JP2014223863A - タイヤ空気圧監視装置 - Google Patents

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伸一 稲川
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Abstract

【課題】タイヤの空気圧の算出に使用する補正係数を再設定する初期化動作が運転者の誤操作で実行されることが抑制されるタイヤ空気圧監視装置を提供することを課題とする。
【解決手段】VSAモジュールを備える車両100のタイヤ101の空気圧を監視するタイヤ空気圧監視装置1とする。そして、補正係数で補正したタイヤ101の回転角速度に基づいて空気圧を算出するTPMSモジュール30と、初期化スイッチ4aと、VSAスイッチ4bを備え、TPMSモジュール30は車両挙動安定化装置と一体に構成され、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bが操作されたときに、補正係数を再設定する意思を運転者が有すると判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ空気圧監視装置に関する。
例えば特許文献1には、タイヤの空気圧を適正空気圧に維持できるタイヤ空気圧監視装置の技術が記載されている。
特許文献1に開示されるタイヤ空気圧監視装置は、適正空気圧のタイヤの回転速度の差に基づいて間接的にタイヤの空気圧を算出するように構成されている。
そして、特許文献1に開示されるタイヤ空気圧監視装置は、算出した空気圧が適正空気圧より低下している場合に警報を発生する。
特開2012−136074号公報
特許文献1に記載されるタイヤ空気圧監視装置は、全てのタイヤの空気圧が適正空気圧であるときに各タイヤの間に生じる回転角速度差を補正係数で補正することで正確にタイヤの空気圧を算出する。そして、運転者が初期化スイッチを操作したときに、補正係数を再設定する初期化動作が実行されるように構成されている。この構成によって、空気圧が減圧したタイヤに空気が充填されるなどして、全てのタイヤの空気圧が適正空気圧になった状態で補正係数の再設定が可能になる。
しかしながら、特許文献1に記載されるタイヤ空気圧監視装置は、タイヤの空気圧が所定の適正範囲内にあるときにタイヤの空気圧が適正空気圧と判定するため、例えば、タイヤの空気圧が適正範囲の下限であっても適正空気圧と判定する。したがって、タイヤの空気圧が適正範囲の下限にあるときに、運転者の誤操作等によって初期化スイッチが操作されると、適正範囲の下限を空気圧とするタイヤに基づいて補正係数が再設定(更新)されてしまう。
このように再設定される補正係数は、全てのタイヤの空気圧が適正空気圧のときに各タイヤの間に生じる回転角速度差を精度よく補正することができないため、以降のタイヤの空気圧の算出が不正確になる。特許文献1に開示される技術は、このような誤操作(ヒューマンエラー)の発生を回避するという点で改善の余地がある。
そこで、本発明は、タイヤの空気圧の算出に使用する補正係数を再設定する初期化動作が、運転者の誤操作で実行されることを抑制可能なタイヤ空気圧監視装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明は、挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置を備える車両の複数の走行輪のそれぞれに装着されるタイヤの空気圧の低下を監視するタイヤ空気圧監視装置とする。そして、前記タイヤの空気圧の低下を判定するための減圧判定値を、前記空気圧が適正空気圧であるときの前記タイヤ間の回転角速度差を無くすための補正係数で補正した前記タイヤの回転角速度に基づいて算出して、少なくとも1つの前記タイヤの空気圧が予め設定される許容範囲を超えて低下したことを前記減圧判定値によって判定したときに警報指令を出力する監視ユニットと、前記車両挙動安定化装置の動作状態を切り替えるために運転者が操作する第1操作部と、その他の第2操作部と、を備え、前記監視ユニットは、前記車両挙動安定化装置と一体に構成され、前記運転者によって前記第1操作部と前記第2操作部の両方が操作されたときに、前記補正係数を再設定するとともに警報解除指令を出力する初期化動作を実行する意思を前記運転者が有すると判定することを特徴とする。
本発明によると、タイヤの空気圧の算出に使用する補正係数を再設定する初期化動作を実行する監視ユニットは、第1操作部と第2操作部の2つの操作部が運転者によって操作されたときに、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定する。そして、監視ユニットは、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定したときに初期化動作を実行する構成とすることができる。
第1操作部と第2操作部の2つの操作部が誤操作されることは、第1操作部または第2操作部の何れか一方が誤操作されることよりも可能性が低く、監視ユニットが、運転者の誤操作で初期化動作を実行することの抑止効果が向上する。
さらに、第1操作部は、車両挙動安定化装置の動作状態を切り替えるために備わる操作部であり、初期化動作を実行する意思を運転者が有するか否かを監視ユニットが判定するための操作部を新たに設けることなく、運転者による誤操作を抑制できる。
また、本発明の前記監視ユニットは、予め設定されている操作手順に従って前記第1操作部と前記第2操作部が操作されたときに、前記初期化動作を実行する意思を前記運転者が有すると判定することを特徴とする。
本発明によると、監視ユニットは、第1操作部と第2操作部が、所定の操作手順に従って操作されたときに、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定する。
運転者の誤操作で、第1操作部と第2操作部が所定の操作手順に従って操作されることは極めて稀な事象であり、運転者の誤操作で、監視ユニットが初期化動作を実行することの抑止効果がさらに向上する。
また、本発明の前記監視ユニットは、前記初期化動作を実行する意思を前記運転者が有すると判定した場合、前記タイヤの空気圧が適正空気圧のときに、前記初期化動作を実行することを特徴とする。
本発明によると、初期化動作を実行する意思を運転者が有していても、タイヤの空気圧が適正空気圧でなければ初期化動作は実行されない。したがって、タイヤの空気圧が適正空気圧でない状態での補正係数の再設定が回避される。
また、本発明は、前記第1操作部および前記第2操作部がプッシュスイッチであることを特徴とする。
プッシュスイッチは、長押し操作が可能であり、初期化動作を実行する意思を運転者が有することを監視ユニットが判定するための操作手順に、第1操作部と第2操作部の長押し操作を組み込むことができる。運転者の誤操作で、第1操作部や第2操作部が所定の操作手順に従って長押し操作されることは極めて稀な事象であり、監視ユニットが、運転者の誤操作で初期化動作を実行することの抑止効果のさらなる向上が可能になる。
本発明によると、タイヤの空気圧の算出に使用する補正係数を再設定する初期化動作が運転者の誤操作で実行されることが抑制されるタイヤ空気圧監視装置を提供できる。
本実施形態に係るタイヤ空気圧監視装置を備える車両の構成図である。 初期化スイッチとVSAスイッチがインパネに配置される状態を示す図である。 本実施形態に係るタイヤ空気圧監視装置の機能ブロック図である。 空気圧監視手順のフローチャートである。 初期化スイッチとVSAスイッチの操作手順の一例を示す図であり、(a)は初期化要求フラグがONとなる場合の操作手順を示す図、(b)は初期化要求フラグがONとならない場合を示す図である。 車両状態判定手順のフローチャートであり、図4のステップS4の詳細を示すフローチャートである。 初期化動作の手順を示すフローチャートであり、図4のステップS3の詳細を示すフローチャートである。 (a)は初期化スイッチとVSAスイッチが同時に押下操作される場合の操作手順の一例を示す図、(b)は初期化スイッチとVSAスイッチがともに押下操作される状態がある場合の操作手順の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係るタイヤ空気圧監視装置1は、図1に示すように4つのタイヤ101が4つの走行輪110に装着されている車両100に備わる。
なお、車両100は、操向ハンドル102の側を前方とし、さらに、後方からみて左右方向を設定する。
そして、4つのタイヤ101は、前方右側の右前タイヤ101RF、前方左側の左前タイヤ101LF、後方右側の右後タイヤ101RR、後方左側の左後タイヤ101LRの4つから構成されている。
