JP2014226870A - 積層体、及びそれから得られる成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性、耐熱性に優れた積層体、及びその成形体を提供すること。【解決手段】ポリ乳酸樹脂を主体とするA層(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂を主体とするB層を有する積層体であり、ポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、積層体。【選択図】なし
Description
本発明は透明性、耐熱性に優れた積層体、及びその成形体に関するものである。
ポリ乳酸は、透明性に優れた溶融成形可能な高分子であり、生分解性の特徴を有することから使用した後は自然環境中で分解して炭酸ガスや水として放出される生分解性プラスチックとしての開発が進められてきた。一方、近年では、ポリ乳酸自身が二酸化炭素や水を起源とする再生可能資源(バイオマス)を原料としているため、使用後に二酸化炭素が放出されたとしても地球環境中における二酸化炭素は増減しないというカーボンニュートラルの性質が注目され、環境低負荷材料としての利用が期待されている。さらに、ポリ乳酸のモノマーである乳酸は微生物を利用した発酵法により安価に製造されつつあり、石油系プラスチック製の汎用ポリマーの代替素材としても検討されるようになってきており、包装材料、雑貨などへと実用化が進むとともに、食品用の成形容器、飲料用カップ蓋としても使用されるようになってきた。しかしながら、ポリ乳酸は、一般的に食品用の成形容器として使用されているポリプロピレンや二軸延伸ポリスチレンと比較すると耐熱性が低いため、耐熱性が要求されない容器に限定されているのが現状である。
このような問題点を解決する手段の一つとして、ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂の利用が注目されている。ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂は光学活性なポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を混合することにより形成され、通常のポリ乳酸樹脂と比較して非常に高い融点と結晶化速度を有する。ステレオコンプレックス結晶を含むポリ乳酸樹脂は高温下でも高い剛性を示すため、耐熱性を要求される容器への展開が期待される。またステレオコンプレックス結晶を有したポリ乳酸樹脂は結晶化しているにも関わらず非常に高い透明性を示すことが知られており、透明性が非常に重視される食品容器等の用途に適した材料であると言える。このような背景から特許文献1や特許文献2のようなポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合体からなる成形体に関する出願が行われている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂の非晶部分の運動性を現すガラス転移温度はステレオコンプレックス結晶を有するポリ乳酸樹脂であっても、従来のステレオコンプレックス結晶を有さないポリ乳酸樹脂において一般的に知られている60℃付近の値にとどまるため、60℃以上の温度領域では軟化とそれに伴う変形が起こることは避けられず、そのような温度領域において耐熱性を要求される用途においては実用性に劣るという問題あった。
一方、上記のようなポリ乳酸樹脂のガラス転移温度である60℃付近からの変形を抑制するために、ポリメチルメタクリレートのようなポリ乳酸樹脂よりも高いガラス転移温度を有する樹脂をアロイすることによりガラス転移温度を上げるという方法が公知であり、特許文献3や特許文献4のような組成の耐熱シートが提案されている。しかしながら特許文献3はアロイでのガラス転移温度の向上による耐熱性の付与に重きを置いたものであり、ポリ乳酸樹脂の結晶性を利用した耐熱性の付与についてはなんら言及されておらず、食品用途等の80℃以上の耐熱性を要求される用途においては実用化に耐えうるものではなかった。また特許文献4ではポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用い、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸単独で形成されるホモ結晶とステレオコンプレックス結晶を混在させることにより、耐熱性を付与することが言及されている。しかしながら特許文献4に記載の方法ではホモ結晶による透明性の低下がおこるため、食品用の透明成形容器としては実用性に劣るという問題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するために耐熱性・透明性に優れたポリ乳酸樹脂を含む積層体を提供することを目的としたものである。
本発明は、上記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、以下である。
1) ポリ乳酸樹脂を主体とするA層(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂を主体とするB層を有する積層体であり、
ポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、積層体。
2) ポリ乳酸樹脂Aが、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする、1)に記載の積層体。
3) B層が、ポリ乳酸樹脂を含有し(以下、B層が含有するポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Bという)、
ポリ乳酸樹脂Bは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であり、
B層の全成分を100質量%とした際の、B層中のポリ乳酸樹脂Bの含有量が、5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、1)または2)に記載の積層体。
4) ポリ乳酸樹脂Bが、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする、3)に記載の積層体。
5) A層及びB層が、他の層を介さずに直接積層されたことを特徴とする、1)から4)のいずれかに記載の積層体。
6) A層の全成分を100質量%とした際の、A層中の可塑剤の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする、1)から5)のいずれかに記載の積層体。
7) B層の全成分を100質量%とした際の、B層中の結晶核剤の含有量が0.01質量%以上5質量%以下であることを特徴とする、1)から6)のいずれかに記載の積層体。
8) 1)から7)のいずれかに記載の積層体より得られる成形体。
1) ポリ乳酸樹脂を主体とするA層(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂を主体とするB層を有する積層体であり、
ポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、積層体。
2) ポリ乳酸樹脂Aが、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする、1)に記載の積層体。
3) B層が、ポリ乳酸樹脂を含有し(以下、B層が含有するポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Bという)、
ポリ乳酸樹脂Bは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であり、
B層の全成分を100質量%とした際の、B層中のポリ乳酸樹脂Bの含有量が、5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、1)または2)に記載の積層体。
4) ポリ乳酸樹脂Bが、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする、3)に記載の積層体。
