JP2014224835A - 表示装置、電子機器および照明装置 - Google Patents

表示装置、電子機器および照明装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014224835A
JP2014224835A JP2011200535A JP2011200535A JP2014224835A JP 2014224835 A JP2014224835 A JP 2014224835A JP 2011200535 A JP2011200535 A JP 2011200535A JP 2011200535 A JP2011200535 A JP 2011200535A JP 2014224835 A JP2014224835 A JP 2014224835A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
organic
display device
layer
light distribution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011200535A
Other languages
English (en)
Inventor
悦昌 藤田
Yoshimasa Fujita
悦昌 藤田
充浩 向殿
Mitsuhiro Mukaidono
充浩 向殿
別所 久徳
Hisatoku Bessho
久徳 別所
晶子 岩田
Akiko Iwata
晶子 岩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP2011200535A priority Critical patent/JP2014224835A/ja
Priority to PCT/JP2012/073021 priority patent/WO2013039027A1/ja
Publication of JP2014224835A publication Critical patent/JP2014224835A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • G02F1/133509Filters, e.g. light shielding masks
    • G02F1/133514Colour filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1335Structural association of cells with optical devices, e.g. polarisers or reflectors
    • G02F1/1336Illuminating devices
    • G02F1/133617Illumination with ultraviolet light; Luminescent elements or materials associated to the cell

Abstract

【課題】配光分布が広い光もしくは等方性の光によって視野角特性に優れた表示が可能となる表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の表示装置は、励起光源と、液晶素子と、偏光素子と、励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する配光変換部と、を備え、配光変換部が、少なくとも所定の偏光状態の励起光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、有機光吸収材料からエネルギーを受け取って配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から構成され、配光変換部からの蛍光を用いて表示を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶素子から射出される光を励起光として蛍光体を発光させて表示を行う表示装置、この表示装置を用いた電子機器、および前記蛍光体を発光させて照明を行う照明装置に関する。
近年、高度情報化に伴い、フラットパネルディスプレイのニーズが高まっている。フラットパネルディスプレイとしては、非自発光型の液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display, 以下、LCDと略記する)、自発光型のプラズマディスプレイ(Plasma Display Panel, 以下、PDPと略記する)、無機エレクトロルミネセンス(無機EL)ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンス(以下、「有機EL」または「有機LED」ともいう)ディスプレイ等が知られているが、特に液晶ディスプレイは、低消費電力、低コスト、高性能(高輝度、高色再現性)の点で他のディスプレイを凌駕している。
液晶ディスプレイは、一般に、青色、赤色、緑色の3原色からなる表示画素を加色混合することによりカラー表示を行っている。従来の液晶表示装置は、青色光、赤色光、緑色光をそれぞれ選択的に透過させるカラーフィルターと、白色光源とを用いて3原色を表示する構成が一般的であった。しかしながら、白色光源を用いると、カラーフィルターによりカットされる波長成分が多く、光利用効率が悪いという問題があった。また、視野角によって輝度や色純度が変化するといった問題がある。
この解決法の一つとして、特許文献1に記載の蛍光色彩表示装置、あるいは、特許文献2に記載の液晶表示モジュールでは、紫外線(あるいは近紫外線)を発する光源を備え、紫外線により赤、緑、青の蛍光発光を生じる蛍光体を液晶表示素子の画素に対応して配置し、液晶表示素子を光シャッターとして使用し、紫外線による蛍光体の蛍光によりカラー表示を行うカラー表示装置が提案されている。
このような表示装置では、液晶表示素子は単に紫外線を選択的に通過させる光シャッターとして機能し、紫外線が通過した画素に配置した蛍光体の蛍光により表示が行われる。蛍光色は蛍光体の特性により決まり、赤、緑、青の各々で色鮮やかな色彩表示が可能なため、カラーフィルターによる光の吸収が無く、明るいカラー表示が実現される。
特許文献3、4では、青色光を発光する青色光源と、青色光により励起されて赤色の蛍光を発する蛍光体、及び、青色光により励起されて緑色の蛍光を発する蛍光体を有するカラーフィルターと、を用いる構成が提案されている。前記の構成によれば、青色表示用の画素として青色光源から発光した青色光をそのまま利用できるので、さらに光利用効率を高くすることができる。また、特許文献5では、青色画素にも青色光を散乱させる光散乱フィルムを設けることにより、赤色光及び緑色光と青色光との指向性の違いを解消し、視野角色表示特性に優れた液晶表示装置が提案されている。
これらの表示装置では、カラーフィルターを用いる必要が無いため、光利用効率が高くなる。また、蛍光体からの発光による発光をカラー表示に使用しており、蛍光体からの蛍光の空間分布は蛍光体に入射する光の入射方向に依存せず、一様となる。そのため、視野角依存性の無い表示が得られる。
特開昭60−50578号公報 特開平7−253576号公報 特開2000−131683号公報 特開2006−309225号公報 特開2009−244383号公報
上述した蛍光発光型の液晶表示装置において、紫外光や青色光を吸収し、赤色光、緑色光、青色光を発光する蛍光体材料として、一般的に無機材料と有機材料が用いられる。ただし、有機材料は分子構造を比較的容易に変えることができ、分子構造を変えることで、蛍光体の吸収波長、発光波長を所望の値に調整することが容易である。そのため、有機材料は、蛍光発光型液晶表示装置に用いる蛍光体材料として有用である。
しかしながら、本発明者らは、液晶素子を用いる蛍光発光型液晶表示装置の波長変換層に有機蛍光材料を用いた場合、以下の問題があることを見出した。
すなわち、有機分子においては、光と相互作用するのは、分子内の遷移双極子モーメントと呼ばれるベクトルであり、このベクトルと光の偏光の方向が一致したときにのみ、その分子は最大の確率で遷移し、光の吸収または発光を起こす。そのため、液晶素子を透過した偏光度の高い励起光により有機分子が励起され、発光が生じる場合には有機分子からの発光が異方性を持つことを見出した。このような現象は、ディスプレイおよび表示装置においては視野角を充分に広くできないという問題を引き起こす。この問題は、特に広い視野角が要求される家庭用のテレビジョン等の表示装置では致命的な問題となる。
また、この種の蛍光を照明に利用する照明装置も検討されている。照明装置においても、照明光が偏光性(異方性)を持つことにより、場合によっては充分に明るい照明が得られないという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、配光分布が広い光もしくは等方性の光によって視野角特性に優れた表示が可能となる表示装置を提供することを目的とする。また、この表示装置を用い、表示品位に優れた表示部を備えた電子機器を提供することを目的とする。また、配光分布が広い光もしくは等方性の光によって明るい照明が可能となる照明装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の表示装置は、励起光を射出させる励起光源と、前記励起光源から射出された前記励起光の偏光状態を制御する液晶素子と、前記液晶素子により偏光状態が制御された前記励起光が入射した際に所定の偏光状態の前記励起光を透過させる偏光素子と、前記偏光素子を透過した所定の偏光状態の励起光が入射した際に前記励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する配光変換部と、を備え、前記配光変換部が、少なくとも所定の偏光状態の前記励起光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、前記有機光吸収材料からエネルギーを受け取って前記配光分布が広い蛍光、もしくは前記等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から構成され、前記配光変換部からの蛍光を用いて表示を行うことを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記配光変換部が、前記励起光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発することを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記励起光が、350〜440nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外光であり、前記配光変換部が、前記紫外光を赤色光に変換する赤色画素と、前記紫外光を緑色光に変換する緑色画素と、前記紫外光を青色光に変換する青色画素と、を有することを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記励起光が、400〜500nmの範囲に発光ピーク波長を有する青色光であり、前記配光変換部が、前記青色光を赤色光に変換する赤色画素と、前記青色光を緑色光に変換する緑色画素と、前記青色光を散乱させる青色画素と、を有することを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記赤色画素に対応して赤色カラーフィルターが配置され、前記緑色画素に対応して緑色カラーフィルターが配置され、前記青色画素に対応して青色カラーフィルターが配置されたカラーフィルターを備えたことを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記カラーフィルターが、前記配光変換部に対して前記励起光の入射側に配置されたことを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記カラーフィルターが、前記配光変換部に対して前記蛍光の射出側に配置されたことを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記偏光素子が、所定の振動方向を有する直線偏光を透過させる直線偏光板であることを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記配光変換部が、前記有機光吸収材料と前記有機発光材料とバインダー樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記配光変換部に含有される前記有機光吸収材料の重量比が、前記配光変換部を構成する総分子に対して、1〜50wt%であることを特徴とする。
本発明の表示装置は、前記配光変換部に含有される前記有機光吸収材料の重量比が、前記有機発光材料に対して、50〜99.9wt%であることを特徴とする。
本発明の電子機器は、本発明の表示装置を表示部に備えたことを特徴とする。
本発明の照明装置は、励起光を射出させる励起光源と、前記励起光源から射出された前記励起光の偏光状態を制御する液晶素子と、前記液晶素子により偏光状態が制御された前記励起光が入射した際に所定の偏光状態の前記励起光を透過させる偏光素子と、前記偏光素子を透過した所定の偏光状態の励起光が入射した際に前記励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する配光変換部と、を備え、前記配光変換部が、少なくとも所定の偏光状態の前記励起光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、前記有機光吸収材料からエネルギーを受け取って前記配光分布が広い蛍光、もしくは前記等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から構成され、前記配光変換部からの蛍光を用いて照明を行うことを特徴とする。
本発明によれば、配光分布が広い光もしくは等方性の光によって視野角特性に優れた表示が可能な表示装置が実現できる。本発明によれば、表示品位に優れた表示部を備えた電子機器が実現できる。本発明によれば、配光分布が広い光もしくは等方性の光によって明るい照明が可能となる照明装置が実現できる。
本発明の一実施形態の表示装置の発光原理を説明するための模式図である。 従来の表示装置の問題点を説明するための模式図である。 第1実施形態の表示装置を示す断面図である。 第2実施形態の表示装置を示す断面図である。 第3実施形態の表示装置を示す断面図である。 第4実施形態の表示装置を示す断面図である。 配光変換部に入射する励起光と配光変換部から射出される蛍光の組み合わせの変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 他の変形例を示す断面図である。 本実施形態の表示装置の回路構成を示すブロック図である。 (A)、(B)本実施形態の電子機器を示す図である。 (A)、(B)本実施形態の他の電子機器を示す図である。 (A)、(B)本実施形態の照明装置を示す図である。 実施例1の配光特性を示す図であって、(A)配光分布図、(B)配光角度と相対輝度との関係を示すグラフ、である。 比較例1の配光特性を示す図であって、(A)配光分布図、(B)配光角度と相対輝度との関係を示すグラフ、である。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
本実施形態の表示装置は、液晶素子を通してバックライトユニットからの励起光を配光変換層に照射し、配光変換層中の蛍光体から発せられた蛍光を用いて表示を行う蛍光発光型液晶表示装置である。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
[表示原理]
以下、本実施形態の表示装置の表示原理について説明するが、それに先だって従来の表示装置の問題点について説明する。
図2は、従来の表示装置の問題点を説明するための模式図である。図中符号L0は励起光、2a,2bは一対の偏光板、3a,3bは一対の基板、4a,4bは各基板上に形成された配向膜、5は液晶層、6は液晶素子、7は蛍光体を含む波長変換層、P1,P2は偏光板の偏光軸(透過軸)である。液晶素子6は例えばツイステッドネマチック(Twisted Nematic, TN)モードとする。一対の偏光板2a,2bの偏光軸P1,P2はクロスニコルの配置となっている。
励起光L0は非偏光の光であるが、光入射側偏光板2aに入射した励起光L0のうち、光入射側偏光板2aの偏光軸P1に一致した振動方向を持つ直線偏光のみが光入射側偏光板2aを透過し、液晶層5に入射する。直線偏光の励起光L0は液晶層5を透過する際に偏光方向が90度旋回して光取り出し側偏光板2bを透過し、波長変換層7に至る。ここで、本発明者らは、波長変換層に有機蛍光材料を用いた場合、以下の問題があることを見出した。
