JPWO2014148226A1 - 成形体、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ポリ乳酸樹脂を含み、広角X線測定におけるステレオ化率が99%以上100%以下であり、TMA測定における80℃での収縮率が−5%以上3%以下であり、ヘイズが5%以下であることを特徴とする成形体。耐熱性、透明性に優れたポリ乳酸樹脂を含む成形体を提供する。

Description

本発明は透明性、耐熱性に優れた成形体に関するものである。
ポリ乳酸は、透明性に優れた溶融成形可能な高分子であり、生分解性の特徴を有することから使用した後は自然環境中で分解して炭酸ガスや水として放出される生分解性プラスチックとしての開発が進められてきた。一方、近年では、ポリ乳酸自身が二酸化炭素や水を起源とする再生可能資源(バイオマス)を原料としているため、使用後に二酸化炭素が放出されたとしても地球環境中における二酸化炭素は増減しないというカーボンニュートラルの性質が注目され、環境低負荷材料としての利用が期待されている。さらに、ポリ乳酸のモノマーである乳酸は微生物を利用した発酵法により安価に製造されつつあり、石油系プラスチック製の汎用ポリマーの代替素材としても検討されるようになってきており、包装材料、雑貨などへと実用化が進むとともに、食品用の成形容器、飲料用カップ蓋としても使用されるようになってきた。しかしながら、ポリ乳酸は、一般的に食品用の成形容器として使用されているポリプロピレンや二軸延伸ポリスチレンと比較すると耐熱性が低いため、耐熱性が要求されない容器に限定されているのが現状である。
このような問題点を解決する手段の一つとして、ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂の利用が注目されている。ステレオコンプレックスを形成するポリ乳酸樹脂は光学活性なポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を混合することにより形成され、通常のポリ乳酸樹脂と比較して非常に高い融点と結晶化速度を有する。ステレオコンプレックス結晶を含むポリ乳酸は高温下でも高い剛性を示すため、耐熱性を要求される容器への展開が期待される。またステレオコンプレックス結晶を有したポリ乳酸は結晶化しているにも関わらず非常に高い透明性を示すことが知られており、透明性が非常に重視される食品容器等の用途に適した材料であると言える。このような背景から特許文献1や特許文献2のようなポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合体からなる成形体に関する出願が行われている。
特開2007−90550号公報 特開2008−63502号公報
しかしながら、特許文献1では、成形体のDSC測定による成形体中のステレオコンプレックス結晶の有無により成形体の耐熱性を判断しているのみであり、実際に成形体が熱にさらされた際の収縮量等の変形に関する記載はなく成形体の耐熱性が実用化に耐えうるものかどうかが不明確であった。また特許文献2では、成形時のシート温度が140℃程度と、ステレオコンプレックス結晶の融点よりも50℃以上低い温度で成形しているため成形時の無理な延伸によりボイドが発生したためか、ヘイズが20%以上と高くなっており透明性に劣るという問題があった。本発明は、耐熱性・透明性に優れたポリ乳酸成形体を提供することを目的としたものである。
本発明は、上記課題を解決するため、次の構成を有する。すなわち、以下である。
1) ポリ乳酸樹脂を含み、
広角X線測定におけるステレオ化率が99%以上100%以下であり、
TMA測定における80℃での収縮率が−5%以上3%以下であり、
ヘイズが5%以下であることを特徴とする成形体。
2) 広角X線測定における結晶サイズが25nm以上50nm以下であることを特徴とする、1)に記載の成形体。
3) 広角X線測定における結晶化度が10%以上50%以下であることを特徴とする、1)又は2)に記載の成形体。
4) 結晶核剤及び/又は可塑剤を含むことを特徴とする、1)〜3)のいずれかに記載の成形体。
5) 1)〜4)のいずれかに記載の成形体の製造方法であって、
ポリ乳酸樹脂を含むシートを予熱する工程(以下、予熱工程という)、及び予熱したシートを成形する工程(以下、成形工程という)を有し、
予熱工程におけるシートの温度が、165℃〜240℃であることを特徴とする、成形体の製造方法。
6) 前記予熱工程が、間接加熱方式によることを特徴とする、5)に記載の成形体の製造方法。
7) 前記予熱工程が、熱板直接加熱方式による、成形体の製造方法であって、
結晶化度が10%以上50%以下のポリ乳酸樹脂を含むシートを製造し、該シートを予熱工程に通すことを特徴とする、5)に記載の成形体の製造方法。
8) 予熱工程において、成形前シート中のポリ乳酸樹脂の結晶化度(Xc)と、シート中のポリ乳酸樹脂の冷結晶化温度(Tc)と、予熱工程における平均昇温速度(V)が式(A)を満たすことを特徴とする、6)に記載の成形体の製造方法。
((120−Tc)/V0.3) +Xc/10≧9 ・・・式(A)
9) 前記冷結晶化温度(Tc)が、95℃以下であることを特徴とする、8)に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、耐熱性・透明性に優れたポリ乳酸樹脂を含む成形体を提供することが可能となる。
本発明の成形体は、ポリ乳酸樹脂を含むことが重要である。本発明の成形体は、ポリ乳酸樹脂を含みさえすれば、その含有量は特に限定されるものではないが、好ましくは成形体100質量%において、ポリ乳酸樹脂を50質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、より好ましくはポリ乳酸樹脂を80質量%以上100質量%以下含み、特に好ましくはポリ乳酸樹脂を90質量%以上100質量%以下含む態様である。
ここでポリ乳酸樹脂とは、該ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含む樹脂を意味する。
また本発明に用いるポリ乳酸樹脂は、(A)ポリ−D−乳酸とポリ−L−乳酸の混合物、(B)ポリ−L−乳酸からなるセグメントとポリ−D−乳酸からなるセグメントで構成されるポリ乳酸ブロック共重合体、あるいは(C)ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸と前記ポリ乳酸ブロック共重合体の混合物であることが好ましい。このようなポリ乳酸樹脂とすることで、耐熱性を高くすることができ、また、広角X線測定におけるステレオ化率を99%以上100%以下とするためにも、ポリ乳酸樹脂は、上述の(A)〜(C)のいずれかとすることが好ましい。

