JP2014231372A - 積層チューブ容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】肩部に別部材を用いることなく、特殊な高価な樹脂を使用する必要のない、安定したガスバリア性を発揮する積層チューブ容器を提案するものである。【解決手段】ガスバリア層を含む積層体10が筒状に成形された胴部2と、該胴部の上端部に連設された肩部3と、該肩部に連設された口栓部4とを有する積層チューブ容器1であって、前記肩部3には、前記胴部2を構成する積層体10のガスバリア層を含む一部の層7が延設されており、前記胴部2の上端部と、前記延設された一部の層7を含む肩部3と、前記口栓部4とが熱可塑性樹脂6によって一体化されていることを特徴とする積層チューブ容器である。【選択図】図1
Description
本発明は、各種の高粘性液体を収納するための、ガスバリア性の改善された積層チューブ容器に関する。
従来、歯磨き、白髪染め、化粧品、練りわさび、からし、コンデンスミルクなど高粘度の液状内容物を収納し、絞り出して使用するためのチューブ容器が用いられている。
従来、保存性を高めたガスバリア性チューブ容器としては、円筒状の胴部にガスバリア層を含む積層体を使用したものがあった。しかし、熱可塑性樹脂で成型される肩部には、胴部のようにガスバリア層が存在しないため、この部分のガスバリア性は、樹脂の持つガスバリア性に頼らざるをえず、多くの場合それは十分ではなかった。
そこで肩部から口栓部にかけてのガスバリア性を向上するために、この部分に、ガスバリア性の別部材を挿入する方法が提案されている。
特許文献1に記載されたプラスチック製容器は、円筒状の胴部と、この胴部上端に設けられた肩部とからなるプラスチック容器において、前記肩部をガスバリア樹脂層を含む多層プラスチックシートからなる肩部形成体と、この肩部形成体の表面に圧縮成型又は射出成型された合成樹脂により形成したことを特徴とするプラスチック製容器である。
また特許文献2に記載された積層チューブ容器は、積層材を使用した筒状胴部に肩部と口頸部からなるヘッド部を接続した積層チューブ容器において、前記ヘッド部の内層が環状オレフィンコポリマーで、外層がポリアクリルニトリルコポリマーで形成されていることを特徴とする積層チューブ容器である。
特許文献2に記載された積層チューブ容器には、ヘッド部の内層として、環状オレフィンコポリマーによって予め成型されたヘッド部挿入部材が用いられている。
特許文献1および2に記載された容器は、いずれも肩部に別部材を使用するものであるが、肩部および口栓部を成型する際に、このような別部材を挿入してインモールド成型するためには、特殊な成形機の機構が必要なばかりでなく、肩部材の位置のばらつきによって、意図したバリア性を発揮しない場合があった。また、肩部材と胴部の間に隙間が生じてバリア性を十分に付与できないという問題点があった。
また、特許文献2に記載された容器においては、口栓部を成形する際、ガスバリア性の高い特殊な樹脂を使用するため、コストアップに繋がるという問題があった。本発明の解決しようとする課題は、肩部に別部材を用いることなく、特殊な高価な樹脂を使用する必要のない、安定したガスバリア性を発揮する積層チューブ容器を提案するものである。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、ガスバリア層を含む積層体が筒状に成形された胴部と、該胴部の上端部に連設された肩部と、該肩部に連設された口栓部とを有する積層チューブ容器であって、前記肩部には、前記胴部を構成する積層体のガスバリア層を含む一部の層が延設されており、前記胴部の上端部と、前記延設された一部の層を含む肩部と、前記口栓部とが熱可塑性樹脂によって一体化されていることを特徴とする積層チューブ容器である。
本発明に係る積層チューブ容器は、胴部を構成する積層体のガスバリア層が肩部に延設されているため、胴部と肩部のガスバリア層が繋ぎ目なく連続しており、従ってガスバリア性が安定して発揮される。
また、請求項2に記載の発明は、前記肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層が、積層体の内層を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層チューブ容器である。
また、請求項3に記載の発明は、前記肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層が、積層体の外層を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層チューブ容器である。
