JP2014229427A - 分散性に優れた電池電極又はセパレーター用コート剤組成物 - Google Patents

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一雄 相場
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博秋 五十嵐
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Taichi Kamimura
太一 上村
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Satoru Yamazaki
哲 山崎
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Abstract

【課題】電池電極又はセパレーター用コート剤組成物の電極又はセパレーターに対する密着性を改良し、電池の安全性、寿命を向上させるとともに、粒子の分散性の向上した電池電極又はセパレーター用コート剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1):

で示される構造単位を有するビニルアルコール系共重合体と、アクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンとを含む電池電極又はセパレーター用コート剤組成物。活性水素基を有する無機粒子又はフィラーを含む該組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池電極又はセパレーター用コート剤組成物、これを用いる電池電極又はセパレーター表面保護方法、これでコートした電池電極又はセパレーター、そしてこの電池電極又はセパレーターを含む電池に関する。この電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、アルミナ粒子等の無機粒子の分散性に優れるので作業性が向上し、このコート剤組成物を用いて得られる電池は、耐熱性が高く、安全性に優れ、内部抵抗が低く、充放電サイクル特性に優れ、充電及び放電容量が大きく、充放電サイクル寿命が長い。
軽量で電圧が高く容量も大きい蓄電池として、リチウムイオン二次電池が知られており、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器、車や電動工具などの電源として実用化されている。しかし、従来のリチウムイオン二次電池では、充放電サイクル寿命が十分に長くなく、内部抵抗が高く、それに由来して特にハイレートにおける充放電特性が低い。また、エネルギー密度が高いため、熱暴走した際、連鎖的な暴走反応が爆発的に進み、搭載機器の破壊や人的被害に繋がる恐れがある。
上記のように、十分な安全性を提供できない一つの理由として、導電性異物の混入、デントライトの発生、又は電池の破損などによってセパレーターによる絶縁性が破れショートし発熱した際、熱暴走的に破壊が進行してしまうことを防ぐ仕組みが不十分だったことが挙げられる。
上記の問題の改善策として、水に界面活性剤とセラミックス粒子を分散させたものを含浸させ乾燥させることで得られるセパレーターを用い、デントライトの発生に伴うショートを防ぐ方法が考案されている(特許文献1)。
また、電極の表面にポリビニルアルコールを結着剤にして酸化チタン粒子からなる多孔質層を形成し、同様に、デントライトの発生に伴うショートを防ぐ方法が考案されている(特許文献2)。また、多層金属酸化物フィルムを合成二分子膜を鋳型として調製することで、比表面積の大きい金属酸化物のフィルムを作製し、これを正負極間に配置することでデントライトの発生によるショートを防ぐ方法が考案されている(特許文献3)。
また、電極の表面に高分子粒子から形成した多孔性樹脂層を形成することで、デントライトによる短絡や事故等による爆発的な電池の暴走を防ぐ方法が考案されている(特許文献4)。
また、電極材料表面に高分子固体電解質膜層を形成することで、電解液と電極材料との電気化学的な反応による電解液の分解を抑え、充放電容量とサイクル特性を改善させる方法が考案されている(特許文献5)。
また、アルミナやシリカの粒子と結着剤からなるコーティング膜をセパレーターや電極表面に形成することでイオン伝導性の多孔質膜を形成し、製造工程中に入る異物によるショートを防ぐ方法が考案されている(特許文献6)。
しかし、これらの方法では、アルミナ粒子等の無機粒子の分散性が十分ではなく、作業性に問題があり、また、コート剤とセパレーターや電極表面に対する密着性が十分ではなく、また、充放電に伴う活物質等の電池構成材料の膨張・収縮応力に対して十分な緩和効果が無いため、密着力や機械的強度等を低下させる問題があった。
特開昭50−60733号 特開昭57−126068号 特開平6−196199 特願平2−61246号 特開平7−134989号 特許第3371301号
本発明の課題は、無機粒子の分散性が十分ではなく作業性が良くないという問題点を解決すると共に、電極又はセパレーター表面を保護し電池の安全性を高めるため、あるいは、電解液含浸層としてイオン源となり電池特性を向上させるために用いられる電池電極又はセパレーター用コート剤が、電極又はセパレーターに対して安全性を高めるために必要な密着力が無く、実用上十分なイオン伝導性が無く、ハイレートにおける充電及び放電サイクル特性を達成できず、内部抵抗の高さに由来する充電及び放電ロスが大きいという従来技術の問題点を解決することである。
本発明者は、従来技術の上記問題点を解決すべく検討したところ、特定の重合開始剤の存在下で重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンを使用することにより、コート剤の粒子分散性が向上することを見出した。
本発明は、以下の通りである。
1. 一般式(1):

〔式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
で示される構造単位を有するビニルアルコール系共重合体と、アクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンとを含むことを特徴とする電池電極又はセパレーター用コート剤組成物;
2.さらに、活性水素基を有する無機粒子又はフィラーを含むことを特徴とする、上記1記載の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物;
3. 活性水素基を有する無機粒子又はフィラーがアルミナ粒子であることを特徴とする、上記1又は2記載の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、前記ビニルアルコール系共重合体と、アクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンとを含むことで、粒子分散性が向上し、作業性が改善する。加えて、前記コート剤組成物は、電池電極やセパレーターに対する密着性を向上させる事が出来、熱暴走時や圧壊時に十分な保護機能を発現する事が出来る。すなわち、本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物を電池電極及び/又はセパレーターにコートすることにより、デントライトの発生に伴う内部短絡や、事故による電池の圧壊や導電性の異物の混入や熱暴走等によるセパレーターの融解等に伴う正負極のショートを防ぎ、充放電に伴う活物質の膨張収縮による応力を緩和し、また電極又はセパレーター表面の電解液の保持層や電解液中のイオンの脱溶媒和層となる事でイオン伝導抵抗を低減させ、長期間多サイクル充電及び放電した後や、充電した状態で高温放置されたときの電池特性の劣化を防ぐことができるという効果を奏する。
さらに、本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、皮膜の柔軟性に優れることから、屈曲やイオンの脱着に伴う電極の膨張収集応力に対する耐性に優れ、またイオン伝導性に優れるものである。すなわち、本発明によれば、イオン伝導性及び/又は柔軟性が高い上記合成樹脂と、機械的強度と電極及び/又はセパレーターに対する密着性が高いビニルアルコール系共重合体とが相分離構造を形成して、それぞれがイオン伝導性と密着性を発現しているため、応力緩和能に優れ内部抵抗が低く密着性の高いコート剤組成物が提供できる。
図1は、電池電極又はセパレーター用コート剤組成物でコートした電池用電極の断面図である。 図2は、電池電極又はセパレーター用コート剤組成物でコートしたセパレーターの断面図である。
[ビニルアルコール系共重合体]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、一般式(1):

で示される構造単位を有するビニルアルコール系共重合体を含むことを特徴とする。
かかる一般式(1)で表わされる構造単位中のR1〜R3、及びR4〜R6は、それぞれ独立して水素原子または有機基であるが、好ましくはいずれも水素原子である。R1〜R3、及びR4〜R6は、共重合体特性を大幅に損なわなければ、有機基で置換されていてもよく、その有機基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、これらのアルキル基は、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。有機基であるR1〜R3、及びR4〜R6は、R1〜R3、及びR4〜R6基全体の0.01〜80モル%、特に0.1〜50モル%であることが好ましい。