5) A層及びB層が、他の層を介さずに直接積層されたことを特徴とする、1)から4)のいずれかに記載の積層体。
6) A層の全成分を100質量%とした際の、A層中の可塑剤の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする、1)から5)のいずれかに記載の積層体。
7) B層の全成分を100質量%とした際の、B層中の結晶核剤の含有量が0.01質量%以上5質量%以下であることを特徴とする、1)から6)のいずれかに記載の積層体。
8) 1)から7)のいずれかに記載の積層体より得られる成形体。
本発明によれば、耐熱性・透明性に優れたポリ乳酸樹脂を含む積層体及び成形体を提供することが可能となる。
本発明は、ポリ乳酸樹脂を主体とするA層(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂を主体とするB層(以下、B層の主体となるポリ(メタ)アクリレート系樹脂をポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bという)を有する積層体であり、ポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、積層体である。
本発明に用いるポリ乳酸樹脂は、乳酸成分が、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において70モル%以上100モル%以下のものを意味する。
そして、ポリ乳酸樹脂は、本発明の性能を損なわない範囲で、乳酸成分(L−乳酸成分またはD−乳酸成分)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類またはそれらの誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類またはそれらの誘導体、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる
本発明においてA層はポリ乳酸樹脂を主体とする層であるが(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)ここでポリ乳酸樹脂を主体とするとは、A層の全成分100質量%において、ポリ乳酸樹脂Aを50質量%以上100質量%以下含むことを意味する。そして得られる積層体の耐熱性を考慮すると、A層中のポリ乳酸樹脂Aの含有量は、60質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、70質量%以上100質量%以下含むことがより好ましく、80質量%以上100質量%以下含むことがさらに好ましい。
本発明においてA層はポリ乳酸樹脂を主体とする層であるが(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)ここでポリ乳酸樹脂を主体とするとは、A層の全成分100質量%において、ポリ乳酸樹脂Aを50質量%以上100質量%以下含むことを意味する。そして得られる積層体の耐熱性を考慮すると、A層中のポリ乳酸樹脂Aの含有量は、60質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、70質量%以上100質量%以下含むことがより好ましく、80質量%以上100質量%以下含むことがさらに好ましい。
本発明における積層体の耐熱性を考慮すると、本発明の積層体のA層の主体であるポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であることが重要である。なお、ここでいうポリ乳酸樹脂Aの融点は、ポリ乳酸樹脂Aの原料から求めた値である。ポリ乳酸樹脂Aの融点は、200℃以上230℃未満であることが好ましく、205℃以上230℃未満であることがさらに好ましく、210℃以上230℃未満であることが特に好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であると同時に、150℃以上185℃未満の範囲でポリ−L−乳酸に由来する単独結晶およびポリ−D−乳酸に由来する単独結晶に基づく融点を有する場合もある。そして、ポリ乳酸樹脂Aの190℃以上230℃未満にピークを持つ吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hsc)および150℃以上185℃未満のピークを持つ吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hhomo)を用いて算出されるステレオ化率(Sc率)が80%以上100%以下であることが、透明性の点で好ましい。Sc率は85%以上100%以下がさらに好ましく、90%以上100%以下が特に好ましい。また本発明におけるポリ乳酸樹脂Aは耐熱性の面から、190℃以上230℃未満に存在する融解ピークの融解エンタルピーが20J/g以上であることが好ましい。
上記の通りポリ乳酸樹脂Aは融点が190℃以上230℃未満であってSc率が80%以上100%以下であることが重要であり、融点およびSc率を該範囲に制御する方法は特に限定されないものの、ポリ乳酸樹脂Aとして、例えば、以下のA)又はB)とする方法が好ましい。
A)ポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる。
B)ポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を用いる。
ポリ乳酸樹脂Aの融点を190℃以上230℃未満にするという観点からは、A)及びB)のいずれの方法も好適であるが、Sc率を80%以上100%以下とするとともに積層体とした際に優れた透明性、耐熱性が得られるという点で、B)の方法、つまりポリ乳酸樹脂Aとしてポリ乳酸ブロック共重合体を用いることが特に好ましい。
ここでポリ−L−乳酸とは、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、L−乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含むポリ乳酸樹脂を意味する。またポリ−D−乳酸とは、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、D−乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含むポリ乳酸樹脂を意味する。なおポリ−L−乳酸としては、ポリ乳酸樹脂中の乳酸成分を100モル%として、さらにL−乳酸成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい。また、ポリ−D−乳酸としては、ポリ乳酸樹脂中の乳酸成分を100モル%として、さらにD−乳酸成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい。
本発明におけるポリ乳酸ブロック共重合体とは、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体をいう。ここでいうポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸の意味は、前述の通りである。
本発明におけるポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合のポリ乳酸ブロック共重合体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10万以上50万以下の範囲であることが、成形性および機械物性の点で好ましい。より好ましくは12万以上40万以下の範囲であり、さらに好ましくは13万以上35万以下の範囲であることを好ましい。
