JP2014224556A - チェーン - Google Patents

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Abstract

【課題】弦振動を抑制しながら、逆屈曲の規制に伴うチェーン構成部品同士の間での摩擦が低減することで、摩擦損失が低減し、かつ摩耗の低減により耐久性が向上し、さらに、小型化が容易化されると共にコストが削減されるチェーンを提供する。【解決手段】サイレントチェーン100において、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が、非ガイド列103のインナプレート130のピン孔131に回動可能に挿入された単一のピン150により屈曲可能に連結されている。インナプレート130のプレート逆屈曲規制部133とピン150のピン逆屈曲規制部153とが回動方向で当接することにより、ガイド列101および非ガイド列103が直線状態から逆屈曲方向へ屈曲する逆屈曲が規制される。【選択図】図2

Description

本発明は、長手方向で隣り合う第1,第2リンクがピンにより屈曲可能に連結されているチェーンに関し、詳細には、第1,第2リンクの逆屈曲を規制する構造に関する。
チェーンは、例えばサイレントチェーンであり、例えば自動車用動力装置において伝動用チェーンとして使用される。
従来、サイレントチェーンなどのチェーンにおいて、スプロケットに対する噛合い時および噛外れ時における周期的な屈曲および該屈曲の解消に起因して、チェーンのフリースパン部に弦振動が発生することがある。この弦振動は、騒音を発生させ、またプレートとピンとの摩擦や幅方向で隣り合うプレート同士の摩擦に起因する、チェーン走行のための動力の損失(以下、「摩擦損失」という。)やプレートおよびピンの摩耗を増加させる。そこで、弦振動を抑制するために、フリースパン部において、長手方向で隣り合う第1,第2リンクが、一直線状に連なる直線状態から、スプロケットに巻き掛かるときの順屈曲方向とは逆の逆屈曲方向に屈曲する逆屈曲(いわゆる、バックベンド)を規制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−98444号公報(段落0023〜0031、図1〜3)
ところで、逆屈曲を規制する従来の構造は、第1,第2リンクが、ある程度の逆屈曲量(または、屈曲角度)で逆屈曲が発生したときに、第1,第2リンクのプレート同士など、チェーン構成部品間において摩擦力を発生させることにより、逆屈曲量がさらに増加した逆屈曲の状態になることを抑制するものであり、逆屈曲の状態になる(すなわち、逆屈曲量が有限の値になる)ことを前提としている。
このように、逆屈曲がチェーン構成部品間での摩擦力を利用して抑制される場合には、前記摩擦力により、チェーンでの摩擦損失、およびプレートなどのチェーン構成部品の摩耗が増加する問題があった。
また、第2リンクのインナプレートのピン孔に、第1リンクの保持プレートに保持されているピンに加えて、別のピン(例えば、ピンが複数のロッカピンから構成される場合、また、ローラチェーンではブシュが相当。)が挿入される場合には、該ピン孔が大きくなるので、プレートの剛性を確保するためにインナプレートが大型化して、チェーンピッチが大きくなるために、チェーンの小型化が困難になる問題があった。そのうえ、複数のピンを必要とするので、ピンの数および組付工数が増加することから、チェーンのコストが増加する問題があった。
さらに、逆屈曲を規制するための専用の部材を必要とする場合にも、チェーンの小型化が困難になる問題があった。
本発明は、前述の課題を解決するものであり、本発明の目的は、弦振動を抑制しながら、逆屈曲の規制に伴うチェーン構成部品同士の間での摩擦が低減することで、摩擦損失が低減し、かつ摩耗の低減により耐久性が向上し、さらに、小型化が容易化されると共にコストが削減されるチェーンを提供することである。
請求項1に係る発明は、複数の第1リンクと複数の第2リンクと複数のピンとを備え、前記第1リンクが1対の保持プレートを有し、前記第2リンクが幅方向で1対の前記保持プレートの間に配置される1以上のインナプレートを有し、長手方向で隣り合う前記第1リンクおよび前記第2リンクが、前記インナプレートのピン孔に回動方向に回動可能に挿入されると共に前記1対の保持プレートに回動を規制された状態で保持される単一の前記ピンにより屈曲可能に連結されていて、1以上のスプロケットに巻き掛けられて走行可能なチェーンにおいて、前記インナプレートが、プレート逆屈曲規制部を有し、前記ピンが、前記プレート逆屈曲規制部と当接可能なピン逆屈曲規制部を有し、前記プレート逆屈曲規制部と前記ピン逆屈曲規制部とが前記回動方向で当接することにより、前記第1リンクおよび前記第2リンクが長手方向に一直線状に連なる直線状態から前記スプロケットに巻き掛かるときの順屈曲方向とは逆の逆屈曲方向へ前記直線状態から屈曲する逆屈曲の逆屈曲量が規制されることにより、前述の課題を解決したものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記インナプレートにおいて前記ピン孔を形成している孔周壁が、前記ピン孔の輪郭を規定する前記孔周壁面を有し、前記ピンの外周部が、前記ピンの外周の輪郭を規定する外周面を有し、前記プレート逆屈曲規制部が前記孔周壁面の一部であるプレート当接面を有し、前記ピン逆屈曲規制部が、前記外周面の一部であるピン当接面を有し、前記プレート当接面と前記ピン当接面とが当接することにより前記逆屈曲量が規制されることにより、前述の課題を解決したものである。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明の構成に加えて、前記孔周壁面が、前記ピン孔のピン孔中心線を中心とするプレート円弧面を有し、前記外周面が、前記ピンのピン中心線を中心とするピン円弧面を有し、前記プレート円弧面および前記ピン円弧面が、前記第1リンクおよび前記第2リンクが前記順屈曲方向および前記逆屈曲方向に相対的に前記ピン中心線を中心に回動するときに摺接し、前記プレート円弧面および前記ピン円弧面の横断面形状が、前記ピン孔中心線を中心とするプレート仮想円および前記ピン中心線を中心とするピン仮想円のそれぞれの円弧であり、横断面において、前記孔周壁面の全体が前記プレート仮想円以内に位置することにより、前述の課題を解決したものである。