本発明におけるポリ−L−乳酸とは、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、L−乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含むポリ乳酸樹脂を意味する。また本発明におけるポリ−D−乳酸とは、ポリ乳酸樹脂を構成する全ての単量体成分100モル%において、D−乳酸成分を70モル%以上100モル%以下含むポリ乳酸樹脂を意味する。なおポリ−L−乳酸としては、ポリ乳酸樹脂中の乳酸成分を100モル%として、さらにL−乳酸成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい。また、ポリ−D−乳酸としては、ポリ乳酸樹脂中の乳酸成分を100モル%として、さらにD−乳酸成分を90モル%以上100モル%以下含有していることがより好ましく、95モル%以上100モル%以下含有していることがさらに好ましく、98モル%以上100モル%以下含有していることが特に好ましい。

本発明におけるポリ乳酸ブロック共重合体は、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成される。ここでいうポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸の意味は、前述の通りである。つまり、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体とは、その重合体中にポリ−L−乳酸からなる部分とポリ−D−乳酸からなる部分とを有する重合体を意味する。

なお、ポリ乳酸樹脂は、本発明の性能を損なわない範囲で、乳酸成分(L−乳酸成分またはD−乳酸成分)以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類またはそれらの誘導体、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類またはそれらの誘導体、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる

本発明におけるポリ乳酸樹脂として、前述の(A)の場合(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる場合)のポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸の重量平均分子量、前述の(B)の場合(ポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合)のポリ乳酸ブロック共重合体の重量平均分子量、および前述の(C)の場合(ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸および前記ポリ乳酸ブロック共重合体の混合物を用いる場合)のポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、およびポリ乳酸ブロック共重合体の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、いずれも10万以上50万以下の範囲であることが、成形性および機械物性の点で好ましい。より好ましくは12万以上40万以下の範囲であり、さらに好ましくは13万以上35万以下の範囲であることを好ましい。

本発明におけるポリ乳酸樹脂として、前述の(B)を用いる場合(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合)、ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントのうち、いずれか一方のセグメントの重量平均分子量が6万以上30万以下であり、他方のセグメントの重量平均分子量が1万以上10万以下であることが好ましい。ポリ乳酸ブロック共重合体中のポリ−L−乳酸からなるセグメントまたはポリ−D−乳酸からなるセグメントについて、さらに好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量が10万以上27万以下、他方のセグメントの重量平均分子量が2万以上8万以下であり、特に好ましくは、一方のセグメントの重量平均分子量が15万以上24万以下、他方のセグメントの重量平均分子量が3万以上6万以下である。

本発明において、ポリ乳酸樹脂として前述の(A)〜(C)のいずれかとする場合、ポリ乳酸樹脂全体におけるL−乳酸単位とD−乳酸単位の質量比は、80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜25:75であることがより好ましく、さらには70:30〜30:70であることが好ましい。L−乳酸単位とD−乳酸単位のそれぞれの質量比が、80:20〜20:80の範囲であると、ポリ乳酸樹脂がステレオコンプレックス結晶を形成しやすく、その結果、高温下でも高い剛性を示すようになる。

本発明において、ポリ乳酸樹脂として前述の(A)とする場合(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物を用いる場合)、その製造方法としては、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを溶融混練してなる方法をとることが可能であるが、この溶融混錬する方法は特に限定されるものではない。例えばポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸のうち、融点の高い方の成分の融解終了温度以上で溶融混練する方法、溶媒中で混合した後に溶媒を除く方法、あるいは溶融状態のポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の少なくとも一方を、あらかじめ融点−50℃〜融点+20℃の温度範囲内で溶融機内にてせん断を付与しながら滞留させた後、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とからなる混合物の結晶が残存するように混合する方法などが挙げられる。融解終了温度以上で溶融混練する方法としては、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを回分法もしくは連続法で混合する方法が挙げられ、いずれの方法で混合してもよく、混練装置としては例えば、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダー、および減圧装置付き撹拌槽型反応機が挙げられ、均一かつ十分に混練できる観点においては二軸押出機を用いることが好ましい。

本発明において、ポリ乳酸樹脂として前述の(B)を用いる場合(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体を用いる場合)、ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、一般のポリ乳酸の製造方法を利用することができる。具体的には、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造し、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、原料の乳酸成分から生成した環状2量体のL−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合させ、さらに該ポリ乳酸の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合させることで、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造するラクチド法、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を融点の高い方の成分の融解終了温度以上で長時間溶融混練を行うことで、L−乳酸成分のセグメントとD−乳酸成分のセグメントをエステル交換反応させてポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法、多官能性化合物をポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸に混合して反応させることで、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を多官能性化合物で共有結合させ、ポリ乳酸ブロック共重合体を製造する方法などがある。ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法についてはいずれの方法を利用してもよいが、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造し、該混合物を固相重合する工程を経て得られたポリ乳酸ブロック共重合体が、成形体とした時の耐熱性や透明性の観点で好ましい。

さらに本発明において、ポリ乳酸樹脂として前述の(C)を用いる場合(ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸および前記ポリ乳酸ブロック共重合体の混合物を用いる場合)、その製造方法としては、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸およびポリ乳酸ブロック共重合体とを溶融混練してなる方法をとることが可能であるが、この溶融混錬する方法は特に限定されるものではなく、前記、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物における溶融混錬の方法と同様の方法をとることができる。