本発明におけるポリ乳酸樹脂Aとして、ポリ乳酸ブロック共重合体を用いることが好ましく、この場合、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントのうち、いずれか一方のセグメントの重量平均分子量が6万以上30万以下であり、他方のセグメントの重量平均分子量が1万以上10万以下であることが好ましい。ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントについて、さらに好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量が10万以上27万以下、他方のセグメントの重量平均分子量が2万以上8万以下であり、特に好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量が15万以上24万以下、他方のセグメントの重量平均分子量が3万以上6万以下である。
本発明におけるポリ乳酸樹脂Aにおいて、ポリ乳酸樹脂A全体におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位の質量比は、80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜25:75であることがより好ましく、さらには70:30〜30:70であることが好ましい。L−乳酸単位とD−乳酸単位のそれぞれの質量比が、80:20〜20:80の範囲であると、ポリ乳酸樹脂がステレオコンプレックス結晶を形成しやすく、その結果、ポリ乳酸樹脂Aの融点が190℃以上230℃未満となるとともにSc率が80%〜100%となる。
本発明におけるポリ乳酸樹脂Aにおいてポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合、その製造方法は、特に限定されるものではなく、一般のポリ乳酸の製造方法を利用することができる。具体的には、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造し、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、原料の乳酸成分から生成した環状2量体のL−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合させ、さらに該ポリ乳酸の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合させることで、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造するラクチド法、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を融点の高い方の成分の融解終了温度以上で長時間溶融混練を行うことで、L−乳酸成分のセグメントとD−乳酸成分のセグメントをエステル交換反応させてポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、多官能性化合物をポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸に混合して反応させることで、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を多官能性化合物で共有結合させ、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法などがある。ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法についてはいずれの方法を利用してもよいが、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造する工程、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する工程、及び、該ポリ乳酸ブロック共重合体を用いてA層を製造する工程を有する方法を用いることにより、得られる積層体が耐熱性や透明性に優れたものになる点で好ましい。
本発明の積層体はポリ(メタ)アクリレート系樹脂を主体とするB層(以下、B層の主体となるポリ(メタ)アクリレート系樹脂をポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bという)を有する。
本発明におけるポリ(メタ)アクリレート系樹脂とは、アクリレートおよびメタクリレートから選ばれる少なくとも1種の単量体を構成単位とするものであり、2種以上の単量体を共重合して用いても構わない。ポリ(メタ)アクリレートを構成するアクリレートおよびメタクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノブチルアクリレートなどのアクリレート、およびメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリレートを用いることができるが、より高い高温剛性を付与できることから、ポリメチルメタクリレートを用いることがもっとも好ましい。
本発明においてB層はポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bを主体とする層であるがここでポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bを主体とするとは、B層の全成分100質量%において、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bを50質量%以上100質量%以下含むことを意味する。そして得られる積層体の耐熱性を考慮すると、B層中のポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bの含有量は、60質量%以上100質量%以下含むことがより好ましく、70質量%以上100質量%以下含むことがさらに好ましい。
さらに本発明においてB層は前記ポリ乳酸樹脂を含有することが植物度の面から好ましく(以下、B層が含有するポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Bという)、ポリ乳酸樹脂Bが、融点が190℃以上230℃未満であってSc率が80%以上100%以下であることが耐熱性の面で特に好ましい。また本発明におけるポリ乳酸樹脂Bは耐熱性の面から、190℃以上230℃未満に存在する融解ピークの融解エンタルピーが20J/g以上であることが好ましい。
B層におけるポリ乳酸樹脂Bの含有量は、B層の全成分100質量%において、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。5質量%以下では、積層体全体の植物度に劣り、50%以上ではガラス転移温度を有意に上げることができない。
上記の通りポリ乳酸樹脂Bは融点が190℃以上230℃未満であってSc率が85%以上100%以下であることが特に好ましく、融点およびSc率を該範囲に制御する方法としては、ポリ乳酸樹脂Aと同様に、ポリ乳酸樹脂Bとして、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる方法と、ポリ乳酸ブロック共重合体を用いる方法があるが、Sc率を80%以上100%以下とするとともに積層体とした際に優れた透明性、耐熱性が得られるという点で、ポリ乳酸ブロック共重合体を用いることが特に好ましい。
本発明の積層体は、透明性、成形加工性の面で、A層及びB層が、他の層を介さずに直接積層された態様であることが特に好ましい。A層とB層とを有しさえすれば、その層構成は本発明の効果を損なわない範囲で任意の層構成としても構わない。また、A層とB層との間には、他の樹脂層や粘着材層が介在しても構わない。層構成の例として、例えばB層/A層、B層/A層/B層、等が挙げられる。なお、B層のガラス転移温度向上による耐熱性向上効果を有効に発現させるにはB層/A層/B層の構成が好ましい。
本発明の積層体は、透明性、成形加工性の面で、A層及びB層が、他の層を介さずに直接積層された態様であることが特に好ましい。A層とB層とを有しさえすれば、その層構成は本発明の効果を損なわない範囲で任意の層構成としても構わない。また、A層とB層との間には、他の樹脂層や粘着材層が介在しても構わない。層構成の例として、例えばB層/A層、B層/A層/B層、等が挙げられる。なお、B層のガラス転移温度向上による耐熱性向上効果を有効に発現させるにはB層/A層/B層の構成が好ましい。