また、4つのタイヤ101のそれぞれには、ブレーキ油圧によって作動するブレーキ装置104が備わって制動力が付与されるように構成される。
ブレーキ装置104を作動させるブレーキ油圧は、ブレーキ操作部103の操作によってマスタシリンダ103bで発生し、さらに、VSAECU(Vehicle Stability Assist Electronic Control Unit)3で調節されて、一点鎖線で示される油圧配管103aを介して各タイヤ101に備わるブレーキ装置104に供給される。
この構成によってVSAECU3は、例えば、アンチロックブレーキシステム(ABS)としてブレーキ装置104を作動させることができる。
また、車両100には、図示しないエンジンを制御するエンジンコントロールユニット(ENGECU2)が備わる。VSAECU3とENGECU2は破線で示されるCAN(Controller Area Network)3aで接続されて互いに協調して動作し、車両100の走行安定性を向上している。
さらに、車両100には、各タイヤ101(101RF,101LF,101RR,101LR)の回転速度を検出する車輪速センサ5(5RF,5LF,5RR,5LR)が備わっている。
各車輪速センサ5は、各タイヤ101の回転速度に応じた回転速度信号を出力し、回転速度信号は、実線で示される信号線5aを介してVSAECU3に入力される。
この構成によって、VSAECU3は、各タイヤ101(101RF,101LF,101RR,101LR)の回転速度を取得でき、さらに、取得した回転速度に基づいて回転角速度を算出できる。
車輪速センサ5の具体的な構成は限定するものではないが、例えば、タイヤ101の回転速度に応じた磁界の変化を正弦波信号として出力する構成の車輪速センサ5が知られている。
そして、車輪速センサ5が出力する正弦波信号は、二値化回路5b(図3参照)等によってパルス信号に変換されてVSAECU3に入力される。
また、本実施形態に係るVSAECU3は、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)モジュール30を備え、各タイヤ101の空気圧を監視するとともに、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が低下したことを判定したときには、自身を空気圧低下検出モードに設定し、さらに、警報装置4を介して運転者に対する警報を発生する。
警報装置4は、例えば、CAN3aに接続され、VSAECU3から入力される指令(警報指令)に応じて警報を発生するように構成される。
警報装置4は、警告灯の発光や警告音を警報として発生するように構成されるが、これに限定されるものではない。
なお、符号4aは運転者が警報の停止を要求するときに操作する初期化スイッチ(第2操作部)であり、運転者によって操作されたときに警報の停止を要求する初期化信号を発生して出力し、CAN3aを介してVSAECU3に入力する。
また、符号4bは運転者が後記するVSAモジュール31(図3参照)の動作状態を切り替えるときに操作するVSAスイッチ(第1操作部)である。VSAスイッチ4bの詳細は後記する。
図2に示すように、本実施形態において、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bは、例えば操向ハンドル102が取り付けられる前方のインナパネル(インパネ102a)に並んで配設(併設)されていることが好ましい。初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bがこのように配置されることによって、運転者は、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bを同時に操作可能になる。また、本実施形態において、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bは、ともにプッシュスイッチとする。そして、初期化スイッチ4aは、運転者等によって押下操作(ON)されている間は、初期化信号を連続的にCAN3aに出力する構成であり、VSAスイッチ4bは、運転者等によって押下操作(ON)されている間は、押下操作されていることを示す信号(VSA信号)を連続的にCAN3aに出力する構成とする。さらに、警報装置4(特に、警告灯)もインパネ102aに配設されることが好ましく、この構成によって、運転者は、警報装置4による警告灯の発光を容易に視認できる。
そして、本実施形態においては、図1に示す、車輪速センサ5(5RF,5LF,5RR,5LR)と、VSAECU3と、警報装置4と、初期化スイッチ4aと、VSAスイッチ4bと、を含んで、タイヤ空気圧監視装置1が構成される。
図3に示すように、VSAECU3は、TPMSモジュール30のほか、主にVSA制御を実行して車両100(図1参照)の走行安定性を維持するVSAモジュール31を含んで構成されている。
VSAモジュール31は、車両100に発生するヨーレートを検出するYAWセンサ31aと、ブレーキ操作部103(図1参照)の操作で発生するブレーキ油圧を調節してブレーキ装置104(図1参照)に供給する油圧制御部31bと、を含んで構成される。
また、VSAモジュール31には、車輪速センサ5が発生する回転速度信号が、二値化回路5b等でパルス波に変換された後に入力される。
また、VSAモジュール31はCAN3aのインタフェースを備えてCAN3aと接続され、CAN3aを介してENGECU2から駆動トルク(エンジントルク×ギヤ比)が入力され、さらに、初期化スイッチ4aが出力する初期化信号およびVSAスイッチ4bが出力するVSA信号が入力される。
そしてVSAモジュール31は、車両100(図1参照)に発生するヨーレート、ENGECU2から入力される駆動トルク、図示しない舵角センサから入力される操向ハンドル102(図1参照)の操舵角等に基づいて、公知の技術によるABS制御、TCS(トラクションコントロールシステム)制御、横滑り防止制御等、を実行し、車両100の走行安定性を向上する。つまり、本実施形態において、VSAモジュール31は、車両100の挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置として機能する。
また、VSAモジュール31は、ABS制御、TCS制御、および横滑り防止制御(以下、まとめて挙動安定化制御と称する)を実行する状態と、挙動安定化制御を実行しない状態と、が切り替わるように構成される。VSAモジュール31が挙動安定化制御を実行する状態を「VSA ON」の状態とし、挙動安定化制御を実行しない状態を「VSA OFF」の状態とする。
つまり、VSAモジュール31は、「VSA ON」と「VSA OFF」が切り替わるように(動作が切り替わるように)構成される。
また、前記したように、本実施形態の車両100(図1参照)には、VSAスイッチ4bがCAN3aに接続されて備わっている。VSAスイッチ4bは、VSAECU3(VSAモジュール31)が挙動安定化制御を実行するか否か、つまり、「VSA ON」と「VSA OFF」を運転者等が選択するためのスイッチである。換言すると、運転者は、VSAモジュール31の動作状態(「VSA ON」と「VSA OFF」)を切り替えるときにVSAスイッチ4b(第1操作部)を操作する。
VSAモジュール31は、挙動安定化制御を実行する「VSA ON」のときに、予め決定されている所定時間(ΔTa)に亘って、VSA信号がVSAスイッチ4bから連続的に入力された場合(つまり、所定時間ΔTaに亘ってVSAスイッチ4bが押下操作されたとき)に挙動安定化制御の実行を停止して「VSA OFF」とする。一方、VSAモジュール31は、挙動安定化制御を実行していない「VSA OFF」のときに、所定時間(ΔTa)に亘って、VSAスイッチ4bからVSA信号が連続的に入力された場合に挙動安定化制御を実行(再開)して「VSA ON」とする。
このように、VSAモジュール31は、VSAスイッチ4bが所定時間ΔTaに亘って押下操作されたとき、挙動安定化制御を実行するか否か、つまり、「VSA ON」と「VSA OFF」を切り替える。したがって、本実施形態において、VSAスイッチ4b(第1操作部)は、VSAモジュール31(車両挙動安定化装置)の動作状態を切り替えるために運転者が操作するスイッチ(操作部)として車両100(図1参照)に備わっている。
TPMSモジュール30は、車両100に備わる各タイヤ101(図1参照)の空気圧を監視し、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が低下したことを判定した場合、タイヤ空気圧監視装置1(図1参照)を空気圧低下検出モードに設定し、警報装置4(図1参照)を介して警報を発生するように構成される。
