JP2014228682A - 静電潜像用現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185を採用しても、分散性が悪化することがなく、以って付着量を低減させても高い画像濃度を得ることができる静電潜像用現像剤を提供することにある。【解決手段】本発明の静電潜像用現像剤は、樹脂と着色剤とを含むものであって、該着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185と特定構造のジスアゾ系化合物とを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像用現像剤に関する。
昨今、静電潜像用現像剤を用いて種々の画像を形成する場合、CPP(一枚当たりの印刷コスト)低減および定着エネルギー低減のため、紙等の記録材上のトナー粒子の付着量を低減させることが求められている。トナー粒子の付着量を低減させてしかも十分な画像濃度を得るためには、トナー粒子中の顔料等の着色剤として着色力が高いものを採用し、かつその添加量を増加させる方策が有効であると考えられる。
C.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー185(C.I.Pigment Yellow 185)は着色力が高いため、静電潜像用現像剤の着色剤として用いられている(特開2007−094351号公報(特許文献1)、特開2011−197032号公報(特許文献2))。
特開2007−094351号公報 特開2011−197032号公報
C.I.ピグメントイエロー185は、このように高い着色力を有することからトナー粒子の低付着量化に対して有利であると考えられる。しかし、C.I.ピグメントイエロー185は、分散性および分散安定性が悪く、添加量を増やすと、トナー粒子を造粒するときに凝集し、造粒が困難になるという問題を有していた。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185を採用しても、分散性が悪化することがなく、以って付着量を低減させても高い画像濃度を得ることができる静電潜像用現像剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、C.I.ピグメントイエロー185に対して特定の構造を有する化合物を共存させるとC.I.ピグメントイエロー185の分散性が向上するとの知見が得られ、この知見に基づきさらに検討を重ねることにより本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の静電潜像用現像剤は、樹脂と着色剤とを含むものであって、該着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物とを含み、該ジスアゾ系化合物は、以下の式(I)または式(II)で表わされることを特徴とする。
1−A−Y1−A−Z1 ・・・(I)
2−B1−Y2−B2−Z2 ・・・(II)
式(I)中、Aは−N=N−を示し、X1は置換基を有していてもよいピラゾリル基または置換基を有していてもよいナフチル基を示し、Y1は置換基を有していてもよいビフェニレンを示し、Z1はスルホネート基を有するピラゾリル基、スルホネート基を有するナフチル基、およびアセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基のいずれかを示し、該スルホネート基を有するピラゾリル基、該スルホネート基を有するナフチル基、および該アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基は、それぞれ、さらなる置換基を有していてもよく、該スルホネート基は、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、該アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基中のスルホン酸は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、それぞれ該塩を形成する場合は、多配位状態となっていてもよい。
式(II)中、B1は以下の式(III)を示し、B2は以下の式(IV)を示し、X2は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、Y2は置換基を有していてもよいビフェニレンを示し、Z2はスルホネート基を有するフェニル基またはスルホネート基と他の置換基とを有するフェニル基を示し、該スルホネート基は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、該塩を形成する場合は、多配位状態となっていてもよい。
Figure 2014228682
ここで、該ジスアゾ系化合物は、以下の式(V)で表わされるものが好ましい。
Figure 2014228682
式(V)中、Z3は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかを示し、多配位状態となっていてもよい。
また、該ジスアゾ系化合物は、該着色剤中に0.1〜50質量%含まれることが好ましい。
なお、本発明において、「置換基を有していてもよいナフチル基」のように、「置換基を有していてもよい」(または「置換基を有していてもよく」)という表現は、「置換基を有していてもよいし、置換基を有さなくてもよい」ことを意味し、たとえば「置換基を有していてもよいナフチル基」とは、「ナフチル基または置換基を有するナフチル基」を意味する。また、置換基を有する場合は、特に断らない限り置換位置および置換個数は限定されず、1または2以上の置換基を有することができる。
本発明の静電潜像用現像剤は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185を採用しても、分散性が悪化することがなく、以って付着量を低減させても高い画像濃度を得ることができるという優れた効果を示す。
乾式現像剤を用いる電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。 液体現像剤を用いる電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。
以下、本発明に係わる実施の形態について、さらに詳細に説明する。
<静電潜像用現像剤>
本実施の形態の静電潜像用現像剤は、樹脂と着色剤とを含む。このような静電潜像用現像剤(以下、単に「現像剤」とも記す)には、一般的に乾式現像剤と液体現像剤(湿式現像剤ともいう)とが含まれる。乾式現像剤は、さらに1成分系現像剤と2成分系現像剤とを含む。1成分系現像剤は、トナー粒子から構成される。2成分系現像剤は、トナー粒子とキャリアとにより構成され、このトナー粒子はトナー母体粒子と外添剤粒子とにより構成される。一方、液体現像剤は、絶縁性液体とトナー粒子とを含む。
本明細書において、単に「トナー粒子」という場合は、特に断らない限り上記のトナー粒子またはトナー母体粒子を示すものとする。なお、静電潜像用現像剤に含まれる樹脂と着色剤とからなる必須2成分は、通常トナー粒子(2成分系現像剤ではトナー母体粒子)に含まれる。
このような静電潜像用現像剤は、上記の必須2成分以外に、着色剤用分散剤、ワックス、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン、アルミナ等の従来公知の任意の添加剤を含むことができる。このような任意の添加剤は、トナー粒子中に含まれていてもよいし、それ以外の部分に含まれていてもよい。なお、液体現像剤においては、さらにトナー分散剤(トナー粒子中に含まれる着色剤用分散剤ではなくトナー粒子自体を分散させるもの)や増粘剤を絶縁性液体中に含むことができる。
このような静電潜像用現像剤は、種々の手段により形成された静電潜像を現像することにより画像を形成(顕現化)するものであり、主として電子写真方式の画像形成装置用の現像剤として用いられるものであるが、これのみに限定されるものではない。
その用途の一例を挙げると、たとえば複写機、プリンタ、レーザープリンタ、ファクシミリ、デジタル印刷機、簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置において使用される電子写真用現像剤、塗料、静電記録用現像剤、インクジェットプリンタ用油性インクまたは電子ペーパー用インク等として用いることができる。
以下、静電潜像用現像剤に含まれる各成分について説明する。
<着色剤>
本実施の形態の静電潜像用現像剤に含まれる着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物とを含む。C.I.ピグメントイエロー185は、イソインドリン顔料で着色力に優れており、トナー粒子の付着量を低減させても所望の画像濃度を得ることができるという特徴を有している。
このような着色剤は、静電潜像用現像剤に含まれる樹脂中に分散しており、所望の色調を発現するという作用を有する。このような着色剤の粒径は、500nm以下が好ましく、より好ましくは200nm以下である。着色剤の粒径が500nmを超えると画像の色彩値がずれ、所望の色彩が得られない場合がある。さらに、着色剤の分散性が悪くなり、所望の画像濃度が得られない場合がある。着色剤の粒径の下限値は特に限定されない。また、後述のジスアゾ系化合物が後述の顔料表面に吸着したような態様の粒径も、上記着色剤の粒径に含む。着色剤の粒径は、超音波方式粒度分布・ゼータ電位測定装置(商品名:「DT1200」、Dispertion Technology社製)により測定できる。
このような着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物とを含む限り、他の公知の染料および顔料を任意に含むことができる。たとえば、以下に例示するようなものを挙げることができる。
黒色の着色剤としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も使用可能である。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等を挙げることができる。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同155、同162、同180等を挙げることができる。
さらに、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等を挙げることができる。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同44、同56、同61、同77、同79、同80、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を挙げることができる。
これらの他の着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量は、トナー粒子全体(2成分系現像剤ではトナー母体粒子全体)に対して1〜30質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。1質量%未満では、十分な着色効果を得ることができない場合があり、30質量%を超えると、着色剤の均一分散が難しくなり、着色剤の凝集による光沢度の低下を引き起こす場合がある。
また、着色剤の数平均1次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜500nm程度が好ましい。500nmを超えると着色剤の分散性が悪化する傾向を示し、所望の色相が得られない場合がある。また、光沢度が低下し、所望の画像濃度が得られず、さらに定着性が悪化する場合もある。
<ジスアゾ系化合物>
本実施の形態のジスアゾ系化合物は、以下の式(I)または式(II)で表わされる。
1−A−Y1−A−Z1 ・・・(I)
2−B1−Y2−B2−Z2 ・・・(II)
式(I)中、Aは−N=N−を示し、X1は置換基を有していてもよいピラゾリル基または置換基を有していてもよいナフチル基のいずれかを示す。ここでいう置換基とは、たとえば炭素数1〜4のアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換基を有するフェニル基、オキソ基(=O)等を含む。
また上記Y1は、置換基を有していてもよいビフェニレンを示す。ここで、ビフェニレンが置換基を有する場合としては、たとえば3,3’−ジクロロビフェニレン、3,3’−ジメトキシビフェニレン、3,3’−ジメチルビフェニレン、2,2’−ジメトキシビフェニレン、2,2’−ジクロロ−5,5’−ジメトキシビフェニレン等を含む。
また上記Z1は、スルホネート基(−SO3 -)を有するピラゾリル基、スルホネート基を有するナフチル基、およびアセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基のいずれかを示し、該スルホネート基を有するピラゾリル基、該スルホネート基を有するナフチル基、および該アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基は、それぞれ、さらなる置換基を有していてもよい。ここでいう置換基とは、たとえば炭素数1〜4のアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、フェニル基、置換基を有するフェニル基、オキソ基(=O)等を含む。また、該スルホネート基は、水素、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、該アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基中のスルホン酸は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、それぞれ該塩を形成する場合は、多配位状態となっていてもよい。
式(II)中、B1は以下の式(III)を示し、B2は以下の式(IV)を示し、X2は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。ここでいう置換基とは、たとえば炭素数1〜4のアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基等を含む。