有機分子において、光と相互作用するのは、分子内の遷移双極子モーメントと呼ばれるベクトルである。ここでは、光取り出し側偏光板2bを透過した励起光L0の偏光方向に一致する(0度の角度をなす)ベクトルB1と、励起光L0の偏光方向と90度の角度をなすベクトルB2と、を図示した。遷移双極子モーメントのベクトルと励起光L0の偏光方向が一致したときにのみ、その分子は最大の確率で遷移し、光の吸収または発光を起こす。したがって、本例の場合、ベクトルB1と同一方向の偏光方向の光が吸収され、発光を起こす。ここで、液晶素子を透過した直線偏光の励起光により有機分子が励起され、発光が生じる場合、有機分子から発せられる蛍光の偏光方向によって発光が異方性を持つことを見出した。この現象は、表示装置にとって視野角を充分に広くできないという問題を引き起こす。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、励起光の光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、有機光吸収材料からエネルギーを受け取って励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から配光変換部を構成することによって、配光変換部からの発光を配光分布が広いもの、もしくは等方性にすることが可能であることを見出し、上記の課題を解決するに至った。
なお、本発明における有機光吸収材料は、専ら励起光の光を吸収する機能を有するだけで、自身が全く発光しないわけではない。ただし、有機光吸収材料自らが発光する場合は、発光が異方性を持つ。そのため、発光の等方性を得るためには、自身が発光する機能よりも励起光の光を吸収する機能の方が主となる。また、有機光吸収材料からの発光と有機発光材料の発光が重なるため、色の混色を起こさない。そのため、有機光吸収材料自身が発光する機能よりも励起光の光を吸収する機能の方が主である。
また、本発明における有機発光材料は、専ら有機光吸収材料からのエネルギーを受けて発光するだけで、有機発光材料自身が光を全く吸収しないわけではない。ただし、励起光源と有機発光材料の吸収スペクトルの重なりの点で、また、有機発光材料より有機光吸収材材料の方が励起光の吸収率が高いため、励起光の光を吸収する機能よりも自身が発光する機能の方が主である。
本実施形態の表示原理に関し、さらに詳しく図1を用いて説明する。図1において、先に説明した図2と共通の構成要素には同一の符号を付す。
本実施形態では、励起光源からの等方的な励起光L0が液晶素子6内の偏光板(直線偏光板)2aを通過することで、一定の振動方向の光波だけの成分の光となる。このように、一定の振動方向の励起光が、有機光吸収材料8の多数の分子のうち、励起光L0の振動方向と有機光吸収材料の遷移双極子モーメントのベクトルB1,B2の方向が一致した分子に吸収される。ベクトルB1の方向に振動方向が一致する励起光L0を吸収した分子は、吸収した光のエネルギーにより基底状態から励起状態に遷移する。次に、励起状態の有機光吸収材料8は、よりエネルギー準位の低い有機発光材料9にエネルギーEを与える。
ここで、有機光吸収材料8から有機発光材料9へエネルギーEが移動する際の分子間相互作用として、双極子−双極子相互作用(フェルスター機構)と電子交換相互作用(デクスター機構)とがある。両方の機構とも、有機光吸収材料8の発光スペクトルと有機発光材料9の吸収スペクトルの重なりが大きいほど効率が良い。ただし、電子交換相互作用は、エネルギー移動が数nmの距離でしか起こらない。そのため、有機光吸収材料8と有機発光材料9を共に高濃度に分散する必要がある。その場合、有機発光材料9同士の相互作用が強くなり、蛍光量子収率が低下する現象(濃度消光)が生じる。このため、エネルギー移動が数10nmの距離で起こる双極子−双極子相互作用によるエネルギー移動が、有機光吸収材料8と有機発光材料9を高濃度に分散する必要が無くなるため好ましい。
次に、エネルギーEを与えられた有機発光材料9が励起され、基底状態に戻るとき、有機発光材料9の励起状態と基底状態のエネルギー準位の差に対応した色の発光を生じる。双極子−双極子相互作用によるエネルギー移動では、有機光吸収材料8と有機発光材料9の遷移双極子モーメントが直交している分子以外の有機発光材料9にエネルギーEを与える。電子交換相互作用によるエネルギー移動では、あらゆる方向の遷移双極子モーメントを持つ有機発光材料9にエネルギーを与える。そのため、あらゆる方向に遷移双極子モーメントを持つ有機発光材料9がエネルギーEを受け取り、励起状態となって発光が生じる。その結果、有機発光材料9からの発光は異方性が解消され、等方発光に近い発光になる。また、実際には、有機分子は励起状態で若干回転することが知られている。そのため、励起状態の有機分子が回転することによっても、発光の異方性が解消される。
以上のメカニズムは、直線偏光が等方発光になる例を挙げて説明したが、必ずしも完全な等方発光にまで至らなくても良く、少なくとも直線偏光の状態で入射した励起光よりも配光分布が広い光になればよい。
このように、本実施形態の表示装置によれば、配光分布が広い光、もしくは等方性の光によって表示を行うことが可能になる。
[表示装置の構成]
図3は、本実施形態の表示装置11を示す断面図である。
本実施形態の表示装置11は、図3に示すように、バックライトユニット12と、液晶セル13と、バックライト側偏光板14と、光取出し側偏光板15と、配光変換基板16と、を備えている。バックライトユニット12は、励起光を射出するものであり、特許請求の範囲における励起光源に相当する。液晶セル13は、一対の偏光板14,15とともにバックライトユニット12から射出された励起光の偏光状態を制御するものであり、特許請求の範囲における液晶素子に相当する。バックライト側偏光板14は、バックライトユニット12から射出された励起光のうち、偏光軸に一致した振動方向を持つ直線偏光を透過させる。光取出し側偏光板15は、液晶セル13から射出された励起光のうち、偏光軸に一致した振動方向を持つ直線偏光を透過させるものであり、特許請求の範囲における偏光素子に相当する。配光変換基板16は、光取り出し側偏光板15を透過した励起光が入射した際に当該励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発するものであり、特許請求の範囲における配光変換部に相当する。
本実施形態の表示装置11は、バックライトユニット12から射出された励起光によって励起され、配光変換基板16から射出される赤色光、緑色光、青色光によってフルカラーの表示が行われる。したがって、使用者は、配光変換基板16が配置された側(図3の上側)から表示を視認する。よって、以下の説明では、図3の表示装置11の上側を視認側もしくは前面側と称し、図3の表示装置11の下側を背面側と称する場合がある。
(バックライトユニット)
本実施形態のバックライトユニット12は、導光板17と、発光素子18と、を備えている。導光板17の端面に発光素子18が配置され、導光板17を用いて液晶セル13の背面側から励起光を導入する。導光板17は、光透過性を有するアクリル板、ガラス板等の板体から構成されている。この構成によれば、発光素子18から射出された励起光は、導光板17の端面から入射されて導光板17の内部を導光しつつ、導光板17に設けられた反射部(図示略)により進行方向を変え、液晶セル13に対向する導光板17の主面から射出される。
あるいは、バックライトユニットの構成として、導光板を用いることなく、液晶セルの背面側に励起光源を直接配置してもよい。また、本実施形態のように、導光板17の端面に発光素子18を配置する場合、図3では導光板17と発光素子18のみを図示しているが、実際には、バックライトユニットとして、例えば、反射シート、励起光源、反射板、導光板、第1拡散シート、プリズムシート、及び第2拡散シートを備えていてもよい。バックライトユニット12とバックライト側偏光板14との間に、拡散板や輝度向上フィルムを配置してもよい。
(励起光源)
本実施形態の発光素子18は、紫外域から青緑色域までの波長帯域の光を発光する光源である。発光素子18の発光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。発光素子18の発光ピーク波長は、波長350〜520nmの範囲にあることが好ましく、波長400〜480nmの範囲にあることがより好ましい。液晶セル13に使用される偏光板には偏光膜を保護するために紫外線吸収剤が添加されることがある。その場合、発光素子18の発光ピーク波長が350nm未満であると、紫外線吸収剤により大部分の光が吸収され、光利用効率が低下することがある。発光素子18の発光ピーク波長が520nmを超えると、そのまま青色表示に利用できないことがある。
特に、発光素子18の発光ピーク波長を400〜480nmにすることで、発光する光をそのまま青色表示に用いることができる。また、発光素子18の発光ピーク波長が400〜480nmであれば、発光する光の波長が充分短いので、赤色及び緑色の蛍光を発するための励起光として好適に利用できる。すなわち、青色光源を用いることで、高い光利用効率で赤色光、緑色光、青色光の3原色を表示に利用することができる。
本実施形態のバックライトユニット12は、シャッター機能を有する液晶セル13と組み合わせることによって配光変換基板16に対する励起光の入射(ON)/遮断(OFF)をコントロールする。このとき、液晶セル13のみをON/OFFするのではなく、バックライトユニット12も合わせてON/OFFすることも可能である。また、バックライトユニット12としては、従来のように、画面全体の発光のON/OFFをコントロールすることもできる。あるいは、画面のエリア毎に発光のON/OFFをコントロールすることもできる。画面のエリア毎に発光のON/OFFをコントロールした場合、消費電力の低減、コントラストの向上を図ることが可能となる。さらに、画素毎に発光のON/OFFをコントロールすることでピーク輝度を制御することが可能となり、画質の格段の向上を図ることが可能となる。
励起光源18の具体例としては、後述する従来一般の蛍光ランプ(冷陰極管、熱陰極管等)、発光ダイオード、またはエレクトロルミネッセンス素子(有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子等)等を用いることができる。より具体的には、例えば、紫外LED、青色LED、紫外発光無機EL、青色発光無機EL、紫外発光有機EL、および青色発光有機EL等が挙げられるが、これらには限定されない。
(蛍光ランプ)
蛍光ランプとしては、熱陰極管と冷陰極管等が挙げられる。蛍光ランプは、例えば、蛍光物質が管内に塗布されたガラス管と、両端に取り付けられた電極と、で構成される。ここで、管内に塗布された蛍光物資の種類によって発光色が異なる。電極はコイル状のフィラメントにエミッター(電子放射性物質)を塗装したものであり、これが両端に2本ずつ出ている4本の端子に繋がっている。ガラス管内には、放電しやすくするために2×10−4Paの封入ガス(アルゴンあるいは混合希ガス)と少量の水銀の気体が封じ込まれている。熱陰極管と冷陰極管は非常によく似た構造をしているが、放電の仕方が異なる。熱陰極管は電極を加熱することにより、エミッターから電子を放出するのに対し、冷陰極管はエミッターを加熱せずに電子を放出する。
(蛍光体)
蛍光体ランプに使用される蛍光体材料としては、例えば、Sr10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl:Eu2+、(Sr,Ca)10(POCl・nB:Eu2+等のハロ酸リン塩蛍光体、Sr:Eu2+等のリン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu2+、BaMgSi:Eu2+等のケイ酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、BaMgAl1627:Eu2+、SrMgAl1017:Eu2+等のアルミン酸塩蛍光体などが挙げられる。蛍光体は、1種類の材料を単独で使用してもよいし、2種類以上の材料を併用してもよい。
(発光ダイオード)
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)としては、例えば、紫外LEDまたは青色LED等が挙げられる。一例として、LEDは、基板、陽極、陰極、バッファ層、n型コンタクト層、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層、およびp型コンタクト層を備えている。基板上には、バッファ層、およびn型コンタクト層が積層されている。n型コンタクト層上には、陰極および第2のn型クラッド層が形成されている。第2のn型クラッド層上には、第1のn型クラッド層、活性層、第1のp型クラッド層、第2のp型クラッド層、p型コンタクト層、および陽極が、この順で積層されている。
(基板)
基板としては、例えばガラスまたは石英等からなる無機材料基板が用いられる。または、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、またはポリイミド等からなるプラスティック基板であってもよい。または、アルミナ等からなるセラミックス基板であってもよい。または、アルミニウム(Al)または鉄(Fe)等からなる金属基板であってもよい。基板は、基板上に酸化シリコン(SiO)または有機絶縁材料等からなる絶縁物を表面にコーティングした基板であってもよい。または、Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法によって絶縁化処理を施した基板等であってもよい。
(n型クラッド層)
n型クラッド層として、LED用の公知のn型クラッド層材料を用いることができる。n型クラッド層は、1層で構成されていてもよいし、多層で構成されていてもよい。活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きいn型半導体で形成される材料によってn型クラッド層を構成してもよい。その場合、n型クラッド層と活性層との間には正孔に対する電位障壁ができる。その結果、正孔を活性層に閉じ込めることが可能となる。n型クラッド層は、例えばn型Inx Ga1-x N(0≦x<1)によって形成できるが、これには限定されない。
(活性層)
活性層は、電子と正孔との再結合によって発光する。その材料として、LED用の公知の活性層材料を用いることができる。活性層の材料には紫外活性層材料と青色活性層材料とがある。紫外活性層材料として、AlGaN、InAlN、およびInaAlbGa1-a-bN(0≦a、0≦b、a+b≦1)が挙げられる。青色活性層材料として、Inz Ga1-z N(0<z<1)等が挙げられる。しかし、活性層はこれらには限定されない。
活性層は、単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を有する。量子井戸構造の活性層はn型およびp型のいずれでもよい。特にノンドープ(不純物無添加)の活性層とすると、バンド間発光によって発光波長の半値幅が狭くなり、色純度のよい発光が得られるため好ましい。
また、活性層に、ドナー不純物またはアクセプター不純物、あるいはこれらの両者をドープしてもよい。不純物をドープした活性層の結晶性がノンドープと同じであれば、ドナー不純物をドープすることにより、ノンドープの活性層に比べてバンド間発光強度をさらに強くすることができる。アクセプター不純物をドープすると、バンド間発光のピーク波長よりも約0.5eV程度、低エネルギー側にピーク波長をシフトさせることができる。しかし、ピーク波長の半値幅は広くなる。アクセプター不純物とドナー不純物との両者をドープすると、アクセプター不純物のみをドープした活性層の発光強度に比べて、その発光強度をさらに大きくできる。特に、アクセプター不純物をドープした活性層を形成する場合、活性層の導電型は、Si等のドナー不純物をドープしてn型とすることが好ましい。
(p型クラッド層)
p型クラッド層として、LED用の公知のp型クラッド層材料を用いることができる。p型クラッド層は、1層で構成されていてもよいし、多層で構成されていてもよい。活性層よりもバンドギャップエネルギーが大きいp型半導体によって、p型クラッド層を構成してもよい。その場合、p型クラッド層と活性層との間には、電子に対する電位障壁ができる。その結果、電子を活性層に閉じ込めることが可能となる。p型クラッド層は、例えばAly Ga1-y N(0≦y≦1)によって形成できるが、これには限定されない。
(コンタクト層)
コンタクト層として、LED用の公知のコンタクト層材料を用いることができる。例えば、n型GaNからなるn型コンタクト層を形成できる。p型GaNからなるp型コンタクト層を形成しても良い。第2のn型クラッド層および第2のp型クラッド層がGaNによって形成されている場合、コンタクト層を特に形成する必要はなく、第2のクラッド層をコンタクト層とすることも可能である。
上述した各層は、LED用の公知の成膜プロセスを用いて形成できる。しかし、これらに限定されず、種々の方法を用いて形成できる。例えば、MOVPE(有機金属気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、またはHDVPE(ハイドライド気相成長法)等の気相成長法を用いて、例えばサファイア(C面、A面、R面を含む)、SiC(6H−SiC、4H−SiCも含む)、スピネル(MgAl、特にその(111)面)、ZnO、Si、GaAs、または他の酸化物単結晶基板(NGO等)等の基板上に上記の各層を形成できる。
(EL素子)