このように、本実施形態のTPMSモジュール30は、タイヤ101の空気圧を監視し、タイヤ101の空気圧が低下していると判定したときに警報指令を発生する監視ユニットとして機能する。
そして、本実施形態においては、VSAECU3が、TPMSモジュール30(監視ユニット)とVSAモジュール31(車両挙動安定化装置)を含んで構成されるため、TPMSモジュール30はVSAモジュール31と一体に構成される。
TPMSモジュール30には、VSAモジュール31から車輪速情報、油圧情報、ヨーレート情報、駆動トルク情報、VSA作動情報、初期化情報が入力される。また、TPMSモジュール30は、VSAモジュール31から入力される各情報に基づいて各タイヤ101の空気圧を監視するように構成される。
一方、VSAモジュール31にはTPMSモジュール30から、警報指令、警報解除指令、初期化終了信号が入力される。
車輪速情報は、例えば、車輪速センサ5(5RF,5LF,5RR,5LR)から二値化回路5bを介して入力される回転速度信号(パルス波)である。
また、油圧情報は、油圧制御部31bからブレーキ装置104に供給されるブレーキ油圧を示す情報、ヨーレート情報は、YAWセンサ31aが検出する車両100(図1参照)のヨーレートを示す情報、駆動トルク情報は、ENGECU2から入力される駆動トルク、VSA作動情報は、VSAモジュール31が横滑り防止制御をしているか否かを示す情報(信号)である。
また、初期化情報は、各タイヤ101(図1参照)の空気圧が適正空気圧になったと運転者が判断したことをTPMSモジュール30に通知するための情報(信号)である。
TPMSモジュール30からVSAモジュール31に入力される警報指令は、警報装置4に警報を発生させるための指令であり、警報解除指令は、警報装置4に警報を停止させるための指令である。また、初期化終了信号は、初期化動作が終了したことを警報装置4に通知するための信号である。
VSAモジュール31から入力されるこれらの情報に基づいて、TPMSモジュール30が各タイヤ101(101RF,101LF,101RR,101LR)の空気圧を監視する手順(以下、空気圧監視手順と称する)を、図4を参照して説明する(適宜図1〜3参照)。
なお、空気圧監視手順は、例えば、VSAECU3が起動している間、TPMSモジュール30が所定のインターバルで周期的に実行するように構成される。
TPMSモジュール30は、空気圧監視手順を開始すると、入力される車輪速情報(回転速度信号)からタイヤ101の回転角速度を算出する。
VSAモジュール31から入力される回転速度信号が前記したパルス波の場合、TPMSモジュール30はパルス波の周期からタイヤ101の回転角速度を算出する。
具体的に、TPMSモジュール30は、所定の単位時間(例えば1秒)におけるパルス波のパルス数「Pn」を計測する。
タイヤ101が一回転したときのパルス数「PnFULL」は予め決定される車輪速センサ5の特性値であることから、1秒を単位時間とするタイヤ101の回転角速度「ω」は、「2π(Pn/PnFULL)[rad/sec]」で算出される。πは円周率である。
このようにしてTPMSモジュール30は、右前タイヤ101RF,左前タイヤ101LF,右後タイヤ101RR,左後タイヤ101LRのそれぞれについて、回転角速度「ωRF」,「ωLF」,「ωRR」,「ωLR」を算出する(ステップS1)。
なお、各タイヤ101の回転角速度の算出時に、例えば1秒などの所定の単位時間に亘ってパルス数を計測する構成の場合、TPMSモジュール30はステップS1で当該単位時間に亘ってパルス数を計測する。この場合、TPMSモジュール30が、空気圧監視手順を実行するインターバルは当該単位時間より長く設定されることが好ましい。
この構成のほか、例えばサブルーチンで各タイヤ101の回転角速度を算出する構成とし、各タイヤ101の回転角速度が算出されていない場合は、TPMSモジュール30が空気圧監視手順を開始しない構成であってもよい。換言すると、各タイヤ101の回転角速度が算出されたことをトリガとしてTPMSモジュール30が空気圧監視手順を開始する構成としてもよい。
そして、初期化要求フラグがONのとき(ステップS2→Yes)、TPMSモジュール30は、初期化動作を実行して(ステップS3)、手順をステップS4に進める。補正係数及び初期化動作の詳細は後記する。
初期化要求フラグは、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bがともに操作されたことを示すフラグであって通常はOFFに設定され、VSAモジュール31からTPMSモジュール30に初期化情報が入力されたときにONとなるように構成される。
例えば、初期化要求フラグは、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bが予め設定される操作手順に従って操作されたときにONされる。
図5は、初期化スイッチとVSAスイッチの操作手順の一例を示す図であり、(a)は初期化要求フラグがONとなる場合の操作手順を示す図、(b)は初期化要求フラグがONとならない場合を示す図である。
図5の(a)に示すように、VSAECU3のVSAモジュール31(図3参照)は、時刻t1でVSAスイッチ4b(図3参照)が押下操作(ON)されると、VSAスイッチ4bが押下操作されている時間、つまり、VSA信号が入力されている時間を計測し(時刻t1〜t2)、その時間が所定時間ΔTa(例えば、2秒)に達したとき、「VSA ON」の状態であれば、挙動安定化制御を停止して「VSA OFF」に切り替える。さらに、VSAモジュール31は、VSAスイッチ4bが押下操作されて所定時間ΔTaが経過してからの時間(時刻t2からの経過時間)を計測する。
なお、時刻t2より以前に「VSA OFF」である場合、VSAモジュール31は時刻t2で「VSA ON」に切り替える。
VSAモジュール31(図3参照)は、時刻t2からの経過時間が所定時間ΔTb(例えば、5秒)に達するまでに、初期化スイッチ4aが押下操作されて初期化信号が入力されたら(時刻t3)、初期化スイッチ4aが押下操作されている時間、つまり、初期化信号が入力されている時間を計測する。
そしてVSAモジュール31(図3参照)は、初期化スイッチ4a(図3参照)が操作されている時間(つまり、初期化信号が入力されている時間)が所定時間ΔTc(例えば、3秒)を経過した時点(時刻t4)で、TPMSモジュール30(図3参照)に初期化情報を入力する。さらに、VSAモジュール31は、「VSA ON」にする。
なお、時刻t2より以前に「VSA OFF」である場合、VSAモジュール31は時刻t4で「VSA OFF」に切り替える。
そして、TPMSモジュール30は、初期化情報が入力された時点(時刻t4)で初期化要求フラグをONにする。
このように、初期化スイッチ4a(第2操作部)は、運転者が初期化動作を実行する意思があるときに操作するスイッチ(操作部)である。
一方、図5の(b)に示すように、例えば、VSAスイッチ4b(図3参照)が押下操作されて所定時間ΔTaが経過してからの経過時間(時刻t2からの経過時間)が、所定時間ΔTbを経過後に初期化スイッチ4a(図3参照)が押下操作された場合には、初期化スイッチ4aが押下操作される時間が所定時間ΔTcを経過しても、VSAモジュール31(図3参照)は、TPMSモジュール30(図3参照)に初期化情報を入力しない。したがって、初期化要求フラグはONされない(OFFのまま)。また、VSAモジュール31は「VSA OFF」の状態を維持する。
なお、時刻t3で「VSA ON」である場合、VSAモジュール31は、所定時間ΔTcの経過後も「VSA ON」の状態を維持する。
このように、本実施形態のタイヤ空気圧監視装置1(図1参照)は、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が、図5の(a)に実線で示す操作手順に従って押下操作されたときに初期化要求フラグがONされるように構成される。
なお、図5の(a)に示す操作手順は一例に過ぎず、初期化動作を実行する意思が運転者にあるか否かをTPMSモジュール30(図3参照)が判定するための、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bの操作手順は、どのような手順であってもよい。
図4の説明に戻る。TPMSモジュール30は、初期化要求フラグがONではないとき(ステップS2→No)、手順をステップS4に進め、車両100がタイヤ101の空気圧の低下の判定に適した状態にあるか否かを判定する手順(車両状態判定手順)を実行する。
車両状態判定手順を、図6を参照して説明する。
