JP2014229824A - Iii族窒化物半導体レーザ素子、iii族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体レーザ素子、iii族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本実施の形態によれば光閉じ込め能を向上可能なIII族窒化物半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、シリコン系無機絶縁層18はリッジ構造35の側面35b上の第1部分18aとトレンチ溝36の底面36a上の第2部分18bとを含む。シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面は、第1軸Ax1の方向に延在する一又は複数の溝20を有する表面構造を備えており、電極41が、この表面構造の凹凸に空隙を形成するように、シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面を覆う。リッジ側壁部35b上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、絶縁膜(例えばシリコン系無機絶縁層18)とリッジ構造35との屈折率差を高めることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物半導体レーザ素子、及びIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法に関する。
特許文献1は、半導体リッジ導波管レーザを開示する。この構造は、基板、及び上部と下部のクラッド層の間に配置された活性層を含むと共に、更に、上部クラッド層のコンタクト層と台形のリッジ部から成る導波管リッジを含む。台形のリッジ部は、その側面に、直接に上から見ると、正弦波状の凹凸を含む。
特開平6−216471号公報
III族窒化物半導体レーザ素子における一形態は、リッジ構造の側面、及び該リッジ構造を規定するトレンチ溝の底面に形成された緻密なSiOの絶縁膜でリッジ構造を覆っており、この絶縁膜と半導体リッジとにより規定される屈折率差に基づく光閉じ込め能を得ている。半導体の材料は、作製されるレーザダイオードのためのエピタキシャル膜構造により規定されるので、屈折率差に基づいて閉じ込め能を向上させるためには、上記の絶縁膜に低屈折率の材料を適用することになる。しかしながら、絶縁膜の材料の変更による屈折率差の変更には限界がある。また、III族窒化物半導体レーザ素子に新たな絶縁膜材料を適用するためには、その絶縁膜材料の適用に係る様々な検討が必要である。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、光閉じ込め能を向上可能なIII族窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。また、本発明は、光閉じ込め能を向上可能な、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子は、(a)III族窒化物半導体からなる主面を有する基板と、(b)第1導電型半導体層を含む第1III族窒化物領域と、(c)第1軸の方向に延在するリッジ構造と該リッジ構造を規定するトレンチ溝とを有しており、第2導電型半導体層を含む第2III族窒化物領域と、(d)III族窒化物からなる活性層と、(e)前記リッジ構造の上面に開口を有すると共に前記第2III族窒化物領域上に設けられたシリコン系無機絶縁層と、(f)前記リッジ構造の前記上面上に設けられたオーミック電極と、(g)前記オーミック電極及び前記シリコン系無機絶縁層上に設けられた電極とを備え、前記活性層は、前記第1III族窒化物領域と前記第2III族窒化物領域との間に設けられ、前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の側面上に設けられた部分と前記トレンチ溝の底面上に設けられた別の部分とを含み、前記シリコン系無機絶縁層の前記部分の表面は表面構造を備え、前記表面構造は、100nm〜200nmの範囲内の深さを持ち前記第1軸の方向に延在する一又は複数の溝を有し、前記電極は、前記表面構造に起因する空隙を残すように、前記シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面を覆う、III族窒化物半導体レーザ素子。
このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、シリコン系無機絶縁層はリッジ構造の側面上の第1部分とトレンチ溝の底面上の第2部分とを含む。シリコン系無機絶縁層の第1部分の表面は、第1軸の方向に延在する一又は複数の溝を有する表面構造を備えており、電極が、この表面構造の凹凸に空隙を形成するように、シリコン系無機絶縁層の第1部分の表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジと絶縁膜との屈折率差を高めることができる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子は、(a)III族窒化物半導体からなる半極性面を有する基板と、(b)第1導電型半導体層を含む第1III族窒化物領域と、(c)第1軸の方向に延在するリッジ構造を有しており、第2導電型半導体層を含む第2III族窒化物領域と、(d)III族窒化物からなる活性層と、(e)前記リッジ構造の上面に開口を有すると共に前記第2III族窒化物領域上に設けられたシリコン系無機絶縁層と、(f)前記リッジ構造の前記上面上に設けられたオーミック電極と、(g)前記オーミック電極及び前記シリコン系無機絶縁層上に設けられた電極とを備え、前記活性層は、前記第1III族窒化物領域と前記第2III族窒化物領域との間に設けられ、前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の側面上に設けられた部分と該リッジ構造を規定するトレンチ溝の底面上に設けられた別の部分とを含み、前記シリコン系無機絶縁層の前記部分の表面は、100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備え、前記電極は、前記表面構造に起因する空隙を残すように、前記シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面を覆う。
このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、シリコン系無機絶縁層はリッジ構造の側面上の第1部分とトレンチ溝の底面上の第2部分とを含む。このシリコン系無機絶縁層の第1部分の表面は100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備えており、この表面構造の凹凸に係る空隙を形成するように電極がシリコン系無機絶縁層の第1部分の表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジと絶縁膜との屈折率差を高めることができる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記基板の前記主面は半極性面を備えており、前記第1III族窒化物領域、前記活性層及び前記第2III族窒化物領域は、前記半極性面に対する法線軸の方向に順に配列されており、前記基板の前記III族窒化物半導体のc軸は、前記III族窒化物半導体のa軸及びm軸のうち一方の結晶軸と、前記法線軸とにより規定される基準面に沿って傾斜しており、前記リッジ構造に係る前記第1軸は、前記III族窒化物半導体の前記c軸を前記半極性面に投影した投影c軸の方向に延在しており、前記投影c軸の方向にレーザ導波路が延在する。当該III族窒化物半導体レーザ素子は、レーザ共振器のための第1端面及び第2端面を更に備えることができる。前記レーザ導波路は前記第1端面から前記第2端面まで延在する。
このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、共振器端面として窒化物結晶の劈開面を利用することができないが、他の作製方法、例えば窒化物結晶に割断を施すことにより、レーザ発振を可能にする共振器端面を得ることができる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記活性層はInGaN層を含み、前記活性層は480nm以上の光を発生するように設けられる。このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、480nm以上の光を発生する活性層を含むレーザ導波路において好適な光閉じ込めを提供できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記第2III族窒化物領域は、前記活性層に接触を成す第1光ガイド層と、前記第1光ガイド層上に設けられた第2光ガイド層とを含み、前記リッジ構造の底は前記第1光ガイド層に到達する。このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、活性層に接触を成す第1光ガイド層内に到達する深さのリッジ構造においては、深いリッジ形状により光閉じ込めをレーザ導波路に提供している。このリッジ構造の側面上に、緻密な絶縁膜に比べて低い実効屈折率のシリコン系無機絶縁層を設ける。この構造は、光閉じ込めに関して、大きな屈折率差を提供できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記リッジ構造の高さは800nm以上である。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記リッジ構造の前記側面は、前記リッジ構造の底の位置において、前記基板の前記主面の法線軸に直交する基準面に対して70度以上の角度で傾斜する。このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、リッジ構造の側面が70度以上の傾斜するとき、電極の成膜の際に、電極の材料が表面構造に起因する空隙を満たすことを効果的に妨げることができ、これ故に、電極が、表面構造に起因する空隙を形成するように、シリコン系無機絶縁層の第1部分の表面を覆うことを可能にする。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記シリコン系無機絶縁層の前記第2部分は、前記第1光ガイド層の表面を覆う。このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、表面構造と電極とにより形成された空隙に起因して、シリコン系無機絶縁層の第2部分における単位体積当たりの膜密度は、シリコン系無機絶縁層の第1部分における単位体積当たりの膜密度より大きい。これ故に、より大きな膜密度のシリコン系無機絶縁層が第1光ガイド層の表面を覆う。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記オーミック電極はパラジウムを備える。このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、パラジウム電極は窒化ガリウム系半導体に良好な電気的接触を提供できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザ素子では、前記シリコン系無機絶縁層はシリコン酸化物を備える。このIII族窒化物半導体レーザ素子によれば、シリコン系無機絶縁層がシリコン酸化物を備えるとき、好適な範囲の膜応力を有する成膜が可能になる。
本発明は、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法に係る。この方法は、(a)第1軸の方向に延在するリッジ構造の上面に接触を成すオーミック電極及び前記リッジ構造の側面を覆うように、圧縮応力を有するシリコン系無機絶縁膜を成長する工程と、(b)前記リッジ構造の前記上面に開口を有するマスクを前記シリコン系無機絶縁膜上に形成する工程と、(c)前記マスクを用いて前記シリコン系無機絶縁膜をエッチングして、前記リッジ構造の前記上面に開口を有するシリコン系無機絶縁層を形成する工程とを備え、前記シリコン系無機絶縁層の前記開口に、前記リッジ構造の前記上面の前記オーミック電極が露出している。
このIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法(以下、「作製方法」と記す)によれば、圧縮応力を有するシリコン系無機絶縁膜をオーミック電極及びリッジ構造の側面を覆うように成長する。シリコン系無機絶縁膜は、オーミック電極上に成長される第1部分と、オーミック電極の材料と異なるリッジ構造側面上に成長される第2部分とを有している。これ故に、シリコン系無機絶縁膜の第1部分及び第2部分は、それぞれ、互いに異なる材料のオーミック電極及びリッジ構造側面上に成長されると共に、互いに隣接する。このようなシリコン系無機絶縁膜を成長した後にオーミック電極上にシリコン系無機絶縁膜を部分的に除去するので、オーミック電極上のシリコン系無機絶縁膜に隣接していたシリコン系無機絶縁膜(リッジ構造側面上のシリコン系無機絶縁膜)の内部応力が解放される。この応力解放により、シリコン系無機絶縁層は、リッジ構造の側面において、シリコン系無機絶縁層の実効屈折率を低下させるような表面構造を備える。また、シリコン系無機絶縁膜は、オーミック電極上の部分からリッジ構造側面上の部分に屈曲しながら繋がっている。このような構造からも、オーミック電極上に開口を形成することにより、リッジ構造側面上のシリコン系無機絶縁膜の内部応力が解放される。
本発明に係る作製方法では、前記シリコン系無機絶縁層及び前記オーミック電極上に、電極を形成する工程を更に備えることができる。この作製方法によれば、電極が、応力解放により半導体リッジ側面に形成された表面構造に起因する空隙を残すように、シリコン系無機絶縁層の第1部分の表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低く維持でき、半導体リッジと絶縁膜との屈折率差を高めることができる。
本発明に係る作製方法は、基板のIII族窒化物半導体主面上に設けられた、第1導電型半導体層を含む第1III族窒化物領域、活性層、及び第2導電型半導体層を含む第2III族窒化物領域を含むエピタキシャル基板を準備する工程と、前記エピタキシャル基板上に、前記エピタキシャル基板の最表面の窒化ガリウム系半導体の材料と異なる材料のマスク膜を形成する工程と、オーミック電極の形状を規定する開口を有するレジストマスクを前記マスク膜上に形成する工程と、前記レジストマスクの前記開口に沿って該レジストマスクの庇を形成するように、前記レジストマスクを用いて前記マスク膜をエッチングして、第1開口を有する第1マスクを形成する工程と、前記第1マスクを形成した後に、金属膜を前記レジストマスク上及び前記第1開口内に形成する工程と、前記レジストマスクを除去して、リフトオフにより前記エピタキシャル基板の前記最表面に前記オーミック電極を形成する工程と、前記オーミック電極を形成した後に、前記オーミック電極及び前記第1マスクを用いて、前記エピタキシャル基板をエッチングして、前記リッジ構造を有する基板生産物を形成する工程とを更に備える。
この作製方法によれば、半導体リッジを形成する前に、エピタキシャル基板の最表面上に接触を成すオーミック電極を形成するので、オーミック電極は、窒化物半導体と良好な接触を成すことができる。また、オーミック電極の形状とセルフアラインに半導体リッジの上面を形成できる。
本発明に係る作製方法では、前記III族窒化物半導体主面は半極性面を備える。本発明に係る作製方法では、前記第1III族窒化物領域、前記活性層及び前記第2III族窒化物領域は、前記半極性面の法線の方向に順に配列されており、前記基板の前記III族窒化物半導体のc軸は、前記III族窒化物半導体のa軸及びm軸のうち一方の結晶軸と、前記基板の前記主面に対する法線軸とにより規定される基準面も沿って傾斜しており、前記リッジ構造は、前記III族窒化物半導体の前記c軸を前記半極性面に投影した投影c軸の方向に延在しており、前記投影c軸の方向にレーザ導波路が延在する。当該III族窒化物半導体レーザ素子は、レーザ共振器のための第1端面及び第2端面を更に備えることができる。前記レーザ導波路は前記第1端面から前記第2端面まで延在する。
この作製方法によれば、共振器端面として窒化物結晶の劈開面を利用することができないが、他の作製方法、例えば窒化物結晶に割断を施すことにより、レーザ発振を可能にする共振器端面を得ることができる。
本発明に係る作製方法では、前記活性層はInGaN層を含み、前記活性層は480nm以上の光を発生するように設けられることができる。この作製方法によれば、480nm以上の光を発生する活性層を含むレーザ導波路において好適な光閉じ込めを提供できる。
