JP2014226432A - 内視鏡の挿入部のシールド放熱構造 - Google Patents
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Description
この内視鏡は、術者が手で把持する操作部と、操作部から前方に延びる挿入部と、操作部から挿入部と反対側に延びるユニバーサルチューブと、ユニバーサルチューブの端部に設けたコネクタ部と、を備えている。
挿入部の先端部内には、複数の光学素子からなりかつ前端の光学素子が当該先端部の前端面において露出する対物レンズ系と、対物レンズ系の後方に位置する撮像素子と、撮像素子の外周側に位置しかつ前後両端が開口する金属製の筒状シールド部材と、を具備している。
各信号線は束ねられた状態で後方に延びている。この信号線束は、挿入部、操作部、ユニバーサルチューブの内部空間を通ってコネクタ部の内部空間まで延びている。
各グランド線も束ねられた状態で後方に延びており、グランド線束の前端近傍部はシールド部材の内周面の後部に対して半田付けしてある。
撮像素子の周辺には熱伝導性が低い樹脂部材が配置してある。そのため、撮像素子の熱をこの樹脂部材を介して放熱するのは難しい。
しかし、グランド線束の後部がシールド部材の内周面の後部に半田付けしてあるので、撮像素子の熱の一部は回路基板及びグランド線束を介して金属製のシールド部材に流れ、シールド部材から放熱される。そのため、撮像素子が高温化して、撮像した画像の品質が落ちるのを抑制できる。
しかし上記構造では、グランド線束がある程度の長さを有しているので(回路基板からシールド部材の内周面の後部までの距離が長いので)、撮像素子から回路基板に伝わった熱をシールド部材に効率よく伝達するのが難しい。
そのため、撮像素子の温度上昇を十分に抑制できず、撮像素子の温度上昇に起因して撮像画像が劣化するおそれがある。
さらに、撮像素子の外周面から放射状に(シールド部材の内周面側に向かって)突出する複数のグランド端子をシールド部材の内面に半田付けしているので、撮像素子の熱の一部はグランド端子からシールド部材へ直接流れる。一般的に撮像素子の外周面からシールド部材の内周面までの距離は短いので(グランド端子の長さは短いので)、撮像素子で発生した熱はグランド端子からシールド部材へ効率よく伝わり、シールド部材から効率よく放熱される。そのため、撮像素子が高温化して、撮像した画像の品質が落ちるのを効果的に抑制できる。
医療用の内視鏡10は、硬質樹脂からなる操作部11と、操作部11から前方に延びる挿入部12と、操作部11から後方に延びるユニバーサルチューブ13と、ユニバーサルチューブ13の後端に固定したコネクタ部14と、を備えている。
挿入部12は、操作部11から前方に延びかつ可撓性を有する可撓管部16と、可撓管部16の前端部に接続する湾曲部17と、湾曲部17の前端部に接続する先端部18と、を具備している。湾曲部17は、操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に連動して湾曲する部位である。
先端部18の外周面は、挿入部12全体の外周面を構成する可撓性樹脂材料からなる外皮材19の先端部により構成してある。外皮材19の先端部の内周側には、実質的に弾性変形不能な硬質樹脂材料(例えば、ABS、変性PPO、PSUなど)によって構成した先端硬質部20が設けてある。先端硬質部20の前端面には、先端硬質部20を前後方向に貫通する断面円形の収納孔20aが形成してある。収納孔20aは、断面円形をなす前部孔20a1と、断面略方形をなす後部孔20a2と、からなるものである。
シールド部材22は断面略方形をなす筒状部材である。シールド部材22は、本体部23、第一導通板24、及び第二導通板25を具備している。