例えば、車両100の車速が低い場合はタイヤ101の回転角速度が小さくなり、車輪速センサ5が出力するパルス波のパルス数が少なくなって量子化誤差が大きくなる。したがって、TPMSモジュール30が算出する各タイヤ101の回転角速度の精度が低下する。
そこで、TPMSモジュール30は、タイヤ101ごとに算出した回転角速度の例えば最大値と、予め設定される閾値(角速度下限値)を比較し(ステップS400)、回転角速度の最大値が角速度下限値以下のとき(ステップS400→No)、TPMSモジュール30は、車両100の車速が低いと判定して空気圧の低下の判定に適した状態ではないと判定する(ステップS406)。
一方、回転角速度の最大値が角速度下限値より大きいとき(ステップS400→Yes)、TPMSモジュール30は手順をステップS401に進める。
なお、ステップS400では各タイヤ101の回転角速度の平均値と閾値とを比較して、車速を判定する構成であってもよい。
ブレーキ操作部103が強く操作されてタイヤ101が装着されるホイールに強い制動力が付与され、車両100が急制動の状態にある場合、ホイールがロックしている可能性があるため、車輪速センサ5が検出するタイヤ101の回転角速度の精度が低いことがある。
そこで、TPMSモジュール30は、VSAモジュール31から入力される油圧情報から求められるブレーキ油圧と、予め設定される所定の閾値(油圧上限値)を比較し(ステップS401)、ブレーキ油圧が油圧上限値より大きいとき(ステップS401→No)、TPMSモジュール30は、車両100が急制動の状態にあると判定し、空気圧の低下の判定に適した状態ではないと判定する(ステップS406)。
一方、ブレーキ油圧が油圧上限値以下のとき(ステップS401→Yes)、TPMSモジュール30は手順をステップS402に進める。
車両100が旋回している場合、右側のタイヤ101(右前タイヤ101RF,右後タイヤ101RR)と左側のタイヤ101(左前タイヤ101LF,左後タイヤ101LR)の回転角速度に差が生じ、同じ空気圧のタイヤ101であっても回転角速度が等しくならないことがある。
そこで、TPMSモジュール30は、VSAモジュール31から入力されるヨーレート情報に基づいて車両100に発生しているヨーレートを算出するともに、算出したヨーレートが予め設定される所定の範囲(ヨーレート範囲)内にないとき(ステップS402→No)、TPMSモジュール30は車両100が旋回していると判定し、空気圧の低下の判定に適した状態ではないと判定する(ステップS406)。
一方、ヨーレートがヨーレート範囲内にあるとき(ステップS402→Yes)、TPMSモジュール30は手順をステップS403に進める。
車両100の駆動トルクが大きい場合、タイヤ101がスリップしている可能性があり、この場合は、例えば駆動輪の回転角速度が従動輪の回転角速度より大きくなるなどして、同じ空気圧のタイヤ101が装着されるホイールであっても回転角速度が等しくならないことがある。
そこで、TPMSモジュール30は、VSAモジュール31から入力される駆動トルク情報に基づいて図示しないエンジンで発生している駆動トルクを算出するとともに、算出した駆動トルクと予め設定される閾値(トルク上限値)を比較する(ステップS403)。そして、駆動トルクがトルク上限値より大きいとき(ステップS403→No)、TPMSモジュール30は、駆動トルクが大きくタイヤ101がスリップしている可能性があると判定し、空気圧の低下の判定に適した状態ではないと判定する(ステップS406)。
一方、駆動トルクがトルク上限値以下のとき(ステップS403→Yes)、TPMSモジュール30は手順をステップS404に進める。
車両100に横滑りが発生してVSAモジュール31が横滑り防止制御をしているとき、各タイヤ101が装着されるホイールには個別に制動力が付与される場合があるため、同じ空気圧のタイヤ101が装着されるホイールであっても回転角速度が等しくならないことがある。
そこで、TPMSモジュール30は、VSAモジュール31から入力されるVSA作動情報に基づいてVSAモジュール31が横滑り防止制御を実行しているか否かを判定する(ステップS404)。そして、VSAモジュール31が横滑り防止制御を実行しているとき(ステップS404→Yes)、TPMSモジュール30は、空気圧の低下の判定に適した状態ではないと判定する(ステップS406)。
一方、VSAモジュール31が横滑り防止制御を実行していないとき(ステップS404→No)、TPMSモジュール30は、空気圧の低下の判定に適した状態と判定する(ステップS405)。
このように、TPMSモジュール30は、図4のステップS4で、図6のステップS400〜ステップS406に示す車両状態判定手順を実行して、車両100がタイヤ101の空気圧の低下の判定に適した状態にあるか否かを判定する。
説明を図4のステップS4に戻す。
TPMSモジュール30は、車両状態判定手順で車両100がタイヤ101の空気圧の低下の判定に適した状態ではないと判定した場合は(ステップS4→No)、空気圧監視手順を終了し、車両100がタイヤ101の空気圧の低下の判定に適した状態であると判定した場合は(ステップS4→Yes)、手順をステップS5に進める。
TPMSモジュール30は、ステップS1で算出した回転角速度「ωRF」,「ωLF」,「ωRR」,「ωLR」に補正係数を乗算して、各タイヤ101の回転角速度補正値「kωRF」,「kωLF」,「kωRR」,「kωLR」を算出する(ステップS5)。
前記したように、製造時の寸法のバラツキや取り付け位置の違いによる荷重の違い、又はタイヤ101に空気を補充したときの磨耗の程度の違いによって、適正空気圧のタイヤ101に動荷重半径の差があると、同じ空気圧のタイヤ101間に回転角速度差(初期差異)が生じる。
本実施形態における補正係数は、初期差異を補正する係数、つまり、タイヤ101間の回転角速度差に含まれる初期差異を無くす係数である。このような補正係数は、空気圧が適正空気圧であるタイヤ101間の回転角速度差を無くすような値としてタイヤ101ごとに設定される。そして、図示しない記憶部に記憶されていることが好ましい。
補正係数は、例えば、適正空気圧の1つのタイヤ101を基準とし、同じく適正空気圧である他のタイヤ101の回転角速度が、基準としたタイヤ101の回転角速度と等しくなるように設定される。
タイヤ101の適正空気圧は、車両100(図1参照)の燃費が最良になって最も効率よく走行できるようなタイヤ101の空気圧とする。
タイヤ101の空気圧として推奨される空気圧(推奨空気圧)が、予め製造者等によって設定されている。
そこで本実施形態においては、タイヤ101の空気圧が、推奨空気圧を含む所定の範囲(適正範囲)内にあるときをタイヤ101の空気圧の適正空気圧とする。
例えば、空気圧が適正空気圧である右前タイヤ101RFを基準のタイヤとすると、右前タイヤ101RFの補正係数は「1」になる。すなわち、右前タイヤ101RFの補正係数の値を「kRF」とすると「kRF=1」になる。
また、左前タイヤ101LFの補正係数の値を「kLF」とすると、「kLF」は、次式(1A)で示される値とする。
LF=(Σ(ωRF(i)/ωLF(i)))/N ・・・(1A)
なお、式1AにおけるωRF(i),ωLF(i)は、右前タイヤ101RFと左前タイヤ101LFにおける、基準となる回転角速度(基準回転角速度)を示す。そして、式1Aは、このような基準回転角速度をN個(例えば100個)利用して補正係数を算出することを示している。したがって式1Aにおいては「i=1〜N」となる。
また、式1Aにおける記号Σは、iが1からNまで、「ωRF(i)/ωLF(i)」を加算することを示す。
例えば右前タイヤ101RFの基準回転角速度は、右前タイヤ101RFの空気圧が適正空気圧であるときの回転角速度であり、右前タイヤ101RFの空気圧が適正空気圧であることが確実なときに、TPMSモジュール30が算出するN個の回転角速度とする。他のタイヤ101(101LF,101RR,101LR)の基準回転角速度も同様とする。そして、TPMSモジュール30は各タイヤ101について、N個の基準回転角速度を図示しない記憶部に記憶する構成とする。
なお、本実施形態においては、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bが、図5の(a)に示す操作手順に従って運転者等によって操作されたときを、各タイヤ101の空気圧が適正空気圧であって、初期化動作を実行する意思を運転者が有するときとする。
また、初期化スイッチ4aが1度も操作されない初期状態において、例えば、車両100の生産直後の走行テスト時に算出されるN個の基準回転角速度がタイヤ101ごとに、図示しない記憶部に記憶されていることが好ましい。
そして、基準とする右前タイヤ101RFの基準回転角速度ωRF(i)と左前タイヤ101LFの基準回転角速度ωLF(i)の比「ωRF(i)/ωLF(i)」のN個の相加平均を左前タイヤ101LFの補正係数「kLF」とする。