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に係る発明の構成に加えて、前記外周面が、前記プレート逆屈曲規制部の相対回動を許容する回動用クリアランスを、前記孔周壁面との間に形成するピンクリアランス形成面を有し、前記ピン逆屈曲規制部が、前記ピンクリアランス形成面に対して突出していることにより、前述の課題を解決したものである。
請求項5に係る発明は、請求項2から請求項4のいずれか1つに係る発明の構成に加えて、チェーンが潤滑油雰囲気に配置されるサイレントチェーンであり、前記保持プレートがガイドプレートであり、前記第1リンクが、1対の前記ガイドプレートの間で前記インナプレートに幅方向で隣り合って配置される1以上のミドルプレートを有し、前記ピンが、前記ミドルプレートのピン孔に、前記外周面との間に空間を形成して挿通され、前記空間が、幅方向から見て、前記プレート逆屈曲規制部の相対回動範囲で前記プレート当接面と重なる位置にあることにより、前述の課題を解決したものである。
本発明に関連して、幅方向はチェーン幅方向であり、長手方向はチェーン長手方向である。そして、幅方向は、スプロケットの回転中心線またはピンのピン中心線に平行な方向であり、長手方向は、幅方向に直交する平面に沿ってチェーンが延びている方向である。
また、横断面は、幅方向に直交する平面が切断面であるときの断面であり、横断面形状は、横断面での部材または部材の部位の形状である。
本発明のチェーンは、複数の第1リンクと複数の第2リンクと複数のピンとを備え、第1リンクが1対の保持プレートを有し、第2リンクが幅方向で1対の保持プレートの間に配置される1以上のインナプレートを有し、長手方向で隣り合う第1リンクおよび第2リンクが、インナプレートのピン孔に回動方向に回動可能に挿入されると共に1対の保持プレートに回動を規制された状態で保持される単一のピンにより屈曲可能に連結されていて、1以上のスプロケットに巻き掛けられて走行可能であることにより、チェーンは、複数の第1リンクおよび複数の第2リンクが長手方向に1つずつ交互にピンにより屈曲可能に繋がっていて、スプロケットに巻き掛けられて走行方向に走行することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る本発明のチェーンによれば、インナプレートが、プレート逆屈曲規制部を有し、ピンが、プレート逆屈曲規制部と当接可能なピン逆屈曲規制部を有し、プレート逆屈曲規制部とピン逆屈曲規制部とが回動方向で当接することにより、第1リンクおよび第2リンクが長手方向に一直線状に連なる直線状態からスプロケットに巻き掛かるときの順屈曲方向とは逆の逆屈曲方向へ直線状態から屈曲する逆屈曲の逆屈曲量が規制されることにより、互いに当接しているプレート逆屈曲規制部およびピン逆屈曲規制部が第1,第2リンクの逆屈曲量(または、逆屈曲)を規制するので、弦振動の発生が抑制されて、該弦振動に起因する騒音を低減することができる。そして、この逆屈曲量の規制は、互いに相対回動するプレート逆屈曲規制部およびピン逆屈曲規制部の回動方向での当接により行われるので、摩擦力の利用により逆屈曲量が規制される場合に比べて、逆屈曲量の規制に伴うチェーンでの摩擦損失を低減することができ、また、逆屈曲量の規制に伴うチェーン構成部品の摩耗が低減するため、チェーンの耐久性を向上させることができる。
しかも、プレート逆屈曲規制部およびピン逆屈曲規制部は、インナプレートおよび該インナプレートのピン孔に回動可能に挿入されるピンを利用してそれぞれ設けられるので、インナプレートおよびピンに対して各逆屈曲規制部が設けられる回動方向位置の選択の自由度が大きくなる。このため、回動方向での両逆屈曲規制部の配置の自由度が大きくなり、逆屈曲規制機能を有するチェーンの設計の自由度を大きくすることができる。
また、ピン孔には1つのピンのみが挿入されるだけであるので、ピン孔の小径化が可能になるため、チェーンピッチを小さくして、逆屈曲規制機能を有するチェーンの小型化を容易化することができ、さらに、ピンの数および組付工数が削減されるため、チェーンのコストを削減することができる。
請求項2に係る本発明のチェーンによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、インナプレートにおいてピン孔を形成している孔周壁が、ピン孔の輪郭を規定する孔周壁面を有し、ピンの外周部が、ピンの外周の輪郭を規定する外周面を有し、プレート逆屈曲規制部が孔周壁面の一部であるプレート当接面を有し、ピン逆屈曲規制部が、外周面の一部であるピン当接面を有し、プレート当接面とピン当接面とが当接することにより逆屈曲量が規制されることにより、プレート逆屈曲規制部およびピン逆屈曲規制部がピン孔内に位置するので、各逆屈曲規制部がピン孔の外部、例えば、インナプレートにおけるプレート外周部や幅方向に面するプレート側面に設けられる場合に比べて、インナプレートの小型化が可能になり、逆屈曲規制機能を有するチェーンの小型化・軽量化を容易化することができる。
請求項3に係る本発明のチェーンによれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、孔周壁面が、ピン孔のピン孔中心線を中心とするプレート円弧面を有し、外周面が、ピンのピン中心線を中心とするピン円弧面を有し、プレート円弧面およびピン円弧面が、第1リンクおよび第2リンクが順屈曲方向および逆屈曲方向に相対的にピン中心線を中心に回動するときに摺接し、プレート円弧面およびピン円弧面の横断面形状が、ピン孔中心線を中心とするプレート仮想円およびピン中心線を中心とするピン仮想円のそれぞれの円弧であり、横断面において、孔周壁面の全体がプレート仮想円以内に位置することにより、ピン孔が、インナプレートとピンとの相対回動に必要なプレート円弧面の半径により規定されるプレート仮想円以内に収まる大きさになるので、プレート逆屈曲規制部または孔周壁面の一部がプレート仮想円の外部に位置する場合に比べて、ピン孔が小さくなるため、インナプレートの強度が向上し、インナプレートの耐久性、ひいてはチェーンの耐久性を向上させることができる。