エレクトロルミネッセンス(EL)素子としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等が挙げられる。これらEL素子は、本実施形態の表示装置11において、画面全体の発光のON/OFFをコントロールすることもできるし、画面のエリア毎に駆動を制御することで画面のエリア毎に発光のON/OFFをコントロールすることもできる。さらに、基板上にマトリックス上の電極を配置することでパッシブ駆動とすることができる。または、画素毎に薄膜トランジスタを配置することでアクティブ駆動とすることができる。画素毎に発光のON/OFFをコントロールすることで、ピーク輝度を制御することが可能となる。
(有機EL素子)
有機EL素子としては、例えば、紫外発光有機EL素子、または青色発光有機EL素子等が挙げられる。例えば、有機EL素子は、基板、陽極、エッジカバー、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、励起子ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、および陰極がこの順で積層されている。陽極のエッジ部にはエッジカバーが形成されている。正孔注入層、正孔輸送層、発光層、励起子ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層の各層は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。また、基板、陰極、エッジカバー、電子注入層、電子輸送層、励起子ブロッキング層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、および陽極がこの順で積層されていてもよい。
(基板)
基板は、例えば、ガラスまたは石英等からなる無機材料基板であればよい。または、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、またはポリイミド等からなるプラスティック基板であってもよい。または、アルミナ等からなるセラミックス基板であってもよい。または、アルミニウム(Al)またはステンレス等からなる金属基板はであってもよい。
基板は、基板上に酸化シリコン(SiO)または有機絶縁材料等からなる絶縁物を表面にコーティングした基板であってもよい。または、Al等からなる金属基板の表面に陽極酸化等の方法によって絶縁化処理を施した基板等であってもよい。基板として、プラスティック基板または金属基板を用いることが好ましい。これらの基板であれば、ストレス無く湾曲部および折り曲げ部を形成できる。プラスティック基板に無機材料を塗布した基板、または金属基板に無機絶縁材料を塗布した基板がさらに好ましい。これらの基板であれば、プラスティック基板を有機EL素子の基板として用いた場合の最大の問題となる水分の透過による有機ELの劣化を解消できる。なお、有機EL素子は、特に低量の水分に対しても劣化が起こることが知られている。
(薄膜トランジスタ)
基板に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、「TFT」と称す)を形成する場合、500℃以下の温度で融解せず、かつ歪みも生じない基板を用いることが好ましい。一般的な金属基板の熱膨張率は、ガラスの熱膨張率とは異なる。そのため、従来の生産装置では金属基板上にTFTを形成することが困難である。しかし、線膨張係数が1×10−5/℃以下の鉄−ニッケル系合金である金属基板を用いて、線膨張係数をガラスに合わせ込めば、従来の生産装置を用いても、金属基板上にTFTを安価に形成できる。
プラスティック基板の耐熱温度は非常に低い。そこで、基板をプラスティック基板とする場合は、ガラス基板上にTFTを形成した後、TFTをプラスティック基板上に転写することによって形成する。有機EL層からの発光を、基板と逆側から外部に取り出す場合には、基板に制約はない。しかし、当該発光を基板側から外部に取り出す場合には、透明または半透明の基板を用いる必要がある。
TFTは、基板に有機EL素子を形成する前に基板上に予め形成され、スイッチング用TFT及び駆動用TFTとして機能する。本実施形態で用いられるTFTとしては、公知のTFTが挙げられる。また、本実施形態では、TFTの代わりに、金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードを用いることもできる。
基板には、公知の材料と公知の形成方法を用いて、公知の構造のTFTを形成できる。TFTの活性層の材料として、例えば無機半導体材料、酸化物半導体材料、および有機半導体材料が挙げられる。無機半導体材料として、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等が用いられる。酸化物半導体材料として、酸化亜鉛および酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛等が用いられる。有機半導体材料として、ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、およびペンタセン等が用いられる。
TFTの構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、またはコプレーナ型が挙げられる。
TFTを構成する活性層の形成方法としては、第1に、プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法により成膜したアモルファスシリコンに不純物をイオンドーピングする方法がある。第2に、シラン(SiH)ガスを用いた減圧化学気相成長(LPCVD)法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法がある。第3に、SiHDガスを用いたLPCVD法またはSiHガスを用いたPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピングを行う方法(低温プロセス)がある。第4に、LPCVD法またはPECVD法によりポリシリコン層を形成し、1000℃以上で熱酸化することによりゲート絶縁膜を形成し、その上にnポリシリコンのゲート電極を形成し、その後、イオンドーピングを行う方法(高温プロセス)がある。第5に、有機半導体材料をインクジェット法等により形成する方法がある。第6に、有機半導体材料の単結晶膜を得る方法がある。これらに限定されず、他の方法でも可能である。
TFTのゲート絶縁膜は、公知の材料を用いて形成することができる。例えば、PECVD法またはLPCVD法等によってSiOをゲート絶縁膜として形成する。または、またはポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiOをゲート絶縁膜として形成する。これらに限定されることなく、他の手法でもよい。TFTの信号電極線、走査電極線、共通電極線、第1駆動電極、および第2駆動電極は、公知の材料を用いて形成することができる。当該材料として、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)等が挙げられる。基板上に形成されるTFTについて、上述した材料、構造、および形成方法に限定されない。
(層間絶縁膜)
層間絶縁膜は、公知の材料(無機材料または有機材料)を用いて形成することができる。無機材料として、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、又は、Si)、または酸化タンタル(TaOまたはTa)等が挙げられる。有機材料として、アクリル樹脂またはレジスト材料等が挙げられる。 層間絶縁膜の形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、またはスピンコート法等のウェットプロセスが挙げられる。必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
有機EL層からの発光を基板の逆側から取り出す場合には、遮光性を有する絶縁膜を用いることが好ましい。これにより、基板上に形成されたTFTに外光が入射してTFT特性に変化が生じることを防止できる。なお、通常の絶縁膜と遮光性を有する絶縁膜とを組み合わせて用いることもできる。遮光性の層間絶縁膜として、フタロシアニンおよびキナクロドン等の顔料または染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散したものが用いられる。または、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、およびNiZnFe等の無機絶縁材料等が挙げられる。しかし、これらの材料及び形成方法には限定されない。
(平坦化膜)
基板上にTFT等を形成した場合には、その表面に凸凹が形成される。この凸凹によって、有機EL素子の欠陥が発生するおそれがある。当該欠陥として、例えば、画素電極の欠損、有機EL層の欠損、対向電極の断線、画素電極と対向電極の短絡、および耐圧の低下等が想定される。これらの欠陥を防止するために、層間絶縁膜上に平坦化膜を設けてもよい。平坦化膜は、公知の材料を用いて形成することができる。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、および酸化タンタル等の無機材料、並びにポリイミド、アクリル樹脂およびレジスト材料等の有機材料等が挙げられる。平坦化膜の形成方法としては、CVD法または真空蒸着法等のドライプロセス、並びにスピンコート法等のウェットプロセスが挙げられる。しかし、これらの材料及び形成方法には限定されない。平坦化膜の構造は単層でもよいし、多層構造でもよい。
(第1電極および第2電極:陽極および陰極)
第1電極及び第2電極は、有機EL素子の陽極または陰極として対で機能する。つまり、第1電極を陽極とした場合には、第2電極は陰極となり、第1電極を陰極とした場合には、第2電極は陽極となる。以下に、陽極および陰極の具体的な化合物および形成方法を例示するが、これらには限定されない。陽極は公知の電極材料によって形成できる。具体的には、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属、および、インジウム(In)と錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)インジウム(In)と亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等が透明電極材料として挙げられる。これらの材料なら、有機EL層への正孔の注入をより効率化できる。
陰極は公知の電極材料によって形成できる。当該材料として、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、または、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。これらの材料なら、有機EL層への電子の注入をより効率化できる。陽極および陰極は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、または抵抗加熱蒸着法等の公知の方法によって形成することができる。しかし、これらには限定されない。必要に応じて、フォトリソグラフフィー法またはレーザー剥離法によって、形成した電極をパターン化することもできる。さらには、シャドーマスクと組み合わせることによって、直接パターン化した電極を形成することもできる。陽極および陰極の膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなるため、駆動電圧が上昇するおそれがある。
陽極および陰極によって、マイクロキャビティ構造を取ることができる。これにより、色純度、発光効率、および正面輝度等を向上できる。マイクロキャビティ構造を適用する際、有機EL層からの発光を陽極から取り出す場合には、陽極として半透明電極を用いることが好ましい。一方、有機EL層からの発光を陰極から取り出す場合には、陰極として半透明電極を用いることが好ましい。その際、陽極(陰極)の材料として、金属の半透明電極単体、もしくは、金属の半透明電極と透明電極材料の組み合わせを用いることが可能である。反射率および透過率の観点から、半透明電極材料としては銀が好ましい。半透明電極の膜厚は5〜30nmが好ましい。膜厚が5nm未満であると、光の反射が不十分なので干渉の効果が十分得られない。一方で膜厚が30nmを超えると、光の透過率が急激に低下するため、発光の輝度および効率が低下するおそれがある。
陽極(陰極も同様)として、光を反射する反射率の高い電極を用いることが好ましい。この際に用いる電極材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、およびアルミニウム−シリコン合金等の反射性金属電極、または、透明電極と反射性金属電極(反射電極)とを組み合わせた電極等が挙げられる。
(エッジカバー)
陽極と陰極との間に、陽極のエッジ部において、エッジカバーが形成されていることが好ましい。これにより、陽極と陰極との間においてリークが起こることを防止できる。エッジカバーは、絶縁材料を用いて、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、または抵抗加熱蒸着法等の公知の方法によって形成することができる。他にも、公知のドライおよびウェット法のフォトリソグラフィー法によってパターン化をすることができる。しかし、これらには限定されない。
エッジカバーの絶縁材料としては、公知の材料を使用できる。特に限定されないが、光を透過する必要があり、例えば、SiO、SiON、SiN、SiOC、SiC、HfSiON、ZrO、HfO、およびLaO等が挙げられる。エッジカバーの膜厚は、100nm〜2000nmが好ましい。エッジカバーの膜厚が100nm以下であると、絶縁性が十分ではないため、陽極と陰極との間でリークが起こる。その結果、消費電力の上昇および非発光の原因となる。一方、エッジカバーの膜厚が2000nm以上であると、成膜プロセスに時間が掛かる。そのため生産性の悪化、およびエッジカバーにおける陰極20の断線の原因となる。
上述したように、励起光源として用いられる有機EL素子は、マイクロキャビティ構造(光微小共振器構造)を有することが好ましい。マイクロキャビティ構造は、陽極および陰極のいずれかを反射電極とし、もう一方を半透明電極として、反射電極と半透明電極との干渉効果によって実現される。または、マイクロキャビティ構造は、誘電体多層膜によって実現される。マイクロキャビティ構造があれば、有機EL素子からの射出光を正面方向に集光させる(指向性を持たせる)ことが可能となる。その結果、周囲に逃げる光のロスを低減できると共に、正面における発光効率を高められる。よって、有機EL素子の発光層中において生じる発光エネルギーを蛍光体層へより効率良く伝搬できる。さらに、正面輝度を高められる。さらに、マイクロキャビティ構造の干渉効果によって、発光のピーク波長および半値幅を所望の値に調整できる。これにより、発光スペクトルを調整できる。例えば、赤色蛍光体層および緑色蛍光体層をより効果的に励起することが可能なスペクトルに制御する。その結果、青色画素の色純度を向上させることができる。
(正孔注入層および正孔輸送層)
正孔注入層および正孔輸送層の材料としては、例えば、酸化バナジウム(V)および酸化モリブデン(MoO)等の酸化物、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、およびN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、およびスチリルアミン化合物等の低分子材料、ならびに、ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、およびポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が挙げられる。
正孔注入層の材料は、正孔輸送層の材料よりも低い最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位を有することが好ましい。これによって、陽極からの正孔の注入および輸送をより効率化できる。正孔輸送層の材料は、正孔注入層の材料よりも高い正孔移動度を有することが好ましい。正孔注入材料および正孔輸送材料にアクセプターをドープすることが好ましい。これによって、正孔の注入性および輸送性をより向上させることができる。アクセプターとしては、有機EL用の公知のアクセプター材料を用いることができる。具体的な化合物を以下に例示するが、これらには限定されない。
アクセプター材料としては、Au、Pt、W,Ir、POCl3、AsF6、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、および酸化モリブデン(MoO)等の無機材料、TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF4(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、およびDDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物、TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物、フルオラニル、クロラニル、およびブロマニル等の有機材料が挙げられる。特に、TCNQ、TCNQF4、TCNE、HCNB、およびDDQ等のシアノ基を有する化合物は、キャリア濃度をより効果的に増加させることができるためより好ましい。