本発明に係る作製方法では、前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の前記側面において、前記第1軸の方向に延在する一又は複数の溝を有する表面構造を備える。この作製方法によれば、シリコン系無機絶縁層はリッジ構造の側面上の第1部分とトレンチ溝の底面上の第2部分とを含む。シリコン系無機絶縁層の第1部分の表面は、第1軸の方向に延在する一又は複数の溝を有する表面構造を備えており、電極が、この表面構造に起因する空隙を満たすことなく、シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジと絶縁膜との屈折率差を高めることができる。
また、本発明に係る作製方法では、前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の前記側面において、100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備える。この作製方法によれば、シリコン系無機絶縁層はリッジ構造の側面上の第1部分とトレンチ溝の底面上の第2部分とを含む。このシリコン系無機絶縁層の第1部分の表面は100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備えており、電極が、この表面構造に起因する空隙を満たすことなく、シリコン系無機絶縁層の第1部分の表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジと絶縁膜との屈折率差を高めることができる。
本発明に係る作製方法では、前記オーミック電極はパラジウムを備える。この作製方法によれば、パラジウム電極は窒化ガリウム系半導体に良好な電気的接触を提供できる。また、本発明に係る作製方法では、前記シリコン系無機絶縁層はシリコン酸化物を備える。この作製方法によれば、シリコン系無機絶縁層がシリコン酸化物を備えるとき、好適な範囲の膜応力を有する成膜が可能になる。
以上説明したように、本発明によれば光閉じ込め能を向上可能なIII族窒化物半導体レーザ素子を提供できる。また、本発明によれば、光閉じ込め能を向上可能な、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供できる。
図1は、本実施の形態に係る窒化物半導体発光素子に係る構造を示す図面である。 図2は、本実施の形態に係るリッジ構造の詳細を示す図面である。 図3は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。 図4は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。 図5は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。 図6は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。 図7は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。 図8は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。
引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のIII族窒化物半導体発光素子、及びIII族窒化物半導体発光素子を作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係る窒化物半導体発光素子に係る構造を示す図面である。図1には、XYZ座標系S及び結晶座標系CRが記載されている。結晶座標系CRはc軸、a軸及びm軸を有する。本実施例では、窒化物半導体発光素子として窒化物半導体レーザ素子11を説明する。
窒化物半導体レーザ素子11は、第1III族窒化物領域13、活性層15、第2III族窒化物領域17及び電極19を含む。活性層15は第1III族窒化物領域13と第2III族窒化物領域17との間に設けられる。第1III族窒化物領域13は、第1内側半導体層21及びn型クラッド層23を含む。活性層15は、第1内側半導体層21上に設けられる。第1内側半導体層21はn型クラッド層23上に設けられる。第2III族窒化物領域17は、第2内側半導体層25及びp型クラッド層27を含み、p型クラッド層27は第2内側半導体層25上に設けられる。第2III族窒化物領域17は、III族窒化物からなる活性層15上に設けられる。第1内側半導体層21は活性層15とn型クラッド層23との間に設けられる。第2内側半導体層25は活性層15とp型クラッド層27との間に設けられる。電極19は、第2III族窒化物領域17上に設けられる。第1III族窒化物領域13、活性層15及び第2III族窒化物領域17は、積層軸Ax(座標系SのZ軸の方法)に沿って順に配列される。
リッジ構造35の上面35a上に電極(オーミック電極)19が接触を成す。また、電極(パッド電極)41が電極19及びシリコン系無機絶縁層18上に設けられる。第2III族窒化物領域17は、第1軸(例えばY軸)の方向に延在するリッジ構造35とトレンチ溝36とを有する。トレンチ溝36は、該リッジ構造35を規定する。シリコン系無機絶縁層18は、リッジ構造35の上面35aに開口18cを有する。第2III族窒化物領域上にはシリコン系無機絶縁層18が設けられている。シリコン系無機絶縁層18は、リッジ構造35の側面35b上に設けられた第1部分18aとトレンチ溝36の底面36a上に設けられた第2部分18bとを含む。
シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面は、表面構造を備える。この表面構造は一又は複数の溝20を有する。溝20の表面(側面、底面)はシリコン系無機絶縁層18のシリコン系無機絶縁体からなっており、シリコン系無機絶縁層18に下地の半導体に到達する貫通孔は形成されていない。これらの溝20は第1軸Ax1の方向に延在していることができる。また、溝20は100nm〜200nmの範囲内の深さを持つ。また、溝20の長さは500nm以上である。電極41は、上記の表面構造に起因する空隙20を形成するように、シリコン系無機絶縁層18の第1部分18の表面を覆う。このため、電極41は、一又は複数の溝20を実質的に埋め込むことなく、溝20が空隙としてシリコン系無機絶縁層18の第1部分18に残される。
このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、シリコン系無機絶縁層18はリッジ構造35の側面35b上の第1部分18aとトレンチ溝36の底面36a上の第2部分18bとを含む。シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面は、第1軸Ax1の方向に延在する一又は複数の溝20を有する表面構造を備えており、電極41が、この表面構造の凹凸に空隙を形成するように、シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部35b上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、絶縁膜(例えばシリコン系無機絶縁層18)とリッジ構造35との屈折率差を高めることができる。
或いは、シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面は、表面構造を備える。この表面構造は、100nm以上200nm以下の最大高さ(Rmax)を有する。ここで、最大高さ(Rmax)はリッジ側壁に垂直な絶縁膜層の厚み方向の高さである。電極41は、この表面構造に起因する空隙を形成するように、シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面を覆う。
このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、シリコン系無機絶縁層18はリッジ構造35の側面35b上の第1部分18aとトレンチ溝36の底面36a上の第2部分18bとを含む。このシリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面は100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備えており、この表面構造の凹凸に係る空隙20を形成するように電極41がシリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジ35と絶縁膜(例えばシリコン系無機絶縁層18)との屈折率差を高めることができる。