また、一般式(1)で表わされる構造単位中のXは単結合又は結合鎖であり、熱安定性の点や高温下/酸性条件下での構造安定性の点で単結合であるものが最も好ましいが、本発明の効果を阻害しない範囲であれば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖としては特に限定されないが、例えば炭素数1〜18の、アルキレン、アルケニレン、若しくはアルキニレン、フェニレン、又はナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基(特に炭素数1〜4のアルキル基)が好ましく、またmは自然数であり、好ましくは1〜10である)が挙げられる。中でも製造時あるいは使用時の安定性の点で炭素数6以下のアルキレン基、特にメチレン基、あるいは−CH2OCH2−が好ましい。結合鎖であるXは、X全体の0.01〜80モル%、特に0.1〜50モル%であることが好ましい。
本発明におけるビニルアルコール系共重合体は、構造単位の全体に対して、一般式(1)で示される構造単位を任意の割合で合成する事が出来るが、水性エマルジョンにおける分散質の安定性、および電池電極又はセパレーターとの密着性の観点から5〜10モル%である事が好ましい。
また、本発明で用いられるビニルアルコール系重合体のけん化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、70モル%以上、特に75モル%以上のものが好ましく用いられる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、一般式(1)で示される構造単位を有するビニルアルコール系共重合体を、0.1〜90重量%、さらに1〜85重量%、特に3〜80重量%含むのが好ましい。
本発明で用いられるビニルアルコール系共重合体の製造法は、特に限定されないが、(i)ビニルエステル系モノマー(A)と下記一般式(2):

で示される化合物との共重合体をケン化する方法や、
(ii)ビニルエステル系モノマー(A)と下記一般式(3):

で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、
(iii)ビニルエステル系モノマー(A)と下記一般式(4):

で示される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
上記一般式(2)、(3)及び(4)中のR1、R2、R3、X、R4、R5及びR6は、いずれも一般式(1)の場合と同様である。R7及びR8は、それぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基である)である。R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子または前記有機基である。
中でも、(i’)ビニルエステル系モノマー(A)と一般式(2’):

(式中、R21、R22及びR23はそれぞれ独立して、水素又はアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。R24及びR25は、それぞれ独立して水素原子またはR26−CO−(式中、R26はアルキル基、特に炭素数1〜4のアルキル基である)である。)
で示される化合物との共重合体をケン化して得られるビニルアルコール系共重合体は、従来のポリビニルアルコールと異なり、主鎖から離れた位置にpKaが小さく立体障害も小さい1級アルコールを有することから、水素結合や脱水縮合反応に伴う密着性や反応性が高く、コート剤の電極表面及びセパレーター表面への密着力向上に対する寄与が大きく、好ましい。
好ましい上述のビニルアルコール系樹脂共重合体としては、さらに、(ii’)ビニルエステル系モノマー(A)と一般式(3’):

(式中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立して、水素又はアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。)
で示されるビニルエチレンカーボネート(B)との共重合体(A−B)をケン化及び脱炭酸すること、又は
(iii’)ビニルエステル系モノマー(A)と一般式(4’):

(式中、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素又はアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。)
で示される2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン(C)との共重合体(A−C)をケン化及び脱ケタール化することにより得られるものが挙げられる。
上記ビニルエステル系モノマー(A)としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、ビニルアルコール系共重合体においては、上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー(A)、一般式(2)、(3)又は(4)で示される化合物)の他に、樹脂共重合体物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、共重合成分として、その他のモノマー(例えば、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物など)が共重合されていてもよい。その他のモノマーの量は、ビニルアルコール系共重合体を構成するモノマー成分中、10モル%以下、特に5モル%以下であるのが好ましい。
また、ビニルアルコール系共重合体の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は通常は100〜4000であり、特に200〜3500、さらに250〜3000のものが好ましく用いられる。
[水性合成樹脂エマルジョン]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、上記ビニルアルコール系共重合体と、アクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンを含むものである。ここで主成分とは、共重合性モノマー中の50モル%以上を占める成分をいう。アクリル系モノマーは、共重合性モノマー中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
本発明で用いられるアクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンは、かかる合成樹脂が上記のビニルアルコール系共重合体により分散安定化されているのが好ましい。その製造法としては、ビニルアルコール系樹脂を分散剤とし、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で重合する水性エマルジョンの製造方法であれば、特に限定することなく用いることができるが、最も一般的な、ビニルアルコール系樹脂を乳化剤とする乳化重合法によるものについて、以下、説明する。
かかる乳化重合法による水性エマルジョンにおいて、分散質となる合成樹脂としては、アクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、重合してなる合成樹脂を用いる。
かかるアクリル系モノマーとしては、当業者に公知のものであれば特に制限はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族系(メタ)アクリレートや、フェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチルなどがあげられ、これらは1種または2種以上併用して用いられる。中でもアルキル基の炭素数が1〜18、好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜8の脂肪族系(メタ)アクリレートが好適である。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
上記の中でもホモポリマーのガラス転移温度の高いメチルメタクリレートと、ガラス転移温度の低いn−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートの少なくとも一方との組み合わせが、共重合性の容易さ、及び電池電極等への密着性の点で特に好ましい。
また、本発明においては、乳化重合する際に、上記のアクリル系モノマーとともにアセトアセチル基含有モノマーを共重合したものが、電池電極やセパレーターとの優れた密着性が得られる点で好ましい。
上記アセトアセチル基含有モノマーの具体例としては、例えば、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピルクロトナート等のアセトアセトキシアルキルクロトナート;2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等があげられる。
