JP2008298093A - サイレントチェーン伝動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイレントチェーンとスプロケットホイールの噛み合い時に発生する騒音を一層低減することができるサイレントチェーン伝動装置を提供する。
【解決手段】サイレントチェーン2とスプロケットホイール3とを備えるサイレントチェーン伝動装置1において、サイレントチェーン2のリンクプレート20は、前後一対のリンク歯21の互いに対向する内側フランク21bの先端寄りの部分に、円弧状の凹部21dがそれぞれ形成されており、スプロケットホイール3は、各歯部31の少なくとも一部がサイクロイド歯形で構成され、このサイクロイド歯形部分において一方のリンク歯21と滑り接触しながら、他方のリンク歯21と当接するように構成されているとともに、スプロケットホイール3のピッチPsは、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφよりも小さいことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、サイレントチェーンとスプロケットホイールの噛み合い時に発生する騒音を低減することができるサイレントチェーン伝動装置に関する。
サイレントチェーン伝動装置は、一対のリンク歯と一対の連結孔を備えたリンクプレートを連結ピンで無端状に多数連結したサイレントチェーンと、このサイレントチェーンの各リンク歯と噛み合う所定個数の歯部を有するスプロケットホイールとを備え、サイレントチェーンの各リンク歯とスプロケットホイールの各歯部が噛み合うことにより駆動側スプロケットホイールの動力を従動側スプロケットホイールに伝達する装置である。
サイレントチェーン伝動装置は、例えば、自動車のエンジンのクランクシャフトとカムシャフトの間の動力伝達機構として広く用いられている。
サイレントチェーンに関しては、スプロケットホイールとの噛み合い時に発生する騒音を低減するために、様々な改良が成されている。例えば、特許文献1には、サイレントチェーンを構成するリンクプレートの一対のリンク歯に透孔や切り欠きを形成し、このリンク歯とスプロケットホイールの歯部が噛み合う際に、リンク歯を弾性変形させることで衝撃を緩衝し、噛み合い騒音を低減させることが記載されている。
特開2000−329199号公報(段落0018−段落0019、図1−図8)
近年、サイレントチェーン伝達装置には、さらなる静粛性が求められている。
しかしながら、リンク歯を弾性変形させることによる騒音低減効果には、リンク歯の強度の関係から限界があった。
本発明は、かかる事情に鑑みて創案されたものであり、サイレントチェーンとスプロケットホイールの噛み合い時に発生する騒音を一層低減することができるサイレントチェーン伝動装置を提供することを課題とする。
本発明に係るサイレントチェーン伝動装置は、チェーン走行方向に沿って前後一対のリンク歯と前後一対の連結孔とを有する複数のリンクプレートが相互に重ね合わされつつ前記連結孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されてなるサイレントチェーンと、前記リンク歯と噛み合う複数の歯部を有するスプロケットホイールと、を備えるサイレントチェーン伝動装置において、前記リンクプレートは、前記前後一対のリンク歯の互いに対向する内側フランクの先端寄りの部分に、円弧状の凹部がそれぞれ形成されており、前記スプロケットホイールは、前記各歯部の少なくとも一部がサイクロイド歯形で構成され、このサイクロイド歯形部分において一方の前記リンク歯と滑り接触しながら、他方の前記リンク歯と当接するように構成されているとともに、前記スプロケットホイールのピッチPsは、前記サイレントチェーンのチェーンピッチPφよりも小さいことを特徴とする。
ここで、「スプロケットホイールのピッチPs」は、歯形を創成するラックのピッチに等しい。つまり、本発明のスプロケットホイールは、ピッチ幅がPsのラックにより創成される歯形形状を呈している(図3参照)。また、「サイレントチェーンのチェーンピッチPφ」は、リンクプレートの連結孔同士の間隔Plと、連結孔と連結ピンとのクリアランスCとの和をいう(図4(a)参照)。