電極19はパラジウムを備えることができる。パラジウム電極は窒化ガリウム系半導体に良好な電気的接触を提供できる。また、シリコン系無機絶縁層18は、シリコン酸化物、アルミ酸化物等を備えることができる。このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、シリコン系無機絶縁層18がシリコン酸化物を備えるとき、好適な範囲の膜応力を有する成膜が可能になる。
第1内側半導体層21、活性層15及び第2内側半導体層23は、クラッド領域に挟まれるコア領域31を構成し、コア領域31はn型クラッド層23とp型クラッド層27との間に設けられる。n型クラッド層23、コア領域31及びp型クラッド層27は光導波路構造を構成する。
活性層15と第1内側半導体層21とは第1ヘテロ接合HJ1を構成する。n型クラッド層23はIII族窒化物半導体からなり、第1ヘテロ接合HJ1は、n型クラッド層23のIII族窒化物半導体のc面に沿って延在する基準面Scに対して、ゼロより大きい傾斜角Angleで傾斜する。図1では、n型クラッド層23における基準面は、結晶座標系CRのc軸の方向を示す軸(ベクトルVCで示される軸)に直交する。
活性層15はInGaN層を含むことができる。活性層15は480nm以上の光を発生するように設けられる。このIII族窒化物半導体レーザ素子11では、リッジ構造35の側面上のシリコン系無機絶縁層18は、480nm以上の光を発生する活性層を含むレーザ導波路において好適な光閉じ込めを提供できる。活性層15は、少なくとも1つの井戸層33aを含み、この井戸層33aは例えば窒化ガリウム系半導体からなる。井戸層33aは圧縮歪みを内包する。井戸層33aは例えばInGaN層を含むことができる。
活性層15は、必要な場合には、複数の井戸層33a及び少なくとも1つの障壁層33bを含むことができる。隣り合う井戸層33aの間には障壁層33bが設けられる。障壁層33bは、例えばGaN又はInGaN層を含むことができる。活性層15の最外層は、井戸層からなることができる。活性層15と第2内側半導体層25とは第2ヘテロ接合HJ2を構成する。
既に説明したように、第2III族窒化物領域17はリッジ構造35を有する。本実施例では、リッジ構造35は、n型クラッド層23のIII族窒化物半導体のc軸及びm軸によって規定される面にそって延在する。窒化物半導体レーザ素子11は端面37a及び37bを含み、一実施例では、端面37a及び37bは光共振器を構成する。このリッジ構造35は、第2内側半導体層25とp型クラッド層27との第3ヘテロ接合HJ3を含む。第3ヘテロ接合HJ3は、リッジ構造35の側面35bで終端する。リッジ構造35は上端TOP及び底BOTTOMを有する。リッジ構造35の上面35aは電極19に接合J0を成す。リッジ構造35の底BOTTOMと第2ヘテロ接合HJ2との距離Dは100nm以下であり、10nm以上である。
第2内側半導体層25は、第1部分25a及び第2部分25bを含む。第1部分25a及び第2部分25bは軸Axに沿って順に配列される。第1部分25aは、活性層15の井戸層33aに第2ヘテロ接合HJ2を成す。第2部分25bは、第3ヘテロ接合HJ3からリッジ構造35の底BOTTOMまでの領域であり、リッジ構造35内に含まれる。第2内側半導体層25の一部と、p型クラッド層27と、p型コンタクト層29とをリッジ構造35は含む。
第2内側半導体層25は光ガイド層として働き、この光ガイド層上にp型クラッド層27が設けられ、このp型クラッド層27上にp型コンタクト層29が設けられる。
この窒化物半導体レーザ素子11によれば、活性層15は、第1III族窒化物領域13の第1内側半導体層21とヘテロ接合(第1ヘテロ接合HJ1)を成す。このヘテロ接合HJ1はn型クラッド層23のIII族窒化物半導体のc面に沿って延在する基準面Scに対して、ゼロより大きい傾斜角Angleで傾斜し、これ故に、活性層15はいわゆる半極性面上に設けられる。
活性層15は、例えば500nm以上550nm以下の範囲内にピーク波長を有する発光スペクトルを生成するように設けられることができる。リッジ構造35の側面35bを覆うシリコン系無機絶縁層18の第1部分18aは、長波長の光を発生する活性層を含むコア領域に光を閉じ込めることを容易にする。例えば500nm以上550nm以下の範囲内にピーク波長を有する発光スペクトルを生成する活性層15は、半極性面を利用して作製される。活性層15では、井戸層33aは第2内側半導体層27に接合を成すことができる。
再び図1を参照しながら、本実施の形態に係る窒化物半導体発光素子11を説明する。傾斜角Angleが10度以上80度以下又は130度以上170度以下の範囲にあることができる。p型クラッド層27のバンドギャップが第3ヘテロ接合HJ3において第2内側半導体層25の第2部分25bのバンドギャップより大きい。第3ヘテロ接合HJ3はリッジ構造35内に位置する。
窒化物半導体レーザ素子11は、基板39を更に備えることができる。基板39は、III族窒化物半導体からなる半極性の主面39aを有する。この主面39aは、III族窒化物半導体のc軸の方向の延在する軸(ベクトルVCで示される軸Cx)に直交する基準面Scに対して傾斜する。半極性の主面39aと基準面Scとの成す角度(実質的に角度Angleに等しい角度)は、10度以上80度以下又は130度以上170度以下の範囲にあることができる。第1III族窒化物領域13、活性層15及び第2III族窒化物領域17は、半極性の主面39a上に設けられる。基板39はGaNからなることができる。GaN基板上にコヒーレントにエピタキシャル成長されるInGaN層には、圧縮歪みが内包される。
また、傾斜角Angleは63度以上80度以下の範囲にあることができる。上記の傾斜角Angleの半極性面39aは、均質なIn取り込み及び高In組成の窒化ガリウム系半導体の成長を可能にする。また、基板39の半極性主面39aと基準面Scとの成す角度が63度以上80度以下の範囲にあることができる。
基板39の主面39aは半極性面を備えるとき、第1III族窒化物領域13、活性層15及び第2III族窒化物領域17は主面39aに対する法線軸NXの方向に順に配列されている。基板39のIII族窒化物半導体のc軸は、III族窒化物半導体のa軸及びm軸のうち一方の結晶軸と主面39aへの法線軸NXとにより規定される基準面に沿って傾斜している。リッジ構造35に係る第1軸は、III族窒化物半導体のc軸を主面39aに投影した投影c軸PVCの方向に延在しており、この投影c軸PVCの方向にレーザ導波路が延在する。当該III族窒化物半導体レーザ素子11は、レーザ共振器のための第1端面37a及び第2端面37bを更に備える。レーザ導波路は第1端面37aから第2端面37bまで延在する。このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、共振器端面として窒化物結晶の劈開面を利用することができないが、他の作製方法、例えば窒化物結晶に割断を施すことにより、レーザ発振を可能にする共振器端面を得ることができる。
第2III族窒化物領域17は、活性層15に接触を成す第1光ガイド層と、p型クラッド層27に接触を成す第2光ガイド層とを含むことができる。第2光ガイド層は第1光ガイド層上に設けられる。第1光ガイド層の半導体材料は第2光ガイド層の半導体材料と異なり、第1光ガイド層は例えばアンドープInGaNからなり、第2光ガイド層は例えばInGaN又はGaNからなる。リッジ構造35の底35aは第1光ガイド層に到達する一方で、リッジ構造35は第2光ガイド層を含む。より具体的には、第1光ガイド層は、活性層15とリッジ構造35内の第2光ガイド層との間に設けられリッジ構造35内に位置する第1領域と、この第1領域と活性層15との間に位置し該第1領域に隣接する第2領域とを含むことができる。
リッジ構造35の高さは800nm以上であることができ、850nm以下であることができる。また、リッジ構造35の外側に位置する第2領域(第1光ガイド層の第2領域)は25nm以下であることができ、10nm以上であることができる。このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、活性層15に接触を成す第1光ガイド層内に到達する深さのリッジ構造35においては、深いリッジ形状により光閉じ込めをレーザ導波路に提供している。このリッジ構造35の側面35b上に、緻密な絶縁膜に比べて低い実効屈折率のシリコン系無機絶縁層18を設ける。この構造は、光閉じ込めに関して、大きな屈折率差を提供できる。
