JP2014230431A - 電動機およびそれを備えた圧縮機 - Google Patents

Abstract

【課題】従来はスロットのヨーク部とティース部に微小な凸凹が設けられており、磁束密度の高い部分、特にティース部に複数の凹部を設けると磁束の飽和によって、鉄損増、トルク定数減を招き効率が低下する課題があった。【解決手段】ヨークとティースで構成されるスロットに絶縁紙を介して巻線を施してなる固定子と、永久磁石を設けてなる回転子とを備え、スロットのヨーク部分に複数のヨーク凹部を設ける。また１つのティースに１箇所の狭小部を設ける。【選択図】図１

Description

本発明は、漏れ電流が低減でき、かつ高効率な電動機およびこれを搭載した圧縮機またはその他機器に関するものである。

電動機は、ティースとヨークで構成されるスロット部に比誘電率の高い絶縁紙を介して巻線を巻回するため、アースされているスロット部と電圧が印加される巻線間に漏れ電流が流れる。特許文献１は、ティースとヨークで構成されているスロット内の形状を全て微小な複数の凸凹状とすることで、比誘電率の低い空隙を設け、漏れ電流低減を図っている。

特開平８−１０７６４２号公報

しかしながら、磁束密度の高い部分、特にティース部に複数の凹部を設けると磁束の飽和によって、鉄損増、トルク定数減を招き効率が低下する。本発明は、ヨーク部に磁束の流れを妨げない程度に大きな凹部を設け、またティース部に高調波鉄損を低減するため１箇所のみ狭小部を設けることで、漏れ電流を低減すると共に、効率を改善することができる。

前記従来の課題を解決するため、本発明の電動機は、環状のヨークと前記ヨークの内周部に配置された複数のティースとを有し、前記ヨークと前記ティースで構成されるスロット部に絶縁紙を介して巻線を巻回してなる固定子と、前記固定子の内周に僅かな空隙を介して対向し、回転自在に保持され、回転子鉄心内部あるいは表面に永久磁石を設けてなる回転子により構成され、前記スロットのヨーク部のみに複数の凹部を設けたもので、この構成により漏れ電流を低減することができる。

本発明の電動機は、漏れ電流を低減すると共に、効率の改善をすることができる。

本発明の実施の形態１における電動機の径方向の断面図 同電動機のティースの拡大断面図 同電動機のスロットの拡大断面図 本発明の実施の形態２における電動機のティースの拡大断面図

本発明は、環状のヨークとヨークの内周部に配置された複数のティースとを有し、ヨークとティースで構成されるスロットに絶縁紙を介して巻線を巻回してなる固定子と、固定子の内周に僅かな空隙を介して対向し、回転自在に保持され、回転子鉄心内部あるいは表面に永久磁石を設けてなる回転子を備え、スロットのヨーク部分のみに複数の凹部を設けたもので、漏れ電流を低減することができる。

また、１つのティースに狭小部を１箇所設け、かつ１つのティースを挟んで隣り合うヨーク凹部の最短幅を、前記狭小部を除き、ティース幅よりも広くすることが好ましい。また１つのティースを挟んで隣り合うヨーク凹部の最短幅をティース幅より狭くして、狭小部としてもよい。

更に、ヨーク凹部の幅は巻線径よりも広くするほうが好ましく、ヨーク凹部の前記絶縁紙と接触する部分にはＲ面取りを設けるほうがよい。また、巻線方法が分布巻である場合や、駆動方法がＰＷＭ方式である場合は、より効果を発揮できる。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

（実施の形態１）
図１は、本発明の実施の形態１における電動機の径方向の断面図である。電動機は固定子１０と回転子２０から構成されている。回転子２０は、前記固定子１０の内周に僅かな空隙を介して対向し、回転自在に保持され、回転子鉄心２１の内部に永久磁石２２が設けられている。

固定子１０は、環状のヨーク１１とヨーク１１の内周部に配置された複数のティース１２とを有し、ヨーク１１とティース１２で構成されるスロット１３に絶縁紙１４を介して巻線１５が巻回されている。スロット１３内のヨーク部分には、複数のヨーク凹部１６を設けている。

ヨーク凹部１６の深さが浅い場合、比誘電率の低い空隙部が小さくなり、漏れ電流低減効果が小さくなる。そのため、ヨーク凹部１６の深さは、概ね前記絶縁紙の厚さ以上としており、比誘電率の低い空隙部を確保している。

図２は、スロット部分の拡大図である。１つのティース１２に対し、狭小部３５を１箇所設けており、かつヨーク凹部１６と、１つのティース１２を挟んで隣り合うヨーク凹部１７の最短幅３１は、狭小部３５を除き、ティース幅３０よりも広く構成している。