また上記Y2は、置換基を有していてもよいビフェニレンを示す。ここで、ビフェニレンが置換基を有する場合としては、たとえば3,3’−ジクロロビフェニレン、3,3’−ジメトキシビフェニレン、3,3’−ジメチルビフェニレン、2,2’−ジメトキシビフェニレン、2,2’−ジクロロ−5,5’−ジメトキシビフェニレン等を含む。
また上記Z2は、スルホネート基を有するフェニル基またはスルホネート基と他の置換基とを有するフェニル基を示し、他の置換基としてはたとえば炭素数1〜4のアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基等を含み、該スルホネート基は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、該塩を形成する場合は、多配位状態となっていてもよい。
Figure 2014228682
ここで、上記式(I)または(II)において、「多配位状態となっていてもよい」とは、上記のスルホネート基またはスルホン酸(以下、スルホネート基またはスルホン酸を含む化合物部分を「アニオン部分」という)が、アルカリ土類金属、アルミニウム、または亜鉛のような2価以上の価数を有するもの(以下「カチオン部分」という)と塩を形成する場合、1個の「カチオン部分」に対して2個以上の「アニオン部分」がイオン結合することにより塩を形成している状態をいう。
また、上記式(I)および(II)において「第4級アンモニウム基」とは、アンモニウムイオン(NH4 +)およびアンモニウムイオン中の水素のいずれか1以上をアルキル基またはアリール基で置換したカチオンからなる群より選ばれるいずれかのイオンを意味するものとする。
また、上記式(I)において、X1またはZ1に含まれるピラゾリル基またはナフチル基がいずれの位置においてAである−N=N−と結合するかは特に限定されず、またこれらが置換基を有する場合、その置換基の位置および個数も特に限定されない。また、ピラゾリル基は、3−ピラゾロンおよび5−ピラゾロンのいずれから誘導されるものであってもよい。
また、ピラゾリル基またはナフチル基がZ1のようにスルホネート基を有する場合、その置換位置および個数も特に限定されない。
たとえば、置換基を有するピラゾリル基が1−フェニル−3−メチル−ピラゾリン−5−オンの場合、スルホネート基のベンゼン環上の置換位置は、たとえば以下の式(1)のR1の位置となる。
Figure 2014228682
また、置換基を有するナフチル基が2−ナフトールの場合、スルホネート基の置換位置は、たとえば以下の式(2)または(3)のR1の位置となる。
Figure 2014228682
なお、ピラゾリル基またはナフチル基が、上記のような置換基をさらに有する場合は、その置換基の置換位置はそれぞれ上記の式(1)〜(3)のR1以外の位置となる。
また、「アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基」とは、アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸(CH3COCH2CONH−Ph−SO3H、ただしPhはフェニル基を示す)から誘導される1価の任意の基であって、いずれの位置においてAである−N=N−と結合するかは特に限定されず、またベンゼン環上のスルホン酸基の置換位置も特に限定されない。また、これがさらに他の置換基を有する場合、その置換基の位置および個数も特に限定されない。
たとえば、アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基が下記の式(4)で表わされる場合、スルホン酸基の置換位置は、式(4)のR1のいずれか1以上の位置となる。また、アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基が、上記のような置換基を有する場合も、その置換基の置換位置は、式(4)のR1のいずれか1以上の位置となる。
Figure 2014228682
なお、上記式(4)のように、アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基は、2個の「CO」に挟まれた「CH2」が「CH−」となりAに結合することが好ましい。
一方、上記式(II)において、X2またはZ2に含まれるフェニル基および(他の)置換基を有するフェニル基がいずれの位置においてB1またはB2と結合するかは特に限定されず、その(他の)置換基の位置および個数も特に限定されない。また、それらがZ2のようにスルホネート基を有する場合、その置換位置および個数も特に限定されない。
このような式(II)で表わされるジスアゾ系化合物として特に好ましくは、以下の式(V)で表わされるものを挙げることができる。この式(V)で示されるジスアゾ系化合物は、比較的赤味の色彩を帯びており、500〜600nmに吸収波長を有するために比較的緑味の色彩を有するC.I.ピグメントイエロー185と併用することにより、イエローとしての色相が向上するためである。
Figure 2014228682
(式(V)中、Z3は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかを示し、多配位状態となっていてもよい。)
このような本実施の形態のジスアゾ系化合物は、着色剤として機能する化学構造を持ち、かつC.I.ピグメントイエロー185と強い相互作用を有する。このため、C.I.ピグメントイエロー185を分散する際に用いる溶媒や樹脂に対して高い親和性を有する。すなわち、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物との間でファンデルワールス力が働き、これが両者の化学構造においてフラットで広い面全体で作用する為、C.I.ピグメントイエロー185に対して強固で実用的な吸着が生じるものと推定される。これにより、C.I.ピグメントイエロー185の再凝集を防ぐための立体障害となり、C.I.ピグメントイエロー185の分散性を向上させているものと考えられる。
また、この分散性の向上は、後述のように造粒法でトナー粒子を作製する場合においては、着色剤粒子分散液のポットライフの向上に寄与し、粉砕法でトナー粒子を作製する場合においては、着色剤を含有するマスターバッチ作成後の着色剤粒子の分散状態の向上に寄与するものとなる。このため、製造ロット間での不均一性を防止することが可能となる。
このようなジスアゾ系化合物は、従来公知の製造方法に準じて製造することができる。たとえば、ジクロロベンジジンなどをテトラゾ化し、カップリング成分の混合物とカップリングして、ジスアゾ系化合物を製造することができる。
このようなジスアゾ系化合物は、1種単独で、または2種以上を組合わせて、着色剤中に含むことができる。なお、このようなジスアゾ系化合物は、該着色剤中に0.1〜50質量%、好ましくは1.0〜10質量%含まれることが好適である。ジスアゾ系化合物の含有量を0.1〜50質量%の範囲とすることで、イエローとしての色相の向上と着色剤粒子の分散安定性の向上とを高度に両立させることができる。
その含有量が0.1質量%未満であると、C.I.ピグメントイエロー185の分散性向上の効果が不十分となり、所定のトナー付着量で充分な画像濃度が得られなくなる場合があり、50質量%を超えると色相が変化するとともに着色力が低下し、所定のトナー付着量において所望の濃度が得られなくなる場合がある。
<着色剤用分散剤>
本実施の形態の静電潜像用現像剤において、上記のようにC.I.ピグメントイエロー185はジスアゾ系化合物を共存させることにより分散性が向上するものであるが、樹脂中において着色剤をさらに均一に分散させるために、着色剤用分散剤を含むことができる。このような着色剤用分散剤は、特に塩基性分散剤が好ましい。塩基性分散剤であれば、種類は限定されない。
ここで、塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、着色剤用分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、ペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られた濾液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性分散剤は、その種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基等の官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。なお分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、着色剤を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性分散剤の市販品としては、たとえば味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)や日本ルーブリゾール社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。
このような着色剤用分散剤の添加量は、着色剤に対して、1〜100質量%添加することが好ましい。より好ましくは、1〜40質量%である。1質量%未満では、着色剤の分散性が不十分となる場合があり、必要なID(画像濃度)が達成できないとともに、転写性、定着強度が低下する場合がある。また100質量%を超えると、着色剤の分散に対する必要量以上の着色剤用分散剤が添加されることになり、トナー粒子の荷電性や定着強度に悪影響を及ぼす場合がある。
<樹脂>
静電潜像用現像剤に含まれる樹脂は、主として着色剤を記録材上に定着させる作用を有するものであり、熱可塑性であればいかなる樹脂でも良い。たとえば、スチレン、アクリル、酢酸ビニル等のビニル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ、ポリエチレン、石油系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができ、コアシェル型の構造を有するものであってもよい。
樹脂がコアシェル型の構造を有する場合は、通常トナー粒子全体としてコアシェル型の構造となり、着色剤はそのコア部分およびシェル部分のいずれに含まれていてもよく、またコア部分とシェル部分の双方に含まれていてもよい。
なお、これらの樹脂の具体例については、以下の製造方法の項において説明するが、それらのみに限定されるものではない。
<その他の添加剤>
本実施の形態の静電潜像用現像剤に含まれる上記で説明した各成分以外の各種添加剤については、以下の製造方法の項に挙げる。
<製造方法>
本実施の形態の静電潜像用現像剤の製造方法として、まず以下にトナー粒子(トナー母体粒子)の作製方法を説明し、その後乾式現像剤および液体現像剤の作製方法を説明する。
<トナー粒子の作製方法>
上記で既に説明したようにトナー粒子は、樹脂と着色剤とを含む。かかるトナー粒子は、これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえばワックス、荷電制御剤等を挙げることができる。
以下では、静電潜像用現像剤である乾式現像剤の2成分系現像剤のトナー粒子を構成するトナー母体粒子の作製方法について説明する。なお、2成分系現像剤では便宜上このトナー母体粒子と外添剤粒子とにより構成される粒子をトナー粒子と呼ぶため、それと区別するためにトナー母体粒子と呼ぶが、このトナー母体粒子は、1成分系現像剤のトナー粒子や液体現像剤のトナー粒子となり得るものである。
このようなトナー母体粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来のトナー粒子の製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナー粒子を作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させることによりトナー粒子を得る重合法により作製することが可能である。
重合法によるトナー粒子の作製は、その製造工程で粒子の形状や大きさを制御しながら所望のトナー粒子を形成することが可能で、微小なドット画像を忠実に再現することが可能な小径のトナー粒子の作製に最適である。
<水相の着色剤分散液を使用したトナー母体粒子の作製方法>
水相の着色剤分散液を用いた、乳化会合法によるコアシェル構造の樹脂により構成されるトナー母体粒子の作製方法について説明する。この方法は、上記の重合法に分類されるものであり、以下の工程からなる。
(1)コア形成用樹脂粒子分散液の作製工程
(2)着色剤分散液の作製工程
(3)コア形成用樹脂粒子の凝集および融着工程(第1熟成工程)
(4)シェル化工程
(5)第2熟成工程
(6)冷却工程/洗浄工程/乾燥工程
以下、スチレンアクリル共重合体樹脂を含有するコア粒子表面を、ポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖をグラフト重合させた変性ポリエステル樹脂で被覆したコアシェル構造の樹脂を有するトナー母体粒子の作製を例にとり、各工程について説明する。
(1)コア形成用樹脂粒子分散液の作製工程
この工程は、重合性単量体を水系媒体中に投入して重合を行ない、120nm程度の大きさのコア形成用樹脂粒子(スチレンアクリル共重合体の樹脂粒子)を形成する工程である。この工程では、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体、およびワックスなどを水系媒体中へ投入し、分散させて、重合開始剤によりこれら重合性単量体を重合させる。
ここでいうスチレン系単量体には、CH2=CH−C65の構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。また、ここでいうアクリル酸エステル系単量体には、CH2=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル化合物の他、メタクリル酸エステルおよびその誘導体等、公知の側鎖や官能基を有するビニル系エステル化合物も含まれる。