(発光層)
発光層は、以下に例示する有機発光材料のみから構成されていればよい。または、発光性のドーパントとホスト材料との組み合わせによって構成されていてもよい。さらに、正孔輸送材料、電子輸送材料、および添加剤(ドナー、アクセプター等)等を任意に含んでいてもよい。これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)または無機材料中に分散された構成であってもよい。発光効率および寿命の観点からは、ホスト材料中に発光性のドーパントが分散されたものが好ましい。
有機発光材料として、有機EL素子用の公知の発光材料を用いることができる。このような発光材料は、低分子発光材料または高分子発光材料等に分類される。具体的な化合物を以下に例示するが、これらに限定されない。発光材料は、蛍光材料または燐光材料等に分類されるものでもよい。低消費電力化が図れるという点で、発光効率の高い燐光材料を用いることが好ましい。具体的な化合物を以下に例示するが、これらに限定はされない。
発光層に任意に含まれる発光性のドーパントとしては、有機EL素子用の公知のドーパント材料を用いることができる。紫外発光材料としては、例えば、p−クォーターフェニル、3,5,3,5テトラ-t-ブチルセクシフェニル、および3,5,3,5テトラ-t-ブチル-p−クィンクフェニル等の蛍光発光材料等が挙げられる。青色発光材料としては、例えば、スチリル誘導体等の蛍光発光材料、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート イリジウム(III)(FIrpic)、およびビス(4’,6’−ジフルオロフェニルポリジナト)テトラキス(1−ピラゾイル)ボレート イリジウム(III)(FIr)、トリス(1-フェニル-3-メチル-イミダゾリン-2-イリデン)イリジウム(III)(Ir(pmi))、トリス(N-ジベンゾフラニル-N‘-メチルベンゾイミダゾール)イリジウムIII(Ir(dbfmb))等の燐光発光有機金属錯体等が挙げられる。
ドーパントを用いる時のホスト材料としては、有機EL素子用の公知のホスト材料を用いることができる。このようなホスト材料としては、上述した低分子発光材料、高分子発光材料、4,4’−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、および(PCF)等のカルバゾール誘導体、4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N-ジフェニルアニリン(HM−A1)等のアニリン誘導体、ならびに、1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)および1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)等のフルオレン誘導体等が挙げられる。
(電子注入層および電子輸送層)
電子注入層および電子輸送層は、電子の陰極からの注入と発光層への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、電子注入層と電子輸送層とに分類される。以下に例示する電子注入輸送材料のみから構成されていればよい。または、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよい。さらに、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)または無機材料中に分散された構成であってもよい。
電荷注入輸送材料としては、有機EL用、有機光導電体用の公知の電荷輸送材料を用いることができる。このような電荷注入輸送材料は、正孔注入輸送材料および電子注入輸送材料に分類される。具体的な化合物を以下に例示するが、これらに限定されない。
電子注入材料および電子輸送材料としては、例えば、n型半導体である無機材料、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、およびベンゾジフラン誘導体等の低分子材料、ならびに、ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)およびポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料が挙げられる。電子注入材料としては、特にフッ化リチウム(LiF)およびフッ化バリウム(BaF)等のフッ化物、ならびに、酸化リチウム(LiO)等の酸化物等が挙げられる。
電子注入層の材料は、電子輸送層に使用する材料よりも最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い方が好ましい。これによって、電子の陰極からの注入および輸送をより効率よくできる。電子輸送層の材料は、電子注入層の材料よりも電子の移動度が高い材料が好ましい。電子注入材料および輸送材料にドナーをドープすることが好ましい。これによって、電子の注入および輸送性をより向上させることができる。ドナーとしては、有機EL用の公知のドナー材料を用いることができる。具体的な化合物を以下に例示するが、これらには限定されない。
ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、およびIn等の無機材料、アニリン類、フェニレンジアミン類、ベンジジン類(N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等)、トリフェニルアミン類(トリフェニルアミン、4,4’4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’4''−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’4''−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等)、およびトリフェニルジアミン類(N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン)等の芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、およびペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい)、TTF(テトラチアフルバレン)類、ならびに、ジベンゾフラン、フェノチアジン、およびカルバゾール等の有機材料がある。特に、芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属がよりキャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
(励起子ブロッキング層)
励起子ブロッキング層は、発光層で形成された励起子が、発光層と接する正孔輸送層、または、電子輸送層により失活することを防止することを目的とした層である。励起子ブロッキング層を発光層と正孔輸送層の間に配置する場合には、励起子ブロッキング層の材料は正孔輸送層に使用される材料よりもエネルギー準位が高い方が好ましい。また、励起子ブロッキング層を発光層と電子輸送層の間に配置する場合には、励起子ブロッキング層の材料は電子輸送層に使用される材料よりもエネルギー準位が高い方が好ましい。励起子ブロッキング層に用いることができる具体的な材料としては、上記の条件を満たせば、上述の正孔輸送材料、電子輸送材料から選択することが可能である。
(各層の形成方法)
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、励起子ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層等の有機EL層は、各種の手法によって形成できる。例えば、上記の材料を溶剤に溶解し、分散させた有機EL層形成用塗液を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、またはマイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウェットプロセスによって形成できる。または、上記の材料を用いて、抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、または有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスによっても形成できる。さらには、上記の材料を用いて、レーザー転写法等によって形成することができる。ウェットプロセスによって有機EL層を形成する場合には、有機EL層形成用塗液は、レベリング剤または粘度調整剤等の塗液の物性を調整するための添加剤を含んでいてもよい。
各有機EL層の膜厚は、通常1〜1000nm程度である。各有機EL層の膜厚は、10nm〜200nmがより好ましい。各有機EL層の膜厚が10nm未満であると、本来必要とされる物性(電荷の注入特性、輸送特性、閉じ込め特性)が得られない。さらに、ゴミ等の異物による画素欠陥が生じるおそれもある。各有機EL層の膜厚が200nmを超えると、有機EL層の抵抗成分によって駆動電圧の上昇が生じるため、消費電力を上昇させる。
(その他の層構成)
励起光源を構成する有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、励起子ブロッキング層、電子輸送層、および電子注入層によって構成されている。しかし、これらに限定されず、例えば、下記の構成(1)〜(9)も可能であるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
(1)有機発光層
(2)正孔輸送層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/励起子ブロッキング層/電子輸送層
(8)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/励起子ブロッキング層/電子輸送層/電子注入層
(9)正孔注入層/正孔輸送層/励起子ブロッキング層/有機発光層/励起子ブロッキング層/電子輸送層/電子注入層
(無機EL素子)
無機EL素子は、例えば、紫外発光無機ELまたは青色発光無機EL等が挙げられる。無機EL素子は、基板上に、電極、誘電体層、発光層、誘電体層、および電極がこの順で積層されている。
(基板)
基板は、例えば、ガラスまたは石英等からなる無機材料基板であればよい。または、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、またはポリイミド等からなるプラスティック基板であってもよい。または、アルミナ等からなるセラミックス基板であってもよい。または、アルミニウム(Al)または鉄(Fe)等からなる金属基板であってもよい。基板は、基板上に酸化シリコン(SiO)または有機絶縁材料等からなる絶縁物を表面にコーティングした基板であってもよい。または、Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法によって絶縁化処理を施した基板等であってもよい。基板として、プラスティック基板または金属基板を用いることが好ましい。これらの基板であれば、ストレス無く湾曲部および折り曲げ部を形成できる。
(電極)
電極は、透明電極材料を用いて形成する。当該材料として、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属が挙げられる。他にも、インジウム(In)と錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)インジウム(In)と亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等も挙げられる。しかし、材料はこれらには限定されない。光を取り出す方向には、ITO等の透明電極を用いることが好ましい。一方、光を取り出す方向と逆側には、アルミニウム等の反射膜を用いることが好ましい。
電極は、上記の材料を用いて、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、または抵抗加熱蒸着法等の公知の方法によって形成できる。しかし、これらには限定されない。必要に応じて、フォトリソグラフフィー法またはレーザー剥離法によって、形成した電極をパターン化することもできる。シャドーマスクと組み合わせることによって、パターン化した電極を形成することもできる。電極の膜厚は、50nm以上が好ましい。電極の膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなるので、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(誘電体層)
誘電体層は、無機EL素子用の公知の誘電体材料を用いて形成することができる。誘電体材料として、例えば、五酸化タンタル(Ta25)、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、チタン酸アルミニウム(AlTiO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等が挙げられる。しかし、これらには限定されない。誘電体層は、上記の誘電体材料の中から選んだ1種類による構成であってもよく、あるいは、2種類以上の材料を積層した構成でも良い。誘電体層の膜厚は、200nm〜500nm程度が好ましい。
(発光層)
発光層は、無機EL素子用の公知の発光材料を用いて形成することができる。発光材料は、紫外発光材料および青色発光材料に分類される。紫外発光材料としては、ZnF2:Gdが挙げられる。青色発光材料としては、BaAl24:Eu、CaAl24:Eu、ZnAl24:Eu、Ba2SiS4:Ce、ZnS:Tm、SrS:Ce、SrS:Cu、CaS:Pb、および(Ba,Mg)Al:Eu等が挙げられる。しかし、これらには限定されない。発光層の膜厚は300nm〜1000nm程度が好ましい。
励起光源としての蛍光ランプ、LED、無機EL、または有機ELは、直接に外部回路に接続して駆動すれば良い。あるいは、TFT素子等のアクティブ素子(スイッチング素子)を画素内に配置し、TFT等が接続される配線を、励起光源を駆動するための外部回路(走査線電極回路(ソースドライバ)、データ信号電極回路(ゲートドライバ)、および電源回路)に電気的に接続しても良い。
[液晶素子]
図3に戻って、配光変換基板16とバックライトユニット12との間には、バックライトユニット12からの励起光の透過(ON)/遮断(OFF)をスイッチングするための液晶素子19が設けられている。液晶素子19は、液晶セル13と液晶セル13を挟持する一対の偏光板14,15とを有する。一対の偏光板14,15は、液晶セル13とバックライトユニット12との間に配置されたバックライト側偏光板14と、液晶セル13と配光変換基板16との間に配置された光取り出し側偏光板15、である。
(偏光板)
バックライト側偏光板14は、図示しないバックライト側第2透明保護フィルム、バックライト側偏光子、及びバックライト側第1透明保護フィルムから構成されている。光取出し側偏光板15は、図示しない光取出し側第1透明保護フィルム、光取出し側偏光子、及び光取出し側第2透明保護フィルムから構成されている。
(液晶セル)
液晶セル13は、バックライト側ガラス基板20、バックライト側透明電極21、バックライト側配向膜22、液晶層23、光取出し側配向膜24、光取出し側透明電極25、光取出し側ガラス基板26、から構成されている。バックライト側ガラス基板20の一面に、例えばITO等の透明導電膜で構成されたバックライト側透明電極21が形成されている。バックライト側透明電極21は各色の画素に対応して配置されており、バックライト側配向膜22に覆われている。光取出し側ガラス基板26の一面に、例えばITO等の透明導電膜で構成された光取出し側透明電極25が形成されている。光取出し側透明電極25は基板全面に形成されており、光取出し側配向膜24に覆われている。
液晶セル13は、バックライト側ガラス基板20と光取出し側ガラス基板26との間に液晶層23を挟持している。さらに、液晶セル13といずれか一方の偏光板14,15との間に光学異方性層が一枚配置されるか、または、液晶セル13と双方の偏光板14,15との間に光学異方性層が2枚配置されることもある。
液晶素子19は、バックライトユニット12からの励起光を各色の画素毎に独立して選択的に透過させる光シャッターとしての機能を有する。液晶素子19においては、赤色画素DR、緑色画素DG、青色画素DBに対応する3つの画素が順番に配置され、各色の画素DR,DG,DBにおいて独立して、励起光の透過/遮断が制御される。各色の画素DR,DG,DBの配列パターンとしては、特に制限はなく、公知の配列パターンの中から、目的に応じて適宜選択することができる。