なお、ティース１２の一部に狭小部３５を設けることで、高調波鉄損を低減できるが、ヨーク凹部１６と隣り合うヨーク凹部１７の幅がティース幅３０よりも狭く構成されると複数の狭小部ができるため、ティースの磁束密度が複数箇所で高くなり、基本波の鉄損が増加してしまい効率が低下する。

そこで、本実施の形態では、ヨーク凹部１６と隣り合うヨーク凹部１７の最短幅３１は、狭小部３５を除き、ティース幅３０よりも広く構成し、狭小部３５を１箇所にすることで、基本波鉄損を増加させることなく、高調波鉄損を低減することができ、かつ漏れ電流を低減することができる。

図３は、スロット部分の詳細図である。ヨーク凹部１６の凹部幅３３は、巻線径３２よりも広く構成している。絶縁紙１４を介してスロット１３に接する巻線１５の本数が少なくなるので、漏れ電流低減効果を増大させることができる。

また、ヨーク凹部１６の絶縁紙１４と接触する部分には、Ｒ面取り４０を施している。これにより比誘電率の低い空隙部が大きくなり、漏れ電流低減効果を増大させることができる。また、巻線時に前記絶縁紙の破れ防止を図ることができる。なお、Ｒ面取り４０の代わりにテーパー形状で構成しても、同様の効果を得ることができる。

（実施の形態２）
図４は実施形態２の電動機のスロット部分の拡大図である。ヨーク凹部１８と、ティース１２を挟んで隣り合うヨーク凹部１９の最短幅３４を、ティース幅３０よりも狭くしている。つまり、この最短幅３４が狭小部に相当することになり、実施形態１と同様に、高調波鉄損を低減し、かつ基本波鉄損を増加させることなく効率改善ができ、かつ漏れ電流を低減することができる。

なお、前述の実施形態１および２において、固定子１０の巻線方法が分布巻の場合、つまり絶縁紙１４を介してスロット１３と接する巻線１５の本数が多いと、漏れ電流が大きくなるが、本形態によれば、漏れ電流低減の効果をより効果的に発揮させることができる。

また電動機の運転方法がＰＷＭ方式の場合は、高調波鉄損が大きいため、本形態によれば、高調波鉄損低減効果をより効果的に発揮させることができる。

なお、永久磁石２２に希土類磁石を用いた場合は、ティース１２の磁束密度は高くなり鉄損の割合が大きくなるため、本形態によれば、高調波鉄損低減による効率改善効果をより効果的に発揮させることができる。

以上のように、本発明にかかる電動機は、電流を低減すると共に、効率改善をすることができるので、電動圧縮機をはじめ、その他の機器に適用可能である。

１０ 固定子
１１ ヨーク
１２ ティース
１３ スロット
１４ 絶縁紙
１５ 巻線
１６、１７、１８，１９ ヨーク凹部
２０ 回転子
２１ 回転子鉄心
２２ 永久磁石
３０ ティース幅
３１ 最短幅
３２ 巻線径
３３ 凹部幅
３４ 最短幅
３５ 狭小部
４０ Ｒ面取り

Claims (8)

1. 環状のヨークと前記ヨークの内周部に配置された複数のティースとを有し、前記ヨークと前記ティースで構成されるスロットに絶縁紙を介して巻線を施してなる固定子と、
   前記固定子の内周に僅かな空隙を介して対向し、回転自在に保持され、回転子鉄心内部あるいは表面に永久磁石を設けてなる回転子とを備え、前記スロットの前記ヨーク部分のみに複数のヨーク凹部を設けたことを特徴とする電動機。
2. 前記ティースに狭小部を１箇所設け、かつ前記ヨーク凹部と、１つの前記ティースを挟んで隣り合うヨーク凹部との最短幅が、前記狭小部を除き、ティース幅よりも広いことを特徴とする請求項１記載の電動機。
3. 前記ヨーク凹部と、１つのティースを挟んで隣り合うヨーク凹部との最短幅が、前記ティース幅よりも狭いことを特徴とする請求項１記載の電動機。
4. 前記ヨーク凹部の幅が巻線径よりも大きいことを特徴とする請求項１〜請求項３のいずれか一項に記載の電動機。
5. 前記ヨーク凹部の前記絶縁紙と接触する部分にＲ面取りが施されていることを特徴とする請求項１〜請求項４のいずれか一項に記載の電動機。
6. 前記固定子の巻線方法が分布巻であることを特徴とする請求項１〜請求項５のいずれか一項に記載の電動機。
7. 運転方法がＰＷＭ方式であることを特徴とする請求項１〜請求項６のいずれか一項に記載の電動機。
8. 請求項１〜請求項７のいずれか一項に記載の電動機を備えた圧縮機。