以下に、スチレンアクリル共重合体を形成することが可能なスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の具体例を示すが、本実施の形態で使用されるトナー母体粒子のコア粒子を形成するのに使用可能なものは以下に示すものに限定されるものではない。また、アクリル酸エステル単量体またはメタクリル酸エステル単量体は、1種類単独で使用することができる他、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。すなわち、スチレン系単量体と2種類以上のアクリル酸エステル単量体とを用いて共重合体を形成すること、スチレン系単量体と2種類以上のメタクリル酸エステル単量体を用いて共重合体を形成すること、あるいは、スチレン系単量体とアクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体とを併用して共重合体を形成することのいずれも可能である。
スチレン系単量体としては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。
アクリル酸エステル系単量体としては、以下に示すアクリル酸エステル単量体とメタクリル酸エステル単量体が代表的なもので、アクリル酸エステル単量体としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。
メタクリル酸エステル単量体としては、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
また、スチレンアクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル系単量体としては、以下のようなものがあるが、以下に限定されるものではない。すなわち、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソブチレン等)、ビニルエステル類(プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等)、ビニルエーテル類(ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等)、N−ビニル化合物類(N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等)、その他(ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体等)をそのようなビニル系単量体の例として挙げることができる。
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に示す。すなわち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等を挙げることができる。
さらに、以下に示す様な側鎖にイオン性解離基を有するビニル系単量体を使用することも可能であり、イオン性解離基の具体例としては、たとえば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。以下にこれらのイオン性解離基を有するビニル系単量体の具体例を示す。まず、カルボキシル基を有するビニル系単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等がある。また、スルホン酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等がある。さらに、リン酸基を有するビニル系単量体の具体例としては、たとえば、アシドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシドホスホオキシプロピルメタクリレート等がある。
本実施の形態に係るトナー母体粒子は、上記の樹脂や着色剤とともにワックスを含むことができる。このようなワックスとしては、以下に示す公知のものが挙げられる。すなわち、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、長鎖炭化水素系ワックス(パラフィンワックス、サゾールワックス等)、ジアルキルケトン系ワックス(ジステアリルケトン等)、エステル系ワックス(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等)、アミド系ワックス(エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等)等を挙げることができる。
このようなワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナー母体粒子の耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行なう場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定した画像形成が行なうことができる。また、トナー母体粒子中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
ビニル系重合性単量体を用いてトナー母体粒子を構成する樹脂を形成する場合、公知の油溶性または水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等を挙げることができる。すなわち、アゾ系またはジアゾ系重合開始剤としては、たとえば2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができ、過酸化物系重合開始剤としては、たとえばベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等を挙げることができる。
ビニル系重合性単量体を用いてトナー母体粒子を構成する樹脂を形成する場合、水溶性ラジカル重合開始剤も使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
ビニル系重合性単量体を用いてトナー母体粒子を構成する樹脂を形成する場合、樹脂粒子の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、n−オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
本実施の形態では、水系媒体中に分散させた重合性単量体を重合し、水系媒体中に分散させた樹脂粒子等を凝集、融着させてトナー母体粒子を作製するので、これらの材料を水系媒体中に安定して分散させておく分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえばリン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用できる。
水系媒体中で重合性単量体を用いて重合を行なう場合、界面活性剤を使用して上記重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させる必要がある。このとき、使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等を挙げることができる。
スルホン酸塩としては、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、o−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等を挙げることができる。
また、硫酸エステル塩としては、たとえばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等を挙げることができ、脂肪酸塩としては、たとえばオレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等を挙げることができる。
また、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
(2)着色剤分散液の作製工程
この工程は、水系媒体中に着色剤(C.I.ピグメントイエロー185、ジスアゾ系化合物等)および着色剤用分散剤を混合したものを分散機にて分散させ、200nm程度の大きさの着色剤粒子を含んだ着色剤分散液を作製する工程である。
上記の分散には、公知の分散機などを適宜用いることができる。分散機の具体例としては、ビーズミル、ボールミル、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。回転数、分散時間、分散温度などの条件は目的に応じて適宜選択できる。
(3)コア形成用樹脂粒子の凝集および融着工程(第1熟成工程)
この工程は、水系媒体中で前述のコア形成用樹脂粒子と着色剤粒子とを混合し、凝集させると同時に粒子同士を融着させてコア粒子を作製する工程である。この工程では、樹脂粒子と着色剤粒子とを混合させた水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加し、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。そして、コア粒子の大きさが目標の大きさになった時に、食塩水等の塩を添加して凝集を停止させる。
使用可能な凝集剤は特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩等の1価の金属の塩、たとえば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の2価の金属の塩、たとえば、鉄、アルミニウム等の3価の金属の塩等を挙げることができる。具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、これらの中で特に好ましくは2価の金属の塩である。2価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
そして引き続き、反応系を加熱処理することによりコア粒子の形状が所望の形状となるまで熟成を行なう。この操作でも、加熱温度を高めに設定し、処理時間を長めに設定することにより、表面が平滑なコア粒子を作製することが可能となる。
(4)シェル化工程
この工程は、上記の第1熟成工程で形成されたコア粒子の分散液中に、シェル形成用樹脂粒子(スチレンアクリル変性ポリエステル)を添加してコア粒子表面を当該シェル形成用樹脂粒子で被覆する工程である。シェル形成用樹脂粒子として、ポリエステル分子鎖にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステルを用いるため、コア粒子表面に対して適度な親和性を発現させることにより、コア粒子とシェル形成用樹脂粒子間に強固な結合が形成されるものと考えられる。また、シェル形成用樹脂粒子間には、適度な分散性が作用しているため、シェル形成用樹脂粒子同士での凝集が起こりにくく、コア粒子表面にはシェル形成用樹脂粒子による薄いシェルが形成されるものと考えられる。
ここで、シェル形成用樹脂粒子として用いられる「スチレンアクリル変性ポリエステル」とは、ポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステル樹脂を意味する。スチレンアクリル変性ポリエステルセグメントは、触媒の存在下で多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合反応させて形成するが、触媒は公知のものを使用することが可能である。
多価カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸と呼ばれる公知の2価カルボン酸や3価以上のカルボン酸を挙げることができる。2価のカルボン酸の具体例としては、たとえばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。また、3価以上のカルボン酸の具体例としては、たとえばトリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
また、多価アルコールとしては、公知の2価アルコールや3価以上のアルコールが挙げられる。2価アルコールの具体例としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、3価以上のアルコールの具体例としては、たとえばグリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
なお、トナー母体粒子を構成する樹脂におけるシェル形成用樹脂粒子の含有比率は、樹脂全量に対して5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。シェル形成用樹脂粒子の含有比率が上記の範囲にあるトナー母体粒子は、コア粒子表面全体を被覆する十分な量のシェル形成用樹脂粒子が供給され、シェル形成用樹脂粒子により構成されるシェルによりコア粒子が十分に被覆されることにより耐熱保管性と低温定着性の両立をより確実に実現させることが可能となる。
(5)第2熟成工程
この工程は、上記シェル化工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより、コア表面へのシェルの被覆を強化するとともに、シェルで被覆されたコア粒子の形状が所望の形状になるまで熟成を行なう工程である。この工程において、加熱温度を高めに設定し、処理時間を長めに設定することにより、円形度が高く、表面が平滑化されたトナー粒子を作製することが可能となる。
(6)冷却工程/洗浄工程/乾燥工程
冷却工程とは、シェルで被覆されたコア粒子(以下「トナー母体粒子」と記す)の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
洗浄工程とは、上記工程で所定温度まで冷却された「トナー母体粒子」の分散液から「トナー母体粒子」を固液分離し、次いで、固液分離されてウェットのケーキ状集合体を呈する「トナー母体粒子」の表面から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去する工程である。付着物を除去する操作(洗浄処理)は、ろ液の電気伝導度がたとえば10μS/cmレベルになるまで水洗処理を行なうものである。ろ過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等、公知の処理方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