本発明のポリ乳酸系シートの厚みは、特に制限はないが、50μm以上2000μm以下であることが好ましく、より好ましくは100〜1500μm、さらに好ましくは、200〜750μmである。
また、積層比率は特に限定されないが、シートの成形性を考慮すると、「A層の厚さ」/「B層の厚さの合計」が、1/15〜20/1の比率であることが好ましく、より好ましくは1/15〜10/1、さらに好ましくは1/5〜5/1である。ここで「B層の厚さの合計」とは、B層が1層のみ存在する場合には該B層の厚みを意味し、B層が2層以上存在する場合には、該B層の厚みの和を意味する。
本発明において、A層は可塑剤を含有することが特に好ましい。A層にのみ可塑剤を添加することにより、A層におけるポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は低下する一方で可塑剤による分子運動性の増大によりステレオコンプレックス結晶の冷結晶化が促進されるとともに、B層の高いガラス転移温度は維持されるため、結果的に高い耐熱性を有する積層体とすることが可能となる。
用いる可塑剤としては、一般によく知られているものを使用することができ、例えば、ポリアルキレングリコール系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができる。この中でもポリアルキレングリコール系可塑剤の一つであるポリ乳酸ユニットとポリエーテルユニットからなるブロック共重合体が耐ブリードアウト性、相溶性の観点から好ましく、ポリ乳酸乳ユニットとポリエチレングリコールユニットからなるブロック共重合体が特に好ましい(以下、このブロック共重合体をブロック共重合体可塑剤という)。
本発明におけるA層中の可塑剤の好ましい含有量は、A層の全成分100質量%において、0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10%以下、さらに好ましくは3質量%以上7質量%以下である。0.1質量%より少ないと可塑剤による結晶化促進効果が得られず、20質量%より多いと逆にステレオコンプレックス結晶の生成が阻害されるため、十分な耐熱性が得られない。
本発明においてB層に、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であるポリ乳酸樹脂Bを用いる場合、B層は結晶核剤を含有することが好ましい。B層にポリ乳酸樹脂Bを用いる場合、B層の主体となるポリ(メタ)アクリレート系樹脂Bとのアロイによりポリ乳酸樹脂Bの結晶化特性が低下してしまい、B層のステレオコンプレックス結晶の生成が阻害されるが、B層に結晶核剤を含有することによりステレオコンプレックス結晶の生成を促進することができ、高い耐熱性を付与することが可能となる。
用いる結晶核剤としては、一般によく知られているものを使用することができ、例えば、タルクなどの無機系核剤、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ジヒドロキシステアリン酸アミドおよびトリメシン酸トリシクロヘキシルアミドなどの有機アミド系化合物、銅フタロシアニンおよびピグメントイエロー110などの顔料系核剤、有機カルボン酸金属塩、フェニルホスホン酸亜鉛などを挙げることができる。この中でも耐ブリードアウト性、相溶性の観点からエチレンビスラウリン酸アミドが特に好ましい。
本発明におけるB層中の結晶核剤の好ましい含有量は、B層の全成分100質量%において、0.01質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上3%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上1.5質量%以下である。0.01質量%より少ないと結晶核剤による結晶化促進効果が得られず、5質量%より多いと透明性が悪化する。
本発明の積層体は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲でその他の添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤またはポリシロキサンなどの消泡剤、顔料、染料などの着色剤を適量配合することができる。
また、本発明の積層体は、ポリ乳酸樹脂およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂以外の樹脂を含んでも良い。ポリ乳酸樹脂およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂以外の樹脂として、耐衝撃性付与および成形性向上の観点から、ガラス転移温度が60℃以下の樹脂を用いることも好ましい。
本発明の積層体は、ブロッキング防止、帯電防止、離型性付与、耐傷付き性改良などの目的で、表面に機能層を設けてもよい。
さらに本発明の積層体には、各種粒子を含有することができる。粒子を含有することにより、積層体から成形体を製造する際、成形金型と積層体との滑りが良くなり、金型からの離型性も良くなる。粒子の種類は、目的や用途に応じて適宜選択され、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。もちろん、各粒子は、それぞれ単独で使用しても、混合して用いても構わない。
また、本発明の積層体には、その少なくとも片面に、離型層を有することが好ましい。これは、本発明の積層体から成形体を製造する際に、積層体と金型間の離型性を良好にすることができるからである。かかる離型層の素材としては公知のものを用いることができ、長鎖アルキルアクリレート、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、尿素樹脂、ポリオレフィン樹脂、パラフィン系離型剤などから選ばれた1種以上が好ましく用いられる。
また、本発明の積層体は、その少なくとも片面に、帯電防止層を有することが好ましい。かかる帯電防止層の素材としては公知のものを用いることができるが、主鎖に4級アンモニウム塩を有する帯電防止剤が好ましい。また、スルホン酸、スルホン酸塩、ビニルイミダゾリウム塩、ジアニルアンモニウムクロライド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルエーテル硫酸エステルの少なくとも1種を含む共重合体を含有させることにより帯電防止性を付与することができる。
本発明の積層体は、ブロッキング防止、帯電防止、離型性付与、耐傷付き性改良などの目的で、表面に機能層を設けてもよい。
さらに本発明の積層体に意匠性を付与するために、目的に応じて、積層体の表層に、印刷層を形成することができる。
さらに本発明の積層体に意匠性を付与するために、目的に応じて、積層体の表層に、印刷層を形成することができる。
本発明における積層体は、ヘイズが5%以下であることが食品容器等の透明性が重視される用途において展開するうえで好ましい。ここで言うヘイズとは、積層体の厚みを考慮した値であり、250μm基準に換算した値をいう。ヘイズは低ければ低いほど良いが、積層体自体の光の吸収や表面の荒れによる散乱等から現実的な下限値は0.1%である。積層体のヘイズは、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
本発明における積層体は、本発明における積層体を予熱する工程(以下、予熱工程という)及び予熱したシートを成形する工程を有する製造方法を経て成形体とすることができる。成形体の形状としては、上記製造方法により得られるものであれば特に限定されないが、底面部に多角形の形状を有する角型容器または円筒型容器等が挙げられ、トレー、カップ、ケースおよび、それらの蓋材の形状を有するものが挙げられる。また本発明の成形体としては特に形状に限定はないが、商品の展示包装用に用いられているブリスターパックなどの保形具類等、飲料自動販売機のディスプレイ用ボトル、その他各種包装用の成形体、および表面材などの各種工業材料を好ましく挙げることができる。