各色の画素DR,DG,DBに対応する液晶素子19の駆動方式は、パッシブ駆動方式でも良いし、TFT等のスイッチング素子を用いたアクティブ駆動方式でも良い。液晶素子19のスイッチングとバックライトユニット12のスイッチングとを組み合わせれば、消費電力をより低減させることができるのでさらに好ましい。液晶セル13のモードには、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、液晶セル13のモードとして、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード、ECBモードなどが用いられる。
[配光変換基板]
本実施形態の配光変換基板16は、ガラス基板27と、カラーフィルター28と、配光変換部29と、を備えている。ガラス基板27の一面にカラーフィルター28が形成され、カラーフィルター28上に配光変換部29が形成されている。本実施形態の配光変換部29は、少なくとも直線偏光の励起光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、有機光吸収材料からエネルギーを受け取って等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から構成されている。
さらに、配光変換部29には、上記有機光吸収材料、有機発光材料に加えてバインダー樹脂が含まれていてもよい。このように、直線偏光の励起光を吸収する有機光吸収材料と、有機光吸収材料からエネルギーを受け取って発光を生じる有機発光材料とを別々の有機材料で構成することにより、異方性の無い発光を実現できる。なお、ガラス基板27に代えて、可視光を透過可能な任意の透明基板を用いることができ、例えば樹脂基板、樹脂フィルムなどを用いることもできる。
配光変換基板16において、赤色画素DRには、青色励起光を赤色光に変換する赤色変換層29Rと赤色カラーフィルター28Rとが備えられている。緑色画素DGには、青色励起光を緑色光に変換する青色変換層29Gと緑色カラーフィルター28Gとが備えられている。青色画素DBには、青色励起光を散乱する散乱層30と青色カラーフィルター28Bとが備えられている。また、隣り合う画素間には、光反射・散乱性バンク31(白色バンク)とブラックマトリックス32とが積層された構造体が備えられている。
本実施形態の表示装置11には、ガラス基板が3枚使用されている。なお、各フィルムや構成部材を貼り合わせる際に必要な接着層の図示は省略している。
配光変換部29の膜厚は、特に限定されるものではないが、高精細の表示装置を考えた場合、各画素DR,DG,DBの幅よりも小さい方が好ましく、100nm以上、10μm以下が好ましい。しかしながら、単純に配光変換部29の膜厚を薄くした場合、励起光が有機光吸収材料で十分吸収されず、透過する成分が多くなる。その結果、色純度の低下、発光効率の低下を引き起こす原因となる。そのため、有機発光材料に対する有機光吸収材料の重量比を50〜99.99wt%とすることで、10μm以下の膜厚でも十分に励起光を吸収することが可能となる。しかしながら、配光変換部29の膜厚が100nm以下であると、有機発光材料に対する有機光吸収材料の重量比を50〜99.99wt%としても十分に励起光を吸収することが不可能となる。
さらに、配光変換部29を構成する総分子に対する有機発光材料の重量比を0.1〜5wt%とすることで、有機発光材料の濃度消光により発光効率の低下を防止することが可能となる。その結果、低消費電力の表示装置を提供することができる。
本実施形態で用いられる有機光吸収材料としては、従来の有機光吸収材料のうち、励起光源の励起光の波長領域に吸収を持つ材料であれば良く、特に限定されるものではない。本実施形態の配光変換部29は、異方性を持つ直線偏光の励起光を等方性の蛍光に変換する配光変換機能を備える他、励起光の波長帯域(紫外帯域もしくは青色帯域)とは異なる波長帯域(赤色帯域および緑色帯域)の蛍光を発することにより励起光の波長を変換する波長変換機能を備えている。したがって、配光変換部29としては、エネルギーを得て赤色に発光する有機発光材料を含む赤色変換層29R、エネルギーを得て緑色に発光する有機発光材料を含む緑色変換層29Gが備えられており、青色画素DBについては励起光である青色光を散乱させる散乱層30が備えられている。青色画素DBについては波長変換が生じないが、青色光が散乱することにより等方性の光となる。赤色変換層29Rに含まれる有機光吸収材料と緑色変換層29Gに含まれる有機光吸収材料とは、同じ有機材料であっても良いし、異なる有機材料であっても良い。
なお、励起光として紫外光を用いる場合は、青色画素DBについても、上記の散乱層30に代えて、エネルギーを得て青色に発光する有機発光材料を含む青色変換層を設けることによりフルカラーの表示が可能な表示装置を実現できる。
その他、配光変換部29には、シアンまたはイエローに発光する有機発光材料を含む画素を加えても良い。この場合、シアンまたはイエローに発光する画素のそれぞれの色純度を、色度図上における赤色、緑色、または青色に発光する画素の色純度の点で結ばれる三角形よりも外側にすることが好ましい。これにより、色再現範囲を広げることが可能となる。
赤色変換層29Rと緑色変換層29G、緑色変換層29Gと散乱層30の間、散乱層30と赤色変換層29Rとの間には光反射・散乱性バンク31(隔壁)がそれぞれ設けられている。光反射・散乱性バンク31を設けることで、赤色変換層29R、緑色変換層29G、および散乱層30を画素毎に形成する際に、所望の画素以外への各材料の混入による混色、発光の失活等を防止することができる。また、光反射・散乱性バンク31は光反射性、光散乱性を有しているため、赤色変換層29Rおよび緑色変換層29Gの内部で発光した赤色光、緑色光、もしくは散乱層30で散乱した青色光を各層内に閉じ込めることができる。これにより、最終的に所望の画素から外部に取り出せる光の量を多くすることができ、低消費電力化、高輝度化が図れる。
本実施形態で用いられる有機光吸収材料としては、従来の有機材料のうち、励起光源からの励起光の発光波長範囲で十分な吸収をもつ有機材料であれば良く、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。有機光吸収材料としては、例えば蛍光有機顔料、レーザー色素のような有機系の蛍光色素などが挙げられる。
350〜500nmに吸収を持つ有機材料としては、例えば、ジフェニル-(4-スチリル-フェニル)-アミン(λ(abs)max=368nm)、[4-[2-(4-フルオロ-フェニル)-ビニル]-フェニル]-ジフェニル−アミン(λ(abs)max=368nm)、1,4-ビス-[2-(4-フルオロ-フェニル)-ビニル]-2,5-ビス-オクチルオキシ-ベンゼン(λ(abs)max=389nm)、5-ターシャル-ブチル-2-(2-(4-(2-(5-ターシャル-ブチルベンゾオキサゾール-2-イル)ビニル)フェニル)ビニル)ベンゾオキサゾール(λ(abs)max=389nm)、7-ジメチルアミノ-4a,8a-ジヒドロ-クロメン-2-ワン(λ(abs)max=380nm)、7-ジエチルアミノ-3-フェニル-クロメン-2-ワン(λ(abs)max=400nm)、7-ジエチルアミノ-3-チオフェン-2-イル-クロメン-2-ワン(λ(abs)max=423nm)、1,1,6,6-テトラメチル-10-オキソ-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H,10H-11-オキサ-3a-アザ-ベンゾ[デ]アントラセン-9-カルボン酸エチルエステル(λ(abs)max=436nm)、9-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-1,1,6,6-テトラメチル-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H-11-オキサ-3a-アザ-ベンゾ[デ]アントラセン-10-ワン(λ(abs)max=463nm)、9-ベンチアゾール-2-イル-1,1,6,6-テトラメチル-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H-11-オキサ-3a-アザ-ベンゾ[デ]アントラセン-10-ワン(λ(abs)max=478nm)、3-(4-サルホブチル)-[3-[3-(4-サルフォブチル)-3H-ベンゾオキサゾール-2-イリデン]-プロペニル]-ベンゾオキサゾリウム水酸化物,ナトリウム塩(λ(abs)max=486nm)、2-[2-[2-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-ビニル]-6-イソプロピル-ピラン-4-イリデン]-マロニニトリル(λ(abs)max=470nm)、4-(7-(ジメチルアミノ)-2-オキサ-2H-クロメン-3-イル)-1-(3-(トリメチルアミノニオ)プロピル)ピリジニウム ジブロマイド(λ(abs)max=490nm)等が挙げられる。
上記の有機材料を高分子化して用いることもできる。高分子化に際しては、上記の有機光吸収材料を高分子材料の主鎖に導入した共重合体でも良く、高分子の側鎖に導入した高分子材料でも良い。
本実施形態で用いられる有機発光材料としては、従来の有機材料のうち、有機光吸収材料からエネルギーを受けとるに十分なエネルギー準位の吸収をもつ有機発光材料であれば良く、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。有機発光材料としては、例えば、蛍光有機顔料、レーザー色素のような有機系の蛍光色素などが挙げられる。
有機光吸収材料からエネルギーを得て赤色光を発光する有機赤色発光材料としては、例えば、ローダミン101(λ(PL)max=594nm)、サルホローダミン640(λ(PL)max=602nm)等のローダミン系色素、2-[2-[2-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-ビニル]-6-イソプロピル-ピラン-4-イリデン]-マロニニトリル(λ(PL)max=628nm)、2-[2-イソプロピル-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ1H,5H-ピロド[3,2,21-ij]キノリン-9-イル)-ビニル]-ピラン-4-イリデン]-マロニニトリル(λ(PL)max=662nm)等のピラン系色素等が挙げられる。
有機光吸収材料からエネルギーを得て緑色光を発光する有機緑色発光材料としては、例えば、クマリン521(λ(PL)max=495nm)、クマリン545(λ(PL)max=519nm)、クマリン522(λ(PL)max=515nm)、クマリン540A(λ(PL)max=530nm)等のクマリン色素、フルオロ555(λ(PL)max=536nm)等が挙げられる。
励起光として紫外光を用いた場合、有機光吸収材料からエネルギーを得て青色光を発光する有機青色発光材料としては、例えば、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベン(λ(PL)max=476nm)、4,4’−ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ジフェニル(λ(PL)max=475nm)等のスチルベンゼン系色素、および7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン(λ(PL)max=464nm)等のクマリン系色素、N,N’-ビス(ナフタレン-2-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-トリス-(9,9ジメチルフルオレン)(λ(PL)max=437nm)等のフルオレン系色素等が挙げられる。
有機光吸収材料からエネルギーを得て黄色光を発光する有機黄色発光材料としては、例えば、ローダミンB(λ(PL)max=580nm)、ローダミン6G(λ(PL)max=560nm)等のローダミン系色素、10,11,14,15-テトラヒドロ-6-イミノ-9,9,15,15-テトラメチル-6H,9H,13H-ベンゾイミダゾ[1”,2”:1’,2’]ピリド[4’,3’:2,3][1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-7-カルボニトリル(λ(PL)max=563nm)等が挙げられる。
有機光吸収材料からエネルギーを得てシアン色光を発光する有機シアン色発光材料としては、例えば、2,7-ビス[4-(ビフェニルアミノ)スチリル]-9,9-スピロフルオレン(λ(PL)max=482nm)等のフルオレン系色素、1-4-ジ-[4-(N,N’-ジ-フェニル)アミノ]スチリルベンゼン(λ(PL)max=489nm)等のスチリルベンゼン系色素等が挙げられる。
上記の有機材料を高分子化して用いることもできる。高分子化に際しては、有機発光材料を高分子材料の主鎖に導入した共重合体でも良く、高分子の側鎖に導入した高分子材料でも良い。
上記の有機光吸収材料および有機発光材料は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。さらに、有機光吸収材料と有機発光材料との組み合わせとしては、有機光吸収材料の発光スペクトルと有機発光材料の吸収スペクトルの重なり成分が大きいものが好ましい。有機光吸収材料の発光スペクトルと有機発光材料の吸収スペクトルの重なり成分が大きい程、フェルスター距離が大きくなり、エネルギー移動が起こりやすくなる。その結果、エネルギーを有機光吸収材料から有機発光材料に効率良く移動させることができ、発光効率を向上させ、表示装置としての消費電力を低減することができる。
配光変換部29の各配光変換層29R,29Gには、バインダー樹脂が混合されていても良い。バインダー樹脂としては、従来一般の樹脂であれば良く、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。バインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
配光変換部29は、従来のドライプロセス、ウェットプロセスの双方を用いて作製することが可能である。ただし、製造コストの観点から、配光変換部29をウェットプロセスで作製する方法が好ましく、その場合、有機光吸収材料と有機発光材料以外に樹脂を混合する方法が膜質の均一性の点から好ましい。配光変換部29の膜質が均一でないと、発光効率の低下の問題が顕著に発生する。配光変換部29をウェットプロセスで作製する場合、配光変換部形成用塗液を用いる。配光変換部形成用塗液は、少なくとも有機光吸収材料および有機発光材料を溶剤に溶解し、分散させた液である。さらに必要に応じて、樹脂、添加剤(表面張力調整剤、粘度調整剤、pH調整剤等)を加えても良い。
ウェットプロセスとしては、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法(ノズルコート法、ディスペンサー法)、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウェットプロセスを採用できる。
配光変換部29は、上記の有機材料を用いて、ドライプロセスまたはレーザー転写法等によっても形成できる。その際、ドライプロセスとしては、抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のプロセスを採用できる。
配光変換部29の形成には、有機高分子樹脂として感光性樹脂を用いてもよい。この場合、フォトリソグラフィー法によって感光性樹脂をパターン化できるため、赤色変換層29Rや緑色変換層29Gを画素毎に選択的に形成するのに好適である。感光性樹脂としては、アクリル酸系樹脂、メタクリル酸系樹脂、ポリ桂皮酸ビニル系樹脂、または硬ゴム系樹脂等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂(光硬化型レジスト材料)を用いることができる。いずれか一種類のみを用いても良いし、あるいは複数種類の混合物を用いてもよい。
本実施形態において、励起光として400〜500nmの青色光を用い、バックライトユニット12からの励起光をそのまま青色画素DBからの射出光として用いる場合、他の配光変換層からの発光(例えば、赤色、緑色)の配光特性に合わせるため、青色画素DBに散乱層を設けることが好適である。これにより、青色画素DBと他(緑色、赤色)の画素DR,DGの配光特性を合わせることができる。その結果、斜め方向から見た時の色純度のズレを防止でき、視野角特性の優れた表示装置を実現できる。
散乱層30は、少なくとも1種の光散乱粒子及び透光性樹脂を有している。さらに、散乱層30は、必要に応じて、無機フィラー、光重合開始剤、面状改良剤、塗布溶媒などのその他の成分を含んでいても良い。透光性樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。透光性樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
熱硬化型樹脂としては、フラン樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。熱硬化型樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