乾燥工程とは、洗浄処理された「トナー母体粒子」を乾燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレイドライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等の公知の乾燥機が挙げられ、また静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することも可能である。
乾燥処理された「トナー母体粒子」に含有される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下である。なお、乾燥処理された「トナー母体粒子」同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。このような解砕処理装置としては、たとえばジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
以上のようにして、トナー母体粒子を作製することができる。
<油相の着色剤分散液を使用したトナー母体粒子の作製方法>
油相の着色剤分散液を用いたトナー母体粒子の作製方法について説明する。この方法は、上記の重合法に分類されるものであり、以下の工程からなる。
(1)水相作製工程
(2)油相作製工程
(3)乳化および収斂工程
(4)脱溶剤工程/異形化工程
(5)洗浄工程/乾燥工程
以下、樹脂および着色剤等を含有する油相を用いて、それを水系媒体中で乳化および分散させ、「トナー母体粒子」を作製する各工程について説明する。
(1)水相作製工程
樹脂微粒子、粒子径制御剤および界面活性剤などを純水中に分散し、水相を作製する。ただし水系媒体は、水(純水)単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
上記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましい。前記ビニル系樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
なお、上記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。上記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」、三洋化成工業株式会社製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレートなどが挙げられる。
上記樹脂微粒子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って重合させることにより得ることができるが、該樹脂微粒子の水性分散液として得るのが好ましい。該樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば、
1.上記ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法、
2.上記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法、
3.上記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、などが好適に挙げられる。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に用いられる。フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、炭素数が2〜10のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる(なお、本明細書において「C6〜C11」のように「C」と「数字」による表記は炭素数(たとえば「C6〜C11」の場合は炭素数が6〜11個であること)を示す)。
(2)油相作製工程
ワックス、ポリエステル樹脂、着色剤(C.I.ピグメントイエロー185およびジスアゾ系化合物)からなるトナー母体粒子を構成することとなる原材料を溶媒中に投入し、ガラスビーズを充てんしたサンドミル機を用いて分散させて、油相を作製する。具体的には、まず、ワックスとポリエステル樹脂を有機溶剤中で混合する。また、そこに着色剤と樹脂を混合したものを加え、さらにイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを加えて作製する。このときのジスアゾ系化合物の添加量は、着色剤全体の質量に対して、0.1〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
使用可能なワックスとしては、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、長鎖炭化水素系ワックス(パラフィンワックス、サゾールワックス等)、ジアルキルケトン系ワックス(ジステアリルケトン等)、エステル系ワックス(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等)、アミド系ワックス(エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等)等を挙げることができる。
ワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行なう場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定した画像形成が行なえる。また、トナー母体粒子中のワックス含有量は、1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜20質量%である。
ポリエステル樹脂(未変性ポリエステル)は、「中間体ポリエステル」とポリイソシアネートを用いて形成される。上記中間体ポリエステルは、酸成分と、脂肪族ジオール及び脂環族ジオールから選択される少なくとも1種のジオール化合物とを触媒の存在下で縮合重合させて得られる。
上記ジオール化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、などが挙げられる。1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記酸成分としては、ジカルボン酸であるテレフタル酸及びイソフタル酸の少なくともいずれかが好適である。上記触媒としては、Ti系触媒が好ましく、例えば、チタンテトラブトキシドなどが挙げられる。また、上記酸成分としてトリメリット酸など、3価のカルボン酸を併用することもできる。
ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプローラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。上記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。上記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種単独でも使用することができ、2種以上を併用してもよい。
使用する有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることがトナー母体粒子形成後の除去が容易である点で好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100質量部に対し、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
上記着色剤は、樹脂と複合化したマスターバッチとして使用する。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(3)乳化および収斂工程
この工程において、上記のようにして作製した油相および水相を混合および乳化し、ワックス、ポリエステル樹脂、着色剤などが含まれる油滴が作られる。この過程で、伸長反応により油滴中に高分子量のポリエステル樹脂が形成されるとともに、油滴(ワックス、ポリエステル樹脂、着色剤など含む)の合一と油滴への粒子径制御剤の吸着が同時に起こる。粒子径制御剤が油滴へ吸着し、粒子径制御剤の膜が形成されると、油滴同士の合一は抑止される。油滴合一と粒子径制御剤の吸着の各速度を制御することにより、目的とする粒径のトナー母体粒子が得られる。
油相と水相を混合するときに、高速せん断機を用いることが好ましい。このときの回転数、分散時間、分散温度などは目的に応じて適宜選択することができる。回転数は、1000〜30000rpmであることが好ましく、5000〜20000rpmであることがより好ましい。分散時間は、バッチ方式の場合、0.5〜5分であることが好ましく、分散温度は、0〜150℃であることが好ましい。
(4)脱溶剤工程/異形化工程
これらの工程は、トナー母体粒子を含む油滴内部に残留する溶媒を除去し、トナー母体粒子を得る工程である。
(5)洗浄工程/乾燥工程
これらの工程は、トナー粒子表面の不純物を洗い流し、表面および内部に存在する水分を蒸発させて、乾燥粉体にする工程である。
以上のようにして、トナー母体粒子を作製することができる。
<粉砕法によるトナー母体粒子の作製方法>
粉砕法では、着色剤(C.I.ピグメントイエロー185およびジスアゾ系化合物)を樹脂に高濃度に混合した「マスターバッチ」を作製し、これをトナー母体粒子を構成する樹脂に混練して、粉砕および分級することにより、「トナー母体粒子」を作製する。このときのジスアゾ系化合物の添加量は、着色剤全体の質量に対して、0.1〜50質量%の範囲であることが好ましい。
ここで、「トナー母体粒子」を構成する樹脂としては、公知のものを使用することができる。たとえばスチレン系樹脂、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート等のアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂等を挙げることができる。また、これらを単独でまたは混合して使用することができる。特に好ましい樹脂はポリエステル系樹脂である。
このような樹脂としては、数平均分子量(Mn)が3000〜6000、好ましくは3500〜5500、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが2〜6、好ましくは2.5〜5.5、ガラス転移点が50〜70℃、好ましくは55〜65℃、および軟化点が90〜110℃、好ましくは90〜105℃である樹脂を使用することが好ましい。
<乾式現像剤の作製方法>
乾式現像剤である2成分系現像剤の作製方法について説明する。このような2成分系現像剤は、まず、上記で作製されたいずれかの「トナー母体粒子」に「外添剤粒子」を混合することにより「トナー粒子」を作製する。次に、この「トナー粒子」と、キャリアである「樹脂コートキャリア」を混合することにより、2成分系現像剤が作製される。
以下、「外添剤粒子」と「トナー粒子」の作製および「樹脂コートキャリア」の作製について説明する。
<外添剤粒子>
「トナー母体粒子」には、流動性および荷電性を付与する為、外添剤粒子が添加される。
このような外添剤粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等からなる無機微粒子、ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等からなる有機微粒子等を挙げることができる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカおよび/または酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。このような外添剤粒子は、1種類のみでもよいし、2種類以上を組合わせてもよい。
シリカ微粒子としては、種々の市販品を用いることができ、たとえばクラリアント社製の「HDK2150」(商品名)、「H05TA」(商品名)、日本エアロジル社製の「R504」(商品名)、「RA200HS」(商品名)、「NA50Y」(商品名)、「VPNA50H」(商品名)、「R812」(商品名)、テイカ社製の「MSP−012」(商品名)、「MSP−013」(商品名)、「MSP−011」(商品名)、キャボット社製の「TG820F」(商品名)、信越化学工業社製の「X−24−9404」(商品名)等を挙げることができる。
外添剤粒子の添加量は、トナー母体粒子に対して、0.1〜10質量%の範囲が好ましい。0.1質量%未満では所望する効果が不十分であり、10質量%を超えると、トナー母体粒子の粉体流動性の低下などを引き起こし、使いにくくなるからである。
<トナー粒子の作製>
2成分系現像剤のトナー粒子は、乾燥処理した「トナー母体粒子」表面へ外添剤粒子を添加および混合することにより作製することができる。
すなわち、「トナー母体粒子」100質量部に対し、外添剤粒子としてたとえば「X−24−9404」(商品名、信越化学工業社製)1.0質量部および「R812」(商品名、日本エアロゾル社製)0.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:「FM10B」、三井三池化工(株)製)を用いて混合した(この操作を外添処理ともいう)。混合の条件は、ヘンシェルミキサの撹拌羽根周速を40m/秒、処理温度を30℃、処理時間を20分とした。そして、このようにして外添処理を行なった後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、「トナー粒子」を作製した。
<樹脂コートキャリアの作製>
樹脂コートキャリアは、体積平均粒径25μm以上50μm以下のフェライト芯材粒子(以下、芯材粒子ともいう)表面に樹脂を被覆したものであり、トナー粒子に対する良好な帯電付与性能を安定的に発現することが可能である。