かかる構成によれば、スプロケットホイールのピッチPsが、サイレントチェーンのチェーンピッチPφよりも小さく構成されているので、サイレントチェーンの前後一対のリンク歯が、スプロケットホイールの歯部に段階的に接触することとなる。さらに、スプロケットホイールの歯部のうちリンク歯に接触する部分がサイクロイド形状に形成されているので、先に接触したサイレントチェーンのリンク歯が、スプロケットホイールの歯部に対して滑り接触することとなる。
つまり、スプロケットホイールの回転に伴い、一方のリンク歯が、一の歯部のサイクロイド歯形部分に、他方のリンク歯に先行して接触する。そして、スプロケットホイールがさらに回転すると、一方のリンク歯と一の歯部のサイクロイド歯形部分とが滑り接触しながら、他方のリンク歯が他の歯部に接触し、リンクプレートが着座する。そのため、着座時の衝撃を予め吸収した上でリンクプレートをスプロケットホイールに着座させて、騒音を低減することができる。
また、前後一対のリンク歯の互いに対向する内側フランクの先端寄りの部分に、円弧状の凹部がそれぞれ形成されているので、リンク歯の剛性が小さくなり、リンク歯の弾性変形が容易になる。そのため、スプロケットホイールの歯部にリンク歯が接触する際の衝撃を緩和することができる。
また、前記連結孔は、前記連結ピンに対してクリアランスCを有し、前記スプロケットホイールのピッチPsは、前記サイレントチェーンのチェーンピッチPφよりもクリアランスC以上クリアランスCの2倍以下の範囲で小さいように構成するのが好ましい。
つまり、スプロケットホイールのピッチPsがサイレントチェーンのチェーンピッチPφよりも小さければ、リンク歯はスプロケットホイールの歯部に段階的に接触するが、リンクプレートのリンク歯とスプロケットホイールの歯部とが滑り接触する距離及び時間が短すぎると騒音低減効果が十分に発揮されない。また、スプロケットホイールのピッチPsをサイレントチェーンのチェーンピッチPφよりも小さくするほど、両者が滑り接触する距離及び時間が長くなり、騒音低減効果が向上するが、小さくし過ぎると、サイレントチェーンがスプロケットホイールに上手く巻き付かなくなる。
そこで、サイレントチェーンのチェーンピッチPφとスプロケットホイールのピッチPsとの差Pφ−PsをクリアランスC以上クリアランスCの2倍以下の範囲にすれば、騒音を低減しつつ、サイレントチェーンをスプロケットホイールに確実に巻きつけることができる。
また、前記スプロケットホイールは、前記各歯部の歯元に凹部が形成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、スプロケットホイールの歯元に凹部が形成されているので、歯元の厚さ寸法が小さくなって歯部が弾性変形し易くなり、リンクプレートのリンク歯とスプロケットホイールの歯部とが接触する際の衝撃を、スプロケットホイールの歯部が撓むことで吸収して、騒音の発生を抑制することができる。なお、歯元の厚さ寸法を、リンク歯と当接する位置における前記歯部の厚さ寸法よりも小さくすると、歯部の撓み効果が確実に発揮され、好ましい。
本発明によれば、リンクプレートの着座時の衝撃を和らげ、サイレントチェーンとスプロケットホイールの噛み合い時に発生する騒音を一層低減することができるサイレントチェーン伝動装置を提供することができる。
本発明を実施するための最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。説明において、方向をいう場合は、図1の右方向をチェーン走行方向前側とし、図1の左方向をチェーン走行方向後側として説明する。
図1は、本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置の部分拡大図である。
本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置1は、サイレントチェーン2と、このサイレントチェーン2が巻き掛けられる駆動側スプロケットホイール3及び従動側スプロケットホイール(図示省略)と、から構成されている。駆動側スプロケットホイール3は、従動側スプロケットホイールに対して間隔を隔てて配置されている。
なお、駆動側スプロケットホイール3と従動側スプロケットホイールとは、略同じ構成を有することから、ここでは、駆動側スプロケットホイール3(以下、単に「スプロケットホイール3」という)について説明し、従動側スプロケットホイールの説明は省略する。