また、請求項4に記載の発明は、前記肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層が、積層体の中間層を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層チューブ容器である。
本発明に係る積層チューブ容器は、肩部におけるガスバリア層が胴部から延設されたものであり、従来のように別部材を使用したものではないため、別部材を使用することに起因するさまざまな欠陥すなわち、別部材の位置ずれによるガスバリア性の低下や、別部材と胴部の隙間によるガスバリア性の低下等を生じることがない。
また、肩部に別部材を使用しないため、成形機の機構が簡単で済み、成形の能率も向上するという効果がある。
以下、本発明に係る積層チューブ容器について、図面を参照しながら説明する。
図1(1)は、本発明に係る積層チューブ容器(1)の一実施態様を示した斜視図であり、図1(2)は、図1(1)のA−A’断面を示した断面模式図である。また、図5は、本発明に係る積層チューブ容器(1)の胴部を成形する方法を示した説明図である。図5(1)は、胴部平面ブランクの平面模式図である。図5(2)は、その断面説明図である。図5(3)は、平面ブランクを円筒状に接合した状態を示した斜視図である。図5(4)は、積層体の延設された部分(8)を肩状に成形した状態を示した斜視図である。
以下これらの図を参照しながら、説明する。
図1(1)は、本発明に係る積層チューブ容器(1)の一実施態様を示した斜視図であり、図1(2)は、図1(1)のA−A’断面を示した断面模式図である。また、図5は、本発明に係る積層チューブ容器(1)の胴部を成形する方法を示した説明図である。図5(1)は、胴部平面ブランクの平面模式図である。図5(2)は、その断面説明図である。図5(3)は、平面ブランクを円筒状に接合した状態を示した斜視図である。図5(4)は、積層体の延設された部分(8)を肩状に成形した状態を示した斜視図である。
以下これらの図を参照しながら、説明する。
本発明に係る積層チューブ容器(1)は、ガスバリア層を含む積層体(10)が筒状に成形された胴部(2)と、胴部(2)の上端部に連設された肩部(3)と、肩部(3)に連設された口栓部(4)とを有する積層チューブ容器であって、肩部(3)には、胴部(2)を構成する積層体(10)のガスバリア層を含む一部の層(7)が延設されて延設された部分(8)を形成しており、胴部(2)の上端部と、延設された一部の層(8)を含む肩部(3)と、口栓部(4)とが熱可塑性樹脂(6)によって一体化されていることを特徴とする積層チューブ容器である。
図1(1)、(2)に示した実施態様においては、口栓部(4)にキャップ(5)が装着されており、胴部(2)の下部は、内容物を充填後に熱シールされて、充填シール部(9)を形成している。なお、図1(2)において、内容物は省略されている。
図1(1)、(2)に示した実施態様においては、積層体(10)の、内層を構成する層が、ガスバリア層を含む一部の層(7)であり、延設された部分(8)が、肩部(3)にまで及んでいる。
積層体(10)は、チューブ容器の胴部(2)を構成するものであるため、相当の厚さと剛性を備えたものであるが、このため、積層体(10)をそのまま成形して肩部(3)を形成することには、困難が伴う。
本発明に係る積層チューブ容器(1)においては、積層体(10)の層構成のうち、ガスバリア層を含む一部の層(7)のみを延設し、この延設した部分(8)で肩部(3)を形成するようにしたので、肩部の成形が可能となり、肩部(3)のガスバリア性を確保することができたものである。
本発明に係る積層チューブ容器(1)の胴部(2)を成形するには、図5(1)に示したように、予めガスバリア層を含む一部の層(7)を延設した状態の胴部平面ブランクを作製しておき、これを円筒状に丸めて端部を接合し、図5(3)の状態にする。この例では、ガスバリア層を含む一部の層(7)が積層体(10)の内層を構成している。
次に、図5(4)に示したように、ガスバリア層を含む一部の層(7)が延設された部分(8)を肩状に予備成形する。肩部形状に合わせて予備成形する方法としては、延伸したフィルムの加熱収縮を利用する方法や、雄雌型による成形方法が利用できる。なおこの時の成形はチューブ容器の最終的な肩形状に正確に一致している必要はなく、大体でよい。ガスバリア層を含む一部の層(7)が十分に薄い場合には、全く予備成形をする必要がない場合もある。
図5(4)の状態となった胴部(2)を金型内に挿入して、胴部(2)の上端部と、延設された一部の層(8)を含む肩部(3)と、口栓部(4)とを、熱可塑性樹脂(6)に