また、プレート逆屈曲規制部は、ピン孔内でピン逆屈曲規制部と回動方向で当接することになるため、プレート円弧面よりも径方向内方に位置することになるので、プレート逆屈曲規制部によりインナプレートの強度を向上させることができる。
請求項4に係る本発明のチェーンによれば、請求項2または請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、外周面が、プレート逆屈曲規制部の相対回動を許容する回動用クリアランスを、孔周壁面との間に形成するピンクリアランス形成面を有し、ピン逆屈曲規制部が、ピンクリアランス形成面に対して突出していることにより、ピン逆屈曲規制部がピンクリアランス形成面よりも突出している分、該ピン逆屈曲規制部を利用してピンの強度を向上させることができるので、ピンの耐久性、ひいてはチェーンの耐久性を向上させることができる。
請求項5に係る本発明のチェーンによれば、請求項2から請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、チェーンが潤滑油雰囲気に配置されるサイレントチェーンであり、保持プレートがガイドプレートであり、第1リンクが、1対のガイドプレートの間でインナプレートに幅方向で隣り合って配置される1以上のミドルプレートを有し、ピンが、ミドルプレートのピン孔に、外周面との間に空間を形成して挿通され、空間が、幅方向から見て、プレート逆屈曲規制部の相対回動範囲でプレート当接面と重なる位置にあることにより、インナプレートおよびミドルプレートの幅方向隙間に侵入した後に空間に流入した潤滑油が、両当接面が離隔しているときに、インナプレートのピン孔内で両屈曲規制部間に形成される規制部間クリアランスに流入して、両当接面に供給され得るので、空間から供給される潤滑油により両当接面での摩耗が低減して、サイレントチェーンの耐久性を向上させることができる。
また、両逆屈曲規制部が回動方向で互いに接近するときに、規制部間クリアランスに流入した潤滑油を排出するための抵抗により、および、両当接面に付着している油膜により、両当接面の当接時の衝撃が緩和されるので、該当接に起因する衝突音が低減し、チェーンの静粛性能を向上させることができる。
本発明の実施例を示し、サイレントチェーンの、一部がピッチ面での断面である要部平面図。 図1の2−2線断面図。 図2の3部分の拡大図。 図1のサイレントチェーンが回転するスプロケットに巻き掛けられて屈曲する状態を説明する図であり、(a)、(d)、(g)は一部のチェーン構成部品が省略された要部側面図、(b)、(c)は、(a)のb,c部分の拡大図、(e)、(f)は、(d)のe、f部分の拡大図、(h)、(i)は、(g)のh、i部分の拡大図。
本発明のチェーンは、複数の第1リンクと複数の第2リンクと複数のピンとを備え、第1リンクが1対の保持プレートを有し、第2リンクが幅方向で1対の保持プレートの間に配置される1以上のインナプレートを有し、長手方向で隣り合う第1リンクおよび第2リンクが、インナプレートのピン孔に回動方向に回動可能に挿入されると共に1対の保持プレートに回動を規制された状態で保持される単一のピンにより屈曲可能に連結されていて、1以上のスプロケットに巻き掛けられて走行可能であり、インナプレートが、プレート逆屈曲規制部を有し、ピンが、プレート逆屈曲規制部と当接可能なピン逆屈曲規制部を有し、プレート逆屈曲規制部とピン逆屈曲規制部とが回動方向で当接することにより、第1リンクおよび第2リンクが長手方向に一直線状に連なる直線状態からスプロケットに巻き掛かるときの順屈曲方向とは逆の逆屈曲方向へ直線状態から屈曲する逆屈曲の逆屈曲量が規制されることにより、弦振動を抑制しながら、逆屈曲の規制に伴うチェーン構成部品同士の間での摩擦が低減することで、摩擦損失が低減し、かつ摩耗の低減により耐久性が向上し、さらに、小型化が容易化されると共にコストが削減されるものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
例えば、本発明のチェーンは、サイレントチェーン、および、サイレントチェーン以外に、1対の第1リンクプレートから構成される複数の第1リンクおよび1対の第2リンクプレートから構成される複数の第2リンクを備えるリンクチェーン(ローラチェーンを含む。)であってもよい。
本発明のチェーンは、伝動用チェーン以外に、搬送用チェーンまたはアクチュエータ用チェーンであってもよい。したがって、チェーンを備えるチェーン装置は、チェーン伝動装置、チェーン搬送装置またはそれら装置以外の装置でもよい。そして、チェーンが巻き掛けられるスプロケットは、1以上であればよい。
本発明のチェーンを備えるチェーン伝動装置は、機械としての自動車用動力装置において、該動力装置を構成する動力伝達装置またはエンジンに使用されるほかに、自動車用以外の動力装置または動力装置以外の機械に使用されてもよい。
プレート逆屈曲規制部は、インナプレートにおいて、孔周壁面または孔周壁面以外の部分に設けられる。また、ピン逆屈曲規制部は、ピンにおいて、外周面を含む任意の面に設けられる。
以下、本発明の実施例を図1〜図4を参照して説明する。
図1,図2を参照すると、本発明の実施例において、チェーンとしてのサイレントチェーン(以下、「チェーン」という。)100は、チェーン伝動装置に備えられる無端の伝動用チェーンである。
このチェーン伝動装置は、チェーン100のほかに、該チェーン100が掛け渡される複数のスプロケット10(図4)から構成される巻掛け機構としてのスプロケット機構を備え、自動車用の動力装置の動力伝達装置に備えられる。
チェーン伝動装置は前記動力装置のチェーン室内に配置され、チェーン100およびスプロケット10は潤滑油により潤滑される。このため、前記チェーン室内は、潤滑油による潤滑環境、または潤滑油雰囲気になっている。
チェーン100は、複数の第1リンクとしてのガイド列101と、複数の第2リンクとしての非ガイド列103と、複数のピン150とを、チェーン構成部品として備える。長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103は単一のピン150により屈曲可能に連結されて、すべてのガイド列101およびすべての非ガイド列103が、それぞれ1つずつ長手方向に交互に繋がっている。