リッジ構造35の側面35bは、リッジ構造35の底BOTTOMの位置において、基板39の主面39aの法線軸NXに直交する基準面に対して70度以上の角度TETAで傾斜することが好ましい。リッジ構造35の側面35bが70度以上の傾斜するとき、電極41の成膜の際に、電極41の材料が、表面構造に起因する空隙20を満たすことを効果的に妨げることができ、これ故に、表面構造に起因する空隙20を形成するように、電極41がシリコン系無機絶縁層18の第1部分18aの表面を覆うことを可能にする。
シリコン系無機絶縁層18の第2部分18bは第1光ガイド層の表面を覆う。電極41と表面構造とにより形成された空隙20に起因して、シリコン系無機絶縁層18の第2部分18bにおける単位体積当たりの膜密度は、シリコン系無機絶縁層18の第1部分18aにおける単位体積当たりの膜密度より大きい。これ故に、より大きな膜密度のシリコン系無機絶縁層18が、活性層15を覆う第1光ガイド層の表面を覆う。リッジ構造内での光閉じ込めは、よりリッジ近傍の部分18aの影響を受け、向上する。
図2は、リッジ構造の詳細を示す図面である。図2の(a)部を参照すると、絶縁膜に形成されたトレンチ構造を模式的に示す。図2の(b)部を参照すると、絶縁膜に形成されたトレンチ構造の走査型電子顕微鏡像を示す。走査型電子顕微鏡像は、パッド電極を形成する前のレーザダイオード上面の像を示しており、レーザダイオードの真上から僅かな角度で傾斜した斜めから撮られている。図2の(b)部に示される鳥瞰図は、リッジ構造の上面上のストライプ状Pd電極と、ストライプ状Pd電極の両側に位置する光ガイド層上のSiO絶縁膜とを表す。僅かな角度で傾斜した斜めから撮像の利点により、図2の(b)部には、リッジ構造の一方の側面上のSiO絶縁膜の表面が示される。リッジ構造の両側の光ガイド層上及びリッジ構造の側面上のSiO絶縁膜は同時に成長されている。ストライプ状Pd電極上にストライプ形状の開口をSiO絶縁膜に形成した後にあっては、リッジ構造の両側の光ガイド層上に成長されたSiO絶縁膜の表面外観は絶縁膜表面が平坦であるように見える一方で、リッジ構造の側面上のSiO絶縁膜の表面外観は、絶縁膜表面が溝を有する表面構造を備えるように見える。これ故に、リッジ構造の側面上のSiO絶縁膜の表面外観は、リッジ構造の両側の光ガイド層上に成長されたSiO絶縁膜の表面外観と異なる。
絶縁膜に形成されたトレンチ構造は、好ましくは、レーザストライプ断面においてリッジ構造の側面のSiO絶縁膜に1つ又は複数の溝を備えることが好ましい。溝間の間隔を維持するために、溝の数は3つ以下であることが好ましい。
多数の溝(例えば4つ以上のトレンチ)が存在すると、リッジ構造の側面上のSiO絶縁膜において溝同士が繋がって幅広い溝が形成される。この構造において、パッド電極を上から成長する際に電極材料が溝内に侵入して、実効屈折率の低下の点で有効な空隙が形成されない。
図2の(c)部に示されるような溝幅WD及び溝深さDPに関して、リッジ構造の側面のSiO絶縁膜の溝深さDPは、100nm以上200nm以下の範囲内にあることができ、SiO絶縁膜の表面における溝幅WDは20nm〜300nm以下の範囲内にあることができる。パッド電極を形成した際にトレンチ内部が空隙を形成するために好適である。
或いは、リッジ構造の側面上のSiO絶縁膜の表面は、100nm以上200n以下の最大高さ(Rmax)の表面構造を有することができる。この最大高さ(Rmax)はレーザ顕微鏡もしくは原子間力顕微鏡での測定で定義される。
図2の(a)部に示されるように、リッジ側壁の傾斜角が70度以上であることが好ましく、90度以下であることができる。このリッジ側面の傾斜角度の範囲内では、パッド電極の形成の際に、表面構造に起因するギャップがシリコン酸化物に残されて、低屈折率部が形成され光閉じ込めが向上し閾値電流が下がる。
図3〜図8は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を模式的に示す図面である。図3の(a)部に示されるように、工程S101では、基板51を準備する。基板51はIII族窒化物半導体からなる主面(III族窒化物半導体主面)51aを有する。主面51aは、基板51のIII族窒化物半導体のc軸が、基板51のIII族窒化物半導体のm軸及び該c軸により規定される平面(c−m面)に沿って傾斜している。本実施例では、半極性GaN基板を準備する。この半極性GaN基板の主面は{20−21}面を有する。{20−21}面では、基板のGaNのc軸はこのGaNのm軸の方向に75度の角度で傾斜している。GaN基板のサーマルクリーニングを行う。サーマルクリーニングは、アンモニア(NH)及び水素(H)を含む雰囲気中で行われ、熱処理温度は、摂氏1050度である。この前処理の後に、まず、第1III族窒化物領域を成長する。
図3の(b)部に示されるように、工程S102では、基板51の主面51a上に半導体積層53を成長して、エピタキシャル基板EPを準備する。エピタキシャル基板EPの半導体積層53は、第1導電型半導体層(例えば参照符号23)を含む第1III族窒化物領域(例えば参照符号13)、活性層(例えば参照符号15)、及び第2導電型半導体層(例えば参照符号27)を含む第2III族窒化物領域(例えば参照符号17)を含む。半導体積層53の成長は例えば有機金属気相成長法で行われることができる。必要な場合には、エピタキシャル基板EPに活性化処理を施すことができる。
半導体積層53の一例。
(20-21)半極性GaN基板:厚み400〜700μm。
n側エピ領域。
n-GaN:厚さ250nm。
n-InAlGaN:厚さ1200nm、In組成0.03、Al組成0.14。
n-GaN:厚さ1100nm。
n-InGaN:厚さ150nm、In組成0.03。
活性層。
InGaN:厚さ2.5nm、In組成0.30。
InGaN:厚さ2.5nm、In組成0.08。
InGaN:厚さ2.5nm、In組成0.30。
p側エピ領域。
p-InGaN:厚さ38nm、In組成0.03。
p-InGaN:厚さ77nm、In組成0.03。
GaN:厚さ200nm。
p-AlGaN:厚さ260nm、Al組成0.065。
p-GaN:厚さ200nm。
p-GaN:厚さ40nm。
p+GaN:厚さ10nm。
図4の(a)部に示されるように、工程S103では、エピタキシャル基板EPの表面53a上にマスク膜55を形成する。マスク膜55の材料は、エピタキシャル基板EPの最表面53aの窒化ガリウム系半導体の材料と異なる。マスク膜55の材料は、例えばシリコン系無機絶縁膜を含むことができ、例えばシリコン酸化物、アルミ酸化物等であることができる。シリコン系無機絶縁膜は、電子ビーム蒸着法等で成長されることができる。本実施例では、エピタキシャル基板EPの有機洗浄を行った後に、EB蒸着装置を用いてSiO膜の成膜を行う。マスク膜55の厚さは、例えば400-500nmである。
図4の(b)部に示されるように、工程S104では、レジストマスク57をマスク膜55上に形成すると共に、レジストマスク57を用いてマスク膜55をエッチングして第1マスク59を形成する。第1マスク59として用いられるシリコン系無機絶縁層上のレジストマスク57はオーミック電極の形状を規定する開口を有しており。本実施例では、開口は、素子区画の境界を横切るように延在するストライプ形状を成す。エッチングは、レジストマスク57の開口57aに沿って該レジストマスク57の庇57bを形成するように行われる。マスク膜55のエッチングは、レジストマスク57の開口57aの幅W57よりも広くサイドエッチングを引き起こす程度に行われる。この結果は、第1マスク59は、幅W59のストライプ開口を有しており、このストライプ開口には、最表面53aの窒化ガリウム系半導体が現れている。第1マスク59の幅W59は、リッジ構造を規定するように後の工程で形成される一対のトレンチ溝の各外縁の幅を規定する。本実施例では、フォトリソグラフィプロセスによりリッジストライプ形状の開口を有するレジストマスクを形成した後に、SiO膜のウエットエッチングを行う。ウエットエッチングでは例えばフッ酸を用いることができる。このエッチングによりSiOの開口幅はレジスト膜に形成したストライプ形状の幅より拡がる。