本発明における成形体とは、シートを成形する工程を経て得られる、三次元形状の構造体を意味する。そして本発明における成形体とは、ポリ乳酸樹脂を含むシートを予熱する工程(以下、予熱工程という)及び予熱したシートを成形する工程を有する製造方法を経て得られることが好ましい。成形体の形状としては、三次元形状の構造体であれば特に限定されないが、底面部に多角形の形状を有する角型容器または円筒型容器等が挙げられ、トレー、カップ、ケースおよび、それらの蓋材の形状を有するものが挙げられる。また本発明の成形体としては特に形状に限定はないが、商品の展示包装用に用いられているブリスターパックなどの保形具類等、飲料自動販売機のディスプレイ用ボトル、その他各種包装用の成形体、および表面材などの各種工業材料を好ましく挙げることができる。
本発明の成形体は、広角X線測定におけるステレオ化率が99%以上100%以下であることが重要である。ここで、ステレオ化率とは、ホモのポリ乳酸よりなる結晶とステレオ結晶の和に対するステレオ結晶の含有率であり、広角X線測定により評価することができる。成形体のステレオ化率を99%以上100%以下、より好ましくは100%とすることにより、高い透明性を有する成形体とすることができる。
成形体のステレオ化率を99%以上100%以下とするためには、後述する予熱工程と成形工程を有する製造方法において、予熱工程におけるシートの温度を165℃〜240℃とすることにより可能である。
ポリ乳酸樹脂として前述の(A)〜(C)のいずれかを用いた場合、該ポリ乳酸樹脂を含む成形体の結晶化処理を行うと、通常ステレオコンプレックス結晶に加えて、一部ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸単独の結晶(以後、ホモ結晶と称する)が形成されることがある。このホモ結晶は粗大な球晶を形成するため、ステレオコンプレックス結晶とともにホモ結晶が存在すると透明性に劣ることがあり、食品用成形容器等の透明性が重視される用途での展開上問題となることがある。かかる理由からホモ結晶が非常に少ないステレオ化率99%以上100%以下の成形体とすることが非常に重要である。

本発明における成形体は、ヘイズが5%以下であることが食品容器等の透明性が重視される用途において展開するうえで重要である。ここで言うヘイズとは、成形体の厚みを考慮した値であり、250μm基準に換算した値をいう。ヘイズは低ければ低いほど良いが、成形体自体の光の吸収や表面の荒れによる散乱等から現実的な下限値は0.1%である。成形体のヘイズは、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
成形体のヘイズを5%以下とするためには、後述する予熱工程と成形工程を有する製造方法において、予熱工程におけるシートの温度を165℃〜240℃とすることにより可能である。

本発明の成形体のTMA測定における80℃での収縮率は、−5%以上3%以下であることが重要である。成形体の収縮率を−5%以上3%以下に収めることで、成形体が熱に曝された際の変形を外観上遜色の無い範囲内に収めることができるとともに、例えば本発明の成形体を蓋材として用いた場合、熱に曝された後も底材との嵌合性を維持できるようになる。成形体のTMA測定における80℃での収縮率は、より好ましくは−3%以上2%以下であり、さらに好ましくは−1%以上1%以下である。
成形体の80℃での収縮率を−5%以上3%以下とするためには、後述する予熱工程と成形工程を有する製造方法において、予熱工程におけるシートの温度を165℃〜240℃とすることにより可能である。

本発明の成形体は、広角X線測定によって得られる結晶サイズが、25nm以上50nm以下であることが好ましい。結晶サイズをかかるサイズとすることで、高温下でも高い剛性を維持し成形体が熱に曝された際の変形を外観上遜色のない範囲内に収めることができ、かつ実用上問題ないレベルの耐薬品性を付与することができる。
成形体の結晶サイズを25nm以上50nm以下とするためには、後述する予熱工程と成形工程を有する製造方法において、予熱工程におけるシートの温度を165℃〜240℃とすることにより可能である。
また本発明において、高温下における高い剛性を維持し、かつ実用上問題ないレベルの耐薬品性を付与するためには、成形体の結晶化度は10%以上50%以下であることが好ましく、13%以上50%以下であることがより好ましい。成形体の結晶化度が10%未満では、高温下にて自重により変形が起こることがある。また成形体の結晶化度が10%未満では、耐薬品性試験前後のヘイズ値の差が大きくなることがある。なお、ステレオコンプレックス結晶がポリ−L−乳酸セグメントおよびポリ−D−乳酸セグメントの割合が1:1で形成されることを考慮すると、結晶化度の上限は50%である。
また本発明における成形体はステレオ結晶化度が9.9%以上50%以下であることが好ましい。ここで言うステレオ結晶化度は、上記の『結晶化度』と『ステレオ化率』の積を100で除した値のことである。

