JP6112719B2 - ローラチェーン - Google Patents
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Description
このローラチェーンは、例えば伝動チェーンとして使用され、例えば自動車のエンジンのタイミング用伝動装置に備えられる。
このチェーン500において、幅方向でのチェーン500の振れなどに起因して、チェーン500のチェーン幅中心位置Pcとスプロケット歯511のスプロケット幅中心位置Psとがずれる状態(以下、「幅方向位置ズレ」という。)が発生することがある。そして、この幅方向位置ズレにより、スプロケット歯511が1対の内プレート520の間に進入を開始する噛合い状態の開始時に、スプロケット歯511と一方の内プレート520の内側面525とが干渉することがある。
また、スプロケット歯511と内プレート520との衝突時に、1対の内プレート520には偏荷重が衝撃的に作用して、チェーン500が長手方向回りに捩れることがある。この捩れは、内プレート520や外プレート510などに捩れ応力を発生させて、それらプレート510,520の疲労強度を低下させる原因になる。
さらに、スプロケット歯511と内プレート520の内側面525との間の摩擦により、スプロケットとチェーン500との間での動力損失が増大して、チェーン500の動力伝達性能が低下する問題があった。
また、フランジが回転することから、フランジにおけるスプロケット歯との接触部位がフランジの全体に周方向に亘って分散されるので、フランジにおける摩耗が集中的進行する部位の発生が防止されるため、この点でもフランジの耐久性、ひいては該フランジを備えるローラチェーンの耐久性を向上させることができる。
さらに、噛合い状態の開始時にスプロケット歯が案内面に接触するとき、フランジは、スプロケットが案内面に衝突するときの衝撃により回転するため、スプロケット歯が内プレートに衝突する場合に比べて、ローラチェーンに与える衝撃を緩和することができる。
そして、これらの効果は、最小隙間が外径差以下であることで、一層高められる。
本発明のローラチェーンは、例えば、伝動チェーンでもよいし、搬送チェーンでもよい。そして、本発明のローラチェーンは、機械、例えば搬送機械、産業機械、または、車両の動力装置(例えば、エンジン)に使用され得る。
図1を参照すると、本発明の実施例において、伝動用チェーンとしてのローラチェーン(以下、「チェーン」という。)100は、複数の外リンク101と、複数の内リンク102と、複数のローラ130とを備え、すべての外リンク101および内リンク102が長手方向に交互に屈曲中心線Cを中心に屈曲可能に連結されている無端のチェーンである。
図2を併せて参照すると、チェーン100は、該チェーン100が巻き掛けられる複数のスプロケット10(そのうちの1つのスプロケット10の一部が、図2に示されている。)を有するスプロケット機構、および、長手方向に走行しているチェーン100を案内するチェーンガイド(図示されず)と共に、チェーン伝動装置を構成する。
内リンク102および該内リンク102に保持されるローラ130は、チェーン100の内ユニット103を構成する。
そして、直線状態にあるチェーン100において、外リンク101、内リンク102およびローラ130は、基本的に、幅方向中心面Pwを対称面として面対称に構成される部材である。
また、径方向および周方向は、それぞれ、ピン112または屈曲中心線Cを中心とする径方向および周方向である。
1対の案内面134の、幅方向間隔Aは、噛合い部131から径方向外方に向かって連続的に大きくなる。このため、案内面134の外径が大きくなるにつれて、幅方向間隔Aは大きくなる。
一方、スプロケット歯11において、案内面134と接触し得る歯側面12の径方向断面形状は、幅方向に凸状の円弧状である。
また、径方向断面は、案内面134に関しては、屈曲中心線Cまたはローラ130の中心軸線を含む平面での断面であり、スプロケット歯11の歯側面12に関しては、スプロケット10の回転中心線を含む平面での断面である。
そして、径方向断面での案内面134の曲率半径Rfは、径方向断面でのスプロケット歯11の歯側面12の曲率半径Rsよりも大きい。
長手方向で隣り合うフランジ132同士の最小間隔S(図2)は、フランジ132の外径Deと噛合い部131の外径Drとの外径差E以下であり、ここでは、該外径差Eよりも小さい。
この噛合い状態の開始時にスプロケット歯11が案内面134に接触するとき、フランジ132は、スプロケット10が案内面134に衝突するときの衝撃により回転するので、スプロケット歯が内プレート120に衝突する場合に比べて、チェーン100に与える衝撃が緩和される。
