JP2014227463A - ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡して押出発泡体を製造する方法において、物理発泡剤が炭素数3〜5の飽和炭化水素と水とを含み、難燃剤が、臭素化ブタジエン系重合体と、(1)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及び(2)2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトから選ばれる一種以上のホスファイト系化合物を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
しかし、HBCDに対しては化審法やREACHによる規制の動きがあり、規制対象物質に指定された場合を想定し、HBCD難燃剤を使用しない難燃剤代替押出発泡体製造技術の開発が求められている。
<1>ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡して押出発泡体を製造する方法において、物理発泡剤が炭素数3〜5の飽和炭化水素と水とを含み、難燃剤が、臭素化ブタジエン系重合体と、下記(1)及び(2)から選択される一種以上のホスファイト系化合物とを含むことを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
(1)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(2)2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
<2>前記ホスファイト系化合物の配合量が、臭素化ブタジエン系重合体100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とする<1>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<3>前記水の配合量が発泡性溶融樹脂組成物1kgあたり0.1mol以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<4>前記難燃剤が、臭素化ブタジエン系重合体に前記ホスファイト系化合物を配合して混練してなる溶融混練物であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ポリスチレン系樹脂と難燃剤と発泡剤を混練して得られる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡する押出発泡体の製法が採用される。具体例としては、ポリスチレン系樹脂、難燃剤、必要に応じて気泡調整剤やその他の添加剤、再生ポリスチレン系樹脂組成物などを押出機に供給して、加熱、混練し、更に発泡剤を該押出機中に圧入して供給し、混練して得られた発泡性溶融樹脂組成物を、フラットダイを通して高圧の押出機内より低圧域(通常は大気中)に押出して発泡させ、該ダイの出口に配置された成形型〔平行あるいは入口から出口に向かって緩やかに拡大するよう設置された上下2枚のポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる板で構成されるもの(以下、ガイダーとも言う。)〕や成形ロール等の成形具を通過させることによって板状に成形して、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体ともいう。)を製造する方法が挙げられる。本発明の製造方法においては、後述する特定の難燃剤を用いる以外の基本的な製造方法は、従来公知の押出発泡体の製造方法を利用できる。
(A)炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。
この飽和炭化水素は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
(A)飽和炭化水素の中では、発泡性の点からプロパン、n−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点からn−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
前記有機物理発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチルなどの蟻酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類などが挙げられる。
前記無機物理発泡剤としては、例えば二酸化炭素、窒素などが挙げられる。
上記の他の発泡剤は、単独または2種以上混合して使用することができる。
臭素化ブタジエン系重合体は、ポリスチレン系樹脂の難燃剤として用いる場合に、優れた難燃性付与効果を示すものである。しかしながら、溶融加工時の熱安定性に劣るため、溶融加工条件によっては重合体から臭素が遊離しやすく、この臭素の遊離により難燃性付与効果を低下させる恐れや熱可塑性樹脂を分解させる恐れがある。さらに、臭素化ブタジエン系重合体はポリマーであるため、臭素の遊離によって該重合体中で炭素−炭素不飽和結合が形成されると、該重合体自体又はポリスチレン系樹脂が着色される恐れや、不飽和結合の架橋により臭素化ブタジエン系重合体のゲル化や黒点の発生の原因となり得るといった種々の問題点があった。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
また、スチレン系単量体としては、スチレン、臭素化スチレン、塩素化スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどが例示でき、これらの中でも、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が好ましく、より好ましくはスチレンである。
臭素化ポリブタジエン系重合体の配合量は、所望の難燃性により適宜決定されるものであるが、通常は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、1〜10重量部程度配合され、好ましくは1.5〜7重量部である。
(1)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(2)2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
また、難燃剤溶融混練物は、計量性、取扱の容易性等から押出機からストランド状に押出した後、カットするなどしてペレット化しておくことが好ましい。
これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、押出安定性、難燃性の点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、押出安定性、難燃性の点から、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、又はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
また、リン酸塩の具体例としては、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム等が挙げられる。
これらの中でも、取扱い性や、効果の発現性がより顕著なことから、トリフェニルホスフェート(TPP)などの芳香族リン酸エステルが好ましい。
(難燃剤溶融混練物の製造)
臭素化ブタジエン系重合体としては、下記表1に示すものを、ホスファイト系化合物としては下記表2に示すものを用い、二軸押出機(内径47mm、L/D=41)にて、臭素化ブタジエン系重合体にホスファイト系化合物を配合して溶融混練し、樹脂温度180℃で吐出60kg/hrでストランド状に押出し、さらにペレット状にカットすることにより、表3に示す配合の難燃剤溶融混練物を製造した。なお、難燃剤溶融混練物には、上記臭素化ブタジエン系重合体とホスファイト系化合物のほかに、その他の熱安定剤として、ノボラック型エポキシ系化合物(製品名EPICLON N680、DIC製)及びフェノール系化合物(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]:製品名Irganox1010、BASF製)を臭素化ブタジエン系重合体100重量部に対してそれぞれ10重量部、5重量部配合し、流動性向上剤として、トリフェニルホスフェート(製品名TPP、大八化学製)を臭素化ブタジエン系重合体100重量部に対して6重量部配合した。
*PEP36:ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト
*HP−10:2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