本発明における成形体は、結晶核剤及び/又は可塑剤を含むことが好ましい。結晶核剤及び/又は可塑剤はポリ乳酸樹脂の冷結晶化温度を下げることにより成形時予熱工程での結晶化を促進する効果を有するため、成形体の結晶化度を10%以上50%以下とする点で好ましい。また該添加剤の結晶化促進効果により予熱工程でのシート全体で均一に結晶化が進むため、結晶化不十分な領域でのボイド発生を抑制し成形体のヘイズを5%以下とする点で好ましい。
結晶核剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、タルクなどの無機系核剤、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ジヒドロキシステアリン酸アミドおよびトリメシン酸トリシクロヘキシルアミドなどの有機アミド系化合物、銅フタロシアニンおよびピグメントイエロー110などの顔料系核剤、有機カルボン酸金属塩、フェニルホスホン酸亜鉛などを挙げることができる。この中でも耐ブリードアウト性、透明性の観点からエチレンビスラウリン酸アミドやエチレンビスステアリン酸アミドが特に好ましい。
可塑剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリアルキレングリコール系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができる。ポリアルキレングリコール系可塑剤としてはポリ乳酸ユニットとポリエーテルユニットからなるブロック共重合体が耐ブリードアウト性、相溶性の観点から好ましく、ポリ乳酸乳ユニットとポリエチレングリコールユニットからなるブロック共重合体が特に好ましい(以下、このブロック共重合体をブロック共重合体可塑剤という)。また多価カルボン酸エステル系可塑剤としてはアジピン酸系エステルが特に好ましい。
結晶核剤及び/又は可塑剤は、ポリ乳酸樹脂を含む成形体の総質量に対して0.01〜20質量%含有されるのが好ましく、0.1〜5質量%含有されるのがより好ましい。0.01質量%未満の場合、添加量が少なすぎるため予熱工程における結晶化促進効果が得られない。また20質量%より多い場合、透明性や高温剛性の低下が起こる。
本発明における成形体は、ポリ乳酸樹脂を含むシートを予熱する工程(以下、予熱工程という)、及び予熱したシートを成形する工程(以下、成形工程)を有する方法により製造されることが好ましい。より詳細には、本発明の成形体は、間接加熱方式による成形体の製造方法であって、ポリ乳酸樹脂を含むシートを予熱する工程(以下、予熱工程という)、及び予熱したシートを成形する工程を有し、予熱工程におけるシートの温度が、165℃〜240℃であることを特徴とする製造方法、又は、熱板直接加熱方式による成形体の製造方法であって、結晶化度が10%以上50%以下のポリ乳酸樹脂を含むシートを製造し、該シートを予熱する工程(以下、予熱工程という)、及び予熱したシートを成形する工程を有し、予熱工程におけるシートの温度が、165℃〜240℃であることを特徴とする成形体の製造方法により製造されることが好ましい。
このような製造方法としては、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法、ストレート成形法、フリードローイング成形法、プラグアンドリング成形法、スケルトン成形法などの熱成形と呼ばれる各種成形法を適用することができる。各種成形法において前述の予熱工程は、間接加熱方式と熱板直接加熱方式がある。間接加熱方式は、シートから離れた位置に設置された加熱装置によってシートを予熱する方式である。熱板直接加熱方式は、シートと熱板が接触することによってシートを予熱する方式である。本発明の成形体の製造方法における予熱工程としては、間接加熱方式と熱板直接加熱方式のいずれの方法も好ましく用いることができる。
本発明の成形体の製造方法では、成形体としての耐熱性、耐薬品性を考慮すると、予熱工程におけるシートの温度が、165℃〜240℃であることが好ましい。予熱工程におけるシートの温度は、より好ましくは180℃〜220℃、さらに好ましくは190℃〜210℃である。なお、ここでいうシート温度とは、間接加熱方式においてはシートから一定の距離をおいて設置された赤外線放射温度計等の温度検出機によって検出された予熱工程終了時のシート表面の値を指し、熱板直接加熱方式においては熱板自体の表面温度を指す。

本発明の成形体の製造方法では、予熱工程により軟化したシートを、成形工程において金型に密着させる際に、金型の形状においてシート全体が若干延伸されるが、延伸フィルム等の製造方法と異なり、延伸後の熱処理により延伸によって発生した歪を緩和するという工程が存在しない。そのため、特許文献2に示されるようなシート温度を140℃程度にして成形した場合、成形物をガラス転移点以上の高温下に曝露すると成形物全体で収縮が起こってしまい、例えば蓋材として用いた場合、底材との嵌合性が悪くなり蓋材として機能しなくなるという問題が起こる。しかしながら、予熱工程におけるシートの温度を165℃〜240℃の範囲とすることにより、ポリ乳酸樹脂が十分な分子運動を保持した状態で延伸されるため延伸による歪の発生が抑えられ、成形体の収縮率を−5%〜3%とすることが可能となる。なお予熱工程におけるシート温度が240℃を越えると、ステレオコンプレックス結晶の融解による剛性低下が起こるという観点から予熱工程でのシート温度の上限は240℃である。
さらに本発明において、予熱工程におけるシート温度を165℃〜240℃とすることは、本発明の成形体のステレオ化率を99%以上100%以下とし、ヘイズを5%以下とする上でも非常に重要な意味を有する。前記の通りホモ結晶は粗大な球晶を形成するため、ステレオコンプレックス結晶とともにホモ結晶が存在すると透明性に劣ることがある。ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸のみで存在する場合のホモ結晶の融点は、150℃〜180℃程度の値を示すが、ホモ結晶がステレオコンプレックス結晶と混在する場合、ステレオコンプレックス結晶によるホモ結晶の成長阻害のため、融点は160℃程度となる。従って予熱工程におけるシート温度を、ホモ結晶の融点より高い165℃以上とすることにより、ホモ結晶の融解を融解させることができ、ステレオ化率が99%以上100%以下でヘイズが5%以下の透明性の高い成形体とすることが可能になる。

また本発明において、予熱工程におけるシート温度を165℃〜240℃とすることは成形物の結晶サイズを25nm〜50nmとする上でも重要である。ステレオコンプレックス結晶にはその融点を超えない範囲内での熱処理により結晶サイズが大きくなるという特徴がある。予熱工程におけるシートの温度を165℃〜240℃とすることにより、予熱工程において結晶サイズが上昇し、高温下でも剛性を有し、かつ実用上問題ないレベルの耐薬品性を有した成形体とすることが可能となる。

間熱加熱方式による成形体の製造方法においては、予熱工程に通す前のポリ乳酸樹脂を含むシート(成形に用いるシート)の結晶化度は特に限定されず、0%以上50%以下であることが好ましい。
一方で熱板直接加熱方式(以下、熱板成形法と称す)による成形体の製造方法においては、予熱工程に通す前のポリ乳酸樹脂を含むシート(成形に用いるシート)の結晶化度が10%以上50%以下であることが好ましい。熱板直接加熱方式(以下、熱板成形法と称す)による成形体の製造方法において、予熱工程に通す前のシートの結晶化度を10%以上50%以下の範囲とすることにより、シートと熱板を直接接触させた際に発生するシートと熱板の粘着の問題を回避することが可能となる。

本発明における成形体の製造方法において、間接加熱方式を用いる場合、予熱工程において、シート中のポリ乳酸樹脂の冷結晶化温度(Tc)と、成形前シート中のポリ乳酸樹脂の結晶化度(Xc)と、予熱工程における平均昇温速度(V)が式(A)を満たすことが好ましい。なおここで、冷結晶化温度(Tc)とは、昇温過程におけるガラス状態からの結晶化の速度がもっとも大きくなる温度のことであり、Tcの求め方は、物性の測定方法および効果の評価方法の欄に記載した。また、予熱工程における平均昇温速度(V)とは、予熱開始時点のシート温度と予熱工程終了時のシート温度との差を昇温に要した時間で割った値であり、その測定法は物性の測定方法および効果の評価方法の欄に記載した。
((120−Tc)/V0.3) +Xc/10≧9 ・・・式(A)