各ガイド列101は、1対の保持プレートとしてのガイドプレート110と、幅方向で1対のガイドプレート110の間に配置される1以上の、ここでは複数のミドルプレート120とを有する。
ガイドプレート110には、長手方向で離隔した1対のピン保持部としての保持孔111が設けられる。ミドルプレート120には、長手方向に離隔して1対の第1ピン孔121と、スプロケット10の複数のスプロケット歯11(図4)のそれぞれと噛合可能な噛合部である1対の歯部128とが設けられる。
各非ガイド列103は、1以上の、ここでは幅方向に配置される複数であるインナプレート130を有する。インナプレート130には、長手方向に離隔した1対の第2ピン孔131と、スプロケット歯11と噛合可能な噛合部である1対の歯部138とが設けられる。
非ガイド列103の各インナプレート130は、幅方向で1対のガイドプレート110の間に配置される。すべてのミドルプレート120およびすべてのインナプレート130は、幅方向で1以上ずつ、図示の例では1つずつ交互に積層状態で配置されている。
保持孔111、第1ピン孔121および第2ピン孔131は、ガイドプレート110、ミドルプレート120およびインナプレート130において、それぞれ長手方向に直交する中央面P1,P2,P3を対称面として面対称な形状である。これらの中央面P1,P2,P3は、ガイドプレート110、ミドルプレート120およびインナプレート130毎に、1対のピン150のピン中心線L0の長手方向間隔であるチェーンピッチを二等分する平面である。
なお、説明の便宜上、各プレート110,120,130毎に、ピッチ面Pp(図2)に対して、チェーン100がスプロケット10(図4)と噛み合うときに屈曲する側を屈曲側、該屈曲側とは反対側を反屈曲側という。各ピン孔121,131は、ピッチ面Ppに関して面対称の形状である。ピッチ面Ppは、チェーン100において、一直線上に並んでいるガイド列101毎および非ガイド列103毎に、1対のピン中心線L0を含む平面である。
また、各プレート110,120,130の任意の部位において、長手方向で、相対的に、中央面P1,P2,P3に近い側を中央側、中央面P1,P2,P3から遠い側を反中央側という。
ピン150は、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103において、幅方向に並んでいる各保持孔111、各第1ピン孔121および各第2ピン孔131に挿入された状態で、抜止め手段(例えば、圧入やカシメ)により抜け止めされ、かつ結合手段(例えば圧入またはガイドプレート110との係合)により保持孔111に回動を規制された状態で保持されている。このため、ピン150は、保持孔111および第1ピン孔121に回動を規制された状態で挿入されている一方、第2ピン孔131に、ピン中心線Lを中心に回動方向に回動可能に挿入されている。このため、ピン150は、インナプレート130を、ピン中心線L0を中心に回動可能に支持する。そして、ピン中心線L0は、インナプレート130およびピン150が相対的に回動するときの回動中心線であり、図1,図2に示される状態で、幅方向に平行である。
図示の例では、ピン150は、抜止め手段および結合手段としての保持孔111への圧入、さらに結合手段としての保持孔111内でのガイドプレート110の孔周壁112との係合により、ガイドプレート110に回動不能な固定状態で保持される。
チェーン100のすべてのピン150は同一形状である。また、各ピン150の横断面形状は、任意の幅方向位置で同一である。
図1,図2を参照すると、チェーン100には、インナプレート130のプレート逆屈曲規制部133およびピン150のピン規制部153から構成される逆屈曲規制部Bが設けられる。この逆屈曲規制部Bは、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が、その直線状態(図2に示される状態)から逆屈曲方向へ相対的に屈曲すること、すなわち逆屈曲を規制し、該逆屈曲の逆屈曲量を規制する。図示の例では、該直線状態で、逆屈曲規制部Bは、逆屈曲量をゼロに規制しており、逆屈曲の発生を防止している。
ここで、直線状態とは、例えばフリースパン部100a(図2)において、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が一直線状に連なる状態である。また、フリースパン部100aは、チェーン100において、スプロケット10に巻き掛かっておらず(すなわち、スプロケット10(図4)と噛み合っておらず)、かつ、チェーン100以外の部材(例えば、チェーン伝動装置が備えるチェーンガイド)に接触していない部分である。
そして、逆屈曲方向は、順屈曲方向とは逆の屈曲方向である。順屈曲方向は、スプロケット10(図4)へのチェーン100の噛合い時に、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が、スプロケット10に巻き掛かるときに、直線状態から相対的に屈曲する、すなわち順屈曲するときの屈曲方向である。また、スプロケット10からのチェーン100の噛外れ時に、スプロケット10に巻き掛かっているガイド列101および非ガイド列103は、順屈曲状態から相対的に逆屈曲方向に回動して直線状態になる。
以下、逆屈曲規制部Bを中心に、チェーン100を説明する。
図2,図3を参照すると、ミドルプレート120は、第1ピン孔121を形成する第1孔周壁122を有する。第1孔周壁122は、第1ピン孔121の輪郭を規定する第1孔周壁面123を有する。第1孔周壁面123の横断面形状は、第1ピン孔121の第1ピン孔中心線L1を中心とする1つの半径を有する円であり、第1ピン孔中心線L1が後述の第2ピン孔中心線L2と一致した状態において、第1孔周壁面123はその全体で後述のプレート仮想円149上に位置する。