このような上記のような製造方法としては、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法、ストレート成形法、フリードローイング成形法、プラグアンドリング成形法、スケルトン成形法などの熱成形と呼ばれる各種成形法を適用することができる。各種成形法において前述の予熱工程は、間接加熱方式と熱板直接加熱方式があり、間接加熱方式は積層体から離れた位置に設置された加熱装置によって積層体を予熱する方式であり、熱板直接加熱方式は積層体と熱板が接触することによって積層体を予熱する方式であるが、本発明の成形体の製造方法における予熱工程としては、いずれの方法も好ましく用いることができる。
このような上記のような製造方法としては、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法、ストレート成形法、フリードローイング成形法、プラグアンドリング成形法、スケルトン成形法などの熱成形と呼ばれる各種成形法を適用することができる。各種成形法において前述の予熱工程は、間接加熱方式と熱板直接加熱方式があり、間接加熱方式は積層体から離れた位置に設置された加熱装置によって積層体を予熱する方式であり、熱板直接加熱方式は積層体と熱板が接触することによって積層体を予熱する方式であるが、本発明の成形体の製造方法における予熱工程としては、いずれの方法も好ましく用いることができる。
本発明の積層体の成形体への製造方法では、予熱工程における積層体の温度が、165℃〜240℃であることが好ましい。予熱工程における積層体の温度は、より好ましくは180℃〜220℃、さらに好ましくは190℃〜210℃である。なお、ここでいう積層体温度とは、間接加熱方式においては積層体から一定の距離をおいて設置された赤外線放射温度計等の温度検出機によって検出された予熱工程終了時の積層体表面の値を指し、熱板直接加熱方式においては熱板自体の表面温度を指す。
本発明の成形体の製造方法では、予熱工程により軟化した積層体を、成形工程において金型に密着させる際に、金型の形状において積層体全体が若干延伸されるが、延伸フィルム等の製造方法と異なり、延伸後の熱処理により延伸によって発生した歪を緩和するという工程が存在しない。そのため、特許文献2に示されるような積層体温度を140℃程度にして成形した場合、成形体をガラス転移点以上の高温下に曝露すると成形物全体で収縮が起こってしまい、例えば蓋材として用いた場合、底材との嵌合性が悪くなり蓋材として機能しなくなるという問題が起こる。しかしながら、予熱工程における積層体の温度を165℃〜240℃の範囲とすることにより、積層体中のポリ乳酸樹脂が十分な分子運動を保持した状態で延伸されるため延伸による歪の発生が抑えられ、成形体の収縮率を抑制することが可能となる。なお予熱工程における積層体温度が240度を越えると、ステレオコンプレックス結晶の融解による剛性低下が起こるという観点から予熱工程での積層体温度の上限は240℃である。
以下に、本発明の積層体の製造方法について述べる。
以下に、本発明の積層体の製造方法について述べる。
各々の押出機にA層、B層の原料である樹脂組成物を溶融押出し、それぞれ金網メッシュによる異物除去、ギアポンプによる流量適性化を行った後、マルチマニホールド口金、または口金上部に設置したフィードブロックに供給する。上記マルチマニホールド口金、またはフィードブロックには、必要なフィルムの層構成に応じて、所望の数、所望の形状の流路が設けられている必要がある。各押出機から押し出された溶融樹脂は、上記の通りマルチマニホールド口金、またはフィードブロックにて合流せしめ、口金よりシート状に共押出される。当該シートは、エアナイフ、または静電印加等の方式により、キャスティングドラムに密着させ、冷却固化せしめて未延伸シートとする。
ここで、ゲルや熱劣化物等の異物の混入による表面荒れを防ぐために、50〜400meshの金網メッシュを使用することが好ましい。
本発明の積層体は、成形体とする際の成形性を向上させるために、70℃以上の温度で熱処理を施す工程を有する製造方法によって製造することが好ましい。70℃以上で熱処理を施すことにより、ポリ乳酸系シートを結晶化させることができる。シートの耐熱性を向上させるため、熱処理を施す工程の温度は、70℃以上210℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以下180℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。熱処理を施す工程の時間は、結晶化を進行させるために、5秒〜5分間が好ましく、5秒〜3分間がより好ましい。熱処理を施す方法としては特に限定しないが、加熱オーブンによる方法や加熱ロールによる方法が好ましい。加熱オーブンによる方法では、加熱方法として、熱風による方法や遠赤外ヒーターによる方法、これらの組み合わせによる方法等が好ましく採用できる。
本発明の積層体は成形性、透明性、耐熱性に優れており、加えて環境負荷が低減されたものであることから、包装容器、各種電子・電気機器、OA 機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途の使用に有用である。その中でも特に好ましくは食品用の成形容器、飲料用カップ蓋などの成形性、透明性、耐熱性の要求される用途に好ましく用いることができる。
〔物性の測定方法および効果の評価方法〕
本発明における物性の測定方法および効果の評価方法は下記の通りである。
〔物性の測定方法および効果の評価方法〕
本発明における物性の測定方法および効果の評価方法は下記の通りである。
1.積層比
積層体の横方向(以後、TD方向と表記する)のセンター部からサンプルを切り出した。エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトームを用い、サンプル片の縦方向(以後、MD方向と表記する)−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。この積層体断面の薄膜切片を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率1000倍(倍率は適宜調整可能)で積層体断面写真を撮影し、各層の厚みを測定した。観察箇所を変えて、10箇所で測定を行い、得られた値の平均値を各層の厚み(μm)とし、各層の厚みから積層体の積層比を求めた。
2.積層体厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、積層体のMD方向およびTD方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、その平均値を当該積層体の積層体厚み(μm)とした。
積層体の横方向(以後、TD方向と表記する)のセンター部からサンプルを切り出した。エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトームを用い、サンプル片の縦方向(以後、MD方向と表記する)−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。この積層体断面の薄膜切片を、走査型電子顕微鏡を用いて倍率1000倍(倍率は適宜調整可能)で積層体断面写真を撮影し、各層の厚みを測定した。観察箇所を変えて、10箇所で測定を行い、得られた値の平均値を各層の厚み(μm)とし、各層の厚みから積層体の積層比を求めた。
2.積層体厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、積層体のMD方向およびTD方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、その平均値を当該積層体の積層体厚み(μm)とした。
3.引張弾性率測定
引張弾性率(MPa)
恒温槽を備えたオリエンテック社製TENSILON UCT−100を用いて、80℃における応力−歪み測定を行い、垂直方向に長さ150mm、幅10mmのMD方向を垂直方向とした短冊状にサンプルを切り出し、80℃に調整された恒温槽の中で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にしたがって測定を行い、応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し、引張弾性率を計算した。測定は計10回行い、その平均値を採用した。この弾性率は高温下における剛性の指標となることから、高い値を示すほど高い耐熱性を有すると解釈でき、100MPa以上であれば実用化に耐えうる耐熱性を有すると判断した。