電離放射線硬化型樹脂としては、硬化膜の硬度上昇の点から、多官能モノマーおよび多官能オリゴマーが好ましい。電離放射線硬化型樹脂に含まれる重合性官能基としては、光重合性、電子線重合性、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光散乱粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属酸化物微粒子、有機微粒子等が挙げられる。
金属酸化物微粒子としては、例えば、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITOなどが挙げられ、中でも、TiOが特に好ましい。金属酸化物超微粒子の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透光性樹脂の10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンホルムアルデヒドビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズなどが挙げられる。
光散乱粒子は、1種単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。透光性粒子を併用する場合には、少なくとも1種以上の粒子は光散乱に主として寄与するが、その他の粒子は散乱に寄与せずともよい。効果的な散乱性を得るための光散乱粒子の粒径としては、0.05〜10.0μmが好ましく、0.1〜5.0μmがより好ましく、0.7〜4.0μmが特に好ましい。光散乱粒子の形状としては、特に制限はなく、球状、扁平状、紡錘状等様々な形状をとることができるが、中でも球状が好ましい。散乱層の厚みとしては、適度な散乱性を実現できる範囲である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。すなわち、散乱層の層厚が薄すぎると、散乱性が少なく、満足な配光特性を得られない。一方、散乱層の層厚が厚すぎると、画素幅の小さい高精細な表示装置での形成が困難となる。したがって、散乱層の厚みとしては、0.5μm〜15μmが好ましく、1μm〜5μmが特に好ましい。
散乱層30の光散乱の機能は、光散乱粒子と透光性樹脂との屈折率の差、および光散乱粒子の粒径によって得られる。本実施形態における光散乱の効果は、光散乱粒子の屈折率が透光性樹脂の屈折率よりも大きい場合、透光性樹脂の屈折率が光散乱粒子の屈折率よりも大きい場合、のいずれにおいても得ることができる。屈折率の差は、波長545nmにおいて0.02〜0.15程度が好ましく、0.03〜0.13程度がより好ましい。
散乱層30の形成方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法により形成することができ、例えば、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法(ノズルコート法、ディスペンサー法)、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等などが挙げられる。散乱層30は青色光を散乱するため、蛍光発光により生じた赤色光および緑色光と青色光とで指向性を同程度に合わせることができる。したがって、散乱層30を本実施形態の配光変換部29に適用することで、表示画像を斜めから見たときに黄色味に色づく問題を解消し、視野角色表示特性を向上することができる。
配光変換基板16において、ガラス基板27上の配光変換部29を覆うように平坦化膜33が設けられている。配光変換部29を構成する赤色変換層29R、緑色変換層29G、散乱層30、光反射・散乱性バンク31等によって生じる段差が平坦化膜33によって緩和され、基板表面が平坦化される。配光変換基板16と光取出し側偏光板15とが密接して配置されることを考慮すると、配光変換基板16の平坦性が非常に重要である。平坦化膜33を設けたことにより、配光変換基板16上に偏光板を直接形成することが可能となる。
(カラーフィルター)
本実施形態においては、ガラス基板27と配光変換部29の間にカラーフィルター28が設けられている。
カラーフィルター28を設けたことで、有機発光材料の色純度を向上させることができ、表示装置11の色再現範囲を拡大することができる。また、励起光が有機光吸収材料に十分に吸収されずに透過し、外部へ漏れることを防止できる。これにより、有機発光材料からの発光と励起光との混色による色純度の低下を防止できる。さらに、ガラス基板27の上方から入射して配光変換部29を励起する外光を低減、防止することが可能となり、有機発光材料の発光による色滲み、コントラストの低下を防止することができる。
カラーフィルター28の具体的な材料等は特に限定されるものではなく、従来のものが使用できる。赤色変換層29Rを有する赤色画素DRには赤色カラーフィルター28Rが配置され、緑色変換層29Gを有する緑色画素DGには緑色カラーフィルター28Gが配置されている。また、散乱層30を有する青色画素DBにも、励起光の色純度を向上させる目的で青色カラーフィルター28Bが配置されている。なお、有機黄色発光材料を有する画素には黄色カラーフィルター、有機シアン色発光材料を有する画素にはシアン色カラーフィルターを組み合わせればよい。さらに、青色変換層を用いた場合にも青色カラーフィルターを設ければよい。
赤色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、赤色の蛍光ピーク波長は600〜700nmが好ましく、620〜680nmがより好ましい。緑色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、緑色の蛍光ピーク波長は490〜580nmが好ましく、520〜560nmがより好ましい。青色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、青色の蛍光ピーク波長は400〜490nmが好ましく、440〜470nmがより好ましい。黄色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、黄色の蛍光ピーク波長は540〜600nmが好ましく、560〜590nmがより好ましい。シアン色の蛍光ピーク波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ただし、シアン色の蛍光ピーク波長は480〜550nmが好ましく、500〜540nmがより好ましい。
カラーフィルター28は、各画素DR,DG,DBにその色に対応するフィルターがパターニングされることで形成される。また、有機発光材料からの発光は等方性の発光であるため、異なる色の画素領域に光が漏れないように、隣り合う異なる色の画素DR,DG,DBに対応するカラーフィルターの境界にブラックマトリックス32が形成されている。ブラックマトリックス32の構成は特に限定されるものでなく、1つの層で構成されていても良いが、複数の層で構成されていても良い。例えば、ガラス基板27側から積層された光吸収層と反射層の2層でブラックマトリックス32が構成されている場合、ガラス基板27側からの外光が光吸収層で吸収されるため、コントラスト向上の点で好ましい。さらに、ブラックマトリックス32に反射層を設けた場合、配光変換部29から発する光のうち、ブラックマトリックス32の側面に向けて発せられた光が画素内に反射する。これにより、所望の画素から外部に取り出せる光の量を増やすことができるため好ましい。
ブラックマトリックス32を構成する光吸収材料としては、特に限定されるものでなく、従来の液晶パネル等で使用されるブラックマトリックス材料を使用することができる。ブラックマトリックス32は公知の材料を用いて形成することができ、例えば、酸化タンタル(TaO、またはTa)等の無機材料、もしくはブラック樹脂等の有機材料等が挙げられる。光吸収層の形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウェットプロセスが挙げられる。パターニング方法としては、従来のフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることができる。光吸収層の膜厚は、100nm〜100μm程度が好ましく、0.5μm〜5μm程度がより好ましい。光吸収層の膜厚は、配光変換部29の膜厚よりも薄い方が好ましい。その場合、配光変換部29の側面に向かう光を反射層で反射させ、効率良く外部に取り出すことができる。
反射層としては、公知の材料を用いて形成することができ、アルミニウム、銀等の金属反射膜等、酸化チタン、酸化亜鉛等の散乱膜等を用いることができる。この種の反射層を用いることにより、蛍光体からの発光を反射させ、所望の方向に取り出すことができるため好ましい。反射層の形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウェットプロセスが挙げられる。パターニング方法としては、従来のフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることができる。
さらに、配光変換基板16と液晶素子19(光取出し側偏光板15)との間に、バックライトユニット12からの励起光を透過し、配光変換部29から発せられた蛍光を反射する特性を持つ波長選択透過膜を設けることが好ましい。このような波長選択透過膜を設けることにより、配光変換部29からの等方向の発光のうち、バックライトユニット12側に向けて進行する発光成分を波長選択透過膜で反射させ、所望の画素から取り出すことができる。これにより、輝度を向上させることができ、低消費電力化が可能となる。
波長選択透過膜としては、励起光のピーク波長において当該励起光の80%以上を透過するとともに、配光変換部29の有機発光材料からの発光ピーク波長において当該光の80%以上を反射することが好ましい。これによって、励起光を効率良く透過させつつ、配光変換部29からの蛍光を効率良く反射することができる。その結果、配光変換部29からの蛍光を視認側に効率良く取り出すことができる。さらに、励起光のピーク波長において当該励起光の90%以上を透過するとともに、配光変換部からの発光ピーク波長において当該光の90%以上を反射することがより好ましい。これによって、励起光をさらに効率良く透過させつつ、配光変換部29からの蛍光を効率良く反射することができる。その結果、配光変換部29からの蛍光を視認側に効率良く多く取り出すことができる。
波長選択透過膜の具体例として、例えば、誘電体多層膜、金等の金属薄膜等が挙げられるが、これらに限定されることはない。なお、励起光のピーク波長において当該励起光の透過率が80%以下であり、かつ、配光変換部29からの発光ピーク波長において当該光の反射率が80%以下であると、配光変換部29からの発光の光取り出し効率は、波長選択透過膜の有無に関わらず同等になる。この場合、波長選択透過膜を設ける効果がなくなる。
本実施形態の表示装置11によれば、励起光の光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、有機光吸収材料からエネルギーを受け取って等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、からなる配光変換部29を備えているため、配光変換部29から発する蛍光を等方性にすることができる。その結果、視野角特性に優れた表示が可能な表示装置を実現することができる。
また、本実施形態では、励起光として青色光を用いているため、バックライトユニット12からの青色励起光をそのまま青色画素の表示に用いることができ、消費電力の低減が可能となる。また、青色画素DBに散乱層30を設けることにより、赤色、緑色の有機発光材料からの発光の配光特性と青色画素DBから射出される励起光の配光特性を合わせることができ、視野角に依らずに色ズレのない表示装置を実現できる。さらに、赤色変換層29R、緑色変換層29Gに用いる有機光吸収材料が青色帯域の光を吸収するため、紫外光を用いた場合に比べて液晶材料の分解等に起因する劣化を格段に低減することができる。その結果、表示装置11の寿命を向上させることができる。
また、本実施形態では、一対の偏光板14,15が直線偏光板であるため、円偏光板を用いた場合と比べて視野角依存性を改善することができる。また、製造コストの軽減が可能であり、液晶層23と配光変換部29との距離を近くすることができるため、励起光の発光の広がりによる色滲みを解消することができる。
また、本実施形態では、有機光吸収材料の重量比が配光変換部29を構成する総分子に対して1〜50wt%であり、有機発光材料に対して50〜99.9wt%の割合である。これにより、有機光吸収材料による励起光の吸収率を上げることが可能となり、配光変換部29の薄膜化が可能となる。特に高精細の表示装置を考えた場合、画素のサイズが小さくなり、配光変換部29の厚膜化が困難になることから、配光変換部の薄膜化は非常に重要である。さらに、配光変換部29による励起光の透過率を下げることが可能となるため、配光変換部29から発せられる蛍光に配光変換部を透過する励起光が混ざることによる色純度の低下を防止できる。これにより、色純度の優れた配光変換部29を提供可能となり、色再現範囲のより広い表示装置を提供できる。
[第2実施形態]
以下、第2実施形態の表示装置について、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態の表示装置の断面図である。
本実施形態の表示装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、ガラス基板の枚数が第1実施形態と異なるのみである。
したがって、図4において、第1実施形態の図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
第1実施形態の表示装置11においては、液晶セル13がバックライト側ガラス基板20と光取出し側ガラス基板26とを備え、配光変換基板16がガラス基板27を備えており、全部で3枚のガラス基板が用いられていた。これに対して、本実施形態の表示装置35は、図4に示すように、液晶素子36の一方の基板となる光取出し側ガラス基板26の内面側(液晶層23側)に、カラーフィルター28、配光変換部29、光取出し側偏光板15が設けられている。言い換えると、本実施形態では、カラーフィルター28、配光変換部29、光取出し側偏光板15が液晶素子36の内部に配置されている。より詳細には、光取出し側ガラス基板26の内面側に、カラーフィルター28、配光変換部29、平坦化膜33、光取出し側偏光板15、光取出し側透明電極25、光取出し側配向膜24がこの順に積層されている。その他の構成は、第1実施形態と同じであるから説明を省略する。
本実施形態の表示装置35においても、配光変換部29から等方性の光が射出されるため、視野角特性に優れた表示が可能な表示装置を実現できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。特に本実施形態の表示装置35の場合、ガラス基板が2枚で済み、液晶層23と配光変換部29との間のガラス基板をなくすことができる。これにより、液晶層23と配光変換部29との間の距離を短くすることができる。その結果、色滲みを低減することができ、高精細のディスプレイに最適な構成となる。
[第3実施形態]
以下、第3実施形態の表示装置について、図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の表示装置の断面図である。
本実施形態の表示装置の基本構成は第1、第2実施形態と同様であり、励起光の種類とカラーフィルターの配置、および配光変換部の構成が第1、第2実施形態と異なる。
したがって、図5において、第1実施形態の図3および第2実施形態の図4と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
第1、第2実施形態の表示装置において、カラーフィルター28は、光取出し側ガラス基板26と配光変換部29との間に配置されていた。また、バックライトユニット12の発光素子18から射出される励起光は、青色光もしくは紫外光であった。これに対して、本実施形態の表示装置42においては、図5に示すように、カラーフィルター28は、配光変換部46よりも光入射側、すなわち、配光変換部46と光取出し側偏光板15との間に配置されている。なお、光取出し側偏光板15は平坦化膜33を介してカラーフィルター28上に配置されている。また、バックライトユニット43の発光素子44から射出される励起光は、可視光帯域に広いスペクトル分布を持つ白色光である。
本実施形態の配光変換基板45における配光変換部46は、赤色画素DRについては、赤色の直線偏光を吸収して赤色の等方発光を生じる赤色変換層46Rを備えている。緑色画素DGについては、緑色の直線偏光を吸収して緑色の等方発光を生じる緑色変換層46Gを備えている。青色画素DBについては、青色の直線偏光を吸収して青色の等方発光を生じる青色変換層46Bを備えている。すなわち、第1、第2実施形態では、赤色画素DR、緑色画素DGについては、ともに青色の直線偏光を吸収して赤色もしくは緑色の等方発光を生じる有機発光材料が用いられていた。これに対して、本実施形態では、赤色画素DRについては、赤色の直線偏光を吸収して赤色の等方発光を生じる有機発光材料が用いられ、緑色画素DGについては、緑色の直線偏光を吸収して緑色の等方発光を生じる有機発光材料が用いられている。また、青色画素DBについては、第1、第2実施形態では散乱層30が設けられていたのに対し、本実施形態では青色の直線偏光を吸収して青色の等方発光を生じる有機発光材料を含む青色変換層46Bが設けられている。