樹脂コートキャリア用のフェライト芯材粒子としては、たとえば体積平均粒径が35μmのフェライト芯材粒子を用いることができる。このフェライト芯材粒子は、マンガン含有量がMnO換算で21.0モル%、マグネシウム含有量がMgO換算で3.3モル%、ストロンチウム含有量がSrO換算で0.7モル%、鉄含有量がFe23換算で75.0モル%のものであった。なお、前記体積平均粒径は湿式分散器を備えた市販のレーザ回折式粒度分布測定装置(商品名:「HELOS」、シンパテック社製)により測定することができる。
また、樹脂としては、スチレン系樹脂やスチレン−アクリル系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂等を挙げることができる。
そして、樹脂コートキャリアは、キャリア製造装置を用いて作製できる。キャリア製造装置は、フェライト芯材粒子と被覆用樹脂粒子とを混合および撹拌して芯材粒子表面に樹脂粒子を静電的に付着させ、次いで樹脂粒子を付着させた芯材粒子を加熱しながらストレスを加え、樹脂粒子をフェライト芯材粒子表面に延展させることにより被覆し、これにより樹脂コートキャリアを作製する装置である。
なお、樹脂コートキャリアを作製する際、原料である芯材粒子と樹脂粒子とは、原料投入口より容器本体内部に供給される。芯材粒子と樹脂粒子とは、駆動手段であるモータにより回転した回転羽根により撹拌される。回転羽根の作動を制御することで、芯材粒子表面への樹脂粒子の静電付着を行なう操作と、静電付着した樹脂粒子を芯材粒子表面に強く固着させる操作とを段階的に行なうことができる。
すなわち、(1)芯材粒子と樹脂粒子とを室温下で撹拌および混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程、(2)樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、芯材粒子表面に樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程、(3)チャンバーを室温まで冷却する工程を少なくとも経ることにより、芯材粒子表面を樹脂でコートした構造の樹脂コートキャリアを作製することができる。また、上記(1)、(2)、(3)の工程は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。
<液体現像剤の作製方法>
液体現像剤は、トナー粒子(実質的に上記で説明した「トナー母体粒子」である)と絶縁性液体とを含む。かかる液体現像剤は、これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえば荷電制御剤、増粘剤、トナー分散剤等を挙げることができる。その配合割合は、たとえばトナー粒子を10〜50質量%、絶縁性液体等を50〜90質量%とすることができる。このような液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置用の現像剤として有用である。
液体現像剤を構成する絶縁性液体は、静電潜像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)のものであれば良い。さらに、臭気、毒性が低い溶媒が好ましい。一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に、臭気、無害性、コスト等の点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が好ましい。
具体的には、モレスコホワイト(商品名、松村石油研究所社製)、アイソパー(商品名、エクソン化学社製)、シェルゾール(商品名、シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028(いずれも商品名、出光石油化学社製)等が挙げられる。
液体現像剤に含まれるトナー分散剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に安定的に分散させる作用を有するものであり、このため、通常はトナー粒子の表面部に存在(吸着)している。このようなトナー分散剤は、絶縁性液体に対して可溶性であることが好ましい。このような分散剤としては、トナー粒子を安定に分散させるものである限り特に限定されるものではなく、たとえば界面活性剤、高分子分散剤等を用いることができる。
そして、特に本実施の形態においては、トナー粒子を構成する樹脂との関係から、分散剤としては塩基性の高分子分散剤を用いることが好ましく、塩基性基としてピロリドン基を有する高分子分散剤を用いることが特に好ましい。これは、恐らくトナー粒子を構成するポリエステル樹脂の酸価が高くなる場合において、塩基性の高分子分散剤を用いることにより、これら両者の相互作用によりトナー粒子の良好な分散性が長期間に亘り安定化されるためではないかと考えられる。
このような塩基性の高分子分散剤としては、上記ピロリドン基をはじめ、たとえば芳香族アミノ基、脂肪族アミノ基、ヘテロ環窒素含有基、ヘテロ環酸素含有基、ヘテロ環硫黄含有基等を有する高分子分散剤を挙げることができる。また、ピロリドン基としては、たとえばN−ビニルピロリドン基を挙げることができ、N−ビニルピロリドン基を有する塩基性の高分子分散剤としては、たとえばN−ビニル−2−ピロリドンとメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、またはアルキレン化合物とのランダム共重合体またはグラフト共重合体等を挙げることができる。ここで、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルがアルキルエステルである場合、そのアルキル基の炭素数は10〜20程度であることが好ましい。これらの市販品を例示すると、たとえば「Antaron V−216」、「Antaron V−220」(いずれも商品名、アイエスピー・ジャパン社製)等を挙げることができる。また、上記アルキレン化合物のアルキル基の炭素数は10〜30程度が好ましい。
そして、このような液体現像剤は、トナー母体粒子、絶縁性液体、トナー分散剤等を容器に入れ、ペイントシェーカーを用いて分散させることにより作製することができる。ペイントシェーカーのほか、ボールミル、サンドミル、ビーズミルなどの装置で分散させても良い。このようにして、液体現像剤を作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
以下の手順により、トナー母体粒子を含む2成分系現像剤である乾式現像剤を作製した。
(1)水相作製工程
まず、撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(商品名:「エレミノールRS−30」、三洋化成工業製)11質量部、スチレン139質量部、メタクリル酸138質量部、アクリル酸ブチル110質量部、チオグリコール酸ブチル12質量部、および過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌後、系内温度を75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1質量%の過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で5時間熟成して、ビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下「微粒子分散液」と記す)を得た。
引続き、水990質量部、「微粒子分散液」30質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(商品名:「エレミノール MON−7」、三洋化成工業製)37質量部、酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、「水相」を得た。
(2)油相作製工程
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物218質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物537質量部、テレフタル酸213質量部、アジピン酸47質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧、230℃で5時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応させた後、さらに無水トリメリット酸44質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させることにより、「ポリエステルA」を得た。
また、冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、プロピレングリコール685質量部、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部およびチタンテトラブトキシドジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧、230℃で8時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させ、「中間体ポリエステル」を得た。
次いで、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、上記で得た「中間体ポリエステル」410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、酢酸エチル500質量部を入れ100℃で5時間反応させることにより、「プレポリマー」を得た。
続いて、以下のようにしてジスアゾ系化合物である「ジスアゾ系化合物C1」を作製した。
まず、3,3’−ジクロロベンジジン38gを容器にとり、35%の塩酸46.5gと水400gを加えて撹拌し、温度を5℃以下に保持した。次いで、これに亜硝酸ナトリウム水溶液53.5gを加えて撹拌し、ジクロロベンジジンテトラゾニウム塩溶液を得た。以下、この溶液を「溶液A」と呼ぶ。この溶液Aはテトラゾ液である。
一方、1−フェニル−3−メチル−ピラゾリン−5−オン28g、N−アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸のカリウム塩46.5gの混合物を水250g中に撹拌装入することによりスラリーを得た。このスラリー23.5gに、水酸化ナトリウム13.5gを加え、1−フェニル−3−メチル−ピラゾリン−5−オンを完全に溶解するためにスラリーの温度を上昇させ、溶液とした。次いで、この溶液に、氷酢酸8g、36%−塩酸9.5gおよび水350gを添加することにより、「溶液B」を得た。
続いて、上記の溶液Aをこの溶液Bに75分間にわたって添加し、その際にpHを酢酸ナトリウムの添加により4.3に調節した。反応混合物を一晩撹拌し、その後過剰のテトラゾが存在しないように試験した。この反応混合物を70℃に加熱し、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド37.3gを加え、かつ混合物を1時間、70℃で撹拌した。生成物を濾取し、水で洗い、かつ50〜60℃で乾燥させることにより、以下の式(C1)で示される「ジスアゾ系化合物C1」を得た。
Figure 2014228682
水1200質量部、イエロー顔料(商品名:「D1155」、BASF社製)300質量部、「ジスアゾ系化合物C1」、ポリエステル樹脂(商品名:「RS801」、三洋化成工業社製)1200質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合した。得られた混合物を2本ロールミルを用いて150℃で30分間混合後、冷却し、パルペライザーで粉砕して、「マスターバッチ」を作製した。このときのジスアゾ系化合物の添加量は、着色剤全体の質量に対して、1質量%とした。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、「ポリエステルA」400質量部、カルナバワックス110質量部、酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温した状態で、5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。
次いでこの容器に、「マスターバッチ」500質量部、酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合することにより、「着色剤/ワックス分散液」を得た。
引続き、この「着色剤/ワックス分散液」1324質量部を容器に移し、ビーズミル(商品名:「ウルトラビスコミル」、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒の条件で、直径0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、「油相」を得た。「油相」の固形分濃度は50質量%であった。
(3)乳化および収斂工程
「油相」749質量部、「プレポリマー」115質量部、イソホロンジアミン1.3質量部を反応容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、5000rpmで1分間混合した。
その後、反応容器に「水相」1200部を加え、TKホモミキサーで回転数13000rpmで20分間混合し、「乳化スラリー」を得た。
(4)脱溶剤工程/異形化工程
撹拌機、および温度計のついた反応容器中に、「乳化スラリー」を投入し、30℃にて、8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、有機溶媒が除去された分散液を得た。これを「分散スラリー」とする。
(5)洗浄工程/乾燥工程
「分散スラリー」100質量部を減圧濾過した後、以下のようにして、洗浄および乾燥を行なった。
濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサー(回転数12000rpmで10分間)で混合した後、濾過する。
その後、濾過ケーキに蒸留水100質量部を加え、TKホモミキサー(回転数12000rpmで30分間)で混合した後、減圧濾過する。