図5の(a)部に示されるように、工程S105では、第1マスク59を形成した後に、オーミック電極のための金属膜63を成長する。金属膜63は、第1開口59a内に堆積された第1金属層63aと、レジストマスク57上に堆積された第2金属層63bとを含む。レジストマスク57の開口57aの関係により、金属膜63の厚さは50nm以下であることが好ましく、厚さは20nm以上であることが好ましい。また、金属膜63は、第1マスク59より厚く成長され、第1マスク59及びレジストマスク57の総和より薄く成長されることが好ましい。本実施例では、金属膜63の成長は、例えば真空蒸着装置で厚さ30nmのPd膜を蒸着する。蒸着のとき、基板温度は摂氏300度である。
図5の(b)部に示されるように、工程S106では、レジストマスク57を除去して、リフトオフによりエピタキシャル基板EPの最表面53aにオーミック電極63aを形成する。レジストマスク57上の金属層63bをレジストと一緒に除去される共に、第1マスク59はエピタキシャル基板EPの最表面53aに残される。オーミック電極63aの高さは、第1マスク59の厚さより小さい。オーミック電極63aの2つの側面63c、63dは、エピタキシャル基板EPの最表面53aに垂直な平面に対して傾斜している。
図6の(a)部に示されるように、工程S107では、オーミック電極63aを形成した後に、オーミック電極63a及び第1マスク59を用いてエピタキシャル基板EPをエッチングして、基板生産物SPを形成する。エッチングとしては、異方性のドライエッチングを用いることができる。エッチングにより、トレンチ溝65a、65b及びリッジ構造67を形成する。基板生産物SPは、トレンチ溝65a、65b及びリッジ構造67を有する。
この作製方法によれば、半導体リッジ67を形成する前に、エピタキシャル基板EPの最表面53a上に接触を成すオーミック電極63aを形成するので、オーミック電極63aは、窒化物半導体と良好な接触を成すことができる。また、オーミック電極63aの形状とセルフアラインに半導体リッジ67の上面67aを形成できる。
本実施例では、RIE装置を用いて、Pd電極及びSiOマスク膜をマスクとして用いて、半導体積層53の窒化ガリウム系半導体のエッチングを行って、深さ800nmのトレンチ構造及びリッジ構造を形成する。このときのエッチング条件として、2Paのチャンバ圧力で、200sccmのCl及び14sccmのBClをエッチングガスして流す。エッチング圧力・ガス比率を変えることにより、リッジ側壁角度を調整することができ、本実施例は、側面の傾斜角は75度であった。
図6の(b)部に示されるように、工程S108では、リッジ構造67の表面及びトレンチ溝65a、65bの表面を覆うように、シリコン系無機絶縁膜69を成長する。成長されたシリコン系無機絶縁膜69が圧縮応力を有する。この成膜は、例えば電子ビーム蒸着法、スパッタ法等を用いることができる。シリコン系無機絶縁膜69の膜厚は280nm以上380nm以下であることができる。詳細には、圧縮応力を有するシリコン系無機絶縁膜69は、オーミック電極63aの側面63c及び上面63d、リッジ構造67の側面67b、トレンチ溝65a、65bの底面65c、65d及び側面65e、65f、並びにマスク膜59の上面を覆う。シリコン系無機絶縁膜69は、オーミック電極63aの側面63c及びリッジ構造67の側面67bを覆う第1部分69a、トレンチ溝65a、65bの底面65c、65dを覆う第2部分69b、トレンチ溝65a、65bの側面65e、65f及びマスク膜59の側面を覆う第3部分69c、マスク膜59の上面を覆う第4部分69d、並びにオーミック電極63aの上面63dを覆う第5部分69eを含む。本実施例では、電子ビーム蒸着装置を用いてSiO膜を成長する。その膜厚は280nm〜380nmである、成膜レートは0.2〜0.8nm/秒である。
シリコン系無機絶縁膜69の被覆については、第1部分69aは、互いに異なる材料のオーミック電極63aの側面63c及びリッジ構造67の側面67bを覆っており、これら2つの第1部分69aが、オーミック電極63aの上面63dを覆う第5部分69eを介して屈曲しながら繋がる。一方、第3部分69cは、トレンチ溝65a、65bの側面65e、65f及び第1マスク59(第1マスクとして用いられるシリコン系無機絶縁層)の側面を覆っている。第3部分69c及び第4部分69dの材料は、マスク膜59の材料に、シリコン系無機絶縁体であるという点で同類であるが、トレンチ溝65a、65bの側面65e、65fの材料は、リッジ構造67の側面67b及びトレンチ溝65a、65bの底面65c、65dの材料に、窒化ガリウム系半導体であるという点で同質である。
図7の(a)部に示されるように、工程S109では、マスク71をシリコン系無機絶縁膜69上に形成する。マスク71は、リッジ構造67の上面67aに位置するストライプ形状の開口71aを有する。本実施例では、フォトリソプロセスにより、リッジストライプ形状上部に開口部を持つレジスト膜を形成する。
図7の(b)部に示されるように、工程S110では、マスク71を用いてシリコン系無機絶縁膜69をエッチングして、シリコン系無機絶縁層73を形成する。このエッチングは、異方性のドライエッチングにより行われる。シリコン系無機絶縁層73はリッジ構造67の上面67aに開口73hを有する。
シリコン系無機絶縁層73は、オーミック電極63aの側面63c及びリッジ構造67の側面67bを覆う第1部分73a、トレンチ溝65a、65bの底面65c、65dを覆う第2部分73b、トレンチ溝65a、65bの側面65e、65f及びマスク膜59の側面を覆う第3部分73c、並びにマスク膜59の上面を覆う第4部分73dを含む。エッチングにより、オーミック電極63aの上面63d上のシリコン系無機絶縁層が除去されている。シリコン系無機絶縁層73の開口73hにリッジ構造67の上面67a上にオーミック電極63aが露出しており、リッジ構造67の上面はIII族窒化物半導体からなる。
本実施例では、反応性イオンエッチング法を用いてリッジ上部のSiOを除去してストライプ状の開口を形成する。これにより、その開口にPd電極を露出させる。このときのエッチング条件は、チャンバ圧力1PaでエッチングガスをCHF:45sccmを流した。リッジ上部のSiOを除去することにより、圧縮応力が緩和されて、側壁部のSiOにトレンチ構造といった表面構造が導入される。本実施例では、Oアッシングによりレジストのマスク71を除去する。
この作製方法によれば、圧縮応力を有するシリコン系無機絶縁膜69をオーミック電極63a及びリッジ構造67の側面67bを覆うように成長する。シリコン系無機絶縁膜69は、オーミック電極63a上に成長される第5部分69eと、オーミック電極の材料と異なるリッジ構造側面上に成長される第1部分69aとを有している。これ故に、シリコン系無機絶縁膜の第1部分69a及び第5部分69eは、それぞれ、互いに異なる材料のオーミック電極63a及びリッジ構造側面67b上に成長されると共に、互いに隣接する。このようなシリコン系無機絶縁膜69を成長した後にオーミック電極63a上のシリコン系無機絶縁膜の一部分69eを部分的に除去するので、オーミック電極63a上のシリコン系無機絶縁膜69に隣接していた、リッジ構造側面69b上のシリコン系無機絶縁膜69の内部応力が解放される。この応力解放により、シリコン系無機絶縁層73は、リッジ構造67の側面67bにおいて、シリコン系無機絶縁層73の実効屈折率を低下させるような表面構造を備える。また、シリコン系無機絶縁膜69は、オーミック電極63a上の部分からリッジ構造側面67b上の部分に屈曲しながら繋がっている。このような構造からも、オーミック電極63a上に開口73hを形成することにより、リッジ構造側面67b上のシリコン系無機絶縁膜69の内部応力が解放される。
図8の(a)部に示されるように、工程S111では、シリコン系無機絶縁層73及びオーミック電極63a上に、電極77を形成する。この作製方法によれば、電極77が、応力解放により半導体リッジ側面67bに形成された表面構造に起因する空隙75を残すように、シリコン系無機絶縁層73の第1部分73aの表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部67b上の絶縁膜の実効屈折率を低く維持でき、半導体リッジ67とシリコン系無機絶縁層73との屈折率差を高めることができる。本実施例では、パッド電極を真空蒸着によりを形成する。パッド電極の構造は、以下の構造を有する。
Ti/Pt/Au/Pt/Ti/Pt/Au。Ti:厚さ10nm。Pt:厚さ15nm。Au:厚さ250nm。Pt:厚さ50nm。Ti:厚さ10nm。Pt:厚さ100nm。Au:厚さ300nm。
成膜のとき、蒸着原料は成膜する基板の直上に設置されるので、リッジ側壁角度が70度以上である角度範囲内であれば、二酸化シリコンといったシリコン系無機絶縁体のトレンチ内に電極材料が侵入して空隙を埋めることを避けることができる。