引張弾性率(MPa)
恒温槽を備えたオリエンテック社製TENSILON UCT−100を用いて、80℃における応力−歪み測定を行い、垂直方向に長さ150mm、幅10mmのMD方向を垂直方向とした短冊状にサンプルを切り出し、80℃に調整された恒温槽の中で、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にしたがって測定を行い、応力−歪み曲線の最初の直線部分を用いて、直線上の2点間の応力の差を同じ2点間の歪みの差で除し、引張弾性率を計算した。測定は計10回行い、その平均値を採用した。この弾性率は高温下における剛性の指標となることから、高い値を示すほど高い耐熱性を有すると解釈でき、100MPa以上であれば実用化に耐えうる耐熱性を有すると判断した。
4.成形体作製、耐熱性評価
浅野研究所製FKS真空圧空成形機に開口部132mm × 183mm × 底部112mm × 160mm 、深さ25mm の蓋状金型を取付け、ヒーター温度400℃、圧空圧力3kg/cm2、金型温度55℃の条件下、予熱工程における積層体温度を200℃として真空圧空成形を行った。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性を有するものであった。
浅野研究所製FKS真空圧空成形機に開口部132mm × 183mm × 底部112mm × 160mm 、深さ25mm の蓋状金型を取付け、ヒーター温度400℃、圧空圧力3kg/cm2、金型温度55℃の条件下、予熱工程における積層体温度を200℃として真空圧空成形を行った。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性を有するものであった。
得られた成形体を80℃設定の熱風オーブンに、成形体の底面部が上になるようにして2分間置き、成形体の耐熱性を高さ維持率で5段階評価した。なお成形体の高さは、成形体の底面部が上になるようにして置いて、成形体を真横から観察した際の底面部の高さと定めた。耐熱性のレベルが4以上であると実用上問題なく使用可能である。
成形体の耐熱性
5:元の高さ(50mm)の95%以上100%以下
4:元の高さ(50mm)の90%以上95%未満
3:元の高さ(50mm)の85%以上90%未満
2:元の高さ(50mm)の40%以上85%未満
1:元の高さ(50mm)の0%以上40%未満
5.透明性:ヘイズ値(%)
ヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機社製)を用いて、積層体のヘイズ値を測定した。測定は1サンプルにつき5回行い、5回の測定の平均値から求めた。
6.分子量
ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社MODEL510を用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
7.融点、ステレオ化率(Sc率)
ポリ乳酸樹脂の融点は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指す。
5:元の高さ(50mm)の95%以上100%以下
4:元の高さ(50mm)の90%以上95%未満
3:元の高さ(50mm)の85%以上90%未満
2:元の高さ(50mm)の40%以上85%未満
1:元の高さ(50mm)の0%以上40%未満
5.透明性:ヘイズ値(%)
ヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機社製)を用いて、積層体のヘイズ値を測定した。測定は1サンプルにつき5回行い、5回の測定の平均値から求めた。
6.分子量
ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社MODEL510を用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。
7.融点、ステレオ化率(Sc率)
ポリ乳酸樹脂の融点は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指す。
ここで示す融点とは、1回目の測定(1stRUN)で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温した後、降温速度999℃/分で30℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2ndRUN)で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温したときに測定される融点のことである。
また、ポリ乳酸樹脂のSc率は、上記融点の測定方法において測定される190℃以上230℃未満にピークを有する吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hsc)および150℃以上185℃未満にピークを有する吸熱曲線の融解エンタルピー(△Hhomo)を用いて式(1)よりされる値を指す。
Sc率 = 100 × △Hsc/(△Hsc+△Hhomo) ・・・・・式(1)
ポリメチル(メタ)アクリレートのガラス転移温度(以下、Tgとする)は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここでTgとは、前記融点の測定方法と同様に2回目の測定(昇温速度20℃/分)で30℃から250℃まで昇温したときに測定されるDSC曲線のベースラインが吸熱方向にシグモイド型に変化する領域において、シグモイド型に変化する領域より低温側のベースラインの延長線と、シグモイドにおける変曲点の接線の交点を指す。
ポリメチル(メタ)アクリレートのガラス転移温度(以下、Tgとする)は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここでTgとは、前記融点の測定方法と同様に2回目の測定(昇温速度20℃/分)で30℃から250℃まで昇温したときに測定されるDSC曲線のベースラインが吸熱方向にシグモイド型に変化する領域において、シグモイド型に変化する領域より低温側のベースラインの延長線と、シグモイドにおける変曲点の接線の交点を指す。
本発明の製造例、実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。なお、製造例、実施例、比較例では下記の略称で表記することがある。
ポリ乳酸樹脂1:製造例1(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物 重量平均分子量=18.2万、融点=214℃、Sc率=81%)
ポリ乳酸樹脂2:製造例2(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体 重量平均分子量=16.6万、融点=213℃、Sc率=88%)
ポリ乳酸樹脂3:製造例3(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体 重量平均分子量=14.3万、融点=210℃、Sc率=90%)
ポリ乳酸樹脂4:製造例4(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物 重量平均分子量=19.5万、融点=211℃、Sc率=65%)
ポリ乳酸樹脂5:回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したポリ乳酸樹脂(NatureWorks製“Ingeo” 4043D;D体量=4mol%、Tg=58℃、融点=150℃、Sc率=0%)
ポリ(メタ)アクリレート系樹脂:旭化成ケミカルズ株式会社製PMMA(デルペット80NH;Tg=117℃)
ブロック共重合体可塑剤:製造例5(PLA−PEG−PLA型の、ポリエーテルからなるセグメント及びポリ乳酸からなるセグメントから構成されるポリエーテル系ブロック共重合体)
