリル共重合体有機微粒子SSX−105TND(平均粒子径5.0μm、屈折率1.50)
(k)表面調整剤:ビックケミー・ジャパン(株)製BYK−306
(l)光開始剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製IRGACURE184(I−184)
Figure 2014232255
(プライマー層用樹脂組成物;PL)
下記に示す組成の成分を配合してプライマー層用組成物(PL−1)を調製した。
ポリエステル樹脂の水分散体20.7質量%
高屈折率微粒子分散液(E-1):CIKナノテック社製のTiO2微粒子の水分散液、商品名酸化チタンスラリー(固形分20%分散液)0.9質量%
水78.4質量%
(配向ポリエステルフィルム(PET-N)の作製)
溶融ポリエチレンテレフタレートを、290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機社製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率4.5倍に延伸した後、その両面にプライマー層用組成物1をロールコーターにて均一に塗布した。次いで、この塗布フィルムを引続き95℃で乾燥し、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率1.5倍にて延伸を行い、リタデーション=10000nm、膜厚=100μm、nx=1.70、ny=1.60、Δn=0.10のポリエステル基材を得た。なお、プライマー層の屈折率は1.59、膜厚は80nmであった。
((反射防止フィルム;実施例1))
配向ポリエステルフィルム(PET-N)に形成したプライマー層上に、ハードコート用樹脂組成物(HCL1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:1の割合で混合したハードコート層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が7μmとなるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることによりハードコート層を形成した。
次いで、このハードコート層上に、高屈折率層用樹脂組成物(HL−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した高屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより高屈折率層を形成した。
最後に、この高屈折率層上に、低屈折率層用樹脂組成物(実施例1−1)及び溶媒(メチルイソブチルケトン)を1:5の割合で混合した低屈折率層用塗液をバーコーターにて硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、窒素雰囲気下、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより反射防止フィルム(実施例1)を作製した。
((反射防止フィルム;実施例2〜実施例16))
ハードコート用樹脂組成物、高屈折率層用樹脂組成物、低屈折率層用樹脂組成物を下記表4に記載した材料及び各層の組合せとした以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルム(実施例2〜実施例16)を作製した。
得られた各反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率を下記方法で測定した。その結果も下記表4に示す。
Figure 2014232255
<指紋拭取り性>
人工指脂液(尿素1g、乳酸4.6g、ピロリン酸ナトリウム8g、食塩7g、エタノール20mLを蒸留水で1Lに希釈したもの)を1滴反射防止フィルム表面に滴下する。その後、日本製紙クレシア(株)製キムワイプを用い、人工指脂液を馴染ませる。続いて、東レ(株)製トレシーを用いて5往復拭取りを実施した後、表面の跡を目視で観察し下記の3段階で評価した。
○:人工指脂液の跡が無い場合
△:人工指脂液の跡が一部残る場合
×:人工指脂液の跡が残る場合
<耐擦傷性>
反射防止フィルム表面を#0000のスチールウールに250gfの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度30mm/secで10往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、以下の○、×で評価した。スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるようにカット、摩擦して均したものを使用した。