図1に示すように、サイレントチェーン2は、駆動側スプロケットホイール3の回転を従動側スプロケットホイールに伝達するチェーンであり、複数のリンクプレート20と、このリンクプレート20同士を連結する連結ピン4とを主に備えている。サイレントチェーン2は、複数のリンクプレート20を相互に重ね合わせながら連結ピン4で無端状に連結して構成されている。サイレントチェーン2は、リンクプレート20に形成された一対のリンク歯21で、スプロケットホイール3と噛み合うようになっている。
図2(a)は、リンクプレートの形状を示す図であり、図2(b)は連結ピンの形状を示す図である。
図2(a)に示すように、リンクプレート20は、前後(図2の左右)対称の構造を呈する金属製のプレートである。リンクプレート20は、チェーン走行方向に沿って、前後一対のリンク歯21と、前後一対の連結孔22と、を備えている。
リンク歯21は、スプロケットホイール3と噛み合う部分であり、リンクプレート20の一方の側部から略山形状に突出形成されている。リンク歯21の外側フランク21aは、スプロケットホイール3と接触・当接する部分であり、例えば直線状又は曲線状の傾斜面に形成されている。リンク歯21の内側フランク21bは、その先端部21c寄りの部分に、円弧状の凹部21dが形成されている。これにより、リンク歯21の剛性が小さくなるので、リンク歯21の弾性変形が容易になる。なお、リンク歯21の内側フランク21bから外側フランク21aにかけては、滑らかに連続する径の異なる複数の円弧で構成されている。
連結孔22は、連結ピン4を挿通するための円形の貫通孔である。連結孔22の周縁部は、例えば浸炭処理によって硬度及び剛性が高められており、変形し難くなっている。
図2(b)に示すように、連結ピン4は、複数のリンクプレート20を相互に連結するための部材であり、円柱状を呈している。連結ピン4の外径d2は、連結孔22の内径d1よりもクリアランスCだけ小さく形成されている。すなわち、d1−d2=Cとなる。
なお、本実施形態においては、連結孔22を円形に形成したが、連結孔22の形状は円形に限定されるものではない。例えば、連結孔22を小判型や楕円形に形成してチェーン走行方向にのみクリアランスCを設けるようにしてもよい。
図1に示すように、スプロケットホイール3は、略円盤状の部材であり、その外周部にサイレントチェーン2の各リンク歯21と係合する複数の歯部31を有している。
各歯部31は、スプロケットホイール3の外周部から径方向外側に向かって突出形成されている。歯部31の側部32は、サイレントチェーン2のリンク歯21と当接する部分であり、いわゆるサイクロイド形状を呈するサイクロイド歯形に形成されている。そのため、サイクロイド歯形部分が一対のリンク歯に段階的に接触し、サイレントチェーン2との接触時における騒音が低減される。サイクロイド歯形は、例えば、所望のサイクロイド形状に切削加工したキャビティを金型に形成し、該キャビティに金属粉末を充填して押し固める粉末冶金法によって製造することができる。
なお、歯部31は、リンク歯21が当接し着座するまでにリンク歯21とすべり接触する部分をサイクロイド歯形とするが、それ以外の部分は、リンクプレート20の巻き付きを阻害しない形状であればどのような形状であってもよい。滑り接触する部分以外は、設計の容易さの点からインボリュート形状とするのが好ましい。
また、歯部31の側部32のうち、サイクロイド歯形とする部分の長さは、滑り接触時に着座時の衝撃を吸収できる長さであればよく、着座までの途中で他の歯形形状としてもよい。このとき、サイクロイド歯形部分と他の歯形形状とする部分とは、滑りを円滑にするために、連続的に滑らかに形成するのが好ましい。
歯部31の歯元には、凹部33が形成されている。歯部31の歯元の厚さ寸法は、凹部33によって、凹部33が形成されなかった場合よりも小さくなっている。これにより、歯部31が弾性変形し易くなる。
スプロケットホイール3のピッチPsは、後記するサイレントチェーン2のピッチPφよりも小さくなるように構成されている。
ここで、スプロケットホイール3のピッチPsについて図3を参照して説明する。
図3(a)は、スプロケットホイールを創成するためのラックを示す図であり、(b)はラックによってスプロケットホイールを創成している状態を示す図である。
図3(a)に示すように、ラック5は、スプロケットホイール3を創成するためのカッタである。ラック5のピッチPsは、創成すべきスプロケットホイール3のピッチPsに等しいものを用いる。