本実施形態の表示装置42においては、バックライトユニット43から射出された白色の励起光が、液晶層23、光取出し側偏光板15を経て、カラーフィルター28に到達する。赤色画素DRにおいては、白色光のうちの赤色帯域の光成分のみが赤色カラーフィルター28Rを透過する。そして、赤色変換層46Rによって、赤色の直線偏光が吸収され、赤色の等方発光を生じる。同様に、緑色画素DGにおいては、白色光のうちの緑色帯域の光成分のみが緑色カラーフィルター28Gを透過する。そして、緑色変換層46Gによって、緑色の直線偏光が吸収され、緑色の等方発光を生じる。同様に、青色画素DBにおいては、白色光のうちの青色帯域の光成分のみが青色カラーフィルター28Bを透過する。そして、青色変換層46Bによって、青色の直線偏光が吸収され、青色の等方発光を生じる。なお、各変換層46R,46G,46Bに入射する励起光と各変換層46R,46G,46Bから発せられる蛍光とは同色であるが、同色の波長帯域内において励起光のピーク波長と蛍光のピーク波長とは異なる。
本実施形態の表示装置においても、配光変換部46から等方性の光が射出されるため、視野角特性に優れた表示が可能な表示装置を実現できる、といった第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態のように、白色光を発するバックライトユニット43を用いた場合であっても等方発光を得ることができる。
[第4実施形態]
以下、第4実施形態の表示装置について、図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態の表示装置の断面図である。
本実施形態の表示装置の基本構成は第1〜第3実施形態と同様であり、カラーフィルターの配置が第1〜第3実施形態と異なる。
したがって、図6において、図3〜図5と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
第1、第2実施形態の表示装置において、カラーフィルター28は、光取出し側ガラス基板26と配光変換部29との間に配置されていた。また、第3実施形態の表示装置において、カラーフィルター28は、配光変換部46と光取出し側偏光板15との間に配置されていた。これに対して、本実施形態の表示装置49においては、図6に示すように、カラーフィルター28は、光取出し側ガラス基板26と配光変換部46との間、および配光変換部46と光取出し側偏光板15との間の双方に配置されている。バックライトユニット43から射出される励起光は、第3実施形態と同様、可視光帯域に広いスペクトル分布を持つ白色光である。
本実施形態の表示装置49の各部における光の作用は、第3実施形態と同様である。すなわち、白色の励起光がカラーフィルター28に到達すると、赤色画素DRにおいては、白色光のうちの赤色帯域の光成分のみが赤色カラーフィルター28Rを透過し、赤色変換層46Rによって、赤色の直線偏光が吸収され、赤色の等方発光を生じる。同様に、緑色画素DGにおいては、白色光のうちの緑色帯域の光成分のみが緑色カラーフィルター28Gを透過し、緑色変換層46Gによって、緑色の直線偏光が吸収され、緑色の等方発光を生じる。同様に、青色画素DBにおいては、白色光のうちの青色帯域の光成分のみが青色カラーフィルター46Bを透過し、青色変換層46Bによって、青色の直線偏光が吸収され、青色の等方発光を生じる。なお、各変換層46R,46G,46Bに入射する励起光と各変換層46R,46G,46Bから発せられる蛍光とは同色であるが、同色の波長帯域内において励起光のピーク波長と蛍光のピーク波長とは異なる。
本実施形態の表示装置49においても、配光変換部46から等方性の光が射出されるため、視野角特性に優れた表示が可能な表示装置を実現できる、といった第1〜第3実施形態と同様の効果が得られる。特に第3実施形態の表示装置と比べた場合、本実施形態の表示装置49は、光取出し側ガラス基板26と配光変換部46との間にもカラーフィルター28を備えているため、射出光の色純度が向上し、表示装置の色再現範囲を拡大することができる、有機発光材料からの発光と励起光との混色による色純度の低下を防止できる、配光変換部を励起する外光を低減し、色滲みやコントラスト低下を防止できる、等の効果が得られる。
以下、励起光と配光変換部(カラーフィルター)との組み合わせの例を挙げる。
[構成例1]
構成例1は、図7に示すように、励起光として青色偏光を用い、この励起光を、例えば青色偏光を吸収して青色の等方発光を生じる配光変換層54に入射させ、青色等方発光を得る例である。以下の図面において、符号53は基板である。
[構成例2]
構成例2は、図8に示すように、励起光として青色偏光を用い、この励起光を、例えば青色偏光を吸収して青色の等方発光を生じる配光変換層54に入射させ、青色等方性発光を、青色カラーフィルター55を介して射出させる例である。構成例2の場合、色純度、外光低減等の観点で、配光変換部の光射出側(視認側)にカラーフィルターを備えた上記の第1、第2、第4実施形態と同様の効果が得られる。
[構成例3]
構成例3は、図9に示すように、励起光として青色偏光を用い、この励起光を、例えば青色偏光を吸収して緑色の等方発光を生じる配光変換層56に入射させ、緑色等方発光を得る例である。
[構成例4]
構成例4は、図10に示すように、励起光として青色偏光を用い、この励起光を、例えば青色偏光を吸収して緑色の等方発光を生じる配光変換層56に入射させ、得られた緑色等方性発光を、緑色カラーフィルター57を介して射出させる例である。構成例4の場合、色純度、外光低減等の観点で、配光変換部の光射出側(視認側)にカラーフィルターを備えた上記の第1、第2、第4実施形態と同様の効果が得られる。
[構成例5]
構成例5は、図11に示すように、励起光として白色偏光を用い、この励起光を、例えば白色偏光を吸収して白色の等方発光を生じる配光変換層58に入射させる例である。構成例5の場合、配光変換層58に用いる有機発光材料として、赤色の等方発光を生じる有機発光材料、緑色の等方発光を生じる有機発光材料、青色の等方発光を生じる有機発光材料の全てを混在させればよい。あるいは、白色の等方発光を生じさせる場合、青色の励起光を、青色偏光を吸収して黄色の等方発光を生じる配光変換層に入射させる構成でも良い。
[構成例6]
構成例6は、図12に示すように、励起光として白色偏光を用い、例えば青色カラーフィルター55を透過させることでこの励起光を青色偏光とした後、青色偏光を吸収して青色の等方発光を生じる配光変換層54に入射させ、青色等方性発光を得る例である。
[構成例7]
構成例7は、図13に示すように、励起光として白色偏光を用い、この励起光を、例えば白色偏光を吸収して青色の等方発光を生じる配光変換層59に入射させ、得られた青色等方性発光を、青色カラーフィルター55を介して射出させる例である。構成例4の場合、色純度、外光低減等の観点で、配光変換部の光射出側(視認側)にカラーフィルターを備えた上記の第1、第2、第4実施形態と同様の効果が得られる。
[構成例8]
構成例8は、図14に示すように、励起光として白色偏光を用い、例えば青色カラーフィルター55を透過させることでこの励起光を青色偏光とした後、青色偏光を吸収して緑色の等方発光を生じる配光変換層56に入射させ、緑色等方性発光を得る例である。
[表示装置の回路構成]
図15は、上記実施形態の表示装置の回路構成を示すブロック図である。
上記実施形態の表示装置は、図15に示すように、回路構成としてAD変換回路61、画像処理回路62、制御回路63、走査線駆動回路64、信号線駆動回路65、を備えている。また、液晶セルの画素部66には複数の走査線67、複数の信号線68が備えられ、各走査線67と各信号線68に対応する各画素にTFT69、液晶素子70、キャパシタ71が備えられている。さらに、表示装置には、図示しないFPC(Flexible printed circuits)を介し、液晶素子70、バックライトユニットを駆動する外部駆動回路を有している。
液晶素子70を駆動する外部駆動回路は、走査線駆動回路64により画素部66の走査線67を順次選択し、選択されている走査線67に沿って配置されている各画素に対し、信号線駆動回路65により画素データを書き込む。すなわち、走査線駆動回路64が走査線67を順次駆動し、信号線駆動回路65が信号線68に画素データを出力することで、駆動された走査線67とデータが出力された信号線68との交差する位置に配置された画素が駆動される。
さらに、バックライトユニットを駆動する外部駆動回路は、画像を表示する間、バックライトユニットを一定の輝度で点灯するために一定の電圧、電流を供給する。さらに、画像と同期してバックライトユニットの輝度をコントロールすることで、低消費電力化が可能となる。
[電子機器]
上記の実施形態に係る表示装置は、電子機器として、例えば図16(A)に示すように、携帯電話81に適用できる。図16(A)に示す携帯電話81は、音声入力部82、音声出力部83、アンテナ84、操作スイッチ85、表示部86、及び筐体87等を備えている。そして、表示部86として上記実施形態の表示装置が好適に適用できる。上記実施形態に係る表示装置を携帯電話81の表示部86に適用することにより、低消費電力で高いコントラストの映像を表示することができる。
上記の実施形態に係る表示装置は、電子機器として、例えば図16(B)に示すように、薄型テレビジョン91に適用できる。図16(B)に示す薄型テレビジョン91は、表示部92、スピーカー93、キャビネット94、およびスタンド95等を備えている。そして、表示部92として上記実施形態の表示装置が好適に適用できる。上記実施形態に係る表示装置を薄型テレビジョン91の表示部92に適用することにより、低消費電力で高いコントラストの映像を表示することができる。
上記の実施形態に係る表示装置は、電子機器として、例えば図17(A)に示すように、携帯型ゲーム機101に適用できる。図17(A)に示す携帯型ゲーム機101は、操作ボタン102、外部接続端子103、表示部104、および筐体105等を備えている。そして、表示部104として上記実施形態の表示装置が好適に適用できる。上記実施形態に係る表示装置を携帯型ゲーム機101の表示部104に適用することにより、少ない消費電力で高いコントラストの映像を表示することができる。
上記の実施形態に係る表示装置は、電子機器として、例えば図17(B)に示すように、ノートパソコン111に適用できる。図17(B)に示すノートパソコン111は、表示部112、キーボード113、タッチパッド114、メインスイッチ115、カメラ116、記録媒体スロット117、および筐体118等を備えている。そして、このノートパソコン111の表示部112として上記実施形態の表示装置が好適に適用できる。上記実施形態に係る表示装置をノートパソコン111の表示部112に適用することにより、少ない消費電力で高いコントラストの映像を表示することが可能なノートパソコンを実現できる。
上記実施形態に係る表示装置は、照明装置として、例えば図18(A)に示すように、シーリングライト121に適用できる。図18(A)に示すシーリングライト121は、発光部122、吊下線123、および電源コード124等を備えている。そして、発光部122として上記実施形態の表示装置が好適に適用できる。上記実施形態に係る表示装置をシーリングライト121の発光部122に適用することにより、少ない消費電力で自在な色調の照明光を得ることができ、光演出性の高い照明器具を実現することができる。また、均一な照度で色純度の高い面発光が可能な照明器具を実現することができる。
上記の実施形態に係る表示装置は、照明装置として、例えば図18(B)に示すように、照明スタンド131に適用できる。図18(B)に示す照明スタンド131は、発光部132、スタンド133、メインスイッチ134、および電源コード135等を備えている。そして、発光部132として上記実施形態の表示装置が好適に適用できる。上記実施形態に係る表示装置を照明スタンド131の発光部132に適用することによって、少ない消費電力で自在な色調の照明光を得ることができ、光演出性の高い照明器具を実現することができる。また、均一な照度で色純度の高い面発光が可能な照明器具を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、液晶素子の偏光板として直線偏光板を用いたが、偏光板として、直線偏光板と位相差板とを組み合わせた円偏光板を用いても良い。また、配光変換部から等方性の光、すなわち全方位にわたって完全に等方的な光が発せられるものとしたが、必ずしも完全に等方的な光が発せられなくても良い。少なくとも配光変換部に入射した時点の励起光よりも広い配光分布を有する蛍光が得られるものであれば、視野角特性を従来よりも向上させることができる。その他、表示装置の各構成要素の形状、数、配置、材料、形成方法等に関する具体的な記載は、上記実施形態に限ることなく、適宜変更が可能である。
以下の各実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
〔比較例1〕
基板として、0.7mmの厚さのガラス基板を用いた。これを水洗した後、純水超音波洗浄を10分、アセトン超音波洗浄を10分、イソプロピルアルコール蒸気洗浄を5分行ない、100℃にて1時間乾燥させた。
次に、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)をモル比で100:0.5となるようにアセトニトリルに溶解し、配光変換部形成用塗液とした。スピンコーターを用いて基板上に配光変換部形成用塗液を塗布し、膜厚30μmの配光変換部を形成した。
次に、80℃、30分、窒素ガス中で乾燥し、配光変換基板を完成した。
青色LED(日亜社製:NFSC036C)を用い、励起光源からの光を、直線偏光板を透過させることで直線偏光の励起光とし、配光変換基板からの発光を視野角特性測定評価装置(EZContrast88:ELDIM社製)を用い、配光特性を測定した。測定結果を図20と表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、DCJTBに起因した赤色発光であった。
〔比較例2〕
配光変換部の膜厚を5μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして配光変換基板を作製し、比較例1と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、DCJTBに起因した赤色発光であった。
〔実施例1〕
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、10-(2-ベンゾチアゾイル)-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H,11H-[1]ベンゾピラノ[6,7,8-ij]キノリジン-11-ワン)(クマリン545)(有機光吸収材料)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(DCJTB)(有機発光材料)をモル比で100:100:1となるようにアセトニトリルに溶解し、配光変換部形成用塗液とした。基板上に配光変換部形成用塗液をスピンコーターを用いて塗布し、膜厚1μmの配光変換部を形成した。これ以外は、比較例1と同様にして配光変換基板を作製し、比較例1と同様の測定を行った。測定結果を図19、表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、DCJTBに起因した赤色発光であった。
〔実施例2〕
配光変換部の膜厚を5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして配光変換基板を作製し、比較例1と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、DCJTBに起因した赤色発光であった。
〔実施例3〕
PMMA:クマリン545:DCJTBを100:50:1wt%、配光変換部の膜厚を3μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして配光変換基板を作製し、比較例1と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、DCJTBに起因した赤色発光であった。
〔実施例4〕
PMMA:クマリン545:DCJTBを100:2:1wt%、配光変換部の膜厚を30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして配光変換基板を作製し、比較例1と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、DCJTBに起因した赤色発光であった。
〔実施例5〕
ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、9-(1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-1,1,6,6-テトラメチル-2,3,5,6-テトラヒドロ-1H,4H-11-オキサ-3a-アザ-ベンゾ[デ]アントラセン-10-ワン(有機光吸収材料)、N,N’-ジメチル-キナクリドン(有機発光材料)をモル比で100:100:1となるようにアセトニトリルに溶解し、配光変換部形成用塗液とした。基板上に配光変換部形成用塗液を、スピンコーターを用いて塗布し、膜厚1μmの配光変換部を形成した。これ以外は、比較例1と同様にして配光変換基板を作製し、比較例1と同様の測定を行った。測定結果を表1に示す。ここで、配光変換部からの発光は、キナクリドンに起因した緑色発光であった。
Figure 2014224835
表1から明らかなように、比較例1、2では輝度比率が0.67,0.65と低く、極角方向において等方的な光が得られないことが判った。これに対して、実施例1〜5では輝度比率が全てのサンプルで略1.00であり、極角方向において等方的な光が得られたことが判った。また、発光効率については実施例1〜5は比較例1,2と同等であった。
図19(A)は、実施例1のサンプルの配光特性を示しており、円周上の目盛りは方位角(°)を示している。円周上の0°−180°の方向が偏光板の偏光方向(透過軸方向)を示し、円周上の90°−270°の方向が偏光板の偏光方向(透過軸方向)に対して90°の方向を示している。同心円状の目盛りは配光角度(°)を示している。配光角度は、表示装置の主面の法線方向を0度としたときの極角(°)で示す。図19(B)は、実施例1のサンプルにおける配光角度と相対輝度との関係を示すグラフであり、横軸が配光角度(°)であり、縦軸が相対輝度である。
一方、図20(A)は、比較例1のサンプルの配光特性を示しており、円周上の目盛りは方位角(°)を示している。円周上の0°−180°の方向が偏光板の偏光方向(透過軸方向)を示し、円周上の90°−270°の方向が偏光板の偏光方向(透過軸方向)に対して90°の方向を示している。同心円状の目盛りは配光角度(°)を示している。配光角度は、表示装置の主面の法線方向を0度としたときの極角(°)で示す。図20(B)は、比較例1のサンプルにおける配光角度と相対輝度との関係を示すグラフであり、横軸が配光角度(°)であり、縦軸が相対輝度である。
図20(A)、(B)に示されるように、比較例1のサンプルでは、偏光板の偏光方向(透過軸方向)に対して90°の方向の相対輝度に対して偏光板の偏光方向(透過軸方向)の相対輝度が小さく、方位角方向においても等方的な光が得られないことが判った。これに対して、実施例1のサンプルでは、図19(A)、(B)に示されるように、偏光板の偏光方向(透過軸方向)に対して90°の方向の相対輝度と偏光板の偏光方向(透過軸方向)の相対輝度が略同等であり、方位角方向においても等方的な光が得られたことが判った。
本発明は、各種のディスプレイ等に用いる蛍光発光型の表示装置、照明装置に利用することができる。
2a,2b…偏光板、6,19,36,47,51…液晶素子、11,35,42,49…表示装置、12,43…バックライトユニット(励起光源)、13…液晶セル、14…バックライト側偏光板(偏光素子)、15…光取出し側偏光板、16,45,50…配光変換基板、28…カラーフィルター、28R…赤色カラーフィルター、28G,57…緑色カラーフィルター、28B,55…青色カラーフィルター、29,46…配光変換部、29R,46R…赤色変換層、29G,46G…緑色変換層、30…散乱層、46B…青色変換層、54,56,58,59…配光変換層、81…携帯電話(電子機器)、91…薄型テレビジョン(電子機器)、101…携帯型ゲーム機(電子機器)、111…ノートパソコン(電子機器)、121…シーリングライト(照明装置)、131…照明スタンド(照明装置)、DR…赤色画素、DG…緑色画素、DB…青色画素。

Claims (13)

  1. 励起光を射出させる励起光源と、
    前記励起光源から射出された前記励起光の偏光状態を制御する液晶素子と、
    前記液晶素子により偏光状態が制御された前記励起光が入射した際に所定の偏光状態の前記励起光を透過させる偏光素子と、
    前記偏光素子を透過した所定の偏光状態の励起光が入射した際に前記励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する配光変換部と、
    を備え、
    前記配光変換部が、少なくとも所定の偏光状態の前記励起光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、前記有機光吸収材料からエネルギーを受け取って前記配光分布が広い蛍光、もしくは前記等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から構成され、
    前記配光変換部からの蛍光を用いて表示を行うことを特徴とする表示装置。
  2. 前記配光変換部が、前記励起光の波長帯域とは異なる波長帯域の蛍光を発することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記励起光は、350〜440nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外光であり、
    前記配光変換部が、前記紫外光を赤色光に変換する赤色画素と、前記紫外光を緑色光に変換する緑色画素と、前記紫外光を青色光に変換する青色画素と、を有することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記励起光は、400〜500nmの範囲に発光ピーク波長を有する青色光であり、
    前記配光変換部が、前記青色光を赤色光に変換する赤色画素と、前記青色光を緑色光に変換する緑色画素と、前記青色光を散乱させる青色画素と、を有することを特徴とする請求項2記載の表示装置。
  5. 前記赤色画素に対応して赤色カラーフィルターが配置され、前記緑色画素に対応して緑色カラーフィルターが配置され、前記青色画素に対応して青色カラーフィルターが配置されたカラーフィルターが設けられたことを特徴とする請求項3または4に記載の表示装置。
  6. 前記カラーフィルターは、前記配光変換部に対して前記励起光が入射する側に配置されたことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
  7. 前記カラーフィルターは、前記配光変換部に対して前記蛍光が射出される側に配置されたことを特徴とする請求項5または6に記載の表示装置。
  8. 前記偏光素子が、所定の振動方向を有する直線偏光を透過させる直線偏光板であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の表示装置。
  9. 前記配光変換部が、前記有機光吸収材料と前記有機発光材料とバインダー樹脂とを含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の表示装置。
  10. 前記配光変換部に含有される前記有機光吸収材料の重量比が、前記配光変換部を構成する総分子に対し、1〜50wt%であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の表示装置。
  11. 前記配光変換部に含有される前記有機光吸収材料の重量比が、前記有機発光材料に対し、50〜99.9wt%であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の表示装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の表示装置を表示部に備えたことを特徴とする電子機器。
  13. 励起光を射出させる励起光源と、
    前記励起光源から射出された前記励起光の偏光状態を制御する液晶素子と、
    前記液晶素子により偏光状態が制御された前記励起光が入射した際に所定の偏光状態の前記励起光を透過させる偏光素子と、
    前記偏光素子を透過した所定の偏光状態の励起光が入射した際に前記励起光よりも配光分布が広い蛍光、もしくは等方性の蛍光を発する配光変換部と、
    を備え、
    前記配光変換部が、少なくとも所定の偏光状態の前記励起光を吸収する機能を主に担う有機光吸収材料と、前記有機光吸収材料からエネルギーを受け取って前記配光分布が広い蛍光、もしくは前記等方性の蛍光を発する機能を主に担う有機発光材料と、から構成され、
    前記配光変換部からの蛍光を用いて照明を行うことを特徴とする照明装置。
JP2011200535A 2011-09-14 2011-09-14 表示装置、電子機器および照明装置 Withdrawn JP2014224835A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011200535A JP2014224835A (ja) 2011-09-14 2011-09-14 表示装置、電子機器および照明装置
PCT/JP2012/073021 WO2013039027A1 (ja) 2011-09-14 2012-09-10 表示装置、電子機器および照明装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011200535A JP2014224835A (ja) 2011-09-14 2011-09-14 表示装置、電子機器および照明装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014224835A true JP2014224835A (ja) 2014-12-04

Family

ID=47883257

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011200535A Withdrawn JP2014224835A (ja) 2011-09-14 2011-09-14 表示装置、電子機器および照明装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2014224835A (ja)
WO (1) WO2013039027A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018049273A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 液晶表示装置
KR20180033087A (ko) * 2016-09-23 2018-04-02 삼성전자주식회사 액정 표시 장치
KR101840310B1 (ko) * 2016-12-29 2018-05-04 주식회사 래도 속도관리시스템
KR20200020392A (ko) * 2018-08-17 2020-02-26 재단법인대구경북과학기술원 다색 유기형광재료가 함유된 실리콘 고무 기반 광기록 필름 제조 방법, 광기록 필름 및 광기록 방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101945850B1 (ko) * 2015-03-23 2019-02-08 인터매틱스 코포레이션 광발광 컬러 디스플레이
KR20220018129A (ko) * 2020-08-05 2022-02-15 삼성디스플레이 주식회사 색변환 패널 및 이를 포함하는 표시 장치

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003233070A (ja) * 2002-02-07 2003-08-22 Idec Izumi Corp フラットパネル型カラー画像ディスプレイ装置および情報端末
WO2005086539A1 (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Idemitsu Kosan Co., Ltd. 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP5226935B2 (ja) * 2005-12-28 2013-07-03 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 液晶表示装置
US8304265B2 (en) * 2007-09-19 2012-11-06 Sharp Kabushiki Kaisha Color conversion filter and manufacturing method of the organic EL display
CN102714900A (zh) * 2010-01-08 2012-10-03 播磨化成株式会社 红色荧光转换组合物及红色荧光转换膜

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018049273A (ja) * 2016-09-23 2018-03-29 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 液晶表示装置
KR20180033087A (ko) * 2016-09-23 2018-04-02 삼성전자주식회사 액정 표시 장치
JP7195518B2 (ja) 2016-09-23 2022-12-26 三星電子株式会社 液晶表示装置
KR102632444B1 (ko) * 2016-09-23 2024-02-02 삼성전자주식회사 액정 표시 장치
KR101840310B1 (ko) * 2016-12-29 2018-05-04 주식회사 래도 속도관리시스템
KR20200020392A (ko) * 2018-08-17 2020-02-26 재단법인대구경북과학기술원 다색 유기형광재료가 함유된 실리콘 고무 기반 광기록 필름 제조 방법, 광기록 필름 및 광기록 방법
KR102203417B1 (ko) * 2018-08-17 2021-01-18 재단법인대구경북과학기술원 다색 유기형광재료가 함유된 실리콘 고무 기반 광기록 필름 제조 방법, 광기록 필름 및 광기록 방법

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013039027A1 (ja) 2013-03-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5538519B2 (ja) 発光素子、ディスプレイ及び表示装置
US9182631B2 (en) Phosphor substrate, display device, and electronic apparatus
US8908125B2 (en) Fluorescent substrate and method for producing the same, and display device
WO2013111696A1 (ja) 蛍光体基板、表示装置および電子機器
US8796914B2 (en) Organic electroluminescence element, organic electroluminescence display, and organic electroluminescence display apparatus
WO2014084012A1 (ja) 散乱体基板
WO2012090786A1 (ja) 発光デバイス、表示装置、及び照明装置
WO2012108384A1 (ja) 蛍光体基板、およびこれを用いた表示装置、照明装置
WO2013039072A1 (ja) 発光デバイス、表示装置、照明装置および発電装置
WO2013154133A1 (ja) 光散乱体、光散乱体膜、光散乱体基板、光散乱体デバイス、発光デバイス、表示装置、および照明装置
WO2013183751A1 (ja) 蛍光体基板、発光デバイス、表示装置、及び照明装置
JP2014052606A (ja) 蛍光体基板、発光デバイス、表示装置、及び照明装置
WO2012121372A1 (ja) 表示素子及び電子機器
WO2012081568A1 (ja) 蛍光体基板、表示装置および照明装置
JP2017037121A (ja) 色変換基板および表示装置
WO2013039027A1 (ja) 表示装置、電子機器および照明装置
JP2016218151A (ja) 波長変換基板、発光装置並びにこれを備えた表示装置、照明装置および電子機器
JP2016143658A (ja) 発光素子および表示装置
JP2011060604A (ja) 有機電界発光素子及び表示装置
WO2011145418A1 (ja) 蛍光体表示装置および蛍光体層
WO2011102024A1 (ja) 表示装置
WO2011145358A1 (ja) 蛍光体基板、発光素子、およびそれを用いた表示装置
WO2012043172A1 (ja) 蛍光体基板、およびこれを用いた表示装置、照明装置
JP6552100B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス装置
JP6227697B2 (ja) 有機電界発光素子及び表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20141202