○:傷が0〜10本
×:傷が11本以上
<最小反射率>
反射防止フィルムの裏面反射を防ぐため、裏面をサンドペーパーで粗し、黒色塗料で塗り潰したものを分光光度計[日本分光(株)製、商品名:U−best560]により、光の波長380nm〜780nmの5°、−5°正反射スペクトルを測定した。得られた反射スペクトルより、最小反射率(%)を読み取った。
<透明基材フィルムの膜厚>
透明基材フィルムの厚みd(nm)は、電気マイクロメータ(アンリツ社製)を用いて任意の10点を測定し、単位をnmに換算して平均値を求めた。
<プライマー層、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層の乾燥硬化後の膜厚>
各層の膜厚の測定は、光学積層体の断面をTEM写真で観察し、求めた。
<透明基材フィルムのリタデーション>
透明基材フィルム(配向ポリエステルフィルム)のリタデーションは、配向ポリエステルフィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、配向ポリエステルフィルムの厚み(d)とにより、以下の式によって計算した。
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
<ニジムラ評価>
反射防止フィルムを、液晶モニター(FLATORONIPS226V(LGElectronicsJapan社製))の観察者側の偏光素子上に配置し、液晶表示装置を作製した。なお、配向ポリエステルフィルムの遅相軸と液晶モニターの観察者側の偏光素子の吸収軸とのなす角度が0°となるように配置した。そして、暗所及び明所(液晶モニター周辺照度400ルクス)にて、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び偏光サングラス越しに表示画像の観察を行い、ニジムラの有無を以下の基準に従い評価した。偏光サングラス越しの観察は、目視よりも非常に厳しい評価法である。観察は10人で行い、最多数の評価を観察結果としている。
◎:偏光サングラス越しでニジムラが観察されない。
○:偏光サングラス越しでニジムラが観察されるが、薄く、目視ではニジムラが観察されない、実使用上問題ないレベル。
△:偏光サングラス越しでニジムラが観察され、目視ではニジムラがごく薄く観察される。
×:偏光サングラス越しでニジムラが強く観察され、目視でもニジムラが観察される。
((反射防止フィルム;比較例1〜比較例12))
低屈折率層用樹脂組成物を表5に記載した材料とした以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例1〜比較例12)を作製した。得られた各比較例の反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率を実施例と同様に測定した。その結果も下記表5に示す。
((反射防止フィルム;比較例2−13))
配向ポリエステルフィルム(PET-N)の変わりに、東洋紡社製汎用PETフィルム「A4100」(リタデーション=6200nm、膜厚=188μm、Δn=0.033)を用いた以外は、実施例1と同様にして、反射防止フィルム(比較例13)を作製した。得られた各比較例の反射防止フィルムについて、指紋拭取り性、耐擦傷性、最小反射率、ニジムラを実施例と同様に測定した。その結果も下記表5に示す。
Figure 2014232255
表4の結果から、実施例1〜16では指紋拭取り性、耐擦傷性、及び反射防止性能共に優れると共に、ニジムラも生じていなかった。
その一方、表5の結果から、比較例1〜9は、(a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂と、(b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの配合が適切でないことから、指紋拭取り性が悪い結果となった。比較例10は、光重合開始剤の配合量が少ないことから、硬度(耐擦傷性)に劣る結果となった。比較例11は、フッ素含有紫外線硬化型樹脂でなく、フッ素を含有し紫外線硬化しない樹脂を用いたことから、耐擦傷性が弱い結果となった。比較例12は、アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサンでなく、アクリル基を含有しないポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを用いたことから、耐擦傷性が弱い結果となった。比較例13は、配向ポリエステルフィルムでなく、汎用PETフィルムを用いたことからニジムラが強くなった。