上記のように作製されるとき、シリコン系無機絶縁層73は、リッジ構造67の側面67bにおいて表面構造を備えており、この表面構造は、一又は複数の溝75を含むことができる。溝75の表面(側面、底面)はシリコン系無機絶縁層73のシリコン系無機絶縁体からなっており、下地の半導体に到達する貫通孔はシリコン系無機絶縁層73に形成されていない。溝75はリッジ構造67の延在方向(第1軸の方向)に延在する。この延在に際して、わずかな屈曲があるかもしれないが、溝75の延在方向は全体として第1軸Ax1の方向である。シリコン系無機絶縁膜69のエッチングによりシリコン系無機絶縁層73を形成する際に、膜応力の緩和の結果として、溝75が形成される。このような形成の経緯から、溝75の延在方向が個々の溝毎に異なっている可能性があり、全体として第1軸Ax1の方向に向く。
この作製方法によれば、シリコン系無機絶縁層73はリッジ構造67の側面67b上の第2部分73bとトレンチ溝65aの底面上の第3部分73cとを含む。シリコン系無機絶縁層73の第2部分73bの表面における表面構造は、第1軸の方向に延在する一又は複数の溝75を有しており、電極77が、この表面構造に起因する空隙75を満たすことなく、シリコン系無機絶縁層73の第1部分73aの表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジと絶縁膜との屈折率差を高めることができる。
或いは、上記のように作製されるとき、シリコン系無機絶縁層73はリッジ構造67の側面67bにおいて、100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備えることができる。シリコン系無機絶縁膜69のエッチングによりシリコン系無機絶縁層73を形成する際に、膜応力の緩和の結果として、100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造が形成される。このような形成の経緯から、表面構造の凹凸が個々に異なっている可能性がある。表面構造の凹凸の表面(側面、底面)はシリコン系無機絶縁層73のシリコン系無機絶縁体からなっており、下地の半導体に到達する貫通孔はシリコン系無機絶縁層73に形成されていない。
この作製方法によれば、シリコン系無機絶縁層73はリッジ構造67の側面67b上の第1部分73aとトレンチ溝65aの底面上の第2部分73bとを含む。このシリコン系無機絶縁層73の第1部分73aの表面は100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備えており、電極77が、この表面構造に起因する空隙75を満たすことなく、シリコン系無機絶縁層73の第1部分73aの表面を覆う。これ故に、リッジ側壁部上の絶縁膜の実効屈折率を低くでき、半導体リッジ67とシリコン系無機絶縁層73との屈折率差を高めることができる。
図8の(b)部に示されるように、工程S112では、必要に応じて基板51の裏面を研磨・研削を行った後に、研磨面51bに真空蒸着によりn型電極79を形成する。これらの工程により基板生産物SP0が作製される。この後に、レーザスクライブ・ブレイクを行ってレーザバーを形成する。個々のレーザバーの分離からレーザダイオードチップを作製する。このように作製されたレーザダイオードチップの発振波長は、525nm(CW動作)であり、閾値電流は48mA(CW動作)である。
オーミック電極63aはパラジウムを備える。パラジウム電極は窒化ガリウム系半導体に良好な電気的接触を提供でき、また絶縁膜69のエッチングに対してマスクとして利用可能である。また、シリコン系無機絶縁層73はシリコン酸化物を備える。シリコン系無機絶縁層がシリコン酸化物を備えるとき、好適な範囲の膜応力を有する成膜が可能になる。
InGaN層を含む活性層は480nm以上の光を発生するように設けられる。表面構造は、480nm以上の光を発生する活性層を含むレーザ導波路において好適な光閉じ込めを提供できる。
このような波長範囲の発光を得るためには、主面51aが、III族窒化物半導体からなる半極性面を備えることが好ましい。このような主面51aにエピタキシャル成長により、レーザエピ構造を作製する。このレーザエピ構造では、第1III族窒化物領域(例えばn型クラッド層)、活性層及び第2III族窒化物領域(例えばp型クラッド層)が半極性面の法線(Z軸)の方向に順に配列されている。この基板51のIII族窒化物半導体のc軸は、III族窒化物半導体のa軸及びm軸のうち一方の結晶軸と、基板51の主面51aに対する法線軸NXとにより規定される基準面に沿って傾斜している。リッジ構造67は、III族窒化物半導体のc軸を主面51aに投影した投影c軸PVCの方向に延在することが良い。この投影c軸PVCの方向にレーザ導波路を向き付ける。当該III族窒化物半導体レーザ素子11は、レーザ共振器のための第1端面37a及び第2端面37aを更に備える。レーザビームを伝搬させるレーザ導波路は、第1端面37aから第2端面37bまで延在する。共振器端面として窒化物結晶の劈開面を利用することができないが、他の作製方法、例えば窒化物結晶に割断を施すことにより、レーザ発振を可能にする共振器端面を得ることができる。
本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。
以上説明したように、本実施の形態によれば光閉じ込め能を向上可能なIII族窒化物半導体レーザ素子を提供できる。また、本実施の形態によれば、光閉じ込め能を向上可能な、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供できる。
11…窒化物半導体発光素子、13…第1III族窒化物領域、15…活性層、17…第2III族窒化物領域、19…電極、21…第1内側半導体層、23…n型クラッド層、25…第2内側半導体層、27…p型クラッド層、29…p型コンタクト層、Ax…積層軸、31…コア領域、HJ1、HJ2、HJ3…ヘテロ接合、33a…井戸層、33b…障壁層、35…半導体リッジ、BOTTOM…リッジ構造の底、37a、37b…端面、39…基板、39a…半極性主面、Angle…傾斜角、Sc…基準面。

Claims (20)

  1. III族窒化物半導体レーザ素子であって、
    III族窒化物半導体からなる主面を有する基板と、
    第1導電型半導体層を含む第1III族窒化物領域と、
    第1軸の方向に延在するリッジ構造と該リッジ構造を規定するトレンチ溝とを有しており、第2導電型半導体層を含む第2III族窒化物領域と、
    III族窒化物からなる活性層と、
    前記リッジ構造の上面に開口を有すると共に前記第2III族窒化物領域上に設けられたシリコン系無機絶縁層と、
    前記リッジ構造の前記上面上に設けられたオーミック電極と、
    前記オーミック電極及び前記シリコン系無機絶縁層上に設けられた電極と、
    を備え、
    前記活性層は、前記第1III族窒化物領域と前記第2III族窒化物領域との間に設けられ、
    前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の側面上に設けられた第1部分と前記トレンチ溝の底面上に設けられた第2部分とを含み、
    前記シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面は表面構造を備え、前記表面構造は、100nm〜200nmの範囲内の深さを持ち前記第1軸の方向に延在する一又は複数の溝を備え、
    前記電極は、前記表面構造に起因する空隙を残すように、前記シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面を覆う、III族窒化物半導体レーザ素子。
  2. III族窒化物半導体レーザ素子であって、
    III族窒化物半導体からなる主面を有する基板と、
    第1導電型半導体層を含む第1III族窒化物領域と、
    第1軸の方向に延在するリッジ構造を有しており、第2導電型半導体層を含む第2III族窒化物領域と、
    III族窒化物からなる活性層と、
    前記リッジ構造の上面に開口を有すると共に前記第2III族窒化物領域上に設けられたシリコン系無機絶縁層と、
    前記リッジ構造の前記上面上に設けられたオーミック電極と、
    前記オーミック電極及び前記シリコン系無機絶縁層上に設けられた電極と、
    を備え、
    前記活性層は、前記第1III族窒化物領域と前記第2III族窒化物領域との間に設けられ、