第1孔周壁面123は、後述のピン円弧面165にてピン150の外周面162と接触する円弧面である接触面124と、外周面162と接触しない円弧面である非接触面125とを有する。ピン150は、第1ピン孔121内で、非接触面125と、後述の規制部外面163およびピン接続面166との間に、空間Sを形成する。この空間Sには、幅方向で隣接するプレート同士の幅方向隙間、図示の例では、ミドルプレート120とインナプレート130との幅方向隙間に侵入した潤滑油が、流入および貯留可能である。
インナプレート130は、第2ピン孔131を形成している第2孔周壁132を有する。第2孔周壁132は、第2ピン孔131の輪郭を規定する第2孔周壁面142を有する。
第2孔周壁132は、プレート逆屈曲規制部(以下、「プレート規制部」という。)133と、プレート円弧部135と、プレート規制部133とプレート円弧部135とを接続するプレート接続部136とを有する。第2孔周壁面142は、プレート規制部133が有する規制部壁面143と、プレート円弧部135が有するプレート円弧面145と、プレートクリアランス形成部としてのプレート接続部136が有するプレートクリアランス形成面としてのプレート接続面146とを有する。
プレート規制部133は、プレート接続面146およびプレート円弧面145に対して径方向内方に突出している突出部であり、第2孔周壁132において適切な周方向位置に設けられるが、図示の例では、その最大突出部位にてピッチ面Ppと交わる位置にある。プレート規制部133の周方向端部133a,133bは、規制部壁面143が曲面となって、プレート接続部136およびプレート円弧部135にそれぞれ滑らかに連なる。
凸面としての凸曲面である規制部壁面143の一部が、プレート当接面144である。プレート当接面144は、図示の例では、反屈曲側に位置する。
なお、径方向および周方向(回動方向でもある。)は、それぞれ、ピンまたはピン中心線L0を中心とする径方向および周方向である。
プレート円弧面145は、その横断面形状が、第2ピン孔131の第2ピン孔中心線L2を中心とするプレート仮想円149の円弧である曲面である。前記円弧は、図示の例では、周方向に連続しており、プレート仮想円149の優弧に相当する周方向長さを有する。
なお、図面は、説明の便宜上、ピン中心線L0と第1,第2ピン孔中心線L1,L2とが一致している、すなわち、これら中心線L0,L1,L2が同心状態にあるときの図である。また、実際のチェーン100では、ピン中心線L0および第1ピン孔中心線L1はほぼ同心状態にあり、ピン中心線L0および第2ピン孔中心線L2は同心状態にならない。
横断面において、第2孔周壁面142は、その全体で、したがって、規制部壁面143とプレート接続面146も、それぞれの全体で、プレート仮想円149以内に位置する。プレート接続面146は、プレート仮想円149上に位置する。インナプレート130における1対の第1ピン孔121のそれぞれで、プレート規制部133は、長手方向で中央側に位置する。
ピン150は外周部152を有する。外周部152は、ピン150の外周の輪郭を規定する外周面162を有する。
外周部152は、ピン逆屈曲規制部(以下、「ピン規制部」という。)153と、ピン円弧部155と、ピン規制部153およびピン円弧部155とを接続するピン接続部156とを有する。
外周面162は、ピン規制部153が有する規制部外面163と、ピン円弧部155が有するピン円弧面165と、ピンクリアランス形成部としてのピン接続部156が有するピンクリアランス形成面としてのピン接続面166とを有する。
ピン規制部153は、ピン接続面166に対して突出している突出部であり、外周部152において、プレート規制部133に対応して適切な周方向位置に設けられるが、図示の例では、その全体で反屈曲側に位置する。規制部外面163は、屈曲側で、周方向においてピン円弧面165およびピン接続面166に滑らかに連なっている凸面としての凸曲面である。規制部外面163の一部は、プレート当接面144と面接触状態で当接可能なピン当接面164である。
そして、プレート当接面144およびピン当接面164は、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が相対的に逆屈曲方向に回動するときのインナプレート130およびピン150の相対回動(以下、「逆回動」という。)時に、回動方向で接近して当接することにより、ガイド列101および非ガイド列103の逆屈曲、すなわち逆屈曲量を規制する。
一方、プレート当接面144およびピン当接面164は、長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が相対的に順屈曲方向に屈曲または回動するときのインナプレート130およびピン150の相対回動(以下、「順回動」という。)時に、回動方向で遠ざかることにより、ガイド列101および非ガイド列103の順屈曲を許容する。
ピン円弧面165は、その横断面形状がピン中心線L0を中心とするピン仮想円169の円弧である曲面である。前記円弧は、図示の例では、周方向に連続しており、ピン仮想円169の優弧に相当する周方向長さを有する。横断面において、外周面162は、その全体で、したがって、規制部外面163とピン接続面166も、それぞれの全体で、ピン仮想円169以内に位置し、および、ピン中心線L0と第2ピン孔中心線L2とが同心状態、すなわちプレート仮想円149とピン仮想円169とが同心にされたときのプレート仮想円149以内に位置する。
プレート円弧面145およびピン円弧面165は、インナプレート130およびピン150がピン中心線L0を中心とした順回動時および逆回動時に、互いに摺接する摺接面である。
なお、実際には、プレート仮想円149の半径は、両円弧面145,165が摺動可能となるように、ピン仮想円169の半径よりも僅かに大きいが、図3では、両仮想円149,169が1つの二点鎖線で示されている。
ピン接続面166は、規制部壁面143およびプレート接続面146と協働して、両規制部133,153の相対回動、ひいてはインナプレート130およびピン150の相対回動を許容する回動用クリアランスC1を形成する。回動用クリアランスC1は、図示の例では、屈曲側に位置する。