本体部23は熱伝導率が高い金属製(例えば、真鍮やSUSなど)の板材から成形した筒状部材である。本体部23の軸線は前後方向(挿入部12の軸線方向)に延びており、本体部23の両端は開口している。図2及び図3に示すように本体部23を構成する四面の一つの面の後端部には貫通孔23a(切り欠き)が形成してあり、二つの面には貫通孔23aの前方に位置する貫通孔23bがそれぞれ形成してある。
第一導通板24は貫通孔23aと略同一形状であり、厳密には貫通孔23aより僅かに小寸である。二枚の第二導通板25は貫通孔23bと略同一形状であり、厳密には貫通孔23aより僅かに小寸である。第一導通板24及び第二導通板25は熱伝導率が高い金属製(例えば真鍮など)の平板である。
レンズホルダ38の円筒部38cの内部には、第1レンズ39とレンズ40とからなる対物レンズ系41が固定状態で支持してある。
対物レンズ系41を支持したレンズホルダ38は、その接続部38aを本体部23の前端部に挿入(嵌合)し、かつストッパ部38bの後面を本体部23の前面に当接させることにより、シールド部材22に対して相対回転不能に接続してある。
撮像素子27の撮像面28には透光性のカバーガラス29が固定してある。さらに撮像素子27の後面には回路基板30が固定状態で取り付けてある。回路基板30の表面には回路パターンと接地パターン(接地回路)(いずれも図示略)が形成してあり、回路パターン及び接地パターンは撮像素子27の上記内部回路と電気的に導通可能である。
回路基板30の回路パターンから後方に延びる可撓性材料からなる複数の画像信号用ケーブル32の後端部は、挿入部12、操作部11、ユニバーサルチューブ13を通り抜けてコネクタ部14の内部空間に位置している。コネクタ部14の内部には(回路基板30とは別個の)回路基板31が固定してある(図1参照)。この回路基板31の表面にも回路パターンと接地パターン(いずれも図示略)が形成してある。画像信号用ケーブル32の後端部は、回路基板31の回路パターンに半田付けしてある。また、回路基板31の接地パターンには、多数の金属線材を束ねて構成したグランド線束33の後端が半田付けしてある。グランド線束33の前端部は、コネクタ部14、ユニバーサルチューブ13、操作部11、及び湾曲部16を通り抜けて先端部18の内部空間に位置している。また各画像信号用ケーブル32及びグランド線束33の前後両端部を除く部分は、可撓性材料からなる被覆チューブ34によって束ねてある。さらに画像処理用接続スリーブ14A内には画像信号用ケーブル(図示略)が位置しており、当該画像信号用ケーブルの一端が回路基板31の回路パターンに半田付けしてある。
グランド線束33の前端部の一部である基板接続部33aは回路基板30の上記接地パターンに半田付けしてある。一方、グランド線束33の前端部の残部であるシールド部材接続部33bは、被覆チューブ34の前端付近で被覆チューブ34の周方向に巻かれ、さらに貫通孔23a側に向かって延びている。
回路基板30、各画像信号用ケーブル32、基板接続部33a、及びシールド部材接続部33bを本体部23に対して取り付けるには、まず本体部23の外側で回路基板30、各画像信号用ケーブル32、基板接続部33a、及びシールド部材接続部33bに対してエポキシ樹脂製接着剤36(図2の斜線部)を付着させ、エポキシ樹脂製接着剤36全体を固化させる。エポキシ樹脂製接着剤36が固化したとき、各グランド端子27aの先端部(外周側端部)及びシールド部材接続部33bの先端部(外周側端部)はエポキシ樹脂製接着剤36の表面から外周側(本体部23の内周面側)に突出する。次いで、固化したエポキシ樹脂製接着剤36、回路基板30、各画像信号用ケーブル32、基板接続部33a、及びシールド部材接続部33bからなる一体物を本体部23の後部に挿入し、シールド部材接続部33bの先端部を貫通孔23aと対向させ、かつグランド端子27aの先端部を各貫通孔23bと対向させる。するとエポキシ樹脂製接着剤36の外周面が本体部23の内周面に接触するので、本体部23とエポキシ樹脂製接着剤36は実質的に相対移動不能になる。