Tc、V、Xcが式(A)を満たさない場合、予熱工程が終了した段階でのポリ乳酸樹脂の結晶化が不十分となるため、十分な耐熱性や透明性が得られないことがある。
また、前記冷結晶化温度(Tc)は95℃以下であることが好ましい。
工業レベルでの成形体の製造においては生産速度を上げるために、平均昇温速度(V)はできるだけ大きい値とする傾向にある。そのため間接加熱方式による製造においては、予め成形に用いるシートに熱処理を施し結晶化度が高いシートとしておくか、または結晶化特性に優れたシートを用いることが好ましく、そのような観点から結晶化温度(Tc)は95℃以下であることが好ましい。冷結晶化温度(Tc)は通常、ポリ乳酸樹脂のガラス転移温度以上の値を取ること、および一般的に知られているポリ乳酸のガラス転移温度が60℃であることを考慮すると、冷結晶化温度(Tc)の下限は60℃である。
ポリ乳酸樹脂の冷結晶化温度を95℃以下とするには、前記の結晶核剤及び/又は可塑剤を、ポリ乳酸樹脂を含む成形体の総質量に対して好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜20質量%含有させればよい。

本発明の成形体は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲でその他の添加剤、例えば、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤またはポリシロキサンなどの消泡剤、顔料、染料などの着色剤を適量配合することができる。
また、本発明の成形体は、ポリ乳酸樹脂以外の樹脂を含んでも良い。ポリ乳酸以外の樹脂の含有量は、ポリ乳酸樹脂を含む成形体の総質量に対して0〜80質量%が好ましく、より好ましくは0〜60質量%、さらに好ましくは0〜40質量%である。ポリ乳酸樹脂以外の樹脂としては特に限定されないが、ポリ乳酸との相溶性が良く、混合後の樹脂組成物のガラス転移温度が向上し、高温剛性が向上できる点から、ポリ(メタ)アクリレートが好ましい。また、ポリ乳酸樹脂以外の樹脂として、耐衝撃性付与および成形性向上の観点から、ガラス転移温度が60℃以下の樹脂を用いることも好ましい。
本発明の成形体は、ブロッキング防止、帯電防止、離型性付与、耐傷付き性改良などの目的で、表面に機能層を設けてもよい。
さらに本発明の成形体には、各種粒子を含有することができる。粒子を含有することにより、シートから成形体を製造する際、成形金型とシートとの滑りが良くなり、金型からの離型性も良くなる。粒子の種類は、目的や用途に応じて適宜選択され、本発明の効果を損なわなければ特に限定されないが、無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子、重合系内で生成させる内部粒子などを挙げることができる。もちろん、各粒子は、それぞれ単独で使用しても、混合して用いても構わない。
また、本発明の成形体を製造する際に用いるシートには、その少なくとも片面に、離型層を有することが好ましい。これは、本発明の成形体をシートから製造する際に、シートと金型間の離型性を良好にすることができるからである。かかる離型層の素材としては公知のものを用いることができ、長鎖アルキルアクリレート、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、尿素樹脂、ポリオレフィン樹脂、パラフィン系離型剤などから選ばれた1種以上が好ましく用いられる。
また、本発明の成形体を製造する際に用いるシートには、その少なくとも片面に、帯電防止層を有することが好ましい。かかる帯電防止層の素材としては公知のものを用いることができるが、主鎖に4級アンモニウム塩を有する帯電防止剤が好ましい。また、スルホン酸、スルホン酸塩、ビニルイミダゾリウム塩、ジアニルアンモニウムクロライド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルエーテル硫酸エステルの少なくとも1種を含む共重合体を含有させることにより帯電防止性を付与することができる。

以下に、本発明の成形体の製造方法について述べる。
ポリ乳酸樹脂として前述の(A)〜(C)のいずれかを用い、これを押出機にて溶融押出し、金網メッシュによる異物除去、ギアポンプによる流量適性化を行った後、マニホールド口金に供給する。押出機から押し出された溶融樹脂は、口金よりシート状に押出され当該シートは、エアナイフ、または静電印加等の方式により、キャスティングドラムに密着させ、冷却固化せしめて未延伸シートとする。
ここで、ゲルや熱劣化物等の異物の混入による表面荒れを防ぐために、50〜400meshの金網メッシュを使用することが好ましい。また未延伸シートの厚みとしては、成形性の観点から好ましくは50μm〜2,000μm、さらに好ましくは100〜1,000μm、特に好ましくは150〜500μmである。
該未延伸シートは、成形性の向上や成形体とした際の耐熱性を向上させるために、70℃以上の温度で熱処理を施してもよい。70℃以上での熱処理により結晶化を促進することで、該未延伸シートを結晶化シートとすることができる。シートの耐熱性を向上させるため、熱処理を施す工程の温度は、70℃以上210℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以上180℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。熱処理を施す工程の時間は、シートに十分な耐熱性を付与するために、5秒〜5分間が好ましく、5秒〜3分間がより好ましい。熱処理を施す方法としては特に限定しないが、加熱オーブンによる方法や加熱ロールによる方法が好ましい。加熱オーブンによる方法では、加熱方法として、熱風による方法や遠赤外ヒーターによる方法、これらの組み合わせによる方法等が好ましく採用できる。
上記により得られた未延伸シートまたは結晶化シートを成形体とするために、前記間接加熱方式の熱成形法を適用することができる。前記熱成形法においては金型の形状により、プラグアシスト法、エアースリップ法、リバースドロー法、プラグアシストリバースドロー法等の偏肉を抑制した方法を採用してもよい。また上記により得られた結晶化シートは結晶化度に応じて、熱板成形を適用することができる
上記成形方法における金型温度は成形により発生する歪を緩和除去させる観点から、成形体と金型の離型性が維持される範囲内できるだけ高い温度とすることが好ましい。好ましい温度としては0℃〜100℃であり、より好ましくは5℃〜80℃、更に好ましくは15℃〜70℃である。0℃未満では金型表面の結露により成形体の平滑性が損なわれてしまう。また100℃を超える場合は成形体の軟化により金型離型時に成形体の型崩れが起こる。