アセトアセチル基含有モノマーの使用量は、共重合性モノマー全体の0.01〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。使用量が少なすぎると、電池電極等との密着性の効果が不充分となる傾向があり、多すぎると、重合不良となったりする傾向がある。
なお、これらのアセトアセチル基含有モノマーは、単独でもしくは2種以上のものを組み合わせて使用することができる。
また、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記以外の共重合可能なモノマーを併用することができ、例えば、スチレン、α−メチルスチレンといったスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニル、メチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルといったビニル系モノマー;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン、エチレンスルホン酸といったオレフィン系モノマー;および、ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−1,3等のジエン系モノマー等があげられる。
また、上記以外の併用可能な共重合可能なモノマーとして、(メタ)アクリルニトリル等のニトリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ダイアセトンアクリルアミド等のアミド変性や(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基変性のアクリル系モノマー;および、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等及びこれらのエステルの不飽和ジカルボン酸またはそのエステル系モノマー等も使用可能である。
本発明のコート剤組成物においては、重合開始剤として、前述の通り、過酸化水素とL−アスコルビン酸とを組み合わせたレドックス重合開始剤系が使用される。過酸化水素とL−アスコルビン酸の合計量は、共重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部である。過酸化水素:L−アスコルビン酸の重量比は、好ましくは1:99〜60:40、より好ましくは5:95〜50:50、特に好ましくは10:90〜30:70である。
本発明による水性合成樹脂エマルジョンにおいては、前記したアクリル系モノマー及びアセトアセチル基含有モノマーなどの共重合性モノマー及び併用可能な共重合可能なモノマー以外に、必要に応じて他の成分を更に用いることができる。このような他の成分としては、水性合成樹脂エマルジョンとしての性質を低下させることがない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。他の成分としては、例えば、重合調整剤、補助乳化剤、可塑剤、造膜助剤等があげられる。
重合調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。このような重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、バッファーなどがあげられる。
ここで、連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;および、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類などがあげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。連鎖移動剤の使用は、重合を安定に行わせるという点では有効であるが、合成樹脂の重合度を低下させるため、得られる皮膜の耐電解液性の低下やコート剤の物性ばらつきが大きくなり、加えて密着力などが低下する傾向がある。このため、連鎖移動剤を使用する場合には、その使用量をできる限り低く抑えることが望ましい。
ここで、前記バッファーとしては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダ、クエン酸ソーダなどがあげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
補助乳化剤としては、乳化重合に用いることができるものとして当業者に公知のものであれば、いずれのものでも使用可能である。したがって、補助乳化剤は、例えば、アニオン性、カチオン性、およびノニオン性の界面活性剤、ビニルアルコール系共重合体以外の保護コロイド能を有する水溶性高分子、および水溶性オリゴマー等の公知のものの中から適宜選択することができる。
ここで、界面活性剤の好ましい具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤、および、プルロニック型構造を有するものやポリオキシエチレン型構造を有するものなどのノニオン性界面活性剤があげられる。また、界面活性剤として、構造中にラジカル重合性不飽和結合を有する反応性界面活性剤を使用することもできる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
界面活性剤の使用は乳化重合をスムーズに進行させ、コントロールし易くする(乳化剤としての効果)。加えて、重合中に発生する粗粒子やブロック状物の発生を抑制する効果がある。
ただし、これら界面活性剤を乳化剤として多く使用すると、見掛けグラフト化率が低下する傾向がある。このため、界面活性剤を使用する場合には、その使用量はビニルアルコール系共重合体に対して補助的な量であること、すなわち、できる限り少なくすることが望ましい。
また、保護コロイド能を有する水溶性高分子として、例えば、上述のビニルアルコール系共重合体以外のPVA系樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースなどを併用することも可能である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらは、エマルジョンの増粘やエマルジョンの粒子径を変えて粘性を変化させる点で効果がある。ただし、その使用量によっては皮膜の耐電解液性を低下させることがあるため、使用する場合には少量で使用することが望ましい。
ここで、水溶性オリゴマーとしては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基などの親水性基を有する重合度が10〜500程度の重合体または共重合体が好適にあげられる。水溶性オリゴマーの具体例としては、例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体などのアミド系共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩などがあげられる。更に、具体例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基などを有するモノマーやラジカル重合性の反応性乳化剤を予め単独または他のモノマーと共重合してなる水溶性オリゴマーなどもあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。本発明においては、これらの中でも、無機粒子との混和安定性の点で、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体が好ましい。
また、可塑剤としては、アジペート系可塑剤、フタル酸系可塑剤、燐酸系可塑剤などが使用できる。また、沸点が260℃以上の造膜助剤も使用できる。
これら他の成分の使用量は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
次に、かかる水性合成樹脂エマルジョンの製造について説明する。
前記したように、本発明による水性合成樹脂エマルジョンは、特定のビニルアルコール系共重合体を保護コロイド剤として用いて、アクリル系モノマーと必要に応じて特定の官能基含有モノマーとを含む共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、乳化重合することによって製造することができる。
乳化重合の方法としては、特に制限はなく、例えば、反応缶に、水、ビニルアルコール系共重合体を仕込み、昇温して共重合性モノマーと重合開始剤を滴下するモノマー滴下式乳化重合法;および、滴下するモノマーを予めビニルアルコール系共重合体と水とで分散・乳化させた後、滴下する乳化モノマー滴下式乳化重合法などがあげられるが、重合工程の管理やコントロール性等の面でモノマー滴下式が便利である。
通常、乳化重合は、ビニルアルコール系共重合体、前記共重合性モノマー成分及び過酸化水素とL−アスコルビン酸からなる重合開始剤の他に、重合調整剤、補助乳化剤等のような前記した他の成分を必要に応じて用いて実施する。また、重合の反応条件は、特に制限はなく、共重合性モノマーの種類、目的等に応じて適宜選択することができる。