さらに、10%の塩酸100質量部を加え、TKホモミキサー(回転数12000rpmで10分間)で混合した後、濾過する。
続いて、イオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサー(回転数12000rpmで10分間)で混合後に濾過する操作を2回繰り返す。
得られた濾過ケーキを45℃の乾燥機で48時間乾燥する。
目開き75μmのメッシュで篩い、「トナー母体粒子」を得た。
このトナー母体粒子は、樹脂としてコアシェル型の樹脂(コア:スチレン−アクリル樹脂、シェル:スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂)を含み、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185と「ジスアゾ系化合物C1」とを含むものであった。
(6)乾式現像剤(2成分系現像剤)の作製工程
以下の手順により、乾式現像剤を作製した。
まず、上記で作製した「トナー母体粒子」100質量部に対し、「外添剤粒子」(商品名:「R504」、日本エアロジル社製)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(商品名:「FM10B」、三井三池化工(株)製)を用いて、撹拌羽根周速40m/秒、処理温度30℃、処理時間20分の条件で外添処理を行なった。
その後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、トナー母体粒子と外添剤粒子とからなる「トナー粒子」を作製した。
次いで、「樹脂コートキャリア」を以下の手順により作製した。まず、フェライト芯材粒子を被覆する樹脂粒子を作製した。撹拌装置、温度センサ、冷却管、および窒素導入装置を取り付けた反応容器にドデシル硫酸ナトリウム1.7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を用意した。この界面活性剤水溶液を窒素気流下で230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。また、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させて開始剤溶液を作製した。
そして、上記の界面活性剤水溶液中に、上記の開始剤溶液を添加し、液温を80℃にして単量体混合液(400質量部のシクロヘキシルメタクリレートおよび400質量部のメタクリル酸メチル)を2時間かけて滴下した。
その後、80℃の下で2時間加熱と撹拌を行ない、重合反応を進行させることにより被覆用樹脂粒子の分散液を作製した。そして、この分散液をスプレイドライヤで乾燥処理することにより被覆用樹脂粒子を作製した。
次いで、体積平均粒径35μmのフェライト粒子3000質量部および上記で得た被覆用樹脂粒子120質量部を水平回転翼型のキャリア製造装置に投入し、水平回転翼の周速を4m/秒に設定して、22℃の温度下で15分間混合撹拌を行なった。その後、120℃に加熱した状態で40分間撹拌処理を行ない、体積平均粒径36μmの「樹脂コートキャリア」を作製した。
続いて、上記で作製した「トナー粒子」と上記で作製した「樹脂コートキャリア」とを容器に入れ、ロールミルで2時間混合することにより「乾式現像剤」を作製した。このようにして得られた「乾式現像剤」における「トナー粒子」の濃度は7.0質量%とした。
<実施例2>
実施例1の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C1」の作製)において、1−フェニル−3−メチル−ピラゾリン−5−オンに代えて、アセトアセトアニリド12.3gを用いることにより、以下の式(C2)で示される「ジスアゾ系化合物C2」を調製したことを除き、他は全て実施例1と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例3>
実施例1の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C1」の作製)において、1−フェニル−3−メチル−ピラゾリン−5−オンに代えて、2−ナフトール22.8gを用いることにより、以下の式(C3)で示される「ジスアゾ系化合物C3」を調製したことを除き、他は全て実施例1と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例4>
実施例2の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C2」の作製)において、3,3’−ジクロロベンジジンに代えて、ベンジジン21.5gを用いることにより、以下の式(C4)で示される「ジスアゾ系化合物C4」を調製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例5>
実施例2の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C2」の作製)において、3,3’−ジクロロベンジジンに代えて、3,3’−ジメトキシベンジジン20.6gを用いることにより、以下の式(C5)で示される「ジスアゾ系化合物C5」を調製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例6>
実施例2の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C2」の作製)において、3,3’−ジクロロベンジジンに代えて、3,3’−ジヒドロキシベンジジン25.2gを用いることにより、以下の式(C6)で示される「ジスアゾ系化合物C6」を調製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例7>
実施例2の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C2」の作製)において、3,3’−ジクロロベンジジンに代えて、2,2’−ジクロロ−5,5’−ジメトキシベンジジン36.5gを用いることにより、以下の式(C7)で示される「ジスアゾ系化合物C7」を調製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例8>
実施例2の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C2」の作製)において、N−アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸のカリウム塩に代えて、1−(4−スルホフェニル)−3−メチルピラゾリン−5−オンのカリウム塩45.9gを用いることにより、以下の式(C8)で示される「ジスアゾ系化合物C8」を調製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例9>
実施例2の油相作製工程(「ジスアゾ系化合物C2」の作製)において、N−アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸のカリウム塩に代えて、2−ナフトール−6−スルホン酸のナトリウム塩39.0gを用いることにより、以下の式(C9)で示される「ジスアゾ系化合物C9」を調製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
Figure 2014228682
<実施例10>
水相の着色剤分散液を用いることにより以下のようにしてトナー母体粒子を作製した。
(1)コア形成用樹脂粒子分散液の作製工程
撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム2質量部とイオン交換水2900質量部とを投入して界面活性剤水溶液を作製した。当該界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら温度を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム9質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、上記界面活性剤水溶液の液温を78℃にして、単量体混合液(540質量部のスチレン、270質量部のアクリル酸n−ブチル、および65質量部のメタクリル酸を含む)を3時間かけて滴下した。
滴下後、78℃にて1時間加熱、撹拌して重合反応を行なうことにより、「樹脂微粒子A1」の分散液を作製した。
次に、撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、および窒素導入装置を取り付けた反応容器へイオン交換水1100質量部とラウリル硫酸ナトリウム2質量部を投入して界面活性剤水溶液を作製し、それを90℃に加温した。加温後、上記界面活性剤水溶液中へ上記「樹脂微粒子A1」を固形分換算で28質量部と単量体混合液(94質量部のスチレン、60質量部のアクリル酸n−ブチル、11質量部のメタクリル酸、5質量部のn−オクチルメルカプタン、および51質量部のペンタエリスリトールテトラベヘネートを含む)とを添加し、循環経路を有する機械式分散装置(商品名:「クレアミックス」、エム・テクニック(株)製)を用いて4時間混合分散処理して、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。なお、上記単量体混合液中、エステル結合を有するワックスであるペンタエリスリトールテトラベヘネートは、他の単量体とn−オクチルメルカプタンを溶解させた後に添加し、85℃に加温して溶解させた。
上記乳化粒子分散液中に、過硫酸カリウム2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を90℃で2時間加熱、撹拌することにより重合反応を行ない、「樹脂微粒子A2」の分散液を作製した。
次に、上記「樹脂微粒子A2」の分散液中に過硫酸カリウム2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にして単量体混合液(230質量部のスチレン、100質量部のアクリル酸n−ブチル、および13質量部のn−オクチルメルカプタンを含む)を1時間かけて滴下した。
上記単量体混合液を滴下後、80℃の温度下で3時間加熱、撹拌することにより重合反応を行なった。その後、28℃まで冷却することにより、スチレン−アクリル樹脂を含有する「コア形成用樹脂粒子分散液A」を得た。
(2)着色剤分散液の作製工程
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解した溶液を撹拌しながら、420質量部のC.I.ピグメントイエロー185(イエロー顔料、商品名:「D1155」、BASF社製)と実施例1で作製した「ジスアゾ系化合物C1」とを投入し、混合した。このときの「ジスアゾ系化合物C1」の添加量は、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C1との合計質量に対して1質量%とした。
次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより「着色剤分散液」を調製した。
(3)コア形成用樹脂粒子の凝集および融着工程(第1熟成工程)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、上記で得た「コア形成用樹脂粒子分散液A」270質量部(固形分換算)、イオン交換水1400質量部、上記で得た「着色剤分散液」120質量部(固形分換算)を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解した溶液を添加し、液温を30℃にした後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、撹拌状態の下で30℃にて10分間かけて添加し、添加後3分間保持してから昇温を開始した。昇温は60分かけて90℃まで行ない、90℃に保持した状態で上記粒子(コア形成用樹脂粒子および着色剤)の凝集および融着を行なうことにより、「コア粒子1」の分散液を得た。
(4)シェル化工程
以下の手順により、ポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有する「シェル形成用樹脂粒子1」の分散液を作製した。
すなわち、窒素導入装置、脱水管、撹拌装置、および熱電対を取り付けた反応容器へ、500質量部のビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、154質量部のテレフタル酸、45質量部のフマル酸、および2質量部のオクチル酸スズを投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行ない、さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却した。この様にしてポリエステルを形成した。
次に、温度160℃の状態でアクリル酸10質量部を投入、混合させて15分間保持した後、混合物(142質量部のスチレン、35質量部のアクリル酸n−ブチル、および10質量部の重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド)を含む)を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。その後、温度160℃を維持した状態で1時間の付加重合反応を行なった後、200℃に昇温させ、10kPaで1時間保持した。この様にして、スチレンアクリル共重合体分子鎖の含有割合が20質量%の「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂」を作製した。
次に、上記で得られた「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂」100質量部を市販の粉砕処理装置(商品名:「ランデルミル 形式:RM」、徳寿工作所社製)で粉砕処理した。続いて、予め作製しておいたラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部(濃度0.26質量%)と混合し、撹拌処理を行ないながら超音波ホモジナイザー(商品名:「US−150T」、日本精機製作所製)を用い、V−LEVEL、300μAで30分間超音波分散処理を施した。この様にして、粒子の体積基準メディアン径250nmの「シェル形成用樹脂粒子1」の分散液を作製した。