結晶核剤:日本化成製“エチレンビスラウリン酸アミド(スリパックス”L“)
[製造例1](ポリ乳酸樹脂1の製造例)
撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%L−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。PLLA1の重量平均分子量は1.8万、融点は149℃、融解終了温度は163℃であった。
ポリ乳酸樹脂2:製造例2(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体 重量平均分子量=16.6万、融点=213℃、Sc率=88%)
ポリ乳酸樹脂3:製造例3(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体 重量平均分子量=14.3万、融点=210℃、Sc率=90%)
ポリ乳酸樹脂4:製造例4(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物 重量平均分子量=19.5万、融点=211℃、Sc率=65%)
ポリ乳酸樹脂5:回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したポリ乳酸樹脂(NatureWorks製“Ingeo” 4043D;D体量=4mol%、Tg=58℃、融点=150℃、Sc率=0%)
ポリ(メタ)アクリレート系樹脂:旭化成ケミカルズ株式会社製PMMA(デルペット80NH;Tg=117℃)
ブロック共重合体可塑剤:製造例5(PLA−PEG−PLA型の、ポリエーテルからなるセグメント及びポリ乳酸からなるセグメントから構成されるポリエーテル系ブロック共重合体)
結晶核剤:日本化成製“エチレンビスラウリン酸アミド(スリパックス”L“)
[製造例1](ポリ乳酸樹脂1の製造例)
撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%L−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。PLLA1の重量平均分子量は1.8万、融点は149℃、融解終了温度は163℃であった。
得られたPLLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で18時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA2)を得た。PLLA2の重量平均分子量は20.3万、融点は170℃であった。
次に、撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%D−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA1)を得た。PDLA1の重量平均分子量は1.7万、融点は148℃、融解終了温度は161℃であった。
得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で14時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PDLA2)を得た。PDLA2の重量平均分子量は15.8万、融点は168℃であった。
次に、PLLA2とPDLA2を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2/PDLA2=50/50質量%になるように原料を配合し、触媒失活剤(アデカ製、‘’アデカスタブ‘’AX−71)をPLLA2とPDLA2の合計100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸樹脂1を得た。
ポリ乳酸樹脂A−1の重量平均分子量は18.2万、融点は214℃であった。なお、得られたA−1は圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
[製造例2](ポリ乳酸樹脂2の製造例)
ポリ乳酸樹脂2はポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造する工程、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造した。具体的には製造例1で得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で6時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA3)を得た。PDLA3の重量平均分子量は4.2万、融点は158℃であった。
ポリ乳酸樹脂2はポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造する工程、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造した。具体的には製造例1で得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で6時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA3)を得た。PDLA3の重量平均分子量は4.2万、融点は158℃であった。
製造例1で得られたPLLA2とPDLA3を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2をTEX30α二軸押出機(日本製鋼所製)の樹脂供給口より添加し、PDLA3をL/D=30の部分に設けたサイド供給口より添加し溶融混練を行った。二軸押出機は、樹脂供給口よりL/D=10の部分に温度180℃に設定した可塑化部分を設け、L/D=30の部分にはニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造をしており、PLLA2とPDLA3の混合はせん断付与下、混合温度200℃で行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸溶融混練樹脂を得た。得られたポリ乳酸溶融混練樹脂を真空乾燥機中、110℃にて圧力13.3Paで2時間乾燥後、140℃にて圧力13.3Paで4時間固相重合を行い、次いで150℃に昇温して4時間、さらに160℃に昇温して10時間固相重合を行い、ポリ乳酸ブロック共重合体を得た。次いで、触媒失活剤(アデカ製、‘’アデカスタブ‘’AX−71)を得られたポリ乳酸ブロック共重合体100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸樹脂2を得た。ポリ乳酸樹脂A−2の重量平均分子量は16.6万、融点は213℃であった。なお、圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
[製造例3](ポリ乳酸樹脂3の製造例)
製造例1のPDLA1を作製するのと同様の方法にて温度、圧力、重合時間を変更し、重量平均分子量は0.8万のPDLA4を作製した。これを製造例2におけるPDLA3の代わりに用いた以外は製造例2と条件等を変更せずにポリ乳酸ブロック共重合体(ポリ乳酸樹脂3)を作製した。ポリ乳酸樹脂3の重量平均分子量は14.3万、融点は210℃であった。なお、圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
製造例1のPDLA1を作製するのと同様の方法にて温度、圧力、重合時間を変更し、重量平均分子量は0.8万のPDLA4を作製した。これを製造例2におけるPDLA3の代わりに用いた以外は製造例2と条件等を変更せずにポリ乳酸ブロック共重合体(ポリ乳酸樹脂3)を作製した。ポリ乳酸樹脂3の重量平均分子量は14.3万、融点は210℃であった。なお、圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
[製造例4](ポリ乳酸樹脂4の製造例)