ピン接続面166は、プレート規制部133の順回動および逆回動での回動軌跡に沿って回動方向に延びており、両規制部133,153の相対回動(または、ガイド列101および非ガイド列103の屈曲)を阻害しない程度に、プレート規制部133と局部的に摺接可能である(図4(e)、(h))。このように、規制部壁面143とピン接続面166とが接触するまで、ピン接続面166を規制部壁面143に近接させることができるので、規制部壁面143とピン接続面166とが非接触である場合に比べて、ピン150を、ピン接続部156において、大きくすることが可能になる。また、ガイド列101および非ガイド列103が相対的に逆屈曲方向に回動するときに、両規制部133,153は、プレート規制部133とピン接続面166との摺接による抵抗を受けつつ逆屈曲方向へ相対的に回動するので、両当接面144,164が当接するときの衝撃が緩和されて、両当接面144,164の当接に起因する衝突音が低減し、チェーン100の静粛性能を向上させることができる。
両当接面144,164が当接状態にあるときに、第2ピン孔131内で、第2孔周壁面142と外周面162との間には、周方向で両当接面144,164を挟んで、回動用クリアランスC1と、該回動用クリアランスC1の容積よりも小さい容積の規制部間クリアランスC2とが形成される。規制部間クリアランスC2は、規制部壁面143と規制部外面163とにより形成され、ピン150およびインナプレート130の順回動時に両当接面144,164が離隔するときには、規制部間クリアランスC2の容積が増加する(図4(b)、(e)、(h))。
また、第1ピン孔121内に形成される空間Sは、幅方向から見て、順回動および逆回動でのプレート規制部133の相対回動範囲でプレート当接面144と重なる位置にある。そして、前記相対回動範囲において、プレート当接面144が重なる範囲は、規制部間クリアランスC2の容積が増加したときに、空間S内に存在する潤滑油が規制部間クリアランスC2に流入可能である所定範囲であればよい。前記所定範囲は、前記相対回動範囲の一部の範囲であってもよいが、図示の例では、前記一部の範囲を含む相対回動範囲の全範囲である。
図2〜図4を参照して、走行しているチェーン100がスプロケット10に巻き掛かるときの状態を説明する。
図2,図3を参照すると、直線状態のフリースパン部100aにおいては、各第2ピン孔131内で、両規制部133,153は両当接面144,164にて当接していて、プレート規制部133がピン規制部153に対して逆屈曲方向に回動することが阻止されている。このため、ガイド列101および非ガイド列103が相対的に逆屈曲の状態になることが阻止され、逆屈曲量がゼロに規制されている。
そして、直線状態のガイド列101および非ガイド列103のうちで、図4(a)に示されるように、非ガイド列103のインナプレート130Aがガイド列101に対して屈曲を開始すると、ガイド列101において走行方向で前方の第2ピン孔131A(図4(b))内では、回動用クリアランスC1内でプレート規制部133が順屈曲方向に回動し、同時に両当接面144,164(図3)が回動方向に離隔して、インナプレート130Aがスプロケット10に巻き掛かり始める。このとき、ガイド列101において走行方向で後方の第2ピン孔131B(図4(c))内では、両当接面144,164が当接状態にある。
その後、図4(d)および図4(g)に示されるように、順屈曲方向でのチェーン100の屈曲が順次進行し、ガイド列101が順屈曲方向に屈曲して、第2ピン孔131B(図4(i))内で両当接面144,164が回動方向に離隔し、その後、直線状態から順屈曲を開始した非ガイド列103が最大屈曲状態に達して、該非ガイド列103の順屈曲が完了する。
また、チェーン100がスプロケット10から噛外れるときは、プレート規制部133がピン規制部153に対して相対的に回動用クリアランスC1内を逆屈曲方向に回動して、両当接面144,164が当接し、長手方向で隣接するガイド列101および非ガイド列103が直線状態になる。
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
長手方向で隣り合うガイド列101および非ガイド列103が非ガイド列103のインナプレート130の第2ピン孔131に回動方向に回動可能に挿入された単一のピン150により屈曲可能に連結されているチェーン100は、複数のスプロケット10に巻き掛けられる。これにより、該チェーン100は、複数のガイド列101および複数の非ガイド列103が長手方向に1つずつ交互に単一のピン150により屈曲可能に繋がっていて、複数のスプロケット10に巻き掛けられて走行する。
そして、インナプレート130のプレート規制部133とピン150のピン規制部153とが回動方向で当接することにより、ガイド列101および非ガイド列103が直線状態から逆屈曲方向へ屈曲する逆屈曲の逆屈曲量が規制される。
これにより、互いに当接しているプレート規制部133およびピン規制部153がガイド列101および非ガイド列103の逆屈曲量を規制するので、弦振動の発生が抑制されて、該弦振動に起因する騒音を低減することができる。そして、この逆屈曲量の規制は、互いに相対回動するプレート規制部133およびピン規制部153の回動方向での当接により行われるので、摩擦力の利用により逆屈曲量が規制される場合に比べて、逆屈曲量の規制に伴うチェーン100での摩擦損失を低減することができ、また、逆屈曲量の規制に伴うチェーン構成部品の摩耗が低減するため、チェーン100の耐久性を向上させることができる。
しかも、プレート規制部133およびピン規制部153は、インナプレート130および該インナプレート130の第2ピン孔131に回動可能に挿入されるピン150を利用してそれぞれ設けられるので、インナプレート130およびピン150に対して各規制部133,153が設けられる回動方向位置の選択の自由度が大きくなる。このため、回動方向での両規制部133,153の配置の自由度が大きくなり、逆屈曲規制機能を有するチェーン100の設計の自由度を大きくすることができる。
また、第2ピン孔131には1つのピン150のみが挿入されるだけであるので、第2ピン孔131の小径化が可能になるため、チェーンピッチを小さくして、逆屈曲規制機能を有するチェーン100の小型化を容易化することができ、さらに、ピン150の数および組付工数が削減されるため、チェーン100のコストを削減することができる。