図3(b)に示すように、ラック5の基準ピッチ線P1と、スプロケットホイール3の基準ピッチ円P2との間に滑りのない転がり運動をさせることにより、スプロケットホイール3’の歯部31’が創成される。これにより、ラック5のピッチPsがスプロケットホイール3に転写されるので、両者のピッチPsが等しくなる。
このあと、スプロケットホイール3’の歯部31’の歯元に凹部33を形成することにより、スプロケットホイール3が完成する。
図4は、サイレントチェーンのピッチを説明するための図であり、(a)はリンクプレートが前後に伸ばされた状態、(b)は前後のリンクプレートの連結孔の中心が一致した状態、(c)はリンクプレートが前後から押された状態、をそれぞれ示している。なお、以下の説明において、前側のリンクプレート20Aと後側のリンクプレート20Bとを区別しない場合には、単に「リンクプレート20」という場合がある。また、図4においては、説明の都合上、連結ピン4を極端に小径に描いている。
図4(a)に示すように、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφは、サイレントチェーン2が直線状に伸ばされた状態における、前側のリンクプレート20Aの一点(例えば連結孔22Aaの中心点)と、後側のリンクプレート20Bの対応する一点(連結孔22Baの中心)と、の間隔である。
したがって、リンクプレート20単体の連結孔22同士の間隔をPl(以下、「リンクプレート20のピッチPl」という),連結孔22の内径d1と連結ピン4の外径d2のクリアランスをCとすると、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφは、
Pφ=Pl+C ・・・・ 式(1)
となる。
また、図4(c)に示すように、リンクプレート20A,20Bを互いに近付け合った状態におけるサイレントチェーン2のチェーンピッチPφ’は、リンクプレート20のピッチPlからクリアランスCを引いた値、すなわち、
Pφ’=Pl−C ・・・・ 式(2)
まで、小さくなることができる。
これを踏まえると、サイレントチェーン2がスプロケットホイール3に巻き付くことができる最小のスプロケットホイール3のピッチPsは、
Pl−C≦Ps ・・・・ 式(3)
となる。
よって、スプロケットホイール3のピッチPsは、式(1)、(3)より、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφよりもクリアランスCの2倍の範囲まで小さくすることができる。この関係を式で表すと、
Pφ−2C≦Ps ・・・・ 式(4)
となる。
なお、図4(b)に示すように、前側のリンクプレート20Aの後側の連結孔22Abの中心と、後側のリンクプレート20Bの前側の連結孔22Baの中心と、が一致している場合におけるサイレントチェーン2のチェーンピッチPφ”は、リンクプレート20のピッチPlに一致する。
一方、リンクプレート20がスプロケットホイール3に着座する時の衝撃吸収の効果を確実に得るためには、リンクプレート20のリンク歯21がスプロケットホイール3の歯部31の側部32に設けたサイクロイド歯形部分上を滑り接触する距離をある程度確保することが好ましく、そのためには、スプロケットホイール3のピッチPsを、リンクプレート20のピッチPl以下とするのが好ましい。この関係を式で表すと、
Ps≦Pl ・・・・ 式(5)
となる。
以上のことから、スプロケットホイール3のピッチPsと、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφと、クリアランスCとの関係を式で表すと、前記した式(1)、(4)、(5)より、
Pφ−2C≦Ps≦Pφ−C ・・・・ 式(6)
となる。すなわち、スプロケットホイール3のピッチPsは、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφよりも、クリアランスC以上クリアランスCの2倍以下の範囲で小さくするのが好ましい。なお、Pφ−2C≦Ps≦Pφ−1.5Cとすれば、騒音低減効果を確実に発揮することができるため、さらに好ましい。