製造製1においてPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で18時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA5)を得た。PDLA5の重量平均分子量は20.1万、融点は170℃であった。このPDLA5とPLLA2を用いて製造例1と同様の方法で溶融混合することでポリ乳酸樹脂4を得た。
製造製1においてPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で18時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA5)を得た。PDLA5の重量平均分子量は20.1万、融点は170℃であった。このPDLA5とPLLA2を用いて製造例1と同様の方法で溶融混合することでポリ乳酸樹脂4を得た。
[製造例5](ブロック共重合体可塑剤の製造例)
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量%とL−ラクチド38質量%とオクチル酸スズ0.05質量%を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合することで、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,500のポリ乳酸セグメントを有するPLA−PEG−PLA型のブロック共重合体可塑剤を得た。なお、乾燥は回転式真空乾燥機にて80℃で5時間行った。
(実施例1)
ベント式押出機(A)に、A層の樹脂組成物として、ポリ乳酸樹脂1 100質量%を230℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練しながら押出し、100meshの金網メッシュにてポリマーを濾過させ、2種3層積層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、ベント式押出機(B)に、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂として旭化成ケミカルズ株式会社製PMMA『デルペット80NH』を75質量%、ポリ乳酸樹脂Bとしてポリ乳酸樹脂4を25質量%の割合で、ブレンドした原料を220℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練しながら押出し、押出機(A)とは別の流路で、100meshの金網メッシュにてポリマーを濾過させた後、口金温度を230℃に設定したTダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、未延伸状態の積層体を作製した後に、ワインダーにて該積層体を巻き取った。
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量%とL−ラクチド38質量%とオクチル酸スズ0.05質量%を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合することで、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,500のポリ乳酸セグメントを有するPLA−PEG−PLA型のブロック共重合体可塑剤を得た。なお、乾燥は回転式真空乾燥機にて80℃で5時間行った。
(実施例1)
ベント式押出機(A)に、A層の樹脂組成物として、ポリ乳酸樹脂1 100質量%を230℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練しながら押出し、100meshの金網メッシュにてポリマーを濾過させ、2種3層積層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、ベント式押出機(B)に、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂として旭化成ケミカルズ株式会社製PMMA『デルペット80NH』を75質量%、ポリ乳酸樹脂Bとしてポリ乳酸樹脂4を25質量%の割合で、ブレンドした原料を220℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練しながら押出し、押出機(A)とは別の流路で、100meshの金網メッシュにてポリマーを濾過させた後、口金温度を230℃に設定したTダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、未延伸状態の積層体を作製した後に、ワインダーにて該積層体を巻き取った。
得られた積層体は250μmであり、厚み構成は、B層/A層/B層=1/8/1であり、熱風オーブンにて熱処理温度150℃で180秒間熱処理を施した。また得られた積層体は[物性の測定方法および効果の評価方法]の成形体作製部分に記載の方法にて成形体を作製した。
得られた積層体、成形体の特性値は表1に示した通りであり、透明性、耐熱性に優れていた。
実施例2〜7、比較例1〜4は、積層体の組成を表のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。得られた積層体および成形体の物性を表1に示した。
実施例2〜7、比較例1〜4は、積層体の組成を表のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体および成形体を得た。得られた積層体および成形体の物性を表1に示した。
本発明は、透明性、耐熱性に優れた積層体、及びその成形体に関するものであり、食品などに用いられる各種包装材料、および各種工業材料などに好ましく用いることができる。
Claims (8)
- ポリ乳酸樹脂を主体とするA層(以下、A層の主体となるポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Aという)およびポリ(メタ)アクリレート系樹脂を主体とするB層を有する積層体であり、
ポリ乳酸樹脂Aは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であることを特徴とする、積層体。 - ポリ乳酸樹脂Aが、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
- B層が、ポリ乳酸樹脂を含有し(以下、B層が含有するポリ乳酸樹脂を、ポリ乳酸樹脂Bという)、
ポリ乳酸樹脂Bは、融点が190℃以上230℃未満であって、ステレオ化率が80%以上100%以下であり、
B層の全成分を100質量%とした際の、B層中のポリ乳酸樹脂Bの含有量が、5質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層体。 - ポリ乳酸樹脂Bが、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を含むことを特徴とする、請求項3に記載の積層体。
- A層及びB層が、他の層を介さずに直接積層されたことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の積層体。
- A層の全成分を100質量%とした際の、A層中の可塑剤の含有量が0.1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の積層体。
- B層の全成分を100質量%とした際の、B層中の結晶核剤の含有量が0.01質量%以上5質量%以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1から7のいずれかに記載の積層体より得られる成形体。
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JP2013109557A JP2014226870A (ja) | 2013-05-24 | 2013-05-24 | 積層体、及びそれから得られる成形体 |
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2013
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