Claims (1)

  1. (a)フッ素含有紫外線硬化型樹脂5〜15質量%、
    (b)アクリル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はアクリル基を有するポリエステル変性ポリジメチルシロキサン2〜8質量%、
    (c)前記成分(a)及び成分(b)と共重合可能な紫外線硬化型樹脂9〜70質量%、
    (d)中空シリカ微粒子22〜83質量%、
    (e)光重合開始剤1〜10質量%、
    からなり(但し、前記各成分(a)〜(e)の合計は100質量%である)、
    前記成分(b)の含有量が、前記成分(a)の含有量より少ない低屈折率層用樹脂組成物を硬化させてなる低屈折率層を、最表層に備えており、
    透明基材フィルムとして、該フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)との差(nx−y)が0.07〜0.20の、配向ポリエステルフィルムを使用していることを特徴とする、反射防止フィルム。

JP2013113906A 2013-05-30 2013-05-30 反射防止フィルム Pending JP2014232255A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013113906A JP2014232255A (ja) 2013-05-30 2013-05-30 反射防止フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013113906A JP2014232255A (ja) 2013-05-30 2013-05-30 反射防止フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014232255A true JP2014232255A (ja) 2014-12-11

Family

ID=52125670

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013113906A Pending JP2014232255A (ja) 2013-05-30 2013-05-30 反射防止フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014232255A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016218395A (ja) * 2015-05-26 2016-12-22 日油株式会社 反射防止フィルム
WO2017099184A1 (ja) * 2015-12-09 2017-06-15 旭硝子株式会社 硬化性組成物および硬化物
CN113004558A (zh) * 2021-02-26 2021-06-22 中国空气动力研究与发展中心设备设计与测试技术研究所 表面剪切应力敏感膜及其制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008019402A (ja) * 2006-07-14 2008-01-31 Jsr Corp 硬化性樹脂組成物及び反射防止膜
JP2008044979A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Jsr Corp 硬化性樹脂組成物及び反射防止膜
JP5051328B1 (ja) * 2012-01-27 2012-10-17 大日本印刷株式会社 光学積層体、偏光板及び画像表示装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008019402A (ja) * 2006-07-14 2008-01-31 Jsr Corp 硬化性樹脂組成物及び反射防止膜
JP2008044979A (ja) * 2006-08-11 2008-02-28 Jsr Corp 硬化性樹脂組成物及び反射防止膜
JP5051328B1 (ja) * 2012-01-27 2012-10-17 大日本印刷株式会社 光学積層体、偏光板及び画像表示装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016218395A (ja) * 2015-05-26 2016-12-22 日油株式会社 反射防止フィルム
WO2017099184A1 (ja) * 2015-12-09 2017-06-15 旭硝子株式会社 硬化性組成物および硬化物
US10927199B2 (en) 2015-12-09 2021-02-23 AGC Inc. Curable composition and cured product
CN113004558A (zh) * 2021-02-26 2021-06-22 中国空气动力研究与发展中心设备设计与测试技术研究所 表面剪切应力敏感膜及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4661946B2 (ja) 光学用易接着性ポリエステルフィルム及び光学用積層ポリエステルフィルム
JP6036300B2 (ja) ハードコートフィルム、偏光板及び画像表示装置
JP2019520608A (ja) ポリウレタンアクリレート保護ディスプレイフィルム
WO2021020504A1 (ja) 反射防止フィルム
KR101664735B1 (ko) 지문방지 하드코팅 조성물 및 이를 이용한 지문방지 하드코팅 필름
KR102608557B1 (ko) 하드 코트 필름
JP6135134B2 (ja) 光学積層体及び画像表示装置
JP5235316B2 (ja) 光学用積層フィルム及び画像表示装置
JP2013010323A (ja) ハードコートフィルム
CN111712534B (zh) 抗反射膜、偏光板和显示装置
WO2011105594A1 (ja) ハードコートフィルムおよびその製造方法
JP2008018652A (ja) 積層フィルム及び画像表示装置
JP2016218395A (ja) 反射防止フィルム
TW201307085A (zh) 層疊體
JP2014232255A (ja) 反射防止フィルム
JP2014235233A (ja) 防眩性反射防止フィルム
JP7166056B2 (ja) ハードコートフィルムの製造方法
JP6241068B2 (ja) 色調補正フィルム及びそれを用いた透明導電性フィルム
JP6171300B2 (ja) 透明導電性フィルム、及び透明粘着層を積層した透明導電性粘着フィルム
JP5987466B2 (ja) 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム
JP2012068398A (ja) ハードコートフィルム
JP6225428B2 (ja) 低屈折率層用樹脂組成物及び反射防止フィルム
JP6337600B2 (ja) 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム
JP2014151472A (ja) 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム
JP7166057B2 (ja) ハードコートフィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170426

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170523