以上、本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置1によれば、スプロケットホイール3のピッチPsが、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφよりも小さく、かつ、スプロケットホイール3の歯部31の側部32がサイクロイド歯形に形成されているので、リンクプレート20の前後一対のリンク歯21がサイクロイド歯形部分に段階的に接触するとともに、一対のリンク歯21,21のうち、スプロケットホイール3の歯部31に先行して接触したリンク歯21が、サイクロイド歯形部分と滑り接触することとなる。そのため、リンクプレート20の着座時の衝撃を予め吸収して和らげることができる。
また、スプロケットホイール3のピッチPsを、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφよりもクリアランスC以上クリアランスCの2倍以下の範囲で小さくするほど、サイクロイド歯形部分に、リンクプレート20の後側のリンク歯21の外側フランク21aが早く接触することとなる。そのため、サイクロイド歯形部分とリンク歯21とが滑り接触する距離が長くなり、前側のリンク歯21の外側フランク21aが着座する際の衝撃を予め十分に吸収することができる。
さらに、本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置1は、リンクプレート20のリンク歯21の内側フランク21bに円弧状の凹部が形成されているので、リンクプレート20が歯部31に接触する際に弾性変形して、衝撃を吸収することができる。そのため、リンクプレート20の着座時の騒音を低減することができる。
つづいて、サイレントチェーン伝動装置1の動作について、図5乃至図12に示す実施例を参照して説明する。図5は、実施例1に用いるスプロケットホイールの歯部の寸法を示す図面である。図6は、実施例1に用いるリンクプレートの寸法を示す図面である。図7、図8、図9は、実施例1に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。図10、図11、図12は、実施例2に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。
<実施例1>
実施例1では、サイレントチェーン2のチェーンピッチPφを8.06mmに設定するとともに、スプロケットホイール3のピッチPsを7.94mmに設定した。また、リンクプレートのピッチPlを8.00mmに設定するとともに、連結孔22と連結ピン4とのクリアランスCを0.06mmに設定した。つまり、Ps=Pφ−2Cとした。
図5及び図6に、実施例1に係るサイレントチェーン2(リンクプレート20)及びスプロケットホイール3の主要部の寸法を示す。
実施例1に係るサイレントチェーン伝動装置1のうち、一のリンクプレート20に着目して、このリンクプレート20の後側のリンク歯21Bが、スプロケットホイール3の歯部31Bと接触するときの角度θを測定した。ここで、角度θは、着座時におけるリンクプレート20の中心とスプロケットホイール3の回転中心とを結んだ線L1と、着座時にリンクプレート20の一対のリンク歯21A、21Bの中間に位置する歯部31Cの中心線L2と、のなす角度である。なお、測定は、コンピュータによるシミュレーションによって行った。
図7に示すように、θ=4°の時点では、リンクプレート20の後側のリンク歯21Bの外側フランク21Baは、スプロケットホイール3の歯部31Bの側部32Bに接触していない。また、この時点では、リンクプレート20の前側のリンク歯21Aの外側フランク21Aaも、歯部31Aの側部32Aに接触していない。
そして、図8に示すように、θ=2°となった時点で、リンクプレート20の後側のリンク歯21Bの外側フランク21Baが、スプロケットホイール3の歯部31Bの側部32Bと接触することが判明した。なお、この時点では、リンクプレート20の前側のリンク歯21Aの外側フランク21Aaは、歯部31Aの側部32Aに接触していない。
さらに、図9に示すように、θ=0°となった時点で、リンクプレート20の前側のリンク歯21Aの外側フランク21Aaが歯部31Aの側部32Aに接触し、リンクプレート20がスプロケットホイール3に着座した。
<実施例2>
実施例2では、サイレントチェーン102のチェーンピッチPφを8.00mmに設定するとともに、スプロケットホイール103のピッチPsを7.94mmに設定した。また、リンクプレートのピッチPlを7.94mmに設定するとともに、連結孔122と連結ピン104とのクリアランスCを0.06mmに設定した。つまり、Ps=Pφ−Cとした。