次いで、粒度分布計(商品名:「マルチサイザー3」、ベックマン・コールター社製)を用いて反応容器内で成長する上記の「コア粒子1」の粒径を測定し、体積基準メディアン径が6.0μmになった時点で、「シェル形成用樹脂粒子1」の分散液30質量部(固形分換算)を添加した。
(5)第2熟成工程
上記の「シェル形成用樹脂粒子1」が「コア粒子1」の表面に付着するまで加熱撹拌を続け、反応溶液を少量取り出し、これを遠心分離して上澄みが透明になった時点で塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温を90℃にして加熱撹拌を行なって粒子の融着を進行させた。この状態で湿式フロー式粒子径・形状分析装置(商品名:「FPIA−3000」、シスメックス社製)による測定で平均円形度が0.965になるまで粒子の融着を進行させた。
(6)冷却工程/洗浄工程/乾燥工程
その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液のpHを2に調整して撹拌を停止した。この様にして「トナー母体粒子分散液」を作製した。作製した「トナー母体粒子分散液」をバスケット型遠心分離機(商品名:「MARKIII 型式番号60×40」、松本機械(株)製)で固液分離し、「トナー母体粒子」のウェットケーキを形成した。
このウェットケーキを、上記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄処理した。その後、乾燥装置(商品名:「フラッシュジェットドライヤ」、セイシン企業(株)製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行ない、体積基準メディアン径が6.3μmの「トナー母体粒子」を作製した。
このトナー母体粒子は、樹脂としてコアシェル型の樹脂(コア:スチレン−アクリル樹脂、シェル:スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂)を含み、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185と「ジスアゾ系化合物C1」とを含むものであった。そして、このようにして得られた「トナー母体粒子」を実施例1のトナー母体粒子に代えて用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例11>
ジスアゾ系化合物として実施例10で用いた「ジスアゾ系化合物C1」に代えて実施例2で用いた「ジスアゾ系化合物C2」を用いることを除き、他は全て実施例10と同様にして「トナー母体粒子」を得た。
そして、このようにして得られた「トナー母体粒子」を実施例1のトナー母体粒子に代えて用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例12>
2リットルの4つ口フラスコに還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、および攪拌装置を取り付け、マントルヒーター中に設置し、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、フマ−ル酸およびテレフタル酸を、モル比が5:5:5:4となるように仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら加熱および攪拌して反応させることにより、ポリエステル樹脂を得た。
このようにして得られたポリエステル樹脂と、C.I.ピグメントイエロー185(商品名:「D1155」、BASF社製)と、「ジスアゾ系化合物C2」とを樹脂:C.I.ピグメントイエロー185が7:3の質量比になるように加圧ニーダーに仕込み混練した。得られた混練物を冷却後フェザーミルにより粉砕し、「マスターバッチ」を得た。なお、「ジスアゾ系化合物C2」の添加量は、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C2との合計質量に対して1質量%となるようにした。
次いで、上記で得られたポリエステル樹脂93質量部、上記で得られた「マスターバッチ」10質量部、および荷電制御剤であるサリチル酸亜鉛錯体(商品名:「E−84」、オリエント化学工業社製)2質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、得られた混合物を2軸押出混練機で混練した。
そして、得られた混練物を冷却した後、フェザーミルで粗粉砕し、機械式粉砕機(商品名:「クリプトロンKTM0型」、川崎重工業社製)で中粉砕し、ジェット粉砕機(商品名:「IDS−5」、日本ニューマチック社製)で微粉砕し、さらにティープレックス型分級機(商品名:「タイプ100」、ホソカワミクロン社製)で微粉分級することにより、「トナー母体粒子」を得た。
この「トナー母体粒子」は、樹脂としてポリエステル樹脂を含み、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185と「ジスアゾ系化合物C2」とを含むものであった。
そして、このようにして得られた「トナー母体粒子」を実施例1のトナー母体粒子に代えて用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例13>
実施例1で用いた着色剤/ワックス分散液に代えて以下で調製する着色剤分散液を用いることを除き、他は全て実施例1と同様にして乾式現像剤を得た。
すなわち、本実施例で用いる「着色剤分散液」は、ドデシル硫酸ナトリウム90質量部がイオン交換水1600質量部に溶解した溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック(商品名:「モーガルL」、キャボット社製)210質量部、シアン顔料(商品名:「Fastogen Blue GNPT」、DIC社製)21質量部、マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」(商品名:「Fastogen RTS Super Magenta」、大日本インキ化学工業社製)21質量部、イエロー顔料として「C.I.ピグメントイエロー185」(商品名:「D1155」、BASF社製)15質量部、および「ジスアゾ系化合物C1」を添加し、撹拌装置(商品名:「クレアミックス」、エム・テクニック社製)を用いて分散させることにより、調製した。なお、「ジスアゾ系化合物C1」の添加量は、上記の着色剤とジスアゾ系化合物C1との合計質量に対して1質量%とした。
<実施例14>
ジスアゾ系化合物として実施例13で用いた「ジスアゾ系化合物C1」に代えて実施例2で用いた「ジスアゾ系化合物C2」を用いることを除き、他は全て実施例13と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例15>
実施例2において調製した「トナー母体粒子」を用いて、液体現像剤を作製した。
すなわち、2リットルのポリビンに絶縁性液体(商品名:「IP2028」、出光興産社製)70質量部、トナー分散剤(商品名:「Antaron V−216」、アイエスピー・ジャパン社製)1質量部、および「トナー母体粒子」30質量部を投入し、破砕用タングステンビーズ(φ2.4mm)200質量部を入れて、ペイントシェーカー(商品名:「1400−00t」、レッドデビル社製)にて9時間混合することにより、液体現像剤を得た。
<実施例16>
実施例2の油相作製工程(「マスターバッチ」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C2」の添加量をC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C2との合計質量に対して「1質量%」とする代わりに、「0.05質量%」とすることを除き、他は全て実施例2と同様にして乾式現像剤を得た。
なお、本実施例の着色剤分散液を調製後1週間経過した後に乾式現像剤を調製した場合、その乾式現像剤により画像を形成するとわずかに画像濃度が低下していた。これは、ジスアゾ系化合物の添加量が少ない場合には、C.I.ピグメントイエロー185の分散性がわずかに低下するためではないかと推測される。
<実施例17>
実施例2の油相作製工程(「マスターバッチ」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C2」の添加量をC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C2との合計質量に対して「1質量%」とする代わりに、「0.1質量%」とすることを除き、他は全て実施例2と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例18>
実施例2の油相作製工程(「マスターバッチ」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C2」の添加量をC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C2との合計質量に対して「1質量%」とする代わりに、「10質量%」とすることを除き、他は全て実施例2と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例19>
実施例2の油相作製工程(「マスターバッチ」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C2」の添加量をC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C2との合計質量に対して「1質量%」とする代わりに、「50質量%」とすることを除き、他は全て実施例2と同様にして乾式現像剤を得た。
<実施例20>
実施例2の油相作製工程(「マスターバッチ」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C2」の添加量をC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物C2との合計質量に対して「1質量%」とする代わりに、「60質量%」とすることを除き、他は全て実施例2と同様にして乾式現像剤を得た。
なお、この乾式現像剤により画像を形成すると、色相がわずかに悪化していることが確認された。これは、ジスアゾ系化合物の添加量が多い場合には、C.I.ピグメントイエロー185の色相に影響を与えるためではないかと推測される。
<比較例1>
実施例1の油相作製工程(「着色剤/ワックス分散液」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C1」を添加することなく着色剤/ワックス分散液を作製したことを除き、他は全て実施例1と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
<比較例2>
実施例1の油相作製工程(「着色剤/ワックス分散液」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C1」を添加しないこと、およびC.I.ピグメントイエロー185に代えてC.I.ピグメントイエロー180を40質量部用いたことにより着色剤/ワックス分散液を作製したことを除き、他は全て実施例1と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
<比較例3>
実施例1の油相作製工程(「着色剤/ワックス分散液」の作製)において、「ジスアゾ系化合物C1」に代えてC.I.ピグメントイエロー155を40質量部用いたことにより着色剤/ワックス分散液を作製したことを除き、他は全て実施例1と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
<比較例4>
実施例13の着色剤分散液の作製工程において、「ジスアゾ系化合物C1」を添加することなく着色剤分散液を作製したことを除き、他は全て実施例13と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
<比較例5>
実施例2の油相作製工程(「着色剤/ワックス分散液」の作製)において、C.I.ピグメントイエロー185に代えてC.I.ピグメントイエロー180を40質量部用いたことにより着色剤/ワックス分散液を作製したことを除き、他は全て実施例2と同様にして「乾式現像剤」を作製した。
<評価>
<画像濃度の評価>
図1または図2に示した画像形成装置を用い、各実施例および各比較例の各静電潜像用現像剤の単色ソリッド(ベタ)パターン(10cm×10cm、トナー粒子の付着量:2.0g/m2)を記録材(コート紙)上に形成した。なお、静電潜像用現像剤が乾式現像剤の場合は、図1の画像形成装置(市販の複合機、商品名:「bizhub PRO C6500」、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)社製)を用い、液体現像剤の場合は、図2の画像形成装置を用いた。
その後、上記で得られた定着画像のソリッド部の画像濃度(ID)を反射濃度計(商品名:「X−Rite model 404」、X−Rite社製)により測定し、以下の3段階のランク評価を行なった。なお、着色剤がC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物のみを含む場合(すなわち色彩がイエローとなる場合)は、以下の「ランク評価I」に基づき評価し、着色剤がC.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物以外にカーボンブラック、シアン顔料、マゼンタ顔料を含む場合(すなわち色彩がブラックとなる場合)は、以下の「ランク評価II」に基づき評価した。
「ランク評価I」
A:画像濃度1.10以上
B:画像濃度0.90以上1.10未満
C:画像濃度0.90未満
「ランク評価II」
A:画像濃度1.80以上
B:画像濃度1.50以上1.80未満