乳化重合過程を更に具体的に説明にすると、以下のとおりである。
先ず、反応缶に水、ビニルアルコール系共重合体、必要に応じて補助乳化剤を仕込み、これを昇温(通常65〜90℃)した後、共重合性モノマー成分の一部と過酸化水素とL−アスコルビン酸からなる重合開始剤の少なくとも一部をこの反応缶に添加して、初期重合を実施する。次いで、残りの共重合性モノマー成分を、一括または滴下しながら反応缶に添加し、必要に応じて更に重合開始剤を添加しながら重合を進行させる。重合反応が完了したと判断されたところで、反応缶を冷却し、目的とする水性合成樹脂エマルジョンを取り出すことができる。
本発明において、乳化重合より得られる水性合成樹脂エマルジョンは、典型的には、均一な乳白色であって、水性合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂の平均粒子径は0.2〜2μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5μmである。
なお、ここで、平均粒子径は、慣用の方法、例えばレーザー解析/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(株式会社堀場製作所製)により測定することができる。
また、水性合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂において、そのガラス転移温度としては、特に限定されないが、−20〜+30℃であることが好ましく、特には−15〜+20℃であることが好ましい。かかるガラス転移温度が低すぎると密着性が低下する傾向となる。
なお、本発明において、上記合成樹脂におけるガラス転移温度とは、共重合モノマー成分として官能基含有モノマーを除いた主要モノマー成分に基づき、Foxの式により計算される値のことである。
更に、本発明においては、ビニルアルコール系共重合体の少なくとも一部が、前記の合成樹脂に見掛けグラフト化していることが、得られる乾燥前の水性合成樹脂エマルジョン自体の貯蔵安定性や密着力の測定における測定値のばらつきが少なくなることなどの点で好ましい。
ビニルアルコール系共重合体が前記の合成樹脂に見掛けグラフト化した場合に、下記式(1)で表される値(W)が60〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは65〜85重量%である。かかる値は、見掛けグラフト化率の目安になるものであり、この値が低すぎると、見掛けグラフト化率が低く、乳化重合時の保護コロイド作用が低下し、重合安定性が低下する傾向がある。
式(1)の値(W)は、以下のようにして算出される。
即ち、対象となるエマルジョン等を、40℃×16時間乾燥して、厚さが約0.5mmの皮膜を作製し、それを23℃×65%RH下に2日間放置する。その皮膜を、沸騰水中で8時間抽出を行った後、アセトン中で8時間抽出を行い、見掛けグラフト化していない樹脂等を除去する。この場合の、抽出前の皮膜絶乾重量をw1(g)、抽出後の皮膜絶乾重量をw2(g)とし、下記の式より求める。
W(重量%)=(w2)/(w1)×100 …(1)
w1:抽出前の皮膜絶乾重量(g)
w2:抽出後の皮膜絶乾重量(g)
なお、抽出前の皮膜絶乾重量(w1)は、予め、抽出試験サンプルとは別のサンプルを105℃×1時間乾燥させ、抽出前サンプルの皮膜絶乾重量を算出したものであり、抽出後の皮膜絶乾重量(w2)は、抽出後のサンプルを105℃×1時間乾燥させた時の重量である。これらw1とw2の重量の算出は、それぞれ別のサンプルを用いたものであるため、同一条件下での取り扱いとすべく、両サンプルの乾燥にともなう揮発分割合により補正して、両サンプルの皮膜絶乾重量を算出した。
上記式(1)の値(W)を上記範囲に調整する方法としては、乳化重合温度を従来よりもやや高くしたり、重合用触媒として使用する過硫酸塩に極微量の還元剤(例えば、酸性亜硫酸ソーダ、など)を併用したりする等があげられる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、水性合成樹脂エマルジョンを、0.1〜99重量%、さらに1〜50重量%、特に3〜30重量%含むのが好ましい。
本発明のコート剤組成物は、無機粒子の分散性に優れると共に、イオン伝導性及び/又は柔軟性が高い上記合成樹脂と、機械的強度と電極及び/又はセパレーターに対する密着性が高いビニルアルコール系共重合体とが相分離構造を形成しており、それぞれ、イオン伝導性と密着性とを発現しているため、応力緩和能に優れ、内部抵抗が低く、密着性の高いコート剤組成物が提供できる。
[活性水素基を有する無機粒子]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに、活性水素基を有する無機粒子又はフィラーを更に含む事が出来る。かかるコート剤組成物は、無機粒子又はフィラーが安定して分散しているので、粘度が低く作業性に優れる。活性水素基を有する無機粒子又はフィラーの具体例として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ベリリア、酸化マグネシウム、チタニア、酸化鉄、等の金属酸化物の粉末や、コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾル等のゾル、タルク、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物、炭化ケイ素、炭化チタン、等の炭化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物、窒化ホウ素、ホウ化チタン、酸化ホウ素等のホウ化物、ムライト等の複合酸化物、水酸化リチウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、等の水酸化物、チタン酸バリウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、珪酸マグネシウム、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、ガラス、等が挙げられる。このような無機粒子又はフィラーは、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明のコート剤組成物は、その100重量部に対して、無機粒子を1〜99重量部含むのが好ましく、10〜98重量部含むのがより好ましく、40〜97重量部含むのが特に好ましい。
無機粒子は、表面の活性水素基を活性化させるために200℃程の高温で1時間ほど乾燥させたものが好ましい。活性水素基を活性化させることで、有機物粒子に対する密着性が向上し、機械的強度や耐熱性が向上し、電解質中のイオンを安定化することでイオン伝導性が向上する。
これらの無機粒子は、電池反応を阻害するような不純物を含まないものが好ましく、純度は99重量%以上のものが好ましく、99.9重量%のものがより好ましく、99.99%以上のものが更に好ましい。
これらの無機粒子は、粉体で使用しても良いし、シリカゾルやアルミゾルのような水分散コロイドの形やオルガノゾルのような有機溶媒に分散した状態で使用しても良い。これらは前記熱融着する有機物粒子に含有させても良いし、前記熱融着する有機物粒子の表面に密着した状態で用いても良いし、前記熱融着する有機物粒子とは独立した状態で加えても良い。
無機粒子の大きさは、比表面積が表面の活性水素基の量に比例するため小さい方が好ましく、0.001〜1μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.005〜0.5μmの範囲である。さらに、これら無機粒子の多孔質体を用いることも比表面積を増やすために好ましく、シリカゲルや多孔質アルミナ、各種シラス、各種ゼオライト等を用いることも出来る。また、無機粒子の大きさは、有機物粒子同士の熱融着による連続相の形成を妨げないように前記連続相を形成する有機物粒子よりも小さいほうが好ましく、より好ましくは前記有機物粒子の1/2以下であり、更に好ましくは1/10以下である。
これらの無機粒子は、表面の活性水素基をシランカップリング剤と反応させることで被覆する事が出来る。このようなカップリング剤としては、フッ素系のシランカップリング剤として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、エポキシ変性シランカップリング剤として信越化学工業株式会社製カップリング剤(商品名:KBM−403)、オキセタン変性シランカップリング剤として東亞合成株式会社製カップリング剤(商品名:TESOX)、あるいは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、シアノヒドリンシリルエーテル、等のシランカップリング剤や、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセトネート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、チタニウムラクテートアンモニウム塩、テトラステアリルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、イソプロピルトリオクタノルチタネート、イソプロピルジメタクリイソステアロイルチタネート、チタニウムラクテートエチルエステル、オクチレングリコールチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、トリイソステアリルイソプロピルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ブチルチタネートダイマー、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタン系カップリング剤を挙げることができる。これらのカップリング剤は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。カップリング剤としては、チタン系カップリング剤又はシランカップリング剤が好ましい。このようなカップリング剤は、電池電極表面やセパレーター表面と相互作用を起こすことで密着力を向上させるこが出来る。