なお、実施例2に係るサイレントチェーン102(リンクプレート120)及びスプロケットホイール103の主要部の寸法は、実施例1と略同様であるので、詳細な説明を省略する。
実施例2に係るサイレントチェーン伝動装置100のうち、一のリンクプレート120に着目して、このリンクプレート120の後側のリンク歯121Bが、スプロケットホイール103の歯部131Bと接触するときの角度θを測定した。ここで、角度θは、着座時におけるリンクプレート120の中心とスプロケットホイール103の回転中心とを結んだ線L3と、着座時にリンクプレート120の一対のリンク歯121A、121Bの中間に位置する歯部131Cの中心線L4と、のなす角度である。
図10に示すように、θ=2°の時点では、リンクプレート120の後側のリンク歯121Bの外側フランク121Baは、スプロケットホイール103の歯部131Bの側部132Bに接触していない。また、この時点では、リンクプレート120の前側のリンク歯121Aの外側フランク121Aaも、歯部131Aの側部132Aに接触していない。
そして、図11に示すように、θ=1°となった時点で、リンクプレート120の後側のリンク歯121Bの外側フランク121Baが、スプロケットホイール103の歯部131Bの側部132Bと接触した。なお、リンクプレート120の前側のリンク歯121Aの外側フランク121Aaは、まだ歯部131Aの側部132Aに接触していない。
さらに、図12に示すように、θ=0°となった時点で、リンクプレート120の前側のリンク歯121Aの外側フランク121Aaが歯部131Aの側部132Aに接触し、リンクプレート120がスプロケットホイール103に着座した。
<比較例1>
図示は省略するが、比較例1では、サイレントチェーンのチェーンピッチPφを8.00mmに設定するとともに、スプロケットホイール103のピッチPsを8.00mmに設定した。また、リンクプレートのピッチPlを7.94mmに設定するとともに、連結孔122と連結ピン104とのクリアランスCを0.06mmに設定した。つまり、Ps=Pφとした。
なお、比較例1に係るサイレントチェーン(リンクプレート)及びスプロケットホイールの主要部の寸法は、実施例1と略同様であるので、詳細な説明を省略する。
図示は省略するが、比較例1に係るサイレントチェーン伝動装置のうち、一のリンクプレートに着目して、このリンクプレートの後側のリンク歯が、スプロケットホイールの歯部と接触するときの角度θを測定した。
その結果、θ=0.1°となった時点でリンクプレートの後側のリンク歯の外側フランクが、スプロケットホイールの歯部の側部と接触した。なお、このとき、リンクプレートの前側のリンク歯の外側フランクは、まだ歯部の側部に接触していない。
そして、θ=0°となった時点で、リンクプレートの前側のリンク歯の外側フランクが歯部の側部に接触し、リンクプレートがスプロケットホイールに着座した。
実際には、リンクプレート及びスプロケットホイールには製造誤差(公差)が存在するので、θ=0.1°程度の段階的接触では、リンクプレートの前後一対のリンク歯とスプロケットホイールの歯部とが、ほとんど同時に接触することとなり、滑り接触も起こらない。そのため、衝撃吸収効果に乏しい。
図13は、実施例2と比較例1に係るスプロケットホイール及びサイレントチェーンをそれぞれ試作し、騒音を測定した結果を示すグラフである。
実施例2のスプロケットホイール及びサイレントチェーンを作成するとともに、比較例1のスプロケットホイール及びサイレントチェーンを作成し、それぞれをテスト用エンジンにカム・クランクスプロケット及びタイミングチェーンとして取り付け、クランク軸の回転数と騒音との関係を測定した。
騒音の測定は、チェーンケースの前方500mmの地点で行った。測定した騒音は、チェーン走行方向後側のリンク歯とスプロケットホイールとが噛合う際の騒音である「噛合い1次側」と、チェーン走行方向前側のリンク歯とスプロケットホイールとが噛合う際の騒音である「噛合い2次側」と、にそれぞれ分析し、図13のグラフに上下に分けて表示した。
図13に示すように、噛合い1次側及び噛合い2次側ともに、比較例1に比べて、実施例2の方が、騒音が小さいことがわかる。