同様に、右後タイヤ101RRの補正係数「kRR」、左後タイヤ101LRの補正係数「kLR」は、次式(1B)、(1C)で示される。
RR=(Σ(ωRF(i)/ωRR(i)))/N ・・・(1B)
LR=(Σ(ωRF(i)/ωLR(i)))/N ・・・(1C)
なお、補正係数の算出に使用する回転角速度の数(N個)は限定する値ではなく、適宜設定すればよい。
また、右前タイヤ101RFを基準のタイヤとしたことは一例であって、右前タイヤ101RF以外を基準のタイヤとすることも可能であることはいうまでもない。
TPMSモジュール30は、このように算出される補正係数を各タイヤ101の回転角速度に乗算して、各タイヤ101の回転角速度補正値を算出する。
つまり、右前タイヤ101RFの回転角速度補正値「kωRF」は次式(2A)で示され、左前タイヤ101LFの回転角速度補正値「kωLF」は次式(2B)で示され、右後タイヤ101RRの回転角速度補正値「kωRR」は次式(2C)で示され、左後タイヤ101LRの回転角速度補正値「kωLR」は次式(2D)で示される。
kωRF=kRF×ωRF=1×ωRF ・・・(2A)
kωLF=kLF×ωLF ・・・(2B)
kωRR=kRR×ωRR ・・・(2C)
kωLR=kLR×ωLR ・・・(2D)
このように回転角速度補正値を算出するため、例えばTPMSモジュール30は、後記する初期化動作を実行するときに、各タイヤ101におけるN個の基準回転角速度を算出して図示しない記憶部に記憶している構成が好ましい。
TPMSモジュール30は、次式(3)を利用し、このように算出されるタイヤ101の回転角速度補正値に基づいて、タイヤ101の空気圧の低下を判定するための減圧判定値「D」を算出する(ステップS6)。
Figure 2014223863
式(3)で算出される減圧判定値は、対角線上に配置される一組のタイヤ101(例えば、右前タイヤ101RFと左後タイヤ101LR)の回転角速度補正値の平均値から、他の一組のタイヤ101(例えば、右後タイヤ101RRと左前タイヤ101LF)の回転角速度補正値の平均値を減算した結果が、全てのタイヤ101の回転角速度補正値の平均値に占める割合(%)を示す数値である。
このような減圧判定値によると、全てのタイヤ101で回転角速度補正値が等しい場合、減圧判定値はゼロ、すなわち「D=0」になる。したがって、「D=0」の場合、TPMSモジュール30は全てのタイヤ101で回転角速度補正値が等しく、空気圧が低下したタイヤ101はないと判定できる。
また、右前タイヤ101RFの回転角速度補正値「kωRF」又は左後タイヤ101LRの回転角速度補正値「kωLR」が他のタイヤ101の回転角速度補正値より大きくなっている場合、減圧判定値はゼロより大きくなる。すなわち「D>0」になる。
空気圧が低下したタイヤ101は荷重がかかったときの動荷重半径が小さくなって回転角速度(回転角速度補正値)が大きくなることから、TPMSモジュール30は、回転角速度補正値が大きくなったタイヤ101の空気圧が低下していると判定できる。したがって、「D>0」の場合、すなわち、式(3)の分子の第1項が第2項より大きいとき、TPMSモジュール30は右前タイヤ101RF又は左後タイヤ101LRの少なくとも一方の空気圧が低下していると判定できる。
一方、左前タイヤ101LFの回転角速度補正値「kωLF」又は右後タイヤ101RRの回転角速度補正値「kωRR」が他のタイヤ101の回転角速度補正値より大きくなっている場合、減圧判定値はゼロより小さくなる。すなわち「D<0」になる。
したがって、「D<0」の場合、TPMSモジュール30は左前タイヤ101LF又は右後タイヤ101RRの少なくとも一方の空気圧が低下していると判定できる。
各タイヤ101の回転角速度補正値は初期差異が補正された回転角速度であって、空気圧が同じであれば等しくなり、空気圧に差が生じると回転角速度補正値にも差が生じる。
つまり、各タイヤ101間の回転角速度補正値の差は初期差異によらず、各タイヤ101の空気圧の差のみによって生じる。
また、式(3)で示されるように、減圧判定値は、補正係数で補正された回転角速度(回転角速度補正値)に基づいて算出され、全てのタイヤ101の回転角速度が等しいときにゼロ(D=0)になる。
したがって、減圧判定値がゼロでない場合、つまり、「D<0」又は「D>0」になった場合、この差はタイヤ101間の回転角速度補正値の差によって生じる。
前記したように、回転角速度補正値の差は各タイヤ101の空気圧の差のみによって生じることから、減圧判定値とゼロの間に生じる差は、各タイヤ101の空気圧の差のみによって生じることになる。
したがって、TPMSモジュール30は、減圧判定値とゼロとの差によって各タイヤ101の空気圧の差を判定できる。
そこで、本実施形態に係るTPMSモジュール30は、ステップS6で式(3)によって算出した減圧判定値が、所定の境界範囲内(下限側の境界値を「DTH1L」、上限側の境界値を「DTH1U」とする第1境界範囲内)の値であるか否かを判定する。つまり、「DTH1L≦D≦DTH1U」か否かを判定する(ステップS7)。
この第1境界範囲は、TPMSモジュール30が各タイヤ101の空気圧の低下を判定するための境界範囲であり、減圧判定値が第1境界範囲内の値(DTH1L≦D≦DTH1U)であるとき、TPMSモジュール30が、全てのタイヤ101の空気圧が許容範囲内にあると判定するための境界範囲である。
前記したように、タイヤ101には、適正空気圧の範囲を示す適正範囲が予め設定されており、タイヤ101の空気圧が適正範囲内にあるとき、すなわち、タイヤ101の空気圧が適正空気圧であるとき、車両100(図1参照)の燃費が最良になって最も効率よく走行できるように構成される。
しかしながらタイヤ101の空気圧が適正範囲を超えて低下した場合であっても、所定の許容範囲内であれば走行に支障はなく、燃費が低下しても走行は可能である。そこで、TPMSモジュール30は、車両100の走行に支障のない許容範囲を超えてタイヤ101の空気圧が低下したときに警報を発生するように構成される。
つまり、タイヤ101の空気圧の許容範囲は適正範囲より範囲が広く、適正範囲(適正空気圧)は許容範囲に含まれている。
そこで、許容範囲の下限側の境界値をゼロより小さい値(DTH1L<0)とし、減圧判定値が下限側の境界値より小さい(D<DTH1L)場合、TPMSモジュール30は、左前タイヤ101LF又は右後タイヤ101RRの少なくとも一方の空気圧が許容範囲を超えて低下していると判定する。
さらに、許容範囲の上限側の境界値をゼロより大きい値(DTH1U>0)とし、減圧判定値が上限側の境界値より大きい(DTH1U>D)場合、TPMSモジュール30は、右前タイヤ101RF又は左後タイヤ101LRの少なくとも一方の空気圧が許容範囲を超えて低下していると判定する。
例えば、右前タイヤ101RF又は左後タイヤ101LRの空気圧が適正空気圧から30%低下したときに、式(3)で示される減圧判定値が約0.1(すなわち、D=0.1)となる場合にTPMSモジュール30が空気圧の低下を判定する構成にするためには、許容範囲の上限側の境界値を「0.1」、すなわち、「DTH1U=0.1」とすればよい。
同様に、右後タイヤ101RR又は左前タイヤ101LFの空気圧が30%低下したときにTPMSモジュール30が空気圧の低下を判定する構成にするためには、許容範囲の下限側の境界値を「−0.1」、すなわち、「DTH1L=−0.1」とすればよい。
なお、式(3)で示される減圧判定値の技術的意義、及び境界値(DTH1U,DTH1L)の技術的意義の詳細は、例えば、特公平5−55322号公報に記載されている。
TPMSモジュール30は、減圧判定値が第1境界範囲内にない場合、つまり、「D<DTH1L」又は「D>DTH1U」の場合(ステップS7→No)、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下していると判定する。そして、タイヤ空気圧監視装置1を空気圧低下検出モードに設定し(ステップS8)、さらに、CAN3aのインタフェースを有するVSAモジュール31を介して警報装置4に警報指令を送信し(ステップS9)、警報を発生する。
一方、減圧判定値が第1境界範囲内にある場合、つまり、「DTH1L≦D≦DTH1U」の場合(ステップS7→Yes)、TPMSモジュール30は、全てのタイヤ101の空気圧が許容範囲内にあると判定する。そして、タイヤ空気圧監視装置1を空気圧低下検出モードに設定することなく空気圧監視手順を終了する。