[硬化剤]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに、ビニルアルコール系共重合体の活性水素基と反応する硬化剤を更に含ませることも出来る。このような硬化剤としては、ポリカルボン酸やポリスルホン酸等の酸を用いる事ができ、具体的にはクエン酸、ブタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン(酸無水物)、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート(酸無水物)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(酸無水物)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸、アスパラギン酸、ピロメリット酸、メリト酸、含リンエステル基テトラカルボン酸、フェニルエチニルフタル酸、オキシジフタル酸などを例示できる。中でも芳香族カルボン酸が反応性の観点で好ましく、カルボン酸が1分子中に3以上置換されているものが反応性や架橋密度の観点で好ましい。また、例示したポリカルボン酸の内、酸無水物に相当するものを使用することも出来る。また、公知の酸や金属アルコキシドや金属キレートを硬化剤として用いることができ、ホウ酸、硫酸銅、三フッ化クロム、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンブトキシドダイマー、チタンテトラー2ーエチルヘキソキシド、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、乳酸チタン、ポリヒドロキシチタンステアレート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノステアレートなどを、水素結合性官能基を架橋しえる硬化剤化合物として、例示出来る。本発明のコート剤組成物は、これら硬化剤を、前記ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.01〜100重量部含むのが好ましく、0.1〜80重量部含むのがより好ましく、1〜50重量部含むのが特に好ましい。
[高分子結着剤]
本発明のコート剤には、ビニルアルコール系共重合体以外に、更に高分子結着剤を粘度の調整などに添加することも出来る。高分子結着剤として、完全ケン化ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製;ゴーセノールNH−26、ゴーセノールNH−18、ゴーセノールN300、株式会社クラレ製;クラレポバールPVA−124、日本酢ビ・ポバール株式会社製;JC−25、等)、部分ケン化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA−235、日本酢ビ・ポバール株式会社製;JP−33、等)変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製;ゴーセファイマーK−210、ゴーセファイマーLW−200、ゴーセファイマーLW−100、ゴーセファイマーL−7504、ゴーセファイマーL−5407、ゴーセランL−3266、ゴーセランL−0301、ゴーセランL−0302、ゴーセランCKS−50、株式会社クラレ製;クラレKポリマーKL−118、クラレCポリマーCM−318、クラレRポリマーR−1130、クラレLMポリマーLM−10HD、日本酢ビ・ポバール株式会社製;DポリマーDF−20、アニオン変性PVA AF−17、カルボキシメチルセルロース(ダイセル工業株式会社製;H−CMC、DN−100L、1120、2200、日本製紙ケミカル株式会社製;MAC200HC、等)、ヒドロキシエチルセルロース(ダイセル工業株式会社製;SP−400、等)、ポリアクリルアミド(MTアクアポリマー株式会社製;アコフロックA−102)、ポリオキシエチレン(明成化学工業株式会社製;アルコックスE−30)、エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製;EX−614、ジャパンケムテック株式会社製;エピコート5003−W55、等)、ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製;エポミンP−1000)、ポリアクリル酸エステル(MTアクアポリマー株式会社製;アコフロックC−502、等)、糖類及びその誘導体(和光純薬工業株式会社;キトサン5、日澱化学株式会社製;エステル化澱粉乳華、グリコ株式会社製;クラスターデキストリン、ポリスチレンスルホン酸(東ソー有機化学株式会社製;ボリナスPS−100等)等の水溶性高分子は水に溶かした状態で用いることが出来、変性ポリビニルアルコール(信越化学工業株式会社製;シアノレジンCR−V)、変性プルラン(信越化学工業株式会社製;シアノレジンCR−S)、ポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#1120)等の高分子はN−メチルピロリドンに溶かした状態で用いることが出来る。
本発明のコート剤組成物は、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、高分子結着剤を0.1〜99重量部含むのが好ましく、1〜80重量部含むのがより好ましく、3〜50重量部含むのが特に好ましい。
[塩]
本発明の電池電極保護剤組成物は、各種イオン源となる塩を配合することができる。これによって、イオン伝導性を向上させる事が出来る。特に、適用する電池で使用する電解質のカウンターアニオン及び/又はカウンターカチオンとなり得る塩を加えることが好ましく、リチウムイオン電池の場合は、水酸化リチウム、珪酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等を例示でき、ナトリウムイオン電池の場合は、水酸化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム等を例示でき、カルシウムイオン電池の場合は、水酸化カルシウム、過塩素酸カルシウム等を例示でき、マグネシウムイオン電池の場合は、過塩素酸マグネシウム等を例示でき、電気二重層キャパシタの場合は、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等を例示できる。本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、上記塩を、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.1〜300重量部含むのが好ましく、0.5〜200重量部含むのがより好ましく、1〜100重量部含むのが特に好ましい。
[イオン性を有する液体]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに、イオン性を有する液体を含むことができる。イオン性を有する液体は、前記塩が溶媒に溶解した溶液又はイオン性液体であり得る。塩が溶媒に溶解した溶液として、溶媒が水の場合、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム等が例示でき、溶媒がジメチルカーボネート等の有機物の場合、六フッ化リン酸リチウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウム、等が例示できる。
イオン性液体の例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウムメチルスルフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルフォニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド等のイミダゾリウム塩誘導体;3−メチル−1−プロピルピリジミウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド等のピリジニウム塩誘導体;テトラブチルアンモニウムヘプタデカフルオロオクタンスルフォネート、テトラフェニルアンモニウムメタンスルフォネート等のアルキルアンモニウム誘導体;テトラブチルフォスフォニウムメタンスルフォネート等のホスホニウム塩誘導体;ポリアルキレングリコールと過塩素酸リチウムの複合体等の複合化導電性付与剤、等を示すことができる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、イオン性を有する液体を、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.01〜1000重量部含むのが好ましく、0.1〜100重量部含むのがより好ましく、0.5〜50重量部含むのが特に好ましい。