〔物性の測定方法および効果の評価方法〕
本発明における物性の測定方法および効果の評価方法は下記の通りである。
1.ステレオ化率、結晶化度、結晶サイズ(広角X線測定)
成形体を測定する場合は、成形体の底部の表面がX線回折の測定面となるように切り出して、測定用のサンプルとした。また、成形前のシートを測定する場合は、シート中央部の表面がX線回折の測定面となるように切り出して、測定用のサンプルとした。本サンプル片を、X線回折装置(Bruker AXS社製D8 ADVANCE)のサンプルホルダーに設置した。本X線回折装置による広角X線回折法(2θ−θスキャン法)により得られた回折ピークについて、非晶部分に伴う回折曲線をベースラインとして2θが10〜30度の総面積(Stotal)を100%とし、ステレオ結晶に基づく12度近辺、21度近辺、24度近辺の回折ピーク面積の和(Ssc)を求め、式1によりステレオ化率を求めた。さらに2θ=12度付近のピークの半値幅から式2を用いて結晶サイズを求めた。また式3により結晶化度を求めた。
ステレオ化率 = Ssc×100 / Stotal ・・・・(式1)
結晶サイズ = 0.15418/((半値幅 − 装置定数0.5×COSθ)・・・・(式2)
(装置定数には0.13度を使用)
結晶化度 = Stotal/(Stotal+非晶部分に伴う回折曲線の面積)×100
・・・(式3)
測定条件
X線源:CuKα線
出力:40kV、40mA
スリット径:DS=SS=1度、RS=0.6mm、RSm=1mm
検出器:シンチレーションカウンター
測定範囲:5〜80度
ステップ幅(2θ):0.05度
スキャン速度:1度/min

なお、測定サンプルとして成形前のシートを用いて式3により得られる値を成形前シートの結晶化度(Xc)とする。

2.透明性:ヘイズ値(%)
ヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機社製)を用いて、成形体のヘイズ値を測定した。なお、ヘイズ値を測定用のサンプルは成形体の底部から切り出した。測定は1サンプルにつき5回行い、5回の測定の平均値(平均へイズ値)を求めた。続いて式4により250μmに換算した値を求めた。
ヘイズ値 = 平均ヘイズ値 × 250/サンプル厚み ・・・(式4)
なお、シート厚みは ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、シートのMD(長手)方向およびTD(幅)方向に10cm間隔で10点ずつ測定し、その平均値を当該シートのシート厚み(μm)とした。

3.収縮率
成形体の平坦面から幅4mmの短冊状サンプルを切り出し、熱機械分析装置(SII社製 TMA6100)を用いて、荷重29.6mN/mm、昇温10K/min、サンプル長20mm設定の条件で測定を行い、式5により80℃における収縮率を求めた。
収縮率(%)= 80℃での収縮量/25℃でのサンプル長 × 100 ・・・(式5)
なお、TMA測定を行う際のサンプルを採取する箇所としては、成形時に金型の底面と接する面の中央部付近の、上記短冊状サンプルを採取可能な、平面性を有した箇所とした。
ここで80℃での収縮量とは、式6により算出される値を指す。
80℃での収縮量=25℃でのサンプル長−80℃でのサンプル長・・・(式6)
4.成形体の耐熱性
蓋型の成形体を80℃の熱風オーブンで5分保持し、試験後の成形体の変形具合を観察し成形体の収縮度合いに従い以下の3段階で評価した。
収縮がひどく元の形状を維持できていない:×
ほとんど収縮しておらず元の形状を維持している:○
どちらとも言えない:△

5.重量平均分子量
ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリメチルメタクリレートの値に換算した。GPCの測定は、検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社MODEL510を用い、カラムにShodex GPC HFIP−806MとShodex GPC HFIP−LGを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/minとし、溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。

6.融点、冷結晶化温度(Tc)
ポリ乳酸樹脂の融点および冷結晶化温度(Tc)は、パーキンエルマー社示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指す。また冷結晶化温度(Tc)は150℃以下の温度領域において発熱方向に観測される結晶化ピークにおけるピークトップ温度のことを指す。
ここで示す融点、および冷結晶化温度(Tc)とは、1回目の加熱工程で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で30℃まで冷却し、さらに2回目の加熱工程で昇温速度20℃/分で30℃から250℃まで昇温したときに測定される融点、および冷結晶化温度のことである。

7.予熱工程におけるシートの温度、平均昇温速度(V)
予熱工程におけるシート温度は、間接加熱方式の製造方法の場合には、シートから30cmの距離をおいて設置された赤外線放射温度計により測定した。また平均昇温速度(V)は赤外線放射温度計により検知される予熱開始時点のシート温度、予熱工程終了時のシート温度、昇温に要した時間を用いて式(B)により算出した。
平均昇温速度(V)[℃/秒]=
(予熱工程終了時のシート温度―予熱開始時点のシート温度)/昇温に要した時間
・・・式(B)
式(B)により得られた平均昇温速度(V)およびDSCにより得られた冷結晶化温度(Tc)、広角X線測定により得られた結晶化度(Xc)が式(A)を満足する場合は、式(A)との関係を○と表記し、式(A)を満足しない場合は、式(A)との関係を×と表記した。

一方で、熱板直接加熱方式の製造方法の場合には、熱板とシートが直接接触することによりシートが加熱される方式となっているため成形前に熱板自体の表面温度を接触式の温度計にて測定し、その値をシート温度とした。