このように、本実施形態に係るTPMSモジュール30(図3参照)は、図4に示す空気圧監視手順を実行してタイヤ101(図1参照)の空気圧を監視し、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下したときには、タイヤ空気圧監視装置1(図1参照)を空気圧低下検出モードに設定し、さらに、警報を発生してタイヤ101の空気圧の低下を運転者に報知するように構成される。
また、本実施形態において、運転者は初期化スイッチ4a(図3参照)およびVSAスイッチ4b(図3参照)を操作することによって警報の停止と補正係数の再設定を要求できる。つまり、本実施形態のTPMSモジュール30は、図5の(a)に実線で示す操作手順に従って、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bが操作されたとき、初期化要求フラグをONにし、全てのタイヤ101の空気圧が適正空気圧であると判定した場合に、図4のステップS3に示す初期化動作を実行するように構成される。そして、TPMSモジュール30は、初期化動作において補正係数を再設定するときに、警報解除指令を送信して警報装置4(図1参照)が発生する警報を停止する。
例えば、運転者は、1つのタイヤ101(図1参照)の空気圧が低下した場合にこれを契機として全てのタイヤ101を交換することがあるが、前記したように、タイヤ101の製造時の寸法のバラツキ等によって、全てのタイヤ101が新品で空気圧が適正空気圧であっても、基準とするタイヤ101(例えば、右前タイヤ101RF)の動荷重半径と他のタイヤ101の動荷重半径に差が生じて初期差異が生じる。そして、この初期差異はタイヤ101の交換前と異なった大きさとなる。
また、タイヤ101の空気圧が低下した場合に運転者が空気を補充して適正空気圧にすることがある。このとき各タイヤ101で磨耗の程度が異なっていると、基準とするタイヤ101(例えば、右前タイヤ101RF)の動荷重半径と他のタイヤ101の動荷重半径に差が生じて初期差異が生じる。
このため、各タイヤ101の初期差異は、タイヤ101の交換前や空気の補充前と異なる。
そこで、TPMSモジュール30は、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が図5の(a)に実線で示す操作手順に従って操作されたとき、運転者等が、基準となるタイヤ101と他のタイヤ101との間の回転角速度差を無くすための補正係数を再設定する意思、すなわち、初期化動作を実行する意思があると判定する。そして、TPMSモジュール30は、初期化要求フラグをONにし、新たに取り付けられたタイヤ101や空気が補充された後のタイヤ101で発生する初期差異を補正して、基準となるタイヤ101と他のタイヤ101との間の回転角速度差を無くすための補正係数を再設定する初期化動作を実行する。
なお、初期化動作において補正係数が再設定されたときに、警報装置4が発生する警報を停止するための警報解除指令がVSAECU3から出力されて警報装置4に送信される。警報装置4は、VSAECU3から送信される警報解除指令に基づいて警報を停止する。
図7を参照して、TPMSモジュール30が初期化動作を実行する手順を説明する(適宜図1〜6参照)。
TPMSモジュール30は、図4に示す空気圧監視手順のステップS2において、初期化要求フラグがON(ステップS2→Yes)のときに初期化動作を開始する。
初期化動作を開始すると、TPMSモジュール30は、タイヤ空気圧監視装置1が空気圧低下検出モードに設定されているか否かを判定し(ステップS300)、タイヤ空気圧監視装置1が空気圧低下検出モードに設定されていなければ(ステップS300→No)、この時点で算出されている各タイヤ101のN個の基準回転角速度を利用して補正係数を再設定する(ステップS301)。そして、TPMSモジュール30は、VSAモジュール31を介して警報装置4に初期化終了信号を送信する(ステップS302)。警報装置4は、予め設定される所定時間(例えば5秒間)に亘って、警告灯を点滅したり、断続的に警告音を吹鳴したりして、運転者に補正係数が再設定されたことを報知する。また、TPMSモジュール30は、初期化要求フラグをOFFにして(ステップS303)、初期化動作を終了する。
TPMSモジュール30は、ステップS301で基準とするタイヤ101(例えば、右前タイヤ101RF)の補正係数を「1」に設定し、さらに、式1A〜1Cで示されるように、左前タイヤ101LF、右後タイヤ101RR、左後タイヤ101LRの補正係数を再設定する。そして、再設定した補正係数を図示しない記憶部に記憶する。
一方、タイヤ空気圧監視装置1が空気圧低下検出モードに設定されているとき(ステップS300→Yes)、TPMSモジュール30は、タイヤ101の空気圧が低下した後で運転者がタイヤ101を交換したり空気を補充したりして、タイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下していない状態になったと判断する。
そして、TPMSモジュール30は、各タイヤ101(101RF,101LF,101RR,101LR)のN個の基準回転角速度が更新されているか否かを判定する(ステップS303)。
TPMSモジュール30が各タイヤ101について、それぞれN個の基準回転角速度を算出していない状態で、N個の基準回転角速度が更新されていない場合(ステップS303→No)、TPMSモジュール30は、図4のステップS1で算出した各タイヤ101の回転角速度をi番目(i=1〜N)の基準回転角速度とすることでi番目の基準回転角速度を更新して(ステップS308)、図示しない記憶部に記憶し、初期化要求フラグをOFFにすることなく初期化動作を終了する。
なお、ステップS308でTPMSモジュール30は、図6の車両状態判定手順と同様の処理を実行し、車両100の車速が低い場合、車両100が急制動の状態にある場合、車両100が旋回している場合、車両100の駆動トルクが大きい場合、及びVSAモジュール31が横滑り防止制御をしている場合の回転角速度をカウントしない構成としてもよい。
これらの場合は、前記したように、等しい空気圧のタイヤ101であっても回転角速度が異なる場合があり、基準回転角速度としないほうがよい場合もあるためである。
この構成によって、初期化要求フラグONの状態が維持される。したがって、TPMSモジュール30は、図4のステップS1において各タイヤ101の回転角速度を算出した後に初期化動作を実行する(ステップS3)。
また、TPMSモジュール30は、最初にステップS308を実行するときに、基準回転角速度の数「i」を「1」にセットし(i=1)、その後ステップS308を実行するごとに基準回転角速度の数「i」を「N」までインクリメント(i+1)する。この構成によって、TPMSモジュール30は、基準回転角速度の数「i」が「N」になったときに、N個の基準回転角速度が更新されたことを判定できる。
各タイヤ101のN個の基準回転角速度が更新されている場合(ステップS303→Yes)、TPMSモジュール30は、図4のステップS6と同じ手順で減圧判定値「D」を算出し(ステップS304)、さらに、算出した減圧判定値が第1境界範囲と異なる所定の境界範囲内(下限側の境界値を「DTH2L」、上限側の境界値を「DTH2U」とする第2境界範囲内)の値であるか否かを判定する。つまり、「DTH2L≦D≦DTH2U」か否かを判定する(ステップS305)。
なお、ステップS304において、TPMSモジュール30は、その時点で設定されている補正係数を利用して減圧判定値を算出する。
第2境界範囲は、各タイヤ101の空気圧が適正範囲内にあることを示す境界範囲であり、減圧判定値が第2境界範囲内の値(DTH2L≦D≦DTH2U)であるとき、TPMSモジュール30が、全てのタイヤ101の空気圧が適正範囲内にあると判定する。換言すると、減圧判定値が第2境界範囲内の値であるとき、TPMSモジュール30は、全てのタイヤ101の空気圧が適正空気圧であると判定するように第2境界範囲を設定する。
前記したように、第2境界範囲はタイヤ101の空気圧が適正範囲内にあることを示す境界範囲であり、例えば、上限側の境界値「DTH2U」は、右前タイヤ101RF又は左後タイヤ101LRの空気圧が適正範囲の下限まで低下した場合の減圧判定値とすることができる。
そして、この値は、一般的に第1境界範囲の上限側の境界値「DTH1U」の10〜30%の値であることが好ましい。因みに、第1境界範囲の上限側の境界値「DTH1U」が「0.1」の場合、第2境界範囲の上限側の境界値「DTH2U」は「0.01〜0.03」あることが好ましい。
同様に、第2境界範囲の下限側の境界値「DTH2L」は、左前タイヤ101LF又は右後タイヤ101RRの空気圧が適正範囲の下限まで低下した場合の減圧判定値とすることができる。