よって同時に一体に成形すると、本発明に係る積層チューブ容器(1)の本体部分が完成する。
よって同時に一体に成形すると、本発明に係る積層チューブ容器(1)の本体部分が完成する。
この時の成形方法としては、射出成型法かまたは圧縮成形法によるインサート成型法が利用できる。特に予備成形をしない場合には、樹脂の流速の遅い圧縮成形法が有利である。熱可塑性樹脂(6)の材質としては、一般的なポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を用いることができる。
図2〜4は、本発明に係る積層チューブ容器(1)のそれぞれ異なる実施態様を示した断面説明図である。図2に示した実施態様は、図1(2)と同様であり、積層体(10)の層構成のうち、肩部に延設されるガスバリア層を含む一部の層(7)が積層体(10)の内層を構成している例である。
図2に示したように、熱可塑性樹脂(6)は、積層体(10)や延設された部分(8)の端面を覆うように設計されることが好ましい。
図3に示した実施態様は、肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層(7)が、積層体(10)の外層を構成している例であり、図4に示した実施態様は、同様に肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層(7)が、積層体(10)の中間層を構成している例である。
このように、肩部に延設されるガスバリア層を含む一部の層(7)は、積層体(10)の層構成のどの部分にあっても良いが、積層体の作りやすさから言えば、ガスバリア層を含む一部の層(7)が積層体(10)の最内層側か最外層側にある方が好ましい。
積層体(10)において、延設された部分(8)を形成する方法としては、いくつかの方法がある。その一つは、予めガスバリア層を含む一部の層(7)の幅よりもその他の部分の幅を狭く作っておき、貼り合わせる方法である。この時の貼り合わせ方法としては、ポリエチレン樹脂などを用いた押出しラミネート法を用いると段差部分がつぶれるため境目がなめらかになり好都合である。
積層体(10)において、延設された部分(8)を形成する他の方法としては、延設される層以外の層を予め作っておき、延設されるべき部分に孔をあけ、しかる後に、延設される部分にあたるガスバリア層を含む一部の層(7)を孔の部分を含む全面に貼り合わせる方法がある。
この方法は、紙カップ容器などにおいて、紙の端面を保護するために表裏面の熱可塑性樹脂層を延設するために用いられる方法である。この場合も、貼り合わせ方法としては、ポリエチレン樹脂などを用いた押出しラミネート法が好都合である。
積層体(10)の層構成としては、特に制約されるものではないが、積層体(10)の最内面及び最外面には、熱シール可能な熱可塑性樹脂層が必要である。また、ガスバリア層を含む一部の層(7)も表裏面に熱シール可能な熱可塑性樹脂層を備えている必要がある。そして、この熱可塑性樹脂層の材質は、口栓部(4)の成形に用いる熱可塑性樹脂(6)と同一の材質であることが望ましい。
ガスバリア層を含む一部の層(7)の層構成としては、例えば表裏面の熱シール可能な層として、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等が用いられる。またガスバリア層としては、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層、あるいはアルミニウム箔等の金属箔などを用いることができる。
ガスバリア層を含む一部の層(7)の層構成に用いる材質としては、上記の他、紙、各種プラスチックフィルムの単体または積層体を用いることができ、印刷層が含まれていても良い。
ガスバリア層を含む一部の層(7)以外の積層体(10)を構成する層としては、容器の最外面としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱シール可能な材質を用いる他には、紙、各種プラスチックフィルムの単体または積層体、アルミニウム箔等を用いることができる。また、印刷層が含まれる場合もある。
以下実施例に基いて、本発明に係る積層チューブ容器について具体的に説明する。
以下実施例に基いて、本発明に係る積層チューブ容器について具体的に説明する。
図6に示した層構成の積層体(10)を作製した。まずガスバリア層として厚さ12μmのPETフィルムにアルミナを蒸着した無機蒸着フィルム(20)を用い、これと、チューブ容器の最内層となる厚さ100μmのPE樹脂フィルムをウレタン系接着剤層(21)を介してドライラミネート法によって貼り合わせた。