インナプレート130の、第2ピン孔131を形成している第2孔周壁132が、第2ピン孔131の輪郭を規定する第2孔周壁面142を有し、ピン150の外周部152が、ピン150の外周の輪郭を規定する外周面162を有し、プレート規制部133が第2孔周壁面142の一部であるプレート当接面144を有し、ピン規制部153が、外周面162の一部であるピン当接面164を有し、プレート当接面144とピン当接面164とが当接することにより逆屈曲量が規制される。
これにより、プレート規制部133およびピン規制部153が第2ピン孔131内に位置するので、各規制部133,153が第2ピン孔131の外部、例えば、インナプレート130におけるプレート外周面や幅方向に面するプレート側面に設けられる場合に比べて、インナプレート130の小型化が可能になり、逆屈曲規制機能を有するチェーン100の小型化・軽量化を容易化することができる。
第2孔周壁面142が、第2ピン孔中心線L2を中心とするプレート円弧面145を有し、外周面162が、ピン中心線L0を中心とするピン円弧面165を有し、プレート円弧面145およびピン円弧面165が、ガイド列101および非ガイド列103が順屈曲方向および逆屈曲方向に相対的にピン中心線L0を中心に回動するときに摺接し、プレート円弧面145およびピン円弧面165の横断面形状が、第2ピン孔中心線L2を中心とするプレート仮想円149およびピン中心線L0を中心とするピン仮想円169のそれぞれの円弧であり、横断面において、第2孔周壁面142の全体および外周面162の全体がプレート仮想円149以内に位置する。
これにより、第2ピン孔131が、インナプレート130とピン150との相対回動に必要なプレート円弧面145の半径により規定されるプレート仮想円149以内に収まる大きさになるので、プレート規制部133または第2孔周壁面142の一部がプレート仮想円149の外部に位置する場合に比べて、第2ピン孔131が小さくなるため、インナプレート130の強度が向上し、インナプレート130の耐久性、ひいてはチェーン100の耐久性を向上させることができる。
また、プレート規制部133は、第2ピン孔131内でピン規制部153と回動方向で当接することになるため、プレート円弧面145よりも径方向内方に位置することになるので、プレート規制部133によりインナプレート130の強度を向上させることができる。
外周面162が、プレート規制部133の相対回動を許容する回動用クリアランスC1を、第2孔周壁面142との間に形成するピン接続面166を有し、ピン規制部153が、ピン接続面166に対して突出している。
これにより、ピン規制部153がピン接続面166よりも突出している分、該ピン規制部153を利用してピン150の強度を向上させることができるので、ピン150の耐久性、ひいてはチェーン100の耐久性を向上させることができる。
ピン150が、ミドルプレート120の第1ピン孔121に、外周面162との間に空間Sを形成して挿通され、空間Sが、幅方向から見て、プレート規制部133の相対回動範囲でプレート当接面144と重なる位置にある。
これにより、インナプレート130およびミドルプレート120の幅方向隙間に侵入した後に空間Sに流入した潤滑油が、両当接面144,164が離隔しているときに、インナプレート130の第2ピン孔131内で両屈曲規制部間に形成される規制部間クリアランスC2に流入して、両当接面144,164に供給され得るので、空間Sから供給される潤滑油により両当接面144,164での摩耗が低減して、サイレントチェーン100の耐久性を向上させることができる。
また、両規制部133,153が回動方向で互いに接近するときに、規制部間クリアランスC2に流入した潤滑油を排出するための抵抗により、および、両当接面144,164に付着している油膜により、両当接面144,164の当接時の衝撃が緩和されるので、該当接に起因する衝突音が低減し、チェーン100の静粛性能を向上させることができる。
プレート規制部133が、第2ピン孔131の中央側でピッチ面Ppと交わる位置にあることにより、逆屈曲を規制するプレート規制部133を利用して、チェーン張力によりピッチ面Ppと第2孔周壁132との交差部に発生する引張り応力を低減することができるので、インナプレート130の疲労強度を向上させることができる。また、チェーン張力によりプレート規制部133の周方向端部133a,133bに応力集中が発生しやすくなるので、その分、元来、応力集中が発生しやすい中央面P3付近(すなわち、クロッチ部)や第2孔周壁面142付近の第2孔周壁132における長手方向中央付近に発生する応力が分散されるので、この点でも、インナプレート130の疲労強度を向上させることができる。
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
プレート規制部133およびピン規制部153は、それぞれ第2孔周壁132および外周部152において、前記実施例以外の周方向位置(または、回動方向位置)に設けられる場合の例として、図2に二点鎖線で示されるように、プレート規制部133が、横断面で外フランクまたは内フランクとプレート仮想円149との距離が最小となる部分に設けられる(図2には、一例として、内フランク138aとプレート仮想円149(図3)との距離が最小となる部位に設けられるプレート規制部133が二点鎖線で示されている。)ことにより、桟幅(図2では、桟幅W)が大きくなるので、インナプレート130の強度を向上させることができる。
また、別の例として、プレート規制部133が、第2孔周壁132において、チェーン張力に起因する引張り応力が発生する部位に設けられてもよい。
プレート規制部133は、第2孔周壁面142とは無関係に、プレート側面(例えば、第2孔周壁132における幅方向での凹部)に設けられてもよく、その場合に、ピン規制部153は、第2ピン孔131の外部に設けられる。
規制部壁面143が凸面(または凹面)であり、規制部外面163が凹面(または凸面)であってもよい。