    前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の側面上に設けられた第1部分と該リッジ構造を規定するトレンチ溝の底面上に設けられた第2部分とを含み、
    前記シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面は表面構造を備え、前記表面構造は、100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有し、
    前記電極は、前記表面構造に起因する空隙を残すように、前記シリコン系無機絶縁層の前記第1部分の表面を覆う、III族窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記基板の前記主面は半極性面を備えており、
    前記第1III族窒化物領域、前記活性層及び前記第2III族窒化物領域は、前記半極性面に対する法線軸の方向に順に配列されており、
    前記基板の前記III族窒化物半導体のc軸は、前記III族窒化物半導体のa軸及びm軸のうち一方の結晶軸と、前記法線軸とにより規定される基準面に沿って傾斜しており、
    前記リッジ構造に係る前記第1軸は、前記III族窒化物半導体の前記c軸を前記半極性面に投影した投影c軸の方向に延在しており、前記投影c軸の方向にレーザ導波路が延在し、
    当該III族窒化物半導体レーザ素子は、レーザ共振器のための第1端面及び第2端面を更に備え、
    前記レーザ導波路は前記第1端面から前記第2端面まで延在する、請求項1又は請求項2に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記活性層はInGaN層を含み、
    前記活性層は480nm以上の光を発生するように設けられる、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記第2III族窒化物領域は、前記活性層に接触を成す第1光ガイド層と、前記第1光ガイド層上に設けられた第2光ガイド層とを含み、
    前記リッジ構造の底は前記第1光ガイド層に到達する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記シリコン系無機絶縁層の前記第2部分は、前記第1光ガイド層の表面を覆う、請求項5に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記リッジ構造の高さは800nm以上である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記リッジ構造の前記側面は、前記リッジ構造の底の位置において、前記基板の前記主面の法線軸に直交する基準面に対して70度以上の傾斜する、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記オーミック電極はパラジウムを備える、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  10. 前記シリコン系無機絶縁層はシリコン酸化物を備える、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子。
  11. III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法であって、
    第1軸の方向に延在するリッジ構造の上面に接触を成すオーミック電極及び前記リッジ構造の側面を覆うように、圧縮応力を有するシリコン系無機絶縁膜を成長する工程と、
    前記リッジ構造の前記上面に開口を有するマスクを前記シリコン系無機絶縁膜上に形成する工程と、
    前記マスクを用いて前記シリコン系無機絶縁膜をエッチングして、前記リッジ構造の前記上面に開口を有するシリコン系無機絶縁層を形成する工程と、
    を備え、
    前記シリコン系無機絶縁層の前記開口に、前記リッジ構造の前記上面の前記オーミック電極が露出している、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  12. 前記シリコン系無機絶縁層及び前記オーミック電極上に、電極を形成する工程を更に備える、請求項11に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  13. 第1導電型半導体層を含む第1III族窒化物領域、第2導電型半導体層を含む第2III族窒化物領域、活性層、及び基板を備えるエピタキシャル基板を準備する工程と、
    前記エピタキシャル基板上に、前記エピタキシャル基板の最表面の窒化ガリウム系半導体の材料と異なる材料のマスク膜を形成する工程と、
    オーミック電極の形状を規定する開口を有するレジストマスクを前記マスク膜上に形成する工程と、
    前記レジストマスクの前記開口に沿って該レジストマスクの庇を形成するように、前記レジストマスクを用いて前記マスク膜をエッチングして、第1開口を有する第1マスクを形成する工程と、
    前記第1マスクを形成した後に、金属膜を前記レジストマスク上及び前記第1開口内に形成する工程と、
    前記レジストマスクを除去して、リフトオフにより前記エピタキシャル基板の前記最表面に前記オーミック電極を形成する工程と、
    前記オーミック電極を形成した後に、前記オーミック電極及び前記第1マスクを用いて、前記エピタキシャル基板をエッチングして、前記リッジ構造を有する基板生産物を形成する工程と、
    を更に備え、
    前記第1III族窒化物領域、前記活性層、及び前記第2III族窒化物領域は前記基板のIII族窒化物半導体主面上に順に設けられる、請求項11又は請求項12に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  14. 前記III族窒化物半導体主面は半極性面を備える、請求項13に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  15. 前記第1III族窒化物領域、前記活性層及び前記第2III族窒化物領域は、基板の前記主面の法線の方向に順に配列されており、
    前記基板の前記III族窒化物半導体のc軸は、前記III族窒化物半導体のa軸及びm軸のうち一方の結晶軸と、前記基板の前記主面に対する法線軸とにより規定される基準面に沿って傾斜しており、
    前記リッジ構造は、前記III族窒化物半導体の前記c軸を前記主面に投影した投影c軸の方向に延在しており、前記投影c軸の方向にレーザ導波路が延在し、
    当該III族窒化物半導体レーザ素子は、レーザ共振器のための第1端面及び第2端面を更に備え、
    前記レーザ導波路は前記第1端面から前記第2端面まで延在する、請求項13又は請求項14に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  16. 前記活性層はInGaN層を含み、
    前記活性層は480nm以上の光を発生するように設けられる、請求項13〜請求項15のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  17. 前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の前記側面において、前記第1軸の方向に延在する一又は複数の溝を有する表面構造を備える、請求項11〜請求項16のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  18. 前記シリコン系無機絶縁層は、前記リッジ構造の前記側面において、100nm以上200nm以上の最大高さ(Rmax)を有する表面構造を備える、請求項11〜請求項17のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  19. 前記オーミック電極はパラジウムを備える、請求項11〜請求項18のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  20. 前記シリコン系無機絶縁層はシリコン酸化物を備える、請求項11〜請求項19のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
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