8.成形体の耐薬品性
成形体の金型の底面と接する面の中央部付近からヘイズ測定可能な平面性を有したサンプルを切り出した。本サンプルを25℃の環境下で、表に記載の溶媒(トルエン、アセトン、エタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル)中に24時間保管した後、溶媒中に保管する前後のヘイズ値の差を測定し、成形体の耐薬品性を評価した。ヘイズ値の差が小さいほど耐薬品性に優れており、◎、○であると実用上問題なく使用できる。
なお、ヘイズ値の差は下記の式から算出した。
ヘイズ値の差=溶媒中に保管する前のヘイズ値−溶媒中に保管した後のヘイズ値
◎:ヘイズ値の差が0以上10未満
○:ヘイズ値の差が10以上20未満
△:ヘイズ値の差が20以上
本発明の製造例、実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。なお、製造例、実施例、比較例では下記の略称で表記することがある。
A−1:製造例1(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物)
A−2:製造例2(ポリ−L−乳酸からなるセグメント及びポリ−D−乳酸からなるセグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体)
A−3:製造例3(ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、およびA−2の混合物)

[製造例1](A−1の製造例)
撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%L−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。PLLA1の重量平均分子量は1.8万、融点は149℃、融解終了温度は163℃であった。
得られたPLLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で18時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PLLA2)を得た。PLLA2の重量平均分子量は20.3万、融点は170℃であった。
次に、撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90質量%D−乳酸水溶液を50質量%入れ、温度を150℃にした後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応した。その後、窒素雰囲気下で常圧にし、酢酸スズ(II)0.02質量%を添加した後、170℃にて13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA1)を得た。PDLA1の重量平均分子量は1.7万、融点は148℃、融解終了温度は161℃であった。
得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で14時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA2)を得た。PDLA2の重量平均分子量は15.8万、融点は168℃であった。
次に、PLLA2とPDLA2を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2/PDLA2=50/50(質量比)になるように原料を配合し、触媒失活剤(アデカ製、“アデカスタブ”AX−71)をPLLA2とPDLA2の合計100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸樹脂A−1を得た。
ポリ乳酸樹脂A−1の重量平均分子量は18.2万、融点は214℃であった。なお、得られたA−1は圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
[製造例2](A−2の製造例)
A−2はポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を二軸押出機中で混合することで混合物を製造し、該混合物を固相重合することによって前記ポリ乳酸ブロック共重合体を製造した。具体的には製造例1で得られたPDLA1を、窒素雰囲気下110℃で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃で3時間、150℃で3時間、160℃で6時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDLA3)を得た。PDLA3の重量平均分子量は4.2万、融点は158℃であった。
製造例1で得られたPLLA2とPDLA3を、あらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃、2時間結晶化処理を行っておき、PLLA2をTEX30α二軸押出機(日本製鋼所製)の樹脂供給口より添加し、PDLA3をL/D=30の部分に設けたサイド供給口より添加し溶融混練を行った。二軸押出機は、樹脂供給口よりL/D=10の部分に温度180℃に設定した可塑化部分を設け、L/D=30の部分にはニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造をしており、PLLA2とPDLA3の混合はせん断付与下、混合温度200℃で行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸溶融混練樹脂を得た。得られたポリ乳酸溶融混練樹脂を真空乾燥機中、110℃にて圧力13.3Paで2時間乾燥後、140℃にて圧力13.3Paで4時間固相重合を行い、次いで150℃に昇温して4時間、さらに160℃に昇温して10時間固相重合を行い、ポリ乳酸ブロック共重合体を得た。次いで、触媒失活剤(アデカ製、“アデカスタブ”AX−71)を得られたポリ乳酸ブロック共重合体100質量%に対し0.5質量%をドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化することで、ペレット状のポリ乳酸樹脂A−2を得た。ポリ乳酸樹脂A−2の重量平均分子量は16.6万、融点は213℃であった。なお、圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
[製造例3](A−3の製造例)
製造例1において得られたポリ乳酸樹脂A−1、および、製造例2において得られたポリ乳酸樹脂A−2を、ポリ−L−乳酸/ポリ−D−乳酸/ポリ乳酸ブロック共重合体=1/1/1の質量割合で製造例1と同様の方法で二軸押出機中にて混合することで混合物を得た。ポリ乳酸樹脂A−3の重量平均分子量は17.6万、融点は210℃であった。なお、圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
[製造例4](A−4の製造例)
製造例1において、PLLA2とPDLA2および、触媒失活剤(アデカ製、“アデカスタブ”AX−71)をドライブレンドする際に、結晶核剤(エチレンビスラウリン酸アミド)をPLLA2とPDLA2の合計100質量%に対し1質量%、新たにドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ペレット状のポリ乳酸樹脂A−4を得た。 ポリ乳酸樹脂A−4の重量平均分子量は18.2万、融点は214℃であった。なお、得られたA−4は圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。