そして、この値は、一般的に第1境界範囲の下限側の境界値「DTH1L」の10〜30%の値であることが好ましい。因みに、第1境界範囲の下限側の境界値「DTH1L」が「−0.1」の場合、第2境界範囲の下限側の境界値「DTH2L」は「−0.01〜−0.03」あることが好ましい。
つまり、TPMSモジュール30がタイヤ101の適正空気圧を判定する第2境界範囲が第1境界範囲の10〜30%になるように、タイヤ101の空気圧の適正範囲が設定されることが好適である。
TPMSモジュール30はステップS305で、減圧判定値が、このように決定される境界値(DTH2L、DTH2U)をそれぞれ下限値及び上限値とする第2境界範囲内の値であるか否かを判定する。
そして、減圧判定値が第2境界範囲内の値である場合、すなわち、「DTH2L≦D≦DTH2U」の場合(ステップS305→Yes)、TPMSモジュール30は、全てのタイヤ101の空気圧が適正範囲内にあって適正空気圧であると判定する。そして、空気圧低下検出モードを解除し(ステップS306)、警報を停止するための警報解除指令をVSAモジュール31を介して警報装置4に送信して(ステップS307)、警報を停止する。さらに、TPMSモジュール30は、各タイヤ101の補正係数を再設定し(ステップS301)、初期化終了信号をVSAモジュール31を介して警報装置4に送信し(ステップS302)、さらに、初期化要求フラグをOFFにして(ステップS303)、初期化動作を終了する。
この構成によって、TPMSモジュール30は、全てのタイヤ101の空気圧が適正空気圧であるときに限って、警報を停止することができ、さらに、補正係数を再設定できる。
一方、減圧判定値が第2境界範囲内の値でない場合、すなわち、「D<DTH2L」又は「D>DTH2U」の場合(ステップS305→No)、TPMSモジュール30は、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が適正範囲を超えて低下し、適正空気圧ではないと判定する。そして、初期化要求フラグをOFFにして(ステップS303)、警報解除指令を送信することなく初期化動作を終了する。したがって、警報装置4で警報を発生する状態が維持される。
なお、ステップS305で、減圧判定値が第1境界範囲内の値であって第2境界範囲内の値でないとTPMSモジュール30が判定した場合(ステップS305→No)、タイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下した場合と異なる警報が発生するように構成されていてもよい。
例えば、タイヤ101の空気圧が、許容範囲内ではあるが適正空気圧ではないことを運転者に報知する警報を発生する構成としてもよい。
このように、本実施形態に係るTPMSモジュール30(図3参照)は、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が、図5の(a)に示す操作手順に従って操作されたときに、初期化動作を実行する意思が運転者にあると判断する。そして、初期化要求フラグをONにし、全てのタイヤ101(図1参照)の空気圧が適正空気圧であるときに限って初期化動作を実行する。
すなわち、TPMSモジュール30は、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が適正範囲を超えて低下して適正空気圧でないときは、全てのタイヤ101の空気圧が許容範囲内にある場合であっても警報を停止せず補正係数も再設定しない。
また、TPMSモジュール30は、初期化動作を実行して補正係数を再設定したとき、警報装置4(図1参照)を制御して、運転者に補正係数が再設定されたことを報知する。
TPMSモジュール30(図3参照)が、少なくとも1つのタイヤ101(図1参照)の空気圧が適正空気圧でない状態で補正係数を算出する構成の場合、TPMSモジュール30は、空気圧が低下したタイヤ101の回転角速度の上昇を初期差異に含んで当該タイヤ101の補正係数を算出する。
そして、このような補正係数で補正された回転角速度補正値を含んで算出される減圧判定値は、その値がゼロであっても、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が適正空気圧でない。しかしながらTPMSモジュール30は、減圧判定値がゼロのときは全てのタイヤ101の空気圧が適正空気圧にあると認識する。
したがって、適正空気圧でないタイヤ101の空気圧が低下して減圧補正値がゼロでなくなったとき、実際は当該タイヤ101の空気圧が適正空気圧でない状態から更に空気圧が低下した状態であるにもかかわらず、TPMSモジュール30は、適正空気圧から空気圧が低下したと判定する。
その結果、当該タイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下した場合であっても、TPMSモジュール30は、当該タイヤ101の空気圧が許容範囲内にあると判定して警報を発生しない場合がある。
つまり、TPMSモジュール30は、タイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下したことを判定できない場合があり、この点で、タイヤ101の空気圧が低下したことを判定する精度が低下する。
本実施形態のTPMSモジュール30(図3参照)は、初期化動作をする意思を運転者が有し、さらに、全てのタイヤ101(図1参照)の空気圧が適正空気圧であるときに限って補正係数を再設定することができる。したがって、このような補正係数で補正された回転角速度補正値に基づいて算出される減圧判定値は、全てのタイヤ101の空気圧が適正空気圧である状態のときに値をゼロ(D=0)とすることができる。
そして、減圧判定値がゼロでなくなったときは、少なくとも1つのタイヤ101の空気圧が適正空気圧から低下した状態となる。したがって、TPMSモジュール30は、タイヤ101の空気圧が許容範囲を超えて低下したことを確実に判定することができるため、タイヤ101の空気圧が低下したことを判定する精度が低下しない。
また、TPMSモジュール30(図3参照)は、図5の(a)に実線で示す操作手順に従って初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が押下操作された場合に、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定する。
例えば、運転者の誤操作で、図5の(a)に実線で示す操作手順に従って初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bが操作されることは非常に稀であり、TPMSモジュール30は、初期化動作を実行する意思を運転者が確実に有するか否かを判定できる。
また、TPMSモジュール30(図3参照)は、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定した場合、全てのタイヤ101(図1参照)の空気圧が適正空気圧であるときに限って警報を停止するため、例えば、空気圧が低下したタイヤ101に十分に空気を補充できなかった場合や、交換したタイヤ101の空気圧が適正空気圧でない場合は警報を停止しない。
したがって、運転者は、空気を補充した後のタイヤ101や交換したタイヤ101の空気圧が許容範囲内にあっても適正空気圧ではないことを認識できる。
そして、運転者は、さらに空気を補充するなど適切な処置を施すことができ、車両100(図1参照)が空気圧の低いタイヤ101で走行することによる燃費の低下を回避できる。
以上のように本実施形態に係るタイヤ空気圧監視装置1(図1参照)は、タイヤ101(図1参照)を交換した後やタイヤ101に空気を補充した後であっても、少なくとも1つのタイヤ101が適正空気圧でないときは、警報を停止せず、運転者に適正空気圧でないタイヤ101があることを報知できる。
また、本実施形態のタイヤ空気圧監視装置1(図1参照)は、運転者が、図5の(a)に実線で示す操作手順に従って初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)を押下操作したときに、当該運転者に初期化動作を実行する意思がある(つまり、補正係数を再設定する意思がある)と判定する。そして、運転者に初期化動作を実行する意思があり、全てのタイヤ101の空気圧が適正空気圧であるときに限って、補正係数が再設定され、警報が停止する。
したがって、運転者等の誤操作によって、初期化スイッチ4a(図3参照)またはVSAスイッチ4b(図3参照)が単純に押下操作されても、VSAECU3(図3参照)は、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定せず、タイヤ空気圧監視装置1(図1参照)は補正係数を再設定しない。