C:画像濃度1.50未満
画像濃度の数値が高いものほど、画像濃度が高いことを示す。その結果を表1に示す。
<経時安定性の評価>
各実施例および各比較例において、着色剤分散液を作製後、1週間放置した後に静電潜像用現像剤(乾式現像剤または液体現像剤)を作製した(これに対し上記した各実施例および各比較例の静電潜像用現像剤は着色剤分散液を作製後、直ちに作製したものである)。
そして、各実施例および各比較例毎に、このようにして作製された2種の静電潜像用現像剤(すなわち着色剤分散液を1週間放置したか否かが異なるもの)をそれぞれ用いて、上記の画像濃度の評価と同様にして単色ソリッド(ベタ)パターンを形成し、画像濃度を測定した。
そして、2種の静電潜像用現像剤間における画像濃度の差を求め、以下の3段階のランク評価を行なった。なお、このランク評価は、色彩がイエローの場合もブラックの場合も共通とした。
A:画像濃度差が0.1未満
B:画像濃度差が0.1以上0.2未満
C:画像濃度差が0.2以上
画像濃度差の数値が小さいものほど、経時安定性に優れていること(すなわち着色剤の分散性(分散安定性)に優れていること)を示す。その結果を表1に示す。
<色相の評価>
各実施例(ただし実施例13および14は除く)および各比較例(ただし比較例4は除く)の静電潜像用現像剤により上記と同様にしてコート紙上に単色ソリッド(ベタ)パターンを形成した。
そして、色彩色差計(商品名:「CM−3700d」、コニカミノルタ社製)を用いて、この単色ソリッドパターンの色相評価を行なった。具体的には、この単色ソリッドパターンとオフセット枚葉印刷色標準 Japan Color色再現印刷 2001チャート(用紙種:コート紙、態様:ブラック網点面積率100%部位)との色差ΔEを求めた。色差ΔEは、JIS Z 8729で規定されているL***表色系の均等色空間における、L*軸、a*軸、b*軸の差をそれぞれ二乗したものの和の平方根とした。
そして、色差ΔEが3未満のものを「A」、3以上6未満のものを「B」、6以上のものを「C」とした。色差ΔEが小さいものほど、色相に優れていることを示している。結果を以下の表1に示す。
なお、図1および図2の画像形成装置のプロセス条件およびプロセスの概略は以下の通りである。
<図1の画像形成装置のプロセスの概略>
図1は、電子写真方式の画像形成装置1の概略概念図である。図1の画像形成装置1は、画像形成部10Y、10M、10C、10BKで各感光体上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色および黒色のトナー画像を形成する。各画像形成部の感光体上に形成された各トナー画像は中間転写体ユニット18を構成する無端ベルト上に転写されて各トナー画像が重ね合わされる(1次転写)。この様にして、中間転写体ユニット18ではフルカラーのトナー画像を形成することができる(ただし、本実施例では各乾式現像剤を該当する色の画像形成部(1色)のみに充填した)。そして、中間転写体ユニット18で転写、重ね合わされて形成されたトナー画像は画像支持体P上に転写(2次転写)され、さらに、定着装置24で溶融、固化して画像支持体P上へ定着される。
各感光体で形成される異なる色のトナー画像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体11Y、該感光体11Yの周囲に配置された帯電手段12Y、露光手段13Y、現像手段14Y、1次転写手段としての1次転写ロール15Y、クリーニング手段16Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体11M、該感光体11Mの周囲に配置された帯電手段12M、露光手段13M、現像手段14M、1次転写手段としての1次転写ロール15M、クリーニング手段16Mを有する。
また、さらに別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体11C、該感光体11Cの周囲に配置された帯電手段12C、露光手段13C、現像手段14C、1次転写手段としての1次転写ロール15C、クリーニング手段16Cを有する。また、さらに他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10BKは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体11K、該感光体11Kの周囲に配置された帯電手段12Bk、露光手段13BK、現像手段14K、1次転写手段としての1次転写ロール15K、クリーニング手段16Bkを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット18は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体180を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10BKより形成された各色の画像は、1次転写ロール15Y、15M、15C、15Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体ユニット18上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録材としての用紙等の画像支持体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ロール22A、22B、22C、22D、レジストロール23を経て、2次転写手段としての2次転写ロール19Aに搬送され、画像支持体P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像(ただし本実施例では1色のみ)が転写された画像支持体Pは、熱ロール式定着装置24により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール19Aにより画像支持体Pに画像を転写した後、画像支持体Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体ユニット18は、クリーニング手段189により残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール15Kは常時、感光体11Kに圧接している。他の1次転写ロール15Y、15M、15Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体11Y、11M、11Cに圧接する。
2次転写ロール19Aは、ここを画像支持体Pが通過して2次転写が行なわれるときにのみ、無端ベルト状中間転写体ユニット18に圧接する。
画像形成部10Y、10M、10C、10BKは、垂直方向に縦列配置されている。感光体11Y、11M、11C、11Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット18が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット18は、ロール181、182、183、184、186、187を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体180、1次転写ロール15Y、15M、15C、15Kおよびクリーニング手段189からなる。
このように感光体11Y、11M、11C、11K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体180上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して画像支持体Pに転写し、定着装置24で加圧および加熱により固定して定着する。トナー像を画像支持体Pに転移させた後の感光体11Y、11M、11C、11Kは、クリーニング装置16Y、16M、16C、16Bkで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の画像形成が行なわれる。
なお、画像支持体Pは、転写材や記録材とも呼ばれるもので、電子写真方式の画像形成方法によりトナー画像の形成が可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的な画像支持体としては、公知のものが挙げられ、たとえば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等が挙げられる。本実施例ではコート紙を用いた。
<図2の画像形成装置のプロセス条件>
システム速度:450mm/sec.
感光体:負帯電OPC
帯電電位:−650V
現像電圧(現像ローラ印加電圧):−420V
1次転写電圧(転写ローラ印加電圧):+600V
2次転写電圧:+1200V
現像前コロナCHG:針印加電圧−3〜5kVで適宜調整。
<図2の画像形成装置のプロセスの概略>
図2は、電子写真方式の画像形成装置101の概略概念図である。まず、液体現像剤102が規制ブレード104によりすりきられ、現像ローラ103上に液体現像剤102の薄層が形成される。その後、現像ローラ103と感光体105とのニップでトナー粒子が移動し、感光体105上にトナー画像が形成される。
次いで、感光体105と中間転写体106とのニップでトナー粒子が移動し、中間転写体106上にトナー画像が形成される。続いて、中間転写体106上でトナーは重ね合わせられ、記録材110上へ画像が形成される。そして、記録材110上の画像がヒートローラ111で定着される(170℃×ニップ時間30msec)。
なお、画像形成装置101は、上記以外にもクリーニングブレード107、荷電装置108、バックアップローラ109を備えている。
Figure 2014228682
表1中、ジスアゾ系化合物の添加量は、着色剤の合計質量に対する質量%を示す。また、画像濃度の「タイプ」の項において、「I」は「ランク評価I」に基づくことを示し、「II」は「ランク評価II」に基づくことを示す。
表1より明らかなように、本発明の実施例の静電潜像用現像剤は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー185を採用しても、分散性が悪化することがなく、以って付着量を低減させても高い画像濃度を得ることができるという優れた効果を示すことが確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,101 画像形成装置、10Y,10M,10C,10BK 画像形成部、11Y,11M,11C,11K 感光体、12Y,12M,12C,12Bk 帯電手段、13Y,13M,13C,13BK 露光手段、14Y,14M,14C,14K 現像手段、15Y,15M,15C,15K 1次転写ロール、16Y,16M,16C,16Bk,189 クリーニング手段、18 中間転写体ユニット、181,182,183,184,186,187 ロール、19A 2次転写ロール、20 給紙カセット、21 給紙搬送手段、22A,22B,22C,22D 中間ロール、24 定着装置、25 排紙ロール、26 排紙トレイ、102 液体現像剤、103 現像ローラ、104 規制ブレード、105 感光体、106 中間転写体、107 クリーニングブレード、108 荷電装置、109 バックアップローラ、110 記録材、111 ヒートローラ。

Claims (3)

  1. 樹脂と着色剤とを含む静電潜像用現像剤であって、
    前記着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185とジスアゾ系化合物とを含み、
    前記ジスアゾ系化合物は、以下の式(I)または式(II)で表わされる、静電潜像用現像剤。
    1−A−Y1−A−Z1 ・・・(I)
    2−B1−Y2−B2−Z2 ・・・(II)
    (式(I)中、Aは−N=N−を示し、X1は置換基を有していてもよいピラゾリル基または置換基を有していてもよいナフチル基を示し、Y1は置換基を有していてもよいビフェニレンを示し、Z1はスルホネート基を有するピラゾリル基、スルホネート基を有するナフチル基、およびアセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基のいずれかを示し、前記スルホネート基を有するピラゾリル基、前記スルホネート基を有するナフチル基、および前記アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基は、それぞれ、さらなる置換基を有していてもよく、前記スルホネート基は、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、前記アセトアセチル−アミノベンゼンスルホン酸基中のスルホン酸は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、それぞれ前記塩を形成する場合は、多配位状態となっていてもよい。
    式(II)中、B1は以下の式(III)を示し、B2は以下の式(IV)を示し、X2は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、Y2は置換基を有していてもよいビフェニレンを示し、Z2はスルホネート基を有するフェニル基またはスルホネート基と他の置換基とを有するフェニル基を示し、前記スルホネート基は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかと塩を形成してもよく、前記塩を形成する場合は、多配位状態となっていてもよい。)
    Figure 2014228682
  2. 前記ジスアゾ系化合物は、以下の式(V)で表わされる、請求項1記載の静電潜像用現像剤。
    Figure 2014228682
    (式(V)中、Z3は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、および第4級アンモニウム基のいずれかを示し、多配位状態となっていてもよい。)
  3. 前記ジスアゾ系化合物は、前記着色剤中に0.1〜50質量%含まれる、請求項1または2に記載の静電潜像用現像剤。
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