*Ultranox626:ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
*Irgafos168:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
実施例1〜5及び比較例1〜2の押出発泡体を得るために、以下に示す装置及び材料を用いた。
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結され、第2押出機の樹脂出口にはこれと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(ガイダー)が付設された装置を用いた。
重量平均分子量27万のポリスチレン(PS1)を用いた。
難燃剤としては、上記表3記載の難燃剤溶融混練物を用いた。
難燃助剤としては、CCPIB(ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン)を用いた。
タルク(松村産業製、ハイフィラー#12)
前記第1押出機に、表4に示す配合量となるように、上記したポリスチレン系樹脂(PS1)、難燃剤(臭素系ブタジエン系重合体、ホスファイト系熱安定剤(PEP36))、及び気泡調整剤(タルク)を供給し、第1押出機内で220℃まで加熱して、これらを混練し、第1押出機の先端付近に設けられた物理発泡剤注入口から、表4に示す配合組成の物理発泡剤の所要量を供給した。
実施例1において、ホスファイト系熱安定剤(PEP36)をホスファイト系熱安定剤(HP-10)に代えた以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
実施例2において、ホスファイト系熱安定剤(HP-10)の配合量を0.2重量部とした以外は実施例2と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
実施例2において、臭素化ブタジエン系重合体及びホスファイト系熱安定剤(HP-10)の配合量を表4に記載したものに代えると共に難燃助剤としてCCPIBを添加した以外は実施例2と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
実施例4において、ホスファイト系熱安定剤(HP-10)の配合量を0.05重量部とした以外は実施例4と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
実施例1において、ホスファイト系熱安定剤(PEP36)をホスファイト系熱安定剤(Ultranox626)に代えた以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
実施例1において、ホスファイト系熱安定剤(PEP36)をホスファイト系熱安定剤(Irgafos168)に代えた以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
○:問題なく安定して押出発泡体が製造可能
×:押出発泡体の幅が変動し、安定して押出発泡体が得られない
押出発泡体の見掛け密度は、次のようにして求めた。得られた押出発泡体の幅方向の中央部付近から40×50×50mmの直方体の試料を各々切り出して重量を測定し、該重量を体積で割算することにより見掛け密度を求めた。
押出発泡体の幅方向中央部付近において、等間隔に5点の厚みを測定し、それらの測定値の算術平均値を押出発泡体の厚み(mm)とした。
押出発泡体の独立気泡率は、次のようにして求めた。まず、押出発泡体を幅方向に5等分し、それらの中央部付近から25mm×25mm×20mmのサイズに成形表皮を持たないカットサンプル(計5個)を切り出した。次に、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、各カットサンプルの真の体積Vxを測定し、下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し、それら計算値の算術平均値を押出発泡体の独立気泡率とした。なお、測定装置として東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用した。
ただし、Vx:上記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm3)(押出発泡体のカットサンプルを構成する樹脂組成物の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
Va:測定に使用されたカットサンプルの外形寸法から算出されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡体を構成する樹脂組成物の密度(g/cm3)
熱伝導率は、ISO 11561に記載の促進試験に準拠した以下の方法により測定した。
製造直後の押出発泡体の中央部から200mm×200mm×10mmの成形表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後10日後に該試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて熱伝導率を測定した。
製造直後の押出発泡体を気温23℃、相対湿度50%の部屋に移し、その部屋で4週間放置した後、押出発泡体から試験片を無作為に5個切り出して(N=5)、JIS A9511(2006R)の5.13.1「測定方法A」に基づいて燃焼性を測定し、5個の試験片の平均燃焼時間により、押出発泡体の難燃性を評価した。
製品表面の平滑性について目視にて評価を行った。
○:凹凸がなく平滑な表面である
×:発泡剤の分離等により表面が平滑ではない
得られた発泡体の押出方向に対し垂直に切断した断面部において、黒点の数を数えた。断面部の観察は任意に5箇所で測定し、その合計数を黒点の個数とした。
○:黒点0〜2個であるもの
×:黒点が3個以上あるもの
押し出された発泡体の色調、及び発泡体をリサイクル用の押出機にて溶融しリペレット化したもの(再生樹脂)の色調を評価した。
リペレットは、得られた発泡体を押出機に供給可能な大きさに破砕し、その破砕物を内径90mm、L/D=50の単軸押出機に供給して最高温度220℃で溶融混練し、その溶融樹脂を吐出量250kg/hrでストランド状に押出し、ペレット状にカットすることによって行なった。
発泡体の色調は目視により評価した。また、再生樹脂の色調は、180℃に加熱したヒートプレス機を用いて、再生樹脂をプレス加工して、縦×横×厚み=40×40×2mmの板状の試験片を作製し、分光式色差計(日本電色工業株式会社製SE−2000)を用いてASTM D1925に基づき反射法にて該試験片のYI値(イエローインデックス)を測定することにより評価した。
◎:発泡体は、着色していないか(白色)、又はわずかに黄色味がかっているものの製品上問題とならないレベルであり、かつ再生樹脂のYI値が10未満である
○:発泡体は、着色していないか(白色)、又はわずかに黄色味がかっているものの製品上問題とならないレベルであるが、再生樹脂のYI値が10以上である
×:発泡体が黄色くなったもの
Claims (4)
- ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び物理発泡剤を混練してなる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡して押出発泡体を製造する方法において、
物理発泡剤が、炭素数3〜5の飽和炭化水素と水とを含み、
難燃剤が、臭素化ブタジエン系重合体と、下記(1)及び(2)から選択される1種以上のホスファイト系化合物とを含むことを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
(1)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(2)2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト - 前記ホスファイト系化合物の配合量が、臭素化ブタジエン系重合体100重量部に対して2〜20重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- 前記水の配合量が発泡性溶融樹脂組成物1kgあたり0.1mol以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- 前記難燃剤が、臭素化ブタジエン系重合体に前記ホスファイト系化合物を配合して混練してなる溶融混練物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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