プレート規制部133は、第2孔周壁132部において反中央側に位置していてもよい。この場合に、例えば、両当接面144,164は屈曲側に位置し、回動用クリアランスC1は反屈曲側に位置する。
プレート円弧面145またはピン円弧面165の横断面形状が、周方向で2以上に分断された複数の円弧である場合に、該複数の円弧が、前述の優弧の周方向長さに相当する周方向長さを有していてもよい。
第2孔周壁面142の一部、例えば規制部壁面143またはプレート接続面146は、プレート仮想円149の外部に位置していてもよい。また、外周面162の一部、例えば規制部外面163またはピン接続面166は、ピン仮想円169またはプレート仮想円149の外部に位置していてもよい。
ピン接続面166は、順回動および逆回動での回動過程のプレート規制部133と常に非接触であってもよい。
弦振動が抑制されることを前提として、両当接面144,164の当接により設定される逆屈曲量は、ゼロ以外の値であってもよい。
チェーンは、第1リンクが1対の保持プレートとしての1対のアウタプレートを有し、第2リンクが1対のインナプレートを有し、ピンが、1対のインナプレートの間で、円形の横断面形状を有すると共にローラを回転可能に支持するローラチェーンでもよい。
10 ・・・スプロケット
11 ・・・スプロケット歯
100・・・サイレントチェーン
100a・・・フリースパン部
101・・・ガイド列
103・・・非ガイド列
110・・・ガイドプレート
111・・・保持孔
112・・・孔周壁
120・・・ミドルプレート
121・・・第1ピン孔
122・・・第1孔周壁
123・・・第1孔周壁面
124・・・接触面
125・・・非接触面
128・・・歯部
130,130A・・・インナプレート
131,131A,131B・・・第2ピン孔
132・・・第2孔周壁
133・・・プレート逆屈曲規制部
133a,133b・・・周方向端部
135・・・プレート円弧部
136・・・プレート接続部
138・・・歯部
138a・・・内フランク
142・・・第2孔周壁面
143・・・規制部壁面
144・・・プレート当接面
145・・・プレート円弧面
146・・・プレート接続面
149・・・プレート仮想円
150・・・ピン
152・・・外周部
153・・・ピン逆屈曲規制部
155・・・ピン円弧部
156・・・ピン接続部
162・・・外周面
163・・・規制部外面
164・・・ピン当接面
165・・・ピン円弧面
166・・・ピン接続面
169・・・ピン仮想円
B ・・・逆屈曲規制部
C1 ・・・回動用クリアランス
C2 ・・・規制部間クリアランス
L0 ・・・ピン中心線
L1 ・・・第1ピン孔中心線
L2 ・・・第2ピン孔中心線
P1,P2,P3・・・中央面
Pp ・・・ピッチ面
S ・・・空間
W ・・・桟幅

Claims (5)

  1. 複数の第1リンクと複数の第2リンクと複数のピンとを備え、前記第1リンクが1対の保持プレートを有し、前記第2リンクが幅方向で1対の前記保持プレートの間に配置される1以上のインナプレートを有し、長手方向で隣り合う前記第1リンクおよび前記第2リンクが、前記インナプレートのピン孔に回動方向に回動可能に挿入されると共に前記1対の保持プレートに回動を規制された状態で保持される単一の前記ピンにより屈曲可能に連結されていて、1以上のスプロケットに巻き掛けられて走行可能なチェーンにおいて、
    前記インナプレートが、プレート逆屈曲規制部を有し、
    前記ピンが、前記プレート逆屈曲規制部と当接可能なピン逆屈曲規制部を有し、
    前記プレート逆屈曲規制部と前記ピン逆屈曲規制部とが前記回動方向で当接することにより、前記第1リンクおよび前記第2リンクが長手方向に一直線状に連なる直線状態から前記スプロケットに巻き掛かるときの順屈曲方向とは逆の逆屈曲方向へ前記直線状態から屈曲する逆屈曲の逆屈曲量が規制されることを特徴とするチェーン。
  2. 請求項1に記載のチェーンであって、
    前記インナプレートにおいて前記ピン孔を形成している孔周壁が、前記ピン孔の輪郭を規定する前記孔周壁面を有し、
    前記ピンの外周部が、前記ピンの外周の輪郭を規定する外周面を有し、
    前記プレート逆屈曲規制部が前記孔周壁面の一部であるプレート当接面を有し、
    前記ピン逆屈曲規制部が、前記外周面の一部であるピン当接面を有し、
    前記プレート当接面と前記ピン当接面とが当接することにより前記逆屈曲量が規制されることを特徴とするチェーン。
  3. 請求項2に記載のチェーンであって、
    前記孔周壁面が、前記ピン孔のピン孔中心線を中心とするプレート円弧面を有し、
    前記外周面が、前記ピンのピン中心線を中心とするピン円弧面を有し、
    前記プレート円弧面および前記ピン円弧面が、前記第1リンクおよび前記第2リンクが前記順屈曲方向および前記逆屈曲方向に相対的に前記ピン中心線を中心に回動するときに摺接し、
    前記プレート円弧面および前記ピン円弧面の横断面形状が、前記ピン孔中心線を中心とするプレート仮想円および前記ピン中心線を中心とするピン仮想円のそれぞれの円弧であり、
    横断面において、前記孔周壁面の全体が前記プレート仮想円以内に位置することを特徴とするチェーン。
  4. 請求項2または請求項3に記載のチェーンであって、
    前記外周面が、前記プレート逆屈曲規制部の相対回動を許容する回動用クリアランスを、前記孔周壁面との間に形成するピンクリアランス形成面を有し、
    前記ピン逆屈曲規制部が、前記ピンクリアランス形成面に対して突出していることを特徴とするチェーン。
  5. 潤滑油雰囲気に配置されるサイレントチェーンである請求項2から請求項4のいずれか1つに記載のチェーンであって、
    前記保持プレートがガイドプレートであり、
    前記第1リンクが、1対の前記ガイドプレートの間で前記インナプレートに幅方向で隣り合って配置される1以上のミドルプレートを有し、
    前記ピンが、前記ミドルプレートのピン孔に、前記外周面との間に空間を形成して挿通され、
    前記空間が、幅方向から見て、前記プレート逆屈曲規制部の相対回動範囲で前記プレート当接面と重なる位置にあることを特徴とするチェーン。
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