[カップリング剤]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに、カップリング剤を含むことができ、先に例示したカップリング剤を用いることが出来る。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、カップリング剤を、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.01〜100重量部含むのが好ましく、0.01〜5重量部含むのが特に好ましい。
[溶媒]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、流動性を調整するために、さらに、各種溶媒を含むことができる。また、溶媒の一部をコート剤組成物中に残して成膜することで、イオン伝導性を向上させることも出来る。溶媒としては、炭化水素(プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、テレビン油、ピネン等)、ハロゲン系炭化水素(塩化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチレン、臭化メチル、臭化エチル、クロロベンゼン、クロロブロモメタン、ブロモベンゼン、フルオロジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロクロロエタン等)、アルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−オクタノール、n−ドデカノール、ノナノール、シクロヘキサノール、グリシドール等)、エーテル、アセタール(エチルエーテル、ジクロロエチルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、シネオール、メチラール)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジイソブチルケトン、ホロン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等)、エステル(ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸−n−アミル、酢酸メチルシクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、ステアリン酸ブチル等、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等)、多価アルコールとその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル等)、脂肪酸及びフェノール(ギ酸、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、キシレノール等)、窒素化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジアミルアミン、アニリン、モノメチルアニリン、o−トルイジン、o−クロロアニリン、ジクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル、ピリジン、α−ピコリン、2,4−ルチジン、キノリン、モルホリン等)、硫黄、リン、その他化合物(二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、4,4−ジエチル−1,2−ジチオラン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メタンチオール、プロパンスルトン、リン酸トリエチル、リン酸トフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、ホウ酸アミル等)、無機溶剤(液体アンモニア、シリコーンオイル等)、水等の液体を例示することができる。中でも溶解安定性の観点から、水やアルコールのような水酸基を有する極性溶媒や、N−メチルピロリドンやジメチルスルホキシドのような非プロトン性極性溶媒を好ましく用いる事ができ、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。水や極性溶媒などの溶媒は、コート剤組成物において、ビニルアルコール系共重合体の残部を占めることができる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物には、粘度調製を行うために任意の種類と比率で溶媒を添加することが可能で、塗工性の観点から粘度は1〜10000mPa・sの範囲が好ましく、10〜5000mPa・sの範囲がより好ましく、20〜3000mPa・sの範囲が特に好ましい。また、使用する電極及び又はセパレーターの材質に合わせて、溶媒を選択することも可能で、例えば使用する溶媒に電極材料やセパレーターが溶解したり腐食したりしないものを適時選ぶ事が出来る。
[安定剤]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに必要に応じて、安定剤を適宜選択して含むことができる。このような安定剤としては、具体的には2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチル−フェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−アニリノ)−1,3,5−トリアジン等によって例示されるフェノール系酸化防止剤、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等によって例示される芳香族アミン系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ}−5−tert−ブチル−フェニル]スルフィド、2−メルカプト−5−メチル−ベンゾイミダゾール等によって例示されるサルファイド系ヒドロペルオキシド分解剤、トリス(イソデシル)ホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスファートジエチルエステル、ナトリウムビス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファート等によって例示されるリン系ヒドロペルオキシド分解剤、フェニルサリチラート、4−tert−オクチルフェニルサリチラート等によって例示されるサリチレート系光安定剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸等によって例示されるベンゾフェノン系光安定剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等によって例示されるベンゾトリアゾール系光安定剤、フェニル−4−ピペリジニルカルボナート、セバシン酸ビス−[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル]等によって例示されるヒンダードアミン系光安定剤、[2,2’−チオ−ビス(4−t−オクチルフェノラート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル−(II)によって例示されるNi系光安定剤、シアノアクリレート系光安定剤、シュウ酸アニリド系光安定剤、フラーレン、水添フラーレン、水酸化フラーレン、等を挙げることができる。これらの安定剤は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、安定剤を、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.01〜10重量部含むのが好ましく、0.05〜5重量部含むのがより好ましく、0.1〜1重量部含むのが特に好ましい。
[界面活性剤]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに、界面活性剤を含むことができ、これにより、該組成物のぬれ性や消泡性を調節できる。イオン性の界面活性剤に付いては、イオン伝導性の向上のためにも用いることも出来る。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤として、石ケン、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、メチルタウリン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ペンタフルオロエタンスルホン酸塩、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸塩、ノナフルオロブタンスルホン酸塩、等が挙げられ、カウンターカチオンとしてはナトリウムイオンやリチウムイオン、等を用いる事が出来る。リチウムイオン電池に於いてはリチウムイオンタイプがより好ましく、ナトリウムイオン電池に於いてはナトリウムイオンタイプがより好ましい。