また、各グランド端子27aの先端部(外周側端部)にも半田ペースト(例えばBGAなど)が塗布してある。二枚の第二導通板25を対応する貫通孔23bにそれぞれ嵌めて各第二導通板25の内面を半田ペーストに接触させた状態で、シールド部材22の外側から半田ごてを各第二導通板25の外面に当てると、半田ごてから第二導通板25に伝わる熱によって半田ペーストが溶融する。このとき、溶融した半田ペーストの一部が貫通孔23bの内周縁部と第二導通板25の外周縁部の間の隙間に流れ込み、当該隙間を埋める。従って、溶融した半田ペーストが固化すると、固化した半田Aによってグランド端子27aの先端部と第二導通板25の内面が電気的に接合し、かつ、貫通孔23bの内周縁部と第二導通板25の外周縁部が電気的に接合する。
なお、例えば、初めにシールド部材接続部33bの先端部と第一導通板24の半田付けを行い、その後に各グランド端子27aの先端部と第二導通板25の半田付けを行う場合に、シールド部材接続部33bと第一導通板24の半田付け作業が完了した際に、固化したエポキシ樹脂製接着剤36が本体部23に対して(僅かに)前後方向に位置ずれする可能性がある。しかしこのような事態が生じても、作業者は貫通孔23bを通じて各グランド端子27aの位置を視認できるので、固化したエポキシ樹脂製接着剤36の本体部23に対する前後位置を再調整しグランド端子27aの先端部を各貫通孔23bと対向させた上で、グランド端子27aの先端部と第二導通板25の半田付け作業を行うことが可能である。
また、第一導通板24側の上記半田や半田Aが固化したときに、第一導通板24側の上記半田や半田Aの一部が、本体部23、第一導通板24、及び第二導通板25の表面から外側に盛り上がる(出っ張る)場合がある。この場合は、第一導通板24側の上記半田や半田Aの盛り上がった(出っ張った)部分をヤスリ等によって削って、シールド部材22の表面全体を平坦にするのがよい。
まずは内視鏡10のコネクタ部14(画像処理用接続スリーブ14A)を図示を省略した画像処理兼光源装置(プロセッサ)に接続し、さらに画像処理兼光源装置をケーブルを介してモニタ(図示略)に接続する。その上で、画像処理兼光源装置に設けた電源スイッチをONにして、画像処理兼光源装置に内蔵した光源を点灯させ、さらに画像処理兼光源装置に内蔵した画像処理手段を作動させる。光源で発生した光は、内視鏡10の内部に配設したライトガイドファイバ(図示略)に供給され、かつライトガイドファイバから先端部18の前端面に設けた照明レンズ(図示略)に供給され、照明レンズから外部に照射される。
挿入部12を被験者の口から体腔に挿入すると、体腔内の被写体(例えば患部)によって反射された反射光(観察像)は対物レンズ系41を透過しながら後方に向かい、カバーガラス29を通って撮像素子27(撮像面28)によって受光(撮像)される。さらに撮像素子27が生成した撮像データが、回路基板30(回路パターン)、画像信号用ケーブル32、回路基板31、及び画像処理用接続スリーブ14A内に位置する上記画像信号用ケーブルを介して上記画像処理手段に送られ、画像処理手段によって画像処理された画像が上記モニタに表示される。
しかし、撮像素子27で発生した熱の一部は、回路基板30、基板接続部33a、及びシールド部材接続部33b(半田)を介して第一導通板24に流れ、さらに第一導通板24の外周縁部と貫通孔23aの内周縁部を接続する上記半田を介して本体部23に伝わる。
また、撮像素子27で発生した熱の一部は、撮像素子27のグランド端子27a(及び半田A)から二枚の第二導通板25に直接流れ、さらに第二導通板25の外周縁部と貫通孔23bの内周縁部を接続する半田Aを介して本体部23に伝わる。図示するように撮像素子27の外周面からシールド部材22(第二導通板25)の内周面までの距離は短いので(グランド端子27aの長さが短いので)、撮像素子27で発生した熱はグランド端子27a(及び半田A)から第二導通板25へ効率良く流れ、さらに半田Aを介して本体部23に伝わる。