一方、厚さ12μmのPETフィルム(14)にウレタン系グラビアインキを用いて印刷層(15)を形成し、印刷面にウレタン系接着剤層(16)を介して厚さ160μmの乳白PEフィルム(17)をドライラミネート法によって貼り合わせた。またPETフィルム(14)の反対側の面には、ウレタン系アンカー剤(13)を塗布して、チューブ容器の最外層となる厚さ40μmのPE樹脂フィルム(11)を、厚さ38μmの押出しPE樹脂(12)によって貼り合わせた。
この積層体を先に作った積層体よりも狭い所定の幅にスリッターした後、この積層体の乳白PEフィルム(17)面と、先に用意した無機蒸着フィルム(20)のPET面とを、PET面にウレタン系アンカー剤(19)を塗布して、厚さ18μmの押出しPE樹脂(18)によって貼り合わせた。
以上により、総厚380μmの積層体(10)が得られた。このうち、ガスバリア層を含む一部の層(7)の厚さは、130μmである。
得られた積層体(10)にスリッター及び打抜きを施して、図5(1)の形状の胴部平面ブランクを作製した。平面ブランクの側端縁同士を熱シールして円筒状とし、図5(3)の状態とした。胴部の直径は40mm、胴部の長さ142mm、ガスバリア層を含む層が延設された部分の長さを15mmとした。
この胴部を予備成形を行わずに金型内にセットし、延設された部分が肩部の内側になるように、PE樹脂の圧縮成形によって口栓部、肩部、胴部を一体化した。
得られた積層チューブ容器の20℃65%RHにおける酸素バリア性を測定した。比較例として、肩部にガスバリア層の延設部がないサンプルを作製して比較した。
その結果、比較例のサンプルでは、酸素透過率が0.0035ml/atm/day/pkgであったが、実施例1のサンプルでは、0.0015ml/atm/day/pkgと、比較例の半分以下であった。なお測定には、MOCON社の酸素透過率測定装置を用いた。
1・・・積層チューブ容器
2・・・胴部
3・・・肩部
4・・・口栓部
5・・・キャップ
6・・・熱可塑性樹脂
7・・・ガスバリア層を含む一部の層
8・・・延設された部分
9・・・充填シール部
10・・・積層体
11・・・PE樹脂フィルム
12・・・押出しPE樹脂
13・・・ウレタン系アンカー剤
14・・・PET樹脂フィルム
15・・・印刷層
16・・・ウレタン系接着剤層
17・・・乳白PE樹脂フィルム
18・・・押出しPE樹脂
19・・・ウレタン系アンカー剤
20・・・無機蒸着フィルム
21・・・ウレタン系接着剤層
22・・・PE樹脂フィルム
2・・・胴部
3・・・肩部
4・・・口栓部
5・・・キャップ
6・・・熱可塑性樹脂
7・・・ガスバリア層を含む一部の層
8・・・延設された部分
9・・・充填シール部
10・・・積層体
11・・・PE樹脂フィルム
12・・・押出しPE樹脂
13・・・ウレタン系アンカー剤
14・・・PET樹脂フィルム
15・・・印刷層
16・・・ウレタン系接着剤層
17・・・乳白PE樹脂フィルム
18・・・押出しPE樹脂
19・・・ウレタン系アンカー剤
20・・・無機蒸着フィルム
21・・・ウレタン系接着剤層
22・・・PE樹脂フィルム
Claims (4)
- ガスバリア層を含む積層体が筒状に成形された胴部と、該胴部の上端部に連設された肩部と、該肩部に連設された口栓部とを有する積層チューブ容器であって、
前記肩部には、前記胴部を構成する積層体のガスバリア層を含む一部の層が延設されており、
前記胴部の上端部と、前記延設された一部の層を含む肩部と、前記口栓部とが熱可塑性樹脂によって一体化されていることを特徴とする積層チューブ容器。 - 前記肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層は、積層体の内層を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層チューブ容器。
- 前記肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層は、積層体の外層を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層チューブ容器。
- 前記肩部に延設された積層体のガスバリア層を含む一部の層は、積層体の中間層を構成するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層チューブ容器。
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2013
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