[製造例5](A−5の製造例)
製造例1において、PLLA2とPDLA2および、触媒失活剤(アデカ製、“アデカスタブ”AX−71)をドライブレンドする際に、アジピン酸エステル系可塑剤(大八化学製、“DIFATTY101”)をPLLA2とPDLA2の合計100質量%に対し5質量%、新たにドライブレンドした後、シリンダー温度を240℃、スクリュー回転数を100rpmに設定した、2ヶ所のニーディングブロック部を有するPCM30二軸押出機で溶融混練し、ペレット状のポリ乳酸樹脂A−5を得た。 ポリ乳酸樹脂A−5の重量平均分子量は18.2万、融点は214℃であった。なお、得られたA−5は圧力13.3Pa、110℃で2時間結晶化処理を行った。
本発明を、実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
ベント式押出機にポリ乳酸樹脂としてA−1 を、230℃で真空ベント部を脱気しながら溶融混練しながら押出し、100meshの金網メッシュにてポリマーを濾過させ、230℃に設定したマニホールド口金に供給した。続いて口金からシート状樹脂を20℃に冷却したキャスティングドラムに静電印加方式により密着させて急冷して非晶シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートは250μmであった。つづいて、得られた非晶シートを150℃で5分間熱処理してステレオ化率60%の結晶化シートを得た。
上記、結晶化シートを用いて浅野研究所製FKS真空圧空成形機に開口部132mm × 183mm × 底部112mm × 160mm 、深さ25mm の蓋状金型を取付け、ヒーター温度400℃、圧空圧力3kg/cm、金型温度55℃の条件下、予熱工程におけるシート温度を200℃として間接加熱方式にて真空圧空成形を行った。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(実施例2)
実施例1において、ポリ乳酸樹脂としてA−2を用いた以外は実施例1と同様の方法でステレオ化率89%結晶化シートを得るとともに、その結晶化シートを用いて実施例1と同様の方法で成形体を得た。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(実施例3)
実施例2において得られた非晶シートについて結晶化処理を施さずに、実施例2と同様の方法で成形し、成形体を得た。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(実施例4)
実施例1において、ポリ乳酸樹脂としてA−3を用いた以外は実施例1と同様の方法でステレオ化率80%の結晶化シートを得るとともに、実施例1と同様の方法で成形体を得た。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(実施例5)
真空圧空成形機に金型上部に300mm×200mmの真空吸引または圧空吐出用の穴を備えた熱板を取り付けるとともに、熱板と金型による密閉空間が形成可能な仕様に変更して、熱板直接加熱方式による成形工程とした。続いて実施例2において得られた結晶化シートを用いて、予熱工程におけるシート温度を170℃として成形を行った。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(実施例6)
実施例2において真空圧空成形時のヒーター温度を500℃として、予熱工程におけるシート温度を185℃として成形を行った。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(実施例7)
実施例2において真空圧空成形時のヒーター温度を600℃として、予熱工程におけるシート温度を165℃として成形を行った。得られた成形体の結果は表1の通りであり、透明性・耐熱性・耐薬品性を有するものであった。
(比較例1)
実施例2において、真空圧空成形時の予熱工程におけるシート温度を140℃として成形を行った。得られた成形体の結果は表2の通りであり、ステレオ化率が低いことに由来してヘイズが高く、また耐熱性試験時の収縮が激しく、かつ耐薬品性試験前後のヘイズ値の差が20以上あり、耐薬品性に劣っていた。
(比較例2)
実施例2における非晶シートの結晶化温度を、180℃をとすることによりホモ結晶を融解させ、ステレオ化率100%の結晶化シートを得た。次いでこの結晶化シートを用いて、真空圧空成形時の予熱工程におけるシート温度を140℃として成形を行ったところ得られた成形体の透明性は表2の通りであり、ステレオ化率100%にも関わらず高いヘイズを示した。分子運動が低い温度領域での成形となっているため、成形時にボイドが発生しヘイズが高かったと推定される。また、耐薬品性試験前後のヘイズ値の差が20以上あり、耐薬品性に劣っていた。
(比較例3)
実施例2において得られたA−2の非晶シートを用い、実施例5と同様の方法で成形したところ、熱板へのシートの粘着が起こり成形できなかった。
(比較例4)
実施例1において、真空圧空成形時の予熱工程におけるシート温度を155℃として成形を行った。得られた成形体の結果は表2の通りであり、耐熱性試験時の収縮が激しく、かつ耐薬品性試験前後のヘイズ値の差が20以上あり、耐薬品性に劣っていた。
(実施例8)
実施例1において、ポリ乳酸樹脂としてA−4を用い非晶シートを作成した。得られた非晶シートを用いて実施例6と同様の方法で成形を行った。得られた成形体の結果は表3の通りであり、A−4の結晶化温度Tcが低く結晶化特性に優れるために、高い平均昇温速度のもとでの成形でも優れた透明性・耐熱性・耐薬品性を有していた。
(実施例9)
実施例8において、ポリ乳酸樹脂としてA−5を用いた以外は、実施例8と同様の方法で成形を行った。得られた成形体の結果は表3の通りであり、A−5の結晶化温度Tcが低く結晶化特性に優れるために、高い平均昇温速度のもとでの成形でも優れた透明性・耐熱性・耐薬品性を有していた。
(比較例5)
実施例1において、得られたA−1の非晶シートを用い、実施例6と同様の方法で成形を行った。得られた成形体の結果は表3の通りであり、透明性・耐熱性に劣っていた。
(比較例6)
実施例6において、ポリ乳酸樹脂としてA−3を用いた以外は、実施例6と同様の方法で成形を行った。得られた成形体の結果は表3の通りであり、透明性に劣っていた。
Figure 2014148226
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Claims (9)

  1. ポリ乳酸樹脂を含み、
    広角X線測定におけるステレオ化率が99%以上100%以下であり、
    TMA測定における80℃での収縮率が−5%以上3%以下であり、
    ヘイズが5%以下であることを特徴とする成形体。
  2. 広角X線測定における結晶サイズが25nm以上50nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の成形体。
  3. 広角X線測定における結晶化度が10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 結晶核剤及び/又は可塑剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の成形体の製造方法であって、
    ポリ乳酸樹脂を含むシートを予熱する工程(以下、予熱工程という)、及び予熱したシートを成形する工程(以下、成形工程という)を有し、
    予熱工程におけるシートの温度が、165℃〜240℃であることを特徴とする、成形体の製造方法。
  6. 前記予熱工程が、間接加熱方式によることを特徴とする、請求項5に記載の成形体の製造方法。
  7. 前記予熱工程が、熱板直接加熱方式による、成形体の製造方法であって、
    結晶化度が10%以上50%以下のポリ乳酸樹脂を含むシートを製造し、該シートを予熱工程に通すことを特徴とする、請求項5に記載の成形体の製造方法。
  8. 予熱工程において、成形前シート中のポリ乳酸樹脂の結晶化度(Xc)と、シート中のポリ乳酸樹脂の冷結晶化温度(Tc)と、予熱工程における平均昇温速度(V)が式(A)を満たすことを特徴とする、請求項6に記載の成形体の製造方法。
    ((120−Tc)/V0.3) +Xc/10≧9 ・・・式(A)
  9. 前記冷結晶化温度(Tc)が、95℃以下であることを特徴とする、請求項8に記載の成形体の製造方法。
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