これによって、例えば、タイヤ101(図1参照)の少なくとも1つの空気圧が適正範囲の下限にある場合に、運転者の誤操作によって補正係数が再設定されること、が抑制される。
また、初期化スイッチ4a(図3参照)は、TPMSモジュール30(図3参照)を有する車両100(図1参照)に備わっているスイッチであり、VSAスイッチ4b(図3参照)は、VSAモジュール31(図3参照)を有する車両100に備わっているスイッチである。したがって、図5の(a)に示す操作手順に従ったスイッチ操作を実現するために、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bの他の新たなスイッチを備えたり、スイッチが接続される回路等を改造する必要がない。例えば、VSAECU3(図3参照)が実行するプログラムの変更で、図5の(a)に示す操作手順に従ったスイッチ操作による初期化動作の実行が可能になる。したがって、例えば、TPMSモジュール30とVSAモジュール31を備える既存の車両100であっても、容易に本発明を実施できる車両に改造可能である。
なお、初期化スイッチ4a(図3参照)が、他の機能を兼ね備えるスイッチであってもよい。例えば、車両100(図1参照)の図示しないライト類を操作(ON/OFF)するスイッチであってもよい。
この場合、例えば、初期化スイッチ4aが長押しされないとき(図5の(a)に示す所定時間ΔTaより短い間隔で操作されるとき)には、初期化スイッチ4aがライト類を操作するスイッチとして機能する構成とすればよい。
このような構成であれば、ライト類を操作するスイッチ(専用スイッチ)を削減することも可能であり、車両100のコストダウンも可能となる。
または、VSAスイッチ4bがライト類を操作するスイッチであってもよい。
なお、本実施形態においては図6に示すように、TPMSモジュール30(図3参照)は、車両100(図1参照)が旋回している場合はタイヤ101の空気圧の低下を判定しない構成としたが、例えば特開平8−164720号公報に記載される技術を適用し、旋回中の車両100のタイヤ101の空気圧の低下を判定する構成であってもよい。
つまり、車両100が旋回半径「R」で旋回中の場合、TPMSモジュール30が、減圧判定値「D」を次式(4)で示されるように補正し、補正した減圧判定値「D’」を第1境界範囲及び第2境界範囲と比較することで、タイヤ101の空気圧の低下を判定する構成であってもよい。
Figure 2014223863
式(4)におけるGは車両100(図1参照)に発生している横加速度、Gは車両100に発生している前後加速度であり、それぞれ図示しない加速度計によって計測されることが好ましい。
また、A1,A2,A3は、タイヤ101(図1参照)の空気圧が適正空気圧であるときの走行実験で、旋回半径「R」、車速「V」、横加速度「G」及び前後加速度「G」に基づいて決定される定数である(その詳細は、前記した特開平8−164720号公報に記載されている)。
このように、車両100(図1参照)が旋回中であっても、TPMSモジュール30がタイヤ101の空気圧の低下を判定する構成とすることで、より精度よくタイヤ101の空気圧の低下を判定できる。
また、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、前記した実施形態では、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が図5の(a)に示す操作手順に従って押下操作されたときに、TPMSモジュール30(図3参照)が、運転者に初期化動作を実行する意思があると判定する構成とした。
この構成に替わり、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bが同時に押下操作されたときに、TPMSモジュール30が、運転者に初期化動作を実行する意思があると判定する構成であってもよい。
例えば、図8の(a)に実線で示す操作手順のように、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が時刻t1から時刻t2まで所定時間ΔTd(例えば、3秒間)に亘って同時に押下操作されたときに、VSAモジュール31(図3参照)がTPMSモジュール30(図3参照)に初期化情報を入力し、初期化要求フラグがONされる構成であってもよい。
この場合、VSAスイッチ4bと同時に初期化スイッチ4aが操作されているため、VSAモジュール31は、VSAスイッチ4bが操作されていても、VSAモジュール31の動作状態(「VSA ON」と「VSA OFF」)が切り替わらない構成であることが好ましい。
また、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が同時に押下操作(ON)されない場合であっても、図8の(b)に実線で示す操作手順のように、初期化スイッチ4aとVSAスイッチ4bがともに押下操作される時間が所定時間ΔTd以上のときに、VSAモジュール31(図3参照)がTPMSモジュール30(図3参照)に初期化情報を入力し、初期化要求フラグがONされる構成であってもよい。
また、初期化スイッチ4aがVSAECU3(図1参照)に備わり、CAN3a(図1参照)を介することなく、初期化信号をVSAECU3に入力する構成であってもよい。
また、VSAスイッチ4bがVSAECU3に備わり、CAN3aを介することなく、VSA信号をVSAECU3に入力する構成であってもよい。
また、本実施形態では、初期化スイッチ4a(図3参照)とVSAスイッチ4b(図3参照)が運転者によって押下操作されたときに、TPMSモジュール30(図3参照)が、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定するように構成されている。しかしながら、図示しない他のスイッチが操作されたときに、TPMSモジュール30が、初期化動作を実行する意思を運転者が有すると判定する構成であってもよい。
この場合、それらのスイッチが操作されたことを示す信号が、TPMSモジュール30に入力される構成であることが好ましい。
また、本発明は、4つの走行輪110(図1参照)にタイヤ101(図1参照)が装着される車両100(図1参照)に限らず、複数の走行輪110にタイヤ101が装着される車両(図示せず)に適用することができる。
1 タイヤ空気圧監視装置
3 VSAECU
4 警報装置
4a 初期化スイッチ(第2操作部)
4b VSAスイッチ(第1操作部)
30 TPMSモジュール(監視ユニット)
31 VSAモジュール(車両挙動安定化装置)
100 車両
101 タイヤ
101RF 右前タイヤ
101LF 左前タイヤ
101RR 右後タイヤ
101LR 左後タイヤ
110 走行輪

Claims (4)

  1. 挙動の安定化を支援する車両挙動安定化装置を備える車両の複数の走行輪のそれぞれに装着されるタイヤの空気圧の低下を監視するタイヤ空気圧監視装置であって、
    前記タイヤの空気圧の低下を判定するための減圧判定値を、前記空気圧が適正空気圧であるときの前記タイヤ間の回転角速度差を無くすための補正係数で補正した前記タイヤの回転角速度に基づいて算出して、少なくとも1つの前記タイヤの空気圧が予め設定される許容範囲を超えて低下したことを前記減圧判定値によって判定したときに警報指令を出力する監視ユニットと、
    前記車両挙動安定化装置の動作状態を切り替えるために運転者が操作する第1操作部と、
    その他の第2操作部と、を備え、
    前記監視ユニットは、
    前記車両挙動安定化装置と一体に構成され、前記運転者によって前記第1操作部と前記第2操作部の両方が操作されたときに、前記補正係数を再設定するとともに警報解除指令を出力する初期化動作を実行する意思を前記運転者が有すると判定することを特徴とするタイヤ空気圧監視装置。
  2. 前記監視ユニットは、
    予め設定されている操作手順に従って前記第1操作部と前記第2操作部が操作されたときに、前記初期化動作を実行する意思を前記運転者が有すると判定することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧監視装置。
  3. 前記監視ユニットは、
    前記初期化動作を実行する意思を前記運転者が有すると判定した場合、前記タイヤの空気圧が適正空気圧のときに、前記初期化動作を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のタイヤ空気圧監視装置。
  4. 前記第1操作部および前記第2操作部がプッシュスイッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタイヤ空気圧監視装置。
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