以上の結果から、スプロケットホイール3のピッチPsをサイレントチェーン2のチェーンピッチPφよりも小さくすると、両者が等しい場合(Ps=Pφ)に比べて、後側のリンク歯21Bが歯部31Bに早く接触することが分かる。
これにより、後側のリンク歯21Bと歯部31Bとが滑り接触する距離及び時間が長くなり、前側のリンク歯21Aが歯部31Aに接触する際の衝撃吸収効果、ひいては騒音低減効果が向上することが分かる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、スプロケットホイール3は、所定のラックピッチに調整したラックカッタによって創成してもよいことはいうまでもない。
本実施形態に係るサイレントチェーン伝動装置の部分拡大図である。 (a)は、リンクプレートの形状を示す図であり、(b)は連結ピンの形状を示す図である。 (a)は、スプロケットホイールを創成するためのラックを示す図であり、(b)はラックによってスプロケットホイールを創成している状態を示す図である。 サイレントチェーンのピッチを説明するための図であり、(a)はリンクプレートが前後に伸ばされた状態、(b)は前後のリンクプレートの連結孔の中心が一致した状態、(c)はリンクプレートが前後から押された状態、をそれぞれ示している。 実施例1に係るスプロケットホイールの寸法を示す図である。 実施例1に係るリンクプレートの寸法を示す図である。 実施例1に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。 実施例1に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。 実施例1に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。 実施例2に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。 実施例2に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。 実施例2に係るサイレントチェーン伝動装置の動作を示す図である。 実施例2と比較例1に係るスプロケットホイール及びサイレントチェーンをそれぞれ試作し、騒音を測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
1 サイレントチェーン伝動装置
2 サイレントチェーン
20 リンクプレート
21 リンク歯
21a 外側フランク
21b 内側フランク
21d 凹部
22 連結孔
3 スプロケットホイール
31 歯部
4 連結ピン
C クリアランス
Ps スプロケットホイールのピッチ
Pφ サイレントチェーンのチェーンピッチ

Claims (3)

  1. チェーン走行方向に沿って前後一対のリンク歯と前後一対の連結孔とを有する複数のリンクプレートが相互に重ね合わされつつ前記連結孔にそれぞれ挿入される連結ピンで無端状に連結されてなるサイレントチェーンと、前記リンク歯と噛み合う複数の歯部を有するスプロケットホイールと、を備えるサイレントチェーン伝動装置において、
    前記リンクプレートは、前記前後一対のリンク歯の互いに対向する内側フランクの先端寄りの部分に、円弧状の凹部がそれぞれ形成されており、
    前記スプロケットホイールは、前記各歯部の少なくとも一部がサイクロイド歯形で構成され、このサイクロイド歯形部分において一方の前記リンク歯と滑り接触しながら、他方の前記リンク歯と当接するように構成されているとともに、
    前記スプロケットホイールのピッチPsは、前記サイレントチェーンのチェーンピッチPφよりも小さいことを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。
  2. 前記連結孔は、前記連結ピンに対してクリアランスCを有し、
    前記スプロケットホイールのピッチPsは、前記サイレントチェーンのチェーンピッチPφよりもクリアランスC以上クリアランスCの2倍以下の範囲で小さいことを特徴とする請求項1に記載のサイレントチェーン伝動装置。
  3. 前記スプロケットホイールは、前記各歯部の歯元に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサイレントチェーン伝動装置。
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