両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、脂肪酸アルキルベタイン、スルホベタイン、アミオキサイド等が挙げられ、非イオン(ノニオン)型界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキルエーテル型化合物、ポリオキシソルビタンエステル等のエステル型化合物、アルキルフェノール型化合物、フッ素型化合物、シリコーン型化合物等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、界面活性剤を、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.01〜50重量部含むのが好ましく、0.1〜20重量部含むのがより好ましく、1〜10重量部含むのが特に好ましい。
[防腐剤]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、さらに、防腐剤を含むことができ、これにより、該組成物の保存安定性を調節できる。
防腐剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類や、安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸のような酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウムのような塩、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンのようなイソチアゾリン系防腐剤、パラヒドロキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン等が挙げられる。
これらの防腐剤は、1種類、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することが出来る。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、防腐剤を、ビニルアルコール系共重合体100重量部に対して、0.001〜1重量部含むのが好ましく、0.005〜0.5重量部含むのがより好ましい。
[電池電極又はセパレーター用コート剤組成物の製造]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、上記成分を混合し撹拌することによって作製でき、流動性のある粉体混合物や溶液又は懸濁液等として得ることができる。撹拌は、プロペラ式ミキサー、プラネタリーミキサー、ハイブリッドミキサー、ニーダー、乳化用ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等の各種撹拌装置を適宜選択して行うことができる。また、必要に応じて加熱又は冷却しながら撹拌することもできる。
[コート剤組成物の層の形成方法]
電池電極やセパレーターに対するコート剤組成物のコート層の形成は、グラビアコーターやスリットダイコーター、スプレーコーター、ディッピングなどを利用することが出来る。乾燥は、温風炉やIR炉など各種公知の方法で行うことが出来る。コート層の厚さは0.01〜100μmの範囲が好ましく、電気特性及び密着性の観点から0.05〜50μmの範囲が更に好ましい。コート層があまり薄いと電子電導に対する絶縁性が悪くなり、ショートの危険性が増す。また、電極やセパレーターの凹凸に追従出来ずにピンホールが発生する危険性も増す。逆に厚すぎると抵抗が厚みに比例して上がるためイオン伝導に対する抵抗が高くなり、電池の充放電特性が低下する。
[電極及び/又はセパレーター]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物により電池電極及び/又はセパレーターの表面を保護することができる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物で保護された電池電極又はセパレーターは、上記各成分を配合した組成物を電池電極又はセパレーターにコートし乾燥させることで製造できる。電池電極としては、各種電池や電気二重層型キャパシタの正極及び/又は負極を例示でき、これらの少なくとも一面に電池電極又はセパレーター用コート剤組成物を塗布又は含浸することができる。セパレーターとしては、ポリプロピレンやポリエチレン製の多孔質材料やセルロース製やポリプロピレン、ポリエチレン製の不織布などを例示でき、これらの両面又は片面に塗布したり含侵させたり出来る。本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、対向するセパレーターや電極に密着させた状態で用いることができ、電池組み立て時にホットプレスを行うことでこれらを熱融着させることも出来る。また、セパレーターの代わりにコート剤組成物を固体電解質膜として用いることもできる。
[電池]
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物でコートした電池電極及び/又はセパレーターから電池を製造することができる。電池の製造は、公知の方法によって行うことができる。
以下に実施例等を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。添加量の表示は、断りが無い場合は重量基準である。
(調製例1)<ビニルアルコール系共重合体1の製造>
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル100部、メタノール300部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン16部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.255モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。重合開始から45分後、酢酸ビニル99部、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン144部を9時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに75分間重合を継続した後、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了した。重合終了時の酢酸ビニルの重合率は88%であった。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して12ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするビニルアルコール系共重合体1を得た。
得られたビニルアルコール系共重合体1のケン化度は、残存酢酸ビニル及び残存3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ99.1モル%であり、平均重合度はJIS K6726に準じて分析を行ったところ300であった。また、一般式(1)で示される1,2−ジオール構造を含有する側鎖の導入量は、H−NMR(内部標準:テトラメチルシラン、溶媒:DMSO−d6)で測定して算出したところ8モル%であった。
(調製例2)<ビニルアルコール系共重合体2の製造>
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル80部、メタノール320部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン4.8部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.24モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、重合を開始した。重合開始から45分後、酢酸ビニル720部、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン43.2部を9時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに75分間重合を継続した後、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了した。重合終了時の酢酸ビニルの重合率は94%であった。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液をさらにメタノールで希釈し、濃度50%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して5ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするビニルアルコール系共重合体2を得た。