シールド部材22(本体部23、第一導通板24、第二導通板25)に伝わった熱は、シールド部材22から効率よく外部に放熱されるので、撮像素子27が高温化して、撮像した画像の品質が落ちるのを効果的に抑制できる。
例えば、第一導通板24及び第二導通板25を構成する金属の熱伝導率を本体部23を構成する金属より高くし、かつ、本体部23を構成する金属を第一導通板24及び第二導通板25を構成する金属より柔らかい材料により構成してもよい。このようにすれば、第一導通板24及び第二導通板25から本体部23により熱が伝わり易くなるので、シールド部材22全体の放熱機能が向上する。さらに本体部23を曲げ易くなるので、本体部23を筒状に加工するのが容易になる。
さらに本体部23に形成する貫通孔23a(第一導通板24)及び貫通孔23b(第二導通板25)の数、形状、位置は上記実施形態のものには限定されない。
またシールド部材22を本体部23と第一導通板24と第二導通板25に分けずに一体成形品としてもよい。
さらに斜視型の内視鏡、超音波内視鏡、或いは工業用内視鏡に対して本発明を適用してもよい。
11 操作部
12 挿入部
13 ユニバーサルチューブ
14 コネクタ部
14A 画像処理用接続スリーブ
15 湾曲操作レバー
16 可撓管部
17 湾曲部
18 先端部
19 外皮材
20 先端硬質部
20a 収納孔
20a1 前部孔
20a2 後部孔
21 撮像ユニット
22 シールド部材
23 本体部
23a 貫通孔(切り欠き)
23b 貫通孔
24 第一導通板
25 第二導通板
27 撮像素子
27a グランド端子
28 撮像面
29 カバーガラス
30 回路基板
31 回路基板(接地回路)
32 画像信号用ケーブル
33 グランド線束
33a 基板接続部
33b シールド部材接続部
34 被覆チューブ
36 エポキシ樹脂製接着剤
38 レンズホルダ
38a 接続部
38b ストッパ部
38c 円筒部
39 第1レンズ
40 レンズ
41 対物レンズ系
A 半田
Claims (4)
- 操作部から前方に延びる挿入部の先端部内に設けた、上記先端部の表面において露出する対物レンズ系と、
上記先端部内に設けた、上記挿入部の軸線方向に延び両端が開口する筒状をなし、かつ接地回路に接地導通する金属製シールド部材と、
上記対物レンズを透過した観察像を撮像する撮像面を前面に備え、かつ、自身の内部回路と導通する複数のグランド端子が外周面から放射状に突出する、上記シールド部材の内部に配設した撮像素子と、
を具備し、
上記グランド端子を上記シールド部材の内面に半田付けしたことを特徴とする内視鏡の挿入部のシールド放熱構造。 - 請求項1記載の内視鏡の挿入部のシールド放熱構造において、
上記シールド部材が、
筒状をなし、かつ上記撮像素子の上記外周面と対向する部位に貫通孔が形成された本体部と、
上記貫通孔と対応する形状をなし、該貫通孔に嵌合した状態で上記グランド端子に半田付けされ、かつ上記本体部と電気的に導通する導通板と、
を有する内視鏡の挿入部のシールド放熱構造。 - 請求項2記載の内視鏡の挿入部のシールド放熱構造において、
上記導通板を構成する金属の熱伝導率が、上記本体部を構成する金属より高く、
上記本体部を構成する金属が、上記導通板を構成する金属より柔らかい内視鏡の挿入部のシールド放熱構造。 - 請求項2または3記載の内視鏡の挿入部のシールド放熱構造において、
上記導通板が上記貫通孔より小寸であり、
上記グランド端子と上記導通板を接合する上記半田が、上記貫通孔の内周縁部と上記導通板の外周縁部の間の隙間を埋めている内視鏡の挿入部のシールド放熱構造。
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