チェーン100において、1対の外プレート110が1対のピン112により連結されている外リンク101と、1対の内プレート120が1対のブシュ122により連結されている内リンク102とは、ローラ130を回転可能に支持しているブシュ122を回動可能に支持しているピン112により、屈曲可能に連結されている。
これにより、スプロケット10に巻き掛けられたチェーン100は、スプロケット10の回転に伴って、幅方向で1対の外プレート110の間および1対の内プレート120の間に交互に進入するプロケット歯がローラ130と噛み合うことで、長手方向に走行することができる。
これにより、スプロケット歯11とチェーン100との間に、スプロケット幅中心位置Psとチェーン幅中心位置Pcとがずれる幅方向位置ズレが発生した場合に、スプロケット歯11がフランジ132に衝突すると、該衝突時の衝撃によりフランジ132が回転するので、該衝撃が緩和される。このため、該衝突に起因するフランジ132の摩耗、衝突音、および、スプロケット歯11とチェーン100との間の摩擦が低減し、さらに、内プレート120や外プレート110の捩れが減少して、それらプレート110,120に発生する捩れ応力が低減する。この結果、フランジ132における摩耗の低減と、フランジ132によりスプロケット歯11との干渉から保護される1対の内プレート120の内側面125の摩耗防止と、内プレート120や外プレート110の疲労強度の向上とにより、フランジ132および内プレート120(すなわち、内リンク102ユニット)や外プレート510の耐久性、ひいてはチェーン100の耐久性を向上させることができ、また、衝突音の低減によりチェーン100の静粛性能を向上させることができ、さらに、スプロケット歯11とチェーン100との間の摩擦の低減による動力損失の減少によりチェーン100の動力伝達性能を向上させることができる。
そして、これらの効果は、最小隙間が外径差E以下であることで、一層高められる。
案内面134は、単一の傾斜角または複数の傾斜角を有するテーパ面であってもよし、その径方向断面形状が幅方向に凸状の円弧状である回転面であってもよい。
案内面134の外径Dfは、チェーン100のプレート高さHよりも小さくてもよい。
101・・・外リンク
102・・・内リンク
110・・・外プレート
112・・・ピン
120・・・内プレート
122・・・ブシュ
125・・・内側面
130・・・ローラ
131・・・噛合い部
132・・・フランジ
134・・・案内面
Df,Ds・・・外径
E ・・・外径差
P ・・・チェーンピッチ
Pc ・・・チェーン幅方向位置
Ps ・・・スプロケット幅中心位置
Rf,Rs・・・曲率半径
S ・・・最小間隔
Claims (5)
- 複数の外リンクと、複数の内リンクと、スプロケットのスプロケット歯と噛合い可能な複数のローラとを備え、1対の外プレートが1対のピンにより連結されている前記外リンクと、幅方向で1対の前記外プレートの間に配置されている1対の内プレートが1対のブシュにより連結されている前記内リンクとが、幅方向で前記1対の内プレートの間に配置されている前記ローラを回転可能に支持している前記ブシュを回動可能に支持している前記ピンにより、屈曲可能に連結されているローラチェーンにおいて、
前記ローラが、前記スプロケット歯と噛合い可能な噛合い部と、幅方向で前記噛合い部を挟んで離隔している1対のフランジとを有し、
前記1対のフランジが、チェーン幅中心位置を挟んで幅方向で対向する1対の案内面をそれぞれ有し、
前記案内面の外径が、前記内プレートのプレート高さよりも大きく、
前記案内面が、前記スプロケットの回転につれて前記チェーン幅中心位置が前記スプロケット幅中心位置に接近して前記スプロケット歯が前記案内面と接触することにより前記ローラを介して前記1対の内プレートを幅方向に移動させる面形状であることを特徴とするローラチェーン。 - 長手方向で隣り合う前記フランジ同士の最小間隔が、前記フランジと前記噛合い部との外径差以下であることを特徴とする請求項1記載のローラチェーン。
- 前記案内面の径方向断面形状が、円弧状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラチェーン。
- 前記案内面の径方向断面形状が、凹状の円弧状であることを特徴とする請求項3に記載のローラチェーン。
- 前記ローラの案内面と接触し得る前記スプロケット歯の歯側面における径方向断面形状が、円弧状であり、
前記ローラの案内面における径方向断面の曲率半径が、前記スプロケット歯の歯側面における径方向断面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のローラチェーン。
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