得られたビニルアルコール系共重合体2のケン化度は、残存酢酸ビニル及び残存3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ89.1モル%であり、平均重合度はJIS K6726に準じて分析を行ったところ340であった。また、一般式(1)で示される1,2−ジオール構造を含有する側鎖の導入量は、1H−NMR(内部標準:テトラメチルシラン、溶媒:DMSO−d6)で測定して算出したところ3モル%であった。
(実施例1)
攪拌機と還流冷却器を備えた2Lのステンレス製反応缶に、710部の水にビニルアルコール系共重合体1の51.5部を溶解させた溶液を仕込んだ。この反応缶の温度を70℃に保ち、ここに、予め混合しておいた混合モノマー〔ブチルアクリレート385部/メチルメタクリレート315部=55/45(重量比);合計700部〕の70部を添加し、重合開始剤として過酸化水素0.29部を水5.42部に溶解させた過酸化水素水溶液の30%と、アスコルビン酸1.48部を水28.1部に溶解させたアスコルビン酸水溶液の30%とを加えて、初期重合反応を1時間行った。次いで残りの混合モノマー630部と、重合開始剤として前記過酸化水素水溶液の60%と、前記アスコルビン酸水溶液の60%を、反応缶に4時間に渡って滴下して重合を進行させた。滴下終了後に前記過酸化水素水溶液の10%と前記アスコルビン酸水溶液の10%を加え、同温度で1時間熟成させ、不揮発分50.2%の水性合成樹脂エマルジョンを得た。
2Lのビーカーに、水0.95kgとアルミナの粒子(Al 平均粒子径100nm)0.95kgを加えプロペラ式ミキサーで均一になるまで分散させた後、実施例1のエマルジョン0.1kgを添加し均一になるまで分散させた。更にビーズミルを用いて分散させコート剤組成物を得た。
(比較例1)
攪拌機と還流冷却器を備えた2Lのステンレス製反応缶に、720部の水にビニルアルコール系共重合体1を51.5部溶解させた水溶液を仕込んだ。この反応缶の温度を80℃に保ち、ここに、予め混合しておいた混合モノマー〔ブチルアクリレート385部/メチルメタクリレート315部=55/45(重量比);合計700部〕の70部を添加し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.89部を水17部に溶解させた過硫酸アンモニウム水溶液の30%を加えて、初期重合反応を1時間行った。次いで残りの混合モノマー630部と、重合開始剤として前記過硫酸アンモニウム水溶液の60%を、反応缶に4時間に渡って滴下して重合を進行させた。滴下終了後に前記過硫酸アンモニウム水溶液の10%を加え、同温度で1時間熟成させ、不揮発分50.7%の水性合成樹脂エマルジョンを得た。
2Lのビーカーに、水0.95kgとアルミナの粒子(Al 平均粒子径100nm)0.95kgを加えプロペラ式ミキサーで均一になるまで分散させた後、比較例1のエマルジョン0.1kgを添加し均一になるまで分散させた。更にビーズミルを用いて分散させコート剤組成物を得た。
(実施例2)
2Lのステンレス製容器にビニルアルコール系共重合体2の51.5部を、370部の水に溶解させた溶液を仕込んだ。タービン攪拌翼で溶液を攪拌しながら予め混合しておいた混合モノマー〔ブチルアクリレート504部/メチルメタクリレート196部=72/28(重量比);合計700部〕を添加し、乳化モノマーを調製した。
攪拌機と還流冷却器を備えた2Lのステンレス製反応缶に、340部の水を仕込み、反応缶の温度を70℃に保ち、ここに調整した乳化モノマーの112部を添加し、重合開始剤として過酸化水素0.29部を水5.42部に溶解させた過酸化水素水溶液の30%と、アスコルビン酸1.48部を水28.1部に溶解させたアスコルビン酸水溶液の30%とを加えて、初期重合反応を1時間行った。次いで、残りの乳化モノマー588部と、重合開始剤として前記過酸化水素水溶液の60%と前記アスコルビン酸水溶液の60%を、反応缶に4時間に渡って滴下して重合を進行させた。滴下終了後に、前記過酸化水素水溶液の10%と前記アスコルビン酸水溶液の10%を加え、同温度で1時間熟成させ、不揮発分50.3%の水性合成樹脂エマルジョンを得た。
2Lのビーカーに、水0.95kgとアルミナの粒子(Al 平均粒子径100nm)0.95kgを加えプロペラ式ミキサーで均一になるまで分散させた後、実施例2のエマルジョン0.1kgを添加し均一になるまで分散させた。更にビーズミルを用いて分散させコート剤組成物を得た。
(実施例3)
実施例2において、混合モノマー〔ブチルアクリレート504部/メチルメタクリレート196部=72/28(重量比);合計700部〕を混合モノマー〔ブチルアクリレート84部/メチルメタクリレート196部/2−エチルヘキシルアクリレート420部=12/28/60(重量比);合計700部〕に変更したこと以外は、実施例2と同様にして水性合成樹脂エマルジョンを得た。
2Lのビーカーに、水0.95kgとアルミナの粒子(Al 平均粒子径100nm)0.95kgを加えプロペラ式ミキサーで均一になるまで分散させた後、実施例3のエマルジョン0.1kgを添加し均一になるまで分散させた。更にビーズミルを用いて分散させコート剤組成物を得た。
(比較例2)
2Lのステンレス製容器にビニルアルコール系共重合体2の51.5部を、370部の水に溶解させた溶液を仕込んだ。タービン攪拌翼で溶液を攪拌しながら予め混合しておいた混合モノマー〔ブチルアクリレート504部/メチルメタクリレート196部=72/28(重量比);合計700部〕を添加し、乳化モノマーを調製した。
攪拌機と還流冷却器を備えた2Lのステンレス製反応缶に、350部の水を仕込み、反応缶の温度を80℃に保ち、ここに調整した乳化モノマーの112部を添加し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.89部を水17部に溶解させた過硫酸アンモニウム水溶液の30%を加えて、初期重合反応を1時間行った。次いで、残りの乳化モノマー588部と、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液の60%を、反応缶に4時間に渡って滴下して重合を進行させた。滴下終了後に、前記過硫酸アンモニウム水溶液の10%を加え、同温度で1時間熟成させ、不揮発分50.7%の水性合成樹脂エマルジョンを得た。
2Lのビーカーに、水0.95kgとアルミナの粒子(Al 平均粒子径100nm)0.95kgを加えプロペラ式ミキサーで均一になるまで分散させた後、比較例2のエマルジョン0.1kgを添加し均一になるまで分散させた。更にビーズミルを用いて分散させコート剤組成物を得た。
(試験例)
無機粒子の分散性は、コート剤組成物の液温が23℃の状態で、BL型粘度計(東機産業製 VISCOMETER BL II形)を用い、No.2ローター、12rpmにて粘度測定を行ない評価した。なお粘度が10,000mPa・s以上のものについては、BH型粘度計(東機産業製 VISCOMETER BH II形)のNo.6ローター、10rpmにて測定を行なった。測定結果を表1に示す。
表1から分かるように、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンを含む実施例1〜3のコート剤組成物は、過硫酸アンモニウムの存在下で重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンを含む比較例1及び2のコート剤組成物に比べ、低粘度であった。このことから、実施例1〜3のコート剤組成物は、アルミナ粒子の分散性に優れ、作業性が向上するといえる。
本発明の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物は、粒子の分散性が良く低粘度であるため作業性が良く、また、これを使用して得られたコート層は、電極やセパレーターに対する密着性が良く、内部抵抗が低く、電気化学的な耐久性が従来のものよりも良いため、長期信頼性に優れた電池を提供できる。
1 電池電極又はセパレーター用コート剤組成物層
2 活物質層
3 集電体
4 セパレーター

Claims (3)

  1. 一般式(1):

    〔式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。〕
    で示される構造単位を有するビニルアルコール系共重合体と、アクリル系モノマーを主成分とする共重合性モノマーを、過酸化水素とL−アスコルビン酸の存在下で、重合してなる合成樹脂の水性エマルジョンとを含むことを特徴とする電池電極又はセパレーター用コート剤組成物。
  2. さらに、活性水素基を有する無機粒子又はフィラーを含むことを特徴とする、請求項1記載の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物。
  3. 活性水素基を有する無機粒子又はフィラーがアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項1又は2記載の電池電極又はセパレーター用コート剤組成物。
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